JP2014145750A - 乳試料中の測定対象物質の比色測定方法、乳試料の前処理の方法及び試薬、並びに乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法 - Google Patents

乳試料中の測定対象物質の比色測定方法、乳試料の前処理の方法及び試薬、並びに乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】乳試料においてもそれに含まれる測定対象物質を正確に比色測定することができる、乳試料中の測定対象物質の比色測定方法、乳試料の前処理の方法及び試薬、並びに乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法を提供する。
【解決手段】乳試料中の測定対象物質の比色測定に当たり、乳試料と界面活性物質を接触させることを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳試料中の測定対象物質の比色測定方法であって、乳試料においてもそれに含まれる測定対象物質を正確に比色測定することができる測定方法に関するものである。
また、本発明は、乳試料の前処理の方法及び試薬であって、乳試料においてもそれに含まれる測定対象物質を正確に比色測定することができる試料の前処理の方法及び試薬に関するものである。
更に、本発明は、乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法であって、乳試料においてもそれに含まれる測定対象物質を正確に比色測定することができる方法に関するものである。
本発明は、臨床検査、臨床病理学及び医学などの生命科学分野、並びに分析化学などの化学分野等において有用なものである。
母親から乳児に与えられる母乳には、乳児がその健康を保ち、育つのに必要な様々な成分が含まれている。
このため、母乳中に含まれる物質、例えば、栄養や免疫等に関する物質を測定し、その濃度等を把握することは、乳児の健康のため重要である。
また、母乳中に含まれる細菌、ウイルス又は毒物等を測定することも、乳児の健康のため重要である。
また、母乳中に含まれる物質を測定することにより、母親の健康状態や栄養状態を把握することもできる。
同様の理由により、粉ミルク等の人工乳に含まれる物質を測定することも重要である。
そして、哺乳動物の乳に含まれる物質を測定することも、また重要である。
しかしながら、本発明者らが、血清又は血漿等の試料において確立された比色測定方法及び比色測定試薬により、乳試料に含まれる物質の比色測定を試みたところ、正確な測定値が得られないことに気付いた。
すなわち、乳試料中の測定対象物質の比色測定においては、正確な測定結果(測定値)を得ることができないものであった。
これは、比色測定には一般的に、吸光度や透過率の測定のため分光光度計が用いられるが、この分光光度計は通常吸光度の値で3付近が測定上限である。
しかし、乳試料中の測定対象物質を比色測定するばあい、測定しようとする吸光度値がこの分光光度計の測定上限を超えてしまうことが多く、この場合測定不能又は測定不良となってしまうのである。
このため、乳試料中の測定対象物質を比色測定しようとしても、正確な測定結果(測定値)を得ることができないことが多々あった。
なお、このような問題は、分光光度計を備えこの分光光度計により吸光度などの測定を行う臨床検査用の自動分析装置等においても同様であり、この自動分析装置等を用いた乳試料中の測定対象物質の比色測定においても、正確な測定結果(測定値)を得ることができないことが多いものであった。
なお、乳中に含有される体細胞を計数するための乳試料処理方法として、pH緩衝剤、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び蛍光色素を含む試薬で、乳試料を処理する方法(特許文献1参照。)が提案されているが、体細胞の計数以外の方法に使用できる方法は知られていなかった。
特開2003−310299号公報
従来、乳試料中の測定対象物質の比色測定は、正確な測定結果(測定値)を得ることができないものであった。
このため、例えば、医療の場における臨床検査等において、乳試料中の測定対象物質の比色測定の測定結果(測定値)を乳児の診断や育児等に利用しようとしても、それがかなわないものであった。
これに対して、本発明の課題は、乳試料中の測定対象物質の比色測定方法であって、乳試料においてもそれに含まれる測定対象物質を正確に比色測定することができる測定方法を提供することである。
また、本発明の課題は、乳試料の前処理の方法及び試薬であって、乳試料においてもそれに含まれる測定対象物質を正確に比色測定することができる試料の前処理の方法及び試薬を提供することである。
更に、本発明の課題は、乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法であって、乳試料においてもそれに含まれる測定対象物質を正確に比色測定することができる方法を提供することである。
本発明者らは、乳試料中の測定対象物質の比色測定について検討を重ねたところ、界面活性物質を乳試料と接触させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明よりなる。
(1) 乳試料中の測定対象物質を比色測定する方法において、乳試料と界面活性物質を接触させる工程を含むことを特徴とする、乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
(2) 界面活性物質が非イオン性界面活性剤である、前記(1)記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
(3) 界面活性物質がポリオキシアルキレン化合物である、前記(1)又は(2)記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
(4) 界面活性物質がポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルである、前記(1)〜(3)のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
(5) 界面活性物質がHLB値が12〜16の界面活性物質である、前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
(6) 界面活性物質がポリオキシアルキレンの平均付加モル数が5.5〜8.5のポリオキシアルキレン化合物である、前記(1)〜(5)のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
(7) 乳試料と界面活性物質を接触させる工程の後に、測定対象物質の比色測定を行う、前記(1)〜(6)のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
(8) 測定対象物質が金属イオンである、前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
(9) 乳試料がヒトの乳である、前記(1)〜(8)のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
(10) 乳試料と界面活性物質を接触させる工程が、乳試料に由来する比色測定への影響を抑制するためのものである、前記(1)〜(9)のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
(11) 乳試料中の測定対象物質の比色測定を行う前に、乳試料と界面活性物質を接触させる、乳試料の前処理方法。
(12) 界面活性物質が非イオン性界面活性剤である、前記(11)記載の乳試料の前処理方法。
(13) 界面活性物質がポリオキシアルキレン化合物である、前記(11)又は(12)記載の乳試料の前処理方法。
(14) 界面活性物質がポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルである、前記(11)〜(13)のいずれか1項記載の乳試料の前処理方法。
(15) 界面活性物質がHLB値が12〜16の界面活性物質である、前記(11)〜(14)のいずれか1項記載の乳試料の前処理方法。
(16) 界面活性物質がポリオキシアルキレンの平均付加モル数が5.5〜8.5のポリオキシアルキレン化合物である、前記(11)〜(15)のいずれか1項記載の乳試料の前処理方法。
(17) 測定対象物質が金属イオンである、前記(11)〜(16)のいずれか1項記載の乳試料の前処理方法。
(18) 乳試料がヒトの乳である、前記(11)〜(17)のいずれか1項記載の乳試料の前処理方法。
(19) 乳試料に由来する比色測定への影響を抑制するためのものである、前記(11)〜(18)のいずれか1項記載の乳試料の前処理方法。
(20) 界面活性物質を含有する、乳試料の前処理試薬。
(21) 界面活性物質が非イオン性界面活性剤である、前記(20)記載の乳試料の前処理試薬。
(22) 界面活性物質がポリオキシアルキレン化合物である、前記(20)又は(21)記載の乳試料の前処理試薬。
(23) 界面活性物質がポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルである、前記(20)〜(22)のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
(24) 界面活性物質がHLB値が12〜16の界面活性物質である、前記(20)〜(23)のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
(25) 界面活性物質がポリオキシアルキレンの平均付加モル数が5.5〜8.5のポリオキシアルキレン化合物である、前記(20)〜(24)のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
(26) 乳試料中の測定対象物質の比色測定を行う前に、乳試料と接触させて用いる、前記(20)〜(25)のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
(27) 測定対象物質が金属イオンである、前記(20)〜(26)のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
(28) 乳試料がヒトの乳である、前記(20)〜(27)のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
(29) 乳試料に由来する比色測定への影響を抑制するためのものである、前記(20)〜(28)のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
(30) 乳試料中の測定対象物質の比色測定を行うに当たり、乳試料と界面活性物質を接触させることを特徴とする、乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
(31) 界面活性物質が非イオン性界面活性剤である、前記(30)記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
(32) 界面活性物質がポリオキシアルキレン化合物である、前記(30)又は(31)記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
(33) 界面活性物質がポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルである、前記(30)〜(32)のいずれか1項記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
(34) 界面活性物質がHLB値が12〜16の界面活性物質である、前記(30)〜(33)のいずれか1項記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
(35) 界面活性物質がポリオキシアルキレンの平均付加モル数が5.5〜8.5のポリオキシアルキレン化合物である、前記(30)〜(34)のいずれか1項記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
(36) 測定対象物質が金属イオンである、前記(30)〜(35)のいずれか1項記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
(37) 乳試料がヒトの乳である、前記(30)〜(36)のいずれか1項記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
(38) 乳試料に由来する比色測定への影響を抑制するためのものである、前記(30)〜(37)のいずれか1項記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法、乳試料の前処理の方法及び試薬、並びに乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法は、乳試料に由来する比色測定への影響を抑制することができ、これにより乳試料においてもそれに含まれる測定対象物質を正確に比色測定することができるものである。
すなわち、本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法、乳試料の前処理の方法及び試薬、並びに乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法を用いた場合は、乳試料中の測定対象物質の比色測定において、正確な測定結果(測定値)を得ることができるものである。
これにより、本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法、乳試料の前処理の方法及び試薬、並びに乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法を用いることにより、例えば、医療の場における臨床検査等において、乳試料中の測定対象物質の比色測定の測定結果(測定値)を乳児の診断や育児等に利用することが可能となった。
乳試料等と乳試料の前処理試薬の混合液の色調等を示した写真である。
乳試料等と乳試料の前処理試薬の混合液の色調等を示した写真である。
乳試料等と乳試料の前処理試薬の混合液の色調等を示した写真である。
乳試料等と乳試料の前処理試薬の混合液の色調等を示した写真である。
乳試料等と乳試料の前処理試薬の混合液の色調等を示した写真である。
乳試料等と乳試料の前処理試薬の混合液の色調等を示した写真である。
乳試料の前処理試薬による乳試料の前処理の効果を示した図である。
本発明の乳試料中の亜鉛の比色測定方法による測定値とICP発光分析法による測定値の相関を示した図である。
〔1〕乳試料中の測定対象物質の比色測定方法
1.総論
本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法は、乳試料中の測定対象物質を比色測定する方法において、乳試料と界面活性物質を接触させる工程を含むことを特徴とするものである。
そして、本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法においては、乳試料と界面活性物質を接触させる工程を含むことにより、正確な測定結果(測定値)を得ることができる。
2.界面活性物質
(1)総論
本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法においては、乳試料中の測定対象物質を比色測定する方法において、乳試料と界面活性物質を接触させる工程を含む。
(2)界面活性物質
本発明において、界面活性物質とは、親水基及び疎水基を有し、界面活性を有する物質をいう。
なお、本発明において、界面活性物質としては、例えば、ポリオキシアルキレン化合物などの非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、又は陽イオン性界面活性剤などの界面活性剤等を挙げることができる。
なお、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンヒマシ油、若しくはポリオキシエチレンラノリンなどのポリオキシアルキレン化合物、又は、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、フィトスタノール、若しくは硬化ヒマシ油等を挙げることができる。
