JP2014172896A - 毛髪用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然物由来の生体安全性にすぐれた有効成分を含有し、脱毛及び薄毛の予防、改善、並びに髪のコシ、ハリの低下を改善する毛髪用組成物を提供する。
【解決手段】スイレン科(Nympaeaceae)ハス属(Nelumbo)の植物の種子を微生物で発酵させて得られる発酵物及び/又はローヤルゼリーを微生物で発酵させて得られる発酵物を含む毛髪用組成物であって、当該毛髪用組成物は毛乳頭細胞賦活作用及び/又はインシュリン様成長因子−1(IGF−1)合成促進作用を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、天然物由来成分を含み、育毛、養毛効果、及び髪のコシ、ハリの改善効果にすぐれた毛髪用組成物に関するものである。
近年、加齢、ストレス、紫外線等の様々な要因により、男性だけでなく女性も毛髪のトラブルを抱える人が増加しており、これに対応して様々な毛髪化粧料が提案されている。従来、毛髪のトラブルとして、男性型脱毛症(壮年性脱毛症)や女性型脱毛症(女性に生じた男性型脱毛症)の研究が行われ、これらの脱毛症に男性ホルモンが関与していることが明らかとなり、毛髪トラブルの改善剤として様々な抗男性ホルモン剤等が提案されている。
さらに、最近の研究により、毛髪本数の減少だけでなく、毛髪の成長のサイクル(毛周期)において毛髪の成長時期が短縮し、これにより、毛髪の径(太さ)が細くなることで、薄毛状態や、髪の「コシ・ハリの低下」が生じることも明らかになってきた。毛髪は、休止期、成長期、退行期からなる周期的なヘアサイクル(毛周期)に従って成長し、そのサイクルは様々な因子によって調節されている。よって、休止期から成長期へ移行させる因子や成長期の維持に関与する因子の産生を促進することで、毛髪を太く長く成長させることができる。その結果、脱毛、薄毛の予防・改善、さらに、髪のコシ、ハリの低下を改善することができる。ここで、上記休止期から成長期へ移行させる因子及び成長期の維持に関与する因子としては、毛乳頭細胞等で産生される線維芽細胞増殖因子−7(FGF−7)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インシュリン様成長因子−1(IGF−1)、肝細胞増殖因子(HGF)、又は上皮成長因子(EGF)等が挙げられる。
特に、IGF−1は、局所に投与することで、当該局所の抗炎症作用、アポトーシス抑制作用、血流増加作用、代謝亢進(酸素消費亢進)作用、システインの取込促進作用等を有することが知られている。このため、IGF−1は、毛母細胞の代謝亢進、毛周期の退行期や休止期の発現に関与するアポトーシスの抑制、毛母細胞へのシステインの取り込みの増加による毛髪のコシ、ハリの改善などの効果が期待されている。
以上のような毛髪成長のメカニズムの研究に基づいて、従来、様々な育毛・養毛剤、脱毛抑制剤(育毛剤等と称する)が提案されている。例えば、有効成分としてミノキシジルやアデノシンが知られており、これらの成分を配合した育毛剤等が提案されている。しかし、上記成分は、皮膚刺激等の副作用を引き起こすことがあり、十分に効果がありかつ安全性の高い育毛剤等の上市が求められている。
上記問題点に鑑みて、従来、天然物由来の成分を配合した育毛剤等(例えば、特許文献1,2)が提案されているが、育毛剤等の成分としてその有効性が不十分であった。
特開平06−009349号 特開平08−073325号
以上の従来技術の課題を鋭意検討した結果、本発明者らは、天然物由来成分であるスイレン科ハス属の植物の発酵物及び/又はローヤルゼリーの発酵物が、すぐれた毛乳頭細胞賦活効果及び/又は毛髪成長因子産生促進効果を有し、これによりスイレン科ハス属の植物の発酵物及び/又はローヤルゼリーの発酵物が育毛用の化粧料、並びに髪のコシ、ハリの改善用の化粧料の有効成分として有用であることを新たに見出して本発明を完成させるに至った。
本発明は、スイレン科(Nympaeaceae)ハス属(Nelumbo)の植物を微生物で発酵させて得られる発酵物及び/又はローヤルゼリーを微生物で発酵させて得られる発酵物を含む毛髪用組成物である。
また、本発明において、発酵に用いる微生物は、麹菌、納豆菌、酵母及び乳酸菌から選ばれたものであることが好ましい。
また、本発明の毛髪用組成物は、イネ科タケ亜科の竹の若芽であるタケノコの抽出物をさらに含むことでもよい。
また、本発明は上記毛髪用組成物を配合した毛髪化粧料である。
なお、本発明において、化粧料なる文言は、所謂医薬部外品を含む広義の意味で用いるものとする。
本発明は、スイレン科(Nympaeaceae)ハス属(Nelumbo)の植物の種子を微生物で発酵させて得られる発酵物及び/又はローヤルゼリーを微生物で発酵させて得られる発酵物を含む毛髪用組成物であって、当該組成物が有するすぐれた毛乳頭細胞賦活作用及び/又は毛髪成長因子産生促進作用により、育毛・養毛効果及び髪のコシ、ハリの改善効果にすぐれた毛髪化粧料を提供することができる。
本発明は、スイレン科(Nympaeaceae)ハス属(Nelumbo)の植物の種子を微生物で発酵させて得られる発酵物及び/又はローヤルゼリーを微生物で発酵させて得られる発酵物を含む毛髪用組成物である。
本発明で用いるスイレン科ハス属の植物としては、例えばハス(Nelumbo nucifera
Gaertner)或いはアメリカキバス(Nelumbo Lutea Pers.)などが挙げられるが、それらのうちでも、ハス(Nelumbo nucifera Gaertner)の使用が好ましい。
スイレン科ハス属の植物を発酵させるに当って、該植物の発酵部位には特に限定はなく、全草、葉、花、雄しべ、雌しべ、茎、根茎、種子(子実)など適宜の部分を用いることができるが、得られる発酵物の有効性の点から全草又は種子の使用が好ましい。
また、本発明で出発原料として用いるローヤルゼリーは、生のものであっても又凍結乾燥処理などを施して乾燥品としたものであってもよく、いずれの場合も同等でかつ元のローヤルゼリーよりも強い育毛・養毛効果、髪のコシ・ハリの改善効果を有する発酵物を提供できるが、原料としての保存安定性や取り扱いの容易さの観点から乾燥品又はその粉砕物を用いることが好ましい。
ハス属の植物又はローヤルゼリーの発酵に用いる微生物としては、乳酸菌、麹菌、納豆菌、酵母、テンペ菌等が挙げられ、一般にはそれら各菌種のいずれかから選ばれた一種又は二種以上を用いるが、場合によっては、又相互に発酵の妨げとならない限り、別の菌種に属するもの同士を組み合せ用いるようにしてもよい。
ここで乳酸菌としては、例えばラクトバシルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシルス
ブレビス(L. brevis)、ラクトバシルス カゼイ(L. casei)等のラクトバシルス(Lactobacillus)属の乳酸菌;カルノバクテリウム ディバージェンス(Carnobacterium
divergens)、カルノバクテリウム ピシコーラ(Carnobacterium piscicola)等のカルノバクテリウム(Carnobacterium)属の乳酸菌;ロイコノストック メセンテロイズ(Leuconostoc
mesenteroides)、ロイコノストック シトレウム(Leuconostoc citreum)等のロイコノストック(Leuconostoc)属の乳酸菌; ストレプトコッカス フェーカリス(Streptococcus
