JP2014156794A - 燃料噴射弁 - Google Patents

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辰夫 小林
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Abstract

【課題】ニードル弁の軸芯方向からオフセットされた噴孔内に導入される旋回流の勢いを維持することを課題とする。
【解決手段】燃料噴射弁は、先端側にシート部を有するニードル弁と、円筒形状の旋回安定室を備え、旋回安定室内に開口部を有するとともに、ニードル弁の軸芯方向からオフセットされた噴孔が形成されたノズルボディと、旋回安定室に導入される燃料に旋回成分を付与する旋回溝が設けられた旋回流生成部と、を備える。そして、燃料噴射弁は、噴孔において、旋回安定室内の旋回流の流れ方向に対し上流側に位置する開口部の縁部にテーパ形状部を備える。テーパ形状部は、旋回安定室の底面の中心点からの距離が最短となる前記開口部の縁部を含む。また、噴孔は、旋回安定室の半径に対する開口部の縁部からニードル弁の軸芯までの最短距離の比(y/r)が0.11となる位置に配置されている。
【選択図】図3

Description

本発明は燃料噴射弁に関する。
近年、内燃機関に関し、CO低減及びエミッション低減のため、過給リーン、大量EGR及び予混合自着火燃焼の研究が盛んに行われている。これらの研究によると、CO低減及びエミッション低減の効果を最大限に引き出すには、より燃焼限界近傍において安定した燃焼状態を得る必要がある。また、石油燃料の枯渇化が進む中、バイオ燃料など多種の燃料でも安定して燃焼できるロバスト性が要求される。このような安定した燃焼を得るのに最も重要な点は混合気の着火ばらつきの低減や、斑のない均質で安定した燃焼が実現されることである。これには、微細な燃料噴霧でより気化し易くさせることや、噴霧粒径が均一であることが望まれる。
また、内燃機関の燃料供給において、過渡応答性の向上、気化潜熱による体積効率向上や低温での触媒活性化用の大幅な遅角燃焼のために燃焼室内へ燃料を直接噴射する筒内噴射方式が採用されている。ところが、筒内噴射方式を採用することにより、噴霧燃料が液滴のまま燃焼室壁に衝突して起こるオイル希釈や、PM(Particulate Matter)、スモークの発生が懸念される。
このような筒内噴射方式の採用により生じるオイル希釈や噴霧悪化の対策をするとともに、着火ばらつきを低減し安定した燃焼を実現するには、燃焼室内の燃料が速やかに気化するように、噴霧を微粒化することが重要となる。
燃料噴射弁から噴射される噴霧の微粒化には薄膜化した液膜のせん断力によるもの、流れの剥離で発生するキャビテーションによるもの、超音波の機械的振動で表面に付着した燃料を微粒化するものなどが知られている。また、燃料中に気泡を発生させ、この気泡を破裂させることによって燃料の微粒化を図る提案もされている。このように、燃料中に気泡を発生させる提案として、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1の提案では、燃料中に気泡を発生させるために、シート部の上流側に設けられた旋回流生成部によって燃料を旋回させ、旋回流による負圧によって気柱を生じさせている。気柱の界面では、微細な気泡が生じ、これが崩壊することによって燃料の微粒化が図られている。このような特許文献1に開示された燃料噴射弁は、ニードル弁の軸線方向とずらして設定された噴孔軸を有するとともに、半球形状であって、旋回流の旋回中心軸を変換する旋回軸変換室を備えている。すなわち、噴孔は、ニードル弁の軸線方向からオフセットされて旋回軸変換室に開口している。特許文献1に開示された燃料噴射弁は、ニードル弁の軸線方向からオフセットされた噴孔を有することにより、いわゆるサイド噴射に容易に対応することができる。
