JP2014125429A - Dna損傷抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れたDNA損傷抑制剤及び皮膚又は毛髪におけるDNA損傷を抑制する方法を提供すること。
【解決手段】 ボタン科ボタン属シャクヤクの抽出物を有効成分とするDNA損傷抑制剤を提供する。前記ボタン科ボタン属シャクヤクの抽出物としてシャクヤクの根の抽出物を用いることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、DNA損傷抑制剤に関する。
現在、皮膚や毛髪を産生する細胞のDNA損傷について研究が進められており、このDNA損傷の原因は、細胞内に起因するものと外界に由来するものとに大別されている。
細胞内に起因するものとして、正常な代謝に伴って副生する活性酸素及び細胞内pH変動が挙げられる。また、外界に由来するものとして、紫外線、波長の短い電磁波(X線・γ線等)、化学物質、特に多環芳香族化合物(1−ニトロピレン等)、アスベスト、DNA架橋剤(ソラーレン等)、食物やタバコの煙、汚染大気中等に含まれる変異原性物質等、癌の化学療法、放射線療法等が挙げられる。
このうち、人体の最表面である皮膚を構成する細胞やその付属器官である毛髪を産生する細胞のDNA損傷においては活性酸素、紫外線や電磁波、化学物質への暴露が主な原因と考えられている。これらに曝露された皮膚や毛髪では、DNA分子が直接紫外線や電磁波のエネルギーを吸収することにより、又はDNA以外の光増感分子がエネルギーを吸収した後、そのエネルギーがDNAへ2次的に障害を引き起こすことによりDNA損傷が引き起こされる。このようにして、細胞のDNAに損傷が生じると、アポトーシスの誘導や細胞周期の停止が起き、細胞の正常な分化や増殖が行われなくなる。また、DNAが損傷を受けたが、アポトーシスを誘導するには十分でない場合、損傷を受けた細胞が未修復のDNAを複製し、エラーを生じた遺伝情報が細胞のDNAに残されるため、細胞老化が促進され、細胞の種々の機能が低下することも知られている。また、多環芳香族化合物、アスベスト、DNA架橋剤等の化学物質は、詳細なメカニズムは解明されていないが、DNA二重鎖切断等のDNA損傷を引き起こすことも知られている。
皮膚の細胞に生じたDNA損傷が適切に修復されるのが重要であることは、DNA損傷を修復する機構に異常がある遺伝病の患者の症状からも明らかである。すなわち、紫外線高感受性症候群では日光による皮膚の発赤(日焼け症状)やシミ・ソバカスが多発すること(非特許文献1)、Cokayne症候群は皮膚炎(紅班)や早期老化(しわやたるみ)が特徴的であること、色素性乾皮症では皮膚がんを非常に起こしやすいこと、硫黄欠乏性毛髪発育異常症では皮膚の過角化や細く脆い毛髪が特徴的であること、ウェルナー症候群では白髪や脱毛、皮膚老化等の症状等が報告されている。したがって、DNA損傷が全く修復されないか、不完全にしか修復されない場合には、過度な日焼けやシミ、ソバカス、皮膚炎、光老化、免疫抑制、皮膚良性及び悪性腫瘍等の様々な皮膚傷害や、脱毛や薄毛、白髪等の毛髪障害が生じることがわかる。また、皮膚を構成する表皮細胞や線維芽細胞、色素細胞、ランゲルハンス細胞、脂腺細胞、脂肪細胞、毛乳頭細胞等のDNA損傷が軽微なものであっても、ダメージを受けた細胞の増殖や代謝、恒常性維持等の機能が低下するため、これらの機能に関連した種々の疾患や症状が発生する。
皮膚においてDNA損傷が与える影響は次のようにして生じると考えることができる。
正常な皮膚においては、基底細胞層で分裂した表皮細胞が形態的・機能的に分化、成熟しながら角化を経て角層となり、順次剥がれ落ちていく。この過程は総称して表皮ターンオーバーと呼ばれるが、各段階が厳格に調節されることにより、定常状態として維持されている。したがって、表皮細胞のDNA損傷は、表皮細胞の増殖・分化や接着剥離に変調をきたし、表皮ターンオーバーが乱れ、皮膚バリア機能の低下や肌あれや、過角化の原因となる。
皮膚の色素細胞はメラニンを産生し、紫外線等の外部刺激に応じてその産生が促進されると、シミやそばかすが生じる原因となる。また、表皮細胞から産生されるメラニン産生刺激因子も色素細胞でのメラニン産生を促進する。したがって、色素細胞に生じたDNA損傷は、その色素細胞のメラニン産生制御機構に変調をきたし、シミやそばかすを生じさせやすくなる。また、表皮細胞のDNA損傷もメラニン産生刺激因子の量を増やし、色素異常の原因となる。
皮膚の線維芽細胞は、皮膚の弾力性を担う真皮結合組織の各線維や、柔軟性を担う細胞外基質を産生している。したがって、繊維芽細胞のDNA損傷は、皮膚の弾力性や柔軟性を低下させる。皮膚の弾力性や柔軟性の低下は、しわやたるみ、きめの乱れとなって現れる。
DNA損傷が毛髪に与える影響についても研究が進められている。毛髪とは、頭皮より外に出たケラチンを主成分とする毛幹及び毛根からなる皮膚の付属器官のことをいい、例えば、頭髪や体毛等がこれに含まれる。毛髪には一定の寿命があり、成長、脱毛、新生を繰り返している。これは、ヘアサイクルと呼ばれ、毛髪が成長を続ける成長期、成長を停止して毛球部が萎縮していく退行期、完全に成長が停止し、毛根が退縮した休止期の3期に分類される。休止期の毛包では、将来の毛再生の種子である毛芽が、毛乳頭と相互作用により活発に分裂増殖を行い毛母細胞に分化し、さらに毛母細胞の増殖により次の新しい毛髪が生まれる。近年、毛包の立毛筋の付着部にあるバルジと呼ばれる領域に、毛髪の元となる毛包幹細胞が存在することが明らかとなった。バルジ領域に存在する毛包幹細胞は、毛周期の成長期初期に活性化され、毛母を形成する。そのため、成長期毛の活発に分裂、増殖する毛球部の毛母細胞が障害を受けると成長期が中断され脱毛に至る。これは成長期脱毛と呼ばれる。また、毛球部の毛母細胞が徐々に障害されると、多くの成長期毛が休止期に移行し、脱毛をきたす。これは休止期脱毛と呼ばれる。したがって、毛包幹細胞や毛母細胞のDNAが損傷されると、毛母細胞への分化や増殖に障害を生じてヘアサイクルが乱れ、脱毛や薄毛化が促進される。
