JP5055507B2 - 試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬 - Google Patents
試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5055507B2 JP5055507B2 JP2006058868A JP2006058868A JP5055507B2 JP 5055507 B2 JP5055507 B2 JP 5055507B2 JP 2006058868 A JP2006058868 A JP 2006058868A JP 2006058868 A JP2006058868 A JP 2006058868A JP 5055507 B2 JP5055507 B2 JP 5055507B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- reagent
- sample
- protein
- surfactant
- measurement
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
この血清又は血漿中のアルブミンを測定することは、前記疾患の診断及び治療にとって重要である。
この尿中のアルブミンは、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎の潜在期若しくは良性腎硬化症などの非糖尿病性腎疾患、尿路感染症、高血圧又はうっ血性心不全等において出現する。
そして、尿中のアルブミン(尿中微量アルブミン)を測定することは、前記疾患の診断及び治療にとって重要である。
従来のアルブミンの測定方法及び測定試薬としては、ブロムクレゾールグリーン(BCG)がクエン酸酸性下でアルブミンと結合し、青色を呈することを利用し、この発色による吸光度の増加を測定して試料中のアルブミン濃度を求めるBCG法が知られていた。
また、ブロモクレゾールパープル(BCP)がアルブミンと結合し、青色を呈することを利用し、この発色による吸光度の増加を測定して試料中のアルブミン濃度を求めるBCP法も知られていた。
そこで、尿中のアルブミン(尿中微量アルブミン)の測定には、より高感度な放射免疫測定法、酵素免疫測定法、免疫比濁法又はラテックス凝集反応法等の免疫学的測定法を測定原理とする測定方法及び測定試薬が従来用いられてきた(測定感度:5〜30mg/L)。
しかしながら、これらの免疫学的測定試薬は共通して、アルブミンに特異的に結合する抗体を動物等より調製し、それを原料とするため、測定試薬のコストが高いという難点があった。
更に、この抗体を動物等より調製するため、抗体のロットにより感度に差が生じることがあり、一定感度の測定試薬の提供が難しいということもあった。
また、これらの免疫学的測定法及び測定試薬には、汎用自動分析装置で測定を行うことができず専用の測定装置でないと測定が行えなかったり、測定に時間が掛かったり、又は測定操作が煩雑であるという難点を有するものもあった。
(1) 試料、エリスロシンB及び界面活性剤を接触させ、この試料、エリスロシンB及び界面活性剤を含む混合液の吸光度を測定することからなる、試料中のタンパク質の測定方法。
(2) 試料及びエリスロシンBを接触させた後、少なくともこの試料及びエリスロシンBを含む混合液のpHをpH5.0以下とすることを特徴とする前記(1)に記載の試料中のタンパク質の測定方法。
(3) 混合液のpHをpH5.0以下とすることを、当該混合液に酸性溶液を添加することにより行うことを特徴とする前記(2)に記載の試料中のタンパク質の測定方法。
(4) 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤及び/又は陽イオン性界面活性剤であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の試料中のタンパク質の測定方法。
(5) 界面活性剤が、混合液中で当該界面活性剤の臨界ミセル濃度未満の濃度であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の試料中のタンパク質の測定方法。
(6) タンパク質が、アルブミンであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の試料中のタンパク質の測定方法。
(7) エリスロシンB及び界面活性剤を含有する、試料中のタンパク質の測定試薬。
(8) 少なくともエリスロシンBを含有する溶液からなる第1試薬と、酸性溶液からなる第2試薬との組み合わせよりなり、界面活性剤が当該第1試薬及び/又は当該第2試薬に添加されていることを特徴とする前記(7)に記載の試料中のタンパク質の測定試薬。
(9) 酸性溶液からなる第2試薬が、試料及び第1試薬を混合した混合液に当該第2試薬を添加することにより、当該混合液のpHをpH5.0以下とすることができるものであることを特徴とする前記(8)に記載の試料中のタンパク質の測定試薬。
(10) 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤及び/又は陽イオン性界面活性剤であることを特徴とする前記(7)〜(9)のいずれか1つに記載の試料中のタンパク質の測定試薬。
(11) 界面活性剤が、混合液中において当該界面活性剤の臨界ミセル濃度未満の濃度となるような濃度に設定されていることを特徴とする前記(7)〜(10)のいずれか1つに記載の試料中のタンパク質の測定試薬。
(12) タンパク質が、アルブミンであることを特徴とする前記(7)〜(11)のいずれか1つに記載の試料中のタンパク質の測定試薬。
1.本発明の試料中のタンパク質の測定方法
本発明の試料中のタンパク質の測定方法は、試料、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物及び界面活性剤を接触させ、この試料、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物及び界面活性剤を含む混合液の吸光度を測定することからなるものである。
2.試料
本発明における試料としては、タンパク質を含む可能性がある試料であれば特に限定されないが、例えば、ヒト若しくは動物に由来する試料、植物に由来する試料、微生物に由来する試料、食物、飲料、薬剤、試薬、又は環境試料等を挙げることができる。
3.タンパク質
本発明におけるタンパク質とは、試料中に含まれる(又は含まれる可能性のある)タンパク質であって、測定を行おうとするものである。
この試料中に微量にしか存在しないタンパク質として、例えば、尿中のアルブミン(尿中微量アルブミン)やベンス・ジョンズタンパク等を挙げることができる。
特に、尿中のアルブミン(尿中微量アルブミン)の測定に好適である。
4.フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物
