JP5448066B2 - シート材搬送装置、画像読取装置および画像形成装置 - Google Patents

シート材搬送装置、画像読取装置および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、複数枚のシート材を収容するシート材収容部からシート材を一枚ずつ分離して搬送するシート材搬送装置、並びにこのシート材搬送装置を備えた画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
従来、複写機の画像読取部やスキャナとして用いられる画像読取装置としては、シート状の原稿を搬送しながら、装置に固定された画像読取手段によって原稿画像を読み取る、所謂、シートスルー方式で画像を読み取ることでができるものがある。
シートスルー方式の画像読取装置は、複数枚の原稿を重ねて載置するシート材収容部としての原稿台から画像読取手段によって原稿画像を読み取る読取位置まで原稿を一枚ずつ搬送するシート材搬送装置としての原稿自動搬送装置を備えている。このような画像読取装置が備える原稿自動搬送装置は、連続して原稿を読み取るときに、連続して搬送される二枚の原稿(以下、前原稿及び次原稿と呼ぶ)の少なくとも一部が重なって搬送される重送を防止する必要がある。
従来の原稿自動搬送装置としては、原稿を読取位置まで搬送する原稿搬送部と、原稿台上に載置された複数枚の原稿のうちの一枚を呼び出して原稿搬送部に向けて送り出す原稿呼出部材としてのピックアップローラとを備えたものがある。このピックアップローラは、原稿台上の搬送方向の所定の位置で原稿台上に載置された複数枚の原稿の一番上にある一枚の原稿の上面に接触して回転駆動することにより、上記一枚の原稿に対して原稿搬送部に向かう搬送力を付与する。このような原稿自動搬送装置では、ピックアップローラに搬送力が付与された前原稿と重なって、前原稿とともに原稿搬送部に向かおうとする次原稿を前原稿から分離し、前原稿のみを原稿搬送部に向けて搬送する分離搬送部を備える。この分離搬送部が原稿を一枚ずつ原稿搬送部に向けて搬送することにより、重送を防止している。
また、従来の原稿自動搬送装置では、原稿搬送部内の所定の位置に配置されたセンサによって前原稿の先端を検知すると、ピックアップローラによる搬送力の付与を停止する。具体的には、原稿台上に載置された原稿の上面からピックアップローラを離間させたり、ピックアップローラの回転駆動を停止させたりする。これは、以下の理由による。すなわち、ピックアップローラが原稿台上に載置された原稿に接触する搬送方向の所定の位置を前原稿の後端が通過すると、ピックアップローラは前原稿の下に載置された次原稿に接触する。このとき、ピックアップローラが接触する所定の位置から次原稿の先端までの間は次原稿と前原稿とが重なったままの状態である。よって、ピックアップローラが接触する所定の位置を前原稿の後端が通過した後もピックアップローラを回転駆動し続けると、次原稿の先端側の一部と前原稿の後端側の一部とが重なったままの状態で次原稿に搬送力が付与され、重送の原因となるおそれがある。
ピックアップローラによる搬送力の付与を停止した後はピックアップローラ以外の他の搬送部材によって前原稿を搬送するため、ピックアップローラによる搬送力の付与の停止は、ピックアップローラ以外の他の搬送部材によって搬送力を付与され得る位置に前原稿が到達した後に行う。
また、前原稿を搬送して搬送力の付与を停止したピックアップローラが次原稿の搬送のために搬送力の付与を再開するときに、前原稿と次原稿との一部が重なったままの状態で搬送力の付与が再開されると重送の原因となる。よって、ピックアップローラによって次原稿を搬送し始めるタイミングは、前原稿がピックアップローラ以外の他の搬送部材によって搬送され、前原稿の後端が次原稿の先端の在る位置を通過した後とする必要がある。
従来の原稿自動搬送装置としては、分離搬送部に対して搬送方向下流側に原稿の後端を検知する後端検知センサを備え、後端検知センサが分離搬送部を通過した前原稿の後端を検知したことをトリガとしてピックアップローラによる次原稿の搬送を行う制御を開始するものがある。このような構成であれば、ピックアップローラによって次原稿を搬送し始めるタイミングは、前原稿の後端が次原稿の先端のある位置を通過した後となり、重送を防止することができる。
このような原稿自動搬送装置によって原稿台上の原稿を一枚ずつ読取位置まで搬送して原稿画像を読み取る画像読取装置では、連続して原稿を読み取るときの生産性を向上するためには、前原稿の後端と次原稿の先端と間隔(以下、紙間と呼ぶ)をできるだけ狭めることが求められる。しかしながら、上述したように前原稿の後端を検知したことをトリガとして呼出動作を開始すると、紙間をあまり狭めることはできない。これは、前原稿の後端が分離搬送部を通過した後であれば、すぐにでも原稿台上の次原稿を搬送し始めても良いにも係わらず、前原稿の後端が分離搬送部を通過してから原稿台上の次原稿を搬送し始めるまでに短縮することが困難なタイムラグが生じているためである。以下、このタイムラグについて説明する。
前原稿の後端が分離搬送部を通過したことをトリガとしてピックアップローラによる次原稿の搬送を開始させると、前原稿の後端が分離搬送部を通過した後、ピックアップローラの駆動モータが立ち上がるまでは、次原稿の搬送は開始されない。さらに、搬送力の付与を停止するときに原稿の上面からピックアップローラを離間させる構成では、離間したピックアップローラを原稿と接触する位置まで移動させるまでは、次原稿の搬送を開始することができない。このような、駆動モータの立ち上がり時間やピックアップローラを移動させる時間などの呼出動作の立上時間が上述した短縮することが困難なタイムラグとなる。そして、このタイムラグの間に前原稿が搬送された距離がそのまま紙間を広めてしまっている。
上述したタイムラグの影響を軽減するためには、できるだけ早いタイミングで前原稿の後端の通過を検知できる位置に後端検知センサを配置することが考えられる。従来よりも早いタイミングで前原稿の後端が通過する位置としては分離搬送部よりも上流側がある。分離搬送部よりも上流側で前原稿の後端の通過を検知できる構成として、特許文献1には、原稿台上の原稿の束の上面に接触するコロ部材を配置し、コロ部材の速度変化を検出することによって前原稿の後端の通過を検知する構成が記載されている。しかし、特許文献1の構成では、ピックアップローラよりもさらに上流側に原稿台上の原稿の上面に接触するコロ部材が張り出す形となり、原稿台への原稿セット性が大きく損なわれ、操作性の低下に繋がるため実用的ではないという問題がある。
また、分離搬送部よりも上流側は、次原稿が前原稿と重なった状態で前原稿と共に移動する状態となることがあり、この状態では前原稿と次原稿との区別が困難であるため、前原稿の後端の通過を検出することは困難である。よって、前原稿の後端の通過を検出できる位置としては、前原稿と次原稿との分離が完了している分離搬送部よりも下流側の位置となり、後端検知センサの位置の配置により前原稿の後端の検知するタイミングを早めるのは限界がある。
特許文献2には、分離搬送部の下流側を前原稿の後端が通過したことを次原稿の搬送を開始するトリガとする構成で、分離搬送部における原稿の搬送速度を読取位置における原稿の搬送速度よりも速い速度に設定した構成が記載されている。このような構成であれば、次原稿の搬送を開始したときに紙間が広がっていても、前原稿が読取位置を通過しているときに分離搬送部を搬送される次原稿が前原稿の搬送速度よりも速い速度で搬送されるため、上述したタイムラグで広がった紙間を狭めることができる。
しかしながら、読取位置における搬送の高速化に伴い、上述したタイムラグで広がった紙間を十分に詰めるほどに分離搬送部における搬送速度と読取位置における搬送速度とに速度差を設けることは困難となる。よって、次原稿を搬送し始めた時点での紙間を従来よりも狭めることが望まれる。
上記特許文献2に記載の原稿自動搬送装置では、原稿呼出部材によって搬送力が付与された前原稿の後端が分離搬送部の下流側の位置を通過したことを検知した後に、次原稿に対する呼出動作を開始するため、呼出動作の立上時間のタイムラグによって紙間が広がっている。呼出動作の立上時間のタイムラグによって紙間が広がる問題は、前原稿の後端の通過を検知する位置が分離搬送部の下流側の位置である原稿自動搬送装置に限るものではない。次原稿に対して搬送力を付与し始めても重送を防止できる位置に後端検知センサを配置し、前原稿の後端の通過を検知したことをトリガとして次原稿の搬送を行う制御を開始する原稿自動搬送装置であれば、同様の問題が生じ得る。
また、上述の呼出動作の立上時間のタイムラグによって紙間が広がる問題は、原稿自動搬送装置に限るものではなく、複数枚のシート材を収容するシート材収容部から一枚ずつ搬送目的位置まで搬送するシート材搬送装置であれば生じ得る。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、複数枚のシート材を収容するシート材収容部から一枚ずつ搬送目的位置まで搬送するときに、連続して搬送される二枚のシート材の重送を防止しつつ、紙間を従来よりも十分に狭めることが可能なシート材搬送装置、並びに、これを備えた画像読取装置、及び画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数枚のシート材を重ねて収容するシート材収容部と、シート材を所定の搬送目的位置まで搬送するシート材搬送部と、該シート材収容部の複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材に対して該シート材搬送部側に向かう搬送力を付与して複数枚のシート材から一枚のシート材を呼び出すシート材呼出手段と、該シート材呼出手段に搬送力が付与された一枚のシート材と重なって該シート材搬送部に向かおうとする他のシート材を該一枚のシート材から分離し、該一枚のシート材のみを該シート材搬送部に向かわせる分離手段と、該シート材呼出手段を制御するシート材呼出制御手段とを有し、該シート材呼出手段は、該シート材呼出制御手段から送信される呼出開始信号を受信すると上記一枚のシート材に対して搬送力を付与するための呼出動作を開始し、該呼出動作を開始してから該一枚のシート材を搬送し始めるまでに所定の立ち上がり時間を要する構成であり、該一枚のシート材に対して搬送力を付与し始めた後、次の一枚のシート材に対して搬送力を付与する状態となる前に該シート材呼出手段による搬送力の付与を停止するシート材搬送装置において、上記シート材搬送部内の所定の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の先端を検知し、この先端を検知したときに先端検知信号を上記シート材呼出制御手段に送信する先端検知手段を有し、該シート材呼出制御手段は、該先端検知信号に基づいて、所定のタイミングで上記シート材呼出手段に上記呼出開始信号を送信し、上記シート材収容部に収容されるシート材の搬送方向の長さの情報であるシート材長さ情報を上記シート材呼出制御手段に入力するシート材長さ情報入力手段を有し、該シート材呼出制御手段は、上記先端検知信号と該シート材長さ情報とに基づいて上記シート材呼出手段に上記呼出開始信号を送信し、上記分離手段の分離作用が働く領域よりもシート材の搬送方向下流側の所定の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の後端を検知し、この後端を検知したときに後端検知信号を上記シート材呼出制御手段に送信する後端検知手段を有し、上記シート材呼出制御手段は、上記シート材長さ情報に基づいて、上記シート材収容部に収容されるシート材の搬送方向の長さが所定の範囲内であると判断した場合は、上記先端検知信号を受信した後の所定のタイミングで上記呼出開始信号を上記シート材呼出手段に送信し、該シート材収容部に収容されるシート材の搬送方向の長さが所定の範囲外であると判断した場合は、上記後端検知信号を受信した後の所定のタイミングで上記呼出開始信号を上記シート材呼出手段に送信することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のシート材搬送装置において、上記シート搬送部内の複数の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の先端を検知できるように上記先端検知手段を複数備え、上記シート材呼出制御手段は、上記シート材長さ情報に基づいて複数の該先端検知手段の一つを選択し、選択した該先端検知手段からの上記先端検知信号を受信した後の所定のタイミングで上記呼出開始信号を上記シート材呼出手段に送信することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1に記載のシート材搬送装置において、上記シート材呼出制御手段は、上記所定のタイミングの情報が複数記憶された記憶部を備え、該シート材呼出制御手段は、上記シート材長さ情報に基づいて複数の所定のタイミングの一つを選択し、上記先端検知信号を受信した後の選択した上記所定のタイミングで上記呼出開始信号を上記シート材呼出手段に送信することを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、複数枚のシート材を重ねて収容するシート材収容部と、シート材を所定の搬送目的位置まで搬送するシート材搬送部と、該シート材収容部の複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材に対して該シート材搬送部側に向かう搬送力を付与して複数枚のシート材から一枚のシート材を呼び出すシート材呼出手段と、該シート材呼出手段に搬送力が付与された一枚のシート材と重なって該シート材搬送部に向かおうとする他のシート材を該一枚のシート材から分離し、該一枚のシート材のみを該シート材搬送部に向かわせる分離手段と、該シート材呼出手段を制御するシート材呼出制御手段とを有し、該シート材呼出手段は、該シート材呼出制御手段から送信される呼出開始信号を受信すると上記一枚のシート材に対して搬送力を付与するための呼出動作を開始し、該呼出動作を開始してから該一枚のシート材を搬送し始めるまでに所定の立ち上がり時間を要する構成であり、該一枚のシート材に対して搬送力を付与し始めた後、次の一枚のシート材に対して搬送力を付与する状態となる前に該シート材呼出手段による搬送力の付与を停止するシート材搬送装置において、上記シート材搬送部内の所定の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の先端を検知し、この先端を検知したときに先端検知信号を上記シート材呼出制御手段に送信する先端検知手段を有し、該シート材呼出制御手段は、該先端検知信号に基づいて、所定のタイミングで上記シート材呼出手段に上記呼出開始信号を送信し、上記シート材収容部に収容されるシート材の搬送方向の長さの情報であるシート材長さ情報を上記シート材呼出制御手段に入力するシート材長さ情報入力手段を有し、該シート材呼出制御手段は、上記先端検知信号と該シート材長さ情報とに基づいて上記シート材呼出手段に上記呼出開始信号を送信し、上記シート搬送部内の複数の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の先端を検知できるように上記先端検知手段を複数備え、上記シート材呼出制御手段は、上記シート材長さ情報に基づいて複数の該先端検知手段の一つを選択し、選択した該先端検知手段からの上記先端検知信号を受信した後の所定のタイミングで上記呼出開始信号を上記シート材呼出手段に送信することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、上記シート材長さ情報入力手段は、上記シート材収容部に収容するシート材の搬送方向の長さを検知するシート材長さ検知手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、上記シート材呼出手段は、上記シート材収容部に重なって収容される複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材に接触した状態で駆動することによってその一枚のシート材に対して搬送力を付与するシート材呼出部材と、該シート材呼出部材を該シート材収容部内のシート材に対して接触または離間させるシート材呼出部材接離機構とを備え、該シート材呼出手段が上記呼出開始信号を受信すると、上記呼出動作として、該シート材呼出部材接離機構が該シート材呼出部材を該シート材収容部内のシート材に対して接触させる動作と、シート材に接触した該シート材呼出部材を駆動する動作とを実行することを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、上記先端検知手段がシート材の先端を検知する先端検知位置よりもシート材の搬送方向上流側の上記シート材搬送部内の所定の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の先端を検知し、この先端を検知したときに上流側先端検知信号を上記シート材呼出制御手段に送信する上流側先端検知手段を有し、上記シート材呼出手段は、上記シート材収容部に重なって収容される複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材に接触した状態で駆動することによって搬送力を付与するシート材呼出部材と、該シート材呼出部材を該シート材収容部内のシート材に対して接触または離間させるシート材呼出部材接離機構とを備え、上記シート材呼出制御手段は、上記上流側先端検知信号に基づいて、所定のタイミングで上記シート材呼出手段に呼出動作の前の準備動作を行うための呼出準備信号を送信し、該シート材呼出手段が上記呼出準備信号を受信すると、上記準備動作として、上記シート材呼出部材接離機構が上記シート材呼出部材を上記シート材収容部内のシート材に対して接触させる動作を実行し、該シート材呼出手段が上記呼出開始信号を受信すると、上記呼出動作として、シート材に接触した該シート材呼出部材を駆動する動作を実行することを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、上記シート材呼出手段は、上記シート材収容部に重なって収容される複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材に接触した状態で駆動することによって搬送力を付与するシート材呼出部材を備え、該シート材呼出手段が上記呼出開始信号を受信すると、上記呼出動作として、シート材に接触した該シート材呼出部材を駆動する動作を実行することを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項のシート材搬送装置において、上記シート材呼出手段は、上記シート材呼出部材を上記シート材収容部内のシート材に対して接触または離間させるシート材呼出部材接離機構を備えることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項のシート材搬送装置において、上記シート材呼出手段が上記呼出開始信号を受信すると、上記呼出動作として、上記シート材呼出部材接離機構が上記シート材呼出部材を上記シート材収容部内のシート材に対して接触させる動作と、シート材に接触した該シート材呼出部材を駆動する動作とを実行することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、上記分離手段の分離作用が働く領域よりもシート材の搬送方向下流側の所定の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の後端を検知し、この後端を検知したときに後端検知信号を上記シート材呼出制御手段に送信する後端検知手段と、該分離手段の分離作用が働く領域の近傍でシート材の重送が発生しているか否かを検知する重送検知手段とを有し、上記シート材呼出制御手段は、該重送検知手段が重送の発生を検知した場合は、上記後端検知信号を受信した後の所定のタイミングで上記呼出開始信号を上記シート材呼出手段に送信することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11のシート材搬送装置において、上記重送検知手段は、超音波式の検知センサであることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項11のシート材搬送装置において、上記重送検知手段は、光透過式の検知センサであることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、シート材としての原稿用紙を搬送する原稿搬送手段と、該原稿搬送手段によって搬送される原稿用紙の原稿画像を読み取る読取手段とを備えた画像読取装置において、上記原稿搬送手段として、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシート材搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、画像読取手段と、該画像読取手段で読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、該画像読取手段として、請求項14の画像読取装置を備えることを特徴とするものである。
