JP2014159763A - 強制空冷式エンジンの冷却構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却性能を有効且つ効果的に向上する強制空冷式エンジンの冷却構造を提供する。
【解決手段】シリンダ14及びシリンダヘッド15に設けられた複数の冷却フィンと、クランク軸の軸端に嵌着された遠心式冷却ファン17と、シリンダ14、シリンダヘッド15及び遠心式冷却ファン17を覆うシュラウド18と、を有する。シリンダ14上面にてシリンダ軸線よりも遠心式冷却ファン17側に配置されたカムチェーンテンショナアジャスタ30を備える。シリンダ14上面に設けた冷却フィンの端部は開口されると共に、その一部の冷却フィンの端部が前方へ曲折延長され、その延長端部はカムチェーンテンショナアジャスタ30とオーバラップしている。
【選択図】図7
【解決手段】シリンダ14及びシリンダヘッド15に設けられた複数の冷却フィンと、クランク軸の軸端に嵌着された遠心式冷却ファン17と、シリンダ14、シリンダヘッド15及び遠心式冷却ファン17を覆うシュラウド18と、を有する。シリンダ14上面にてシリンダ軸線よりも遠心式冷却ファン17側に配置されたカムチェーンテンショナアジャスタ30を備える。シリンダ14上面に設けた冷却フィンの端部は開口されると共に、その一部の冷却フィンの端部が前方へ曲折延長され、その延長端部はカムチェーンテンショナアジャスタ30とオーバラップしている。
【選択図】図7
Description
本発明は、自動二輪車等の車両におけるエンジン、特に強制空冷式のエンジンの冷却構造に関するものである。
内燃機関の放熱部であるシリンダ及びシリンダヘッドをシュラウドで覆い、クランク軸の先端に設けた冷却ファンでシュラウド内に冷却風を導入し、その冷却風をシリンダヘッドまわりに当てて冷却する構造がある。この場合、更に冷却効果を高めるために、導入された冷却風を円滑に流れるように、シリンダ側面に設けた冷却用リブの形状に関するものが知られている(特許文献1、特許文献2)。
いずれもシリンダ壁面の冷却フィンを冷却ファンに向って下方に傾斜させ、シュラウドに導入された冷却風を冷却フィンの傾斜方向に沿って円滑に流導し、満遍なく効率的に冷却させる構造となっている。
特許文献1に示されるようなカムチェーンテンショナアジャスタをエンジン中心線(シリンダ軸線)に対して冷却ファンと反対側に配置した場合には、冷却構造として効果的である。しかしながら、冷却ファンと同一側にカムチェーンテンショナアジャスタを配置した場合、シリンダ上面の冷却フィンの冷却ファン側(冷却風取入れ側)の開口部を形成することができない。このため冷却風を円滑に流せない状態となってしまい、良好な冷却効果を発揮することができなくなる。また、特許文献2に記載の場合でも同様に、冷却性能が低下せざるを得ない等の問題がある。
本発明はかかる実情に鑑み、冷却性能を有効且つ効果的に向上する強制空冷式エンジンの冷却構造を提供することを目的とする。
本発明の強制空冷式エンジンの冷却構造は、シリンダ及びシリンダヘッドに設けられた複数の冷却フィンと、クランク軸の軸端に嵌着された遠心式冷却ファンと、前記シリンダ、前記シリンダヘッド及び前記遠心式冷却ファンを覆うシュラウドと、を有してなる強制空冷式エンジンにおいて、前記シリンダ上面にてシリンダ軸線よりも前記遠心式冷却ファン側に配置されたカムチェーンテンショナアジャスタを備え、前記シリンダ上面に設けた前記冷却フィンの端部は開口されると共に、その一部の冷却フィンの端部が前方へ曲折延長され、その延長端部は前記カムチェーンテンショナアジャスタとオーバラップしていることを特徴とする。
また、本発明による強制空冷式エンジンの冷却構造において、前記シュラウドは側面視でその先端部において、略シリンダ軸線上で内方に凹状をなす円滑な曲面により上溜り部及び下溜り部が形成され、前記上溜り部及び下溜り部に対応する前記シュラウド側面は平面視で、空気導入部から前記先端部に向って車幅方向に幅狭になると共に、その先端部の曲率中心が、前記シリンダヘッドの側面よりも車幅方向で外側に位置することを特徴とする。