本発明におけるフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物は、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性の化合物であれば、特に限定されずに用いることができる。
5.界面活性剤
本発明における界面活性剤は、界面活性剤であれば、特に限定されずに用いることができる。
よって、この界面活性剤との接触により、試料中の微量のタンパク質の測定が可能となる。
非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤の具体例として、その化合物名及びその臨界ミセル濃度(CMC)等を、「表1」、「表2」及び「表3」に示した。
6.試料中のタンパク質の測定
本発明における試料中のタンパク質の測定について、以下説明を行う。
(1)試料、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物及び界面活性剤の接触
試料、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物及び界面活性剤を接触させることであるが、前記の試料、前記のフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物、及び前記の界面活性剤を接触させることができれば、どのような方法でもよい。
この接触時のフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物、及び界面活性剤のそれぞれの濃度については、前記の通りである。
(a) 試料とフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を接触させ、次にこれに界面活性剤を接触させる。
(b) 試料と界面活性剤を接触させ、次にこれにフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を接触させる。
(c) フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物と界面活性剤を接触させ、次にこれに試料を接触させる。
この、試料、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物、及び界面活性剤を接触させる温度であるが、特に限定はない。但し、60℃以上であると、タンパク質が変性する可能性があるので、0〜50℃が好ましく、5〜45℃がより好ましく、15〜40℃が特に好ましい。
(2)pH
本発明においては、試料、及びフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を接触させた後、少なくともこの試料及びフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を含む混合液のpHを、pH5.0以下とすることが好ましい。
この試料、及びフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を接触させた後、少なくともこの試料及びフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を含む混合液のpHを、pH5.0以下(より好ましくはpH4.0以下、特に好ましくはpH3.5以下)とすることの順序として、本発明において次のものを挙げることができる。
(A) 試料と、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物及び界面活性剤の混合物(例えば測定試薬)を接触させ、次にこれに酸性溶液を添加する等により当該混合液のpHを、pH5.0以下(より好ましくはpH4.0以下、特に好ましくはpH3.5以下)とする。
(B) 試料とフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を接触させ、次にこれに界面活性剤を接触させ、次にこれに酸性溶液を添加する等により当該混合液のpHを、pH5.0以下(より好ましくはpH4.0以下、特に好ましくはpH3.5以下)とする。
(C) 試料と界面活性剤を接触させ、次にこれにフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を接触させ、次にこれに酸性溶液を添加する等により当該混合液のpHを、pH5.0以下(より好ましくはpH4.0以下、特に好ましくはpH3.5以下)とする。
(D) フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物と界面活性剤を接触させ、次にこれに試料を接触させ、次にこれに酸性溶液を添加する等により当該混合液のpHを、pH5.0以下(より好ましくはpH4.0以下、特に好ましくはpH3.5以下)とする。
(E) 試料とフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を接触させ、次にこれに酸性溶液を添加する等により当該混合液のpHを、pH5.0以下(より好ましくはpH4.0以下、特に好ましくはpH3.5以下)とし、次にこの当該混合液に界面活性剤を接触させる。
(F) 試料とフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を接触させ、次にこれに界面活性剤を含む酸性溶液を添加し、当該混合液のpHを、pH5.0以下(より好ましくはpH4.0以下、特に好ましくはpH3.5以下)とする。
(3)吸光度測定
本発明の測定方法においては、試料、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物及び界面活性剤を接触させ、この試料、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物及び界面活性剤を含む混合液の吸光度の測定を行い、試料中のタンパク質の濃度を求める。
(4)測定操作例
汎用自動分析装置により本発明の試料中のタンパク質の測定方法を実施する際の操作の一例を以下に示す。
〔1〕 フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物であるエリスロシンB、及び非イオン性界面活性剤であるトライトン X−100を含有するタンパク質測定試薬の第1試薬と、クエン酸水溶液からなるタンパク質測定試薬の第2試薬とを各々、使用する汎用自動分析装置装置に適合した容器に入れる。
〔2〕 これらの試薬が入った容器の各々を、前記自動分析装置の所定の位置に置く。
〔3〕 また、タンパク質の測定を行う試料も前記自動分析装置に適合した容器に入れ、所定の位置に置く。
〔4〕 使用する測定試薬、及び測定を行おうとする試料等についての測定条件(測定パラメータ)等を前記自動分析装置に入力し、設定する。