本発明においては、シート材呼出制御手段は、連続して搬送される二枚のシート材(以下、前シート材及び次シート材と呼ぶ)のうちの前シート材の先端を先端検知手段が検知した先端検知信号に基づいて所定のタイミングで次シート材の搬送を行うための呼出開始信号をシート材呼出手段に送信する。このため、シート材の通過を検知する検知手段で前シート材の後端を検知したことをトリガとするものとは異なり、検知手段で検知する位置に前シート材の後端が到達する前の従来よりも早いタイミングで、次シート材の呼出動作を開始するトリガを設定することが可能となる。これにより、従来のように、前シート材の後端が検知手段で検知する位置に到達した後、さらに立ち上がり時間が経過してから次シート材を搬送し始める構成に比べて、次原稿の搬送開始が可能な状態になってからのタイムラグを短くすることが出来る。
また、シート材呼出手段が呼出信号を受信してから所定の立ち上がり時間が経過したタイミングが、前シート材の後端が上記重送の発生を防止できる位置に到達した後のタイミングとなるように、シート材呼出制御手段が呼出開始信号を送信する所定のタイミングを設定することで、重送の発生を防止することが出来る。
本発明によれば、連続して搬送される二枚のシート材の重送を防止しつつ、従来よりもタイムラグを短くすることで紙間を従来よりも狭めることができるという優れた効果がある。
本実施形態のADFをスキャナの上部とともに示す概略構成図。 実施形態に係る複写機を示す概略構成図。 同複写機における画像形成部の一部を拡大して示す部分構成図。 同画像形成部における4つのプロセスユニットからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図。 同複写機のスキャナ及びADFを示す斜視図。 ADF51全体の制御ブロック図。 固定画像読取部の制御部ブロック図。 実施例1のADFの概略説明図。 実施例1のADFの構成で対象長さセンサが2つのセンサからなる構成の概略説明図。 実施例1のADFで、ピックアップローラの回転によって前原稿の搬送が開始されたタイミングの説明図。 実施例1のADFで、ピックアップローラの回転によって搬送される前原稿が分離ニップ部に進入する直前のタイミングの説明図。 実施例1のADFで、ピックアップローラの上昇を開始するタイミングの説明図。 実施例1のADFで、先端検知センサによって前原稿の先端検知が成されたタイミングの説明図。 実施例1のADFで、ピックアップローラの下降が終わったタイミングの説明図。 実施例1のADFで、ピックアップローラの回転によって次原稿の搬送が開始されたタイミングの説明図。 実施例1のADFにおける各モータの駆動のタイミングを示すタイミングチャート。 変形例のADFの概略説明図。 変形例のADFの分離ニップ部において重送が発生した状態で、先端検知センサによって前原稿の先端検知が成されたタイミングの説明図。 変形例のADFの分離ニップ部において重送が発生した状態で、ピックアップローラの下降が終わったタイミングの説明図。 変形例のADFの分離ニップ部において重送が発生した後で、ピックアップローラの回転によって次原稿の搬送が開始されたタイミングの説明図。 実施例2のADFで、ピックアップローラの回転によって前原稿の搬送が開始されたタイミングの説明図。 実施例2のADFで、前原稿が突き当たった後、プルアウトローラ対を回転し始めたタイミングの説明図。 実施例2のADFで、ピックアップローラの下降が終わったタイミングの説明図。 実施例2のADFにおける各モータの駆動のタイミングを示すタイミングチャート。 実施例2のADFに重送検知センサを配置した構成の説明図。 先端検知センサの先端検知後すぐに呼出動作を行う構成の呼出動作のトリガを決定する制御のフローチャート。 図25に示すADFの構成の次原稿の搬送を開始するトリガを決定する制御のフローチャート。 実施例3のADFで、ピックアップローラの下降が終わったタイミングの説明図。 実施例3のADFで、ピックアップローラの回転によって次原稿の搬送が開始されたタイミングの説明図。 先端検知センサの先端検知後、所定の時間だけ経過した後に呼出動作を行う構成の呼出動作のトリガを決定する制御のフローチャート。 実施例3のADFに重送検知センサを配置した構成の説明図。 図31に示すADFの構成の呼出動作を開始するトリガを決定する制御のフローチャート。 実施例4のADFの概略説明図。 実施例4のADFで呼出動作のトリガを決定する制御のフローチャート。 実施例4のADFに重送検知センサを配置した構成の説明図。 図35に示すADFの構成の次原稿の搬送を開始するトリガを決定する制御のフローチャート。 実施例5のADFの概略説明図。 実施例5のADFで呼出動作のトリガを決定する制御のフローチャート。 実施例5のADFに重送検知センサを配置した構成の説明図。 図39に示すADFの構成の次原稿の搬送を開始するトリガを決定する制御のフローチャート。 実施例6のADFの概略説明図。 実施例6のADFで呼出動作のトリガを決定する制御のフローチャート。 実施例6のADFに重送検知センサを配置した構成の説明図。 図43に示すADFの構成の呼出動作を開始するトリガを決定する制御のフローチャート。 比較例のADFで、前原稿の搬送が開始され、分離ニップ部に進入する直前のタイミングの説明図。 比較例のADFで、前原稿の先端が分離ニップ部を通過したタイミングの説明図。 比較例のADFで、ピックアップローラの上昇が終わったタイミングの説明図。 比較例のADFで、ピックアップローラの下降が終わったタイミングの説明図。 比較例のADFで、次原稿の搬送が開始され、分離ニップ部に進入する直前のタイミングの説明図。
以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機500という)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機500の基本的な構成について説明する。
図2は、複写機500を示す概略構成図である。この複写機は、画像形成装置としての画像形成部1と、転写紙供給装置40と、画像読取ユニット50とを備えている。画像読取装置としての画像読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定されたスキャナ150と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
転写紙供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの転写紙給紙カセット42、転写紙給紙カセット42から転写紙を送り出す転写紙送出ローラ43、送り出された転写紙を分離して転写紙給紙路44に供給する転写紙分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の搬送路としての本体側転写紙給紙路37に、シート状部材としての転写紙を搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、転写紙給紙カセット42内の転写紙を画像形成部1内の本体側転写紙給紙路37内に給紙する。
画像形成手段としての画像形成部1は、光書込装置2や、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、本体側転写紙給紙路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
図3は、画像形成部1の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図である。また、図4は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図4においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体とその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成部1本体に対して着脱可能になっている。一つのプロセスユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置5、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。複写機500では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュ8、これらスクリュ間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ13は、ドクタブレード14との対向位置から現像スリーブ12の回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれ現像スリーブ12上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ12表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ12表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、磁気ブラシを形成し、現像スリーブ12に担持され現像領域を通過した二成分現像剤は、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。現像装置6としては、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
ドラムクリーニング装置15としては、弾性体からなるクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュ20上に落下する。回収スクリュ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡された回収トナーを現像装置6に送ってリサイクルする。
除電ランプ22は、光照射によって感光体4の表面を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置5によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。複写機500では、帯電装置5として帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いているが、感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
先に示した図3において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。転写ユニット24は、複数のローラによって張架した中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと、中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら一次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの二次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。また、レジストローラ対33のレジストニップの入口付近には、図示しないレジストローラセンサが配設されている。転写紙供給装置40からレジストローラ対33に向けて搬送されてくる転写紙Pは、その先端が不図示のレジストローラセンサに検知された所定時間後に転写紙Pの搬送が一時停止し、レジストローラ対33のレジストニップに先端を突き当てる。この結果、転写紙Pの姿勢が修正され、画像形成との同期をとる準備が整う。
転写紙Pの先願がレジストニップに突き当たると、レジストローラ対33は、転写紙Pを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングでローラ回転駆動を再開して、転写紙Pを二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙Pに一括二次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト25のおもて面には、二次転写ニップで転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、クリーニング部材が中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
定着装置34に搬送された転写紙Pは、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外の排紙トレイ501へと排出される。
先に示した図2において、紙搬送ユニット28および定着装置34の下には、転写紙反転装置であるスイッチバック装置36が配設されている。これにより、両面プリントを行う場合には、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pの搬送経路が、切換爪によってスイッチバック装置36側に切り換えられ、そこで反転されて再び二次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ501上に排紙される。
画像形成部1の上に固定されたスキャナ150やこれの上に固定されたADF51からなる画像読取ユニット50は、固定読取部や移動読取部152を有している。移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第二コンタクトガラス155の直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第二コンタクトガラス155上に載置された図示しない原稿MSの下面で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ150に固定された画像読取センサ153で受光する。
一方、画像読取ユニット50は固定読取部として、スキャナ150の内部に配設された第一固定読取部151と、ADF51内に配設された後述する第二固定読取部95とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する第一固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第一コンタクトガラス154の直下に配設されている。そして、ADF51によって搬送される原稿MSが第一コンタクトガラス154上を通過する際に、光源から発した光を原稿MSの第一面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサ153で受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSの第一面を走査する。また、第二固定読取部95は、第一固定読取部151を通過した後の原稿MSの第二面を走査する。
スキャナ150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53、シート材としての原稿MSを搬送するための原稿搬送部54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55などを保持している。図5に示すように、スキャナ150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第一コンタクトガラス154や第二コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADF51による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図5に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第二コンタクトガラス155上に載せた後、ADF51を閉じる。そして、スキャナ150の図2に示した移動読取部152によってそのページの画像を読み取らせる。
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADF51によって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ150内の第一固定読取部151やADF51内の第二固定読取部95に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台53上にセットした後、操作部108のコピースタートボタン158を押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に原稿搬送部54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ150の第一固定読取部151の真上に通す。このとき、原稿MSの第一面の画像がスキャナ150の第一固定読取部151によって読み取られる。
次に、ADF51について説明する。
図1は、ADF51の要部構成をスキャナ150の上部とともに示す拡大構成図である。ADF51は、原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、ターン部D、第一読取搬送部E、第二読取搬送部F、排紙部G、スタック部H等を備えている。本実施形態のADF51の原稿搬送部54は、分離搬送部Bの下流側の分離センサS3による検知位置から、読取入口ローラ対90までの原稿MSが搬送される経路を構成する部分である。
原稿セット部Aは、原稿MSの束が第一面が上方となるようにセットされる原稿載置台53等を有している。分離搬送部Bは、セットされた原稿MSの束から原稿MSを一枚ずつ分離して給送するものである。レジスト部Cは、給送された原稿MSに一時的に突き当たって原稿MSを整合した後に送り出すものである。ターン部Dは、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で原稿MSを折り返しながらその上下を反転させて、原稿MSの第一面を下方に向けるものである。第一読取搬送部Eは、第一コンタクトガラス154の上で原稿MSを搬送しながら、第一コンタクトガラス154の下方からスキャナ150の内部に配設されている第一固定読取部151に原稿MSの第一面を読み取らせるものである。第二読取搬送部Fは、第二固定読取部95の下方に配置された第二読取ローラ96によって原稿MSを搬送しながら、原稿MSの第二面を第二固定読取部95に読み取らせるものである。また、排紙部Gは、両面の画像が読み取られた原稿MSをスタック部Hに向けて排出するものである。また、スタック部Hは、原稿スタック台55の上に原稿MSをスタックするものである。
図6は、ADF51全体の制御ブロック図である。ADF51の制御部は、原稿の搬送動作の駆動を行う駆動部である各モータ101〜105、113〜115、各種センサ部、固定画像読取部300(第一固定読取部151または第二固定読取部95)、一連の動作を制御するコントローラ100等から構成されている。
図7は、固定画像読取部300の制御部ブロック図である。固定画像読取部300は、光源部200、センサチップ201、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206等から構成されている。
読取を行う原稿MSは、原稿先端部を支持し原稿MSの束の厚みに応じて図中矢印a、b方向に揺動可能な可動原稿テーブル53bと、原稿後端側を支持する固定原稿テーブル53aとから構成される原稿載置台53上に、第一面が上向きとなるように載せられた状態でセットされる。このとき、原稿載置台53上において、その幅方向(原稿MSの搬送方向に直交する方向で、図紙面に直交する方向)の両端に対してそれぞれ図示しないサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における位置決めがなされる。
このようにして原稿載置台53にセットされる原稿MSは、可動原稿テーブル53bの上方で揺動可能に配設されたレバー部材であるセットフィラー62を押し上げる。すると、それに伴って原稿セットセンサ63が原稿MSのセットを検知して、検知信号をコントローラ100に送信する。そして、この検知信号は、コントローラ100からインターフェイス回路(以下、I/F107と呼ぶ)を介して画像読取ユニット50の本体制御部111に送信される。
また、固定原稿テーブル53aには、原稿MSの搬送方向の長さを検知する反射型フォトセンサ又は原稿一枚でも検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサからなる複数の原稿長さセンサ(S4、57、58a、58b)が配置されている。これらの原稿長さセンサにより、原稿MSの搬送方向の長さの概略が判定される(少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサ配置が必要)。