特開2012−137053号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された燃料噴射弁は、サック室、すなわち、旋回軸変換室内に位置する噴孔開口部の近傍において、複雑な旋回流となる可能性がある。具体的に、旋回軸変換室の形状が半球形状であるため、噴孔開口部の近傍において、燃料が球面に沿って、上昇方向に流れようとするベクトル、すなわち、燃料噴射弁の基端側に戻ろうとするベクトルが生じる可能性がある。このような理由によって噴孔開口部の近傍における旋回流が複雑なものとなると、噴孔内へ導かれる旋回流が弱まる可能性がある。噴孔内へ導かれる旋回流が弱まると、気柱の生成、ひいては、微細気泡の生成に影響が及ぶことが考えられる。このような構成において気柱を発生させる旋回流を維持するためには、燃圧を高める措置が必要であり、気柱界面に生じる微細気泡を破裂させて燃料の微粒化を図る燃料噴射弁の利点である低燃圧化を十分に生かすことができなくなる可能性があった。
そこで本明細書開示の燃料噴射弁は、ニードル弁の軸芯方向からオフセットされた噴孔内に導入される旋回流の勢いを維持することを課題とする。
上記課題を解決するために本明細書開示の燃料噴射弁は、先端側にシート部を有するニードル弁と、前記シート部が着座するシート面を有すると共に前記シート面の下流側に円筒形状の旋回安定室を備え、前記旋回安定室内に開口部を有するとともに、前記ニードル弁の軸芯方向からオフセットされた噴孔が形成されたノズルボディと、前記旋回安定室に導入される燃料に旋回成分を付与する旋回溝が設けられた旋回流生成部と、を備え、前記噴孔において、前記旋回安定室内の旋回流の流れ方向に対し上流側に位置する前記開口部の縁部にテーパ形状部を備える。
前記旋回安定室内の旋回流の流れ方向に対し上流側に位置する前記開口部の縁部にテーパ形状部を備えることにより、噴孔内に導入される旋回流の勢いが維持される。これにより、噴孔内で気柱が生成されて燃料中に微細な気泡が発生し、燃料を微粒化することができる。
前記テーパ形状部は、前記旋回安定室の底面の中心点からの距離が最短となる前記開口部の縁部を含めることができる。旋回安定室内の燃料の旋回速度は、旋回安定室の中心部が速く、中心部から離れるに従って、遅くなる。オフセットされた噴孔内の旋回流の速度は、旋回安定室内の中心に近い位置の旋回流の速度と内周壁に近い側、すなわち、中心部から離れた位置の旋回速度の差として表現することができる。そこで、旋回安定室の底面の中心点からの距離が最短となる開口部の縁部を含むようにテーパ形状部を設けることにより、中心部に近い側の速度をできるだけ高く保ち、噴孔内での旋回流の勢いを維持することができる。
前記噴孔は、前記旋回安定室の半径に対する前記開口部の縁部から前記ニードル弁の軸芯までの最短距離の比が0.05から0.15の範囲内となる位置に配置することができる。上述のように、旋回安定室内の燃料の旋回速度は、旋回安定室の中心部が速く、中心部から離れるに従って、遅くなる。そのため、旋回安定室内の燃料の旋回速度が早くなる領域に噴孔の開口部の縁部を配置し、噴孔内の旋回流の勢いを維持する趣旨である。また、このような観点から、前記噴孔は、より好ましくは、前記旋回安定室の半径に対する前記開口部の縁部から前記ニードル弁の軸芯までの最短距離の比が0.11となる位置に配置することができる。
本明細書に開示された燃料噴射弁によれば、ニードル弁の軸芯方向からオフセットされた噴孔内に導入される旋回流の勢いを維持することができる。
図1は実施形態の燃料噴射弁の要部を断面として示す説明図である。 図2(A)は第1実施形態の燃料噴射弁の先端部を拡大して示す説明図であり、図2(B)は第1実施形態の燃料噴射弁を先端側から観た説明図である。 図3は実施形態における燃料噴射弁が備える旋回安定室内を基端側から観た説明図である。 図4はニードルガイドの先端部を示す斜視図である。 図5(A)はニードルガイドの先端部を側面側から観た説明図であり、図5(B)はニードルガイドを先端側から観た説明図である。 図6は旋回安定室内の旋回流の速度と噴孔内の旋回流の速度を示す説明図である。 図7はオフセットされた噴孔における旋回周波数、発生気泡径および噴霧角に対するy/rの影響を示すグラフである。 図8は噴孔径による旋回周波数に対するy/r感度を示すグラフである。 図9は噴孔径による発生気泡径に対するy/r感度を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されている場合もある。
