JP2014127477A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性を高めることができる半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】積層体2を加熱して樹脂層11,13,15を熱硬化させる。この熱硬化工程における熱硬化後の積層体2の各樹脂層11,13,15のガラス転移点Tg以上280℃以下の平均線膨張係数をα(ppm/℃)とし、熱硬化工程における熱硬化後の積層体2の各樹脂層11,13,15のガラス転移点Tgにおける弾性率をE'(Pa)とした場合、E'×α×(Tc−Tg)≦2.7×10(Pa)を満たす。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
従来、複数の半導体素子を積層して構成された半導体装置や、半導体素子を基板上に積層した半導体装置が使用されている(たとえば、特許文献1)。
このような半導体装置においては、半導体素子同士の接続部分、あるいは、半導体素子と基板との接続部分を封止する樹脂層(接着剤組成物)が使用されている。
この接着剤組成物は、熱硬化性であり、特許文献1においては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及びカルボン酸等を含んでいる。
特開2011−29392号公報
このような半導体装置において、半導体素子にクラックが発生することが懸念されている。
本発明者らが検討した結果、半導体素子に発生するクラックの原因としては、以下のことを見出した。
半導体素子同士の接続部分を取り囲む樹脂層に応力が存在しており、この応力が半導体素子に作用してクラックを発生させていると考えられる。
そして、この樹脂層に存在する応力は、樹脂層を熱硬化する工程において発生すると考えられる。熱硬化する工程では、熱硬化後の樹脂層を熱硬化温度から、ガラス転移点まで低下させる。この温度変化により、樹脂層に応力が発生し、この応力が、半導体素子のクラックの発生と大きく関連していることがわかった。そして、特定の条件を満たすことで、半導体素子のクラックの発生が抑制できることを見出したのである。
すなわち、本発明によれば、
電子部品、熱硬化性の第一樹脂層、第一半導体素子、熱硬化性の第二樹脂層、第二半導体素子がこの順で積層された半導体装置の製造方法であって、
前記第一半導体素子の接続用端子と、前記電子部品の接続用端子とを当接させるとともに、前記第一半導体素子および前記電子部品間に、互いに当接した前記接続用端子の周囲を取り囲むように前記第一樹脂層を配置し、
前記第一半導体素子の他の接続用端子と前記第二半導体素子の接続用端子とを当接させるとともに、
前記第一半導体素子および前記第二半導体素子間に、互いに当接した前記他の接続用端子および前記接続用端子の周囲を取り囲む第二樹脂層を配置することで積層体を構成する工程と、
前記積層体を加熱して、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層を熱硬化させる工程とを含み、
積層体を加熱して前記第一樹脂層および前記第二樹脂層を熱硬化させる前記工程では、
当該熱硬化後の前記積層体の前記第一樹脂層のガラス転移点Tg(℃)および前記第二樹脂層のガラス転移点Tg(℃)を超える熱硬化温度Tc(℃)で、積層体の前記第一樹脂層および前記第二樹脂層を熱硬化した後、熱硬化温度Tc(℃)から前記第一樹脂層のガラス転移点Tg(℃)および前記第二樹脂層のガラス転移点Tg(℃)を下回る温度まで、前記第一樹脂層および第二樹脂層を冷却し、
前記熱硬化後の積層体の前記第一樹脂層の前記Tg以上280℃以下の平均線膨張係数をα2−1(ppm/℃)とし、
前記熱硬化後の積層体の前記第一樹脂層の前記Tgにおける弾性率をE'(Pa)とした場合、
E'×α2−1×(Tc−Tg)≦2.7×10(Pa)
であり、
前記熱硬化後の積層体の前記第二樹脂層の前記Tg以上280℃以下の平均線膨張係数をα2−2(ppm/℃)とし、
前記熱硬化後の積層体の前記第二樹脂層の前記Tgにおける弾性率をE'(Pa)とした場合、
E'×α2−2×(Tc−Tg)≦2.7×10(Pa)
である半導体装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、半導体装置におけるクラックの発生を抑制して、半導体装置の生産性を高めることができる半導体装置の製造方法が提供される。
本発明の一実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す工程断面図である。 積層体を加熱する装置を示す図である。 半導体装置の製造工程を示す工程断面図である。 本発明の変形例を示す工程断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は重複しないように適宜省略される。
はじめに、図1を参照して、本実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。
本実施形態の半導体装置の製造方法は、電子部品(たとえば、半導体チップ10)、熱硬化性の第一樹脂層(たとえば、樹脂層11)、第一半導体素子(たとえば、半導体チップ12)、熱硬化性の第二樹脂層(たとえば、樹脂層13)、第二半導体素子(たとえば、半導体チップ14)がこの順で積層された半導体装置の製造方法である。
この製造方法は、第一半導体素子の接続用端子と、前記電子部品の接続用端子とを当接させるとともに、前記第一半導体素子および前記電子部品間に、互いに当接した前記接続用端子の周囲を取り囲むように前記第一樹脂層を配置し、
前記第一半導体素子の他の接続用端子と前記第二半導体素子の接続用端子とを当接させるとともに、
前記第一半導体素子および前記第二半導体素子間に、互いに当接した前記他の接続用端子および前記接続用端子の周囲を取り囲む第二樹脂層を配置することで積層体2を構成する工程と、
前記積層体2を加熱して、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層を熱硬化させる工程とを含む。
積層体2を加熱して前記第一樹脂層および前記第二樹脂層を熱硬化させる前記工程では、
当該熱硬化後の前記積層体2の前記第一樹脂層のガラス転移点Tg(℃)および前記第二樹脂層のガラス転移点Tg(℃)を超える熱硬化温度Tc(℃)で、前記積層体2の前記第一樹脂層および前記第二樹脂層を熱硬化した後、熱硬化温度Tc(℃)から前記第一樹脂層のガラス転移点Tg(℃)および前記第二樹脂層のガラス転移点Tg(℃)を下回る温度まで、前記第一樹脂層および第二樹脂層を冷却する。
そして、前記熱硬化後の前記積層体2の前記第一樹脂層の前記Tg以上280℃以下の平均線膨張係数をα2−1(ppm/℃)とし、
前記熱硬化後の前記積層体2の前記第一樹脂層の前記Tgにおける弾性率をE'(Pa)とした場合、
E'×α2−1×(Tc−Tg)≦2.7×10(Pa)
であり、
前記熱硬化後の前記積層体2の前記第二樹脂層の前記Tg以上280℃以下の平均線膨張係数をα2−2(ppm/℃)とし、
前記熱硬化後の前記積層体2の前記第二樹脂層の前記Tgにおける弾性率をE'(Pa)とした場合、
E'×α2−2×(Tc−Tg)≦2.7×10(Pa)
となる。
次に、図1〜図3を参照して、本実施形態の半導体装置の製造方法の一実施形態について詳細に説明する。
はじめに、図1(A)に示すように、半導体チップ10を用意する。この半導体チップ10は、基板と、基板表面に設けられた端子(半導体チップ12への接続用の端子)101とを備える。基板には、内部回路等が作りこまれている。本実施形態では、基板を貫通するビアは設けられていない。接続用端子101は、たとえば、基板側から銅層、ニッケル層、金層の順に積層された構造となっている。ただし、接続用端子101の構造は、これに限られるものではない。
ここで、半導体チップ10の厚みとしては特に限定されないが、例えば、50〜750μmとすることができる。
また、半導体チップ10の他方の基板表面(裏面)側には、端子は設けられていない。
また、図1(A)に示すように、半導体チップ12を用意する。この半導体チップ12は、基板(たとえば、シリコン基板)120と、基板120を貫通するビア123とを有するTSV構造の半導体素子である。基板120には、内部回路等が作りこまれており、基板120の一方の表面には、端子121が設けられ、他方の表面には、端子122が設けられている。端子121および端子122は、ビア123で接続されている。端子121は、半導体チップ10に接続される接続用端子であり、端子122は、半導体チップ14に接続される接続用端子である。
ビア123は、たとえば、銅等の金属や、不純物がドープされた導電性のポリシリコンで構成される。
端子122は、たとえば、端子101と同様の層構成で構成される。
端子121は、表面に半田層121Aを有するものである。接続用端子121は、たとえば、銅層上にニッケル層を積層し、さらにこのニッケル層を被覆するように半田層121Aを設けた構造である。
半田層121Aの材料は、特に制限されず、錫、銀、鉛、亜鉛、ビスマス、インジウム及び銅からなる群から選択される少なくとも1種以上を含む合金等が挙げられる。これらのうち、錫、銀、鉛、亜鉛及び銅からなる群から選択される少なくとも1種以上を含む合金が好ましい。半田層121Aの融点は、110〜250℃、好ましくは170〜230℃である。
半導体チップ12の基板120の端子121が設けられた側の表面には、樹脂層11が設けられている。
樹脂層11は、端子121を被覆している。樹脂層11は、詳しくは後述するが、熱硬化性樹脂と、フラックス活性化合物とを含む層である。
さらに、半導体チップ14、半導体チップ16も用意する(図1(A)参照)。
半導体チップ14は、基板(半導体基板、たとえば、シリコン基板)と、基板140を貫通するビア143とを有するTSV構造の半導体素子である。基板には、内部回路等が作りこまれており、基板の一方の表面には、端子141が設けられ、他方の表面には、端子142が設けられている。端子141および端子142は、ビア143で接続されている。