可動原稿テーブル53bの上方にはピックアップローラ80が配置されている。
可動原稿テーブル53bは、底板上昇モータ105の駆動により、駆動するカム機構によって図中矢印a、b方向に揺動する。原稿MSが原稿載置台53にセットされたことをセットフィラー62や原稿セットセンサ63で検知すると、コントローラ100は底板上昇モータ105を正転させて束状の原稿MSの最上面がピックアップローラ80と接触するように可動原稿テーブル53bを上昇させる。
ピックアップローラ80は、ピックアップ昇降モータ101によって駆動するカム機構により、図中矢印c、d方向に移動可能となっている。また、ピックアップローラ80は、可動原稿テーブル53bが上昇して可動原稿テーブル53b上の原稿MSの上面により押されて図中矢印c方向に上がる。これをテーブル上昇センサ59で検知することにより、可動原稿テーブル53bの上限までの上昇が検知される。これにより、ピックアップ昇降モータ101が停止するとともに底板上昇モータ105が停止する。
操作部108よりコピースタートボタン158が押下され、本体制御部111からI/F107を介してADF51の制御部であるコントローラ100に原稿給紙信号が送信される。これにより、ピックアップ搬送モータ115が駆動してピックアップローラ80が回転駆動し、原稿載置台53上の数枚(理想的には1枚)の原稿MSをピックアップする。ピックアップローラ80の回転方向は、最上位の原稿MSを給紙口48に搬送する方向である。
ピックアップローラ80によって送り出された原稿MSは、分離搬送部Bに進入して、給紙ベルト84との当接位置に送り込まれる。この給紙ベルト84は、駆動ローラ82と従動ローラ83とによって張架されており、給紙モータ102の正転に伴う駆動ローラ82の回転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。
この給紙ベルト84の下部張架面には、給紙モータ102の正転によって図中時計回りに回転駆動されるリバースローラ85が当接している。この当接部においては、給紙ベルト84の表面が給紙方向に移動する。これに対し、リバースローラ85の表面は、給紙方向とは逆方向に移動しようとするが、リバースローラ85の駆動伝達部には不図示のトルクリミッタがあり、給紙方向に向かう力がトルクリミッタのトルクよりも大きいとリバースローラ85は給紙方向に表面移動するように回転する。リバースローラ85は、給紙ベルト84に所定の圧力で当接しており、給紙ベルト84に直接当接している際、あるいは当接部に原稿MSが1枚だけ挟み込まれている際には、給紙ベルト84又は原稿MSに連れ回る。但し、当接部に複数枚の原稿MSが挟み込まれた際には、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されているため、連れ回り方向とは逆の図中時計回りに回転駆動する。これにより、最上位よりも下の原稿MSには、リバースローラ85によって給紙方向とは反対方向の移動力が付与されて、数枚の原稿から最上位の原稿MSだけが分離される。これにより、重送が防止される。
給紙ベルト84やリバースローラ85の作用によって1枚に分離された原稿MSは、レジスト部Cに進入する。そして、給紙ベルト84によって更に送られ、突き当てセンサ72によって先端が検知されつつ、更に進んで停止しているプルアウトローラ対86に突き当たる。その後、突き当てセンサ72による先端の検知から所定時間だけ給紙モータ102を駆動させて、停止する。これにより、原稿MSが突き当てセンサ72による検知位置から所定量定められた距離だけ送られ、結果的には、原稿MSがプルアウトローラ対86に所定量の撓みをもって押し当てられた状態で給紙ベルト84による原稿MSの搬送が停止する。
突き当てセンサ72によって原稿MSの先端が検知されたときに、ピックアップ昇降モータ101を回転させることでピックアップローラ80を原稿MSの上面から退避させ原稿MSを給紙ベルト84の搬送力のみで送る。これにより、原稿MSの先端は、プルアウトローラ対86の上下のローラによって形成されるニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
プルアウトローラ対86は、上述したように、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿MSを中間ローラ対66まで搬送するためのローラ対で、プルアウトモータ113により2つのローラのうちの一方が駆動される。
プルアウトローラ対86によって送り出された原稿MSは、原稿幅センサ73の直下を通過する。原稿幅センサ73は、反射型フォトセンサ等からなる紙検知センサを原稿幅方向(図紙面に直交する方向)に複数個並べたセンサであり、どの紙検知センサが原稿MSを検知するかに基づいて、原稿MSの幅方向のサイズを検知する。また、原稿MSの搬送方向の長さは、原稿MSの先端が突き当てセンサ72によって検知されてから、原稿MSが突き当てセンサ72によって検知されなくなる(原稿MSの後端が通過する)までのタイミングに基づいてモータパルスから検知する。
プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の駆動によって搬送される原稿MSは、中間ローラ対66及び読取入口ローラ対90によって搬送されるターン部Dに進入する。
中間ローラ対66はプルアウトローラ対86の駆動源であるプルアウトモータ113と、読取入口ローラ対90の駆動源である読取入口モータ114との両方のモータから駆動が伝達される構成となっている。そして、2つのモータのうち、回転速度が速くなる側のモータの駆動によって回転速度が決まる機構を備えている。
画像読取ユニット50では、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿MSが搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定しており、原稿MSを第一読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。このとき、中間ローラ対66はプルアウトモータ113を駆動源として回転する。
原稿MSの先端が読取入口センサ67により検出されると、読取入口ローラ対90の上下のローラによって形成されるニップに原稿MSの先端が進入する前に、原稿MSの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度と同速にするために、プルアウトモータ113の減速を開始する。これと同時に、読取入口モータ114及び読取モータ103を正転駆動する。読取入口モータ114を正転駆動することで読取入口ローラ対90が搬送方向に回転駆動し、読取モータ103を正転駆動することで読取出口ローラ対92及び第二読取出口ローラ対93が搬送方向にそれぞれ駆動する。
ターン部Dから第一読取搬送部Eに向かう原稿MSの先端をレジストセンサ65で検知すると、コントローラ100は、所定の時間をかけて各モータの駆動を減速することで、原稿MSの搬送速度を所定の搬送距離をかけて減速する。そして、コントローラ100は、第一固定読取部151による第一読取位置400の手前で原稿MSを一時停止するように制御すると共に、本体制御部111にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。
続いて、コントローラ100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿MSの原稿先端が第一読取位置400に到達するまでに、原稿MSの搬送速度が所定の搬送速度に立ち上がるように、読取入口モータ114及び読取モータ103の駆動を制御する。これにより、原稿MSは搬送速度が増速されつつ、第一読取位置400に向かって搬送される。そして、読取入口モータ114のパルスカウントに基づいて算出された原稿MSの先端が第一読取位置400に到達するタイミングで、コントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第一面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第一読取位置400を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第一面が第一固定読取部151によって読み取られる。
第一読取搬送部Eを通過した原稿MSは、読取出口ローラ対92のニップを通過した後、その先端が排紙センサ61によって検知され、さらに、その後、第二読取搬送部Fを通過して排紙部Gへと搬送される。
原稿MSの片面(第一面)のみを読み取る場合には、第二固定読取部95による原稿MSの第二面の読取が不要である。そこで、排紙センサ61によって原稿の先端が検知されると、排紙モータ104の正転駆動が開始されて、排紙ローラ対94における図中上側の排紙ローラが図中反時計回り方向に回転駆動される。また、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知されてからの排紙モータ104のパルスカウントに基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ104の駆動速度が減速せしめられて、原稿MSが原稿スタック台55から飛び出さないような速度で排紙されるように制御される。
一方、原稿MSの両面(第一面及び第二面)を読み取る場合には、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知された後、第二固定読取部95に到達するまでのタイミングが読取モータ103のパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第二面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第二固定読取部95による第二読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第二面が第二固定読取部95によって読み取られる。
読取手段としての第二固定読取部95は、密着型イメージセンサ(CIS)からなり、原稿MSに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦すじを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。また、原稿MSが通過する搬送路を挟んで第二固定読取部95に対向する位置には、原稿MSを非読取面側(第一面側)から支持する原稿支持手段としての第二読取ローラ96が配設されている。この第二読取ローラ96は、第二固定読取部95による第二読取位置での原稿MSの浮きを抑えるとともに、第二固定読取部95におけるシェーディングデータを取得するための基準白部として機能する役割を担っている。
図1に示すように、本実施形態のADF51は、原稿搬送部54内の所定の位置で搬送されてくる原稿MSの先端を検知し、先端検知信号をシート材呼出制御手段であるコントローラ100に送信する先端検知センサS1を備えている。さらに、ADF51は、原稿載置台53にセットした原稿MSのサイズが、A4用紙等の生産性を高めるべき対象のサイズか否かを判別するための対象長さセンサS4を備える。
ここで、比較例として、先端検知センサS1及び対象長さセンサS4を備えない構成について説明する。
図45〜図49は、比較例のADF51における原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、及び、ターン部Dの途中までに対応する箇所の概略説明図である。図45〜図49では、連続して搬送される二枚の原稿である前原稿MS1及び次原稿MS2について、前原稿MS1が搬送され始めてから次原稿MS2が搬送され始めるまでの状態の変化を示している。
図45に示すように、原稿MSの束の最上部にある前原稿MS1の上面にピックアップローラ80が当接した状態で、ピックアップローラ80が図中の矢印で示すように回転することで前原稿MS1が給紙口48に向かって搬送され始める。ピックアップローラ80が回転しつづけることで、図46に示すように、前原稿MS1が給紙ベルト84及びリバースローラ85からなる分離搬送部Bに送られる。
前原稿MS1の先端が突き当てセンサ72によって検知されたときに、ピックアップローラ80を上昇させる制御を始める。これにより、図47の矢印cで示すように、ピックアップローラ80が上昇し、前原稿MS1の先端がプルアウトローラ対86を通過するタイミングでは、ピックアップローラ80は前原稿MS1に対して搬送力を付与しない状態となる。
その後、給紙ベルト84、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66による搬送が行われ、図47に示す状態からさらに前原稿MS1の搬送が進むと、図48で示すように、前原稿MS1の後端が分離センサS3の検知位置を通過する。ここで、次原稿MS2の給紙準備のために、分離センサS3が前原稿MS1の後端を検知したときに図48中の矢印dで示すようにピックアップローラ80を下降させる制御を始める。ピックアップローラ80が下降し、ピックアップローラ80が次原稿MS2をグリップしてから、図49で示すようにピックアップローラ80の回転を開始し、次原稿MS2の給紙が行われる。
ここで、ピックアップローラ80、給紙ベルト84、プルアウトローラ対86、及び中間ローラ対66による搬送速度を、第一読取搬送部Eにおける搬送速度よりも速い速度に設定することにより、次原稿MS2の先端を前原稿MS1の後端に近づけることができ紙間を詰めることができる。
しかし、原稿画像の読取可能な原稿MSの搬送速度の高速化に伴い、読取位置での原稿MSの搬送が高速で行われると、比較例のように前原稿MS1の後端が分離搬送部Bを通過したことをトリガとして、ピックアップローラ80の下降動作を始めると、ピックアップローラ80の下降動作にかかる時間がタイムラグとなる。特に、1分間の読取可能枚数が100枚を超えるような場合には、要求される紙間時間が非常に短くなり、前原稿MS1の後端を検知してピックアップローラ80の下降動作を行うと次原稿MS2の給紙タイミングが要求される紙間となるタイミングに追いつかなくなってしまうという問題があった。
比較例のように前原稿MS1の後端が分離搬送部Bを通過したことをトリガとして次原稿MS2の給紙を行う制御を開始する方式では、まず、前原稿MS1の後端を検知してから下降し始めたピックアップローラ80が次原稿MS2の上面に接触するまでの時間がタイムラグとなる。さらに、ピックアップローラ80が次原稿MS2の上面に接触してからピックアップ搬送モータ115を駆動し始めて、次原稿MS2を搬送し始めるまでの時間もタイムラグとなる。このようなタイムラグにより、図49中のLで示すような余分な紙間が生じてしまう。このような余分な紙間があると、紙間が短くならないため、速やかな次原稿搬送が行えず、生産性の向上が困難である。
ピックアップ搬送モータ115を駆動し始めて、次原稿MS2を搬送し始めるまでの時間としては、具体的には、ピックアップ搬送モータ115の立ち上りに時間がかかる。例えば、ステッピングモータの立上時間は、0.05〜0.1秒程度である。ここで、1分間の読取可能枚数が100枚を超えるような場合には、紙間に求められる時間は、0.1〜0.2秒となるため、前原稿の後端通過をトリガとして次原稿の搬送を行う制御を開始すると、モータの立上にかかる時間は生産性に大きく影響を与える。このように生産性に影響を与えるモータの立上時間はピックアップ昇降モータ101を駆動し始めてからピックアップローラ80が下降し始めるまでの間にも同様に生じる。
また、原稿載置台53の原稿MSの束から原稿MSを一枚ずつ分離する構成としては、分離搬送部Bのように、摩擦分離方式を採用することが一般的である。この場合、特許文献2に記載の自動原稿給紙装置のように、原稿MSを分離部に呼び出すためのピックアップローラ80のような原稿呼出部材を原稿の上面に加圧させたままとすることで、原稿呼出部材の接離動作によるタイムラグを低減することが考えられる。しかし、原稿呼出部材を原稿の上面に対して接触させ加圧させたままの状態で、前原稿を搬送すると、前原稿と次原稿を擦らせることとなり、原稿汚れが生じるおそれがある。さらに、原稿呼出部材を原稿の上面に対して接触させ加圧させたままの状態では、前原稿と次原稿との密着性が高まって、重送が起こり易くなるという問題が生じる。
これに対して、原稿呼出部材の離間、または加圧の解除をおこなうことで、原稿汚れを低減させることができるため、原稿呼出部材を原稿に対して接離する構成であることが望ましい。
また、原稿呼出部材の移動に要するタイムラグの問題は解消できても、原稿呼出部材の駆動源の立ち上がりに要するタイムラグの問題は解消されないままである。
[実施例1]
次に、先端検知センサS1を備える本実施形態のADF51の一つ目の実施例(以下、実施例1と呼ぶ)について説明する。
図8は、実施例1のADF51の原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、及び、ターン部Dの途中までの概略説明図である。
図8に示す実施例1のADF51は、上述した比較例のADF51に原稿MSの先端を検知する先端検知センサS1と、原稿載置台53にセットした原稿MSのサイズが生産性を高めるべき対象のサイズか否かを判別するための対象長さセンサS4とを追加した構成である。
実施例1のADF51は、上述した比較例のADF51と同様に原稿長さセンサとして中サイズ長さセンサ57と2つの大サイズ長さセンサ58(58a、58b)とを備える。これらの3つの原稿長さセンサ(57、58a、58b)によって原稿載置台53に積載された原稿MSの仮サイズを検知し、コントローラ100がその検知結果の信号を受信することで原稿載置台53に積載された原稿MSの仮サイズの情報を取得する。
上記3つの原稿長さセンサの検知結果に基づいた仮サイズの情報に基づいて、あるいは、上記3つの原稿長さセンサの検知結果に加え、原稿MSの幅方向のサイズを検知する原稿幅センサ73の検知結果に基づいた仮サイズの情報に基づいて、原稿MSのサイズが生産性を高めるべき対象のサイズか否かを判別することも可能である。実施例1では、上記3つの原稿長さセンサに加えて、対象長さセンサS4を追加することにより、さらに不定形サイズなどでも所定のサイズの用紙と同じ幅サイズで、長さのみが異なる原稿MSが載置されたときに対応可能としている。
例えば、生産性を高めるべき対象のサイズがA4横である場合、その搬送方向の長さは210[mm]である。ここで、対象長さセンサS4によって検知を行う位置と原稿先端セット位置(図中矢印Jで示す)との距離をL1[mm]としたときに、L1が210[mm]+α[mm]となるように設定することで、原稿サイズに応じた細かい原稿サイズ判定が可能になる。
上記αの設定は、画像読取ユニット50が定型サイズとして読み込むことが出来る誤差の範囲(例えば、±2[mm])や他の要因によるレイアウトずれ量等を考慮して決定する。さらに、A4横(210[mm])と近傍の他のサイズ(例えば、レターサイズ(LT)横:216[mm])と併用できるように設定しても良い。レターサイズ横と併用する場合は、αは8[mm]以上となる。
図9は、生産性を高めるべき対象のサイズか否かを判別する対象長さセンサS4が、上流側長さセンサS4aと下流側長さセンサS4bとの2つのセンサから構成される例である。この例では、上流側長さセンサS4aが原稿先端セット位置Jとの距離がL1aとなる位置に配置されており、下流側長さセンサS4bが原稿先端セット位置Jとの距離がL1bとなる位置に配置されている。ここで、生産性を高めるべき対象のサイズをL0としてときに、
L1b<L0<L1a
の関係を満たすように上流側長さセンサS4aと下流側長さセンサS4bとを配置する。図9に示す構成であれば、下流側長さセンサS4bで原稿MSを感知し、上流側長さセンサS4aで原稿MSを感知しないときに原稿載置台53に載置された原稿MSが生産性を高めるべき対象のサイズであると判定することが出来る。
次に図8に示す実施例1のADF51の動作について説明する。図10〜図15は、図8のADF51で連続して搬送される二枚の原稿MS(前原稿MS1と次原稿MS2)が搬送される状態の説明図であり、図16は、実施例1のADF51における各モータの駆動のタイミングを示すタイミングチャートである。
図16では、ピックアップローラ80の昇降状態、ピックアップ搬送モータ115の駆動状態、給紙モータ102の駆動状態及びプルアウトモータ113の駆動状態の変化のタイミングを示している。