〔5〕 そして、試料の測定を開始する。
〔6〕 一定時間後(第1段階の反応の終了後)、この反応セル(反応キュベット)内の試料と測定試薬の第1試薬との反応液(第1段階の反応系)について、予め設定した波長における吸光度値を測定する。
〔7〕 次に、この反応セル(反応キュベット)内の反応液に、前記の測定試薬の第2試薬をピペット(プローブ)又はチューブ等で分注し、混合、接触させ、第2段階の反応系を形成させて、温度一定の条件下に保ち、第2段階の反応を行わせる。
〔8〕 一定時間後(第2段階の反応の終了後)、この反応セル(反応キュベット)内の試料と測定試薬の第1試薬及び第2試薬との反応液(第2段階の反応系)について、前記〔6〕の波長における吸光度値を測定する。
〔9〕 試料に替えて純水について、前記〔5〕〜〔8〕の操作を行い、試薬ブランク(試薬盲検)の吸光度値を測定する。
〔10〕 前記〔8〕で得た吸光度値より試薬ブランク(試薬盲検)の吸光度値を差し引いたものから、前記〔6〕で得た吸光度値より試薬ブランク(試薬盲検)の吸光度値を差し引いたものを減じて、吸光度差の値を算出する。
〔11〕 前記〔10〕で算出した吸光度差の値と、測定を行うタンパク質の濃度が既知の試料(標準液)における吸光度差の値〔検量線〕とを比較することにより、試料中含まれていたタンパク質の濃度を算出して得る。
〔II〕.試料中のタンパク質の測定試薬
1.本発明の試料中のタンパク質の測定試薬
本発明の試料中のタンパク質の測定試薬は、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物及び界面活性剤を含有するものである。
2.試料
本発明における試料は、前記の「〔I〕.試料中のタンパク質の測定方法」の「2.試料」において記載した通りである。
3.タンパク質
本発明におけるタンパク質は、前記の「〔I〕.試料中のタンパク質の測定方法」の「3.タンパク質」において記載した通りである。
4.フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物
本発明におけるフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物は、前記の「〔I〕.試料中のタンパク質の測定方法」の「4.フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物」において記載した通りであるが、ここで記載した濃度が、試料に含まれていたタンパク質と、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物との接触時に当該混合液中において達成されるように、このフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を測定試薬に含有させることが好ましい。
5.界面活性剤
本発明における界面活性剤は、前記の「〔I〕.試料中のタンパク質の測定方法」の「5.界面活性剤」において記載した通りである。
この界面活性剤は、試料に含まれていたタンパク質及びフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物との接触時に、当該混合液中において当該界面活性剤の臨界ミセル濃度未満の濃度となるような濃度になるよう、この界面活性剤を測定試薬に含有させることが好ましい。
6.測定試薬の構成
(1)構成
本発明の試料中のタンパク質の測定試薬は、2試薬又は3試薬以上の構成からなることが好ましい。
(a)第1試薬: フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物
第2試薬: 界面活性剤
(b)第1試薬: フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物、界面活性剤
第2試薬: 界面活性剤
(c)第1試薬: 界面活性剤
第2試薬: フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物
(d)第1試薬: 界面活性剤
第2試薬: フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物、界面活性剤
(e)第1試薬: フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物、及び界面活性剤
第2試薬: 緩衝剤等
(f)第1試薬: フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物、及び界面活性剤
第2試薬: 界面活性剤、緩衝剤等
(2)酸性溶液
本発明の試料中のタンパク質の測定試薬は、少なくともフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を含有する溶液からなる第1試薬と、酸性溶液からなる第2試薬との組み合わせよりなり、界面活性剤が当該第1試薬及び/又は当該第2試薬に添加されているものであることが好ましい。
この酸性溶液及びpHについての詳細は、前記の「〔I〕.試料中のタンパク質の測定方法」の「6.試料中のタンパク質の測定」の「(2)pH」において記載した通りである。
なお、本発明の試料中のタンパク質の測定試薬が、少なくともフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を含有する溶液からなる第1試薬と、酸性溶液からなる第2試薬との組み合わせよりなる場合、この2つの試薬にそれぞれ含まれる成分の構成として次のものを挙げることができる。
(A)第1試薬: フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物、及び界面活性剤
第2試薬: 酸性溶液
(B)第1試薬: フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物、及び界面活性剤
第2試薬: 界面活性剤を含む酸性溶液
(C)第1試薬: フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物
第2試薬: 界面活性剤を含む酸性溶液
7.他の成分
本発明の試料中のタンパク質の測定試薬においては、必要に応じて、更に、緩衝剤、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属などのイオン又はこれを含む塩;キレート剤;アジ化ナトリウム、抗生物質若しくは合成抗菌剤などの防腐剤;糖類若しくは高分子化合物などの安定化剤;活性化剤;試料中に含まれる測定妨害物質の消去若しくは影響抑制に関わる物質;又は他の試薬成分等を適宜必要に応じて存在させることができる。
〔実施例1〕(本発明の測定方法及び測定試薬における界面活性剤の効果の確認)
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬における、界面活性剤の効果を確認した。