半導体チップ16は、基板(半導体基板、たとえば、シリコン基板)と、基板160を貫通するビア163とを有するTSV構造の半導体素子である。基板には、内部回路等が作りこまれており、基板の一方の表面には、端子161が設けられ、他方の表面には、端子162が設けられている。端子161および端子162は、ビア163で接続されている。
ビア143、163は、ビア123と同様の材料で構成される。
端子142、162は、端子122と同様の構成および材料であり、端子141、161は、端子121と同様の構成および材料である。なお、符号141A、161Aは、半田層121Aと同様の半田層である。
半導体チップ14には、端子141を被覆する樹脂層13が設けられている。また、半導体チップ16には、端子161を被覆する樹脂層15が設けられている。
ここで、各半導体チップ12,14,16に、樹脂層11,13,15をそれぞれ設ける方法としては、たとえば、以下の方法があげられる。
各半導体チップ12,14,16に対し、それぞれ、樹脂層11,13,15を貼り付ける。
また、あらかじめ、半導体チップ12、14、16が一体化したウェハを用意し、このウェハに、樹脂層11、13,15が一体化した樹脂シートを貼り付ける。その後、樹脂シート、ウェハをダイシングすることで、樹脂層11付きの半導体チップ12、樹脂層13付きの半導体チップ14、樹脂層15付きの半導体チップ16を用意してもよい。
さらに、半導体チップ12、14、16が一体化したウェハを用意し、このウェハに、スピンコートで樹脂層11、13,15が一体化した樹脂層を形成し、その後、ダイシングすることで、樹脂層11付きの半導体チップ12、樹脂層13付きの半導体チップ14、樹脂層15付きの半導体チップ16を用意してもよい。
なお、本実施形態では、半導体チップ10、12、14、16は、平面視(基板面側から見た場合の平面視)における大きさが同一である。また、半導体チップ12,14,16の基板120,140,160の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。また、好ましくは150μm以下、より好ましくは、100μm以下、さらに好ましくは、50μm以下であり、非常に薄いものとなっている。
さらに、本実施形態では、半導体チップ10、12、14、16としては、たとえば、DRAM、SRAM等のメモリチップやロジックチップ、CMOSイメージセンサー、MEMSチップ等があげられ、半導体チップ10、12、14、16としてはこれらのなかから選択できる。
ここで、図示しないが、半導体チップ12、14、16の各基板の周縁部には、内部回路領域を囲むダイシングラインが枠状に残っている。半導体素子は、複数の半導体素子が一体化されたウェハをダイシングラインに沿って切断することで、得られるが、各半導体素子の基板には、ダイシングラインが残ることとなる。本実施形態では、各基板のダイシングラインで囲まれた領域の大きさ形状は等しい。
また、半導体チップ12、14、16は、同一の機能を有する半導体素子としてもよく、また、異なる機能を有する半導体素子としてもよい。たとえば、半導体素子12、14、16の内部回路は同一のレイアウトであってもよく、異なるレイアウトであってもよい。
次に、樹脂層11,13,15について説明する。
各半導体チップに設けられた各樹脂層11,13,15の厚みは、たとえば、5μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上である。また、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以下である。上記下限値以上とすることで、樹脂層が半田層を確実に被覆でき、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を樹脂層のフラックス活性により容易に接続させることができる。また、上記上限値以下とすることで、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を容易に接続させることができる。さらには、上記上限値以下とすることで樹脂層の硬化収縮による半導体チップ12,14,16の反りを抑制することができる。
ここで、樹脂層11,13,15について説明する。樹脂層11,13,15は、それぞれ半導体チップ10,12間、半導体チップ12,14間、半導体チップ14,16間の隙間を埋めるためのものである。
樹脂層11,13,15は、それぞれ熱硬化性樹脂と、フラックス活性化合物とを含む。
ここで、樹脂層11,13,15は、いずれもおなじ樹脂組成物で構成されていてもよく、異なる樹脂組成物で構成されていてもよい。
熱硬化性樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂等を用いることができる。これらは、単独または2種以上を混合して用いることができる。
中でも、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れるエポキシ樹脂が好適に用いられる。樹脂層11,13,15における熱硬化性樹脂の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは25質量%以上である。また、70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下である。
樹脂層11,13,15は、半田接合の際に、半田層や端子の表面の酸化被膜を除去する作用を有する樹脂層である。樹脂層11,13,15が、フラックス作用を有することにより、半田や端子の表面を覆っている酸化被膜が除去されるので、半田接合を行うことができる。樹脂層11,13,15がフラックス作用を有するためには、樹脂層11,13,15が、フラックス活性化合物を含有する必要がある。樹脂層11,13,15に含有されるフラックス活性化合物としては、半田接合に用いられるものであれば、特に制限されない。
ただし、フラックス活性化合物として、カルボキシル基を有する化合物、フェノール性水酸基を有する化合物の少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。また、双方を含んでいてもよい。また、フラックス活性化合物は、カルボキシル基及びフェノール性水酸基の両方を備える化合物であってもよい。
樹脂層11,13,15中のフラックス活性化合物の配合量は、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上である。また、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等が挙げられる。
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る脂肪族カルボン酸としては、下記一般式(I)で示される化合物や、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸等が挙げられる。
HOOC−(CH−COOH (I)
(式(I)中、nは、0以上20以下の整数を表す。)
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、トリイル酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体、フェノールフタリン、ジフェノール酸等が挙げられる。
これらのカルボキシル基を備えるフラックス活性化合物のうち、フラックス活性化合物が有する活性度、樹脂層の硬化時におけるアウトガスの発生量、及び硬化後の樹脂層の弾性率やガラス転移温度等のバランスが良い点で、前記一般式(I)で示される化合物が好ましい。そして、前記一般式(I)で示される化合物のうち、式(I)中のnが3〜10である化合物が、硬化後の樹脂層における弾性率が増加するのを抑制することができるとともに、接着性を向上させることができる点で、特に好ましい。
前記一般式(I)で示される化合物のうち、式(I)中のnが3〜10である化合物としては、例えば、n=3のグルタル酸(HOOC−(CH−COOH)、n=4のアジピン酸(HOOC−(CH−COOH)、n=5のピメリン酸(HOOC−(CH−COOH)、n=8のセバシン酸(HOOC−(CH−COOH)及びn=10のHOOC−(CH10−COOH等が挙げられる。
フェノール性水酸基を備えるフラックス活性化合物としては、フェノール類が挙げられ、具体的には、例えば、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、m−エチルフェノール、2,3−キシレノール、メジトール、3,5−キシレノール、p−ターシャリブチルフェノール、カテコール、p−ターシャリアミルフェノール、レゾルシノール、p−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビフェノール、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールA、トリスフェノール、テトラキスフェノール等のフェノール性水酸基を含有するモノマー類、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等が挙げられる。
以上説明したフラックス活性化合物は、1種単独又は2種以上を組み合わせでもよい。
上述したようなカルボキシル基又はフェノール性水酸基のいずれか、あるいは、カルボキシル基及びフェノール性水酸基の両方を備える化合物は、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂との反応で三次元的に取り込まれる。
そのため、硬化後のエポキシ樹脂の三次元的なネットワークの形成を向上させるという観点からは、フラックス活性化合物としては、フラックス作用を有し且つエポキシ樹脂の硬化剤として作用するフラックス活性硬化剤が好ましい。フラックス活性硬化剤としては、例えば、1分子中に、エポキシ樹脂に付加することができる2つ以上のフェノール性水酸基と、フラックス作用(還元作用)を示す芳香族に直接結合した1つ以上のカルボキシル基とを備える化合物が挙げられる。
