JP2017039680A - 皮膚外用組成物、及び経口組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体安全性にすぐれた天然物由来のものであって、DNAの損傷を抑制し、かつ、損傷したDNAを修復することができる機能性素材の提供。
【解決手段】ウコギ科トチバニンジン属の植物、又はイネ科イネ属の植物のいずれか1種以上の植物の抽出物又は当該抽出物の加水分解物、或いは当該植物の発酵物を含むDNA損傷抑制剤及びDNA損傷修復剤、並びに、それらの剤を含む皮膚外用組成物または経口用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、天然物由来で生体安全性にすぐれた皮膚外用組成物(化粧料、医薬部外品も含む)や経口組成物に配合される機能性材料に関する。
皮膚は、加齢に伴う細胞増殖・分化の不活化、ホルモン分泌の低下、細胞外マトリックス成分の量的低下などの内的要因と、太陽光(紫外線)に誘発される活性酸素、大気汚染物質や環境ホルモン等の化学物質、花粉などのアレルギー物質、環境ストレス等の外的要因とが複雑に絡み合って、老化現象や肌荒れ、色調の変化が生じる。特に、紫外線等の外的要因やそれによって発生する活性酸素等は、細胞内のDNA損傷を引き起す原因となることから、当該外的要因からDNAを保護する効果、さらには損傷したDNAを修復する効果を有する機能性素材が求められている。従来、紫外線等からDNAの損傷を抑制する植物抽出物が提案されているが(特許文献1,2)、さらに、有効性及び安全性の高い機能性素材が求められている。
WO2008/073194号 特開2007−246410号
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を行った結果、イネ科イネ属の植物、及びウコギ科トチバニンジン属の植物が、すぐれたDNA損傷抑制効果及びDNA損傷修復効果を有し、これらの作用により、当該植物から得られる機能性素材を配合することですぐれた抗老化効果、皮膚の健全化効果及び美白効果を奏し、かつ、生体安全性にすぐれた皮膚外用組成物及び経口組成物の提供が可能になることを見出した。
本発明は、ウコギ科トチバニンジン属の植物、又はイネ科イネ属の植物のいずれか1種以上の植物の抽出物又は当該抽出物の加水分解物、或いは当該植物の発酵物を含むDNA損傷抑制剤である。
本発明は、ウコギ科トチバニンジン属の植物、又はイネ科イネ属の植物のいずれか1種以上の植物の抽出物又は当該抽出物の加水分解物、或いは当該植物の発酵物を含むDNA損傷修復剤である。
また、本発明は、上記DNA損傷抑制剤又はDNA損傷修復剤を配合した皮膚外用組成物又は経口組成物である。
本発明は、ウコギ科トチバニンジン属の植物、又はイネ科イネ属の植物のいずれか1種以上の植物の抽出物又は当該抽出物の加水分解物、或いは当該植物の発酵物を含むDNA損傷抑制剤及びDNA損傷修復剤であって、本発明によれば、抗老化効果、皮膚の健全化効果及び美白効果を奏し、かつ、生体安全性にすぐれた皮膚外用組成物及び経口組成物を提供することができる。
本発明で用いるウコギ科(Araliaceae)トチバニンジン属(Panax)の植物としては、例えば、サンシチニンジン(Panax bipinnatifidus)、オタネニンジン(Panax ginseng)、トチバニンジン(Panax japonicus)、アメリカニンジン(Panax quinquefolius)、ベトナムニンジン(Panax vietnamensis)、ホソバチクセツニンジン(Panax wangianus)、ノサンシチニンジン(Panax zingiberensis)が挙げられる。トチバニンジン属(Panax)の植物の使用部位には特に限定はなく、全草、葉、茎、花、茎、根、種子(子実)など適宜の部位を用いることができるが、全草、根の使用が好ましい。また、本発明で用いるトチバニンジン属(Panax)の植物は、根を加熱処理することで得られる、いわゆる「紅参」や、乾燥処理により得られる、いわゆる「白参」であっても良い。
また、本発明で用いるイネ科イネ属の植物としては、分類学上Oryza sativaに属するものであればそのいずれもが使用でき、具体的には、例えばコシヒカリ、ササニシキ、ニホンバレ、アキタコマチ、キヌヒカリ、華越前等を挙げることができるが、勿論これらに限定されるわけではない。本発明では、イネ属の植物の使用部位には特に限定はなく、全草、葉、花、茎、根、種子(子実)など適宜の部位を用いることができるが、全草、葉が好ましい。また、葉を使用する場合は、出穂前の葉を用いることが、より好ましい。なお、イネの葉を使用する場合は、抽出処理する前に葉に加熱処理を施しても良い。これにより、イネの葉に含まれる活性成分(酵素等)による変性、変質を抑制することができ、採取したイネの葉の保管中の活性低下を防止することができる。
まず、本発明において、上記各植物の抽出を行う場合には、必要ならば使用部位を予め水洗して異物を除いた後、そのまま又は乾燥した上、必要に応じて細切又は粉砕し、抽出溶媒と接触させる処理を行う。抽出方法は、浸漬法等の常法に従って抽出溶媒と接触させることで行うことが可能であるが、超臨界抽出法や水蒸気蒸留法を用いることも可能である。
抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類;n−ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの炭化水素系溶媒などが挙げられ、それらは単独で又は二種以上混合して用いられる。
それら抽出溶媒のうちでも、得られる抽出物の有効性、さらには、皮膚刺激性の観点から、又皮膚外用組成物等への幅広い適用が可能であるという点からも、本発明においては、水、低級アルコール類又は多価アルコール類などの親水性溶媒が好適である。この親水性溶媒を用いる場合の好ましい例としては、例えば、水、低級アルコール類(特にエタノール)、又は多価アルコール(特に、1,3−ブチレングリコール)の単独使用、或いは、水と低級アルコール類(特にエタノール)との混合溶媒、又は水と多価アルコール類(特に1,3−ブチレングリコール,グリセリン)との混合溶媒の使用等が挙げられるが、なかでも水単独、又は水と1,3−ブチレングリコールの混合溶媒が特に好ましい。
混合溶媒を用いる場合の混合比は、例えば水と1,3−ブチレングリコールとの混合溶媒であれば、容量比(以下同じ)で1:1〜20:1、水とエタノールとの混合溶媒であれば、1:1〜25:1、水とグリセリンとの混合溶媒であれば1:1〜20:1の範囲とすることが好ましい。
また、乾燥部位と抽出溶媒との重量比は好ましくは1:1〜1:50の範囲であり、より好ましくは、1:5〜1:20の範囲である。
抽出物の調製に際して、そのpHに特に限定はないが、一般には4〜9の範囲とすることが好ましい。かかる意味で、必要であれば、前記抽出溶媒に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性調整剤、又はクエン酸、塩酸、リン酸、硫酸などの酸性調整剤を配合し、所望のpHとなるように調整してもよい。