ふけは頭皮に認められる白く細かい鱗屑であり、表皮角化細胞が角化の最終段階で脱落する際に細片を生じたものである。角化過程に変化が生じてターンオーバー速度が亢進すると鱗屑が多くなり、目で見える大きさとなり、剥離する量も多くなり目立つようになる。皮脂分泌が亢進して多くの皮脂が分泌されると、ふけは粘稠で湿った状態になり、脂性のふけと呼ばれる。一方、逆に皮脂分泌が少ない場合の乾燥したふけは乾性のふけと呼ばれる。頭皮の角化細胞のDNAが損傷されると正常な角化が行われず、ターンオーバーが乱れる結果、ふけの発生又は増悪の原因となる。
また、近年、細胞のDNA損傷が直接的な原因となって白髪が発生するメカニズムが明らかになっている(非特許文献2)。色素幹細胞はバルジ部に存在し、自己複製をし、子孫細胞(メラノサイト)を供給し続ける。毛包幹細胞と同様、色素幹細胞も成長期初期に活性化し、毛母に移動する。毛母においてメラノサイトがメラニンを産生することによって、毛髪が黒くなる。しかしながら、色素幹細胞がDNA損傷を受けると、自己複製を行った後バルジ部において分化してしまう。分化した色素幹細胞は、バルジ部から排除されてしまい、バルジ部に色素幹細胞は存在しなくなる。その結果、メラノサイトが供給されず白髪になることが明らかになった。すなわち、色素幹細胞のDNA損傷が、色素幹細胞の分化を促すことにより色素幹細胞を枯渇させ、白髪の原因となることが明らかになっている。
従って、DNA損傷を抑制することは、過度な日焼けやシミ、ソバカス、皮膚炎、光老化、免疫抑制、皮膚良性及び悪性腫瘍等の様々な皮膚傷害や、皮膚組織の恒常性維持、又は毛髪組織の恒常性維持、脱毛、薄毛、ふけ、白髪の予防や改善のために非常に重要である。このため様々なDNA損傷抑制物質の探索が行われている。
例えば、特許文献1には、アスパラチンを有効成分として含有する8−ヒドロキシデオオキシグアノシン(8-OHdG)生成抑制剤が開示されている。しかしながら、これはDNAを構成する核酸の一つであるグアノシンが酸化されやすい性質を指標にしているに過ぎず、アスパラチンがより深刻なDNA損傷に対しても抑制作用を有するかは不明である。
ここで、DNA損傷には、酸化修飾や脱アミノ化、チミジン2量体の形成、一本鎖切断、二重鎖切断等の様々な形態がある。これらのなかでも二重らせん構造を構成するDNA二重鎖が同時に切断されるいわゆる二重鎖切断は、修復するための鋳型を持たないことからより深刻な損傷であるといえる。
このように、DNA損傷抑制の中でもDNA二重鎖切断を防止できる又は修復できる化合物がDNA損傷抑制物質として望ましく、このような化合物が求められている。
特開2009-263243号公報 Nature Genetics 44 (593−597) 2012, Mutations in UVSSA cause UV-sensitive syndrome anddestabilize ERCC6 in Transcription-coupled DNA repair」 Cell 137 (1088-1099) 2009, Genotoxic Stress Abrogates Renewal of MelanocyteStem Cells by Triggering Their Differentiation
よって、本発明は、斯かる実状に鑑み、優れたDNA損傷抑制剤を提供することにある。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、天然由来のため安全性が高いと考えられるシャクヤクの抽出物が、DNA二重鎖切断を防止又は修復し、それによってDNA損傷を抑制することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ボタン科ボタン属シャクヤクの抽出物を有効成分とするDNA損傷抑制剤を提供するものである。
本発明は、以下を提供する。
〔1〕ボタン科ボタン属シャクヤク(Paeonia lactiflora)の抽出物を有効成分とする、DNA損傷抑制剤。
〔2〕ボタン科ボタン属シャクヤク(Paeonia lactiflora)の根の抽出物を有効成分とする、〔1〕のDNA損傷抑制剤。
〔3〕DNA損傷がDNA二重鎖の切断であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のDNA損傷抑制剤。
本発明によれば、安全性が良好であるとともに、高いDNA損傷抑制作用を示すDNA損傷抑制剤及びDNA損傷抑制の方法を提供することができる。
抗γH2AX抗体染色画像を示す図である。 γH2AX陽性細胞の割合を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
本発明のDNA損傷抑制剤(以下、「本発明の剤」ということがある。)は、ボタン科ボタン属シャクヤク属植物抽出物を有効成分とする。シャクヤク(芍薬)は、ボタン科の多年草であり、学名はPaeonia lactifloraである。アジア大陸北東部が原産とされ、初夏に紅又は白色などのボタンに似た大型の花が咲く。シャクヤクの根名古くから消炎剤、鎮痛剤、抗菌剤、止血剤、及び抗けいれん剤として広く用いられている。
本発明で「シャクヤク」というときは、特に記載した場合を除き、シャクヤク植物の、植物体全部又はその一部を指す。「その一部」には、器官又はその部分(葉、根、茎枝、花、雄蕊、雌蘂、又はそれらの片)、果実(「実」ということもある)、種子、培養細胞、カルス、プロトプラスト、形質転換植物細胞、形質転換植物体が含まれる。本発明へは、シャクヤクの植物体の全部を用いることができ、またいずれか一又は二以上の器官を用いることができる。高い効果が期待できるとの観点から、本発明には根を用いることが好ましい。
本発明には、シャクヤクの抽出物を用いる。抽出原料としてのシャクヤクは、生のものであってもよく、乾燥物、焙煎物等であってもよい。乾燥させる場合、自然乾燥であってもよく、加温条件下で乾燥してもよく、又は凍結して乾燥してもよい。抽出工程に供する前に、抽出が効率的に行われるように、裁断・粉砕等の前処理を行ってもよい。
