JP4391171B2 - タンパク質の測定方法及び測定キット - Google Patents

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Description

本発明は、試料中に微量に含まれるタンパク質を簡便かつ高感度に測定することができる測定方法及び測定キットに関する。本発明は、分析化学、生命科学、及び医療の分野において有用であり、特に臨床検査分野において有用なものである。
血清又は血漿のタンパク質濃度は、脱水、網内系疾患又は慢性感染症等において高値となる。また、血漿タンパクの漏出、栄養不良又は肝機能障害等において低値となる。
このように血清又は血漿のタンパク質濃度は、各種疾患又は各種病態に伴って変化するので、その測定は疾患の診断及び治療において重視されている。
また、尿中のタンパク質は、腎疾患、心疾患、血液疾患、黄だん又は高熱等において出現する。
この尿中のタンパク質を測定することも、前記疾患の診断及び治療にとって重要である。
従来のタンパク質の測定方法(測定キット)としては、まず、タンパク質と結合するとその色調を変える色素を担体に含浸させた試験片を用いる方法がある。しかし、この試験片を用いる方法は、検出限界が10〜20mg/dLであり、試料中に微量に含まれるタンパク質を測定することができないものであった。また、この方法は、試料中の他の物質や非結合態色素の影響を受けて、測定誤差が生じる場合もあった。
また、タンパク質中の4個のペプチド結合がアルカリ溶液中で2価の銅イオンとキレート結合して紫色に発色する反応を利用するBiuret法は、検出限界が10mg/dLであるが、測定の操作は煩雑であり測定に時間が掛かるものであった。
そして、やはり2価の銅イオンとフェノール試薬を用いるLowry法は、検出限界が2.5mg/dLと感度は高いが、測定の操作は煩雑であり測定に時間を要するものであった。
また、ピロガロールレッド・モリブデン錯体が酸性条件下でタンパク質と結合することにより青紫色に変色する反応を利用するピロガロールレッド・モリブデン錯体発色法は、検出限界が2mg/dLと感度は高いが、やはり測定の操作は煩雑なものであり測定に時間が掛かるものであった。
また,木下らは、試料中のタンパク質をメンブランフィルタ上に濃縮し、その後フィルタをフルオレセインイソチオシアネート(FITC)で蛍光染色し、洗浄後にスポットの蛍光強度を測定する方法を報告している。しかしながら、この方法においては、タンパク質とFITCとの反応に30分も要し、また妨害物質を除去するために染色後には洗浄を必要とするという煩雑なものであった(非特許文献1参照。)。
そして、藤田らは、タンパク質と色素−金属錯体との沈殿会合体をフィルタで物理的に補集した後、水酸化ナトリウム水溶液で再溶解し、この溶液の吸光度を測定する方法を報告している。しかしながら、この方法においては、沈殿物の目詰まりのため定量性が決して良好とは言えず、またフィルタ上の着色を観察するものではなく、再溶解液を測定するものであるため、簡易迅速な分析に適さないものであった(非特許文献2参照。)。
上述した従来のタンパク質の測定方法及び測定キットは、検出限界が高く、すなわち測定の感度が低いものであり、測定の操作が煩雑であり、そして測定に時間を要するものであった。
なお、本発明者らは、先に、a)タンパク質を含有する可能性がある試料と、タンパク質とイオン会合体を形成する色素を混合し、前記イオン会合体を沈殿させずにイオン会合体溶液を形成させる工程;b)前記イオン会合体溶液を疎水性フィルタに通すことにより、前記イオン会合体溶液中に溶解した前記会合体を前記フィルタに吸着させる工程;及び、c)前記フィルタ上の前記会合体を定性・定量的に分析する工程を順次行う、試料中のタンパク質の分析方法を開発した(特許文献1参照。)。
特開平11−304803号公報 「分析化学」、第23巻、第1543頁〜第1544頁、1974年 「分析化学」、第44巻、第733頁〜第738頁、1995年
本発明の課題は、測定に当たり高価な装置や器具を必要とせず、測定の操作が簡便であり、測定に要する時間が極めて短く、かつ試料中に微量に含まれるタンパク質をも測定することができる高感度な試料中のタンパク質の測定方法及び測定キットを提供することである。
本発明は、以下の発明を包含するものである。
(1) 試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる工程;前記接触後その一定量を多孔性膜上に添加する工程;並びに前記多孔性膜上の着色域を測定する工程、を含むことを特徴とする試料中のタンパク質の測定方法。
(2) 試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる工程において、塩を共存させることを特徴とする前記(1)記載の測定方法。
(3) タンパク質と会合体を形成する色素がエリスロシンBである前記(1)又は(2)記載の測定方法。
(4) 水溶性高分子化合物がポリアルキレングリコールである前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の測定方法。
(5) タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬、並びに多孔性膜、を含むことを特徴とする試料中のタンパク質の測定キット。
(6) タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬が、更に塩を含有することを特徴とする前記(5)記載の測定キット。
(7) タンパク質と会合体を形成する色素がエリスロシンBである前記(5)又は(6)記載の測定キット。
(8) 水溶性高分子化合物がポリアルキレングリコールである前記(5)〜(7)のいずれか1つに記載の測定キット。
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定キットは、測定に当たり高価な装置や器具を必要とせず、測定の操作が簡便であり、測定に要する時間が極めて短く、かつ試料中に微量に含まれるタンパク質をも測定することができる高感度な試料中のタンパク質の測定方法及び測定キットである。
I.試料中のタンパク質の測定方法
1.試料
本発明における試料としては、タンパク質を含む可能性がある試料であれば特に限定されないが、例えば、ヒト若しくは動物に由来する試料、植物に由来する試料、微生物に由来する試料、食物、飲料、飲料水、薬剤、試薬、又は環境試料等を挙げることができる。
ヒト若しくは動物に由来する試料は、特に限定されず、例えば、ヒト或いは動物の、血液、血清、血漿、尿、大便、精液、髄液、唾液、汗、涙、腹水、若しくは羊水;脳、心臓、腎臓、若しくは肝臓などの臓器;毛髪、皮膚、爪、筋肉、若しくは神経などの組織;又は細胞等を挙げることができる。
食物は、特に限定されず、例えば、食肉、野菜、穀物、果物、卵、水産物、又は加工食品等を挙げることができる。
飲料は、特に限定されず、例えば、ジュース、牛乳、茶、コーヒー、又は酒類等を挙げることができる。
薬剤は、特に限定されず、例えば、輸液、注射液、散剤、又は錠剤等を挙げることができる。
なお、測定に用いる試料の形態は、液体である必要があるので、もし試料が液体でない場合には、抽出処理又は可溶化処理等の前処理を既知の方法に従って行い、液体試料とすればよい。
また、必要に応じて、希釈又は濃縮処理を行ってもよい。
2.タンパク質と会合体を形成する色素
本発明におけるタンパク質と会合体を形成する色素は、静電気的引力又は疎水相互作用等によってタンパク質と会合体を形成することができる色素であれば、特に限定されずに用いることができる。
