JP2019059701A - 新規な含フッ素ジアミンおよび含フッ素ジニトロ化合物、それを用いた含フッ素ポリアミック酸および含フッ素ポリイミド - Google Patents

新規な含フッ素ジアミンおよび含フッ素ジニトロ化合物、それを用いた含フッ素ポリアミック酸および含フッ素ポリイミド Download PDF

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大樹 魚山
由香里 原
Yukari Hara
由香里 原
佳 松永
Yoshi Matsunaga
佳 松永
金井 正富
Masatomi Kanai
正富 金井
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Abstract

【課題】誘電率が低く且つ高いガラス転移点を有する新規な含フッ素ポリイミドを合成するための含フッ素子アミンの提供。【解決手段】式[1]で表される、含フッ素ジアミン。(式中、Aは単環もしくは多環の芳香環または複素環を有する有機基であり、R1は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF3)2R1基、−NH2基は、それぞれ独立に、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)【選択図】なし

Description

本発明は、新規な含フッ素ジアミンおよび含フッ素ジニトロ化合物、およびそれを用いた含フッ素ポリアミック酸および含フッ素ポリイミドに関する。含フッ素ポリイミドは、耐熱性、電気絶縁性、機械特性などに優れることから、電子機器に広く使用される。
近年、電子機器の高機能化および信号伝送の高速化が進み、各種電子機器材料、特に絶縁材料や基板材料などの低誘電率が求められている。
例えば、ポリイミドは、フィルムにして電子回路材料の絶縁基材として用いられ、粘着フィルムや粘着テープに加工される。また、コーティング剤として、ポリイミド前駆体溶液組成物を塗布乾燥後に熱処理してイミド化し、電子回路の絶縁層、半導体素子の表層保護膜などとして用いられる。
特に、近年の高密度実装に伴う回路基板や半導体パッケージ用基材などにおいては、信号伝送の高速化を図るために低誘電率の絶縁樹脂を層間絶縁膜として使用することが主流となっており、ポリイミドに低誘電率であることが求められている。低誘電率などの電気特性の向上のために、含フッ素ジアミンを原料化合物とした含フッ素ポリイミドが提案されている。
例えば、特許文献1には、含フッ素脂環式ジアミンおよびその重合体である含フッ素ポリイミドが開示されている。また、特許文献2には、長鎖フルオロエーテル基を導入したジアミノフェニルエステルおよびその重合体である含フッ素ポリイミドエステルが開示されている。特許文献3には、長鎖フルオロエーテル基を導入したジアミノアミドおよびその重合体である含フッ素ポリイミドイソインドロキナゾリンジオンが開示されている。また、特許文献4、非特許文献1には、長鎖フルオロエーテル基を導入したジアミンおよびその重合体である含フッ素ポリイミドが開示されている。
特許文献4および非特許文献1には、これらの含フッ素ポリイミドが、フッ素原子を含有することから、低誘電率材料として優れていることが記載されている。
特開2003−183387号公報 特開平6−145347号公報 特開平6−128374号公報 特開平1−180860号公報
Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol.28, 323−331 (1990)
前記特許文献1〜4または非特許文献1に記載される直鎖状フルオロエーテル基を有するフェニレンジアミンを原料化合物とする含フッ素ポリイミドは、誘電率が低く、低誘電性材料として優れているとされる。しかしながら、直鎖状フルオロエーテル基を有するフェニレンジアミンを原料に用いた含フッ素ポリイミドは、耐熱性の指標の一つであるガラス転移点が比較的低く、耐熱性が懸念される場合があるという問題点があった。
そこで本発明は、所定のガラス転移点を示しながら誘電率が低い新規な含フッ素ポリイミドを提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、分岐フルオロアルキルエーテル基(−OC(CFR、(Rは水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基である)を含む新規な含フッ素ジアミン化合物を合成した。本ジアミン化合物は、分岐フルオロアルキルエーテル基(−OC(CFR、(Rは水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基である)を含む新規な含フッ素ジニトロ化合物をアミノ化して得られる。次いで、本発明者らは、当該含フッ素ジアミン化合物を用い、テトラカルボン酸誘導体と重合させ、含フッ素ポリアミック酸を得、次いで、含フッ素ポリアミック酸を前駆体とし環化させて、含フッ素ポリイミドを得た。得られた含フッ素ポリイミドは高いガラス転移点を有するものであり、前記課題を解決し本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の発明1〜12に示す通りである。
[発明1]
式[1]で表される、含フッ素ジアミン。
Figure 2019059701
(式中、Aは単環もしくは多環の芳香環または複素環を有する有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF基、−NH基は、それぞれ独立に、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)
[発明2]
式[2]で表される、発明1の含フッ素ジアミン。
Figure 2019059701
(式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、bは1または2の整数である。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
[発明3]
式[3]で表される、発明1の含フッ素ジアミン。
Figure 2019059701
(式中、Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基であり、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、c、dは、それぞれ独立に、1または2の整数である。cが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。cが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。dが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。dが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
[発明4]
式[4]で表される含フッ素ジニトロ化合物。
Figure 2019059701
(式中、Aは単環もしくは多環の芳香族または複素環を有する有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF基、−NO基は、それぞれ独立に、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)
[発明5]
式[5]で表される、発明4の含フッ素ジニトロ化合物。
Figure 2019059701
(式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、bは1または2の整数である。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
[発明6]
式[6]で表される、発明4の含フッ素ジニトロ化合物。
Figure 2019059701
(式中、Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基であり、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、c、dは、それぞれ独立に、1または2の整数である。cが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。cが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。dが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。dが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
[発明7]
式[7]で表される繰り返し単位を含む含フッ素ポリアミック酸。
Figure 2019059701
(式中、Aは単環もしくは多環の芳香環または複素環を有する有機基であり、Gは4価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF基、−NH基は、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)
[発明8]
式[8]で表される繰り返し単位を含む、発明7の含フッ素ポリアミック酸。
Figure 2019059701
(式中、Gは4価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、bは、1または2の整数である。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
[発明9]
式[9]で表される繰り返し単位を含む、発明7の含フッ素ポリアミック酸。
Figure 2019059701
(式中、Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基であり、Gは4価の有機基であり、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、c、dは、それぞれ独立に、1または2の整数である。cが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。cが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。dが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。dが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
[発明10]
式[10]で表される繰り返し単位を含む、含フッ素ポリイミド。
Figure 2019059701
(式中、Aは単環もしくは多環の芳香環または複素環を有する有機基であり、Gは4価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF基、>N−基は、それぞれ独立に、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)
[発明11]
式[11]で表される繰り返し単位を含む、発明10の含フッ素ポリイミド。
Figure 2019059701
(式中、Gは4価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、bは1または2の整数である。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
[発明12]
式[12]で表される繰り返し単位を含む、発明10の含フッ素ポリイミド。
Figure 2019059701
(式中、Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基であり、Gは4価の有機機である、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、c、dは、それぞれ独立に、1または2の整数である。cが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。cが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。dが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。dが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
