JP6288113B2 - パティキュレートフィルタ - Google Patents

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本発明は、排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタの排気ガス通路壁にパティキュレートを燃焼させるための触媒が設けられたパティキュレートフィルタに関する。
ディーゼルエンジン等の希薄燃焼エンジンを搭載した自動車の排気ガス通路には、排気ガス中のパティキュレート(炭素質微粒子等のParticulate matter,以下、「PM」という。)を捕集するフィルタが設けられている。フィルタのPM堆積量が多くなると、エンジンの排気下流の圧力損失が大きくなり、その結果、燃費の悪化を招く。そのため、フィルタのPM堆積量が所定値になった時点で、エンジンの燃料噴射制御(燃料増量や後噴射等)によって、フィルタに到達する排気ガスの温度を高め、PMを燃焼させてフィルタから除去するようになされている。しかし、そのための燃料噴射制御は燃料消費量の増大を招くため、PMができるだけ低い温度で燃焼するように、フィルタにPM燃焼触媒が担持されている。
例えば、特許文献1には、排気ガス中のPMを捕集するフィルタの排気ガス通路壁に、Zr系複合酸化物に触媒金属としての貴金属を担持してなる触媒成分を含有する触媒を担持することが記載されている。そのZr系複合酸化物は、Zr及びNdを必須成分として含有し、更にCe及びNd以外の希土類金属Rを含有したものであり、Nd/(ZrO+Nd+RO)比が3mol%以上とされ、(Nd+RO)/(ZrO+Nd+RO)比が33mol%以下とされている。上記希土類金属Rとしては、Y、Yb、Sc、La、Pr及びSmがあげられ、PM燃焼に有効なZr系複合酸化物として、ZrNdPr複合酸化物、ZrNdPrLa複合酸化物等が例示されている。
特開2008−221204号公報
特許文献1のZr系複合酸化物は、酸素イオン伝導性を有し、比較的低い温度でも活性酸素を放出することから、PMの燃焼促進に一定の効果を示すが、PM燃焼触媒にあっては、PM燃焼活性のさらなる向上が求められている。
すなわち、本発明は、Zr系複合酸化物を用いた触媒のPM燃焼性能の向上を図ることを課題とする。
Zr系複合酸化物が酸素イオン伝導性を示すのは、4価のZrイオンを有するZrO結晶に対して2価又は3価の金属イオンが固溶することにより、結晶中に酸素空孔を生ずるためである。その酸素空孔を介して酸素イオン伝導を生ずるものである。この場合、大きなイオン半径を有する2価又は3価の金属イオンの固溶によってZr系複合酸化物の結晶格子が大きくなることで、酸素イオンの通り道が広がり、イオン伝導性が高くなると考えられる。
しかし、本発明者の研究によれば、固溶する金属イオンのイオン半径が大きくなり過ぎると、かえって、PM燃焼性が低下するという結果が得られた。これは、イオン半径の大きな金属イオンの固溶による結晶格子の過大な歪みが酸素イオンの伝導を阻害しているためと推察される。
そうして、特許文献1のZr系複合酸化物の場合、Ndを必須成分として含有するところ、このNdはZrと比較してイオン半径が大きい。このNdが当該結晶内部での酸素イオンの伝導を阻害し、PM燃焼の促進効果の向上に限界を来していると考えられる。
一方、特許文献1には、希土類金属RとしてPrを採用すると、PM燃焼性能が高くなることが示されている。Prもイオン半径が大きな元素であるが、本発明者のこれまでの研究によれば、Ndとは違って、複合酸化物の酸素交換反応性(雰囲気中の酸素を複合酸化物内部に取り込みながら、その一方で複合酸化物内部から格子酸素を放出する反応)を高める効果が際立っている。この酸素交換反応によって放出される酸素は活性が高く、PMの燃焼促進に有効であるため、複合酸化物の酸素交換反応性はPM燃焼触媒の重要な特性である。