このタンパク質と会合体を形成する色素としては,例えば、エリスロシンB若しくはエオシンなどのキサンテン系色素;クマシブリリアントブルー(CBB)、ブロモクロロフェノールブルー、テトラブロモフェノールブルー、ブロモフェノールブルー、若しくはブロモクレゾールパープルなどのトリフェニルメタン系色素;又はバッファローブラック、アシドオレンジ12、メチルオレンジ、オレンジG、若しくはアゾスルファチアゾールなどのアゾ色素等を挙げることができる。
このタンパク質と会合体を形成する色素としては、疎水性が高いものが好ましい。
また、このタンパク質と会合体を形成する色素としては、そのpKaが測定を行おうとするタンパク質のpI(等電点)よりも低いものが好ましい。
このタンパク質と会合体を形成する色素としては、エリスロシンB及びクマシブリリアントブルーが好ましく、エリスロシンBが特に好ましい。
このタンパク質と会合体を形成する色素の濃度は、低すぎると測定の感度が得られず試料中のタンパク質を測定することができないので、水溶性高分子化合物の存在下に試料と接触させるときの濃度で、1μM以上であることが好ましく、10μM以上であることがより好ましく、50μM以上であることが特に好ましい。
また、このタンパク質と会合体を形成する色素の濃度は、高すぎると試料中にタンパク質が存在しなくとも濃い着色域が生じてしまい、タンパク質が存在するときとの判別が難しくなるので、水溶性高分子化合物の存在下に試料と接触させるときの濃度で、1,000μM以下であることが好ましく、500μM以下であることがより好ましく、250μM以下であることが特に好ましい。
3.水溶性高分子化合物
本発明における水溶性高分子化合物は、水溶性の高分子化合物であれば、特に限定されずに用いることができる。
この水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール等を挙げることができる。
このポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールとしては、例えば、分子量200〜4,000,000のものを用いることができる。分子量1,000〜400,000のものがより好ましく、分子量2,000〜40,000のものが特に好ましい。
この水溶性高分子化合物を、タンパク質と会合体を形成する色素とともに試料と接触させることにより、多孔性膜上に生じる着色域が、試料中にタンパク質が存在する場合と存在しない場合とで差異を生じるようになり、判別が可能となる。
従って、本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定キットによる測定においては、水溶性高分子化合物は必須である。
この水溶性高分子化合物の濃度は、低すぎると試料中にタンパク質が存在する場合とタンパク質が存在しない場合とで着色域に明瞭な差異が生じないので、タンパク質と会合体を形成する色素とともに試料と接触させるときの濃度で、0.01%以上であることが好ましく、0.1%以上であることがより好ましく、0.5%以上であることが特に好ましい。
また、この水溶性高分子化合物の濃度は、高すぎると粘性が上昇する可能性があり、そうなると分注量に誤差が生じることにもなり、また試薬のろ過を行う場合に時間が掛かってしまうので、タンパク質と会合体を形成する色素とともに試料と接触させるときの濃度で、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
4.塩
本発明による試料中のタンパク質の測定においては、試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる工程において、塩を共存させることにより、測定の感度を更に高めることができるので好ましい。
この塩の濃度は、より測定の感度を上げるためには、塩及び水溶性高分子化合物の存在下において試料及びタンパク質と会合体を形成する色素を接触させるときの濃度で、10mM以上であることが好ましく、40mM以上であることがより好ましく、70mM以上であることが特に好ましい。
また、この塩の濃度は、高すぎると試料中にタンパク質が存在しなくとも濃い着色域が生じてしまい、タンパク質が存在するときとの判別が難しくなるので、塩及び水溶性高分子化合物の存在下において試料及びタンパク質と会合体を形成する色素を接触させるときの濃度で、2,000mM以下であることが好ましく、1,000mM以下であることがより好ましく、500mM以下であることが特に好ましい。
この塩としては、例えば、陽イオン及び陰イオンよりなる化合物を挙げることができる。
この陽イオンとしては、正の電荷を有するイオンであれば、特に限定されず用いることができる。
この陽イオンとしては、1価の陽イオンであってもよく、又は2価以上の多価の陽イオンであってもよい。
そして、この陽イオンとしては、例えば、金属イオン、アンモニウムイオン、又はその他の陽イオン等を挙げることができる。
この金属イオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン、又はその他の金属イオン等を挙げることができる。
アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオン等を挙げることができる。
アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、又はバリウムイオン等を挙げることができる。
遷移金属イオンとしては、例えば、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、又は銅イオン等を挙げることができる。
その他の金属イオンとしては、例えば、亜鉛イオン、又はアルミニウムイオン等を挙げることができる。
アンモニウムイオンとしては、例えば、一級のアンモニウムイオン、二級のアンモニウムイオン、三級のアンモニウムイオン、又は四級のアンモニウムイオン等を挙げることができる。
その他の陽イオンとしては、例えば、炭素原子、ケイ素原子、ホウ素原子、窒素原子(アンモニウムイオン以外の場合において)、リン原子、若しくは硫黄原子などが正の電荷を帯びている原子、又は原子団等を挙げることができる。
この具体的な例としては、炭素原子が正の電荷を帯びているコリンイオン等を挙げることができる。
なお、この陽イオンとしては、1価の陽イオンが好ましい。
そして、この1価の陽イオンとしては、アルカリ金属イオンが好ましい。特に、ナトリウムイオンが好ましい。
なお、この陽イオンとしては、1種類のものだけを用いてもよいし、又は複数種類のものを同時に用いてもよい。
また、陰イオンとしては、負の電荷を有するイオンであれば、特に限定されず用いることができる。
この陰イオンとしては、1価の陰イオンであってもよく、又は2価以上の多価の陰イオンであってもよい。
そして、この陰イオンとしては、例えば、ハロゲンイオン、有機化合物よりなる酸基、又はその他の無機化合物よりなる酸基等を挙げることができる。
ハロゲンイオンとしては、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、又はヨウ素イオン等を挙げることができる。
有機化合物よりなる酸基としては、例えば、酢酸イオン、クエン酸イオン、グルコン酸イオン、又はシュウ酸イオン等を挙げることができる。
その他の無機化合物よりなる酸基としては、例えば、硫酸イオン、亜硫酸イオン、ピロ亜硫酸イオン、亜二チオン酸イオン、チオ亜硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、次亜硝酸イオン、ペルオキソ亜硝酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、ピロ亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン、二リン酸イオン、ホウ酸イオン、炭酸イオン、シアン酸イオン、イソシアン酸イオン、又はケイ酸イオン等を挙げることができる。
