JP2014145047A - 被覆蛍光体粒子及びその製造方法、それを用いたled素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐湿性有し、高効率で発光する被覆膜を備えた被覆蛍光体粒子を提供する。
【解決手段】蛍光体粒子の表面に被覆膜を備えた被覆蛍光体粒子であって、蛍光体粒子は、シリコン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウムの1種以上を含む酸化物または窒化物であり、蛍光体粒子の表面に10〜200nmの膜厚を有する第1の被覆膜が形成され、第1の被覆膜は、アルミニウム、ジルコニウム、シリコンのうち、少なくとも2種類以上を構成元素として含む非晶質の酸化物であり、第1の被覆膜上に50〜300nmの膜厚を有する第2の被覆膜が形成され、第2の被覆膜はシリコンを必須の構成元素とし、さらにアルミニウムおよび/またはジルコニウムを他の構成元素として含む非晶質の酸化物であり、蛍光体粒子と第1の被覆膜と第2の被覆膜の屈折率が所定の関係を満たす被覆蛍光体粒子である。
【選択図】なし

Description

本発明は、透光性シリコーン樹脂中に分散させてLED素子として使用される被覆膜を備えた蛍光体粒子に関するものであり、更に詳しくは、蛍光体粒子の表面に第1の被覆膜と第2の被覆膜を備え、それぞれ屈折率が特定の範囲の被覆膜を形成することで蛍光体粒子を透光性シリコーン樹脂中に分散させてLED素子として使用したときに、経時劣化しにくい優れた耐湿性を有し、かつ高効率に発光する被覆膜を備えた被覆蛍光体粒子に関する。
白色LED用の蛍光体材料としてよく知られている蛍光体として、例えば、組成式SrSiO:Eu、(Sr、Ba)SiO:Eu、(Sr、Ba)SiO:Eu、YAG系と呼ばれるYAl12:Ce、(Ba,Sr,Ca)Si:Euなどで表される黄色発光の蛍光体がある。更に高演色型白色LED用蛍光体として、(Ba、Sr)SiO:Eu、CaScSi12:Ce、(Ca,Sr,Ba)Al:Eu、SrSi13Al21:Eu等は緑色に発光し、CaAlSiN:Eu、(Ca、Sr)AlSiN:Eu、(Ca、Sr)Si:Eu等の赤色に発色する蛍光体がある。
これらの黄色、緑色、赤色に発光する粒子状の蛍光体は、透光性シリコーン樹脂中に分散させてLED素子として使用される。またこれらの蛍光体粒子は、空気中の水蒸気又は水によって蛍光体内部の構成元素である発光イオン成分の酸化による劣化、またはアルカリ土類金属成分が溶出し、その表面には水和物又は炭酸塩が生成することにより劣化することが知られている。特にアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体は、大気中での長時間の使用や、励起光による温度上昇によって、容易に蛍光輝度の低下及び色調の変化が起きるという問題がある。
このような蛍光体粒子の耐湿性改善策として、特許文献1には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、テトラエトキシシラン(TEOS)、シリカ、ケイ酸亜鉛、シリコーンオイル、ケイ酸アルミニウム、カルシウムポリフォスフェート、シリコーンオイル、シリングリース等を被覆材として、蛍光体粒子表面に被覆膜を設ける方法が開示されている。この方法によれば、被覆膜を設けた蛍光体は初期発光強度の低下がなく、且つ耐湿性が改善されるとしている。しかしながら、この方法は簡便な方法ではあるが、微細な蛍光体粒子の全面を均一に被覆すること、あるいは被覆膜の厚さを制御することは容易でないという問題がある。
また、特許文献2の方法によれば、蛍光体による光の散乱を抑えるとともに、発光素子基板から樹脂へ光が出る際の全反射を抑制することにより、光取り出し効率を向上することを目的とし、屈折率n1の蛍光体と、屈折率n2の微粒子が添加された屈折率n3の樹脂を有する封止樹脂部とを備え、上記屈折率n1〜n3は、n2>n1>n3とする方法が開示されている。
通常、高屈折率の微粒子を樹脂中に加えると、発光した光が微粒子で散乱され、光の強度の低下により、結果として光の取り出し効率が低下するという問題が生じやすい。散乱を抑制する方法としては、微粒子の粒径を50nm以下にすることで散乱はほとんど生じなくなるが、微粒子の高屈折率効果が薄れ、光取り出し効率は大きく改善されない。
さらに前記特許文献2では、添加する酸化物微粒子としてTiOが用いられているが、このような微粒子を添加する方法では、耐湿性及び耐水性の高い酸化物の微粒子を用いて蛍光体粒子表面に堆積させても、耐湿性及び耐水性の劣る蛍光体粒子を保護することは難しい。特に最近用いられているシリコーン樹脂を透光性樹脂とした場合、樹脂自体のガス透過性が高いために蛍光体をシリコーン樹脂で練り込んでも蛍光体粒子の耐湿性は何ら改善されない。このため、蛍光体粒子の耐湿性及び耐水性を改善するには樹脂の特性に頼ることなく、形成する被覆膜が粒子表面に密着していること、その被覆膜自体に欠陥が無いことが重要となる。
一方、特許文献3では光取りだし効率を上げるために、発光素子表面、またはその周囲全面を蛍光体粒子と共に屈折率を調整した酸化物でコーティングした層を形成する方法が採られている。この方法では、屈折率の高い窒化物基板からなる発光素子と蛍光体、その外周に位置する封止樹脂との屈折率差をなくすため、窒化物基板より小さい屈折率から成る酸化物粒子、または水酸化物粒子で蛍光体粒子周囲を覆い、光取り出し効率の改善を図っている。しかし、特許文献2と同様に微粒子の影響により発光強度が低下するばかりでなく、微粒子が蛍光体周囲を覆っているだけのため、耐湿性向上には効果が薄い。
以上のように、蛍光体粒子を透光性シリコーン樹脂中に練りこんでLED素子として使用したときに、経時劣化しにくい優れた耐湿性を有し、同時に高効率に発光する被覆膜を備えた蛍光体粒子が望まれていた。
特開2005−187797号公報 特開2010−098335号公報 WO2003/034598号国際公開公報パンフレット
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、高い耐湿性を有する、高効率で蛍光体から発光する被覆膜を備えた蛍光体粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために、高い耐湿性有する被覆膜を備え、かつ高効率で発光する被覆膜を備えた蛍光体粒子について鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得て、本発明を完成するに至った。
本発明の第一は、蛍光体粒子の表面に被覆膜を備えた被覆蛍光体粒子であって、
前記蛍光体粒子が、シリコン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウムのうち少なくとも1種類以上を含む酸化物または窒化物であり、
