JP2012132332A - 燃料噴射弁及び燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】噴孔からの燃料噴射初期の時点から気泡を含んだ燃料を噴射し、噴射後にその気泡を崩壊させることによって燃料の微粒化を図ることを課題とする。
【解決手段】燃料噴射弁は、噴孔が設けられたノズルボディと、前記ノズルボディ内に摺動自在に配置され、前記ノズルボディとの間に燃料導入路を形成するとともに、前記ノズルボディ内のシート部に着座するニードルと、前記シート部よりも上流側に設けられ、前記燃料導入路から導入される燃料に前記ニードルの摺動方向に対して旋回する流れを付与する螺旋溝が設けられた旋回流生成部と、前記シート部よりも下流側に設けられ、前記旋回流生成部において生成された旋回流の旋回速度を増大させつつ前記噴孔へ燃料を供給する旋回増速部と、を備える。前記螺旋溝の下流側先端部は、前記ニードルが前記シート部に着座した状態で、前記シート部まで延びている。
【選択図】図2

Description

本発明は燃料噴射弁に関する。
近年、内燃機関に関し、CO低減及びエミッション低減のため、過給リーン、大量EGR及び予混合自着火燃焼の研究が盛んに行われている。これらの研究によると、CO低減及びエミッション低減の効果を最大限に引き出すには、より燃焼限界近傍において安定した燃焼状態を得る必要がある。また、石油燃料の枯渇化が進む中、バイオ燃料など多種の燃料でも安定して燃焼できるロバスト性が要求される。このような安定した燃焼を得るのに最も重要な点は混合気の着火ばらつきを低減することや膨張行程で燃料を燃やしきる速やかな燃焼が必要とされる。
また、内燃機関の燃料供給において、過度応答性の向上、気化潜熱による体積効率向上や低温での触媒活性化用の大幅な遅角燃焼のために燃焼室内へ燃料を直接噴射する筒内噴射方式が採用されている。ところが、筒内噴射方式を採用することにより、噴霧燃料が液滴のまま燃焼室壁に衝突して起こるオイル希釈や、液状燃料で噴射弁の噴孔周りに生成されるデポジットによる噴霧悪化により燃焼変動が助長されていた。
このような筒内噴射方式の採用により生じるオイル希釈や噴霧悪化の対策をするとともに、着火ばらつきを低減し安定した燃焼を実現するには、燃焼室内の燃料が速やかに気化するように、噴霧を微粒化することが重要となる。
燃料噴射弁から噴射される噴霧の微粒化には薄膜化した液膜のせん断力によるもの、流れの剥離で発生するキャビテーションによるもの、超音波の機械的振動で表面に付着した燃料を微粒化するものなどが知られている。
特許文献1には、ノズル本体の中空穴の壁面と針弁の摺動面との間に形成された螺旋状通路を通った燃料を環状チャンバである燃料溜まりにおいて回転流とする燃料噴射ノズルが提案されている。この燃料噴射ノズルは、燃料溜まり内で回転する燃料を燃料溜まりの下流に設けられ、末広のテーパ面を有する単噴孔から燃料を噴射する。噴射された燃料は分散され、空気との混合が促進される。
特許文献2には、気泡発生流路と気泡保持流路との圧力差を利用して発生させた気泡を混合した燃料を噴射し、噴射後の燃料において気泡が崩壊するエネルギーにより燃料を微粒化する燃料噴射弁が記載されている。
このように、燃料噴射ノズル、燃料噴射弁に対し、種々の提案がされている。
特開平10−141183号公報 特開2006−177174号公報
しかしながら、前記特許文献1に開示された燃料噴射ノズルは、旋回する燃料を加速させて燃料の噴霧を拡散することができるが、燃料中に気泡を発生させることによる燃料の微粒化は考慮されていない。また、特許文献2に開示された燃料噴射弁は、シート部が気泡保持流路よりも下流側に配置された構成となっている。このため、噴射初期は一旦気泡保持流路に保持された燃料が噴射されることになる。閉弁状態時に気泡保持流路に保持される燃料の気泡混合率は低く、噴射初期の微粒化は困難であり、燃料は液状のままシリンダ壁に衝突することが懸念される。液状の燃料がシリンダ壁に衝突することは、オイル希釈の原因となる。
そこで本発明は、噴孔からの燃料噴射初期の時点から気泡を含んだ燃料を噴射し、噴射後にその気泡を崩壊させることによって燃料の微粒化を図ることを課題とする。