なお、この陰イオンとしては、1価の陰イオンが好ましい。
そして、この1価の陰イオンとしては、ハロゲンイオンが好ましい。特に、塩素イオンが好ましい。
また、この陰イオンとしては、1種類のものだけを用いてもよいし、又は複数種類のものを同時に用いてもよい。
本発明において、試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる工程において、共存させる塩としては、アルカリ金属イオンとハロゲンイオンの塩が好ましく、特に、塩化ナトリウムが好ましい。
5.pH
本発明において、試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる際のpHとしては、タンパク質と会合体を形成する色素のpKaよりも低いpHであることが好ましい。
即ち、前記の際のpHとしては、測定を行おうとするタンパク質のpI(等電点)よりも低く、かつ前記色素のpKaよりも低いpHであることが好ましい。
前記の際のpHが、前記pKa及び前記pIよりも高いと、試料中にタンパク質が存在する場合と存在しない場合とで多孔性膜上の着色域の差異が明瞭ではなく、試料中のタンパク質を測定するのがより難しくなる。
しかし、前記の際のpHが、前記pI及び前記色素のpKaよりも低いと、試料中にタンパク質が存在する場合と存在しない場合とで多孔性膜上の着色域の差異が明瞭となり、試料中のタンパク質の測定が容易となる。
但し、余りpHが低いとタンパク質が変性、不溶化される。
ヒト血清中の主なタンパク質はアルブミン(pI:4.6)であるので、タンパク質と会合体を形成する色素としてエリスロシンB(pKa:3.2)を用いてヒト血清試料中のタンパク質を測定する際には、ヒト血清試料、エリスロシンB、及び水溶性高分子化合物を接触させる際のpHとしては、pH2.0〜4.0が好ましく、pH2.5〜3.1であることがより好ましい。
なお、本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定キットにおいて用いる試薬には、前記接触時のpHが上記のpHとなるような緩衝剤(これらのpH域に緩衝能がある緩衝剤)を含有させることが好ましい。この緩衝剤としては、既知の緩衝剤を用いることができる。
6.多孔性膜
本発明における多孔性膜は、多数の微細な孔を有する膜であって、その膜上に微量の溶液を添加したときにその溶液を吸収することができるものであれば、特に制限なく用いることができる。
この多孔性膜の材質としては、例えば、セルロースアセテート、セルロース混合エステル(ニトロセルロース及びセルロースアセテートの混合物)、ポリカーボネート、又はポリビニリデンフロライド等を挙げることができる。
この多孔性膜の孔径としては、0.1〜3μmが好ましく、0.45〜2μmがより好ましい。
例えば、この多孔性膜として、「MF−メンブランフィルター(タイプHA;セルロース混合エステル;孔径0.45μm)〔ミリポア社〕」、「メンブランフィルター(タイプJH;孔径0.45μm)〔ミリポア社〕」、又は「SELECA−V(セルロースアセテート膜)〔東洋濾紙社〕」等を挙げることができる。
特に、「MF−メンブランフィルター(タイプHA;セルロース混合エステル;孔径0.45μm)〔ミリポア社〕」が、試料中にタンパク質が存在する場合と存在しない場合とで多孔性膜上の着色域の差異が明暸であるので好ましい。
7.試料中のタンパク質の測定
本発明における試料中のタンパク質の測定について、以下説明を行う。
(1)接触工程
まず、試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる工程であるが、前記の試料、前記のタンパク質と会合体を形成する色素、及び前記の水溶性高分子化合物を接触させることができれば,どのような方法でもよい。この接触により、水溶性高分子化合物の存在下、試料中に含まれるタンパク質と、タンパク質と会合体を形成する色素とを反応させ、「タンパク質−タンパク質と会合体を形成する色素」の会合体を形成させる。このときの濃度については、前記の通りである。
なお、前記の通り、試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる工程において、塩を共存させることが好ましい。
この、試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる時間であるが、1分間以上であることが好ましく、3分間以上であることがより好ましく、5分間以上であることが特に好ましい。
試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる温度であるが、特に限定はない。但し、60℃以上であると、タンパク質が変性する可能性があるので、0〜50℃が好ましく、5〜45℃がより好ましく、15〜40℃が特に好ましい。
この、試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物の接触は、1段階で行ってもよいが、2段階以上の複数段階で行ってもよい。
例えば、1段階で行う場合は、タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬と、試料とを混合して接触させる。
また、2段階で行う場合は、例えば、タンパク質と会合体を形成する色素を含有する試薬と、試料とを混合し、その後、この混合液に水溶性高分子化合物を含有する試薬を混合して、接触させる。
あるいは、水溶性高分子化合物を含有する試薬と、試料とを混合し、その後、この混合液にタンパク質と会合体を形成する色素を含有する試薬を混合して、接触させる。
なお、試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる際に、塩を共存させる場合であるが、この塩は、タンパク質と会合体を形成する色素及び/又は水溶性高分子化合物を含有する試薬に適宜含有させればよい。
例えば、タンパク質と会合体を形成する色素、水溶性高分子化合物、及び塩を含有する試薬を調製し、これを試料と混合し、接触させてもよい。
また、タンパク質と会合体を形成する色素及び塩を含有する試薬を調製し、これを試料と混合し、その後、この混合液に水溶性高分子化合物を含有する試薬を混合して、接触させてもよい。
あるいは、水溶性高分子化合物及び塩を含有する試薬を調製し、これを試料と混合し、その後、この混合液にタンパク質と会合体を形成する色素を含有する試薬を混合して、接触させてもよい。
更に、塩を含有する試薬を調製し、これを試料と混合し、その後、この混合液にタンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬を混合して、接触させてもよい。
そして、タンパク質と会合体を形成する色素、水溶性高分子化合物及び塩を含有する試薬を調製し、これを試料と混合して、接触させてもよい。
(2)添加工程
次に、前記接触後その一定量を多孔性膜上に添加する工程であるが、これも、前記の試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物との接触の後、得られた混合液の一定量を前記の多孔性膜の上に添加するのであれば、特に限定なく行うことができる。
なお、前記の多孔性膜上に添加する一定量であるが、これは微量である程、測定に要する試料や試薬を節約できるので好ましいが、余り微量過ぎると多孔性膜上の着色域の測定が難しくなるので、1〜100μLであることが好ましく、3〜50μLであることがより好ましく、5〜20μLであることが特に好ましい。
(3)着色域測定工程
そして、前記多孔性膜上の着色域を測定する工程であるが、これも、前記の多孔性膜上への添加の後、この多孔性膜上に生じた着色域を測定するのであれば,特に限定なく行うことができる。
