JP2016073217A - ヘモグロビンの影響を回避した試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定試薬及び測定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、特に、化学、生命科学、分析化学及び臨床検査等の分野において有用なものである。
この試料中のALP活性の測定方法としては、p−ニトロフェニルリン酸等を基質とする比色測定法が一般的である。
また、本発明の課題は、ヘモグロビンの影響を回避する方法を提供することである。
(1) アルカリ性ホスファターゼの基質、アルカリ性緩衝液を含む試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定試薬において、キレート剤及び亜鉛イオンを含有することを特徴とする、試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定試薬。
(2) アルカリ性緩衝液が2−エチルアミノエタノールである、前記(1)記載の試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定試薬。
(3) キレート剤及び亜鉛イオンを、ヘモグロビンの影響回避剤として含有させる、前記(1)又は(2)に記載のアルカリ性ホスファターゼ活性測定試薬。
(4) アルカリ性ホスファターゼの基質、アルカリ性緩衝液を含む試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定試薬と試料を混合し、キレート剤及び亜鉛イオンの存在下で酵素反応を行わせ、400〜500nmの波長域の吸光度を測定する、試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定方法。
(5) キレート剤及び亜鉛イオンを、ヘモグロビンの影響回避剤として含有させる、前記(4)記載の試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定方法。
(6) 400〜500nmの波長域の吸光度を測定する、試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定方法において、キレート剤及び亜鉛イオンの存在下で測定を行うことにより、ヘモグロビンの影響を回避する方法。
本発明において、ALPの基質としては、グリセロリン酸、4−ニトロフェニルリン酸、フェニルリン酸等のリン酸エステルを使用することができる。
本発明におけるアルカリ性緩衝液としては、ALPの至適pH域である、pH7〜14、特にpH10付近に緩衝能を有する、従来公知のアルカリ性緩衝液を使用することができる。
本発明においては、ALP活性測定試薬にキレート剤を含有させる。この測定試薬に含有させるキレート剤とは、金属イオンに配位する多座配位子であって、金属イオンへの配位により金属を含んだ環状構造(キレート環)を形成する有機化合物をいう。例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ジアミノプロパノール四酢酸(DPTA−OH)、ジエチレン(トリアミン)五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン二プロピオン酸(EDDP)、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸(EDDPO)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)(EDTPO)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ビス(ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン二酢酸(HBED)、ヘキサメチレンジアミン四酢酸(HDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、イミノ二酢酸(IDA)、ジアミノプロパン四酢酸(Methyl−EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ニトリロ三プロピオン酸(NTP)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTPO)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)等及びその塩が挙げられる。
また、混合後の測定試薬中のキレート剤の濃度が上記濃度範囲に入るのであれば、キレート剤は第1試薬と第2試薬の両方に含有させてもよい。
なお、測定試薬が3試薬以上の試薬から構成される場合も同様である。
本発明においては、ALP活性測定試薬に亜鉛イオンを含有させる。この測定試薬に含有させる亜鉛イオンとしては、亜鉛イオンであればどのようなものでもよい。例えば、亜鉛イオンを含む化合物を用いることができる。