また、両性界面活性剤としては、例えば、酢酸ベタイン等を挙げることができる。
また、陰イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩等を挙げることができる。
また、陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アミン塩又は第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
なお、本発明において、界面活性物質が界面活性剤である場合、この界面活性剤としては、本発明の効果、すなわち乳試料中の測定対象物質の正確な比色測定という効果の上から、非イオン性界面活性剤が好ましい。
そして、本発明において、界面活性物質が非イオン性界面活性剤である場合、この非イオン性界面活性剤としては、前記の本発明の効果の上から、ポリオキシアルキレン化合物が好ましい。
なお、ポリオキシアルキレン化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン化合物又はポリオキシプロピレン化合物等を挙げることができる。
また、本発明において、界面活性物質がポリオキシアルキレン化合物である場合、このポリオキシアルキレン化合物としては、前記の本発明の効果の上から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルが好ましい。
また、本発明において、界面活性物質がポリオキシアルキレンアルキルエーテルである場合、このポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシプロピレンアルキルエーテル等を挙げることができる。
なお、本発明において、界面活性物質がポリオキシアルキレンアルキルエーテルである場合、このポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、前記の本発明の効果の上から、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
また、本発明において、界面活性物質がポリオキシエチレンアルキルエーテルである場合、このポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、前記の本発明の効果の上から、2級のポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
また、本発明において、界面活性物質がポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルである場合、このポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル又はポリオキシプロピレンアルキルアリールエーテル等を挙げることができる。
例えば、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルとしてはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等を、またポリオキシプロピレンアルキルアリールエーテルとしてはポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル等を挙げることができる。
なお、本発明において、界面活性物質がポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルである場合、このポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルとしては、前記の本発明の効果の上から、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。
そして、本発明において、界面活性物質がポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルである場合、このポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルとしては、前記の本発明の効果の上から、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが好ましい。
また、本発明において、界面活性物質は、前記の本発明の効果の上から、そのHLB値(Hydrophile Lipophile Balance値)が12〜16のものが好ましく、12〜14のものが更に好ましい。
また、本発明において、界面活性物質は、ポリオキシアルキレン化合物である場合には、前記の本発明の効果の上から、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン等)の平均付加モル数が5.5〜8.5のものが好ましく、7.0〜7.5のものが更に好ましい。
そして、本発明において、界面活性物質がポリオキシアルキレン化合物である場合には、前記の本発明の効果の上から、そのHLB値が12〜16であり、かつそのポリオキシアルキレンの平均付加モル数が5.5〜8.5であるものが好ましく、そのHLB値が12〜14であり、かつそのポリオキシアルキレンの平均付加モル数が7.0〜7.5であるものが更に好ましい。
前記のそのHLB値が12〜16であり、かつそのポリオキシアルキレンの平均付加モル数が5.5〜8.5であるポリオキシアルキレン化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン(7)2級アルキルエーテル、又はポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテル等を挙げることができる。
なお、前記のポリオキシエチレン(7)2級アルキルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C1225〜C1429、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):7〕と表され、医薬部外品成分表示名称としてはポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテルと表され、医薬部外品原料規格2006成分名としてはポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテルと表され、化粧品表示名称が(C12−14)s−パレス−7であり、INCI名がC12−14 SEC−PARETH−7であり、ケミカルアブストラクト(CAS)の登録番号(RN)が84133−50−6であり、そのHLB値が12.0であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が7.0である、2級のポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
このポリオキシエチレン(7)2級アルキルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL BT−7〕、青木油脂工業社(日本国)〔商品名:ファインサーフ 270〕、又は第一工業製薬社(日本国)〔商品名:ノイゲン ET−115〕等より供給される。
また、ポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C19−C6、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):7.5〕と表され、化粧品種別許可基準収載成分名がポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルであり、INCI名がNonoxynol−8であり、そのHLB値が14.0であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が7.5である、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである。
このポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL NP−7.5〕等より供給される。
(3)界面活性物質の濃度
本発明においては、乳試料中の測定対象物質を比色測定する方法において、乳試料と界面活性物質を接触させる工程を含むことを特徴とするものであって、この界面活性物質の濃度は、特に限定されないが、乳試料と界面活性物質を接触させる時に、0.1%(w/v)以上であることが好ましい。
なお、この界面活性物質の好ましい濃度は、乳試料と界面活性物質の接触時において、より好ましくは0.5%(w/v)以上であり、特に好ましくは1.25%(w/v)以上である。
また、この界面活性物質の濃度であるが、乳試料と界面活性物質の接触時における濃度に特に上限はないが、コスト等のことを考えると、25%(w/v)迄で十分である。
なお、この界面活性物質の好ましい濃度は、乳試料と界面活性物質の接触時において、より好ましくは15%(w/v)以下であり、特に好ましくは8%(w/v)以下である。
なお、本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法においては、乳試料と界面活性物質の接触時に界面活性物質が前記の濃度となるような濃度の界面活性物質(又は界面活性物質を含む物質)を乳試料と接触させることが好ましい。
また、本発明の乳試料の前処理方法においては、乳試料と界面活性物質の接触時に界面活性物質が前記の濃度となるような濃度の界面活性物質を、乳試料と接触させることが好ましい。
また、本発明の乳試料の前処理試薬には、この乳試料の前処理試薬と乳試料との接触時に界面活性物質が前記の濃度となるような濃度の界面活性物質を、この乳試料の前処理試薬に含有させることが好ましい。
また、本発明の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法においては、乳試料と界面活性物質の接触時に界面活性物質が前記の濃度となるような濃度の界面活性物質を、乳試料と接触させることが好ましい。
(4)希釈
本発明においては、乳試料と界面活性物質を接触させることにより、当該乳試料が希釈されることが好ましい。
なお、界面活性物質又は界面活性物質を含む物質が液体である場合、乳試料と界面活性物質(又は界面活性物質を含む物質)を接触させることにより、当該乳試料は希釈される。
本発明においては、この乳試料の希釈により、乳試料と界面活性物質の接触による乳試料に由来する比色測定への影響の抑制という効果を更に増すことができるので、正確な測定結果(測定値)の取得という点から好ましい。
本発明において、乳試料と界面活性物質を接触させることにより、当該乳試料が希釈される場合の希釈倍率は、特には限定されないものの、2倍以上であることが好ましい。
なお、この乳試料が希釈される場合の希釈倍率は、より好ましくは3倍以上であり、特に好ましくは5倍以上である。
また、この乳試料が希釈される場合の希釈倍率であるが、特に上限はないものの、この希釈倍率が余りに高すぎると測定対象物質の測定により得られる吸光度等(シグナル)の値が低くなり、測定の再現性が悪くなるので、40倍以下とすることが好ましい。
なお、この乳試料が希釈される場合の希釈倍率は、より好ましくは20倍以下であり、特に好ましくは10倍以下である。
なお、本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法においては、乳試料と界面活性物質の接触時に前記の希釈倍率となるような容量の界面活性物質(又は界面活性物質を含む物質)を乳試料と接触させることが好ましい。
また、本発明の乳試料の前処理方法においては、乳試料と界面活性物質の接触時に前記の希釈倍率となるように、界面活性物質を乳試料と接触させることが好ましい。
また、本発明の乳試料の前処理試薬においては、この乳試料の前処理試薬と乳試料との接触時に前記の希釈倍率となるような容量の当該前処理試薬であることが好ましい。
また、本発明の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法においては、乳試料と界面活性物質の接触時に前記の希釈倍率となるように、界面活性物質を乳試料と接触させることが好ましい。
(5)乳試料と界面活性物質の接触
本発明において、界面活性物質は、1種類のものを乳試料と接触させてもよく、又は複数種類のものを乳試料と接触させてもよい。
本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法は、乳試料中の測定対象物質を比色測定する方法において、乳試料と界面活性物質を接触させる工程を含むことを特徴とするものであるが、当該接触工程と同時又は当該接触工程の後に、当該測定対象物質の比色測定を行なえばよい。
なお、前記の本発明の効果の上から、当該接触工程の後に、当該測定対象物質の比色測定を行うことが好ましい。
なお、この測定対象物質の比色測定は、当該測定対象物質の比色測定方法として公知の方法等により行なえばよい。
上述の通り、本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法においては、乳試料と界面活性物質を接触させる工程を含むことにより、正確な測定結果(測定値)を得ることができるものである。
すなわち、本発明において、乳試料と界面活性物質を接触させる工程は、乳試料に由来する比色測定への影響を抑制するためのものであり、この工程により乳試料においても測定対象物質の正確な測定結果(測定値)を得ることが可能となる。
3.乳試料中の測定対象物質の比色測定
(1)総論
本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法は、乳試料中の測定対象物質を比色測定する方法において、乳試料と界面活性物質を接触させる工程を含むことを特徴とするものである。
この乳試料中の測定対象物質を比色測定する方法であるが、乳試料と界面活性物質を接触させる工程の他は、公知又は通常の試料中の測定対象物質を比色測定する方法のものであってよく、特に限定はない。
本発明の特徴である、乳試料と界面活性物質を接触させる工程を実施することにより、公知又は通常の試料中の測定対象物質を比色測定する方法等においても、特に限定なく、乳試料に含まれる測定対象物質を正確に測定することができる。
なお、本発明において、比色測定とは、色の濃淡、色調、透過率又は吸光度などの光学的な測定に基づいて、物質の存在の有無又は量若しくは濃度などを測定すること等をいう。
(2)乳試料
本発明における乳試料は、測定対象物質を含む可能性がある乳試料であって、この測定対象物質を比色測定しようとするものである。
前記の通りのものであれば、乳試料として特に限定はないが、例えば、乳試料として、ヒト若しくはウシ等の哺乳動物の乳、この乳を処理若しくは加工したもの、液状又は粉状などのミルク、人工乳、又はこれらよりなる若しくはこれらを含む食品若しくは飲料などの物等を挙げることができる。
本発明においては、乳試料は液体であることが好ましい。
もし、測定対象物質を含む乳試料が液体でない場合には、抽出処理又は可溶化処理等の処理を公知の方法に従って行ない、測定対象物質を液体中に含有させるようにしてもよい。
(3)測定対象物質
本発明における測定対象物質は、乳試料に含まれ、乳試料中における存在の有無又は量若しくは濃度等を比色測定しようとする物質である。
このようなものであれば、測定対象物質として特に限定はない。
この測定対象物質の例を以下記載する。
まず、錯体形成反応により測定を行うことができる測定対象物質としては、例えば、亜鉛、カルシウム、鉄、銅、アルミニウム、若しくはマグネシウムなどの金属イオン、又は不飽和鉄結合能(UIBC)若しくは総鉄結合能(TIBC)等を挙げることができる。
また、酵素とその酵素の基質となる物質との反応により測定を行うことができる測定対象物質のうち酵素の基質となる物質としては、例えば、無機リン(IP)、クレアチニン(CRE)、クレアチン、尿酸(UA)、尿素窒素(BUN、UN)、グルコース、総コレステロール、遊離型コレステロール、エステル型コレステロール、HDL−コレステロール、LDL−コレステロール、β−リポタンパク質、トリグリセライド(TG、中性脂肪)、リン脂質(PL)、遊離脂肪酸(NEFA、FFA)、グルコース、乳酸、ピルビン酸、ガラクトース、シアル酸、クエン酸、フルクトサミン、1,5−アンヒドロ−D−グルシトール、グリコーゲン、フコース、総ビリルビン、直接ビリルビン、間接ビリルビン、抱合型ビリルビン、非抱合型ビリルビン、ナトリウム、クロール、カリウム、カルシウム、マグネシウム、又は胆汁酸等を挙げることができる。