抽出温度、抽出時間等の抽出条件は、用いる溶媒の種類やpHによっても異なるが、例えば、水もしくは1,3−ブチレングリコール、又は水と1,3−ブチレングリコールとの混液を溶媒とする場合であれば、抽出温度は好ましくは0℃〜90℃の範囲であり、又抽出時間は好ましくは1時間〜1週間であり、より好ましくは4時間〜3日の範囲である。
以上のように抽出した抽出物には、酵素により加水分解処理を施しても良い。酵素としては、蛋白分解酵素、澱粉分解酵素、ペクチン質分解酵素、及びリパーゼなどの脂肪分解酵素のいずれかの酵素群から選ばれた1種又は2種以上を用いてもよいが、それらの酵素群からそれぞれ選ばれた1種又は2種以上の酵素を組み合わせて用いることがより好ましい。
ここで蛋白分解酵素としては、例えばアクチナーゼなどのアクチナーゼ類、ペプシンなどのペプシン類、トリプシン、キモトリプシンなどのトリプシン類、パパイン、キモパパインなどのパパイン類、グリシルグリシンペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼなどのペプチダーゼ類、ブロメラインなどを用いることができる。
また。糖質分解酵素としては、例えば、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、β−ガラクトシダーゼなどを用いることができる。
また、ペクチン質分解酵素としては、例えば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、ペクチンデポリメラーゼ、ペクチンデメトキシラーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、ポリガラクチュロナーゼなどを用いることができる。
酵素の使用量は、懸濁液中の植物の固形分に対して、合計で0.0001〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.001〜2.0重量%である。
また、本発明においては、トチバニンジン属の植物、イネ属の植物又はそれらの抽出物を発酵しても良い。それら植物の発酵に用いる微生物としては、乳酸菌、麹菌、納豆菌、テンペ菌、酵母等が挙げられ、一般にはそれら各菌種のいずれかから選ばれた1種又は2種以上を用いるが、場合によっては、又相互に発酵の妨げとならない限り、別の菌種に属するもの同士を組み合せて用いるようにしてもよい。
例えば、乳酸菌としては、ラクトバシルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシルス ブレビス(L. brevis)、ラクトバシルス カゼイ(L. casei)、ラクトバチルス デルブルッキー(L delbrueckii)、等のラクトバシルス(Lactobacillus)属の乳酸菌;カルノバクテリウム ディバージェンス(Carnobacterium divergens)、カルノバクテリウム ピシコーラ(Carnobacterium piscicola)等のカルノバクテリウム(Carnobacterium)属の乳酸菌;ロイコノストック メセンテロイズ(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック シトレウム(Leuconostoc citreum)等のロイコノストック(Leuconostoc)属の乳酸菌; ストレプトコッカス フェーカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス ピオジェネス(Streptococcus pyogenes)等のストレプトコッカス属の乳酸菌;エンテロコッカス カゼリフラバス(Enterococcus caseliflavus)、エンテロコッカス サルフレウス(Enterococcus sulfreus)等のエンテロコッカス(Enterococcus)属の乳酸菌;ラクトコッカス プランタラム(Lactococcus plantarum)、ラクトコッカス ラフィノラクティス(Lactococcus rafinolactis)等のラクトコッカス属の乳酸菌;ヴェイセラ コンフューザ(Weissella confusa)、ヴェイセラ カンドウレリ(Weissella kandleri)等のヴェイセラ属の乳酸菌;アトポビウム ミニュタム(Atopobium minutum)、アトポビウム パービュラス(Atopobiumparvulus)等のアトポビウム(Atopobium)属の乳酸菌;バゴコッカス フルビアリス(Vagococcus fluvialis)、バゴコッカス サーモニナラム(Vagococcus salmoninarum)等のバゴコッカス(Vagococcus)属の乳酸菌;ペディオコッカス ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペディオコッカス ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)等のペディオコッカス(Pediococcus)属の乳酸菌等が挙げられる。
麹菌としては、例えばアスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス ポリオキソジェネス(Aspergillus polyoxogenes)、アスペルギルス ソーヤ(Aspergillus sojae)等の黄麹菌、アスペルギルス アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス カワウチ(Aspergillus kawauchii)、アスペルギルス ウサミ(Aspergillus usami)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)等の黒麹菌、モナスカス アンカ(Monascus anka)、モナスカス ピロサス(Monascus pilosus)等の紅麹菌などが挙げられる。
納豆菌としては、例えばバシルス ナットー(Bacillus natto)、バシルス サブチルス(Bacillus subtilis)、バシルス サーキュランス(Bacillus circulans)等のバシルス属の細菌などが挙げられる。なかでも、食品に広く使用されており、安全性が高い点でバシルス ナットー(Bacillus natto)が最も好ましい。
テンペ菌としては、リゾプス アジゴスポラス(Rhizopus azygosporus)、リゾプス ミクロスポラス チネンシス(Rhizopus microsporus chinensis)、リゾプス ミクロスポラス オリゴスポラス(Rhizopus microsporus oligosporus)、リゾプス ニベウス(Rhizopus niveus)、リゾプス オリゼー(Rhizopus oryzae)等のリゾプス属の真菌(カビ)が挙げられる。
酵母としては、例えばサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス アワモリ(Saccharomyces awamori)、サッカロミセス チェバリエリ(Saccharomyces chevalieri)、サッカロミセス カールスバージェンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス バヨナス(Saccharomyces bayon us)等のサッカロミセス属の酵母、トルラスポラ デルブルエキ(Torulaspora delbruekii)、トルラスポラ ファーメンタチ(Torulaspora fermentati)、トルラスポラ ロゼイ(Torulaspora rosei)等のトルラスポラ属の酵母、ジゴサッカロミセス ローキシ(Zygosaccharomyces rouxii)、ジゴサッカロミセス ソーヤ(Zygosacchar