具体的には、亜鉛イオンと酸基よりなる化合物、亜鉛イオンの水酸化物、亜鉛イオンの塩等を挙げることができる。
より具体的には、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、又は塩化亜鉛等の亜鉛塩等を挙げることができる。
また、混合後の測定試薬中の亜鉛イオンの濃度が上記濃度範囲に入るのであれば、亜鉛イオンは第1試薬と第2試薬の両方に含有させてもよい。
なお、測定試薬が3試薬以上の試薬から構成される場合も同様である。
従って、本発明のALP活性測定試薬において、キレート剤及び亜鉛イオンは少なくとも第1試薬または第2試薬のうちいずれかに含有させればよく、第1試薬と第2試薬の両方に含有させることもできる。なお、溶血作用により生成したヘモグロビンの影響を抑制するためには、キレート剤及び亜鉛イオンが第1試薬に含有されていることが好ましい。なお、前述したとおりキレート剤及び亜鉛イオンは、少なくとも試料と試薬成分との酵素反応が行われる測定反応時に存在させる必要があるので、第1試薬にキレート剤を含有させ、第2試薬に亜鉛イオンを含有させることもできるし、第1試薬に亜鉛イオンを、第2試薬にキレート剤を含有させることもできる。
すなわち、本発明は、測定試料や測定試薬の原料中に不純物として含まれていた亜鉛イオンが測定反応時に混入することによる、ALP活性測定値への負誤差についても、これを抑制することができるものである。
この場合、例えば特定のアイソザイムを阻害する抗体等の阻害剤を試料中のALPに作用させ、ALP活性を測定することにより行うことができる。
本発明において、ALP活性測定時のpHは特に限定されないが、ALP活性測定時の反応が進む至適pH域である、pH7〜14近辺にすることが好ましい。
本発明において、試料とは、試料中のALP活性の測定を行おうとするもののことであり、このようなものであれば特に限定されない。
このような試料としては、例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血漿、尿、大便、精液、髄液、唾液、汗、涙、腹水、羊水、脳等の臓器、毛髪や皮膚や爪や筋肉若しくは神経等の組織及び細胞等の抽出液等が挙げられる。
本発明の試料中のALP活性測定試薬は、キレート剤及び亜鉛イオンを含有させることを特徴とするものである。これにより、溶血作用により生成したヘモグロビンの影響を回避し、試料中のALP活性を正確に測定することができる。
なお、本発明のALP活性測定試薬においては、キレート剤及び亜鉛イオンを含有させること以外は、従来より公知の試料中のALP活性を測定する試薬に従えばよい。
前記した測定試薬以外のその他の試薬としては、例えば、緩衝液、試料希釈液、試薬希釈液、検量(キャリブレーション)を行うための物質を含有する試薬、又は精度管理を行うための物質を含有する試薬等を挙げることができる。
本発明の試料中のALP活性測定方法においては、キレート剤及び亜鉛イオンを含有するALP活性測定試薬と試料を混合し、キレート剤及び亜鉛イオンの存在下でALPの酵素反応を行わせ、400〜500nmの波長域の吸光度を測定すること以外は、従来より公知のALP活性測定方法に従えばよい。
また、本発明の試料中のALP活性測定方法は、1ステップ法(1試薬系)からなるものでもよく、複数ステップ法(複数試薬系)からなるものであってもよい。
このような測定方法において、それ自体公知の方法によって、用手法又は自動分析装置による方法によりALP活性を測定することができる。
この場合、本発明によれば、試料中のヘモグロビンの分解により生じる誤差を抑制することができる。
本発明における、ヘモグロビンの影響を回避する方法は、試料中のALP活性の測定方法において、キレート剤及び亜鉛イオンの存在下で測定を行うことによるものである。
この試料中のALP活性の測定方法において、キレート剤及び亜鉛イオンの存在下で測定を行うことにより、溶血作用によって試料中にヘモグロビンが混在している場合であっても、このヘモグロビンによる測定値への誤差が生じることを回避でき、精度が高いALP活性の測定値を得ることができる。
また、本発明における溶血作用により生成したヘモグロビンの影響を回避する方法を実施する際の試薬の構成成分や試料や条件等は、前記した通りである。
(ヘモグロビンの影響回避効果の確認)
第1試薬及び第2試薬より構成される、日本臨床化学会(JSCC)勧告法に準拠するALP活性測定試薬を調製し、この第1試薬にキレート剤及び亜鉛イオンを含有させた場合のヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、2N塩酸でpHを10.1(20℃)に調整して、硫酸亜鉛濃度の異なる11種類の本発明・ALP第1試薬を調製した。
塩化マグネシウム(6水塩) 0.505mM
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA) 1.0mM
