JP2013204455A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】旋回流の勢いを維持した燃料を噴孔に流入させることを課題とする。
【解決手段】燃料噴射弁は、先端側にシート部を有するニードル弁と、前記シート部が着座するシート面を有すると共に前記シート面の下流側にサック室を備え、前記サック室内に開口する噴孔を有するノズルボディと、前記サック室内に導入される燃料を旋回させる旋回流生成部と、を備える。前記シート面側の前記サック室の壁面が湾曲面であり、前記シート面の傾斜に沿って延長した延長線分が前記サック室の内周壁面と交差する位置よりも先端側に前記噴孔が開口する。これにより、旋回流の勢いを維持した燃料を噴孔に流入させることができる。
【選択図】図3
【解決手段】燃料噴射弁は、先端側にシート部を有するニードル弁と、前記シート部が着座するシート面を有すると共に前記シート面の下流側にサック室を備え、前記サック室内に開口する噴孔を有するノズルボディと、前記サック室内に導入される燃料を旋回させる旋回流生成部と、を備える。前記シート面側の前記サック室の壁面が湾曲面であり、前記シート面の傾斜に沿って延長した延長線分が前記サック室の内周壁面と交差する位置よりも先端側に前記噴孔が開口する。これにより、旋回流の勢いを維持した燃料を噴孔に流入させることができる。
【選択図】図3
Description
本発明は燃料噴射弁に関する。
近年、内燃機関に関し、CO2低減及びエミッション低減のため、過給リーン、大量EGR及び予混合自着火燃焼の研究が盛んに行われている。これらの研究によると、CO2低減及びエミッション低減の効果を最大限に引き出すには、より燃焼限界近傍において安定した燃焼状態を得る必要がある。また、石油燃料の枯渇化が進む中、バイオ燃料など多種の燃料でも安定して燃焼できるロバスト性が要求される。このような安定した燃焼を得るのに最も重要な点は混合気の着火ばらつきを低減することや膨張行程で燃料を燃やしきる速やかな燃焼が必要とされる。
また、内燃機関の燃料供給において、過渡応答性の向上、気化潜熱による体積効率向上や低温での触媒活性化用の大幅な遅角燃焼のために燃焼室内へ燃料を直接噴射する筒内噴射方式が採用されている。ところが、筒内噴射方式を採用することにより、噴霧燃料が液滴のまま燃焼室壁に衝突して起こるオイル希釈や、液状燃料で燃料噴射弁の噴孔周りに生成されるデポジットによる噴霧悪化により燃焼変動が助長されていた。
このような筒内噴射方式の採用により生じるオイル希釈や噴霧悪化の対策をするとともに、着火ばらつきを低減し安定した燃焼を実現するには、燃焼室内の燃料が速やかに気化するように、噴霧を微粒化することが重要となる。
特許文献1では、良好な燃焼を実現させる上で、燃料の噴霧を短時間に均一に燃焼室内に分散させることが有効であることに鑑み、燃料噴射弁内における圧力損失を低減させる提案がされている。具体的に、特許文献1には、燃料溜りよりも上流側に、燃料を旋回して流通させる旋回手段を備えた燃料噴射装置が開示されている。
特許文献2には、燃料の旋回流を利用してデポジットの除去を行う提案がされている。具体的に、特許文献2には、燃料通路からサック部に流れ込む燃料の旋回流が変動する旋回流変動領域が設定されるとともに、噴射弁回動手段を備えた燃料噴射装置が開示されている。
このように、良好な燃焼を得るために、燃料の旋回流が利用されることがある。
ところで、燃料噴射弁からの燃料噴射に燃料の旋回流を利用する場合、その旋回流の勢いが強い方が好都合である。しかしながら、燃料の旋回流が流入するサック室(旋回室)の形状によっては、燃料がサック室内周壁へ衝突し、旋回流の勢いが弱まることが考えられる。
そこで本明細書開示の燃料噴射弁は、旋回流の勢いを維持した燃料を噴孔に流入させることを課題とする。
