JP6306978B2 - Vベルト式無段変速機の冷却構造 - Google Patents
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Description
特許文献1に示されるものは、前記吸入口を覆うように設けられる冷却ダクトと、伝動ケースカバーおよび冷却ダクトの双方を覆うアウターカバーとを備えており、アウターカバーに形成される空気取入口から取り込んだ空気を、冷却ダクトから吸引する構造である。
さらに、そのようにアウターカバーの空気取入口と冷却ダクトの空気入口との間を連通させるために、アウターカバーと冷却ダクトとの間に冷却風の吸気通路となる空間部を設けなければならないので、アウターカバーが車幅方向外側にも膨出しやすく、冷却構造が大型化するという課題があった。
クランク軸を支承するクランクケースを一体に有する伝動ケースが鞍乗型車両の後輪の側方に設けられ、前記伝動ケースと、同伝動ケースの車幅方向外側に配置されるようにして同伝動ケースに結合される伝動ケースカバーとで形成されるベルト室に、Vベルト式無段変速機が収容され、前記伝動ケースカバーには、冷却風を前記ベルト室に導入する吸入口が形成されるVベルト式無段変速機の冷却構造において、
前記伝動ケースカバーには、前記ベルト室側へ凹む凹部が形成されるとともに、同凹部内に前記吸入口が形成され、前記凹部を覆う外側カバーが前記伝動ケースカバーに取付けられるとともに、前記吸入口よりも車幅方向外側で、且つ前記外側カバーと前記伝動ケースカバーとの外側面合わせ部に空気取入口が形成され、前記凹部と前記外側カバーとで、前記空気取入口と前記吸入口とが連通する空気導入用気室が形成され、
前記空気取入口と、前記吸入口とは、前記クランク軸に支持される駆動プーリと車両側面視で重なる位置に設けられたことを特徴とするVベルト式無段変速機の冷却構造である。
クランク軸を支承するクランクケースを一体に有する伝動ケースが鞍乗型車両の後輪の側方に設けられ、前記伝動ケースと、同伝動ケースの車幅方向外側に配置されるようにして同伝動ケースに結合される伝動ケースカバーとで形成されるベルト室に、Vベルト式無段変速機が収容され、前記伝動ケースカバーには、冷却風を前記ベルト室に導入する吸入口が形成されるVベルト式無段変速機の冷却構造において、
前記伝動ケースカバーには、前記ベルト室側へ凹む凹部が形成されるとともに、同凹部内に前記吸入口が形成され、前記凹部を覆う外側カバーが前記伝動ケースカバーに取付けられるとともに、前記吸入口よりも車幅方向外側で、且つ前記外側カバーと前記伝動ケースカバーとの外側面合わせ部に空気取入口が形成され、前記凹部と前記外側カバーとで、前記空気取入口と前記吸入口とが連通する空気導入用気室が形成され、
前記伝動ケースカバーの前記クランク軸周りの外表面を前記凹部より浅く前記ベルト室側に凹ませた第2凹部が形成され、前記外側カバーは前記凹部と前記第2凹部とを共通に覆い、前記空気取入口は、前記外側カバーと前記伝動ケースカバーとの前記外側面合わせ部のうち、前記外側カバーと前記第2凹部とで形成されたことを特徴とするVベルト式無段変速機の冷却構造である。
クランク軸を支承するクランクケースを一体に有する伝動ケースが鞍乗型車両の後輪の側方に設けられ、前記伝動ケースと、同伝動ケースの車幅方向外側に配置されるようにして同伝動ケースに結合される伝動ケースカバーとで形成されるベルト室に、Vベルト式無段変速機が収容され、前記伝動ケースカバーには、冷却風を前記ベルト室に導入する吸入口が形成されるVベルト式無段変速機の冷却構造において、
前記伝動ケースカバーには、前記ベルト室側へ凹む凹部が形成されるとともに、同凹部内に前記吸入口が形成され、前記凹部を覆う外側カバーが前記伝動ケースカバーに取付けられるとともに、前記吸入口よりも車幅方向外側で、且つ前記外側カバーと前記伝動ケースカバーとの外側面合わせ部に空気取入口が形成され、前記凹部と前記外側カバーとで、前記空気取入口と前記吸入口とが連通する空気導入用気室が形成され、