このようなフラックス活性硬化剤としては、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)等の安息香酸誘導体;1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;及びジフェノール酸等が挙げられ、これらは1種単独又は2種以上を組み合わせでもよい。
なかでも、端子間の接合を良好なものとするためには、フェノールフタリンを使用することが特に好ましい。
また、樹脂層中、フラックス活性硬化剤の配合量は、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上である。また、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。樹脂層中のフラックス活性硬化剤の配合量が、上記範囲であることにより、樹脂層のフラックス活性を向上させることができるとともに、樹脂層中に、熱硬化性樹脂と未反応のフラックス活性硬化剤が残存するのが防止される。
また、樹脂層は、無機充填材を含んでいてもよい。樹脂層中に無機充填材を含有させることで、樹脂層の最低溶融粘度を高め、端子間に隙間が形成されてしまうことを抑制できる。ここで、無機充填材としては、シリカや、アルミナ等があげられ、いずれか1種以上を使用できる。
無機充填材は、樹脂層中、20質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは25質量%以上であり、特に好ましくは30質量%以上である。また、80質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは70質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以下である。無機充填材の含有量を上記下限値以上とすることで、樹脂層の線膨張係数を小さくすることができる。一方で、無機充填材の含有量を上記上限値以下とすることで、樹脂層の成形性を良好なものとすることができる。
また、無機充填材は、平均粒径が0.5μm以下であることが好ましい。無機充填材の平均粒径を0.5μm以下とすることで、端子間に無機充填材が挟まってしまうことがあったとしても、端子間の導通を確保することができる。詳しくは後述するが、端子同士を半田接合する際に、端子間には樹脂層が介在しており、この樹脂層に端子が食い込み、樹脂層を端子間から排除して、端子同士が半田接合する。この工程において、無機充填材が端子間に挟まってしまうことがあるが、無機充填材の平均粒径を0.5μm以下とすることで端子間の導通を確保することができ、接続信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
さらに、樹脂層は、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。これにより、樹脂層を容易にフィルム状とすることができ、効率的に接続性および絶縁信頼性に優れた半導体装置を製造することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロン等が挙げられる。これらのうち、いずれか1種以上を使用することができる。
これらの中でも、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂が好ましい。(メタ)アクリル系樹脂またはフェノキシ樹脂を適用することにより、樹脂層のフィルム形成性と支持体および被着体に対する密着性を両立することができる。熱可塑性樹脂は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、熱可塑性樹脂において、(メタ)アクリル系樹脂とは、(メタ)アクリル酸及びその誘導体の重合体、あるいは(メタ)アクリル酸及びその誘導体と他の単量体との共重合体を意味する。ここで、(メタ)アクリル酸などと表記するときは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
熱可塑性樹脂として用いられるアクリル系樹脂としては、具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2−エチルヘキシル等のポリアクリル酸エステル;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル等のポリメタクリル酸エステル;ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリアクリルアミド、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−α−メチルスチレン共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,Nジメチルアクリルアミド共重合体等が挙げられる。これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。
これらの中でも、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,Nジメチルアクリルアミド共重合体のいずれかが好ましい。
なお、上記アクリル系樹脂として、ニトリル基、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基等の官能基を有する単量体を共重合させてなる(メタ)アクリル系樹脂を用いることにより、フィルム状の樹脂層の支持体および被着体への密着性、および熱硬化性樹脂等との相溶性を向上させることができる。
上記アクリル系樹脂の重量平均分子量は、例えば1000以上、100万以下であることが好ましく、さらに好ましくは3000以上、90万以下である。
上記アクリル系樹脂の重量平均分子量が上記範囲内にあることにより、樹脂層の成膜性をさらに向上させることができるとともに、硬化時の流動性を確保することができる。
また、熱可塑性樹脂として、フェノキシ樹脂を用いる場合、その数平均分子量は5000以上、20000以下であることが好ましい。
上記フェノキシ樹脂の数平均分子量が上記範囲内にあることにより、樹脂層の流動性を抑制し、フィルム状の樹脂層の厚みを均一なものとすることができる。
フェノキシ樹脂の骨格は、特に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプ、ビフェニル骨格タイプ、ビフェノール骨格タイプ等が挙げられる。
樹脂層において、該樹脂層全体に対する熱可塑性樹脂の含有量としては特に限定されないが、0.1質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.2質量%以上である。また、20質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。
熱可塑性樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、フィルム状の樹脂層の成膜性低下を抑制しつつ、硬化後のフィルム状の樹脂層における弾性率の増加を抑制することができる。その結果、フィルム状の樹脂層と支持体および被着体の密着性をさらに向上させることができる。更に、フィルム状の樹脂層の溶融粘度の増加を抑制することができる。
(積層体を構成する工程)
次に、図1(A)〜(D)に示すように、半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12、樹脂層13、半導体チップ14、樹脂層15、半導体チップ16で構成される積層体2を形成する。
まず、図1(A)に示すように、半導体チップ10の端子101が形成された面と、半導体チップ12に設けられた樹脂層11とを対向させ、半導体チップ10上に、樹脂層11を介して半導体チップ12を積層する。
このとき、半導体チップ10に形成されたアライメントマークと半導体チップ12に形成されたアライメントマークとを確認し位置あわせを行なう。
その後、半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12を加熱して、半硬化の状態(Bステージ)の樹脂層11を介して、半導体チップ10および半導体チップ12を接着する。このとき、ヒータが内蔵された一対の挟圧部材により半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12を挟むことで、半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12を加熱するとともに、前記一対の挟圧部材にて挟圧し、荷重をかけることで、半導体チップ10および半導体チップ12を接着することができる。たとえば、フリップチップボンダーを使用して、大気圧下、大気中で、樹脂層11を介して半導体チップ10および半導体チップ12を接着する。このときの加熱温度は、樹脂層11の熱硬化性樹脂が完全硬化しなければ、特に限定されないが、熱硬化性樹脂の硬化温度未満であることが好ましい。
接着後の半導体チップ10に対する半導体チップ12の位置が正確であるかどうかは、たとえば、X線顕微鏡や、赤外線顕微鏡を使用して確認することができる。
なお、樹脂層が半硬化の状態(Bステージ)であるとは、樹脂層の上下の電子部品や半導体素子を固定できる程度の硬さを有する状態であって、さらに硬化反応を進める余地がある状態をいう。このような半硬化の状態は、特に限定されないが、例えば樹脂層の反応率を測定することによって確認することができる。具体的には、未硬化の樹脂層と、硬化後の樹脂層とをDSC(示差走査熱量計)で測定し、DSCの測定結果から算出される反応率が0%を超え、60%以下の状態であり、さらには、0.5%以上55%以下、さらに好ましくは1%以上50%以下の状態となっていることが好ましい。