omyces soya)、ジゴサッカロミセス サケ(Zygosaccharomyces sake)、ジゴサッカロミセス ミソ(Zygosaccharomyces miso)、ジゴサッカロミセス ラクティス(Zygosaccharomyces lactis)等のジゴサッカロミセス属の酵母、カンディダ ベルサチリス(Candida versatilis)、カンディダ エチェリシイ(Candida etchellsii)、カンディダ ケフィール(Candida kefyr)、カンディダ サケ(Candida sake)、カンディダ スコッティ(Candida scottii)等のカンディダ属の酵母、オーレオバシディウム プルランス(Aureobasidium Pullulans)、オーレオバシディウム マンソニー(Aureobasidium mansonii)、オーレオバシディウム マイクロスティクタム(Aureobasideium microstictum)等のオーレオバシディウム属の酵母などが挙げられる。上述の酵母のうち、安全性及び有効性の観点から、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が好ましいが、サッカロミセス セレビシエとしては、清酒、サクラの花等の植物由来のものや、海洋起源のもの等、いずれの由来のものでも使用することができる。
上記の微生物を用いて、上記植物を発酵させる方法の好ましい具体例を挙げれば以下の通りである。まず、それら植物の発酵素材を発酵媒体中に浸漬又は懸濁させて、発酵のための懸濁液を調製する。この場合、植物は生のまま用いても、又予め乾燥もしくは半乾燥した上用いてもよい。又、形状としては、採取したものをそのまま用いることもできるが、細断或いは粉砕して微細化すれば発酵効率を上げることができる。
発酵素材を懸濁させるための発酵媒体としては、水或いは水と低級アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノールなど)もしくはグリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなど)との混液等が用いられ、又それら媒体中にはグルコース、フルクトース、シュークロースなどの糖類を添加してもよいが、微生物が最もその作用を発揮しやすいことと、発酵素材である植物以外の資化成分が存在することによる発酵副産物の生成を避けるという意味から、水の単独使用が最も好ましい。発酵素材と発酵媒体との混合比(重量比)は、発酵素材の乾燥重量換算で一般に1:1〜1:1000、好ましくは1:5〜1:100の範囲である。
この発酵素材の懸濁液は、これを発酵工程に供する前に、殺菌を行って発酵の障害となる雑菌を除去する。この場合殺菌除去方法としては、発酵素材を予め殺菌用エタノール等で洗浄殺菌した上無菌水等の無菌媒体に懸濁する方法を用いてもよく、又発酵素材を媒体に懸濁した後、懸濁液を加熱殺菌する方法を用いるようにしてもよい。加熱殺菌法としては、懸濁液を120〜130℃で10〜20分間加熱するオートクレーブ殺菌法や、懸濁液を80〜90℃に60〜120分間保持することを1日1回2〜3日間繰り返す間断殺菌法が一般に用いられる。
次に、この無菌化した懸濁液を発酵タンクに入れ、これに微生物を植菌して発酵処理を行う。 微生物の接種量は10〜10個/mLが適量である。接種量が上記の範囲より多くなっても発酵の進行時間は殆ど変わらず、一方上記の範囲より少なくなると発酵完了までに長時間を要することとなって好ましくない。
発酵温度は一般に5〜50℃の範囲、好ましくは各微生物の生育至適温度である30〜40℃(例えば、乳酸菌であれば35℃〜40℃)の範囲である。発酵日数は、至適温度に於いて一般に1〜10日、好ましくは2〜5日の範囲である。発酵日数が上記の一般的範囲より短くなると発酵が十分に行われず発酵物の有効性が低下する傾向にあり、一方10日を越えて長くしても有効性のそれ以上の上昇は認められないだけでなく、着色や発酵臭の増加が生ずることとなっていずれも好ましくない。
以上の発酵処理を行うに当たって、植物の成分が微生物によってより有効に利用されるようにするため、微生物の植菌前もしくは植菌時、或いは場合によっては植菌後発酵継続中に、前記の懸濁液に酵素を添加して、発酵素材である植物に酵素による加水分解処理を施すことが好ましい。この場合、酵素としては、上述したように、蛋白分解酵素、糖質分解酵素、ペクチン質分解酵素及び脂質分解酵素から選ばれた少なくとも1種の酵素を用いることができる。
pH、温度、時間などの処理条件としては、酵素処理を発酵の前に行うのであれば、使用する酵素の至適pH及び至適温度付近で1〜24時間の処理を行うのがよく、一方発酵と並行して行うのであれば、当該発酵と同条件であって差し支えない。
以上の発酵処理が終ったならば、微生物の殺菌のため、又酵素処理を併用した場合であれば酵素の失活も兼ねて、発酵液に80〜100℃で10〜120分程度の加熱殺菌処理を施す。殺菌処理を終わった発酵液は、これをそのまま、或いは一般かつ好適にはろ過或いは遠心分離などの固液分離手段によって液相を分取し、必要ならばpHを通常の化粧料のpH領域であるpH4〜9に調整し、さらに必要ならば希釈もしくは濃縮によって適宜の濃度とした上、化粧料の配合原料として供する。又、場合によっては、固液分離後の液相を、スプレードライ法、凍結乾燥法など常法に従って固体化し、さらに必要に応じて粉砕して粉末状にしてもよい。
本発明に係る抽出物、加水分解物又は発酵物を配合してなる皮膚外用組成物(化粧料、医薬部外品も含む)としては、例えば、乳液、クリーム、ローション、エッセンス、パック、口紅、ファンデーション、リクイドファンデーション、メイクアッププレスパウダー、ほほ紅、白粉、洗顔料、ボディシャンプー、毛髪用シャンプー、石けんなどが挙げられ、また、育毛剤、さらには浴剤等も挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。また、経口組成物としては、美容飲料、栄養ドリンク、スポーツドリンク、ニアウォーター、ビタミン飲料、ミネラル飲料、アルコール飲料などの飲料;各種スープ類(粉末スープも含む)、乳製品、ゼリー、キャンディ、錠菓、ガム等の食品;錠剤、液状、顆粒状又はゼリー状の健康食品・飲料等に配合することができるが、本発明はこれに限るものではなく、経口摂取できる飲食品等に配合することができる。
皮膚外用組成物(化粧料や医薬部外品)における本発明に係る抽出物、加水分解物又は発酵物の配合量は、その固形分として、基礎化粧料の場合は、一般に0.002〜1.0重量%(固形分重量%、以下同じ)、好ましくは0.02〜0.2重量%の範囲、メイクアップ化粧料の場合は、一般に0.002〜1.0重量%、好ましくは0.02〜0.2重量%の範囲、又清浄用化粧料の場合は、一般に0.002〜10.0重量%、好ましくは0.02〜7.0重量%の範囲である。また、毛髪用化粧料の場合は、抽出物の固形分として、一般的には0.00001〜5.0重量%であり、好ましくは、0.0001〜3.0重量%である。また、経口組成物における本発明の抽出物の配合量は、抽出物の固形分として、0.1〜15重量%の範囲が好ましい。