前記空気取入口は、車両後方に向けて開口し、
車両側面視で、前記空気取入口は前記クランク軸の軸線に対して後側に設けられ、前記吸入口は前記クランク軸の軸線に対して前側に設けられたことを特徴とするVベルト式無段変速機の冷却構造である。
駆動プーリを支持する前記クランク軸の軸心と、同クランク軸の後方に配置され、前記駆動プーリによりVベルトを介して駆動される従動プーリを支持する従動軸の軸心とを、車両側面視で結ぶ仮想平面に対して、前記空気取入口が同仮想平面を上下に交差するように設けられ、前記外側カバーと前記伝動ケースカバーとの外側面合わせ部における、前記空気取入口より上方の上部合わせ部と、前記空気取入口より下方の下部合わせ部とが、前部よりも後部が前記仮想平面から離れるように傾斜して配向されたことを特徴とする。
前記空気導入用気室内において、前記吸入口の下方側を開放部分となるようにして前記吸入口の周囲を囲む壁部が、前記凹部に立設され、同壁部の上端に、蓋部材が取付けられたことを特徴とする。
前記壁部における吸入口側の壁面には、同壁面から突出する突出部が形成されたことを特徴とする。
前記外側カバーまたは前記伝動ケースカバーには、前記空気取入口から取り込んだ冷却風を前記空気導入用気室内の上部へ導く導風壁部が設けられたことを特徴とする。
伝動ケースカバーにベルト室側へ凹む凹部を形成し、その凹部と、凹部を覆う外側カバーとで空気導入用気室が形成されるので、空気取入口から冷却風と一緒に水や異物等が入り込むことがあったとしても、取り込まれた冷却風が一旦空気導入用気室に入り、空気導入用気室内の冷却風が吸入口からベルト室内へ吸引されるため、空気取入口と吸入口との間に介在する空気導入用気室によって気液分離を容易に行うことができ、ベルト室への水や異物の浸入を抑制することができる。
また、空気導入用気室が伝動ケースカバーの凹部と外側カバーとで形成されるので、空気導入用気室の容量を確保しながら、部品点数を抑え、且つ車幅方向に関して小型化が可能である。さらに、吸入口よりも車幅方向外側であって、且つ外側カバーと伝動ケースカバーとの外側面合わせ部に空気取入口が形成されるので、吸入口と空気取入口とを車幅方向にオフセットさせて気液分離を一層効果的に行うことを可能としながら、外側カバーの小型化、および構造の簡素化も図ることができる。
また、クランク軸周りにコンパクトに空気取入口と吸入口とが集約して設けられたので、外側カバーの小型化を図ることができる。
なお、クランク軸周りに空気取入口と吸入口とを設ける場合であっても、請求項1の構成を備えることにより、吸入口よりも車幅方向外側であって、且つ外側カバーと伝動ケースカバーとの外側面合わせ部に空気取入口が形成されたので、吸入口と空気取入口とを車幅方向にオフセットさせて気液分離を一層効果的に行うことが可能なり、ベルト室への水や異物の浸入を抑制することができる。
伝動ケースカバーにベルト室側へ凹む凹部を形成し、その凹部と、凹部を覆う外側カバーとで空気導入用気室が形成されるので、空気取入口から冷却風と一緒に水や異物等が入り込むことがあったとしても、取り込まれた冷却風が一旦空気導入用気室に入り、空気導入用気室内の冷却風が吸入口からベルト室内へ吸引されるため、空気取入口と吸入口との間に介在する空気導入用気室によって気液分離を容易に行うことができ、ベルト室への水や異物の浸入を抑制することができる。
また、空気導入用気室が伝動ケースカバーの凹部と外側カバーとで形成されるので、空気導入用気室の容量を確保しながら、部品点数を抑え、且つ車幅方向に関して小型化が可能である。さらに、吸入口よりも車幅方向外側であって、且つ外側カバーと伝動ケースカバーとの外側面合わせ部に空気取入口が形成されるので、吸入口と空気取入口とを車幅方向にオフセットさせて気液分離を一層効果的に行うことを可能としながら、外側カバーの小型化、および構造の簡素化も図ることができる。