faecalis)、ストレプトコッカス ピオジェネス(Streptococcus pyogenes)等のストレプトコッカス属の乳酸菌;エンテロコッカス
カゼリフラバス(Enterococcus caseliflavus)、エンテロコッカス サルフレウス(Enterococcus sulfreus)等のエンテロコッカス(
Enterococcus)属の乳酸菌;ラクトコッカス プランタラム(Lactococcus
plantarum) ラクトコッカス ラフィノラクティス(Lactococcus rafinolactis)等のラクトコッカス属の乳酸菌;ヴェイセラ
コンフューザ(Weissella confusa)、ヴェイセラ カンドウレリ(Weissella kandleri)等のヴェイセラ属の乳酸菌;アトポビウム ミニュタム(Atopobium minutum)、アトポビウム パービュラス(Atopobiumparvulus)等のアトポビウム(Atopobium)属の乳酸菌;バゴコッカス フルビアリス(Vagococcus
fluvialis)、バゴコッカス サーモニナラム(Vagococcus salmoninarum)等のバゴコッカス(Vagococcus)属の乳酸菌;ペディオコッカス ダムノサス(Pediococcus
damnosus)、ペディオコッカス ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)等のペディオコッカス(Pediococcus)属の乳酸菌等が挙げられる。それら乳酸菌のうちでも、得られる発酵物の皮膚生理活性の観点とさらに極端な嫌気性でなく取り扱い易いという点から、ラクトバシルス
プランタラム(Lactobacillus plantarum)の使用が最も好ましい。
麹菌としては、例えばアスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス
フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス ポリオキソジェネス(Aspergillus polyoxogenes)、アスペルギルス ソーヤ(Aspergillus
sojae)等の黄麹菌、アスペルギルス アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス
カワウチ(Aspergillus kawauchii)、アスペルギルス ウサミ(Aspergillus usami)、
アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)等の黒麹菌、モナスカス アンカ(Monascus
anka)、モナスカス ピロサス(Monascus pilosus)等の紅麹菌などが挙げられる。それらのうちでも、得られる発酵物の皮膚生理活性の観点とさらに発酵液の着色や発酵臭が比較的少ないことから、アスペルギルス
オリゼー(Aspergillus oryzae)が最も好ましい。
納豆菌としては、例えばバシルス ナットー(Bacillus natto)、バシルス サブチルス(Bacillus subtilis)、バシルス サーキュランス(Bacillus
circulans)等のバシルス属の細菌などが挙げられる。なかでも、食品に広く使用されており、安全性が高い点でバシルス ナットー(Bacillus natto)が最も好ましい。
酵母としては、例えばサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス
アワモリ(Saccharomyces awamori)、サッカロミセス チェバリエリ(Saccharomyces chevalieri)、サッカロミセス カールスバージェンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス バヨナス(Saccharomyces
bayon us)等のサッカロミセス属の酵母、トルラスポラ デルブルエキ(Torulaspora
delbruekii)、トルラスポラ ファーメンタチ(Torulaspora fermentati)、トルラスポラ
ロゼイ(Torulaspora rosei)等のトルラスポラ属の酵母、ジゴサッカロミセス ローキシ(Zygosaccharomyces rouxii)、ジゴサッカロミセス ソーヤ(Zygosacchar
omyces soya)、ジゴサッカロミセス サケ(Zygosaccharomyces sake)、ジゴサッカロミセス
ミソ(Zygosaccharomyces miso)、ジゴサッカロミセス ラクティス(Zygosaccharomyces lactis)等のジゴサッカロミセス属の酵母、カンディダ ベルサチリス(Candida versatilis)、カンディダ エチェリシイ(Candida
etchellsii)、カンディダ ケフィール(Candida kefyr)、カンディダ サケ(Candida sake)、カンディダ スコッティ(Candida scottii)等のカンディダ属の酵母、オーレオバシディウム
プルランス(Aureobasidium Pullulans)、オーレオバシディウム マンソニー(Aureobasidium mansonii)、オーレオバシディウム マイクロスティクタム(Aureobasideium microstictum)等のオーレオバシディウム属の酵母などが挙げられる。それらのうちでも、食品に最も広く利用され、発酵力が強いという点からサッカロミセス
セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が最も好ましい。
テンペ菌としては、リゾプス アジゴスポラス(Rhizopus azygosporus)、リゾプス
ミクロスポラス チネンシス(Rhizopus microsporus chinensis)、リゾプス ミクロスポラス
オリゴスポラス(Rhizopus microsporus oligosporus)、リゾプス ニベウス(Rhizopus niveus)、リゾプス オリゼー(Rhizopus oryzae)等のリゾプス菌の真菌(カビ)が挙げられる。なかでも、インドネシアをはじめ東南アジア地域で発酵食品に広く使用されており、安全性が高い点で、リゾプス
ミクロスポラス オリゴスポラス(Rhizopus microsporus oligosporus)やリゾプス オリゼー(Rhizopus oryzae)が最も好ましい。
上記の微生物を用いてハス属の植物を発酵させる方法の好ましい具体例を挙げれば以下の通りである。まず、発酵しようとするハス属植物(以下、発酵素材ということがある)を溶媒に浸漬、懸濁させて、発酵のための懸濁液を調製する。この場合、ハス属植物は生のまま用いても、又予め乾燥もしくは半乾燥した上用いてもよい。又、形状としては、採取したものをそのまま用いることもできるが、細断或いは粉砕して微細化すれば発酵効率を上げることができる。なお、発酵素材としてハスの種子(子実)を用いる場合は、子実の最外層の渋皮は、発酵効率及び得られる発酵物の色相の点から、これを予め除去してもよい。
