以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機という)に適用した実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る複写機を示す斜視図である。この複写機は、画像形成装置としての画像形成部1と、シート供給装置40と、画像読取ユニット50とを備えている。画像読取装置としての画像読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定された原稿読取装置としてのスキャナ150と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
図2は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。同図において、画像形成部1のシート供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセットから記録シートを送り出す送出ローラ43、送り出された記録シートを1枚ずつに分離する分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の搬送路としての給紙路37に対して、シート部材としての記録シートを搬送する複数の搬送ローラ対46等も有している。
給紙カセット42は、複数の記録シートを重ねたシート束の状態で内部に収容している。そして、一番上の記録シートに対して送出ローラ43を押し当てている。送出ローラ43が回転すると、シート束の一番上の記録シートが給紙カセット42から送り出される。
給紙カセット42の付近では、搬送ローラ対46の第1搬送ローラと、これの側方(図2中右側方)に配設された第2搬送ローラとが互いに当接して搬送ニップを形成している。また、第1搬送ローラの下方には、分離ローラ45が配設されており、第1搬送ローラに対して下方から当接して分離搬送ニップを形成している。
送出ローラ43の回転駆動によって給紙カセット42から送り出された記録シートは、搬送ローラ対46の第1搬送ローラと、これの下方に配設された分離ローラ45との当接による分離搬送ニップに進入する。この分離搬送ニップでは、記録シートの上面に当接する第1搬送ローラが図中反時計回り方向に回転駆動しながら、記録シートに対して給紙カセット42側から給送路44側に向かう搬送力を付与する。これに対し、記録シートの下面に当接する分離ローラ45が図中反時計回り方向に回転駆動しながら、記録シートに対して給送路44側から給紙カセット42側に向かう搬送力を付与して、記録シートを給紙カセット42に戻そうとする。
給紙カセット42から記録シートが1枚だけの状態で送り出された場合、分離搬送ニップにおいて、第1搬送ローラと分離ローラ45とが記録シートに対して互いに逆方向に向かう搬送力を付与する。これにより、分離ローラ45の駆動伝達系に所定の閾値を超える負荷がかかる。すると、その駆動伝達系内に配設されたトルクリミッターが作動して、図示しないDCブラシレスモータからの駆動力の分離ローラ45に対する伝達を切る。すると、分離ローラ45が第1搬送ローラによって搬送される記録シートに連れ回るようになって、記録シートが分離搬送ニップから給送路44に向けて排出される。
一方、給紙カセット42から記録シートが複数枚重なった状態で送り出された場合、分離搬送ニップにおいて、第1搬送ローラが一番上の記録シートに対して給紙カセット42側から給送路44側に向かう搬送力を付与する。そして、一番上の記録シートを分離搬送ニップから給送路44側に向けて送り出す。これに対し、分離ローラが下側に位置している記録シートに対して給送路44側から給紙カセット側に向かう搬送力を付与して、下側の記録シートを分離搬送ニップ内から給紙カセット42側に逆戻りさせる。これにより、分離搬送ニップでは、一番上の記録シートが他の記録シートから分離されて1枚の状態で給送路44に送り出される。
給送路44に進入した記録シートは、搬送ローラ対46の搬送ニップに進入して、鉛直方向下方側から上方側に向かう搬送力を付与される。これにより、給送路44内では、記録シートが画像形成部1の給紙路37に向けて搬送される。
画像形成手段としての画像形成部1は、光書込装置2、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像を形成する4つの作像ユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24等を備えている。また、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、給紙路37等も備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
図3は、画像形成部1の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図である。また、図4は、4つの作像ユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。なお、4つの作像ユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図4においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。
作像ユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体とその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成部1本体に対して着脱可能になっている。黒用の作像ユニット3Kを例にすると、これは、感光体4の周りに、帯電装置23、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。本複写機では、4つの作像ユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュウ8、これらスクリュウ間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサー10などを有している。
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ13は、ドクタブレード14との対向位置からスリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ12表面に引き寄せて担持させるとともに、スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサー10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。なお、現像装置6として、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
ドラムクリーニング装置15としては、弾性体からなるクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュウ20上に落下する。回収スクリュウ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡されたトナーを現像装置6に送ってリサイクルする。
除電ランプ22は、光照射によって感光体4を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置23によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。なお、帯電装置23としては、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いている。感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
図3において、4つの作像ユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
4つの作像ユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。ベルト駆動装置としての転写ユニット24は、複数のローラによって張架した中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図3中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと、無端状のベルト部材である中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の1次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら1次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の1次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と2次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの2次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ31には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、2次転写ニップに2次転写電界が形成されている。
この2次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。また、レジストローラ対33のレジストニップの入口付近には、図示しないレジストローラセンサーが配設されている。図示しないシート供給装置からレジストローラ対33に向けて搬送されてくる記録部材としての記録シートは、その先端がレジストローラセンサーに検知された所定時間後記録シートの搬送が一時停止し、レジストローラ対33のレジストニップに先端を突き当てる。
記録シートの先願がレジストニップに突き当たると、レジストローラ対33は、記録シートを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングでローラ回転駆動を再開して、記録シートを2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の作用によって記録シートに一括2次転写され、記録シートの白色と相まってフルカラー画像となる。2次転写ニップを通過した記録シートは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト25の表面には、2次転写ニップで記録シートに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置によって掻き取り除去される。
定着装置34に搬送された記録シートは、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外へと排出される。
図2において、紙搬送ユニット28および定着装置34の下には、スイッチバック装置36が配設されている。これにより、片面に対する画像定着処理を終えた記録シートが、切換爪で記録シートの進路を記録シート反転装置側に切り替えられ、そこで反転されて再び2次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の2次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ上に排紙される。
画像形成部1の上に固定されたスキャナ150は、移動照射部152を有している。移動照射部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された図示しない第2コンタクトガラスの直下に配設されている。光源としてのLEDアレイや、反射ミラーなどからなる光学系を具備する移動照射部152は、図1中左右方向である副走査方向に移動することができる。そして、図1中左側から右側に移動していく過程で、LEDアレイから発した光を第2コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサー153に受光させる。
なお、移動照射部152は、図示の位置よりも少し左側の位置に移動して、スキャナ150のケーシング上壁に固定された図示しない第1コンタクトガラスの直下に位置することも可能である。
スキャナ150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53を保持している。加えて、シート部材としての原稿MSを搬送するための搬送ユニット54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55なども保持している。図5に示されるように、スキャナ150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第1コンタクトガラス154や第2コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADFによる搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図5に示されるように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第2コンタクトガラス155上に載せた後、ADFを閉じる。そして、図示しないコピースタートボタンを押す。すると、スキャナ150の移動照射部(152)は、第1コンタクトガラス154の直下の位置をホームポジションにしており、読取待機中にはそのホームポジションで停止している。コピースタートボタンが押されると、移動照射部(152)がホームポジションから第2コンタクトガラス155の直下に向けて移動し始める。そして、第2コンタクトガラス155の図5中における左側端部から右側端部に向けて移動していく。このとき、移動照射部(152)は、LEDアレイから発した光を原稿面で反射させて、反射光をCCD(153)に向けて導く。これにより、原稿の画像がCCDによって原稿の先端側(副走査方向の上流側)から後端側に向けて順次読み取られていく。なお、ADF51は、原稿台たる第2コンタクトガラス155上に載置された原稿を第2コンタクトガラス155に向けて押さえ付ける原稿押さえ手段として機能している。
原稿が互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束である場合には、その原稿MSをADF51によって1枚ずつ自動搬送しながら、その画像をスキャナ150に順次読み取らせていくことができる。この場合、操作者は原稿束を原稿載置台53上にセットした後、図示しないコピースタートボタンを押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に搬送ユニット54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させながらスキャナ150の第1コンタクトガラス154の真上に通す。これにより、原稿MSの第1面の画像が上述したホームポジションで停止したままの状態の移動照射部(152)によって走査されてCCD(153)に読み取られる。
なお、図5において、ADF51とスキャナ150とを具備する画像読取ユニット50は、ADF51の開閉角度を検知するロータリーエンコーダー等からなる開閉センサー157を有している。以下、ADF51の開閉角度について、ADF51がスキャナ150の第2コンタクトガラス155に接触して第2コンタクトガラス155を完全に覆う状態の開閉角度を0[°]として説明する。また、ADF51がほぼ鉛直方向に延在する姿勢になるまで開かれた状態の開閉角度を90[°]として説明する。
図6は、移動照射部(152)に搭載された光源としてのLEDアレイ152aを示す斜視図である。図示のように、LEDアレイ152aは、分割光源たる複数のLED素子152a’を具備している。これらLED素子152a’は、第1コンタクトガラス(154)の表面に沿いつつ、移動照射部(152)の移動方向に直交する方向である主走査方向に沿って一直線状に並んでいる。スキャナ150は、原稿(MS)の画像を読み取るときには、LEDアレイ152aの全てのLED素子152a’を点灯させた状態で移動照射部(152)を原稿(MS)の先端側から後端側に向けて移動させる。
図7は、第2コンタクトガラス155上に載置される原稿の位置と、原稿のサイズと、、LEDアレイ152aの点灯パターンとを説明するための平面模式図である。同図は、第2コンタクトガラス155を鉛直方向の上方から示しており、第2コンタクトガラス155の直下に、移動照射部152が配設されている。
同図において、A4、B5、A3という文字は、それぞれ原稿のサイズを示している。第2コンタクトガラス155は、自らの平面の短手方向を原稿読取の際の原稿走査における主走査方向に沿わせつつ、長手方向を副走査方向に沿わせる姿勢で配設されている。そして、移動照射部152は、その長手方向を主走査方向に沿わせた姿勢で配設されており、図示しない移動機構によって副走査方向に移動することが可能になっている。つまり、移動照射部152は、第2コンタクトガラス155の長手方向に沿って往復移動することが可能である。第2コンタクトガラス155上に載置された原稿の画像を読み取る際には、移動照射部152は、副走査方向において、図中の左側から右側に向けて移動する。以下、原稿を読み取る際の副走査方向における図中の左側を読取時上流側という。また、図中の右側を読取時下流側という。
実施形態に係る複写機では、図中の太矢印の先端位置を原稿基準位置としている。この原稿基準位置は、第2コンタクトガラス155の2次元平面上にある4つのコーナーのうち、1つのコーナーの位置であり、このコーナーは、第2コンタクトガラス155の副走査方向における全域のうち、読取時の副走査方向の上流端に存在している。
図8は、実施形態に係る複写機のスキャナ(150)における電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、制御手段としての読取制御部170は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などからなる。読取制御部170には、開閉センサー157、画像処理回路171、LED駆動回路172、モーター駆動回路173、ホームポジションセンサー175などが接続されている。同図に示される開閉センサー157、LEDアレイ152a、CCD153の役割については、既に述べた通りであるので説明を省略する。
ホームポジションセンサー175は、透過型フォトセンサー等からなり、移動照射部(152)についてホームポジションに位置しているか否かを検知して、その検知結果を読取制御部170に出力するものである。また、LED駆動回路172は、読取制御部170からの信号に基づいて、LEDアレイ152aの複数のLED素子における点灯の入切を後述するブロック毎に制御するものである。また、画像処理回路171は、CCD153からの信号に基づいて読取画像の画像データを構築するものであり、必要に応じてCCD153の主走査方向における所定領域の受光量の信号を読取制御部170に出力する。また、移動モーター174は、移動照射部(152)を副走査方向に移動させるためのものであって、ステッピングモーターからなっている。この移動モーター174に対する励磁はモーター駆動回路173によって制御されるが、駆動量や駆動方向などについては読取制御部170によって制御される。
読取待機時には、移動照射部152は上述したホームポジションに位置している。図7において、このホームポジションは第2コンタクトガラス155よりも図中の左側の位置であり、図示されていない。通常は、図示しないADF(51)が完全に閉じられていて第2コンタクトガラス155を覆っている状態になっている。このため、操作者は、第2コンタクトガラス155の上に原稿を載置するためには、ADF(51)を開く必要がある。操作者によってADF(51)が開かれ始めて、ADF(51)の開閉角度がそれまでの0[°]から上昇して30[°]まで到達すると、スキャナ150に搭載された読取制御部(170)は、ADF(51)の開操作がなされ始めたことを認識する。そして、その認識に基づいて、移動照射部152をホームポジションから図中の原稿サイズ検知位置DPまで移動させる。なお、本明細書では、移動照射部152の副走査方向における読取時上流側の端を、移動照射部152の副走査方向の位置基準として説明している。このため、同図においては、原稿サイズ検知位置DPを示す一点鎖線を、図中の移動照射部152における読取時上流側の端と同じ位置に示している。
移動照射部152のLEDアレイ152aは、主走査方向において7つのブロックに分割されている。そして、複数のLED素子(152a’)の点灯の入切を、ブロック毎に制御することが可能になっている。つまり、同じブロックに存在するLED素子同士に対しては、同時に電源の入切がなされるようになっている。
操作者は、どのようなサイズの原稿であっても、図示のように、その原稿の副走査方向における先端に存在する角を、第2コンタクトガラス155の原稿基準位置に位置させる状態で、原稿を第2コンタクトガラス155上に載置する。原稿サイズ検知位置DPに位置している移動照射部152は、原稿が第2コンタクトガラス155上に載置されると、その原稿の副走査方向における読取時上流側の端部に対向する。つまり、原稿サイズ検知位置DPは、移動照射部152に対し、第2コンタクトガラス155上に載置された原稿の読取時上流側の端部を対向させる位置になっている。
操作者が第2コンタクトガラス155の上に原稿を載置した後、図示しないADF(51)を閉じ始めると、ADF(51)の開閉角度が90[°]から低下し始める。そして、やがて開閉センサー(157)による開閉角度の検知結果が70[°]まで低下する。読取制御部(170)は、開閉角度が70[°]まで低下すると、ADF(51)の閉操作がなされ始めたと判断する。そして、その判断に基づいて、サイズ長さ特定処理を開始する。
長さ特定処理を開始した読取制御部(170)は、まず、LEDアレイ152aの部分点灯を行った状態でのCCD(153)による受光量を取得したり、その受光量について所定の閾値を下回るか否かを判定したりする取得比較処理を実施する。この取得比較処理については、LED素子の点灯条件を順次切り替えながら、それぞれの点灯条件で個別に実施する。
図9は、第2コンタクトガラス155上に載置された原稿のサイズと、各点灯条件における受光量の取得対象領域との関係を説明するための平面模式図である。CCD(153)による受光量の取得対象となる取得対象領域としては、基準判定領域a、第1判定領域b、第2判定領域c、及び第3判定領域の4つが予め定められている。基準判定領域aは、LEDアレイ(152a)における第1ブロックのLED素子に対向する領域である(図7参照)。また、第1判定領域bは、LEDアレイにおける第5ブロックのLED素子に対向する領域である。また、第2判定領域cは、LEDアレイにおける第6ブロックのLED素子に対向する領域である。また、第3判定領域dは、LEDアレイにおける第7ブロックのLED素子に対向する領域である。
読取制御部(170)は、長さ特定処理における初回の取得比較処理において、LEDアレイ152aに具備される全てのLED素子のうち、主走査方向の基準判定領域aに対向する第1ブロックのLED素子だけを点灯させる。そして、この点灯によって得られるCCD(153)による主走査方向の全域における受光量のうち、基準判定領域aだけにおける受光量と、所定の閾値とを比較する。
主走査方向において、基準判定領域aは原稿基準位置の近傍に位置している。このため、操作者が原稿を原稿基準位置に合わせて第2コンタクトガラス155上に載置した場合には、その原稿は主走査方向において必ず基準判定領域aの上に存在することになる。初回の取得比較処理において、読取制御部(170)が基準判定領域aにおける受光量と閾値とを比較するのは、第2コンタクトガラス155上に原稿が置かれているか否かを判定することを目的にしている。CCD(153)による基準判定領域aにおける受光量が所定の閾値を下回った場合には、原稿について、第2コンタクトガラス155上に載置されていないと判断しても差し支えないからである。
初回の取得比較処理では、このように、基準判定領域aに対向する第1ブロックのLED素子を点灯させた点灯条件で基準判定領域aにおける受光量の取得結果と閾値とを比較する。取得比較処理としては、全部で4種類のものがあり、初回の取得比較処理はそのうちの1種類目の取得比較処理(第1種取得比較処理)である。2種類目の取得比較処理(第2種取得比較処理)では、第1判定領域bに対向する第5ブロックのLED素子を点灯させた点灯条件で第1判定領域bにおける受光量の取得結果と閾値とを比較する。また、3種類目の取得比較処理(第3種取得比較処理)では、第2判定領域cに対向する第6ブロックのLED素子を点灯させた点灯条件で第2判定領域cにおける受光量の取得結果と閾値とを比較する。また、4種類目の取得比較処理(第4種取得比較処理)では、第3判定領域dに対向する第7ブロックのLED素子を点灯させた点灯条件で第3判定領域dにおける受光量の取得結果と閾値とを比較する。また、4種類目の取得比較処理(第4種取得比較処理)では、第3判定領域dに対向する第7ブロックのLED素子を点灯させた点灯条件で第3判定領域dにおける受光量の取得結果と閾値とを比較する。
一般に、長さ特定処理において、点灯条件に対応する領域(a〜d)についての受光量が所定の閾値を下回った場合、又は閾値以下であった場合には、その領域について原稿が存在していないと判断することが可能である。長さ特定処理では、このように様々な点灯条件で取得した受光量に基づいて、第2コンタクトガラス(155)の上に置かれた原稿の主走査方向の長さを特定する。例えば、第1判定領域bについての受光量が閾値を下回った場合、又は閾値以下である場合(以下、ケース1という)には、原稿の主走査方向の長さについて、A4短手方向の長さ未満であると特定することが可能である。また、第2判定領域cについての受光量が閾値を下回る又は閾値以下であり(以下、ケース2という)、且つ第1判定領域bについての受光量が前記ケース1に該当しないとする。この場合には、原稿の主走査方向の長さについて、A4短手方向の長さであると特定することが可能である。また、第3判定領域dについての受光量が閾値を下回る又は閾値以下であり、且つ第2判定領域cについての受光量が前記ケース2に該当しないとする。この場合には、原稿の主走査方向の長さについて、B4短手方向の長さであると特定することが可能である。また、第3判定領域dについての受光量が閾値以上又は閾値を超え、且つ第2判定領域cについての受光量が前記ケース2に該当しないとする。この場合には、原稿の主走査方向の長さについて、A3短手方向の長さであると特定することが可能である。読取制御部(170)は、基本的には、このようにして原稿の主走査方向の長さを特定する。
長さ特定処理において、このようにLEDアレイを部分点灯させて原稿の主走査方向における長さを特定することで、長さ特定処理の実施時にLEDアレイの光をユーザーの目に入れてしまうことによる不快感を軽減することができる。なお、実施形態に係る複写機の長さ特定処理として、本段落までに説明してきた事項は、従来の原稿読取装置における長さ特定処理と共通する事項についてだけである。実施形態に係る複写機の長さ特定処理では、従来の長さ特定処理とは異なる特徴的な処理を実施するが、この特徴的な処理については後述する。
取得比較処理において、ノイズの発生など、CCD(153)による受光量の結果を一時的に大きく低下させる突発的な現象が発生すると、原稿の主走査方向の長さを本来よりも小さな値に誤って特定してしまうおそれがある。具体的には、突発的な現象が瞬間的に発生してCCDによる受光量の検知結果が大きく低下すると、その時に点灯されているLED素子との対向位置に原稿が存在しているにもかかわらず、存在していないと誤って判定される。これにより、原稿の主走査方向の長さが本体よりも小さな値として誤って特定されてしまうのである。
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
読取制御部(170)は、長さ特定処理における4種類の取得比較処理にてそれぞれお、受光量が閾値を下回る又は閾値以下である場合には、次回に点灯条件を切り替えて他の種類の取得比較処理を実施する代わりに、次のような処理を実施するようになっている。即ち、点灯させるLED素子を切り替えずに同じ点灯条件で受光量を再び取得した結果と閾値とを再比較する再処理を少なくとも1回実施するようになっている。
かかる構成において、突発的な現象によってCCD(153)の受光量の検知結果が瞬間的に大きく低下したことに起因して、取得比較処理で受光量が閾値を下回った又は閾値以下になったとする。この場合、同じ点灯条件での再処理が実施される。そして、この再理にて、同じ点灯条件でCCDによる受光量が再び取得される。突発的な現象による受光量の低下は瞬間的なものであるので、再処理では受光量が正常に取得される可能性が高い。このため、突発的な現象によって受光量が瞬間的に低下したとしても、再処理の実施によって受光量を正常に取得した結果に基づいて、点灯しているLED素子医の対向位置における原稿の存否を正しく判定することが可能である。よって、突発的な現象が発生することによる原稿長さの誤特定の発生を低減することができる。
次に、実施形態に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した各実施例の複写機について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に係る複写機の構成は実施形態と同様である。
[第1実施例]
長さ特定処理は、原稿サイズ検知位置(DP)にある移動照射部(152)に対して対向する、原稿の先端部が余白になっていることを前提にしているが、先端部に余白が設けられていない原稿も存在する。例えば、原稿の先端部であって且つ主走査方向における第1判定領域bにベタ画像が形成されているとする。そして、LEDアレイ(152a)の第5ブロックのLED素子(152a’)が原稿の先端部のベタ画像に対向していたとする。すると、そのLED素子からの光の原稿面での反射をベタ画像が阻害してしまう。このため、CCD(153)による第1判定領域bにおける受光量は、ベタ画像が存在しない場合に比べて大幅に少なくなる。これにより、本来であれば前記受光量が閾値を上回って(又は閾値以上になって)原稿の主走査方向の長さがA4短手方向長さ未満ではないと判定されるべきところ、前記受光量が閾値を上回らなくなる(又は閾値以上ではなくなる)。そして、原稿の主走査方向の長さがA4短手方向長さ未満であると誤特定されてしまうおそれがある。
そこで、読取制御部(170)は、長さ特定処理にて、移動照射部(152)を副走査方向における原稿読取開始位置に向けて移動させる処理を実施するようになっている。
図10は、第1実施例に係る複写機における第2コンタクトガラス155上に載置される原稿の位置と、原稿のサイズと、LEDアレイ152aの点灯パターンとを説明するための平面模式図である。また、図11は、第2コンタクトガラス155上に載置された原稿のサイズと、各点灯条件における受光量の取得対象領域との関係を説明するための平面模式図である。これえらの図に示されるように、原稿読取開始位置SPは、第2コンタクトガラス155の副走査方向における読取時上流側の端に設定されている。原稿の読取は、移動照射部152の副走査方向における読取時上流側の端を原稿読取開始位置SPに位置させた状態で開始される。
読取制御部(170)は、長さ特定処理において、移動照射部152を副走査方向における原稿読取開始位置SPに向けて移動させながら、LED素子の点灯条件の切り替えや受光量の取得を行うようになっている。より詳しくは、長さ特定処理の後に行う原稿の読取については、原稿サイズ検知位置DPに位置させていた移動照射部152を上述したホームポジションに一旦移動させてから開始する。このような処理は、従来の原稿読取装置においても同様に行われていた。第1実施例に係る複写機が従来の原稿読取装置と異なっている点は、原稿サイズ検知位置DPに位置させていた移動照射部152をホームポジションに移動させ始めるタイミングが、次のようになっている点である。即ち、長さ特定処理の実施後ではなく、長さ特定処理の開始時になっている点である。このため、長さ特定処理においては、結果として移動照射部152を原稿読取開始位置SPに向けて移動させながら、LED素子の点灯切り替えや受光量の取得を行う。
長さ特定処理にて、移動照射部152を原稿サイズ検知位置DP側から原稿読取開始位置SP側に向けて移動させることで、例えば図11に示されるように、4種類の取得比較処理における取得対象領域(a〜d)の副走査方向における位置が互いにずれる。なお、図11では、1回目に第1種取得比較処理が実施され、2回目に第2種取得比較処理が実施され、3回目に第3取得比較処理が実施され、4回目に第4取得比較処理が実施された例を示している。
第2コンタクトガラス155上に載置されている原稿が先端部にベタ画像を有するものであって、そのベタ画像が原稿先端部の副走査方向の全域に延在しておらず、原稿先端部の副走査方向の部分的な領域だけに形成されているとする。そして、長さ特定処理の開始前に原稿サイズ検知位置DPに位置している移動照射部152における第5ブロックのLED素子(152a’)が、原稿の先端部のベタ画像に対向しているとする。この状態で長さ特定処理を開始した読取制御部(170)は、移動照射部152を副走査方向における原稿読取開始位置SPに向けて移動させる。すると、移動する移動照射部152の第5ブロックのLED素子は、やがてベタ画像との対向位置から外れて原稿の先端部における無垢の表面に対向するようになる。このタイミングはベタ画像の副走査方向の長さによって異なってくるが、そのタイミングの後に第5ブロックに対応する第2種取得比較処理の実施開始タイミングが到来することもある。この場合、原稿の先端部における無垢の表面によって多くの反射光が得られることから、原稿の主走査方向における長さの誤特定を回避することができる。
また、たとえ第2種取得比較処理の実施開始タイミングが到来したときに、移動中の第5ブロックのLED素子がベタ画像に対向していたとしても、その後、点灯中の第5ブロックのLED素子がベタ画像に対向しない位置まで移動することがある。この場合、第5ブロックのLED素子を点灯させる点灯条件で最後まで第5ブロックのLED素子をベタ画像に対向させたままにする場合に比べて、より多くの反射光が得られることから、原稿の存在を正しく検知できる可能性がでてくる。原稿の存在を正しく検知できた場合には、主走査方向における長さの誤特定が回避される。よって、第1実施例に係る複写機においては、移動照射部152を副走査方向に沿って原稿読取開始位置SPに向けて移動させながら長さ特定処理を行うことで、原稿の先端部に形成されたベタ画像に起因する長さの誤特定の発生を抑えることができる。
[第2実施例]
第2実施例に係る複写機の読取制御部(170)は、長さ特定処理において、上述した第1,第2,第3,第4取得比較処理の他に、必要に応じて第5,第6,第7,第8取得比較処理を実施するようになっている。第5種取得比較処理では、基礎判定領域aに対向する第1ブロックのLEDと、第2判定領域cに対向する第6ブロックのLED素子とを点灯させる。そして、この点灯条件で得られた基礎判定領域aにおける受光量の取得結果や、第2判定領域cにおける受光量の取得結果を、それぞれ閾値と比較する。また、第6種取得比較処理では、第2判定領域cに対向する第6ブロックのLEDと、第3判定領域dに対向する第7ブロックのLED素子とをそれぞれ点灯させる。そして、この点灯条件で得られた第2判定領域cにおける受光量の取得結果や、第3判定領域dにおける受光量の取得結果をそれぞれ閾値と比較する。また、第7種取得比較処理では、第1判定領域bに対向する第5ブロックのLED素子と、第2判定領域cに対向する第6ブロックのLEDと、第3判定領域dに対向する第7ブロックのLED素子とをそれぞれ点灯させる。そして、この点灯条件で得られた第1判定領域bにおける受光量、第2判定領域cにおける受光量、第3判定領域dにおける受光量をそれぞれ閾値と比較する。また、第8種取得比較処理では、第1判定領域bに対向する第5ブロックのLED素子と、第2判定領域cに対向する第6ブロックのLEDと、第3判定領域dに対向する第7ブロックのLED素子とをそれぞれ点灯させる。更に、基礎判定領域aに対向する第1ブロックのLED素子も点灯させる。そして、この点灯条件で得られた基礎判定領域aにおける受光量、第1判定領域bにおける受光量、第2判定領域cにおける受光量、第3判定領域dにおける受光量をそれぞれ閾値と比較する。
読取制御部は、長さ特定処理にて、上述した再処理の実施の有無にかかわらず、取得比較処理や再処理を合計で所定の規定回数である4回だけ実施してから原稿の主走査方向の長さを特定するようになっている。つまり、長さ特定処理において、取得比較処理を合計で4回実施するか、あるいは取得比較処理や再処理を合計で4回実施するようになっている。
図12は、第2実施例に係る複写機の読取制御部(170)によって実施される長さ特定処理の各工程を示すフローチャートである。長さ特定処理は、上述したように、ADF(51)が90[°]の開閉角度で開かれた状態から、開閉角度が70[°]まで低下したことに基づいて開始される。
長さ特定処理において、読取制御部は、まず、第1取得比較処理を実施する(ステップ1:以下、ステップをSと記す)。そして、第1取得比較処理における比較の結果、基準判定領域aにおける受光量について閾値以上であると判明した場合には(S2でY)、次に、第2取得比較処理を実施する(S3)。そして、この第2取得比較処理における比較の結果、第1判定領域bにおける受光量について閾値以上であると判明した場合には(S4でY)、次に、第3取得比較処理を実施する(S5)。更に、この第3取得比較処理における比較の結果、第2判定領域cにおける受光量について閾値以上であると判明した場合には(S6でY)、次に、第4取得比較処理を実施する(S7)。このように、初回から3回目までの取得比較処理における比較の結果が何れも、閾値以上であった場合には、4回の取得比較処理として、第1取得比較処理、第2取得比較処理、第3取得比較処理、及び第4取得比較処理を実施する。なお、4回目の第4取得比較処理(S7)における比較の結果、第3判定領域dにおける受光量について閾値未満であると判明した場合には、第3判定領域dについての再処理の実施を省略して、閾値未満であるという比較結果を確定する。
また、読取制御部は、上述したS1の工程における第1取得比較処理での比較の結果、基準判定領域aにおける受光量について閾値以上でない(閾値を下回る)ことが判明した場合には(S2でN)、基準判定領域aについての再処理を実施する(S9)。その後、再処理(S9)における比較の結果、基準判定領域aにおける受光量について閾値以上であることが判明した場合には(S10でY)、先のS1における第1取得比較処理では突発的な現象によって受光量が本来よりも低い値で取得されたことになる。このような場合であっても、S9において正しい受光量に基づいて閾値との比較を行うようになることから、突発的な現象に起因する原稿の主走査方向における長さの誤特定の発生を低減することができる。
さて、S10において、再処理(S9)における比較の結果、基準判定領域aにおける受光量について閾値以上であることが判明した場合に(S10でY)、次の取得比較処理として通常の順序に従って第2取得比較処理を実施したとする。この場合、最後の4回目の取得比較処理として、第3取得比較処理及び第4取得比較処理のうち、何れか一方だけしか実施することができなくなることから、原稿の主走査方向の長さを特定することができなくなるおそれがでてくる。
そこで、読取制御部は、再処理における比較の結果、受光量について閾値以上であることが判明した場合には、点灯条件の切り替えの順序を通常の順序から変更するようになっている。具体的には、通常の順序は、第1ブロック(第1取得比較処理の実施)、第5ブロック(第2取得比較処理の実施)、第6ブロック(第3取得比較処理の実施)、第7ブロック(第4取得比較処理の実施)という順序である。上述したS9の再処理における比較の結果、基準判定領域aにおける受光量について閾値以上であることが判明した場合(S10でY)、通常の順序に従えば、次に第5ブロックを点灯条件にする第2取得比較処理を実施することになる。しかし、この場合、読取制御部は、次に、第2取得比較処理ではなく、第3取得比較処理を実施する(S11)。つまり、点灯条件の切り替えの順序を通常の順序から変更する。そして、S11の第3取得比較処理における比較の結果、第2判定領域cにおける受光量について閾値以上であることが判明した場合(S12でY)には、最後の4回目の取得比較処理として、第4取得比較処理を実施する(S13)。これにより、上記S9で再処理を実施しても、最終的に原稿の主走査方向の長さを正しく特定することができる。
本複写機において、再処理を1回も実施しないで互いに異なる点灯条件で規定である4回分の取得比較処理を実施する場合には、既に述べたように、点灯条件として、第1ブロック、第5ブロック、第6ブロック、及び第7ブロックの4つを採用する。かかる構成において、上述したS12の工程において、第2判定領域cにおける受光量が閾値を下回ったとする(S12でN)。この場合に、次に、第2判定領域cにおける受光量を取得するための再処理を4回目として実施すると、原稿の主走査方向の長さを特定することができなくなってしまう。より詳しくは、再処理における比較の結果、第2判定領域cの受光量について閾値以上であると判明した場合、第4種取得比較処理を実施して第3判定領域dの受光量を取得する必要があるが、それができなくなってしまう。
そこで、読取制御部は、再処理を実施した場合には、その後、点灯条件の切り替えの順序を通常の順序から変更するようになっている。より詳しくは、S12の工程において、第2判定領域cにおける受光量が閾値未満になった場合(S12でN)、第2判定領域cについての再処理ではなく、第7取得比較処理を実施する(S20)。この第7取得比較処理では、第1判定領域b、第2判定領域c、及び第3判定領域dのLED素子をそれぞれ点灯させる。上述した4つの点灯条件のうち、3つを組み合わせたものを点灯条件として採用するのである。より詳しくは、本複写機において、第1ブロックのLEDだけを点灯させるのが第1点灯条件である。また、第5ブロックのLEDだけを点灯させるのが第2点灯条件である。また、第6ブロックのLEDだけを点灯させるのが第3点灯条件である。また、第7ブロックのLEDだけを点灯させるのが第4点灯条件である。S20の第7取得比較処理では、それらのうち、第2点灯条件、第3点灯条件、及び第4点灯条件を組み合わせた第7点灯条件を採用して、第5ブロック、第6ブロック、及び第7ブロックのLED素子をそれぞれ点灯させる。そして、第5ブロックに対応する第1判定領域bにおける受光量、第6ブロックに対応する第2判定領域cにおける受光量、第7ブロックに対応する第3判定領域dにおける受光量をそれぞれ閾値と比較する。これにより、最後の4回目の比較に基づいて、原稿の主走査方向の長さを特定することができるようになる。
上述したS4の工程において、第1判定領域bにおける受光量が閾値未満になったとする(S4でN)。この場合、読取制御部は、第1判定領域bについての再処理を実施する(S14)。その後、再処理(S9)における比較の結果、第1判定領域bにおける受光量について閾値以上であることが判明した場合には(S15でY)、先のS3における第2取得比較処理では突発的な現象によって受光量が本来よりも低い値で取得されたことになる。このような場合であっても、S15において正しい受光量に基づいて閾値との比較を行うようになることから、突発的な現象に起因する原稿の主走査方向における長さの誤特定の発生を低減することができる。
S15において、再処理(S14)における比較の結果、第1判定領域bにおける受光量について閾値以上であることが判明した場合に(S15でY)、次の取得比較処理として通常の順序に従って第3取得比較処理を実施するとする。この場合、最後の4回目で第3取得比較処理を実施することになり、第4取得比較処理を実施することができなくなるので、原稿の主走査方向の長さを特定することができなくなる。
そこで、読取制御部は、S14の工程の再処理を実施した場合には、その後、点灯条件の切り替えの順序を通常の順序から変更するようになっている。より詳しくは、前記再処理における比較の結果、第1判定領域bにおける受光量について閾値以上であることが判明した場合(S15でY)には、点灯条件として第6点灯条件を採用した第6取得比較処理を実施する(S16)。この第6取得比較処理では、第3点灯条件と第4点灯条件とを組み合わせた第6点灯条件により、第6ブロック及び第7ブロックのLED素子をそれぞれ点灯させる。そして、第6ブロックに対応する第2判定領域cにおける受光量と、第7ブロックに対応する第3判定領域dにおける受光量とをそれぞれ閾値と比較する。これにより、上記S14の工程で再処理を実施しても、最終的に原稿の主走査方向の長さを正しく特定することができるようになる。
また、読取制御部は、S15の再処理における比較の結果、第1判定領域bにおける受光量について閾値未満であることが判明した場合(S15でN)には、点灯条件として第7点灯条件を採用した第7取得比較処理を実施する(S20)。これにより、上記S14の工程で再処理を実施しても、最終的に原稿の主走査方向の長さを正しく特定することができるようになる。
上述したS9の工程における再処理で取得された基準判定領域aにおける受光量が再び閾値未満になったとする(S10でN)。この場合、第3回目として、基準判定領域aについての再処理をもう1回行うと、第4回目までに、第1取得判定処理から第4取得判定処理までの4つを全て実施することができなくなる。そこで、読取制御部は、S10の工程で基準判定領域aにおける受光量が再び閾値未満になった場合には(S10でN)、基準判定領域aについての受光量の比較結果を確定して、次に、取得判定処理を実施する。この取得判定処理としては、通常の点灯条件の切り替えに従えば、第2点灯条件を採用することになる(第2取得比較処理を実施することになる)。しかしながら、そうすると、第4回目までに、第1取得判定処理から第4取得判定処理までの4つを全て実施することができなくなる。そこで、点灯条件の切り替えの順序を変更して、点灯条件として第5点灯条件を採用した第5取得比較処理を実施する(S17)。この第5取得比較処理では、第1点灯条件と第3点灯条件とを組み合わせた第5点灯条件により、第1ブロック及び第6ブロックのLED素子を点灯させる。そして、第1ブロックに対応する基準判定領域aにおける受光量と、第6ブロックに対応する第2判定領域cにおける受光量とをそれぞれ閾値と比較する。この比較により、前者の受光量について閾値以上であることが判明し(S18でY)、且つ後者の受光量について閾値未満であることが判明した場合には(S19でN)、前述した第7取得比較処理を実施する(S20)。これにより、S9の工程で再処理を実施しても、最終的に原稿の主走査方向の長さを正しく特定することができるようになる。
一方、第1ブロックに対応する基準判定領域aにおける受光量について閾値未満であることが判明した場合には(S18でN)、点灯条件として第8点灯条件を採用した第8取得比較処理を実施する(S21)。この第8取得比較処理では、第1、第2、第3及び第4点灯条件を組み合わせた第8点灯条件により、第1、第5、第6、及び第7ブロックのLED素子をそれぞれ点灯させる。そして、第1、第5、第6、第7ブロックにそれぞれ対応する基準判定領域a、第1判定領域b、第2判定領域c、第3判定領域における受光量を個別に閾値と比較する。これにより、S9の工程で再処理を実施しても、最終的に原稿の主走査方向の長さを正しく特定することができるようになる。
図13は、4回分の取得比較処理や前処理における判定結果と、原稿の主走査方向の長さとの関係の例をそれぞれ示す複数の表を示す図である。同図に示される複数の表において、2行目に記されている1、2、3、4という数字はそれぞれ取得比較処理や前処理の累積実施回数を示している。既に述べたように、それら処理は合計で4回行われるようになっているため、表においては4回分のマス目が設けられている。また、同図に示される複数の表において、3行目に記されている数値は、それぞれ取得比較処理や前処理の図12のフローチャートにおける工程番号を示している。また、複数の表において、a、b、c、dは、基準判定領域a、第1判定領域b、第2判定領域c、第3判定領域dを示している。また、複数の表において、右下隅のマス目に付されている文字は、原稿の主走査方向の長さを示している。例えば、A3という文字が付されている場合には、A3サイズの短手方向の長さが原稿の主走査方向の長さである。他の文字においても、2次元サイズの短手方向の長さが原稿の主走査方向の長さである。また、それぞれの表のマス目に示される○印は、受光量が閾値以上になったことを示している。また、それぞれの表のマス目に示される●印は、受光量が閾値未満になったことを示している。
複数の表のうち、図中左上の表を例にして、表の見方を説明する。図中左上の表の例では、第1回目、第2回目、第3回目、第4回目において、S1の第1取得比較処理、S3の第2取得比較処理、S5の第3取得比較処理、S7の第4取得比較処理が行われている。そして、それらの取得比較処理で取得された受光量が何れも閾値以上になっている。これにより、原稿の主走査方向の長さがA3サイズの短手方向の長さであると特定されている。
なお、第2実施例に係る複写機は、移動照射部(152)を原稿サイズ検知位置(DP)に停止させたままの状態で長さ特定処理を行うようになっているが、第1実施例と同様に、移動照射部を移動させながら長さ特定処理を実施させるようにしてもよい。
[第3実施例]
第3実施例に係る複写機の読取制御部は、長さ特定処理にて、1回目から4回目までに再処理を少なくとも1回実施した場合には、4回目の取得比較処理又は再処理を実施した後、必要に応じて例外として取得比較処理を追加で実施するようになっている。
(発明者の方へのコメント:後述する図14のフローチャートは、届出書の図5のフローチャートとは、少し内容を異ならせています。異ならせた理由は次の通りです。即ち、届出書では、「予め設定された検知回数の最終検知時に前検知とで結果が変わった場合には再度検知回数を補填」するという思想に基づいて実施例が記載されています。この思想は、最終検知で「再処理」を行うことが前提になっていますが、最終検知で「取得比較処理」を行う場合であっても、最終検知よりも前に「再処理」を行っていれば、検知回数の補填が望まれるケースもあり得ると考えました。そこで、本実施例では、「1回目から規定回数目までに再処理を少なくとも1回実施した場合には、例外的に必要に応じて取得比較処理を追加(補填)する」という思想で請求項や実施例を記載しました。この件について、何か問題がある場合には、その旨、ご指摘下されば幸いです。)
図14は、第3実施例に係る複写機の読取制御部によって実施される長さ特定処理の各工程を示すフローチャートである。同図において、取得比較処理の工程の横に付されている丸内の数値は、取得比較処理及び前処理の累積実施回数を示している。
同図のフローチャートにおいて、読取制御部は、まず、第1取得比較処理を実施する(S1)。そして、「基準判定領域aにおける受光量≧閾値」であった場合には(S2でY)、2回目の処理として第2取得比較処理を実施する(S3)。そして、「第1判定領域bにおける受光量≧閾値」であった場合には(S4でY)、3回目の処理として第3取得比較処理を実施する(S5)。そして、「第2判定領域cにおける受光量≧閾値」であった場合には(S6でY)、4回目の処理として第4取得比較処理を実施する(S7)。このように、初回から3回目までの取得比較処理における比較の結果が何れも、閾値以上であった場合には、4回の取得比較処理として、第1取得比較処理、第2取得比較処理、第3取得比較処理、及び第4取得比較処理を実施する。そして、S7において、原稿の主走査方向の長さを特定する。なお、4回目の第4取得比較処理(S7)で「第3判定領域dにおける受光量<閾値」になった場合には、第3判定領域dについての再処理の実施を省略して、閾値未満であるという比較結果を確定する。
また、読取制御部は、上述したS1の工程における第1取得比較処理で「基準判定領域aにおける受光量<閾値」になった場合には(S2でN)、2回目の処理として基準判定領域aについての再処理を実施する(S11)。その後、再処理(S11)において再び同様の比較結果になった場合には(S12でN)、3回目の処理として基準判定領域aについての再処理を実施する(S19)。この再処理(S19)でも同様の比較結果になった場合(S20でN)には、4回目の処理も基準判定領域aについての再処理を実施する(S24)。そして、この再処理でも同様の比較結果になった場合(S25でN)には、基準判定領域aにおける受光量について閾値未満であると確定する。この場合、S7の長さ特定工程(S7)において、原稿無しと判断する。
一方、S24の再処理で「基準判定領域aにおける受光量≧閾値」というように比較結果が変わった場合には、例外的に、第8取得比較処理を5回目の処理として追加で実施する(S26)。この第8取得比較処理は、第2実施例に係る複写機と同様に、第1、第5、第6及び第7ブロックのLEDをそれぞれ点灯させる点灯条件で、4つの判定領域(a,b,c,d)における受光量をそれぞれ取得して閾値と比較する処理である。かかる第8取得比較処理を5回目として追加で実施することで、4回目の再処理の比較結果がそれまでのものから急に変わった場合であっても、S7の工程で原稿の主走査方向の長さを正しく特定することができる。
上記S19の再処理で「基準判定領域aにおける受光量≧閾値」になった場合には(S20でY)、4回目の処理として第2取得比較処理を実施する(S21)。そして、第1判定領域bにおける受光量<閾値」になった場合には(S22でN)、最後の4回目の処理であることから、再処理を省略して第1判定領域bにおける受光量について閾値未満であると確定して、原稿の主走査方向の長さを特定する(S7)。これに対し、「第1判定領域bにおける受光量≧閾値」になった場合には(S22でY)、例外的に、第6取得比較処理を5回目の処理として追加で実施する(S23)。この第6取得比較処理は、第2実施例に係る複写機と同様に、第6及び第7ブロックのLEDをそれぞれ点灯させる点灯条件で、2つの判定領域(c,d)における受光量をそれぞれ取得して閾値と比較する処理である。かかる第6取得比較処理を5回目として追加で実施することで、4回目までに再処理を複数回実施していても、S7の工程で原稿の主走査方向の長さを正しく特定することができる。
S11の再処理で「基準判定領域aにおける受光量≧閾値」であった場合には(S12でY)、3回目の処理として第2取得比較処理を実施する(S13)。そして、「第1判定領域bにおける受光量<閾値」になった場合には(S14でN)、4回目の処理として第1判定領域bについての再処理を実施した後(S18)、制御フローを上述したS22にループさせる。これにより、S7の工程で原稿の主走査方向の長さを正しく特定することができる。一方、S13の第2取得比較処理で「第1判定領域bにおける受光量≧閾値」になった場合には(S14でY)、4回目の処理として第3取得比較処理を実施する(S15)。そして、「第2判定領域cにおける受光量<閾値」になった場合には(S16でN)、最後の4回目の処理であることから、再処理を省略して閾値未満であるという判定結果を確定して、原稿の主走査方向の長さを特定する(S7)。また、「第2判定領域cにおける受光量≧閾値」になった場合には(S16でY)、例外的に、第4取得比較処理を5回目の処理として追加で実施する(S17)。これにより、4回目までの処理で再処理を実施していても、S7の工程で原稿の主走査方向の長さを正しく特定することができる。
また、S3の第2取得比較処理で「第1判定領域bにおける受光量<閾値」になった場合には(S4でN)、3回目の処理として第1判定領域bについての再処理を実施した後(S9)、制御フローを上述したS14にループさせる。これにより、S7の工程で原稿の主走査方向のサイズを正しく特定することができる。
また、S5の第3取得比較処理で「第2判定領域cにおける受光量<閾値」になった場合には(S6でN)、4回目の処理として、第2判定領域cについての再処理を実施した後(S10)、制御フローを上述したS16にループさせる。これにより、S7の工程で原稿の主走査方向のサイズを正しく特定することができる。
以上のように、1回目から4回目までに再処理を少なくとも1回実施した場合には、4回目の後、必要に応じて例外として取得比較処理を追加で実施することで、再処理を実施しても原稿の主走査方向のサイズを正しく特定することができる。
なお、第3実施例に係る複写機は、移動照射部(152)を原稿サイズ検知位置(DP)に停止させたままの状態で長さ特定処理を行うようになっているが、第1実施例と同様に、移動照射部を移動させながら長さ特定処理を実施させるようにしてもよい。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
原稿を載置する原稿台(例えば第2コンタクトガラス155)と、前記原稿台の表面に沿った主走査方向に並ぶ複数の分割光源(例えばLED素子152a’)を具備する光源(例えばLEDアレイ152a)のそれぞれの分割光源から発した光を前記原稿台上の原稿に向けて照射して原稿面での反射光を得ながら、前記表面に沿いつつ主走査方向に直交する方向である副走査方向に移動する移動照射手段(例えば移動照射部152)と、前記移動照射手段からの反射光を受光して原稿の画像を読み取る画像センサー(例えばCCD153)と、前記移動照射手段を副走査方向における原稿サイズ検知位置に移動させた状態で前記原稿の主走査方向の長さを特定するための長さ特定処理を開始し、前記長さ特定処理にて、複数の前記分割光源の少なくとも1つを点灯させながら前記画像センサーによる受光量を取得した結果と所定の閾値とを比較する取得比較処理を、点灯させる前記分割光源を順次切り替えてそれぞれ実施し、それぞれの前記取得比較処理における比較結果に基づいて前記長さを特定する制御手段(例えば読取制御部170)とを有する原稿読取装置(例えばスキャナ150)において、前記取得比較処理にて、前記受光量が前記閾値を下回った場合又は前記閾値以下であった場合には、次回に前記分割光源の点灯条件を切り替えて前記取得比較処理を実施する代わりに、点灯させる前記分割光源を切り替えずに同じ点灯条件で前記受光量を再び取得した結果と前記閾値とを再比較する再処理を少なくとも1回実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記長さ特定処理にて、前記移動照射手段を副走査方向における原稿読取開始位置に向けて移動させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、第1実施例に係る複写機を例にして説明したように、原稿の先端部に形成されたベタ画像に起因する長さの誤特定の発生を抑えることができる。
[態様C]
態様Cは、態様A又はBにおいて、前記長さ特定処理にて、前記再処理の実施の有無にかかわらず、前記取得比較処理や前記再処理を合計で所定の規定回数だけ実施してから前記長さを特定する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、規定回数を限度として必要に応じて処理を繰り返し実施することで、突発的な現象に起因する原稿長さの誤特定の発生をより確実に低減することができる。
[態様D]
態様Dは、態様Cにおいて、前記再処理を実施した場合には、その後、前記点灯条件の切り替えの順序を通常の順序から変更する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、第2実施例に係る複写機を例にして説明したように、再処理を実施しても、取得比較処理及び再処理の累積実施回数を規定回数内に留めつつ、最終的に原稿の主走査方向の長さを正しく特定することができる。
[態様E]
態様Eは、態様C又はDにおいて、前記再処理における比較の結果が前記閾値以上になった場合又は前記閾値を超えた場合には、その後に実施する前記取得比較処理における前記点灯条件として、前記再処理を1回も実施しないで互いに異なる点灯条件で前記規定回数分の前記取得比較処理を実施する場合におけるそれぞれの点灯条件を2つ以上組み合わせたものを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成において、規定回数に達する直前の取得比較処理又は再処理を実施した時点で取得比較処理を必要な回数だけ実施していなかったとする。このような場合であっても、第2実施例に係る複写機を例にして説明したように、規定回数目の取得比較処理で組み合わせの点灯条件で分割光源を点灯させて受光量を取得することで、規定回数内で原稿の主走査方向の長さを正しく特定することができる。
[態様F]
態様Fは、態様C〜Eの何れかにおいて、前記長さ特定処理にて、前記規定回数目に前記取得比較処理を実施し且つその取得比較処理で前記受光量が前記閾値を下回った場合又は前記閾値以下であった場合には、前記再処理の実施を省略する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、再処理の省略により、処理の累積実施回数を規定回数内に収めることができる。
[態様G]
態様Gは、態様C〜Fの何れかにおいて、前記長さ特定処理にて、1回目から前記規定回数目までに前記再処理を少なくとも1回実施した場合には、前記規定回数目の前記取得比較処理又は前記再処理を実施した後、必要に応じて例外として前記取得比較処理を追加で実施し、その取得比較処理にて1回目から規定回数目までで採用しなかった点灯条件で前記分割光源を点灯させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、第3実施例に係る複写機を例にして説明したように、再処理を実施しても、最終的に原稿の主走査方向の長さを正しく特定することができる。
[態様H]
態様Hは、態様A〜Gの何れかにおいて、前記原稿台上に載置された原稿を前記原稿台の表面に向けて押さえる原稿押さえ手段(例えばADF51)と、前記原稿押さえ手段の前記原稿台に対する開閉動作を検知する開閉検知手段(例えば開閉センサー157)とを設けるとともに、前記開閉検知手段によって前記原稿押さえ手段の閉動作が検知されたことに基づいて、前記長さ特定処理を開始する処理を実施するように、制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、開閉動作に連動させて、移動照射手段を原稿サイズ検知位置まで移動させたり、長さ特定処理を開始したりすることができる。