1.試薬
(1)第1試薬
第1試薬として、エリスロシンB(和光純薬工業社)を純水に溶解し、102μM エリスロシンB水溶液を調製した。
(2)第2試薬
第2試薬として、クエン酸(和光純薬工業社)を純水に溶解し、500mM クエン酸水溶液を調製した。
(3)第3試薬
第3試薬として、下記の試薬を各々調製した。
(a)界面活性剤不含試薬
界面活性剤を含まない界面活性剤不含試薬として、純水を用意した。
(b)トライトンX−100試薬
トライトンX−100試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、6.4mM トライトンX−100水溶液を調製した。
(c)ツイーン20試薬
ツイーン20試薬として、ツイーン20を純水に溶解し、0.4mM ツイーン20水溶液を調製した。
(d)ゼフィラミン試薬
ゼフィラミン試薬として、ゼフィラミンを純水に溶解し、4mM ゼフィラミン水溶液を調製した。
2.試料
(イ)タンパク質含有試料
タンパク質を含むタンパク質含有試料として、ヒト血清アルブミン〔HSA〕(シグマ社)を純水に溶解し、2.0mg/Lのヒト血清アルブミン水溶液を調製した。
(ロ)タンパク質不含試料
タンパク質を含まないタンパク質不含試料として、純水を用意した。
3.測定
(1) 前記2の(イ)のタンパク質含有試料の3,660μLに、前記1の(1)の第1試薬を80μL、前記1の(2)の第2試薬を160μL、及び前記1の(3)の第3試薬の(a)の界面活性剤不含試薬を100μL添加し、混合し、混合液とした。
(2) 次に、前記(1)の混合液を、分光光度計により、波長を400nmから700nmまでスキャンして吸光度を測定し、前記混合液の吸収曲線を記録した。
(3) 前記2の(イ)のタンパク質含有試料に替えて前記2の(ロ)のタンパク質不含試料を試料とする他は前記(1)及び(2)の記載の通りに操作を行い、吸収曲線を記録した。
(4) 前記1の(3)の第2試薬の(a)の界面活性剤不含試薬に替えて、前記1の(3)の第2試薬の(b)のトライトンX−100試薬を第2試薬とする他は、前記(1)、(2)及び(3)の記載の通りに操作を行い、試料としてタンパク質含有試料を用いた場合の前記吸収曲線、及び試料としてタンパク質不含試料を用いた場合の前記吸収曲線を示した図2を得た。
(5) 前記1の(3)の第2試薬の(a)の界面活性剤不含試薬に替えて、前記1の(3)の第2試薬の(c)のツイーン20試薬を第2試薬とする他は、前記(1)、(2)及び(3)の記載の通りに操作を行い、試料としてタンパク質含有試料を用いた場合の前記吸収曲線、及び試料としてタンパク質不含試料を用いた場合の前記吸収曲線を示した図3を得た。
(6) 前記1の(3)の第2試薬の(a)の界面活性剤不含試薬に替えて、前記1の(3)の第2試薬の(d)のゼフィラミン試薬を第2試薬とする他は、前記(1)、(2)及び(3)の記載の通りに操作を行い、試料としてタンパク質含有試料を用いた場合の前記吸収曲線、及び試料としてタンパク質不含試料を用いた場合の前記吸収曲線を示した図4を得た。
4.測定結果
(1) 図1及び図2より、以下のことが分かる。
(2) 図1及び図3より、以下のことが分かる。
(3) 図1及び図4より、以下のことが分かる。
〔実施例2〕(本発明の測定方法及び測定試薬における界面活性剤の濃度と効果の関係の確認)
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬における、界面活性剤であるトライトンX−100の濃度と効果の関係を確認した。
1.試薬
(1)第1試薬
第1試薬として、エリスロシンB(和光純薬工業社)を純水に溶解し、102μM エリスロシンB水溶液を調製した。
(2)第2試薬
第2試薬として、クエン酸(和光純薬工業社)を純水に溶解し、500mM クエン酸水溶液を調製した。
(3)第3試薬
第3試薬として、下記の試薬を各々調製した。
(a)界面活性剤不含試薬
界面活性剤を含まない界面活性剤不含試薬として、純水を用意した。
(b)トライトンX−100試薬
(イ)1.6mM トライトンX−100含有試薬
1.6mM トライトンX−100含有試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、1.6mM トライトンX−100水溶液を調製した。
(ロ)3.2mM トライトンX−100含有試薬
3.2mM トライトンX−100含有試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、3.2mM トライトンX−100水溶液を調製した。
(ハ)4.8mM トライトンX−100含有試薬
4.8mM トライトンX−100含有試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、4.8mM トライトンX−100水溶液を調製した。
(ニ)6.4mM トライトンX−100含有試薬
6.4mM トライトンX−100含有試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、6.4mM トライトンX−100水溶液を調製した。
(ホ)8mM トライトンX−100含有試薬
8mM トライトンX−100含有試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、8mM トライトンX−100水溶液を調製した。
(ヘ)9.6mM トライトンX−100含有試薬
9.6mM トライトンX−100含有試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、9.6mM トライトンX−100水溶液を調製した。
(ト)12.8mM トライトンX−100含有試薬
12.8mM トライトンX−100含有試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、12.8mM トライトンX−100水溶液を調製した。
(チ)16mM トライトンX−100含有試薬
16mM トライトンX−100含有試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、16mM トライトンX−100水溶液を調製した。
(リ)19.2mM トライトンX−100含有試薬
19.2mM トライトンX−100含有試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、19.2mM トライトンX−100水溶液を調製した。
(ヌ)25.6mM トライトンX−100含有試薬
25.6mM トライトンX−100含有試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、25.6mM トライトンX−100水溶液を調製した。
(ル)32mM トライトンX−100含有試薬
