JP5705784B2 - 排ガス浄化触媒 - Google Patents

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本発明は、担体と、その表面に形成された触媒層からなる排ガス浄化触媒に関するものである。
各種産業界においては、環境影響負荷低減に向けた様々な取り組みが世界規模でおこなわれており、中でも、自動車産業においては、燃費性能に優れたガソリンエンジン車は勿論のこと、ハイブリッド車や電気自動車等のいわゆるエコカーの普及とそのさらなる性能向上に向けた開発が日々進められている。このようなエコカーの開発に加えて、エンジンから排出される排ガスを浄化する排ガス浄化触媒に関する研究も盛んに行われている。この排ガス浄化触媒には、酸化触媒や三元触媒、NOx吸蔵還元触媒などが含まれており、この排ガス浄化触媒において触媒性能を発現するのは、白金(Pt)やロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)などの貴金属触媒であり、貴金属触媒はアルミナなどの多孔質酸化物からなる担体に担持された状態で一般に用いられている。
上記する三元触媒では、燃料中に含まれる硫黄成分によって三元活性が低下することが知られている。より具体的には、燃料中の硫黄成分が微量であっても、長距離走行等によって触媒上に硫黄が蓄積し、走行状況によって硫黄が活性点を失活させることで触媒性能(三元活性やOSC性能(OSC: Oxygen Storage Capacityで、酸素貯蔵能ともいう))が低下する。
昨今、その調達困難性と材料コスト増等の理由から貴金属触媒の使用量が大幅に低減された排ガス浄化触媒が製造されている中で、相対的に排ガス中に含有される硫黄の蓄積や硫黄化合物による影響が顕著となってきており、上記するように排ガス浄化触媒における硫黄成分の蓄積に起因した触媒性能の低下が大きな問題となっている。
ここで、特許文献1には、セリア含有複合酸化物からなる担体粉末と、アルミナ及び/又はジルコニアを主成分として含有する担体粉末と、これらの担体粉末の少なくとも一方に担持された貴金属および鉄化合物からなる排ガス浄化用触媒が開示されている。この排ガス浄化触媒では、セリア含有複合酸化物からなる担体粉末に担持された鉄化合物の量が触媒に含まれる鉄化合物の総量に対して金属換算で45質量%以上に規定されており、このことによって、排ガスを浄化させる際に硫化水素の生成を十分に抑制することができ、長期間使用後における触媒活性の維持を図ることができるとしている。
しかしながら、特許文献1で開示の排ガス浄化触媒においても、その貴金属触媒の担持量を大幅に低下させた場合に、排ガス中に含有される硫黄の蓄積や硫黄化合物による影響が顕著となり、硫黄成分の蓄積に起因した触媒性能低下の問題を効果的に解消するには至らない。特に、ZrやCe等の塩基性元素を含んでいることからこの硫黄成分の蓄積はより顕著なものとなる。
そこで、硫黄の蓄積や硫黄化合物による影響を抑制する材料として酸化バリウム(BaO)を適用し、このBaOを排ガス浄化触媒に含有させる方策もあるが、BaOは還元雰囲気下における触媒実使用温度域(400〜600℃程度)で硫酸塩の分解がはじまり、硫黄捕捉性能が低下してしまうことが分かっている。
また、他の方策としてFe酸化物を排ガス浄化触媒に適用することで硫黄を含む還元雰囲気下でのNOx浄化能を向上させることができるが、Fe酸化物を有することで硫黄を含まない雰囲気下における触媒の初期活性低下を引き起こし易いという問題がある。
特開2007−301471号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、還元雰囲気下で触媒実使用温度域における触媒性能に優れ、かつ、硫黄を含まない雰囲気下における触媒の初期活性にも優れた排ガス浄化触媒を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による排ガス浄化触媒は、担体と、該担体上に形成された触媒層からなる排ガス浄化触媒であって、前記触媒層には、貴金属触媒であるPdもしくはPtが担持されたCeO2、ZrO2、Al2O3の少なくとも一つを主成分とする酸化物担体と、バリウム化合物と、酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物が含有されているものである。
本発明の排ガス浄化触媒は、その構成要素である担体表面の触媒層において、貴金属触媒が担持された酸化物担体のほかに、バリウム化合物と酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物が含有された排ガス浄化触媒であり、触媒層が酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物を有することで硫黄共存下において貴金属触媒に対する硫黄の吸着量を低減することができ、そのNOx浄化性能を高めることを可能としたものである。