上記課題を解決するために本明細書開示の燃料噴射弁は、噴孔が設けられたノズルボディと、前記ノズルボディ内に摺動自在に配置され、前記ノズルボディとの間に燃料導入路を形成するとともに、前記ノズルボディ内のシート部に着座するニードルと、前記シート部よりも上流側に設けられ、前記燃料導入路から導入される燃料に前記ニードルの摺動方向に対して旋回する流れを付与する螺旋溝が設けられた旋回流生成部と、前記シート部よりも下流側に設けられ、前記旋回流生成部において生成された旋回流の旋回速度を増大させつつ前記噴孔へ燃料を供給する旋回増速部と、を備え、前記螺旋溝の下流側先端部は、前記ニードルが前記シート部に着座した状態で、前記シート部まで延びていることを特徴としている。
螺旋溝が、シート部まで延びていることにより、ニードルがシート部から離座した直後に旋回流が発生する。この結果、噴孔からの燃料噴射初期の時点から気泡を含んだ燃料を噴射することができる。ここで、螺旋溝の下流側先端部がシート部まで延びている状態とは、シート部がある程度の幅があり、シート部が帯状に分布しているときは、ニードルが着座した状態でその帯状のシート部内に下流側先端部が位置している状態を含む。また、下流側先端部がシート部の直上に位置している状態も含む。要は、着座した状態のときに燃料が漏れないように閉弁状態とすることができるとともに、ニードルが離座した直後から旋回流をシート部下流へ導入することができればよい。
前記ニードルは、先端部に半球形状部を備え、前記螺旋溝は、前記下流側先端部に向かって、溝深さが徐々に浅くなることが望ましい。ニードルの先端部に半球形状部を備えることにより、燃料通路となるニードルとノズルボディとの隙間を徐々に拡大することができる。すなわち、ニードルがリフトした場合、燃料通路となる隙間は、半球形状部の半径方向で形成される。このため、燃料流路が急激に拡大することを抑制することができる。仮に、ニードルの先端部をテーパ状とすると、燃料流路となるニードルとノズルボディとの隙間は、両者のテーパ面間距離となる。この場合、ニードルがリフトし始めると、燃料流路の面積が一気に増大する。この結果、燃料流路中の螺旋溝を流れる燃料の割合が減少することになり、旋回流生成の効果が抑制されてしまう。ニードルの先端部に半球形状部を備え、燃料流路の面積が徐々に増大することにより、ニードルの小リフト時においても、螺旋溝の効果を維持し、旋回流生成の効果を適切に得ることができる。
また、前記螺旋溝の溝深さが、前記下流側先端部に向かって、徐々に浅くなることにより、旋回増速部へ滑らかに旋回流を導入することができる。仮に、急激に溝深さが浅くなるなど、螺旋溝の形状が急激に変化すると、当該箇所で旋回流を妨げる渦が生じるおそれがある。螺旋溝の下流側先端部に向かって徐々に溝深さを浅くすれば、燃料は、上流側から螺旋溝に沿って流れることにより生成された旋回流を維持したまま旋回増速部へ導入される。
本明細書開示の燃料噴射装置は、上記の燃料噴射弁を備えるとともに、前記燃料噴射弁による燃料噴射量が少ないときに、前記ニードルのリフト量を小さくするとともに、前記燃料噴射弁による燃料噴射量が多いときに、前記ニードルのリフト量を大きくするリフト量変更手段を備えたことを特徴とする。
一般的に燃料噴射量の調整は、燃料噴射弁の開弁時間τによって規定される。これに対し、リフト量変更手段を用いてニードルのリフト量を変更することにより、旋回流を発生させるために有利な条件とすることができる。例えば、燃料噴射量が少ない場合に、リフト量を小さくすれば、まず、ニードルがリフトすることによって生じる隙間面積を含めた全燃料通路面積に対する螺旋溝の面積の割合が大きくなる。これにより、効率よく旋回流を生成することができる。また、リフト量を小さくすることにより、燃料噴射量が少量の場合であっても噴射期間を長く設定することができるようになる。この結果、旋回流生成部全体の螺旋溝を十分に利用することができるようになる。これにより、発生気泡径を小さくし、少ない燃料噴射量のときでも燃料の微粒化を図ることができる。
一方、燃料噴射量が多い場合に、リフト量を大きくすれば、必要な燃料流量を確保し易くなる。また、噴射期間を短くすることができるため、燃料の気化、混合、燃焼を考慮して、所望のタイミングで噴射する自由度が大きくなる。これらを考慮して噴射のタイミングを適切に設定することにより燃焼効率を高めることができる。
