JP2014125455A - 含フッ素非対称ジアミン化合物を用いた高分子化合物とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、含フッ素非対称ジアミン化合物を用いた高分子化合物とその製造方法に関する。
芳香族ジアミン化合物は、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールなどに代表される耐熱性高分子の原料として有用である。これらの高分子材料はその高度な耐熱性から、自動車、航空宇宙、防火服等の分野に使用されている。しかしながら、これらの高分子材料は、多くの場合、有機溶媒に対する溶解性が乏しく、成型性が悪い。そのため、ポリイミドやポリベンゾオキサゾールの場合、有機溶媒可溶性の前駆体高分子(ポリアミド酸、ポリアミドフェノール)を用いて所望の形状に成型した後、300℃から350℃の高温下で脱水環化させることで、ポリイミドやポリベンゾオキサゾールに変性させて最終成型体としている。
ただし、前記のような成型工程は、有機系色素を使用した比較的耐熱性の低いディスプレイ用部材や、残留熱応力が発生しやすい熱膨張係数が異なる半導体用の積層部材に用いるには、成型温度が高すぎるため不適である。そのため、有機溶媒を蒸発揮散する程度の温度で成型可能な有機溶媒可溶型のポリイミドやポリベンゾオキサゾールが注目されている。
非対称ポリイミドは、芳香族ポリイミドの中で芳香イミド環や芳香族ジアミンの結合位置が非対称なため、主鎖の回転が立体障害により著しく拘束され、剛直性で嵩高い非平面を構成して密な分子充填がとれず、非晶となるものを指す。非対称ポリイミドの多くは対称ポリイミドに比べて耐熱性、無定形で、ガラス転移温度(Tg)の高温側では活発なセグメント運動により高い流動性を示すことが特徴である。
高分子化合物に非対称性を持たせるためには、嵩高く剛直なカルド構造に代表される立体構造を導入する方法や原料に非対称単量体を用いる方法などが知られている。例えば、耐熱性高分子であるポリイミドの耐熱性をさらに向上させるために非対称酸二無水物が用いられる研究が盛んに研究されており、対称酸二無水物と非対称酸二無水物を用いた場合の熱物性の違いについて詳細に解説されている(非特許文献1)。
特許文献1〜3には、含フッ素ポリイミドを重合するための、2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基(以下、「−C(CF3)2OH基」または「HFIP基」と表すことがある。)を有するジアミン化合物である含フッ素重合性単量体およびその製造方法が開示されている。
特許文献4には、対称構造を有し、かつ親水性基であるHFIP基を有する高分子化合物が開示されている。
日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会編、新訂最新ポリイミド〜基礎と応用〜、pp305−329.
非対称構造を有し、かつ親水性基であるHFIP基を有するジアミン化合物から得られる高分子化合物を提供する。
本発明者は係る課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、非対称構造を有するジアミン化合物に対して、親水性基であるHFIP基を簡便に導入できることを見出した。さらに、本発明者は非対称構造を有し、かつHFIP基を有するジアミン化合物から、ポリアミド酸化合物、ポリイミド化合物などの高分子化合物を製造し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[式中、RAは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(=O)−基、−CH2−基、−S(=O)−基、−S(=O)2−、−C(CH3)2−基、−NH(C=O)−基もしくは−C(CF3)2−基、または脂環、複素環もしくは芳香環を有する2価の有機基である。]
で表される化合物からなる群から選択される一種の化合物と、ヘキサフルオロアセトンまたはヘキサフルオロアセトン・3水和物を反応させて、対応する一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)
で表される化合物からなる群から選択される一種の化合物と、ヘキサフルオロアセトンまたはヘキサフルオロアセトン・3水和物を反応させて、対応する一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)
[式中、RAは、一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)のRAと同義である。HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。]
で表される化合物を得ることを特徴とする、一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)で表される化合物の製造方法。
で表される化合物を得ることを特徴とする、一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)で表される化合物の製造方法。
[発明2]
RAが、酸素原子または−CH2−基である、発明1に記載の製造方法。
RAが、酸素原子または−CH2−基である、発明1に記載の製造方法。
[式中、RAは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(=O)−基、−CH2−基、−S(=O)−基、−S(=O)2−、−C(CH3)2−基、−NH(C=O)−基もしくは−C(CF3)2−基、または脂環、複素環もしくは芳香環を有する2価の有機基である。HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。R1は複素環、芳香環および脂肪族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基を有する4価の有機基であり、有機基中の任意の数の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはシアノ基に有していてもよい。]
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物。
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物。
[発明4]
RAが、酸素原子または−CH2−基である、発明3に記載の高分子化合物。
RAが、酸素原子または−CH2−基である、発明3に記載の高分子化合物。
で表される4価の有機基のいずれかである、発明3または発明4のいずれかに記載の高分子化合物。
[式中、RAは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(=O)−基、−CH2−基、−S(=O)−基、−S(=O)2−、−C(CH3)2−基、−NH(C=O)−基もしくは−C(CF3)2−基、または脂環、複素環もしくは芳香環を有する2価の有機基である。HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。R1は複素環、芳香環および脂肪族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基を有する4価の有機基であり、有機基中の任意の数の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはシアノ基に有していてもよい。]
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物からなる群から選択される一種の化合物を、150℃〜350℃で加熱することで、または、ピリジン、トリエチルアミンもしくは無水酢酸とともに−20℃〜350℃で反応させることで、対応する一般式(16)、一般式(17)または一般式(18)
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物からなる群から選択される一種の化合物を、150℃〜350℃で加熱することで、または、ピリジン、トリエチルアミンもしくは無水酢酸とともに−20℃〜350℃で反応させることで、対応する一般式(16)、一般式(17)または一般式(18)
[式中、RA、HFIP、R1は、一般式(7)、一般式(8)、一般式(9)のRA、HFIP、R1と同義である。]
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を得ることを特徴とする、一般式(16)、一般式(17)または一般式(18)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の製造方法。