前記蛍光体粒子の表面に10〜200nmの膜厚を有する第1の被覆膜が形成され、第1の被覆膜は、アルミニウム、ジルコニウム、シリコンのうち、少なくとも2種類以上を構成元素として含む非晶質の酸化物であり、
前記第1の被覆膜上に50〜300nmの膜厚を有する第2の被覆膜が形成され、第2の被覆膜は、シリコンを必須の構成元素とし、さらにアルミニウムおよび/またはジルコニウムを他の構成元素として含む非晶質の酸化物であり、
蛍光体粒子の屈折率をn,第1の被覆膜の屈折率をn,第2の被覆膜の屈折率をnとしたときに、以下の関係を満たすことを特徴とする被覆蛍光体粒子。
1.3<n<n<2.1、
0≦│n−n│≦0.3、
0≦│n−n│≦0.3
本発明においては、前記蛍光体粒子がシリケート蛍光体または窒化ケイ素系蛍光体の場合は、前記第1の被覆膜はシリコンを必須元素とし、アルミニウムまたはジルコニウムの少なくとも一種以上の元素を含む非晶質の酸化物であり、
前記蛍光体粒子がYAG系または窒化アルミケイ素系蛍光体の場合は、前記第1の被覆膜はアルミニウムを必須元素とし、シリコンまたはジルコニウムの少なくとも一種以上の元素を含む非晶質の酸化物であることが好ましい。
また、本発明においては、前記蛍光体は、SrSiO:Eu、(Sr、Ba)SiO:Eu、(Sr、Ba)SiO:Eu、YAl12:Ce、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu、(Ba、Sr)SiO:Eu、CaScSi12:Ce、(Ca,Sr,Ba)Al:Eu、SrSi13Al21:Eu、CaAlSiN:Eu、(Ca、Sr)AlSiN:Eu、(Ca、Sr)Si:Euのいずれかであることが好ましい。
本発明の第2は、請求項1から3のいずれかに記載の被覆蛍光体粒子を透光性シリコーン樹脂中に分散させたLED素子であって、蛍光体の屈折率をn,第1の被覆膜の屈折率をn,第2の被覆膜の屈折率をn,透光性シリコーン樹脂の屈折率をnとし、これらの屈折率は、以下の関係を満たすことを特徴とするLED素子である。
≦n≦n≦n
0≦n−n≦0.3、
0≦n−n≦0.3、
0≦n−n≦0.3、
1.3≦n≦2.1、
1.3≦n≦2.1、
1.3≦n≦2.1、
1.3≦n≦1.6
本発明の第3は、下記の第1〜5工程を含むことを特徴とする、構成元素として、シリコン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウムのうち少なくとも1種類以上が含まれる酸化物または窒化物の蛍光体粒子の表面に被覆膜を備える被覆蛍光体粒子の製造方法である。
「第1工程」
アルミニウム有機金属化合物および/またはジルコニウム有機化合物を有機溶媒中に加えた後、アルミニウム有機金属化合物、ジルコニウム有機化合物、またはテトラエトキシシランのうち、1種類以上を有機触媒として加え、更に加水分解用の水を添加して混合することにより、一部加水分解した第1の被覆膜形成用の被覆材Aを得る。
「第2工程」
有機溶媒中に前記蛍光体粒子と第1工程で調製した被覆材Aを添加して撹拌混合し、その後真空濾過により固液分離して乾燥することにより、第1の被覆膜を形成した第1被覆蛍光体粒子を得る。
「第3工程」
有機溶媒中にシラン有機金属化合物と、アルミニウム有機金属化合物および/またはジルコニウム有機金属化合物と、加水分解用の水を添加し、撹拌混合してシラン有機金属化合物の加水分解縮合物を得て、さらに濃縮して第2の被覆膜形成用の被覆材Bを得る。
「第4工程」
有機溶媒中に第2工程で得た第1被覆蛍光体粒子を添加し、分散させた後、第3工程で得た被覆材Bを混合して分散させ、この混合液を真空濾過により固液分離することにより、第1および第2の被覆膜を備えた第2被覆蛍光体粒子を得る。
「第5工程」
第4工程で得られた第2被覆蛍光体粒子を、大気雰囲気下に200〜350℃の温度で加熱処理し、非晶質の酸化物からなる第1および第2の被覆膜を備えた被覆蛍光体粒子を得る。
本発明によれば、蛍光体粒子の表面に2層からなる被覆膜を形成することで、非常に高い耐湿性及び耐水性を有する蛍光体粒子を効率的に製造するだけでなく、蛍光体粒子、被覆膜、透光性樹脂の屈折率を段階的に調整することで、蛍光体粒子と被覆膜との界面、被覆膜と透光性樹脂との界面での屈折率差を最小化することで、高効率で発光することができ、LED素子用の蛍光体として極めて有効である。
本発明の実施形態について説明する。本発明の被覆蛍光体粒子は、粒子状の蛍光体本体の表面に第1の被覆膜と第2の被覆膜を備え、それぞれ屈折率が特定の範囲の被覆膜で構成されているという特徴をもち、この被覆蛍光体粒子を透光性シリコーン樹脂中に分散させてLED素子として使用したときに、経時劣化しにくい優れた耐湿性を有し、かつ高効率に発光するという効果を奏する。
本発明の被覆蛍光体粒子は、芯材の蛍光体粒子の構成元素が、シリコン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウムのうち少なくとも1種類以上が含まれた酸化物または窒化物であり、この粒子表面に10〜200nmの膜厚を有する第1の被覆層が形成され、第1の被覆膜はアルミニウム、ジルコニウム、シリコンのうち、少なくとも2種類以上を構成元素として含んだ非晶質の酸化物からなる。さらにその上に50〜300nmの膜厚を有する第2の被覆膜が形成され、第2の被覆膜は、シリコンを主成分とし、アルミニウム、またはジルコニウムを含んだ非晶質の酸化物である。
また、芯材の酸化物または窒化物の蛍光体粒子に含まれる構成元素のうち、少なくとも1種類以上の元素と同じ元素を含んだ酸化物からなる第1および第2の被覆膜であり、芯材の蛍光体粒子の表面に蛍光体粒子との高い密着性を持たせるための第1の被覆膜が形成され、この屈折率は、芯材の蛍光体との屈折率差が0から0.3以内である。一方、第2の被覆膜は、より低い屈折率を有する透光性シリコーン樹脂に対する屈折率差が0から0.3以内であって、かつ第1の被覆膜の屈折率との差も0から0.3以内であるように配置される。
(芯材の蛍光体粒子)
本発明において芯材として用いる蛍光体粒子としては、例えば、組成式SrSiO:Eu、(Sr、Ba)SiO:Eu、(Sr、Ba)SiO:Eu、YAl12:Ceから選ばれる黄色発光蛍光体粒子、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu、(Ba、Sr)SiO:Eu、CaScSi12:Ce、(Ca,Sr,Ba)Al:Eu、SrSi13Al21:Euから選ばれる緑色発光蛍光体粒子、CaAlSiN:Eu、(Ca、Sr)AlSiN:Eu、(Ca、Sr)Si:Euから選ばれる赤色発光蛍光体粒子などの酸化物、または窒化物の蛍光体粒子を用いることができ、且つ平均粒径がD50で1〜30μmのものを使用することができる。