また、本発明による強制空冷式エンジンの冷却構造において、前記シリンダヘッド上面の前部に上方に突設された段差部を有し、この段差部における前記シリンダヘッド上面及び前記シュラウド間の隙間に冷却風を流通させる流路が形成されることを特徴とする。
また、本発明による強制空冷式エンジンの冷却構造において、前記シュラウドに設けられた冷却風排風口は平面視で、シリンダ軸線に対して車幅方向で前記冷却ファンと反対側に、且つ前記シリンダ下面の前記冷却フィン下方に設けられたことを特徴とする。
本発明によれば、冷却フィン端部の開口周辺から取り込まれた冷却風は、冷却フィンの傾斜方向に沿って円滑に流れ、シリンダ軸線方向にも周方向にも万遍なく、且つ効率よく冷却されるので、冷却性能が格段に向上する。冷却効率を高くすることで、冷却フィンの大きさ寸法及び数量等を抑制し、シリンダの軽量化及びコンパクト化等を有効に実現することが可能になる。
以下、図面に基づき、本発明による強制空冷式エンジンの冷却構造における好適な実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る自動二輪車の側面図である。先ず、図1を用いて、自動二輪車の全体構成について説明する。なお、図1を含め、以下の説明で用いる図においては、必要に応じて車両の前方を矢印Frにより、車両の後方を矢印Rrにより示し、また、車両の側方右側を矢印Rにより、車両の側方左側を矢印Lにより示す。
図1は、本発明に係る自動二輪車の側面図である。先ず、図1を用いて、自動二輪車の全体構成について説明する。なお、図1を含め、以下の説明で用いる図においては、必要に応じて車両の前方を矢印Frにより、車両の後方を矢印Rrにより示し、また、車両の側方右側を矢印Rにより、車両の側方左側を矢印Lにより示す。
車両100は、鋼製あるいはアルミニウム合金製でなる複数の車体フレームにより車体骨格が形成され、車体フレームに対する各種部品の艤装を経て構成される。詳細図示を省略するが、車体フレームの一部であるダウンチューブは、その前端がステアリングヘッドパイプに結合しており、ステアリングヘッドパイプから略下方向に向けて延出し、その下端部付近でアンダーフレーム101と接続する。このアンダーフレーム101は略後方に延出する。アンダーフレーム101の後部側には、車体フレームの一部として左右一対で構成されるリヤフレーム102が結合し、その一対のそれぞれが概して後上方に傾斜して延出する。
また、ステアリングヘッドパイプは、フロントフォーク103を左右方向に回動可能に支持し、フロントフォーク103の上方にはハンドルバー104が固定されると共に、下端側には前輪105が回転可能に支持される。前輪105には、これと一体回転するブレーキディスク106が装備される。
更に、アンダーフレーム101の後端には、エンジン11を含むパワーユニット10を支持するためのブラケットが付設形成され、このブラケットに設けたステー107を介して、スイング軸108のまわりに上下方向に揺動可能にスイング式パワーユニット10が支持される。なお、パワーユニット10は、エンジン11の後述するシリンダアセンブリや、クランクケース及びベルト/プーリを用いてなる無段変速機を内包する動力伝動装置をユニット化したものであり、その車両前方側にてステー107に揺動可能に連結し、車両後方側にて動力伝動装置により後輪109を回転可能に支持する。後輪109の車軸側とリヤフレーム102との間はショックアブソーバ110によって連結され、パワーユニット10全体としてスイングアームとして機能する。