次に、図1(B)に示すように、半導体チップ12の端子122が設けられた面と、樹脂層13とを対向させて、半導体チップ12上に樹脂層13を介して半導体チップ14を積層する。
このとき、半導体チップ12に形成されたアライメントマークと半導体チップ14に形成されたアライメントマークとを確認し位置あわせを行なう。
その後、半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12、樹脂層13、半導体チップ14を加熱して、半硬化の状態(Bステージ)の樹脂層13を介して、半導体チップ12および半導体チップ14を接着する。このとき、ヒータが内蔵された一対の挟圧部材により半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12、樹脂層13、半導体チップ14を挟んで加熱し、前記一対の挟圧部材にて挟圧し、荷重をかけることで、半導体チップ12および半導体チップ14を接着することができる。たとえば、フリップチップボンダーを使用して、大気圧下、大気中で半導体チップ12および半導体チップ14を接着する。このときの加熱温度は、樹脂層13の熱硬化性樹脂が完全硬化しなければ、特に限定されないが、熱硬化性樹脂の硬化温度未満であることが好ましい。
接着後の半導体チップ12に対する半導体チップ14の位置が正確であるかどうかは、たとえば、X線顕微鏡や、赤外線顕微鏡を使用して確認することができる。
以上の工程においては、半田層121A,141Aは溶融しておらず、端子101、121同士、端子122、141同士は、半田接合していない。また、端子101,121同士は物理的に接触していてもよく、また、端子101,121間に樹脂層11の樹脂が介在していてもよい。端子122、141同士においても、同様である。
図1(C)に示すように、挟圧部材43に樹脂層15付き半導体チップ16を取り付ける。一方で、挟圧部材44上に、半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12、樹脂層13、半導体チップ14から構成される積層体を設置する。
次に、挟圧部材44,43を接近させ、樹脂層15付き半導体チップ16の樹脂層15を半導体チップ14に当接させる。これにより積層体2が構成されるが、ここでは、半導体チップ16は、樹脂層15を介して半導体チップ14に接着していない状態である。
その後、挟圧部材44,43内のヒータが昇温を開始する。挟圧部材44,43を介して積層体2を半田層121A,141A,161Aの融点以上に加熱するとともに、挟圧部材44,43で挟圧して、端子101,121同士、端子122,141同士、端子142,161同士を半田接合する。
この際、端子101と端子121の半田層121A間に樹脂層11が介在している場合には、介在している樹脂層11に端子101、端子121の半田層121Aが食い込み、端子101、端子121の半田層121A間の樹脂層11が排除されて、端子101,端子121の半田層121Aが接触し、その後半田接合することとなる。
端子122,端子141の半田層141A間、端子142,端子161の半田層161A間においても同様である。
すなわち、端子122,端子141の半田層141A間に樹脂層13が介在している場合には、介在している樹脂層13に端子122,端子141の半田層141Aが食い込み、端子122,端子141の半田層141A間の樹脂層13が排除されて、端子122,端子141の半田層141Aが接触し、その後半田接合することとなる。
また、端子142,端子161の半田層161A間に樹脂層15が介在している場合には、介在している樹脂層15に端子142,端子161の半田層161Aが食い込み、端子142,端子161の半田層161A間の樹脂層15が排除されて、端子142,端子161の半田層161Aが接触し、その後半田接合することとなる。
ここでは、たとえば、フリップチップボンダーを使用して、半田接合することができる。
接着後の半導体チップ14に対する半導体チップ16の位置が正確であるかどうかは、たとえば、X線顕微鏡や、赤外線顕微鏡を使用して確認することができる。
端子間が半田接合されるとは、以下のことをいう。積層体2が半田層121A,141A,161Aの融点以上に加熱され、半導体チップ10,12間、半導体チップ12,14間、半導体チップ14,16間の接合に使用される各半田層121A,141A,161Aが溶融するとともに、端子101,121同士、端子122,141同士、端子142,161同士が、半田層121A,141A,161Aを介して接触し、少なくとも一部が合金を形成している状態である。
以上のようにして得られた積層体2において、半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12、樹脂層13、半導体チップ14、樹脂層15、半導体チップ16の各側面は上面から見てつらいちとなっていてもよく、また、樹脂層11,13,15が半導体チップ10,12,14,16側面からはみ出していてもよい。
また、以上の工程により積層体2が形成されるが、積層体2において、樹脂層11,13,15は完全硬化せずに、半硬化の状態となっている。
(熱硬化工程)
次に、図2に示すように、端子101,121同士、端子122,141同士、端子142,161同士が半田接合された積層体2の樹脂層11,13,15を硬化させる(熱硬化工程)。この熱硬化工程を経ることで、各樹脂層11,13,15の硬化は大きく進行する。半導体装置の製造工程において、樹脂層が加熱される工程は複数存在するが、この熱硬化工程にて、樹脂層11,13,15の硬化は最も大きく進行し、半硬化であった樹脂層11,13,15は、Cステージ(完全硬化)となる。
前述した半田接合工程後この熱硬化工程前(熱硬化工程直前)における樹脂層11の反応率(%:以下同じ)をRb11、この熱硬化工程直後の樹脂層11の反応率をRa11とした場合、Ra11−Rb11は、60%以上、好ましくは85%以上となる。
同様に、半田接合工程後、この熱硬化工程前における樹脂層13の反応率をRb13、この熱硬化工程直後の樹脂層13の反応率をRa13とした場合、Ra13−Rb13は、60%以上、好ましくは85%以上となる。
さらに、半田接合工程後、この熱硬化工程前における樹脂層15の反応率をRb15、この熱硬化工程直後の樹脂層15の反応率をRa15とした場合、Ra15−Rb15は、60%以上、好ましくは85%以上となる。
ここで、熱硬化工程直後とは、熱硬化工程終了後、後段の工程を実施していない状態であり、熱硬化工程終了後から樹脂層の反応率が変化するような加熱工程が加えられていない状態をいう。
樹脂層11,13,15の硬化は、たとえば、図2に示す装置6を使用して行なうことができる。
はじめに、装置6は、容器61と、容器61内に流体を供給する配管611とを備える。
容器61は、圧力容器であり、容器61の材料としては、金属等があげられ、たとえば、ステンレス、チタン、銅等のいずれかの金属があげられる。
配管611からは、積層体2を加圧するための流体が供給される。流体としては、気体が好ましく、たとえば、空気、不活性ガス(窒素ガス、希ガス)等のいずれかがあげられる。
流体により、積層体2を加圧する際の加圧力は、0.1MPa以上、10MPa以下が好ましく、より好ましくは0.5MPa以上、5MPa以下である。流体により積層体2を加圧することで、樹脂層11,13,15内のボイド発生を抑制することができる。とくに、0.1MPa以上とすることで、この効果が顕著となる。また、10MPa以下とすることで、装置の大型化、複雑化を抑制できる。なお、流体で加圧するとは、積層体2の雰囲気の圧力を、大気圧より加圧力分だけ高くすることを指す。すなわち、加圧力10MPaとは、大気圧よりも、積層体2にかかる圧力が10MPa大きいことを示す。
積層体2を加熱加圧する際には、配管611から加熱した流体を導入し、積層体2を加熱加圧してもよく、また、配管611から流体を容器61内へ流入させ、加圧雰囲気下にしつつ、容器61を加熱することにより、積層体2を加熱することもできる。
容器61内に積層体2を配置し、流体を導入し、積層体2を樹脂層11,13,15の熱硬化性樹脂の硬化温度以上に加熱して、樹脂層11,13,15の硬化を行なう。この熱硬化工程直後の、積層体2の樹脂層11のガラス転移点Tg11(℃)、樹脂層13のガラス転移点Tg13(℃)樹脂層15のガラス転移点Tg15(℃)を超える熱硬化温度Tcで、前記積層体2の各樹脂層11,13,15を熱硬化する。
Tg11、Tg13、Tg15は、それぞれTc−Tg≧5℃(数式(1))を満たすことが好ましい。数式(1)において、Tgは、Tg11、Tg13、Tg15のいずれかである。このようにすることで、樹脂層をCステージ化(完全硬化)できるという効果を奏することができる。
なかでも、Tc−Tgは、15℃以上であることが好ましい。また、硬化後の熱収縮抑制の観点から、Tc−Tgは100℃以下であることが好ましい。
たとえば、Tg11、Tg13、Tg15が、100℃〜160℃である場合には、Tcは、115℃〜260℃とする。なお、Tg11、Tg13、Tg15は、80℃以上、180℃以下であることがより好ましい。
温度Tcで、たとえば、1時間、積層体2を加熱する。積層体2が温度Tcで加熱されている間は、流体により加圧されている。
その後、流体を容器61から排出する。流体による積層体2への加圧を停止し、その後、積層体2を容器61から取り出す。これにより、流体による加圧が解除された積層体2は、Tcから、各樹脂層のガラス転移温度を経て、室温まで冷却されることとなる。
ここで、熱硬化工程直後の積層体2の樹脂層11のガラス転移点(Tg11)以上280℃以下の平均線膨張係数をα2−11(ppm/℃)とし、ガラス転移点Tg11における弾性率をE'11(Pa)とする。
同様に、熱硬化工程直後の積層体2の樹脂層13のガラス転移点(Tg13)以上280℃以下の平均線膨張係数をα2−13(ppm/℃)とし、ガラス転移点Tg13における弾性率をE'13(Pa)とする。