ピックアップローラ80の昇降状態は、ピックアップ昇降モータ101を駆動することによって、ピックアップローラ80が原稿載置台53に載置された原稿MSに対して離間した状態から当接した状態、または、当接した状態から離間した状態へと変化する。ピックアップ昇降モータ101の駆動の制御としては、ピックアップ昇降モータ101の回転方向が正転のみで離間と当接とを制御する構成と、正転と逆転とで離間と当接とを制御する構成とがあるが、どちらの構成も用いることができる。
ピックアップ搬送モータ115及び給紙モータ102は、停止した状態から所定の回転速度に到達するまでに立上時間を要し、さらに、所定の回転速度から停止した状態となるまでには立下げ時間を要する。図16では、これらのモータの駆動状態について、停止した状態を「OFF」とし、所定の回転速度で駆動している状態を「ON」としている。
プルアウトモータ113も同様に、立上時間及び立下げ時間を要するが、実施例1のプルアウトモータ113は、後述する「プルアウト線速」に対応した回転速度と、「読取線速」に対応した回転速度との二種類の回転速度に、タイミングによって所定の回転速度が変化する。このため、図16では、プルアウトモータ113の駆動状態について、プルアウト線速に対応した所定の回転速度で駆動している状態を「プルアウト線速」、読取線速に対応した所定の回転速度で駆動している状態を「読取線速」とし、停止した状態を「OFF」としている。
図16のタイミングチャートにおける(i)のタイミングがジョブが開始されるタイミングである。図16に示すように、ジョブが開始される前は、ピックアップローラ80は「離間」した状態であり、ピックアップ搬送モータ115、給紙モータ102及びプルアウトモータ113は「OFF」の状態である。
ジョブが開始されると、ピックアップ昇降モータ101が駆動することにより、「離間」した状態のピックアップローラ80が「当接」した状態となり、図16中のタイミング(ii)のようにピックアップローラ80が「当接」した状態となるとピックアップ昇降モータ101は停止する。また、タイミング(ii)のときに、ピックアップ搬送モータ115及び給紙モータ102の駆動を開始する。
図10は、図16中のタイミング(1)の状態である。図10に示す状態では、ピックアップローラ80は前原稿MS1の上面に接触している。なお、タイミング(ii)でピックアップ搬送モータ115及び給紙モータ102の駆動を開始してから、立上時間が経過することで、ピックアップローラ80によって前原稿MS1を搬送し始める。実施例1では、ピックアップ搬送モータ115が所定の回転数に到達してからピックアップローラ80から原稿MSに搬送力を付与するものとしているが、実機においては、ピックアップ搬送モータ115が所定の回転数に到達する前であってもピックアップローラ80が回転し始めることで、ピックアップローラ80から原稿MSへの搬送力の付与が開始される。
図11は、図16中のタイミング(2)の状態である。図11に示す状態では、ピックアップローラ80の回転によって搬送される前原稿MS1の先端が、給紙ベルト84とリバースローラ85とによって構成される分離ニップ部の入口に到達している。
図12は、図16中のタイミング(3)の状態である。図11の状態から前原稿MS1が搬送され、その先端が図12で示すように突き当てセンサ72によって検知されると、ピックアップ昇降モータ101が駆動し、「当接」した状態のピックアップローラ80が図12中の矢印cで示すように前原稿MS1の上面から「離間」する方向に移動し始める。また、タイミング(3)で、突き当てセンサ72によって前原稿MS1の先端が検知されることで、ピックアップ搬送モータ115及び給紙モータ102の駆動が停止し始め、立下時間の経過後のタイミング(iii)でピックアップ搬送モータ115及び給紙モータ102の駆動が停止する。なお、ピックアップローラ80が前原稿MS1の上面から離れた後は、立下時間の給紙モータ102の駆動によって回転する給紙ベルト84の表面移動によって前原稿MS1が搬送される。
突き当てセンサ72によって先端が検知された前原稿MS1はさらに進み、回転が停止しているプルアウトローラ対86に突き当たる。ここで、突き当てセンサ72による先端の検知から所定時間(実施例1では給紙モータ102の立下時間)だけ給紙モータ102を駆動させて停止する(図16中のタイミング(iii))ことにより、前原稿MS1の先端が突き当てセンサ72によって検知された位置から所定量定められた距離送られる。これにより、前原稿MS1の先端はプルアウトローラ対86の上下のローラのよって形成されるニップに進入し、前原稿MS1がプルアウトローラ対86に所定量撓みをもって押し当てられた状態で給紙ベルト84による前原稿MS1の搬送が停止し、前原稿MS1の先端の整合(スキュー補正)が行われる。
その後、所定のプルアウト開始タイミング(図16中のタイミング(iv))でプルアウトモータ113の駆動を開始し、前原稿MS1を中間ローラ対66、および、その下流側の第一固定読取部151に向けて搬送する。このときのプルアウトモータ113の回転速度は、読取入口ローラ対90が原稿MSを搬送するときの原稿MSの線速である「読取線速」よりも速い線速である「プルアウト線速」でプルアウトローラ対86が回転する回転速度まで加速する。このとき、中間ローラ対66はプルアウトモータ113から駆動が伝達され、プルアウトローラ対86と同じ線速(プルアウト線速)となるように回転する。
また、タイミング(iv)でプルアウトモータ113が駆動を開始するが、給紙モータ102は「OFF」の状態である。給紙ベルト84に給紙モータ102からの駆動を伝達する駆動ローラ82の回転軸にはワンウェイクラッチが接続されており、給紙ベルト84及びリバースローラ85によって挾持される原稿MSがプルアウトローラ対86の回転によって搬送されると、給紙モータ102が「OFF」の状態であっても給紙ベルト84及びリバースローラ85が原稿MSの移動に合わせて連れ回りする構成となっている。
図16中のタイミング(iv)の状態から、前原稿MS1が搬送され、その先端が読取入口センサ67により検出されると、プルアウトモータ113の回転速度が、「プルアウト線速」に対応した回転速度から「読取線速」に対応した回転速度となるように減速を開始する(図16中のタイミング(v))。回転速度が「読取線速」に対応した回転速度となったプルアウトモータ113は駆動し続け、突き当てセンサ72が前原稿MS1の通過を検知すると駆動が停止し始め(図16中のタイミング(vi))、立下時間の経過後に停止する。
図13は、図16中のタイミング(4)の状態である。図12の状態から前原稿MS1が搬送され、その先端が図13で示すように先端検知センサS1によって検知されると、ピックアップ昇降モータ101が駆動し、「離間」した状態のピックアップローラ80が図13中の矢印dで示すように前原稿MS1の上面に「当接」する方向に移動し始め、その後、図14に示すように次原稿MS2の上面に「当接」した状態となる。
図14は、図16中のタイミング(5)の状態である。図13の状態から前原稿MS1が搬送されつつ、ピックアップローラ80が下降し、ピックアップローラ80が次原稿MS2の上面に当接している。この状態からピックアップ搬送モータ115と給紙モータ102との駆動を開始するが、ピックアップ搬送モータ115を駆動して、ピックアップローラ80によって次原稿MS2を搬送し始めるまでには立上時間を要し、すぐには、次原稿MS2の搬送は開始されない。
図14に示すように、実施例1では、ピックアップローラ80が下降し、原稿載置台53に載置された原稿MSの束の上面に当接するタイミングでは前原稿MS1の後端はピックアップローラ80が当接する位置を通過している。このように前原稿MS1の後端が通過した後にピックアップローラ80が原稿MSの束の上面(次原稿MS2)に当接する構成であれば、ピックアップローラ80の回転が固定された状態で当接しても問題はない。しかし、ピックアップローラ80が原稿MSに当接するタイミングでは前原稿MS1の後端がピックアップローラ80の当接位置を通過していない場合、移動中の前原稿MS1の後端側をピックアップローラ80が挟んで前原稿MS1の搬送を阻害するおそれがある。このような問題は、ピックアップ搬送モータ115からピックアップローラ80への駆動伝達部に不図示のトルクリミッタを設け、ピックアップローラ80が連れ回るように構成することで防止できる。
図15は、図16中のタイミング(6)の状態である。図14の状態から立上時間が経過することで、ピックアップローラ80の回転によって次原稿MS2を搬送し始める。このとき、前原稿MS1の後端は図15に示すように分離ニップ部を通過している。前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過した後であれば、次原稿MS2に搬送力を付与し始めても重送の発生を防止できる。なお、図15に示す状態の次原稿MS2の位置は、図10中の前原稿MS1の位置と同じであり、図15に示す状態から上述した制御を繰り返すことで、固定画像読取部300に向けて原稿MSを連続して搬送することができる。
ここで、次原稿MS2の搬送を開始するためのトリガからピックアップローラ80を下降させ、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送が開始されるまでの時間を図16に示すようにタイムラグt1[s]とする。この場合、先端検知センサS1による検知位置は、先端検知センサS1で原稿MSの先端を通過した後、原稿MSの後端が分離ニップを通過するまでの時間がタイムラグt1[s]よりも短くなるように設定する。
詳しくは、分離ニップを通過した位置から先端検知センサS1による検知位置までの原稿MSが搬送される搬送路の距離をLa[mm]、原稿MSの長さをL0[mm]、プルアウトローラ対86による原稿MSの搬送速度をV[mm/s]としたときに、以下の式(a)が成り立つように設定する。
(L0−La)/V<t1・・・・(a)
LaをL0よりも長く設定すると、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過した後にピックアップローラ80の下降が開始されることになり、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過したことを分離センサS3で検知した後にピックアップローラ80の下降が開始される従来例との差異が生じ難いため、La<L0とすることが望ましい。
(L0−La)/V<t1の関係を満たすことで重送を防止しつつ、La<L0とすることで、従来例よりも紙間を狭めることができ、従来例に比べて生産性の向上を図ることができる。
実施例1では、次原稿MS2に搬送力を付与し始めても重送の発生を防止できる前原稿MS1の後端の位置を、分離ニップ部を通過後の位置としているが、重送の発生を防止できれば、前原稿MS1の後端が分離ニップ部内に残っている状態から次原稿MS2の搬送を開始するように設定しても良い。
また、原稿載置台53に載置された原稿のサイズが生産性を高めるべき対象のサイズではない場合(S4で原稿MSを感知した場合)は、前原稿MS1の後端が分離センサS3の検知位置を通過したことをトリガとして、ピックアップローラ80の下降が開始されるように制御する。
このように設定することにより、原稿サイズの大小にかかわらず、ひとつのセンサ(S4)で、ピックアップローラ80による呼出動作の開始の制御を処理することができる。
ここでの呼出動作とは、ピックアップローラ80を下降させ、その後、ピックアップローラ80を回転させ、原稿載置台53上の原稿MSの搬送を開始する動作である。
図16に示すように、実施例1では、ピックアップ搬送モータ115と給紙モータ102との駆動タイミングが同じであるため、ピックアップローラ80と給紙ベルト84との回転及び停止のタイミングが同じである。このように、回転及び停止のタイミングが同じであれば、ピックアップローラ80の駆動源と給紙ベルト84の駆動源とを一つのモータとしてもよい。
さらに、ピックアップ搬送モータ115と給紙モータ102との駆動タイミングは異ならせても良い。実施例1では、ピックアップローラ80を離間させた後、プルアウトモータ113を駆動させるタイミングでは給紙モータ102は「OFF」の状態であり、プルアウトローラ対86の回転によって搬送される原稿MSを挾持する給紙ベルト84及びリバースローラ85は原稿MSの移動に合わせて連れ回りする。これに対して、プルアウトモータ113を駆動させるタイミングで、給紙ベルト84がプルアウトローラ対86と同じ線速で回転するように給紙モータ102を駆動する制御を行っても良い。
〔変形例〕
次に、上記実施例1におけるADF51の一変形例(以下、「変形例」という。)について説明する。
図17は、変形例のADF51の原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、と及び、ターン部Dの途中までの概略説明図である。変形例のADF51は、図8に示す実施例1のADF51に重送検知手段である重送検知センサS5を追加した構成である。
変形例のADF51が備える重送検知センサS5は、超音波を送信する送信部S5‐1と、送信部S5‐1に対向して配置され、送信部S5‐1が送信した超音波を受信する受信部S5‐2とから構成される。この重送検知センサS5では、送信部S5‐1と受信部S5‐2との間を原稿MSが通過するときに、通過する原稿MSが一枚のときの非重送状態と複数枚のときの重送状態とで受信部S5‐2での超音波の受信状態が異なることを利用して重送の発生を検知することができる。本変形例では、送信部S5‐1を上方に配置し、受信部S5‐2を下方に配置しているが、送信部S5‐1と受信部S5‐2との配置が逆であってもよい。
また、重送検知センサS5としては、本変形例のように、超音波式の検知センサに限るものではなくシート材の重送を検知することができる検知センサであればよい。例えば、発光部と受光部とからなる光透過式の検知センサを用いることが出来る。この光透過式の検知センサでは、検知位置を通過するシート材に光を照射し、シート材を透過する光量に基づいてシート材の重送の発生を検知することができる。
変形例のADF51では、重送検知センサS5の検知結果が非重送状態の間は、図10〜図16を用いて説明した上記実施例1と同様の制御を繰り返すことで、固定画像読取部300に向けて原稿MSを連続して搬送する。
次に、変形例のADF51で、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過する前に次原稿MS2が分離ニップ部に引き込まれた場合、すなわち、重送検知センサS5の検知結果が重送状態となった場合について説明する。
図18は、前原稿MS1の搬送のタイミングは実施例1の図13と同じタイミングで、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過する前に次原稿MS2が分離ニップ部に引き込まれた状態を示す説明図である。
図18に示す状態は、前原稿MS1の搬送のタイミングは実施例1の図13と同じタイミングであり、図16中のタイミング(4)の状態である。このとき、給紙モータは停止しており、給紙ベルト84及びリバースローラ85は原稿MSの移動に合わせて連れ回りする。このため、図18で示すタイミングで、次原稿MS2が分離ニップ部に引き込まれていても、次原稿MS2にはリバースローラ85による給紙方向とは反対方向の移動力は付与されない。図18に示す状態の次原稿MS2は、リバースローラ85との間の摩擦力やリバースローラ85の回転抵抗によって前原稿MS1と分離してその位置で停止するか、または、前原稿MS1と分離しきれず前原稿MS1とともに分離ニップ部を通過する。
次原稿MS2が前原稿MS1とともに分離ニップ部を通過すると、ターン部D及びその下流の二箇所の読取部まで重送され、結果として読取画像に悪影響を与えるおそれがある。また、次原稿MS2が前原稿MS1と分離して分離ニップ部の途中で停止しても、分離ニップ部の出口で前原稿MS1の後端と次原稿MS2の先端とが重なった状態で次原稿MS2に対する搬送力の付与が開始されると、重送に起因して読取画像に悪影響を与えるおそれがある。
本変形例のADF51では、図18で示すように、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過する前に次原稿MS2が分離ニップ部に引き込まれた状態となり、重送検知センサS5において重送状態が検知された場合は、図16のタイミングチャートとは異なる制御を行う。
重送状態が検知された場合、前原稿MS1の先端が図18で示すように先端検知センサS1によって検知されると、ピックアップ昇降モータ101が駆動し、「離間」した状態のピックアップローラ80が図18中の矢印dで示すように前原稿MS1の上面に「当接」する方向に移動し始め、その後、図19に示すように次原稿MS2の上面に「当接」した状態となる。
図19は、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過する前に次原稿MS2が分離ニップ部に引き込まれた後の、前原稿MS1の搬送のタイミングが実施例1の図14と同じタイミングの状態を示す説明図である。
図18の状態から前原稿MS1が搬送されつつ、ピックアップローラ80が下降し、ピックアップローラ80が次原稿MS2の上面に当接している。図16のタイミングチャートではこの状態からピックアップ搬送モータ115と給紙モータ102との駆動を開始するが、変形例のADF51では重送検知センサS5において重送状態が検知された場合は、図19の状態となってもこれらのモータの駆動は開始しない。
また、図19の状態から前原稿MS1が搬送されて、その後端が重送検知センサS5の検知位置を通過すると、重送検知センサS5の検知信号が重送状態から非重送状態に変わるが、このときもまだ前原稿MS1後端と次原稿MS2先端とが重なっている可能性があるので、ピックアップ搬送モータ115と給紙モータ102との駆動は開始しない。
図20は、図19の状態から前原稿MS1がさらに搬送され、前原稿MS1の後端が分離センサS3の検知位置を通過した後の状態を示す説明図である。
変形例のADF51では、重送検知センサS5の検知信号が重送状態から非重送状態に変わった後、図20で示すように、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過したことを分離センサS3で検知した後に、ピックアップ搬送モータ115と給紙モータ102との駆動を開始する。その後、モータの立上時間が経過した後に、次原稿MS2の搬送が開始される。
このように、変形例では、重送検知センサS5で重送状態を検知した場合は、前原稿MS1の後端が分離センサS3によって検知されて、前原稿MS1の後端と次原稿MS2の先端との分離が確認されてから次原稿MS2の搬送を実行するように制御する。これにより、次原稿MS2が前原稿MS1と重なって分離ニップ部付近まで引き込まれた場合でも、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送動作以降は、次原稿MS2が前原稿MS1に対して重送しないよう制御することができる。
その後、重送検知センサS5の検知結果が非重送状態の間は、図10〜図16を用いて説明した上記実施例1と同様の制御を繰り返すことで、固定画像読取部300に向けて原稿MSを紙間を狭めた状態で連続して搬送する。
変形例のADF51では、重送検知センサS5の検知結果が非重送状態の間は、図10〜図16を用いて説明した上記実施例1と同様の制御を繰り返し、重送検知センサS5の検知結果が重送状態となったときには、図18〜図20を用いて説明した制御を行うことによって、固定画像読取部300に向けて原稿MSを連続して安定的に搬送することができる。
なお、次原稿MS2が前原稿MS1と重なって分離ニップ部付近まで引き込まれた後、次原稿MS2が前原稿MS1と分離しきれず、分離ニップ部で停止することなく前原稿MS1とともに分離ニップ部を通過し、次原稿MS2の先端が分離センサS3の検知位置を通過すると、分離センサS3で前原稿MS1の後端を検知することができず、次原稿MS2の後端を前原稿MS1の後端として誤検知するおそれがある。この場合、次原稿MS2が前原稿MS1とともに、ターン部D及びその下流の二箇所の読取部まで重送され、結果として読取画像に悪影響を与えるおそれがある。また、次原稿MS2が分離ニップ部で停止することなく前原稿MS1とともに分離ニップ部を通過し、次原稿MS2の先端が分離センサS3の検知位置を通過した後に前原稿MS1と分離して停止すると、分離センサS3の検知位置には次原稿MS2が存在し続けることになり、分離センサS3での原稿MSの後端検知というピックアップ搬送モータ115及び給紙モータ102の駆動開始のトリガとなる信号がいつまでも得られない状態となるおそれがある。
これらの不具合を防止するために、変形例のADF51において、重送検知センサS5の検知結果が重送状態となった場合に、先端検知センサS1が前原稿MS1の先端を検知した後、所定時間経過しても分離センサS3が前原稿MS1の後端を検知しない場合は、原稿MSの除去を要する、または、読取画像の確認を要する重送が発生したとして、ADF51の駆動を停止する制御を行ってもよい。