(積層被覆膜)
次に、上記蛍光体粒子の表面に耐湿性を向上させるために形成する積層被覆膜について説明する。本発明の蛍光体粒子は、その表面に膜厚10〜200nmの第1の被覆膜と膜厚50〜300nmの第2の被覆膜からなる積層被覆膜を備え、各構成部である芯材の蛍光体粒子、積層被覆膜(第1の被覆膜および第2の被覆膜)、シリコーン樹脂において、それぞれの屈折率が以下に示す特定の範囲、関係を満たす積層被覆膜とすることで、この蛍光体粒子を透光性シリコーン樹脂中に分散させてLED素子として使用したときに、経時劣化しにくい優れた耐湿性を有し、かつ高効率な発光が得られる。
具体的には、芯材の蛍光体粒子の屈折率をn,第1の被覆膜の屈折率をn,第2の被覆膜の屈折率をn,透光性シリコーン樹脂の屈折率をnとし、これらの屈折率は、以下の関係を満たす。
1.3<n<n<2.1、
0≦│n−n│≦0.3、
0≦│n−n│≦0.3
また、以下の関係を満たすことが好ましい。
≦n≦n≦n
0≦n−n≦0.3、
0≦n−n≦0.3、
0≦n−n≦0.3、
1.3≦n≦2.1、
1.3≦n≦2.1、
1.3≦n≦2.1、
1.3≦n≦1.6
(各構成部の屈折率)
蛍光体粒子を透光性シリコーン樹脂中に練りこんでLED素子として使用する際に、高効率で発光させるためには、蛍光体、被覆膜、透光性シリコーン樹脂間の屈折率差をできる限り小さくすることが重要である。
ここで蛍光体の屈折率は、一般にシリケート蛍光体系でn=1.6〜1.9、窒化物蛍光体系でn=1.9〜2.1である。また、シリコーン樹脂の屈折率は、nr=1.3〜1.6である。また、被覆膜の材料の屈折率は、SiOでn=1.3〜1.4、Alでn=1.6〜1.7、ZrOでn=1.8〜2.1である。
従来法における膜構成で屈折率差をみると、例えばシリケート蛍光体(Ba,Sr)SiO(粒子径20μm:n=1.8)/被覆膜SiO(膜厚80nm:n=1.3)/シリコーン樹脂(n=1.5)であり、発光効率のロスとなる各界面での反射の原因である各層の屈折率差は、特に蛍光体粒子・被覆膜間の差が大きく、ここでのロスは無視できないレベルといえた。
また、これらの発光効率のロスを最小限に抑えるために、被覆膜の屈折率を蛍光体の屈折率のあわせるために高屈折率化させ、蛍光体・被覆膜間の屈折率差を小さくするとともに、蛍光体粒子中に含まれる構成元素と同じ元素を被覆膜中にも含ませることが発光効率のロス低減に効果的であるということを見出した。
例えば、(Ba,Sr)SiOのシリケート系蛍光体や(Ca、Sr)Si:Euの窒化ケイ素系蛍光体の場合は、被覆膜形成材料にシラン有機化合物を含ませることや、YAl12:CeのYAG系や(Ca、Sr)AlSiN:Euの窒化アルミケイ素系蛍光体であれば被覆膜形成材料にアルミニウム有機化合物を含ませることにより達成できる。これは、蛍光体の構成成分と同じ元素を、第1の被覆膜の構成成分として少量でも含ませることで、蛍光体粒子表面と被覆膜との密着性(濡れ性)が高まること、蛍光体粒子表面と第1の被覆膜との界面での屈折率差がより小さくすることができると考えられる。
従って、第1の被覆膜は、芯材がシリケート蛍光体や窒化ケイ素系蛍光体の場合はシリコンを必須元素とし、アルミニウムまたはジルコニウムの少なくとも一種以上の元素を含む非晶質の無機酸化物からなる被覆膜であり、芯材がYAG系や窒化アルミケイ素系蛍光体の場合は、アルミニウムを必須元素とし、シリコンまたはジルコニウムの少なくとも一種以上の元素を含む非晶質の無機酸化物からなる被覆膜である。シリコン、アルミニウム、ジルコニウムの含有量に関係については、シリコンが主成分の場合は、シリコン100重量部に対して、アルミニウム、ジルコニウムは5〜40重量部含有する。アルミニウムが主成分の場合は、アルミニウム100重量部に対して、シリコン、ジルコニウムは5〜40重量部含有する。
第2の被覆膜は、シリコンを主成分とし、アルミニウム、またはジルコニウムを含んだ非晶質の無機酸化物からなり、膜厚50〜300nmの緻密な被覆膜である。膜厚が10〜200nmの第1の被覆膜の上に積層して配置され、第1の被覆膜と同様に緻密で、密着性の高い積層膜が形成され、優れた耐湿性を有する。アルミニウムまたはジルコニウムの含有量は、シリコン100重量部に対して2〜30重量部とする。
(透光性シリコーン樹脂)
本発明の被覆蛍光体粒子はLED素子に使用する際に、透光性樹脂に分散させて使用される。この樹脂としては、シリコーン樹脂が主に使用される。本発明で使用する透光性シリコーン樹脂の屈折率はn=1.3〜1.6であり、具体的にはメチルシリコーン樹脂とフェニルシリコーン樹脂があげられる。メチルシリコーン樹脂の屈折率は1.41で、硬化後の硬度は低硬度である。またフェニルシリコーン樹脂の屈折率は1.54で、硬化後の硬度は高硬度であり、ハンドリング性により使い分けることができる。
(製造方法)
次に、本発明の被覆蛍光体粒子の製造方法について、詳細に説明する。本発明の被覆蛍光体粒子の製造方法は、下記の第1から第5の工程を含むことを特徴としている。
第1の被覆膜の形成に用いる被覆材を調整する第1工程、蛍光体粒子の表面に、上記第1工程で得た被覆材により蛍光体粒子表面に第1の被覆膜を形成して第1被覆蛍光体粒子を得る第2工程、第2の被覆膜の形成に用いる被覆材を調整する第3工程、第2工程で得た第1被覆蛍光体粒子の表面に、上記第3工程で得た被覆材により第2の被覆膜を形成して第2被覆蛍光体粒子を得る第4工程、第4工程で得た第1及び第2の被覆膜を形成した第2被覆蛍光体粒子を大気中で熱処理して本発明の被覆蛍光体粒子を得る第5工程、である。以下順に説明する。
「第1工程」
第1工程は第1の被覆膜の形成に用いる被覆材Aを調整する工程である。即ち、所望の屈折率を得るためにアルミニウム有機金属化合物、またはジルコニウム有機化合物を有機溶媒中に加えた後、アルミニウム有機金属化合物、ジルコニウム有機化合物、またはテトラエトキシシランのうち、1種類以上を有機触媒として加え、更に加水分解用の水を添加して混合することにより、一部加水分解した第1の被覆膜形成用の被覆材Aを得る。
アルミニウム有機金属化合物、またはジルコニウム有機化合物は粒子表面にある吸着水や、薬剤中に不純物として混入している水分とも反応して加水分解するが、より積極的に加水分解させるために水を添加する。これにより有機金属化合物の官能基の一部が加水分解され、加水分解された官能基は水酸基に変わる。水酸基の増加により、蛍光体粒子の表面に吸着する割合が増加するため、膜形成が均一に且つ密着性よく行われる。尚、主成分となるアルミニウム有機金属化合物、またはジルコニウム有機化合物100モルに対して5モルから40モルのまたはアルミニウム有機金属化合物、ジルコニウム有機化合物、またはテトラエトキシシラン(TEOS)を混合することより、膜の均一性及び密着性の向上による耐湿性、耐水性の改善、並びに屈折率を調整することが可能となる。