皮膚外用組成物(化粧料や医薬部外品)には、本発明に係る抽出物、加水分解物又は発酵物のほかに、通常、皮膚外用組成物に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。また、本発明に係る抽出物、加水分解物又は発酵物の有効性、特長を損なわない限り、他の生理活性成分を組み合わせて配合することも何ら差し支えない。
ここで、油性成分としては、例えばオリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、植物由来スクワランなどの植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油などの動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリンなどのロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワランなどの炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis−11−エイコセン酸などの脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2−エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)などの合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α−スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩などのアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級〜第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N−ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩などのカチオン界面活性剤;N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N−アシルアミドプロピル−N′,N′−ジメチル−N′−β−ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタインなどの両性界面活性剤等を使用することができる。
乳化剤乃至乳化助剤としては、酵素処理ステビアなどのステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖と蛋白質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来蛋白質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀など)等を配合することもできる。
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体など)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、シラン根(白及)抽出物、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;シラン根(白及)抽出物;ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体、アルカリゲネス産生多糖体等の多糖類;キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体等が挙げられる。
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどのパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、1,2−ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ等の植物由来のエタノール又は1,3−ブチレングリコール等がある。
粉体成分としては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビなど)のパウダー、豆類(大豆、アズキなど)のパウダー等がある。
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−ターシャリーブチル−4−メトキシベンゾイルメタン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ビタミンE及びその誘導体(例えば、ビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等)等がある。
美白剤としては、t−シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、4−メトキシサリチル酸カリウム塩、マグノリグナン(5,5'−ジプロピル−ビフェニル−2,2’−ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α−ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)等が挙げられ、これらを単独で配合しても、複数を組み合わせて配合しても良い。
上記のコウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレートなどのコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシドなどのコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルマグネシウムなどのアスコルビン酸エステル塩類、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、L−アスコルビン酸−5−グルコシド、アスコルビルトコフェリルマレイン酸、アスコルビルトコフェリルリン酸K、ミリスチル3−グリセリルアスコルビン酸、カプリリル2−グリセリルアスコルビン酸などのアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基など)、L−アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸テトララウリン酸エステルなどのL−アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3−O−エチルアスコルビン酸、L−アスコルビン酸−2−リン酸−6−O−パルミテートナトリウム、グリセリルアスコルビン酸又はそのアシル化誘導体、ビスグリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸グルセリン誘導体、L−アスコルビン酸リン酸アミノプロピル、L−アスコルビン酸のヒアルロン酸誘導体、3−O−Dラクトース−L−アスコルビン酸、イソステアリルアスコルビルリン酸塩等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン−β−D−グルコピラノシド)、α−アルブチン(ハイドロキノン−α−D−グルコピラノシド)等が、トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸エステル(例えば、トラネキサム酸ラウリルエステル、トラネキサム酸ヘキサデシルエステル、トラネキサム酸セチルエステル又はその塩)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トラネキサム酸メチルアミド)などが挙げられ、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4−n−ブチルレゾルシノール、4−イソアミルレゾルシノール等が、2,5−ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5−ジアセトキシ安息香酸、2−アセトキシ−5−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−5−プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えばニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、α−ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α−ヒドロキシオクタン酸等がある。
生理活性成分としては、例えば、胎盤抽出液、ソウハクヒ抽出物、ユキノシタ抽出物、シソ抽出物、米糠抽出物又はその加水分解物、白芥子抽出物又はその加水分解物、白芥子の発酵物、シャクヤク抽出物又はその加水分解物、乳酸菌醗酵米、ムラサキシキブ抽出物、ハス種子抽出物又はその加水分解物、ハス種子発酵物、党参抽出物又はその加水分解物、ハトムギ加水分解物、ハトムギ種子発酵物、ローヤルゼリー発酵物、酒粕抽出物又はそれに含まれるセラミド、酒粕発酵物、パンダヌス・アマリリフォリウス(Pandanus amaryllifolius Roxb.)抽出物、アルカンジェリシア・フラバ(Arcangelicia flava Merrilli)抽出物、カミツレ抽出物等が上げられる。また、サンゴ草抽出物、ナス(水ナス、長ナス、賀茂ナス、米ナス等)抽出物又はその加水分解物、アンズ果実の抽出物、カタメンキリンサイ等の海藻の抽出物、アマモ等の海産顕花植物の抽出物、豆乳発酵物、クラゲ水、米抽出物又はその加水分解物、米醗酵エキス、発芽米抽出物又はその加水分解物、発芽米発酵物、黒豆抽出物又はその加水分解物、ダマスクバラの花の抽出物、タケノコの皮の抽出物、リノール酸及びその誘導体もしくは加工物(例えばリポソーム化リノール酸など)、動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、エラスチン及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体(ジカリウム塩等)、t−シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸、ゲンチアナ抽出物、甘草抽出物、ニンジン抽出物、アロエ抽出物、ミツイシコンブ抽出物、ヘチマ抽出物、アナアオサ抽出物、モモ抽出物、桃仁抽出物、キウイ抽出物、ヒマワリ抽出物、ジュアゼイロ(Zizyphus joazeiro)抽出物、パウダルコ樹皮抽出物、萱草(デイリリー)抽出物または発酵物、ハゴロモグサ抽出物、チェリモヤ抽出物、マンゴー抽出物、マンゴスチン抽出物、フノリ抽出物、烏龍茶抽出物、紅富貴抽出物、紫蘭抽出物、山椒果皮又は種皮の抽出物または加水分解物、ベニバナ花抽出物、カサブランカ抽出物、甘藷抽出物または発酵物、グレープフルーツ抽出物、グアバ葉抽出物、ドクダミ抽出物、晩白柚抽出物、リンゴ抽出物、イチゴの花抽出物等がある。
次に、製造例、処方例及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
製造例1.抽出物の調製
オタネニンジンの根(予め加熱処理した後、乾燥したもの)の細切物50gに精製水を800g添加し80℃で2時間抽出を行った後濾過し、淡褐色透明のオタネニンジン根の抽出物500gを得た(固形分濃度2.5%)。
製造例2.抽出物の調製
オタネニンジンの根の細切物100gに精製水900gを混合し、80℃で2時間抽出を行った後ろ過し、脱臭、脱色処理を行い、510gの淡黄色透明のオタネニンジン根の抽出物溶液を得た(固形分3.90%)。
製造例3.加水分解物の調製
製造例1の操作により得られた抽出物溶液に対して、パパイン0.2g、グルコアミラーゼ0.2g及びペクチナーゼ0.2gを加えて、オタネニンジン根抽出物の酵素加水分解物溶液を得た(固形分3.98%)。
製造例4.発酵物の調製
オタネニンジンの根の細切物100gに精製水900gを混合し、80℃で2時間抽出を行った後ろ過し、約500gの淡黄色透明の抽出物溶液を得た(固形分濃度3.87%)。ここに得られた抽出物溶液を加熱殺菌した。この抽出物溶液にパパイン0.2g、グルコアミラーゼ0.2g及びペクチナーゼ0.2gを加えた後、乳酸菌(ラクトバシルス ブランタラム)を10個/mL接種し、37℃で18時間静置培養した。培養終了後加熱殺菌し、培養液をろ過して、脱臭、脱色処理を行い、オタネニンジン根抽出物の発酵物溶液310g(固形分濃度3.95%)を得た。
製造例5.発酵物の調製
発酵に用いる菌として乳酸菌に代えて麹菌(アスペルギルス オリゼー)を用いる他は製造例4と同様(但し、培養中の窒素通気なし)にして、オタネニンジン根抽出物の発酵物溶液347g(固形分濃度3.43%)を得た。
製造例6.発酵物の調製
発酵に用いる菌として麹菌に代えて酵母(サッカロミセス セレビシエ)を用いる他は製造例4と同様(但し、培養温度は30℃)にして、オタネニンジン根抽出物の発酵物溶液370g(固形分濃度3.46%)を得た。
製造例7.発酵物の調製
発酵に用いる菌として麹菌に代えて納豆菌(バシルス ナットー)を用いる他は製造例4と同様にして、オタネニンジン根抽出物の発酵物溶液385g(固形分濃度3.70%)を得た。
製造例8.発酵物の調製
発酵に用いる菌として麹菌に代えてテンペ菌(リゾプス ミクロスポラス オリゴスポラス)を用いる他は製造例4と同様にして、オタネニンジン根抽出物の発酵物溶液366g(固形分濃度3.64%)を得た。
製造例9.発酵物の調製
オタネニンジンの根に代えて全草の細切物を用いて抽出物溶液を調製する他は製造例4と同様にしてオタネニンジン全草抽出物の乳酸菌発酵物溶液407g(固形分濃度2.20%)を得た。
製造例10.抽出物の調製
出穂直前(穂ばらみ期)のイネの葉の乾燥粉砕物200gに精製水1000gを加え、80℃で1時間抽出を行った後ろ過し、淡黄色透明のイネの葉抽出物溶液550g(固形分濃度2.5%)を得た。
製造例11.加水分解物の調製
製造例10の操作により得られた抽出物溶液500gに、ペクチナーゼを0.025g添加し、40℃で4時間加水分解した。その後、90℃で1時間加熱して酵素を失活させた後ろ過し、淡黄色透明のイネの葉抽出物の酵素加水分解物溶液450g(固形分濃度2.7%)を得た。なお、後述する試験例1,2の試験に用いる場合は、加水分解物溶液の固形分濃度を0.5%に調製する。