さらに、同様に、熱硬化工程直後の積層体2の樹脂層15のガラス転移点(Tg15)以上280℃以下の平均線膨張係数をα2−15(ppm/℃)とし、ガラス転移点Tg15における弾性率をE'15(Pa)とする。
そして、各樹脂層11,13、15において、
E'(Pa)×α(ppm/℃)×(Tc−Tg)(℃)≦2.7×10(Pa)(数式(2))
を満たすように、各樹脂層11,13,15の樹脂を選択するとともに、Tcを設定する。
ここで、E'=E'11の場合には、Tg=Tg11、α=α2−11である。また、E'=E'13の場合には、Tg=Tg13、α=α2−13である。さらに、E'=E'15の場合には、Tg=Tg15、α=α2−15である。
E'×α×(Tc−Tg)は、2.7×10Pa以下であればよいが、2.5×10Pa以下であることがさらに好ましい。
また、E'×α×(Tc−Tg)は、5.0×10Pa以上であることが好ましい。なかでも、E'×α×(Tc−Tg)は、5.0×10Pa以上であることが好ましい。
E'×α×(Tc−Tg)を、上記下限値以上とすることで、樹脂層を介した電子部品と半導体素子、あるいは、樹脂層を介した半導体素子間の密着力を向上させることができる。
α、すなわち、α2−11、α2−13、α2−15はいずれも、30ppm/℃以上であることが好ましく、なかでも、80ppm/℃以上であることが特に好ましい。また、300ppm/℃以下であることが好ましく、なかでも、250ppm/℃以下であることが特に好ましい。
αが上記下限値以上である樹脂層は、半田接合時に充分な流動性を有するため、流動性低下による樹脂層内部における未充填部の発生を抑制することができる。
一方で、αを上記上限値以下とすることで、樹脂層内に発生する応力を抑制できる。
さらには、E'、すなわち、E'11、E'13、E'15はいずれも、1.0×10Pa以上であることが好ましく、なかでも、8.0×10Pa以上であることが特に好ましい。また、1.0×1010Pa以下であることが好ましく、なかでも、5.0×10Pa以下であることが特に好ましい。
E'を上記下限値以上とすることで、接合された端子を樹脂層で保護することができる。一方で、E'を上記上限値以下とすることで、樹脂層内に発生する応力を抑制できる。
なお、装置6の容器61内に複数の積層体2を入れて、樹脂層11,13,15の硬化を行なってもよい。このようにすることで生産性を向上させることができる。
以上のようにして、半導体チップ10,12同士、半導体チップ12,14同士、半導体チップ14,16同士が半田接合された積層体2を得る(図1(D)、図3(A))。
ここで、熱硬化工程直後の積層体2の樹脂層11の25℃以上ガラス転移点(Tg11)以下の平均線膨張係数をα1−11(ppm/℃)とする。
同様に、熱硬化工程直後の積層体2の樹脂層13の25℃以上ガラス転移点(Tg13)以下の平均線膨張係数をα1−13(ppm/℃)とする。
さらに、熱硬化工程直後の積層体2の樹脂層15の25℃以上ガラス転移点(Tg15)以下の平均線膨張係数をα1−15(ppm/℃)とする。
そして、半導体素子の25℃以上、300℃以下における平均線膨張係数α1−s(ppm/℃)とした場合、
α−α1−s≦80(ppm/℃)(数式(3))となることが好ましい。
ここで、αは、α1−11、α1−13、α1−15のいずれかであり、α1−sは、α1―1の樹脂層に接するいずれかの半導体チップである。
たとえば、αがα1−11である場合、α1−sは樹脂層11に直接する半導体チップ10あるいは半導体チップ12の平均線膨張係数となる。また、αがα1−13である場合、α1−sは樹脂層13に直接する半導体チップ12あるいは半導体チップ14の平均線膨張係数となる。また、αがα1−15である場合、α1−sは樹脂層15に直接する半導体チップ14あるいは半導体チップ16の平均線膨張係数となる。なお、各樹脂層がすべての隣接する半導体チップとの関係において、上記数式(3)を満たすことが好ましい。
このようにすることで、半導体チップと、各樹脂層との平均線膨張係数差が小さくなり、半導体チップのクラックの発生を抑制することができる。
なかでも、α−α1−sは、70ppm/℃以下、特に50ppm/℃以下であることが好ましい。なお、α−α1−sの下限値は、特に限定されないが、樹脂層の線膨張係数を小さくするために配合される無機充填材の配合量の上限値の観点から15ppm/℃であることが好ましい。
なお、αは、20ppm/℃以上であることが好ましい。また、75ppm/℃以下であることが好ましく、なかでも、55ppm/℃以下、さらには、50ppm/℃以下であることが好ましい。
ここで、E'(Pa)、α(ppm/℃)、Tg(℃)、α(ppm/℃)α1−s(ppm/℃)の計測方法は、以下の通りである。
TMAを用いて、熱硬化工程後の樹脂層に、引張荷重3gをかけ、昇温速度10℃/分として、−100℃から300℃の温度範囲で計測を行ない、ガラス転移点Tgを測定する。
また、同測定により25℃以上、ガラス転移温度以下の線膨張係数αを取得する。さらには、同測定によりガラス転移温度以上、280℃以下の線膨張係数αを取得する。
半導体チップの線膨張係数であるα1−sも同様の測定方法で計測することができる。
また、弾性率は、動的粘弾性測定装置を用い、引っ張りモード、周波数10Hz、昇温速度5℃/分として、測定温度Tgで測定できる。
(接合工程)
次に、図3(A)に示すように、積層体2の上下を反転させ、図3(B)に示すように、半導体チップ10,12同士、半導体チップ12,14同士、半導体チップ14,16同士が半田接合された積層体2を、基材18上に載せ、積層体2と基材18とを半田接合する。
はじめに、基材18を用意する。ここでは、基材18は、樹脂基板であってもよく、また、シリコン基板、ガラス基板やセラミック基板等であってもよい。
基材18の表面には、端子(積層体接続用端子)181が形成されている。端子181は、端子101と同様の構造、材料で構成され、表面に半田層181Aを有する。端子181は、半導体チップ16に接続されるものである。基材18の裏面には図示しないが、たとえば、端子等が形成されており、表面(半導体チップ16側の面)側に設けられた端子181と電気的に導通している。
次に、この基材18の表面に樹脂層17を設ける。この樹脂層17は、端子181を被覆するように設けられる。樹脂層17としては、樹脂層11,13,15と同様のものであってもよいが、たとえば、ペースト状のノーフロー型アンダーフィル材(NUF)を使用してもよい。基材18の表面の一部に、樹脂層17を設けるため、ペースト状のアンダーフィル材をディスペンスやインクジェット等で塗布することが好ましい。
このようなノーフロー型アンダーフィル材としては、たとえば、特開2008−13710号公報に開示されたものがあげられ、常温で液状の第一エポキシ樹脂と、第一エポキシ樹脂よりも硬化温度が高い第二エポキシ樹脂と、シリコーン変性エポキシ樹脂と、無機充填材と、フラックス活性を有する硬化剤とを含む樹脂組成物で構成される。この樹脂組成物は、溶剤を含まない。
第一エポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
第二エポキシ樹脂としては、アリル基を有するエポキシ樹脂(たとえば、ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂)が好ましい。
第一エポキシ樹脂は樹脂組成物中で5〜50質量%であることが好ましく、第二エポキシ樹脂は、0.1〜40質量%であることが好ましい。
シリコーン変性エポキシ樹脂としては、ジシロキサン構造を有するシリコーン変性(液状)エポキシ樹脂が挙げられ、具体的に下記一般式(1)で示されるシリコーン変性エポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 2014127477
前記シリコーン変性エポキシ樹脂のシリコーン変性率は、特に限定されないが、前記シリコーン変性樹脂のmが5以下であることが好ましく、特にmが1以下であることが好ましい。
さらに具体的には、前記シリコーン変性エポキシ樹脂は、前記一般式(1)で示されるシリコーン変性液状エポキシ樹脂のmが0であるシリコーン変性液状エポキシ樹脂と、下記一般式(2)で示されるフェノール類とを加熱反応により合成したものであることが好ましい。これにより、基材や半導体チップへの濡れ性を向上することができる。
Figure 2014127477
前記一般式(1)で示されるシリコーン変性液状エポキシ樹脂のmが0であるシリコーン変性液状エポキシ樹脂と、前記一般式(2)で表されるフェノール類とのモル比(シリコーン変性エポキシ樹脂のエポキシ基/フェノール類のフェノール性水酸基)は、特に限定されないが、1〜10であることが好ましく、特に1〜5であることが好ましい。モル比が前記範囲内であると、特に反応物の収率や低揮発性などに優れる。
シリコーン変性エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の0.1〜20質量%であることが好ましい。
さらに、フラックス活性を有する硬化剤は、融点が異なる2種以上を使用することもできる。
たとえば、第一のフラックス活性硬化剤としては、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸が好ましい。
また、第二のフラックス活性硬化剤としては、o−フタル酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、4−ヒドロキシ(o−フタル酸)、3−ヒドロキシ(o−フタル酸)、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、アルキレン基を含むものとしてはコハク酸、マロン酸、グルタル酸、リンゴ酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、ピメリン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。これらを単独あるいは複数併用してもかまわない。これらの中でも、セバシン酸が好ましい。