そこで、本発明では、PM燃焼触媒を構成するZr系複合酸化物について、特許文献1において必須元素とされているNdをイオン半径が小さいYに置換し、Prの固溶によるPM燃焼性能の向上効果をさらに高めるようにした。
すなわち、本発明に係るパティキュレートフィルタは、排気ガス中のPMを捕集するフィルタの排気ガス通路壁にPMを燃焼させるための触媒が設けられたものであり、
上記触媒は、ZrOを主成分とするZr系複合酸化物に触媒金属を担持してなる触媒成分を含有し、
上記Zr系複合酸化物は、上記ZrOに金属元素としてYとPrのみが固溶したZrYPr複合酸化物であり、Zr、Y及びPrを酸化物に換算したときの、(Y+Pr)/(Y+Pr+ZrO)比が24モル%以上30モル%以下であり、 /(Y +Pr +ZrO )比が2モル%以上であり、Pr/(Y+Pr+ZrO)比が22モル%以上であることを特徴とする。
ここに、「固溶」とはZrO結晶の一部のZrサイトに別の金属原子が置換して配置されることを意味する。ZrOに固溶させるNdよりもイオン半径が小さい金属元素としては、Sc、Yb等も考えられるが、本発明では、Yを選択して固溶させている。金属元素の固溶によって結晶格子にある程度の歪みを生ずることも酸素イオン伝導性が高くなる重要な要素であるところ、ScやYbではその固溶によって得られる格子歪みが小さい。そこで、本発明では、酸素イオン伝導に適した格子歪みを生ずるように、固溶元素としてYを採用し、Zr系複合酸化物の酸素イオン伝導性を高めている。
このYの固溶による酸素イオン伝導性の向上と、Prの固溶による酸素交換反応性の向上とが相俟って、優れたPM燃焼性能が得られる。
この点を説明すると、酸素交換反応は、上述の如く、Zr系複合酸化物の格子酸素が放出される現象であるから、格子酸素の動き易さが重要な意味をもつ。この格子酸素の動き易さをYの固溶による酸素イオン伝導性の向上によって得ているということである。つまり、PMを燃焼すべくZr系複合酸化物から酸素交換反応によって触媒活性点に格子酸素が放出されると、その活性点まわりの酸素イオン濃度が低下する。これに対して、本発明に係るZr系複合酸化物は、Yの固溶によって高い酸素イオン伝導性を有するから、低酸素イオン濃度となった箇所にそのまわりから酸素イオンが直ちに供給される。そのため、PMの燃焼が継続されることになる。
そうして、(Y+Pr)/(Y+Pr+ZrO)比が24モル%以上30モル%以下であり、 /(Y +Pr +ZrO )比が2モル%以上であり、Pr/(Y+Pr+ZrO)比が22モル%以上であるから、Yの固溶による酸素イオン伝導性の向上と、Prの固溶による酸素交換反応性の向上が両立し、よって、本発明によれば、優れたPM燃焼性能が得られる。
好ましい実施形態では、上記ZrYPr複合酸化物は、大気雰囲気中で800℃の温度に24時間保持するエージングを行なった後、Heガスを流しながら当該複合酸化物を580℃まで昇温させ、同温度でHeガスから3.5%18含有Heガス(流量;100cc/分)に切り換え、この切り換えから10分間に酸素交換反応によって当該複合酸化物から放出された酸素量が22mmol/g以上である。
触媒金属としては、Pt、Pd等の貴金属を採用することが好ましい。
本発明によれば、PMを捕集するフィルタの排気ガス通路壁に設けた触媒がZr系複合酸化物に触媒金属を担持してなる触媒成分を含有し、そのZr系複合酸化物はZrOに金属元素としてYとPrのみが固溶したZrYPr複合酸化物であり、(Y+Pr)/(Y+Pr+ZrO)比が24モル%以上30モル%以下であり、 /(Y +Pr +ZrO )比が2モル%以上であり、Pr/(Y+Pr+ZrO)比が22モル%以上であるから、Yの固溶による酸素イオン伝導性の向上と、Prの固溶による酸素交換反応性の向上とが相俟って、優れたPM燃焼性能が得られる。