更に、酵素とその酵素の基質となる物質との反応により測定を行うことができる測定対象物質のうち酵素としては、例えば、α−アミラーゼ、酸性ホスファターゼ、クレアチンキナーゼ(CK)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST、GOT)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT、GPT)、乳酸脱水素酵素(LDH、LD)、アルカリ性ホスファターゼ(ALP)、ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−GTP、γ−GT)、コリンエステラーゼ(Ch−E)、リパーゼ、若しくはリポタンパク質リパーゼ(LPL)、又はこれらのアイソザイム等を挙げることができる。
そして、抗原抗体反応(免疫学的反応)により測定を行うことができる測定対象物質としては、例えば、HBs抗原、抗HBs抗体、HBe抗原、抗HBe抗体、抗HBc抗体、抗HCV抗体、抗HIV抗体、抗ATLV抗体、サイトメガロウイルス抗原、抗サイトメガロウイルス抗体、若しくは抗ヘルペスウイルス抗体等のウイルス関連の抗原若しくは抗体;大腸菌O157抗原、抗トレポネーマ・パリダム(TP)抗体、抗マイコプラズマ抗体、若しくは抗ストレプトリジンO抗体(ASO)等の細菌関連の抗原若しくは抗体;免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンA(IgA) 、免疫グロブリンM(IgM) 、若しくは免疫グロブリンE(IgE) 等の免疫グロブリン;C反応性タンパク質(CRP)、α1−酸性糖タンパク質、ハプトグロビン、補体C3 、補体C4 、若しくはリウマトイド因子等の炎症マーカー;α−フェトプロテイン、CEA、若しくはCA19−9等の腫瘍マーカー;ヒト胎盤絨毛性ゴナドトロピン等のホルモン;アレルゲン、若しくはアレルゲン特異IgE抗体等のアレルギー関連の抗原若しくは抗体;抗トロンビンIII(ATIII) 等の血液凝固系関連物質;フィブリン体分解物(FDP)、若しくはDダイマー等の線溶系関連物質;ABO式血液型抗体、若しくは不規則抗体等の血液型関連の抗原若しくは抗体;フェリチン等の他の疾病に関連した物質;薬物;又は、毒物等を挙げることができる。
また、核酸のこれに相補的な核酸との結合反応により測定を行うことができる測定対象物質としては、例えば、サイトメガロウイルス若しくはヘルペスウイルスなどの病原性ウイルスなどのウイルスのDNA若しくはRNA、病原性細菌などの細菌のDNA若しくはRNA、又は、ヒトなどの動物あるいは植物のDNA若しくはRNA等を挙げることができる。
本発明において、測定対象物質としては、亜鉛、カルシウム、鉄、銅、アルミニウム、若しくはマグネシウムなどの金属イオン又は無機リンが好ましく、亜鉛、カルシウム、鉄、銅、又は無機リンがより好ましく、亜鉛が特に好ましい。
(4)pH
本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法において、pHは特に限定されないが、乳試料に含まれる測定対象物質や当該比色測定の反応に係わる成分が変性、失活、変質又は分解等をせず、かつ測定対象物質の当該比色測定の反応が進むpHであればよい。
なお、本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法においては、乳試料と界面活性物質の接触後に前記の通りのpHとなるようなpHの界面活性物質(又は界面活性物質を含む物質)を乳試料と接触させることが好ましい。
また、本発明の乳試料の前処理方法においては、乳試料と界面活性物質の接触後に前記の通りのpHとなるように、界面活性物質を乳試料と接触させることが好ましい。
また、本発明の乳試料の前処理試薬においては、この乳試料の前処理試薬と乳試料との接触後に前記の通りのpHとなるようなpHの当該前処理試薬であることが好ましい。
また、本発明の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法においては、乳試料と界面活性物質の接触後に前記の通りのpHとなるように、界面活性物質を乳試料と接触させることが好ましい。
(5)他の成分
本発明においては、乳試料と界面活性物質を接触させる際に、緩衝剤、安定化剤、アジ化ナトリウム若しくは抗生物質などの防腐剤、試料若しくは試薬成分などに含まれる他の測定妨害物質の消去剤若しくは影響抑制剤、又は活性化剤等を適宜必要に応じて存在させることができる。
なお、これらを存在させる際の濃度は特に限定されるものではないが、乳試料と界面活性物質の接触時において、0.001%(w/v)以上であることが好ましい。
また、これらを存在させる際の濃度の下限は、乳試料と界面活性物質の接触時において、より好ましくは0.01%(w/v)以上であり、特に好ましくは0.1%(w/v)以上である。
そして、これらを存在させる際の濃度に上限は特にはないが、コスト等のことを考えると10%(w/v)迄で十分である。
また、これらを存在させる際の濃度の上限は、乳試料と界面活性物質の接触時において、より好ましくは5%(w/v)以下であり、特に好ましくは2.5%(w/v)以下である。
なお、本発明の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法においては、乳試料と界面活性物質の接触時に前記の他の成分が前記の濃度となるような濃度で含まれる界面活性物質(又は界面活性物質を含む物質)を乳試料と接触させることが好ましい。
また、本発明の乳試料の前処理方法においては、乳試料と界面活性物質の接触時に前記の他の成分が前記の濃度となるような濃度で含まれる界面活性物質を、乳試料と接触させることが好ましい。
また、本発明の乳試料の前処理試薬には、この乳試料の前処理試薬と乳試料との接触時に前記の他の成分が前記の濃度となるような濃度で含まれるよう、この乳試料の前処理試薬に含有させることが好ましい。
(6)比色測定
本発明により乳試料中の測定対象物質の比色測定を行う場合、測定は終点法(エンドポイント法)又は反応速度法(レート法)等の方法を適宜選択して測定を行えばよい。
また、この測定は、一段階のステップにより行う1ステップ法(1試薬法)、又は二段階若しくはそれ以上の多段階のステップにより行う多ステップ法(多試薬法)を適宜選択して測定を行えばよい。
また、この測定において、吸光度等を測定する場合の測定波長は、可視部の適当な波長を適宜選択して使用することができる。なお、この場合、一波長法でもよく、又は二波長法でもよい。
また、この測定において、測定反応時の温度は、30℃又は37℃等測定反応が進行しかつ測定対象物質又は測定反応に係わる反応成分等が変性、失活、変質又は分解等しない範囲内の温度を設定すればよい。
また、この測定において、測定反応の開始方法は、基質等を加えることにより行う方法、又は試料を加えることにより行う方法等のいずれの方法でもよい。
また、この測定において、その測定は、用手法により行ってもよく、又は自動分析装置等の装置を用いて行ってもよい。
(7)乳試料中の測定対象物質の比色測定方法等の具体例
本発明における乳試料中の測定対象物質の比色測定方法、乳試料の前処理方法、乳試料の前処理試薬、及び乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法の具体例として、乳試料中の亜鉛の測定を例に挙げて以下記載する。
(a)試薬の調製
(i)乳試料の前処理試薬
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬を調製した。
ポリオキシエチレン(7)2級アルキルエーテル <界面活性物質> 5%(w/v)
(ii)亜鉛測定用第1試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、亜鉛測定用第1試薬を調製した。
ビス−トリスプロパン 30mM
非イオン性界面活性剤 1%(w/v)
(iii)亜鉛測定用第2試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、亜鉛測定用第2試薬を調製した。
2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)フェノールナトリウム 〔5−Br−PAPS〕 <キレート発色剤> 0.13mM
(b)標準液及び精製水
(i)標準液
1g/Lの亜鉛標準液を、0.01N塩酸で亜鉛濃度が200μg/dLになるように希釈したものを標準液とした。
(ii)精製水
試薬盲検(試薬ブランク)を測定するため、対照として精製水を用いた。
(c)乳試料
ヒトの乳(ヒト母乳)を乳試料として用いた。
(d)比色測定
(i)第1段階
前記の乳試料と前記の「乳試料の前処理試薬」(界面活性物質を含有する)を混合し、前記の乳試料と「乳試料の前処理試薬」の混合液(第1混合液)を調製し、これにより前記の乳試料と界面活性物質を接触させ、乳試料の前処理を行なう。
なお、乳試料と「乳試料の前処理試薬」の混合比率であるが、これは乳試料が界面活性物質との接触により希釈される際の希釈倍率に基づいて定めればよい。
当該希釈倍率の好ましい範囲については、先に述べた通りである。
なお、本発明において必須ではないものの、この乳試料と界面活性物質の接触後、インキュベートを行うことがより好ましい。
このインキュベートの時間は、特に制限はないのであるが、通常は5秒以上であることが好ましく、10秒以上であることがより好ましく、30秒以上であることが特に好ましい。
また、インキュベートする際の温度は、前記の第1混合液が凍結する温度より上の温度であればよい。
なお、一般的に測定反応時の温度は、高い程、反応速度が高くなるので好ましい。
しかし、温度が高すぎると測定対象物質又は界面活性物質等が変性、失活、変質又は分解等してしまう可能性があるので、インキュベートする際の温度は、これらの物質等が変性、失活、変質又は分解等する温度未満の温度とする必要がある。
このインキュベートする際の温度は、通常は2〜70℃であるが、5〜50℃が好ましく、15〜40℃がより好ましい。
この乳試料と「乳試料の前処理試薬」(界面活性物質を含有する)の混合により、乳試料と界面活性物質が接触し、乳試料の前処理が行なわれるが、これにより乳試料に由来する比色測定への影響が抑制され、乳試料においても測定対象物質の正確な測定結果(測定値)を得ることが可能となる。
(ii)第2段階
前記の第1混合液と、前記の亜鉛測定用第1試薬とを混合して、混合液(第2混合液)を調製する。
この混合する、前記の第1混合液の量、及び前記の亜鉛測定用第1試薬の量は、それぞれ、亜鉛測定用第2試薬の量、乳試料に含まれる測定対象物質の濃度、測定反応に係わる成分の濃度、活性又は力価、吸光度等の測定を行なう物質の吸光係数など、測定波長、使用する分析装置の仕様など、並びに他の条件等に応じて適宜決めればよい。
なお、一般的には、例えば、前記の亜鉛測定用第1試薬に混合させる前記の第1混合液の量は0.5〜100μL、前記の亜鉛測定用第1試薬の量は20〜1,000μLの範囲のもの等とすることが好ましい。
前記の第2混合液の調製後、インキュベートを行う。
このインキュベートの時間は、特に制限はないのであるが、通常は1分以上であることが好ましく、3分以上であることがより好ましく、5分以上であることが特に好ましい。
また、インキュベートする際の温度は、前記の第2混合液が凍結する温度より上の温度であればよい。
なお、一般的に測定反応時の温度は、高い程、反応速度が高くなるので好ましい。
しかし、温度が高すぎると測定対象物質、界面活性物質又は測定反応に係わる成分等が変性、失活、変質又は分解等してしまう可能性があるので、インキュベートする際の温度は、これらの物質又は成分等が変性、失活、変質又は分解等する温度未満の温度とする必要がある。
このインキュベートする際の温度は、通常は2〜70℃であるが、20〜37℃が好ましく、30〜37℃がより好ましい。
なお、測定反応に係わる成分等が耐熱性の物であれば更に高温でもよい。
この第2混合液の調製及びインキュベートにより、前記の第1混合液に含まれていた乳試料由来の鉄、銅及びニッケルと、前記の亜鉛測定用第1試薬に含まれるビス−トリスプロパン(鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤)とが接触し、測定結果に正誤差を与える鉄、銅及びニッケルにビス−トリスプロパンが結合して、これらの鉄、銅及びニッケルをマスキングする。
(iii)第3段階
前記の第2段階で調製した第2混合液に、前記の亜鉛測定用第2試薬を混合し、混合液(第3混合液)を調製する。これを最終反応液とする。
この混合する前記の亜鉛測定用第2試薬の量は、乳試料の量、乳試料の前処理試薬の量、亜鉛測定用第1試薬の量、乳試料に含まれる測定対象物質の濃度、測定反応に係わる成分の濃度、活性又は力価、吸光度等の測定を行なう物質の吸光係数など、測定波長、使用する分析装置の仕様など、並びに他の条件等に応じて適宜決めればよい。
なお、一般的には、例えば、前記の亜鉛測定用第2試薬の量は10〜1,000μLの範囲のもの等とすることが好ましい。
前記の第3混合液(最終反応液)の調製後、インキュベートを行う。
このインキュベートの時間は、特に制限はないのであるが、通常は1分以上であることが好ましく、3分以上であることがより好ましく、5分以上であることが特に好ましい。
また、インキュベートする際の温度は、前記の第3混合液(最終反応液)が凍結する温度より上の温度であればよい。
なお、一般的に測定反応時の温度は、高い程、反応速度が高くなるので好ましい。
しかし、温度が高すぎると測定対象物質、界面活性物質又は測定反応に係わる成分等が変性、失活、変質又は分解等してしまう可能性があるので、インキュベートする際の温度は、これらの物質又は成分等が変性、失活、変質又は分解等する温度未満の温度とする必要がある。
このインキュベートする際の温度は、通常は2〜70℃であるが、20〜37℃が好ましく、30〜37℃がより好ましい。
なお、測定反応に係わる成分等が耐熱性の物であれば更に高温でもよい。
この第3混合液(最終反応液)の調製及びインキュベートにより、前記の第2段階における反応に引き続き、この第3段階における測定反応が開始し、前記の第2混合液に含まれていた乳試料由来の亜鉛と、前記の亜鉛測定用第2試薬に含まれる2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)フェノールナトリウム〔5−Br−PAPS〕<キレート発色剤>とが接触し、この5−Br−PAPSがこの亜鉛と結合し、これにより5−Br−PAPSが発色する。
次に、キレート発色剤である5−Br−PAPSの発色に由来する、第3混合液(最終反応液)の吸光度(又は透過率)の測定を行なう。
なお、この吸光度(又は透過率)の測定は、一つの波長においてのみ行う一波長法でもよく、又は二つの波長においてそれぞれ行う二波長法でもよく、適宜選択して行えばよい。
また、吸光度(又は透過率)の測定を行う波長についても、そのキレート発色剤の発色の吸収波長に応じて、適宜選択すればよい。
そして、吸光度(若しくは透過率)の測定は、終点法(エンドポイント法)又は反応速度法(レート法)等の方法を適宜選択して行えばよい。
なお、測定した吸光度(若しくは透過率)又は測定した吸光度(若しくは透過率)の変化量より、乳試料に含まれていた測定対象物質の濃度又は活性値等を算出することは、キレート発色剤の発色のモル吸光係数を基に測定した吸光度(若しくは透過率)より算出する方法、又は濃度若しくは活性値等が分かっている測定対象物質(標準物質又は標準液)の吸光度(若しくは透過率)と対比して算出する方法等の方法を適宜選択して行えばよい。
なお、本発明においては、乳試料中の測定対象物質を比色測定して得た吸光度(若しくは透過率)より試薬盲検(試薬ブランク)を差し引いて、乳試料に含まれていた測定対象物質の濃度又は活性値等を算出することが好ましい。
なお、乳試料中の測定対象物質の比色測定の操作は、測定者自身が用手法により行ってもよいし、自動分析装置等の装置を使用して行ってもよいし、又は用手法と自動分析装置等の装置を使用する方法を組み合わせて行ってもよい。
例えば、前記(i)の第1段階を用手法により行い、前記(ii)の第2段階と前記(iii)の第3段階を自動分析装置等の装置を使用して行ってもよい。
また、例えば、前記(i)の第1段階、前記(ii)の第2段階及び前記(iii)の第3段階の全ての段階を自動分析装置等の装置を使用して、完全に全自動で行ってもよい。
