JP6943538B2 - 鞍乗型車両 - Google Patents

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Description

本発明は、鞍乗型車両に係り、特に、エンジンを冷却する冷却水を圧送するためのウォータポンプを備えた鞍乗型車両に関する。
従来から、エンジンを冷却する冷却水を圧送するウォータポンプを備えた鞍乗型車両が知られている。
特許文献1には、羽根車を収納するポンプ部と羽根車を回転させるモータのケーシング部とを一体に構成した電動式のウォータポンプユニットを備えた自動二輪車において、エンジンのシリンダヘッドの上方にウォータポンプユニットを配設した構成が開示されている。
特開2015−81575号公報
しかし、特許文献1の構成では、ウォータポンプユニットがエンジン熱の影響を受けやすいほか、エンジン側の吐出口および吸入口との距離が遠いために冷却水配管が長くなりやすく、さらに、シリンダヘッド上方のスペースがウォータポンプユニットおよび冷却水配管に占有されて他の部品の配設自由度が低下するという課題があった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、電動式のウォータポンプユニットの配置を工夫することで、エンジン熱の影響低減や配設スペースの効率化を図ることができる鞍乗型車両を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、動力源として車体に取り付けられるエンジン(E)と、モータ駆動力によって前記エンジン(E)に冷却水を圧送する電動式のウォータポンプユニット(U)とを有する鞍乗型車両(1)において、前記ウォータポンプユニット(U)が、前記エンジン(E)の側方に配置されている点に第1の特徴がある。
また、前記エンジン(E)の左右いずれか一方側に、カムシャフト駆動機構(M)が設けられており、前記ウォータポンプユニット(U)及び前記ウォータポンプユニット(U)からシリンダへ連結される接続部材(76,77)は、前記カムシャフト駆動機構(M)が設けられていない他方側の前記エンジン(E)の側方に配設されている点に第2の特徴がある。
また、前記ウォータポンプユニット(U)は、前記エンジン(E)の前方に配設されるラジエータ(22)と接続されており、前記ウォータポンプユニット(U)が、車体側面視で、前記エンジン(E)のクランクシャフト(C)の軸線(CO)より後方に配設されている点に第3の特徴がある。
また、前記ウォータポンプユニット(U)は、前記エンジン(E)の前方に配設されるラジエータ(22)と接続されており、前記ラジエータ(22)と前記ウォータポンプユニット(U)との間の位置に、複数の他の機能部品(41,42)が配設されている点に第4の特徴がある。
また、前記ウォータポンプユニット(U)は、車体側面視で前後方向に指向する回転軸(73)を有し、前記ウォータポンプユニット(U)の吐出部(98,99)が、前記回転軸(73)より上方に位置する点に第5の特徴がある。
また、前記エンジン(E)が、前側気筒(FS)と後側気筒(RS)とを有するV型エンジンであり、前記ウォータポンプユニット(U)が、車体側面視で、前記後側気筒(RS)のシリンダヘッド(H)とクランクケース(49)との接合面(D)に重なる位置に配設されている点に第6の特徴がある。
また、前記ウォータポンプユニット(U)は、冷却水を圧送する羽根車が収納されたポンプ部(70)と、該ポンプ部(70)の後部に連結されるモータ部(72)とを含み、前記ウォータポンプユニット(U)に、前記モータ部(72)に走行風を導くダクト(51)が取り付けられている点に第7の特徴がある。
また、前記ダクト(51)が、車体を覆うカウル部材(28)に設けられた走行風導入孔(100)に連通する導風部材(101)に連結される点に第8の特徴がある。
さらに、前記ウォータポンプユニット(U)に、前記ダクト(51)を支持する筒状突起(81)が設けられており、前記筒状突起(81)の内部に、フィルタ部材(110)が設けられている点に第9の特徴がある。