硫酸亜鉛(7水塩) 0mM、0.13mM、0.25mM、0.38mM、0.51mM、0.63mM、0.76mM、0.89mM、1.01mM、1.14mM又は1.27mM
0mM、0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM又は1.0mM
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、2N塩酸でpHを10.1(20℃)に調整して、硫酸亜鉛濃度の異なる5種類の対照・ALP第1試薬を調製した。
塩化マグネシウム(6水塩) 0.505mM
硫酸亜鉛(7水塩) 0mM、0.13mM、0.25mM、0.38mM、又は0.51mM
0mM、0.1mM、0.2mM、0.3mM、又は0.4mM
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、2N塩酸でpHを10.2(20℃)に調整して、ALP第2試薬を調製した。
4−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩 75.75mM
塩化マグネシウム(6水塩) 0.505mM
ヒト血清試料の9容と、ヘモグロビンを含まない水溶液、干渉チェックAプラスHb〔シスメックス社製〕又はヒト赤血球を溶血させて調製したヘモグロビン濃度が、5000mg/dLの水溶液の1容をそれぞれ混合して、ヘモグロビン濃度が各々0、100、200、300、400、又は500mg/dLである血清試料を調製した。
ヒト血清試料中のアルカリホスファターゼ活性の測定は日立製作所社製7180形自動分析装置にて行い、ヒト血清試料2.5μLに第1試薬として本発明・ALP第1試薬を160μL加え37℃で5分間反応させた後、第2試薬としてALP第2試薬を40μL添加し混合液(最終反応液)とし、37℃で反応を行わせ、第2試薬添加1分10秒目(21ポイント)から5分目(34ポイント)の主波長405nm及び副波長505nmにおける吸光度の増加速度よりアルカリホスファターゼ活性値の算出を行った。
また、第1試薬を前記1の(2)で調製した対照・ALP第1試薬に変えて同様に測定を行った。
測定の結果を表1に示す。
なお、表1において、かっこ内の数値は、各試薬における、ヘモグロビン濃度0mg/dLの血清試料のALP活性測定値を100%とした時のヘモグロビン濃度100mg/dL、200mg/dL、300mg/dL、400mg/dL、又は500mg/dLの血清試料のALP活性測定値を相対比率(%)で表したものである。また、硫酸亜鉛濃度は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度(mM)を示す。
表1から明らかなように、第1試薬にEDTA(キレート剤)を含有させていない対照・ALP第1試薬を用いた場合は、ALPの活性測定値に負誤差が生じており、試薬中の硫酸亜鉛濃度が高くなるにつれて、ALPの活性測定値が急激に下降していることが分かる。更に、ALPの活性測定値は、試料中のヘモグロビン濃度が高くなるにつれて下降しており、負誤差の程度が更に大きくなっていることが分かる。
すなわち、ALP活性測定試薬に亜鉛イオンのみを存在させた場合には、溶血した試料において、ヘモグロビンによるALPの活性測定値への負誤差が生じることを回避することはできず、正確な測定結果(測定値)を得ることができないものであることが分かる。
よって、本発明のALP活性測定試薬及び測定方法は、溶血した試料においても、誤差を生じずに正確なALP活性値を得ることができることが確かめられた。
(本発明によるヘモグロビンの影響回避効果の確認)
第1試薬及び第2試薬より構成される、日本臨床化学会(JSCC)勧告法に準拠するアルカリホスファターゼ(ALP)活性測定試薬を調製し、この第1試薬にキレート剤及び亜鉛イオンを含有させた場合のヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、2N塩酸でpHを10.1(20℃)に調整して、硫酸亜鉛濃度の異なる9種類のALP第1試薬を調製した。
塩化マグネシウム(6水塩) 0.505mM
N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA) 1.0mM
硫酸亜鉛(7水塩) 0mM、0.13mM、0.25mM、0.38mM、0.51mM、0.63mM、0.76mM、0.89mM又は1.01mM
前記実施例1の1の(3)で調製したALP第2試薬を、第2試薬として用いた。
前記実施例1の2で調製した6種類の試料を、試料として用いた。
前記2の各試料について、前記1で調製した9種類のALP第1試薬、及びALP第2試薬にて前記実施例1の3と同様にして測定を行い、ヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。
0mM、0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM又は0.8mM
測定の結果を表2に示す。