また、外側カバーは凹部と比較的浅い第2凹部とを共通に覆うため、外側カバーの車幅方向外側への膨出を抑えながら、第2凹部と外側カバーとで空気取入口の開口面積を拡大して、円滑な冷却風の取入れを行うことができる。
伝動ケースカバーにベルト室側へ凹む凹部を形成し、その凹部と、凹部を覆う外側カバーとで空気導入用気室が形成されるので、空気取入口から冷却風と一緒に水や異物等が入り込むことがあったとしても、取り込まれた冷却風が一旦空気導入用気室に入り、空気導入用気室内の冷却風が吸入口からベルト室内へ吸引されるため、空気取入口と吸入口との間に介在する空気導入用気室によって気液分離を容易に行うことができ、ベルト室への水や異物の浸入を抑制することができる。
また、空気導入用気室が伝動ケースカバーの凹部と外側カバーとで形成されるので、空気導入用気室の容量を確保しながら、部品点数を抑え、且つ車幅方向に関して小型化が可能である。さらに、吸入口よりも車幅方向外側であって、且つ外側カバーと伝動ケースカバーとの外側面合わせ部に空気取入口が形成されるので、吸入口と空気取入口とを車幅方向にオフセットさせて気液分離を一層効果的に行うことを可能としながら、外側カバーの小型化、および構造の簡素化も図ることができる。
また、空気取入口が車両後方に向けて開口するので、走行中における車両前方からの水や異物の浸入を抑制することができる。
そして、クランク軸の軸線に対して空気取入口と吸入口が前後に位置するので、コンパクトな配置にして空気導入用気室の容量を確保し、気液分離を効果的に行うことができる。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係る鞍乗型車両のVベルト式無段変速機を備えたスイング式パワーユニットを、車両に搭載した状態での車両の向きに従うものとする。本実施形態において鞍乗型車両はスクータ型自動二輪車である。
図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
また、図3〜図9中において、冷却風の流れを模式的に黒矢印で示す。
すなわち車体前部1Aのヘッドパイプ20からダウンチューブ21が下方へ延出し、ダウンチューブ21は下端で水平に屈曲してフロア部1Cの下方を後方へ延び、その後端において左右一対のメインパイプ22が連結され、連結部からメインパイプ22は斜め後方に立ち上がって所定高さで略水平に屈曲して後方に延びている。
一方、車体前部1Aにおいては、ヘッドパイプ20に軸支されて上方にハンドル13が設けられ、下方にフロントフォーク14が延びてその下端に前輪15が軸支されている。
パワーユニット3は、その前部が単気筒4ストロークサイクルの水冷式内燃機関(以下、単に「内燃機関」という。)30であり、パワーユニットケース5にクランク軸51を車幅方向に配して回転自在に軸支し、パワーユニットケース5の下端から前方に突出したハンガーアーム50(左のハンガーアーム50Lと右のハンガーアーム50R)の端部が、メインパイプ22のブラケット23に取付けられたリンク部材24に、ピボット軸25を介して連結されている。
減速機構41が備えられるパワーユニット3の後部に立設されたブラケット52と、メインパイプ22の後部との間にリヤクッション17が介装されている。
なお、吸気管60には吸気ポートに向けて燃料を噴射するインジェクタ63が装着されている。
なお、自動二輪車1の車体フレーム2や燃料タンク11等の要部は車体カバー18で覆われる。
図2において、101は、左側のメインパイプ22のスタンドブラケット26に、格納位置と起立位置の間で回転係止自在に取り付けられたサイドスタンドであり、図2は格納位置を示す。53はパワーユニット3の略中央左方に取付けられたキックスタータアームである。
