JP2014168751A - 排気ガス浄化用触媒及びその製造方法 - Google Patents

排気ガス浄化用触媒及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温域であっても活性化し、排気ガス中の有害物質を高効率で浄化できる触媒性能が高い触媒材を得られるようにする。
【解決手段】排気ガス浄化用触媒1では、基材2上にRhを含むRh含有触媒層4が設けられており、Rh含有触媒層4は、Zrと、Ce以外の希土類金属とからなるZr系複合酸化物5にRh6が担持されてなるRh担持Zr系複合酸化物、及びCeとZrとを含むCeZr系複合酸化物7にRh8が担持されてなるRh担持CeZr系複合酸化物を含み、Rh担持Zr系複合酸化物には予めCOを含む還元雰囲気下で550℃以上800℃以下の熱処理が施され、Rh担持CeZr系複合酸化物には予めCOを含む還元雰囲気下で500℃以上800℃以下の熱処理が施されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、排気ガス浄化用触媒及びその製造方法に関する。
従来より、自動車のエンジンから排出されるHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)及びNO(窒素酸化物)等の有害物質を浄化するために、酸化物からなるサポート材にPt、Pd又はRh等の触媒金属を担持した排気ガス浄化用触媒(三元触媒)が用いられている。
排気ガス浄化用触媒として、例えばPtをCeOに担持した触媒が用いられており、その触媒は、優れた酸素吸蔵放出能を有しており、CO及びHCの酸化浄化能に優れていることが知られている。さらに、この触媒では、水性ガスシフト反応により高効率でHを生成でき、生成したHによりNOの還元浄化を促進できる。
排気ガス浄化用触媒は、所定の温度に達すると活性化して、排気ガス中の上記の有害物質を酸化又は還元することにより無害なガスに浄化することができるが、エンジンが未だ暖まっていない始動初期では、排気ガスの温度が低いので触媒が活性化しない。このため、エンジン始動初期では、排気ガスの有害物質が浄化されずに、大気中に放出されることとなる。このため、従来から低温域でも活性化する排気ガス浄化能が高い触媒が求められている。
特許文献1には、CeOとZrOとを主成分として含む複合酸化物に触媒金属として貴金属が担持され、還元雰囲気において600℃〜1000℃で熱処理が施された触媒材が開示されている。特許文献1の触媒材によると、貴金属がCeOの格子酸素の吸放出の出入り口となり、低温域であっても還元性雰囲気で酸素の放出が可能となり、良好な排気ガスの浄化性能を示す。
特開2003−265958号公報
ところで、このような排気ガス浄化用触媒は、高温の排気ガスに晒されることにより有害物質の浄化性能が低下することがある。これは、サポート材に担持されていた触媒金属が凝集したり、サポート材に固溶して、触媒金属における排気ガスと接触する表面積が低下し、触媒の活性点が減少するからである。その結果、排気ガスの有害物質が十分に浄化されずに、大気中に放出されることとなる。
また、上記触媒金属のうちRhはNOの還元作用や、HC及びCOの部分酸化作用を担うものとして知られているが、Rhが酸化状態であるとNOの還元作用が低下し、一方で完全に還元状態であるとHC及びCOの部分酸化作用が低下する。このように、Rhの性状により触媒性能が変動する。また、触媒性能は、Rhが担持されるサポート材の性状にも影響する。低温域から触媒活性を発揮し、高効率の排気ガス浄化能を得るためには、Rhを最適な触媒性能を発揮できるような性状にし、触媒の活性点を増加し、Rhを触媒性能の向上に適したサポート材に担持することが必要となる。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温域であっても活性化し、排気ガス中の有害物質を高効率で浄化できる触媒性能が高い触媒材を得られるようにすることにある。
本発明者らは、前記の目的を達成するために、さらに実験・研究を進めた結果、Zrと、Ce以外の希土類金属とからなるZr系複合酸化物にRhが担持されたRh担持Zr系複合酸化物、及びCeとZrとを含むCeZr系複合酸化物にRhが担持されたRh担持CeZr系複合酸化物を含む排気ガス浄化用触媒において、それらの複合酸化物に対して予めCO雰囲気下で還元処理を施すことにより、低温域であっても活性化し、排気ガス中の有害物質を高効率で浄化できることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る排気ガス浄化用触媒は、基材上にRhを含むRh含有触媒層が設けられている排気ガス浄化用触媒であって、Rh含有触媒層は、Zrと、Ce以外の希土類金属とからなるZr系複合酸化物にRhが担持されてなるRh担持Zr系複合酸化物、及びCeとZrとを含むCeZr系複合酸化物にRhが担持されてなるRh担持CeZr系複合酸化物を含み、Rh担持Zr系複合酸化物には、予めCOを含む還元雰囲気下で550℃以上800℃以下の熱処理が施され、Rh担持CeZr系複合酸化物には、予めCOを含む還元雰囲気下で500℃以上800℃以下の熱処理が施されていることを特徴とする。