発酵素材を懸濁させるための溶媒としては、水又は水と低級アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノールなど)もしくはグリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなど)との混液等が用いられ、又それら溶媒中にはグルコース、フルクトース、シュークロースなどの糖類を添加してもよいが、微生物が最もその作用を発揮しやすい点とハス属植物の成分以外の資化成分の存在に基づく発酵副産物の生成を避けるという点から、水を単独で用いるのが最も好ましい。ここで、発酵素材と溶媒との混合比は、発酵素材の乾燥重量換算で一般に1:1〜1:1000、好ましくは1:5〜1:100、より好ましくは1:10〜1:50の範囲である。
この発酵素材/溶媒懸濁液は、これを発酵工程に供する前に、殺菌を行って発酵の障害となる雑菌を除去することが必要である。この雑菌の殺菌除去方法としては、発酵素材を予め殺菌用エタノール等で洗浄した後無菌水等の無菌溶媒に懸濁する方法を用いてもよく、又発酵素材を溶媒に懸濁した後、懸濁液を加熱殺菌等により殺菌するようにしてもよい。加熱殺菌処理としては、懸濁液を120〜130℃で10〜20分間加熱するオートクレーブ殺菌法や、80〜90℃に60〜120分間保持することを1日1回2〜3日間繰り返す間断殺菌法といった加熱殺菌法が一般に用いられる。
次に、この無菌化した懸濁液を発酵タンクに入れ、これに微生物を植菌して発酵させる。
微生物の接種量は10〜10個/mLが適量である。接種量が上記の範囲より多くなっても発酵の進行時間は殆ど変わらず、一方上記の範囲より少なくなると発酵完了までに長時間を要することとなって好ましくない。
発酵温度は一般に5〜50℃の範囲、好ましくは各微生物の生育至適温度である30〜40℃(例えば、乳酸菌であれば35℃〜40℃)の範囲である。発酵日数は、至適温度に於いて一般に1〜10日、好ましくは2〜5日の範囲である。発酵日数が上記の一般的範囲より短くなると発酵が十分に行われず発酵物の有効性が低下する傾向にあり、一方10日を越えて長くしても有効性のそれ以上の上昇は認められないだけでなく、着色や発酵臭の増加が生ずることとなっていずれも好ましくない。
以上の発酵処理を行うに当たって、ハス属の植物の成分が微生物によってより有効に利用されるようにするため、微生物の植菌前もしくは植菌と同時に、前記の懸濁液に酵素を添加して、ハス属植物に酵素による加水分解処理を施してもよい。かかる酵素処理は、特にハス属植物の種子(例えばハスの子実)のように、外皮が緻密で発酵が進み難い素材を用いる場合にとりわけ有効である。
この場合、酵素としては、蛋白分解酵素、澱粉分解酵素、ペクチン質分解酵素及び繊維素分解酵素から選ばれた少なくとも1種の酵素が用いられ、特にそれら4種の酵素群からそれぞれ選ばれた少なくとも1種以上の酵素を組み合わせ用いることによって好結果が期待できる。
ここで蛋白分解酵素としては、例えばアクチナーゼなどのアクチナーゼ類、ペプシンなどのペプシン類、トリプシン、キモトリプシンなどのトリプシン類、パパイン、キモパパインなどのパパイン類、グリシルグリシンペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼなどのペプチダーゼ類、ブロメラインなどを用いることができる。それら酵素のうちでも、アクチナーゼなどのアクチナーゼ類、パパイン、キモパパインなどのパパイン類或いはブロメラインが特に好ましい。
澱粉分解酵素としては、例えばα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、β−ガラクトシダーゼなどを用いることができる。それらの酵素のうちでも、グルコアミラーゼが特に好ましい。
ペクチン質分解酵素としては、例えばペクチンデポリメラーゼ、ペクチンデメトキシラーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、ポリガラクチュロナーゼなどを用いることができる。それらの酵素のうちでも、ペクチンエステラーゼとポリガラクチュロナーゼが特に好ましい。
繊維素分解酵素としては、例えばセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、アガラーゼ、マンナーゼ、キチナーゼ、キトサナーゼ、カラゲナーゼ、アルギナーゼ、フコイダナーゼ、イヌラーゼ、キシラナーゼ、リグニナーゼなどを用いることができる。それらの酵素のうちでも、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ及びリグニナーゼが特に好ましい。
酵素の使用量は、懸濁液中のハス属植物の固形分に対して、合計で0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。pH、温度、時間などの処理条件としては、酵素処理を発酵の前に行うのであれば、使用する酵素の至適pH及び至適温度付近で1〜24時間の処理を行うのがよく、一方発酵と同時に行うのであれば、当該発酵と同条件であって差し支えない。
以上の発酵処理が終ったならば、微生物の殺菌のため、又酵素処理を併用した場合であれば酵素の失活も兼ねて、発酵液に70〜100℃で10〜120分程度の加熱殺菌処理を施した後、これをそのまま、或いは一般かつ好適にはろ過或いは遠心分離などの固液分離手段によって液相を分取し、必要ならばpHを通常の化粧料のpH領域であるpH6〜8に調整し、さらに必要ならば希釈もしくは濃縮によって適宜の濃度とした上、化粧料の配合原料として供する。又、場合によっては、固液分離後の液相をスプレードライ法、凍結乾燥法など常法に従って粉末状とした上化粧料に配合してもよい。
次に、上記の微生物を用いてローヤルゼリーを発酵させる方法の好ましい具体例を挙げれば以下の通りである。すなわち、まずローヤルゼリーを発酵媒体と混合して懸濁液を調製し、これに殺菌処理を施す。ここで発酵媒体としては、水、又は、水とエタノールもしくはプロパノールなどの低級アルコール類との混合液、水とエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくは1,3−ブチレングリコールなどのグリコール類との混合液、水とソルビトール、グルコースなどの糖類との混合液等を用いることができるが、発酵に用いる菌が最も作用し易いことと、ローヤルゼリーに含まれる成分以外に菌の栄養源となる成分を含まない点で、水単独の使用が最も好ましい。
ローヤルゼリーと上記の抽出媒体との混合比は、重量比で一般に1:1〜1:1000の範囲であり、好ましくは1:10〜1:100、より好ましくは1:10〜1:50の範囲である。ローヤルゼリーの量比が大き過ぎると液が粘性を持つため、ろ過操作等が困難となって収量が低下する傾向にあり、一方小さ過ぎると、発酵液の固形分濃度、ひいては単位容積当たりの生理活性が低くなり、使い勝手の悪いものとなっていずれも好ましくない。
次に、懸濁液を殺菌処理するが、殺菌方法については、上述したハス属の植物の発酵処理と同様の方法を用いることでよい。
次に、この無菌化したローヤルゼリー懸濁液を発酵タンクに入れ、これに微生物を植菌して発酵させる。発酵の条件については、上述したハス属の植物の発酵処理と同様の条件を用いることでよい。
なお、以上の発酵処理を行うに際して、発酵前及び/又は発酵と並行して、ローヤルゼリー懸濁液に酵素による加水分解処理を施すようにしてもよく、これによってローヤルゼリーの成分がより有効に微生物によって利用され発酵効率が上がり、発酵液の流動特性や保存安定性が高くなることが期待できる。