パティキュレートフィルタをエンジンの排気ガス通路に配置した状態を示す図。 同フィルタを模式的に示す正面図。 同フィルタを模式的に示す縦断面図。 同フィルタの排気ガス通路壁を模式的に示す拡大断面図。 触媒の構成を模式的に示す断面図。 Zr系複合酸化物の格子定数とDTAピークトップ温度の関係を示すグラフ図。 Zr系複合酸化物のPr含有率とカーボン燃焼速度の関係を示すグラフ図。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
<パティキュレートフィルタの構造>
図1に示すように、触媒付パティキュレートフィルタ(以下、単に「触媒付フィルタ」という。)10は、ディーゼルエンジン等の排気ガス通路11に配置され、排気ガス中のPMを捕集する。触媒付フィルタ10よりも排気ガス流の上流側の排気ガス通路11には、酸化物等からなるサポート材にPt、Pd等に代表される触媒金属を担持した酸化触媒(図示省略)を配置することができる。このような酸化触媒を触媒付フィルタ10の上流側に配置するときは、該酸化触媒によって排気ガス中のHC、COを酸化させ、その酸化燃焼熱で触媒付フィルタ10に流入する排気ガス温度を高めて触媒付フィルタ10を加熱することができ、PMの燃焼除去に有利になる。また、排気ガス中のNOが酸化触媒でNOに酸化され、該NOが触媒付フィルタ10にPMを燃焼させる酸化剤として供給されることになる。
図2及び図3に模式的に示すように、触媒付フィルタ10は、ハニカム構造をなしており、互いに平行に延びる多数の排気ガス通路12、13を備えている。すなわち、触媒付フィルタ10は、下流端が栓14により閉塞された排気ガス流入路12と、上流端が栓14により閉塞された排気ガス流出路13とが交互に設けられ、排気ガス流入路12と排気ガス流出路13とは薄肉の隔壁(排気ガス通路壁)15を介して隔てられている。図2においてハッチングを付した部分は排気ガス流出路13の上流端の栓14を示している。
触媒付フィルタ10は、隔壁15を含むフィルタ本体がコージェライト、SiC、Si、サイアロン、AlTiOのような無機多孔質材料から形成されている。排気ガス流入路12内に流入した排気ガスは図3において矢印で示したように周囲の隔壁15を通って隣接する排気ガス流出路13内に流出する。すなわち、図4に示すように、隔壁15は排気ガス流入路12と排気ガス流出路13とを連通する微小な細孔(排気ガス通路)16を有し、この細孔16を排気ガスが通る。PMは主に排気ガス流入路12及び細孔16の壁部に捕捉され堆積する。
上記フィルタ本体の排気ガス通路(排気ガス流入路12、排気ガス流出路13及び細孔16)を形成する壁面には触媒20が担持されている。なお、排気ガス流出路13側の壁面に触媒を担持することは必ずしも要しない。
<触媒について>
次に触媒20の構成について説明する。
図5に模式的に示すように、本実施形態の触媒20は、複数種の活性アルミナ21,22と活性酸素を放出するZr系複合酸化物23とCeZr系複合酸化物24を含む。これらサポート材21〜23には触媒金属としてPt25が担持されている。活性アルミナ21はLaを4質量%含有するLa含有アルミナである。図5では「La−アルミナ」と表示している。活性アルミナ22はLa等の添加物を含まない純γーアルミナである。Zr系複合酸化物23は、ZrOに金属元素としてYとPrのみが固溶したZrYPr複合酸化物である。図5では「ZYP」と表示している。CeZr系複合酸化物24は、CeZrNd複合酸化物にRhが固溶したRhドープCeZrNd複合酸化物である。図5では「Rh−CZN」と表示している。