変形例のADF51では、重送検知センサS5の検知結果が重送状態となったときも、前原稿MS1の先端が先端検知センサS1によって検知されたことをトリガとして、ピックアップ昇降モータ101を駆動し、ピックアップローラ80を次原稿MS2の上面に当接させている。重送検知センサS5が重送を検知したときのピックアップ昇降モータ101を駆動させるタイミングとしては、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過したことを分離センサS3で検知した後であってもよい。
〔実施例2〕
次に、先端検知センサS1を備える本実施形態のADF51の二つ目の実施例(以下、実施例2と呼ぶ)について説明する。
図21〜図23は、実施例2のADF51の原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、及び、ターン部Dの途中までの概略説明図である。また、図24は、実施例2のADF51における各モータの駆動のタイミングを示すタイミングチャートである。
図21〜図23に示す実施例2のADF51は、原稿幅センサ73の下流側にピックアップ下降開始センサS2を備える点で実施例1のADF51とは相違するが、他の構成は共通するため、相違点についてのみ説明する。対象長さセンサS4としては図9を用いて説明した2つのセンサ(上流側長さセンサS4a及び下流側長さセンサS4b)を備える構成を適用可能であることは言うまでもない。
図21は、図24中のタイミング(1)の状態である。
実施例2のADF51では、図21に示すようにピックアップローラ80が原稿載置台53上の最上部にある前原稿MS1に当接した状態でピックアップローラ80が回転することにより、前原稿MS1が分離ニップ部に向けて搬送される。このとき、分離ニップ部を形成する給紙ベルト84及びリバースローラ85も駆動しており、分離ニップ部に進入した前原稿MS1はリバースローラ85による分離作用を受けつつ、分離ニップ部を通過する。そして、前原稿MS1の先端が突き当てセンサ72によって検知されると、図24中のタイミング(i)で示すように、ピックアップ搬送モータ115及び給紙モータ102の駆動が停止し始める。また、図24中のタイミング(i)では、ピックアップ昇降モータ101が駆動し、「当接」した状態のピックアップローラ80が図22中の矢印cで示すように前原稿MS1の上面から「離間」する方向に移動する。
図24に示すように、ピックアップ搬送モータ115の駆動を停止させるタイミングと、ピックアップ昇降モータ101の駆動を開始するタイミングとが同時である。実施例2では、ピックアップ搬送モータ115の立下時間があるため、前原稿MS1が駆動の伝達が停止したピックアップローラ80に挟まれた状態とはならないが、構成によっては、前原稿MS1は一時的に駆動の伝達が停止したピックアップローラ80に挟まれた状態となる場合がある。実施例2のADF51では、ピックアップ搬送モータ115からピックアップローラ80への駆動伝達部に不図示のトルクリミッタを設けている。このトルクリミッタにより、ピックアップ搬送モータ115の駆動が停止しても、ピックアップローラ80が当接する原稿MSが給紙ベルト84によって搬送されると、原稿MSの上面の移動にピックアップローラ80が連れ回るように構成されている。
また、ピックアップローラ80を上昇させる制御を行うトリガは、前原稿MS1の先端が分離ニップ部を通過した後であればよく、分離ニップ部を前原稿MS1が通過したことを検知するセンサとしては突き当てセンサ72でも分離センサS3でも良い。
突き当てセンサ72によって先端が検知された前原稿MS1は、給紙ベルト84の表面移動によってさらに進み、回転が停止しているプルアウトローラ対86に突き当たる。ここで、突き当てセンサ72による先端の検知から所定時間(実施例2では給紙モータ102の立下時間)だけ給紙モータ102を駆動させて停止する(図24中のタイミング(ii))ことにより、前原稿MS1の先端が突き当てセンサ72によって検知された位置から所定量定められた距離送られる。これにより、前原稿MS1の先端はプルアウトローラ対86の上下のローラのよって形成されるニップに進入し、前原稿MS1がプルアウトローラ対86に所定量撓みをもって押し当てられた状態で給紙ベルト84による前原稿MS1の搬送が停止し、前原稿MS1の先端の整合(スキュー補正)が行われる。
その後、所定のプルアウト開始タイミング(図24中のタイミング(2))でプルアウトモータ113の駆動を開始することで、図22で示すように前原稿MS1を中間ローラ対66、および、その下流側の第一固定読取部151に向けて搬送し始める。
プルアウトモータ113の駆動を開始すると、図22で示すように前原稿MS1の先端はプルアウトローラ対86のニップ部を通過する。そして、前原稿MS1の先端がピックアップ下降開始センサS2によって検知されると、ピックアップ昇降モータ101が駆動する(図24中のタイミング(iii))。これにより、「離間」した状態のピックアップローラ80が図23中の矢印dで示すように原稿載置台53上の原稿MSの束の上面に「当接」した状態となるように下降し始める。実施例2のADF51では、先端がピックアップ下降開始センサS2によって検知された原稿MSの先端が先端検知センサS1の検知位置に到達する(図24中のタイミング(iv))までに、このピックアップローラ80の下降動作が完了する(図24中のタイミング(3))ように、ピックアップ下降開始センサS2の位置を設定している。
ピックアップローラ80の下降動作が完了すると、ピックアップ昇降モータ101の駆動を停止し、図23に示す状態(ピックアップローラ80の位置は図中の実線の位置)となる。このとき、前原稿MS1の先端は先端検知センサS1の検知位置に到達しておらず、さらに、前原稿MS1が搬送されることでその先端が先端検知センサS1の検知位置を通過する。前原稿MS1の先端が先端検知センサS1によって検知されると、呼出動作としてピックアップ搬送モータ115及び給紙モータ102の駆動を開始し(図24中のタイミング(iv))、その立上時間経過後、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送を開始する(図24中のタイミング(1)´)。
その後、上述した制御を繰り返すことで、固定画像読取部300に向けて原稿MSを連続して搬送することができる。
図23に示すピックアップローラ80の下降動作が完了したタイミングでは、図24中のタイミング(3)で示すようにピックアップ搬送モータ115の駆動は開始していない。このため、ピックアップローラ80は駆動回転していない状態で、図23に示すように前原稿MS1の後端側に当接するが、上述したようにピックアップローラ80は連れ回り可能となっているため、移動中の前原稿MS1の後端側をピックアップローラ80が挟んで前原稿MS1の搬送を阻害することを防止できる。
実施例2のように、前原稿MS1の先端が先端検知センサS1で検知される前にピックアップローラ80の下降動作を開始することにより、ピックアップローラ80の下降にかかる時間ta[s]が、次原稿MS2の搬送を開始するためのトリガから次原稿MS2の搬送が開始されるまでのタイムラグt1[s]に影響しない構成とすることが出来る。これにより、ピックアップローラ80の下降にかかる時間ta[s]が、紙間を延ばすことに影響せず、下降動作に起因して生産性が低下することを防止できる。
実施例2では、原稿載置台53に載置された原稿のサイズが生産性を高めるべき対象のサイズではない場合(対象長さセンサS4で原稿MSを感知した場合)は、前原稿MS1の後端が分離センサS3の検知位置を通過したことをトリガとして、呼出動作としてのピックアップ搬送モータ115の駆動が開始されるように制御する。
図25は、原稿幅センサ73の下流側にピックアップ下降開始センサS2を備える実施例2のADF51に、上記変形例のADF51と同様の重送検知センサS5を配置した構成の説明図である。
図25に示す構成においても上記変形例と同様に、重送検知センサS5が重送状態を検知した場合は、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過したことを分離センサS3で検知した後に、ピックアップ搬送モータ115と給紙モータ102との駆動を開始する。これにより、次原稿MS2が前原稿MS1と重なって分離ニップ部付近まで引き込まれた場合でも、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送動作以降は、次原稿MS2が前原稿MS1に対して重送しないよう制御することができる。
図25に示す構成で、ピックアップローラ80を下降させるためにピックアップ昇降モータ101の駆動を開始するトリガとしては、ピックアップ下降開始センサS2による前原稿MS1の先端検知でも良いし、分離センサS3による前原稿MS1の後端検知でも良い。
ここで、実施例1及び実施例2のADF51のように、先端検知センサS1による検知後すぐに呼出動作を行う構成の呼出動作のトリガを決定する制御のフローチャートを図26に示す。
図26のフローチャートで示すように、実施例1及び実施例2のADF51が備えるコントローラ100は、まず、対象長さセンサS4で原稿MSを感知するかどうかを判別する。すなわち、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1よりも長いかどうかを判別する。
ここで、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1よりも長いと判別した場合は(図26中の分岐で「Y」)、分離センサS3による原稿MSの後端検知をトリガとして呼出動作を開始するように制御する。
一方、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1よりも短いと判別した場合は(図26中の分岐で「N」)、先端検知センサS1による原稿MSの先端検知をトリガとして呼出動作を開始するように制御する。
変形例や図25で示す構成のADF51のように、重送検知センサS5を備え、非重送状態では先端検知センサS1による検知後すぐに呼出動作を行う構成の、次原稿MS2の搬送を開始するトリガを決定する制御のフローチャートを図27に示す。
図20のフローチャートで示すように、変形例や図25で示す構成のADF51が備えるコントローラ100は、まず、先端検知センサS1による原稿MSの先端検知をトリガとして、次の給紙タイミングの判定を行う。重送検知センサS5が重送を検知しているか、また対象長さセンサS4で原稿MSを感知するかどうかを判別する。すなわち、前原稿MS1に重なって次原稿MS2の先端が分離ニップ部近傍まで重送して入り込んでいないか、また原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1よりも長いかどうかを判別する。
ここで、次原稿MS2先端が重送していると判別した場合(図27中の二つの目の分岐で「Y」)や、あるいは原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1よりも長いと判別した場合(図27中の三つ目の分岐で「Y」)は、分離センサS3による前原稿MS1の後端検知をトリガとして次原稿MS2の搬送を開始するように制御する。
一方、次原稿MS2が重送せず、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1よりも短いと判別した場合(図27中の二つ目の分岐、及び、三つ目の分岐でともに「N」)は、先端検知センサS1による原稿MSの先端検知をトリガとして呼出動作を開始するように制御する。
〔実施例3〕
次に、先端検知センサS1を備える本実施形態のADF51の三つ目の実施例(以下、実施例3と呼ぶ)について説明する。
図28及び図29は、実施例3のADF51の原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、及び、ターン部Dの途中までの概略説明図である。
実施例3のADF51は、実施例1の先端検知センサS1の呼出動作のトリガとしての機能と、実施例2のピックアップ下降開始センサS2の機能とを一つの検知手段である先端検知センサS1によって兼用する構成である。
実施例3のADF51では、実施例2のADF51においてピックアップ下降開始センサS2を設けた位置に先端検知センサS1を配置している。実施例3のADF51の各モータの駆動タイミングは実施例2のADF51と同様であるので、制御タイミングについては図24のタイミングチャートを用いて説明する。
図28は、図24中のタイミング(3)の状態であり、図29は、図24中のタイミング(1)´の状態である。実施例3のADFは、図24中のタイミング(1)で示す前原稿MS1を搬送し始めてから図24中のタイミング(iii)で示すピックアップ下降開始センサS2(実施例3では、先端検知センサS1)が前原稿MS1の先端を検知するまでは同様の制御を行う。
実施例2では、ピックアップ下降開始センサS2が前原稿MS1の先端を検知すると、ピックアップローラ80の下降動作を行い、ピックアップ下降開始センサS2の下流側に配置した先端検知センサS1の検知結果に基づいて呼出動作を開始する。
一方、実施例3では、先端検知センサS1が前原稿MS1の先端を検知すると、ピックアップローラ80の下降動作を行うとともに、コントローラ100がパルスなどのカウントにより時間の測定を開始し、所定の時間が経過すると呼出動作を実行し、その後、タイムラグt1[s]経過後、図29で示すように次原稿MS2の搬送を開始する。ここでの所定の時間は、実施例3の先端検知センサS1の検知位置から実施例2の先端検知センサS1の検知位置に対応する位置まで原稿MSが搬送されるために要する時間であり、図24中のtb[s]である。この所定の時間tb[s]の情報はコントローラ100の不図示の記憶部に保存されている。
実施例3では、先端検知センサS1が前原稿MS1の先端を検知すると、ピックアップローラ80の下降動作と所定の時間までの時間の計測とを並行して行っているが、先端検知センサS1が前原稿MS1の先端を検知したときに、先ず、所定の時間までの時間の計測のみを行っても良い。この場合、先端検知センサS1の先端検知から、所定の時間経過後、呼出動作として、ピックアップローラ80の下降動作と回転駆動動作とを実行する。この場合、所定の時間経過後、次原稿MS2を搬送し始めるまでの時間は実施例3の構成よりもピックアップローラ80の下降動作に要する時間だけ長くなるため、その分、先端検知センサS1の先端検知から呼出動作開始までの所定の時間を短く設定する。
このように、先端検知センサS1の先端検知から所定の時間経過後に呼出動作を開始する制御を行う構成であれば、所定の時間の設定によって分離ニップ部から先端検知センサS1の検知位置までの距離をある程度自由に設定可能となり、先端検知センサS1の設置位置の自由度が広がるという利点がある。
ここで、実施例3のADF51のように、先端検知センサS1による検知後、所定の時間だけ経過した後に呼出動作を行う構成の呼出動作のトリガを決定する制御のフローチャートを図30に示す。
図30のフローチャートで示すように、実施例3のADF51が備えるコントローラ100は、まず、対象長さセンサS4で原稿MSを感知するかどうかを判別する。すなわち、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1よりも長いかどうかを判別する。
ここで、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1よりも長いと判別した場合は(図30中の分岐で「Y」)、分離センサS3による原稿MSの後端検知をトリガとして呼出動作を開始するように制御する。
一方、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1よりも短いと判別した場合は(図30中の分岐で「N」)、先端検知センサS1による原稿MSの先端検知をトリガとして、所定の時間経過後に呼出動作を開始するように制御する。
図31は、呼出動作のトリガとしての機能と、ピックアップ下降開始センサの機能とを一つの検知手段である先端検知センサS1によって兼用する実施例3のADF51に、上記変形例のADF51と同様の重送検知センサS5を配置した構成の説明図である。
図31に示す構成においても上記変形例と同様に、重送検知センサS5が重送状態を検知した場合は、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過したことを分離センサS3で検知した後に、ピックアップ搬送モータ115と給紙モータ102との駆動を開始する。これにより、次原稿MS2が前原稿MS1と重なって分離ニップ部付近まで引き込まれた場合でも、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送動作以降は、次原稿MS2が前原稿MS1に対して重送しないよう制御することができる。
図31に示す構成で、ピックアップローラ80を下降させるためにピックアップ昇降モータ101の駆動を開始するトリガとしては、先端検知センサS1による前原稿MS1の先端検知でも良いし、分離センサS3による前原稿MS1の後端検知でも良い。
図31で示す構成のADF51のように、重送検知センサS5を備え、非重送状態では先端検知センサS1による検知後、所定の時間だけ経過した後に呼出動作を行う構成の呼出動作のトリガを決定する制御のフローチャートを図32に示す。
図32のフローチャートで示すように、図31に示す構成のADF51が備えるコントローラ100は、まず、先端検知センサS1による原稿MSの先端検知をトリガとして、次の給紙タイミングの判定を行う。重送検知センサS5が重送を検知しているか、また対象長さセンサS4で原稿MSを感知するかどうかを判別する。すなわち、前原稿MS1に重なって次原稿MS2の先端が分離ニップ部近傍まで重送して入り込んでいないか、また原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1よりも長いかどうかを判別する。
ここで、次原稿MS2先端が重送していると判別した場合(図32中の二つの目の分岐で「Y」)や、あるいは原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1よりも長いと判別した場合(図32中の三つ目の分岐で「Y」)は、分離センサS3による前原稿MS1の後端検知をトリガとして次原稿MS2の搬送を開始するように制御する。
一方、次原稿MS2が重送せず、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1よりも短いと判別した場合(図32中の二つ目の分岐、及び、三つ目の分岐でともに「N」)は、先端検知センサS1による原稿MSの先端検知をトリガとして、所定の時間経過後に呼出動作を開始するように制御する。
〔実施例4〕
次に、先端検知センサS1を備える本実施形態のADF51の四つ目の実施例(以下、実施例4と呼ぶ)について説明する。
図33は、実施例4のADF51の原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、及び、ターン部Dの途中までの概略説明図である。
実施例1〜実施例3では、呼出動作を開始するトリガとなる先端検知センサS1が一つであるが、この先端検知センサS1を複数設けても良い。実施例4のADF51は、図33に示すように、2つの先端検知センサS1(第一先端検知センサS1‐1、第二先端検知センサS1‐2)を備える点で図8に示す実施例1のADF51と異なる。さらに、原稿MSのサイズが、生産性を高めるべき対象のサイズか否かを判別するための対象長さセンサS4も二つ設けている(第一対象長さセンサS4‐1、第二対象長さセンサS4‐2)点も実施例1のADF51と異なる。
すなわち、実施例4のADF51では、複数ある対象長さセンサS4‐1,2,3・・・・Nのそれぞれに対応する同じ数の先端検知センサS1‐1,2,3・・・・Nを備える構成である。
実施例4のADF51は、生産性を高めるべき対象のサイズを複数サイズ設定できる構成であり、図33に示す例では二種類のサイズを設定可能である。例えば、B5横サイズ(182[mm])とA4横サイズ(210[mm])とを生産性を高めるべき対象のサイズと設定する場合、L1‐1=182[mm]+α1[mm]、L1‐2=210[mm]+α2[mm]を見たすように、二つの対象長さセンサS4(S4‐1、S4‐2)の位置を設定する。
複数個の対象長さセンサS4の配置としては、従来の原稿をサイズ分類する目的で(幅サイズセンサと組み合わせて)設置されてきた仮サイズ検知センサ等と同じである必要は無く、ここでは生産性向上の視点によって位置と数が決められる。可能であれば、従来の仮サイズ検知センサ等と兼用しても良い。
図34は、実施例4のADF51のように複数の先端検知センサS1及び対象長さセンサS4を備える構成の呼出動作のトリガを決定する制御のフローチャートである。