本明細書に開示された燃料噴射弁によれば、噴孔からの燃料噴射初期の時点から気泡を含んだ燃料を噴射し、噴射後にその気泡を崩壊させることによって燃料の微粒化を図ることができる。
図1は、実施例の燃料噴射弁を搭載したエンジンシステムの一構成例を示す説明図である。 図2は、実施例の燃料噴射弁の要部を断面として示す説明図である。 図3は、比較例の燃料噴射弁の先端部を断面とし拡大して示す説明図である。 図4は、実施例の燃料噴射弁が小リフト状態であるときの先端部を拡大して示す説明図である。 図5は、実施例の燃料噴射弁が大リフト状態であるときの先端部を拡大して示す説明図である。 図6は、リフト量変更手段の構成の一例を示すブロック図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されている場合もある。
本発明の実施例1について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の燃料噴射弁30を搭載したエンジンシステム1の一構成例を示した図である。なお、図1にはエンジン1000の一部の構成のみが示されている。
図1に示すエンジンシステム1は、動力源であるエンジン1000を備えており、エンジン1000の運転動作を総括的に制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)10を備えている。エンジンシステム1は、エンジン1000の燃焼室11内へ燃料を噴射する燃料噴射弁30を備えている。エンジンECU10は、制御部の機能を備える。エンジンECU10は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)と、データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)やNVRAM(Non Volatile RAM)と、を備えるコンピュータである。
エンジン1000は、車両に搭載されるエンジンであって、燃焼室11を構成するピストン12を備えている。ピストン12は、エンジン1000のシリンダに摺動自在に嵌合されている。そして、ピストン12は、コネクティングロッドを介して出力軸部材であるクランクシャフトに連結されている。
吸気ポート13から燃焼室11内へ流入した吸入空気は、ピストン12の上昇運動により燃焼室11内で圧縮される。エンジンECU10は、クランク角センサからのピストン12の位置、および吸気カム角センサからのカム軸回転位相の情報に基づき、燃料噴射タイミングを決定し燃料噴射弁50に信号を送る。燃料噴射弁50は、エンジンECU10の信号に従って、指示された噴射タイミングで燃料を噴射する。燃料噴射弁50より噴射された燃料は、霧化して圧縮された吸入空気と混合される。そして、吸入空気と混合された燃料は、点火プラグ18によって点火されることで燃焼し、燃焼室11内を膨張させてピストン12を下降させる。この下降運動がコネクティングロッドを介してクランクシャフトの軸回転に変更されることにより、エンジン1000は動力を得る。
燃焼室11には、それぞれ燃焼室11と連通する吸気ポート13と、吸気ポート13に連結し、吸入空気を吸気ポート13から燃焼室11へと導く吸気通路14とが接続されている。更に、各気筒の燃焼室11には、それぞれ燃焼室11と連通する排気ポート15と、燃焼室で発生した排気ガスをエンジン1000の外部へと導く排気通路16が接続されている。吸気通路14には、サージタンク22が配置されている。
吸気通路14には、エアフロメータ、スロットルバルブ17およびスロットルポジションセンサが設置されている。エアフロメータおよびスロットルポジションセンサは、それぞれ吸気通路14を通過する吸入空気量、スロットルバルブ17の開度を検出し、検出結果をエンジンECU10に送信する。エンジンECU10は、送信された検出結果に基づいて吸気ポート13および燃焼室11へ導入される吸入空気量を認識し、スロットルバルブ17の開度を調整することで吸入空気量を調節する。
排気通路16には、ターボチャージャ19が設置されている。ターボチャージャ19は、排気通路16を流通する排気ガスの運動エネルギーを利用してタービンを回転させ、エアクリーナーを通過した吸入空気を圧縮してインタークーラーへと送り込む。圧縮された吸入空気は、インタークーラーで冷却された後に一旦サージタンク22に貯留され、その後、吸気通路14へと導入される。この場合、エンジン1000は、ターボチャージャ19を備える過給機付エンジンに限られず、自然吸気(Natural Aspiration)エンジンであってもよい。