基材18上に樹脂層17を設けた後、樹脂層17上に積層体2を搭載する。積層体2の端子162が、樹脂層17側に位置するように、積層体2を樹脂層17上に設置する。
その後、一対の挟圧部材41,42で積層体2、樹脂層17、基材18を積層方向に沿って挟圧しながら、積層体2、樹脂層17、基材18を半田層181Aの融点以上に加熱する。このとき、積層体2、樹脂層17、基材18を、一対の挟圧部材41,42で挟圧するとともに、一対の挟圧部材41,42を加熱することで、積層体2、樹脂層17、基材18が半田層181Aの融点以上に加熱されることとなる。これにより、端子181と端子162とが半田接合される。この接合工程では、たとえば、フリップチップボンダーを使用し、基材18に対し、ひとつずつ、積層体2を半田接合する。
このようにして、基材18上には、複数の積層体2が設置され、基材18と複数の積層体2が半田接合され、構造体3が得られる(図3(C)参照)。
その後、必要に応じて、構造体3の樹脂層17を硬化させる。ここでは、前述した図2の装置6を使用して、樹脂層17の硬化を行なう。硬化の方法は、前述した方法と同様であり、構造体3を流体で加圧しながら、樹脂層17の熱硬化性樹脂の硬化温度以上に構造体3を加熱して、樹脂層17の硬化を行なう。
このようにすることで、樹脂層17でのボイドの発生を防止できるとともに、発生したボイドを消滅させることができる。
(封止工程)
次に、構造体3の封止を行なう。封止の方法は、ポッティング、トランスファー成形、圧縮成形のいずれであってもよい。
その後、積層体2ごとに、切断して、図3(D)に示す半導体装置1を複数得ることができる。なお、図3(D)において、符号19は、封止材を示し、符号18Aはダイシングされた基材18を示す。また、半導体装置1が複数の積層体2を有する場合には、半導体装置1の単位ごとに切断すればよい。なお、切断には、ダイシングブレード、レーザ、ルーター等を使用することができる。
以上のような本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
本実施形態では、半導体装置の製造工程において、積層体2の各樹脂層11,13,15の硬化を最も進行させる工程である熱硬化工程において、
E'×α×(Tc−Tg)≦2.7×10(Pa)(数式(2))
を満たす条件で熱硬化を行なっている。
これにより、熱硬化工程後に各樹脂層11,13,15に存在する内部応力を低減することができ、樹脂層の内部応力に起因して半導体チップにクラックが発生してしまうことを防止できる。従って、生産性よく半導体装置を製造できる。
また、本実施形態のように、樹脂層を複数積層して熱硬化を行なう場合には、従来全く認識がなかった、熱硬化温度〜ガラス転移点の範囲で発生する応力が、大きく半導体チップのクラック発生に影響していることがわかり、上記数式(2)を満たす条件で熱硬化を行なうことが、きわめて重要であることがわかった。
さらに、本実施形態のように、半導体チップをTSV構造とした場合には、半導体基板の厚みが非常に薄いものとなるため、上記数式(2)を満たす条件で熱硬化を行なうことが、半導体チップのクラック発生防止のためには、有効である。
また、本実施形態では、樹脂層11,13,15を硬化させる際に、流体により積層体2を周囲から加圧している。そのため、流体で積層体2を加圧することで、歪がかかった状態で樹脂層が熱硬化するため、流体による加圧に起因して、樹脂層内に内部応力が残留する可能性がある。また、樹脂層に残留する内部応力としては、TcからTgまで冷却する際の熱収縮に起因して発生する内部応力もある。
そのため、本実施形態のような製造方法を使用した場合には、流体により積層体2を加圧することで、ボイドの発生を低減できるものの、樹脂層には比較的大きな内部応力が残留する可能性がある。
そこで、流体により積層体2を加圧しながら、樹脂層の硬化を行なう一方で、E'×α×(Tc−Tg)≦2.7×10(Pa)を満たす条件で熱硬化を行なうことで、ボイド発生を低減しつつ、樹脂層の内部応力を減らすことを可能とした。これにより、半導体チップにクラックが発生しにくく、かつ、ボイドが低減できて接続信頼性の高い半導体装置を提供できる。
また、本実施形態では、半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12、樹脂層13、半導体チップ14、樹脂層15、半導体チップ16をこの順で積層し、積層体2全体を加熱して半田接合を行うため、半導体チップ同士を順次半田接合する場合に比べて、各半導体チップ10,12,14,16にかかる熱ダメージを低減させることができる。したがって、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
また、半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12、樹脂層13、半導体チップ14、樹脂層15、半導体チップ16をこの順で積層して積層体2を得た後、積層体2全体を加熱して、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士間の半田接合を同時に行っている。そのため、半導体部品同士ごとに半田接合を逐次行いながら、複数の半導体部品を積層する場合に比べ、半田接合時の生産性を向上させることができる。
すなわち、半導体チップと樹脂層とから積層体を構成する工程ののち、半導体チップどうしを半田接合する工程を一回で実施することができるので、半導体装置が、半導体チップを3つ以上有するものであると、半導体装置をより効率的に製造することができる。
なお、本実施形態では、積層体2を得る際に、半導体チップ10上に、樹脂層付き半導体チップを積層するごとに、加熱しているが、この際の加熱は、樹脂層により半導体チップ同士を接着するための加熱である。したがって、加熱時間は比較的短く、加熱温度も低くてすむため、積層体2を得る工程を実施しても、従来の製造方法に比べ、生産性を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、積層体2を挟圧して、半田接合している。
従来は、半導体チップを積層するごとに、挟圧し、半田接合していたため、下層の半導体チップは、複数回、挟圧されることとなり、ダメージをうけやすい。
これに対し、本実施形態では、半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12、樹脂層13、半導体チップ14、樹脂層15、半導体チップ16をこの順で積層して積層体2を得た後、積層体2を挟圧して、半田接合を行なっている。半田接合時に、複数回挟圧されてしまうことが防止され、半導体チップ10,12,14、16へのダメージが低減される。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
たとえば、前記実施形態では、半導体チップ10は、他の半導体チップと同じ大きさであったが、これに限られるものではない。たとえば、図4に示すように、複数の半導体チップ10が作りこまれた半導体ウェハ10A上に樹脂層11、半導体チップ12、樹脂層13、半導体チップ14、樹脂層15、半導体チップ16からなる構造体を複数配置し、この状態で加熱して、端子101,121同士、端子122,141同士、端子142,161同士の半田接合を行ってもよい。その後、前記実施形態と同様の熱硬化工程を実施し、その後、半導体ウェハを切断してもよい。
さらに、前記各実施形態では、半導体チップ10は、TSV構造を有しないものとしたが、これに限らず、TSV構造の半導体チップとしてもよい。
また、前記各実施形態では、半導体チップを4つ有する半導体装置1を製造したが、これに限られるものではない。
さらに、前記各実施形態では、端子121,141,161、181が半田層121A、141A、161A、181Aを有していたが、これに限られず、端子122,142,162が表面に半田層を有するものであってもよい。また、端子101、121,141,161、181、端子122,142,162のすべてが表面に半田層を有していてもよい。これらの半田層を溶融させて、半導体チップ10,12,14,16間、さらには、積層体2と基材18との間の半田接合を行えばよい。
さらには、前記実施形態では、端子101,121同士、端子122,141同士、端子142,161同士の半田接合を同時に行っていたが、これに限られるものではない。
たとえば、半導体チップ10上に、樹脂層11を介して半導体チップ12を積層した後、端子101,121同士を半田接合する。そして、その後、半導体チップ12上に樹脂層13、半導体チップ14を配置し、端子122,141同士を半田接合する。さらに、半導体チップ14上に樹脂層15、半導体チップ16を積層して、端子142,161同士の半田接合を行う。このように、逐次、端子同士を半田接合してもよい。
換言すると、本発明の実施形態は、端子101,121同士、端子122,141同士、端子142,161同士の半田接合して積層体2を構成する工程を含むが、この工程は、端子101,121同士を接触させて半田接合する工程と、端子122,141同士を接触させて、半田接合する工程と、端子142,161同士を接触させて半田接合する工程とを同時に実施する工程であってもよく、これらの工程を順に実施する工程であってもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
前記実施形態と同様の方法で半導体装置を製造した。
(樹脂層の作製)
樹脂層を作製した。
表1に示す組成の樹脂層を作成した。
具体的には、以下の通りである。
