JP2014159083A - 色調補正フィルム及びこれを用いた透明導電性フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】色調補正フィルムは、透明基材フィルムの一面に、第一ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層が、他面に、第二ハードコート層が順に積層され、第一ハードコート層は屈折率が1.48〜1.54、膜厚が1.0〜3.5μmであり、第一色調補正層は屈折率が1.59〜1.82、膜厚が25〜90nmであり、第二色調補正層は屈折率が1.35〜1.45、膜厚が10〜55nmであり、第二ハードコート層は屈折率が1.48〜1.54、膜厚が1.0〜3.5μmであり、第二色調補正層は、フッ素含有活性エネルギー線硬化型樹脂を含む。透明導電性フィルムは、この色調補正フィルムの第二色調補正層上に所定の屈折率と膜厚を有する錫ドープ酸化インジウム層を積層する。
【選択図】なし
Description
本実施形態の色調補正フィルムは、透明基材フィルムの一方の面に、該透明基材フィルムの側から第一ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層がこの順に積層され、透明基材フィルムの他方の面に、第二ハードコート層が積層された構成である。以下に、この色調補正フィルムの構成要素について順に説明する。
透明基材フィルムは、透明性を有している限り特に制限されないが、屈折率が1.55〜1.70の範囲内のものが好ましい。このような透明基材フィルムを形成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET、屈折率:1.67)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC、屈折率:1.59)、ポリアリレート(PAR、屈折率:1.60)及びポリエーテルスルフォン(PES、屈折率:1.65)、シクロオレフィンポリマー(COP、屈折率:1.52)等が挙げられる。これらのうち、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが成形の容易性で好ましい。
透明基材フィルムの両面の直上には、色調補正フィルム延いては透明導電性フィルムの表面硬度向上及びカール低減のために、第一ハードコート層及び第二ハードコート層がそれぞれ設けられている。なお、カールの低減とは、各層用の塗液を塗布して硬化させた際の、各層の硬化収縮によるフィルム全体の反り量を低減することを言う。これら2つのハードコート層の材料、膜厚及び屈折率は、後述の範囲である限り相互に同一であっても良いし、異なっていても良い。
第一色調補正層は、第二色調補正層との屈折率の相対関係によって、互いに協働して色調補正フィルムないし透明導電性フィルムの色調を調整(透過色の着色を抑制)する層である。第一色調補正層は、金属酸化物微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合した第一色調補正層用塗液を活性エネルギー線(例えば紫外線、電子線)により硬化させた硬化物からなる。
第二色調補正層は、第一色調補正層との屈折率の相対関係によって、互いに協働して色調補正フィルムないし透明導電性フィルムの色調を調整(透過色の着色を抑制)する層である。第二色調補正層は、フッ素含有活性エネルギー線硬化型樹脂を含む第二色調補正層用塗液を活性エネルギー線(例えば紫外線、電子線)により硬化させた硬化物からなる。また、第二色調補正層用塗液は、フッ素非含有活性エネルギー線硬化型樹脂及びシリカ微粒子の少なくとも一つを更に含んでも良い。
第一ハードコート層は、透明基材フィルムに第一ハードコート層用塗液を塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成される。一方、第一色調補正層は、形成された第一ハードコート層上に第一色調補正層用塗液を塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成される。また、第二色調補正層は、形成された第一色調補正層上に第二色調補正層用塗液を塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成される。更に、第二ハードコート層は、第一ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層とは反対側の面に第二ハードコート層用塗液を塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成することができる。第一ハードコート層用塗液、第一色調補正層用塗液、第二色調補正層用塗液、第二ハードコート層用塗液の塗布方法は特に制限されず、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、インクジェット法、グラビアコート法等公知のいかなる方法も採用できる。また、活性エネルギー線の種類は特に制限されないが、利便性等の観点から紫外線を用いることが好ましい。尚、各ハードコート層の透明基材フィルムに対する密着性を向上させるために、予め透明基材フィルム表面にコロナ放電処理等の前処理を施すことも可能である。
透明導電性フィルムは、色調補正フィルムの第二色調補正層上に錫ドープ酸化インジウム層を積層した構成である。すなわち、透明導電性フィルムは、上(表側)から錫ドープ酸化インジウム層、第二色調補正層、第一色調補正層、ハードコート層、透明基材フィルム、第二ハードコート層が順に積層した構成である。
第二色調補正層の上に積層される錫ドープ酸化インジウム層(以下、ITO層と略することがある)は透明導電層であり、屈折率が1.85〜2.35である。屈折率がこの範囲を外れると、第一色調補正層及び第二色調補正層との光学干渉が適切に作用しなくなるため、透明導電性フィルムの透過色が着色を呈し、全光線透過率も低下する。また、ITO層の膜厚は5〜60nm、好ましくは15〜60nmである。膜厚が5nmより薄い場合は、均一に成膜することが難しく、安定した抵抗が得られないため好ましくない。また、膜厚が60nmより厚い場合は、ITO層自身による光の吸収が強くなり、透過色の着色低減効果が薄れると共に、全光線透過率が低くなる傾向があるため好ましくない。
錫ドープ酸化インジウム層の製膜方法は特に限定されず、例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法を採用できる。これらの中では、層の厚み制御の観点より蒸着法及びスパッタリング法が特に好ましい。尚、錫ドープ酸化インジウム層を形成した後、必要に応じて、100〜200℃の範囲内でアニール処理を施して結晶化することができる。具体的には、高い温度で結晶化すると錫ドープ酸化インジウム層の屈折率は小さくなる傾向を示す。従って、錫ドープ酸化インジウム層の屈折率は、アニール処理の温度と時間を制御することで調整可能である。