ピストン12は、その頂面にキャビティを有する。キャビティは、燃料噴射弁50の方向から点火プラグ18の方向へと連続するなだらかな曲面によってその壁面が形成されており、燃料噴射弁50から噴射された燃料を壁面形状に沿って点火プラグ18近傍へと導く。この場合、ピストン12は、その頂面の中央部分に円環状にキャビティが形成されるリエントラント型燃焼室等、エンジン1000の仕様に応じて任意の位置・形状でキャビティを形成することができる。
燃料噴射弁50は、吸気ポート13下部の燃焼室11に装着されている。燃料噴射弁50は、エンジンECU10の指示に基づいて、燃料ポンプから燃料流路を通じて高圧供給された燃料をノズルボディ51先端部に設けられた噴孔53より燃焼室11内へ直接噴射する。噴射された燃料は、燃焼室11内で霧化し吸入空気と混合されつつキャビティの形状に沿って点火プラグ18近傍へと導かれる。燃料噴射弁50のリーク燃料は、リリーフ弁からリリーフ配管を通じて燃料タンクへと戻される。
この燃料噴射弁50は、吸気ポート13下部に限られず燃焼室11の任意の位置に設置することができる。例えば、燃焼室11の中央上側から噴射するように配置することもできる。
なお、エンジン1000は、ガソリンを燃料とするガソリンエンジン、軽油を燃料とするディーゼルエンジン、ガソリンとアルコールとを任意の割合で混合した燃料を使用するフレキシブルフューエルエンジンのいずれでもよい。また、その他、燃料噴射弁によって噴射可能などのような燃料を用いるエンジンであってもよい。エンジンシステム1は、エンジン1000と複数の電動モータとを組み合わせたハイブリッドシステムであってもよい。
次に、本発明の一実施例である燃料噴射弁50の内部構成について、比較例である燃料噴射弁30とともに詳細に説明する。図2は実施例の燃料噴射弁50の要部を断面として示した説明図である。図3は、比較例の燃料噴射弁30の先端部分を断面として示した説明図である。図4は、実施例の燃料噴射弁50が小リフト状態であるときの先端部を拡大して示す説明図である。図5は、実施例の燃料噴射弁50が大リフト状態であるときの先端部を拡大して示す説明図である。
実施例の燃料噴射弁50は、ノズルボディ51、ニードル52、駆動機構60を備えている。駆動機構60はニードル52の摺動動作を制御する。駆動機構60は、圧電素子、電磁石などを用いたアクチュエータやニードル52へ適切な圧力を付与する弾性部材など、ニードル52が動作するのに適する部品を備えた従来から知られる機構である。以下の説明において、先端側とは図面中の下側を示し、基端側とは図面中の上側を示すこととする。
ノズルボディ51の先端部には噴孔53が設けられている。噴孔53はノズルボディ31の先端においてノズルボディ51の軸に沿う方向に形成された単噴孔である。ノズルボディ51の内部には、ニードル52が着座するシート部54が形成されている。ニードル52は、ノズルボディ51内に摺動自在に配置されることによって、ノズルボディ51との間に燃料導入路55を形成する。そして、ニードル52は、ノズルボディ51内のシート部54に着座することによって燃料噴射弁50を閉弁状態とする。ニードル52は、駆動機構60により上方に引き上げられ、シート部54から離座することによって開弁状態となる。シート部54は、噴孔53から奥まった位置に設けられている。このため、ニードル52が開弁状態にある場合、閉弁状態にある場合のいずれの場合であっても、噴孔33は、外部と連通した状態となる。燃料噴射弁50を燃焼室11に露出した状態で装着する場合は、噴孔53は、燃焼室11と連通した状態となる。
燃料噴射弁50は、シート部4よりも上流側に設けられ、燃料導入路55から導入される燃料にニードルの摺動方向に対して旋回する流れを付与する旋回流生成部52aを備えている。旋回流生成部52aは、ニードル52の先端部に設けられている。旋回流生成部52aは、ニードル52の基端側と比較して径が拡大されている。旋回流生成部52aは、その先端部に半球形状部52cを備えている。その半球形状部52cがシート部54に着座する。このように、旋回流生成部52aは、開弁時及び閉弁時にシート部54よりも上流側に位置する。