加える水の量は、有機金属化合物が一部加水分解する量であればよく、好ましくは有機金属化合物100モルに対して1モル〜20モルの水を添加する。多量の水を添加すると、液中に水分が残存して蛍光体粒子の劣化が進むため好ましくない。また、加水分解に用いる水(以下、次工程以降でも同様である)は、導電率が4μS/cm以下のイオン交換水が好ましい。
アルミニウム有機金属化合物、またはジルコニウム有機金属化合物の加水分解は、水分の混入を防ぐために密封した容器内で気密状態の下に行うことが望ましい。また、好ましい反応条件としては、温度を0〜40℃に制御しながら、2〜10時間撹拌混合する。ただし、加水分解が進みすぎると、縮合による粘度上昇やゲル化が生じるため、密着性は逆に低下する。
加水分解用に使用する有機溶媒としては、一般式:ROH(ここで、Rは炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表す)で表されるアルコールが好ましく、その中でも特にエタノール又はイソプロピルアルコールが好ましい。有機溶媒の添加量は、有機金属化合物に対して重量比で1:1程度とすることが好ましい。
上記アルミニウム有機金属化合物、ジルコニウム有機金属化合物としては、上記した有機溶媒のアルコールに対して相溶性があり、蛍光体粒子表面への吸着力が高いものが望ましい。具体的には、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、オクチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロプレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルキル基を含有するアルミニウムキレート化合物が好ましい。その中でも、エタノール及びイソプロピルアルコールとの相溶性が高いエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートがより好ましい。
ジルコニウム有機金属化合物は、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムアセチルアセテートやジルコニウムアセト酢酸エチルまたはその部分加水分解生成物および水を溶解するものが使用でき、上記した有機溶媒のアルコールに対して相溶性があり、蛍光体粒子表面への吸着力が高いものが望ましい。
「第2工程」
第2工程は、蛍光体粒子の表面に、上記第1工程で調製した被覆材Aにより第1の被覆膜を形成した第1被覆蛍光体粒子を得る工程である。即ち、有機溶媒中に蛍光体粒子と第1工程で調製した被覆材Aを添加して撹拌混合し、その後真空濾過により固液分離して乾燥することにより、第1被覆蛍光体粒子を得る。
具体的には、有機溶媒中に蛍光体粒子を添加し、28〜48kHzの超音波振動を1〜10分間与えて分散させた後、第1工程で調整した被覆材を混合して分散させる。尚、上記の混合手順に代えて、有機溶媒中に被覆材を混合分散させ、次いで蛍光体粒子を添加混合してもよい。次いで1〜18時間撹拌混合することにより、第1の被覆膜を蛍光体粒子表面に形成する。
蛍光体粒子、有機溶媒及びアルミニウム有機金属化合物またはジルコニウム有機金属化合物の配合割合としては、例えば重量比で蛍光体粒子100重量部に対して有機溶媒5〜50重量部の範囲とすることが好ましい。また、上記混合撹拌の際には、水分の混入を防ぐために密封容器内などの気密状態下で混合することが望ましい。混合手段としては、撹拌羽やスターラ等の撹拌機による方法、或いは超音波ホモジナイザーを用いる方法などを採用することができる。尚、有機溶媒としては、上記第1工程の場合と同様に、一般式:ROHで表されるアルコール溶媒が好ましく、特にエタノール又はイソプロピルアルコールが好ましい。
その後、真空濾過して固形分と有機溶媒を分離し、乾燥することにより、第1の被覆膜を備えた蛍光体粒子が得られる。真空濾過に関しては、第2工程のみならず、全工程においても、0.05〜0.1MPaの真空度で濾過を行うことが好ましい。尚、上記真空濾過の代わりに、加熱により有機溶媒を揮発除去することもできるが、利便性の点から真空濾過が好ましい。また、有機溶媒の分離後の乾燥時には、80℃より高い温度で加熱乾燥すると、吸着した有機金属化合物が変質してしまい、後の工程でシラン有機金属化合物との吸着性が低下するため好ましくない。
蛍光体粒子の表面に形成された一部加水分解したアルミニウム有機金属化合物またはジルコニウム有機金属化合物の第1の被覆膜の効果は、その上に形成する被覆膜の均一性を高める作用や、被覆形成用の被覆液中に含まれる水分の影響を抑制する作用を果たすことができる。更にアルミニウム有機金属化合物またはジルコニウム有機金属化合物を加水分解する際に、膜屈折率の調整のためにアルミニウム有機金属化合物、ジルコニウム有機金属化合物、テトラエトキシシランのうち1種類以上を最初に準備した主成分となるアルミニウム有機金属化合物またはジルコニウム有機金属化合物100モルに対し5〜40モルの範囲内で加えることで、所定の屈折率に調整することができる。
例えば、用いる蛍光体の屈折率が高い(例えば、(Ca、Sr)AlSiN:Euの窒化アルミケイ素系蛍光体はn=2.0)場合、その屈折率に近づけるために第1の被覆膜は同程度の高い屈折率が要求される。この場合は屈折率の比較的高いジルコニウム有機金属化合物(ZrOで屈折率n=1.8〜2.1)を用い、その調整用として少量のアルミニウム有機金属化合物、またはテトラエトキシシラン(SiOで屈折率n=1.3〜1.4)を加えることが出来る。
蛍光体の屈折率が低い場合(例えば、(Sr,Ba)SiOシリケート系蛍光体はn=1.6)にはアルミニウム有機金属化合物(Alで屈折率n=1.6〜1.7)に調整用としてジルコニウム有機金属化合物、またはテトラエトキシシランを加えることが出来る。第1の被覆膜の厚さとしては、耐湿性・耐水性の観点から10〜200nmとすることが好ましい。
「第3工程」
第3工程は、第2の被覆膜の形成に用いる被覆材を調製する工程である。有機溶媒中にシラン有機金属化合物とアルミニウム有機金属化合物またはジルコニウム有機金属化合物と加水分解用の水を添加し、撹拌混合してシラン有機金属化合物の加水分解縮合物を得て、さらに濃縮して第2の被覆膜形成用の被覆材Bを得る。