また、図1に示されるようにパワーユニット10の上方には、ライダーが着座するためのシート111が設置され、アンダーフレーム101の上方にはシート111に着座したライダーが足を載せるステップボード112が、ステップフレームに支持される。なお、ステップボード112は車両外観を構成するレッグフレームカバー113と一体的に形成される。また、パワーユニット10とシート111との間には、シート111により開閉される物品等の収納スペースとして構成されたラゲッジボックスを有している。
車両外観としては、各種車体カバーが車体フレーム等の適所に支持されて被着される。フロントレッグシールド114は車両前面側を覆うと共にウィンカ等が実装され、上述のステップボード112と一体的に連なる。リヤフレームカバー115はシート111の下方乃至車両後方側を覆うと共に、ウィンカやブレーキランプが実装される。前輪105及び後輪109の上方はそれぞれフロントフェンダ116及びリヤフェンダ117によって覆われる。
次に、図2〜図4等を参照してパワーユニット10について説明する。パワーユニット10の基本構成において空冷式4サイクル単気筒エンジン11を有し、このエンジン11は本例ではSOHCエンジンとする。エンジン11は、左右方向に水平配置されるクランクシャフト12(図2では一点鎖線により略記する)を回転自在に支持・収容するクランクケース13と、クランクケース13に対して前方に順次シリンダ14、シリンダヘッド15及びシリンダヘッドカバー16が結合し、そのシリンダ軸線Zが略水平方向に設定される。この場合、シリンダヘッド15側が適度に高くなるようにシリンダ14のシリンダ軸線Zはかなり前傾して、即ち略水平に近いかたちで傾斜する。
クランクシャフト12の軸端にはエンジン冷却用の遠心式冷却ファン17が嵌着されており、この冷却ファン17が後述のように冷却風を発生する。この場合、所定の冷却風流路を形成すべく、シリンダ14、シリンダヘッド15及び遠心式冷却ファン17がシュラウド18によって覆われる。このためシリンダ14及びシリンダヘッド15におけるシュラウド18によって覆われた部位は、図2あるいは図3のように外観に現われない。
パワーユニット10は更に、クランクケース13と一体的に結合する動力伝動装置19を含み、この動力伝動装置19にはベルト及びプーリ等を用いてなる無段変速機を内包される。この例ではクランクケース13は左右2つ割りに分割構成され(クランクケース13R,クランクケース13L)、動力伝動装置19のケーシング20はクランクケース13Lと結合する。ケーシング20内にはベルト及びプーリ等を含んでなる無段変速機が配置構成され、クランクシャフト12と後輪109の車軸とが動力伝動装置19によって連結される。
また、図2等では図示を省略するが、動力伝動装置19の上面側にはエアクリーナ等を含んでなる吸気系が配置構成される。この吸気系において、エアクリーナからその前方に順次、吸気ホース、スロットルボディ及びインテークパイプ(吸気管)等が接続される。このインテークパイプは、図2に示されるシリンダヘッド15のインテークポート(吸気ポート)21に連通し、これらの部材により構成される吸気通路を介して、エアクリーナからシリンダヘッド15のインテークポート21に清浄化された空気が供給される。なお、インテークパイプの途中適所には燃料噴射装置が立設され、インテークポートに向けて燃料を噴射するようになっている。
一方、エンジン11からの排気ガスを排気する排気系において、この例ではシリンダヘッド15の下面側に図3あるいは図4に概略示すようにエキゾーストポート22(排気ポート)が設けられる。このエキゾーストポート22には、エキゾーストパイプ23(排気管)が結合する。エキゾーストパイプ23はエキゾーストポート22との接続部から一旦右方へ延出し、その後、後方へ湾曲して更に冷却ファン17の下方付近を通って後方へ延設される。エキゾーストパイプ23は更に、車両後部においてマフラ24に接続する。エンジン11内で生成された燃焼ガスが排気ガスとして、エキゾーストポート22からエキゾーストパイプ23を通り、最終的にマフラ24から排気される。