この場合、酵素としては、上述したハス属の植物の発酵物に対して用いる酵素と同様に、蛋白分解酵素、澱粉分解酵素、ペクチン質分解酵素及び繊維素分解酵素から選ばれた少なくとも1種の酵素が用いることでもよく、又それら4種の酵素群からそれぞれ選ばれた少なくとも1種以上の酵素を組み合わせ用いることでもよい。酵素の使用量は、ローヤルゼリー懸濁液中の固形分に対して、合計量で0.01〜10重量%の範囲とするのがよく、より好ましくは0.1〜5.0重量%の範囲である。pH、温度、時間などの処理条件は、発酵と同条件であって差し支えないが、発酵前に酵素加水分解処理を行う場合には、用いる酵素の至適pH、至適温度付近で2〜24時間処理を行うようにすることが好ましい。一方発酵と同時に行うのであれば、当該発酵と同条件であって差し支えない。
以上のローヤルゼリーの発酵処理の終了後、微生物の殺菌のため、又酵素処理を併用した場合であれば酵素の失活も兼ねて、発酵液に70〜100℃で10〜120分程度の加熱殺菌処理を施した後、これをそのまま、或いは一般かつ好適にはろ過或いは遠心分離などの固液分離手段によって液相を分取し、必要ならばpHを通常の化粧料のpH領域であるpH6〜8に調整し、さらに必要ならば希釈もしくは濃縮によって適宜の濃度とした上、毛髪用組成物とする。また、場合によっては、固液分離後の液相をスプレードライ法、凍結乾燥法など常法に従って粉末状とした上で、毛髪用組成物としもよい。
なお、本発明の毛髪用組成物として、さらに、タケノコの抽出物等の天然物由来の成分を含むことでもよい。
例えば、タケノコとしては、イネ科タケ亜科の竹の若芽の可食部分又は非食部分(例えば、皮)を用いる。イネ科タケ亜科のタケとしては、例えば、モウソウチク(Phyllostachys pubescens)、マダケ(Phyllostachys
bambusoides) 、ハチク(Phyllostachys nigra)、ホテイチク(Phyllostachys aurea)、キッコウチク(Phyllostachys
heterocycla)、ホウライチク(Bambusa multiplex)、ナリヒラダケ(Semiarundinaria fastuosa)、チシマザサ(ネマガリダケ)(Sasa
kurilensis)、トウチク(Sinobambusa tootsik)、シホウチク (Chimonobambusa quadrangularis)、カンチク(Chimonobambusa
marmorea)、ヤダケ (Pseudosasa japonica)、メダケ(Pleioblastus simonii)が挙げられるが、本願発明はこれに限るものではない。
抽出物の調製は、タケノコの非食部分(例えば、皮)又は可食部分を、必要ならば予め水洗して異物を除いた後、そのまま又は乾燥した上、必要に応じて細切又は粉砕し、浸漬法等の常法に従って抽出溶媒と接触させることで行うことが可能である。抽出溶媒としては、上述したハス属の植物の調製時に用いたものを使用することができる。
抽出物の調製に際して、抽出物のpHに特に限定はないが、pH2〜8の範囲とすることが好ましい。さらに、抽出物に含まれると毛髪用組成物として望ましくない成分であるチロシンの溶解を抑えるという点から、pH2〜4の範囲とすることがより好ましい。pHの調製は、前記の抽出溶媒に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性調整剤や、乳酸、クエン酸、塩酸、リン酸、硫酸などの酸性調整剤等を配合する事によって行われる。
抽出温度、抽出時間等の抽出条件は、用いる溶媒の種類やpHによっても異なるが、例えば水を抽出溶媒とする場合であれば、抽出温度は30〜50℃の範囲が好ましく、また、抽出時間は、3〜5時間の範囲が好ましい。
上記条件により得られる抽出物は濾過等の操作により固液を分離しても、固相を含む液体の状態であってもよい。また、得られた抽出物は、一般にはpHを4〜8に調整した上、これをそのまま毛髪組成物の有効成分として使用しても、減圧濃縮等により所望の濃度として使用してもよい。
また、タケノコの抽出部以外にも植物や海藻等の天然物由来の素材から抽出物を調製して、本発明の毛髪組成物の有効成分とすることでもよい。その場合、素材に応じて、抽出溶媒、並びに抽出時のpH、温度及び時間を適宜設定して、抽出物を調製し、本発明の毛髪用組成物の有効成分とする。
本発明のハス属植物の発酵物又はローヤルゼリー発酵物は、毛髪化粧料(医薬部外品も含む)に配合する場合、例えば、育毛・養毛用化粧料であれば、一般的には0.00001〜5.0重量%(固形分重量%、以下同じ)であり、好ましくは、0.001〜3.0重量%である。また、シャンプー等の洗髪用化粧料であれば、一般的には0.00001〜5.0重量%(固形分重量%、以下同じ)であり、好ましくは、0.0001〜1.0重量%である。また、リンスやコンディショナーであれば、一般的には0.00001〜5.0重量%(固形分重量%、以下同じ)であり、好ましくは、0.001〜1.0重量%である。
また、本発明のハス属植物の発酵物及びローヤルゼリー発酵物の併用組成物を、毛髪化粧料(医薬部外品も含む)に配合する場合、ハス属植物の発酵物とローヤルゼリー発酵物の配合比は、固形分重量比で、1:100〜100:1であり、さらに好ましくは、1:5〜5:1である。また、この組成物の毛髪化粧料(医薬部外品を含む)に対する配合量は、例えば、育毛・養毛用化粧料であれば、一般的には0.00001〜3.0重量%(固形分重量%、以下同じ)であり、好ましくは、0.001〜1.0重量%である。また、シャンプー等の洗髪用化粧料であれば、一般的には0.0001〜3.0重量%(固形分重量%、以下同じ)であり、好ましくは、0.0001〜1.0重量%である。また、リンスやコンディショナーであれば、一般的には0.00001〜3.0重量%(固形分重量%、以下同じ)であり、好ましくは、0.0001〜1.0重量%である。
また、本発明のハス属植物の発酵物及びローヤルゼリー発酵物の混合物とタケノコの抽出物とを、毛髪化粧料(医薬部外品を含む)に配合する場合、ハス属植物の発酵物とローヤルゼリー発酵物とタケノコの抽出物の配合比は、固形分重量比で、1:100:100〜100:100:1である。
また、本発明の毛髪用組成物には、他の活性成分(毛母細胞賦活剤、抗男性ホルモン剤、血行促進剤、皮脂分泌抑制剤、抗炎症剤、毛髪保護剤、毛周期の成長維持剤等)を組み合わせ配合するようにしてもよく、これによって、相乗的な育毛効果や脱毛防止効果を期待することもできる。
例えば、育毛効果及び脱毛防止効果の相乗効果が期待できる成分としては、ミノキシジル、シプロテロンアセテート、ペンタデカン酸グリセリド、6‐ベンジルアミノプリン(サイトプリン)、アデノシン、トランス‐3,4'‐ジメチル3−ヒドロキシフラバノン(t-フラバノン)、センブリエキス、ヒノキチオール、感光素、パントテン酸及びその誘導体、マイマイ花エキス、ゲンチアナエキス、カミツレエキス、ビタミンE及びその誘導体、ニコチン酸誘導体(ニコチン酸アミド等)、塩化カルプロニウム、女性ホルモン類(エチニルエストラジオール、エストロン等)、イチョウエキス、チョウジエキス、アマモエキス、黒大豆エキス、サリチル酸、グリチルリチン酸カリウム(カンゾウエキス)、ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール、塩酸ピリドキシン(ビタミンE6)、チオキソロン、オランダカラシエキス、カンファー、サリチル酸、レゾルシン、タマサキツヅラフジから得られるビス型アルカロイド、ミツイシコンブ、エルカ酸(cis−13−ドコセン酸)、ゴンドイン酸(cis−11−エイコセン酸)等の高級モノエン酸、さらにはアミノ酸類、ビタミン類、フコイダンなどが挙げられる。