本発明により、前記特許文献1〜4または非特許文献1に記載の、直鎖状フルオロエーテル基を有するフェニレンジアミンを原料化合物とする含フッ素ポリイミドに比べて、ガラス転移点が高い、含フッ素ポリイミドが提供された。本発明の分枝鎖状フルオロエーテル基を有する含フッ素ポリイミドは、一定のガラス転移点を示しながら誘電率が低いという効果を奏する。さらに、本発明は当該含フッ素ポリイミドの原料化合物である、新規な含フッ素ジアミン、含フッ素ジニトロ化合物、および前駆体である含フッ素ポリアミック酸を提供するものである。
以下の実施形態における各構成およびそれらの組み合わせなどは一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下、本発明の分岐フルオロアルキルエーテル基を有する新規な含フッ素ジアミン、当該含フッ素ジアミンの原料化合物である新規な含フッ素ジニトロ化合物、当該ジアミンから得られる含フッ素ポリアミック酸について説明する。当該含フッ素ポリアミック酸を前駆体として、分岐フルオロアルキルエーテル基を有する含フッ素ポリイミドを得ることができる。
1.含フッ素ジアミン
1−1.含フッ素ジアミン[1]
本発明に係る含フッ素ジアミンは、式[1]で表される、含フッ素ジアミンである(以下、含フッ素ジアミン[1]と呼ぶことがある)。
Figure 2019059701
(式中、Aは単環もしくは多環の芳香環または複素環を有する有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF基、−NH基は、それぞれ独立に、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)
ここで、芳香族環または複素環は置換基を有していてもよいとは、具体的には、芳香族環または複素環を構成する炭素原子に結合するメチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはニトリル基に置換されていてもよいということである。
1−2.含フッ素ジアミン[2]
本発明に係る含フッ素ジアミン[1]は、合成の容易さより、以下の式[2]で表される化合物であることが好ましい(以下、含フッ素ジアミン[2]と呼ぶことがある)。
Figure 2019059701
(式中、Rは水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、bは1または2の整数である。bが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。bが2であるとき、2つのRは互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
含フッ素ジアミン[2]の中で、Rが水素原子またはトリフルオロメチル基である化合物が好ましい。
が水素原子である含フッ素ジアミン[2]として、具体的には以下の含フッ素ジアミンを例示することができる。
Figure 2019059701
がトリフルオロメチル基である含フッ素ジアミン[2]として、具体的には以下の含フッ素ジアミンを例示することができる。
Figure 2019059701
上記の含フッ素ジアミンの中でも、以下の含フッ素ジアミンが好ましい。
Figure 2019059701
特に好ましくは、原料の入手の容易さまたは合成の容易さから、式[2]中に示された芳香環が置換基を有さない以下の含フッ素ジアミンである。
Figure 2019059701
1−3.含フッ素ジアミン[3]
本発明に係る含フッ素ジアミン[1]は、以下の式[3]で表される含フッ素ジアミンであってもよい(以下、含フッ素ジアミン[3]と呼ぶことがある)。
Figure 2019059701
(式中、Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基であり、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、c、dは、それぞれ独立に、1または2の整数である。cが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。cが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。dが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。dが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
で表される含フッ素ジアミンがより好ましい。
含フッ素ジアミン[3]の中で、R、Rが水素原子またはトリフルオロメチル基である含フッ素ジアミンが好ましい。
、Rが水素原子である含フッ素ジアミン[3]として、具体的には以下の含フッ素ジアミンを例示することができる。
Figure 2019059701
、Rがトリフルオロメチル基である含フッ素ジアミン[3]として、具体的には以下の含フッ素ジアミンを例示することができる。
Figure 2019059701
上記の含フッ素ジアミンの中でも、以下の含フッ素ジアミンが好ましい。
Figure 2019059701
特に好ましくは、原料の入手の容易さまたは合成の容易さから、以下の含フッ素ジアミンである。
Figure 2019059701
2.含フッ素ジアミン[1]の製造方法
本発明に係る含フッ素ジアミン[1]の製造方法を説明する。
含フッ素ジアミン[1]は、式[4]で表される含フッ素ジニトロ化合物(以下、含フッ素ジニトロ化合物[4]と呼ぶことがある。)のニトロ基をアミノ基に還元することで合成できる
Figure 2019059701
(式中、Aは単環もしくは多環の芳香族または複素環を有する有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF基、−NO基は、それぞれ独立に、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)
含フッ素ジニトロ化合物[4]のニトロ基のアミノ基への還元には、Raneyニッケル、パラジウム−炭素や酸化白金などの触媒の存在下、該含フッ素ジニトロ化合物と水素(H)を反応させる、いわゆる接触還元法、または酸性条件下で二塩化スズ、亜鉛、サマリウム、インジウム、鉄などの還元性金属塩や金属を該含フッ素ジニトロ化合物と反応させる方法を、用いることができる。
2−1.接触還元法
これらの中、特に好ましいのは、環境に優しく経済的にも有利な接触還元法である。それについて以下に説明する。
[金属触媒]
接触還元法において、金属触媒は、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、ニッケルおよび銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む金属触媒が好適に用いられる。本発明において、金属触媒とは、上記金属の単体、または担体としての活性炭、アルミナ、シリカまたはクレーなどに金属を担持させた金属触媒の他、上記金属の金属塩、金属錯体あるいは金属酸化物を含む。なお、これらのうち、複数の種類の金属触媒を用いて、反応系に水素を加え、還元を行うこともできる。入手し易く取り扱いが容易で触媒活性が高いことから、ルテニウム、パラジウムが好ましい。
接触還元法において、使用する金属触媒の量は、式[2]で表される含フッ素ジニトロ化合物1当量に対して、金属原子換算で通常、0.0001当量以上、0.05当量以下であり、0.0004当量以上、0.02当量以下が好ましく、0.001当量以上、0.01当量以下がより好ましい。金属触媒が0.0001当量未満では触媒としての効果が十分でなく、反応速度が低くなるので、好ましくない。逆に0.05当量より多く加えても、それ以上の反応速度の向上は起こりにくいので、経済的に好ましくない。
[水素圧]
接触還元法において、水素を反応系(反応容器内)に加える際の水素圧は常圧(0.1MPa)以上、5MPa以上であり、0.2以上、4MPa以上が好ましく、0.3以上、3MPa以上がより好ましい。常圧未満でも反応は進行するが、反応速度が低く、含フッ素ジアミン[1]の収率が低下することがあるので、好ましくない。5MPaを超える水素圧にしても反応速度が速くなることはなく、高圧のため使用装置に制限が生じることがある。
[還元試剤]
なお、接触還元法において、還元試剤は、水素に限定されない。水素に代わる還元試剤としてヒドラジンやギ酸塩を用いてもよい。
[溶剤]
接触還元法は、溶剤の存在下で行ってもよい。使用可能な溶剤としては、芳香族系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、アミン系溶剤、または水を挙げることができる。
具体的には、芳香族系溶剤として、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはメシチレン、エーテル系溶剤として、ジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルまたはテトラヒドロフラン、アルコール系溶剤として、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、トリフルオロエタノールまたは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(以下、HFIPと表記することがある)、アミン系溶剤として、ピリジンまたはトリエチルアミンを例示することができる。
以上の溶剤は単独で用いてもよく、複数の溶剤を併用してもよい。
この中、入手し易く取り扱いが容易であることから、好ましくは、トルエン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノールであり、特に好ましくは、テトラヒド ロフラン、メタノールである。
接触還元法に使用する溶剤の量は、含フッ素ジニトロ化合物[4]1gに対して100g以下であり、20g以下が好ましく、10g以下がより好ましい。100gを超えて加えても反応に好ましい影響はほとんどなく、生産性、経済性の観点から好ましくない。
[反応時間]
接触還元法において反応時間は、通常2時間以上、96時間以下であり、4時間以上、72時間以下が好ましく、8時間以上、48時間以下がより好ましい。2時間未満では、式[2]で表される含フッ素重合性単量体が十分に還元されず、含フッ素ジアミン[1]が高い収率で得られない。96時間を超える還元時間は現実的でなく、反応に好ましい影響はほとんど与えず、生産性、経済性の観点から好ましくない。
[反応温度]
接触還元法を実施する際の反応温度は通常0℃以上、150℃以下であり、10℃以上、120℃以下が好ましく、30℃以上、100℃以下がより好ましい。0℃未満では反応速度が低く、また、150℃を超えても反応速度がそれ以上、上がることはほとんどなく、経済性の観点から好ましくはない。
3.含フッ素ジニトロ化合物[4]
3−1.含フッ素ジニトロ化合物[4]
含フッ素ジアミン[1]の合成原料に用いる、本発明に係る含フッ素ジニトロ化合物[4]を以下に示す。
Figure 2019059701
(式中、Aは単環もしくは多環の芳香族または複素環を有する有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF基、−NO基は、それぞれ独立に、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)
ここで、芳香族環または複素環は置換基を有していてもよいとは、具体的には、芳香族環または複素環を構成する炭素原子に結合するメチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはニトリル基に置換されていてもよいということである。
3−2.含フッ素ジニトロ化合物[5]
本発明に係る含フッ素ジニトロ化合物[4]は、合成の容易さより、以下の式[5]で表される含フッ素ジニトロ化合物であることが好ましい(以下、含フッ素ジニトロ化合物[5]と呼ぶことがある)。
Figure 2019059701
(式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、bは1または2の整数である。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
含フッ素ジニトロ化合物[5]の中で、Rが水素原子、またはトリフルオロメチル基である含フッ素ジニトロ化合物[5]が好ましい。
が水素原子である含フッ素ジニトロ化合物[5]として、具体的には以下の含フッ素ジニトロ化合物を例示することができる。
Figure 2019059701
がトリフルオロメチル基である含フッ素ジニトロ化合物[5]として、具体的には以下の含フッ素ジニトロ化合物を例示することができる。
Figure 2019059701
上記の含フッ素ジニトロ化合物の中でも、以下の含フッ素ジニトロ化合物が好ましい。
Figure 2019059701
特に好ましくは、原料の入手の容易さまたは合成の容易さから、以下の含フッ素ジニトロ化合物である。
Figure 2019059701