貴金属触媒としてPdもしくはPtが適用される(Pd、Ptの双方が適用されてもよい)が、中でもPdは、硫黄との親和性が高く、硫化物を形成し易い。そこで、触媒層に含有されるバリウム化合物が硫酸塩化することで硫黄を捕捉し、Pdの硫黄吸着(硫黄被毒ともいう)を抑制するものであるが、高温還元雰囲気下では硫酸塩が分解を始めるため、触媒の実使用温度域において硫黄吸着抑制が十分とは言えない。
しかしながら、本発明の排ガス浄化触媒では、BaO等のバリウム化合物に加えて耐熱性に優れた酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物が触媒層に含有されていることにより、触媒初期活性の低下を抑制しながら、還元雰囲気下、触媒実使用温度域における貴金属触媒の硫黄吸着抑制を可能とし、もってNOx浄化性能の向上を可能としている。
ここで、「CeO2、ZrO2、Al2O3の少なくとも一つを主成分とする酸化物担体」とは、セリア(CeO2)、ジルコニア(ZrO2)およびアルミナ(Al2O3)のいずれか一種からなる酸化物担体や、二種以上からなる複合酸化物(いわゆるCZ材であるCeO2-ZrO2化合物、拡散障壁としてAl2O3が導入されたAl2O3-CeO2-ZrO2三元系複合酸化物(ACZ材)など)を包含する意味である。
また、「酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物」とは、鉄、ジルコニウムの複合酸化物(Fe2O3-ZrO2複合酸化物)のほか、鉄、ジルコニウムおよび希土類元素を含有する複合酸化物を包含する意味である。そして、この希土類元素としてはイットリウムが好適である(Fe2O3-ZrO2-Y2O3複合酸化物)。
排ガス浄化触媒の実施の形態として、たとえばハニカム構造のセラミックスセルからなる担体の表面に触媒層が形成され、この触媒層を貴金属触媒であるPdもしくはPtが担持されたCeO2、ZrO2、Al2O3の少なくとも一つを主成分とする酸化物担体と、バリウム化合物と、酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物が形成する実施の形態を挙げることができる。
なお、この触媒層は、一層構造の形態のほかにも、二層構造(バイレイヤー)の形態やタンデム構造の形態であってもよい。
さらに、本発明による排ガス浄化触媒の好ましい実施の形態として、前記酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物は、鉄、ジルコニウムおよび希土類元素を含有する複合酸化物であり、Fe2O3とZrO2と希土類元素酸化物の合計含有量が90質量%以上であり、Fe2O3としての酸化鉄の含有量が10〜90質量%であり、大気中、900℃で5時間焼成した後の複合酸化物の下記3つの式により求められる共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値が20以下となっているものである。
Figure 0005705784
ここで、式中、Ii(Fe)、Ii(Zr)およびIi(X)は、複合酸化物について、所定の条件でEPMA(WDX:波長分散X線分光法)による線分析をおこなうことによって測定される、測定点i(i=1〜n)における鉄、ジルコニウムおよび希土類元素のX線強度の各元素の100%強度に対する比、Rav(Fe)およびRav(Zr+X)はRi(Fe)およびRi(Zr+X)の全測定点nについての平均値である。
酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物において、大気中、900℃で5時間焼成した後の複合酸化物中の酸化鉄としてはヘマタイトを含むものが好ましく、また、希土類元素としてはイットリウムが好ましい。
この酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物の製造方法は、希土類元素を含有するジルコニアゾル水懸濁液と有機酸鉄を、最終的に得られる複合酸化物中のFe2O3とZrO2と希土類元素酸化物の合計含有量が90質量%以上となり、Fe2O3としての酸化鉄の含有量が10〜90質量%となる割合で混合し、得られた混合液を加熱濃縮し、さらに得られたゲルを焼成するものである。
ここで、上記3つの式によって求められる共分散COV(Fe、Zr+X)とは、2つのデータグループRi(Fe)およびRi(Zr+X)の互いの関連性を示す指標であり、本実施の形態では以下のように測定して評価するものである。
すなわち、まず、鉄(Fe)、ジルコニウム(Zr)および希土類元素(X)を含有する複合酸化物について、加速電圧15kV、試料電流50nA、ビーム径(最小1μm以下)、測定間隔1μmの条件でEPMA(WDX:波長分散X線分光法)による線分析をおこなう。なお、この線分析における全測定点の個数をn個とする。次に、各測定点i(i=1〜n)において、鉄、ジルコニウムおよび希土類元素のX線強度の各元素の100%強度に対する比Ii(Fe)、Ii(Zr)およびIi(X)のそれぞれを以下の式で求める。