図34のフローチャートで示すように、実施例4のADF51が備えるコントローラ100は、まず、複数ある対象長さセンサS4の全部で原稿MSを感知するかどうかを判別する。すなわち、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1-Nの最大長(L1max)よりも長いかどうかを判別する。
ここで、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1maxよりも長いと判別した場合は(図34中の分岐で「Y」)、分離センサS3による原稿MSの後端検知をトリガとして呼出動作を開始するように制御する。
一方、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1maxよりも短いと判別した場合は(図34中の分岐で「N」)、複数のL1-Nのうち、原稿MSの長さがどれに当てはまるかを判別する。この判別は、N−1番目の対象長さセンサS4-(N−1)で原稿MSを感知し、N番目の対象長さセンサS4-Nで原稿MSを感知しなかった場合、原稿MSの長さをL1-Nと判別する。
そして、その判別結果に基づいて、先端検知に使用する先端検知センサS1を決定する。
具体例として、実施例4の場合では、第一対象長さセンサS4-1及び第二対象長さセンサS4-2ともに原稿MSを感知した場合は、原稿MSの長さが生産性を高めるべき対象のサイズではないと判別し、分離センサS3による原稿MSの後端検知をトリガとして呼出動作を開始するように制御する。
第一対象長さセンサS4-1で原稿MSを感知し、第二対象長さセンサS4-2で原稿MSを感知しなかった場合は、原稿MSの長さをL1‐2と判別し、第二先端検知センサS1‐2によって先端検知を行うことを決定する。また、第一対象長さセンサS4-1及び第二対象長さセンサS4-2ともに原稿MSを感知しなかった場合は、原稿MSの長さをL1‐1と判別し、第一先端検知センサS1‐1によって先端検知を行うことを決定する。
先端検知に使用する先端検知センサS1が決定した後は、各モータの駆動のタイミングとして、上述した実施例1と同様の制御を行い、固定画像読取部300に向けて原稿MSを連続して搬送する。
原稿載置台53上の前原稿MS1を搬送し始めてから次原稿MS2を搬送し始めることができるようになるタイミングは、原稿MSの長さによって異なるが、実施例4のように原稿MSの長さに応じて、呼出動作のトリガとなる先端検知センサS1を決定することにより、原稿の長さに応じたタイミングで次原稿MS2を搬送し始めることができるように設定することが出来るようになる。これにより、生産性を高めるべき対象のサイズを複数サイズ設定できる。
実施例4では原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1maxよりも長いと判別した場合は(図34中の分岐で「Y」)、分離センサS3の後端検知をトリガとして呼出動作を開始しているが、これに限るものではない。例えば、複数の先端検知センサS1のうちの最下流側に配置した、先端検知センサS1による先端検知後、十分な時間が経過した後に呼出動作を開始する制御を行っても良い。
実施例4では、生産性を高めるべき対象のサイズを複数サイズ設定できるように複数の対象長さセンサS4及び先端検知センサS1を備えている。これらのセンサ(S4及びS1)を複数個配置する代わりに対象長さセンサS4及び先端検知センサS1の一方または両方にリニアセンサを配置して、検知位置を変位可能とすることで生産性を高めるべき対象のサイズを複数サイズ設定できるように構成してもよい。
実施例4のADF51では使用する先端検知センサS1が決定した後は、実施例1同様に、先端検知をトリガとして実行する呼出動作として、ピックアップローラ80の下降動作を行い、さらに、ピックアップローラ80の回転動作を行う。先端検知をトリガとして実行する呼出動作としては、ピックアップローラ80の下降動作を行わず、ピックアップローラ80の回転動作のみとする構成であってもよい。この構成の場合は、ピックアップローラ80の駆動停止後もピックアップローラ80は原稿載置台53上の原稿MSの上面に当接した状態となるため、駆動停止後のピックアップローラ80は当接する原稿MSの移動に対して連れ回り可能となるように構成する。
しかし、上述したように原稿汚れの防止や重送防止の観点からは、ピックアップローラ80は原稿MSに対して接離する構成であることが望ましい。
図35は、先端検知センサS1と対象長さセンサS4とを複数設けた実施例4のADF51に、上記変形例のADF51と同様の重送検知センサS5を配置した構成の説明図である。
図35に示す構成においても上記変形例と同様に、重送検知センサS5が重送状態を検知した場合は、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過したことを分離センサS3で検知した後に、ピックアップ搬送モータ115と給紙モータ102との駆動を開始する。これにより、次原稿MS2が前原稿MS1と重なって分離ニップ部付近まで引き込まれた場合でも、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送動作以降は、次原稿MS2が前原稿MS1に対して重送しないよう制御することができる。
図35で示す構成のADF51のように、重送検知センサS5を備え、非重送状態では原稿長さに基づいて決定された先端検知センサS1‐Nによる検知後すぐに呼出動作を行う構成の、次原稿MS2の搬送を開始するトリガを決定する制御のフローチャートを図36に示す。
図36のフローチャートで示すように、図35に示す構成のADF51では、複数ある対象長さセンサS4の全部で原稿MSを感知した場合、及び、重送検知センサS5で重送を検知した場合には、分離センサS3による前原稿MS1の後端検知をトリガとして次原稿MS2の搬送を開始するように制御する。
一方、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1‐1〜L1‐Nの何れかに該当し、次原稿MS2が重送していないと判別した場合は、原稿MSの長さL1-Nに対応した先端検知センサS1‐Nによる原稿MSの先端検知をトリガとして呼出動作を開始するように制御する。
〔実施例5〕
次に、先端検知センサS1を備える本実施形態のADF51の五つ目の実施例(以下、実施例5と呼ぶ)について説明する。
図37は、実施例5のADF51の原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、及び、ターン部Dの途中までの概略説明図である。
実施例5のADF51は、実施例4のADF51と同様に、2つの先端検知センサS1と2つの対象長さセンサS4とを備え、さらに、2つのピックアップ下降開始センサS2を備える構成である。すなわち、実施例2のADF51は、各センサ(S4,S1,S2)が一つずつであったのに対して、実施例5のADF51では、複数ある対象長さセンサS4‐1,2,3・・・・Nのそれぞれに対応する同じ数の先端検知センサS1‐1,2,3・・・・Nとピックアップ下降開始センサS2‐1,2,3・・・・Nとを備える構成である。
実施例5のADF51は、実施例4と同様に生産性を高めるべき対象のサイズを複数サイズ設定できる構成であり、図37に示す例では二種類のサイズを設定可能である。
図38は、実施例5のADF51のように、先端検知センサS1、ピックアップ下降開始センサS2、及び、対象長さセンサS4をそれぞれ複数備える構成の呼出動作(ピックアップ搬送モータ115の駆動開始)のトリガを決定する制御のフローチャートである。
図38のフローチャートで示すように、実施例5のADF51が備えるコントローラ100は、まず、複数ある対象長さセンサS4の全部で原稿MSを感知するかどうかを判別する。すなわち、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1-Nの最大長(L1max)よりも長いかどうかを判別する。
ここで、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1maxよりも長いと判別した場合は(図38中の分岐で「Y」)、分離センサS3による原稿MSの後端検知をトリガとして呼出動作を開始するように制御する。
一方、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1maxよりも短いと判別した場合は(図38中の分岐で「N」)、複数のL1-Nのうち、原稿MSの長さがどれに当てはまるかを判別する。この判別は、N−1番目の対象長さセンサS4-(N−1)で原稿MSを感知し、N番目の対象長さセンサS4-Nで原稿MSを感知しなかった場合、原稿MSの長さをL1-Nと判別する。
そして、その判別結果に基づいて、先端検知に使用する先端検知センサS1及びピックアップ下降開始センサS2を決定する。
具体例として、実施例5の場合では、第一対象長さセンサS4-1及び第二対象長さセンサS4-2ともに原稿MSを感知した場合は、原稿MSの長さが生産性を高めるべき対象のサイズではないと判別し、分離センサS3による原稿MSの後端検知をトリガとして呼出動作を開始するように制御する。
第一対象長さセンサS4-1で原稿MSを感知し、第二対象長さセンサS4-2で原稿MSを感知しなかった場合は、原稿MSの長さをL1‐2と判別し、第二ピックアップ下降開始センサS2‐2と、第二先端検知センサS1‐2とによって先端検知を行うことを決定する。また、第一対象長さセンサS4-1及び第二対象長さセンサS4-2ともに原稿MSを感知しなかった場合は、原稿MSの長さをL1‐1と判別し、第一ピックアップ下降開始センサS2‐1と、第一先端検知センサS1‐1とによって先端検知を行うことを決定する。
先端検知に使用するピックアップ下降開始センサS2と先端検知センサS1とが決定した後は、各モータの駆動のタイミングとして、上述した実施例2と同様の制御を行い、固定画像読取部300に向けて原稿MSを連続して搬送する。
原稿載置台53上の前原稿MS1を搬送し始めてから次原稿MS2を搬送し始めることができるようになるタイミングは、原稿MSの長さによって異なるが、実施例5のように原稿MSの長さに応じて、呼出動作のトリガとなる先端検知センサS1を決定することにより、原稿の長さに応じたタイミングで次原稿MS2を搬送し始めることができるように設定することが出来るようになる。これにより、生産性を高めるべき対象のサイズを複数サイズ設定できる。
また、前原稿MS1を搬送し始めてから、一度、離間させたピックアップローラ80を再び、原稿載置台53上の原稿に当接させるのに適したタイミングも原稿MSの長さによって異なる。これは、前原稿MS1を搬送し始めた後、長い原稿MSを搬送する場合に短い原稿MSの場合と同じタイミングでピックアップローラ80を当接させると、ピックアップローラ80が前原稿MS1に当接する時間が長くなる。そして、ピックアップローラ80が前原稿MS1に当接する時間が長くなると、一枚の原稿MSを給紙する度にピックアップローラ80を離間させず、原稿MSの上面に当接させたままとする構成と同様に、重送や原稿汚れといった不具合に対して不利になる。このため、ピックアップ下降開始センサS2の適切な設置位置は原稿MSの長さによって異なる。実施例5のように原稿MSの長さに応じて、ピックアップローラ80の下降動作のトリガとなるピックアップ下降開始センサS2を決定することにより、原稿の長さに応じたタイミングでピックアップローラ80の下降を開始することができるように設定することが出来るようになる。これにより、重送や原稿汚れを防止しつつ、生産性を高めるべき対象のサイズを複数サイズ設定できる。
図39は、先端検知センサS1、対象長さセンサS4、及び、ピックアップ下降開始センサS2をそれぞれ複数設けた実施例5のADF51に、上記変形例のADF51と同様の重送検知センサS5を配置した構成の説明図である。
図39に示す構成においても上記変形例と同様に、重送検知センサS5が重送状態を検知した場合は、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過したことを分離センサS3で検知した後に、ピックアップ搬送モータ115と給紙モータ102との駆動を開始する。これにより、次原稿MS2が前原稿MS1と重なって分離ニップ部付近まで引き込まれた場合でも、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送動作以降は、次原稿MS2が前原稿MS1に対して重送しないよう制御することができる。
図39で示す構成のADF51のように、重送検知センサS5を備え、非重送状態では原稿長さに基づいて決定された先端検知センサS1‐Nによる検知後すぐに呼出動作を行う構成の、次原稿MS2の搬送を開始するトリガを決定する制御のフローチャートを図40に示す。
図40のフローチャートで示すように、図39に示す構成のADF51では、複数ある対象長さセンサS4の全部で原稿MSを感知した場合、及び、重送検知センサS5で重送を検知した場合には、分離センサS3による前原稿MS1の後端検知をトリガとして次原稿MS2の搬送を開始するように制御する。
一方、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1‐1〜L1‐Nの何れかに該当し、次原稿MS2が重送していないと判別した場合は、原稿MSの長さL1-Nに対応した先端検知センサS1‐Nによる原稿MSの先端検知をトリガとして呼出動作を開始するように制御する。
〔実施例6〕
次に、先端検知センサS1を備える本実施形態のADF51の六つ目の実施例(以下、実施例6と呼ぶ)について説明する。
図41は、実施例6のADF51の原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、及び、ターン部Dの途中までの概略説明図である。
実施例6のADF51は、実施例4及び実施例5のADF51と同様に、2つの対象長さセンサS4とを備える構成であるが、これらの実施例と異なり先端検知センサS1は一つである。そして、先端検知センサS1によって前原稿MS1の先端が検知されてから、次原稿MS2の搬送を行うための呼出動作を開始するまでの所定の時間tb[s]の情報が2パターン、コントローラ100の不図示の記憶部に保存されている。すなわち、実施例3のADF51は、対象長さセンサS4及び所定の時間tb[s]の情報が一つずつであったのに対して、実施例6のADF51では、複数ある対象長さセンサS4‐1,2,3・・・・Nを備え、そのそれぞれに対応する同じ数の所定の時間tb[s]の情報、tb‐1‐1,2,3・・・・Nがコントローラ100の不図示の記憶部に保存されている構成である。
実施例6のADF51は、実施例4及び実施例5と同様に生産性を高めるべき対象のサイズを複数サイズ設定できる構成であり、図41に示す例では二種類のサイズを設定可能である。
図42は、実施例6のADF51のように、対象長さセンサS4を複数備え、所定の時間tb[s]の情報が複数保存されている構成の呼出動作のトリガを決定する制御のフローチャートである。なお、ここでの呼出動作の開始は、原稿MSに当接した状態のピックアップローラ80の回転駆動を開始する構成でも良いし、原稿MSに離間した状態のピックアップローラ80の降下動作を開始し、その後、回転駆動を開始する構成でも良い。
図42のフローチャートで示すように、実施例6のADF51が備えるコントローラ100は、まず、複数ある対象長さセンサS4の全部で原稿MSを感知するかどうかを判別する。すなわち、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1-Nの最大長(L1max)よりも長いかどうかを判別する。
ここで、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1maxよりも長いと判別した場合は(図42中の分岐で「Y」)、分離センサS3による原稿MSの後端検知をトリガとして呼出動作を開始するように制御する。
一方、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1maxよりも短いと判別した場合は(図42中の分岐で「N」)、複数のL1-Nのうち、原稿MSの長さがどれに当てはまるかを判別する。この判別は、N−1番目の対象長さセンサS4-(N−1)で原稿MSを感知し、N番目の対象長さセンサS4-Nで原稿MSを感知しなかった場合、原稿MSの長さをL1-Nと判別する。
そして、その判別結果に基づいて、先端検知センサS1によって先端検知してから呼出動作を開始するまでの所定の時間tb[s]を決定する。
具体例として、実施例6の場合では、第一対象長さセンサS4-1及び第二対象長さセンサS4-2ともに原稿MSを感知した場合は、原稿MSの長さが生産性を高めるべき対象のサイズではないと判別し、分離センサS3による原稿MSの後端検知をトリガとして呼出動作を開始するように制御する。
第一対象長さセンサS4-1で原稿MSを感知し、第二対象長さセンサS4-2で原稿MSを感知しなかった場合は、原稿MSの長さをL1‐2と判別し、所定の時間tb[s]としてはtb‐1よりも長時間のtb‐2を使用することを決定する。また、第一対象長さセンサS4-1及び第二対象長さセンサS4-2ともに原稿MSを感知しなかった場合は、原稿MSの長さをL1‐1と判別し、所定の時間tb[s]としてはより短時間のtb‐1を使用することを決定する。
先端検知センサS1によって先端検知してから呼出動作を開始するまでの所定の時間tb[s]を決定した後は、各モータの駆動のタイミングとして、上述した実施例3と同様の制御を行い、固定画像読取部300に向けて原稿MSを連続して搬送する。
原稿載置台53上の前原稿MS1を搬送し始めてから次原稿MS2を搬送し始めることができるようになるタイミングは、原稿MSの長さによって異なるが、実施例6のように原稿MSの長さに応じて、先端検知センサS1によって先端検知してから呼出動作を開始するまでの所定の時間tb[s]を決定することにより、原稿の長さに応じたタイミングで次原稿MS2を搬送し始めることができるように設定することが出来るようになる。これにより、生産性を高めるべき対象のサイズを複数サイズ設定できる。
図43は、対象長さセンサS4を複数設け、所定の時間tb[s]の情報が複数保存された実施例6のADF51に、上記変形例のADF51と同様の重送検知センサS5を配置した構成の説明図である。
図43に示す構成においても上記変形例と同様に、重送検知センサS5が重送状態を検知した場合は、前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過したことを分離センサS3で検知した後に、ピックアップ搬送モータ115と給紙モータ102との駆動を開始する。これにより、次原稿MS2が前原稿MS1と重なって分離ニップ部付近まで引き込まれた場合でも、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送動作以降は、次原稿MS2が前原稿MS1に対して重送しないよう制御することができる。
図43で示す構成のADF51のように、重送検知センサS5を備え、非重送状態では先端検知センサS1による検知後、原稿長さに基づいて決定された所定の時間tb[s]だけ経過した後に呼出動作を行う構成の呼出動作のトリガを決定する制御のフローチャートを図44に示す。
図44のフローチャートで示すように、図43に示す構成のADF51では、複数ある対象長さセンサS4の全部で原稿MSを感知した場合、及び、重送検知センサS5で重送を検知した場合には、分離センサS3による前原稿MS1の後端検知をトリガとして次原稿MS2の搬送を開始するように制御する。
一方、原稿載置台53上の原稿MSの長さがL1‐1〜L1‐Nの何れかに該当し、次原稿MS2が重送していないと判別した場合は、先端検知センサS1による原稿MSの先端検知をトリガとして、所定の時間tb[s]経過後に呼出動作を開始するように制御する。
なお、上述した実施形態のADF51は、原稿呼出部材を原稿載置台上の原稿に対して接離する構成として、原稿呼出部材であるピックアップローラ80を上昇・下降させることにより、原稿呼出部材を原稿に対して接離する構成である。原稿呼出部材を原稿載置台上の原稿に対して接離する構成としてはこのような構成に限るものではなく、原稿呼出部材に対向する位置に配置され、原稿の束を載置する原稿載置台を上昇・下降させることにより、上方に配置された原稿呼出部材を原稿の上面に対して接離する構成であっても良い。このような構成の場合、上述した実施形態の各実施例におけるピックアップローラ80を上昇させるタイミングで、原稿載置台を下降させる制御を行い、原稿呼出部材を原稿の上面から離間させる。また、上述した各実施例でピックアップローラ80を下降させるタイミングで原稿載置台を上昇させる制御を行い、原稿呼出部材を原稿の上面に当接させる。さらに、原稿呼出部材を上昇・下降させるとともに、原稿載置面も上昇・下降させることにより、原稿呼出部材を原稿に対して接離する構成であってもよい。