上記課題を解決するために本明細書開示の燃料噴射弁は、先端側にシート部を有するニードル弁と、前記シート部が着座するシート面を有すると共に前記シート面の下流側にサック室を備え、前記サック室内に開口する噴孔を有するノズルボディと、前記サック室内に導入される燃料を旋回させる旋回流生成部と、を備え、前記シート面側の前記サック室の壁面が湾曲面であり、湾曲面が設けられ、前記シート面の傾斜に沿って延長した延長線分が前記サック室の内周壁面と交差する位置よりも先端側に前記噴孔が開口する。
シート面側のサック室の壁面を湾曲面とすることにより、旋回流生成部で生成された旋回流がサック室に導入されたときに、旋回流がサック室壁面へ衝突することに起因する旋回流の減速が抑制され、旋回流の勢いが維持される。そして、噴孔が前記シート面の傾斜に沿って延長した延長線分が前記サック室の内周壁面と交差する位置よりも先端側に開口することにより、サック室内で旋回した後の燃料が噴孔に流入する。これにより、旋回流の勢いを維持した燃料を噴孔に流入させることができる。
前記湾曲面は、球面の一部であってもよい。湾曲面を球面の一部とすることにより、旋回流の減速を効果的に抑制することができる。
前記噴孔の噴孔軸線は、前記ニードル弁の軸線と異なるように設定されてもよい。噴孔軸線とニードル弁の軸線とを異ならせることにより、噴霧角を広角とすることができる。そして、噴孔軸線とニードル弁の軸線とを異ならせた場合であっても、旋回流の勢いを維持した燃料を噴孔に流入させることができ、良好な噴霧形状を得ることができる。
前記サック室は、球形であり、前記噴孔は複数設けられてもよい。サック室を球形とすることにより、ニードル弁の軸線と噴孔軸線とがなす角度を大きく設定することができるようになる。また、サック室の径を大きくすることができ、複数の噴孔を互いに干渉させることなくサック室内に開口させることができるようになる。これにより、それぞれの噴孔に均質な旋回流を流入させることができる。均質な旋回流が流入した噴孔からは、コーン状に燃料が噴射される。
前記複数の噴孔のそれぞれの噴孔軸線は、前記ニードル弁の軸線に対する角度が同一とされ、前記複数の噴孔の噴孔長は、それぞれ、噴孔径に対して2倍以上であってもよい。
これによれば、各噴孔から噴射される噴霧の噴霧角を小さくし、かつ、噴霧ペネトレーションは大きくなる。燃料噴射弁全体としては、噴霧角を広くし且つ噴霧ペネトレーションを適度なものとすることができる。例えば、燃料噴射弁全体として、噴霧角をニードル弁の軸線に対する噴孔軸線がなす角度の2倍の角度とすることができる。
前記ニードル弁の軸線に対する噴孔軸線の角度が同一である複数の噴孔が属する噴孔群を複数備え、1つの噴孔群に属する噴孔が残りの噴孔群に属する噴孔に対して周方向にずらして配置されてもよい。噴孔群間で、ニードル弁の軸線に対する噴孔軸線の角度を異ならせることにより、噴霧全体では、噴霧を中実スワール噴霧とすることができる。これにより、燃焼室全体に混合気を分散し易くなり、燃料と空気との良好なミキシングを実現でき、燃焼効率を向上させることができる。
噴孔の噴孔長に対する噴孔径の比(L/D比)を前記噴孔群毎に定めてもよい。噴孔の噴孔長に対する噴孔径の比を種々変更することにより、燃焼室形状に応じた噴霧形状を実現することができる。例えば、燃焼室が深キャビティ型燃焼室(すなわち、ピストン頂面に比較的深いキャビティが設けられている燃焼室)である場合では、内側に位置する噴孔群、すなわち、前記ニードル弁の軸線に対する噴孔軸線の角度が小さい噴孔群のL/D比を大きくすることができる。また、例えば、燃焼室が偏平燃焼室(すなわち、ピストン頂面に比較的深いキャビティが設けられていない燃焼室)である場合では、外側に位置する噴孔群、すなわち、前記ニードル弁の軸線に対する噴孔軸線の角度が大きい噴孔群のL/D比を大きくすることができる。
本明細書に開示された燃料噴射弁によれば、旋回流の勢いを維持した燃料を噴孔に流入させることができる。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されている場合もある。
(実施形態1)