第1の特徴によれば、動力源として車体に取り付けられるエンジン(E)と、モータ駆動力によって前記エンジン(E)に冷却水を圧送する電動式のウォータポンプユニット(U)とを有する鞍乗型車両(1)において、前記ウォータポンプユニット(U)が、前記エンジン(E)の側方に配置されているので、例えば、エンジンの上方にウォータポンプユニットを配置する構成に比して、エンジンから上方に立ち上る熱の影響を受けにくくすることが可能となる。また、エンジンの側方にウォータポンプユニットを配設することで、エンジンの上方等に他の部品を配設することができ、スペース効率を高めることができる。
第2の特徴によれば、前記エンジン(E)の左右いずれか一方側に、カムシャフト駆動機構(M)が設けられており、前記ウォータポンプユニット(U)及び前記ウォータポンプユニット(U)からシリンダへ連結される接続部材(76,77)は、前記カムシャフト駆動機構(M)が設けられていない他方側の前記エンジン(E)の側方に配設されているので、カムシャフト駆動機構がないために冷却水の出入口を設けやすい側にウォータポンプユニットを配設することで、冷却水の出入口とウォータポンプユニットとを近づけて配管構造を簡略化することが可能となる。
第3の特徴によれば、前記ウォータポンプユニット(U)は、前記エンジン(E)の前方に配設されるラジエータ(22)と接続されており、前記ウォータポンプユニット(U)が、車体側面視で、前記エンジン(E)のクランクシャフト(C)の軸線(CO)より後方に配設されているので、ラジエータとウォータポンプユニットとを離間させることで、ウォータポンプユニットがラジエータの排熱の影響を受けにくくなる。また、ウォータポンプユニットが車体の重心に近い位置に配設されることで、マスの集中を図ることができる。
第4の特徴によれば、前記ウォータポンプユニット(U)は、前記エンジン(E)の前方に配設されるラジエータ(22)と接続されており、前記ラジエータ(22)と前記ウォータポンプユニット(U)との間の位置に、複数の他の機能部品(41,42)が配設されているので、ウォータポンプユニットをエンジンの後方寄りに配設したことで確保される前方側のスペースを有効利用して、他の機能部品を配設することが可能となる。また、他の機能部品が防風壁となることで、より一層、ラジエータの排熱がウォータポンプユニットに届きにくくなる。
第5の特徴によれば、前記ウォータポンプユニット(U)は、車体側面視で前後方向に指向する回転軸(73)を有し、前記ウォータポンプユニット(U)の吐出部(98,99)が、前記回転軸(73)より上方に位置するので、エンジン側の吸入口の配置によって吐出部の高さ方向の位置が制限される場合に、例えば、吐出部が回転軸より下方に位置する構成に比して、吐出部が回転軸より上方に位置することでウォータポンプユニット全体が下方寄りに位置することとなる。これにより、鞍乗型車両の重心位置を下げることができる。
第6の特徴によれば、前記エンジン(E)が、前側気筒(FS)と後側気筒(RS)とを有するV型エンジンであり、前記ウォータポンプユニット(U)が、車体側面視で、前記後側気筒(RS)のシリンダヘッド(H)とクランクケース(49)との接合面(D)に重なる位置に配設されているので、クランクケースより車幅方向が小さいシリンダ部分の側方にウォータポンプユニットを配設することで、車体の車幅方向寸法の増大を抑えることが可能となる。また、車体後方寄りのシリンダの側方にウォータポンプユニットを配設することで、ウォータポンプユニットの前方に他の部品を配設するスペースを確保することが可能となる。また、車体の重心にウォータポンプユニットを近づけることで、マスの集中を図ることができる。
第7の特徴によれば、前記ウォータポンプユニット(U)は、冷却水を圧送する羽根車が収納されたポンプ部(70)と、該ポンプ部(70)の後部に連結されるモータ部(72)とを含み、前記ウォータポンプユニット(U)に、前記モータ部(72)に走行風を導くダクト(51)が取り付けられているので、ポンプ部の後方に隠れて走行風が当たりにくいモータ部を積極的に冷却することが可能となる。
第8の特徴によれば、前記ダクト(51)が、車体を覆うカウル部材(28)に設けられた走行風導入孔(100)に連通する導風部材(101)に連結されるので、カウル部材の外側から導入した走行風を積極的にモータ部に導いて、モータ部の冷却効果を高めることが可能となる。