(実施形態)
図1は実施形態の燃料噴射弁1の要部を断面として示す説明図である。図2(A)は第1実施形態の燃料噴射弁1の先端部を拡大して示す説明図であり、図2(B)は第1実施形態の燃料噴射弁1を先端側から観た説明図である。図3は実施形態における燃料噴射弁1が備える旋回滞留3室内を基端側から観た説明図である。図4はニードルガイド5の先端部を示す斜視図である。図5(A)はニードルガイド5の先端部を側面側から観た説明図であり、図5(B)はニードルガイド5を先端側から観た説明図である。
実施形態の燃料噴射弁1は、内燃機関に装備され、内燃機関が備えるECUによって駆動制御される。ECU10は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)と、データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)やNVRAM(Non Volatile RAM)と、を備えるコンピュータである。燃料噴射弁1は、内燃機関が備える吸気ポート下部や、燃焼室の任意の位置に設置することができる。燃料噴射弁1が装備される内燃機関は、ガソリンを燃料とするガソリンエンジン、軽油を燃料とするディーゼルエンジン、ガソリンとアルコールとを任意の割合で混合した燃料を使用するフレキシブルフューエルエンジンのいずれでもよい。また、その他、燃料噴射弁によって噴射可能などのような燃料を用いるエンジンであってもよい。
図1、図2(A)、(B)を参照すると、燃料噴射弁1は、ノズルボディ2、ニードルガイド5、軸芯AXを有するニードル弁6を備える。
ノズルボディ2は、筒状の部材であり、内周壁2aを備える。また、圧力室2bを備える。圧力室2bの先端側には、テーパ形状に成形されたシート面2cが設けられている。シート面2cには、後述するシート部6aが着座する。また、ノズルボディ2は、シート面2cの下流側に旋回安定室3を備える。旋回安定室3は底面3a及び内周壁3bを備えた円筒形状の空間である。図3を参照すると、旋回安定室3の半径はrである。旋回安定室3の底面3aは、後に詳述するニードル弁6の軸芯AXと直交する平滑面である。図3を参照すると、底面3aには、3つの噴孔4の開口部4aが、120°ずつ隔てて開口している。噴孔4の中心軸は、ニードル弁6の軸芯AXと一致している。各噴孔4の開口部4aにおいて、旋回安定室3内の中心点、すなわち、軸芯AXが通過する旋回安定室中心点c(以下、c点という)に最も近い点、すなわち、噴孔開口端(内側)をa点とする。また、c点から最も遠い点、すなわち、噴孔開口端(外側)をb点とする。ここで、c点とa点との距離yは、旋回安定室3の半径rとの関係で、0.05≦y/r≦0.15の範囲に設定される。この理由については、後に詳述する。
また、噴孔4の開口部4aには、旋回安定室3内の旋回流の流れ方向に対して上流側に位置する縁部にテーパ形状部4bが設けられている。図3において、説明を分かりやすくするため、テーパ形状部4bは、ハッチングを付して示されている。テーパ形状部4bが設けられる位置については、後に詳細に説明する。
実施形態における燃料噴射弁1は、噴孔4内に強旋回流を発生させて微細気泡を生成し、この微細気泡を含んだ燃料を噴射する。このような形式の燃料噴射を行う燃料噴射弁1では、噴孔4を流れる燃料は気泡が混入した気液2相流となり、その流速はボイド率によって規定される極めて低い音速で律則されることになる。このような状況下、噴孔径は、燃料の流量を確保するための径とされる。実施形態における噴孔4の噴孔径はφ0.3、3つの噴孔の総面積は0.212mmに設定されている。ただし、これらの寸法は、一例であり、これに限定されるものではない。
燃料噴射弁1は、先端部がノズルボディ2内に位置するニードルガイド5を備えている。ニードルガイド5は、その外周面がノズルボディ2の内周壁3bに接して支持されるようにノズルボディ2内に配置されている。ニードルガイド5は、筒状の部材であり、その内周部へニードル弁6が軸芯AX方向に沿った往復動可能に収納される。図4乃至図5(B)を参照すると、ニードルガイド5は、基端側の外周壁面に燃料連通路5aを備えている。そして、その下流側に旋回安定室3内に導入される燃料に旋回成分を付与する旋回溝5bを備える。旋回溝5bは、旋回安定室3に導入される燃料に旋回成分を付与する。このような旋回溝5bが設けられたニードルガイドの先端部は旋回流生成部に相当する。