本発明に用いるシャクヤクの抽出物は、一般的な方法で調製することができる。例えば、シャクヤクを、溶媒に浸漬することにより調製することができる。抽出溶媒としては特に限定されないが、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等)、多価アルコール類(グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等)、ケトン類(アセトン、メチルケトン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、酢酸エチル等のエステル類;ヘキサン等からなる群より選択される一種又は二種以上を用いることができる。前記アルコール類は、1価アルコール類又は2価アルコール類(例えば、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等のブタンジオール等)が好ましく、アルコール類の炭素数は1〜5程度であるのが好ましい。さらに、前記溶媒として、水、1,3-ブチレングリコール、エタノール、またはこれらの混合溶液がより好ましく、1,3-ブチレングリコールまたは水−1,3-ブチレングリコール混合溶液が特に好ましい。水−1,3-ブチレングリコール混合溶液においては、1,3-ブチレングリコールが30〜90体積%であることが好ましく、50〜80体積%であるのが特に好ましい。
抽出のための条件は、当業者であれば適宜設計することができるが、例えば、原料となるシャクヤクを室温又は加温下で、溶媒中に1時間〜数か月の期間浸漬することによって実施できる。原料となるシャクヤクと溶媒との比は、当業者であれば適宜設計することができるが、例えば、原料となるシャクヤク1質量部に対する溶媒量は、原料が十分に浸漬できる量であればよく、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。溶媒量の上限は、経済的な観点から定めることもでき、原料1質量部に対する溶媒量として、例えば、100質量部以下とすることができ、50質量部以下とすることが好ましく、25質量部以下とすることがより好ましい。抽出温度及び期間もまた、当業者であれば適宜設計でき、室温又は加温下で、溶媒中に1時間〜数か月の期間浸漬することによって実施できる。
本発明で抽出というときは、水蒸気蒸留による蒸留物も含む。水蒸気蒸留法は原料に水蒸気を通気し、水蒸気に伴われて留出してくる香気成分を水蒸気とともに凝縮させる方法であり、加圧水蒸気蒸留、常圧水蒸気蒸留、減圧水蒸気蒸留、気−液多段式交流接触蒸留(スピニングコーンカラム)等があるが、本発明にはいずれでも用いることができる。水蒸気蒸留のための原料の前処理、蒸留時間、温度、気圧等は、当業者であれば、数回の実験結果を参考に経済性等も考慮し、適宜決定できる。
本発明で「抽出物」というときは、特に記載した場合を除き、抽出工程から得られた液そのもの(必要に応じ、固形物を除いてもよい。)であってもよく、該液を、濃縮、乾燥等したものであってもよい。抽出物の形態は、液状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等いずれでもあり得る。固体状又は粉末状にするためには、液状物を、乾燥工程に供し、乾固させて固体状としてもよく、スプレードライにより乾燥させて粉末としてもよい。
本発明で「剤」というときは、特に記載した場合を除き、抽出物自体であることもあり、抽出物に、希釈剤、安定化剤、酸化防止剤、防腐剤等の添加物を添加した、抽出物と添加物とかなるものであることもある。本発明の剤には、既存の皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物は含まれない。
本発明の剤は、シャクヤクの抽出物を、固形分(本明細書の実施例で示した方法で得た乾燥物に相当する量)として、好ましくは0.00001%以上含むことができ、0.0001%以上含むことがより好ましく、0.001%以上含むことがさらに好ましい。なお、本発明で成分含量に関し、%で表すときは、特に記載した場合を除き、質量%(全量100質量g当たりの成分質量の率)である。
本発明はシャクヤク抽出物を、DNA損傷抑制剤の有効成分として用いる。
DNA損傷の原因には、活性酸素、紫外線照射、電磁波照射、化学物質等が考えられ、本発明の剤はいずれの原因によるものに対しても有効でありうるが、特に活性酸素の発生によるもの、又は紫外線照射によるものに対して有効である。
また、DNAの損傷の形式には、塩基の酸化(例えば、8-オキソ-7,8-ジヒドログアニンの生成)、メチル化(例えば、7-メチルグアニンの生成)、加水分解(例えば、プリン塩基やピリミジン塩基の脱離)、塩基の不正対合、脱アミノ化、チミン二量体の形成、鎖の切断、塩基対の架橋、蛋白質との架橋等があるが、DNA損傷のほとんどはDNA二重鎖のうち、一方の鎖(一本鎖)に限局する化学的修飾・切断である。その多くはDNA複製前に速やかに塩基除去修復(BER)、ヌクレオチド除去修復(NER)、ミスマッチ修復(MMR)などの除去修復機構により修復される。DNA二重鎖の切断は、1つでも修復されないまま残ると、チェックポイントを活性化し、細胞死を誘導する。真核生物でのDNA二重鎖切断の修復機構は、相同組換え(HR)と非相同組換え(NHEJ)、単鎖アニーリングの3種類があり、DNA一本鎖の除去修復機構とは異なるものである。
本発明の剤はいずれの形式の損傷に対しても有効でありうるが、特に、DNA二重鎖の切断の抑制に有効である。
ある対象がDNA損傷抑制活性を有するか否か、又はどの程度その活性を有するかは、当業者であれば、公知の手段を用いて確認・測定することができる。抗γH2AX抗体を用いる方法、コメットアッセイ法(シングルセルゲルアッセイ(SCG)法ということもある。)、小核試験法、DNA unwinding法、8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)測定法等により、評価することができる。抗γH2AX抗体を用いる方法は、DNA二重鎖切断が生じた箇所近傍のヒストンH2AXタンパク質のリン酸化を特異的に検出することにより、DNA損傷、特にDNA二重鎖切断を評価する手法である。この方法のための詳細な条件は、本明細書の実施例の項を参照することができる。
DNA損傷の詳細なメカニズムは未だ解明されていないが、上述のとおり、皮膚でのDNA損傷には「活性酸素」及び「紫外線や電磁波」が関与していると考えられている。この「活性酸素」を抑制するために抗酸化剤を使用することがある。しかし、一般的な抗酸化剤はDPPHラジカルスカベンジ反応やESR等化学的手法を用いて評価されたものがほとんどである。