第9の特徴によれば、前記ウォータポンプユニット(U)に、前記ダクト(51)を支持する筒状突起(81)が設けられており、前記筒状突起(81)の内部に、フィルタ部材(110)が設けられているので、ダクトに導かれた走行風に含まれている砂粒等がモータ部に侵入することを防ぎ、モータ部を保護することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。 自動二輪車の右側面図である。 自動二輪車の正面図である。 パワーユニットが取り付けられた車体フレームの左側面図である。 メインフレームの一部を消去した図4の一部拡大図である。 図5からカバー部材を取り外した状態を示す左側面図である。 ウォータポンプユニットとラジエータとの間の冷却水配管の構成を示す斜視図である。 ウォータポンプユニットの取付構造を示す左側面図である。 ウォータポンプユニットの取付構造を示す斜視図である。 ウォータポンプユニットの取付構造を示す斜視図である。 パワーユニットが取り付けられた車体フレームの平面図である。 図10のXII−XII線断面に対応する平面図である。 サイドカウルを左前方から見た斜視図である。 図8のXIV−XIV線断面図である。 図14のXV−XV線断面図である。 車幅方向左側のサイドカウルを裏面側から見た一部断面斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る自動二輪車1の左側面図である。また、図2は同右側面図であり、図3は同正面図である。鞍乗型車両としての自動二輪車1の車体フレーム4は、ヘッドパイプ9から後方下方に延出する左右一対のメインフレーム5を有する。ヘッドパイプ9に揺動自在に軸支される前輪WFの操舵系は、車軸17によって前輪WFを軸支する左右一対のフロントフォーク15と、ヘッドパイプ9の上下でフロントフォーク15をクランプするトップブリッジ8およびボトムブリッジ11と、トップブリッジ8およびボトムブリッジ11を互いに連結してヘッドパイプ9に軸支されるステアリングステム(不図示)とからなる。フロントフォーク15の上部には操向ハンドル6が固定されている。
メインフレーム5の後端部には、スイングアーム23を揺動可能に軸支するピボット19を支持する左右一対のピボットフレーム20が接続されている。メインフレーム5の下方かつピボットフレーム20の前方には、V型4気筒のエンジンEと変速機とを一体に構成したパワーユニットPが固定されている。エンジンEの燃焼ガスは、排気管を介して車幅方向右側のマフラ37に導かれる。エンジンEの駆動力は、出力軸に固定されるドライブスプロケット18に巻きかけられた無端状のドライブチェーン26を介して、車軸24でスイングアーム23の後端に回転自在に軸支された後輪WRに伝達される。
ヘッドパイプ9の前方には、防風スクリーン7を備えるフロントカウル10が配設されている。車体前方を覆うフロントカウル10の後部には、車体側方を覆う左右一対のサイドカウル28が連結されており、サイドカウル28の下端部には、パワーユニットPの下部を覆うアンダカウル21が連結されている。
前輪WFの上部を覆うフロントフェンダ14は、フロントフォーク15に固定されている。メインフレーム5の上部には、燃料タンク31およびエアクリーナボックス3の上部を覆うタンクカバー2が取り付けられている。タンクカバー2に取り付けられるシート30の後方にはリヤカウル29が配設されており、後輪WRの上部を覆うリヤフェンダ27は、スイングアーム23の上部に固定されている。
スイングアーム23は、ピボット19の後方に配設されるリヤクッション32によって車体フレーム4に吊り下げられている。メインフレーム5の車幅方向外側には、エアクリーナボックス3の下部に外気を導く導風管13が左右一対で配設されている。導風管13は、フロントフォーク15の車幅方向外側を通ってヘッドパイプ9の前方で集合し、フロントカウル10の車幅方向中央に設けられた吸気開口12に接続される。エンジンEの車体前方にはラジエータ22が配設されており、車幅方向に長尺なラジエータ22の下方には縦方向に長尺なオイルクーラ39が配設されている。
前側2気筒および後側2気筒を有するV字形状のエンジンEには、クランクシャフトCの回転動力でカムシャフトを駆動するためのカムシャフト駆動機構Mが設けられている。複数のギヤで構成されるカムシャフト駆動機構Mは、エンジンEの車幅方向右側の端部に配設される。なお、カムシャフト駆動機構Mの配設位置は、エンジンEの車幅方向右側端部に限られず、右側寄りの位置であってもよい。