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒では、Rh含有触媒層に、Rhがそれぞれ担持されたZr系複合酸化物及びCeZr系複合酸化物が含まれており、Zr系複合酸化物は、酸素イオン伝導性を有するため、酸素イオン伝導によって活性酸素を放出でき、HC及びCOの酸化浄化を促進できる。また、Rh担持Zr系複合酸化物は、スチームリフォーミング反応を促進し、この反応によりHが生成され、NOの還元浄化をも促進できる。一方、CeZr系複合酸化物は、酸素吸蔵放出能を有し、酸素交換反応を起こして活性酸素を多く放出できると考えられており、さらに、Rhは、酸素吸蔵放出及び酸素交換反応の促進に寄与するため、放出した活性酸素によりCO及びHCの酸化浄化を促進できる。その結果、排気ガスの浄化性能を向上できる。
また、Rh担持Zr系複合酸化物には、予めCOを含む雰囲気下で550℃以上800℃以下の熱処理処理が施され、Rh担持CeZr系複合酸化物には、予めCOを含む雰囲気下で550℃以上800℃以下の熱処理処理が施されており、これにより、Zr系複合酸化物及びCeZr系複合酸化物の表面に析出した金属Rhの割合が増大する。Rhはサポート材であるZr系複合酸化物及びCeZr系複合酸化物のそれぞれに担持されているが、触媒材の調製時の熱処理等により、多くのRhはRhの状態でサポート材に結合している、又はサポート材に固溶している。一般に、還元状態のRh粒子は、金属Rhとしてサポート材の表面に析出する。また、Rhは、金属状態で優れた触媒反応に寄与すると考えられている。このため、Rh担持CeZr系複合酸化物が還元処理としてCO雰囲気下で500℃以上800℃以下の熱処理を受けることで、金属RhがCeZr系複合酸化物の表面に散在するようになり、排気ガスに接触するRhの表面積が増大する。このため、触媒の活性点が増加し、低温域においても高い触媒性能を発揮でき、排気ガスを高効率で浄化できる。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒において、Rh含有触媒層は、ZrとCeとを含有するCeZr系複合酸化物にRhが固溶されてなるRhドープCeZr系複合酸化物からなるRhドープバインダ材を含み、Rhドープバインダ材には、予めCOを含む還元雰囲気下で500℃以上800℃以下の熱処理が施されていることが好ましい。
このようにすると、バインダ材として還元処理が施されたRhドープCeZr系複合酸化物が用いられているため、このバインダ材は、触媒材である還元処理が施されたRh担持CeZr系複合酸化物と同様に、活性酸素の放出量を増大できて、CO及びHCの酸化浄化を促進できる。このような性能をもつバインダ材を触媒材と共に用いることで、排気ガスの浄化性能を向上できる。また、一般的に、バインダ材としてはアルミナゾルやジルコニアゾル等が使用されるが、これらは直接的に触媒作用がない。一方、本願発明では、それらのゾルに代えてRhドープCeZr系複合酸化物をバインダ材として用いている。このため、上記Rh担持Zr系複合酸化物、Rh担持CeZr系複合酸化物、及びこれらと同じ程度の粒径を有するRhドープCeZr系複合酸化物をアルミナゾルやジルコニアゾルと共にスラリー化して触媒層を形成した場合と比較して、アルミナゾルやジルコニアゾルを含まない分、熱容量が低減でき、これにより触媒の昇温性能が高まり、ライトオフ性能が向上するというメリットもある。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒において、Rh含有触媒層と前記基材との間には、Pdを含むPd含有触媒層が設けられていることが好ましい。
Pd含有触媒層は、低温酸化能が強い。このため、Rh含有触媒層によって部分酸化されたCOやHCが当該Pd含有触媒層に流入してくると、高効率でCO及びHCの酸化浄化をすることができる。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒の製造方法は、基材上にRhを含むRh含有触媒層が設けられている排気ガス浄化用触媒の製造方法を対象とし、基材の表面上にPdを含むPd含有触媒層を設ける工程と、Zrと、Ce以外の希土類金属とからなるZr系複合酸化物にRhが担持されたRh担持Zr系複合酸化物、ZrとCeとを含むCeZr系複合酸化物にRhが担持されたRh担持CeZr系複合酸化物、及びバインダ材となるCeZr系複合酸化物にRhを固溶してなるRhドープCeZr系複合酸化物をそれぞれ調製する工程と、Rh担持Zr系複合酸化物をCOを含む還元雰囲気下において550℃以上800℃以下で熱処理し、Rh担持CeZr系複合酸化物をCOを含む還元雰囲気下において500℃以上800℃以下で熱処理する工程と、熱処理されたRh担持Zr系複合酸化物及びRh担持CeZr系複合酸化物と、RhドープCeZr系複合酸化物とを混合し、スラリー化してRh含有触媒材を調製する工程と、Rh含有触媒材をPd含有触媒層の表面上に設ける工程とを備えていることを特徴とする。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒の製造方法では、触媒材としてRh担持Zr系複合酸化物及びRh担持CeZr系複合酸化物を用い、これをCOを含む還元雰囲気下において、それぞれ550℃以上800℃以下又は500℃以上800℃以下で還元処理するため、金属Rhを高い分散度でZr系複合酸化物及びCeZr系複合酸化物の表面に散在させることが可能となる。これにより、Rhが排気ガスに接触する表面積が増大する。このため、多くの触媒の活性点を有する排気ガス浄化能が高い排気ガス浄化用触媒を得ることができる。