3−3.含フッ素ジニトロ化合物[6]
本発明に係る含フッ素ジニトロ化合物[4]は、合成の容易さより、以下の式[6]で表される含フッ素ジニトロ化合物であってもよい(以下、含フッ素ジニトロ化合物[6]と呼ぶことがある)。
Figure 2019059701
(式中、Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基であり、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、c、dは、それぞれ独立に、1または2の整数である。cが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。cが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。dが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。dが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
含フッ素ジニトロ化合物[6]の中で、Rが水素原子またはトリフルオロメチル基である含フッ素ジニトロ化合物[6]が好ましい。
、Rが水素原子である含フッ素ジニトロ化合物[5]として、具体的には以下の含フッ素ジニトロ化合物を例示することができる。
Figure 2019059701
、Rがトリフルオロメチル基である含フッ素ジニトロ化合物[6]として、具体的には以下の含フッ素ジニトロ化合物を例示することができる。
Figure 2019059701
上記の含フッ素ジニトロ化合物含フッ素ジアミンの中でも、以下の含フッ素ジニトロ化合物が好ましい。
Figure 2019059701
特に好ましくは、原料の入手の容易さまたは合成の容易さから、以下の含フッ素ジニトロ化合物である。
Figure 2019059701
4.含フッ素ジニトロ化合物[4]の製造方法
本発明に係る含フッ素ジニトロ化合物[4]の製造方法を説明する。
含フッ素ジニトロ化合物[4]は、以下の式に示すように、塩基性化合物の存在下、式[4A]で表されるジニトロ化合物(以下、ジニトロ化合物[4A]と呼ぶことがある。)と、含フッ素アルコール、CR(CFOH(Rは水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基である。)の芳香族求核置換反応で合成することができる。
Figure 2019059701
(式中、Xaはフッ素原子または塩素原子である。Rおよびaは式[4]と同義である。)
具体的には、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの無機塩基存在下でTHFまたは水等を溶媒に用い、溶媒を氷浴等で冷却したのち、溶媒にジニトロ化合物[4A]および含フッ素アルコールCR(CFOHを滴下させて、含フッ素ジニトロ化合物[4]を得ることができる。
がHの場合がヘキサフルオロイソプロパノール、CH(CFOH(以下HFIPと呼ぶことがある。Chemical Abstracts Service registry number(CAS登録番号)920−66−11)であり、RがCHの場合がC(CH)(CFOH、(CAS登録番号1515−14−6)であり、RがCFの場合がC(CFOH、(CAS登録番号2378−02−1)である。
これら含フッ素アルコールは、東京化成工業株式会社より、以下の製品コードで市販されている。東京化成工業株式会社の製品コードは、HFIPがH0424であり、C(CH)(CFOHがH1349であり、C(CFOHはN0692である。
[ジニトロ化合物[4A]
ジニトロ化合物[4A]として、以下のジニトロ化合物[5A]および[6A]を挙げることができる。
Figure 2019059701
(式中、Xはフッ素原子または塩素原子である。b〜dは式[5]および[6]と同義である。)
ジニトロ化合物[4A]は、フッ素基や塩素基が導入された芳香族化合物をニトロ化することで合成することができる。
ジニトロ化合物[4A]に属する化合物は、和光純薬工業株式会社、東京化成工業株式会社、英国アルファエイサー社、独国シグマアルドリッチ等から市販されており入手することもできる。例えば、英国アルファエイサー社は、ジニトロ化合物[4A]に属する、2−クロロ−4,6−ジニトロアニリン、2−クロロ−3,5−ジニトロ安息香酸、4−クロロ−3,5−ジニトロ安息香酸、5−クロロ−2,4−ジニトロ安息香酸、4−クロロ−3,5−ジニトロベンゾニトリル、2−クロロ−3,5−ジニトロベンゾトリフルオリド、4−クロロ−3,5−ジニトロベンゾトリフルオリド、または5−クロロ−2,4−ジニトロトルエン、あるいはジニトロ化合物[5B]に属する、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン、1−クロロ−3,4−ジニトロベンゼン、または2−クロロ−1,3−ジニトロベンゼン、を市販しており、含フッ素ジニトロ化合物[4]の合成原料として用いることができる
[塩基性化合物]
芳香族求核置換反応には、塩基性化合物が必要である。
塩基性化合物としては、芳香族求核置換反応が進行すれば、有機塩基化合物または無機塩基化合物のいずれを用いてもよい。
有機塩基化合物としては、具体的に、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、リチウムジイソプロピルアミド、n−ブチルリチウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エンを例示することができる。
無機塩基化合物としては、具体的には、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水素化ナトリウムを用いることができる。この中、好ましくは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、または水酸化ナトリウムであり、特に好ましくは、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウムである。
[溶剤]
芳香族求核置換反応は、溶剤の存在下で行ってもよい。使用可能な溶剤としては、芳香族系溶剤、エーテル系溶剤、アミン系溶剤、または水を挙げることができる。
具体的には、芳香族化合物系溶剤として、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはメシチレン、エーテル系溶剤としてジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルまたはテトラヒドロフラン、アルコール系溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、トリフルオロエタノールまたはHFIP、アミン系溶剤としてピリジンまたはトリエチルアミンを例示することができる。以上の溶剤は単独で用いてもよく、複数の溶剤を併用してもよい。
この中、入手し易く取り扱いが容易であることから、好ましくは、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランであり、特に好ましくは、テトラヒドロフランである。
芳香族求核置換反応において使用する溶剤の量は、式[13]で表されるハロジニトロベンゼン1gに対して0g以上、100g以下であり、20g以下が好ましく、10g以下がより好ましい。100gを超えても反応に好ましい影響はほとんどなく、生産性、経済性の観点から好ましくない。
[反応時間]
芳香族求核置換反応において反応時間は、通常0.1時間以上、48時間以下であり、0.3時間以上、12時間以下が好ましく、1時間以上、6時間以下がより好ましい。10分時間未満では十分に反応せず、目的物が高い収率で得られにくい。48時間を越えても反応に好ましい影響はほとんどなく、生産性、経済性の観点から好ましくない。
[反応温度]
芳香族求核置換反応を実施する際の反応温度は通常−40℃以上、150℃以下であり、−20℃以上、120℃以下が好ましく、0℃以上、100℃以下がより好ましい。−40℃未満では反応速度が低)、目的物が高い収率で得られにくい。また、150℃を超える反応温度は、経済性の観点から好ましくない。
5.含フッ素ポリアミック酸
5−1.含フッ素ポリアミック酸[7]
本発明に係る含フッ素.含フッ素ポリアミック酸は、式[7]で表される繰り返し単位を有する、含フッ素ポリアミック酸である(以下、含フッ素ポリアミック酸[7]と呼ぶことがある)。
Figure 2019059701
(式中、Aは単環もしくは多環の芳香環または複素環を有する有機基であり、Gは4価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF基、−NH基は、それぞれ独立に、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)
ここで、芳香族環または複素環は置換基を有していてもよいとは、具体的には、芳香族環または複素環を構成する炭素原子に結合するメチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはニトリル基に置換されていてもよいということである。
本発明のポリアミック酸は、これらの繰り返し単位のうちの1つからなるホモポリマーであってもよいし、これらの繰り返し単位の異なるものどうしが含まれるヘテロポリマーであってもよい。
5−2.含フッ素ポリアミック酸[8]
本発明に係る含フッ素ポリアミック酸[7]は、合成の容易さより、以下の式[8]で表される式[8]で表される繰り返し単位を有する、含フッ素ポリアミック酸であることが好ましい(以下、含フッ素ポリアミック酸[8]と呼ぶことがある)。
Figure 2019059701
(式中、Gは4価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、bは、1または2の整数である。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
含フッ素ポリアミック酸[8]の中で、Rが水素原子またはトリフルオロメチル基である化合物が好ましい。
が水素原子である含フッ素ポリアミック酸[8]として、具体的には以下の含フッ素ポリアミック酸を例示することができる。
Figure 2019059701
がトリフルオロメチル基である含フッ素ポリアミック酸[8]として、具体的には以下の含フッ素ポリアミック酸を例示することができる。
Figure 2019059701
上記の含フッ素ポリアミック酸の中でも、以下の含フッ素ポリアミック酸が好ましい。
Figure 2019059701
特に好ましくは、原料の入手の容易さまたは合成の容易さから、以下の含フッ素ポリアミック酸である。
Figure 2019059701
5−3.含フッ素ポリアミック酸[9]
また、本発明に係る含フッ素ポリアミック酸[7]は、合成の容易さより、以下の式[9]で表される繰り返し単位を有する、含フッ素ポリアミック酸であってもよい(以下、含フッ素ポリアミック酸[9]と呼ぶことがある)。
Figure 2019059701
(式中、Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基であり、Gは4価の有機基であり、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、c、dは、それぞれ独立に、1または2の整数である。cが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。cが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。dが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。dが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
含フッ素ジアミン[3]の中で、Rが水素原子またはトリフルオロメチル基である含フッ素ジアミンが好ましい。
、Rが水素原子である含フッ素ポリアミック酸[9]として、具体的には以下の含フッ素ポリアミック酸を例示することができる。
Figure 2019059701
、Rがトリフルオロメチル基である含フッ素ポリアミック酸[9]として、具体的には以下の含フッ素ポリアミック酸を例示することができる。
Figure 2019059701
上記の含フッ素ポリアミック酸の中でも、以下の含フッ素ポリアミック酸が好ましい。
Figure 2019059701
特に好ましくは、原料の入手の容易さまたは合成の容易さから、以下の含フッ素ポリアミック酸である。
Figure 2019059701
5−4.含フッ素ポリアミック酸[7]
本発明に係る含フッ素ポリアミック酸[7]におけるGは、下記式で表されるいずれかであることが好ましい。