本発明の実施形態1について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の燃料噴射弁30を搭載したエンジンシステム1の一構成例を示した図である。なお、図1にはエンジン1000の一部の構成のみが示されている。
本発明の実施形態1について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の燃料噴射弁30を搭載したエンジンシステム1の一構成例を示した図である。なお、図1にはエンジン1000の一部の構成のみが示されている。
図1に示すエンジンシステム1は、動力源であるエンジン1000を備えており、エンジン1000の運転動作を総括的に制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)10を備えている。エンジンシステム1は、エンジン1000の燃焼室11内へ燃料を噴射する燃料噴射弁30を備えている。エンジンECU10は、制御部の機能を備える。エンジンECU10は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)と、データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)やNVRAM(Non Volatile RAM)と、を備えるコンピュータである。
エンジン1000は、車両に搭載されるエンジンであって、燃焼室11を画成するピストン12を備えている。ピストン12は、エンジン1000のシリンダに摺動自在に嵌合されている。そして、ピストン12は、コネクティングロッドを介して出力軸部材であるクランクシャフトに連結されている。
吸気ポート13から燃焼室11内へ流入した吸入空気は、ピストン12の上昇運動により燃焼室11内で圧縮される。エンジンECU10は、クランク角センサからのピストン12の位置情報、に基づき、燃料噴射タイミングを決定し燃料噴射弁30に信号を送る。燃料噴射弁30は、エンジンECU10の信号に従って、指示された噴射タイミングで燃料を噴射する。燃料噴射弁30より噴射された燃料は、霧化して圧縮された吸入空気と混合される。そして、吸入空気と混合された燃料は、点火プラグ18によって点火されることで燃焼し、燃焼室11内を膨張させてピストン12を下降させる。この下降運動がコネクティングロッドを介してクランクシャフトの軸回転に変更されることにより、エンジン1000は動力を得る。
各気筒の燃焼室11には、それぞれ燃焼室11と連通する吸気ポート13と、吸気ポート13に連結し、吸入空気を吸気ポート13から燃焼室11へと導く吸気通路14とが接続されている。更に、各気筒の燃焼室11には、それぞれ燃焼室11と連通する排気ポート15と、燃焼室で発生した排気ガスをエンジン1000の外部へと導く排気通路16が接続されている。吸気通路14には、サージタンク22が配置されている。
吸気通路14には、エアフロメータ、スロットルバルブ17およびスロットルポジションセンサが設置されている。エアフロメータおよびスロットルポジションセンサは、それぞれ吸気通路14を通過する吸入空気量、スロットルバルブ17の開度を検出し、検出結果をエンジンECU10に送信する。エンジンECU10は、送信された検出結果に基づいて燃焼室11へ導入される吸入空気量を認識し、スロットルバルブ17の開度を調整することで吸入空気量を調節する。
排気通路16には、ターボチャージャ19が設置されている。ターボチャージャ19は、排気通路16を流通する排気ガスの運動エネルギーを利用してタービンを回転させ、エアクリーナーを通過した吸入空気を圧縮してインタークーラーへと送り込む。圧縮された吸入空気は、インタークーラーで冷却された後に一旦サージタンク22に貯留され、その後、吸気通路14へと導入される。この場合、エンジン1000は、ターボチャージャ19を備える過給機付エンジンに限られず、自然吸気(Natural Aspiration)エンジンであってもよい。