具体的には、有機溶媒中にシラン有機金属化合物と、触媒として作用するアルミニウム有機金属化合物、またはジルコニウム有機金属化合物と、加水分解用の水とを添加し、18〜96時間撹拌混合してシラン有機金属化合物の加水分解縮合物を生成させる。次に、得られた溶液を液量が元の重量に対して90〜70%になるまで濃縮することにより被覆材Bを得る。上記撹拌混合の際には、水分の混入を防ぐために密封容器内などの気密状態下で混合することが望ましい。また、上記濃縮時には、開放した容器中で強撹拌を加え、余分な溶媒、水分、未反応物を揮発させて除去する。濃縮した被覆材Bを用いることにより、得られる第2の被覆膜は緻密になり、耐水性や耐湿性は格段に向上する。
上記シラン有機金属化合物の加水分解縮合物の生成に関しては、アルミニウム有機金属化合物またはジルコニウム有機金属化合物と水の作用により、加水分解縮合反応が進行し、時間の経過とともに徐々に脱水縮合反応が進み、分子量が次第に増加する。この際、加水分解縮合物の分子量が大きくなりすぎると、次の第4工程での粒子表面への被覆性が低下する。一方、加水分解縮合物の分子量が小さすぎると、後の第5工程で加熱処理すると揮発等により膜質が低下すると共に、耐湿性及び耐水性の向上が得られない。このため、シラン有機金属化合物の加水分解縮合物の重量平均分子量MVは5,000〜20,000の範囲とすることが好ましい。
シラン有機金属化合物としては、加水分解縮合物作製時の安定性、被覆性及び膜質から、トリアルコキシシランが好適に使用できる。具体的には、メチル−、エチル−、i−プロピル−、i−ブチル−、n−プロピル−、n−ブチル−等のトリアルコキシシランが好ましい。これらの中でも、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシランが好ましく、メチルトリメトキシシラン又はメチルトリエトキシシランが特に好ましい。即ち、メチルトリメトキシシラン及びメチルトリエトキシシランは、適度な反応速度であるため、長時間にわたる加水分解縮合物の作製においても急激な粘度上昇や沈殿物の生成、又は白濁化といった不安定さが生じることはなく、所望の分子量に制御することが容易だからである。
アルミニウム有機金属化合物としては、前記第1工程と同様なものが使用できる。ジルコニウム有機金属化合物も、前記第1工程と同様なものが使用できる。第3工程でアルミニウム有機金属化合物、またはジルコニウム有機金属化合物を用いるのは、蛍光体粒子を分散させる分散剤的な機能とシラン有機金属化合物の縮合を促進させ活発化させる触媒的な機能を利用するためである。また、有機溶媒としては、前記第1工程の場合と同様なものが使用できる。
他の有機金属化合物としては、チタニウム有機金属化合物や錫有機金属化合物も屈折率が高く、シラン有機金属化合物に添加することが可能である。またストロンチウム有機金属化合物やバリウム有機金属化合物を添加すると、被覆処理時の蛍光体の劣化を防止できる効果がある。
上記有機溶媒、シラン有機金属化合物、アルミニウム有機金属化合物またはジルコニウム有機金属化合物、及び水の配合割合は、例えば重量比で、シラン有機金属化合物100重量部に対して、有機溶媒を50〜100重量部、有機金属化合物を2〜20重量部、水を5〜40重量部とすることが好ましい。
有機溶媒が上記配合割合より多いと濃縮工程で要する時間が長くなり、逆に上記配合割合より少ないと混合が不均一となるため好ましくない。また、アルミニウム有機金属化合物、ジルコニウム有機金属化合物が上記配合割合より多くなると、シラン有機金属化合物の反応が活発化しすぎるため、液全体が粘度上昇して最終的にはゲル化するため好ましくない。特に配合割合がシラン有機金属化合物100モルに対して、アルミニウム有機金属化合物またはジルコニウム有機化合物が5モルを越えた場合に反応が活発化しやすい。この場合、液温を室温以下、好ましくは10℃以下に下げることで急激な反応を抑制することが出来る。もしくはアルミニウム有機金属化合物またはジルコニウム有機化合物の活性を下げるために、キレート化された化合物を用いることが反応性を緩和するのに有効である。
第3工程の加水分解縮合反応は、水分量を制御するために、撹拌混合時における気密状態の保持方法や、有機溶媒中に含まれる水分量にも注意が必要である。即ち、シラン有機金属化合物は水分により加水分解縮合反応が進むので、その水分量の制御が反応の安定性に大きく影響するからである。
また、加水分解縮合反応は、白濁したり沈殿物を形成したりしないように、ある程度の時間を掛けて行う。こうすることにより、安定して重量平均分子量MVが5,000〜20,000の加水分解縮合物を収率良く得ることができる。具体的な第3工程の撹拌混合条件としては、下記の要件を満足することが好ましい。
即ち、撹拌混合は、水分の混入を防ぐために密封した容器内で気密状態下に行うことが望ましい。また、混合温度は18〜40℃が好ましいが、18〜30℃がより好ましく、20〜25℃が更に好ましい。温度が18℃よりも低くなると反応が不十分となり、30℃より高くなると反応が激しくなり過ぎるため、液が白濁したり沈殿物を形成したりする。尚、撹拌混合の手段としては、公知の撹拌羽、スターラ等の撹拌機による方法、あるいは超音波ホモジナイザー等を用いることができる。
また、混合時間としては18〜96時間が好ましく、36〜72時間が更に好ましい。混合時間が18時間未満では、加水分解・縮合反応が不十分であり、加水分解縮合物中に多くの低分子が含まれやすくなる。このため、熱又は水に対する耐性が劣り、良好な被覆膜として機能しない場合がある。一方、混合時間が96時間を超えると、形成される被覆膜の吸着性が劣るものとなりやすく、局部的に未被覆部分が生じやすい。
加水分解縮合物の濃縮については、液量が重量百分率で処理開始前の元の重量に対して90〜70%となるまで濃縮することで、得られた被覆材Bにより形成する第2の被覆膜の緻密性を高めることが出来る。一方、揮発させすぎると液粘度が急激に上昇してしまい、被覆材として使用できなくなるので注意を要する。
「第4工程」
第4工程は、第1被覆蛍光体粒子の表面に、上記第3工程で調製した被覆材Bにより第2の被覆膜を形成した第2被覆蛍光体粒子を得る工程である。
具体的には、有機溶媒中に第2工程で得た第1被覆蛍光体粒子を添加し、28〜48kHzの超音波振動を1〜10分間与えて分散させた後、第3工程で得た被覆材Bを混合して分散させる。この混合液を真空濾過により固液分離することにより、第2被覆蛍光体粒子を得る。
蛍光体粒子の表面に形成されたアルミニウム有機金属化合物またはジルコニウム有機金属化合物を含むシラン有機化合物の第2の被覆膜の目的は、前記第1層の目的同様に耐湿性耐水性の向上と、第1の被覆膜と透光性シリコーン樹脂との屈折率差を最小とすることにある。特に第2の被覆膜の屈折率の調整のために第2の被覆膜の主成分となるシラン有機化合物100モルに対し、アルミニウム有機金属化合物、またはジルコニウム有機金属化合物を2〜20モルの範囲内で加えることが出来る。アルミニウム有機金属化合物、ジルコニウム有機金属化合物の使い分けは第1の被覆膜形成時と同様で、第1の被覆膜と透光性シリコーン樹脂の屈折率に合わせて選択することが出来る。