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を得ることを特徴とする、一般式(16)、一般式(17)または一般式(18)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の製造方法。
[式中、RAは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(=O)−基、−CH2−基、−S(=O)−基、−S(=O)2−、−C(CH3)2−基、−NH(C=O)−基もしくは−C(CF3)2−基、または脂環、複素環もしくは芳香環を有する2価の有機基である。HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。R2は、複素環、芳香環および脂肪族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基を有する2価の有機基であり、有機基中の任意の数の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはシアノ基を有していてもよい。]
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物。
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物。
[発明8]
RAが、酸素原子または−CH2−基である、請求項7に記載の高分子化合物。
RAが、酸素原子または−CH2−基である、請求項7に記載の高分子化合物。
[式中、HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。]
で表される化合物。
で表される化合物。
本発明により、非対称構造を有し、かつ親水性基であるHFIP基を有するジアミン化合物を提供することが可能である。さらに、本発明により、非対称構造を有し、かつHFIP基を有するジアミン化合物から製造される、ポリアミド酸化合物、ポリアミド化合物、ポリイミド化合物などの高分子化合物を提供することが可能である。
以下の実施形態における各構成およびそれらの組み合わせなどは一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下、非対称構造を有し、かつHFIP基を有するジアミン化合物(以下、「HFIP基含有非対称ジアミン化合物」と表すことがある。)、当該ジアミン化合物から得られる高分子化合物である、ポリアミド酸化合物、ポリイミド化合物、ポリアミド化合物について、順に沿って説明する。
1.HFIP基含有非対称ジアミン化合物(4)〜(6)
<HFIP基含有非対称ジアミン化合物(4)〜(6)>
本発明に係るHFIP基含有非対称ジアミン化合物は、一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)
[式中、RAは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(=O)−基、−CH2−基、−S(=O)−基、−S(=O)2−、−C(CH3)2−基、−NH(C=O)−基もしくは−C(CF3)2−基、または脂環、複素環もしくは芳香環を有する2価の有機基である。HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。]
で表される(以下、それぞれ「HFIP基含有ジアミン化合物(4)」、「HFIP基含有ジアミン化合物(5)」、「HFIP基含有ジアミン化合物(6)」と表すことがある。)。具体的には、以下の化合物が例示される。
で表される(以下、それぞれ「HFIP基含有ジアミン化合物(4)」、「HFIP基含有ジアミン化合物(5)」、「HFIP基含有ジアミン化合物(6)」と表すことがある。)。具体的には、以下の化合物が例示される。
[式中、HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。]
<HFIP基含有ジアミン化合物(4)〜(6)の製造方法>
本発明に係るHFIP基含有ジアミン化合物(4)〜(6)の製造方法を説明する。
<HFIP基含有ジアミン化合物(4)〜(6)の製造方法>
本発明に係るHFIP基含有ジアミン化合物(4)〜(6)の製造方法を説明する。
[式中、RAは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(=O)−基、−CH2−基、−S(=O)−基、−S(=O)2−、−C(CH3)2−基、−NH(C=O)−基もしくは−C(CF3)2−基、または脂環、複素環もしくは芳香環を有する2価の有機基である。]
で表されるジアミン化合物からなる群から選択される一種のジアミン化合物を、ヘキサフルオロアセトンまたはヘキサフルオロアセトン・3水和物と反応させることで、対応するHFIP基含有非対称ジアミン化合物(4)〜(6)が得られる(特許文献1〜3参照)。
で表されるジアミン化合物からなる群から選択される一種のジアミン化合物を、ヘキサフルオロアセトンまたはヘキサフルオロアセトン・3水和物と反応させることで、対応するHFIP基含有非対称ジアミン化合物(4)〜(6)が得られる(特許文献1〜3参照)。
本反応において使用する反応容器は、特に制限は無く、反応時に使用する圧力に耐えるもの、反応に影響を与えない材質のものを使用することができる。反応は常圧でも加圧下でも良く、反応の種類により当業者が適宜調節することができる。
密封反応器(オートクレーブ)を使用する場合には、ヘキサフルオロアセトンとヘキサフルオロアセトン・3水和物のいずれを使用するかによって態様が異なる。
ヘキサフルオロアセトンを使用する場合には、最初にジアミン化合物(1)、ジアミン化合物(2)またはジアミン化合物(3)と、必要に応じて触媒および/または溶媒を密封容器内に仕込む。次いで、密封容器内圧が0.5MPaを超えないように、温度を上げつつ、ヘキサフルオロアセトンを逐次導入して反応させることが好ましい。
ヘキサフルオロアセトン・3水和物を使用する場合には、反応は、ジアミン化合物(1)、ジアミン化合物(2)またはジアミン化合物(3)と、ヘキサフルオロアセトン・3水和物を同時に混合することによって開始することができる。また、必要に応じて触媒および/または溶媒を密封容器内に仕込むことができる。また、ヘキサフルオロアセトン・3水和物の沸点が比較的高い(105℃)ことから、ヘキサフルオロアセトン(沸点:−28℃)と比較して取扱いが容易である。この場合、反応容器としては、密封容器を使用することもできるが、通常の還流冷却管に上水[室温(特に加熱または冷却しない雰囲気温度をいい、通常約15〜30℃である。以下同じ。)]を通じる程度でも十分にヘキサフルオロアセトン・3水和物の反応系外への流出を防ぐことができる。
本反応に使用するヘキサフルオロアセトンまたはヘキサフルオロアセトン・3水和物の量は、ジアミン化合物(1)〜(3)1モルに対して、1モル倍〜10モル倍が好ましく、さらに好ましくは1.5モル倍〜6モル倍が特に好ましい。これ以上使用しても反応は問題なく進行するが、経済性の面から好ましくない。
本反応は、通常、室温〜180℃の温度範囲で行われるが、50℃〜150℃が好ましく、90℃〜130℃が特に好ましい。室温より低い場合は反応が進行し難いので好ましくなく、180℃以上の温度では副反応が進行するので好ましくない。
本反応は、触媒を使用しなくても行うことができるが、酸触媒を使用することで反応を促進させることができる。使用される酸触媒としては、塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、フッ化ホウ素などのルイス酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸(CSA)、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸(pTsOH)・1水和物、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS)などの有機スルホン酸が好ましいが、これらの中でも、塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸(pTsOH)・1水和物が特に好ましい。使用される触媒の量は、ジアミン化合物(1)1モルに対して、1倍モル%〜50倍モル%が好ましく、3倍モル%〜40倍モル%が特に好ましい。50倍モル%超の触媒量を使用しても反応は問題なく進行するが、経済性の面から好ましくない。