このため、生細胞に添加した場合には「活性酸素」やその他の生体成分との反応生成物が、細胞やDNAを損傷するなど予期せぬ事態を引き起こすこともある(例えば、参考文献1:Biochemical
Pharmacology,66,(2003),1769-1778、参考文献2:Food and Chemical
Toxicology,49,(2011),955-962等参照)。参考文献1及び2には、茶に含まれる強力な抗酸化成分であるカテキンやエピガロカテキンガレードが、生体内に存在する銅(II)イオンや鉄(III)イオンと相互作用し、その反応生成物がDNA損傷を引き起こすことが示されている。
さらに、DNA損傷は生細胞内で起きているという観点で考えた場合、被験物質が化学的な抗酸化作用をどの程度示すかの試験が、生細胞内のDNAの損傷抑制を評価する際に有効な手法とは言い難いものがある。
これに対し、抗γH2AX抗体を用いるDNA損傷抑制試験は、生細胞を用いてDNA二重鎖切断が生じた箇所近傍のヒストンH2AXタンパク質のリン酸化を特異的に検出する手法である。DNA損傷の中でも最も深刻な二重鎖切断の抑制効果を観察及び定量的に判別できることから、より深刻な損傷に対して有効なDNA損傷抑制を評価する際に有効な手法と言える。
本発明の剤は、皮膚又は毛髪において、DNA損傷を抑制するために用いうる。本発明の剤は、DNA損傷抑制による、皮膚におけるしわの処置や老化の処置、毛髪における白髪の処置のためにも有用である。なお、本発明で「処置」というときは、特に記載した場合を除き、予防、改善及び進行を遅らせることを含む。
本発明で「皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物」というときは、特に記載した場合を除き、少なくとも有効成分と他の成分とを含んでおり、皮膚又は毛髪表面へ、内服又は注射以外の方法により外用するのに適した形態の組成物をいう。本発明の皮膚外用組成物又は毛髪用外用組成物は、化粧料組成物(化粧品又は医薬部外品)又は医薬組成物(医薬品)の形態でありうる。
本発明の剤、又は本発明の剤の有効成分であるシャクヤクの抽出物は、皮膚外用組成物、頭髪用外用組成物に添加して用いることができる。本発明の皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物に、上述したような本発明の剤が含有される場合、その含量は、適宜とすることができる。例えば、本明細書の実施例で示した、原料乾燥物100gから約2g得られる抽出物の乾燥物であれば、好ましくは0.00001%以上含むことができ、0.0001%以上含むことがより好ましく、0.001%以上含むことがさらに好ましい。また、いずれの場合であっても、10%以下とすることができ、5%以下とすることが好ましく、1%以下とすることがより好ましい。
本発明の皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物は、本発明の剤の効果を損なわない範囲で、化粧料又は医薬として許容される成分であって、皮膚又は毛髪に対して効果を有する成分を含んでいてもよい。このような成分の例は、美白剤、紫外線防御剤、抗菌剤、抗炎症剤、細胞賦活剤、活性酸素除去剤、保湿剤等がある。
このような成分の例としては、アスタキサンチン;アスコルビン酸又はその誘導体、アルブチン、リノール酸、ビタミンE及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、トラネキサム酸、胎盤抽出物、カミツレ抽出物、カンゾウ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、海藻抽出物、クジン抽出物、ケイケットウ抽出物、ゴカヒ抽出物、コメヌカ抽出物、小麦胚芽抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、糖蜜抽出物、ビャクレン抽出物、ブドウ抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物;パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸ナトリウム、4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、酸化チタン、酸化亜鉛;安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール;イオウ及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、アルテア抽出物、アシタバ抽出物、アルニカ抽出物、インチンコウ抽出物、シャクヤク抽出物、オウバク抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、キンギンカ抽出物、クレソン抽出物、コンフリー抽出物、サルビア抽出物、シコン抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ゲンチアナ抽出物;カフェイン、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物又はそれらの誘導体、ラクトフェリン又はその分解物、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等のムコ多糖類又はそれらの塩、コラーゲン、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、醗酵代謝抽出物、イチョウ抽出物、オオムギ抽出物、センブリ抽出物、タイソウ抽出物、ニンジン抽出物、ローズマリー抽出物、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸;スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、クエルセチン、カテキン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、ボタンピ抽出物、ヤシャジツ抽出物、メリッサ抽出物、羅漢果抽出物、レチノール及びその誘導体、カロチノイド等のビタミンA類、チアミン及びその誘導体、リボフラビン及びその誘導体、ピリドキシン及