本発明の毛髪用組成物には、通常の毛髪用組成物(例えば、髪質改善、フケ・痒み予防、改善用の毛髪用組成物、その他毛髪化粧料に配合する成分)に用いられる配合成分、例えば油性成分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、香料、生理活性物質等を必要に応じて適宜配合することができる。
ここで、油性成分としては、例えばオリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、植物由来スクワランなどの植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油などの動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリンなどのロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワランなどの炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、エルカ酸、ゴンドイン酸などの脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2−エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)などの合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
界面活性剤としては,例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α−スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩などのアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級〜第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N−ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩などのカチオン界面活性剤;N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N−アシルアミドプロピル−N′,N′−ジメチル−N′−β−ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタインなどの両性界面活性剤等を使用することができる。
乳化剤乃至乳化助剤としては、酵素処理ステビアなどのステビア誘導体、レシチン及びその誘導体、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀など)、ジュアゼイロ(Zizyphus joazeiro)抽出物等を使用することもできる。
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース等の糖類、乳酸菌醗酵米、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体など)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、魚介類由来コラーゲン及びその誘導体、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻或いは紅藻由来成分、ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体等の多糖類、キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム等のガム類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリグルタミン酸及びその誘導体、グルコシルトレハロースと加水分解水添デンプンを主体とする糖化合物等が挙げられる。
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどのパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、1,2−ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物等がある。
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−ターシャリーブチル−4−メトキシベンゾイルメタン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ビタミンE及びその誘導体(例えば、ビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等)、シャクヤク抽出物等がある。
また、生理活性成分として、加水分解党参エキス(加水分解ヒカゲノツルニンジンエキス)、加水分解黒豆エキス、ビャッキュウ(白及)抽出物、バウダルコ樹皮エキス(タベブイアインペチギノサ樹皮エキス)、豆乳発酵液、ハイビスカス花発酵液、アッケシソウエキス、デイリリー花発酵液(ヘメロカリス属の花の発酵液)、ムラサキシキブ抽出物、カミツレ抽出物、コンブ等の海藻の抽出物、アマモ等の海産顕花植物等の抽出物、リノール酸及びその誘導体もしくは加工物(例えばリポソーム化リノール酸など)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸誘導体、動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、エラスチン及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体(ジカリウム塩等)、t−シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、アラントイン、α−ヒドロキシ酸類、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸、タマサキツヅラフジから得られるビス型アルカロイド、ゲンチアナエキス、甘草エキス、ハトムギエキス、ニンジンエキス、アロエエキスなどの生薬抽出エキス、米抽出物又はその加水分解物、有色素米(黒米、赤米、紫米、緑米等)の抽出物又はその加水分解物、米糠抽出物又はその加水分解物、米発酵エキス、アナアオサ抽出物、ソウハクヒエキス、ジョアゼイロ(Zizyphus joazeiro)抽出物等がある。
次に、製造例、処方例、及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下に於いて、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
製造例1.ハスの種子の乳酸菌発酵物溶液
ハスの種子(渋皮を除去したもの)100gを粉砕し、精製水1900gを加えて懸濁液を調製し、加熱殺菌した。この懸濁液に乳酸菌(ラクトバチルス プランタラム)を10個/mL接種し、窒素気流下に37℃で3日間静置培養した。培養終了後加熱殺菌し、培養液をろ過して、ハス種子の乳酸菌発酵物溶液1400g(固形分濃度2.5%)を得た。