また、本製造方法では、Rhを担持するサポート材としてZr系複合酸化物及びCeZr系複合酸化物を用いており、上記の通り、Zr系複合酸化物は、酸素イオン伝導性を有するため、酸素イオン伝導によって活性酸素を放出でき、HC及びCOの酸化浄化を促進できる。また、Rh担持Zr系複合酸化物は、スチームリフォーミング反応を促進し、この反応によりHが生成され、NOの還元浄化をも促進できる。また、CeZr系複合酸化物は、上記の通り、酸素吸蔵放出能を有し、酸素交換反応を起こして活性酸素を多く放出できると考えられており、さらに、Rhは、酸素吸蔵放出及び酸素交換反応の促進に寄与するため、放出した活性酸素によりCO及びHCの酸化浄化を促進できる。このため、排気ガスの浄化性能が高い触媒を得ることができる。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒の製造方法において、RhドープCeZr系複合酸化物をCOを含む還元雰囲気下において、500℃以上800℃以下で熱処理する工程をさらに備えていることが好ましい。
このようにすると、バインダ材であるRhドープCeZr系複合酸化物に対して上記の処理条件で還元処理を行うため、このバインダ材は、触媒材である還元処理が施されたRh担持CeZr系複合酸化物と同様に、活性酸素の放出量を増大できて、CO及びHCの酸化浄化を促進できるようになる。バインダ材にこのような性能を付加することで、排気ガスの浄化性能が高い触媒を得ることができる。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒及びその製造方法によると、サポート材の表面に多くの金属Rhを散在させることができ、多くの活性点を有する排気ガスの浄化性能が高い触媒を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化用触媒の触媒層構成を示す断面図である。 還元処理前後における複合酸化物表面のRhの状態を示すモデル図である。 Rh担持CeZrNdOに対する還元処理により生じるRhの性状の変化をX線光電子分光法(XPS)で検討した結果を示すグラフ図である。 (a)及び(b)はRh担持CeZrNdOに対する還元処理によって生じるRhの性状の変化をX線光電子分光法(XPS)で検討した結果を示すグラフ図であり、(a)はCO雰囲気下で還元処理をした場合のグラフ図であり、(b)はH雰囲気下で還元処理をした場合のグラフ図である。 (a)及び(b)はRh含有CeZrNdOに対する還元処理によって生じるRhの性状の変化をX線光電子分光法(XPS)で検討した結果を示すグラフ図であり、(a)は熱処理温度を比較したグラフ図であり、(b)は熱処理時間を比較したグラフ図である。 Rh担持Zr系複合酸化物における還元処理温度とRhのサポート材表面における分散度との関係を示すグラフ図である。 本発明の実施例及び比較例のライトオフ温度(T50)を示すグラフ図である。 本発明の実施例及び比較例の定常浄化性能(C400)を示すグラフ図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでない。
(触媒層の構成について)
まず、本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化用触媒の触媒層構成を図1を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る排気ガス浄化用触媒の触媒層構成を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る排気ガス浄化用触媒1は、自動車のエンジンの排気ガス通路における基材(ハニカム担体)2の排気ガス通路壁に設けられている。具体的に、排気ガス浄化用触媒1は、基材2側に形成されたPd含有触媒層(下層)3と、排ガス通路側に形成されたRh含有触媒層(上層)4を含む。言い換えると、基材2とRh含有触媒層4との間にPd含有触媒層3が形成された構成になっている。
Rh含有触媒層4は、触媒材として、Zrと、Ce以外の希土類金属とからなるZr系複合酸化物5にRh6が担持されたRh担持Zr系複合酸化物、及びZrとCeとを含有するZrCe系複合酸化物7にRh8が担持されたRh担持CeZr系複合酸化物を含む。本実施形態において、Rh担持Zr系複合酸化物及びRh担持CeZr系複合酸化物は、予め還元処理を受けており、この還元処理によりRh担持Zr系複合酸化物及びRh担持CeZr系複合酸化物の触媒性能が向上されている。