ピストン12は、その頂面にキャビティを有する。キャビティは、燃料噴射弁30の方向から点火プラグ18の方向へと連続するなだらかな曲面によってその壁面が形成されており、燃料噴射弁30から噴射された燃料を当該キャビティの壁面に沿って点火プラグ18近傍へと導く。この場合、ピストン12には、その頂面の中央部分に円環状にキャビティが形成されるリエントラント型燃焼室等が形成されるように、エンジン1000の仕様に応じて任意の位置や形状でキャビティを形成することができる。
燃料噴射弁30は、その先端が燃焼室11に露出するように吸気ポート13下部に設置されている。燃料噴射弁30は、エンジンECU10の指示に基づいて、燃料ポンプから燃料流路を通じて高圧供給された燃料をノズルボディ31先端部に設けられた噴孔33より燃焼室11内へ直接噴射する。噴射された燃料は、燃焼室11内で霧化し吸入空気と混合されつつキャビティの形状に沿って点火プラグ18近傍へと導かれる。燃料噴射弁30のリーク燃料は、リリーフ弁からリリーフ配管を通じて燃料タンクへと戻される。
なお、この燃料噴射弁30は、吸気ポート13下部に限られず燃焼室11の任意の位置に当該燃料噴射弁30の先端が露出するように設置されてもよい。例えば、燃料噴射弁30は、燃焼室11の中央上側から噴射するように配置されてもよい。
なお、エンジン1000は、ガソリンを燃料とするガソリンエンジン、軽油を燃料とするディーゼルエンジン、ガソリンとアルコールとを任意の割合で混合した燃料を使用するフレキシブルフューエルエンジンのいずれでもよい。また、エンジン1000は、その他、燃料噴射弁によって噴射可能などのような燃料を用いるエンジンであってもよい。エンジンシステム1は、エンジン1000と複数の電動モータとを組み合わせたハイブリッドシステムであってもよい。
次に、本発明の一実施形態である燃料噴射弁30の内部構成について詳細に説明する。図2は、実施形態1の燃料噴射弁30の要部を断面として示す説明図である。図3(A)は実施形態1の燃料噴射弁30の先端部を断面とし拡大して示す説明図であり、図3(B)は噴孔の配置を示す説明図であって、燃料噴射弁30をその先端部からみたときの図である。
燃料噴射弁30は、ノズルボディ31、ニードルガイド32およびニードル弁33を備える。
ノズルボディ31は、筒状の部材であり、内側に、シート面31aを有する。シート面31aには、後述するシート部33aが着座する。シート面31aの上流側には、圧力室34が形成されている。また、ノズルボディ31は、シート面31aの下流側にサック室35を備える。サック室35には、6個の噴孔37が開口している。図3(B)を参照すると、6個の噴孔37は、60°ずつ、ずらして同心円上に配置されている。各噴孔37の噴孔軸線AX1は、ニードル弁33の軸線と異なっている。サック室35は、球形である。これにより、サック室35の上側部分には、球面の一部である湾曲面F1が設けられている。このような、ノズルボディ31は、シート面31aの傾斜に沿って延長した延長線分36を描くことにより、この延長線分36とサック室35の内周壁面とが交差する位置S1が定められる。6個の噴孔37は、いずれも、この位置S1よりも先端側(下流側)に開口している。
6個の噴孔37のそれぞれの噴孔軸線AX1は、ニードル弁33の軸線AX0に対する角度θ1が同一とされている。また、6個の噴孔37の噴孔長L1は、それぞれ、噴孔径D1に対して2倍以上、具体的に、L1/D1が2.5に設定されている。
ニードルガイド32は、ノズルボディ31内に装着されている。ニードルガイド32は、筒状の部材であり、先端部に螺旋溝32aが設けられている。螺旋溝32aは、サック室35内に導入される燃料を旋回させる旋回流生成部に相当する。すなわち、ノズルボディ31の内周壁と、ニードルガイド32の基端側外周面との間に形成された燃料流路40を通じて一旦圧力室34に導入された燃料が螺旋溝32aへ導入される。これにより、燃料に旋回成分が付与され、旋回流が生成される。