触媒20は、Pt25を担持したアルミナ21,22を含むため、排気ガス中のNOをPMの酸化剤となるNOに高効率で転換することができる。これにより、PMの燃焼性が良好になる。ZrYPr複合酸化物23は、優れた酸素交換反応性を有するとともに、酸素イオン伝導性が高く、そのため、PM燃焼に有効に働く活性酸素を多量に放出することができる。RhドープCeZrNd複合酸化物24は、高い酸素吸蔵放出能を有し、PM燃焼に有効に働く活性が高い酸素を放出する。
活性アルミナとして、La含有アルミナ21とこれよりも嵩が低い純γーアルミナ22を併用しているため、触媒20を隔壁15に担持したとき層厚になることを抑えることができ、フィルタの目詰まりの発生防止に有利になる。
ZrYPr複合酸化物23は、平均細孔径が20nm以上60nm以下のものを用いることが好ましい。パティキュレートフィルタにおいては、触媒重量当たりの排気ガス空間速度が非常に大きくなるが、細孔径が比較的大きいZr系複合酸化物23を用いると、排気ガスが細孔内部に入るため、排気ガスとZr系複合酸化物23の接触性が向上し、活性酸素を効率良く放出することができる。その結果、PMの燃焼促進に有利になる。
<触媒の調製>
La含有アルミナ21及び純アルミナ22はそれぞれ市販されている粉末を用いることができる。
ZrYPr複合酸化物23は例えば次の方法で調整することができる。オキシ硝酸ジルコニル溶液と硝酸イットリウムと硝酸プラセオジウムとをイオン交換水に溶かす。この硝酸塩溶液に28質量%アンモニア水の8倍希釈液を混合して中和することにより、ZrYPr複合酸化物の前駆体(共沈体)を得る。この共沈物を遠心分離し、上澄み液を除去する脱水操作と、イオン交換水を加えて撹拌する水洗操作とを交互に必要回数繰り返す。最終的に脱水を行った後の共沈物を、大気中において150℃で一昼夜乾燥させた後、ボールミルにより粉砕する。その後、大気中において500℃で2時間焼成することによりZrYPr複合酸化物を得ることができる。
RhドープCeZrNd複合酸化物24は例えば次の方法で調整することができる。硝酸セリウム6水和物とオキシ硝酸ジルコニル溶液と硝酸ネオジム6水和物と硝酸ロジウム溶液とをイオン交換水に溶かす。この硝酸塩溶液に28質量%アンモニア水の8倍希釈液を混合して中和することにより、共沈物を得る。この共沈物を含む溶液を遠心分離器にかけて上澄み液を除去する脱水操作と、イオン交換水を加えて撹拌する水洗操作とを交互に必要回数繰り返す。最終的に脱水を行った後の共沈物を、大気中において150℃で一昼夜乾燥させた後、ボールミルにより粉砕する。その後、大気中において500℃で2時間焼成することによりRhドープCeZrNd複合酸化物を得ることができる。
次にZrYPr複合酸化物23にPt25を担持する方法を説明する。ZrYPr複合酸化物にイオン交換水を加えてスラリー状にし、それをスターラー等により十分に撹拌する。続いて、撹拌しながらそのスラリーに所定量のヘキサヒドロキソ白金(IV)酸エタノールアミン溶液を滴下し、十分に撹拌する。その後、加熱しながらさらに撹拌を続けて、水分を完全に蒸発させる。しかる後、大気中において500℃で2時間焼成することにより、Pt25が担持したZrYPr複合酸化物23を得ることができる。
活性アルミナ21,22にPtを担持する方法はZrYPr複合酸化物の場合と同じであり、その具体的な説明は省略する。
Pt源としてヒドロキソ錯体を採用する場合、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸硝酸溶液を採用してもよい。ジニトロジアンミン白金(II)硝酸溶液など他のPt源を採用してもよい。或いは、活性アルミナ21,22及びZrYPr複合酸化物23には、Ptに代えて、又はPtと共にPdなど他の貴金属を担持するようにしてもよい。限定する意味ではないが、活性アルミナ21,22及びZrYPr複合酸化物に対する触媒金属の担持量は、フィルタ1L当たり0.1g〜1.0g程度となるようにすることが好ましい。