具体的にRh担持Zr系複合酸化物を例として説明すると、図2に示すように、Rh担持Zr系複合酸化物が還元処理を受けていない場合、通常、Rhの多くは酸化状態のRh(Rh)6aとしてZr系複合酸化物5に結合している、又はZr系複合酸化物5に固溶している。このとき、酸化状態のRh6aは、Zr系複合酸化物5の表面に拡がるような形態で結合されている、又は固溶してその内部に含まれており、Zr系複合酸化物5から露出するRhの総表面積は小さい。一方、Rh担持Zr系複合酸化物に対して還元処理を行うと、酸化状態のRh(Rh)6a及び固溶化Rhは、酸素が解離して金属化し、この金属Rh6は、Zr系複合酸化物5の表面に析出し、Zr系複合酸化物5の表面の全体に散在する。その結果、Rh6の表面積が増大し、排気ガスとの接触面積が増大するため、活性点が増加し、効率良く排気ガスを浄化することが可能となる。なお、Rh担持CeZr系複合酸化物の場合も同様である。
また、本実施形態において、Rh担持Zr系複合酸化物に対する還元処理は、CO雰囲気下における550℃以上800℃以下の熱処理であり、Rh担持CeZr系複合酸化物に対する還元処理は、CO雰囲気下における500℃以上800℃以下の熱処理である。後に説明するが、この処理条件で還元処理を行うことで、触媒性能を特に向上することが可能となる。
また、Rh含有触媒層4は、さらにアルミナ粒子9を含むことが好ましい。アルミナ粒子9は、排気ガス通路側に位置するRh含有触媒層4の耐熱性の向上に寄与する。なお、このアルミナ粒子9は、希土類元素を含んでいてもよく、例えば、本実施形態では4質量%のLaを含有している。
さらに、Rh含有触媒層4は、バインダとして、ZrとCeとを含むCeZr系複合酸化物にRhが固溶化されてなるRhドープCeZr系複合酸化物からなるRhドープバインダ材10を含む。ここで、Rhドープバインダ材10にもRh担持CeZr系複合酸化物と同様の条件で還元処理が施されていることが好ましい。このようにすると、上記の還元処理を受けたRh担持CeZr系複合酸化物と同様に、Rhドープバインダ材10にも高い排気ガス浄化能を付与することができる。
一方、Pd含有触媒層3は、触媒材として、CeZr系複合酸化物11及びアルミナ粒子12のそれぞれにPd13が担持されたPd担持CeZr系複合酸化物及びPd担持アルミナ粒子を含む。なお、Pd13が担持されていないCeZr系複合酸化物11も含まれている。また、Pd含有触媒層3は、バインダとしてジルコニアバインダ材(Yを3mol%含むY安定化ジルコニア)14を含む。なお、上記Rhドープバインダ材10及びジルコニアバインダ材14は、バインダとしての機能を果たすべく、その粒径が触媒材としての他の複合酸化物よりも小さく形成されている。具体的に、バインダを構成する複合酸化物の粒径はメディアン径で約200nm以下である。
このような排気ガス浄化用触媒1は、以下の方法によって調製することができる。すなわち、上記Pd含有触媒層3を構成する触媒材及びバインダ材をイオン交換水と混合してなるスラリーに基材2を浸漬して取り出す。この基材2の排ガス通路壁表面に付着した余分なスラリーをエアブローで除去する。その後、大気中において、基材2に付着したスラリーの乾燥(150℃)及び焼成(500℃で2時間保持)を行う。これにより、基材2の表面にPd含有触媒層3が形成される。
次に、上記Rh含有触媒層4を構成する触媒材のうち、Rh担持Zr系複合酸化物及びRh担持CeZr系複合酸化物を還元処理する。還元処理は、COを含む還元雰囲気下において、Rh担持Zr系複合酸化物に対して550℃以上800℃以下で熱処理し、Rh担持CeZr系複合酸化物に対して500℃以上800℃以下で熱処理することにより行われ得る。
次に、上記Rh含有触媒層4を構成する触媒材及びバインダ材をイオン交換水と混合してなるスラリーに、Pd含有触媒層3を有する基材2を浸漬して取り出す。そして、上記Pd含有触媒層3の場合と同様に、Pd含有触媒層3に付着した余分なスラリーのエアブローによる除去、大気中でのスラリーの乾燥(150℃)及び焼成(500℃で2時間保持)を行う。これにより、基材2におけるPd含有触媒層3の表面上にRh含有触媒層4が形成される。
(触媒材について)
次に、上記の各触媒材の調製方法について説明する。
Rh含有触媒層4に含まれるRh担持Zr系複合酸化物について、ここでは、ZrLaYOにRhが担持されたものを例として説明する。ZrLaYOは、共沈法を用いて調製できる。具体的に、オキシ硝酸ジルコニウム溶液と硝酸ランタンと硝酸イットリウムとをイオン交換水とを混合した硝酸塩溶液に、28質量%アンモニア水の8倍希釈液を混合して中和することにより共沈物を得る。この共沈物を含む溶液を遠心分離器にかけて上澄み液を除去する(脱水)、そこにさらにイオン交換水を加えて撹拌する(水洗)、という操作を必要回数繰り返す。その後、共沈物を大気中において150℃で一昼夜乾燥し、粉砕した後、大気中において500℃で2時間焼成する。これによりZrLaYOの粉末を得ることができる。また、得られたZrLaYOの粉末に対して、硝酸ロジウム水溶液を用いた蒸発乾固法を行うことによってZrLaYOにRhを担持できる。これによりRh担持Zr系複合酸化物を得ることができる。