エンジンEの車幅方向左側の側方には、本発明に係るウォータポンプユニットUが配設されている。羽根車を収納するポンプ部と羽根車を回転させるモータのケーシング部とを一体に構成した電動式のウォータポンプユニットUは、後側気筒の左側方で、クランクシャフトCの軸線COの後方かつ上方に位置する。自動二輪車1の重心Gは、車幅方向中央かつ後側気筒の上部近傍に位置する。
図4は、パワーユニットPが取り付けられた車体フレーム4の左側面図である。前記したように、ヘッドパイプ9の上方側から後方下方に延びる左右一対のメインフレーム5の後端部には、ピボット19を支持するピボットフレーム20が連結されている。一方、ヘッドパイプ9の下方側からは、パワーユニットPの前側を支持するハンガフレーム45が延びている。
ハンガフレーム45の下端部にはハンガボルトが貫通するボス部47が設けられており、ハンガボルトの車幅方向外側には、スライダ部材48が取り付けられている。ハンガフレーム45の後端部は、連結部45aによってメインフレーム5と連結されており、これにより、メインフレーム5と連結部45aとの間に開口40が形成される。この開口40には、導風管13(図2参照)の後端部が連結される。パワーユニットPの後部は、ピボット19の上下に位置する上側ハンガ部58および下側ハンガ部57によって、ピボットフレーム20に支持されている。
エンジンEの後側気筒RSの後部には、排気管55,56が連結されている。エンジンEのクランクケース49の下端部には、下方に突出するオイルパン50が取り付けられている。クランクケース49の左側部には、クランクシャフトCと同期回転するジェネレータを覆うジェネレータカバー33が取り付けられている。
ラジエータ22は、ハンガフレーム45の前方に配設される。ラジエータ22の車幅方向左側には、ラジエータ22で放熱された冷却水を排出する排出側配管44と、ウォータポンプユニットUから圧送される冷却水を吸入する吸入側配管46とが接続されている。ラジエータ22の上方には、冷却水キャップ43が配設されている。
エンジンEの後側気筒RSの左側方で、メインフレーム5の下部には、ウォータポンプユニットUを覆うカバー部材54が配設されている。カバー部材54は、前方側の締結部材53によってメインフレーム5に固定されると共に、後方側の締結部材52によってエンジンEに固定されている。カバー部材54の下方寄りの位置には、ウォータポンプユニットUに走行風を導くダクト51(図示点描ハッチング部)が配設される。
カバー部材54の前方には、電装部品41,42が配設されている。本発明では、ウォータポンプユニットUをエンジンEの側方かつ後方寄りの位置に配設することで、エンジン熱の影響を低減すると共に、電装部品41,42等のレイアウト自由度を高めている。また、カムシャフト駆動機構Mが設けられていないエンジンEの左側は冷却水の出入口を設けやすく、冷却水の出入口とウォータポンプユニットUとを近接配置して配管構造を簡略化することを可能としている。
図5は、メインフレーム5の一部を消去した図4の一部拡大図である。また、図6は図5からカバー部材54を取り外した状態を示す左側面図である。エンジンEは、前側気筒FSおよび後側気筒RSからなるV型4気筒とされ、前後気筒の間には、スロットルバルブやインジェクタを含む燃料噴射機構61が配設される。導風管13(図1参照)の後端部は、車体フレーム4に形成された開口40を貫通して、燃料噴射機構61を覆うエアクリーナボックス3(図1参照)の側部に連結される。エンジンEのシリンダは、クランクケース49に一体に構成されており、クランクケース49と前後気筒のシリンダヘッドHとの間に、それぞれ接合面Dが形成される。
カバー部材54に覆われるウォータポンプユニットUには、その前方側に冷却水の吸入ノズル71が設けられている。吸入ノズル71は、ハンガフレーム45の車幅方向内側を通る第1配管60を介して、ラジエータ22で放熱された冷却水を排出する排出側配管44に接続される。ウォータポンプユニットUから吐出された冷却水は、吸入ノズル71の車幅方向内側に位置する第2配管(図示グレー着色部。図7参照)を介してエンジンEに導かれる。さらに、エンジンEを冷却した冷却水は、第3配管としての吸入側配管46を介してラジエータ22に導かれる。
本実施形態では、ウォータポンプユニットU、第1配管60、第2配管および第3配管46が、いずれもラジエータ22の上端と下端の間の領域に収まると共に、互いに重なって配設される。これにより、ラジエータ22の上下寸法内にウォータポンプユニットUおよび複数の配管からなる冷却システムが集約配置されることで、冷却水配管の全長を短縮すると共に、メンテナンス性が高められている。