32mM トライトンX−100含有試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、32mM トライトンX−100水溶液を調製した。
2.試料
(イ)タンパク質含有試料
タンパク質を含むタンパク質含有試料として、ヒト血清アルブミン〔HSA〕(シグマ社)を純水に溶解し、1.5mg/Lのヒト血清アルブミン水溶液を調製した。
(ロ)タンパク質不含試料
タンパク質を含まないタンパク質不含試料として、純水を用意した。
3.測定
(1) 前記2の(イ)のタンパク質含有試料の3,660μLに、前記1の(1)の第1試薬を80μL、前記1の(2)の第2試薬を160μL、及び前記1の(3)の第3試薬の(a)の界面活性剤不含試薬を100μL添加し、混合し、混合液とした。
(2) 次に、前記(1)の混合液を、分光光度計により、波長547nmにおける吸光度を測定した。
(3) 前記2の(イ)のタンパク質含有試料に替えて前記2の(ロ)のタンパク質不含試料を試料とする他は、前記(1)及び(2)の記載の通りに操作を行い、吸光度を測定した。
(4) 次に、前記1の(3)の第3試薬の(a)の界面活性剤不含試薬に替えて、前記1の(3)の第3試薬の(b)トライトンX−100試薬の(イ)1.6mM トライトンX−100含有試薬〜(ル)32mM トライトンX−100含有試薬の計11種類の第3試薬をそれぞれ用いる他は、前記(1)、(2)及び(3)の記載の通りに操作を行い、吸光度を測定した。
(5) 前記(1)〜(4)における各第3試薬を用いた場合の、タンパク質含有試料を測定したときの吸光度、及びタンパク質不含試料を測定したときの吸光度を、図5に示した。
4.測定結果
この図5より、以下のことが分かる。
すなわち、前記混合液中における界面活性剤(トライトンX−100)の濃度が、その臨界ミセル濃度(CMC)である0.35mM以上においては、濃度が0.35mM未満のときに比べて、測定により得られる吸光度差の値(試料測定時の吸光度から試薬ブランクの吸光度を差し引いたもの)がより小さくなり、測定の感度が減少し、界面活性剤(トライトンX−100)を含有及び接触させることの効果が弱まっていることが分かる。
このことより、試料、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物及び界面活性剤(トライトンX−100)を含む混合液中での界面活性剤(トライトンX−100)の濃度は、この界面活性剤(トライトンX−100)の臨界ミセル濃度(CMC)未満の濃度であることが好ましいことが分かる。
〔実施例3〕(本発明の測定方法及び測定試薬における界面活性剤の濃度と効果の関係の確認)
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬における、界面活性剤であるゼフィラミンの濃度と効果の関係を確認した。
1.試薬
(1)第1試薬
第1試薬として、エリスロシンB(和光純薬工業社)を純水に溶解し、102μM エリスロシンB水溶液を調製した。
(2)第2試薬
第2試薬として、クエン酸(和光純薬工業社)を純水に溶解し、500mM クエン酸水溶液を調製した。
(3)第3試薬
第3試薬として、下記の試薬を各々調製した。
(a)界面活性剤不含試薬
界面活性剤を含まない界面活性剤不含試薬として、純水を用意した。
(b)ゼフィラミン試薬
(イ)4mM ゼフィラミン含有試薬
4mM ゼフィラミン含有試薬として、ゼフィラミンを純水に溶解し、4mM ゼフィラミン水溶液を調製した。
(ロ)8mM ゼフィラミン含有試薬
8mM ゼフィラミン含有試薬として、ゼフィラミンを純水に溶解し、8mM ゼフィラミン水溶液を調製した。
(ハ)15mM ゼフィラミン含有試薬
15mM ゼフィラミン含有試薬として、ゼフィラミンを純水に溶解し、15mM ゼフィラミン水溶液を調製した。
(ニ)20mM ゼフィラミン含有試薬
20mM ゼフィラミン含有試薬として、ゼフィラミンを純水に溶解し、20mM ゼフィラミン水溶液を調製した。
(ホ)30mM ゼフィラミン含有試薬
30mM ゼフィラミン含有試薬として、ゼフィラミンを純水に溶解し、30mM ゼフィラミン水溶液を調製した。
2.試料
(イ)タンパク質含有試料
タンパク質を含むタンパク質含有試料として、ヒト血清アルブミン〔HSA〕(シグマ社)を純水に溶解し、2.0mg/Lのヒト血清アルブミン水溶液を調製した。
(ロ)タンパク質不含試料
タンパク質を含まないタンパク質不含試料として、純水を用意した。
3.測定
(1) 前記2の(イ)のタンパク質含有試料の3,660μLに、前記1の(1)の第1試薬を80μL、前記1の(2)の第2試薬を160μL、及び前記1の(3)の第3試薬の(a)の界面活性剤不含試薬を100μL添加し、混合し、混合液とした。
(2) 次に、前記(1)の混合液を、分光光度計により、波長547nmにおける吸光度を測定した。
(3) 前記2の(イ)のタンパク質含有試料に替えて前記2の(ロ)のタンパク質不含試料を試料とする他は、前記(1)及び(2)の記載の通りに操作を行い、吸光度を測定した。
(4) 次に、前記1の(3)の第3試薬の(a)の界面活性剤不含試薬に替えて、前記1の(3)の第3試薬の(b)ゼフィラミン試薬の(イ)4mM ゼフィラミン含有試薬〜(ホ)30mM ゼフィラミン含有試薬の計5種類の第3試薬をそれぞれ用いる他は、前記(1)、(2)及び(3)の記載の通りに操作を行い、吸光度を測定した。
(5) 前記(1)〜(4)における各第3試薬を用いた場合の、タンパク質含有試料を測定したときの吸光度、及びタンパク質不含試料を測定したときの吸光度を、図6に示した。
4.測定結果
この図6より、以下のことが分かる。
このことより、試料、フルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物及び界面活性剤(ゼフィラミン)を含む混合液中での界面活性剤(ゼフィラミン)の濃度は、この界面活性剤(ゼフィラミン)の臨界ミセル濃度(CMC)未満の濃度であることがより好ましいことが分かる。
〔実施例4〕(本発明の測定方法及び測定試薬における効果とpHとの関係の確認)
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬における効果と、pHとの関係を確認した。
1.試薬
(1)第1試薬
第1試薬として、エリスロシンB(和光純薬工業社)を純水に溶解し、102μM エリスロシンB水溶液を調製した。
(2)第2試薬
第2試薬として、下記の試薬を各々調製した。
(a)クエン酸不含試薬
クエン酸を含まないクエン酸不含試薬として、純水を用意した。
(b)125mM クエン酸含有試薬
125mM クエン酸含有試薬として、クエン酸(和光純薬工業社)を純水に溶解し、125mM クエン酸水溶液を調製した。
(c)500mM クエン酸含有試薬
500mM クエン酸含有試薬として、クエン酸(和光純薬工業社)を純水に溶解し、500mM クエン酸水溶液を調製した。
(d)2,500mM クエン酸含有試薬