本反応は溶媒を使用せずに行うことができるが、溶媒を使用することもできる。使用する溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限は無い。例えば、キシレン、トルエン、ベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、ベンゾニトリルなどの芳香族炭化水素類、水が好ましい。使用する溶媒の量には特に制限は無いが、多量に使用することは容積あたりの収量が減少するので好ましくない。
本反応の反応時間は、特に制限はないが、温度や、用いる触媒の量などに依存して最適の反応時間は異なる。従って、ガスクロマトグラフィー、NMRなどの汎用の分析手段により反応の進行状況を追跡し、反応原料がほとんど消失した時点を終点とするのが好ましい。
反応終了後、抽出、蒸留、晶析などの通常の手段により、対応するHFIP基含有ジアミン化合物(4)〜(6)を得ることができる。また、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶などの通常の精製操作により精製することもできる。
[式中、RAは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(=O)−基、−CH2−基、−S(=O)−基、−S(=O)2−、−C(CH3)2−基、−NH(C=O)−基もしくは−C(CF3)2−基、または脂環、複素環もしくは芳香環を有する2価の有機基である。HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。R1は複素環、芳香環および脂肪族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基を有する4価の有機基であり、有機基中の任意の数の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはシアノ基に有していてもよい。]
で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸化合物(以下、それぞれ「ポリアミド酸化合物(7)」、「ポリアミド酸化合物(8)」、「ポリアミド酸化合物(9)」と表すことがある。)について説明する。
で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸化合物(以下、それぞれ「ポリアミド酸化合物(7)」、「ポリアミド酸化合物(8)」、「ポリアミド酸化合物(9)」と表すことがある。)について説明する。
のいずれかであるときが好ましい。
[式中、HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。]
ポリアミド酸化合物(7)〜(9)の重量平均分子量は、好ましくは10,000以上であり、より好ましくは20,000以上である。当該重量平均分子量の上限は、500,000以下が好ましく、300,000以下がさらに好ましい。重量平均分子量が10,000未満だと、得られる高分子膜の強度が乏しい。重量平均分子量が500,000超だと、得られる高分子溶液の粘度が高くなりすぎて取り扱いが難しくなる。ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と表すことがある。)分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものである(本願において以下同じ。)。当該分析の詳細な分析条件は、本願の実施例で記述する。
ポリアミド酸化合物(7)〜(9)の重量平均分子量は、好ましくは10,000以上であり、より好ましくは20,000以上である。当該重量平均分子量の上限は、500,000以下が好ましく、300,000以下がさらに好ましい。重量平均分子量が10,000未満だと、得られる高分子膜の強度が乏しい。重量平均分子量が500,000超だと、得られる高分子溶液の粘度が高くなりすぎて取り扱いが難しくなる。ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と表すことがある。)分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものである(本願において以下同じ。)。当該分析の詳細な分析条件は、本願の実施例で記述する。
<ポリアミド酸化合物(7)〜(9)の製造方法>
本発明に係るポリアミド酸化合物(7)〜(9)は、例えば、HFIP基含有ジアミン化合物(4)、HFIP基含有ジアミン化合物(5)またはHFIP基含有ジアミン化合物(6)を、一般式(35)
[式中、R1は複素環、芳香環および脂肪族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基を有する4価の有機基であり、有機基中の任意の数の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはシアノ基に有していてもよい。]
で表されるテトラカルボン酸二無水物と反応させることで得られる。
で表されるテトラカルボン酸二無水物と反応させることで得られる。
本発明に係るテトラカルボン酸二無水物(35)は、具体的には、ピロメリット酸無水物(以下、「PMDA」と表すことがある。)、トリフルオロメチルベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ビストリフルオロメチルベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ジフルオロベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水化物、ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ケトン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物(以下、「ODPA」と表すことがある。)、ビシクロ(2,2,2)オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン酸二無水化物、2,5,6,2’,5’,6'−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水化物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、「BTDA」と表すことがある。)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水化物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水化物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(以下、「6FDA」と表すことがある。)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、「BPDA」と表すことがある。)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられ、これらを2種以上併用することもできる。
ポリアミド化合物(7)〜(9)の製造方法については、特に制限されない。例えば、対応するHFIP基含有非対称ジアミン(4)〜(6)と、一般式(35)で表されるテトラカルボン酸を有する組成物を、150℃以上で相互に溶融させて無溶媒で縮重合反応させる方法、溶媒中にて150℃以上で縮重合反応させる方法、−20〜80℃の温度で溶媒中にて重合反応させる方法などが挙げられる。
また、ポリアミド酸化合物(7)〜(9)の製造において、溶媒を用いることができる。用いる溶媒としては、反応基質が溶解し、反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されない。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、ベンゾニトリルなどの芳香族類、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどのハロゲン類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。
これらの溶媒は、単独でも2種以上の混合液として使用されてもよい。