この多孔性膜上の着色域の測定であるが、多孔性膜上に生じる着色域は、試料中にタンパク質が存在しない場合にはその着色が薄いものである。これに対して試料中にタンパク質が存在する場合にはその着色が濃いものとなるので、この着色域の着色を測定することにより、試料中にタンパク質が存在するか否かを判別することができる。
また、前記の着色域の着色の濃さを測定することにより、試料中に含まれていたタンパク質の濃度を定量することもできる。
なお、前記の多孔性膜上に生じる着色域は、試料中にタンパク質が存在しない場合はその着色域の外縁が若干不明瞭であり、ぼやけたものとなる。
これに対して、試料中にタンパク質が存在する場合はその着色域の外縁が明暸である。更に、その外縁上にはリング状の線がはっきりと見受けられる。
従って、この着色域の外縁が明瞭であること、又は外縁上にリング状の線が見られることにより、試料中のタンパク質の存在を判定することもできる。
なお、前記の多孔性膜上の着色域の測定であるが、これは目視により行ってもよく、又は、デンシトメーター、スポットメーター、若しくはCCD装置等の装置を用いて測定を行ってもよい。
また、タンパク質を含まない試料(陰性対照試料又は試薬盲検試料)及び/又はタンパク質を含む試料(陽性対照試料)を測定して得られた多孔性膜上の着色域の着色の濃さ等と、試料を測定して得られた多孔性膜上の着色域の着色の濃さ等とを対比して、試料中のタンパク質の存在の判定を行ってもよい。
そして、試料中に含まれていたタンパク質の濃度を定量測定する場合は、タンパク質濃度が既知の試料(標準試料)を測定して得られた多孔比膜上の着色域の着色の濃さ等と、タンパク質濃度が未知の試料を測定して得られた多孔性膜上の着色域の着色の濃さ等とを対比(又は比例計算)すること等により定量値を求めることができる。
II.試料中のタンパク質の測定キット
本発明の試料中のタンパク質の測定キットは、少なくとも、タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬、並びに多孔性膜、を含むものである。
1.試薬
本発明の試料中のタンパク質の測定キットは、タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬を含む。
(1)タンパク質と会合体を形成する色素
本発明の試料中のタンパク質の測定キットにおける、タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬において、タンパク質と会合体を形成する色素は、前記「I.試料中のタンパク質の測定方法」において詳述した通りである。
このタンパク質と会合体を形成する色素を前記試薬に含有させる濃度は、低すぎると測定の感度が得られず試料中のタンパク質を測定することができないので、水溶性高分子化合物の存在下に試料と接触させるときの濃度が、1μM以上となるように試薬に含有させることが好ましく、10μM以上となるように試薬に含有させることがより好ましく、50μM以上となるように試薬に含有させることが特に好ましい。
また、このタンパク質と会合体を形成する色素を前記試薬に含有させる濃度は、高すぎると試料中にタンパク質が存在しなくとも濃い着色域が生じてしまい、タンパク質が存在するときとの判別が難しくなるので、水溶性高分子化合物の存在下に試料と接触させるときの濃度が、1,000μM以下となるように試薬に含有させることが好ましく、500μM以下となるように試薬に含有させることがより好ましく、250μM以下となるように試薬に含有させることが特に好ましい。
(2)水溶性高分子化合物
本発明の試料中のタンパク質の測定キットにおける、タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬において、水溶性高分子化合物は、前記「I.試料中のタンパク質の測定方法」において詳述した通りである。
この水溶性高分子化合物の濃度は、低すぎると試料中にタンパク質が存在する場合としない場合とで着色域に明暸な差異が生じないので、タンパク質と会合体を形成する色素とともに試料と接触させるときの濃度が、0.01%以上となるように試薬に含有させることが好ましく、0.1%以上となるように試薬に含有させることがより好ましく、0.5%以上となるように試薬に含有させることが特に好ましい。
また、この水溶性高分子化合物の濃度は、高すぎると粘性が上昇する可能性があり、そうなると分注量に誤差が生じることにもなり、また試薬のろ過を行う場合に時間が掛かってしまうので、タンパク質と会合体を形成する色素とともに試料と接触させるときの濃度が、15%以下となるように試薬に含有させることが好ましく、10%以下となるように試薬に含有させることがより好ましく、5%以下となるように試薬に含有させることが特に好ましい。
(3)塩
本発明の試料中のタンパク質の測定においては、試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる際に、塩を共存させて測定を行うことにより、測定の感度を更に高めることができるので好ましい。
このため、本発明においては、タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬に、塩を含有させることが好ましい。
または、タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬には塩を含有させずに、別に塩を含有する試薬を用意して、試料中のタンパク質の測定に用いてもよい。
あるいは、試料中のタンパク質の測定に用いる複数の試薬に、塩を含有させてもよい。
これらの試薬に含有させる塩は、前記「I.試料中のタンパク質の測定方法」において詳述した通りである。
この塩の濃度は、より測定の感度を上げるためには、塩及び水溶性高分子化合物の存在下で試料及びタンパク質と会合体を形成する色素を接触させるときの濃度が、10mM以上となるように試薬に含有させることが好ましく、40mM以上となるように試薬に含有させることがより好ましく、70mM以上となるように試薬に含有させることが特に好ましい。
また、この塩の濃度は、高すぎると試料中にタンパク質が存在しなくとも濃い着色域が生じてしまい、タンパク質が存在するときとの判別が難しくなるので、塩及び水溶性高分子化合物の存在下で試料及びタンパク質と会合体を形成する色素を接触させるときの濃度が、2,000mM以下となるように試薬に含有させることが好ましく、1,000mM以下となるように試薬に含有させることがより好ましく、500mM以下となるように試薬に含有させることが特に好ましい。
(4)pH
本発明において、タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬のpHとしては、タンパク質と会合体を形成する色素のpKaよりも低いpHであることが好ましい。
即ち、前記試薬のpHとしては、測定を行おうとするタンパク質のpI(等電点)よりも低く、かつ前記色素のpKaよりも低いpHであることが好ましい。
前記試薬のpHが、前記pKa及び前記pIよりも高いと、試料中にタンパク質が存在する場合と存在しない場合とで多孔性膜上の着色域の差異が明暸ではなく、試料中のタンパク質を測定するのがより難しくなる。
しかし、前記試薬のpHが、前記pI及び前記色素のpKaよりも低いと、試料中にタンパク質が存在する場合と存在しない場合とで多孔性膜上の着色域の差異が明暸となり、試料中のタンパク質の測定が容易となる。
但し、余りpHが低いとタンパク質が変性、不溶化される。
ヒト血清中の主なタンパク質はアルブミン(pI:4.6)であるので、タンパク質と会合体を形成する色素としてエリスロシンB(pKa:3.2)を用いてヒト血清試料中のタンパク質を測定する際には、エリスロシンB及び水溶性高分子化合物を含有する試薬のpHとしては、pH2.0〜4.0が好ましく、pH2.5〜3.1であることがより好ましい。
なお、前記試薬には、前記試薬のpHが上記のpHとなるような緩衝剤(これらのpH域に緩衝能がある緩衝剤)を含有させることが好ましい。この緩衝剤としては、既知の緩衝剤を用いることができる。
(5)その他の試薬成分
本発明における、タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬には、必要に応じて、アジ化ナトリウム、抗生物質若しくは合成抗菌剤などの防腐剤;糖類などの安定化剤;他の反応活性化剤;試料中に含まれる測定妨害物質の消去若しくは影響抑制に関わる物質;非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤若しくは両性界面活性剤などの界面活性剤;又は他の試薬成分を適宜含有させることができる。
(6)試薬の構成
本発明における、タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬は、1試薬よりなるものであってもよいし、又は2試薬以上の複数の試薬より構成されるものであってもよい。
前記試薬が、1試薬よりなる場合、タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物は同じ試薬に含有されるものである。
また、前記試薬が2試薬より構成される場合、例えば、前記試薬は、タンパク質と会合体を形成する色素を含有する試薬と、水溶性高分子化合物を含有する試薬より構成される。
なお、試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる際に、塩を共存させて測定を行う場合、試薬の構成の例として次のものを挙げることができる。
(イ)1試薬より構成
タンパク質と会合体を形成する色素、水溶性高分子化合物、及び塩を含有する試薬
(ロ)2試薬より構成
・ タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬、並びに塩を含有する試薬
・ タンパク質と会合体を形成する色素及び塩を含有する試薬、並びに水溶性高分子化合物を含有する試薬 又は
・ 水溶性高分子化合物及び塩を含有する試薬、並びにタンパク質と会合体を形成する色素を含有する試薬
(ハ)3試薬より構成
タンパク質と会合体を形成する色素を含有する試薬、水溶性高分子化合物を含有する試薬、及び塩を含有する試薬
2.多孔性膜
本発明の試料中のタンパク質の測定キットにおける多孔性膜は、前記「I.試料中のタンパク質の測定方法」において詳述した通りである。
3.他の物
本発明の試料中のタンパク質の測定キットには、必要に応じて、タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬、並びに多孔性膜以外の物を含めることができる。
この物としては、例えば、陰性対照試料(試薬盲検試料)、陽性対照試料、標準試料、対照表、希釈液、及び緩衝液等を挙げることができる。
4.試料中のタンパク質の測定
本発明の試料中のタンパク質の測定キットを用いて、試料中のタンパク質の測定を行うことについては、前記「I.試料中のタンパク質の測定方法」に記載した通りである。
以下、実施例により本発明をより具体的に詳述するが、本発明はこの実施例の記載により限定されるものではない。
〔実施例1〕(水溶性高分子化合物の効果の確認)
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定キットにおける、水溶性高分子化合物の効果を確認した。
1.試薬
(1)緩衝液
緩衝液として、100mMモノクロロ酢酸ナトリウム−塩酸緩衝液〔pH3.0(20℃)〕を調製した。
(2)塩試薬
塩試薬として、1M塩化ナトリウム水溶液を調製した。
(3)色素・高分子化合物試薬
色素・高分子化合物試薬として、下記の試薬を各々調製した。
(a)PEG0%試薬
500μMエリスロシンBを含む水溶液。(ポリエチレングリコールは含まない。)
(b)PEG1%試薬
1.0%ポリエチレングリコール(PEG)〔平均分子量10,000〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(c)PEG3%試薬
3.0%ポリエチレングリコール(PEG)〔平均分子量10,000〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(d)PEG5%試薬
5.0%ポリエチレングリコール(PEG)〔平均分子量10,000〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(e)PEG10%試薬
10%ポリエチレングリコール(PEG)〔平均分子量10,000〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(f)PEG15%試薬
15%ポリエチレングリコール(PEG)〔平均分子量10,000〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
2.多孔性膜
多孔性膜として、セルロースアセテート膜(商品名「SELECA−V」〔東洋濾紙社〕)を用いた。
3.試料
(イ)タンパク質含有試料
タンパク質含有試料として、10mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製した。
(ロ)タンパク質不含試料
タンパク質を含まないタンパク質不含試料として、純水を用意した。
4.測定
(1) 前記3の(イ)のタンパク質含有試料の85μLに、前記1の(1)の緩衝液10μLを添加し、混合した。
(2) 次に、前記(1)の混合液に、前記1の(2)の塩試薬5μLを添加し、混合した。
(3) その次に、前記(2)の混合液に、前記1の(3)の色素・高分子化合物試薬50μLを添加し、混合した。
なお、色素・高分子化合物試薬は、(a)PEG0%試薬〜(f)PEG15%試薬の6種類の色素・高分子化合物試薬を、各々別々に用いた。
(4) その後、10分間室温にて放置した。
(5) 次に、前記混合液の5μLを、前記2の多孔性膜の上に添加した。(この添加した混合液が、この多孔性膜に吸収される様子の模式図を、図1に示した。)
(6) 前記添加後、多孔性膜上の着色域の測定を行った。
なお、多孔性膜上の着色域の着色が濃い場合には試料中にタンパク質が存在すると判定し、前記着色域の着色が薄い場合には試料中にタンパク質が存在しないと判定した。
また、試料を前記3の(イ)のタンパク質含有試料から(ロ)のタンパク質不含試料に変えて、前記(1)〜(6)の操作に従い測定を行った。
なお、試料,タンパク質と会合体を形成する色素(エリスロシンB)、及び水溶性高分子化合物(平均分子量10,000のポリエチレングリコール)を接触させる際の前記ポリエチレングリコールの濃度は、各々下記の通りとなる。
(a)PEG0%試薬を用いたとき: 0%
(b)PEG1%試薬を用いたとき: 0.333%
(c)PEG3%試薬を用いたとき: 1.0%
(d)PEG5%試薬を用いたとき: 1.67%
(e)PEG10%試薬を用いたとき: 3.33%
(f)PEG15%試薬を用いたとき: 5.0%
5.測定結果
前記測定の結果を、図2に示した。
この図より、以下のことが分かる。
タンパク質(ヒト血清アルブミン)を10mg/dL含む試料においては、いずれの場合でも、多孔性膜上の着色域の着色は濃く、試料中にタンパク質が存在すると判定することができる。
また、タンパク質(ヒト血清アルブミン)を含まない試料においては、試料及びタンパク質と会合体を形成する色素(エリスロシンB)の接触時に、水溶性高分子化合物〔ポリエチレングリコール(平均分子量10,000)〕が存在しない場合には、多孔性膜上の着色域の着色は濃いものであり、試料中にタンパク質が存在するときの着色域と差異が見られない。