Figure 2019059701
本発明に係る含フッ素ポリアミック酸[7]は、以下の含フッ素ポリアミック酸[8]または含フッ素ポリアミック酸[9]であることが好ましい。
<含フッ素ポリアミック酸[8]において、Rが水素原子である場合>
Figure 2019059701
<含フッ素ポリアミック酸[8]において、Rがトリフルオロメチル基である場合>
Figure 2019059701
<含フッ素ポリアミック酸[9]において、Rが水素原子である場合>
Figure 2019059701
<含フッ素ポリアミック酸[9]において、Rがトリフルオロメチル基である場合>
Figure 2019059701
5−4.含フッ素ポリアミック酸[7]の分子量
含フッ素ポリアミック酸[7]の重量平均分子量は、通常、10,000〜500,000であり、20,000〜300,000が好ましく、30,000〜200,000が好ましい。重量平均分子量が10,000未満だと、得られる高分子膜の強度が乏しい。重量平均分子量が500,000超では、得られる高分子溶液の粘度が高くなりすぎて取り扱いが難しくなる。ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと呼ぶことがある。)分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものである(本明細書において以下同じ。)。当該分析の詳細な分析条件は、本願の実施例で記述する。
5−5.ポリアミック酸[7]の製造方法
含フッ素ポリアミック酸[7]は、例えば、含フッ素ジアミン[1]を、以下のテトラカルボン酸二無水物[14]と反応させることで得られる。
<テトラカルボン酸二無水物[14]>
Figure 2019059701
(Gは脂環、芳香環、アルキレン基から選ばれた一種以上を含有した4価の有機基である。)
テトラカルボン酸二無水物[14]としては、具体的には、ピロメリット酸無水物(以下、PMDAと呼ぶことがある)、トリフルオロメチルベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ビストリフルオロメチルベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ジフルオロベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水化物、ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ケトン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物(以下、ODPAと呼ぶことがある。)、ビシクロ(2,2,2)オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン酸二無水化物、2,5,6,2’,5’,6'−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水化物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAと呼ぶことがある。)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水化物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水化物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(以下、6FDAと呼ぶことがある。)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと呼びことがある)、または3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらを2種以上併用してもよい。
<含フッ素ポリアミック酸[7]の製造方法>
含フッ素ポリアミック酸[7]の製造方法については、特に制限されない。例えば、対応する含フッ素ジアミン[1]と、式[14]で表されるテトラカルボン酸を有する組成物を、150℃以上で相互に溶融させて無溶媒で縮重合反応させる方法、溶媒中にて150℃以上で縮重合反応させる方法、−20℃以下、80℃以上で溶媒中で重合反応させる方法などが挙げることができる。
また、含フッ素ポリアミック酸[7]の製造において、溶剤を用いることができる。用いる溶媒としては、反応基質が溶解し、反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されない。
例えば、アミド系溶剤、芳香族系溶剤、ハロゲン系溶剤、またはラクトン系溶剤を挙げることができる。
具体的には、アミド系溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、芳香族系溶剤としては、ベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、ハロゲン系溶剤としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ラクトン系溶剤としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトンを例示することができる。これらの溶媒は、単独でも2種以上の混合液として使用してもよい。
6.含フッ素ポリイミド[10]
6−1.含フッ素ポリイミド[10]
本発明に係る含フッ素.含フッ素ポリイミドは、式[10]で表される繰り返し単位を有する、含フッ素ポリイミドである(以下、含フッ素ポリイミド[10]と呼ぶことがある)。
Figure 2019059701
(式中、Gは4価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、bは1または2の整数である。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
ここで、芳香族環または複素環は置換基を有していてもよいとは、具体的には、芳香族環または複素環を構成する炭素原子に結合するメチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはニトリル基に置換されていてもよいということである。
本発明のポリイミドは、これらの繰り返し単位のうちの1つがずっと連続していくホモポリマーであってもよいし、これらの繰り返し単位の異なるものどうしが含まれるヘテロポリマー」であってもよい。
6−2.含フッ素ポリイミド[11]
本発明に係る含フッ素ポリイミド[10]は、以下の式[11]で表される繰り返し単位を有する、含フッ素ポリイミドであることが好ましい(以下、含フッ素ポリイミド[11]と呼ぶことがある)。
Figure 2019059701
(式中、Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基であり、Gは4価の有機器である、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、c、dは、それぞれ独立に、1または2の整数である。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
含フッ素ポリイミド[11]の中で、Rが水素原子またはトリフルオロメチル基である化合物が好ましい。
が水素原子である含フッ素ポリイミド[11]として、具体的には以下の含フッ素ポリイミドを例示することができる。
Figure 2019059701
がトリフルオロメチル基である含フッ素ポリイミド[11]として、具体的には以下の含フッ素ポリイミドを例示することができる。
Figure 2019059701
上記の含フッ素ポリイミドの中でも、以下の含フッ素ポリイミドが好ましい。
Figure 2019059701
特に好ましくは、原料の入手の容易さまたは合成の容易さから、以下の含フッ素ポリイミドである。
Figure 2019059701
6−3.含フッ素ポリイミド[12]
また、本発明に係る含フッ素ポリイミド[10]は、合成の容易さより、以下の式[12]で表される繰り返し単位を有する、含フッ素ポリイミドであってもよい(以下、含フッ素ポリイミド[12]と呼ぶことがある)。
Figure 2019059701
(式中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基である。c、dは、それぞれ独立に、1または2の整数である。cが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。cが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。dが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。dが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基である。Gは4価の有機基である。)
、Rが水素原子である含フッ素ポリイミド[12]として、具体的には以下の含フッ素ポリイミドを例示することができる。
Figure 2019059701
、Rがトリフルオロメチル基である含フッ素ポリイミド[12]として、具体的には以下の含フッ素ポリイミドを例示することができる。
Figure 2019059701
上記の含フッ素ポリイミドの中でも、式[2]中に示された芳香環が置換基を有さない以下の含フッ素ポリイミドが好ましい。
Figure 2019059701
特に好ましくは、原料の入手の容易さまたは合成の容易さから、以下の含フッ素ポリイミド化合物である。
Figure 2019059701
6−4.含フッ素ポリイミド[10]
本発明に係る含フッ素ポリポリイミド[10]におけるGは、下記式で表されるいずれかであることが好ましい。
Figure 2019059701
本発明に係る含フッ素ポリイミド[10]は、以下の含フッ素ポリイミド[11]または含フッ素ポリイミド[12]であることが好ましい。
<含フッ素ポリイミド[11]において、Rが水素原子である場合>
Figure 2019059701
<含フッ素ポリイミド[11]において、Rがトリフルオロメチル基である場合>
Figure 2019059701
<含フッ素ポリイミド[12]において、R、Rが水素原子である場合>
Figure 2019059701
<含フッ素ポリイミド[12]において、R、Rがトリフルオロメチル基である場合>
Figure 2019059701
6−5.含フッ素ポリイミド[10]の製造方法
含フッ素ポリイミド[10]の製造方法について説明する。含フッ素ポリイミド[10]はそれぞれ、対応する含フッ素ポリアミック酸[7]の脱水環化反応により得られ、以下の製造方法(A)、または製造方法(B)を挙げることができる。
<製造方法(A)>
製造方法(A)は、含フッ素ポリアミック酸[7]を、所定の温度で加熱することで脱水環化反応させ、含フッ素ポリイミド[10]を製造する方法である。
製造方法(A)は、含フッ素ポリアミック酸[7]を、所定の温度で加熱することで脱水環化反応のみで含フッ素ポリイミド[10]を製造する方法である。
製造方法(A)においては、含フッ素ポリアミック酸[7]を、150℃以上、350℃以下でイミド化し、対応する含フッ素ポリイミド[10]を製造することができる。
製造方法(A)において、溶剤を用いることができる。溶剤を用いる場合には、当該ポリアミック酸[7]を所定の溶剤に溶解させて溶液を調製した後に、加熱する。用いる溶剤としては、反応基質が溶解し、反応を阻害しない溶剤であれば特に限定されない。
溶剤としては、アミド系溶剤、芳香族系溶剤、ハロゲン系溶剤、ラクトン系溶剤を挙げることができる。これらの溶剤は、単独でも2種以上の混合溶剤として使用されてもよい。
具体的には、アミド系溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドまたはN−メチル−2−ピロリドン、芳香族系溶剤としては、ベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼンまたはベンゾニトリル、ハロゲン系溶剤としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン、ラクトン系溶剤としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンまたはα−メチル−γ−ブチロラクトンを例示することができる。これらの溶剤は、単独でも2種以上の混合溶剤として使用されてもよい。
製造方法(A)において、溶液中のポリイミドの濃度は、5質量%以上、50質量%以下が好ましく、10質量%以上、40質量%以下がさらに好ましい。当該濃度が5質量%より少ないと、薄すぎて工業的に実用的ではなく、50質量%を超えると溶解し難く、経済性の観点から好ましくない。