ここで、図5及び図6はクランクケース13まわりを示している。クランクケース13は前述のように左右2分割構成され、クランクシャフト12はクランクケース13R及びクランクケース13Lによって、ベアリングを介して回転自在に支持される。この例では図6のようにクランクシャフト12の右側の軸端に冷却ファン17が一体に結合し、この冷却ファン17には、クランクシャフト12を中心として放射状に複数の羽根25が配設される。冷却ファン17のエンジン11内方側にジェネレータ26が隣接配置され、ジェネレータ26のロータ27がクランクシャフト12と一体回転するように結合する。
シリンダヘッド15には、前述したインテークポート21及びエキゾーストポート22を開閉するための吸気バルブ及び排気バルブが装着され、シリンダヘッド15内には、それら吸気バルブ及び排気バルブを駆動するための動弁装置を有する。動力装置の詳細な説明については省略するが、その主要部材として吸気バルブ及び排気バルブを駆動制御するカム及びカムシャフト機構を含み、このカムシャフト及びクランクシャフト12にそれぞれ取り付けられたスプロケットにカムチェーンが巻回され、このカムチェーンを介して両者が連結される。そして、クランクシャフト12の回転でカムチェーンを介して、動弁装置を駆動し、これにより吸気バルブ及び排気バルブを開閉するようになっている。
本例では図5及び図6に示されるように右側のクランクケース13Rにおいて、カムチェーン28を収容するカムチェーン室29が形成される。より具体的にはジェネレータ26よりも更にエンジン11内方側において、シリンダ14のシリンダボアの右側近傍にカムチェーン室29が配置される。なお、カムチェーン28はクランクケース13からシリンダヘッド15の間に掛け渡されて延設されるため、カムチェーン28及びカムチェーン室29は側面視で略シリンダ軸線Zに沿って、即ち幾分前上りに傾斜するが、車両前後方向に沿って略水平となるように配置される。
カムチェーン28はカムチェーン室29内で所定の走行軌道に沿って走行するが、その走行軌道の途中適所にはカムチェーン28に適正な張力を付与するためのカムチェーンテンショナ(図示せず)が配置される。更に、そのカムチェーンテンショナを調節するためにカムチェーンテンショナアジャスタを有する。図7〜図9に示されるようにシリンダ14の上面においてカムチェーン室29に対応して、その外壁面にマウント部31及びキャップ32が結合してなるハウジング内にカムチェーンテンショナアジャスタ30が収容される。カムチェーンテンショナアジャスタ30は図示のように、シリンダ14の上面にて上方へ張り出すように突設される。カムチェーンテンショナアジャスタ30はシリンダ14においてシリンダ軸線Zよりも冷却ファン17側、即ち右側に偏倚して配置される。なお、図7のようにシリンダ14にはシリンダライナもしくはスリーブ14Aが内挿され、その下方延出部がクランクケース13内部に嵌着する。
次に、本発明に係る強制空冷式のエンジン11の冷却構造について更に具体的に説明する。パワーユニット10、特にエンジン11まわりにおいて、上記のような基本構成を有している。ここで、図7及び図8等を参照してシリンダ14及びシリンダヘッド15のそれぞれ外周面の所定部位には、シリンダボア方向(シリンダ径方向)に実質的に高さを揃えてフィン状に張り出す複数の冷却フィン33が配設される。これらの冷却フィン33はシリンダ軸線Z方向に相互間隔をあけて所定ピッチで形成され、シリンダ軸線Z方向視では角のとれた、あるいはR(アール)がついた矩形又は略円形に近い形状を有する。
この場合、カムチェーン室29まわりの部位は図8等に示されるように、また特にシリンダヘッド15にあってはインテークポート21及びエキゾーストポート22が配置されるシリンダヘッド15の上面及びその下面等の部位には冷却フィン33を持たない。また、シリンダヘッド15の上面における前方部位の形状は、図9のように上方に突設された段差部34となっている。