このように、原稿載置面を上昇・下降させる構成もピックアップローラ80を上昇・下降させる構成と同様に、原稿呼出部材を原稿に当接させるために原稿載置面の上昇を開始してから原稿呼出部材が原稿に当接するまでに所定の時間が必要である。このため、従来の画像読取装置のように、前原稿の後端が分離ニップ部を通過したことを検知した後に原稿載置面の上昇を開始していると、前原稿の後端が分離ニップ部を通過して次原稿の搬送が可能な状態になってから、さらに、原稿載置面の上昇を開始してから原稿呼出部材が原稿に当接するまでの所定の時間が経過しないと次原稿の搬送を開始することができない。これにより、従来の画像読取装置では上記所定の時間の経過によって生じる紙間を狭めることは困難であった。一方、本実施形態のピックアップローラ80を下降させるタイミングで原稿載置台を上昇させる制御を行うことにより、次原稿の搬送が可能な状態になる前から原稿載置台を上昇させ始めることができ、その上昇動作に従来と同じ所定の時間を要したとしても次原稿の搬送が可能な状態になってから、実際に搬送を開始するまでの時間を短縮することができ、従来の画像読取装置に紙間を狭めることが出来る。
すなわち、本実施形態のように、原稿MSの先端検知という新規のトリガに基づいてピックアップローラ80と原稿MSとを当接させる動作を開始することで、紙間を狭めることができ、原稿MSの搬送の生産性を向上させることができる。
また、上述した実施形態は原稿呼出部材としてピックアップローラ80を用いているが、原稿呼出部材としては、分離搬送部を構成する部材に兼用させる構成も可能である。この構成の場合、原稿載置台の載置面側を分離搬送部を構成する搬送部材に圧接することによって、原稿呼出部材と原稿載置台上の原稿との当接を行う。図1に示す本実施形態のADF51を用いて説明すると、ピックアップローラ80を備えず、可動原稿テーブル53bの上昇・下降によって原稿載置台53上の原稿MSの上面と分離搬送部を構成する搬送部材としての給紙ベルト84との接離を制御する。この構成の場合、前原稿MS1の後端が分離搬送部の分離ニップ部を通過する前に可動原稿テーブル53bの上昇を開始することで、上昇動作に従来と同じ所定の時間を要したとしても次原稿の搬送が可能な状態になってから、実際に搬送を開始するまでの時間を短縮することができ、従来の画像読取装置に紙間を狭めることが出来る。
なお、このように、可動原稿テーブル53bの上昇・下降によって給紙ベルト84と原稿との接離を制御する構成では、前原稿MS1が分離ニップ部を通過している間に次原稿MS2に給紙ベルト84が当接すると、前原稿MS1の搬送に合わせて表面移動する給紙ベルト84によって次原稿MS2の搬送が開始される。このため、分離ニップ部に前原稿MS1が残っている状態で次原稿MS2の搬送を開始すると重送が発生するおそれがある場合は、原稿載置台53上の次原稿MS2の上面が給紙ベルト84に接触するときには前原稿MS1の後端が分離ニップ部を通過しているように、可動原稿テーブル53bの上昇を開始する。
なお、上述した実施形態では、画像読取装置である画像読取ユニット50のシート材搬送装置に本発明を適用した例について説明した。本発明の特徴部を備えるシート材搬送装置としては、これに限るものではなく、複数枚のシート材を重ねて収容するシート材収容部からシート材を連続的に搬送するシート材搬送装置であれば適用可能である。例えば、転写紙をシート材として搬送する転写紙供給装置40にも適用可能である。
以上、本実施形態のシート材搬送装置であるADF51は、複数枚のシート材である原稿MSを重ねて収容するシート材収容部である原稿セット部Aと、原稿MSを所定の搬送目的位置である第一読取搬送部Eまで搬送するシート材搬送部である原稿搬送部54とを有する。また、このシート材搬送装置は、原稿セット部Aの原稿載置台53上の原稿MSの最も外側の一枚である一番上の原稿MSに対して原稿搬送部54側に向かう搬送力を付与して複数枚の原稿MSから一番上の原稿MSを呼び出すシート材呼出手段を構成するピックアップローラ80と、ピックアップローラ80に搬送力が付与された一枚の原稿MSと重なって原稿搬送部54に向かおうとする他の原稿MSを一枚の原稿MSから分離し、一枚の原稿MSのみを原稿搬送部54に向かわせる分離手段である分離搬送部Bと、シート材呼出手段を制御するシート材呼出制御手段であるコントローラ100とを有する。また、シート材呼出手段は、コントローラ100から送信される呼出開始信号を受信すると一枚の原稿MSに対して搬送力を付与するための呼出動作を開始し、この呼出動作を開始してからピックアップローラ80によって一枚の原稿MSを搬送し始めるまでに所定の立ち上がり時間を要する構成である。また、ADF51では、一枚の原稿MSに対して搬送力を付与し始めた後、次の一枚の原稿MSに対して搬送力を付与する状態となる前にピックアップローラ80による搬送力の付与を停止する。そして、原稿搬送部54内の所定の位置で搬送されてくる原稿MSの搬送方向の先端を検知し、この先端を検知したときに先端検知信号をコントローラ100に送信する先端検知手段である先端検知センサS1を有し、コントローラ100は、先端検知信号に基づいて、所定のタイミングでシート材呼出手段に呼出開始信号を送信する。このため、連続して搬送される二枚の原稿MS(前原稿MS1及び次原稿MS2)のうちの前原稿MS1の先端が、原稿搬送部54内の所定の位置に到達したことをトリガとしてシート材呼出手段のピックアップローラ80が次原稿MS2の搬送を行うための呼出動作を開始する。このため、ピックアップローラ80が次原稿MS2に搬送力を付与し始めても重送の発生を防止できる位置である分離ニップ部の下流側の位置に前原稿MS1の後端が到達する前のタイミングで、呼出動作を開始するトリガを設定することが可能となる。これにより、従来のように、前原稿MS1の後端が分離ニップ部の下流側の位置に到達した後、さらに立ち上がり時間が経過してから次原稿MS2を搬送し始める構成に比べて、次原稿MS2の搬送開始が可能な状態になってからのタイムラグを短くすることが出来る。また、シート材呼出手段が呼出信号を受信してから所定の立ち上がり時間が経過したタイミングが、前原稿MS1の後端が分離ニップ部の下流側の位置に到達した後のタイミングとなるように、コントローラ100が呼出開始信号を送信する所定のタイミングを設定することで、重送の発生を防止することが出来る。このように、本実施形態のADF51であれば、連続して搬送される二枚の原稿MSの重送を防止しつつ、従来よりもタイムラグを短くすることで紙間を従来よりも狭めることができる。
なお、本実施形態のADF51では、ピックアップローラ80と、ピックアップローラ80に回転駆動を伝達するピックアップ搬送モータ115と、ピックアップローラ80を上昇・下降させるための不図示のピックアップ接離機構と、ピックアップ接離機構に駆動を伝達してピックアップローラ80を上昇・下降させるピックアップ昇降モータ101とからシート材呼出手段を構成する。
また、変形例のADF51は、分離搬送部Bの分離作用が働く領域である分離ニップ部よりも原稿MSの搬送方向下流側の所定の位置で搬送されてくる原稿MSの搬送方向の後端を検知し、この後端を検知したときに後端検知信号をコントローラ100に送信する分離センサS3と、分離ニップ部の近傍で原稿MSの重送が発生しているか否かを検知する重送検知手段である重送検知センサS5とを有する。そして、コントローラ100は、重送検知センサS5が重送の発生を検知した場合は、後端検知信号を受信した後の所定のタイミングで呼出開始信号をシート材呼出手段を構成するピックアップ昇降モータ101及びピックアップ搬送モータ115に送信する。
本実施形態のADF51では、分離搬送部Bの給紙ベルト84及びリバースローラ85によって分離作用によって、重送が発生することを防止しているが、それでも分離ニップ部近傍で重送が発生することが起こり得る。そして、分離ニップ部近傍で重送が発生し、次原稿MS2が前原稿MS1とともに分離ニップ部を通過すると、ターン部D及びその下流の二箇所の読取部まで重送され、結果として読取画像に悪影響を与えるおそれがある。
このような問題に対して、変形例のADF51は、分離ニップ部近傍で前原稿MS1及び次原稿MS2が重なっているか検知できる重送検知センサS5を有している。これにより、もし次原稿MS2が想定以上に前原稿MS1に引きづられた場合には、重送検知センサS5の検知信号で前原稿MS1と次原稿MS2とが分離できていないと判断される。この判断よる分離されていないとの信号によりピックアップローラ80による次原稿MS2に対する搬送力の付与のタイミングを分離センサS3による後端検知信号で制御する。すなわち、分離ニップ部で重送が発生してしまった場合には、分離ニップ部にある重送検知センサS5による重送検知信号を元に、前原稿MS1の先端検知ではなく後端検知を次原稿MS2の呼出動作のトリガとして選択することにより、次原稿MS2が前原稿MS1と分離する前に搬送力を付与され始めることを防止することができる。よって、次原稿MS2が前原稿MS1と分離しないままターン部D及びその下流の二箇所の読取部まで重送され、結果として読取画像に悪影響を与えるような不具合を防止出来る。
重送検知センサS5としては、変形例で説明した超音波の送信部S5‐1と受信部S5‐2とからなる超音波検知センサを用いることで、重送検知センサS5の検知位置で前原稿MS1と次原稿MS2とが重なった状態か否かを判定できる。
また、重送検知センサS5としては、発光部と受光部からなる光透過式検知センサも用いた場合であっても、重送検知センサS5の検知位置で前原稿MS1と次原稿MS2とが重なった状態か否かを判定できる。
また、本実施形態のADF51では、原稿載置台53に載置されている原稿MSの搬送方向の長さの情報であるシート材長さ情報をコントローラ100に入力するシート材長さ情報入力手段として対象長さセンサS4を有し、コントローラ100は、対象長さセンサS4の検知結果に基づいて原稿載置台53にセットした原稿MSの長さが所定の範囲内であり、原稿MSが生産性を高めるべき対象のサイズであると判断した場合は、先端検知センサS1の先端検知信号に基づいて、所定のタイミングでシート材呼出手段に呼出開始信号を送信する。このように、シート材長さ情報を入力する構成を備えることによって、原稿MSのサイズがA4用紙やB5用紙のように生産性を高めるべきサイズである場合に、従来よりも紙間を詰めた、生産性の高い原稿MSの搬送を行うことが出来る。
なお、本実施形態のADF51のコントローラ100は、対象長さセンサS4の検知結果に基づいて原稿MSのサイズが生産性を高めるべき対象のサイズであるか否かの判断を行っているが、使用者が操作部108を操作して原稿載置台53に載置した原稿MSのサイズを入力する構成としてもよい。
なお、ADF51のように、原稿セット部Aの原稿載置台53に載置した原稿MSの搬送方向の長さを検知するシート材長さ検知手段である対象長さセンサS4を備え、対象長さセンサS4がシート材長さ情報入力手段として機能することにより、使用者の操作性が向上する。これは、使用者が原稿載置台53に原稿MSをセットするのみで原稿MSのサイズが生産性を高めるべき対象のサイズであるか否かの判断がなされ、使用者が操作部108で原稿MSのサイズを入力する作業が不要となるためである。
なお、本実施形態のADF51で、重送検知センサS5を配置した構成では、コントローラ100は、原稿MSが生産性を高めるべき対象のサイズであると判断した場合であっても、重送検知センサS5が重送を検知した場合には、分離センサS3の前原稿MS1の後端検知信号に基づいて次原稿MS2の搬送を開始する。これにより、生産性の高い原稿MSの搬送を行いつつ、重送に起因する不具合を防止することが出来る。
また、本実施形態のADF51は、分離搬送部Bの給紙ベルト84及びリバースローラ85によって分離作用が働く領域である分離ニップ部よりも原稿MSの搬送方向下流側の所定の位置で搬送されてくる原稿MSの搬送方向の後端を検知し、この後端を検知したときに後端検知信号をコントローラ100に送信する後端検知手段である分離センサS3を有する。コントローラ100は、対象長さセンサS4の検知結果に基づいて、原稿載置台53に載置される原稿MSの搬送方向の長さが所定の範囲内であり、原稿MSが生産性を高めるべき対象のサイズであると判断した場合は、先端検知信号を受信した後の所定のタイミングで呼出開始信号をシート材呼出手段に送信する。一方、原稿載置台53に載置される原稿MSの搬送方向の長さが所定の範囲外であり、原稿MSが生産性を高めるべき対象のサイズではないと判断した場合は、後端検知信号を受信した後の所定のタイミングで呼出開始信号をシート材呼出手段に送信する。このような構成により、原稿MSが生産性を高めるべき対象のサイズのときは紙間を詰めた生産性の高い原稿MSの搬送を実現することができる。また、原稿MSが対象のサイズではない場合は後端検知信号に基づいて呼出動作を開始するため、対象のサイズではない原稿MSであっても、重送を発生させることなく原稿MSの連続搬送を行うことが出来る。
また、実施例4及び実施例5のADF51では、原稿搬送部54内の複数の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の先端を検知できるように複数の先端検知手段として2つの先端検知センサS1(第一先端検知センサS1‐1、第二先端検知センサS1‐2)を備える。さらに、原稿MSのサイズが、生産性を高めるべき対象のサイズか否かを判別するための対象長さセンサS4を原稿載置台53に二つ設けている(第一対象長さセンサS4‐1、第二対象長さセンサS4‐2)。そして、コントローラ100は、2つの対象長さセンサS4の検知結果の基づいて、原稿MSのサイズが生産性を高めるべき対象のサイズのうち短いサイズであると判別した場合は、第一先端検知センサS1‐1を選択し、選択した第一先端検知センサS1‐1からの先端検知信号を受信した後の所定のタイミングで呼出開始信号をシート材呼出手段に送信する。また、原稿MSのサイズが生産性を高めるべき対象のサイズのうち長いサイズであると判別した場合は、第二先端検知センサS1‐2を選択し、選択した第二先端検知センサS1‐2からの先端検知信号を受信した後の所定のタイミングで呼出開始信号をシート材呼出手段に送信する。これにより、複数種の生産性を高めるべき対象のサイズに応じて、重送を防止しつつ、次原稿MS2の搬送が開始されるタイミングが最短となるトリガの先端検知センサS1を選択することで紙間を詰めた原稿MSの連続搬送が可能となる。
また、実施例6のADF51では、コントローラ100は、複数個の所定の時間tb[s]の情報として2パターンの所定の時間tb[s]の情報(tb‐1、tb‐2)が記憶された不図示の記憶部を備える。そして、コントローラ100は、2つの対象長さセンサS4の検知結果の基づいて、原稿MSのサイズが生産性を高めるべき対象のサイズのうち短いサイズ(L1‐1)であると判別した場合は、所定の時間としてtb‐1を選択し、先端検知信号を受信した後の選択した所定のタイミング(tb‐1経過後)で呼出開始信号をシート材呼出手段に送信する。また、原稿MSのサイズが生産性を高めるべき対象のサイズのうち長いサイズ(L1‐2)であると判別した場合は、所定の時間としてtb‐2を選択し、先端検知信号を受信した後の選択した所定のタイミング(tb‐2経過後)で呼出開始信号をシート材呼出手段に送信する。また、実施例6のように、先端検知センサS1の先端検知から所定の時間(tb[s])経過後に呼出動作を開始する制御を行う構成であれば、所定の時間の設定によって分離ニップ部から先端検知センサS1の検知位置までの距離をある程度自由に設定可能となる。このため、先端検知センサS1の設置位置の自由度が広がるという利点がある。
また、実施例1または実施例4のADF51では、シート材呼出手段は、原稿載置台53に重なって載置される複数枚の原稿MSの最も上側の一枚の原稿MSに接触した状態で駆動することによってその一枚の原稿MSに対して搬送力を付与するシート材呼出部材であるピックアップローラ80と、ピックアップローラ80を原稿載置台53上の原稿MSに対して接触または離間させるシート材呼出部材接離機構である不図示のピックアップ接離機構とを備える。さらに、シート材呼出手段は、ピックアップローラ80に回転駆動を伝達するピックアップ搬送モータ115とピックアップ接離機構に駆動を伝達してピックアップローラ80を昇降させるピックアップ昇降モータ101とを備える。そして、シート材呼出手段が呼出開始信号を受信すると、呼出動作として、まず、ピックアップ接離機構がピックアップローラ80を原稿載置台53上の原稿MSに対して接触させるためにピックアップ昇降モータ101を駆動して、ピックアップローラ80を「離間」した状態から「当接」した状態へと移動させる。次に、原稿MSに接触したピックアップローラ80を駆動するためにピックアップ搬送モータ115の駆動を開始する。すなわち、これらのADF51では、一枚の原稿MSを搬送する度にピックアップローラ80を原稿MSから離間させ、次の原稿MSを搬送するための所定のトリガに基づいてピックアップローラ80の下降を開始し、その後、ピックアップローラ80の回転を開始する構成である。このような構成で、所定のトリガが分離センサS3における前原稿MS1の後端検知であると、前原稿MS1が分離搬送部Bを通過して次原稿MS2の搬送を開始できる状態となってから、ピックアップローラ80を下降させる時間とピックアップローラ80を回転させる時間との呼出動作の立上時間を要するため、その間に、前原稿MS1が搬送されつづけ、紙間が広がってしまう。一方、実施例1や実施例4のADF51では、先端検知センサS1で前原稿MS1の先端を検知してから、前原稿MS1が分離搬送部Bを通過して次原稿MS2の搬送を開始できる状態となるまでの時間に、呼出動作の立上時間の少なくとも一部を吸収させることが出来る。これにより、従来の次原稿MS2の搬送を開始できる状態となってから呼出動作の立上時間の経過後に次原稿MS2の搬送が開始される構成に比べて、次原稿MS2の搬送を開始できる状態となってから次原稿MS2の搬送が開始されるまでの時間を短縮することが出来る。これにより、紙間を狭めることができ、原稿MSの連続搬送の生産性を向上することができる。
なお、原稿載置台53上の原稿MSの枚数によってピックアップローラ80が原稿MSに当接する高さは異なる。このため、ピックアップ昇降モータ101からピックアップ接離機構への駆動伝達部に不図示のトルクリミッタを設けることで、原稿MSの枚数が多く、ピックアップローラ80が原稿MSに当接する高さが高いときに、必要以上の当接圧がかかることを防止することができる。
また、実施例2及び実施例5のADF51では、先端検知センサS1が原稿MSの先端を検知する先端検知位置よりも原稿MSの搬送方向上流側の原稿搬送部54内の所定の位置で、搬送されてくる原稿MSの搬送方向の先端を検知し、この先端を検知したときに上流側先端検知信号をコントローラ100に送信する上流側先端検知手段であるピックアップ下降開始センサS2を有する。また、このADF51のシート材呼出手段は、原稿載置台53に重なって載置される複数枚の原稿MSの最も上側の一枚の原稿MSに接触した状態で駆動することによってその一枚の原稿MSに対して搬送力を付与するシート材呼出部材であるピックアップローラ80と、ピックアップローラ80を原稿載置台53上の原稿MSに対して接触または離間させるシート材呼出部材接離機構である不図示のピックアップ接離機構とを備える。さらに、シート材呼出手段は、ピックアップローラ80に回転駆動を伝達するピックアップ搬送モータ115とピックアップ接離機構に駆動を伝達してピックアップローラ80を昇降させるピックアップ昇降モータ101とを備える。そして、コントローラ100は、上流側先端検知信号に基づいて、所定のタイミングでシート材呼出手段のピックアップ昇降モータ101に呼出動作の前の準備動作を行うための呼出準備信号を送信する。シート材呼出手段のピックアップ昇降モータ101が呼出準備信号を受信すると、準備動作として、不図示のピックアップ接離機構がピックアップローラ80を原稿載置台53上の原稿MSに対して接触させる動作を実行するために、ピックアップ昇降モータ101を駆動して、ピックアップローラ80を「離間」した状態から「当接」した状態へと移動させ始める。その後、シート材呼出手段のピックアップ搬送モータ115が呼出開始信号を受信すると、呼出動作として、原稿MSに接触したピックアップローラ80を回転駆動する動作を実行するために、ピックアップ搬送モータ115が駆動を開始する。
このように、ピックアップ搬送モータ115の駆動を開始する呼出動作のトリガとなる先端検知センサS1による先端検知よりも前に、ピックアップローラ80を下降させる動作のトリガを設けることにより、先端検知センサS1による先端検知後の呼出動作の立上時間にピックアップローラ80の下降に要する時間を含まない制御を行うことが出来る。ADF51としては、先端検知センサS1で前原稿MS1の先端を検知してから次原稿MS2の搬送を開始できる状態となるまでの時間が非常に短く、ピックアップローラ80を下降させる時間とピックアップローラ80を回転させる時間とをあわせた時間を吸収しきれない場合があり得る。このような場合であっても、実施例2や実施例5のように、前原稿MS1の先端が先端検知センサS1で検知される前にピックアップローラ80の下降動作を開始することにより、ピックアップローラ80の下降にかかる時間が、紙間を延ばすことに影響せず、下降動作に起因して生産性が低下することを防止できる。
また、本実施形態のADF51では、シート材呼出手段は、シート材収容部である原稿セット部Aの原稿載置台53に重なって収容される複数枚の原稿MSの最も上側の一枚の原稿MSに接触した状態で回転駆動することによってこの一枚の原稿MSに搬送力を付与するシート材呼出部材であるピックアップローラ80を備える。そして、シート材呼出手段のピックアップ搬送モータ115が呼出開始信号を受信すると、呼出動作として、原稿MSに接触したピックアップローラ80を回転駆動する動作を実行するために、ピックアップ搬送モータ115が駆動を開始する。このようなADF51では、先端検知センサS1で前原稿MS1の先端を検知してから次原稿MS2の搬送を開始できる状態となるまでの時間に、呼出動作の立上時間であるピックアップ搬送モータ115が駆動を開始してからピックアップローラ80が原稿MSに対して搬送力を付与し始めるまでの時間の少なくとも一部を吸収させることが出来る。これにより、従来の次原稿MS2の搬送を開始できる状態となってから呼出動作の立上時間の経過後に次原稿MS2の搬送が開始される構成に比べて、次原稿MS2の搬送を開始できる状態となってから次原稿MS2の搬送が開始されるまでの時間を短縮することが出来る。これにより、紙間を狭めることができ、原稿MSの連続搬送の生産性を向上することができる。
また、実施形態のADF51のシート材呼出手段は、ピックアップローラ80を原稿載置台53上の原稿MSに対して接触または離間させるシート材呼出部材接離機構である不図示のピックアップ接離機構を備える。そして、前原稿MS1がピックアップローラ80に搬送され、給紙ベルト84等の他の搬送部材に搬送力を付与される領域に到達した後で、且つ、前原稿MS1のピックアップローラ80によって搬送力を付与される領域を通過する前の所定のタイミングで、ピックアップ接離機構がピックアップローラ80を原稿載置台53上の原稿MSから離間させる動作を行う。これにより、シート材呼出手段による原稿MSへの搬送力の付与を停止し、ピックアップローラ80から前原稿MS1と次原稿MS2とに連続的に搬送力が付与されることによる重送の発生を防止している。また、ピックアップローラ80から原稿MSへの搬送力の付与を停止するときに、ピックアップローラ80を原稿MSから離間させているため、ピックアップローラ80が原稿MSに当接したままであることに起因する原稿汚れや重送の発生を防止することが出来る。
また、実施例1及び実施例4のADF51では、シート材呼出手段のピックアップ昇降モータ101とピックアップ搬送モータ115とが呼出開始信号を受信すると、呼出動作として、先ず、ピックアップローラ80を「離間」した状態から「当接」した状態へと移動させるように、ピックアップ昇降モータ101を駆動して、ピックアップ接離機構がピックアップローラ80を原稿載置台53上の原稿MSに対して接触させる動作を実行する。その後、ピックアップ搬送モータ115の駆動を開始し、原稿MSに接触したピックアップローラ80を回転駆動する動作を実行する。このように、シート材呼出手段が呼出開始信号を受信してからピックアップローラ80の下降動作と、ピックアップローラ80の回転動作とを実行する構成では、呼出開始信号のトリガから次の原稿MSの搬送開始までのタイムラグを短くすることは困難である。このため、従来の画像読取装置のように、前原稿MS1の後端検知を呼出開始信号のトリガとしていると、次原稿MS2を搬送し始めても重送が生じない状態となってから実際に次原稿MS2を搬送し始めるまでにタイムラグが生じ、紙間を狭めることが困難である。これに対して、実施例1及び実施例4のADF51では、先端検知センサS1での先端検知をトリガとしてピックアップローラ80の下降を開始しているため、先端検知センサS1での前原稿MS1の先端検知から次原稿MS2の搬送を開始できる状態となるまでの時間に、呼出動作の立上時間の少なくとも一部を吸収させることが出来る。これにより、従来の次原稿MS2の搬送を開始できる状態となってから呼出動作の立上時間の経過後に次原稿MS2の搬送が開始される構成に比べて、次原稿MS2の搬送を開始できる状態となってから次原稿MS2の搬送が開始されるまでの時間を短縮することが出来る。これにより、紙間を狭めることができ、原稿MSの連続搬送の生産性を向上することができる。
シート材としての原稿MSを搬送する原稿搬送手段と、原稿搬送手段によって搬送される原稿MSの原稿画像を読み取る読取手段である第一固定読取部151及び第二固定読取部95とを備えた画像読取装置である画像読取ユニット50において、原稿搬送手段として、実施例1〜実施例6に記載のADF51を用いることにより、搬送される原稿MSの紙間を詰めることができるので、連続して原稿を読み取るときの生産性の向上を図ることできる。
画像読取手段と、画像読取手段で読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成手段である画像形成部1とを備える画像形成装置である複写機500において、画像読取手段として、実施例1〜6に記載のADF51を備える画像読取ユニット50を有することにより、連続して原稿を読み取るときの生産性の向上を図ることがきるため、連続してコピーを行うときの生産性の向上を図ることができる。
1 画像形成部
2 光書込装置
3 プロセスユニット
4 感光体
5 帯電装置
6 現像装置
7 攪拌部
8 搬送スクリュ
9 現像ケース
10 トナー濃度センサ
11 現像部
12 現像スリーブ
13 マグネットローラ
14 ドクタブレード
15 ドラムクリーニング装置
16 クリーニングブレード
17 ファーブラシ
18 電界ローラ
19 スクレーパ
20 回収スクリュ
21 リサイクル搬送装置
22 除電ランプ
24 転写ユニット
25 中間転写ベルト
26 一次転写ローラ
27 下部張架ローラ
28 紙搬送ユニット
29 紙搬送ベルト
30 駆動ローラ
31 二次転写ローラ
33 レジストローラ対
34 定着装置
35 排紙ローラ対
36 スイッチバック装置
37 本体側転写紙給紙路
40 転写紙供給装置
41 ペーパーバンク
42 転写紙給紙カセット
43 転写紙送出ローラ
44 転写紙給紙路
45 転写紙分離ローラ
47 搬送ローラ
48 給紙口
50 画像読取ユニット
51 ADF
52 本体カバー
53 原稿載置台
53a 固定原稿テーブル
53b 可動原稿テーブル
54 原稿搬送部
55 原稿スタック台
57 中サイズ長さセンサ
58 大サイズ長さセンサ
59 テーブル上昇センサ
61 排紙センサ
62 セットフィラー
63 原稿セットセンサ
65 レジストセンサ
66 中間ローラ対
67 読取入口センサ
72 突き当てセンサ
73 原稿幅センサ
80 ピックアップローラ
82 駆動ローラ
83 従動ローラ
84 給紙ベルト
85 リバースローラ
86 プルアウトローラ対
90 読取入口ローラ対
92 読取出口ローラ対
93 第二読取出口ローラ対
94 排紙ローラ対
95 第二固定読取部
96 第二読取ローラ
100 コントローラ
101 ピックアップ昇降モータ
102 給紙モータ
103 読取モータ
104 排紙モータ
105 底板上昇モータ
107 I/F
108 操作部
111 本体制御部
113 プルアウトモータ
114 読取入口モータ
115 ピックアップ搬送モータ
150 スキャナ
151 第一固定読取部
152 移動読取部
153 画像読取センサ
154 第一コンタクトガラス
155 第二コンタクトガラス
158 コピースタートボタン
159 蝶番
300 固定画像読取部
400 第一読取位置
500 複写機
501 排紙トレイ
A 原稿セット部
B 分離搬送部
C レジスト部
D ターン部
E 第一読取搬送部
F 第二読取搬送部
G 排紙部
H スタック部
J 原稿先端セット位置
L レーザー光
MS 原稿
MS1 前原稿
MS2 次原稿
P 転写紙
S1 先端検知センサ
S1‐1 第一先端検知センサ
S1‐2 第二先端検知センサ
S2 ピックアップ下降開始センサ
S2‐1 第一ピックアップ下降開始センサ
S2‐2 第二ピックアップ下降開始センサ
S3 分離センサ
S4 対象長さセンサ
S4a 上流側長さセンサ
S4b 下流側長さセンサ
S4‐1 第一対象長さセンサ
S4‐2 第二対象長さセンサ
S5 重送検知センサ
S5‐1 送信部
S5‐2 受信部
特許3618898号 特開2005−324872号公報

Claims (15)

  1. 複数枚のシート材を重ねて収容するシート材収容部と、
    シート材を所定の搬送目的位置まで搬送するシート材搬送部と、
    該シート材収容部の複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材に対して該シート材搬送部側に向かう搬送力を付与して複数枚のシート材から一枚のシート材を呼び出すシート材呼出手段と、
    該シート材呼出手段に搬送力が付与された一枚のシート材と重なって該シート材搬送部に向かおうとする他のシート材を該一枚のシート材から分離し、該一枚のシート材のみを該シート材搬送部に向かわせる分離手段と、
    該シート材呼出手段を制御するシート材呼出制御手段とを有し、
    該シート材呼出手段は、該シート材呼出制御手段から送信される呼出開始信号を受信すると上記一枚のシート材に対して搬送力を付与するための呼出動作を開始し、該呼出動作を開始してから該一枚のシート材を搬送し始めるまでに所定の立ち上がり時間を要する構成であり、
    該一枚のシート材に対して搬送力を付与し始めた後、次の一枚のシート材に対して搬送力を付与する状態となる前に該シート材呼出手段による搬送力の付与を停止するシート材搬送装置において、
    上記シート材搬送部内の所定の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の先端を検知し、この先端を検知したときに先端検知信号を上記シート材呼出制御手段に送信する先端検知手段を有し、
    該シート材呼出制御手段は、該先端検知信号に基づいて、所定のタイミングで上記シート材呼出手段に上記呼出開始信号を送信し、
    上記シート材収容部に収容されるシート材の搬送方向の長さの情報であるシート材長さ情報を上記シート材呼出制御手段に入力するシート材長さ情報入力手段を有し、
    該シート材呼出制御手段は、上記先端検知信号と該シート材長さ情報とに基づいて上記シート材呼出手段に上記呼出開始信号を送信し、
    上記分離手段の分離作用が働く領域よりもシート材の搬送方向下流側の所定の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の後端を検知し、この後端を検知したときに後端検知信号を上記シート材呼出制御手段に送信する後端検知手段を有し、
    上記シート材呼出制御手段は、上記シート材長さ情報に基づいて、上記シート材収容部に収容されるシート材の搬送方向の長さが所定の範囲内であると判断した場合は、上記先端検知信号を受信した後の所定のタイミングで上記呼出開始信号を上記シート材呼出手段に送信し、
    該シート材収容部に収容されるシート材の搬送方向の長さが所定の範囲外であると判断した場合は、上記後端検知信号を受信した後の所定のタイミングで上記呼出開始信号を上記シート材呼出手段に送信することを特徴とするシート材搬送装置。
  2. 請求項1に記載のシート材搬送装置において、
    上記シート搬送部内の複数の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の先端を検知できるように上記先端検知手段を複数備え、
    上記シート材呼出制御手段は、上記シート材長さ情報に基づいて複数の該先端検知手段の一つを選択し、
    選択した該先端検知手段からの上記先端検知信号を受信した後の所定のタイミングで上記呼出開始信号を上記シート材呼出手段に送信することを特徴とするシート材搬送装置。
  3. 請求項1に記載のシート材搬送装置において、
    上記シート材呼出制御手段は、上記所定のタイミングの情報が複数記憶された記憶部を備え、
    該シート材呼出制御手段は、上記シート材長さ情報に基づいて複数の所定のタイミングの一つを選択し、
    上記先端検知信号を受信した後の選択した上記所定のタイミングで上記呼出開始信号を上記シート材呼出手段に送信することを特徴とするシート材搬送装置。
  4. 複数枚のシート材を重ねて収容するシート材収容部と、
    シート材を所定の搬送目的位置まで搬送するシート材搬送部と、
    該シート材収容部の複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材に対して該シート材搬送部側に向かう搬送力を付与して複数枚のシート材から一枚のシート材を呼び出すシート材呼出手段と、
    該シート材呼出手段に搬送力が付与された一枚のシート材と重なって該シート材搬送部に向かおうとする他のシート材を該一枚のシート材から分離し、該一枚のシート材のみを該シート材搬送部に向かわせる分離手段と、
    該シート材呼出手段を制御するシート材呼出制御手段とを有し、
    該シート材呼出手段は、該シート材呼出制御手段から送信される呼出開始信号を受信すると上記一枚のシート材に対して搬送力を付与するための呼出動作を開始し、該呼出動作を開始してから該一枚のシート材を搬送し始めるまでに所定の立ち上がり時間を要する構成であり、
    該一枚のシート材に対して搬送力を付与し始めた後、次の一枚のシート材に対して搬送力を付与する状態となる前に該シート材呼出手段による搬送力の付与を停止するシート材搬送装置において、
    上記シート材搬送部内の所定の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の先端を検知し、この先端を検知したときに先端検知信号を上記シート材呼出制御手段に送信する先端検知手段を有し、
    該シート材呼出制御手段は、該先端検知信号に基づいて、所定のタイミングで上記シート材呼出手段に上記呼出開始信号を送信し、
    上記シート材収容部に収容されるシート材の搬送方向の長さの情報であるシート材長さ情報を上記シート材呼出制御手段に入力するシート材長さ情報入力手段を有し、
    該シート材呼出制御手段は、上記先端検知信号と該シート材長さ情報とに基づいて上記シート材呼出手段に上記呼出開始信号を送信し、
    上記シート搬送部内の複数の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の先端を検知できるように上記先端検知手段を複数備え、
    上記シート材呼出制御手段は、上記シート材長さ情報に基づいて複数の該先端検知手段の一つを選択し、
    選択した該先端検知手段からの上記先端検知信号を受信した後の所定のタイミングで上記呼出開始信号を上記シート材呼出手段に送信することを特徴とするシート材搬送装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、
    上記シート材長さ情報入力手段は、上記シート材収容部に収容するシート材の搬送方向の長さを検知するシート材長さ検知手段を備えることを特徴とするシート材搬送装置。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、
    上記シート材呼出手段は、上記シート材収容部に重なって収容される複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材に接触した状態で駆動することによってその一枚のシート材に対して搬送力を付与するシート材呼出部材と、該シート材呼出部材を該シート材収容部内のシート材に対して接触または離間させるシート材呼出部材接離機構とを備え、
    該シート材呼出手段が上記呼出開始信号を受信すると、上記呼出動作として、該シート材呼出部材接離機構が該シート材呼出部材を該シート材収容部内のシート材に対して接触させる動作と、シート材に接触した該シート材呼出部材を駆動する動作とを実行することを特徴とするシート材搬送装置。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、
    上記先端検知手段がシート材の先端を検知する先端検知位置よりもシート材の搬送方向上流側の上記シート材搬送部内の所定の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の先端を検知し、この先端を検知したときに上流側先端検知信号を上記シート材呼出制御手段に送信する上流側先端検知手段を有し、
    上記シート材呼出手段は、上記シート材収容部に重なって収容される複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材に接触した状態で駆動することによって搬送力を付与するシート材呼出部材と、該シート材呼出部材を該シート材収容部内のシート材に対して接触または離間させるシート材呼出部材接離機構とを備え、
    上記シート材呼出制御手段は、上記上流側先端検知信号に基づいて、所定のタイミングで上記シート材呼出手段に呼出動作の前の準備動作を行うための呼出準備信号を送信し、
    該シート材呼出手段が上記呼出準備信号を受信すると、上記準備動作として、上記シート材呼出部材接離機構が上記シート材呼出部材を上記シート材収容部内のシート材に対して接触させる動作を実行し、
    該シート材呼出手段が上記呼出開始信号を受信すると、上記呼出動作として、シート材に接触した該シート材呼出部材を駆動する動作を実行することを特徴とするシート材搬送装置。
  8. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、
    上記シート材呼出手段は、上記シート材収容部に重なって収容される複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材に接触した状態で駆動することによって搬送力を付与するシート材呼出部材を備え、
    該シート材呼出手段が上記呼出開始信号を受信すると、上記呼出動作として、シート材に接触した該シート材呼出部材を駆動する動作を実行することを特徴とするシート材搬送装置。
  9. 請求項のシート材搬送装置において、
    上記シート材呼出手段は、上記シート材呼出部材を上記シート材収容部内のシート材に対して接触または離間させるシート材呼出部材接離機構を備えることを特徴とするシート材搬送装置。
  10. 請求項のシート材搬送装置において、
    上記シート材呼出手段が上記呼出開始信号を受信すると、上記呼出動作として、上記シート材呼出部材接離機構が上記シート材呼出部材を上記シート材収容部内のシート材に対して接触させる動作と、シート材に接触した該シート材呼出部材を駆動する動作とを実行することを特徴とするシート材搬送装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、
    上記分離手段の分離作用が働く領域よりもシート材の搬送方向下流側の所定の位置で搬送されてくるシート材の搬送方向の後端を検知し、この後端を検知したときに後端検知信号を上記シート材呼出制御手段に送信する後端検知手段と、
    該分離手段の分離作用が働く領域の近傍でシート材の重送が発生しているか否かを検知する重送検知手段とを有し、
    上記シート材呼出制御手段は、該重送検知手段が重送の発生を検知した場合は、上記後端検知信号を受信した後の所定のタイミングで上記呼出開始信号を上記シート材呼出手段に送信することを特徴とするシート材搬送装置。
  12. 請求項11のシート材搬送装置において、
    上記重送検知手段は、超音波式の検知センサであることを特徴とするシート材搬送装置。
  13. 請求項11のシート材搬送装置において、
    上記重送検知手段は、光透過式の検知センサであることを特徴とするシート材搬送装置。
  14. シート材としての原稿用紙を搬送する原稿搬送手段と、
    該原稿搬送手段によって搬送される原稿用紙の原稿画像を読み取る読取手段とを備えた画像読取装置において、
    上記原稿搬送手段として、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシート材搬送装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
  15. 画像読取手段と、
    該画像読取手段で読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、
    該画像読取手段として、請求項14の画像読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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