内燃機関30は、シリンダブロック31のシリンダボア31a内を往復動するピストン34と
クランク軸51のクランクピン51aとをコネクティングロッド35が連結している。
ピストン34の頂部とシリンダヘッド32の間には燃焼室32aが形成される。
図2中、105はオイルパン部102の左方を前後に配設されるブレーキケーブルである。
また、オイルパン部102の右側部には給油口106が設けられ、キャップ107が装着されている(図1参照)。
減速機構41はギヤ機構で、入力軸45と中間軸49との間、および中間軸49と後車軸42との間に、それぞれギヤの噛合が構成されて、入力軸45の回転を減速して後車軸42に伝え後輪16を回転駆動する。
すなわち左右水平方向に指向したカムシャフト82の右端に嵌着されたカムチェーン被動スプロケット84と、クランク軸51に嵌着されたカムチェーン駆動スプロケット56との間にカムチェーン81がカムチェーン室83内を通って架渡されている。
大きく前傾したシリンダヘッド32の燃焼室32aからは図示しない吸気ポートが上方に湾曲して延出し前記の吸気管60に連結され、燃焼室33aから図示しない排気ポートが下方に湾曲して延出し前記の排気管65に連結される(図2参照)。
吸気ポートは図示しない吸気弁を介して、排気ポートは図示しない排気弁を介して、燃焼室33aと連通するが、吸気弁と排気弁は、動弁機構80によってクランク軸51の回転に対して所定のタイミングで開閉される。
カムシャフト82は、カムチェーン81によってクランク軸51の1/2の回転速度で回転駆動される。
吸気ロッカアーム86iは回転するカムシャフト82の吸気カム87iに従い揺動し吸気弁を開閉動作させ、排気ロッカアーム86eは回転するカムシャフト82の排気カム87eに従い揺動し吸気弁を開閉動作させる。
ラジエータカバー39のルーバからラジエータファン37によって吸引された外気は、ラジエータ38を冷却した後、ラジエータ取付けベース38aの外周にそって設けられた図示しない通気孔から排出される。
なお、図3において、109は内燃機関水冷用のウォータポンプであり、カムシャフト82と同軸一体に回転するように構成されている。
本実施形態のVベルト式無段変速機40は、駆動プーリ44の左側面に形成されたファンブレード44aによって冷却風がベルト室70内に強制的に流されることによりを冷却されており、冷却風を取り入れる構成が伝動ケースカバー7の前部に設けられている。
図2に左外側面が示されるように、伝動ケースカバー7の側壁7bは、前後に長い長円状をなし、側壁7bの周囲を周壁7cが囲む構造をしており、周壁7cの右端面が伝動ケース4との合わせ面7aである。
伝動ケース4と伝動ケースカバー7には、互いを締結するための締結ボス4d、7dが要所に設けられ(図2参照)、合わせ面7aにおいてシールを介して気密的に締結される。
また、凹部71を覆うように外側カバー9が伝動ケースカバー7に取付けられており、外側カバー9の外側面と伝動ケースカバー7の外側カバー9で覆われない外側面との合わせ部、すなわち外側面合わせ部97に空気取入口90が形成されている。
なお、外側カバー9はシール部材等を介すことなく、伝動ケースカバー7に直接取付けられている。
図4に示されるように、伝動ケースカバー7の前部には、ベルト室70側へ凹む凹部71が形成されるが、凹部71に囲まれるように、クランク軸51端を覆う伝動ケースカバー7のクランク軸51周りの外表面を、凹部71より浅くベルト室70側に凹ませた第2凹部73が形成されている。
なお、図3においては、吸入口72が伝動ケースカバー7の外側からベルト室70側に連通するものであることを明示するために、吸入口72の箇所だけ、図2中のIII−III矢視に代えて、図4中のIII′−III′矢視にて図示している。