特に、シリンダ15の上面に設けた冷却フィン33の端部、この例では右側の端部は図7あるいは図8等に示されるように開口される、つまりカムチェーンテンショナアジャスタ30の近傍では冷却フィン33の端部が開放された状態となっている。また、一部の冷却フィン33Aの端部が前方へ曲折延長され、その延長端部はカムチェーンテンショナアジャスタ30とオーバラップしている。
前述のようにシリンダ14、シリンダヘッド15及び冷却ファン17はシュラウド18によって覆われる(図2〜図4等参照)。つまり、冷却ファン17を含めシリンダ14及びシリンダヘッド15は、図10〜図12にも示されるようにシュラウド18により囲繞される。シュラウド18は合成樹脂あるいはプラスチック材料により一体ものとして形成され、クランクケース13やシリンダブロックの外壁適所にビス等の固定手段によってぴったりと、即ち基本的には取付相手であるシリンダブロック等との接合部に隙間が生じないように取付固定される。シリンダ14等の外周面から突設された各冷却フィン33の頂部とシュラウド18の内面とは図12に示されるように、一定の隙間が形成されるように間隔が開けられている。
シュラウド18の形状等に関して、冷却ファン17に対応するシュラウド18の右側部には空気導入部1を有し、冷却ファン17の回転軸(クランクシャフト12)と同心の空気導入開口1aが開設される。シュラウド18は空気導入部1から更にシリンダヘッド15の右側面対応部位まで前方へ延出し(図10等に示すように延出部2とする)、図11に示されるように側面視において、その先端部が略シリンダ軸線Z上で内方(後方)に凹状をなす凹状部3を有する。この凹状部3の滑かな曲面を持つ凹状部3によりその上側及び下側に上溜り部4及び下溜り部5がそれぞれ形成される。なお、この凹状部3に対応して、動弁装置のカムシャフトが配置されるため(図11では紙面直交方向に配置される)、そのメンテナンス等のためにシュラウド18と干渉しないようにする必要がある。
また、平面視におい図10に示されるように上溜り部4及び下溜り部5に対応するシュラウド18の側面は、左右幅で空気導入部1から先端に向って幅狭になると共に、その先端の曲率中心が、シリンダヘッド15の側面よりも幅方向で外側に位置する。つまり延出部2は図10の平面視で、前方に向けてシリンダ軸線Zに接近するように傾斜し、その先端部2aは大きな曲率半径で湾曲形成される。そして、上記のようにその曲率中心が、シリンダヘッド15の側面よりも幅方向で外側に位置する、即ち右側にはずれていることで、シュラウド18の前面部には平坦部6を有する。
更に、シュラウド18は、空気導入部1から導入されて内部を流通した冷却風を外部に排出するための冷却風排風口7(図4参照)を有する。この冷却風排風口7は平面視において、シリンダ軸線Zに対して冷却ファン17と反対側、即ち左側に開設され、シリンダ15の下面における冷却フィン33Bの下方に設けられる。
上記構成のエンジン冷却構造において、次にその作用について説明する。なお、図10〜図12等を適宜参照する。エンジン11が始動してクランクシャフト12が回転すると、クランクシャフト12の軸端に取り付けられた冷却ファン17の羽根25が、図11の矢印Aのように回転する。これにより冷却ファン17の周囲の空気が巻き込まれて、シュラウド18内へ図12の矢印AINのように導入される。冷却風の主流は矢印A1のようにシュラウド18の上面に沿ってシリンダヘッド15方向へと流れる。
本発明では先ず、シリンダ14壁面の上面に設けた複数の冷却フィン33の一部、即ち冷却フィン33Aを冷却ファン17の取付側(右側)で前方に曲折延長させる。これにより、シリンダ14の上面において本例のようにその右側にカムチェーンテンショナアジャスタ30や更にはセンサ等が取り付けられていても、冷却フィン33の開口もしくは開放状態が確保される。このように冷却フィン33に対して開口を確保することで、この開口部から冷却風を確実に取り込むことができる。なお、カムチェーンテンショナアジャスタ30等が反対側、即ち左側に配置された場合でも冷却風を確実に取り込むことができる。