2,500mM クエン酸含有試薬として、クエン酸(和光純薬工業社)を純水に溶解し、2,500mM クエン酸水溶液を調製した。
(3)第3試薬
第3試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、6.4mM トライトンX−100水溶液を調製した。
2.試料
(イ)タンパク質含有試料
タンパク質を含むタンパク質含有試料として、ヒト血清アルブミン〔HSA〕(シグマ社)を純水に溶解し、1.5mg/Lのヒト血清アルブミン水溶液を調製した。
(ロ)タンパク質不含試料
タンパク質を含まないタンパク質不含試料として、純水を用意した。
3.測定
(1) 前記2の(イ)のタンパク質含有試料の3,660μLに、前記1の(1)の第1試薬を80μL、前記1の(2)の第2試薬の(a)クエン酸不含試薬を160μL、及び前記1の(3)の第3試薬を100μL添加し、混合し、混合液とした。
(2) 次に、前記(1)の混合液を、分光光度計により、波長547nmにおける吸光度を測定した。
(3) 前記2の(イ)のタンパク質含有試料に替えて前記2の(ロ)のタンパク質不含試料を試料とする他は、前記(1)及び(2)の記載の通りに操作を行い、吸光度を測定した。
(4) 次に、前記1の(2)の第2試薬の(a)のクエン酸不含試薬に替えて、前記1の(2)の第2試薬の(b)125mM クエン酸含有試薬〜(d)2,500mM クエン酸含有試薬の計3種類の第2試薬をそれぞれ用いる他は、前記(1)、(2)及び(3)の記載の通りに操作を行い、吸光度を測定した。
(5) なお、前記1の(2)の各第2試薬を用いたときの、試料、第1試薬、第2試薬及び第3試薬を混合した混合液のpHは、以下の通りであった。
(a)クエン酸不含試薬: pH5.3
(b)125mM クエン酸含有試薬: pH3.5
(c)500mM クエン酸含有試薬: pH2.3
(d)2,500mM クエン酸含有試薬: pH2.0
(6) 前記(1)〜(4)における各第2試薬を用いた場合の、タンパク質含有試料を測定したときの吸光度、及びタンパク質不含試料を測定したときの吸光度を、図7に示した。
4.測定結果
この図7より、以下のことが分かる。
よって、本発明においては、試料、及びフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を接触させた後、少なくともこの試料及びフルオレセイン骨格を有する陰イオン性化合物を含む混合液のpHを、pH5.0以下とすることが好ましく、pH4.0以下とすることがより好ましく、pH3.5以下とすることが特に好ましいことが分かる。
〔実施例5〕(本発明の測定方法及び測定試薬における検量線の作成)
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬における検量線を作成した。
1.試薬
(1)第1試薬
第1試薬として、エリスロシンB(和光純薬工業社)を純水に溶解し、102μM エリスロシンB水溶液を調製した。
(2)第2試薬
第2試薬として、クエン酸(和光純薬工業社)を純水に溶解し、500mM クエン酸水溶液を調製した。
(3)第3試薬
第3試薬として、トライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕を純水に溶解し、6.4mM トライトンX−100水溶液を調製した。
2.試料
(イ)0.25mg/L タンパク質含有試料
0.25mg/L タンパク質含有試料として、ヒト血清アルブミン〔HSA〕(シグマ社)を純水に溶解し、0.25mg/Lのヒト血清アルブミン水溶液を調製した。
(ロ)0.50mg/L タンパク質含有試料
0.50mg/L タンパク質含有試料として、ヒト血清アルブミン〔HSA〕(シグマ社)を純水に溶解し、0.50mg/Lのヒト血清アルブミン水溶液を調製した。
(ハ)0.75mg/L タンパク質含有試料
0.75mg/L タンパク質含有試料として、ヒト血清アルブミン〔HSA〕(シグマ社)を純水に溶解し、0.75mg/Lのヒト血清アルブミン水溶液を調製した。
(ニ)1.00mg/L タンパク質含有試料
1.00mg/L タンパク質含有試料として、ヒト血清アルブミン〔HSA〕(シグマ社)を純水に溶解し、1.00mg/Lのヒト血清アルブミン水溶液を調製した。
(ホ)1.50mg/L タンパク質含有試料
1.50mg/L タンパク質含有試料として、ヒト血清アルブミン〔HSA〕(シグマ社)を純水に溶解し、1.50mg/Lのヒト血清アルブミン水溶液を調製した。
(ヘ)2.00mg/L タンパク質含有試料
2.00mg/L タンパク質含有試料として、ヒト血清アルブミン〔HSA〕(シグマ社)を純水に溶解し、2.00mg/Lのヒト血清アルブミン水溶液を調製した。
(ト)タンパク質不含試料
タンパク質を含まないタンパク質不含試料として、純水を用意した。
3.測定
(1) 前記2の(イ)の0.25mg/L タンパク質含有試料の3,660μLに、前記1の(1)の第1試薬を80μL、前記1の(2)の第2試薬を160μL、及び前記1の(3)の第3試薬を100μL添加し、混合し、混合液とした。
(2) 次に、前記(1)の混合液を、分光光度計により、波長547nmにおける吸光度を測定した。
(3) 前記2の(イ)の0.25mg/L タンパク質含有試料に替えて前記2の(ロ)0.50mg/L タンパク質含有試料〜(ヘ)2.00mg/L タンパク質含有試料及び(ト)タンパク質不含試料をそれぞれ試料とする他は、前記(1)及び(2)の記載の通りに操作を行い、吸光度を測定した。
(4) 前記(1)〜(3)において、各試料を測定したときの吸光度と、その試料中のタンパク質であるヒト血清アルブミンの濃度との関係を示した図である検量線を図8に示した。
4.測定結果
この検量線を示した図8より、試料中のヒト血清アルブミンの濃度が0mg/Lから1.5mg/Lという極めて微量な範囲においても、良好な直線性が得られていることが分かる。
〔実施例6〕(本発明の測定方法及び測定試薬並びに他法の検出限界及び定量限界)
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬、並びに他法の検出限界及び定量限界を確かめた。
〔I〕.本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬
1.試薬
(1)第1試薬
第1試薬として、エリスロシンB(和光純薬工業社)、及びトライトンX−100(ナカライテスク社)〔分子量:625〕をそれぞれ純水に溶解し、102μM エリスロシンB及び0.373mM トライトンX−100を含む水溶液を調製した。
(2)第2試薬
第2試薬として、クエン酸(和光純薬工業社)を純水に溶解し、500mM クエン酸水溶液を調製した。
2.試料
(イ) ヒト血清アルブミン〔HSA〕(シグマ社)を純水に溶解し、これを純水で段階的に希釈して、ヒト血清アルブミン水溶液の希釈系列を用意した。