<製造方法(B)>
製造方法(B)は、含フッ素ポリアミック酸[7]を、酸または塩基を添加した後、所定の温度での加熱することで脱水環化反応させ、含フッ素ポリイミド[10]を製造する方法である。
(B)の製造方法において、ピリジン、トリエチルアミン、無水酢酸などを添加剤として用いることで、反応温度を低下させることができる。当該製造方法においては、反応温度は−20〜350℃の温度でイミド化が進行するが、0〜150℃の温度で行うのが好ましい。
(B)の製造方法において、溶剤を用いることができる。溶剤を用いる場合には、当該ポリイミドを所定の溶剤に溶解させて溶液を調製した後に、加熱するとよい。用いる溶剤としては、反応基質が溶解し、反応を阻害しない溶剤であれば特に限定されない。例えば、アミド系溶剤であるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドまたはN−メチル−2−ピロリドン、芳香族系溶剤であるベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼンまたはベンゾニトリル、ハロゲン系溶剤であるクロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン、ラクトン系溶剤であるγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンまたはα−メチル−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独でも2種以上の混合溶剤として使用されてもよい。
(B)の製造方法において、溶液中のポリイミドの濃度は、5質量%以上、50質量%以下が好ましい。当該濃度が5質量%より少ないと、薄すぎて工業的に実用的ではなく、50質量%を超えると溶解し難い。さらに、好ましくは10質量%以上、40質量%以下である。
含フッ素ポリイミド[10]の製造方法として、対応する含フッ素ポリアミック酸[7]の合成直後の反応溶液をそのまま脱水閉環反応に供する方法も適用可能である。この場合、前述の温度範囲、添加剤、濃度、溶剤を使用することができる。
6−6.含フッ素ポリイミド[10]の重合成分
高分子化合物の耐熱性や比誘電率の改善や所望の有機溶剤への溶解性を得ることを目的として、本発明に係る含フッ素ポリアミック酸、含フッ素ポリイミドに加え、分岐フルオロアルキルエーテル基を有するジアミンまたは分岐フルオロアルキルエーテル基を有しないジアミンを重合成分として併用してもよい。
当該ジアミンとしては、具体的には、3,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、2,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、3,3’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビストリフルオロメチル−5,5’−ジアミノビフェニル、ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル、ビス(フッ素化アルキル)−4,4’−ジアミノジフェニル、ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル、ジブロモ−4,4’−ジアミノジフェニル、ビス(フッ素化アルコキシ)−4,4’−ジアミノジフェニル、ジフェニル−4,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ビナフチルアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノジュレン、1,4−キシリレンジアミン、ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニル、ジアルキル−4,4’−ジアミノジフェニル、ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチルージアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチルージアミノジフェニルメタン、9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス(4−アミノ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)メタン、4,4’−(ジアミノフェニル)エーテル、3,3’−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)−5,5’−ジメチルベンジジン、または9,9−ビス(4−アミノ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル))フルオレンを例示することができる。これらを2種以上併用してもよい。
6−7.含フッ素ポリイミド[10]の物性と特長
従来の直鎖状フルオロエーテル基を有するフェニレンジアミンを原料化合物とする含フッ素ポリイミドは、誘電率が低く、低誘電性材料として優れているとされる。しかしながら、直鎖状フルオロエーテル基を有するフェニレンジアミンを原料に用いた含フッ素ポリイミドは、耐熱性の指標の一つであるガラス転移点(以下、Tgと呼ぶことがある)が比較的低く、耐熱性が懸念される場合がある。
芳香族ポリイミドは、同一平面に芳香環または複素環が配列し主鎖をなし、主鎖が互いに密に充填され、極性の高いイミド結合が主鎖環に強い分子間力を生じさせ、主鎖間の結合力も強固となる。一方、フッ素原子は電子反発が強いため主鎖の分子間力を弱めてTgを下げる効果がある。そのため、直鎖状フルオロエーテル基を有する含フッ素ポリイミドは、直鎖状フルオロ基が長くなるにつれてTgが下がる。分枝鎖状フルオロエーテル基を有する含フッ素ポリイミド[10]のTgが、直鎖状フルオロエーテル基を有する含フッ素ポリイミドに比べ高いことは、フルオロ鎖基が短いため電子反発が弱いこと、直鎖ではなく分枝鎖状で結合することで嵩高くなり、高温でも主鎖の回転運動を抑制することによると推察される。
このような理由で、本発明で得られた分枝鎖状フルオロエーテル基を有する含フッ素ポリイミド[10]は、従来の直鎖状フルオロエーテル基を有する含フッ素ポリイミドに比べて、高いTgを有するものとなり、耐熱性に優れるものとなると推測される。
含フッ素ポリイミド[10]は、Aが単環もしくは多環の芳香環または複素環を有する有機基である場合、Rが水素原子である場合(環に−0−CH(CFH基が結合)、Rがメチル基である場合(環に−O−C(CH)(CF基が結合)、Rがトリフルオロメチル基である場合(環に−O−C(CF基が結合)、またはaが1〜4の整数である場合(前述の基の数が1〜4個である場合)も、分枝鎖状フルオロエーテル基を有することでポリイミドの主鎖間の結合力を妨げることがない、同様にポリイミドのTgを高める効果があると推測される。
本発明の含フッ素ポリイミド[10]は、高密度実装に伴う回路基板や半導体パッケージ用基材などにおいて、信号伝送の高速化を図るための低誘電率且つ耐熱性の絶縁性層間絶縁膜として使用することができる。
7.含フッ素ポリイミド[10]の使用における態様
本発明に係る含フッ素ポリイミド[10]は、有機溶剤に溶解したワニス状態、粉末状態、フィルム状態、固体状態で使用に供することが可能である。その際、得られた高分子化合物中には、必要に応じて酸化安定剤、フィラー、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始剤および増感剤などの添加物が混合されていてもよい。
ワニスで使用する場合は、ガラス、シリコンウエーハ、金属、金属酸化物、セラミックス、樹脂などの基材上にスピンコート、スプレーコート、フローコート、含浸コート、ハケ塗りなど通常用いられる方法で塗布することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[含フッ素ジニトロ化合物、含フッ素ジアミンの同定、含フッ素ポリイミドの物性評価方法]
含フッ素ジニトロ化合物、含フッ素ジアミンの同定、含フッ素ポリイミドの物性評価は、以下に示す方法で行った。
<核磁気共鳴測定>
核磁気共鳴(以下、NMRと呼ぶことがある)による含フッ素ジニトロ化合物、含フッ素ジアミンの構造解析は、固体高分解能核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製、機種名JNM−AL400またはJNM−ECA400)を用いて、H−NMR(共鳴周波数:400MHz)または19F−NMR(共鳴周波数:376MHz)の測定をした。
<ガスクロマトグラフィー分析>
ガスクロマトグラフィー(以下、GCと呼ぶことがある)分析による含フッ素ジニトロ化合および含フッ素ジアミンの純度は、多目的省スペースガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製、機種名‘GC2010Plus)により、カラムにDB1を用い、測定したGCエリア(面積)から算出した。
<重量平均分子量測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと呼ぶことがある)分析による含フッ素ポリアミック酸および含フッ素ポリイミドの重量平均分子量(Mw)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は、高速GPC装置(東ソー株式会社製、機種名HLC−8320)により、カラムTSKgel SuperHZM−H、溶媒テトラヒドロフラン(THF)、ポリスチレン換算で測定した。
<膜厚測定>
膜厚は、デジタル測長機(株式会社ニコン製、機種名DIGIMICRO MH−15)で測定した。
<熱膨張係数およびガラス転移温度>
熱膨張係数(以下、CTEと呼ぶことがある)およびガラス転移温度(以下、Tgと呼ぶことがある)は、熱機会分析装置(株式会社リガク製、機種名Thermo Plus EvoII TMA8310)を用いた引張り試験により求めた。
<熱分解温度>
熱分解温度は示唆熱天秤(株式会社リガク社製、機種名‘RIGAKU Thermo Plus TG8310’)にて測定した。
<機械物性>
弾性率、応力、破断伸度などの機械物性は、精密万能試験機オートグラフ(株式会社島津製作所製、機種名Autograph AG−IS’)を用いた引っ張り試験により求めた。
<比誘電率>
比誘電率は、誘電体測定装置(英アジレント・テクノロジー製、機種名4284AプレシジョンLCRメータ)を用い測定した。
1.含フッ素ジニトロ化合物
実施例1−1
[含フッ素ジニトロ化合物(A)の合成その1]
以下に示すジニトロ化合物(A)と1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HC(CFOH)以下、HFIPと呼ぶことがある)の反応により、含フッ素ジニトロ化合物(A)を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および撹拌子を備えた容量100mLの三口フラスコを窒素で置換し、水素化ナトリウム(60質量%オイルディスパージョン)2.80g(70mmol)を加え、ヘキサン20mLで2回洗浄した。その後、THF100gを仕込み、氷浴で冷却した。同様に冷却したHFIP、11.76g(70mmol)を滴下した後、ジニトロ化合物(A)(東京化成工業株式会社製、製品コード、A5512、CAS登録番号、70−34−8)、55.8g(300mmol)をTHF150gに溶解させ滴下し、20分撹拌し反応液を得た。氷浴を取り除き、室温に昇温して3時間撹拌した後、GCで分析したところ、目的化合物である含フッ素ジニトロ化合物(A)が96.2%生成していた。
次いで、反応液に水50gを加えた後、減圧濾過を行った。反応液に酢酸エチル200gを加えて、純水200gで洗浄して有機層をエバポレータで減圧濃縮した。得られた固形分をジイソプロピルエーテル100gとヘキサン100gで再結晶を実施し、ジニトロ化合物(A)の白色粉末を89g(266mmol)、収率88.8%で得た。GC分析による純度は、99.1%であった。NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(基準物質:重水素化溶媒の残留プロトン、溶媒:重水素化ジメチルスルホキド(以下、DMSO−d))σ(ppm):6.65(m,2H),6.79(m,2H),6.93(dd,1H,J=2.9,8.8Hz),7.04(m,1H),7.09(d,1H,J=8.8Hz)。19F−NMR(基準物質:ヘキサフルオロベンゼン、溶媒:DMSO−d)σ(ppm):−74.8(s,6F)。
実施例1−2
[含フッ素ジニトロ化合物(A)の合成その2]