旋回流生成部52aは、螺旋溝52bを備えている。燃料導入路55から導入される燃料がこの螺旋溝52bを通過することによって、燃料の流れに旋回成分が付与され、燃料の旋回流が生成される。この螺旋溝52bの下流側先端部52b1は、ニードル52がシート部54に着座した状態で、シート部54まで延びている。ここで、螺旋溝52bの下流側先端部52b1は、シート部54の直上に位置し、ニードル52がシート部54に着座したときに燃料が漏れないように閉弁状態とすることができる。
螺旋溝52bの下流側先端部52b1は、半球形状部52cに位置している。螺旋溝52bの溝深さは、下流側先端部52b1に向かって、徐々に浅くなっている。そして、最終的に、下流側先端部52b1において、深さは0となる。すなわち、上流側から流れてくる燃料を円滑にシート部54の下流側に流すことができる形状となっている。
燃料噴射弁50は、シート部54よりも下流側に設けられ、旋回流生成部52aにおいて生成された旋回流の旋回速度を増大させつつ噴孔53へ燃料を供給する旋回増速部56を備えている。旋回増速部56は、シート部54よりも下流部に位置する最小絞り部に向かって内周径が縮径して形成されている。ここで、最小絞り部は、シート部54よりも下流部において、最も内周径が小さい位置に相当する。本実施例において、最小絞り部は、図2、図4及び図5に示すように、噴孔53となっている。最小絞り部は、噴孔53の開口部に限定されない。
旋回増速部56は、シート部54と噴孔53との間に形成され、旋回流生成部52aを通過して旋回状態となった燃料の旋回速度を加速させる。旋回速度生成部52aで生成された旋回流の回転半径を徐々に狭める。旋回流は、縮径された狭い領域に流入することで、旋回速度が増す。旋回速度が増した旋回流は、噴孔53内に気柱を形成する。
旋回増速部56内で旋回流が加速すると、噴孔53から旋回増速部56内に強い旋回流が形成され、強い旋回流が旋回する中心に負圧が発生する。負圧が発生するとノズルボディ51の外部の空気がノズルボディ51内に吸引される。これにより噴孔53内に気柱が発生する。こうして発生した気柱と燃料との界面において気泡が生成する。生成した気泡は気柱の周囲を流れる燃料に混入し、気泡混入流として外周側を流れる燃料流とともに噴射される。
このとき燃料流及び気泡混入流は、旋回流の遠心力により、中心から拡散するコーン状の噴霧が形成される。従って、噴孔53から離れるほどコーン状の噴霧の径は大きくなるため、噴霧液膜が引き伸ばされて薄くなる。そして、液膜として維持できなくなり分裂する。この後、分裂後の噴霧は微細気泡の自己加圧効果によって径が小さくなり崩壊に至り超微細化噴霧となる。このように、燃料噴射弁50により噴射された燃料の噴霧が微粒化されるため、燃焼室内における速やかな火炎伝播が実現され、安定した燃焼が行われる。
このように燃料噴霧の超微細化を図ることにより、燃料の気化が促進されると、PM(Particulate Matter)や、HC(炭化水素)の低減を図ることができる。また、熱効率も改善される。さらに、気泡が燃料噴射弁50から噴射された後に破壊されることになるので、燃料噴射弁50内のEGRエロージョンを抑制することができる。
なお、燃料噴射弁50が、燃焼室11に装着された場合、噴孔53に導入される気体は燃焼室11内で混合気が燃焼した後の既燃ガスとなる。このように、本実施例の燃料噴射弁は、気柱を形成するために燃料噴射弁50内に気体を導入する各別な構造を備える必要がないため、簡易な構成とすることができ、コスト面でも有利である。
本実施例の燃料噴射弁50は、燃料の旋回流の遠心力によって噴霧角を広角とすることができる。これにより、空気との混合を促進することができる。また、噴霧に気泡、すなわち、圧縮性ガスを含むため、音が伝搬する臨界速度(音速)が小さくなる。燃料の流速は、音速を越えることができないという物理的性質のため、音速が遅くなると、燃料の流速が遅くなる。燃料の流速が遅くなると、ペネトレーションが小さくなってボア壁におけるオイル希釈が抑制されるという効果がある。また、気泡を含むことによって燃料の流速が遅くなると、同じ燃料噴射を確保するために噴孔径を大きく設定することになる。噴孔には、デポジットが堆積する。そして、このデポジット堆積に起因して噴射量が変化する。しかしながら、噴孔径が大きく設定され、噴射量が多くなると、デポジット堆積に起因する噴射量の変化(噴射変化量)に対する感度が低下する。すなわち、噴射量に対する噴射変化量の割合が低下することになるため、デポジット堆積に起因する噴射量の変化の影響が小さくなる。