しかしながら、前記接触時に、水溶性高分子化合物〔ポリエチレングリコール(平均分子量10,000)〕が存在する場合は、多孔性膜上の着色域の着色は薄いものであり、試料中にタンパク質が存在しないと正しく判定することができる。
すなわち、試料及びタンパク質と会合体を形成する色素の接触時に、水溶性高分子化合物が存在することにより、試料中のタンパク質の有無を正確に測定することができることが確かめられた。
〔実施例2〕(塩の効果の確認)
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定キットにおける、塩の効果を確認した。
1.試薬
(1)緩衝液
緩衝液として、100mMモノクロロ酢酸ナトリウム−塩酸緩衝液〔pH3.0(20℃)〕を調製した。
(2)塩試薬
(a)塩不含試薬
純水を、塩不含試薬として用意した。
(b)塩含有試薬
1M塩化ナトリウムを含む水溶液を調製し、塩含有試薬とした。
(3)色素・高分子化合物試薬
色素・高分子化合物試薬として、1.0%ポリエチレングリコール(PEG)〔平均分子量10,000〕及び500μMエリスロシンBを含む水溶液を調製した。
2.多孔性膜
多孔性膜として、セルロースアセテート膜(商品名「SELECA−V」〔東洋濾紙社〕)を用いた。
3.試料
(イ)タンパク質不含試料
純水を、タンパク質を含まないタンパク質不含試料(タンパク質濃度:0mg/dL)とした。
(ロ)0.03mg/dL試料
0.03mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、0.03mg/dL試料とした。
(ハ)0.1mg/dL試料
0.1mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、0.1mg/dL試料とした。
(ニ)0.3mg/dL試料
0.3mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、0.3mg/dL試料とした。
(ホ)0.7mg/dL試料
0.7mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、0.7mg/dL試料とした。
(ヘ)1mg/dL試料
1.0mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、1mg/dL試料とした。
(ト)2mg/dL試料
2.0mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、2mg/dL試料とした。
4.測定
(1) 前記3の試料の85μLに、前記1の(1)の緩衝液10μLを添加し、混合した。
なお、試料は、(イ)タンパク質不含試料、(ロ)0.03mg/dL試料、(ハ)0.1mg/dL試料、(ヘ)1mg/dL試料、及び(ト)2mg/dL試料を各々別々に用いた。
(2) 次に、前記(1)の混合液に、前記1の(2)の(a)の塩不含試薬5μLを添加し、混合した。
(3) その次に、前記(2)の混合液に、前記1の(3)の色素・高分子化合物試薬50μLを添加し、混合した。
(4) その後、10分間室温にて放置した。
(5) 次に、前記混合液の5μLを、前記2の多孔性膜の上に添加した。
(6) 前記添加後、多孔性膜上の着色域の測定を行った。
なお、多孔性膜上の着色域の着色が濃い場合には試料中にタンパク質が存在すると判定し、前記着色域の着色が薄い場合には試料中にタンパク質が存在しないと判定した。
また、塩試薬を前記1の(2)の(a)塩不含試薬から(b)塩含有試薬に変え、かつ試料を前記3の(イ)タンパク質不含試料、(ロ)0.03mg/dL試料、(ハ)0.1mg/dL試料、(ニ)0.3mg/dL試料、及び(ホ)0.7mg/dL試料を各々別々に用いて、前記(1)〜(6)の操作に従い測定を行った。
なお、試料、タンパク質と会合体を形成する色素(エリスロシンB)、及び水溶性高分子化合物(平均分子量10,000のポリエチレングリコール)を接触させる際の前記の塩(塩化ナトリウム)の濃度は、各々下記の通りとなる。
(a)塩不含試薬を用いたとき: 0mM
(b)塩含有試薬を用いたとき: 33mM
5.測定結果
前記測定の結果を、図3に示した。
この図より、以下のことが分かる。
塩不含試薬を用いたときには、最低1mg/dLのヒト血清アルブミンを含む試料まで、試料中にタンパク質が存在すると判定することができる。すなわち、検出限界は、1mg/dLである。
しかしながら、塩含有試薬を用いたときには、最低0.1mg/dLのヒト血清アルブミンを含む試料まで、試料中にタンパク質が存在すると判定することができる。すなわち、検出限界は、0.1mg/dLである。
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定キットにおいては、試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる際に、塩が存在しなくとも検出限界が1mg/dLと非常に高感度であるが、塩を共存させることにより測定の感度を更に10倍高めることができることが確かめられた。
〔実施例3〕(尿試料の測定)
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定キットにより、尿試料中のタンパク質の測定を行った。
1.試薬
(1)緩衝液
緩衝液として、100mMモノクロロ酢酸ナトリウム−塩酸緩衝液〔pH3.0(20℃)〕を調製した。
(2)塩試薬
1M塩化ナトリウムを含む水溶液を調製し、塩試薬とした。
(3)色素・高分子化合物試薬
色素・高分子化合物試薬として、1.0%ポリエチレングリコール(PEG)〔平均分子量10,000〕及び500μMエリスロシンBを含む水溶液を調製した。
2.多孔性膜
多孔性膜として、セルロースアセテート膜(商品名「SELECA−V」〔東洋濾紙社〕)を用いた。
3.試料
(イ)タンパク質不含尿希釈試料
ヒトの尿を純水で30倍希釈したものを、タンパク質を含まないタンパク質不含尿希釈試料(タンパク質濃度:0mg/dL)とした。
(ロ)0.03mg/dL尿希釈試料
前記(イ)のタンパク質不含尿希釈試料にヒト血清アルブミン(HSA)を添加し、0.03mg/dLのヒト血清アルブミンを含む尿希釈試料を調製して、0.03mg/dL尿希釈試料とした。
(ハ)0.1mg/dL尿希釈試料
前記(イ)のタンパク質不含尿希釈試料にヒト血清アルブミン(HSA)を添加し、0.1mg/dLのヒト血清アルブミンを含む尿希釈試料を調製して、0.1mg/dL尿希釈試料とした。
(ニ)0.3mg/dL尿希釈試料
前記(イ)のタンパク質不含尿希釈試料にヒト血清アルブミン(HSA)を添加し、0.3mg/dLのヒト血清アルブミンを含む尿希釈試料を調製して、0.3mg/dL尿希釈試料とした。
(ホ)0.7mg/dL尿希釈試料
前記(イ)のタンパク質不含尿希釈試料にヒト血清アルブミン(HSA)を添加し、0.7mg/dLのヒト血清アルブミンを含む尿希釈試料を調製して、0.7mg/dL尿希釈試料とした。
4.測定
(1) 前記3の各試料の85μLに、それぞれ前記1の(1)の緩衝液10μLを添加し、混合した。
(2) 次に、前記(1)の混合液に、前記1の(2)の塩試薬5μLを添加し、混合した。
(3) その次に、前記(2)の混合液に、前記1の(3)の色素・高分子化合物試薬50μLを添加し、混合した。
(4) その後、10分間室温にて放置した。
(5) 次に、前記混合液の5μLを、前記2の多孔性膜の上に添加した。
(6) 前記添加後、多孔性膜上の着色域の測定を行った。
なお、多孔性膜上の着色域の着色が濃い場合には試料中にタンパク質が存在すると判定し、前記着色域の着色が薄い場合には試料中にタンパク質が存在しないと判定した。
5.測定結果
前記測定の結果を、図4に示した。
この図より、以下のことが分かる。
ヒト尿の希釈試料中のタンパク質を測定したときにも、最低0.1mg/dLのヒト血清アルブミンを含む試料まで、試料中にタンパク質が存在すると判定することができる。すなわち、検出限界は、0.1mg/dLである。
このことより、様々な成分を含む尿希釈試料の測定においても、これらの成分による影響を受けることなく、正確かつ高感度に試料中のタンパク質の測定が行えることが確かめられた。
〔実施例4〕(多孔性膜を変えての測定)
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定キットにおいて、セルロースアセテート膜よりなる多孔性膜、及びセルロース混合エステルよりなる多孔性膜を用いて測定を行った。
1.試薬
(1)緩衝液
緩衝液として、100mMモノクロロ酢酸ナトリウム−塩酸緩衝液〔pH3.0(20℃)〕を調製した。
(2)塩試薬
塩試薬として、200mM塩化ナトリウム水溶液を調製した。
(3)色素・高分子化合物試薬
色素・高分子化合物試薬として、2.0%ポリエチレングリコール(PEG)〔平均分子量10,000〕及び500μMエリスロシンBを含む水溶液を調製した。
2.多孔性膜
(a)セルロースアセテート膜よりなる多孔性膜(商品名「SELECA−V」〔東洋濾紙社〕)
(b)セルロース混合エステルよりなる多孔性膜(商品名「MF−メンブランフィルター(タイプHA;孔径0.45μm)」〔ミリポア社〕)
3.試料
(イ)タンパク質不含試料
純水を、タンパク質を含まないタンパク質不含試料(タンパク質濃度:0mg/dL)とした。
(ロ)0.05mg/dL試料
0.05mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、0.05mg/dL試料とした。
(ハ)0.1mg/dL試料
0.1mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、0.1mg/dL試料とした。
(ニ)0.2mg/dL試料
0.2mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、0.2mg/dL試料とした。
(ホ)0.5mg/dL試料
0.5mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、0.5mg/dL試料とした。
(ヘ)1mg/dL試料
1.0mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、1mg/dL試料とした。
(ト)2mg/dL試料
2.0mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、2mg/dL試料とした。
4.測定
(1) 前記3の各試料の65μLに、それぞれ前記1の(1)の緩衝液10μLを添加し、混合した。
(2) 次に、前記(1)の混合液に、前記1の(2)の塩試薬25μLを添加し、混合した。
(3) その次に、前記(2)の混合液に、前記1の(3)の色素・高分子化合物試薬25μLを添加し、混合した。
(4) その後、10分間室温にて放置した。
(5) 次に、前記混合液の5μLを、前記2の「(a)セルロースアセテート膜よりなる多孔性膜」の上に添加した。
(6) 前記添加の2分後に、多孔性膜上の着色域の測定を行った。
なお、多孔性膜上の着色域の外縁が明暸でありその外縁上にリング状の線が見られる場合には試料中にタンパク質が存在すると判定し、前記着色域の外縁が不明瞭でありぼやけたものである場合には試料中にタンパク質が存在しないと判定した。
また、多孔性膜を前記2の「(b)セルロース混合エステルよりなる多孔性膜」に変えて、前記(1)〜(6)の操作に従い測定を行った。
5.測定結果
前記測定の結果を、図5に示した。
多孔性膜が「(a)セルロースアセテート膜よりなる多孔性膜」の場合は、最低0.1mg/dLのヒト血清アルブミンを含む試料まで、着色域の外縁が明瞭でありその外縁上にリング状の線が見られるので、試料中にタンパク質が存在すると判定することができる。すなわち、検出限界は、0.1mg/dLであった。
また、多孔性膜が「(b)セルロース混合エステルよりなる多孔性膜」の場合においても、最低0.1mg/dLのヒト血清アルブミンを含む試料まで、着色域の外縁が明瞭でありその外縁上にリング状の線が見られるので、試料中にタンパク質が存在すると判定することができる。すなわち、検出限界は、0.1mg/dLであった。
これらのことより、本発明においては、多孔性膜上の着色域の外縁の明暸さによっても試料中のタンパク質の存在の有無を判定できること、及び多孔性膜がセルロースアセテート膜よりなる多孔性膜であっても、又はセルロース混合エステルよりなる多孔性膜であっても、試料中のタンパク質を正確かつ高感度に測定できることが確かめられた。
〔実施例5〕(種々の水溶性高分子化合物の検討)
本発明の試料中のタンパク質の測定方法及び測定キットにおいて、種々の水溶性高分子化合物を用いて測定を行った。
1.試薬
(1)緩衝液
緩衝液として、100mMモノクロロ酢酸ナトリウ厶−塩酸緩衝液〔pH3.0(20℃)〕を調製した。
(2)塩試薬
塩試薬として、200mM塩化ナトリウム水溶液を調製した。
(3)色素・高分子化合物試薬
色素・高分子化合物試薬として、下記の試薬を各々調製した。
(a)PEG4000試薬
2.0%ポリエチレングリコール(PEG)〔平均分子量4,000〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(b)PEG8000試薬
2.0%ポリエチレングリコール(PEG)〔平均分子量8,000〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(c)PEG10000試薬
2.0%ポリエチレングリコール(PEG)〔平均分子量10,000〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(d)PEG20000試薬
2.0%ポリエチレングリコール(PEG)〔平均分子量20,000〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(e)α−CD試薬
2.0%α−サイクロデキストリン(α−CD)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(f)β−CD試薬
2.0%β−サイクロデキストリン(β−CD)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(g)γ−CD試薬
2.0%γ−サイクロデキストリン(γ−CD)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(h)HP−α−CD試薬
2.0%ヒドロキシプロピル−α−サイクロデキストリン(HP−α−CD)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(i)HP−β−CD試薬
2.0%ヒドロキシプロピル−β−サイクロデキストリン(HP−β−CD)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(j)HP−γ−CD試薬
2.0%ヒドロキシプロピル−γ−サイクロデキストリン(HP−γ−CD)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(k)HB−α−CD試薬
2.0%ヒドロキシブチル−α−サイクロデキストリン(HB−α−CD)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(l)CA−β−CD試薬