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体等のビタミンB類、トコフェロール及びその誘導体等のビタミンE類、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール;エラスチン、ケラチン等のタンパク質又はそれらの誘導体、加水分解物並びにそれらの塩、グリシン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、テアニン等のアミノ酸及びそれらの誘導体、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、イノシトール、グルコース、蔗糖及びその誘導体、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ等の糖類、D−パンテノール及びその誘導体、尿素、リン脂質、セラミド、オウレン抽出物、ショウブ抽出物、ジオウ抽出物、センキュウ抽出物、ゼニアオイ抽出物、タチジャコウソウ抽出物、ドクダミ抽出物、ハマメリス抽出物、ボダイジュ抽出物、マロニエ抽出物、マルメロ抽出物等が挙げられる。
また、本発明の皮膚外用組成物、頭髪用外用組成物に添加することのできる他の機能性の成分の例は、皮膚を清浄にする成分、ニキビ、アセモを防ぐ成分、
肌のキメを整える成分、 皮膚をすこやかに保つ成分、肌荒れを防ぐ成分、肌をひきしめる成分、皮膚にうるおいを与える成分、皮膚の水分、油分を補い保つ成分、皮膚の柔軟性を保つ成分、皮膚を保護する成分、皮膚の乾燥を防ぐ成分、肌を柔らげる成分、肌にはりを与える成分、肌にツヤを与える成分、肌を滑らかにする成分、日やけを防ぐ成分、日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ成分、乾燥による小ジワを目立たなくする成分、頭皮・毛髪を清浄にする成分、毛髪、頭皮の不快臭を抑える成分、頭皮、毛髪をすこやかに保つ成分、毛髪にはり・こしを与える成分、頭皮・毛髪にうるおいを与える成分、頭皮・毛髪のうるおいを保つ成分、毛髪をしなやかにする成分、クシどおりをよくする成分、毛髪のつやを保つ成分、毛髪につやを与える成分、フケ・カユミがとれる成分、フケ・カユミを抑える成分、毛髪の水分・油分を補い保つ成分、裂毛・切毛・枝毛を防ぐ成分、髪型を整え、保持する成分、毛髪の帯電を防止する成分である。
本発明の皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の剤以外に、化粧料又は医薬として許容される、種々の添加物を配合することができる。この例は、水(精製水、温泉水、海洋深層水等)、界面活性剤(乳化剤、懸濁化剤、安定剤等)、酸化防止剤、防腐剤、ゲル化剤、アルコール類、皮膜形成剤、着色料、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ビタミン類等がある。
本発明の皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物はまた、その使用目的に応じて、固形剤、半固形剤、液剤等の各種剤形の組成物に調製することができる。より具体的には、本発明の皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物は、スキンケア化粧品として、クレンジング、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、マッサージ製品、パック製品、美容液・ジェル、リップケア製品等;ベースメーク化粧品として、ファンデーション、フェイスパウダー、化粧下地、コンシーラー等;ポイントメーク化粧品として、口紅、リップグロス・ライナー、チーク製品、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ製品等;ボディケア化粧品として石鹸、液体洗浄料、日焼け止めクリーム、入浴剤等;ヘアケア化粧品としてシャンプー、リンス、ヘアトリートメント、整髪料、ヘアトニック、育毛剤、スキャルプトリートメント等とすることができる。また、硬膏剤、軟膏剤、パップ剤、リニメント剤、ローション剤、塗布剤、貼付剤、エアゾール剤(スプレー薬)とすることができる。
本発明の皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物はまた、キット又はコマーシャルパッケージとすることができる。これらの態様は、本発明の皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物以外に、使用方法や上述したような目的の効果・効能が記載されたもの(例えば、箱、容器、ラベル、使用説明書、タグ)を含んでもよい。
本発明はまた、シャクヤクの抽出物を皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物に添加する工程を含む、皮膚におけるDNA損傷の抑制方法、及びシャクヤクの抽出物を用いることを特徴とする、皮膚におけるDNA損傷の抑制方法を提供する。本発明で「シャクヤクの抽出物を皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物に添加する工程」というときは、皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物の商業的な製造において、シャクヤク抽出物を原料として用いることを含む。また本発明で「シャクヤクの抽出物を用いることを特徴とする」というときは、シャクヤクの抽出物を有効成分として含有する皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物を用いることを含む。また、本発明はボタン科ボタン属シャクヤク属植物の抽出物を用いることを特徴とする、皮膚又は毛髪におけるDNA損傷を抑制する工程を含む、美容方法を提供する。この場合において「美容方法」とは、ヒトに対する医療行為を含まない。本発明の方法は、目的の処置のために他人に対して実施する場合を含む。本発明の方法は、医師以外の者、例えば、化粧品又は医薬品の製造者、販売者、メイクアップ・アーティスト、美容スタッフ、又はエステシャン等が行うことができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