ここで、螺旋溝5bの諸元について、図5(A)、(B)を参照しつつ説明する。螺旋溝5bは、12条設けられている。溝幅は、最大で0.17mmである。溝の開口部部における深さDiは、0.4mmである。溝の出口部における深さDoは、0.16mmである。総溝最小面積、すなわち、出口部における溝の総面積は、0.314mmである。溝流路長は、4.5mmである。圧損の計算値は、135kPaである。
燃料噴射弁1は、先端側にシート部6aを有するニードル弁6を備えている。ニードル弁6は、上述のように、ニードルガイド5の内側に往復動可能に支持されている。ニードル弁6は、ECUの指令によって作動する駆動装置によって開弁動作を行う。シート部6aがシート面2cに着座すると燃料噴射弁1は、閉弁状態となる。シート部6aがシート面2cから離座すると燃料噴射弁1は、開弁状態となる。ここで、燃料噴射弁1が閉弁状態となったときに生じるデッド燃料について説明する。図1(A)に示すように燃料噴射弁1が閉弁状態となると、燃料は、設定燃圧を保持した状態でシート部6aよりも上流側に滞留することになる。そして、燃料噴射弁1の開弁初期には、シート部6aに近い位置で滞留していた燃料から順に旋回安定室3内へ導入される。このような燃料のうち、特に、シート部6aから旋回溝5bの下流端、すなわち、ニードルガイド5の先端部までの領域に形成されたデッド燃料滞留部8に滞留していた燃料は、ニードル弁6がリフトを開始すると、ほとんど旋回成分を有しない状態で旋回安定室3内へ導入される。また、旋回溝5bの下流端近傍で滞留していた燃料も旋回溝5bを通過することによって付与された旋回成分を維持できず、また、開弁後も助走区間が短くて十分な旋回成分を得ることができないため、デッド燃料滞留部8に滞留していた燃料とほぼ同様の振る舞いをする。このように、燃料噴射弁1の開弁初期において、十分な旋回成分を得ることなく旋回安定室3内に導入される燃料がデッド燃料である。このようなデッド燃料は、後にその原理を説明するように微粒化され難い。
図2を参照すると、ニードル弁6の先端部には、燃料衝突部7が設けられている。燃料衝突部7は、上述のデッド燃料が、衝突するように設けられている。燃料衝突部7に衝突したデッド燃料は、旋回安定室3内に滞留することができる。デッド燃料を旋回安定室3内に滞留させる為、燃料衝突部7は、ニードル弁6が開弁した状態のときに、ノズルボディ2が備えるシート面2cを噴孔4側、すなわち、ノズルボディ2の先端側に延長した仮想面と交錯するように設けられる。燃料は、シート面2cとシート部6aとの間を両者の間隔に応じた幅を有する状態で通過し、旋回安定室3内へ導入される。デッド燃料も同様の要領で旋回安定室3内へ導入される。シート面2cを噴孔4側に延長した仮想面は、デッド燃料の流れの境界とほぼ一致するため、燃料衝突部7が仮想面と交錯するように設けられていれば、デッド燃料を燃料衝突部7へ衝突させることができる。燃料衝突部7は、ニードル弁6のフルリフト時においても、デッド燃料と衝突できるように設けられている。なお、上記条件が満たされない場合、シート部6aを周形状で通過し、軸芯AXに向かって集まる燃料同士が衝突して、微粒化されることなく噴孔4から噴射される。
これに対し、旋回安定室3内に滞留している燃料は、燃料衝突部7に衝突することにより、旋回安定室3の内周壁3b側へ偏向される。そして、デッド燃料に引き続いて旋回安定室3内へ導入される旋回成分を有する燃料によって旋回成分が与えられ、噴孔4内へ導入されることになる。すなわち、燃料噴射弁1の閉弁時においてデッド燃料よりも上流側に位置し、十分な距離の旋回溝5bを通過した後に旋回安定室3内へ導入される燃料は、速度も速く、旋回成分も得ている。旋回溝5bを通過する助走距離も長く、旋回成分を有する燃料は、その遠心力によって旋回安定室3の内周壁3bに沿うように旋回安定室3内へ導入される。旋回成分を有する燃料は、旋回安定室3内で滞留していた燃料とともに旋回成分を保持したまま噴孔4内へ導入される。