上記のようにして得られたPt担持活性アルミナ、Pt担持ZrYPr複合酸化物及びRhドープCeZrNd複合酸化物を容器に入れ、イオン交換水及びバインダを加え、混合してスラリー状にする。このスラリーをフィルタにコーティングし、乾燥させた後、500℃で2時間焼成することにより、触媒付パティキュレートフィルタ10を得ることができる。
<ZrYPr複合酸化物について>
−Zr系複合酸化物の固溶金属の種類とPM燃焼性能の関係−
ZrOにイオン半径が異なる金属(Sc、Yb、Y、Nd及びLaから選ばれた1種の金属)MとPrを固溶させた5種類のZrMPr複合酸化物(組成;70モル%ZrO−12モル%M−18モル%Pr)を調製した。なお、組成は、Zr系複合酸化物を構成する金属を酸化物に換算して表している(以下、同じ。)。また、別に70モル%ZrO−8モル%Y−22モル%PrのZrYPr複合酸化物も調製した。
上記6種類のZr系複合酸化物について各々の格子定数を測定した。この6種類のZr系複合酸化物粉末各々について、大気中にて800℃の温度に24時間保持するエージング処理をした後、各粉末とカーボンブラックをめのう乳鉢で1分間混合(タイトコンタクト、Zr系複合酸化物粉末:カーボンブラック=4:1(質量比))した。得られた各混合粉末を5mg秤量し、アルミナパンを用いてDTA装置に設置し、20%O/N+500ppmNO気流中(全流量100cc/分)で10℃/分の速度にて昇温試験を行った。リファレンスは市販のα−アルミナ粉末を使用した。カーボン燃焼に伴う発熱ピーク時の温度(DTAピークトップ温度)から、Zr系複合酸化物の固溶金属の種類がPMの燃焼に及ぼす影響を評価した。
結果を図6及び表1に示す。金属M(3価,配位数6)のイオン半径(参考値)を表1に併せて示す。なお、Zrのイオン半径は72pmである。
上記5種類のZrMPr複合酸化物(組成;70モル%ZrO−12モル%M−18モル%Pr)の格子定数をみると、固溶金属Mのイオン半径が大きくなるに従って格子定数が大きくなっている。これに対して、上記5種類のZrMPr複合酸化物のDTAピークトップ温度をみると、Sc(74.5pm)→Yb(86.8pm)→Y(90.0pm)と、イオン半径が大きくなるに従って当該温度が低くなっているが、Nd(98.3pm)、La(104.5pm)のようにイオン半径が更に大きくなると、逆に当該温度高くなっている。
図6に補助線(破線)を入れているように、格子定数が5.20〜5.29A(オングストロームを便宜上「A」で表した。以下、同じ。)の範囲では、Zrよりも比較的大きなイオン半径を有する金属Mの固溶によって格子定数が増大すると、酸素イオンの通り道が広がり、その結果、酸素イオン伝導性が良くなると解釈することができる。つまり、格子定数が増大するほど、酸素イオン伝導性が良くなる結果、PM燃焼性が良くなっていく(DTAピークトップ温度が低くなっていく)と解釈することができる。一方、格子定数が5.29Aよりもさらに増大すると、PM燃焼性が悪くなっている(DTAピークトップ温度が高くなっている)のは、イオン半径の大きな金属Mの固溶による結晶格子の過大な歪みが酸素空孔に何らかの影響を及ぼして酸素イオンの伝導を阻害する要因となっているためと推察される。
そうして、70モル%ZrO−8モル%Y−22モル%PrのZrYPr複合酸化物の場合、格子定数が5.275Aであり、DTAピークトップ温度が最も低くなっている。表1及び図6によれば、格子定数は5.26〜5.31A程度が好ましいということができる。
−Zr系複合酸化物の酸素交換反応性−