Ii(Fe)=(複合酸化物上の測定点iにおける鉄のX線ピーク強度)/(鉄上で測定した鉄のX線ピーク強度)
Ii(Zr)=(複合酸化物上の測定点iにおけるジルコニウムのX線ピーク強度)/(ジルコニウム上で測定したジルコニウムのX線ピーク強度)
Ii(X)=(複合酸化物上の測定点iにおける希土類元素のX線ピーク強度)/( 希土類元素上で測定した希土類元素のX線ピーク強度)
上式で求めたIi(Fe)、Ii(Zr)およびIi(X)を用い、上式(1)および(2)によって各測定点i(i=1〜n)におけるRi(Fe)、Ri(Zr+X)を算出し、さらに、これらの全測定点nについての平均値Rav(Fe)、Rav(Zr+X)を求める。
このようにして求めたRi(Fe)、Ri(Zr+X)、Rav(Fe)およびRav(Zr+X)を用い、上式(3)によって共分散COV(Fe、Zr+X)を求める。
求められた共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値が小さいほど、Ri(Fe)およびRi(Zr+X)がそれぞれ一定の値に集中し、酸化鉄と希土類元素酸化物を含有するジルコニア(希土類元素酸化物含有ジルコニアと称することができる)がそれぞれ均一に分散していること、すなわち、均一に共分散している(共分散性が高い)ことを意味している。
上記する製造方法によってOSC性能に優れた上記酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物が形成される理由を本発明者等は次のように推察する。すなわち、この製造方法においては、まず、有機酸鉄が溶解したジルコニアゾル水懸濁液を加熱濃縮することによってゲルを形成させ、次いで、このゲルを焼成する。この際、ジルコニアゾルのゲル化とともに、有機酸鉄から生成した酸化鉄前駆体もゲル化させるため、ジルコニアと酸化鉄がともにナノメートルスケールで均一に分散した状態(共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値が小さい状態)となり、OSC性能に優れた複合酸化物が得られると推察される。
なお、従来のゾルゲル法や共沈法は、鉄塩とジルコニウム塩が溶解した溶液を加熱して酸化鉄とジルコニアゾルの混合物を形成し、さらに加熱してジルコニアゾルをゲル化させるものである。この際、ジルコニアゾルのゲル化とともに酸化鉄が粒成長するため、ナノメートルスケールでの酸化鉄の分散性が低く、共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値が大きくなり、得られる複合酸化物のOSC性能が低下するものと推察される。
以上の説明から理解できるように、本発明の排ガス浄化触媒によれば、貴金属触媒であるPdもしくはPtが担持された酸化物担体とバリウム化合物と酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物が触媒層に含有されていることにより、触媒初期活性の低下を抑制しながら、触媒実使用温度域における還元雰囲気下の貴金属触媒に対する硫黄吸着抑制を可能とでき、NOx浄化性能に優れた排ガス浄化触媒となる。
本発明の排ガス浄化触媒の実施の形態の一部を拡大した模式図であって、(a)は空燃比リーン域における状態を示した図であり、(b)は空燃比リッチ域における状態を示した図である。 従来の排ガス浄化触媒の実施の形態の一部を拡大した模式図であって、(a)は空燃比リーン域における状態を示した図であり、(b)は空燃比リッチ域における状態を示した図である。 硫黄吸着時(触媒実使用温度域)におけるNOx浄化率を検証した実験結果を示す図である。 硫黄が吸着していない状態(初期)での初期活性(NOx浄化率)を検証した実験結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の排ガス浄化触媒の実施の形態を説明する。なお、図示する排ガス浄化触媒は、担体の表面に一層の触媒層が形成されたものであるが、二層積層構造の触媒層であってもよいし、タンデム構造の触媒層であってもよい。
(排ガス浄化触媒の実施の形態)
図1は本発明の排ガス浄化触媒の実施の形態の一部を拡大した模式図であって、図1aは空燃比リーン域における状態を示した図であり、図1bは空燃比リッチ域における状態を示した図である。また、これとの比較として示す図2は従来の排ガス浄化触媒の実施の形態の一部を拡大した模式図であって、図2aは空燃比リーン域における状態を示した図であり、図2bは空燃比リッチ域における状態を示した図である。