クレゾールノボラック樹脂(DIC株式会社製 (商品名「KA−1160」))5.1質量部、フェノールアラルキル樹脂(三井化学株式会社製 (商品名「ミレックスXLC−4L」))5.1質量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社製 (商品名「EXA−830LVP」))14.19質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製(商品名「EPICLON−840」))14.19重量部、フラックス活性化合物であるトリメリット酸(東京化成工業株式会社製)7.5質量部、フェノキシ樹脂(三菱化学株式会社製 (商品名「YX−6954」))3.63質量部、硬化促進剤である2―フェニルー4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、(商品名「2P4MZ」))0.06質量部、シランカップリング剤である3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 (商品名「KBM−403」))0.25質量部、シリカフィラー(株式会社アドマテックス製 (商品名「SC1050」))50質量部をメチルエチルケトンに溶解(無機充填材は混合)し、固形分濃度50質量%の樹脂ワニスを調製した。得られた樹脂ワニスを、基材ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製・ピューレックスA53)に厚さ50μmとなるように塗布した後、100℃で5分間乾燥して、厚さ25μmのフラックス活性を有する樹脂層を得た。
なお、シリカフィラーの平均粒径は、0.25μmであった。この平均粒子径は、水中にシリカフィラーを1分間超音波処理することにより分散させ、粒度分布計(島津製作所社製、製品名:レーザー回折式粒度分布測定装置SALDシリーズ)により測定した(D50)ものである。
(積層体を用意する工程)
半導体チップ10、12、14、16を用意した。半導体チップ12の端子121を被覆するように、上述した(樹脂層の作製)の欄で作製した樹脂層(ここでは樹脂層11とする)をラミネートした。
同様に半導体チップ14の端子141を被覆するように上述した樹脂層(ここでは、樹脂層13とする)をラミネートした。
さらに、半導体チップ16の端子161を被覆するように上述した樹脂層(ここでは、樹脂層15とする)をラミネートした。
ラミネートは温度95℃、圧力0.8MPa、30秒間で行なった。
その後、半導体チップ10の端子101が形成された面と、半導体チップ12に設けられた樹脂層11とを対向させて、半導体チップ10上に、樹脂層11を介して半導体チップ12を積層した。このとき、フリップチップボンダーを使用して、大気圧下、大気中で、で半硬化の状態(Bステージ)の樹脂層11を介して半導体チップ10および半導体チップ12を接着した。この接着は、下側ステージを100℃、ボンディングツールを150℃、圧力0.1MPa、2秒間で行なった。後述する半導体チップ同士の接着も同様の条件である。
次に、半導体チップ12の端子122が形成された面と、半導体チップ14に設けられた樹脂層13とを対向させて、半導体チップ12上に、樹脂層13を介して半導体チップ14を積層した。このとき、フリップチップボンダーを使用して、大気圧下、大気中で、半硬化の状態(Bステージ)の樹脂層13を介して半導体チップ12と半導体チップ14を接着した。
以上の工程においては、半田層は溶融していなかった。また、各端子間には、樹脂層が介在した状態となっていた。
次に、図1(C)に示すように、挟圧部材43に樹脂層15付き半導体チップ16を取り付けた。一方で、挟圧部材44を100℃に設定し、半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12、樹脂層13、半導体チップ14から構成される積層体を設置した。
そして、150℃に加熱した挟圧部材43で、荷重0.5MPa/12secの条件で積層体を加圧し、次いで、挟圧部材43を急昇温し、挟圧部材43の温度を280℃に設定し、荷重0.5MPa/12secで加圧して、端子101,121同士、端子122,141同士、端子142,161同士を半田接合した。
なお、半導体チップ10の厚みは200μm、半導体チップ12、14、16の厚みはいずれも50μmであった。
(熱硬化工程)
端子101,121同士、端子122,141同士、端子142,161同士が半田接合された積層体2の樹脂層11,13,15を硬化させた。加圧・加熱装置(株式会社協真エンジニアリング製、型番:HPV−5050MAH−D)を用いて、加圧硬化した。
積層体2を加熱・加圧装置の容器61に入れて、室温から加熱を開始するとともに、加圧流体により加圧した。加圧流体による加圧力は0.8MPaであった。積層体2を前記加圧力で、180℃で2時間加熱した。その後、加圧流体による加圧を解除し、積層体2を180℃から25℃まで放冷した。
その後、容器61から積層体2を取り出した。
熱硬化後の各樹脂層のガラス転移点(Tg)以上280℃以下の平均線膨張係数をαとし、ガラス転移点Tgにおける弾性率をE'とした場合、
E'(Pa)×α(ppm/℃)×(Tc−Tg)(℃)=2.5×10(Pa)であった。
なお、樹脂層の弾性率(E')、ガラス転移温度(Tg)平均線膨張係数α、αの測定結果を表2,3に示す。
その後、前記実施形態と同様、積層体2を、シリコン基板である基材18と半田接合した。
(実施例2)
(樹脂層の作製)
樹脂層を作製した。
表1に示す組成の樹脂層を作成した。
具体的には、以下の通りである。
フェノールアラルキル樹脂(三井化学株式会社製 (商品名「ミレックスXLC−4L」))5.1質量部、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト株式会社製 (商品名「PR−55617」))5.1質量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社製 (商品名「EXA−830LVP」))14.19質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、(商品名「EPICLON−840」))14.19重量部、フラックス活性化合物であるトリメリット酸(東京化成工業株式会社製)7.5質量部、アクリル酸エステル共重合体(ナガセケムテックス株式会社製 (商品名「SG−P3」))3.63質量部、硬化促進剤である2−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製 (商品名「2MZ−H」))0.06質量部、シランカップリング剤である3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製 (商品名「KBE−503」))0.25質量部、シリカフィラー(株式会社アドマテックス製 (商品名「SC1050」))50質量部をメチルエチルケトンに溶解(無機充填材は混合)し、固形分濃度50質量%の樹脂ワニスを調製した。得られた樹脂ワニスを、基材ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製・ピューレックスA53)に厚さ50μmとなるように塗布した後、100℃で5分間乾燥して、厚さ25μmのフラックス活性を有する樹脂層を得た。
この樹脂層を樹脂層11、13、15に用い、硬化温度を150℃、硬化時間を5時間とした点以外は、実施例1と同様である。
(比較例1)
(樹脂層の作製)
樹脂層を作製した。
表1に示す組成の樹脂層を作成した。
具体的には、以下の通りである。
クレゾールノボラック樹脂(DIC株式会社製 (商品名「KA−1160」))20.38質量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社製 (商品名「EXA−830LVP」))28.38質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製(商品名「EPICLON−840」))28.38重量部、フラックス活性化合物であるトリメリット酸(東京化成工業株式会社製)15質量部、フェノキシ樹脂(三菱化学株式会社製 (商品名「YX−6954」))7.25質量部、硬化促進剤である2―フェニルー4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、(商品名「2P4MZ」))0.13質量部、シランカップリング剤である3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 (商品名「KBM−403」))0.5質量部をメチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度50質量%の樹脂ワニスを調製した。得られた樹脂ワニスを、基材ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製・ピューレックスA53)に厚さ50μmとなるように塗布した後、100℃で5分間乾燥して、厚さ25μmのフラックス活性を有する樹脂層を得た。
この樹脂層を樹脂層11、13、15に用い、硬化温度を230℃、硬化時間を1時間とした点以外は、実施例1と同様である。
(比較例2)
(樹脂層の作製)
樹脂層を作製した。
表1に示す組成の樹脂層を作成した。
具体的には、以下の通りである。
フェノールアラルキル樹脂(三井化学株式会社製 (商品名「ミレックスXLC−4L」))7.64質量部、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト株式会社製 (商品名「PR−55617」))7.64質量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社製 (商品名「EXA−830LVP」))21.28質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、(商品名「EPICLON−840」))21.28重量部、フラックス活性化合物であるトリメリット酸(東京化成工業株式会社製)11.25質量部、アクリル酸エステル共重合体(ナガセケムテックス株式会社製 (商品名「SG−P3」))5.44質量部、硬化促進剤である2−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製 (商品名「2MZ−H」))0.09質量部、シランカップリング剤である3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製 (商品名「KBE−503」))0.38質量部、シリカフィラー(株式会社アドマテックス製 (商品名「SC1050」))25質量部をメチルエチルケトンに溶解(無機充填材は混合)し、固形分濃度50質量%の樹脂ワニスを調製した。得られた樹脂ワニスを、基材ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製・ピューレックスA53)に厚さ50μmとなるように塗布した後、100℃で5分間乾燥して、厚さ25μmのフラックス活性を有する樹脂層を得た。