製造例2.ハスの全草の乳酸菌発酵物溶液
発酵素材としてハスの種子の粉砕物に代えてハスの全草100gの細切物を用いる他は製造例1と同様にして、ハスの全草の乳酸菌発酵物溶液1150g(固形分濃度1.2%)を得た。
製造例3.ハス種子の麹菌発酵物溶液
微生物として、乳酸菌(ラクトバチルス プランタラム)に代えて麹菌であるアスペルギルス オリゼーを用いる他は製造例1と同様にして、ハス種子の麹菌発酵物溶液1400g(固形分濃度 2.4%)を得た。
製造例4.ハス種子の納豆菌発酵物溶液
微生物として、乳酸菌(ラクトバチルス プランタラム)に代えて納豆菌であるバシルス ナットーを用いる他は製造例1と同様にして、ハス種子の納豆菌発酵物溶液1380g(固形分濃度2.6%)を得た。
製造例5.ハス種子の酵母発酵物溶液
微生物として、乳酸菌(ラクトバチルス
プランタラム)に代えて酵母であるサッカロミセス セレビシエを用いる他は製造例1と同様にしてハス種子の酵母発酵物溶液1405g(固形分濃度2.1%)を得た。
製造例6.ローヤルゼリーの乳酸菌発酵物溶液
凍結乾燥ローヤルゼリー30gを粉砕し、精製水970gを加えて懸濁液を調製し、加熱殺菌した。この懸濁液に乳酸菌(ラクトバチルス プランタラム)を10個/mL接種し、37℃で3日間静置培養した。培養終了後培養液を加熱殺菌し、室温まで冷却後ろ過して、ローヤルゼリーの乳酸菌発酵物溶液850gを得た(固形分濃度2.2%)。
製造例7.ローヤルゼリーの麹菌発酵物溶液
乳酸菌に代えて麹菌(アスペルギルス オリゼー)を用いる他は製造例1と同様にして、ローヤルゼリーの麹菌発酵液840gを得た(固形分濃度2.0%)。
製造例8.ローヤルゼリーの納豆菌発酵物溶液
乳酸菌に代えて納豆菌(バシルス ナットー)を用いる他は製造例1と同様にして、ローヤルゼリーの納豆菌発酵液845g(固形分濃度2.1%)を得た。
製造例9.ローヤルゼリーの酵母発酵物溶液
乳酸菌に代えて酵母(サッカロミセス
セレビシエ)を用いる他は製造例1と同様にして、ローヤルゼリー発酵液880gを得た(固形分濃度2.3%)。
製造例10.タケノコ(モウソウチク)の皮抽出物溶液
モウソウチク(Phyllostachys pubescens)のタケノコ(地上に芽が出る前のもの)の皮の乾燥粉砕物50gに精製水500gおよび乳酸0.45gを混合し、静置した状態で、40℃下において4時間抽出を行い、抽出物溶液381gを得た。その後、得られた抽出物溶液をろ過し、さらに、ろ過した溶液に対して0.5%の活性炭(フタムラ化学株式会社製)を添加して活性炭処理を1時間行い、淡褐色のタケノコの皮の抽出物溶液332gを得た(pH6.0、固形分濃度1.2%)。
製造例11.タケノコの皮抽出物溶液
タケノコとして製造例1のモウソウチクに代えてマダケ(Phyllostachys bambusoides)のタケノコ(地上部が約30cmのもの)を用いるほかは、製造例10と同様にして抽出物溶液を調製し、淡褐色のタケノコの皮の抽出物溶液335gを得た(pH6.0、固形分濃度1.1%)
製造例12.タケノコの可食部の抽出物溶液
マダケ(Phyllostachys bambusoides)のタケノコ(地上部が約30cmのもの)の可食部の乾燥粉砕物50gに精製水500gおよび乳酸0.45gを混合し、静置した状態で、40℃下において4時間抽出を行い、抽出物溶液384gを得た。その後、得られた抽出物溶液をろ過し、さらに、ろ過した溶液に対して0.5%の活性炭(フタムラ化学株式会社製)を添加して活性炭処理を1時間行い、淡褐色のタケノコの可食部の抽出物溶液345gを得た(pH6.0、固形分濃度1.4%)。
比較製造例1.ハス抽出物溶液
ハスの種子(渋皮を除去したもの)200gを粉砕し、精製水1900gを加えて懸濁液を調製し、80℃で2時間加熱した。この液をろ過して、ハス種子抽出物溶液1340g(固形分濃度2.0%)を得た。
比較製造例2.ハス抽出物の加水分解物溶液
ハスの種子(渋皮を除去したもの)100gを粉砕し、精製水1900gを加えて懸濁液を調製し、加熱殺菌した。この液にパパイン1.0gを加えた後、pHを7.5に調整し、45℃に15時間保持した。この液をろ過して、ハス種子酵素分解物溶液1400g(固形分濃度2.1%)を得た。
比較製造例3.ローヤルゼリー抽出物溶液
凍結乾燥ローヤルゼリー60gを粉砕し、精製水940gを加えて懸濁液を調製し、加熱殺菌した。室温まで冷却後この液をろ過して、ローヤルゼリー抽出液710gを得た(固形分濃度2.0%)。
比較製造例4.ローヤルゼリー抽出物の加水分解物
凍結乾燥ローヤルゼリー30gを粉砕し、精製水970gを加えて懸濁液を調製し、加熱殺菌した。この懸濁液にグルコアミラーゼ0.3g、パパイン0.3g及びペクチナーゼ0.3gを加えた後、37℃で3日間酵素加水分解を行った。加水分解終了後酵素を加熱失活させ、室温まで冷却後ろ過して、ローヤルゼリーの酵素加水分解抽出液690gを得た(固形分濃度2.2%)。
以上の製造例1〜5により得られたハスの発酵物のいずれか1以上及び/又は製造例6〜9のローヤルゼリーの発酵物のいずれか1以上を混合して、本発明の毛髪用組成物とする。さらに、この組成物に、製造例10〜12により得られる抽出物のいずれか1以上を混合して、本発明の毛髪用組成物としてもよい。
処方例1.育毛用ヘアトニック
[成分] 部
l−メントール 0.8
製造例1の発酵物溶液 2.0
1,3−ブチレングリコール 10.0
フェノキシエタノール 0.2
エタノール 20.0
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を十分攪拌混合して育毛料を得た。
処方例2.育毛用ヘアトニック
処方例1の成分中、製造例1の発酵物溶液に代えて製造例2の発酵物溶液を用いるほかは処方例1と同様にして育毛用ヘアトニックを得た。
処方例3.育毛用ヘアトニック
処方例1の成分中、製造例1の発酵物溶液に代えて製造例6の発酵物溶液を用いるほかは処方例1と同様にして育毛用ヘアトニックを得た。
処方例4.育毛用ヘアトニック
[成分] 部
l−メントール 0.8
製造例1の発酵物溶液 1.0
製造例6の発酵物溶液 1.0
1,3−ブチレングリコール 10.0
フェノキシエタノール 0.2
エタノール 20.0
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を十分攪拌混合して育毛料を得た。
処方例5.育毛用ヘアトニック
処方例4の成分中、製造例1の発酵物溶液に代えて製造例10の抽出物溶液を用いるほかは処方例4と同様にして育毛用ヘアトニックを得た。
処方例6.育毛用ヘアトニック
処方例4の成分中、製造例6の発酵物溶液に代えて製造例11の抽出物溶液を用いるほかは処方例4と同様にして育毛用ヘアトニックを得た。
処方例7.育毛用ヘアトニック
[成分] 部
l−メントール 0.8
製造例1の発酵物溶液 1.0
製造例6の発酵物溶液 1.0
製造例10の抽出物溶液 1.0
1,3−ブチレングリコール 10.0
フェノキシエタノール 0.2
エタノール 20.0
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を十分攪拌混合して育毛料を得た。
処方例8.育毛用ヘアトニック
処方例7の成分中、製造例10の抽出物溶液に代えて製造例11の抽出物溶液を用いるほかは処方例7と同様にして育毛用ヘアトニックを得た。
処方例9.育毛用ヘアトニック