[式中、RAは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(=O)−基、−CH2−基、−S(=O)−基、−S(=O)2−、−C(CH3)2−基、−NH(C=O)−基もしくは−C(CF3)2−基、または脂環、複素環もしくは芳香環を有する2価の有機基である。HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。R1は複素環、芳香環および脂肪族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基を有する4価の有機基であり、有機基中の任意の数の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはシアノ基に有していてもよい。]
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(以下、それぞれ「ポリイミド化合物(16)」、「ポリイミド化合物(17)」、「ポリイミド化合物(18)」と表すことがある。)について説明する。ポリイミド化合物(16)〜(18)は、具体的には下記式で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(以下、それぞれ「ポリイミド化合物(16)」、「ポリイミド化合物(17)」、「ポリイミド化合物(18)」と表すことがある。)について説明する。ポリイミド化合物(16)〜(18)は、具体的には下記式で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
のいずれかであるときが好ましい。
[式中、HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。]
<ポリイミド化合物(16)〜(18)の製造方法>
ポリイミド化合物(16)〜(18)の製造方法について説明する。ポリイミド化合物(16)〜(18)はそれぞれ、ポリアミド化合物(7)〜(9)のうち、対応するポリアミド化合物の脱水環化反応により得られる。当該脱水環化反応は、対応するポリアミド化合物を、(A)所定の温度で加熱することでのみ、または、(B)酸や塩基などの添加剤と、所定の温度での加熱の併用により当該反応が促進する条件により行う。
<ポリイミド化合物(16)〜(18)の製造方法>
ポリイミド化合物(16)〜(18)の製造方法について説明する。ポリイミド化合物(16)〜(18)はそれぞれ、ポリアミド化合物(7)〜(9)のうち、対応するポリアミド化合物の脱水環化反応により得られる。当該脱水環化反応は、対応するポリアミド化合物を、(A)所定の温度で加熱することでのみ、または、(B)酸や塩基などの添加剤と、所定の温度での加熱の併用により当該反応が促進する条件により行う。
(A)の製造方法において、当該ポリアミド酸化合物を、150℃以上、350℃以下の温度でイミド化し、対応するポリイミド化合物を製造することができる。
(A)の製造方法において、溶媒を用いることができる。溶媒を用いる場合には、当該ポリイミド化合物を所定の溶媒に溶解させて溶液を調製した後に、加熱するとよい。用いる溶媒としては、反応基質が溶解し、反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されない。例えば、アミド系溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドまたはN−メチル−2−ピロリドン、芳香族系溶媒であるベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼンまたはベンゾニトリル、ハロゲン系溶媒であるクロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン、ラクトン類であるγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンまたはα−メチル−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独でも2種以上の混合溶媒として使用されても良い。
溶液中のポリイミド化合物の濃度は、5質量%以上、50質量%以下が好ましい。当該濃度が5質量%より少ないと、薄すぎて工業的に実用的ではなく、50質量%を超えると溶解し難い。さらに、好ましくは10質量%以上、40質量%以下である。
(B)の製造方法において、ピリジン、トリエチルアミン、無水酢酸などを添加剤として用いることで、反応温度を低下させることができる。当該製造方法においては、反応温度は−20℃以上、350℃以下の温度でイミド化が進行するが、0℃以上、150℃以下の温度で行うのが好ましい。
(B)の製造方法において、溶媒を用いることができる。溶媒を用いる場合には、当該ポリイミド化合物を所定の溶媒に溶解させて溶液を調製した後に、加熱するとよい。用いる溶媒としては、反応基質が溶解し、反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されない。例えば、アミド系溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドまたはN−メチル−2−ピロリドン、芳香族系溶媒であるベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼンまたはベンゾニトリル、ハロゲン系溶媒であるクロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン、ラクトン類であるγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンまたはα−メチル−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独でも2種以上の混合溶媒として使用されても良い。
溶液中のポリイミド化合物の濃度は、5質量%以上、50質量%以下が好ましい。当該濃度が5質量%より少ないと、薄すぎて工業的に実用的ではなく、50質量%を超えると溶解し難い。さらに、好ましくは10質量%以上、40質量%以下である。
ポリイミド化合物(16)〜(18)の製造方法として、対応するポリアミド酸化合物(7)〜(9)の合成直後の反応溶液をそのまま脱水閉環反応に供する方法も適用可能である。この場合、前述の温度範囲、添加剤、濃度、溶媒を使用可能である。
[式中、RAは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(=O)−基、−CH2−基、−S(=O)−基、−S(=O)2−、−C(CH3)2−基、−NH(C=O)−基もしくは−C(CF3)2−基、または脂環、複素環もしくは芳香環を有する2価の有機基である。HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。R2は、複素環、芳香環および脂肪族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基を有する2価の有機基であり、有機基中の任意の数の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはシアノ基を有していてもよい。]
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(以下、それぞれ「ポリアミド化合物(19)」、「ポリアミド化合物(20)」、「ポリアミド化合物(21)」と表すことがある。)について説明する。ポリアミド化合物(19)〜(21)は、具体的には下記で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(以下、それぞれ「ポリアミド化合物(19)」、「ポリアミド化合物(20)」、「ポリアミド化合物(21)」と表すことがある。)について説明する。ポリアミド化合物(19)〜(21)は、具体的には下記で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
のいずれかであるときが好ましい。
[式中、HFIPは−C(CF3)2OH基を表す。]
ポリアミド化合物(19)〜(21)の重量平均分子量は、好ましくは10,000以上であり、より好ましくは50,000以上である。当該重量平均分子量の上限は、500,000以下が好ましく、150,000以下がさらに好ましい。重量平均分子量が10,000未満だと、得られる高分子膜の強度が乏しい。重量平均分子量が500,000超だと、得られる高分子溶液の粘度が高くなりすぎて取り扱いが難しくなる。
ポリアミド化合物(19)〜(21)の重量平均分子量は、好ましくは10,000以上であり、より好ましくは50,000以上である。当該重量平均分子量の上限は、500,000以下が好ましく、150,000以下がさらに好ましい。重量平均分子量が10,000未満だと、得られる高分子膜の強度が乏しい。重量平均分子量が500,000超だと、得られる高分子溶液の粘度が高くなりすぎて取り扱いが難しくなる。