ZrYPr複合酸化物(組成;70モル%ZrO−12モル%Y−18モル%Pr)及びZrNdPr複合酸化物(組成;70モル%ZrO−12モル%Nd−18モル%Pr)について、大気雰囲気中で800℃の温度に24時間保持するエージングを行なった後、次の方法で酸素交換反応性を調べた。
上記エージング済みの各複合酸化物粉末を25tonの加圧力で粉砕し、整粒した各サンプルを100mg秤量して石英管に挿入した。サンプルを石英管の長手方向の両側からシリカウールで挟み込む形にした。石英管にHeガスを流しながらサンプルを580℃まで昇温させた後、同温度でHeガスから3.5%18含有Heガス(流量;100cc/分)に切り換えた。この切り換えから10分間にわたって、サンプルが有する16O及びガス中の18Oによって生成する各種のO種(161618O,18)の濃度を四重極質量分析計によって測定し、16及び1618Oの放出量に基づいて、酸素交換反応によってサンプル内部から放出された格子酸素(16O)の放出量を求めた。結果を表2に示す。
ZrYPr複合酸化物の格子酸素放出量は22mmol/g以上であり、その格子酸素放出量はZrNdPr複合酸化物よりも多くなっている。固溶金属MとしてNdよりもイオン半径が小さいYを採用すると、当該複合酸化物の酸素イオン伝導性が高くなり、その結果、酸素交換反応性が高くなっていると認められる。
−カーボン燃焼性能−
表3に示す実施例1,2、参考例1−3及び比較例1−9に係る各Zr系複合酸化物を調製し、各複合酸化物粉末にジニトロジアミン白金硝酸溶液及びイオン交換水を混合して蒸発乾固を行ない、十分に乾燥させた後、500℃×2時間(大気中)で焼成した。これにより、Ptを担持させた各触媒を調製した。
得られた各触媒をバインダー及びイオン交換水と混合してスラリーとし、SiC製フィルタ担体(容量;25mL,セル壁厚;16mil(406.4×10−3mm)、178cpsi(1平方インチ(635.16mm)当たりのセル数;178))にコーティングした後、乾燥させ、大気雰囲気において500℃の温度に2時間保持する焼成を行なうことにより、各供試フィルタ(触媒付パティキュレートフィルタ)を得た。供試フィルタ1L当たりのZr系複合酸化物粉末の担持量は50g/Lとし、Pt担持量は0.5g/Lとした。そうして、各供試材に大気雰囲気において800℃の温度に24時間保持するエージング処理を行なった。
次いで、供試フィルタ1L当たり10g相当量のカーボン(カーボンブラック)に10mLのイオン交換水を加え、スターラーを用いて5分間攪拌することにより、カーボンを水中に十分に分散させた。このカーボン分散液に各供試フィルタの一端面を浸すと同時に、他端面よりアスピレータによる吸引を行なった。この吸引によって除去できない水分を、上記一端面からのエアブローにより除去し、次いで供試材を乾燥器に入れ150℃の温度に2時間保持して乾燥させた。これにより、カーボンを供試フィルタの排ガス通路壁面に堆積させた。
供試フィルタを固定床模擬ガス流通反応装置に取り付け、模擬排ガス(O;10%,NO;300ppm,HO;10%,残N)を空間速度80000/hで供試フィルタに流し、且つ供試フィルタ入口のガス温度を15℃/分の速度で上昇させた。そのガス温度が590℃に達した時点のカーボン燃焼速度を測定した。カーボン燃焼速度は、カーボンの燃焼によって生成するCO量及びCO量に基いて次式により算出した。結果を表3に示す。
カーボン燃焼速度(g/h)
={ガス流速(L/h)×[(CO+CO)濃度(ppm)/(1×10)]}×12(g/mol)/22.4(L/mol)
また、ZrYPr複合酸化物のY含有率が12モル%である参考例1,2及び比較例7,8、並びにZrNdPr複合酸化物のNd含有率が12モル%である比較例1,2,4,5のカーボン燃焼速度をグラフ化して図7に示す。