次に、Rh含有触媒層4に含まれるRh担持CeZr系複合酸化物について、CeZrNdLaYOにRhが担持されたものを例として説明する。CeZrNdLaYOも共沈法を用いて調製できる。具体的に、硝酸セリウム6水和物、オキシ硝酸ジルコニウム溶液、硝酸ネオジム6水和物、硝酸ランタン、硝酸イットリウム及びイオン交換水を混合してなる硝酸塩溶液に、28質量%アンモニア水の8倍希釈液を混合して中和することにより共沈物を得る。この共沈物を含む溶液を上記と同様に、脱水及び水洗し、乾燥及び焼成する。これにより、CeZrNdLaYOの粉末を得ることができる。また、CeZrNdLaYOの粉末に対して、硝酸ロジウム水溶液を用いた蒸発乾固法を行うことによってCeZrNdLaYOにRhを担持できる。これによりRh担持CeZr系複合酸化物を得ることができる。
次に、Rh含有触媒層4に含まれるバインダ材の調製方法について説明する。ここでは、バインダ材の材料となるRhドープCeZr系複合酸化物としてRhドープCeZrNdYOを用いた場合について説明する。まず、硝酸セリウム6水和物、オキシ硝酸ジルコニウム溶液、硝酸ネオジム6水和物、硝酸イットリウム、硝酸ロジウム及びイオン交換水を混合してなる硝酸塩溶液に、28質量%アンモニア水の8倍希釈液を混合して中和することにより共沈物を得る。この共沈物を含む溶液を上記と同様に、脱水及び水洗し、乾燥及び焼成する。これにより、RhドープCeZrNdYOの粉末を得ることができる。その後、これにイオン交換水を添加してスラリー(固形分25質量%)とし、このスラリーをボールミルに投入して、0.5mmのジルコニアビーズで約3時間粉砕する。これにより、バインダ材として用いられ得る程度に粒径が小さくなったRhドープCeZrNdYOの粉末が溶媒中に分散したゾルが得られる。なお、この操作でRhドープCeZrNdYOの粉末の粒径はメディアン径で200nm以下にできる。この程度の粒径に粉砕されたRhドープCeZrNdLaYOの粉末は、粉砕前の粉末と比べるとその内部に固溶しているRhが表面に露出している割合が多くなり、しかも粉砕操作によってRhドープCeZrNdLaYOの粉末の表面積が大きくなるので、バインダ材でありながら触媒性能を大きく高めることができる。
一方、Pd含有触媒層3にも上記の通りCeZr系複合酸化物が含まれており、上記の方法で生成することができる。また、Pd含有触媒層3におけるCeZr系複合酸化物の一部には、上記の通りPdが担持されている。Pdの担持は、硝酸パラジウム溶液を用いた蒸発乾固法によって行われ、これによりPd担持CeZr系複合酸化物を得ることができる。なお、アルミナ粒子へのPdの担持も硝酸パラジウム溶液を用いた蒸発乾固法によって行われ得る。
(還元処理について)
本実施形態において、上述の通りRh含有触媒層4に含まれるRh担持Zr系複合酸化物及びRh担持CeZr系複合酸化物は、予め還元処理を受けており、還元処理は、還元雰囲気下で熱処理することにより行われる。ここで、触媒性能を向上できる還元処理に最適な処理条件を検討した。まず、還元処理の有無によるCeZr系複合酸化物におけるRhの性状の差違についてX線光電子分光法(XPS)を用いて検討した。その試験について以下に説明する。
まず、CeZr系複合酸化物としてCeZrNdOを調製した。なお、CeZrNdOの構成比率は、CeO:ZrO:Nd=23:67:10(質量比)とした。また、調製したCeZrNdOにRhを担持し、このときのRhの担持量を0.6質量%とした。調製後に4つのサンプルに分け、4つのサンプルのうちの2つに還元処理を施した。還元処理はサンプルに対して1%CO環境下において600℃で60分の熱処理を行った。また、還元処理した2つのサンプルのうち1つと、還元処理を受けていない2つのサンプルのうち1つに対して、エージング処理として、雰囲気ガス熱処理炉において1000℃で24時間(2%O、10%HO、残N)の熱処理を行った。それらのサンプルに対してXPSの測定を行った結果を図3に示す。なお、図3において、還元処理及びエージング処理を受けていないサンプルを「fresh」、還元処理のみ受けたサンプルを「還元直後」、還元処理及びエージング処理を受けたサンプルを「還元直後エージング」、エージング処理のみを受けたサンプルを「還元無しエージング」とそれぞれ示している。また、Rhの性状は、金属Rh、酸化状態のRh(Rh)及びCeZrNdOに固溶したRhに分けられ、それぞれXPSにおいて、標準結合エネルギー(Binding Energy)が、金属Rhでは307.2eV、酸化状態のRhでは308.2eV、固溶したRhでは309.4eVにそれぞれピークが生じる。
図3に示すように、還元処理を行うことにより、金属Rhのピークが大きくなり、CeZrNdOの表面に金属Rhが析出することがわかる。また、還元処理をした後にエージングを行うと、還元処理をせずにエージングしたものと比較して、CeZrNdOの表面における金属Rh量が多いことがわかる。
以上の結果から、還元処理を行うことにより、金属RhをCeZrNdOの表面に存在させることができることが示唆された。
次に、還元処理における還元雰囲気として、COを含む雰囲気とHを含む雰囲気とで差違が生じるかどうか検討した。そのために行った試験を以下に説明する。