なお、表2において、かっこ内の数値は、9種類の各試薬における、ヘモグロビン濃度0mg/dLの血清試料のALP活性測定値を100%とした時のヘモグロビン濃度100mg/dL、200mg/dL、300mg/dL、400mg/dL、又は500mg/dLの血清試料のALP活性測定値を相対比率(%)で表したものである。また、硫酸亜鉛濃度は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度(mM)を示す。
表2から明らかなように、試薬に硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させていない場合は、試料中のヘモグロビンの影響を受けて、ALPの活性測定値に負誤差が生じていることが分かる。更に、試料中のヘモグロビン濃度が高くなるにつれて、ALPの活性測定値が下降しており、負誤差の程度が大きくなっていることが分かる。
これに対して、第1試薬にHEDTA(キレート剤)及び硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させた場合は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度がいずれの場合も、ALPの活性測定値の負誤差が減少し改善されていることが分かる。すなわち、ヘモグロビンの影響によって生じる誤差を抑制できることが分かる。
よって、本発明のALP活性測定試薬及び測定方法は、溶血した試料においても、誤差を生じずに正確なALP活性値を得ることができることが確かめられた。
(本発明によるヘモグロビンの影響回避効果の確認)
第1試薬及び第2試薬より構成される、日本臨床化学会(JSCC)勧告法に準拠するアルカリホスファターゼ(ALP)活性測定試薬を調製し、この第1試薬に亜鉛イオンを含有させた場合のヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、2N塩酸でpHを10.1(20℃)に調整して、硫酸亜鉛濃度の異なる15種類のALP第1試薬を調製した。
塩化マグネシウム(6水塩) 1.140mM
N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA) 2.0mM
硫酸亜鉛(7水塩) 0mM、0.63mM、0.76mM、0.89mM、1.01mM、1.14mM、1.27mM、1.39mM、1.52mM、1.65mM、1.78mM、1.91mM、2.03mM又は2.16mM
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、2N塩酸でpHを10.2(20℃)に調整して、ALP第2試薬を調製した。
4−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩 75.75mM
塩化マグネシウム(6水塩) 0.505mM
前記実施例1の2で調製した6種類の試料を、試料として用いた。
前記2の各試料について、前記1で調製した14種類のALP第1試薬、及びALP第2試薬にて前記実施例1の3と同様にして測定を行い、ヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。
0mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM又は1.7mM
測定の結果を表3に示す。
なお、表3において、かっこ内の数値は、14種類の各試薬における、ヘモグロビン濃度0mg/dLの血清試料のALP活性測定値を100%とした時のヘモグロビン濃度100mg/dL、200mg/dL、300mg/dL、400mg/dL、又は500mg/dLの血清試料のALP活性測定値を相対比率(%)で表したものである。また、硫酸亜鉛濃度は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度(mM)を示す。
表3から明らかなように、試薬に硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させていない場合は、試料中のヘモグロビンの影響を受けて、ALPの活性測定値に負誤差が生じていることが分かる。更に、試料中のヘモグロビン濃度が高くなるにつれて、ALPの活性測定値が下降しており、負誤差の程度が大きくなっていることが分かる。
これに対して、第1試薬にHEDTA(キレート剤)及び硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させた場合は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度がいずれの場合も、この測定値の負誤差が減少し改善されていることが分かる。すなわち、ヘモグロビンの影響によって生じる誤差を抑制できることが分かる。
よって、本発明のALP活性測定試薬及び測定方法は、溶血した試料においても、誤差を生じずに正確なALP活性値を得ることができることが確かめられた。
(本発明によるヘモグロビンの影響回避効果の確認)