第2の被覆膜の厚さとしては、耐湿性・耐水性の観点から50〜300nmが好ましい。
「第5工程」
第5工程は、第4工程で得た第1及び第2の被覆膜を形成した第2被覆蛍光体粒子を大気中で熱処理する工程である。
第4工程で得られた蛍光体粒子を、大気雰囲気下に200〜350℃の温度で加熱処理し、非晶質の酸化物からなる第1および第2の被覆膜を備えた、本発明の被覆蛍光体粒子を得る。加熱処理の時間は、0.5〜18時間程度が好ましい。
本発明に係る蛍光体粒子表面に形成された被覆膜は、Si、Al、ZrとOを含んだ非晶質の無機酸化物からなる。本発明の被覆膜を備えた蛍光体粒子は、最適化された各工程で被覆処理されるため、高耐湿性及び高耐水性を有するばかりでなく、蛍光体粒子表面を覆う被覆膜、その全体を練り込む透光性樹脂と、その段階毎に蛍光体粒子、被覆膜と屈折率を所定の関係を満たすことで蛍光体粒子と被覆膜との界面、被覆膜と透光性樹脂との界面での屈折率差を最小化することで、高効率で発光することができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた有機溶媒は、予め乾燥したモレキュラーシーブ(3A)500gを有機溶媒10リットル中に入れて水分を除去した後に使用した。また、使用したエタノールとイソプロピルアルコール(IPA)中の水分量は、カールフィッシャ水分計で0.1g/lであった。
尚、実施例及び比較例の評価に用いた被覆膜の膜厚、密着性、屈折率、発光特性(被覆前後の発光強度の変化)、耐湿性(耐湿試験前後での発光強度の変化)の各種評価方法は、それぞれ以下の通りである。
(1)膜厚:被覆蛍光体粒子をエポキシ樹脂中に埋め込み、硬化後に断面を加工した試料を用い、SEM又はTEM観察により被覆膜(n=5)の膜厚を測定し、平均膜厚を求めた。被覆膜は組成差によるコントラストに濃淡ができるため、2次電子像及び反射電子像で鮮明に観察できる。尚、実施例で得た粒子の被覆膜を断面側から深さ方向に掛けてSEM−EDSで分析を行うと、Si、Al、またはZrとOの各元素が検出されたため、濃淡によって観察される膜が被覆によるものであると確認された。
(2)被覆膜の密着性:シリコーン樹脂、東レダウ社製JCR6175A/B(n=1.54)の中に被覆蛍光体を10重量%加え、撹拌混合機(シンキー社製、ARV310−LED)を用いて1200rpmで10分間の真空撹拌を行った。得られた樹脂混合試料を150℃×2時間で硬化させ、TEM断面観察を行った。密着性の評価は、粒子と被覆膜界面に剥離や空隙が観察されないものを○、粒子と被覆膜界面に剥離や空隙の観察されたものを×とした。
(3)膜屈折率の測定:Si基板に被覆材で膜形成後、300℃焼成し、大塚電子社製、反射分光膜厚計FE3000にて被覆膜の屈折率を測定した。
(4)発光強度の変化:被覆膜形成前後におけるPL(Photo Luminescence)発光強度と、シリコーン樹脂JCR6175A/Bに練り込んだ被覆膜付き蛍光体粒子の耐湿試験前後におけるPL発光強度を測定した。PL発光強度は、日本分光株式会社製の分光蛍光光度計FP6500により、450nmの励起光での発光スペクトルの強度から求めた。尚、耐湿試験の条件は85℃×85%RH×250時間とした。
[実施例1]
下記の第1〜第5工程の条件で被覆膜を備えた蛍光体粒子を作製した。まず第1工程としては、IPA(関東化学社製、試薬特級)100gに、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製、ALCH S75P:濃度75重量%)80g、テトラエトキシシラン(TEOS:関東化学社製、試薬)20gを添加して混合した。この混合液中にIPA(関東化学社製、試薬特級)10gに純水を10g混合した液を添加し、密閉容器内において11℃で2時間混合して、一部加水分解したアルミニウム有機金属化合物の被覆材Aを得た。
次に、第2工程としては、上記の被覆材Aを用いて蛍光体粒子表面に第1の被覆膜を形成した。IPA(関東化学社製、試薬特級)100gに、(Sr、Ba)SiO:Euシリケート系蛍光体粒子(D50=16μm)20gを添加し、28kHzの超音波洗浄器で1分間処理して分散させた。この分散液に、上記第1工程で得た被覆材A40gを滴下し、密閉容器内において23℃で2時間撹拌混合した。その後、真空濾過により固液分離して、第1の被覆膜を形成した第1被覆蛍光体粒子を得た。
第3工程では、第2の被覆膜形成用の被覆材Bを作製した。メチルトリメトキシシラン(MTMS 東レダウコーニング社製、Z−6366)1000gに、エタノール(関東化学社製、試薬特級)680gと、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製、ALCH S75P:濃度75重量%)20gと、イオン交換水250gとを添加し、11℃の温度に保持しながらスターラで強撹拌して混合した。
上記撹拌混合を48時間続け、シラン有機金属化合物の加水分解縮合物を得た。このときの加水分解縮合物の粘度は6mPa・Sであった。この加水分解縮合物100gを取り出し、開放容器内においてスターラで強撹拌することにより液量が元の重量に対して85%になるまで濃縮し、被覆材Bを得た。
次の第4工程では、上記被覆材Bを用いて(Sr、Ba)SiO:Eu蛍光体粒子の表面に形成した第1の被覆膜の上に第2の被覆膜を積層して形成した。第2工程で得た蛍光体粒子20gと、第3工程で得た被覆材B70gと、エタノール40gとを混合し、48kHzの超音波洗浄器で1分間再分散させた。次に、密封容器内にて23℃で1時間撹拌混合した後、真空濾過して固液分離し、得られた蛍光体粒子にIPAのみを30g通水して洗浄し、再度真空濾過した。真空濾過の条件は、いずれも0.05〜0.1MPaの真空度とした。
その後、第5工程として、回収した蛍光体粒子10gを大気中で300℃の温度で1時間加熱処理して、第1及び第2の被覆膜を備えた、本発明の被覆蛍光体粒子を得た。
このようにして得られた被覆蛍光体粒子について、上記した各方法により、被覆膜の膜厚、密着性、屈折率、発光特性(被覆前後の発光強度の変化)、耐湿性(耐湿試験前後での発光強度の変化)を測定し、得られた評価結果を下記表1、2に示した。
[実施例2]
下記の条件で被覆蛍光体粒子を作製した。まず第1工程において、IPA(関東化学社製、試薬特級)100gに、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセチルアセテート)(マツモトファインケミカル社製、ZC580)80g、テトラエトキシシラン(TEOS:関東化学社製、試薬)20gを添加して混合した。この混合液中にIPA(関東化学社製、試薬特級)10gに純水を10g混合した液を添加し、密閉容器内において11℃で2時間混合して、被覆材Aを得た。