図1で示す排ガス浄化触媒10は、たとえばハニカム構造のセラミックスセルからなる担体1と、この担体1の表面に形成された酸化物担体からなる触媒層2と、触媒層2に担持された貴金属触媒3であるPdもしくはPtと、触媒層2の形成成分であって主成分である酸化物担体以外の触媒素材であるバリウム化合物4(BaO等)と酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物5から構成されている。すなわち、触媒層2は、その主成分として貴金属触媒3が担持された酸化物担体を有し、その他にバリウム化合物4と酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物5を有するものである。
ここで、触媒層2の主成分である酸化物担体は、CeO2、ZrO2、Al2O3のいずれか一種から形成された酸化物担体や、CeO2、ZrO2、Al2O3のうちの一種と他の酸化物からなる複合酸化物担体、もしくはそれらの二種類以上からなる複合酸化物担体などからなり、たとえば、CeO2-ZrO2複合酸化物担体、CeO2-Al2O3複合酸化物担体、CeO2-TiO2複合酸化物担体、CeO2-SiO2複合酸化物担体、CeO2-ZrO2-Al2O3複合酸化物担体などを挙げることができる。
一方、酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物5としては、Fe2O3-ZrO2複合酸化物、Fe2O3-ZrO2-Y2O3複合酸化物などを挙げることができる。
図1aで示す空燃比リーン域(たとえば200℃以上の酸化雰囲気)においては、燃料中の硫黄6が硫酸塩化することでバリウム化合物4に捕捉され(X方向)、Pd等からなる貴金属触媒3に対する硫黄吸着(硫黄被毒)が抑制される。
また、バリウム化合物4に加えて耐熱性に優れた酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物5が含有されていることで、触媒の初期活性の低下を抑制することができる。
一方、図1bで示す空燃比リッチ域(たとえば500℃程度以上の還元雰囲気)では、バリウム化合物4に捕捉されている硫黄6が貴金属触媒3に吸着される代わりに酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物5に捕捉されることとなり(Y方向)、もって貴金属触媒3の硫黄吸着を抑制することができる。
これに対し、従来の排ガス浄化触媒の一実施の形態は、図2aで示すように、担体Aと、この担体Aの表面に形成された酸化物担体からなる触媒層Bと、触媒層Bに担持された貴金属触媒CであるPdと、触媒層Bの形成成分であって主成分である酸化物担体以外の触媒素材である酸化バリウムDから構成されており、空燃比リーン域においては、排ガス浄化触媒10と同様に燃料中の硫黄Eを酸化バリウムDで捕捉することができる(X方向)。
しかしながら、空燃比リッチ域では、酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物が存在しないことから、図2bで示すように酸化バリウムDに捕捉されている硫黄Eが貴金属触媒Cに吸着されてしまい(Y方向)、貴金属触媒が硫黄被毒されて触媒性能低下の原因となる。
このように、図1で示す排ガス浄化触媒10は、貴金属触媒であるPd等が担持された酸化物担体とバリウム化合物と酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物が混合されていることにより、触媒初期活性の低下を抑制しながら、触媒実使用温度域における還元雰囲気下のPd等に対する硫黄吸着抑制を可能とでき、NOx浄化性能に優れた排ガス浄化触媒となる。
(酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物の好ましい実施の形態)
次に、本発明の排ガス浄化触媒を形成する酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物の好ましい実施の形態を説明する。この複合酸化物は、鉄、ジルコニウムおよび希土類元素を含有する複合酸化物であり、Fe2O3とZrO2と希土類元素酸化物との合計含有量が90質量%以上であり、Fe2O3としての酸化鉄の含有量が10〜90質量%である。また、大気中、900℃で5時間焼成した後の複合酸化物の下記3つの式により求められる共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値が20以下となっている。
Figure 0005705784
上式において、Ii(Fe)、Ii(Zr)およびIi(X)は、複合酸化物について、加速電圧15kV、試料電流50nA、ビーム径(最小1μm以下)、測定間隔1μmの条件でEPMA(WDX:波長分散X線分光法)による線分析をおこなうことによって測定される、測定点i(i=1〜n)における鉄、ジルコニウムおよび希土類元素のX線強度の各元素の100%強度に対する比を表し、Rav(Fe)およびRav(Zr+X)はそれぞれ、Ri(Fe)およびRi(Zr+X)の全測定点nについての平均値を表す。