[式中、R2は、複素環、芳香環および脂肪族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基を有する2価の有機基であり、有機基中の任意の数の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはシアノ基を有していてもよい。R3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはベンジル基を表す。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。]
で表される、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体と反応させることで得られる。
で表される、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体と反応させることで得られる。
一般式(27)、一般式(28)で表されるジカルボン酸、ジカルボン酸誘導体は、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸またはこれらのジカルボン酸誘導体のいずれを用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸とその誘導体としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸のジカルボン酸化合物またはこれらのジカルボン酸誘導体が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸とその誘導体としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、3,3’−ジカルボキシルジフェニルエーテル、3,4’−ジカルボキシルジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシルジフェニルエーテル、3,3’−ジカルボキシルジフェニルメタン、3,4’−ジカルボキシルジフェニルメタン、4,4’−ジカルボキシルジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシルジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジカルボキシルジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジカルボキシルジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジカルボキシルジフェニルスルホン、3,4’−ジカルボキシルジフェニルスルホン、4,4’−ジカルボキシルジフェニルスルホン、3,3’−ジカルボキシルジフェニルスルフィド、3,4’−ジカルボキシルジフェニルスルフィド、4,4’−ジカルボキシルジフェニルスルフィド、3,3’−ジカルボキシルジフェニルケトン、3,4’−ジカルボキシルジフェニルケトン、4,4’−ジカルボキシルジフェニルケトン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4’−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3,4’−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビス安息香酸、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビス安息香酸、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビス安息香酸、2,2−ビス(4−(3−カルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−カルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−カルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−カルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−カルボキシフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−カルボキシフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−カルボキシフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−カルボキシフェノキシ)フェニル)スルホン、5−(ペルフルオロノネニルオキシ)イソフタル酸、ペルフルオロノネニルオキシ基含有の4−(ペルフルオロノネニルオキシ)フタル酸、またはこれらジカルボン酸の誘導体が挙げられる。また、2−(ペルフルオロノネニルオキシ)テレフタル酸もしくは4−メトキシ−5−(ペルフルオロノネニルオキシ)イソフタル酸またはこれらジカルボン酸の誘導体が挙げられる。また、ペルフルオロヘキセニルオキシ基含有の5−(ペルフルオロヘキセニルオキシ)イソフタル酸、4−(ペルフルオロヘキセニルオキシ)フタル酸、2−(ペルフルオロヘキセニルオキシ)テレフタル酸、4−メトキシ−5−(ペルフルオロヘキセニルオキシ)イソフタル酸またはこれらジカルボン酸の誘導体が挙げられる。
中でも入手の容易さ、縮重合反応のし易さ、および重合物が透明性に優れることから、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジカルボキシビフェニル、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが好ましい。
ポリアミド化合物(19)〜(21)の製造方法については、特に制限されず、例えば、ジアミン化合物と、カルボン酸化合物またはその誘導体からポリアミド化合物を合成する公知の方法を参照することができる。例えば、対応するHFIP基含有非対称ジアミン化合物(4)〜(6)と、一般式(27)、(28)で表されるジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体を有する組成物を、150℃以上で相互に溶融させて無溶媒で縮重合反応させる方法、溶媒中にて150℃以上で縮重合反応させる方法、−20〜80℃の温度で溶媒中にて重合反応させる方法などが挙げられる。
ポリアミド化合物(19)〜(21)の合成において、溶媒を用いることができる。用いる溶媒としては、反応基質が溶解し、反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されない。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、ベンゾニトリルなどの芳香族類、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどのハロゲン類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。
これらの溶媒は、単独でも2種以上を併用して使用されてもよい。
さらに、これらの溶媒とともに、ピリジン、トリエチルアミンなどの酸受容体を共存させて反応を行うことが効果的である。
5.重合成分
高分子化合物の耐熱性の改善や所望の有機溶剤への溶解性を得ることを目的として、本発明に係るポリアミド酸化合物、ポリイミド化合物、ポリアミド化合物の製造において、HFIP基を有するジアミン化合物および/またはHFIP基を有しないジアミン化合物を重合成分として加えてもよい。