以下に示すジニトロ化合物(A)とHFIPの反応により、含フッ素ジニトロ化合物(A)を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および撹拌子を備えた容量1000mLの四口フラスコに、水酸化カリウム45.4g(810mmol)、脱イオン水270mLを仕込み、氷浴で冷却した。同様に冷却したHFIP、136.1g(810mmol)を滴下した後、ジニトロ化合物(A)(東京化成工業株式会社製、製品コード、A5512、CAS登録番号、70−34−8)、67mL(540mmol)をTHF125mLに溶解させて滴下し、同温にて10分撹拌した。氷浴を取り除き、室温に昇温して1時間撹拌し、反応液を得た。反応液をNMRにて分析し、目的化合物である含フッ素ジニトロ化合物(A)が生成していることを同定した。次いで、水1000gに反応液を加えた後、pHが7になるように15%塩酸を加えた。分液ロートを用いて下層を分取し、水1000gで2回、飽和食塩水1000gで1回洗浄した。エバポレータで減圧濃縮し、得られた固形分をジイソプロピルエーテル100gとヘキサン100gで再結晶を実施し、含フッ素ジニトロ化合物(A)を148.7g(445mmol)、収率82.4%で回収した。GC分による純度は、99.7%であった。
実施例1−3
[含フッ素ジニトロ化合物(B)の合成]
以下に示すジニトロ化合物(B)とHFIPの反応により、含フッ素ジニトロ化合物(B)を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および撹拌子を備えた容量1000mLの四口フラスコに、水酸化カリウム66.1g(1.18mol)、脱イオン水196mLを仕込み、氷浴で冷却した。同様に冷却したHFIP、197.6g(1.18mol)を滴下した後、ジニトロ化合物(B)(東京化成工業株式会社製、製品コード、D1649、CAS登録番号、327−92−4)、80.0g(392mmol)をTHF196mLに溶解させて滴下し、10分間撹拌し、反応液を得た。氷浴を取り除き、室温に昇温して18時間撹拌した後、反応液をGC装置にて分析し、目的化合物である含フッ素ジニトロ化合物(B)が生成していることを同定した。次いで、水1000gに反応液を加えた後、pHが7になるように15%塩酸を加えた。分液ロートを用いて下層を分取し、ジイソプロピルエーテルを加えた。溶液を水1000gで2回、飽和食塩水1000gで1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え脱水した後、濾紙を用い無水硫酸マグネシウムを濾過にて除去した反応液をエバポレータで減圧濃縮した。得られた固形分を酢酸エチル100mLに溶解させ、ヘプタンを滴下して再結晶を実施し、含フッ素ジニトロ化合物(B)の白色粉末を114.9g(230mmol)、収率58.9%で得た。GC分析による純度は95.7%であった。NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(基準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl)σ(ppm):5.93(m,2H),7.42(s,1H),8.73(s,1H)。19F−NMR(基準物質:トリクロロフルオロメタン、溶媒:CDCl)σ(ppm):−73.6(s,12F)。
実施例1−4
[含フッ素ジニトロ化合物(C)の合成]
以下に示すジニトロ化合物(C)とHFIPの反応により、含フッ素ジニトロ化合物(C)を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および撹拌子を備えた容量1000mLの四口フラスコに、水酸化カリウム、24.8g(443mmol)、脱イオン水、148mLを仕込み、氷浴で冷却した。同様に冷却したHFIP、74.5g(443mmol)を滴下した後、ジニトロ化合物(C)(東京化成工業株式会社製、製品コード、C1036、CAS登録番号、392−95−0)、80.0g(296mmol)をTHF148mLに溶解させて滴下し、20分撹拌し、反応液を得た。氷浴を取り除き、室温に昇温して3時間撹拌した後、反応液をGC装置にて分析し、目的化合物である含フッ素ジニトロ化合物(C)が96.1%で生成していることを同定した。反応液をエバポレータで減圧濃縮し、水、1000gに反応液を加えた後、pHが7になるように15%塩酸を加えた。分液ロートを用いて下層を分取し、溶液を水1000gで2回、飽和食塩水1000gで1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え脱水した後、濾紙を用い無水硫酸マグネシウムを濾過にて除去した反応液をエバポレータで減圧濃縮した。得られた固体をジイソプロピルエーテル、100mLに溶解させ、ヘプタンを滴下して再結晶を実施し、含フッ素ジニトロ化合物(C)の黄白色粉末を77.6g(193mmol)、収率65.2%で得た。GC解析による純度は97.9%であった。NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(基準物質:テトラメチルシラン、溶媒:アセトン(以下、Acetone−d))σ(ppm):6.20(m,1H),8.95(s,1H),9.26(s,1H)。19F−NMR(基準物質:トリクロロフルオロメタン、溶媒:Acetone−d)σ(ppm):−60.4(s,3F),−71.6(s,6F)。
実施例1−5
[含フッ素ジニトロ化合物(D)の合成]
下記式で表されるジニトロ化合物(D)とHFIPの反応により、含フッ素ジニトロ化合物(D)を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および撹拌子を備えた容量1000mLの四口フラスコに、水酸化カリウム、33.0g(590mmol)、脱イオン水196mLを仕込み、氷浴で冷却した。同様に冷却したHFIP、99.1g(590mmol)を滴下した後、ジニトロ化合物(D)(東京化成工業株式会社製、製品コード、C0943、CAS登録番号、2578−45−2)、80.0g(393mmol)をTHF196mLに溶解させて滴下した。滴下後、氷浴を取り除き、室温に昇温して2時間撹拌し、反応液を得た。反応液をGC装置にて分析し、目的化合物である含フッ素ジニトロ化合物(D)が99.7%で生成していることを同定した。水1000gに反応液を加え後、分液ロートを用いて下層を分取し、溶液を水1000gで2回、飽和食塩水1000gで1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え脱水した、濾紙を用い無水硫酸マグネシウムを濾過にて除去した反応液をエバポレータで減圧濃縮した。得られた反応液に、ヘキサンを滴下して再結晶を実施し、含フッ素ジニトロ化合物(D)の黄白色粉末を79.7g(238mmol)、収率60.5%で得た。GC分析による純度は99.9%であった。NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(基準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl)σ(ppm):6.65(m,1H),9.22(d,1H, J=2.5Hz),9.31(d,1H,J=2.5Hz)。19F−NMR(基準物質:トリクロロフルオロメタン、溶媒:CDCl)σ(ppm):−73.2(d,6F,J=6.2Hz)。
実施例1−6
[含フッ素ジニトロ化合物(E)の合成]
以下に示すジニトロ化合物(E)とHFIPの反応により、含フッ素ジニトロ化合物(E)を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および撹拌子を備えた容量100mLの三口フラスコを窒素で置換し、水素化ナトリウム(60質量%オイルディスパージョン)、1.48g(37.1mmol)を加え、ヘキサン10mLで2回洗浄した。その後、THF10mLを仕込み、氷浴で冷却した。同様に冷却したHFIP、6.2g(37.1mmol)を滴下した後、ジニトロ化合物(E)(独国アルドリッチ社製、CAS登録番号51676−74−5)、5.4g(24.7mmol)をTHF15mLに溶解させて滴下し反応液を得た。氷浴を取り除き、室温に昇温して3時間撹拌した後、反応液をGCにて分析し目的化合物である含フッ素ジニトロ化合物(E)が生成していることを同定した。反応液に水100gを加えた後、分液ロートを用いて下層を分取し、エバポレータで減圧濃縮した。このようにして、含フッ素ジニトロ化合物(E)を10.09g(35.0mmol)、粗収率94%で得た。
参考例1−1
[ジニトロ化合物(F)の合成]
下記式で表されるジニトロ化合物(G)と1,1,1−トリフルオロエタノールの反応により、本発明の範疇にないジニトロ化合物(F)を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および撹拌子を備えた容量1000mLの四口フラスコに、水酸化カリウム、45.4g(810mmol)、脱イオン水270mL、THF270mLを仕込み、氷浴で冷却した。同様に冷却した1,1,1−トリフルオロエタノール80.6g(810mmol)を滴下した後、ジニトロ化合物(G)、67.0mL(540mmol)を滴下し、10分撹拌し反応液を得た。氷浴を取り除き、室温に昇温して3時間撹拌した後、反応液をGC装置にて分析し目的化合物であるジニトロ化合物(F)が92.1%で生成していることを同定した。水1000gに反応液を加えた後、pHが7になるように15%塩酸を加えた。分液ロートを用いて下層を分取し、水1000gで2回、飽和食塩水1000gで1回洗浄した。エバポレータで減圧濃縮し、得られた固形分をジイソプロピルエーテル100gとヘキサン100gで再結晶を実施し、ジニトロ化合物(F)の白色粉末を125.6g(472mmol)、収率87.4%で得た。GC分析による純度は96.8%であった。NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(基準物質:テトラメチルシラン、溶媒:重水素化クロロホルム(以下、CDCl))σ(ppm):4.66(m,2H),7.29(m,1H),8.50(m,1H),8.79(m,1H)。19F−NMR(基準物質:トリクロロフルオロメタン、溶媒:CDCl)σ(ppm):−73.9(s,3F)。
2.含フッ素ジアミン
実施例2−1
[含フッ素ジアミン(A)の合成]
以下に示すように、実施例1−1で得た含フッ素ジニトロ化合物(A)のパラジウム触媒を用いた接触還元法により、含フッ素ジアミン(A)を合成した。
Figure 2019059701
温度計、撹拌翼を備えた容量300mLのオートクレーブ内に、実施例2−1で得た含フッ素ジニトロ化合物(A)、60.0g(180mmol)、カーボンに10質量%濃度のパラジウムを担持させたパラジウムカーボン(約55%水湿潤品)9.6g、メタノール120mLを仕込み、密閉し窒素で置換した後に、圧力が0.9MPaとなるように水素を圧入した。次いで、オートクレーブを60℃に加温し、60℃に保った状態で41時間撹拌した。反応液をGC装置で分析したところ、目的化合物である含フッ素ジアミン(A)が99.9%生成していた。攪拌後の反応液より減圧濾過にてパラジウムカーボンを除去後ナスフラスコに移し、エバポレータで減圧濃縮した。濃縮して得られた固体をガラスチューブオーブンで温度130℃、1.2kPaの条件で精製し、含フッ素ジアミン(A)の白色粉末を34.6g(126mmol)、収率70.7%で得た。NMRの測定結果を以下に示す。含フッ素ジアミン(A)のGC分析による純度は96.6%であった。
H−NMR(基準物質:重水素化溶媒の残留プロトン、溶媒:重水素化ジメチルスルホキド(以下、DMSO−d))σ(ppm):6.65(m,2H),6.79(m,2H),6.93(dd,1H,J=2.9,8.8Hz),7.04(m,1H),7.09(d,1H,J=8.8Hz)。19F−NMR(基準物質:ヘキサフルオロベンゼン、溶媒:DMSO−d)σ(ppm):−74.8(s,6F)。
実施例2−2
[含フッ素ジアミン(B)の合成]
以下に示すように、実施例1−3で得た含フッ素ジニトロ化合物(B)のパラジウム触媒を用いた接触還元法により、含フッ素ジアミン(B)を合成した。
Figure 2019059701