上記する酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物において、Fe2O3とZrO2と希土類元素酸化物の合計含有量は90質量%以上である。Fe2O3とZrO2と希土類元素酸化物の合計含有量が90質量%未満になると、高いOSC性能(特に、大気中、高温での耐久試験(1000℃で5時間加熱)後)を達成するのが困難となる。また、OSC性能(特に、大気中、高温での耐久試験後におけるOSC性能)がさらに高くなるという観点から、Fe2O3とZrO2と希土類元素酸化物の合計含有量は95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、100質量%が望ましい。
また、上記する酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物において、Fe2O3としての酸化鉄の含有量は10〜90質量%である。Fe2O3としての酸化鉄の含有量がこの範囲を逸脱すると、高いOSC性能(特に高温での耐久試験後)を達成するのが困難となる。また、OSC性能(特に、大気中、高温での耐久試験後におけるOSC性能)がさらに高くなるという観点から、Fe2O3としての酸化鉄の含有量は20〜90質量%が好ましく、20〜70質量%が望ましい。
さらに、上記する酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物において、大気中、900℃で5時間焼成した後の複合酸化物の共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値は20以下である。共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値が20を超えると、酸化鉄と希土類元素酸化物含有ジルコニアの共分散性が低く、高いOSC性能(特に高温での耐久試験後)を達成するのが困難となる。また、酸化鉄と希土類元素酸化物含有ジルコニアの共分散性がさらに高くなり、このことによってOSC性能(特に、大気中、高温での耐久試験後におけるOSC性能)がさらに高くなるという観点から、共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値は10以下が好ましい。
また、上記する酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物として、大気中、900℃で5時間焼成した後の複合酸化物に含まれる酸化鉄としてヘマタイト(α-Fe2O3)を含むものが好ましい。焼成後の複合酸化物に含まれる酸化鉄がヘマタイトを含むものであると、還元雰囲気中、および/または大気中において、高温での耐久試験前後におけるOSC性能の変化が少なくなる傾向にある。そのため、ヘマタイトを含有する酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物は、触媒材料として用いた際に特性変化が少なく、使い易いという効果を奏する。このような観点から、全ての酸化鉄がヘマタイトであるものが望ましい。
この酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物においては、ジルコニアの耐熱性を向上させ、大気中、高温での耐久試験後においても高いOSC性能を発揮させるために希土類元素が含まれており、ジルコニアと希土類元素の酸化物が固溶しているのが好ましい。このような希土類元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などが挙げられる。このうち、Ceの使用量低減の観点から、Ce以外の希土類元素が好ましく、ジルコニアの安定性(特に熱安定性)が高まる観点から、La、Y、Nd、Pr、Srがより好ましい。また、このような希土類元素は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
上記する希土類元素の含有量としては、希土類元素酸化物として0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が望ましい。希土類元素の含有量が0.5質量%未満になるとジルコニアの耐熱性が低下し、高温での耐久試験後において高いOSC性能が達成され難くなる傾向にある。また、希土類元素の上限値としては20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が望ましい。希土類元素の含有量が20質量を超えると、希土類元素がCe以外の場合には高いOSC性能(特に高温での耐久試験後)が達成され難くなる傾向にあり、希土類元素がCeの場合にこのCeの使用量を低減するという目的が達成されなくなる。
また、上記する酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物の形状は特に制限されるものではないが、粒子状(たとえば球状)、塊状などが挙げられる。複合酸化物が粒子である場合、この粒子径は特に限定されるものではないが、1〜200μmが好ましく、2〜100μmが望ましい。粒子径が1μm未満になると、他の材料を混合した際に複合酸化物中の鉄と他の材料が相互に拡散し易い傾向にあり、一方で粒子径が200μmを超えると、触媒化し難くなる傾向にある。