(ロ) タンパク質不含試料として、純水を用意した。
(ハ) 標準液として、濃度既知のヒト血清アルブミン水溶液を用意した。
3.測定
(1) 前記2の(イ)の各濃度のヒト血清アルブミン水溶液試料の50μLに、前記1の(1)の第1試薬を150μL、及び前記1の(2)の第2試薬を150μL添加し、混合し、混合液とした。
(2) 次に、前記(1)の混合液の波長547nmにおける吸光度を測定した。
(3) 次に、前記(ロ)のタンパク質不含試料について、前記(1)及び(2)の記載の通りに操作を行い、吸光度を測定した(試薬ブランク)。
(4) 次に、前記(ハ)の標準液について、前記(1)及び(2)の記載の通りに操作を行い、吸光度を測定した。
(5) 前記2の(イ)の各濃度のヒト血清アルブミン水溶液試料のそれぞれについて、測定により得られた吸光度から、前記(3)で得られたタンパク質不含試料における吸光度(試薬ブランク)を差し引いた。
(6) 前記(1)〜(5)の操作を計12回繰り返して行い、各ヒト血清アルブミン水溶液試料について、計12の測定値(濃度)を求めた。
〔II〕.免疫比濁法
1.試薬
免疫比濁法による尿試料中のアルブミン(微量アルブミン)の測定試薬である「マイクロアルブミン−HAテスト」(和光純薬工業)を用いた。
2.試料
前記〔I〕の2の試料を使用した。
3.測定
日立7170S形自動分析装置を使用し、当該試薬の添付文書等で指定された方法に従って、前記2の試料の測定を行い、各ヒト血清アルブミン水溶液試料の濃度を求めた。
〔II〕.PR法
1.試薬
PR法による試料中のタンパク質の測定試薬である「プロテインアッセイラピッドキット」(和光純薬工業)を用いた。
2.試料
前記〔I〕の2の試料を使用した。
3.測定
当該試薬の添付文書等で指定された方法に準じ、マイクロプレート法により、前記2の試料の測定を行い、各ヒト血清アルブミン水溶液試料の濃度を求めた。
〔III〕.SSA法
1.試薬
SSA法による試料中のタンパク質の測定試薬である「スルホサリチル酸」(和光純薬工業)を用いた。
2.試料
前記〔I〕の2の試料を使用した。
3.測定
当該試薬の添付文書等で指定された方法に準じ、マイクロプレート法により、前記2の試料の測定を行い、各ヒト血清アルブミン水溶液試料の濃度を求めた。なお、当該試薬は検量線の範囲が狭いため、前記試料を2〜10倍純水で希釈して測定した。
〔IV〕.検出限界及び定量限界
前記〔I〕の本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬、前記〔II〕の免疫比濁法、前記〔III〕のPR法、並びに前記〔IV〕のSSA法のそれぞれにおける、各ヒト血清アルブミン水溶液試料の12重測定の測定値より標準偏差を算出し、検出限界(3σ)及び定量限界(10σ)を求めた。
この表4より、本発明の試料中のタンパク質の測定試薬及び測定方法における検出限界及び定量限界は、他法のPR法及びSSA法の検出限界及び定量限界よりもはるかに優れ、免疫比濁法の検出限界及び定量限界にも勝るものであることが分かる。
Claims (12)
- 試料、エリスロシンB及び界面活性剤を接触させ、この試料、エリスロシンB及び界面活性剤を含む混合液の吸光度を測定することからなる、試料中のタンパク質の測定方法。
- 試料及びエリスロシンBを接触させた後、少なくともこの試料及びエリスロシンBを含む混合液のpHをpH5.0以下とすることを特徴とする請求項1記載の試料中のタンパク質の測定方法。
- 混合液のpHをpH5.0以下とすることを、当該混合液に酸性溶液を添加することにより行うことを特徴とする請求項2記載の試料中のタンパク質の測定方法。
- 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤及び/又は陽イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の試料中のタンパク質の測定方法。
- 界面活性剤が、混合液中で当該界面活性剤の臨界ミセル濃度未満の濃度であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の試料中のタンパク質の測定方法。
- タンパク質が、アルブミンであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の試料中のタンパク質の測定方法。
- エリスロシンB及び界面活性剤を含有する、試料中のタンパク質の測定試薬。
- 少なくともエリスロシンBを含有する溶液からなる第1試薬と、酸性溶液からなる第2試薬との組み合わせよりなり、界面活性剤が当該第1試薬及び/又は当該第2試薬に添加されていることを特徴とする請求項7記載の試料中のタンパク質の測定試薬。
- 酸性溶液からなる第2試薬が、試料及び第1試薬を混合した混合液に当該第2試薬を添加することにより、当該混合液のpHをpH5.0以下とすることができるものであることを特徴とする請求項8記載の試料中のタンパク質の測定試薬。
- 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤及び/又は陽イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の試料中のタンパク質の測定試薬。
- 界面活性剤が、混合液中において当該界面活性剤の臨界ミセル濃度未満の濃度となるような濃度に設定されていることを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の試料中のタンパク質の測定試薬。
- タンパク質が、アルブミンであることを特徴とする請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載の試料中のタンパク質の測定試薬。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006058868A JP5055507B2 (ja) | 2006-03-06 | 2006-03-06 | 試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006058868A JP5055507B2 (ja) | 2006-03-06 | 2006-03-06 | 試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007240163A JP2007240163A (ja) | 2007-09-20 |
JP5055507B2 true JP5055507B2 (ja) | 2012-10-24 |
Family
ID=38585855