当該ジアミン化合物は、具体的には、3,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、2,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、3,3’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビストリフルオロメチル−5,5’−ジアミノビフェニル、ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル、ビス(フッ素化アルキル)−4,4’−ジアミノジフェニル、ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル、ジブロモ−4,4’−ジアミノジフェニル、ビス(フッ素化アルコキシ)−4,4’−ジアミノジフェニル、ジフェニル−4,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ビナフチルアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノジュレン、1,4−キシリレンジアミン、ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニル、ジアルキル−4,4’−ジアミノジフェニル、ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチルージアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチルージアミノジフェニルメタン、9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス(4−アミノ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)メタン、4,4’−(ジアミノフェニル)エーテル、3,3’−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)−5,5’−ジメチルベンジジン、9,9−ビス(4−アミノ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル))フルオレンなどが例示でき、これらを2種以上併用することもできる。
6.高分子化合物の使用における態様
本発明に係る高分子化合物は、有機溶媒に溶解したワニス状態、粉末状態、フィルム状態、固体状態で使用に供することが可能である。その際、得られた高分子化合物中には、必要に応じて酸化安定剤、フィラー、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始剤および増感剤等の添加物が混合されていても差し支えない。
ワニスで使用する場合は、ガラス、シリコンウエーハ、金属、金属酸化物、セラミックス、樹脂などの基材上にスピンコート、スプレーコート、フローコート、含浸コート、ハケ塗りなど通常用いられる方法で塗布することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例において得られた化合物の同定、高分子化合物の物性評価は、以下に示す方法で行った。
[NMR(核磁気共鳴)測定]
化合物の構造は、共鳴周波数400MHzのNMR(核磁気共鳴)装置(JNM−AL400またはJNM−ECA400;日本電子製)を使用し、1H−NMR、19F−NMRの測定で確認した。
化合物の構造は、共鳴周波数400MHzのNMR(核磁気共鳴)装置(JNM−AL400またはJNM−ECA400;日本電子製)を使用し、1H−NMR、19F−NMRの測定で確認した。
[重量平均分子量測定]
重量平均分子量(以下、「Mw」と表すことがある。)は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8320、溶媒はテトラヒドロフラン)により求めた値である。
重量平均分子量(以下、「Mw」と表すことがある。)は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8320、溶媒はテトラヒドロフラン)により求めた値である。
[赤外線吸収スペクトル(IR)測定]
化合物または化合物膜の赤外線吸収スペクトル(IR)は、Nicolet NEXUS 470 FT−IR(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて測定した。
化合物または化合物膜の赤外線吸収スペクトル(IR)は、Nicolet NEXUS 470 FT−IR(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて測定した。
300mLオートクレーブに原料化合物である2,4’−ジアミノジフェニルエーテル(25g、0.125mol)、ヘキサフルオロアセトン・3水和物(110g、0.500mol)、触媒としてのパラトルエンスルホン酸・1水和物(1.2g、6.3mmol)を加え、反応容器内を窒素ガスで置換した後に密閉した。オートクレーブを、オイルバスにて135℃に加熱した後に攪拌した。24時間撹拌し続けた後、オートクレーブを室温(20℃)に冷却後、開放し、内容物を濾過した。濾別回収して得られた粉末をジイソプロピルエーテルとヘキサン(1:1)混合溶液で洗浄し、減圧乾燥することで目的物である2,4’−ジアミノ−3,3’−ジ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)ジフェニルエーテル(以下、「HFA−2,4’−ODA」と表すことがある。)の白色粉末(36.8g、0.0692mol)を収率55%で得た。NMR測定結果を以下に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ8.25(brs,2H),7.10(d,J=8.4Hz,1H)、6.94(m,1H),6.87−6.79(m,4H)5.56(brs, 4H). 19F−NMR(DMSO−d6):δ−73.06(s),−74.07(s).
<3,4’−ジアミノ−4,3’−ジ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)ジフェニルエーテルの製造>
<3,4’−ジアミノ−4,3’−ジ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)ジフェニルエーテルの製造>
300mLオートクレーブに原料化合物である3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(25.0g、0.125mol)、ヘキサフルオロアセトン3水和物(110g、0.500mol)、触媒としてのパラトルエンスルホン酸1水和物(1.2g、6.3mmol)を加え、反応容器内を窒素ガスで置換した後に密閉した。オートクレーブを、オイルバスにて135℃に加熱した後に攪拌した。19時間撹拌し続けた後、オートクレーブを室温(20℃)に冷却後、開放し、内容物を濾過した。濾別回収して得られた粉末をジイソプロピルエーテルで洗浄し、減圧乾燥することで目的物である3,4’−ジアミノ−4,3’−ジ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)ジフェニルエーテル(以下、「HFA−3,4’−ODA」と表すことがある。)の白色粉末(25.3g、0.0476mol)を収率38%で得た。NMR測定結果を以下に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ8.99(s,1H),δ8.26(s,1H),δ7.69(s,1H),6.68(m,2H),6.60(m,2H),6.00(s,1H),5.94(s,2H),5.54(brs, 2H).19F−NMR(DMSO−d6):δ−72.51(s),−72.70(s).
<3,4’−ジアミノ−4,3’−ジ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)ジフェニルメタンの製造>
<3,4’−ジアミノ−4,3’−ジ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)ジフェニルメタンの製造>
300mLオートクレーブに原料化合物である3,4’−ジアミノジフェニルメタン(25.0g、0.126mol)、ヘキサフルオロアセトン・3水和物(110g、0.500mol)、触媒としてのパラトルエンスルホン酸1水和物(1.2g、6.3mmol)を加え、反応容器内を窒素ガスで置換した後に密閉した。オートクレーブを、オイルバスにて135℃に加熱した後に攪拌した。17時間撹拌し続けた後、オートクレーブを室温(20℃)に冷却後、開放し、内容物を濾過した。濾別回収して得られた粉末をジイソプロピルエーテルとヘキサン(1:1)混合溶液で洗浄し、減圧乾燥することで目的物である3,4’−ジアミノ−4,3’−ジ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)ジフェニルメタン(以下、「HFA−3,4’−MDA」と表すことがある。)の白色粉末(19.1g、0.0360mol)を収率29%で得た。NMR測定結果を以下に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ9.27(brs,2H),6.99(m,3H)、6.71(d,J=8.4Hz,1H),6.52(s,1H),6.71(d,J=8.4Hz,1H),5.54(brs, 4H),3.62(s, 2H). 19F−NMR(DMSO−d6):δ−74.48(s),−74.61(s).