まず、上記の試験と同様に、CeZr系複合酸化物としてCeZrNdOを調製した。CeZrNdOの構成比率も上記と同様に、CeO:ZrO:Nd=23:67:10(質量比)とした。また、調製したCeZrNdOにRhを担持し、このときのRhの担持量も、上記と同様に0.6質量%とした。調製したRh担持CeZrNdOに対して、還元処理として、1%CO環境下又は5%H環境下において600℃で60分の熱処理を行った。それぞれの処理後のRh担持CeZrNdOのRhの性状をXPSにより測定し、CO環境下で還元処理した場合と、H環境下で還元処理した場合とを比較した。その結果を図4(a)、(b)に示す。図4(a)はCO雰囲気下で還元処理をした場合を示し、図4(b)はH雰囲気下で還元処理した場合を示す。
図4(a)、(b)に示すように、CO雰囲気下で還元処理を受けたRh担持CeZrNdOと、H雰囲気下で還元処理を受けたRh担持CeZrNdOとを比較すると、CO雰囲気下で還元処理した場合の方が、グラフのピークが金属Rh側にあり、H雰囲気下で還元処理をするよりも、CO雰囲気下で還元処理した方がRhを金属状態でCeZrNdOの表面に析出できることが示唆された。
次に、CO雰囲気下で還元処理を受けたRh担持CeZrNdOとH雰囲気下で還元処理を受けたRh担持CeZrNdOとで排気ガスの浄化能に差違が生じるかどうか検討した。上記と同様の構成比率で調製されたCeZrNdOにRhを担持し、このときのRhの担持量を0.1質量%とした。調製後、3つのサンプルに分け、3つのうち2つのサンプルに対して、互いに異なる還元処理を施した。一方には、還元処理としてサンプルに対して1%CO環境下において600℃で60分の熱処理を行った。他方には、還元処理としてサンプルに対して5%H環境下において600℃で60分の熱処理を行った。還元処理後、それらのサンプルの排気ガス浄化率C400を測定した。C400は、触媒入口でのモデル排気ガス温度が400℃であるときのHC、CO及びNOのそれぞれの浄化率である。
C400の測定は、担体容量約25mL(直径25.4mm、長さ50mm)のコアサンプルをガス流通反応装置に取り付けて行った。モデル排気ガスは、A/F=14.7±0.9とした。すなわち、A/F=14.7のメインストリームガスを定常的に流しつつ、所定量の変動用ガスを1Hzでパルス状に添加することにより、A/Fを±0.9の振幅で強制的に振動させた。空間速度SVは60000h−1、昇温速度は30℃/分である。A/F=14.7、A/F=13.8及びA/F=15.6のときのガス組成を表1に示す。また、C400の測定結果を表2に示す。
Figure 2014168751
Figure 2014168751
表2に示すように、CO雰囲気下で還元処理したサンプルと、H雰囲気下で還元処理したサンプルとを比較すると、CO雰囲気下で還元処理したサンプルの方がHC、CO及びNOの全てにおいてC400が高く、排気ガスの浄化率が高いことがわかる。すなわち、Rh担持CeZr系複合酸化物に対する還元処理は、H雰囲気下よりもCO雰囲気下で行う方が排ガス浄化性能を向上できることが示唆された。
次に、還元処理における最適な熱処理の温度を検討するために、Rhを含有するCeZrNdOを還元処理し、そのときの熱処理温度を300℃、400℃、500℃、600℃、700℃及び800℃として、それらをXPSを用いて比較した。なお、CeZrNdOは上記と同様の構成比率で調製し、CeZrNdOにRhを0.6質量%ドープ又は担持したものを用いた。但し、還元処理はRhをドープしたものに対してのみ行った。また、熱処理時間は10分とした。その結果を図5(a)に示す。
図5(a)に示すように、還元処理における熱処理温度が300℃及び400℃の場合、固溶されたRhが多く見られるが、500℃〜800℃の間では、固溶化Rh及びRhが低減して金属Rhのピークが見られる。すなわち、還元処理における熱処理温度は、500℃以上800℃以下が好ましいことが示唆された。なお、還元処理前において、CeZrNdOにRhをドープした場合と担持した場合とでは、XPSの測定結果に差は見られなかった。
次に、還元処理における必要な熱処理時間を検討するために、上記のCeZrNdOにRhを0.6質量%ドープしたサンプルに対して、還元処理として温度を600℃で固定して、時間を5分〜90分の範囲で変えてXPSの測定結果を比較した。その結果を図5(b)に示す。
図5(b)に示すように、最短の5分であっても金属Rhのピークが見られ、600℃においては、5分で十分であることが示唆された。
以上の試験結果から、Rhを含有するCeZr系複合酸化物に対する還元処理は、CO雰囲気下における500℃以上800℃以下の熱処理とすることが好ましく、この条件による還元処理をRh担持CeZr系複合酸化物又はRhドープバインダ材に行うことで触媒性能を特に向上できることが示唆された。
次に、Rh含有触媒層4に含まれるRh担持Zr系複合酸化物についても検討した。ここでは、Rh担持Zr系複合酸化物の触媒性能を向上できる還元処理に最適な熱処理温度を明らかにするために、サポート材である複合酸化物の表面の金属Rhの分散度と熱処理温度との関係を検討した。そのために行った試験について以下に説明する。
まず、上記のようにRh担持Zr系複合酸化物(ZrLaYO)を調製した。なお、ZrLaYOの構成比率は、ZrO:La:Y=84:6:10(質量比)とし、Rh担持Zr系複合酸化物におけるRhの担持量は0.33質量%とした。このRh担持Zr系複合酸化物に対してCOパルス吸着法を行うことで、Zr系複合酸化物の表面におけるRhの分散度を測定した。