処方例7の成分中、製造例10の抽出物溶液に代えて製造例12の抽出物溶液を用いるほかは処方例7と同様にして育毛用ヘアトニックを得た。
処方例10.育毛用ヘアトニック
[成分] 部
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
モノニトログアヤコールナトリウム 0.02
塩酸ピリドキシン 0.03
アデノシン 1.0
製造例1の発酵物溶液 1.0
トリメチルグリシン 0.5
乳酸 0.2
1,3−ブチレングリコール 10.0
フェノキシエタノール 0.2
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.4
L−アルギニン 適量
エタノール 20
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を十分攪拌混合して育毛料を得た。
処方例11.育毛用ヘアトニック
処方例10の成分中、製造例1の発酵物溶液に代えて製造例2の発酵物溶液を用いるほかは処方例10と同様にして育毛用ヘアトニックを得た。
処方例12.育毛用ヘアトニック
処方例10の成分中、アデノシンに代えて、ミノキシジルを用いるほかは処方例10と同様にして育毛用ヘアトニックを得た。
処方例13.育毛用ヘアトニック
処方例10の成分中、アデノシンに代えて6‐ベンジルアミノプリンを用いるほかは処方例10と同様にして育毛用ヘアトニックを得た。
処方例14.育毛用ヘアトニック
処方例10の成分中、製造例1の発酵物溶液に代えて製造例6の発酵物溶液を用い、かつ。アデノシンに代えて6‐ベンジルアミノプリンを用いるほかは処方例1と同様にして育毛用ヘアトニックを得た。
処方例15.ヘアークリーム
[A成分] 部
流動パラフィン 15.0
ワセリン 15.0
サラシミツロウ 2.0
防腐剤 0.1
香料 0.1
[B成分]
製造例1で得られた発酵物溶液 1.0
製造例6で得られた発酵物溶液 1.0
6‐ベンジルアミノプリン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.1
キサンタンガム 0.1
グリセリン 5.0
1、3−ブチレングリコール 2.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3.0
キレート剤 0.1
色素 0.01
精製水 全量が100部となる量 [C成分]
苛性ソーダ 0.05 上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱溶解した後、攪拌しながらA成分をB成分に加え、ホモジナイザーを用いて乳化した。これを30℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合して乳液を得た。
処方例16.ヘアシャンプー
[A成分] 部
N−ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0
ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 10.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
メチルパラベン 0.1
[B成分]
クエン酸 0.1
製造例1の発酵物溶液 2.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加え、攪拌を続けて室温まで冷却してヘアシャンプーを得た。
処方例17.ヘアシャンプー
処方例16の成分中、製造例1の発酵物溶液に代えて製造例2の発酵物溶液を用いるほかは処方例16と同様にしてヘアシャンプーを得た。
処方例18.ヘアシャンプー
処方例16の成分中、製造例1の発酵物溶液に代えて製造例6の発酵物溶液を用いるほかは処方例16と同様にしてヘアシャンプーを得た。
実施例19.ヘアシャンプー
[A成分] 部
N−ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0
ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 10.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
メチルパラベン 0.1
[B成分] 部
クエン酸 0.1
製造例1の発酵物溶液 1.0
製造例6の発酵物溶液 1.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加え、攪拌を続けて室温まで冷却してヘアシャンプーを得た。
処方例20.ヘアシャンプー
処方例19の成分中、製造例1の発酵物溶液に代えて製造例10の抽出物溶液を用いるほかは処方例19と同様にしてヘアシャンプーを得た。
処方例21.ヘアシャンプー
処方例19の成分中、製造例6の発酵物溶液に代えて製造例11の抽出物溶液を用いるほかは処方例19と同様にしてヘアシャンプーを得た。
実施例22.ヘアシャンプー
[A成分] 部
N−ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0
ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 10.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
メチルパラベン 0.1
[B成分]
クエン酸 0.1
製造例1の発酵物溶液 1.0
製造例6の発酵物溶液 1.0
製造例10の抽出物溶液 1.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加え、攪拌を続けて室温まで冷却してヘアシャンプーを得た。
処方例23.ヘアシャンプー
処方例22の成分中、製造例10の抽出物溶液に代えて製造例11の抽出物溶液を用いるほかは処方例22と同様にして.ヘアシャンプーを得た。
処方例24.ヘアシャンプー
処方例22の成分中、製造例10の抽出物溶液に代えて製造例12の抽出物溶液を用いるほかは処方例22と同様にして.ヘアシャンプーを得た。
実施例25.ヘアリンス
[A成分] 部
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 1.0
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 1.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
2−エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
セタノール 3.2
ステアリルアルコール 1.0
メチルパラベン 0.1
[B成分]
製造例1の発酵物溶液 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
精製水 全量が100部となる量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加え、攪拌を続けて室温まで冷却してヘアリンスを得た。
処方例26.ヘアリンス
処方例25の成分中、製造例1の発酵物溶液に代えて製造例2の発酵物溶液を用いるほかは処方例25と同様にしてヘアリンスを得た。
処方例27.ヘアーリンス
処方例25の成分中、製造例1で得られた発酵物溶液に代えて製造例6で得られた発酵物溶液を用いるほかは処方例25と同様にしてヘアリンスを得た。