<実施例1:シャクヤク抽出物の調製>
ボタン科ボタン属シャクヤク(Paeonia lactiflora)の根100gを細切し、これに50体積%1,3-ブチレングリコール500mLを加えて60℃で4時間抽出した後、20℃に冷却してから濾過した。ろ液を5℃で7日間静置して熟成させた後、濾過した。濾液の溶媒を留去して乾固し、固形分であるシャクヤク抽出物5.1gを得た。
<比較例:ボタンピ抽出物の調製>
ボタン科ボタン属ボタン(Paeonia suffruticosa Andrews)の根100gを細切し、これに50体積%エタノール150mLを加えて室温で5日間抽出を行った。抽出液を濾過後、溶媒を留去して乾固し、固形分であるボタンピ抽出物1.5gを得た。
<試験例1:DNA損傷抑制試験>
ヒトメラノサイト(クラボウ社製)を増殖因子HMGS添加254培地(ライフテクノロジーズ社製)を用いてガラスボトムディッシュに10000個/cm2の濃度で播種した。播種翌日に実施例1のシャクヤク抽出物又は比較例1のボタンピ抽出物を最終濃度5μg/mL又は50μg/mLになるように添加し、37℃5%CO存在下で1週間培養した。その後、HANKS液に交換した後、過酸化水素を最終濃度0.05μM、実施例1のシャクヤク抽出物又は比較例のボタンピ抽出物を最終濃度5μg/mL又は50μg/mLになるように添加し、37℃5%CO存在下1時間培養してDNA損傷を誘導した。またシャクヤク抽出物又はボタンピ抽出物を添加せずに同様のDNA損傷誘導を行った細胞をコントロールとした。
DNA障害を誘導した細胞をPBSで洗浄し4%パラホルムアルデヒド溶液で細胞の固定を行った。さらに0.1%Triron-A100含有PBS溶液で15分処理した後、1次抗体として抗γH2AX抗体(Phospho-Histone H2AX, Cell Signaling社製)を含有するPBS溶液を添加し4℃で12時間反応させた。続いて結合しなかった1次抗体溶液をPBSで洗浄除去し、2次抗体(Alexa Flour 546 Anti-rabbit IgG, Molecular Probes社製)を含有するPBSにて室温で2時間処理した。
PBSで洗浄した後に封入剤(DAPI-Fluoromount-G,
SouthernBiotech社製)で処理し蛍光顕微鏡下で細胞を観察した。染色画像を図1に示す。
細胞の核全体はDAPIにより青色に、γH2AX発現部位は赤色に染色されていた。
シャクヤク抽出物5μg/mL添加下で培養した場合にはDNA損傷マーカーであるγH2AX抗体染色量が減少し、シャクヤク抽出物50μg/mL添加下ではさらにγH2AX抗体染色量が減少していた。シャクヤク抽出物が細胞のDNA損傷を抑制していたことが示されている。一方、ボタンピ抽出物を添加して培養した場合には、γH2AX抗体染色量が増加していた。
また、全細胞数及びγH2AX陽性細胞の数を計測し、全細胞数に対するγH2AX陽性細胞数の割合を図2に示した。
コントロールでは約40%の細胞がγH2AX陽性つまりDNA損傷を生じていたが、シャクヤク抽出物を5μg/mL添加した細胞ではDNA損傷の発生率は約38%、50μg/mL添加では23%に抑制されており、その効果はシャクヤク抽出物の濃度依存的であった。一方、ボタンピ抽出物を添加して培養した場合には、ボタンピ抽出物の濃度依存的にDNA損傷が増加していた。
DNA二重鎖切断が生じた場合は、切断された箇所近傍のヒストンH2AXタンパク質の139番目のセリン残基が速やかにリン酸化されることがわかっている。リン酸化されたH2AXタンパク質はγH2AXタンパク質と呼ばれ、DNA損傷センサータンパク質とも呼ばれている。このγH2AXタンパク質を抗γH2AX抗体で特異的に検出するDNA損傷抑制試験は、DNA損傷の発生やその程度を評価する指標として用いられている。このH2AX抗体を用いるDNA損傷抑制試験は、8−ヒドロキシデオオキシグアノシン(8-OHdG)生成抑制等の抗酸化試験よりもDNA損傷抑制をみるうえで、より深刻な損傷に対して有効なDNA損傷抑制剤を評価する際に有効な手法と言える。また、H2AX抗体を用いるDNA損傷抑制試験は、XPC(Xeroderma pigmentosum C)発現量等のDNA一本鎖に生じた損傷を修復する機構の働きを観察する試験とは異なり、DNA損傷・修復の過程のより上流でDNA損傷を検出することができる点で有効である。この抗γH2AX抗体で特異的に検出するDNA損傷抑制試験によって、本開示のシャクヤク植物抽出物が、DNA損傷抑制、特にDNA二重鎖切断防止又は修復に適していることが確認できた。
以下は、本開示のシャクヤク抽出物又は本開示のDNA損傷抑制剤を含有する皮膚外用組成物又は頭髪用外用組成物の処方例である。なお、各実施例の全量は100質量%である。
[実施例2:化粧水]
(製法)
A.下記成分(1)〜(8)を混合溶解する。
B.下記成分(9)〜(12)を混合溶解する。
C.AにBを加え混合し、化粧水を得た。
(成分) (%)
(1)クエン酸 0.05
(2)クエン酸ナトリウム 0.2
(3)ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%)水溶液 0.5
(4)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(5)グリセリン 3.0
(6)1,3−ブチレングリコール 8.0
(7)精製水 残量
(8)実施例1のシャクヤク抽出物 0.0001
(9)エタノール 10.0
(10)香料 適量
(11)防腐剤 適量
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
[実施例3:乳液(水中油型)]
(製法)
A.下記成分(1)〜(13)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(14)〜(19)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に下記成分(20)を加え混合する。
D.Cを冷却し、下記成分(21)を加え混合し、乳液を得た。