2.0%カチオニック−β−サイクロデキストリン(CA−β−CD)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(m)MA−β−CD試薬
2.0%マルトシル−β−サイクロデキストリン(MA−β−CD)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(n)デキストラン10試薬
2.0%デキストラン〔平均分子量10〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(o)デキストラン500試薬
2.0%デキストラン〔平均分子量500〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(p)デキストラン71500試薬
2.0%デキストラン〔平均分子量71,500〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(q)デキストラン150000試薬
2.0%デキストラン〔平均分子量100,000〜200,000〕、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(r)BL−9EX試薬
2.0%BL−9EX(非イオン性界面活性剤)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(s)BL−25試薬
2.0%BL−25(非イオン性界面活性剤)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(t)NP−15試薬
2.0%NP−15(非イオン性界面活性剤)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(u)TritonX−100試薬
2.0%TritonX−100(非イオン性界面活性剤)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(v)PONPE−20試薬
2.0%PONPE−20(非イオン性界面活性剤)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
(w)KF−6011試薬
2.0%KF−6011(変性シリコンオイル)、及び500μMエリスロシンBを含む水溶液。
2.多孔性膜
セルロース混合エステルよりなる多孔性膜(商品名「MF−メンブランフィルター(タイプHA;孔径0.45μm)」〔ミリポア社〕)
3.試料
(イ)タンパク質不含試料
純水を、タンパク質を含まないタンパク質不含試料(タンパク質濃度:0mg/dL)とした。
(ロ)0.05mg/dL試料
0.05mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、0.05mg/dL試料とした。
(ハ)0.1mg/dL試料
0.1mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、0.1mg/dL試料とした。
(ニ)0.2mg/dL試料
0.2mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、0.2mg/dL試料とした。
(ホ)0.5mg/dL試料
0.5mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、0.5mg/dL試料とした。
(ヘ)1mg/dL試料
1.0mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、1mg/dL試料とした。
(ト)2mg/dL試料
2.0mg/dLのヒト血清アルブミン(HSA)を含む水溶液を調製し、2mg/dL試料とした。
4.測定
(1) 前記3の各試料の65μLに、それぞれ前記1の(1)の緩衝液10μLを添加し、混合した。
(2) 次に、前記(1)の混合液に、前記1の(2)の塩試薬25μLを添加し、混合した。
(3) その次に、前記(2)の混合液に、前記1の(3)の色素・高分子化合物試薬25μLを添加し、混合した。
なお、この色素・高分子化合物試薬は、(a)PEG4000試薬〜(w)KF−6011試薬の計23種類の試薬を各々別々に用いた。
(4) その後、10分間室温にて放置した。
(5) 次に、前記混合液の5μLを、前記2の多孔性膜の上に添加した。
(6) 前記添加の2分後に、多孔性膜上の着色域の測定を行った。
なお、多孔性膜上の着色域の外縁が明暸でありその外縁上にリング状の線が見られる場合には試料中にタンパク質が存在すると判定し、前記着色域の外縁が不明瞭でありぼやけたものである場合には試料中にタンパク質が存在しないと判定した。
5.測定結果
色素・高分子化合物試薬が、(a)PEG4000試薬、(b)PEG8000試薬、(c)PEG10000試薬、及び(d)PEG20000試薬の場合には、最低0.1mg/dLのヒト血清アルブミンを含む試料まで、着色域の外縁が明瞭でありその外縁上にリング状の線が見られ、試料中にタンパク質が存在すると判定することができた。すなわち、検出限界は、0.1mg/dLであった。
しかしながら、色素・高分子化合物試薬が他の試薬の場合においては、試料中にタンパク質が存在する場合と存在しない場合とで、多孔性膜上の着色域の差異は大きくはなく、水溶性高分子化合物としてポリエチレングリコールを用いたときに比べると顕著ではなかった。
すなわち、本発明における水溶性高分子化合物としては、ポリエチレングリコールが好ましいことが確かめられた。
本発明の試料中のタンパク質の測定において、多孔性膜上に添加した混合液が多孔性膜に吸収される様子を示した模式図である。 本発明の試料中のタンパク質の測定における、水溶性高分子化合物の効果を示した図である。 本発明の試料中のタンパク質の測定における、塩を共存させることの効果を示した図である。 本発明の試料中のタンパク質の測定における、尿試料中のタンパク質の測定結果を示した図である。 本発明の試料中のタンパク質の測定における、セルロースアセテート膜よりなる多孔性膜、又はセルロース混合エステルよりなる多孔性膜を用いたときの測定結果を示した図である。

Claims (8)

  1. 試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる工程;前記接触後その一定量を多孔性膜上に添加する工程;並びに前記多孔性膜上の着色域を測定する工程、を含むことを特徴とする試料中のタンパク質の測定方法。
  2. 試料、タンパク質と会合体を形成する色素、及び水溶性高分子化合物を接触させる工程において、塩を共存させることを特徴とする請求項1記載の測定方法。
  3. タンパク質と会合体を形成する色素がエリスロシンBである請求項1又は請求項2記載の測定方法。
  4. 水溶性高分子化合物がポリアルキレングリコールである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の測定方法。
  5. タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬、並びに多孔性膜、を含むことを特徴とする試料中のタンパク質の測定キット。
  6. タンパク質と会合体を形成する色素及び水溶性高分子化合物を含有する試薬が、更に塩を含有することを特徴とする請求項5記載の測定キット。
  7. タンパク質と会合体を形成する色素がエリスロシンBである請求項5又は請求項6記載の測定キット。
  8. 水溶性高分子化合物がポリアルキレングリコールである請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の測定キット。
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