また、ウォータポンプユニットUは、車体側面視で、クランクシャフトCの軸線COより後方に配置されている。これにより、ラジエータ22とウォータポンプユニットUとを離間させることで、ウォータポンプユニットUがラジエータ22の排熱の影響を受けにくくなる。また、ウォータポンプユニットUが車体の重心Gに近い位置に配設されることで、マスの集中を図ることができる。
また、図4に示したように、ラジエータ22とウォータポンプユニットUとの間の位置に、複数の他の機能部品としての電装部品41,42が配設されるため、ウォータポンプユニットUをエンジンEの後方寄りに配設したことで確保される前方側のスペースを有効利用して電装部品41,42を配設できるほか、電装部品41,42が防風壁となることで、より一層、ラジエータ22の排熱がウォータポンプユニットUに届きにくくなる。
さらに、ウォータポンプユニットUは、車体側面視で、後側気筒RSのシリンダヘッドHとクランクケース49との接合面Dに重なる位置に配設されている。これにより、クランクケース49より車幅方向が小さいシリンダ部分の側方にウォータポンプユニットUを配設することで、車体の車幅方向寸法の増大を抑えることが可能となる。また、車体の重心GにウォータポンプユニットUを近づけることで、マスの集中を図ることができる。
図7は、ウォータポンプユニットUとラジエータ22との間の冷却水配管の構成を示す斜視図である。ウォータポンプユニットUは、羽根車を収納するポンプ部70と、羽根車を回転させるモータのケーシングを有するモータ部72とを一体に構成してなる。大径のポンプ部70の前部には吸入ノズル71が設けられており、ポンプ部70の後部には、ポンプ部70より小径のモータ部72が連結される。羽根車を回転させる回転軸73の軸線74は、車体側面視で前後方向に指向すると共に、車体平面視で傾斜して配設されている。
ポンプ部70の上部には、後方側の第1吐出部98と前方側の第2吐出部99とが並んで配設されている。第1吐出部98および第2吐出部99には、第2配管としての後側配管75および前側配管77がそれぞれ接続されている。第1吐出部98に連結される後側配管75は、後側気筒RSのシリンダに取り付けられる後側接続部材76に連結される。一方、第2吐出部99に連結される前側配管77は、前側気筒FSのシリンダに取り付けられる前側接続部材78に連結される。
ウォータポンプユニットUの吸入ノズル71は、弾性を有する固定部材80を介して第1配管60に連結される。第1配管60は、前側気筒FSのシリンダヘッドHとハンガフレーム45との間の隙間を通すために、一部が略長円断面をなすように形成される。第3配管としての吸入側配管46は、エンジンEの車幅方向左側でシリンダに接続される。ポンプ部70の下方寄りの位置には、ウォータポンプユニットUに走行風を導くダクト51が取り付けられており、ダクト51の前端部には、導風部材101が連結されている。
図8は、ウォータポンプユニットUの取付構造を示す左側面図である。また、図9はウォータポンプユニットUの取付構造を示す斜視図である。図9は、図8より前方下方からウォータポンプユニットUを見た状態を示している。ウォータポンプユニットUの回転軸73は、車体側面視で前後方向に指向しており、ウォータポンプユニットUは、ドライブスプロケット18の上方に配設されている。
図7に示したように、第2配管としての後側配管75は、締付バンド75aによって第1吐出部98に連結される。また、第2配管としての前側配管77は、締付バンド77aによって第2吐出部99に連結される。後側配管75および前側配管77は、いずれもウォータポンプユニットUの車幅方向内側に配索される。
ウォータポンプユニットUのモータ部72は、ポンプ部70の後部に複数のボルト82によって固定されている。モータ部72の前方寄りの位置には、ゴム等からなるダクト51を挿入固定する筒状突起81が、ねじ81aによって固定されている。ダクト51の開口51aから吸入される走行風は、筒状突起81の開口81bからモータ部72の内部に導かれてモータや回転軸73等を冷却する。これにより、ポンプ部70の後方に隠れて走行風が当たりにくいモータ部72を積極的に冷却することができる。
ウォータポンプユニットUは、回転軸73の前方に位置する前側支持部92と、回転軸73の後方に位置する後側支持部59によって車体に支持される。これにより、回転軸73の前後の位置でウォータポンプユニットUを支持することで、ウォータポンプユニットUの振動を効果的に抑制することが可能となる。
前側支持部92は、ジェネレータカバー33の取付ボルト91に共締め固定されるステー90とポンプ部70の前方下部に形成されるフランジ70aとを、ラバーマウントによって共締め固定する締結部材を含んで構成される。一方、後側支持部59は、モータ部72の後端にラバーマウントされるステー部材88をメインフレーム5に固定する締結部材を含んで構成される。
後側支持部59は、車体側面視で、回転軸73の軸線74の延長線上に位置している。これにより、回転軸73の延長線上でモータ部72の後部を支持することで、より効果的に振動を抑制することが可能となる。また、後側支持部59は、ピボットフレーム20に設けられるエンジン支持部としての上側ハンガ部58に近接配置される。これにより、メインフレーム5とエンジンEとの位置関係が変わりにくいエンジン支持部の近傍でウォータポンプユニットUの後端部を支持することで、ウォータポンプユニットUを安定的に支持することを可能にしている。
また、ウォータポンプユニットUは、クランクシャフトCの軸線COとメインフレーム5との間に配設されており、前側支持部92はエンジンEに固定され、一方の後側支持部59がメインフレーム5に固定されている。これにより、エンジンEとメインフレーム5の間の位置にウォータポンプユニットUを配設することが容易になると共に、ウォータポンプユニットUを支持するためのステーをエンジン側とメインフレーム側に分散して設けることで、ステーの小型軽量化を図ることができる。
ウォータポンプユニットUが、前方側でエンジンEに固定されると共に後方側でメインフレーム5に固定されるのに対し、ウォータポンプユニットUを覆うカバー部材54(図4参照)は、前方側で車体フレーム4に固定されると共に後方側でエンジンEに固定される。カバー部材54の後方側を支持する締結部材52は、後側支持部59の下方でかつドライブスプロケット18の近傍の位置に配設されている。
図10は、ウォータポンプユニットUの取付構造を示す斜視図である。この図では、図8より後方上方からウォータポンプユニットUを見た状態を示している。本実施形態に係るウォータポンプユニットUは、ポンプ部70の上部に、第1吐出部98および第2吐出部99からなる2つの吐出部を有している。これにより、単一の吐出部から2つの接続先に分岐させるための別部品を設けることなく、2つの接続先に配管することが容易となる。また、部品点数を低減し、冷却水配管を短縮して軽量化を図るほか、メンテナンス性を高めることが可能となる。
第1吐出部98および第2吐出部99は、ウォータポンプユニットUの外周部に並んで設けられる。これにより、2つの吐出部の吐出圧力を均等に保つことが容易となるほか、2つの吐出部が近接配置されることで、冷却水配管の交換等のメンテナンス作業が容易となる。
また、第1吐出部98および第2吐出部99は、回転軸73より上方に設けられている。これにより、エンジン側の吸入口の配置によって吐出部の高さ方向の位置が制限される場合に、例えば、吐出部が回転軸73より下方に位置する構成に比して、吐出部が回転軸73より上方に位置することでウォータポンプユニットUの全体が下方寄りに位置することとなる。これにより、鞍乗型車両の重心位置を下げることができる。
図11は、パワーユニットPが取り付けられた車体フレーム4の平面図である。また、図12は図10のXII−XII線断面に対応する平面図である。図11,12では、メインフレーム5の一部を消去している。
本実施形態では、第1吐出部98が第2吐出部99より後方に位置しており、第1吐出部98が後側気筒RSのシリンダに冷却水を圧送すると共に、第2吐出部99が前側気筒FSに冷却水を圧送するように構成されている。これにより、2つの吐出部を前後に並べて配設することで、特にV型エンジンのレイアウトに好適な冷却システムを得ることを可能としている。
また、第1吐出部98の吐出口98aおよび第2吐出部99の吐出口99aが、それぞれ、車幅方向内側に指向すると共に前後方向に並んで配設されることで、吐出部98,99とエンジンEとの距離を小さくして冷却水配管を短縮している。