図中76a〜76cは、蓋部材75を締結するための締結ボスであり、壁部74における吸入口72側の壁面から突出する突出部を形成する。
なお、締結ボス76aは、壁部74の外方に離れて設けられる締結ボス76d、76eとともに外側カバー9の締結ボスを兼ね、締結ボス76aにおいて蓋部材75は外側カバー9と共締めされる(図3、図6参照)。
すなわち、壁部74および蓋部材75は、壁部74の解放部分77を冷却風の入り口として、吸入口72を通しベルト室70内へ冷却風を送る吸気ダクト78を形成する。
そのため、壁部74の吸気口72側の壁面から突出する突出部74a、74b、76a、76b、76cにより、冷却風の通路となる吸気ダクト78の壁部74の内側に入り込もうとする水や異物を払い落とす障壁を形成することができる。
図6に示されるように、外側カバー9は伝動ケースカバー7の締結ボス76a、76d、76eに締結され、凹部71と第2凹部73とを共通に覆い、外側カバー9と伝動ケースカバー7との外側面合わせ部97のうち、外側カバー9と第2凹部73とで空気取入口90が形成される。
したがって、空気取入口90は吸入口72よりも車幅方向外側にオフセットして位置し、凹部71と外側カバー9とで、空気取入口90と吸入口72とが連通する空気導入用気室91が形成される、
なお、本実施形態において空気取入口90は、車両後方に向けて開口しており、走行中の車両前方からの水や異物の浸入が抑制される。
これは、空気導入用気室91内において、壁部74と蓋部材75で形成され吸入口72周りを覆う吸気ダクト78が、吸入口72の下方側の解放部分77で開放されるように構成されたのに対して、空気取入口90から取り込んだ冷却風を導風壁部92によって空気導入用気室91内の上部へ導き、取り込んだ冷却風が直接吸気ダクト78の入り口となる解放部分77を経て吸入口72へ向かうのを防ぎ、空気導入用気室91内において気液分離を行うためである。
なお、導風壁部92は、空気取入口90内の伝動ケースカバー7の外面に立設され、空気取入口90から取り込んだ冷却風を空気導入用気室91内の上部へ導くものであってもよい。
また、最も下方の導風壁部92近くから外側カバー9の内面下部に至る邪魔板93が、外側カバー9の内面に突設されており、空気取入口90から取り込んだ冷却風が空気導入用気室91内を下方に回り込んで、吸気ダクト78の入り口となる解放部分77に直接流れ込まないようにしている。
また、外側カバー9の下端部には空気導入用気室91から水等の異物(図8中、太矢印)を排出するためのドレン部94が形成されている。
また、外側カバー9と伝動ケースカバー7との外側面合わせ部97のうち、第2凹部73以外の位置では、外側カバー9と伝動ケースカバー7との外側面が連なるように接続されていることが示される。
すなわち、外側カバー9は、凹部71と第2凹部73とを共通に覆い、空気取入口90は、外側カバー9と伝動ケースカバー7との外側面合わせ部97のうち、外側カバー9と第2凹部73とで形成されるので、外側カバー9の外側方への膨出を抑制しつつ、空気導入用気室91の容積と、空気取入口90の開口面積を拡大している。
図8に示されるように、空気取入口90も、吸入口72と同様に、車両側面視で駆動プーリ44と重なる位置に設けられ、外側カバー9の小型化が図られており、車両側面視で、空気取入口90はクランク軸51の軸線Xに対して後側に設けられ、吸入口72はクランク軸51の軸線Xに対して前側に設けられ、空気取入口90と吸入口72が前後に位置するので、コンパクトな配置としつつ空気導入用気室91の容量が確保されている。
排風ダクト79の排風出口部分79aは伝動ケースカバー7の伝動ケース4との合わせ面7aに沿って開口して形成されるが、伝動ケース4と伝動ケースカバー7とを締結するための締結ボス4d、7dが、排風ダクト79の排風出口部分79aを横断するように設けられており、締結ボス4d、7dによって、外部から排風出口部分79aを通ってベルト室70へ水や異物が浸入することを抑制することができるものとなっている。