温度計、撹拌翼を備えた容量300mLのオートクレーブ内に含フッ素ジニトロ化合物(B)、60.7g(121mmol)、10質量%濃度のパラジウムをカーボンに担持させたパラジウムカーボン(約55%水湿潤品)、6.46g、メタノール120mLを仕込み、密閉し窒素で置換した後に、圧力が0.9MPaとなるように水素を圧入した。次いで、オートクレーブを60℃に加温し、60℃に保った状態で24時間撹拌した。反応液をGC装置で分析したところ、目的化合物である含フッ素ジアミン(B)が94.6%で生成していることを確認した。攪拌後の溶液を減圧濾過でパラジウムカーボンを除去してナスフラスコに移し、エバポレータを使用して減圧濃縮した。濃縮して得られた固体はガラスチューブオーブンを使用して温度155℃、2.0kPaとなる条件で精製して、含フッ素ジアミン(B)の白色粉末を45.5g(103mmol)、収率85.4%で回収した。GC分析による純度は、96.6%であった。NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(基準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl)σ(ppm):3.68(s,4H),4.62(m,2H),6.15(s,1H),6.66(s,1H)。19F−NMR(基準物質:トリクロロフルオロメタン、溶媒:CDCl)σ(ppm):−73.8(d,12F,J=6.2Hz)。
参考例2−1
[含フッ素ジアミン(C)の合成]
以下に示すように、参考例1−1で得た含フッ素ジニトロ化合物(C)のパラジウム触媒を用いた接触還元法により、本発明の範疇にないジアミン(C)を合成した。
Figure 2019059701
温度計、撹拌翼を備えた容量300mLのオートクレーブ内に含フッ素ジニトロ化合物(F)、50.0g(188mmol)、10質量%濃度のパラジウムをカーボンに担持させたパラジウムカーボン(約55%水湿潤品)、2.0g、メタノール、94mLを仕込み、密閉した。窒素で置換した後に、圧力が0.7MPaとなるように水素を圧入した。オートクレーブを50℃に加温し、50℃に保った状態で44時間撹拌した。反応液をGC装置で分析したところ、目的化合物である含フッ素ジアミン(C)が99.8%で生成していた。攪拌後の反応液を減圧濾過でパラジウムカーボンを除去してナスフラスコに移し、エバポレータを使用して減圧濃縮した。濃縮して得られた固体は蒸留装置を使用して温度150℃、1.7kPaの条件で精製して、含フッ素ジアミン(C)の白色粉末を26.4g(128mmol)、収率68.0%で得た。GC分析による純度は、94.9%であった。NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(基準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl)σ(ppm):4.12(m,2H),5.96(dt,1H,J=2.5,8.6Hz),6.07(t,1H,J=2.5Hz),6.52(dd,1H,J=2.5,8.6Hz)。19F−NMR(基準物質:トリクロロフルオロメタン、溶媒:CDCl)σ(ppm):−74.8(t,3F,J=10.8Hz)。
3.含フッ素ポリアミック酸
実施例3−1
[含フッ素ポリアミック酸(A)の合成]
以下に示すように、実施例2−1で得た含フッ素ジアミン(A)と6FDAの重合反応により、以下に示す繰り返し単位を含む、含フッ素ポリアミック酸(A)(を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、含フッ素ジアミン(A)、19.19g(70mmol)、6FDA、31.10g(70mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと呼ぶことがある)、89gを加え、窒素雰囲気下、20℃で20時間攪拌して、含フッ素ポリアミック酸(A)を合成した。GPC装置で含フッ素ポリアミック酸(A)の分子量を測定したところ、含フッ素ポリアミック酸(A)の分子量は、Mw=86000、Mw/Mn=2.21であった。
実施例3−2
[含フッ素ポリアミック酸(B)の合成]
以下に示すように、実施例2−1で得た含フッ素ジアミン(A)とBPDAの重合反応により、以下に示す繰り返し単位を含む、含フッ素ポリアミック酸(B)を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、含フッ素ジアミン(A)、20.00g(73mmol)、BPDA、21.50g(73mmol)、DMAc、79gを加え、窒素雰囲気下、20℃で20時間攪拌して、含フッ素ポリアミック酸(B)を合成した。GPC装置で含フッ素ポリアミック酸(B)の分子量を測定したところ、含フッ素ポリアミック酸(B)の分子量は、Mw=42500、Mw/Mn=2.14であった。
実施例3−3
[含フッ素ポリアミック酸(C)の合成]
以下に示すように、実施例2−2で得た含フッ素ジアミン(B)と6FDAの重合反応により、以下に示す繰り返し単位を含む、含フッ素ポリアミック酸(C)を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、含フッ素ジアミン(B)、25.52g(58mmol)、6FDA、25.76g(58mmol)、DMAc、51gを加え、窒素雰囲気下、25℃で20時間攪拌して、含フッ素ポリアミック酸(C)を合成した。GPC装置で含フッ素ポリアミック酸(C)の分子量を測定したところ、含フッ素ポリアミック酸(C)の分子量は、Mw=50000、Mw/Mn=2.59であった。
参考例3−1
[含フッ素ポリアミック酸(D)の合成]
以下に示すように、比較例2−1で得た含フッ素ジアミン(C)と6FDAの重合反応により、以下に示す繰り返し単位を含む、本発明の範疇にない含フッ素ポリアミック酸(D)を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、含フッ素ジアミン(C)、115.82g(77mmol)、6FDA、34.08g(77mmol)、DMAc、89gを加え、窒素雰囲気下、20℃で20時間攪拌して、含フッ素ポリアミック酸(D)を合成した。GPC装置でポリアミック酸(D)の分子量を測定したところ、ポリアミック酸(D)の分子量は、Mw=56500、Mw/Mn=2.54であった。
比較例3−2
[含フッ素ポリアミック酸(EF)の合成]
下記式で表されるジアミン(D)と6FDAの重合反応により、以下に示す繰り返し単位を含む、本発明の範疇にない含フッ素ポリアミック酸化合物(E)を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、ジアミン(D)、12.5g(116mmol)、6FDA、51.5g(116mmol)、DMAc、190gを加え、窒素雰囲気下、20℃で20時間攪拌して、含フッ素ポリアミック酸(E)を合成した。GPC装置で含フッ素ポリアミック酸(E)の分子量を測定したところ、ポリアミック酸(E)の分子量は、Mw=123000、Mw/Mn=2.18であった。
参考例3−3
[ポリアミック酸(F)の合成]
下記式で表されるジアミン(D)とDADAの重合反応により、以下に示す繰り返し単位を含む、本発明の範疇にないポリアミック酸(F)を合成した。
Figure 2019059701
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、ジアミン(D)、12.5g(116mmol)、BPDA、34.01g(116mmol)、DMAc、83gを加え、窒素雰囲気下、20℃で20時間攪拌して、ポリアミック酸(F)を合成した。GPC装置でポリアミック酸(F)の分子量を測定したところ、ポリアミック酸(G)の分子量は、Mw=85500、Mw/Mn=5.12であった。
4.含フッ素ポリイミド
実施例4−1
[含フッ素ポリイミド(A)溶液の合成]
以下に示すように、実施例3−1で合成した含フッ素ポリアミック酸(A)のイミド化反応により、以下に示す繰り返し単位を含む、含フッ素ポリイミド(A)を合成した。
Figure 2019059701
含フッ素ポリアミック酸(A)のDMAc溶液全量にピリジン、16.61g(210mmol)、無水酢酸、44.9g(440mmol)を順に加えて3時間攪拌した後、加圧濾過することで含フッ素ポリイミド(A)を合成した。GPC装置で含フッ素ポリイミド(A)の分子量を測定したところ、含フッ素ポリイミド(A)の分子量は、Mw=95000、Mw/Mn=1.98であった。
[含フッ素ポリイミド(A)の膜の作製]
実施例2−1−1で合成した含フッ素ポリイミド(A)のジメチルアセトアミド(DMAc)溶液をガラス基材上に垂らし、スピンコーターを用いて、10秒かけて回転速度600rpmに上昇させた後、回転速度600rpmで10秒間保持し、含フッ素ポリイミド(A)のDMAc溶液を均一に塗布した。窒素雰囲気下、130℃で30分間乾燥して、溶媒を除去し、さらに200℃で2時間熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、含フッ素ポリイミド(A)の膜を得た。膜厚計で厚みを測定したところ、50μmであった。
実施例4−2
[含フッ素ポリイミド(B)溶液の合成]
以下に示すように、実施例3−2で合成した含フッ素ポリアミック酸(B)のイミド化反応により、以下に示す繰り返し単位を含む、含フッ素ポリイミド(B)を合成した。
Figure 2019059701
含フッ素ポリアミック酸(B)のDMAc溶液全量にピリジン、17.30g(219mmol)、無水酢酸、22.4g(219mmol)を順に加えて3時間攪拌した後、加圧濾過することで含フッ素ポリイミド(B)を合成した。GPC装置で含フッ素ポリイミド(B)の分子量を測定したところ、含フッ素ポリイミド(B)の分子量は、Mw=59840、Mw/Mn=2.17であった。
[含フッ素ポリイミド(B)の膜の作製]
実施例4−2−1で合成した含フッ素ポリイミド(B)のDMAc溶液をガラス基材上に垂らし、スピンコーターを用いて、10秒かけて回転速度800rpmに上昇させた後、回転速度800rpmで10秒間保持し、含フッ素ポリイミド(B)のDMAc溶液を均一に塗布した。窒素雰囲気下、130℃で30分間乾燥して、溶媒を除去し、さらに200℃で2時間熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、含フッ素ポリイミド(B)の膜を得た。膜厚計で厚みを測定したところ、62μmであった。
実施例4−3
[含フッ素ポリイミド(C)溶液の合成]
実施例3−4で合成した含フッ素ポリアミック酸(C)のイミド化反応により、以下に示す繰り返し単位を含む、含フッ素ポリイミド(C)を合成した。
Figure 2019059701
含フッ素ポリアミック酸(C)のDMAc溶液全量にピリジン、13.76g(174mmol)、無水酢酸、17.77g(174mmol)を順に加えて3時間攪拌した後、加圧濾過することで、含フッ素ポリイミド(C)を合成した。GPC装置で含フッ素ポリイミド(C)の分子量を測定したところ、含フッ素ポリイミド(C)の分子量は、Mw=57500、Mw/Mn=2.79であった。
[含フッ素ポリイミド(C)の膜の作製]
実施例4−4−1で合成した含フッ素ポリイミド(C)のDMAc溶液をガラス基材上に垂らし、スピンコーターを用いて、10秒かけて回転速度300rpmに上昇させた後、回転速度300rpmで10秒間保持し、含フッ素ポリイミド(C)のDMAc溶液を均一に塗布した。窒素雰囲気下、130℃で30分間乾燥して、溶媒を除去し、さらに200℃で2時間熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、含フッ素ポリイミド(C)の膜を得た。膜厚計で厚みを測定したところ、57μmであった。
参考例4−1
[含フッ素ポリイミド(D)溶液の合成]
下記式で表される含フッ素ポリアミック酸(D)のイミド化反応により、以下に示す繰り返し単位を含む、本発明の範疇にない含フッ素ポリイミド(D)を合成した。
Figure 2019059701
参考例3−1の合成で得られた含フッ素ポリアミック酸(E)のDMAc溶液全量にピリジン、18.20g(230mmol)、無水酢酸、23.5g(230mmol)を順に加えて3時間攪拌した後、加圧濾過することで、含フッ素ポリイミド(D)を合成した。GPC装置で含フッ素ポリイミド(D)の分子量を測定したところ、含フッ素ポリイミド(D)の分子量は、Mw=65400、Mw/Mn=2.50であった。
[含フッ素ポリイミド(D)の膜の作製]
参考例4−1で合成した含フッ素ポリイミド(D)のDMAc溶液をガラス基材上に垂らし、スピンコーターを用いて、10秒かけて回転速度300rpmに上昇させた後、回転速度300rpmで10秒間保持し、含フッ素ポリイミド(D)のDMAc溶液を均一に塗布した。窒素雰囲気下、130℃で30分間乾燥して、溶媒を除去し、さらに200℃で2時間熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、含フッ素ポリイミ(D)の膜を得た。膜厚計で厚みを測定したところ、57μmであった。
参考例4−2
[含フッ素ポリイミド(E)溶液の合成]
以下に示すように、参考例3−2の合成で得られた含フッ素ポリアミック酸(E)のイミド化反応により、以下に示す繰り返し単位を含む、本発明の範疇にない含フッ素ポリイミド(E)を合成した。