図6を参照すると、旋回安定室3内の旋回流F1の方向と噴孔4内の旋回流F2の方向は反転した関係となっている。旋回安定室3内には、旋回溝5bを通過した燃料が旋回流F1となって流入する。この旋回流F1の流速は、c点近傍で速く、外側に行くに従って遅くなっている。このような流速分布を持った旋回流F1が噴孔4内に流入するとき、a点では流速Viで流入する。一方、b点では、流速Voで流入する。ここで、噴孔4の開口部4aにおいて、流速Viと流速Voの向きは反転している。このため、噴孔4内における旋回流F2の流速Vは、流速の差分Vi−Voであり、その方向は旋回流F1と逆向きとなる。このとき、噴孔4内の旋回流F2の流速分布は、旋回安定室3内の流速分布と相似形になり、噴孔中心に負圧を発生させることができる。
このように、噴孔4内の旋回流F2は、a点における流速とb点における流速との関係によって創出される。このため、流速Viが低下することを極力回避し、流速Viと流速Voと差をできるだけ大きく保つことによって、ニードル弁6の軸芯AX方向からオフセットされた噴孔4内に導入される旋回流の勢いを維持することができる。そこで、上述のように、噴孔4の開口部4aには、旋回安定室3内の旋回流F1の流れ方向に対して上流側に位置する縁部にテーパ形状部4bが設けられている。このテーパ形状部4bは、旋回安定室3の底面3aの中心点(c点)からの距離yが最短となる開口部の縁部、すなわち、a点を含むように形成されている。噴孔4の縁部のうち、テーパ形状部4bが形成された位置では、旋回安定室3内の燃料の旋回流F1が噴孔4内に流入し易い。これに対し、テーパ形状部4bが形成されていない位置の縁部は、旋回安定室3内の燃料の旋回流F1に対して堰として作用する。a点とb点とを比較すると、a点における流速がViであり、b点における流速がVoであって、Vi>Voである。そこで、a点を含み、b点が除外される領域にテーパ形状部4bを設ける。これにより、a点における旋回流F1の勢いは維持され、一方、b点における旋回流F1の勢いは、弱められる。この結果、流速の差分Vi−Vo(=V)の値が大きくなり、噴孔4内で効率よく旋回流F2が生成される。この結果、低い燃圧であっても噴孔4内に、旋回流F2が生成され、旋回流F2の中心部において気柱を発生させることができる。なお、テーパ形状部4bは、座ぐり加工によって形成されている。
図6を参照すると、旋回安定室3内における旋回流F1の流速分布が、半径比と対応させて表示されている。半径比は、y/rに相当する。y/rは、旋回安定室3の半径rに対する開口部4aの縁部からニードル弁6の軸芯AXまでの最短距離の比である。図6によれば、旋回流F1の流速は、半径比0.11となる位置で最も高いことがわかる。流入速度比V/Viの分布、すなわち、a点から噴孔4内に流入する旋回流F1の流速Viと、噴孔4内の旋回流F2の流速Vとの比の分布は、旋回流F1の分布と一致する。噴孔4内の旋回流F2の流速Vをできるだけ高くするためには、a点の位置を旋回流F1の流速が最も高くなる位置と一致させることが望ましい。そこで、本実施形態では、y/rを0.11に設定している。なお、b点の位置は、y+D(噴孔径)となる。噴孔径Dは、設計する噴射流量によって決定されるが、旋回流F1の旋回安定室3の外周部での流速の変化は、さほど大きくない。このため、b点の位置が噴孔4内の旋回流F2の勢いに与える影響は小さいといえる。
ここで、図7を参照して、噴孔における旋回周波数、発生気泡径および噴霧角に対するy/rの影響について説明する。図7に示す例は、旋回安定室3をφ3、噴孔径をφ0.5とした場合に、y/rを変化させて、旋回周波数、発生気泡径および噴霧角の変化を観察したものである。図7によれば、y/rが0.11近辺を越えると旋回周波数が急激に低下し、これに伴い、発生気泡径が大きくなり、噴霧角が小さくなることがわかる。