COパルスをかける前に、Rh担持Zr系複合酸化物中の有機物及び水分を除去するために、酸素雰囲気下で室温から300℃にまで10分かけて温度を上げ、300℃に達した後、300℃で5分間維持した。その後、300℃から下記の表3に記載のそれぞれの還元処理温度にまで温度を上げた。このとき、還元処理温度に達するまで触媒表面の状態を維持するために酸素の供給を止め、真空状態にした。還元処理温度に達した後、100%COの雰囲気にし、その温度で10分間維持した。還元処理終了後、真空状態のもと室温まで温度を下げ、その後、30回のCOパルスを行った。COパルスは、1回のパルス毎に、バルブを0.5msec開放して、9.38×10−7molのCOを放出させた。各還元処理温度におけるRhの分散度及びCO吸着量を以下の表3及び図6に示す。
Figure 2014168751
ここで、Rhの分散度は、サンプル仕込量から理論値として算出された担持したRh量に対する、COの吸着量から導出された複合酸化物表面の金属Rh量の割合を分散度として求めた。
表3及び図6に示すように、300℃以上500℃以下の還元処理温度では、Rhの分散度は小さいが、550℃以上800℃以下にすると、分散度は急激に増大した。すなわち、550℃以上800℃以下で還元処理をすると、複合酸化物の表面上に金属Rhが高い分散度で散在するようになり、その金属Rhの表面積が増大するため、Rhと排気ガスとの接触面積が増大する。すなわち、550℃以上800℃以下で還元処理することにより、触媒の活性点を増加することができ、触媒性能を向上できる。また、表1及び図3に示す結果から、還元処理のための熱処理温度は、好ましくは550℃以上700℃以下であり、さらに好ましくは600℃以上700℃以下である。
以上の試験結果から、Rh担持Zr系複合酸化物に対する還元処理は、CO雰囲気下における550℃以上800℃以下の熱処理とすることが好ましく、この条件による還元処理をRh担持Zr系複合酸化物に行うことで触媒性能を特に向上できることが示唆された。
以下に、本発明に係る排気ガス浄化用触媒を詳細に説明するための実施例を示す。
本発明に係る実施例1及び実施例2と比較例とは、いずれも上述のRh含有触媒層及びPd含有触媒層からなる。具体的に、Rh含有触媒層を、上記のRh担持ZrLaYOとRh担持CeZrNdLaYOとZrLa含有アルミナと、Rhドープバインダ材(RhドープCeZrNdYO)とから構成した。これらの構成比率は、21.1:63.3:7.0:8.6(質量比)とした。なお、ZrLaYOの構成比率はZrO:La:Y=84:6:10(質量比)とし、これに、硝酸ロジウムを用いて蒸発乾固法でRhを0.009g/L担持した。また、CeZrNdLaYOの構成比率はCeO:ZrO:Nd:La:Y=10:75:5:5:5(質量比)とし、これに硝酸ロジウムを用いて蒸発乾固法でRhを0.045g/L担持した。バインダ材のCeZrNdYOの構成比率はCeO:ZrO:Nd:Y=10:80:5:5(質量比)とし、Rhの含有量は0.05質量%とした。
一方、Pd含有触媒層を、Pd担持CeZrNdLaYO及びPd非担持CeZrNdLaYOとPd担持La含有アルミナと、ジルコニアバインダとから構成した。なお、これらの構成比率は、31.3:17.8:41.0:9.9(質量比)とした。また、Pd含有触媒層におけるCeZrNdLaYOの構成比率はCeO:ZrO:Nd:La:Y=23:62:3:2:10(質量比)とし、これに硝酸パラジウムを用いて蒸発乾固法でPdを0.04g/L担持した。アルミナには、硝酸パラジウムを用いて蒸発乾固法でPdを0.2g/L担持した。
実施例1ではRh担持ZrLaYO及びRh担持CeZrNdLaYOに対して還元処理を施しており、実施例2ではRh担持ZrLaYO、Rh担持CeZrNdLaYO及びRhドープバインダ材であるRhドープCeZrNdLaYOに対して還元処理を施した。一方、比較例では還元処理を行っておらず、この点が実施例と比較例とで異なる。具体的に、還元処理は、処理対象に対して1%CO環境下において600℃で60分の熱処理をして還元処理を行った。
各実施例及び比較例の排気ガス浄化用触媒を調製した後に、これらに対して排気ガス浄化性能試験を行った。排気ガス浄化性能試験の試験方法を以下に説明する。
まず、実施例及び比較例の触媒を、エージング処理として、雰囲気ガス熱処理炉において1000℃で24時間(2%O、10%HO、残N)の熱処理を行った。
その後、担体容量約25mL(直径25.4mm、長さ50mm)のコアサンプルをガス流通反応装置に取り付け、HC、CO及びNOの浄化に関する各ライトオフ温度T50(℃)及び排気ガス浄化率C400を測定した。T50(℃)は、触媒に流入するモデル排気ガスの温度を常温から漸次上昇させていき、その触媒から流出するガスのHC、CO及びNOの濃度変化を検出し、それらの成分のそれぞれの浄化率が50%に達したときの触媒入口ガス温度である。C400は、触媒入口でのモデル排気ガス温度が400℃であるときのHC、CO及びNOのそれぞれの浄化率である。