すなわち、クランク軸51を支承するクランクケース部5aを一体に有する伝動ケース4が自動二輪車1の後輪16の側方に設けられ、伝動ケース4と、伝動ケース4の車幅方向外側に配置されるようにして伝動ケース4に結合される伝動ケースカバー7とで形成されるベルト室70に、Vベルト式無段変速機40が収容され、伝動ケースカバー7には、冷却風をベルト室70に導入する吸入口72が形成されるVベルト式無段変速機40の冷却構造において、以下のような構成を備えている。
伝動ケースカバー7には、ベルト室70側へ凹む凹部71が形成されるとともに、凹部71内に吸入口72が形成されている。
また、凹部71を覆う外側カバー9が伝動ケースカバー7に取付けられるとともに、吸入口72よりも車幅方向外側で、且つ外側カバー9と伝動ケースカバー7との外側面合わせ部97に空気取入口90が形成されている。
そして、凹部71と外側カバー9とで、空気取入口90と吸入口72とが連通する空気導入用気室91が形成されている。
また、空気導入用気室91が伝動ケースカバー7の凹部71と外側カバー9とで形成されるので、空気導入用気室91の容量を確保しながら、部品点数を抑え、且つ車幅方向に関して小型化が可能である。さらに、吸入口72よりも車幅方向外側であって、且つ外側カバー9と伝動ケースカバー7との外側面合わせ部97に空気取入口90が形成されたので、吸入口72と空気取入口90とを車幅方向にオフセットさせて気液分離を一層効果的に行うことを可能としながら、外側カバー9の小型化、および構造の簡素化も図ることができる。
なお、空気導入用気室91で分離された水等液体分は、外側カバーの下部に設けられたドレン部94から排出でき、固形異物も外側カバー9を外すだけで容易に排出できる。
そのため、クランク軸51周りにコンパクトに空気取入口90と吸入口72とが集約して設けられるので、外側カバー9の小型化が図られている。
なお、クランク軸51周りに空気取入口90と吸入口72とを設ける場合であっても、上述の構成により、凹部71に設けられた吸入口72よりも、車幅方向外側であって、且つ外側カバー9と伝動ケースカバー7との外側面合わせ部97に空気取入口90が形成されるので、吸入口72と空気取入口90とが車幅方向にオフセットされており、気液分離を一層効果的に行うことが可能となり、ベルト室70への水や異物の浸入を抑制することができる。
しかして、外側カバー9は凹部71と比較的浅い第2凹部73とを共通に覆うため、外側カバー9の車幅方向外側への膨出を抑えながら、第2凹部73と外側カバー9とで空気取入口90の開口面積を拡大して、円滑な冷却風の取入れを行うことができる。
そのため、走行中に車両前方から後方へ向かって伝動ケースカバー7や外側カバー9を伝う水滴等が、空気取入口90内へ向かわないようにすることができる。すなわち、上部および下部合わせ部97A、97Bの傾斜によって、水滴等を空気取入口90から離れる方向へ案内することができる。
そのため、伝動ケースカバー7の凹部71から立設された壁部74に蓋部材75を取付ける簡単な構成で、空気導入用気室91内において吸入口72周りに吸気ダクト78を形成することができ、より一層効果的にベルト室70への水や異物の浸入を抑制することができる。
さらに、吸入口72の下方側が解放部分77となるような壁部74としたので、重さのある水や異物はこの解放部分77から上方に向けて入りにくくなり、そのことによってもベルト室への水や異物の浸入を抑制することができる。
そのため、壁部74の吸気口72側の壁面から突出する突出部74a、74b、76a〜76cにより、空気の通路となる壁部74の内側に入り込もうとする水や異物を払い落とす障壁を形成することができる。