また、乳試料中の測定対象物質の比色測定に使用する測定試薬が、乳試料の前処理試薬、第1試薬、第2試薬、及び他の試薬(一つ又は二つ以上の試薬)よりなる場合、すなわち4以上の試薬よりなる場合は、これらの試薬を使用して測定を行うのに必要な数の段階(必要に応じ3段階又は4段階以上の段階)を経て測定反応を行わせ、乳試料中の測定対象物質の比色測定を行えばよい。
なお、前記の通りの乳試料の前処理試薬、亜鉛測定用第1試薬、及び亜鉛測定用第2試薬を用いて、乳試料中の亜鉛の比色測定を行なう場合には、第3混合液(最終反応液)の調製後の一定時間のインキュベート後の第3混合液(最終反応液)の吸光度より、第2混合液の調製後の一定時間のインキュベート後の第2混合液の吸光度を差し引いて、この吸光度差の値を、前記の標準液を同様に測定して得た吸光度差の値と対比して、乳試料に含まれていた亜鉛の濃度を求める方法(いわゆる、2ポイント−エンド法)により行なうことが好ましい。
また、5−Br−PAPSをキレート発色剤として用い、乳試料中の亜鉛の比色測定を行なう場合には、5−Br−PAPSの発色に基づく吸光度の測定は、主波長500nm〜580nm、副波長600nm〜800nmにて行なうことが好ましい。
〔2〕乳試料の前処理方法
1.総論
本発明の乳試料の前処理方法は、乳試料中の測定対象物質の比色測定を行う前に、乳試料と界面活性物質を接触させるものである。
本発明の乳試料の前処理方法においては、乳試料中の測定対象物質の比色測定を行う前に、乳試料と界面活性物質を接触させればよい。
そして、本発明の乳試料の前処理方法においては、乳試料と界面活性物質を接触させることにより、乳試料中の測定対象物質の比色測定を行った場合に、正確な測定結果(測定値)を得ることができる。
すなわち、本発明の乳試料の前処理方法は、乳試料に由来する比色測定への影響を抑制するためのものであり、当該前処理方法により乳試料においても測定対象物質の正確な測定結果(測定値)を得ることが可能となる。
2.界面活性物質
界面活性物質、及び乳試料中の測定対象物質の比色測定を行う前の乳試料と界面活性物質の接触等については、前記の「〔1〕乳試料中の測定対象物質の比色測定方法」の「2.界面活性物質」に記載した通りである。
3.乳試料中の測定対象物質の比色測定
乳試料中の測定対象物質の比色測定については、前記の「〔1〕乳試料中の測定対象物質の比色測定方法」の「3.乳試料中の測定対象物質の比色測定」に記載した通りである。
〔3〕乳試料の前処理試薬
1.総論
本発明の乳試料の前処理試薬は、界面活性物質を含有するものである。
本発明の乳試料の前処理試薬においては、乳試料中の測定対象物質の比色測定を行う前に、乳試料と当該前処理試薬を混合し、当該前処理試薬に含まれる界面活性物質と当該乳試料を接触させればよい。
そして、本発明の乳試料の前処理試薬においては、乳試料中の測定対象物質の比色測定を行う前に、乳試料と当該前処理試薬を混合し、当該前処理試薬に含まれる界面活性物質と当該乳試料を接触させることにより、正確な測定結果(測定値)を得ることができる。
すなわち、本発明の乳試料の前処理試薬は、乳試料に由来する比色測定への影響を抑制するためのものであり、当該前処理試薬を用いることにより乳試料においても測定対象物質の正確な測定結果(測定値)を得ることが可能となる。
2.界面活性物質
界面活性物質、及び乳試料中の測定対象物質の比色測定を行う前の乳試料と界面活性物質の接触等については、前記の「〔1〕乳試料中の測定対象物質の比色測定方法」の「2.界面活性物質」に記載した通りである。
3.乳試料中の測定対象物質の比色測定
乳試料中の測定対象物質の比色測定については、前記の「〔1〕乳試料中の測定対象物質の比色測定方法」の「3.乳試料中の測定対象物質の比色測定」に記載した通りである。
4.試薬の構成等
本発明の乳試料の前処理試薬は、液状のものであってもよく、凍結乾燥されたものであってもよく、粉状や固形状などの固体状のものであってもよく、又はこれらを組み合わせたものであってよい。
また、この本発明の乳試料の前処理試薬は、そのもの単独にて、販売し、又は乳試料中の測定対象物質の比色測定に使用することができる。
また、この本発明の乳試料の前処理試薬は、その他の試薬と組み合わせて、販売し、又は乳試料中の測定対象物質の比色測定に使用することもできる。
前記のその他の試薬としては、例えば、乳試料中の測定対象物質の比色測定試薬、緩衝液、試料希釈液、試薬希釈液、校正(キャリブレーション)を行うための物質を含有する試薬、又は精度管理を行うための物質を含有する試薬等を挙げることができる。
また、この本発明の乳試料の前処理試薬は、前記のその他の試薬等の複数の構成試薬からなる試薬キットであってもよい。
〔4〕乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法
1.総論
本発明の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法は、乳試料中の測定対象物質の比色測定を行う前に、乳試料と界面活性物質を接触させることを特徴とするものである。
本発明の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法においては、乳試料中の測定対象物質の比色測定を行うに当たり、乳試料と界面活性物質を接触させればよい。
そして、本発明の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法においては、乳試料と界面活性物質を接触させることにより、乳試料中の測定対象物質の比色測定を行った場合に、乳試料に由来する比色測定への影響を抑制することができ、これにより乳試料においても測定対象物質の正確な測定結果(測定値)を得ることが可能となる。
2.界面活性物質
界面活性物質、及び乳試料中の測定対象物質の比色測定を行うに当たっての乳試料と界面活性物質の接触等については、前記の「〔1〕乳試料中の測定対象物質の比色測定方法」の「2.界面活性物質」に記載した通りである。
3.乳試料中の測定対象物質の比色測定
乳試料中の測定対象物質の比色測定については、前記の「〔1〕乳試料中の測定対象物質の比色測定方法」の「3.乳試料中の測定対象物質の比色測定」に記載した通りである。
以下、本発明を実施例等により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等により限定されるものではない。
〔比較例1〕(従来の測定対象物質の比色測定方法による乳試料中の測定対象物質の測定)
従来の試料中の測定対象物質の比色測定方法による乳試料中の測定対象物質の測定結果を確認するため、従来の試料中の亜鉛の比色測定方法により乳試料中の亜鉛の測定を行なった。
1.試薬の調製
(1)亜鉛測定用第1試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、亜鉛測定用第1試薬を調製した。
ビス−トリスプロパン 30mM
非イオン性界面活性剤 1%(w/v)
(2)亜鉛測定用第2試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、亜鉛測定用第2試薬を調製した。
2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)フェノールナトリウム 〔5−Br−PAPS〕 <キレート発色剤> 0.13mM
2.標準液及び精製水
(1)標準液
1g/Lの亜鉛標準液を、0.01N塩酸で亜鉛濃度が200μg/dLになるように希釈したものを標準液とした。
(2)精製水
試薬盲検(試薬ブランク)を測定するため、対照として精製水を用いた。
3.乳試料
下記のヒトの乳(ヒト母乳)11種類及び人工乳1種類をそれぞれ乳試料として用いた。
(1) 乳試料a 〔ヒトの乳(ヒト母乳)〕
(2) 乳試料b 〔ヒトの乳(ヒト母乳)〕
(3) 乳試料c 〔ヒトの乳(ヒト母乳)〕
(4) 乳試料d 〔ヒトの乳(ヒト母乳)〕
(5) 乳試料e 〔ヒトの乳(ヒト母乳)〕
(6) 乳試料f 〔ヒトの乳(ヒト母乳)〕
(7) 乳試料g 〔ヒトの乳(ヒト母乳)〕
(8) 乳試料h 〔ヒトの乳(ヒト母乳)〕
(9) 乳試料i 〔ヒトの乳(ヒト母乳)〕
(10) 乳試料j 〔ヒトの乳(ヒト母乳)〕
(11) 乳試料k 〔ヒトの乳(ヒト母乳)〕
(12) 人工乳a 〔明治社(日本国)の粉ミルク「明治ほほえみ」をメーカー指定の方法により溶解し調製したもの〕
4.従来の試料中の亜鉛の比色測定方法による乳試料中の亜鉛の測定
前記3の12種類の乳試料中の亜鉛の濃度を、前記1で調製した亜鉛測定用第1試薬及び亜鉛測定用第2試薬にて測定した。
この乳試料中の亜鉛の測定は、日立ハイテクノロジーズ社(日本国)の7180形自動分析装置にて行い、前記3の12種類の乳試料のそれぞれについて、この乳試料の10μLに前記1の(1)で調製した亜鉛測定用第1試薬150μLを添加し混和した後37℃で5分間反応させ、この後、前記1の(2)で調製した亜鉛測定用第2試薬50μLを添加し、37℃で5分間反応させた。
そして、亜鉛測定用第1試薬の添加後4分30秒目(16ポイント目)及び亜鉛測定用第2試薬の添加後5分8秒目(34ポイント目)の主波長546nm及び副波長700nmにおける吸光度をそれぞれ測定し、この亜鉛測定用第2試薬の添加後5分8秒目(34ポイント目)の吸光度(主波長の吸光度から副波長の吸光度を差し引いたもの)から亜鉛測定用第1試薬の添加後4分30秒目(16ポイント目)の吸光度(主波長の吸光度から副波長の吸光度を差し引いたもの)を差し引いて吸光度差を求めた。
次に、この前記3の12種類の乳試料について求めた吸光度差の値から、前記2の(2)の精製水について前記の通り測定を行って求めた吸光度差の値〔試薬盲検(試薬ブランク)〕を差し引いて、吸光度差を求めた。
次に、この前記3の12種類の乳試料について求めた吸光度差の値と、亜鉛の濃度が分かっている前記2の(1)の標準液について前記の通り測定を行って求めた吸光度差の値とを、それぞれ比較することにより、前記3の12種類の乳試料中の亜鉛の濃度を算出した。
5.ICP発光分析法による乳試料中の亜鉛の測定
前記3の12種類の乳試料中の亜鉛の濃度を、ICP発光分析法にて測定した。
この乳試料中の亜鉛の濃度の測定は、前記3の12種類の乳試料のそれぞれについて、この乳試料の60μLに、1ppmのイットリウムを含む0.1M塩酸水溶液の3.00mLを添加し混和し混合液を調製した。
なお、この混合液の調製により、当該乳試料は、51倍の希釈倍率で希釈されたことになる。
次に、前記の混合液の3.06mLについて、イットリウムを内部標準物質として、島津製作所(日本国)のICPS−8100型ICP発光分析装置により測定を行なった。
また、亜鉛の濃度が分かっている前記2の標準液について、前記の通り測定を行い、この標準液について求めた値と、前記の12種類の乳試料について求めた値とをそれぞれ比較することにより、前記12種類の乳試料中の亜鉛の濃度を算出した。
6.測定結果
前記4における従来の試料中の亜鉛の比色測定方法による測定結果及び前記5におけるICP発光分析法による測定結果の各々を表1に示した。
なお、前記5におけるICP発光分析法による測定結果は、容積置換補正後の値を示している。
なお、この表において、各欄の数値はそれぞれの乳試料中の亜鉛の濃度の測定値(単位:μg/dL)を示す。
但し、従来の試料中の亜鉛の比色測定方法による測定結果の欄に「測定不能」と表したものは、吸光度が当該自動分析装置の分光光度計の測定上限を超えてしまい、当該自動分析装置の測定結果の出力に測定不能である旨が表示されたものを示す。
また、従来の試料中の亜鉛の比色測定方法による測定結果の欄の(カッコ)内のパーセントの値は、従来の試料中の亜鉛の比色測定方法による測定値を、同一の乳試料におけるICP発光分析法による測定値で除したときの百分率を示す。
Figure 2014145750
この表から分かるように、12種類の乳試料の内、半数に当たる6種類の乳試料においては、測定により得られた吸光度が、用いた自動分析装置の分光光度計の測定上限を超えてしまい、測定不能であった。
また、この表より、従来の試料中の亜鉛の比色測定方法により測定不能と表示されずに測定値が得られた6種類の乳試料においても、その内4種類の乳試料においてはICP発光分析法による測定値より5%以上測定値がかい離してしまっていることが分かる。
本比較例の測定結果から分かるように、従来の試料中の測定対象物質の比色測定方法においては、その測定結果(測定値)が乳試料に由来する影響を受けてしまい、乳試料中の測定対象物質の比色測定において、正確な測定結果(測定値)を得ることができないものであることが確認できた。
なお、ICP発光分析法は、乳試料に由来する影響を受けることなく、乳試料においても正確な測定結果(測定値)を得ることができるものであるが、このICP発光分析法に用いるICP発光分析装置は、非常に高価であり、かつ大きいものであって、スペースを取り、容易に導入できるものではなく、これを設置、使用できる施設は限られるものである。
〔実施例1〕(本発明の乳試料の前処理方法及び前処理試薬等の効果の確認−1)
本発明の乳試料の前処理方法及び前処理試薬等の効果を確かめた。
1.試薬の調製
(1)乳試料の前処理試薬
(a)乳試料の前処理試薬〔精製水〕
乳試料の前処理試薬の効果を確認するための対照として、精製水を用いた。
この精製水を、乳試料の前処理試薬〔精製水〕とした。
(b)乳試料の前処理試薬〔ブリッジ−35(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔ブリッジ−35(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレンラウリルエーテル〔商品名:ブリッジ−35〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレンラウリルエーテルは、そのHLB値が15.3であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が23.0である、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
このポリオキシエチレンラウリルエーテルは、商品名ブリッジ−35(Brij−35)等として供給される。
(c)乳試料の前処理試薬〔トリトンX−100(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔トリトンX−100(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル〔商品名:トリトンX−100〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルは、INCI名がOctoxynol−9であり、そのHLB値が13.5であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が10.0である、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルである。
このポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルは、商品名トリトンX−100(Triton X−100)等として供給される。
(d)乳試料の前処理試薬〔SDS(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔SDS(2.5%)〕を調製した。
ドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕 2.5%(w/v)
なお、このドデシル硫酸ナトリウムは、そのHLB値が40である、陰イオン性界面活性剤である。
このドデシル硫酸ナトリウムは、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、又はSDSとして供給される。
(e)乳試料の前処理試薬〔BT−12(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔BT−12(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレン(12)2級アルキルエーテル〔商品名:NIKKOL BT−12〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(12)2級アルキルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C1225〜C1429、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):12〕と表され、医薬部外品成分表示名称としてはポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテル(12E.O.)と表され、医薬部外品原料規格2006成分名としてはポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテルと表され、化粧品表示名称が(C12−14)s−パレス−12であり、INCI名がC12−14 SEC−PARETH−12であり、ケミカルアブストラクト(CAS)の登録番号(RN)が84133−50−6であり、そのHLB値が14.5であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が12.0である、2級のポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
このポリオキシエチレン(12)2級アルキルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL BT−12〕、青木油脂工業社(日本国)〔商品名:ファインサーフ 320〕、又は第一工業製薬社(日本国)〔商品名:ノイゲン ET−165〕等より供給される。
(f)乳試料の前処理試薬〔BT−9(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔BT−9(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレン(9)2級アルキルエーテル〔商品名:NIKKOL BT−9〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(9)2級アルキルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C1225〜C1429、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):9〕と表され、医薬部外品成分表示名称としてはポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテルと表され、医薬部外品原料規格2006成分名としてはポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテルと表され、化粧品表示名称が(C12−14)s−パレス−9であり、INCI名がC12−14 SEC−PARETH−9であり、ケミカルアブストラクト(CAS)の登録番号(RN)が84133−50−6であり、そのHLB値が13.5であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が9.0である、2級のポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
このポリオキシエチレン(9)2級アルキルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL BT−9〕、青木油脂工業社(日本国)〔商品名:ファインサーフ 290〕、又は第一工業製薬社(日本国)〔商品名:ノイゲン ET−135〕等より供給される。
(g)乳試料の前処理試薬〔BT−7(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔BT−7(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレン(7)2級アルキルエーテル〔商品名:NIKKOL BT−7〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(7)2級アルキルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C1225〜C1429、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):7〕と表され、医薬部外品成分表示名称としてはポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテルと表され、医薬部外品原料規格2006成分名としてはポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテルと表され、化粧品表示名称が(C12−14)s−パレス−7であり、INCI名がC12−14 SEC−PARETH−7であり、ケミカルアブストラクト(CAS)の登録番号(RN)が84133−50−6であり、そのHLB値が12.0であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が7.0である、2級のポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
このポリオキシエチレン(7)2級アルキルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL BT−7〕、青木油脂工業社(日本国)〔商品名:ファインサーフ 270〕、又は第一工業製薬社(日本国)〔商品名:ノイゲン ET−115〕等より供給される。
(h)乳試料の前処理試薬〔BT−5(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔BT−5(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレン(5)2級アルキルエーテル〔商品名:NIKKOL BT−5〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(5)2級アルキルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C1225〜C1429、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):5〕と表され、医薬部外品成分表示名称としてはポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテルと表され、医薬部外品原料規格2006成分名としてはポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテルと表され、化粧品表示名称が(C12−14)s−パレス−5であり、INCI名がC12−14 SEC−PARETH−5であり、ケミカルアブストラクト(CAS)の登録番号(RN)が84133−50−6であり、そのHLB値が10.5であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が5.0である、2級のポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
このポリオキシエチレン(5)2級アルキルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL BT−5〕、青木油脂工業社(日本国)〔商品名:ファインサーフ 250〕、又は第一工業製薬社(日本国)〔商品名:ノイゲン ET−95〕等より供給される。
(i)乳試料の前処理試薬〔BC−7(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔BC−7(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル〔商品名:NIKKOL BC−7〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(7)セチルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C1633、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):7〕と表され、医薬部外品成分表示名称としてはポリオキシエチレンセチルエーテルと表され、化粧品表示名称がセテス−7であり、INCI名がCeteth−7であり、ケミカルアブストラクト(CAS)の登録番号(RN)が9004−95−9であり、そのHLB値が11.5であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が7.0である、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
このポリオキシエチレン(7)セチルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL BC−7〕等より供給される。
(j)乳試料の前処理試薬〔BL−4.2(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔BL−4.2(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレン(4.2)ラウリルエーテル〔商品名:NIKKOL BL−4.2〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(4.2)ラウリルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C1225、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):4.2〕と表され、医薬部外品成分表示名称としてはポリオキシエチレンラウリルエーテルと表され、化粧品表示名称がラウレス−4であり、INCI名がLaureth−4であり、ケミカルアブストラクト(CAS)の登録番号(RN)が5274−68−0であり、そのHLB値が11.5であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が4.2である、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
このポリオキシエチレン(4.2)ラウリルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL BL−4.2〕等より供給される。
(k)乳試料の前処理試薬〔NP−5(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔NP−5(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル〔商品名:NIKKOL NP−5〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C19−C6、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):5〕と表され、化粧品種別許可基準収載成分名がポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルであり、INCI名がNonoxynol−5であり、そのHLB値が8.0であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が5.0である、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである。
このポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL NP−5〕等より供給される。
(l)乳試料の前処理試薬〔NP−7.5(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔NP−7.5(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテル〔商品名:NIKKOL NP−7.5〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C19−C6、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):7.5〕と表され、化粧品種別許可基準収載成分名がポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルであり、INCI名がNonoxynol−8であり、そのHLB値が14.0であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が7.5である、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである。
このポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL NP−7.5〕等より供給される。
(m)乳試料の前処理試薬〔NP−10(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔NP−10(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル〔商品名:NIKKOL NP−10〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C19−C6、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):10〕と表され、化粧品種別許可基準収載成分名がポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルであり、INCI名がNonoxynol−10であり、そのHLB値が16.5であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が10.0である、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである。
このポリオキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL NP−10〕等より供給される。
(n)乳試料の前処理試薬〔OP−8(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔OP−8〕を調製した。
ポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテル〔商品名:NIKKOL OP−8(2.5%)〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C17−C6、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):8〕と表され、化粧品種別許可基準収載成分名がポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルであり、INCI名がOctoxynol−8であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が8.0である、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである。
このポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL OP−8〕等より供給される。
(o)乳試料の前処理試薬〔OP−10(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔OP−10(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル〔商品名:NIKKOL OP−10〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C17−C6、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):10〕と表され、化粧品種別許可基準収載成分名がポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルであり、INCI名がOctoxynol−10であり、そのHLB値が16.5であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が10.0である、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである。
このポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL OP−10〕等より供給される。
(p)乳試料の前処理試薬〔BC−10NR(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔BC−10NR(2.5%)〕を調製した。
ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル〔商品名:NIKKOL BC−10NR〕 2.5%(w/v)
なお、このポリオキシエチレン(10)セチルエーテルは、その構造式が「RO(CHCHO)H」〔R:C1633、n(ポリオキシエチレンの平均付加モル数):10〕と表され、医薬部外品成分表示名称としてはポリオキシエチレンセチルエーテルと表され、化粧品表示名称がセテス−10であり、INCI名がCeteth−10であり、ケミカルアブストラクト(CAS)の登録番号(RN)が9004−95−9であり、そのHLB値が13.5であり、そのポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン)の平均付加モル数が10.0である、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
このポリオキシエチレン(10)セチルエーテルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL BC−10NR〕等より供給される。
(q)乳試料の前処理試薬〔Decaglyn 1−LV EX(2.5%)〕
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解して、乳試料の前処理試薬〔Decaglyn 1−LV EX(2.5%)〕を調製した。
モノラウリン酸ポリグリセリル〔商品名:NIKKOL Decaglyn 1−LV EX〕 2.5%(w/v)
なお、このモノラウリン酸ポリグリセリルは、医薬部外品成分表示名称としてはモノラウリン酸ポリグリセリルと表され、化粧品表示名称がラウリン酸ポリグリセリル−10であり、INCI名がPolyglyceryl−10 Laurateであり、ケミカルアブストラクト(CAS)の登録番号(RN)が34406−66−1であり、そのHLB値が15.5である、ポリグリセリン脂肪酸エステルである。
このモノラウリン酸ポリグリセリルは、日光ケミカルズ社(日本国)〔商品名:NIKKOL Decaglyn 1−LV EX〕等より供給される。
(2)亜鉛測定用第1試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、亜鉛測定用第1試薬を調製した。
ビス−トリスプロパン 30mM
非イオン性界面活性剤 1%(w/v)
(3)亜鉛測定用第2試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、亜鉛測定用第2試薬を調製した。
2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)フェノールナトリウム 〔5−Br−PAPS〕 <キレート発色剤> 0.13mM
2.標準液及び精製水
(1)標準液
1g/Lの亜鉛標準液を、0.01N塩酸で亜鉛濃度が200μg/dLになるように希釈したものを標準液とした。
(2)精製水
試薬盲検(試薬ブランク)を測定するため、対照として精製水を用いた。
3.乳試料
ヒトの乳(ヒト母乳)を乳試料として用いた。
4.乳試料中の亜鉛の比色測定
前記3の乳試料について、前記1で調製した、17種類の乳試料の前処理試薬のそれぞれ、亜鉛測定用第1試薬及び亜鉛測定用第2試薬にて比色測定した。
(1)乳試料の前処理
前記1の(1)の(a)〜(q)で調製した乳試料の前処理試薬のそれぞれについて、その200μLを前記3の乳試料の50μLと混合し、乳試料と乳試料の前処理試薬の混合液(計17種類)を調製した。
これにより、乳試料と、乳試料の前処理試薬に含まれていた界面活性物質を接触させ、乳試料の前処理を行った。
なお、この乳試料の前処理により、当該乳試料は、5倍の希釈倍率で希釈されたことになる。
(2)亜鉛測定用第1試薬及び亜鉛測定用第2試薬の順次混合
前記(1)の乳試料と乳試料の前処理試薬に含まれていた界面活性物質の接触に続き、日立ハイテクノロジーズ社(日本国)の7180形自動分析装置を用い、前記(1)の17種類の乳試料と乳試料の前処理試薬の混合液のそれぞれについて、当該混合液の10μLに前記1の(2)で調製した亜鉛測定用第1試薬150μLを添加し混和した後37℃で5分間反応させ、この後、前記1の(3)で調製した亜鉛測定用第2試薬50μLを添加し、37℃で5分間反応させた。
そして、亜鉛測定用第1試薬の添加後4分30秒目(16ポイント目)及び亜鉛測定用第2試薬の添加後5分8秒目(34ポイント目)の主波長546nm及び副波長700nmにおける吸光度をそれぞれ測定し、この亜鉛測定用第2試薬の添加後5分8秒目(34ポイント目)の吸光度(主波長の吸光度から副波長の吸光度を差し引いたもの)から亜鉛測定用第1試薬の添加後4分30秒目(16ポイント目)の吸光度(主波長の吸光度から副波長の吸光度を差し引いたもの)を差し引いて吸光度差を求めた。
次に、この前記3の乳試料について求めた吸光度差の値から、前記2の(2)の精製水について前記の通り測定を行って求めた吸光度差の値〔試薬盲検(試薬ブランク)〕を差し引いて、吸光度差を求めた。
次に、この前記3の乳試料について求めた吸光度差の値と、亜鉛の濃度が分かっている前記2の(1)の標準液について前記の通り測定を行って求めた吸光度差の値とを、それぞれ比較することにより、前記3の乳試料中の亜鉛の濃度を算出した。
5.測定結果
前記4における乳試料の前処理に用いたそれぞれの乳試料の前処理試薬の効果を確認するため、前記4の(2)において測定した亜鉛測定用第1試薬の添加後4分30秒目(16ポイント目)の吸光度(主波長546nmにおける吸光度)の各々を表2に示した。
なお、この表において、前記4における乳試料の前処理に用いたそれぞれの乳試料の前処理試薬毎に、左側より、前記4の(2)において測定した亜鉛測定用第1試薬の添加後4分30秒目(16ポイント目)の吸光度(主波長546nmにおける吸光度)、この吸光度を「乳試料の前処理試薬(精製水)」を用いたときの吸光度で除したときの百分率、用いた界面活性物質のHLB値、及び、用いた界面活性物質がポリオキシアルキレン化合物(ポリオキシエチレン化合物等)である場合のポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン等)の平均付加モル数を順次示した。(なお、該当しない場合は、「***」と示した。)
Figure 2014145750
この表から分かるように、「乳試料の前処理試薬〔BT−7(2.5%)〕」を用いた場合の吸光度の値は、対照である「乳試料の前処理試薬(精製水)」を用いた場合の吸光度の値の37%となっており、顕著に低減していることが分かる。
また、この表より、「乳試料の前処理試薬〔NP−7.5(2.5%)〕」を用いた場合の吸光度の値は、対照である「乳試料の前処理試薬(精製水)」を用いた場合の吸光度の値の74%となっており、大きく低減していることが分かる。
これに対して、この表より、対照である「乳試料の前処理試薬(精製水)」を用いたときの吸光度と比較して、他の乳試料の前処理試薬を用いた場合の吸光度は、大差ないか又は逆に増加してしまっていることが分かる。
これらのことより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルであって、そのHLB値が12〜14であり、そのポリオキシアルキレンの平均付加モル数が7.0〜7.5である界面活性物質を、乳試料の前処理試薬に含有させ、乳試料の前処理を行った場合、すなわち、乳試料と前記の界面活性物質を接触させる場合には、乳試料に由来する比色測定への影響を抑制することができることが確かめられた。
〔実施例2〕(本発明の乳試料の前処理方法及び前処理試薬等の効果の確認−2)
本発明の乳試料の前処理方法及び前処理試薬等の効果を再度確かめた。
1.乳試料の前処理試薬
(a)乳試料の前処理試薬〔精製水〕
前記の実施例1の1の(1)の(a)の乳試料の前処理試薬〔精製水〕を用いた。
(b)乳試料の前処理試薬〔ブリッジ−35(2.5%)〕
前記の実施例1の1の(1)の(b)の乳試料の前処理試薬〔ブリッジ−35(2.5%)〕を用いた。
(c)乳試料の前処理試薬〔トリトンX−100(2.5%)〕
前記の実施例1の1の(1)の(c)の乳試料の前処理試薬〔トリトンX−100(2.5%)〕を用いた。
(d)乳試料の前処理試薬〔SDS(2.5%)〕
前記の実施例1の1の(1)の(d)の乳試料の前処理試薬〔SDS(2.5%)〕を用いた。
(e)乳試料の前処理試薬〔BT−12(2.5%)〕
前記の実施例1の1の(1)の(e)の乳試料の前処理試薬〔BT−12(2.5%)〕を用いた。
(f)乳試料の前処理試薬〔BT−9(2.5%)〕
前記の実施例1の1の(1)の(f)の乳試料の前処理試薬〔BT−9(2.5%)〕を用いた。
(g)乳試料の前処理試薬〔BT−7(2.5%)〕
前記の実施例1の1の(1)の(g)の乳試料の前処理試薬〔BT−7(2.5%)〕を用いた。
(h)乳試料の前処理試薬〔BC−7(2.5%)〕
前記の実施例1の1の(1)の(i)の乳試料の前処理試薬〔BC−7(2.5%)〕を用いた。
(i)乳試料の前処理試薬〔BL−4.2(2.5%)〕
前記の実施例1の1の(1)の(j)の乳試料の前処理試薬〔BL−4.2(2.5%)〕を用いた。
(j)乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕
その濃度を5.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(g)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕を調製した。
(k)乳試料の前処理試薬〔NP−5(5%)〕
その濃度を5.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(k)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔NP−5(5%)〕を調製した。
(l)乳試料の前処理試薬〔NP−7.5(5%)〕
その濃度を5.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(l)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔NP−7.5(5%)〕を調製した。
(m)乳試料の前処理試薬〔BC−10NR(5%)〕
その濃度を5.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(p)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔BC−10NR(5%)〕を調製した。
(n)乳試料の前処理試薬〔NP−10(5%)〕
その濃度を5.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(m)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔NP−10(5%)〕を調製した。
(o)乳試料の前処理試薬〔Decaglyn 1−LV EX(5%)〕
その濃度を5.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(q)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔Decaglyn 1−LV EX(5%)〕を調製した。
(p)乳試料の前処理試薬〔OP−10(5%)〕
その濃度を5.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(o)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔OP−10(5%)〕を調製した。
(q)乳試料の前処理試薬〔OP−8(5%)〕
その濃度を5.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(n)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔OP−8(5%)〕を調製した。
(r)乳試料の前処理試薬〔BT−5(0.3125%)〕
その濃度を0.3125%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(h)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔BT−5(0.3125%)〕を調製した。
(s)乳試料の前処理試薬〔BT−5(0.625%)〕
その濃度を0.625%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(h)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔BT−5(0.625%)〕を調製した。
(t)乳試料の前処理試薬〔BT−5(1.25%)〕
その濃度を1.25%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(h)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔BT−5(1.25%)〕を調製した。
(u)乳試料の前処理試薬〔BT−5(2.5%)〕
その濃度を2.5%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(h)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔BT−5(2.5%)〕を調製した。
(v)乳試料の前処理試薬〔BT−5(5%)〕
その濃度を5.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(h)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔BT−5(5%)〕を調製した。
(w)乳試料の前処理試薬〔BT−5(10%)〕
その濃度を10.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(h)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔BT−5(10%)〕を調製した。
2.試料
(1) 精製水 〔対照として精製水を用いた〕
(2) 乳試料l 〔ヒトの乳(ヒト母乳)〕
(3) 乳試料m〔人工乳である明治社(日本国)の粉ミルク「明治ほほえみ」をメーカー指定の方法により溶解し調製した場合の1/2の濃度になるように調製したもの〕
(4) 乳試料n〔人工乳である明治社(日本国)の粉ミルク「明治ほほえみ」をメーカー指定の方法により溶解し調製したもの〕
3.乳試料の前処理
前記2の試料について、前記1で調製した23種類の乳試料の前処理試薬のそれぞれにより前処理を行った。
(1)乳試料の前処理
前記1の(a)〜(w)で調製した乳試料の前処理試薬のそれぞれについて、その200μLを前記2の試料の50μLとマイクロチューブの中で混合し、乳試料等と乳試料の前処理試薬の混合液を調製した。
これにより、乳試料等と、乳試料の前処理試薬に含まれていた界面活性物質を接触させ、乳試料等の前処理を行った。
なお、この乳試料等の前処理により、当該乳試料等は、5倍の希釈倍率で希釈されたことになる。
(2)混合液の色調等の観察
前記(1)において調製した、乳試料等と乳試料の前処理試薬の混合液の色調等を目視にて観察し、またこれを写真にて記録した。
4.結果
前記3における乳試料等の前処理に用いたそれぞれの乳試料の前処理試薬の効果を確認するため、乳試料等と乳試料の前処理試薬の混合液の色調等を観察した結果の写真を図1〜図6に示した。