ニードル弁33は、ニードルガイド32の内周壁面32bに摺動自在に装着されている。ニードル弁33は、軸線AX0方向に沿って往復動する。ニードル弁33の先端側には、シート部33aが設けられている。このシート部33aがシート面31aに着座することにより、燃料噴射弁30は、閉弁状態となる。
図2を参照すると、燃料噴射弁30は、駆動機構45を備えている。駆動機構45はニードル弁33の摺動動作を制御する。駆動機構45は、圧電素子、電磁石などを用いたアクチュエータやニードル弁33へ適切な圧力を付与する弾性部材など、ニードル弁33が動作するのに適する部品を備えた従来から知られる機構である。
つぎに、以上のような燃料噴射弁30による、燃料噴射の様子について説明する。ニードル弁33がリフトし、シート部33aがシート面31aから離座すると、燃料通路40を通過した燃料は、一旦、圧力室34に導入され、その後、螺旋溝32aへ流入する。これにより、燃料が旋回流となる。そして、旋回流は、シート面31aに沿って、サック室35内へ導入される。このとき、旋回流は、湾曲面F1に沿って導入される。このため、旋回流は、サック室35の内周面に衝突することによる勢いの低下が抑制される。このように、旋回の勢いが維持された状態の旋回流は、球形のサック室35内を旋回する。ここで、噴孔37は、位置S1よりも先端側に開口しているので、サック室35内を旋回した後の燃料が各噴孔37へ流入し、噴射される。各噴孔37へ流入する燃料は、サック室35内を旋回しているので、均質な螺旋流となる。螺旋流の旋回速度が維持されることにより、噴孔37内で気柱を発生させ、微細気泡を生成することができる。
ここで、燃料噴射弁30によって実現される噴霧の状態について説明する。燃料噴射弁30は、ニードルガイド32を備え、噴射される燃料に旋回流を付与する。旋回流を付与する目的として、燃料の良好な拡散や燃料の微粒化を挙げることができる。燃料の微粒化の原理は以下の如くである。燃料噴射弁30内で旋回速度の速い旋回流が形成され、その旋回流が噴孔に導入されると、その強い旋回流の旋回中心に負圧が発生する。負圧が発生すると燃料噴射弁30の外部の空気が噴孔37内に吸引される。これにより噴孔37内に気柱が発生する。こうして発生した気柱と燃料との界面において気泡が生成される。生成され気泡は気柱の周囲を流れる燃料に混入し、気泡混入流として外周側を流れる燃料流とともに噴射される。そして、気泡が崩壊することにより、燃料の微粒化が達成される。
実施形態1の燃料噴射弁30によれば、旋回流の勢いが維持され、また、旋回流が均質に噴孔37内に流入するので、燃料を微細化することができる。
また、実施形態1の燃料噴射弁30では、噴孔37の噴孔軸線AX1は、ニードル弁33の軸線AX0と異なっているが、噴孔37に均質に旋回流を流入させることができるため、良好な噴霧形状を得ることができる。図4は、比較例の燃料噴射弁50による噴霧の形状を模式的に示す説明図である。燃料噴射弁50は、ノズルボディ51とニードル弁53とを備える。ノズルボディ51は、シート面51aと、その下流側にサック室55とを備える。サック室55には、噴孔57が開口している。噴孔57の噴孔軸線AX2はニードル弁53の軸線AX0と異なっている。サック室55の内周壁面は、実施形態1と異なり、軸線AX0と平行な面を備える。図4を参照すると、燃料噴射弁50による噴霧は、分布が偏り、噴孔軸線AX2に関して軸対称の形状となっていない(すなわち、噴霧形状に歪みがある)。これは、サック室55内に旋回流が導入されるときに、シート部51aを通過した燃料が直接噴孔57内に流入するためであると考えられる。実施形態1の燃料噴射弁30を用いた場合は、このような噴霧形状の歪みの発生を抑制することができる。
実施形態1の燃料噴射弁30は、上述のように、6個の噴孔37のそれぞれの噴孔軸線AX1は、ニードル弁33の軸線AX0に対する角度θ1が同一とされている。また、6個の噴孔37の噴孔長L1は、それぞれ、噴孔径D1に対して2倍以上、具体的に、L1/D1が2.5になるように設定されている。これにより、各噴孔37から噴射される噴霧の噴霧角は小さくなり、かつ、噴霧ペネトレーションは大きくなる。そして、燃料噴射弁30全体としては、角噴霧を広くして且つ噴霧ペネトレーションを適度なものとすることができる。また、燃料噴射弁30全体として、噴霧角をニードル弁の軸線に対する噴孔軸線がなす角度の2倍の角度とすることができる。これにより、例えば、偏平形状の燃焼室内へ燃料を噴射するときに、燃焼室壁面への燃料の付着を抑制することができる。
また、実施形態1の燃料噴射弁30は、球形のサック室35を採用することにより、複数個の噴孔を互いに干渉させることなくサック質35内に開口させることができる。噴孔37の開口が干渉していないため、各噴孔37に均質に旋回流を流入させることができる。
(実施形態2)
つぎに、実施形態2について図5を参照しつつ説明する。図5(A)は実施形態2の燃料噴射弁70の先端部を断面とし拡大して示す説明図であり、図5(B)は噴孔77、78の配置を示す説明図であって、燃料噴射弁70をその先端側からみたときの図ある。実施形態2の燃料噴射弁70は、噴孔37に代えて、噴孔77、78を備える点で実施形態1の燃料噴射弁30と異なる。なお、他の構成は、実施形態1と同様であるので、共通する構成要素については図面中、同一の参照番号を付して、その詳細な説明は省略する。
つぎに、実施形態2について図5を参照しつつ説明する。図5(A)は実施形態2の燃料噴射弁70の先端部を断面とし拡大して示す説明図であり、図5(B)は噴孔77、78の配置を示す説明図であって、燃料噴射弁70をその先端側からみたときの図ある。実施形態2の燃料噴射弁70は、噴孔37に代えて、噴孔77、78を備える点で実施形態1の燃料噴射弁30と異なる。なお、他の構成は、実施形態1と同様であるので、共通する構成要素については図面中、同一の参照番号を付して、その詳細な説明は省略する。
燃料噴射弁70は、噴孔77が属する噴孔群と、噴孔78が属する噴孔群を備える。噴孔77は、いずれも噴孔軸線AX3とニードル弁33の軸線AX0との角度θ2が60°とされている。噴孔77は、4個設けられている。4個の噴孔77は、90°ずつ、ずらして同心円上に配置されている。噴孔78は、いずれも噴孔軸線AX4とニードル弁33の軸線AX0との角度θ3が45°とされている。噴孔78は、4個設けられている。4個の噴孔78は、90°ずつ、ずらして同心円上に配置されている。噴孔77と噴孔78とは、周方向にずらして配置されている。すなわち、いわゆる千鳥配置とされている。このように、噴孔群間で、ニードル弁33の軸線AX0に対する噴孔軸線AX3、AX4の角度を異ならせることにより、噴霧全体では、噴霧を中実スワール噴霧とすることができる。これにより、燃焼室全体に混合気を分散し易くなり、燃料と空気との良好なミキシングを実現でき、燃焼効率を向上させることができる。
また、実施形態2の燃料噴射弁70は、噴孔群毎に、噴孔の噴孔長(L2、L3)に対する噴孔径(D2、D3)の比(L2/D2、L3/D3)が定められている。実施形態2では、L2/D2=2.5、L3/D3=1に設定されている。これは、偏平燃焼室への燃料噴射を想定したものである。噴孔77、すなわち、外側に位置する噴孔群に属する噴孔77のL/Dを大きく設定することにより、ピストン頂面への燃料の付着を防止しつつ、燃焼室11内へ満遍なく燃料を噴射することができる。この結果、空気と燃料との良好なミキシングを実現でき、燃焼効率を向上させることができる。
一方、実施形態2の燃料噴射弁70を深キャビティ型の燃焼室に用いる場合は、例えば、L2/D2=1.5、L3/D3=2に設定してもよい。これにより、キャビティ内の空気と燃料を有効にミキシングでき、燃焼効率を向上させることができる。噴孔の噴孔長(L)に対する噴孔径(D)の比(L/D)を適宜変更することで、中実スワール噴霧の噴霧形状を燃焼室の形状や燃焼形態に応じて設定することができる。