冷却フィン33の開口周辺から取り込まれた冷却風は、冷却フィン33Aの傾斜方向に沿って円滑に流れ、その結果シリンダ14はそのシリンダ軸線Z方向にも周方向にも万遍なく、且つ効率よく冷却されるので、冷却性能が格段に向上する。
また、このように冷却効率が高いことで、シリンダ14に設ける冷却フィン33の面積を小さくすることができ、即ち冷却フィン33の高さを低く、その個数を少なく、更には長さを短くすることで周辺部品とのレイアウトの自由度を大幅に拡大することができる。更に、冷却フィン33の大きさ寸法及び数量を抑制することでエンジン11の軽量化、コスト低減及びコンパクト化等を有効に実現することが可能になる。
また、このように冷却効率が高いことで、シリンダ14に設ける冷却フィン33の面積を小さくすることができ、即ち冷却フィン33の高さを低く、その個数を少なく、更には長さを短くすることで周辺部品とのレイアウトの自由度を大幅に拡大することができる。更に、冷却フィン33の大きさ寸法及び数量を抑制することでエンジン11の軽量化、コスト低減及びコンパクト化等を有効に実現することが可能になる。
更に、本発明のエンジン冷却構造における冷却風の流れ等を含む特徴的な作用について説明する。クランクシャフト12の右外側部において、シュラウド18の側面に設けられた冷却風を導入するための空気導入開口1aから冷却ファン17によりシュラウド18内に吹き込まれた冷却風の主流は、上述のように図11の矢印A1のようにシュラウド18の上面に沿ってシリンダヘッド15方向へと流れる。その後、シュラウド18の先端部2aでは、シュラウド18の内方へ凹設した凹状部3の底部付近で図11の矢印A2及び矢印A3のようにシリンダヘッド15の右側壁面を下向きに向う冷却風と上方へ向う冷却風に分岐する。これらのうち下方に分岐した冷却風(矢印A3)はシリンダ14及びシリンダヘッド15の下面を通って冷却風排風口7(図4参照)から排出される。
シリンダ14の上面へ向う冷却風(矢印A2)は、シュラウド18が幅方向で先端部2aに向って幅が狭くなる形状と、上溜り部4の形状との相乗効果により流速が上がり、また、図10の平面視でシュラウド18の先端部2aの大きな曲率とその曲率中心がシリンダヘッドの側面よりも外側にあること、また、シリンダヘッド15の段差部34(図9等参照)の段差形状が言わば壁として作用し矢印A4のように戻り風が発生する。この戻り風の一部は矢印A5のようにシュラウド18の先端部2aの形状に沿ってシリンダヘッド15の上面を回ってシリンダヘッド15まわりを冷却して、シリンダヘッド15の側面から下面を通って矢印AOUTのように冷却風排風口7から排出される。
一方、戻り風の出口先もしくは流出先は、シリンダヘッド15の段差部34の壁面立上り部と一致する。このため側面視において前面がシリンダヘッド15の段差部34の壁面立上り部、上面がシュラウド18の内面、下面がシリンダヘッド15及びシリンダ14の上面により、シリンダ14への導入口S(図9参照)が形成されることで、流速が速い戻り風が矢印A6のようにシリンダ14方向へ吹き込まれる。この吹き込まれた冷却風は、エンジン11の前方へ曲折延長された冷却フィン33Aにより、シリンダ14の上面から側面を冷却フィン33に沿って円滑に冷却して矢印AOUTのように冷却風排風口7から排出される。