なお、図1において、付した番号が「1」のものは前記2の(2)の乳試料lそのものを対照として置いたものであり、「2」は前記の乳試料lと前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「3」は前記の乳試料lと前記の乳試料の前処理試薬〔Brij−35(2.5%)〕の組み合わせによるものであり、「4」は前記の乳試料lと前記の乳試料の前処理試薬〔トリトンX−100(2.5%)〕の組み合わせによるものであり、「5」は前記の乳試料lと前記の乳試料の前処理試薬〔SDS(2.5%)〕の組み合わせによるものであり、「6」は前記の乳試料lと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−12(2.5%)〕の組み合わせによるものであり、「7」は前記の乳試料lと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−9(2.5%)〕の組み合わせによるものであり、「8」は前記の乳試料lと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(2.5%)〕の組み合わせによるものであり、「9」は前記の乳試料lと前記の乳試料の前処理試薬〔BC−7(2.5%)〕の組み合わせによるものであり、「10」は前記の乳試料lと前記の乳試料の前処理試薬〔BL−4.2(2.5%)〕の組み合わせによるものであり、そして、「11」は前記の乳試料lと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものである。
また、図2において、付した番号が「1」のものは前記2の(1)の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「2」は前記2の(3)の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「3」は前記2の(4)の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「4」は前記の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものであり、「5」は前記の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものであり、「6」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものであり、「7」は前記の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔NP−5(5%)〕の組み合わせによるものであり、「8」は前記の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔NP−5(5%)〕の組み合わせによるものであり、「9」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔NP−5(5%)〕の組み合わせによるものであり、「10」は前記の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔NP−7.5(5%)〕の組み合わせによるものであり、「11」は前記の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔NP−7.5(5%)〕の組み合わせによるものであり、「12」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔NP−7.5(5%)〕の組み合わせによるものである。
また、図3において、付した番号が「1」のものは前記2の(1)の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「2」は前記2の(3)の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「3」は前記2の(4)の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「4」は前記の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものであり、「5」は前記の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものであり、「6」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものであり、「7」は前記の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔BC−10NR(5%)〕の組み合わせによるものであり、「8」は前記の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔BC−10NR(5%)〕の組み合わせによるものであり、「9」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔BC−10NR(5%)〕の組み合わせによるものである。
また、図4において、付した番号が「1」のものは前記2の(1)の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「2」は前記2の(3)の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「3」は前記2の(4)の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「4」は前記の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものであり、「5」は前記の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものであり、「6」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものであり、「7」は前記の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔NP−10(5%)〕の組み合わせによるものであり、「8」は前記の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔NP−10(5%)〕の組み合わせによるものであり、「9」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔NP−10(5%)〕の組み合わせによるものであり、「10」は前記の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔Decaglyn 1−LV EX(5%)〕の組み合わせによるものであり、「11」は前記の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔Decaglyn 1−LV EX(5%)〕の組み合わせによるものであり、「12」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔Decaglyn 1−LV EX(5%)〕の組み合わせによるものである。
また、図5において、付した番号が「1」のものは前記2の(1)の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「2」は前記2の(3)の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「3」は前記2の(4)の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「4」は前記の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものであり、「5」は前記の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものであり、「6」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものであり、「7」は前記の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔OP−10(5%)〕の組み合わせによるものであり、「8」は前記の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔OP−10(5%)〕の組み合わせによるものであり、「9」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔OP−10(5%)〕の組み合わせによるものであり、「10」は前記の精製水と前記の乳試料の前処理試薬〔OP−8(5%)〕の組み合わせによるものであり、「11」は前記の乳試料mと前記の乳試料の前処理試薬〔OP−8(5%)〕の組み合わせによるものであり、「12」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔OP−8(5%)〕の組み合わせによるものである。
また、図6において、付した番号が「1」のものは前記2の(4)の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕の組み合わせによるものであり、「2」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−5(0.3125%)〕の組み合わせによるものであり、「3」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−5(0.625%)〕の組み合わせによるものであり、「4」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−5(1.25%)〕の組み合わせによるものであり、「5」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−5(2.5%)〕の組み合わせによるものであり、「6」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−5(5%)〕の組み合わせによるものであり、「7」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−5(10%)〕の組み合わせによるものであり、そして、「8」は前記の乳試料nと前記の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の組み合わせによるものである。
これらの図から分かるように、対照である「乳試料の前処理試薬(精製水)」を用いたときに比べて、乳試料の前処理試薬として、「乳試料の前処理試薬〔BT−7(2.5%)〕」、「乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕」及び「乳試料の前処理試薬〔NP−7.5(5%)〕」をそれぞれ用いた場合は、乳試料等と乳試料の前処理試薬の混合液の色調が澄明になっていることが分かる。
これに対して、これらの図より、他の乳試料の前処理試薬を用いた場合は、乳試料等と乳試料の前処理試薬の混合液の色調において、対照である「乳試料の前処理試薬(精製水)」を用いたときに比べて、その混濁度が大差ないか又は逆に増加してしまっていることが分かる。
これらのことより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルであって、そのHLB値が12〜14であり、そのポリオキシアルキレンの平均付加モル数が7.0〜7.5である界面活性物質を、乳試料の前処理試薬に含有させ、乳試料の前処理を行った場合、すなわち、乳試料と前記の界面活性物質を接触させる場合には、乳試料に由来する比色測定への影響を抑制することができることが、この検討においても確かめられた。
〔実施例3〕(本発明の乳試料の前処理方法及び前処理試薬等の効果の確認−3)
本発明の乳試料の前処理方法及び前処理試薬等の効果を更に確かめた。
1.試薬の調製
(1)乳試料の前処理試薬
(a)乳試料の前処理試薬〔BT−7(0%)〕
乳試料の前処理試薬の効果を確認するための対照として、精製水を用いた。
この精製水を、乳試料の前処理試薬〔BT−7(0%)〕とした。
なお、この乳試料の前処理試薬〔BT−7(0%)〕は、前記の乳試料の前処理試薬〔精製水〕と同一内容のものである。
(b)乳試料の前処理試薬〔BT−7(2.5%)〕
前記の実施例1の1の(1)の(g)の乳試料の前処理試薬〔BT−7(2.5%)〕を用いた。
(c)乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕
その濃度を5.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(g)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕を調製した。
(d)乳試料の前処理試薬〔BT−7(10%)〕
その濃度を10.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(g)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔BT−7(10%)〕を調製した。
(2)亜鉛測定用第1試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、亜鉛測定用第1試薬を調製した。
ビス−トリスプロパン 30mM
非イオン性界面活性剤 1%(w/v)
(3)亜鉛測定用第2試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、亜鉛測定用第2試薬を調製した。
2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)フェノールナトリウム 〔5−Br−PAPS〕 <キレート発色剤> 0.13mM
2.標準液及び精製水
(1)標準液
1g/Lの亜鉛標準液を、0.01N塩酸で亜鉛濃度が200μg/dLになるように希釈したものを標準液とした。
(2)精製水
試薬盲検(試薬ブランク)を測定するため、対照として精製水を用いた。
3.乳試料
ヒトの乳(ヒト母乳)を乳試料として用いた。
4.乳試料中の亜鉛の比色測定
前記3の乳試料について、前記1で調製した、4種類の乳試料の前処理試薬のそれぞれ、亜鉛測定用第1試薬、及び亜鉛測定用第2試薬にて比色測定した。
(1)乳試料の前処理
前記1の(1)の(a)〜(d)で調製した乳試料の前処理試薬のそれぞれについて、その50μLを前記3の乳試料の50μLと混合し、乳試料と乳試料の前処理試薬の混合液(計4種類)を調製した。
これにより、乳試料と、乳試料の前処理試薬に含まれていた界面活性物質を接触させ、乳試料の前処理を行った。
なお、この乳試料の前処理により、当該乳試料は、2倍の希釈倍率で希釈されたことになる。
(2)亜鉛測定用第1試薬及び亜鉛測定用第2試薬の順次混合
前記(1)の乳試料と乳試料の前処理試薬に含まれていた界面活性物質の接触に続き、日立ハイテクノロジーズ社(日本国)の7180形自動分析装置を用い、前記(1)の17種類の乳試料と乳試料の前処理試薬の混合液のそれぞれについて、当該混合液の10μLに前記1の(2)で調製した亜鉛測定用第1試薬150μLを添加し混和した後37℃で5分間反応させ、この後、前記1の(3)で調製した亜鉛測定用第2試薬50μLを添加し、37℃で5分間反応させた。
そして、亜鉛測定用第1試薬の添加後4分30秒目(16ポイント目)及び亜鉛測定用第2試薬の添加後5分8秒目(34ポイント目)の主波長546nm及び副波長700nmにおける吸光度をそれぞれ測定し、この亜鉛測定用第2試薬の添加後5分8秒目(34ポイント目)の吸光度(主波長の吸光度から副波長の吸光度を差し引いたもの)から亜鉛測定用第1試薬の添加後4分30秒目(16ポイント目)の吸光度(主波長の吸光度から副波長の吸光度を差し引いたもの)を差し引いて吸光度差を求めた。
次に、この前記3の乳試料について求めた吸光度差の値から、前記2の(2)の精製水について前記の通り測定を行って求めた吸光度差の値〔試薬盲検(試薬ブランク)〕を差し引いて、吸光度差を求めた。
次に、この前記3の乳試料について求めた吸光度差の値と、亜鉛の濃度が分かっている前記2の(1)の標準液について前記の通り測定を行って求めた吸光度差の値とを、それぞれ比較することにより、前記3の乳試料中の亜鉛の濃度を算出した。
(3) また、前記(1)において前記1の(1)の(a)〜(d)で調製した乳試料の前処理試薬のそれぞれについて、その100μLを前記3の乳試料の50μLと混合し、乳試料と乳試料の前処理試薬の混合液(計4種類)を調製すること以外は、前記(1)〜(2)の記載の通りに操作を行い、前記3の乳試料中の亜鉛の濃度の測定を行った。