そのため、空気導入用気室91内において、壁部74と蓋部材75で形成され吸気口72周りを覆う吸気ダクト78が、吸気口72の下方側で開放するように構成されたのに対して、空気取入口90から取り込まれた冷却風を空気導入用気室91内の上部へ導くように導風壁部92が設けられたので、取り込んだ冷却風が直接吸気ダクト78の空気入口となる壁部74の解放部分77を介して吸入口72へ向かうのを防ぐことができ、空気導入用気室91内において気液分離を効率よく行うことができる。
なお、導風壁部92は、空気取入口90内の伝動ケースカバー7の外面に立設され、空気取入口90から取り込んだ冷却風を空気導入用気室91内の上部へ導くものであってもよい。
たとえば、パワーユニット3の内燃機関30は、単気筒4ストロークサイクルの水冷式内燃機関に限定されず、伝動ケース4を備えたスイング式パワーユニットに適用されるものであれば他の形式であってもよく、鞍乗型車両は、伝動ケース4を備えたスイング式パワーユニットを搭載するものであれば、自動二輪車に限定されない。
なお、スイング式パワーユニットおよびその各部分の構成配置は、説明の便宜上、実施形態において図示の左右方向配置に特定して記載したが、本発明においては、左右逆の配置のものであってもよい。
Claims (8)
- クランク軸(51)を支承するクランクケース(5a)を一体に有する伝動ケース(4)が鞍乗型車両(1)の後輪(16)の側方に設けられ、
前記伝動ケース(4)と、同伝動ケース(4)の車幅方向外側に配置されるようにして同伝動ケース(4)に結合される伝動ケースカバー(7)とで形成されるベルト室(70)に、Vベルト式無段変速機(40)が収容され、
前記伝動ケースカバー(7)には、冷却風を前記ベルト室(70)に導入する吸入口(72)が形成されるVベルト式無段変速機の冷却構造において、
前記伝動ケースカバー(7)には、前記ベルト室(70)側へ凹む凹部(71)が形成されるとともに、同凹部(71)内に前記吸入口(72)が形成され、
前記凹部(71)を覆う外側カバー(9)が前記伝動ケースカバー(7)に取付けられるとともに、前記吸入口(72)よりも車幅方向外側で、且つ前記外側カバー(9)と前記伝動ケースカバー(7)との外側面合わせ部(97)に空気取入口(90)が形成され、
前記凹部(71)と前記外側カバー(9)とで、前記空気取入口(90)と前記吸入口(72)とが連通する空気導入用気室(91)が形成され、
前記空気取入口(90)と、前記吸入口(72)とは、前記クランク軸(51)に支持される駆動プーリ(44)と車両側面視で重なる位置に設けられたことを特徴とするVベルト式無段変速機の冷却構造。 - クランク軸(51)を支承するクランクケース(5a)を一体に有する伝動ケース(4)が鞍乗型車両(1)の後輪(16)の側方に設けられ、
前記伝動ケース(4)と、同伝動ケース(4)の車幅方向外側に配置されるようにして同伝動ケース(4)に結合される伝動ケースカバー(7)とで形成されるベルト室(70)に、Vベルト式無段変速機(40)が収容され、
前記伝動ケースカバー(7)には、冷却風を前記ベルト室(70)に導入する吸入口(72)が形成されるVベルト式無段変速機の冷却構造において、
前記伝動ケースカバー(7)には、前記ベルト室(70)側へ凹む凹部(71)が形成されるとともに、同凹部(71)内に前記吸入口(72)が形成され、
前記凹部(71)を覆う外側カバー(9)が前記伝動ケースカバー(7)に取付けられるとともに、前記吸入口(72)よりも車幅方向外側で、且つ前記外側カバー(9)と前記伝動ケースカバー(7)との外側面合わせ部(97)に空気取入口(90)が形成され、
前記凹部(71)と前記外側カバー(9)とで、前記空気取入口(90)と前記吸入口(72)とが連通する空気導入用気室(91)が形成され、