上記のように冷却ファン17によりシュラウド18内に取り入れられた冷却風をシュラウド18の形状、シリンダヘッド15の形状及びシリンダ14の冷却フィン33、特に冷却フィン33Aの形状を工夫することで吸気(インテーク)側と排気(エキゾースト)側の双方に冷却風をバランスよく流通させる。そして、それらのいずれか一方に流れた冷却風が再び回り込むことがなくなるため、常に新鮮な冷却風による高い冷却性能が得られる。また、冷却ファン17からのシュラウド18内に吸入される冷却風を極めて効率よく円滑にシリンダの冷却フィン33に供給することができるため、実質的に少量の風量で必要且つ十分な冷却効果が確保され、結果的に燃費向上に寄与する等の利点もある。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
例えば、シリンダ14の上面においてカムチェーンテンショナアジャスタ30や更にはセンサ等が左側に配置される場合でも上記実施形態と同様な作用効果が得られる。
例えば、シリンダ14の上面においてカムチェーンテンショナアジャスタ30や更にはセンサ等が左側に配置される場合でも上記実施形態と同様な作用効果が得られる。
1 空気導入部、2 延出部、3 凹状部、4 上溜り部、5 下溜り部、6 平坦部、7 冷却風排風口、10 パワーユニット、11 エンジン、12 クランクシャフト、13 クランクケース、14 シリンダ、15 シリンダヘッド、16 シリンダヘッドカバー、17 遠心式冷却ファン、18 シュラウド、19 動力伝動装置、20 ケーシング、21 インテークポート、22 エキゾーストポート、23 エキゾーストパイプ、24 マフラ、25 羽根、26 ジェネレータ、27 ロータ、28 カムチェーン、29 カムチェーン室、30 カムチェーンテンショナアジャスタ、31 マウント部、32 キャップ、33 冷却フィン、34 段差部、100 車両、101 アンダーフレーム、102 リヤフレーム、103 フロントフォーク、104 ハンドルバー、105 前輪、106 ブレーキディスク、107 ステー、108 スイング軸、109 後輪、110 ショックアブソーバ、111 シート、112 ステップボード、113 レッグフレームカバー、114 フロントレッグシールド、115 リヤフレームカバー、116 フロントフェンダ、117 リヤフェンダ117。
Claims (4)
- シリンダ及びシリンダヘッドに設けられた複数の冷却フィンと、
クランク軸の軸端に嵌着された遠心式冷却ファンと、
前記シリンダ、前記シリンダヘッド及び前記遠心式冷却ファンを覆うシュラウドと、を有してなる強制空冷式エンジンにおいて、
前記シリンダ上面にてシリンダ軸線よりも前記遠心式冷却ファン側に配置されたカムチェーンテンショナアジャスタを備え、
前記シリンダ上面に設けた前記冷却フィンの端部は開口されると共に、その一部の冷却フィンの端部が前方へ曲折延長され、その延長端部は前記カムチェーンテンショナアジャスタとオーバラップしていることを特徴とする強制空冷式エンジンの冷却構造。 - 前記シュラウドは側面視でその先端部において、略シリンダ軸線上で内方に凹状をなす円滑な曲面により上溜り部及び下溜り部が形成され、
前記上溜り部及び下溜り部に対応する前記シュラウド側面は平面視で、空気導入部から前記先端部に向って車幅方向に幅狭になると共に、その先端部の曲率中心が、前記シリンダヘッドの側面よりも車幅方向で外側に位置することを特徴とする請求項1に記載の強制空冷式エンジンの冷却構造。 - 前記シリンダヘッド上面の前部に上方に突設された段差部を有し、この段差部における前記シリンダヘッド上面及び前記シュラウド間の隙間に冷却風を流通させる流路が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の強制空冷式エンジンの冷却構造。
- 前記シュラウドに設けられた冷却風排風口は平面視で、シリンダ軸線に対して車幅方向で前記冷却ファンと反対側に、且つ前記シリンダ下面の前記冷却フィン下方に設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の強制空冷式エンジンの冷却構造。
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