Figure 2019059701
含フッ素ポリアミック酸(E)のDMAc溶液全量にピリジン、27.5g(348mmol)、無水酢酸、348g(348mmol)を順に加えて3時間攪拌した後、加圧濾過することで、含フッ素ポリイミF)を合成した。GPC装置で含フッ素ポリイミド(F)の分子量を測定したところ、含フッ素ポリイミド(E)の分子量は、Mw=142500、Mw/Mn=2.10であった。
[含フッ素ポリイミド(E)の膜の作製]
ポリイミド化合物(E)のDMAc溶液をガラス基材上に垂らし、スピンコーターを用いて、10秒かけて回転速度300rpmに上昇させた後、回転速度300rpmで10秒間保持し、ポリイミド化合物(E)のDMAc溶液を均一に塗布した。窒素雰囲気下、130℃で30分間乾燥して、溶媒を除去し、さらに200℃で2時間熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、含フッ素ポリイミド(E)の膜を得た。膜厚計で厚みを測定したところ、50μmであった。
参考例4−3
[ポリイミド(F)溶液の合成]
参考例3−3で合成したポリアミック酸(F)のイミド化反応により、以下に示す繰り返し単位を含む、本発明の範疇にないポリイミド(F)を合成した。
Figure 2019059701
ポリアミック酸(F)のDMAc溶液全量にピリジン、27.5g(348mmol)、無水酢酸、348g(348mmol)を順に加えて攪拌すると、固形物が析出したため、ポリイミド(F)は得られなかった。
5.含フッ素ポリイミドの物性評価
5−1.含フッ素ポリイミド
表1に、物性評価を行った、本発明の範疇に属する含フッ素ポリイミド(A)〜(C)および本発明の範囲にないポリイミド(D)〜(E)ポリイミドを示す。
Figure 2019059701
実施例4−1のポリイミド(A)、実施例4−2のポリイミド(B)、原料のジアミンが含フッ素ジアミン(A)で同一であるが、原料のテトラカルボン酸二無水物が異なる。
実施例4−3のポリイミド(C)は、実施例4−1のポリイミド(A)と原料のテトラカルボン酸二無水物が6FDAで同一であるが、原料のジアミンのヘキサフルオロイソプロピルエーテル基の数が異なる。
参考例4−1のポリイミド(D)は、実施例4−1のポリイミド(A)と原料のテトラカルボン酸二無水物が6FDAで同一であるが、原料のジアミンがヘキサフルオロイソプロピルエーテル基ではないフッ素官能基(トリフルオロエチルエーテル)を有している。
参考例4−2のポリイミド(EF)は、実施例4−1のポリイミド(A)と原料のテトラカルボン酸二無水物が6FDAで同一であるが、原料のジアミンがフッ素官能基を有していない。
5−2.含フッ素ポリイミドの物性評価
表2に、本発明の範疇に属する、含フッ素ポリイミド(A)〜(C)および本発明の範囲にないポリイミド(D)〜(E)の耐熱性(Td、Tg、CTE)、機械特性(引張応力、破断伸度、弾性率)、比誘電率の測定結果を示す。
Figure 2019059701
[耐熱性(Tg)]
実施例4−1のポリイミド(A)は、参考例4−1のトリフルオロエチルエーテルを有するポリイミド(D)や参考例4−2のフルオロエーテル基を有さないポリイミド(E)よりも高いTgを示した。
実施例4−2のポリイミド(B)、実施例4−3のポリイミド(C)も、参考例4−1のポリイミド(D)と参考例4−2のポリイミド(E)よりも高いTgを示した。
参考例4−1〜4−2の直鎖状フルオロエーテル基のあるポリイミド(D)、(E)は、Tgが低い。
表2中の、実施例4−1〜4−3と参考例4−1〜4−2を比べると、ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基に由来する分枝鎖状フルオロエーテル基のポリイミドへの導入は、ポリイミドのTgを高める効果があると確認された。
本効果は、以下に示す、式[10]で表される繰り返し単位を含む、含フッ素ポリイミドにおいて、Aが単環もしくは多環の芳香環または複素環を有する有機基であり、Rが水素原子(−0−CH(CF基である場合)、メチル基(−O−C(CH)(CF基)、またはトリフルオロメチル基(−O−C(CF基)、であり、aが1〜4の整数である場合(前述の基の数が1〜4個である場合)も、同様にポリイミドのTgを高める効果がある。
Figure 2019059701
[機械特性(引張応力、破断伸度、弾性率)]
実施例4−1〜4−3、参考例4−1〜4−2を比べて、引張応力、弾性率の性能は同等の値であった。
実施例4−1〜4−3は、参考例4−1〜4−2に比べて、破断伸度が高い値を示した。

Claims (12)

  1. 式[1]で表される、含フッ素ジアミン。
    Figure 2019059701
    (式中、Aは単環もしくは多環の芳香環または複素環を有する有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF基、−NH基は、それぞれ独立に、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)
  2. 式[2]で表される、請求項1に記載の含フッ素ジアミン。
    Figure 2019059701
    (式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、bは1または2の整数である。式中に示された芳香環は、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
  3. 式[3]で表される、請求項1に記載の含フッ素ジアミン。
    Figure 2019059701
    (式中、Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基であり、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、c、dは、それぞれ独立に、1または2の整数である。cが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。cが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。dが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。dが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
  4. 式[4]で表される含フッ素ジニトロ化合物。
    Figure 2019059701
    (式中、Aは単環もしくは多環の芳香族または複素環を有する有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF基、−NO基は、それぞれ独立に、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)
  5. 式[5]で表される、請求項4に記載の含フッ素ジニトロ化合物。
    Figure 2019059701
    (式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、bは1または2の整数である。式中に示された芳香環は、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
  6. 式[6]で表される、請求項4に記載の含フッ素ジニトロ化合物。
    Figure 2019059701
    (式中、Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基であり、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、c、dは、それぞれ独立に1または2の整数である。cが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。cが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。dが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。dが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
  7. 式[7]で表される繰り返し単位を含む含フッ素ポリアミック酸。
    Figure 2019059701
    (式中、Aは単環もしくは多環の芳香環または複素環を有する有機基であり、Gは4価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF基、−NH基は、それぞれ独立に、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)
  8. 式[8]で表される繰り返し単位を含む、請求項7に記載の含フッ素ポリアミック酸。
    Figure 2019059701
    (式中、Gは4価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、bは、1または2の整数である。式中に示された芳香環は、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
  9. 式[9]で表される繰り返し単位を含む、請求項7に記載の含フッ素ポリアミック酸。
    Figure 2019059701
    (式中、Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基であり、Gは4価の有機基であり、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、c、dは、それぞれ独立に、1または2の整数である。cが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。cが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。dが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。dが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
  10. 式[10]で表される繰り返し単位を含む、含フッ素ポリイミド。
    Figure 2019059701
    (式中、Aは単環もしくは多環の芳香環または複素環を有する有機基であり、Gは4価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、aは1〜4の整数である。−OC(CF基、>N−基は、それぞれ独立に、A中の主鎖を構成する、互いに同一もしくは異なる芳香環または複素環を構成する炭素原子に結合する。)
  11. 式[11]で表される繰り返し単位を含む、請求項10に記載の含フッ素ポリイミド。
    Figure 2019059701
    (式中、Gは4価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、bは1または2の整数である。式中に示された芳香環は、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
  12. 式[12]で表される繰り返し単位を含む、請求項10に記載の含フッ素ポリイミド。
    Figure 2019059701
    (式中、Eは単結合、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、フェニレン基、エーテル基、スルフィド基またはスルホニル基であり、Gは4価の有機機である、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、c、dは、それぞれ独立に、1または2の整数である。cが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。cが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。dが1であるとき、Rは前記のいずれかの基である。dが2であるとき、2つのRは、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。式中に示された芳香環は、それぞれ独立に、環を構成する1〜3個の炭素原子が窒素原子に置換されていてもよく、環を構成する炭素原子に結合する任意の水素原子は、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはニトリル基に置換されていてもよい。)
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