また、燃料噴射弁50は、旋回増速部56により旋回半径を徐々に縮径するため、最小絞り部となる噴孔53において旋回流が安定し、安定して気柱が発生する。安定して気柱が発生すると気柱の界面で発生する微細気泡の気泡径のバラツキが抑制される。また、微細気泡を含む燃料噴射の揺らぎが抑制される。この結果、噴射された微細気泡が圧壊(破裂)して形成される燃料粒の粒度分布が縮小し、均質な噴霧を得ることができる。また、気柱が安定して形成されることにより、エンジン1000のサイクル間で燃料の粒度の変動が少ない噴霧を得ることができる。これらは、PM低減、HC低減、熱効率向上に資する。さらに、エンジン1000の燃焼変動の少ない安定した運転が可能となることから、燃費向上、有害排気ガス低減、EGR(Exhaust Gas Recirculation)の増加、A/F(空燃比)のリーン化が可能となる。
本実施例の燃料噴射弁は、旋回流生成部52aで燃料を旋回させ、気柱を形成することによって微細気泡を生成する。ここで、燃料の旋回周波数と気泡径は相関関係を有する。また、気泡径と燃料噴射後の気泡の圧壊時間は相関関係を有する。
本実施例の燃料噴射弁50は、旋回流生成部52aと、旋回増速部56、噴孔53の中心軸を一致させているが、これらの中心軸は必ずしも一致していなければならないものでない。燃料噴射弁50のエンジン1000への設置の都合や、その他の要求に基づいて、中心軸がずれることは許容される。
比較例の燃料噴射弁30は、実施例の燃料噴射弁50と同様に、ノズルボディ31、ニードル32、噴孔33及びシート部34を備える。また、燃料噴射弁30には、燃料導入路35が形成されている。また、燃料噴射弁53は、旋回流生成部32a、螺旋溝32bを備える点においても燃料噴射弁30と共通する。しかしながら、燃料噴射弁30は、以下の点で燃料噴射弁50と異なる。すなわち、燃料噴射弁50は、その先端部に、半球形状部52cを備えているのに対し、燃料噴射弁30は、その先端部にテーパ部32cを備えている。また、燃料噴射弁50が備える螺旋溝52bの下流側先端部52b1は、ニードル52が着座した状態でシート部54の直上に位置している。これに対し、燃料噴射弁30が備える螺旋溝32bの下流側先端部32b1は、シート部34から距離を隔てた位置に配置されている。
このように、燃料噴射弁30では、下流側先端部32b1とシート部34との間に距離を隔てているため、開弁後に即座に旋回流が発生し難いことがある。また、燃料噴射弁30では、燃料流路が急激に拡大し、螺旋溝32bを通過する燃料の割合が少なくなってしまう。この結果、旋回流の生成の効果が弱まるおそれがある。
これに対し、実施例の燃料噴射弁50の下流側先端部52b1は、ニードル52がシート部54に着座した状態で、シート部54まで延びている。このため、開弁直後から、螺旋溝52bを通過した燃料による旋回流生成効果を得ることができる。この結果、噴霧開始時から気泡を内包する燃料を噴射することができ、燃料の微粒化が可能となる。このように粗大液滴の発生が抑制され、粒度分布の揃った噴霧が可能となることにより、HCやスモークの発生が抑制される。また、燃料全体の気化を促進されることから燃焼効率が高められる。
また、螺旋溝52bの溝深さが、下流側先端部52b1に向かって、徐々に浅くなっている。これにより、螺旋溝52bを通過した燃料が整流された状態で旋回増速部56へ流入することができる。この結果、乱れの少ない旋回流が生成され、効率よく微細気泡を発生させることができる。
また、燃料噴射弁50は、図4に示すようにニードル52の小リフト状態のときであっても、半球形状部52cとノズルボディ51との隙間は大きくなり(図4中、隙間大の表示)、燃料が流通することができる。螺旋溝52bの下流側先端部52b1は、半球形状部52cに位置している。このため、燃料は、螺旋溝52bを通過することによる旋回流生成効果を享受することができる。このとき、半球形状部52cとノズルボディ51との距離は比較例の燃料噴射弁30よりは短く、螺旋溝52bを流れる燃料の割合も大きい。このため、旋回流生成効果が大きい。