前記伝動ケースカバー(7)の前記クランク軸(51)周りの外表面を前記凹部(71)より浅く前記ベルト室(70)側に凹ませた第2凹部(73)が形成され、前記外側カバー(9)は前記凹部(71)と前記第2凹部(73)とを共通に覆い、前記空気取入口(90)は、前記外側カバー(9)と前記伝動ケースカバー(7)との前記外側面合わせ部(97)のうち、前記外側カバー(9)と前記第2凹部(73)とで形成されたことを特徴とするVベルト式無段変速機の冷却構造。 - クランク軸(51)を支承するクランクケース(5a)を一体に有する伝動ケース(4)が鞍乗型車両(1)の後輪(16)の側方に設けられ、
前記伝動ケース(4)と、同伝動ケース(4)の車幅方向外側に配置されるようにして同伝動ケース(4)に結合される伝動ケースカバー(7)とで形成されるベルト室(70)に、Vベルト式無段変速機(40)が収容され、
前記伝動ケースカバー(7)には、冷却風を前記ベルト室(70)に導入する吸入口(72)が形成されるVベルト式無段変速機の冷却構造において、
前記伝動ケースカバー(7)には、前記ベルト室(70)側へ凹む凹部(71)が形成されるとともに、同凹部(71)内に前記吸入口(72)が形成され、
前記凹部(71)を覆う外側カバー(9)が前記伝動ケースカバー(7)に取付けられるとともに、前記吸入口(72)よりも車幅方向外側で、且つ前記外側カバー(9)と前記伝動ケースカバー(7)との外側面合わせ部(97)に空気取入口(90)が形成され、
前記凹部(71)と前記外側カバー(9)とで、前記空気取入口(90)と前記吸入口(72)とが連通する空気導入用気室(91)が形成され、
前記空気取入口(90)は、車両後方に向けて開口し、
車両側面視で、前記空気取入口(90)は前記クランク軸(51)の軸線(X)に対して後側に設けられ、前記吸入口(72)は前記クランク軸(51)の軸線(X)に対して前側に設けられたことを特徴とするVベルト式無段変速機の冷却構造。 - 駆動プーリ(44)を支持する前記クランク軸(51)の軸心(X)と、同クランク軸(51)の後方に配置され、前記駆動プーリ(44)によりVベルト(47)を介して駆動される従動プーリ(46)を支持する従動軸(45)の軸心(Y)とを、車両側面視で結ぶ仮想平面(P)に対して、前記空気取入口(90)が同仮想平面(P)を上下に交差するように設けられ、
前記外側カバー(9)と前記伝動ケースカバー(7)との外側面合わせ部(97)における、前記空気取入口(90)より上方の上部合わせ部(97A)と、前記空気取入口(90)より下方の下部合わせ部(97B)とが、前部よりも後部が前記仮想平面(P)から離れるように傾斜して配向されたことを特徴とする請求項3に記載のVベルト式無段変速機の冷却構造。 - 前記空気導入用気室(91)内において、前記吸入口(72)の下方側を開放部分(77)となるようにして前記吸入口(72)の周囲を囲む壁部(74)が、前記凹部(71)に立設され、同壁部(74)の上端に、蓋部材(75)が取付けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のVベルト式無段変速機の冷却構造。
- 車両側面視で、前記壁部(74)および前記蓋部材(75)が前記吸入口(72)よりも下方まで延出したことを特徴とする請求項5に記載のVベルト式無段変速機の冷却構造。
- 前記壁部(74)における吸入口(72)側の壁面には、同壁面から突出する突出部(74a,74b,76a〜76c)が形成されたことを特徴とする請求項5に記載のVベルト式無段変速機の冷却構造。
- 前記外側カバー(9)または前記伝動ケースカバー(7)には、前記空気取入口(90)から取り込んだ冷却風を前記空気導入用気室(91)内の上部へ導く導風壁部(92)が設けられたことを特徴とする請求項5に記載のVベルト式無段変速機の冷却構造。
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