この樹脂層を樹脂層11、13、15に用い、硬化温度を230℃、硬化時間を1時間とした点以外は、実施例1と同様である。
(比較例3)
実施例1と同様の樹脂層を樹脂層11,13,15に用い、硬化温度を230℃、硬化時間を1時間とした点以外は、実施例1と同様である。
(測定)
(樹脂層のガラス転移温度(Tg)平均線膨張係数α、α
各実施例、各比較例において、作製した樹脂層を、180℃2時間硬化させた。その後、切削して、20mm×3mm×0.025mmの試験片を得た。この試験片をセイコーインスツル株式会社製TMA/SS120を用いて圧縮荷重3g、−100℃から300℃の温度範囲を昇温速度10℃/分の条件で測定し、ガラス転移点Tgを得た。
また、同測定により25℃以上、ガラス転移温度以下の範囲における平均線膨張係数αを取得した。さらには、同測定によりガラス転移温度以上、280℃以下の範囲における平均線膨張係数αを取得した。
(半導体チップの平均線膨張係数)
半導体チップの平均線膨張係数であるα1−sは、以下の方法で測定した。
ウェハを切削して、20mm×3mm×0.05mmの試験片を得た。この試験片をセイコー製TMA/SS120を用いて圧縮荷重3g、−100℃から300℃の温度範囲を昇温速度10℃/分の条件で測定し、25℃以上、300℃以下の範囲における平均線膨張係数α1−sを得た。
(樹脂層の弾性率E')
各実施例、各比較例において、作製した樹脂層を、180℃2時間硬化させた。その後、切削して、20mm×5mm×0.025mmの試験片を得た。この試験片を用い、動的粘弾性測定装置により、引っ張りモード、周波数10Hz、昇温速度5℃/分として、測定温度Tgで貯蔵弾性率を測定した。
Figure 2014127477
Figure 2014127477
Figure 2014127477
(結果)
各実施例、各比較例において得られた半導体装置の積層体2の半導体チップを光学顕微鏡(200倍)で観察した。
実施例1,2では、半導体装置の積層体2の半導体チップにクラックは発生しなかった。
これに対し、比較例1−3では、積層体を製造した後、半導体チップにクラックが生じていることがわかった。
1 半導体装置
2 積層体
3 構造体
6 装置
10A 半導体ウェハ
10,12,14,16 半導体チップ
11,13,15 樹脂層
17 樹脂層
18 基材
18A 基材
19 封止材
41,42 挟圧部材
44,43 挟圧部材
61 容器
101 端子
120,140,160 基板
121A,141A,161A 半田層
121、141、161 端子
122、142、162 端子
123、143、163 ビア
181 端子
181A 半田層
611 配管

Claims (9)

  1. 電子部品、熱硬化性の第一樹脂層、第一半導体素子、熱硬化性の第二樹脂層、第二半導体素子がこの順で積層された半導体装置の製造方法であって、
    前記第一半導体素子の接続用端子と、前記電子部品の接続用端子とを当接させるとともに、前記第一半導体素子および前記電子部品間に、互いに当接した前記接続用端子の周囲を取り囲むように前記第一樹脂層を配置し、
    前記第一半導体素子の他の接続用端子と前記第二半導体素子の接続用端子とを当接させるとともに、
    前記第一半導体素子および前記第二半導体素子間に、互いに当接した前記他の接続用端子および前記接続用端子の周囲を取り囲む第二樹脂層を配置することで積層体を構成する工程と、
    前記積層体を加熱して、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層を熱硬化させる工程とを含み、
    積層体を加熱して前記第一樹脂層および前記第二樹脂層を熱硬化させる前記工程では、
    当該熱硬化後の前記積層体の前記第一樹脂層のガラス転移点Tg(℃)および前記第二樹脂層のガラス転移点Tg(℃)を超える熱硬化温度Tc(℃)で、前記積層体の前記第一樹脂層および前記第二樹脂層を熱硬化した後、熱硬化温度Tc(℃)から前記第一樹脂層のガラス転移点Tg(℃)および前記第二樹脂層のガラス転移点Tg(℃)を下回る温度まで、前記第一樹脂層および第二樹脂層を冷却し、
    前記熱硬化後の前記積層体の前記第一樹脂層の前記Tg以上280℃以下の平均線膨張係数をα2−1(ppm/℃)とし、
    前記熱硬化後の前記積層体の前記第一樹脂層の前記Tgにおける弾性率をE'(Pa)とした場合、
    E'×α2−1×(Tc−Tg)≦2.7×10(Pa)
    であり、
    前記熱硬化後の前記積層体の前記第二樹脂層の前記Tg以上280℃以下の平均線膨張係数をα2−2(ppm/℃)とし、
    前記熱硬化後の前記積層体の前記第二樹脂層の前記Tgにおける弾性率をE'(Pa)とした場合、
    E'×α2−2×(Tc−Tg)≦2.7×10(Pa)
    である半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    Tc−Tg≧5℃であり、
    Tc−Tg≧5℃である半導体装置の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第一半導体素子は、基板と、前記基板を貫通するとともに、前記接続用端子に接続される貫通ビアとを備えるTSV(Through−Silicon Via)構造の半導体チップである半導体装置の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第一半導体素子の前記接続用端子および前記電子部品の接続用端子のうち、少なくともいずれか一方の表面には、半田層が形成されており、
    前記第一樹脂層はフラックス活性化合物を含有し、
    前記第一半導体素子の前記他の接続用端子および前記第二半導体素子の接続用端子のうち、少なくともいずれか一方の表面には、半田層が形成されており、
    前記第二樹脂層はフラックス活性化合物を含有し、

    積層体を構成する前記工程では、
    前記第一半導体素子の前記電子部品との対向面および前記電子部品の前記第一半導体素子との対向面のうち、少なくともいずれか一方にフィルム状の前記第一樹脂層を設け、
    前記第一半導体素子の前記第二半導体素子との対向面および前記第二半導体素子の前記第一半導体素子との対向面のうち、少なくともいずれか一方にフィルム状の前記第二樹脂層を設け、
    前記第一半導体素子の接続用端子と前記電子部品の接続用端子とを半田接合し、
    前記第一半導体素子の前記他の接続用端子と前記第二半導体素子の接続用端子とを半田接合して前記積層体を構成する半導体装置の製造方法。
  5. 請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第一樹脂層および前記第二樹脂層は、平均粒径が0.5μm以下の無機充填材を20質量%以上80質量%以下含むものである半導体装置の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法において、
    積層体を構成する前記工程では、
    前記第一半導体素子の接続用端子と、前記電子部品の接続用端子との間に前記第一樹脂層が介在しており、
    前記第一半導体素子の接続用端子と、前記第二半導体素子の接続用端子との間に前記第二樹脂層が介在しており、
    前記第一半導体素子、前記第一樹脂層、前記電子部品を挟圧することで、前記接続用端子間の前記第一樹脂層が排除されて、接続用端子同士が半田接合され、
    前記第一半導体素子、前記第二樹脂層、前記第二半導体素子を挟圧することで、前記他の接続用端子と前記第二半導体素子の前記接続用端子と間の前記第二樹脂層が排除されて、前記他の接続用端子と前記接続用端子とが半田接合される半導体装置の製造方法。
  7. 請求項4乃至6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第一樹脂層および前記第二樹脂層は、カルボキシル基を有するフラックス活性化合物および/またはフェノール性水酸基を有するフラックス活性化合物を含む半導体装置の製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
    前記積層体を加熱して、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層を熱硬化させる前記工程では、
    前記積層体を流体により加圧しながら、加熱して前記第一樹脂層および前記第二樹脂層を熱硬化させる半導体装置の製造方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
    前記熱硬化後の前記積層体の前記第一樹脂層の25℃以上、ガラス転移点以下の平均線膨張係数α1−1(ppm/℃)とし、前記第一半導体素子の25℃以上、300℃以下における平均線膨張係数α1−s(ppm/℃)とした場合、
    α1−1−α1−s≦80(ppm/℃)であり、
    前記熱硬化後の前記積層体の前記第二樹脂層の25℃以上、ガラス転移点以下の平均線膨張係数α1−2(ppm/℃)とした場合、
    α1−2−α1−s≦80(ppm/℃)である半導体装置の製造方法。
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