<屈折率(ITO層以外の層)>
(1)屈折率が1.67のPETフィルム(商品名「A4100」、東洋紡績株式会社製)上に、ディップコーター(杉山元理化学機器株式会社製)により、各層用塗液をそれぞれ乾燥硬化後の膜厚で100〜1000nm程度になるように層の厚さを調整して塗布した。
(2)乾燥後、紫外線照射装置(岩崎電気株式会社製)により窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯を用いて、400mJの紫外線を照射して硬化した。硬化後のPETフィルム裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計(「FE-3000」、大塚電子株式会社製)により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、下記に示すn-Cauchyの波長分散式(式1)の定数を求め、光の波長589nmにおける屈折率を求めた。
N(λ)=a/λ4+b/λ2+c (式1)
(N:屈折率、λ:波長、a、b、c:波長分散定数)
〔ハードコート層用塗液(HC−1)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート100質量部、光重合開始剤[商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製]5質量部及びイソブチルアルコール150質量部を混合してハードコート層用塗液(HC−1)を調製した。ハードコート層用塗液(HC−1)を用いて形成されるハードコート層の屈折率は1.51であった。
〔ハードコート層用塗液(HC−2)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート100質量部、光重合開始剤[商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製]5質量部、アクリル系有機微粒子[商品名:MX−80H3wT、綜研化学(株)製]10質量部及びイソブチルアルコール150質量部を混合してハードコート層用塗液(HC−2)を調製した。ハードコート層用塗液(HC−2)を用いて形成されるハードコート層の屈折率は1.50であった。
第一色調補正層用塗液は以下の原料を下記表1に記載した固形分組成にて配合し、溶媒を、金属酸化物微粒子及び活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤との固形分総量100質量部に対し1000質量部加えることで第一色調補正層用塗液A−1〜A−3、A’−1、A’−2を調製した。各原料としては、金属酸化物微粒子として、酸化ジルコニウム微粒子分散液(シーアイ化成(株)製 ZRMEK25%−F47)または酸化チタン微粒子分散液(シーアイ化成(株)製 RTTMIBK15WT%−N24)を使用した。活性エネルギー線硬化型樹脂として、6官能ウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)製紫光UV−7600B)を使用した。光重合開始剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製IRGACURE184(I−184)を使用した。また溶媒としてメチルイソブチルケトンを使用した。
第二色調補正層用塗液は以下の原料を下記表2に記載した固形分組成にて配合し、溶媒を、フッ素含有活性エネルギー線硬化型樹脂、フッ素非含有活性エネルギー線硬化型樹脂及びシリカ微粒子と、光重合開始剤との固形分総量100質量部に対し4000質量部加えることで第一色調補正層用塗液B−1〜B−6、B’−1〜B’−3を調製した。各原料としては、フッ素含有活性エネルギー線硬化型樹脂として、ダイキン工業(株)製オプツールAR110又はJSR(株)製オプスターTU2205を使用した。また、フッ素非含有活性エネルギー線として日本化薬(株)製DPHAを使用した。また、シリカ微粒子として、扶桑化学工業(株)製PL−1を使用した。光重合開始剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製IRGACURE907(I−907)を使用した。そして溶媒として、イソプロピルアルコールを使用した。
屈折率が1.67、厚さ125μmのPETフィルムの一方面に、ハードコート層用塗液(HC−1)をバーコーターにて塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより第一ハードコート層を形成した。続いて、PETフィルムの他面にハードコート層用塗液(HC−2)をバーコーターにて塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより第二ハードコート層を形成した。
第一ハードコート層、第二ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層を下記表3に記載した塗液及び膜厚とした以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルム(S1−2〜S1−14)を作製した。
第一ハードコート層、第二ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層を下記表4に記載した塗液及び膜厚とした以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルム(S2−1〜S2−2)を作製した。
第一ハードコート層、第二ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層を下記表5に記載した塗液及び膜厚とした以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルム(S3−1〜S3−2)を作製した。
第一ハードコート層、第二ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層を下記表6に記載した塗液及び膜厚とした以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルム(S’1−1〜S’1−9)を作製した。