また、ウォータポンプユニットUの回転軸73の軸線74は、車体平面視で、車体前方に向かうにつれて車幅方向外側に位置するように傾斜している。これにより、外径寸法の大きなポンプ部70とエンジンEとの干渉を避けつつ、モータ部72の後端部をメインフレーム5に固定することが容易となる。また、回転軸73の軸線74が傾斜することで、後側配管75および前側配管77の配索スペースも確保される。
本実施形態では、ウォータポンプユニットUを車体に支持するための前側支持部92および後側支持部59に、それぞれ、ラバーマウント構造を適用している。詳しくは、後側支持部59では、ステー部材88とモータ部72とを固定する締結部材88aの締め付け部に弾性部材を挟むことでラバーマウントを構成する。また、吸入ノズル71と第1配管60との間の固定部材80がゴム等の樹脂部材で形成されることで、ウォータポンプユニットUを支持する計5カ所でモータ振動を吸収できると共に、車体側からウォータポンプユニットUに伝達される振動も低減することを可能としている。
図13は、サイドカウル28を左前方から見た斜視図である。サイドカウル28には、ラジエータ22の排熱を外方に逃がす上側排風口150と、オイルクーラ39の排熱を外方に逃がす下側排風口151との間に、サイドカウル28の内側に外気を導入する走行風導入口100が設けられている。走行風導入口100は、サイドカウル28の裏面側に取り付けられる導風部材101の先端に連結される。ウォータポンプユニットUを覆うカバー部材54は、モータ部72を冷却した温風が運転者の足に当たらないように整流する機能を有する。
図14は、図8のXIV−XIV線断面図である。ウォータポンプユニットUの中央に設けられる吸入ノズル71の吸入口71aは、ポンプ部70の中央に設けられている。ポンプ部70は、クランクシャフトCと同期回転するジェネレータGEおよびジェネレータカバー33の後方上方の後側気筒RSの側方に近接配置されることで、ポンプ部70の車幅方向外側への突出量を最小限に抑えている。
ウォータポンプユニットUを、回転軸73の前後で車体に支持する前側支持部92および後側支持部59は、車体正面視で、略円形をなすポンプ部70の外形に収まる位置に設けられている。これにより、ウォータポンプユニットUを支持する前後2カ所の支持部59,92が回転軸73に近接配置されることで、振動抑制の効果を高めることが可能となる。ダクト51は、ポンプ部70の下方寄りの位置から前方下方に延出して導風部材101に連結される。
図15は、図14のXV−XV線断面図である。また、図16は車幅方向左側のサイドカウル28を裏面側から見た一部断面斜視図である。サイドカウル28の裏面側に取り付けられた導風部材101は、走行風導入口100との連結部の後方で上方に湾曲してダクト51の先端に連結される。電装部品41,42は、導風部材101の上方かつサイドカウル28の裏面側に近接する位置で、車体側に固定される。
ダクト51を支持する筒状突起81とポンプの間には、不織布やスポンジ等からなるフィルタ部材110が設けられている。これにより、ダクト51に導かれた走行風に含まれている砂粒等がモータ部72に侵入することを防ぎ、モータ部72を保護することが可能となる。
なお、自動二輪車やエンジンの形態、ウォータポンプユニットの形状や構造、ポンプ部やモータ部の形状や構造、各種配管の寸法や材質、ダクトや導風部材の形状等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、カムシャフト駆動機構が車体の左側に設けられている場合には、ウォータポンプユニットを車体の右側に設けることができる。本発明に係るウォータポンプユニットを含む冷却構造は、鞍乗型の三輪車や四輪車等に適用することが可能である。
1…自動二輪車(鞍乗型車両)4…車体フレーム、5…メインフレーム、9…ヘッドパイプ、22…ラジエータ、28…サイドカウル(カウル部材)、41,42…電装部品(他の機能部品)、46…吸入側配管(第3配管)、49…クランクケース、51…ダクト、58…エンジン支持部、59…後側支持部(支持部)、60…第1配管、92…前側支持部(支持部)、70…ポンプ部、72…モータ部、73…回転軸、74…回転軸の軸線、75…後側配管(第2配管)、77…前側配管(第2配管)81…筒状突起、98…第1吐出部(吐出部)、99…第2吐出部(吐出部)、98a…第1吐出部の吐出口、99a…第2吐出部の吐出口、100…走行風導入孔、101…導風部材、110…フィルタ部材、C…クランクシャフト、CO…クランクシャフトの軸線、D…接合面、E…エンジン、FS…前側気筒、RS…後側気筒、U…ウォータポンプユニット、M…カムシャフト駆動機構、H…シリンダヘッド

