以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機という)に適用した実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。この複写機は、画像形成装置としての画像形成部1と、シート供給装置40と、画像読取システム50とを備えている。画像読取システム50は、画像形成部1の上に固定された画像読取装置としてのスキャナ150と、これに支持される自動原稿搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
シート供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセットから記録シートを送り出す送出ローラ43、送り出された記録シートを1枚ずつに分離する分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の搬送路としての給紙路37に対して、記録シートを搬送する複数の搬送ローラ対46等も有している。
給紙カセット42は、複数の記録シートを重ねたシート束の状態で内部に収容している。そして、一番上の記録シートに対して送出ローラ43を押し当てている。送出ローラ43が回転すると、シート束の一番上の記録シートが給紙カセット42から送り出される。
給紙カセット42の付近では、搬送ローラ対46の第1搬送ローラと、これの側方(図中右側方)に配設された第2搬送ローラとが互いに当接して搬送ニップを形成している。また、第1搬送ローラの下方には、分離ローラ45が配設されており、第1搬送ローラに対して下方から当接して分離搬送ニップを形成している。
送出ローラ43の回転駆動によって給紙カセット42から送り出された記録シートは、搬送ローラ対46の第1搬送ローラと、これの下方に配設された分離ローラ45との当接による分離搬送ニップに進入する。この分離搬送ニップでは、記録シートの上面に当接する第1搬送ローラが図中反時計回り方向に回転駆動しながら、記録シートに対して給紙カセット42側から給送路44側に向かう搬送力を付与する。これに対し、記録シートの下面に当接する分離ローラ45が図中反時計回り方向に回転駆動しながら、記録シートに対して給送路44側から給紙カセット42側に向かう搬送力を付与して、記録シートを給紙カセット42に戻そうとする。
給紙カセット42から記録シートが1枚だけの状態で送り出された場合、分離搬送ニップにおいて、第1搬送ローラと分離ローラ45とが記録シートに対して互いに逆方向に向かう搬送力を付与する。これにより、分離ローラ45の駆動伝達系に所定の閾値を超える負荷がかかる。すると、その駆動伝達系内に配設されたトルクリミッターが作動して、図示しないDCブラシレスモーターからの駆動力の分離ローラ45に対する伝達を切る。これにより、分離ローラ45が第1搬送ローラによって搬送される記録シートに連れ回るようになって、記録シートが分離搬送ニップから給送路44に向けて排出される。
一方、給紙カセット42から記録シートが複数枚重なった状態で送り出された場合、分離搬送ニップにおいて、第1搬送ローラが一番上の記録シートに対して給紙カセット42側から給送路44側に向かう搬送力を付与する。そして、一番上の記録シートを分離搬送ニップから給送路44側に向けて送り出す。これに対し、分離ローラが下側に位置している記録シートに対して給送路44側から給紙カセット側に向かう搬送力を付与して、下側の記録シートを分離搬送ニップ内から給紙カセット42側に逆戻りさせる。これにより、分離搬送ニップでは、一番上の記録シートが他の記録シートから分離されて1枚の状態で給送路44に送り出される。
給送路44に進入した記録シートは、搬送ローラ対46の搬送ニップに進入して、鉛直方向下方側から上方側に向かう搬送力を付与される。これにより、給送路44内では、記録シートが画像形成部1の給紙路37に向けて搬送される。
画像形成部1は、光書込装置2や、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像を形成する4つの作像ユニット3K,Y,M,Cなどを備えている。また、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、給紙路37なども備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
図2は、画像形成部1の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図である。また、図3は、4つの作像ユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。なお、4つの作像ユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図3においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。
作像ユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体とその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成部1本体に対して着脱可能になっている。黒用の作像ユニット3Kを例にすると、これは、感光体4の周りに、帯電装置23、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。本複写機では、4つの作像ユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュウ8、これらスクリュウ間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサー10などを有している。