また、上記する酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物の比表面積は特に限定されるものではないが。0.5〜100m2/gが好ましく、1〜50m2/gが望ましい。比表面積が0.5m2/g未満になると高いOSC性能(特に高温での耐久試験後)が達成され難くなる傾向にあり、一方で比表面積が100m2/gを超えると高温での耐久試験前後における状態変化が大きくなる傾向にある。
次に、上記する酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物の製造方法を説明する。この酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物の製造方法は、希土類元素を含有するジルコニアゾル水懸濁液と有機酸鉄を、最終的に得られる複合酸化物中のFe2O3とZrO2と希土類元素酸化物の合計含有量およびFe2O3としての酸化鉄の含有量が所定の範囲となる割合で混合し(混合工程)、得られた混合液を加熱濃縮し(加熱濃縮工程)、さらに得られたゲルを焼成する(焼成工程)ものである。
まず、製造方法で用いられる原料について説明する。
酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物の製造で用いられるジルコニアゾル水懸濁液は、上記した希土類元素の酸化物を含有するジルコニアゾルの水懸濁液である。ジルコニアゾルの水懸濁液を用いることにより、後工程である加熱濃縮によってジルコニアゾルがゲル化すると同時に、有機酸鉄から生成した酸化鉄前駆体もゲル化するため、ジルコニアと酸化鉄がともにナノメートルスケールで均一に分散した状態(共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値が小さい状態)となり、OSC性能に優れた複合酸化物が得られる。なお、ジルコニアゾルの代わりにジルコニウム原子やジルコニウム塩をジルコニアの原料として使用すると、得られるジルコニアの耐熱性を向上させるために添加する希土類元素が鉄と反応して複合酸化物を形成するため、ジルコニアおよび酸化鉄の耐熱性が低下し、大気中、高温での耐久試験後において高いOSC性能を達成するのが困難となる。
また、用いられるジルコニアゾルには希土類元素酸化物が含まれているため、得られる複合酸化物中のジルコニアの耐熱性が向上し、大気中、高温での耐久試験(1000℃で5時間加熱)後においても高いOSC性能を達成できる。また、ジルコニアの耐熱性がさらに向上し、大気中、高温での耐久試験後においてさらに高いOSC性能を達成できるという観点から、ジルコニアと希土類元素は固溶しているのが好ましい。なお、ジルコニアに含まれる希土類元素は一種単独であってもよいし、二種以上であってもよい。
このような希土類元素酸化物の含有量としては、ジルコニアゾル100質量%に対して3〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%が望ましい。希土類元素酸化物の含有量が3質量%未満になるとジルコニアの耐熱性が低下し、高温での耐久試験後において高いOSC性能が達成され難くなる傾向にあり、一方で希土類元素酸化物の含有量が30質量%を超えると、希土類元素がY以外の場合には高いOSC性能(特に高温での耐久試験後)が達成され難くなる傾向にあり、希土類元素がCeの場合にはCeの使用量低減という目的が達成されなくなる。
上記するジルコニアにおいて、その粒子径は30〜80nmが好ましい。ジルコニアの粒子径が30nm未満になると、後工程での加熱濃縮によって粒子径が小さいゲルが生成されるものの、焼成によってゲルが凝集する傾向にあり、一方でジルコニアの粒子径が80nmを超えると、得られるジルコニアゲルの粒子径が大きくなる傾向にある。ジルコニアの粒子径がこの好ましい範囲を逸脱する場合には、得られる複合酸化物において、ナノメートルスケールでのジルコニアの分散性が低く、共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値が大きくなることでOSC性能が低下する傾向にある。
ジルコニアゾル水懸濁液中のジルコニアゾルの含有量としては、固形分濃度で10〜40質量%が好ましい。ジルコニアゾルの含有量が10質量%未満になると、後工程での加熱濃縮におけるコストが高くなる傾向にあり、一方で、ジルコニアゾルの含有量が40質量%を超えると、ジルコニアゾルが二次凝縮し易く、粒子径の大きなゲルが生成され、得られる複合酸化物においてナノメートルスケールでのジルコニアの分散性が低く、共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値が大きくなることでOSC性能が低下する傾向にある。また、高いOSC性能を示す複合酸化物が得られるという観点から、ジルコニアゾル水懸濁液としてはアルカリ性のものが好ましく、pH8〜10のものがより好ましく、pH9〜10のものが望ましい。