Claims (9)

  1. 動力源として車体に取り付けられるエンジン(E)と、モータ駆動力によって前記エンジン(E)に冷却水を圧送する電動式のウォータポンプユニット(U)とを有する鞍乗型車両(1)において、
    前記ウォータポンプユニット(U)が、前記エンジン(E)の側方に配置されており、
    前記ウォータポンプユニット(U)は、車体側面視で前後方向に指向する回転軸(73)を有し、
    前記ウォータポンプユニット(U)の吐出部(98,99)が、前記回転軸(73)より上方に位置することを特徴とする鞍乗型車両。
  2. 前記エンジン(E)の左右いずれか一方側に、カムシャフト駆動機構(M)が設けられており、
    前記ウォータポンプユニット(U)及び前記ウォータポンプユニット(U)からシリンダへ連結される接続部材(76,77)は、前記カムシャフト駆動機構(M)が設けられていない他方側の前記エンジン(E)の側方に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。
  3. 前記ウォータポンプユニット(U)は、前記エンジン(E)の前方に配設されるラジエータ(22)と接続されており、
    前記ウォータポンプユニット(U)が、車体側面視で、前記エンジン(E)のクランクシャフト(C)の軸線(CO)より後方に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
  4. 前記ウォータポンプユニット(U)は、前記エンジン(E)の前方に配設されるラジエータ(22)と接続されており、
    前記ラジエータ(22)と前記ウォータポンプユニット(U)との間の位置に、複数の他の機能部品(41,42)が配設されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の鞍乗型車両。
  5. 前記エンジン(E)が、前側気筒(FS)と後側気筒(RS)とを有するV型エンジンであり、
    前記ウォータポンプユニット(U)が、車体側面視で、前記後側気筒(RS)のシリンダヘッド(H)とクランクケース(49)との接合面(D)に重なる位置に配設されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の鞍乗型車両。
  6. 前記ウォータポンプユニット(U)は、冷却水を圧送する羽根車が収納されたポンプ部(70)と、該ポンプ部(70)の後部に連結されるモータ部(72)とを含み、
    前記ウォータポンプユニット(U)に、前記モータ部(72)に走行風を導くダクト(51)が取り付けられていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の鞍乗型車両。
  7. 前記ダクト(51)が、車体を覆うカウル部材(28)に設けられた走行風導入孔(100)に連通する導風部材(101)に連結されることを特徴とする請求項に記載の鞍乗型車両。
  8. 前記ウォータポンプユニット(U)に、前記ダクト(51)を支持する筒状突起(81)が設けられており、
    前記筒状突起(81)の内部に、フィルタ部材(110)が設けられていることを特徴とする請求項6または7に記載の鞍乗型車両。
  9. 動力源として車体に取り付けられるエンジン(E)と、モータ駆動力によって前記エンジン(E)に冷却水を圧送する電動式のウォータポンプユニット(U)とを有する鞍乗型車両(1)において、
    前記ウォータポンプユニット(U)が、前記エンジン(E)の側方に配置されており、
    前記ウォータポンプユニット(U)は、冷却水を圧送する羽根車が収納されたポンプ部(70)と、該ポンプ部(70)の後部に連結されるモータ部(72)とを含み、
    前記ウォータポンプユニット(U)に、前記モータ部(72)に走行風を導くダクト(51)が取り付けられていることを特徴とする鞍乗型車両。
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