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ12は、ドクタブレード14との対向位置からスリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ13表面に引き寄せて担持させるとともに、スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサー10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。なお、現像装置6として、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
ドラムクリーニング装置15としては、弾性体からなるクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュウ20上に落下する。回収スクリュウ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡されたトナーを現像装置15に送ってリサイクルする。
除電ランプ22は、光照射によって感光体4を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置23によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。なお、帯電装置23としては、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いている。感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
図2において、4つの作像ユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
4つの作像ユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。転写ユニット24は、複数のローラによって張架した中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと、無端状の中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の1次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら1次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の1次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と2次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの2次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ31には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、2次転写ニップに2次転写電界が形成されている。
この2次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。また、レジストローラ対33のレジストニップの入口付近には、図示しないレジストローラセンサーが配設されている。図示しないシート供給装置からレジストローラ対33に向けて搬送されてくる記録シートは、その先端がレジストローラセンサーに検知された所定時間後記録シートの搬送が一時停止し、レジストローラ対33のレジストニップに先端を突き当てる。
記録シートの先願がレジストニップに突き当たると、レジストローラ対33は、記録シートを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングでローラ回転駆動を再開して、記録シートを2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の作用によって記録シートに一括2次転写され、記録シートの白色と相まってフルカラー画像となる。2次転写ニップを通過した記録シートは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト25の表面には、2次転写ニップで記録シートに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置によって掻き取り除去される。
定着装置34に搬送された記録シートは、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外へと排出される。
図1において、紙搬送ユニット22および定着装置34の下には、スイッチバック装置36が配設されている。これにより、片面に対する画像定着処理を終えた記録シートが、切換爪で記録シートの進路を記録シート反転装置側に切り換えられ、そこで反転されて再び2次転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の2次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ上に排紙される。
画像形成部1の上に固定されたスキャナ150は、移動読取部152を有している。また、スキャナ150やADF51は、それぞれ固定読取部を有している。移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された図示しない第2コンタクトガラスの直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第2コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサー153で受光する。
一方、固定読取部は、スキャナ150の内部に配設された第1面固定読取部151と、ADF51内に配設された図示しない第2面固定読取部とからなる。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサーなどを有する第1面固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された図示しない第1コンタクトガラスの直下に配設されている。そして、後述するADF51によって搬送されるシート状の原稿MSが第1コンタクトガラス上を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサーで受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSの第1面を走査する。また、第2面固定読取部は、第1面固定読取部151を通過した後の原稿MSの第2面を走査する。
スキャナ150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置手段たる原稿載置台53を保持している。また、シート部材としての原稿MSを搬送するための搬送ユニット54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55なども保持している。このADF51は、図4に示されるように、スキャナ150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第1コンタクトガラス154や第2コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADFによる搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図4に示されるように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第2コンタクトガラス154上に載せた後、ADFを閉じる。そして、スキャナ150の図1に示した移動読取部152によってそのページの画像を読み取らせる。
一方、互いに独立した複数の原稿MSを積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADF51によって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ150内の第1面固定読取部151やADF51内の第2面固定読取部に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台53上にセットした後、図示しないコピースタートボタンを押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に搬送ユニット54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ150の第1面固定読取部151の真上に通す。このとき、原稿MSの第1面の画像がスキャナ150の第1面固定読取部151によって読み取られる。
図5は、ADF51の要部構成をスキャナ150の上部とともに示す拡大構成図である。ADF51は、原稿セット部A、分離給送部B、レジスト部C、ターン部D、第1読取搬送部E、第2読取搬送部F、排紙部G、スタック部H等を備えている。また、原稿MSを原稿載置台53から画像読取位置である第1固定読取部151に向けて搬送するための原稿搬送路も備えている。
原稿セット部Aは、原稿MSの束がセットされる原稿載置台53等を有している。また、分離給送部Bは、セットされた原稿MSの束から原稿MSを一枚ずつ分離して給送するものである。また、レジスト部Cは、給送された原稿MSに一時的に突き当たって原稿MSを整合した後に送り出すものである。また、ターン部Dは、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で原稿MSを折り返しながらその上下を反転させるものである。また、第1読取搬送部Eは、第1コンタクトガラス155の上で原稿MSを搬送しながら、第1コンタクトガラス155の下方で図示しないスキャナの内部に配設されている第1固定読取部151に原稿MSの第1面を読み取らせるものである。また、第2読取搬送部Fは、第2固定読取部95の下で原稿MSを搬送しながら、原稿MSの第2面を第2固定読取部95に読み取らせるものである。また、排紙部Gは、両面の画像が読み取られた原稿MSをスタック部Hに向けて排出するものである。また、スタック部Hは、スタック台55の上に原稿MSをスタックするものである。
原稿MSは、原稿MSの束の厚みに応じて図中矢印a、bの方向に揺動可能な可動原稿テーブル54の上に原稿先端部が載せられるとともに、原稿後端側が原稿載置台53の上に載せられた状態でセットされる。このとき、原稿載置台53上において、その幅方向(図紙面に直交する方向)の両端に対してそれぞれ図示しないサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における位置が調整される。このようにしてセットされる原稿MSは、可動原稿テーブル54の上方で揺動可能に配設されたレバー部材62を押し上げる。すると、それに伴って原稿セットセンサー63が原稿MSのセットを検知して、検知信号を図示しないコントローラーに送信する。そして、この検知信号は、コントローラーからI/Fを介してスキャナの読取制御部に送られる。
原稿載置台53には、原稿MSの搬送方向の長さを検知する反射型フォトセンサー又はアクチュエーター・タイプのセンサーからなる第1長さセンサー57、第2長さセンサー58が保持されている。これら長さセンサーにより、原稿MSの搬送方向の長さが検知される。
可動原稿テーブル54の上に載置された原稿MSの束の上方には、カム機構によって上下方向(図中矢印c,d方向)に移動可能に支持されるピックアップローラ80が配設されている。このカム機構は、ピックアップモーター56によって駆動することで、ピックアップローラ80を上下移動させることが可能である。ピックアップローラ80が上昇移動すると、それに伴って可動原稿テーブル54が図中矢印a方向に揺動して、ピックアップローラ80が原稿MSの束における一番上の原稿MSに当接する。更に可動原稿テーブル54が上昇すると、やがてテーブル上昇検知センサー59によって可動原稿テーブル54の上限までの上昇が検知される。これにより、ピックアップモーター56が停止するとともに、可動原稿テーブル54の上昇が停止する。
複写機の本体に設けられたテンキーやディスプレイ等からなる本体操作部に対しては、操作者によって両面読取モードか、あるいは片面読取モードかを示す読取モード設定のためのキー操作や、コピースタートキーの押下操作などが行われる。コピースタートキーが押下されると、図示しない本体制御部からADF51のコントローラーに原稿給紙信号が送信される。すると、ピックアップローラ80が給紙モーター76の正転によって回転駆動して、可動原稿テーブル54上の原稿MSを可動原稿テーブル54上から送り出す。
両面読取モードか、片面読取モードかの設定に際しては、可動原稿テーブル54上に載置された全ての原稿MSについて一括して両面、片面の設定を行うことが可能である。また、1枚目及び10枚目の原稿MSについては両面読取モードに設定する一方で、その他の原稿MSについては片面読取モードに設定するなどといった具合に、個々の原稿MSについてそれぞれ個別に読取モードを設定することも可能である。
ピックアップローラ80によって送り出された原稿MSは、分離搬送部Bに進入して、給紙ベルト84との当接位置に送り込まれる。この給紙ベルト84は、駆動ローラ82などによって張架されており、給紙モーター76の正転に伴う駆動ローラ82の回転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。この給紙ベルト84の下部張架面には、給紙モーター76の正転によって図中時計回りに回転駆動される分離ローラ85が当接している。当接部においては、給紙ベルト84の表面が給紙方向に移動する。これに対し、分離ローラ85は、給紙ベルト84に所定の圧力で当接しており、給紙ベルト84に直接当接している際、あるいは当接部に原稿MSが1枚だけ挟み込まれている際には、ベルト又は原稿MSに連れ回る。但し、当接部に複数枚の原稿MSが挟み込まれた際には、連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなることから、連れ回り方向とは逆の図中時計回りに回転駆動する。これにより、最上位よりも下の原稿MSには、分離ローラ85によって給紙とは反対方向の移動力が付与されて、数枚の原稿から最上位の原稿MSだけが分離される(以下、ここまでの動作を給紙/分離動作という)。
給紙ベルト84や分離ローラ85の働きによって1枚に分離された原稿MSは、レジスト部Cに進入する。そして、突き当てセンサー72の直下を通過する際にその先端が検知される。このとき、ピックアップモーター56の駆動力を受けているピックアップローラ80がまだ回転駆動しているが、可動原稿テーブル54の下降によって原稿MSから離間するため、原稿MSは給紙ベルト84の無端移動力のみによって搬送される。そして、突き当てセンサー72によって原稿MSの先端が検知されたタイミングから所定時間だけ給紙ベルト84の無端移動が継続する。これにより、原稿MSの先端がプルアウト駆動ローラ86とこれに当接しながら回転駆動するプルウト従動ローラ87との当接部に突き当たる。
プルアウト従動ローラ87は、原稿MSを原稿搬送方向下流側の中間ローラ対66まで搬送する役割を担っており、給紙モーター76の逆転によって回転駆動される。給紙モーター76が逆転すると、プルアウト従動ローラ87と、互いに当接している中間ローラ対66における一方のローラとが回転を開始するとともに、給紙ベルト84の無端移動が停止する。また、このとき、ピックアップローラ80の回転も停止される。
プルアウト従動ローラ87から送り出された原稿MSは、原稿幅センサー73の直下を通過する。原稿幅センサー73は、反射型フォトセンサー等からなる紙検知部を複数有しており、これら紙検知部は原稿幅方向(図紙面に直交する方向)に並んでいる。どの紙検知部が原稿MSを検知するのかに基づいて、原稿MSの幅方向のサイズが検知される。また、原稿MSの搬送方向の長さは、原稿MSの先端が突き当てセンサー72によって検知されてから、原稿MSの後端が突き当てセンサー72によって検知されなくなるまでのタイミングに基づいて検知される。
原稿幅センサー73によって幅方向のサイズが検知された原稿MSの先端は、ターン部Dに進入して、中間ローラ対66のローラ間の当接部に挟み込まれる。この中間ローラ対66による原稿MSの搬送速度は、後述する第1読取搬送部Eでの原稿MSの搬送速度よりも高速に設定されている。これにより、原稿MSを第1読取搬送部Eに送り込むまでの時間の短縮化が図られている。
ターン部D内を搬送される原稿MSの先端は、原稿先端が読取入口センサー67との対向位置を通過する。これによって原稿MSの先端が読取入口センサー67によって検知されると、その先端が搬送方向下流側の読取入口ローラ対(89と90との対)の位置まで搬送されるまでに、中間ローラ対66による原稿搬送速度が減速される。また、図示しない読取モーターの回転駆動の開始に伴って、読取入口ローラ対(89,90)における一方のローラ、読取出口ローラ対92における一方のローラ、第2読取出口ローラ対93における一方のローラがそれぞれ回転駆動を開始する。
ターン部D内においては、原稿MSが中間ローラ対66と読取入口ローラ対(89、90)との間の湾曲搬送路で搬送される間に上下面が逆転されるとともに、搬送方向が折り返される。そして、読取入口ローラ対(89、90)のローラ間のニップを通過した原稿MSの先端は、レジストセンサー65の直下を通過する。以下、給紙/分離動作の後、ここまでの動作をプルアウト動作という。
原稿MSの先端がレジストセンサー65によって検知されると、所定の搬送距離をかけながら原稿搬送速度が減速されていく。そして、図示しない搬送モータの停止によってプルアウト駆動ローラ86や中間ローラ対66の回転駆動が停止されるとともに、図示しない読取モータの停止によって読取入口ローラ対の回転駆動が停止される。これにより、第1読取搬送部Eの手前にあるレジスト位置で原稿MSの搬送が一時停止される。また、図示しない読取制御部に対してレジスト停止信号が送信される。
図6は、実施形態に係る複写機の電気回路の一部を示すブロック図である。画像形成部1の本体制御部901、スキャナ903の読取制御部903、ADF51のコントローラー904は、それぞれ、CPU、RAM、ROM等から構成されている。本体制御部901と読取制御部903、読取制御部903とコントローラー904、コントローラー904と本体制御部903は、それぞれ互いに接続されて通信が可能になっている。
コントローラー904に接続された搬送モータ192は、ADF51におけるプルアウト駆動ローラ86や排紙ローラ対94の回転駆動源である。また、コントローラー904に接続されたプルアウトクラッチ193は、搬送モータ192の回転駆動力をプルアウト駆動ローラ86に対して繋いだり切ったりするものである。また、排紙クラッチ194は、搬送モータ192の回転駆動力を、送り出し搬送手段たる排紙ローラ対94に対して繋いだり切ったりするものである。
コントローラー904からのレジスト停止信号を受けた読取制御部903は、給紙許可信号たる読取開始信号をコントローラー904に送信する。すると、コントローラー904は、搬送モータ192や読取モータの回転を再開する。そして、読取モーターのパルスカウントに基づいて算出された原稿MSの先端が第1固定読取部151による読取位置に到達するタイミングで、コントローラー904から読取制御部903に対して原稿MSの第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第1固定読取部151による読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第1面が第1固定読取部151によって読み取られる。
第1読取搬送部Eを通過した原稿MSは、後述の読取出口ローラ対92を経由した後、その先端が排紙センサー61によって検知される。片面読取モードが設定されている場合には、後述する第2固定読取部95による原稿MSの第2面の読取が不要である。そこで、排紙センサー61によって原稿MSの先端が検知されると、排紙クラッチ194によって搬送モータの駆動力が排紙ローラ対94に繋がれる。そして、排紙センサー61によって原稿MSの先端が検知されてからの排紙モーターパルスカウントに基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、排紙クラッチ194の作動が停止される。
一方、両面読取モードが設定されている場合には、排紙センサー61によって原稿MSの先端が検知された後、第2固定読取部95に到達するまでのタイミングが読取モーターのパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラーから読取制御部に対して原稿MSの第2面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第2固定読取部95による読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第2面が第2固定読取部95によって読み取られる。
第2固定読取部95は、密着型イメージセンサー(CIS)からなり、原稿MSに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦スジを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。第2固定読取部95との対向位置には、原稿MSを非読取面側から支持する原稿支持手段としての第2読取ローラ96が配設されている。この第2読取ローラ96は、第2固定読取部95による読取位置での原稿MSの浮きを防止するとともに、第2固定読取部95におけるシェーディングデータを取得するための基準白部として機能する役割を担っている。
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
なお、以下、搬送手段たるプルアウト駆動ローラ86や中間ローラ対66の線速(=搬送モータの回転速度)を、単に搬送速度という。
図7は、コントローラー904によって実施される搬送速度制御の処理フローを示すフローチャートである。コントローラー904は搬送速度制御を開始すると、まず、給紙/分離動作のための処理(ステップ1:以下、ステップをSと記す)と、プルアウト動作のための処理(S2)とを実施する。そして、読取制御部903から発せられる読取開始信号について受信の有無を判定し(S3)、受信している場合には(S3でY)、処理フローを後述するS9に進める。一方、受信していない場合には(S3でN)、レジスト停止処理(S4)を実施して、原稿MSをレジスト位置に一時停止させる(S5)。そして、読取開始信号の受信によって原稿MSの搬送を再開するまで、レジスト停止時間Aを計時する(S6、S7、S8)。その後、原稿MSの搬送を再開したら、搬送速度を速度調整処理によって調整した後(S9)、読取動作のための処理を実施する(S10)。なお、読取動作は、原稿MSを読取入口ローラ対や読取出口ローラ対92によって搬送する動作である。
図8は、上述した速度調整処理における処理フローを示すフローチャートである。速度調整処理(S9)では、まず、搬送の一時停止の有無について判定し(S9−1)、一時停止がある場合には(S9−1でY)、次に、レジスト停止時間Aについて、所定時間T1を超えているか否かを判定する(S9−2)。ここで、レジスト停止時間Aが所定時間T1を超えている場合には、原稿MSをレジスト位置に一時停止させている時間が比較的長いことになり、これは現状の搬送速度がスキャナ150の画像処理速度に対して速すぎることを意味している。このままでは、搬送速度を無駄に速くすることで、無駄な騒音を発し続けることになってしまう。
そこで、レジスト停止時間Aが所定時間T1を超えている場合には(S9−2でY)、現在の搬送速度(搬送モータの回転速度)について、所定の最低速度であるか否かを判定する(S9−3)。このとき、現在の搬送速度が所定の最低速度でない場合には(S9−3でN)、搬送速度をより低下させることが可能であることから、搬送速度をより低下させてから(S9−4)、速度調整処理を終了する。これにより、搬送速度を無駄に速めてしまうことを回避して、無駄な騒音の発生を回避することができる。但し、現在の搬送速度が最低速度である場合には(S9−3でY)、搬送速度をそれ以上低下させることができないことから、そのままの状態で速度調整処理を終了する。
一方、上述したS9−2の工程において、レジスト停止時間Aが所定時間T1を超えていない場合には(S9−2でN)、次に、レジスト停止時間Aについて、所定時間T2(T2<T1)未満であるか否かを判定する(S9−5)。ここで、レジスト停止時間Aが所定時間T2未満である場合には、原稿MSをレジスト位置に一時停止させている時間が比較的短いことになり、これは現状の搬送速度がスキャナ150の画像処理速度に対して比較的遅い状態になっていることを意味している。このままでは、読取の生産性を低下させてしまう。
そこで、レジスト停止時間Aが所定時間T2未満である場合には(S9−5でY)、次に、現在の搬送速度について、所定の最高速度であるか否かを判定する(S9−6)。このとき、現在の搬送速度が所定の最高速度でない場合には(S9−6でN)、搬送速度をより速めることが可能であることから、搬送速度をより速めてから(S9−7)、速度調整処理を終了する。これにより、読取の生産性の低下を抑えることができる。但し、現在の搬送速度が最高速度である場合には(S9−6でY)、搬送速度をそれ以上速めることができないことから、そのままの状態で速度調整処理を終了する。
また、上述したS9−1の工程において、搬送の一時停止がない場合には(S9−1でN)、現状の搬送速度がスキャナ150の画像処理速度に対して比較的遅い状態になっていることを意味している。このままでは、読取の生産性を低下させてしまう。そこで、この場合にも、現在の搬送速度について、所定の最高速度であるか否かを判定する(S9−6)。このとき、現在の搬送速度が所定の最高速度でない場合には(S9−6でN)、搬送速度をより速めることが可能であることから、搬送速度をより速めてから(S9−7)、速度調整処理を終了する。これにより、読取の生産性の低下を抑えることができる。但し、現在の搬送速度が最高速度である場合には(S9−6でY)、搬送速度をそれ以上速めることができないことから、そのままの状態で速度調整処理を終了する。
このように、本複写機においては、現状の搬送速度がスキャナ150の画像処理速度に対して速すぎる場合には、搬送速度をより遅くする。これにより、搬送速度を無駄に速めてしまうことを回避して、無駄な騒音の発生を回避することができる。
また、本複写機においては、上述したS9−2やS9−5の工程を実施することで、搬送速度を、所定時間T2以上、所定時間T1以下の値に維持しようとする。これにより、原稿MSを僅かに一時停止させるほどの比較的速い速度に搬送速度を維持して、高い生産性を維持することができる。
次に、実施形態に係る複写機の一部の構成を他の構成に変更した変形例に係る複写機について説明する。なお、以下に特筆しない限り、変形例に係る複写機の構成は、実施形態と同様である。
図9は、変形例に係る複写機のコントローラー904によって実施される搬送速度制御の処理フローを示すフローチャートである。変形例に係る複写機のコントローラー904は搬送速度制御を開始すると、まず、給紙/分離動作のための処理(S1)と、プルアウト動作のための処理(S2)とを実施する。そして、原稿をレジスト位置まで到達させた後(S3でY)、読取制御部903から発せられる読取開始信号を受信してから(S4でY)、搬送速度を速度調整処理によって調整する(S5)。その後、読取動作のための処理を実施する(S6)。
図10は、コントローラー904によって実施されるタイミング記憶処理の処理フローを示すフローチャートである。このタイミング記憶処理は、上述した搬送速度制御と並行して実施される。タイミング調整処理を開始したコントローラー904は、まず、受信時刻B2として、前々回の読取開始信号を受信した受信時刻(現状の受信時刻B1と同じ値)を記憶する(S100)。次に、受信時刻B1として、前回の読取開始信号を受信した受信時刻(現状の受信時刻B0と同じ値)を記憶する(S101)。その後、受信時刻B0として、今回の読取開始信号を受信した受信時刻を記憶する(S102)。
図11は、上述した搬送速度制御における速度調整処理の処理フローを示すフローチャートである。速度調整処理(S5)では、まず、前回の受信間隔C1として、受信時刻B1と受信時刻B2との差分と同じ値を記憶する(S5−1)。次に、今回の受信間隔C0として、受信時刻B0と受信時刻B1との差分と同じ値を記憶した後(S5−2)、今回の受信間隔C0について、前回の受信間隔C1を超えているか否かを判定する(S5−3)。ここで、今回の受信間隔C0が前回の受信間隔C1を超えている場合には(S5−3でY)、今回の原稿搬送において一時停止が発生した可能性が高い。この場合、現状の搬送速度がスキャナ150の画像処理速度に対して速すぎることになり、このままでは、搬送速度を無駄に速くすることで、無駄な騒音を発し続けることになってしまう。
そこで、今回の受信間隔C0が前回の受信間隔C1を超えている場合には(S5−3でY)、現在の搬送速度について所定の最低速度であるか否かを判定する(S5−4)。このとき、現在の搬送速度が所定の最低速度でない場合には(S5−4でN)、搬送速度をより低下させることが可能であることから、搬送速度をより低下させてから(S5−5)、速度調整処理を終了する。これにより、搬送速度を無駄に速めてしまうことを回避して、無駄な騒音の発生を回避することができる。但し、現在の搬送速度が最低速度である場合には(S5−4でY)、搬送速度をそれ以上低下させることができないことから、そのままの状態で速度調整処理を終了する。
一方、今回の受信間隔C0が前回の受信間隔C1を超えていない場合には(S5−3でN)、現状の搬送速度がスキャナ150の画像処理速度に対して比較的遅い状態になっている可能性が高い。このままでは、読取の生産性を低下させてしまう。
そこで、今回の受信間隔C0が前回の受信間隔C1を超えていない場合には(S5−3でN)、次に、現在の搬送速度について、所定の最高速度であるか否かを判定する(S5−6)。このとき、現在の搬送速度が所定の最高速度でない場合には(S5−6でN)、搬送速度をより速めることが可能であることから、搬送速度をより速めてから(S5−7)、速度調整処理を終了する。これにより、読取の生産性の低下を抑えることができる。但し、現在の搬送速度が最高速度である場合には(S5−6でY)、搬送速度をそれ以上速めることができないことから、そのままの状態で速度調整処理を終了する。
かかる構成においても、現状の搬送速度がスキャナ150の画像処理速度に対して速すぎる場合には、搬送速度をより遅くする。これにより、搬送速度を無駄に速めてしまうことを回避して、無駄な騒音の発生を回避することができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、原稿を載置する原稿載置手段(例えば原稿載置台53)と、前記原稿載置手段に載置されている原稿を画像読取装置の画像読取位置に向けて搬送するための原稿搬送路と、前記原稿搬送路内で原稿を搬送する搬送手段(例えばプリアウト駆動ローラ86、中間ローラ対76)と、先行する原稿を前記画像読取装置(例えばスキャナ150)に送った後、後続の原稿を前記原稿搬送路内の所定位置(例えばレジスト位置)まで搬送した時点で、前記画像読取装置からの給送許可信号をまだ受信していない場合に、前記搬送手段による原稿の搬送を一時停止させる処理を実施する制御手段(例えばコントローラー904)とを有する自動原稿搬送装置(例えばADF51)において、複数の原稿を1枚ずつ連続的に搬送する連続搬送の実施中に、搬送の一時停止の有無、あるいは、前記給送許可信号(例えば読取開始信号)の発信時間間隔(例えば受信間隔C0、C1)に基づいて、前記搬送手段による原稿の搬送速度を調整する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
かかる構成において、自動原稿搬送装置における原稿の搬送速度が画像読取装置の画像処理速度に対して速すぎる場合には、自動原稿搬送装置の原稿搬送路内で搬送される後続の原稿の搬送が原稿搬送路内における所定位置で一時停止する。このとき、前述の所定位置から、画像読取装置の画像読取位置までの距離を非常に短く設定していれば、原稿の搬送速度にかかわらず、原稿の搬送を再開してから、その原稿を原稿読取位置まで移動させて画像読取を開始するまでの時間がほぼ一定になる。また、原稿読取装置が、先行する原稿の画像の読み取りを開始してから、その原稿についての画像処理を終了するまでに要する時間は、後続の原稿の原稿搬送路内における搬送速度にかかわらず、画像処理速度に依存してほぼ一定である。このため、画像読取装置において、先行する原稿についての画像処理が終了するタイミングは、自動原稿搬送装置の原稿搬送路内における後続の原稿の搬送速度にかかわらず、画像読取装置の画像処理速度に依存する所定の読取終了タイミングになる。よって、自動原稿搬送装置による原稿の搬送速度が速すぎて原稿の搬送が一時停止される場合には、先行する原稿や後続の原稿のぞれぞれについて、一時停止の後の搬送再開のタイミングが、画像読取装置の画像処理速度に依存する所定の読取終了タイミングになる。そして、読取終了タイミングは、画像読取装置から自動原稿搬送装置に対して給送許可信号が発信されるタイミングであることから、原稿の搬送速度が速すぎる場合、給送許可信号の発信時間間隔が画像処理速度に依存して比較的短くなる。自動原稿搬送装置の制御手段は、原稿の搬送速度が速すぎることに起因して、原稿の搬送を一時停止させた場合、あるいは、発信時間間隔が比較的短くなった場合に、原稿の搬送速度をより遅くすることで、搬送速度を無駄に速めてしまうことを回避して、無駄な騒音の発生を回避する。一方、自動原稿搬送装置における原稿の搬送速度が画像読取装置の画像処理速度に対して遅すぎる場合には、所定位置における原稿の一時停止が発生しなくなる。また、後続の原稿を自動原稿搬送装置の原稿搬送路における所定位置まで搬送した時点で、先行する原稿についての画像処理が既に終了していることから、その時点は画像処理速度に依存する所定の読取終了タイミングよりも遅いタイミングになる。よって、給送許可信号の発信時間間隔が比較的長くなる。自動原稿搬送装置の制御手段は、原稿の搬送速度が遅すぎることに起因して、原稿の搬送を一時停止させない場合、あるいは、発信時間間隔が比較的長くなった場合に、原稿の搬送速度をより速くする。これにより、搬送速度を画像読取装置の画像処理速度に見合った値まで速める。本発明においては、このように、搬送速度を画像読取装置の画像処理速度に見合った適切な値に調整することで、様々な画像処理速度の画像読取装置に対し、それぞれ無駄な騒音を発生させることなく適切なタイミングで原稿を送り込むことができる。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、原稿搬送の一時停止があった場合に、一時停止時間(例えばレジスト停止時間A)の長さに応じて前記搬送速度を調整する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、発明の実施の形態で説明したように、原稿を僅かに一時停止させるほどの比較的速い速度に搬送速度を維持して、高い生産性を維持することができる。
[態様C]
態様Cは、態様Bにおいて、先行する原稿で搬送の一時停止がなく、且つ、現状の前記搬送速度が所定の最高速度でない場合に、前記搬送速度をより速くする処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、搬送速度を最高速度以下に維持しつつ、原稿を僅かに一時停止させるほどの比較的速い速度に搬送速度を維持して、高い生産性を維持することができる。
[態様D]
態様Dは、態様Aにおいて、前回の前記変化量が今回の前記変化量よりも大きく、且つ、現状の前記搬送速度が所定の最低速度でない場合に、前記搬送速度をより遅くする処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、変形例で説明したように、一時停止の有無を監視することなく、様々な画像処理速度の画像読取装置に対し、それぞれ無駄な騒音を発生させることなく適切なタイミングで原稿を送り込むことができる。
[態様E]
態様Eは、態様Dにおいて、前回の前記変化量が今回の前記変化量よりも小さく、且つ、現状の前記搬送速度が所定の最高速度でない場合に、前記搬送速度をより速くする処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、搬送速度を最高速度以下に維持することができる。
[態様F]
態様Fは、態様A〜Eの何れかにおいて、原稿を前記画像読取位置から送り出し搬送するための送り出し搬送手段(例えば排紙ローラ対94)を設け、且つ、前記搬送速度の調整量に応じて前記送り出し搬送手段による送り出し搬送速度を調整する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、送り出し搬送速度についても、画像読取装置の画像処理速度に応じた適切な値に調整することができる。
[態様G]
態様Gは、原稿の画像を読み取る画像読取装置(例えばスキャナ150)と、前記画像読取装置に向けて原稿を搬送する自動原稿搬送装置(例えばADF51)とを有する原稿読取システム(例えば画像形成システム50)において、前記自動原稿搬送装置として、態様A〜Fの何れかを用いたことを特徴とするものである。
[態様H]
態様Hは、原稿の画像を読み取るための原稿読取システムと、前記原稿読取システムによる画像の読み取り結果に基づいて、複写画像を形成する画像形成装置(例えば画像形成部1)とを備える複写機において、前記原稿読取システムとして、態様Gの原稿読取システムを用いたことを特徴とするものである。