なお、この場合、当該混合液の調製により、前記の乳試料は、3倍の希釈倍率で希釈されたことになる。
(4) 更に、前記(1)において前記1の(1)の(a)〜(d)で調製した乳試料の前処理試薬のそれぞれについて、その200μLを前記3の乳試料の50μLと混合し、乳試料と乳試料の前処理試薬の混合液(計4種類)を調製すること以外は、前記(1)〜(2)の記載の通りに操作を行い、前記3の乳試料中の亜鉛の濃度の測定を行った。
なお、この場合、当該混合液の調製により、前記の乳試料は、5倍の希釈倍率で希釈されたことになる。
5.測定結果
前記4における乳試料の前処理試薬による乳試料の前処理の効果を確認するため、前記4において測定した亜鉛測定用第1試薬の添加後4分30秒目(16ポイント目)の吸光度(主波長546nmにおける吸光度)を図7に示した。
なお、この図において、横軸は、乳試料と乳試料の前処理試薬を混合して混合液を調製した際に希釈された乳試料の希釈倍率を示す。
また、この図において、縦軸は、前記4において測定した亜鉛測定用第1試薬の添加後4分30秒目(16ポイント目)の吸光度(主波長546nmにおける吸光度)を示す。
そして、この図において、「◆」は乳試料の前処理試薬として乳試料の前処理試薬〔BT−7(0%)〕を用いた場合の吸光度の値を、「□」は乳試料の前処理試薬〔BT−7(2.5%)〕を用いた場合の吸光度の値を、「△」は乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕を用いた場合の吸光度の値を、そして、「×」は乳試料の前処理試薬〔BT−7(10%)〕を用いた場合の吸光度の値を示す。
この図から分かるように、対照である「乳試料の前処理試薬〔BT−7(0%)〕」を用いた場合の吸光度に対して、「乳試料の前処理試薬〔BT−7(2.5%)〕」を用いた場合の吸光度の値は、低減していることが分かる。
これは、用いる乳試料の前処理試薬が「乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕」、そして「乳試料の前処理試薬〔BT−7(10%)〕」となるに従い顕著である。
また、この図より、前記の乳試料の希釈倍率が、2倍、3倍、そして5倍となるに従い、吸光度の値の低減度が顕著であることが分かる。
これらのことより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルであって、そのHLB値が12〜14であり、そのポリオキシアルキレンの平均付加モル数が7.0〜7.5である界面活性物質を、乳試料の前処理試薬に含有させ、乳試料の前処理を行った場合、すなわち、乳試料と前記の界面活性物質を接触させる場合には、乳試料に由来する比色測定への影響を抑制することができることが再度確かめられた。
〔実施例4〕(本発明の乳試料中の測定対象物質の測定方法とICP発光分析法との相関)
ICP発光分析法との相関により、本発明の乳試料中の測定対象物質の測定方法の正確性を確かめた。
1.試薬の調製
(1)乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕
その濃度を5.0%(w/v)になるように純水に溶解すること以外は、前記の実施例1の1の(1)の(g)の記載の通りに行い、乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕を調製した。
(2)亜鉛測定用第1試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、亜鉛測定用第1試薬を調製した。
ビス−トリスプロパン 30mM
非イオン性界面活性剤 1%(w/v)
(3)亜鉛測定用第2試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、亜鉛測定用第2試薬を調製した。
2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)フェノールナトリウム 〔5−Br−PAPS〕 <キレート発色剤> 0.13mM
2.標準液及び精製水
(1)標準液
1g/Lの亜鉛標準液を、0.01N塩酸で亜鉛濃度が200μg/dLになるように希釈したものを標準液とした。
(2)精製水
試薬盲検(試薬ブランク)を測定するため、対照として精製水を用いた。
3.乳試料
24種類のヒトの乳(ヒト母乳)をそれぞれ乳試料として用いた。
4.乳試料中の亜鉛の比色測定
前記3の乳試料について、前記1で調製した、乳試料の前処理試〔BT−7(5%)〕、亜鉛測定用第1試薬、及び亜鉛測定用第2試薬にて比色測定した。
(1)乳試料の前処理
前記3の24種類の乳試料のそれぞれについて、その50μLを、前記1の(1)の乳試料の前処理試薬〔BT−7(5%)〕の200μLと混合し、乳試料と乳試料の前処理試薬の混合液(計24種類)を調製した。
これにより、乳試料と、乳試料の前処理試薬に含まれていた界面活性物質を接触させ、乳試料の前処理を行った。
なお、この乳試料の前処理により、当該乳試料は、5倍の希釈倍率で希釈されたことになる。
(2)亜鉛測定用第1試薬及び亜鉛測定用第2試薬の順次混合
前記(1)の乳試料と乳試料の前処理試薬に含まれていた界面活性物質の接触に続き、日立ハイテクノロジーズ社(日本国)の7180形自動分析装置を用い、前記(1)の24種類の乳試料と乳試料の前処理試薬の混合液のそれぞれについて、当該混合液の10μLに前記1の(2)で調製した亜鉛測定用第1試薬150μLを添加し混和した後37℃で5分間反応させ、この後、前記1の(3)で調製した亜鉛測定用第2試薬50μLを添加し、37℃で5分間反応させた。
そして、亜鉛測定用第1試薬の添加後4分30秒目(16ポイント目)及び亜鉛測定用第2試薬の添加後5分8秒目(34ポイント目)の主波長546nm及び副波長700nmにおける吸光度をそれぞれ測定し、この亜鉛測定用第2試薬の添加後5分8秒目(34ポイント目)の吸光度(主波長の吸光度から副波長の吸光度を差し引いたもの)から亜鉛測定用第1試薬の添加後4分30秒目(16ポイント目)の吸光度(主波長の吸光度から副波長の吸光度を差し引いたもの)を差し引いて吸光度差を求めた。
次に、この前記3の24種類の乳試料について求めた吸光度差の値から、前記2の(2)の精製水について前記の通り測定を行って求めた吸光度差の値〔試薬盲検(試薬ブランク)〕を差し引いて、吸光度差を求めた。
次に、この前記3の24種類の乳試料について求めた吸光度差の値と、亜鉛の濃度が分かっている前記2の(1)の標準液について前記の通り測定を行って求めた吸光度差の値とを、それぞれ比較することにより、前記3の24種類の乳試料中の亜鉛の濃度を算出した。
5.ICP発光分析法による乳試料中の亜鉛の測定
前記3の24種類の乳試料中の亜鉛の濃度を、ICP発光分析法にて測定した。
この乳試料中の亜鉛の濃度の測定は、前記3の24種類の乳試料のそれぞれについて、この乳試料の60μLに、1ppmのイットリウムを含む0.1M塩酸水溶液の3.00mLを添加し混和し混合液を調製した。
なお、この混合液の調製により、当該乳試料は、51倍の希釈倍率で希釈されたことになる。
次に、前記の混合液の3.06mLについて、イットリウムを内部標準物質として、島津製作所(日本国)のICPS−8100型ICP発光分析装置により測定を行なった。
また、亜鉛の濃度が分かっている前記2の(1)の標準液について、前記の通り測定を行い、この標準液について求めた値と、前記3の24種類の乳試料について求めた値とをそれぞれ比較することにより、前記3の24種類の乳試料中の亜鉛の濃度を算出した。
6.測定結果
前記4における本発明の乳試料中の亜鉛の比色測定方法による測定結果(測定値)と前記5におけるICP発光分析法による測定結果(測定値)の相関のグラフを図8に示した。
なお、この図において、横軸は、前記5におけるICP発光分析法による乳試料中の亜鉛の測定値(単位:μg/dL)を示す。
また、この図において、縦軸は、前記4における本発明の乳試料中の亜鉛の比色測定方法による乳試料中の亜鉛の測定値(単位:μg/dL)を示す。
なお、この相関の回帰式は、本発明の乳試料中の亜鉛の比色測定方法による測定値をy、ICP発光分析法による測定値をxとした場合、y=1.00x−0.3で示される。
また、この相関の相関係数であるが、r=0.999である。
これらのことから、乳試料中の亜鉛の測定において、本発明の乳試料中の亜鉛の比色測定方法とICP発光分析法とは、相関の回帰式及び相関係数とも非常に良好なものであることが分かる。
ところで、ICP発光分析法は、乳試料に由来する影響を受けることなく、乳試料においても正確な測定結果(測定値)を得ることができるものである。
従って、前記の相関の結果より、本発明の乳試料中の亜鉛の比色測定方法は、乳試料に由来する影響を受けることなく、乳試料においても正確な測定結果(測定値)を得ることができるものであることが確かめられた。

Claims (38)

  1. 乳試料中の測定対象物質を比色測定する方法において、乳試料と界面活性物質を接触させる工程を含むことを特徴とする、乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
  2. 界面活性物質が非イオン性界面活性剤である、請求項1記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
  3. 界面活性物質がポリオキシアルキレン化合物である、請求項1又は請求項2記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
  4. 界面活性物質がポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルである、請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
  5. 界面活性物質がHLB値が12〜16の界面活性物質である、請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
  6. 界面活性物質がポリオキシアルキレンの平均付加モル数が5.5〜8.5のポリオキシアルキレン化合物である、請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
  7. 乳試料と界面活性物質を接触させる工程の後に、測定対象物質の比色測定を行う、請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
  8. 測定対象物質が金属イオンである、請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
  9. 乳試料がヒトの乳である、請求項1〜請求項8のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
  10. 乳試料と界面活性物質を接触させる工程が、乳試料に由来する比色測定への影響を抑制するためのものである、請求項1〜請求項9のいずれか1項記載の乳試料中の測定対象物質の比色測定方法。
  11. 乳試料中の測定対象物質の比色測定を行う前に、乳試料と界面活性物質を接触させる、乳試料の前処理方法。
  12. 界面活性物質が非イオン性界面活性剤である、請求項11記載の乳試料の前処理方法。
  13. 界面活性物質がポリオキシアルキレン化合物である、請求項11又は請求項12記載の乳試料の前処理方法。
  14. 界面活性物質がポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルである、請求項11〜請求項13のいずれか1項記載の乳試料の前処理方法。
  15. 界面活性物質がHLB値が12〜16の界面活性物質である、請求項11〜請求項14のいずれか1項記載の乳試料の前処理方法。
  16. 界面活性物質がポリオキシアルキレンの平均付加モル数が5.5〜8.5のポリオキシアルキレン化合物である、請求項11〜請求項15のいずれか1項記載の乳試料の前処理方法。
  17. 測定対象物質が金属イオンである、請求項11〜請求項16のいずれか1項記載の乳試料の前処理方法。
  18. 乳試料がヒトの乳である、請求項11〜請求項17のいずれか1項記載の乳試料の前処理方法。
  19. 乳試料に由来する比色測定への影響を抑制するためのものである、請求項11〜請求項18のいずれか1項記載の乳試料の前処理方法。
  20. 界面活性物質を含有する、乳試料の前処理試薬。
  21. 界面活性物質が非イオン性界面活性剤である、請求項20記載の乳試料の前処理試薬。
  22. 界面活性物質がポリオキシアルキレン化合物である、請求項20又は請求項21記載の乳試料の前処理試薬。
  23. 界面活性物質がポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルである、請求項20〜請求項22のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
  24. 界面活性物質がHLB値が12〜16の界面活性物質である、請求項20〜請求項23のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
  25. 界面活性物質がポリオキシアルキレンの平均付加モル数が5.5〜8.5のポリオキシアルキレン化合物である、請求項20〜請求項24のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
  26. 乳試料中の測定対象物質の比色測定を行う前に、乳試料と接触させて用いる、請求項20〜請求項25のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
  27. 測定対象物質が金属イオンである、請求項20〜請求項26のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
  28. 乳試料がヒトの乳である、請求項20〜請求項27のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
  29. 乳試料に由来する比色測定への影響を抑制するためのものである、請求項20〜請求項28のいずれか1項記載の乳試料の前処理試薬。
  30. 乳試料中の測定対象物質の比色測定を行うに当たり、乳試料と界面活性物質を接触させることを特徴とする、乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
  31. 界面活性物質が非イオン性界面活性剤である、請求項30記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
  32. 界面活性物質がポリオキシアルキレン化合物である、請求項30又は請求項31記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
  33. 界面活性物質がポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルである、請求項30〜請求項32のいずれか1項記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
  34. 界面活性物質がHLB値が12〜16の界面活性物質である、請求項30〜請求項33のいずれか1項記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
  35. 界面活性物質がポリオキシアルキレンの平均付加モル数が5.5〜8.5のポリオキシアルキレン化合物である、請求項30〜請求項34のいずれか1項記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
  36. 測定対象物質が金属イオンである、請求項30〜請求項35のいずれか1項記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
  37. 乳試料がヒトの乳である、請求項30〜請求項36のいずれか1項記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
  38. 乳試料に由来する比色測定への影響を抑制するためのものである、請求項30〜請求項37のいずれか1項記載の乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法。
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