また、用いられる有機酸鉄としては、有機酸(たとえば、クエン酸、フマル酸などのカルボン酸)と鉄イオンの塩(錯塩を含む)であれば特に限定されるものではなく、たとえば、クエン酸(III)アンモニウムが挙げられる。これらの有機酸鉄は水に対する溶解度が高いため、そのまま、ジルコニアゾル水懸濁液に添加して溶解させることが可能であるが、必要に応じて有機酸鉄の水溶液としてジルコニアゾル水懸濁液と混合することもできる。
次に、製造方法の各工程について説明する。
まず、希土類元素を含有するジルコニアゾルの水懸濁液と有機酸鉄を混合する。これにより、有機酸鉄が溶解し、酸化鉄前駆体が生成される。このとき、有機酸鉄を十分に溶解させるために少量の水を添加してもよい。また、混合液中の酸化鉄前駆体とジルコニアゾルを均一に分散させるために、プロペラ攪拌機や各種ホモジナイザーを用いて攪拌するのが好ましく、プロペラ攪拌機と各種ホモジナイザー(たとえば超音波ホモジナイザー)を併用して攪拌するのが望ましい。
混合液中の希土類元素を含有するジルコニアゾルの濃度としては、固形分濃度で5〜40質量%が好ましい。混合液中のジルコニアゾルの濃度が5質量%未満になると、後工程での加熱濃縮におけるコストが高くなる傾向にあり、一方でジルコニアゾルの濃度が40質量%を超えると、ジルコニアゾルが二次凝縮し易く、粒子径の大きなゲルが生成され、得られる複合酸化物において、ナノメートルスケールでのジルコニアの分散性が低く、共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値が大きくなることでOSC性能が低下する傾向にある。また、希土類元素を含有するジルコニアゾル水懸濁液と有機酸鉄の混合割合は、最終的に得られる複合酸化物中のFe2O3とZrO2と希土類元素酸化物の合計含有量およびFe2O3としての酸化鉄の含有量が所定の範囲となるように決定する。
次に、得られた混合液を加熱濃縮する。これにより、ジルコニアゾルがゲル化するとともに酸化鉄前駆体もゲル化される。たとえば、混合液(水懸濁液)を攪拌しながら150〜350℃程度の温度で加熱して水を蒸発させることによって濃縮し、混合液(濃縮物)の粘度が高くなった時点(たとえば攪拌が困難となった時点)で濃縮物を100〜200℃程度の温度で加熱して水を十分に蒸発させる。これにより、水が蒸発するだけでなく、ジルコニアゾルがゲル化するとともに酸化鉄前駆体のゲルが生成される。このように加熱濃縮によってジルコニアゾルをゲル化させると同時に酸化鉄前駆体のゲルを形成するため、希土類元素酸化物を含有するジルコニアと酸化鉄がともにナノメートルスケールで均一に分散した状態(共分散COV(Fe、Zr+X)の絶対値が小さい状態)となり、OSC性能に優れた複合酸化物が得られる。
このようにして得られた希土類元素酸化物を含有するジルコニアと酸化鉄を含む複合酸化物を完全に酸化させるべく、大気中で仮焼成する。この仮焼成の温度は特に限定されるものではないが、400〜600℃が一般的である。その後、得られた複合酸化物を800〜1000℃程度の温度で焼成することにより、上記する酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物が得られる。
[硫黄吸着時(触媒実使用温度域)と硫黄が吸着していない状態(初期)におけるNOx浄化率を検証した実験とそれらの結果]
本発明者等は、図1で示す構成の排ガス浄化触媒(実施例)と、種々の比較例となる排ガス浄化触媒をそれぞれ製作し、硫黄吸着時(触媒実使用温度域)と硫黄が吸着していない状態(初期)におけるNOx浄化率を測定した。
原料粉末の組成として、複合酸化物(A)としてAl2O3-La2O3(各酸化物の含有量は順に96質量%、4質量%)、複合酸化物(B)としてZrO2-CeO2-La2O3-Y2O3(各酸化物の含有量は順に60質量%、30質量%、5質量%、5質量%)を用意し、複合酸化物(B)にPdを担持させたものを材料1、複合酸化物(A)にPdを担持させたものを材料2、酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物を材料3として用意した。
ここで、材料1は、蒸発乾固法を適用し、複合酸化物(B)に0.5質量%Pdを担持させて製作した(Pd硝酸塩水溶液を使用し、500℃で2時間焼成)。
一方、材料2は、蒸発乾固法を適用し、複合酸化物(A)に0.5質量%Pdを担持させて製作した(Pd硝酸塩水溶液を使用、500℃で2時間焼成)。