第1試薬及び第2試薬より構成される、日本臨床化学会(JSCC)勧告法に準拠するアルカリホスファターゼ(ALP)活性測定試薬を調製し、この第1試薬に亜鉛イオンを含有させた場合のヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、2N塩酸でpHを10.1(20℃)に調整して、硫酸亜鉛濃度の異なる22種類のALP第1試薬を調製した。
塩化マグネシウム(6水塩) 1.772mM
N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸 (HEDTA) 3.0mM
硫酸亜鉛(7水塩) 0mM、0.63mM、0.76mM、0.89mM、1.01mM、1.14mM、1.27mM、1.39mM、1.52mM、1.65mM、1.78mM、1.91mM、2.03mM、2.16mM、2.29mM、2.41mM、2.54mM、2.67mM、2.79mM、2.92mM、3.05mM又は3.18mM
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、2N塩酸でpHを10.2(20℃)に調整して、ALP第2試薬を調製した。
4−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩 75.75mM
塩化マグネシウム(6水塩) 0.505mM
前記実施例1の2で調製した6種類の試料を、試料として用いた。
前記2の各試料について、前記1で調製した22種類のALP第1試薬及びALP第2試薬にて前記実施例1の3と同様にして測定を行い、ヘモグロビンによる影響回避効果を確認した。
0mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.1mM、2.2mM、2.3mM、2.4mM又は2.5mM
測定の結果を表4に示す。
なお、表4において、かっこ内の数値は、22種類の各試薬における、ヘモグロビン濃度0mg/dLの血清試料のALP活性測定値を100%とした時のヘモグロビン濃度100mg/dL、200mg/dL、300mg/dL、400mg/dL、又は500mg/dLの血清試料のALP活性測定値を相対比率(%)で表したものである。また、硫酸亜鉛濃度は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度(mM)を示す。
表4から明らかなように、試薬に硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させていない場合は、試料中のヘモグロビンの影響を受けて、ALPの活性測定値に負誤差が生じていることが分かる。
これに対して、第1試薬にHEDTA(キレート剤)及び硫酸亜鉛(亜鉛イオン)を含有させた場合は、混合後の測定試薬中の硫酸亜鉛濃度がいずれの場合も、この測定値の負誤差が減少し改善されていることが分かる。すなわち、ヘモグロビンの影響によって生じる誤差を抑制できることが分かる。
よって、本発明のALP活性測定試薬及び測定方法は、溶血した試料においても、誤差を生じずに正確なALP活性値を得ることができることが確かめられた。
Claims (6)
- アルカリ性ホスファターゼの基質、アルカリ性緩衝液を含む試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定試薬において、キレート剤及び亜鉛イオンを含有することを特徴とする、試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定試薬。
- アルカリ性緩衝液が2−エチルアミノエタノールである、請求項1記載の試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定試薬。
- キレート剤及び亜鉛イオンを、ヘモグロビンの影響回避剤として含有させる、請求項1又は2に記載のアルカリ性ホスファターゼ活性測定試薬。
- アルカリ性ホスファターゼの基質、アルカリ性緩衝液を含む試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定試薬と試料を混合し、キレート剤及び亜鉛イオンの存在下で酵素反応を行わせ、400〜500nmの波長域の吸光度を測定する、試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定方法。
- キレート剤及び亜鉛イオンを、ヘモグロビンの影響回避剤として含有させる、請求項4記載の試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定方法。
- 400〜500nmの波長域の吸光度を測定する、試料中のアルカリ性ホスファターゼ活性測定方法において、キレート剤及び亜鉛イオンの存在下で測定を行うことにより、ヘモグロビンの影響を回避する方法。
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