実施例1.化粧水
[A成分] 部
オリーブ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
ブチルパラベン 0.1
[B成分]
製造例1の抽出物 5.0
エタノール 5.0
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃以上に加温後、A成分にB成分を加えて攪拌し、さらにヒスコトロン(5000rpm)で2分間ホモジナイズを行った。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えて攪拌混合し、さらに30℃以下まで冷却して化粧水を得た。
処方例2.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例2の抽出物5.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
処方例3.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例3の加水分解物5.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
処方例4.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例4の発酵物5.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
処方例5.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例5の発酵物5.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
処方例6.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例6の発酵物5.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
処方例7.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例7の発酵物5.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
処方例8.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例8の発酵物5.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
処方例9.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例9の発酵物5.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
処方例10.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例10の抽出物5.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
処方例11.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例11の加水分解物5.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
処方例12.乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
[B成分]
製造例1の抽出物 3.0
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
グリセリン 3.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
1,3−ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合して乳液を得た。
処方例13.乳液
処方例12のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例2の抽出物3.0部を用いるほかは、処方例12と同様にして化粧水を得た。
処方例14.乳液
処方例12のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例4の発酵物3.0部を用いるほかは、処方例12と同様にして化粧水を得た。
処方例15.乳液
処方例12のB成分に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例11の加水分解物3.0部を用いるほかは、処方例12と同様にして化粧水を得た。
処方例16.乳液
処方例12のB成分中、L−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてトラネキサム酸2.0部を用いるほかは処方例12と同様にして乳液を得た。
処方例17.乳液
処方例12のB成分中、L−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてアルブチン3.0部を用いるほかは処方例12と同様にして乳液を得た。
処方例18.乳液
処方例12のB成分中、L−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてニコチン酸アミド3.0部を用いるほかは処方例12と同様にして乳液を得た。
処方例19.乳液
処方例12のB成分中、L−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてカミツレ抽出物5.0部を用いるほかは処方例12と同様にして乳液を得た。
処方例20.乳液
処方例12のB成分中、L−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてソウハクヒ抽出物5.0部を用いるほかは処方例12と同様にして乳液を得た。
処方例21.乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
[B成分]
製造例1の抽出物 5.0
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
グリセリン 3.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
処方例22.ローション
[成分] 部
製造例11の加水分解物 10.0
エタノール 10.0
グリセリン 3.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
香料 適量
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を混合してローションを得た。
処方例23.ローション
処方例22の成分中製造例1の抽出物に代えて製造例4の発酵物10.0部を用いるほかは処方例22と同様にしてローションを得た。
処方例24.エッセンス
[成分] 部
エタノール 2.0