[実施例2−1]
<ポリアミド酸化合物(A)の製造>
HFA−2,4’−ODAと、ビス(4−アミノ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)メタン(以下、「HFA−4,4’−MDA」と表すことがある。)と、6FDAの重合反応により、下記式で表されるポリアミド酸化合物(以下、「ポリアミド酸化合物(A)」と表すことがある。)を製造した。
[実施例2−1]
<ポリアミド酸化合物(A)の製造>
HFA−2,4’−ODAと、ビス(4−アミノ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)メタン(以下、「HFA−4,4’−MDA」と表すことがある。)と、6FDAの重合反応により、下記式で表されるポリアミド酸化合物(以下、「ポリアミド酸化合物(A)」と表すことがある。)を製造した。
[式中、m、nは重合度を表す、以下同じ。]
300mL三口フラスコ中に、実施例1で得たHFA−2,4’−ODA(5.000g)、HFA−4,4’−MDA(5.000g)、6FDA(8.376g)およびN,N−ジメチルアセトアミド(42.8g)を加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)にて27時間撹拌して反応液を得た。当該反応液のIR測定を行い、ポリアミド酸化合物(A)の溶液であることを確認した。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは9,400であった。
300mL三口フラスコ中に、実施例1で得たHFA−2,4’−ODA(5.000g)、HFA−4,4’−MDA(5.000g)、6FDA(8.376g)およびN,N−ジメチルアセトアミド(42.8g)を加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)にて27時間撹拌して反応液を得た。当該反応液のIR測定を行い、ポリアミド酸化合物(A)の溶液であることを確認した。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは9,400であった。
実施例2−1で得たポリアミド酸化合物(A)の溶液に、ピリジン(3.13g)、無水酢酸(3.86g)を順に加え、室温(20℃)にて4時間攪拌することで、ポリイミド化合物(A)を含む溶液を得た。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは6,500であった。
[実施例2−3]
<ポリイミド化合物(A)の製膜>
実施例2−2で得たポリイミド化合物(A)の溶液を、ガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、130℃で30分、180℃で30分、200℃で3時間、段階的に昇温しつつ連続して加熱することで、ガラス基板上に膜を得た。膜厚は、17μmであった。IRスペクトルの測定結果から、1726cm−1および1790cm−1にイミド基固有の吸収があり、ポリイミド化合物(A)からなる膜であることを確認した。
[実施例3−1]
<ポリアミド酸化合物(B)の製造>
実施例1で製造したHFA−2,4’−ODAと、4,4’−(ジアミノフェニル)エーテル(以下、「4,4’−ODA」と表すことがある。)と、BPDAの重合反応により、下記式で表されるポリアミド酸化合物(以下、「ポリアミド酸化合物(B)」と表すことがある。)を製造した。
300mL三口フラスコ中に、実施例1で得たHFA−2,4’−ODA(4.894g)、4,4’−ODA(1.841g)、BPDA(5.410g)、N−メチルモルホリン−N−オキサイド(61.40g)を加えた。その後、窒素雰囲気下、室温(20℃)にて16時間撹拌して反応液を得た。当該反応液のIR測定を行い、上記式で表されるポリアミド酸化合物の溶液であることを確認した。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは51,000であった。
実施例3−1で得たポリアミド酸化合物(B)の溶液に、トリエチルアミン(3.72g)、無水酢酸(3.80g)を順に加え、室温(20℃)にて4時間攪拌することで、ポリイミド化合物(B)を含む溶液を得た。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは47,000であった。
[実施例3−3]
<ポリイミド化合物(B)の製膜>
実施例3−2で得たポリイミド化合物(B)の溶液を、ガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、130℃で30分、180℃で30分、200℃で3時間、段階的に昇温しつつ連続して加熱することで、ガラス基板上に膜を得た。膜厚は、35μmであった。IRスペクトルの測定結果において、1782cm−1、1726cm−1にイミド基固有の吸収があり、ポリイミド化合物(B)からなる膜であることを確認した。
[実施例4−1]
<ポリアミド酸化合物(C)の製造>
実施例1で製造したHFA−3,4’−ODAと、3,3’−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)−5,5’−ジメチルベンジジン(以下、「HFA−2,2’−DM−4,4’−DAB」と表すことがある。)と、ODPAの重合反応により、下記式で表されるポリアミド酸化合物(以下、「ポリアミド酸化合物(C)」と表すことがある。)を製造した。
300mL三口フラスコ中に、実施例1で得たHFA−3,4’−ODA(1.9576g)、HFA−2,2’−DM−4,4’−DAB(8.008g)、ODPA(5.701g)、N,N−ジメチルアセトアミド(42.8g)を加えた。その後、窒素雰囲気下、室温(20℃)にて18時間撹拌し反応液を得た。当該反応液のIR測定を行い、ポリアミド酸化合物(C)の溶液であることを確認した。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは13,000であった。
実施例4−1で得たポリアミド酸(C)の溶液に、ピリジン(2.92g)、無水酢酸(3.76g)を順に加え、室温(20℃)にて6時間攪拌させることで、ポリイミド化合物(C)を含む溶液を得た。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは11,000であった。
[実施例4−3]
<ポリイミド化合物(C)の製膜>
実施例4−2で得たポリイミド化合物(C)の溶液を、ガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、130℃で30分、180℃で30分、200℃で3時間、段階的に昇温しつつ連続して加熱することで、ガラス基板上に膜を得た。膜厚は、19μmであった。IRスペクトルの測定結果から、1734cm−1および1789cm−1、にイミド基固有の吸収があり、ポリイミド化合物(C)からなる膜であることを確認した。
[実施例5−1]
<ポリアミド酸化合物(D)の製造>
実施例1で製造したHFA−3,4’−ODAと、HFA−4,4’−MDAと、PMDAの重合反応により、下記式で表されるポリアミド酸化合物(以下、「ポリアミド酸化合物(D)」と表すことがある。)を製造した。