さらに、材料3は、希土類元素を含有するジルコニアゾル水懸濁液と有機酸鉄を所望量ずつ調製して混合液を得た後、この混合液を加熱濃縮し、得られたゲルを焼成した。これらを使用して、以下のように実施例、比較例1〜4の各触媒層(排ガス浄化触媒)を製作した。なお、本実験では酸化バリウム(BaO)を使用しているが、酸化バリウム以外のバリウム化合物である、BaSO4やBaCO3、もしくは、BaO、BaSO4、BaCO3のうちの2種以上の混合材料を加えた触媒であってもよい。
(実施例)
材料1を50.81g、材料2を31.92g、材料3を3.82g、BaOを6.36g、精製水を102.88g用意して500mlのポリビーカーに投入し、ミキサーで30分攪拌した。次いで、ボールミルで20分混合してスラリーを調製した。次に、35ccのセラミックハニカム(φ30mm×L50mm、400セル/4ミル、日本ガイシ(株)製)にスラリーを均一に流し込み、乾燥させ(120℃で一晩)、500℃で2時間焼成した。この際、触媒層(触媒コート)形成の際のコート量は5.336g/個となるように調製した。
(比較例1)
実施例において、触媒層中のBaOと材料3を含めず、他の工程は同様に調製した。
(比較例2)
実施例において、触媒層中の材料3を含めず、他の工程は同様に調製した。
(比較例3)
実施例において、触媒層中のBaOを含めず、材料3をFe2O3に置き換え、他の工程は同様に調製した。
(比較例4)
実施例において、触媒層中のBaOを含めず、他の工程は同様に調製した。
(活性評価について)
流量は25リットル/分、ガス条件(リッチ域)は、0.41%O2-9.5%CO2-0.9%CO+0.3%H2+0.45%C3H6+0.19%NO+4.73%H2Oで、温度は450℃でNOx浄化率を評価した。
(硫黄吸着有無でのNOx浄化率について)
流量は25リットル/分、ガス条件(リッチ域)は、0.41%O2-9.5%CO2-0.9%CO+0.3%H2+0.45%C3H6+0.19%NO+4.73%H2O(1分/2分周期)、ガス条件(リーン域)は、0.92%O2-9.5%CO2-0.15%CO+0.05%H2+0.18%C3H6+0.19%NO+4.73%H2O(1分/2分周期)で、温度は500℃で硫黄吸着処理した。
上記ガス条件下で50ppm-SO2を含む反応ガス、もしくは50ppm-SO2を含まない反応ガスに触媒を14分曝した後、上記する活性評価を実施した。実験結果を図3,4に示す。なお、図3は硫黄吸着時(触媒実使用温度域)におけるNOx浄化率を検証した実験結果を示す図であり、図4は硫黄が吸着していない状態(初期)での初期活性(NOx浄化率)を検証した実験結果を示す図である。
図3より、BaやFeを含有しない触媒層(比較例1)は、Pdが硫黄被毒するためにNOx浄化率が低くなることが実証されている。
また、同図より、Baを含む触媒層(比較例2)は、硫黄捕捉性能によってPdの硫黄被毒が抑制されるため、比較例1よりもNOx浄化率が向上している。ただし、Baは硫酸塩が分解して硫黄捕捉性能が低減し始めるために、比較例2は実施例よりもNOx浄化率が低くなることが実証されている。
さらに、同図より、Feを含む触媒層(比較例3)は、硫黄脱離性能によってPdの硫黄被毒が抑制されるため、比較例1よりも若干NOx浄化率が高くなっている。
一方、図4より、Feを含む触媒層(比較例3)は初期活性が低下するが、酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物を含む触媒層(比較例4)は初期活性の低下がないことが実証されている。
以上の実験結果より、排ガス浄化触媒を構成する触媒層がバリウム化合物と酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物の双方を含むことにより、触媒実使用温度域(硫黄有り)における触媒活性、初期(硫黄なし)の触媒活性ともに優れた排ガス浄化触媒となることが実証されている。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…担体、2…触媒層、3…貴金属触媒(Pd)、4…バリウム化合物(BaO等)、5…酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物、6…硫黄(S)、10…排ガス浄化触媒

Claims (1)

  1. 担体と、該担体上に形成された触媒層からなる排ガス浄化触媒であって、
    前記触媒層には、貴金属触媒であるPdもしくはPtが担持されたCeO2、ZrO2、Al2O3の少なくとも一つを主成分とする酸化物担体と、バリウム化合物と、酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物が含有されており、
    前記酸化鉄−ジルコニア系複合酸化物は、鉄、ジルコニウムおよび希土類元素を含有する複合酸化物であり、
    Fe 2 O 3 とZrO 2 と希土類元素酸化物の合計含有量が90質量%以上であり、
    Fe 2 O 3 としての酸化鉄の含有量が10〜90質量%である排ガス浄化触媒。
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