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
ヒアルロン酸 0.1
製造例2の抽出物 5.0
クエン酸 0.3
クエン酸ナトリウム 0.6
精製水 全量が100部となる量
精製水にヒアルロン酸を溶解させた後、残りの原料を順次加えて攪拌溶解させ、透明のエッセンスを得た。
処方例25.エッセンス
処方例24の成分中製造例2の抽出物に代えて製造例4の発酵物5.0を用いるほかは処方例24と同様にしてエッセンスを得た。
実施例26.リキッドファンデーション
[A成分] 部
ステアリン酸 2.4
モノステアリン酸プロピレングリコール 2.0
セトステアリルアルコール 0.2
液状ラノリン 2.0
流動パラフィン 3.0
ミリスチン酸イソプロピル 8.5
プロピルパラベン 0.05
[B成分]
製造例5の発酵物 5.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
ベントナイト 0.5
プロピレングリコール 4.0
トリエタノールアミン 1.1
メチルパラベン 0.1
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
酸化チタン 8.0
タルク 4.0
着色顔料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ加温した後混合攪拌した。これを再加温し、上記のC成分を添加して型に流し込み、室温になるまで攪拌してリキッドファンデーションを得た。
処方例27.プレストパウダー
[A成分] 部
ベンガラ 0.5
黄酸化鉄 1.5
黒酸化鉄 0.1
酸化チタン 10.0
ナイロンパウダー 4.0
セリサイト 全量が100部となる量
マイカ 23.0
タルク 25.0
製造例6の発酵物粉末 1.0
[B成分]
スクワラン 1.0
メチルポリシロキサン 4.0
プロピルパラベン 0.1
デヒドロ酢酸 0.1
流動パラフィン 2.0
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ混合攪拌し混合した後、200メッシュのタイラーメッシュの篩にかけ、得られた混合粉末を金型に打型してプレストパウダーを得た。
処方例28.ボディシャンプー
[A成分] 部
N−ラウロイルメチルアラニンナトリウム 25.0
ヤシ油脂肪酸カリウム液(40%) 26.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0
メチルパラベン 0.1
[B成分]
製造例7の発酵物 5.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加え、攪拌を続けて室温まで冷却してボディシャンプーを得た。
処方例29.ヘアシャンプー
[A成分] 部
N−ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0
ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 10.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
メチルパラベン 0.1
[B成分]
クエン酸 0.1
製造例8の発酵物 2.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加え、攪拌を続けて室温まで冷却してヘアシャンプーを得た。
実施例30.ヘアコンディショナー
[A成分] 部
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 1.0
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 1.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
2−エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
セタノール 3.2
ステアリルアルコール 1.0
メチルパラベン 0.1
[B成分] 部
製造例9の発酵物 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
精製水 全量が100部となる量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加え、攪拌を続けて室温まで冷却してヘアコンディショナーを得た。
処方例31.飲料
[成分] 部
製造例2の抽出物 10.0
コラーゲン 8.0
クエン酸 0.1
甘味料(スクロース) 0.01
酸化防止剤(ビタミンC) 0.01
精製水 全量が100部となる量
処方例32.錠剤
[成分] 部
製造例4の発酵物 20.0
ビタミンC 20.0
脂肪酸エステル 10.0
乳酸カルシウム 20.0
乳糖 30.0
上記重量部の各成分を混合した後、加圧成形し、錠剤とした。
試験例1.表皮細胞の8−ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)生成抑制評価試験
正常ヒト皮膚由来表皮細胞(NHEK)をHuMedia KG2培地(クラボウ社製)を入れた96穴マイクロプレートに1×10個/穴播種し、37℃,5.0%COの条件下に1日間プレ培養した後、製造例1,2の抽出物、製造例4の発酵物、製造例10の抽出物、製造例11の加水分解物を試料溶液として、培地に添加した。ここで、試料溶液は、培地全量に対してそれぞれ溶液としての終濃度が1.0%、2.0%となるように培地に添加した。試料溶液添加後、同条件でさらに2日間培養した。その後、終濃度150μMになるように調整した過酸化水素溶液を追添加してDNAの酸化損傷を誘導した。その後抗体を用いた免疫的検出を行い、酸化損傷によりDNA中に生じる8-OHdG(DNA損傷マーカー)の生成量を評価した。すなわち、PBS(-)を用いた洗浄により過酸化水素を除去した後、15%中性緩衝ホルマリン液を用いて細胞を15分処理して固定、8%BSA溶液で2時間処理によるブロッキングを行った後、8-OHdGモノクローナル抗体を添加し、4℃で一昼夜静置した。その後PBS(-)で洗浄し、蛍光ラベルした二次抗体を添加してさらに暗所で一定時間静置した。そのPBS(-)で後洗浄し、蛍光顕微鏡による観察を行った。定量については、先ず二次抗体の蛍光ラベル(Alexa Fluor488)をEx=485nm、Em=520nmで測定し(蛍光マイクロプレートリーダー(フルオロスキャンアセント、Thermo Fisher Scientific社製))、その後、Hoechst33342によるDNA染色を行い、Ex=355nm、Em=460nmの測定を行った。それぞれの試験区のAlexa Fluor488の蛍光強度をHoechst33342の蛍光強度で割ることで、8-OHdGの生成度合いを求めた。試料溶液に代えてPBS(-)を添加した試料無添加の場合(対照:Control)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られた8-OHdG生成度合いに対する各試料添加時の8-OHdG生成度合いの相対値を求め、8-OHdG生成量(%)とした。また、試験系が正常に機能しているかを確認するために、試料溶液の代わりに陽性対照としてトロロックス(水溶性ビタミンE誘導体)100μMを添加した場合についても、同様の試験を行った。また、上記操作中、過酸化水素を曝露しない区も設定し、同様の試験を行った。