次に、第2工程において、蛍光体粒子を(Ba、Sr)SiO:Eu蛍光体粒子(D50=24μm)とし、そのほかは実施例1と同様の条件で処理した。
第3工程において、メチルトリメトキシシラン(東レダウコーニング社製、Z−6366)1000gに、エタノール(関東化学社製、試薬特級)680gと、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製、ALCH S75P:濃度75重量%)100gと、イオン交換水80gとを添加し、そのほかは実施例1と同じ条件で被覆材Bを作製した。このときの加水分解縮合物の粘度は7mPa・Sであった。
その後の、第4工程、第5工程は実施例1と同様の条件で処理を行い、被覆蛍光体粒子を得た。
[実施例3]
使用する蛍光体粒子を実施例2と同じ蛍光体粒子を(Ba、Sr)SiO:Eu蛍光体粒子(D50=24μm)とし、そのほかは実施例1と同様の条件で処理し、被覆蛍光体粒子を作製した。
[実施例4]
使用する蛍光体粒子を実施例2と同じ蛍光体粒子を(Ba、Sr)SiO:Eu蛍光体粒子(D50=24μm)とし、第1工程において、被覆材Aを以下の条件で作製する以外は、実施例2と同様の条件で処理し、被覆蛍光体粒子を作製した。
第1工程において、IPA(関東化学社製、試薬特級)100gに、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製、ALCH S75P:濃度75重量%)100g、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセチルアセテート)(マツモトファインケミカル社製、ZC580)5g、テトラエトキシシラン(TEOS:関東化学社製、試薬)10gを添加して混合した。この混合液中にIPA(関東化学社製、試薬特級)10gに純水を8g混合した液を添加し、密閉容器内において11℃で2時間混合して、被覆材Aを得た。
[実施例5]
使用する蛍光体粒子をYAl12:Ce蛍光体粒子(D50=8μm)とし、第1工程で被覆材Aを以下の条件で作製し、また第3工程で以下の条件で被覆材Bを作製した以外は、実施例1と同様にして処理し、被覆蛍光体粒子を作製した。
第1工程において、IPA(関東化学社製、試薬特級)120gに、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセチルアセテート)(マツモトファインケミカル社製、ZC580)80g、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製、ALCH S75P:濃度75重量%)30gを添加して混合した。この混合液中にIPA(関東化学社製、試薬特級)10gに純水を10g混合した液を添加し、密閉容器内において11℃で2時間混合して、被覆材Aを得た。
第3工程においては、メチルトリメトキシシラン(東レダウコーニング社製、Z−6366)1000gに、エタノール(関東化学社製、試薬特級)680gと、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセチルアセテート)(マツモトファインケミカル社製、ZC580)100gと、イオン交換水110gとを添加し、11℃の温度に保持しながらスターラで強撹拌して撹拌混合に付した。
上記撹拌混合を48時間続け、シラン有機金属化合物の加水分解縮合物(被覆液(b))を得た。このときの加水分解縮合物の粘度は7mPa・Sであった。この加水分解縮合物100gを取り出し、開放容器内においてスターラで強撹拌することにより液量が元の重量に対して85%になるまで濃縮し、被覆材Bを作製した。
[実施例6]
使用する蛍光体粒子は実施例5と同じYAl12:Ce蛍光体粒子(D50=8μm)とし、第1工程で被覆材Aを以下の条件で作製した以外は、実施例5と同様にして処理し、被覆蛍光体粒子を作製した。
第1工程において、IPA(関東化学社製、試薬特級)100gに、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製、ALCH S75P:濃度75重量%)100g、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセチルアセテート)(マツモトファインケミカル社製、ZC580)5gを添加して混合した。この混合液中にIPA(関東化学社製、試薬特級)10gに純水を10g混合した液を添加し、密閉容器内において11℃で2時間混合して、被覆材Aを得た。
[実施例7]
使用する蛍光体粒子をCaAlSiN:Eu蛍光体粒子(D50=7μm)とし、第1工程で被覆材Aを以下の条件で作製し、第3工程で被覆材Bを以下の条件で作製した以外は、実施例5と同様にして処理し、被覆蛍光体粒子を作製した。
第1工程において、IPA(関東化学社製、試薬特級)100gに、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセチルアセテート)(マツモトファインケミカル社製、ZC580)90g、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製、ALCH S75P:濃度75重量%)10gを添加して混合した。この混合液中にIPA(関東化学社製、試薬特級)10gに純水を6g混合した液を添加し、密閉容器内において11℃で2時間混合して、被覆材Aを得た。
第3工程では、メチルトリメトキシシラン(東レダウコーニング社製、Z−6366)800gに、エタノール(関東化学社製、試薬特級)680gと、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセチルアセテート)(マツモトファインケミカル社製、ZC580)120gと、イオン交換水100gとを添加し、11℃の温度に保持しながらスターラで強撹拌して撹拌混合に付した。
[実施例8]
使用する蛍光体粒子は実施例7と同じCaAlSiN:Eu蛍光体粒子(D50=7μm)とし、第1工程で被覆材Aを以下の条件で作製した以外は、実施例7と同様にして処理し、被覆蛍光体粒子を作製した。
第1工程において、IPA(関東化学社製、試薬特級)100gに、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製、ALCH S75P:濃度75重量%)90g、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセチルアセテート)(マツモトファインケミカル社製、ZC580)10gを添加して混合した。この混合液中にIPA(関東化学社製、試薬特級)10gに純水を6g混合した液を添加し、密閉容器内において11℃で2時間混合して、被覆材Aを得た。