図6は、燃料噴射弁50を備えた燃料噴射装置80のブロック図である。燃料噴射装置80は、エンジンECU10と、燃料噴射弁50を含んでいる。燃料噴射弁50は、駆動機構60と、ストッパ移動機構70を備えている。ストッパ移動機構は、リフト量変更手段の一例である。燃料噴射弁50は、内部にストッパ71を備えており、このストッパ71の位置によってリフト量を調整することができる。ストッパ移動機構70は、ニードル52の駆動機構60と同様に、圧電素子、電磁石などを用いたアクチュエータを備え、ストッパ71を軸方向に移動させることができる。エンジンECU10の指令により、燃料噴射量が少ないときは、ストッパ71が先端側に位置するようにストッパ移動機構70が動作する。燃料噴射量が多いときは、ストッパ71が基端側に位置するようにストッパ移動機構70が動作する。ストッパ71が基端側に移動することにより、図5に示すように燃料噴射弁50は、大リフト状態となることができる。
燃料噴射量が少ない場合に、リフト量を小さくすることにより、まず、ニードル52がリフトすることによって生じる隙間面積を含めた全燃料通路面積に対する螺旋溝52bの面積の割合が大きくなる。これにより、効率よく旋回流を生成することができる。また、リフト量を小さくすることにより、燃料噴射量が少量の場合であっても噴射期間を長く設定することができるようになる。この結果、旋回流生成部52a全体の螺旋溝52bを十分に利用することができるようになる。これにより、発生気泡径を小さくし、少ない燃料噴射量のときでも燃料の微粒化を図ることができる。
一方、燃料噴射量が多い場合に、ニードル52のリフト量を大きくすれば、必要な燃料流量を確保し易くなる。また、噴射期間を短くすることができるため、燃料の気化、混合、燃焼を考慮して、所望のタイミングで噴射する自由度が大きくなる。これらを考慮して噴射のタイミングを適切に設定することにより燃焼効率を高めることができる。なお、リフト量変更手段は、ニードル52のリフト量を変更できるものであれば、他の構成であってもよい。
上記実施例は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
1 エンジンシステム
30、50 燃料噴射弁
31、51 ノズルボディ
31b、51b 螺旋溝
31b1、51b1 下流側先端部
32、52 ニードル
32a、52a 旋回流生成部
32b、52b 螺旋溝
33、53 噴孔(最小絞り部)
34、54 シート部
35、55 燃料導入路
36、56 旋回増速部
70 ストッパ移動機構
71 ストッパ
80 燃料噴射装置
1000 エンジン

Claims (3)

  1. 噴孔が設けられたノズルボディと、
    前記ノズルボディ内に摺動自在に配置され、前記ノズルボディとの間に燃料導入路を形成するとともに、前記ノズルボディ内のシート部に着座するニードルと、
    前記シート部よりも上流側に設けられ、前記燃料導入路から導入される燃料に前記ニードルの摺動方向に対して旋回する流れを付与する螺旋溝が設けられた旋回流生成部と、
    前記シート部よりも下流側に設けられ、前記旋回流生成部において生成された旋回流の旋回速度を増大させつつ前記噴孔へ燃料を供給する旋回増速部と、を備え、
    前記螺旋溝の下流側先端部は、前記ニードルが前記シート部に着座した状態で、前記シート部まで延びていることを特徴とした燃料噴射弁。
  2. 前記ニードルは、先端部に半球形状部を備え、前記螺旋溝は、下流側先端部に向かって、溝深さが徐々に浅くなることを特徴とした請求項1記載の燃料噴射弁。
  3. 請求項1又は2記載の燃料噴射弁を備えるとともに、
    前記燃料噴射弁による燃料噴射量が少ないときに、前記ニードルのリフト量を小さくするとともに、前記燃料噴射弁による燃料噴射量が多いときに、前記ニードルのリフト量を大きくするリフト量変更手段を備えたことを特徴とする燃料噴射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108005826A (zh) * 2017-11-21 2018-05-08 聊城科瑞汽车零部件有限公司 一种变频喷油嘴

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