図7によれば、ZrYPr複合酸化物の方がZrNdPr複合酸化物よりも、Pr含有率の増大に伴うカーボン燃焼速度の増大の度合が大きい。そして、Pr含有率が低いケースでは、ZrNdPr複合酸化物の方がZrYPr複合酸化物よりもカーボン燃焼速度が大きいが、Pr含有率が8モル%を超えると逆転して、ZrYPr複合酸化物の方がZrNdPr複合酸化物よりも、カーボン燃焼速度が大きくなっている。
イオン半径がNdよりも小さいYの方が酸素イオン伝導に有利であり、そのために、ZrYPr複合酸化物では、Pr含有率が大きくなると酸素交換反応がZrNdPr複合酸化物よりも活発になって、カーボン燃焼速度が大きくなっていると認められる。
図7によれば、ZrYPr複合酸化物のPr含有率が12モル%になると、ZrNdPr複合酸化物のPr含有率が18モル%であるケースよりもカーボン燃焼速度が大きくなっている。これから、ZrYPr複合酸化物のPr含有率を12モル%以上にすることが好ましいことがわかる。また、表3によれば、ZrYPr複合酸化物のPr含有率が22モル%以上になると(実施例1,2)、カーボン燃焼速度が際立って大きくなっている。
表3の、金属MとしてYを採用した比較例7−9及び実施例1,2及び参考例1−3をみると、(Y+Pr)/(Y+Pr+ZrO)比が24モル%以上の実施例1−5では、比較例のなかで最もカーボン燃焼性能が良い比較例6よりもさらにカーボン燃焼速度が大きくなっている。これから、上記比は24モル%以上にすることが好ましいことがわかる。
また、実施例1,2及び参考例2,3をみると、(Y+Pr)/(Y+Pr+ZrO)比が30モル%では、Y含有率が4モル%でも大きなカーボン燃焼速度が得られていることから、Y含有率が2モル%になっても優れたカーボン燃焼性能を示すことが見込まれる。
また、実施例1,2及び参考例1−3はZrYPr複合酸化物の(Pr)/(Y)のモル比が0.65以上6.7以下であり、上記モル比を当該範囲にすることが好ましいということができる。
10 フィルタ
11 排気ガス通路
12 排気ガス流入路(排気ガス通路)
13 排気ガス流出路(排気ガス通路)
14 栓
15 隔壁
16 細孔(排気ガス通路)
20 触媒
23 ZrYPr複合酸化物
25 触媒金属

Claims (2)

  1. 排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタの排気ガス通路壁にパティキュレートを燃焼させるための触媒が設けられたパティキュレートフィルタであって、
    上記触媒は、ZrOを主成分とするZr系複合酸化物に触媒金属を担持してなる触媒成分を含有し、
    上記Zr系複合酸化物は、上記ZrOに金属元素としてYとPrのみが固溶したZrYPr複合酸化物であり、Zr、Y及びPrを酸化物に換算したときの、(Y+Pr)/(Y+Pr+ZrO)比が24モル%以上30モル%以下であり、 /(Y +Pr +ZrO )比が2モル%以上であり、Pr/(Y+Pr+ZrO)比が22モル%以上であることを特徴とするパティキュレートフィルタ。
  2. 請求項1において、
    上記ZrYPr複合酸化物は、大気雰囲気中で800℃の温度に24時間保持するエージングを行なった後、Heガスを流しながら当該複合酸化物を580℃まで昇温させ、同温度でHeガスから3.5%18含有Heガス(流量;100cc/分)に切り換え、この切り換えから10分間に酸素交換反応によって当該複合酸化物から放出された酸素量が22mmol/g以上であることを特徴とするパティキュレートフィルタ。
JP2016003431A 2016-01-12 2016-01-12 パティキュレートフィルタ Active JP6288113B2 (ja)

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