300mL三口フラスコ中に、実施例1で得たHFA−3,4’−ODA(5.848g)と、HFA−4,4’−MDA(3.913g)、PMDA(4.011g)、N,N−ジメチルアセトアミド(55.09g)を加えた。その後、窒素雰囲気下、室温(20℃)にて17時間撹拌して反応液を得た。当該反応液のIR測定を行い、ポリアミド酸化合物(D)の溶液であることを確認した。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは10,200であった。
実施例5−1で得たポリアミド酸(D)の溶液に、トリエチルアミン(3.72g)、無水酢酸(3.80g)を順に加え、室温(20℃)にて4時間攪拌することで、ポリイミド化合物(D)を含む溶液を得た。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは9,300であった。
[実施例5−3]
<ポリイミド化合物の製膜>
実施例5−2で得たポリイミド化合物(D)の溶液を、ガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、130℃で30分、180℃で30分、200℃で3時間、段階的に昇温しつつ連続して加熱することで、ガラス基板上に膜を得た。膜厚は、17μmであった。IRスペクトルの測定結果から、1722cm−1および1783cm−1、にイミド基固有の吸収があり、ポリイミド化合物(D)からなる膜であることを確認した。
[実施例6−1]
<ポリアミド酸化合物(E)の製造>
実施例1で製造したHFA−3,4’−MDAとBTDAの重合反応により、下記式で表されるポリアミド酸化合物(以下、「ポリアミド酸化合物(E)」と表すことがある。)を製造した。
300mL三口フラスコ中に、実施例1で得たHFA−3,4’−MDA(10.00g)、BTDA(6.053g)、N,N−ジメチルアセトアミド(32.10g)を加えた。その後、窒素雰囲気下、室温(20℃)にて25時間撹拌して反応液を得た。当該反応液のIR測定を行い、ポリアミド酸化合物(E)の溶液であることを確認した。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは7,000であった。
実施例6−1で得たポリアミド酸化合物(E)の溶液に、ピリジン(2.92g)、無水酢酸(3.77g)を順に加え、室温(20℃)にて4時間攪拌させることで、ポリイミド化合物(E)を含む溶液を得た。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは8,200であった。
[実施例6−3]
<ポリイミド化合物(E)の製膜>
実施例6−2で得たポリイミド化合物(E)の溶液を、ガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、130℃で30分、180℃で30分、200℃で3時間、段階的に昇温しつつ連続して加熱することで、ガラス基板上に膜を得た。膜厚は、15μmであった。IRスペクトルの測定結果から、1721cm−1および1785cm−1に、イミド基固有の吸収があり、ポリイミド化合物(E)からなる膜であることを確認した。
[実施例7−1]
<ポリアミド酸化合物(F)の製造>
実施例1で製造したHFA−3,4’−MDAと、9,9−ビス(4−アミノ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル))フルオレン(以下、「HFA−4,4’−FDA」と表すことがある。)と、BPDAの重合反応により、下記式で表されるポリアミド酸化合物(以下、「ポリアミド酸化合物(F)」と表すことがある。)を合成した。
300mL三口フラスコ中に、実施例1で得たHFA−3,4’−MDA(5.000g)、HFA−4,4’−FDA(6.257g)、BPDA(5.411g)、N,N−ジメチルアセトアミド(38.9g)を加えた。その後、窒素雰囲気下、室温(20℃)にて25時間撹拌して反応液を得た。当該反応液のIR測定を行い、ポリアミド酸化合物(F)の溶液であることを確認した。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは10,000であった。
実施例7−1で得たポリアミド酸化合物(F)の溶液に、ピリジン(2.92g)、無水酢酸(3.77g)を順に加え、室温(20℃)にて4時間攪拌させることで、ポリイミド化合物(F)を含む溶液を得た。当該溶液のGPC測定の結果、Mwは11,500であった。
[実施例7−3]
<ポリイミド化合物(F)の製膜>
実施例7−2で得たポリイミド化合物(F)の溶液を、ガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、130℃で30分、180℃で30分、200℃で3時間、段階的に昇温しつつ連続して加熱することで、ガラス基板上に膜を得た。膜厚は、15μmであった。IRスペクトルの測定結果から、1724cm−1および1786cm−1に、イミド基固有の吸収があり、ポリイミド化合物(F)からなる膜であることを確認した。
以上の実施例において製造したポリアミド酸化合物とポリイミド化合物について、対応する実施例、原料化合物、Mwを下記の表1にまとめる。
本発明に係るHFIP基含有高分子化合物のコーティング膜は、フラットパネルディスプレイ用のコーティング材、電子回路用基板本体用保護膜、半導体用保護膜などに使用され得る。
Claims (10)
- 一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)
で表される化合物からなる群から選択される一種の化合物と、ヘキサフルオロアセトンまたはヘキサフルオロアセトン・3水和物を反応させて、対応する一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)
で表される化合物を得ることを特徴とする、一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)で表される化合物の製造方法。 - RAが、酸素原子または−CH2−基である、請求項1に記載の製造方法。
- 一般式(7)、一般式(8)または一般式(9)
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物。 - RAが、酸素原子または−CH2−基である、請求項3に記載の高分子化合物。
- 一般式(7)、一般式(8)および一般式(9)
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物からなる群から選択される一種の化合物を、150℃〜350℃で加熱することで、または、ピリジン、トリエチルアミンもしくは無水酢酸とともに−20℃〜350℃で反応させることで、対応する一般式(16)、一般式(17)または一般式(18)
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を得ることを特徴とする、一般式(16)、一般式(17)または一般式(18)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の製造方法。 - 一般式(19)、一般式(20)または一般式(21)
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物。 - RAが、酸素原子または−CH2−基である、請求項7に記載の高分子化合物。
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