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 1.0
(2)セタノール 0.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 0.5
(4)流動パラフィン 2.0
(5)スクワラン 3.0
(6)ホホバ油 3.0
(7)パルミチン酸セチル 0.2
(8)パルミチン酸レチノール 0.2
(9)酢酸トコフェロール 0.05
(10)防腐剤 適量
(11)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(13)ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
(14)トリエタノールアミン 0.5
(15)1,3−ブチレングリコール 15.0
(16)グリセリン 3.0
(17)ポリエチレングリコール6000 0.5
(18)実施例1のシャクヤク抽出物 0.005
(19)精製水 残量
(20)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 8.0
(21)香料 適量
[実施例4:クリーム]
(製法)
A.下記成分(1)〜(14)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(15)〜(19)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に下記成分(20)を加え混合する。
D.Cを冷却し、下記成分(21)、(22)を加え混合し、クリームを得た。
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2.5
(2)セタノール 2.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)ワセリン 2.0
(5)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 2.0
(6)ミリスチン酸イソトリデシル 5.0
(7)流動パラフィン 8.0
(8)スクワラン 5.0
(9)ミツロウ 1.0
(10)パルミチン酸セチル 2.0
(11)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 1.5
(13)コエンザイムQ10 0.1
(14)防腐剤 適量
(15)トリエタノールアミン 1.2
(16)1,3−ブチレングリコール 8.0
(17)グリセリン 2.0
(18)ポリエチレングリコール20000 0.5
(19)精製水 残量
(20)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 10.0
(21)実施例1のシャクヤク抽出物 0.05
(22)香料 適量
[実施例5:油中水型日焼け止めクリーム]
(製法)
A.下記成分(1)〜(8)を70℃で加熱混合した。
B.下記成分(9)〜(12)及び(14)〜(15)を50℃で加温混合した。
C.AにBを加えて乳化し、冷却後(13)を添加して油中水型日焼け止めクリームを得た。
(成分) (%)
(1)ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン(注1) 2.0
(2)パルミチン酸オクチル 15.0
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
(4)トリベヘン酸グリセリル 1.0
(5)微粒子酸化亜鉛 12.0
(6)微粒子酸化チタン 3.0
(7)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(注2) 7.0
(8)4−tertブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
(注3) 1.0
(9)ジプロピレングリコール 5.0
(10)エタノール 5.0
(11)ポリエチレン末 3.0
(12)防腐剤 適量
(13)香料 適量
(14)実施例1のシャクヤク抽出物
0.0005
(15)精製水 残量
(注1)KF−6017(信越化学工業社製)
(注2)ユビナールMC80(BASF社製)
(注3)PARSOL 1789(L.C.UNITED社製)
[実施例6:パック化粧料]
(製法)
A.下記成分(1)〜(5)及び(15)を70℃で加熱混合し、室温まで冷却する。
B.Aに下記成分(6)〜(14)を添加混合してパック化粧料を得た。
(成分) (%)
(1)ポリビニルアルコール 15.0
(2)グリセリン 10.0
(3)ポリオキシエチレン(10)メチルグルコール 3.0
(4)トリオクタン酸グリセリル 5.0
(5)ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム 1.0
(6)エタノール 20.0
(7)カオリン 2.0
(8)酸化チタン 2.0
(9)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(10)乳酸(50%水溶液) 0.5
(11)乳酸ナトリウム(50%水溶液) 0.5
(12)防腐剤 適量
(13)香料 適量
(14)実施例1のシャクヤク抽出物
0.001
(15)精製水 残量
[実施例7:リキッドファンデーション]
(製法)
A.下記成分(1)〜(7)を70℃で加熱混合し、この混合物に下記成分(13)〜(18)を加えて混合し70℃に保つ。
B.下記成分(8)〜(12)を70℃で加熱混合する。
C.BにAを加えて乳化し、冷却後、下記成分(19)〜(20)を添加してリキッドファンデーションを得た。
(成分) (%)
(1)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 2.0
(2)流動パラフィン 5.0
(3)ステアリン酸 2.0
(4)セタノール 1.0
(5)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 1.0
(6)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 8.0
(7)防腐剤 適量
(8)グリセリン 5.0