上記実施形態は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、シート面の傾斜に沿って延長した延長線分とサック室の内周壁面とが交差する位置S1を定めている。これに対し、シート面の傾斜に沿って延長した延長線分に代えて、例えば、ニードル弁33の最大リフト時におけるシート面とシート部との中心点からシート面と平行に引いた線分を採用することができる。
1 エンジンシステム
30、70 燃料噴射弁
31 ノズルボディ
31a シート面
32 ニードルガイド
32a 螺旋溝
33 ニードル弁
33a シート部
36 延長線分
37、77、78 噴孔
AX0 軸線
AX1〜AX4 噴孔軸線
30、70 燃料噴射弁
31 ノズルボディ
31a シート面
32 ニードルガイド
32a 螺旋溝
33 ニードル弁
33a シート部
36 延長線分
37、77、78 噴孔
AX0 軸線
AX1〜AX4 噴孔軸線
Claims (7)
- 先端側にシート部を有するニードル弁と、
前記シート部が着座するシート面を有すると共に前記シート面の下流側にサック室を備え、前記サック室内に開口する噴孔を有するノズルボディと、
前記サック室内に導入される燃料を旋回させる旋回流生成部と、
を備え、
前記シート面側の前記サック室の壁面が湾曲面であり、前記シート面の傾斜に沿って延長した延長線分が前記サック室の内周壁面と交差する位置よりも先端側に前記噴孔が開口する、
燃料噴射弁。 - 前記湾曲面は、球面の一部である請求項1に記載の燃料噴射弁。
- 前記噴孔の噴孔軸線は、前記ニードル弁の軸線と異なるように設定される請求項1又は2のいずれかに記載の燃料噴射弁。
- 前記サック室は、球形であり、前記噴孔は複数設けられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
- 前記複数の噴孔のそれぞれの噴孔軸線は、前記ニードル弁の軸線に対する角度が同一とされ、前記複数の噴孔の噴孔長は、それぞれ、噴孔径に対して2倍以上である請求項4に記載の燃料噴射弁。
- 前記ニードル弁の軸線に対する噴孔軸線の角度が同一である複数の噴孔が属する噴孔群を複数備え、1つの噴孔群に属する噴孔が残りの噴孔群に属する噴孔に対して周方向にずらして配置された請求項4に記載の燃料噴射弁。
- 噴孔の噴孔長に対する噴孔径の比が前記噴孔群毎に定められた請求項6に記載の燃料噴射弁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Cited By (4)
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JP2020056366A (ja) * | 2018-10-03 | 2020-04-09 | 株式会社Ihi | エンジン |
-
2012
- 2012-03-27 JP JP2012072077A patent/JP2013204455A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10202930B2 (en) | 2016-06-08 | 2019-02-12 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Internal combustion engine |
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US20190301577A1 (en) * | 2018-03-30 | 2019-10-03 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Vehicle power unit |
JP2020056366A (ja) * | 2018-10-03 | 2020-04-09 | 株式会社Ihi | エンジン |
JP7192368B2 (ja) | 2018-10-03 | 2022-12-20 | 株式会社Ihi | エンジン |
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