比較処方例1.育毛用ヘアトニック
製造例1の発酵物溶液に代えて比較製造例1の抽出物溶液を用いるほかは、処方例1と同様にして育毛用ヘアトニックを得た。
比較処方例2.育毛用ヘアトニック
製造例1の発酵物溶液に代えて比較製造例3の抽出物溶液を用いるほかは、処方例1と同様にして育毛用ヘアトニックを得た。
比較処方例3.ヘアシャンプー
製造例1の発酵物溶液に代えて比較製造例2の抽出物溶液を用いるほかは、処方例16と同様にしてヘアシャンプーを得た。
比較処方例4.ヘアーシャンプー
製造例1の発酵物溶液に代えて比較製造例4の抽出物溶液を用いるほかは、処方例16と同様にしてヘアーシャンプーを得た。
本発明のハス属植物の発酵物及び/又はローヤルゼリー発酵物、並びにハス属植物の発酵物、ローヤルゼリー発酵物及びタケノコの抽出物の混合物の育毛・養毛効果及び髪のコシ、ハリの改善効果に関する評価試験について、以下に詳細に説明する。
試験例1.毛乳頭細胞賦活効果試験
ヒト毛乳頭細胞ACI3047を、無血清CSC培地を入れた96穴マイクロプレートに1×10個/穴播種し、37℃,5.0%COの条件下に1日間プレ培養した後、製造例1〜5の発酵物溶液を試料溶液として培地に添加し、同条件でさらに3日間培養した。ここで、各発酵物は、培地全量に対して溶液濃度としての終濃度が1.25%、2.5%、5.0%となるように培地に添加した。次に、培地を除去し、0.03%のMTTを添加して37℃に1時間保持した後、生成したホルマザンをイソプロパノールで抽出し、マイクロプレートリーダー(Model 450、バイオラッド社製)を用いて波長570−630nmでMTT値を測定した。また、比較対照として、比較製造例1の抽出物溶液及び比較製造例2の酵素加水分解物溶液についても、同濃度の試験を行った。また、試料溶液に代えてPBS(-)を添加した試料無添加の場合(Control)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られたMTT値に対する各試料添加時のMTT値の相対値を求め、毛乳頭細胞MTT活性率(%)とした。また、試験系が正常に機能しているかを確認するために、試料溶液の代わりに陽性対照として100mMのグルコースを添加した場合についても、同様の試験を行った。
試験例1の結果を表1に示す。
[表1]

表1に示すように、本発明に係る製造例1〜5の発酵物溶液は、濃度依存的に格段にすぐれた毛乳頭細胞賦活効果を示した。これに対して、非発酵物である比較製造例1の抽出物溶液、及び比較製造例2の酵素加水分解物溶液は、毛乳頭細胞賦活効果を示さなかった。なお、陽性対照であるグルコースも効果を示したことから、本試験系が正常に行われたことも確認された。
試験例2.毛乳頭細胞IGF−1合成促進評価
ヒト毛乳頭細胞ACI3047を、無血清CSC培地を入れた96穴マイクロプレートに1×10個/穴播種し、37℃,5.0%COの条件下に1日間プレ培養した後、製造例6〜9の発酵物溶液を試料溶液として培地に添加し、同条件でさらに3日間培養した。ここで、各発酵物は、培地全量に対して溶液濃度としての終濃度が2.0%となるように培地に添加した。次に、各培養上清をとり、Human
IGF−1 ELISA KIT(R&D Systems,USA)を用いて、培養上清中のIGF−1の測定を行った。また、比較対照として、比較製造例3の抽出物溶液及び比較製造例4の酵素加水分解物溶液についても、同濃度の試験を行った。試料溶液に代えてPBS(-)を添加した試料無添加の場合(対照)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られたIGF−1量に対する各試料添加時のIGF−1量の相対値を求め、IGF−1合成促進率(%)とした。また、試験系が正常に機能しているかを確認するために、試料溶液の代わりに陽性対照としてIGF−1合成促進効果を有することが知られているミノキシジル(200μM)を添加した場合についても、同様の試験を行った。
試験例2の結果を表2に示す。
[表2]

表2に示すように、本発明に係る製造例6〜9の発酵物溶液は、すぐれたIGF−1合成促進効果を示した。これに対して、非発酵物である比較製造例3の抽出物溶液、及び比較製造例4の酵素加水分解物溶液は、IGF−1合成促進効果を示さなかった。なお、陽性対照であるミノキシジルも効果を示したことから、本試験系が正常に行われたことも確認された。IGF−1は、局所に投与することで、当該局所のアポトーシス抑制作用、代謝亢進(酸素消費亢進)作用、システインの取込促進作用等を有することから、本発明に係る製造例6〜9の発酵物によれば、IGF−1の合成促進により、毛乳頭細胞の代謝を活性化し、毛母細胞の成長を促進することができる。また、毛周期の退行期や休止期の発現に関与するアポトーシスを抑制することもできる。さらに、システインの取り込みを増加させることで、毛髪のコシやハリを高めることもできる。
試験例3.育毛・養毛効果に関するモニターテスト
処方例1,3〜7の各育毛用ヘアトニックを用いて、モニター試験を行った。男性型脱毛症患者である被験者(30〜65歳の男性)を20名毎のグループを分け、当該被験者を対象として、処方例1,3〜7の各育毛用ヘアトニックを頭部に1日2回連続6か月間塗布した後、毛髪の増加及び成長について、以下の判定基準に基づき評価を行った。
[評価判定基準]
A:毛髪が増加,成長した
B:毛髪がやや増加,成長した
C:変化なし
D:毛髪がやや減少,退行した
E:毛髪が減少,退行した
試験例3の結果を表3に示す。
[表3]

表3に示すように、本発明に係る処方例1,3〜7の育毛用ヘアトニックは、比較処方例1、3の育毛用ヘアトニックと比較して、すぐれた育毛・養毛効果を示すことが確認された。
試験例4.ハーフヘッドテスト
処方例16,18〜22のヘアシャンプーを用いて、モニター試験を行った。被験者(25〜65歳の女性)を20名毎のグループに分け、当該被験者を対象として、処方例16,18〜22のヘアシャンプーを頭部に1日1回連続30日間使用した後の髪のコシ、ハリについて、以下の判定基準に基づき評価を行った。
[コシの評価判定基準]
A:強くなった
B:やや強くなった
C:変化なし
D:やや弱くなった
E:弱くなった
[コシの評価判定基準]
A:増した
B:やや増した
C:変化なし
D:やや失われた
E:失われた
試験例4の結果を表4に示す。
[表4]

表4に示すように、本発明に係る処方例16,18〜22のヘアシャンプーは、比較処方例2、4のヘアシャンプーと比較して、すぐれた髪のコシ、ハリの改善効果を示すことが確認された。

Claims (4)

  1. スイレン科(Nympaeaceae)ハス属(Nelumbo)の植物の種子を微生物で発酵させて得られる発酵物及び/又はローヤルゼリーを微生物で発酵させて得られる発酵物を含む毛髪用組成物。
  2. 発酵に用いる微生物が、麹菌、納豆菌、酵母及び乳酸菌から選ばれたものである請求項1に記載の毛髪用組成物。
  3. イネ科タケ亜科の竹の若芽であるタケノコの抽出物をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の毛髪用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛髪用組成物を配合した毛髪化粧料。
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