つぎに、図8を参照すると、噴孔径に応じて、旋回周波数のピーク値及び旋回周波数がピークを示すy/rが若干異なっていることがわかる。具体的に、噴孔径が小さいほど、旋回周波数のピーク値は大きくなり、ピーク値を示すy/rも数値が大きくなる側にシフトしている。図8より、a点の位置は、y/rは、噴孔径に応じて幅を持たせて設定されることが望ましい。図9を参照すると、噴孔径に応じて気泡径に対するy/rの感度が異なっていることがわかる。内燃機関の1サイクル(吸入−圧縮行程内)で気泡が破裂するための要求気泡径を4μm以下とした場合、噴孔径φ0.2のときに、0.05≦y/r≦0.15であることが求められる。これより、燃料噴射弁1の噴孔径として採用され得る値がφ0.2よりも大きい場合は、y/rの値は、少なくとも0.05≦y/r≦0.15の範囲内に設定されていれば、要求気泡径を実現することができる。ただし、より効率的に噴孔4内の旋回流F2の勢いを維持するためには、y/rを概ね0.11近辺に設定することが望ましい。このように、y/rは、所望の気泡径を得ることができる旋回流F2を実現する観点より設定される。
ここで、燃料噴射弁1による燃料噴射の様子について説明する。ニードル弁6がリフトし、シート部6aがシート面2cから離座すると、燃料連通路5aを通過した燃料は、一旦、圧力室2bに導入され、その後、旋回溝5bへ流入する。これにより、燃料が旋回流となる。そして、旋回流は、シート面2cに沿って、旋回安定室3内へ導入される。上述の要領で旋回安定室3内で旋回する燃料は、噴孔4内に導入され、旋回流F2を形成する。旋回流F2は、その中央部に負圧を発生させ、気柱が生成される。気柱との界面において、微細気泡が生成され、生成された微細気泡は燃料とともに噴射される。
燃料の微粒化の原理をより詳説すると、以下の如くである。燃料噴射弁1内で旋回速度の旋回流F1が形成され、その旋回流F1に起因して噴孔4内で旋回流F1と逆回転の旋回流F2が形成されると、その強い旋回流の旋回中心に負圧が発生する。負圧が発生すると燃料噴射弁1の外部の空気が噴孔4内に吸引される。これにより噴孔4内に気柱が発生する。こうして発生した気柱と燃料との界面において気泡が生成する。生成した気泡は気柱の周囲を流れる燃料に混入し、気泡混入流、すなわち、2相流として外周側を流れる燃料流とともに噴射される。その噴射の形状は、中空のコーン状である。このため、噴孔4から離れるほど、噴霧の外径は大きくなり、気泡を形成している液膜は引き伸ばされて薄くなる。そして、液膜を維持することができなくなると、気泡が分裂し、その後、微細気泡は自己加圧効果によって径が小さくなり、崩壊(圧壊)に至り、超微細な燃料粒が形成される。このように、燃料の微粒化が達成される。
上記実施例は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
1 燃料噴射弁
2 ノズルボディ
2a 内周壁
2b 圧力室
2c シート面
3 旋回安定室
3a 底面
3b 内周壁
4 噴孔
4a 開口部
4b テーパ形状部
5 ニードルガイド
5a 燃料連通路
5b 旋回溝
6 ニードル弁
6a シート部
AX 軸芯

Claims (4)

  1. 先端側にシート部を有するニードル弁と、
    前記シート部が着座するシート面を有すると共に前記シート面の下流側に円筒形状の旋回安定室を備え、前記旋回安定室内に開口部を有するとともに、前記ニードル弁の軸芯方向からオフセットされた噴孔が形成されたノズルボディと、
    前記旋回安定室に導入される燃料に旋回成分を付与する旋回溝が設けられた旋回流生成部と、を備え、
    前記噴孔において、前記旋回安定室内の旋回流の流れ方向に対し上流側に位置する前記開口部の縁部にテーパ形状部を備えた燃料噴射弁。
  2. 前記テーパ形状部は、前記旋回安定室の底面の中心点からの距離が最短となる前記開口部の縁部を含む請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記噴孔は、前記旋回安定室の半径に対する前記開口部の縁部から前記ニードル弁の軸芯までの最短距離の比が0.05から0.15の範囲内となる位置に配置された請求項1に記載の燃料噴射弁。
  4. 前記噴孔は、前記旋回安定室の半径に対する前記開口部の縁部から前記ニードル弁の軸芯までの最短距離の比が0.11となる位置に配置された請求項1または2に記載の燃料噴射弁。
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