試験例1の結果を表1に示す。
[表1]
表1に示すように、本発明の製造例1,2の抽出物、製造例4の発酵物、製造例10の抽出物、及び製造例11の加水分解物は、濃度依存的に格段にすぐれた表皮細胞における8-OHdGの生成抑制効果を奏することが認められた。これにより、本発明は、格段にすぐれたDNA損傷抑制効果を奏することが確認された。
試験例2.線維芽細胞8-OHdG生成抑制評価試験
正常ヒト皮膚由来線維芽細胞(NB1RGB)を、10%NCS含有イーグル最少必須培地を入れた96穴マイクロプレートに1×10個/穴播種し、37℃,5.0%COの条件下に1日間プレ培養した後、本発明の製造例1,2の抽出物、製造例3の発酵物、製造例10の抽出物、及び製造例11の加水分解物を試料溶液として、培地に添加した。ここで、試料溶液は、培地全量に対してそれぞれ溶液としての終濃度が1.0%、2.0%となるように添加した。試料溶液を培地に添加後、同条件でさらに2日間培養した。その後、終濃度150μMになるように調整した過酸化水素溶液を追添加してDNAの酸化損傷を誘導した。その後抗体を用いた免疫的検出を行い、酸化損傷によりDNA中に生じる8-OHdG(DNA損傷マーカー)の生成量を評価した。すなわち、過酸化水素をPBS(-)洗浄により除去した後、15%中性緩衝ホルマリン液を用いて細胞を15分処理して固定、8%BSA溶液で2時間処理によるブロッキングを行った後、8-OHdGモノクローナル抗体を添加し、4℃で一昼夜静置した。その後PBS(-)洗浄し、蛍光ラベルした二次抗体を添加してさらに暗所で一定時間静置した。そのPBS(-)後洗浄し、蛍光顕微鏡による観察を行った。定量については、先ず二次抗体の蛍光ラベル(Alexa Fluor488)をEx=485nm、Em=520nmで測定し(蛍光マイクロプレートリーダー(フルオロスキャンアセント、Thermo Fisher Scientific社製))、その後、Hoechst33342によるDNA染色を行い、Ex=355nm、Em=460nmの測定を行った。それぞれの試験区のAlexa Fluor488の蛍光強度をHoechst33342の蛍光強度で割ることで、8-OHdGの生成度合いを求めた。試料溶液に代えてPBS(-)を添加した試料無添加の場合(対照:Control)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られた8-OHdG生成度合いに対する各試料添加時の8-OHdG生成度合いの相対値を求め、8-OHdG生成量(%)とした。また、試験系が正常に機能しているかを確認するために、試料溶液の代わりに陽性対照としてトロロックス(水溶性ビタミンE誘導体)100μMを添加した場合についても、同様の試験を行った。また、上記操作中、過酸化水素を曝露しない区も設定し、同様の試験を行った。
試験例2の結果を表2に示す。
[表2]
表2に示すように、本発明の製造例1,2の抽出物、製造例4の発酵物、製造例10の抽出物、及び製造例11の加水分解物は、濃度依存的に格段にすぐれた線維芽細胞における8-OHdGの生成抑制効果を奏することが認められた。これにより、本発明は、格段にすぐれたDNA損傷抑制効果を奏することが確認された。
試験例3.表皮細胞8-OHdG修復促進評価試験
正常ヒト皮膚由来表皮細胞(NHEK)をHuMedia KG2培地(クラボウ社製)を入れた96穴マイクロプレートに1×10個/穴播種し、37℃,5.0%COの条件下に1日間プレ培養した後、終濃度150μMになるように調整した過酸化水素溶液を追添加してDNAの酸化損傷を誘導した。その後、培養培地を試料溶液として本発明の製造例1,2の抽出物、製造例4の発酵物、製造例10の抽出物、及び製造例11の加水分解物を添加して調整したHuMedia KB2培地(クラボウ社製)に交換し、同条件でさらに3日間培養した。ここで、試料溶液は、培地全量に対してそれぞれ溶液としての終濃度が1.0%、2.0%となるように添加した。その後培養上清を分取し、8-OHdG ELISA kit(日本老化制御研究所)を用いて上清中の8-OHdG量を求めた。さらに細胞については抗体を用いた免疫的検出を行い、細胞DNA中の8-OHdGの量を評価した。すなわち、15%中性緩衝ホルマリン液を用いて細胞を15分処理して固定、8%BSA溶液で2時間処理によるブロッキングを行った後、8-OHdGモノクローナル抗体を添加し、4℃で一昼夜静置した。その後PBS(−)洗浄し、蛍光ラベルした二次抗体を添加してさらに暗所で一定時間静置した。その後PBS(−)洗浄し、蛍光顕微鏡による観察を行った。定量については、まず、二次抗体の蛍光ラベル(Alexa Fluor488)をEx=485nm、Em=520nmで測定し(蛍光マイクロプレートリーダー(フルオロスキャンアセント、Thermo Fisher Scientific社製))、その後、Hoechst33342によるDNA染色を行い、Ex=355nm、Em=460nmの測定を行った。それぞれの試験区のAlexa Fluor488の蛍光強度をHoechst33342の蛍光強度で割ることで、8-OHdG量を求めた。また、培養上清中の8-OHdG量に関してもHoechst33342の蛍光強度で割ることでDNAあたりの8-OHdG量を求めた。試料溶液に代えてPBS(-)を添加した試料無添加の場合(対照)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られた8-OHdG量(細胞DNA中及び培養上清中)に対する各試料添加時の8-OHdG量の相対値を求め、それぞれの8-OHdG量(%)とした。また、試料溶液の代わりに陽性対照としてトロロックス(水溶性ビタミンE誘導体)100μMを添加した場合についても、同様の試験を行った。また、上記操作中、過酸化水素を曝露しない区も設定し、同様の試験を行った。
試験例3の結果を表3に示す。
[表3]

表3に示すように、本発明の本発明の製造例1,2の抽出物、製造例4の発酵物、製造例10の抽出物、及び製造例11の加水分解物は濃度依存的に、細胞DNA中の8-OHdG量を低下させ、かつ、培養上清中の8-OHdGは増加させることが確認された。すなわち、本発明の製造例1,2の抽出物、製造例4の発酵物、製造例10の抽出物、及び製造例11の加水分解物は、濃度依存的に格段にすぐれた細胞DNA中の8-OHdGの排出促進効果(DNA損傷修復効果)を有することが確認された。

Claims (4)

  1. ウコギ科トチバニンジン属の植物、又はイネ科イネ属の植物のいずれか1種以上の植物の抽出物又は当該抽出物の加水分解物、或いは当該植物の発酵物を含むDNA損傷抑制剤。
  2. ウコギ科トチバニンジン属の植物、又はイネ科イネ属の植物のいずれか1種以上の植物の抽出物又は当該抽出物の加水分解物、或いは当該植物の発酵物を含むDNA損傷修復剤。
  3. 請求項1に記載のDNA損傷抑制剤を含む皮膚外用組成物。
  4. 請求項2に記載のDNA損傷修復剤を含む皮膚外用組成物。
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