(9)トリエタノールアミン 1.0
(10)カルボキシメチルセルロース 0.2
(11)ベントナイト 0.5
(12)精製水 残量
(13)酸化チタン 6.0
(14)微粒子酸化チタン 2.0
(15)微粒子酸化亜鉛 4.0
(16)マイカ 2.0
(17)タルク 4.0
(18)着色顔料 適量
(19)実施例1のシャクヤク抽出物 0.1
(20)香料 適量
[実施例8:軟膏剤]
(製法)
A.成分(1)〜(3)を加熱混合し、75℃に保つ。
B.成分(4)〜(9)を混合し、75℃に保つ。
C.AにBを徐々に加え、軟膏剤を得た。
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 18.0
(2)セタノール 4.0
(3)酢酸dl−α―トコフェロール(注4) 0.2
(4)トリエタノールアミン 2.5
(5)グリセリン 5.0
(6)グリチルリチン酸ジカリウム(注5) 0.5
(7)実施例1のシャクヤク抽出物 1.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)精製水 残量
(注4)エーザイ社製
(注5)和光純薬工業社製
[実施例9:養毛剤]
(製法)
A.成分(1)〜(5)を混合溶解する。
B.成分(6)〜(10)を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、養毛剤を得た。
(成分) (%)
(1)エタノール
50.0
(2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.) 0.5
(3)メントール
0.01
(4)カンファ
0.005
(5)フェノキシエタノール 0.05
(6)精製水 残量
(7)実施例1のシャクヤク抽出物 0.01
(8)オタネニンジン抽出物 注6 0.5
(9)パントテニルアルコール 注7 0.1
(10)グリセリン 5.0
注6 一丸ファルコス社製
注7 関東化学社製
[実施例10:シャンプー]
(製法)
A.成分(1)〜(11)を常温にて均一混合し、シャンプーを得た。
(成分) (%)
1.ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0
2.テトラデセンスルホン酸ナトリウム 5.0
3.ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 5.0
4.ヤシ油脂肪酸時エタノールアミド 4.0
5.塩化ナトリウム 0.5
6.精製水 残量
7.カチオン化セルロース 0.1
8.実施例1のシャクヤク抽出物 0.05
9.エタノール 1.0
10.メチルパラベン 0.1
11.香料 適量
[実施例11:泡沫状ヘアトリートメント]
エアゾール原液処方
(製法)
A:成分1〜15を均一に混合溶解して、エアゾール原液を得た。
B:Aのエアゾール原液と噴射剤(液化石油ガス)の質量比が97:3になるようにエアゾール缶に充填し、泡沫状ヘアトリートメントを得た。
(成分) (%)
1.塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.5
2.アモジメチコン 注8 1.0
3.ジメチルポリシロキサン(10mPa・s) 2.0
4.N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル
・ベヘニル・2−オクチルドデシル) 注9 0.5
5.1,3−ブチレングリコール 5.0
6.実施例1のシャクヤク抽出物 0.2
7.精製水 5.0
8.ポリクオタニウム−51 注10 0.5
9.ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン
注11 0.5
10.ポリクオタニウム−65 注12 0.5
11.ポリクオタニウム−64 注13 0.5
12.ポリクオタニウム−61 注14 0.5
13.香料 0.1
14.メチルパラベン 0.3
15.精製水 残量
注8 SM 8904 COSMETIC EMALSION(東レ・ダウコーニング社製)
注9 エルデュウPS−304(味の素社製)
注10 LIPIDURE−PMB(日油社製)
注11 LIPIDURE−HM−600(日油社製)
注12 LIPIDURE−A(日油社製)
注13 LIPIDURE−C(日油社製)
注14 LIPIDURE−S(日油社製)
以下、本開示のシャクヤク抽出物又は本開示のDNA損傷抑制剤を食品に配合する場合における配合例を示す。
[実施例12:錠剤]
(製法)
A.成分1〜7を均一に混合し、常法に従って錠剤を得た。
(処方) (%)
(1)乳糖 24.0
(2)結晶セルロース 20.0
(3)コーンスターチ 15.0
(4)実施例1のシャクヤク抽出物
0.1
(5)デキストリン 残量
(6)グリセリン脂肪酸エステル 5.0
(7)二酸化ケイ素 1.0
[実施例13:清涼飲料]
(製法)
A.成分1〜5を均一に混合し、常法に従って清涼飲料を得た。
(処方)
(1)果糖ブドウ糖液糖 30.0
(2)乳化剤 0.5
(3)実施例1のシャクヤク抽出物
0.001
(4)香料 適量
(5)精製水 残量
本技術は、以下の構成を取ることも可能である。
〔1〕ボタン科ボタン属シャクヤク(Paeonia lactiflora)の抽出物を有効成分とする、DNA損傷抑制剤。
〔2〕ボタン科ボタン属シャクヤク(Paeonia lactiflora)の根の抽出物を有効成分とする、〔1〕のDNA損傷抑制剤。
〔3〕DNA損傷がDNA二重鎖の切断であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のDNA損傷抑制剤。

Claims (3)

  1. ボタン科ボタン属シャクヤク(Paeonia lactiflora)の抽出物を有効成分とする、DNA損傷抑制剤。
  2. ボタン科ボタン属シャクヤク(Paeonia lactiflora)の根の抽出物を有効成分とする、請求項1のDNA損傷抑制剤。
  3. DNA損傷がDNA二重鎖の切断であることを特徴とする請求項1又は2に記載のDNA損傷抑制剤。

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