モデル排気ガスは、A/F=14.7±0.9とした。すなわち、A/F=14.7のメインストリームガスを定常的に流しつつ、所定量の変動用ガスを1Hzでパルス状に添加することにより、A/Fを±0.9の振幅で強制的に振動させた。空間速度SVは60000h−1、昇温速度は30℃/分である。A/F=14.7、A/F=13.8及びA/F=15.6のときのガス組成は、上記表1に示した通りである。
上記の排気ガス浄化性能試験の結果について図7及び図8を参照しながら説明する。図7は実施例及び比較例の触媒のT50(℃)の結果を示すグラフ図であり、図8は実施例及び比較例の触媒のC400の結果を示すグラフ図である。
各実施例と比較例とのT50を比較すると、図7に示すように、実施例1及び2の触媒の方が低温でHC、CO及びNOを浄化できることがわかる。これは、Rh担持ZrLaYO及びRh担持CeZrNdLaYOの還元処理により、CeZrNdYOの表面にRhが金属状態で表面に析出した状態となり、表面積が増大するため排気ガスとの接触面積が増大し、その結果、浄化効率を向上できるためである。また、実施例1と実施例2とを比較すると、実施例2の方がより低温でHC、CO及びNOを浄化できることがわかる。これは、実施例2では触媒材だけでなくRhドープバインダ材であるRhドープCeZrNdLaYOに対しても還元処理が施されているので、バインダ材においても金属Rhが酸化物の表面に析出して、排気ガスの浄化に寄与するためと考えられる。
また、各実施例と比較例とのC400を比較すると、図8に示すように、実施例の触媒の方がHC、CO及びNOの浄化率が高いことがわかる。これは、上記の理由と同様に、Rh担持ZrLaYO及びRh担持CeZrNdLaYOの還元処理により、触媒性能が向上したためである。また、C400において、実施例1と実施例2とでは大きな差違は認められなかった。
以上から、還元処理したRh担持ZrLaYO及びRh担持CeZrNdLaYOを触媒材として用いることにより、触媒材の排気ガスの浄化性能を向上できることが示唆された。
1 排気ガス浄化用触媒
2 基材(ハニカム担体)
3 Pd含有触媒層
4 Rh含有触媒層
5 CeZr系複合酸化物
6 (還元処理された)ロジウム(Rh)
6a (酸化状態の)ロジウム(Rh)
7 Zr系複合酸化物
8 (還元処理された)ロジウム(Rh)
9 アルミナ粒子
10 Rhドープバインダ材
11 CeZr系複合酸化物
12 アルミナ粒子
13 パラジウム(Pd)
14 ジルコニアバインダ材

Claims (5)

  1. 基材上にRhを含むRh含有触媒層が設けられている排気ガス浄化用触媒の製造方法であって、
    前記基材の表面上にPdを含むPd含有触媒層を設ける工程と、
    Zrと、Ce以外の希土類金属とからなるZr系複合酸化物にRhが担持されたRh担持Zr系複合酸化物、ZrとCeとを含むCeZr系複合酸化物にRhが担持されたRh担持CeZr系複合酸化物、及びバインダ材となるCeZr系複合酸化物にRhを固溶してなるRhドープCeZr系複合酸化物をそれぞれ調製する工程と、
    前記Rh担持Zr系複合酸化物をCOを含む還元雰囲気下において550℃以上800℃以下で熱処理し、Rh担持CeZr系複合酸化物をCOを含む還元雰囲気下において500℃以上800℃以下で熱処理する工程と、
    前記熱処理されたRh担持Zr系複合酸化物及びRh担持CeZr系複合酸化物と、前記RhドープCeZr系複合酸化物とを混合し、スラリー化してRh含有触媒材を調製する工程と、
    前記Rh含有触媒材を前記Pd含有触媒層の表面上に設ける工程とを備えていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。
  2. 前記RhドープCeZr系複合酸化物をCOを含む還元雰囲気下において、500℃以上800℃以下で熱処理する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
  3. 基材上にRhを含むRh含有触媒層が設けられている排気ガス浄化用触媒であって、
    前記Rh含有触媒層は、Zrと、Ce以外の希土類金属とからなるZr系複合酸化物にRhが担持されてなるRh担持Zr系複合酸化物、及びCeとZrとを含むCeZr系複合酸化物にRhが担持されてなるRh担持CeZr系複合酸化物を含み、
    前記Rh担持Zr系複合酸化物には、予めCOを含む還元雰囲気下で550℃以上800℃以下の熱処理が施され、Rh担持CeZr系複合酸化物には、予めCOを含む還元雰囲気下で500℃以上800℃以下の熱処理が施されていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  4. 前記Rh含有触媒層は、ZrとCeとを含有するCeZr系複合酸化物にRhが固溶されてなるRhドープCeZr系複合酸化物からなるRhドープバインダ材を含み、
    前記Rhドープバインダ材には、予めCOを含む還元雰囲気下で500℃以上800℃以下の熱処理が施されていることを特徴とする請求項3に記載の排気ガス浄化用触媒。
  5. 前記Rh含有触媒層と前記基材との間には、Pdを含むPd含有触媒層が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の排気ガス浄化用触媒。
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