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が30nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、30分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色b*、全光線透過率を次の方法で測定した。その結果を下記表7に示す。
色差計(「SQ−2000」、日本電色工業株式会社製)を用いて透明導電性フィルムの透過色、b*を測定した。このb*は、JISZ 8729に規定されているL*a*b*表色系における値である。
ヘイズメーター(「NDH2000」、日本電色工業株式会社製)により透明導電性フィルムの全光線透過率(%)を測定した。
表3,4,5に記載された各色調補正フィルム(S1−2〜S1−14、S2−1〜S2−2、S3−1〜S3−2)を用い、実施例4−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
(実施例4−19)
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が30nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、2時間のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
(実施例4−20)
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が30nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、100℃、1時間のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
(実施例4−21)
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が60nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、30分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
表6に記載された各色調補正フィルム(S’1−1〜S’1−9)を用い、実施例2−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
(比較例2−10)
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が30nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、160℃、2時間のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
(比較例2−11)
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が30nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、90℃、1時間のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
(比較例2−12)
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が75nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、30分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
<屈折率(ITO層)>
(1)屈折率が1.67のPETフィルム(商品名「A4100」、東洋紡績株式会社製)上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行い、実膜厚20nmの透明導電層としての錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、下記実施例および比較例のそれぞれの条件でアニーリングを施し、透明導電性フィルムを作製した。
(2)上記透明導電性フィルム裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計(「FE-3000」、大塚電子株式会社製)により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、上記(式1)を用いて、光の波長589nmにおける屈折率を求めた。
なお、各表(後述)に記載の各層の屈折率は、上記屈折率測定用サンプルから求めた屈折率である。
実施例4−1〜実施例4−21(表7)の結果から明らかなように、第一、第二ハードコート層の屈折率を1.48〜1.54、膜厚を1.0〜3.5μmとし、第一色調補正層の屈折率を1.59〜1.82、膜厚を25〜90nmとし、第二色調補正層の屈折率を1.35〜1.45、膜厚を10〜55nmとし、且つITO層の屈折率を1.85〜2.35、膜厚を5〜60nmとすると、透過色b*の値が小さく、透明導電性フィルムの着色を十分に抑え、更に、優れた全光線透過率を実現することが出来た。
Claims (4)
- 透明基材フィルムの一方の面に、第一ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層がこの順に積層され、前記透明基材フィルムの他方の面に、第二ハードコート層が積層されている色調補正フィルムであって、
前記第一ハードコート層は、屈折率が1.48〜1.54、膜厚が1.0〜3.5μmであり、
前記第一色調補正層は、屈折率が1.59〜1.82、膜厚が25〜90nmであり、
前記第二色調補正層は、屈折率が1.35〜1.45、膜厚が10〜55nmであり、
前記第二ハードコート層は、屈折率が1.48〜1.54、膜厚が1.0〜3.5μmであって、
前記第二色調補正層は、フッ素含有活性エネルギー線硬化型樹脂を含むことを特徴とする色調補正フィルム。 - 請求項1に記載の色調補正フィルムであって、前記第二色調補正層は、更にフッ素非含有活性エネルギー線硬化型樹脂を含むことを特徴とする色調補正フィルム。
- 請求項1または請求項2に記載の色調補正フィルムであって、前記第二色調補正層は、更にシリカ微粒子を含むことを特徴とする色調補正フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の色調補正フィルムの前記第二色調補正層上に錫ドープ酸化インジウム層が積層されており、前記錫ドープ酸化インジウム層は、屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜60nmであることを特徴とする透明導電性フィルム。
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