以上得られた実施例2〜8の被覆蛍光体粒子を実施例1と同様に評価して、表1、2に結果を示した。
[比較例1]
上記実施例1と比較するために、実施例1で使用した(Sr、Ba)SiO:Eu蛍光体について、被覆膜を形成せずに実施例1と同様の評価を行った。
[比較例2]
上記実施例2〜4と比較するために、実施例2で使用した(Ba、Sr)SiO:Eu蛍光体について、被覆膜を形成せずに実施例1と同様の評価を行った。
[比較例3]
上記実施例2で使用した(Ba、Sr)SiO:Eu蛍光体を、そのままの状態で、シリコーン樹脂100g中に上記蛍光体10gと、1gの酸化チタン微粒子(テイカ製MT−150A:粒子径15nm)を加えて撹拌混合した。加熱硬化後、蛍光体粒子の耐湿性を評価し、得られた評価結果を下記表1、2に示した。
Figure 2014145047
Figure 2014145047
以上の結果並びに上記表1、2から分かるように、本発明による実施例1〜8の被覆蛍光体粒子は、いずれも積層膜厚(第1および第2の被覆膜合計の膜厚)が120〜240nmと均一且つ十分な厚みであって、密着性、耐水性及び耐湿性が極めて高かった。また、被覆処理による発光特性(発光強度)の変化もほとんど無く、また耐湿試験前後の発光強度の変化で評価した被覆処理中の水分の影響による発光強度の低下などは認められなかった。
以上のように、本発明の被覆処理により得られる被覆蛍光体粒子は、光取り出し効率は、被覆処理前後で発光特性が同等、またはそれ以上であった。すなわち本発明のように蛍光体、第1及び第2の被覆膜の屈折率を調整することにより、LED素子とするためにシリコーン樹脂に分散させて効率よく発光することができ、耐水性、耐湿性に優れていることがわかる。
一方、比較例1と2では、本発明の被覆処理を施していないため、蛍光体の耐湿性が非常に低いことが分かる。また、比較例3では被覆処理前後や、耐湿試験前後で発光特性が低下していることから、光取り出し効率が悪化しており、耐湿性が不十分であることが分かる。

Claims (5)

  1. 蛍光体粒子の表面に被覆膜を備えた被覆蛍光体粒子であって、
    前記蛍光体粒子が、シリコン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウムのうち少なくとも1種類以上を含む酸化物または窒化物であり、
    前記蛍光体粒子の表面に10〜200nmの膜厚を有する第1の被覆膜が形成され、第1の被覆膜は、アルミニウム、ジルコニウム、シリコンのうち、少なくとも2種類以上を構成元素として含む非晶質の酸化物であり、
    前記第1の被覆膜上に50〜300nmの膜厚を有する第2の被覆膜が形成され、第2の被覆膜は、シリコンを必須の構成元素とし、さらにアルミニウムおよび/またはジルコニウムを他の構成元素として含む非晶質の酸化物であり、
    蛍光体粒子の屈折率をn,第1の被覆膜の屈折率をn,第2の被覆膜の屈折率をnとしたときに、以下の関係を満たすことを特徴とする被覆蛍光体粒子。
    1.3<n<n<2.1、
    0≦│n−n│≦0.3、
    0≦│n−n│≦0.3
  2. 前記蛍光体粒子がシリケート蛍光体または窒化ケイ素系蛍光体の場合は、前記第1の被覆膜はシリコンを必須元素とし、アルミニウムまたはジルコニウムの少なくとも一種以上の元素を含む非晶質の酸化物であり、
    前記蛍光体粒子がYAG系または窒化アルミケイ素系蛍光体の場合は、前記第1の被覆膜はアルミニウムを必須元素とし、シリコンまたはジルコニウムの少なくとも一種以上の元素を含む非晶質の酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の被覆蛍光体粒子。
  3. 前記蛍光体粒子は、SrSiO:Eu、(Sr、Ba)SiO:Eu、(Sr、Ba)SiO:Eu、YAl12:Ce、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu、(Ba、Sr)SiO:Eu、CaScSi12:Ce、(Ca,Sr,Ba)Al:Eu、SrSi13Al21:Eu、CaAlSiN:Eu、(Ca、Sr)AlSiN:Eu、(Ca、Sr)Si:Euのいずれかであることを特徴とする、請求項1または2に記載の被覆蛍光体粒子。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の被覆蛍光体粒子を透光性シリコーン樹脂中に分散させたLED素子であって、蛍光体の屈折率をn,第1の被覆膜の屈折率をn,第2の被覆膜の屈折率をn,透光性シリコーン樹脂の屈折率をnとし、これらの屈折率は、以下の関係を満たすことを特徴とするLED素子。
    ≦n≦n≦n
    0≦n−n≦0.3、
    0≦n−n≦0.3、
    0≦n−n≦0.3、
    1.3≦n≦2.1、
    1.3≦n≦2.1、
    1.3≦n≦2.1、
    1.3≦n≦1.6
  5. 下記の第1〜5工程を含むことを特徴とする、構成元素として、シリコン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウムのうち少なくとも1種類以上が含まれる酸化物または窒化物の蛍光体粒子の表面に被覆膜を備える被覆蛍光体粒子の製造方法。
    「第1工程」
    アルミニウム有機金属化合物および/またはジルコニウム有機化合物を有機溶媒中に加えた後、アルミニウム有機金属化合物、ジルコニウム有機化合物、またはテトラエトキシシランのうち、1種類以上を有機触媒として加え、更に加水分解用の水を添加して混合することにより、一部加水分解した第1の被覆膜形成用の被覆材Aを得る。
    「第2工程」
    有機溶媒中に前記蛍光体粒子と第1工程で調製した被覆材Aを添加して撹拌混合し、その後真空濾過により固液分離して乾燥することにより、第1の被覆膜を形成した第1被覆蛍光体粒子を得る。
    「第3工程」
    有機溶媒中にシラン有機金属化合物と、アルミニウム有機金属化合物および/またはジルコニウム有機金属化合物と、加水分解用の水を添加し、撹拌混合してシラン有機金属化合物の加水分解縮合物を得て、さらに濃縮して第2の被覆膜形成用の被覆材Bを得る。
    「第4工程」
    有機溶媒中に第2工程で得た第1被覆蛍光体粒子を添加し、分散させた後、第3工程で得た被覆材Bを混合して分散させ、この混合液を真空濾過により固液分離することにより、第1および第2の被覆膜を備えた第2被覆蛍光体粒子を得る。
    「第5工程」
    第4工程で得られた第2被覆蛍光体粒子を、大気雰囲気下に200〜350℃の温度で加熱処理し、非晶質の酸化物からなる第1および第2の被覆膜を備えた被覆蛍光体粒子を得る。
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