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006058868A Expired - Fee Related JP5055507B2 (ja) | 2006-03-06 | 2006-03-06 | 試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5055507B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102008034098A1 (de) * | 2008-07-21 | 2010-02-04 | Lts Lohmann Therapie-Systeme Ag | Zubereitung und lontophoretische Vorrichtung für die transdermale Anwendung von Wirkstoffen |
JP6186576B2 (ja) * | 2013-01-30 | 2017-08-30 | 株式会社シノテスト | 乳試料中の測定対象物質の比色測定方法、乳試料の前処理の方法及び試薬、並びに乳試料に由来する比色測定への影響の抑制方法 |
CN111257176B (zh) * | 2019-11-15 | 2022-09-13 | 杭州娃哈哈科技有限公司 | 一种快速评估羧甲基纤维素钠在酸性乳饮料中稳定蛋白能力的方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3674529B2 (ja) * | 2000-09-08 | 2005-07-20 | 株式会社東北テクノアーチ | 吸光ラベルを用いる尿中疾患マーカータンパク質の迅速・簡易検出方法 |
US7563621B2 (en) * | 2002-03-05 | 2009-07-21 | Siemens Healhcare Diagnostics Inc | Absorbing organic reagents into diagnostic test devices by formation of amine salt complexes |
JP4391171B2 (ja) * | 2003-08-03 | 2009-12-24 | 株式会社シノテスト | タンパク質の測定方法及び測定キット |
JP4576499B2 (ja) * | 2004-01-23 | 2010-11-10 | アークレイ株式会社 | 蛋白質測定方法 |
-
2006
- 2006-03-06 JP JP2006058868A patent/JP5055507B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007240163A (ja) | 2007-09-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6681794B2 (ja) | 希釈生体試料成分の分析方法(内部標準法) | |
ES2707073T3 (es) | Enfoque de aplicación múltiple para la determinación fotométrica de un analito en una muestra de fluido en un analizador automatizado | |
JP4423463B2 (ja) | 濃度測定方法 | |
JP4576499B2 (ja) | 蛋白質測定方法 | |
US20220113322A1 (en) | Rapid measurement of total vitamin d in blood | |
GB2464222A (en) | Analysis method and device | |
CN102636653A (zh) | 复合胶乳粒子包被胱抑素c检测试剂盒 | |
EP1881328A1 (en) | Method of determining iron concentration | |
JP5865838B2 (ja) | 線維芽細胞増殖因子−23の測定方法及び測定試薬 | |
CN106290907A (zh) | 全血中血清淀粉样蛋白a定量检测试剂以及检测方法 | |
JP5055507B2 (ja) | 試料中のタンパク質の測定方法及び測定試薬 | |
US4230601A (en) | Calibrator composition based upon dialyzed blood serum | |
JP5294257B2 (ja) | ヘモグロビンの測定方法および測定用キット | |
JPH0453265B2 (ja) | ||
CN105572117A (zh) | 一种适合全自动生化分析仪的尿总蛋白检测试剂盒 | |
Durgawale et al. | A sensitive and economical modified method for estimation of cerebrospinal fluid proteins | |
JP2632989B2 (ja) | 不飽和鉄結合能の測定方法 | |
US7056747B2 (en) | Process for removing endogenous Vitamin B12 and folate from albumin preparations | |
Lehane et al. | Colorimetric quantitation of albumin in microliter volumes of serum | |
JP4733596B2 (ja) | 液体試料の総蛋白質を測定するための液状試薬 | |
CN108152177B (zh) | 一种快速检测血细胞压积的方法 | |
JP4733595B2 (ja) | 液体試料中のアルブミンを測定するための液状試薬 | |
JP3064645B2 (ja) | 検体分注確認方法 | |
Hemamalini | Effect of Hemolysis and High Glucose Concentration on Routine Chemistry Analytes and Thyroid Assay | |
JP2015163851A (ja) | 試料中の総タンパク質の定量方法および該方法に使用する試薬 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120124 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120316 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120529 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120621 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150810 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5055507 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |