JP2014122326A - フェノール性水酸基含有ポリアミド、及びその熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

フェノール性水酸基含有ポリアミド、及びその熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

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豪 阪口
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Abstract

【課題】
ポリアミド本来の特徴である耐熱性や耐薬品性を低下させることなく、汎用の有機溶剤に可溶で、かつ耐加水分解性、柔軟性に優れたフェノール性水酸基含有ポリアミドを提供することであり、さらには、粘着剤、接着剤、分散剤、コーティング剤などに使用した場合に、加工性、接着性、耐熱性、耐湿熱性、電気絶縁性、屈曲性を向上することができるという点で好適に使用されるフェノール性水酸基含有ポリアミドを含む熱硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
フェノール性水酸基と炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基で表される構造とを有することを特徴とする、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)によって解決され、さらには、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)と、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応しうる化合物(B)とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶剤可溶性、耐加水分解性、柔軟性に優れたフェノール性水酸基含有ポリアミドに関するものであり、特に、粘着剤、接着剤、分散剤、コーティング剤などに使用した場合に、加工性、接着性、耐熱性、耐湿熱性、電気絶縁性、屈曲性を向上することができる、フェノール性水酸基含有ポリアミドを含む熱硬化性樹脂組成物に関するものである。
ポリアミドは、機械的特性、電気的特性、耐薬品性、成型加工性、半田耐熱性などに優れることを利用して自動車部品又は電気・電子部品などの各種分野において、エンジニアリングプラスチックとして幅広く利用されている。例えば、ナイロン6、ナイロン66などに代表される結晶性ポリアミドは、その優れた機械的特性と成型加工性から、衣料用、産業資材用繊維として広く用いられている。
しかしながら、汎用ポリアミドはアミド結合濃度が高いため、アミド結合由来の吸水性の高さによる、物性変化や酸、高温のアルコール、熱水中での劣化、酸化劣化などの問題点が指摘されることや、アミド結合由来の高凝集力による、汎用溶剤への溶解性の悪さが指摘されており、より耐薬品性や耐加水分解性、溶剤可溶性に優れたポリアミドの要求が高まっている。
このようなポリアミドへの高い要求に応えるため、各種樹脂との複合化やブレンドを始めとする検討が行われてきたが、ポリアミドの構造制御についても数多くの検討が報告されている。
例えば、ダイマー酸とポリアミンとの反応によって得られるポリアミドにポリカルボン酸無水物を混合してなる改質されたポリアミドが開示されている。(特許文献1)
これは、ダイマー酸ベースのポリアミドであるため汎用溶剤への溶解性や柔軟性に優れるという利点があり、また、ポリアミドと相溶化するポリカルボン酸無水物を併用することで異種基材への接着力が向上する利点がある。しかし、高温多湿条件下での耐性という点で問題がある。
また、ジカルボン酸成分としてシュウ酸を用いるポリアミド(ポリオキサミド)が開示されている。(特許文献2)
これは、同じアミド結合濃度のポリアミドと比較して、融点が高いこと、吸水率が低いために、吸水による物性変化を抑制できる点では優れているが、汎用溶剤への溶解性という点で問題がある。
また、ポリアミドーポリエーテルコポリマーが開示されている。(特許文献3、4)
これは、ダイマー酸や分子量が比較的高いポリエーテルジアミンを積極的に用いることでアミド結合濃度が低くなるため、汎用溶剤への溶解性や柔軟性という点では優れている。しかし、この樹脂を熱硬化性樹脂組成物として利用した場合、架橋点が樹脂の末端のみであるため、プレス等で熱硬化する際にはみ出しが多く発生するという加工性の悪さが問題であった。
また、カルボン酸末端ポリアミドとエポキシ化合物を反応させてなるエポキシ末端ポリアミドが開示されている(特許文献5、6)。
これは、エポキシ樹脂との相溶性が良いエポキシ末端ポリアミドを用いるため、硬化後の架橋密度が上がるという利点があるが、カルボン酸末端ポリアミドからエポキシ末端ポリアミドを合成する際に耐湿熱性に劣るエステル結合が組み込まれてしまうため、高温加湿時の絶縁信頼性が著しく劣るという問題があった。
また、エポキシ末端ポリアミドと、酸無水物化合物とを反応させて得られる変性ポリアミドが開示されている。(特許文献7)
これも、側鎖にカルボン酸を導入するために硬化後の架橋密度が上がるという利点があるが、カルボン酸末端ポリアミドからエポキシ末端ポリアミドを合成する際に耐湿熱性に劣るエステル結合が組み込まれてしまうため、高温加湿時の絶縁信頼性が著しく劣るという問題があった。
また、本発明と同様に、炭素数36の多塩基酸を必須成分として含むポリアミドと、エポキシ樹脂、及びフェノール樹脂からなる接着剤組成物が開示されている(特許文献8、9、10、11、12)。
これらは、炭素数36の多塩基酸をポリアミドの原料に用いることで、吸水率が小さくなり絶縁信頼性を向上させることができたが、架橋点が樹脂の末端のみであるため、プレス等で熱硬化する際にはみ出しが多く発生するという加工性の悪さが問題であった。
また、特許文献8、9、10、11、12の課題を解決する樹脂として、本発明と同様に、樹脂中にフェノール性水酸基を導入したポリエステルアミドを含むことを特徴とする接着剤組成物が開示されている(特許文献13)。
これは、樹脂の側鎖に架橋点となるフェノール性水酸基を有するため、熱硬化する際の加工性と半田耐熱性に優れる。しかしながら、炭化水素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を樹脂中に有さないためにアミド結合濃度及びエステル結合濃度が高くなり、吸水率が高いことによる高温加湿時の絶縁信頼性や耐薬品性など、一般的な電気回路基板の絶縁材料としての基本特性には問題があった。
また、同じく樹脂中にフェノール性水酸基を導入したゴム変性ポリアミドが開示されている(特許文献14)。
これは、ブタジエン骨格を導入しているため、汎用溶剤への可溶性や柔軟性という観点では非常に優れているものの、ブタジエン骨格特有の酸化により、分子内架橋によってゲル化したり、組成物としての保存安定性が著しく低下したりするという問題があった。
また、シロキサン構造を含むシロキサン変性ポリアミドイミドを有する熱硬化性樹脂組成物が開示されている(特許文献15)。
この系ではシロキサン樹脂特有の屈曲性と優れた耐熱性とを有するものの、シロキサン骨格自体が、銅やポリイミドといった極性基材への密着性に乏しいたため、充分な接着強度が得られないという問題や、末端にしか架橋点を有さないことからプレス等で熱硬化する際にはみ出しが多く発生するという加工性の悪さがあった。また、他の成分との相溶性が著しく悪いために、組成物設計の自由度に乏しく、組成物としても塗膜の耐性が不充分である等の問題があった。このように従来技術で得られるポリアミドでは全ての特性を充分に満足させるものは得られていない。
特開平8−3444号公報 特許第4487687号 特許第4358103号 特許第5255597号 特開平11−228932号公報 特開平5―295342号公報 特許第3989026号 特許第3560064号 特許第3804260号 特許第3407335号 特開平6−322348号公報 特開平10−183076号公報 特許第4645170号 特許第4996473号 特開2007−13113号公報
本発明は、ポリアミド本来の特徴である耐熱性や耐薬品性を低下させることなく、汎用の有機溶剤に可溶で、かつ耐加水分解性、柔軟性に優れたフェノール性水酸基含有ポリアミドを提供することを目的とし、さらには、粘着剤、接着剤、分散剤、コーティング剤などに使用した場合に、加工性、接着性、耐熱性、耐湿熱性、電気絶縁性、屈曲性を向上することができるという点で好適に使用されるフェノール性水酸基含有ポリアミドを含む熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、特定のフェノール性水酸基含有ポリアミドが前記問題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)と、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応しうる化合物(B)とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物であって、
フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)が、下記一般式(1)の構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリアミド(A−1)であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物に関する。
一般式(1)
Figure 2014122326




[一般式(1)中、
は、多塩基酸化合物残基である2価の連結基であり、
は、ポリアミン化合物残基である2価の連結基であり、
、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、フェノール性水酸基を有し、且つ、
、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、炭化水素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する。
また、mは1以上の整数を表す。]
また、本発明は、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)と、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応しうる化合物(B)とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物であって、
フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)が下記一般式(2)の構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリアミドエステル(A−2)であることを特徴とする熱硬化性組成物に関する。
一般式(2)
Figure 2014122326



[一般式(2)中、
、及びRは、多塩基酸化合物残基である2価の連結基であり、
は、ポリアミン化合物残基である2価の連結基であり、
、R、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、フェノール性水酸基を有し、且つ、
、R、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、炭化水素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する。
また、Rは、ポリオール化合物残基である2価の連結基であり、
m、nはそれぞれ1以上の整数を表す。]
また本発明は、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応しうる化合物(B)が、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、ブロックイソシアネート基含有化合物、、アジリジン化合物、カルボジイミド基含有化合物、ベンゾオキサジン化合物、フェノール樹脂、マレイミド化合物、β―ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物、及び金属キレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記熱硬化性樹脂組成物に関する。
また本発明は、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のフェノール性水酸基価が、1〜80mgKOH/gであることを特徴とする上記熱硬化性樹脂組成物に関する。
また本発明は、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のガラス転移温度が、−40〜80℃である上記熱硬化性樹脂組成物に関する。
また本発明は、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)が有機溶剤に可溶である上記熱硬化性樹脂組成物に関する。
さらに本発明は、下記一般式(1)の構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリアミド(A−1)に関する。
一般式(1)
Figure 2014122326


[一般式(1)中、
は、多塩基酸化合物残基である2価の連結基であり、
は、ポリアミン化合物残基である2価の連結基であり、
、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、フェノール性水酸基を有し、且つ、
、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、炭化水素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する。
また、mは1以上の整数を表す。]
さらに本発明は、下記一般式(2)の構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリアミドエステル(A−2)に関する。

一般式(2)
Figure 2014122326

[一般式(2)中、
、及びRは、多塩基酸化合物残基である2価の連結基であり、
は、ポリアミン化合物残基である2価の連結基であり、
、R、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、フェノール性水酸基を有し、且つ、
、R、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、炭化水素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する。
また、Rは、ポリオール化合物残基である2価の連結基であり、
m、nはそれぞれ1以上の整数を表す。]
さらに本発明は、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のフェノール性水酸基価が、1〜80mgKOH/gであることを特徴とする上記フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)に関する。
さらに本発明は、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のガラス転移温度が、−40〜80℃である上記フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)に関する。
さらに本発明は、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)が有機溶剤に可溶である上記フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)に関する。
くわえて本発明は、上記熱硬化性樹脂組成物を加熱により硬化させて得られる硬化物に関する。
くわえて本発明は、基材上に、上記硬化物からなる層を有することを特徴とするプリント配線板に関する。
本発明により、ポリアミド本来の特徴である耐熱性や耐薬品性を低下させることなく、汎用の有機溶剤に可溶で、かつ耐加水分解性、柔軟性に優れたフェノール性水酸基含有ポリアミドを提供することができた。さらには、粘着剤、接着剤、分散剤、コーティング剤などに使用した場合に、加工性、接着性、耐熱性、耐湿熱性、電気絶縁性、屈曲性を向上することができるという点で好適に使用されるフェノール性水酸基含有ポリアミドを含む熱硬化性樹脂組成物を提供することができた。
本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)は、下記一般式(1)の構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリアミド(A−1))または下記一般式(2)の構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリアミドエステル(A−2)であり、フェノール性水酸基含有ポリアミドエステル(A−2)は、末端にカルボン酸を有するフェノール性水酸基含有ポリアミド(A−1)とポリオール化合物とを反応させることにより得ることができる。
一般式(1)
Figure 2014122326





一般式(2)
Figure 2014122326






本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)は、フェノール性水酸基と炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基で表される構造とを有することを特徴とするポリアミドであり、この設計により、ポリアミド本来の特徴である耐熱性や耐薬品性を低下させることなく、汎用の有機溶剤に可溶で、かつ耐加水分解性、柔軟性に優れたフェノール性水酸基含有ポリアミドを提供することができる。より具体的には、プリント配線板をはじめとする電子材料周辺に用いられる接着剤およびコーティング剤として非常に重要となる物性、例えば、熱プレス時の加工性、銅やポリイミド基材に対する接着性、半田リフロー時の耐熱性、プリント配線板を折りたたむ際の屈曲性、そして狭ピッチ配線回路のリークタッチを防ぐ電気絶縁性を著しく改善することができる。
これは、ポリアミドの原料として、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物を用いることで、ポリアミドの側鎖に架橋点となる官能基を導入することができるため、熱硬化した後の架橋密度が上がり、熱プレス時の加工性と半田リフロー時の耐熱性を付与できるからである。また、ポリアミドの原料として炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物を用いることで、吸水率の高いアミド結合の濃度を低くすることや炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基特有の柔軟屈曲性を付与することができるため、絶縁信頼性や銅やポリイミドとへの密着性を向上できるからである。
たとえば、ポリアミドの原料として、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物を用いずに、炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物を用いた場合、一般的には、アミド結合濃度の低下や柔軟屈曲性の付与により、絶縁信頼性や基材密着性の優れたポリアミドが得られるものの、架橋点が主鎖末端にしかないため、架橋点間距離が長くなり、高温加湿のような厳しい条件では絶縁信頼性が悪くなり、更には耐熱性においても、高温の半田リフロー試験や加湿状態での半田試験といった、より高度な耐熱性が満足できない。
また、ポリアミドの原料として、炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物を用いずに、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物を用いた場合、架橋密度を向上することができるため、より高度な耐熱性や熱プレス時の加工性を付与することができるものの、アミド結合濃度が高くなりすぎてしまい、熱硬化性組成物とした際の溶解性が悪化し基材への埋め込み性も悪くなるため十分な密着性を付与することができない。
一方、本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)は、ポリアミドの原料としてフェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物、及び、炭素数20〜48の二量化脂肪酸から誘導される多塩基酸化合物またはポリアミン化合物を必須成分として用いることにより、熱プレス時の加工性の向上に加え、接着性と耐熱性の両立、屈曲性と電気絶縁性の両立という二律背反を解決できるのである。
また、本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミドは、共重合成分として、上記化合物以外の多塩基酸化合物やポリアミン化合物を適宜使用してもよい。これらの化合物は、加工性や接着性、耐熱性、屈曲性、電気絶縁性を目的に応じて向上させたい場合に、適宜用いることができる。
具体的には、3官能以上のカルボン酸化合物またはアミン化合物を使用した場合、分岐構造の導入により、樹脂層の凝集力が増大し、その結果、加工性、接着性、耐熱性、屈曲性、電気絶縁性に悪影響を与えずに、特に加工性や耐熱性を向上させることができる。
以下、本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)及び、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)を含む熱硬化性樹脂組成物について詳細に説明する。
<フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)>
まず、本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)を得るための必須成分である、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物、及び、炭素数20〜48の多塩基酸化合物またはポリアミン化合物について説明する。
<フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物>
[フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物]
本発明で用いられるフェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物としては、
ヒドロキシイソフタル酸、ジヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸、ジヒドロキシテレフタル酸などが挙げられる。なかでも、共重合性、入手の容易さなどの点から、ヒドロキシイソフタル酸が好ましい。
[フェノール性水酸基を有するポリアミン化合物]
また、フェノール性水酸基を有するポリアミン化合物としては、下記一般式(3)で表されるポリアミンが挙げられる。
一般式(3)
Figure 2014122326
式中R1は、単結合、又は、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、またはハロゲンからなる基を示し、例えば、炭素数1〜30の2価の炭化水素基、又は、ハロゲン原子によって水素の一部若しくは全部が置換されている炭素数1〜30の2価の炭化水素基、−(C=O)−、―SO−、−O−、−S−、―NH−(C=O)−、―(C=O)−O−、下記一般式(4)で表される基、及び下記一般式(5)で表される基が挙げられる。式中、nは1〜20の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。
一般式(4)
Figure 2014122326



一般式(5)
Figure 2014122326
上記Rは、得られるフェノール性水酸基含有ポリアミドの溶解性と耐熱性を向上させるという観点から、−C(CF−、及び−C(CH−が好ましい。
<炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物>
[炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する多塩基酸化合物]
本発明で用いられる炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する多塩基酸化合物としては、詳しくは、炭素数10〜24の二重結合あるいは三重結合を1個以上有する一塩基性不飽和脂肪酸をディールス−アルダー反応させて得た多塩基酸化合物を挙げることができる。より詳しくは、具体例として、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸、菜種油脂肪酸等の天然の脂肪酸及びこれらを精製したオレイン酸、リノール酸、エルカ酸等を原料に用いてディールス−アルダー反応させて得た多塩基酸化合物が用いられる。
前記多塩基酸化合物は、通常ダイマー酸(二量体化脂肪酸)を主成分とし、他に、原料の脂肪酸や三量体化以上の脂肪酸の混合物として得られるものである。中でも、ダイマー酸(二量体化脂肪酸)含有量が70重量%以上、好ましくは95重量%以上であり、かつ、水素添加(水添反応)して不飽和度を下げたものが、耐酸化性(特に高温域における着色)の観点から特に好適に用いられる。
前記多塩基酸化合物は公知の反応によって得ることができるが、市販品を用いることもできる。市販品の例としては例えば、クローダジャパン株式会社製の「プリポール1006」「プリポール1009」「プリポール1013」「プリポール1015」「プリポール1017」「プリポール1022」「プリポール1025」「プリポール1040」や、コグニスジャパン株式会社製の「エンポール1008」「エンポール1012」「エンポール1016」「エンポール1026」「エンポール1028」「エンポール1043」「エンポール1061」「エンポール1062」などが挙げられる。
[炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有するポリアミン化合物]
また、炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有するポリアミン化合物としては、上記炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する多塩基酸化合物のカルボシキル基をアミノ基に転化した化合物が挙げられ、市販品の例としては例えば、クローダジャパン株式会社製の「プリアミン1071」「プリアミン1073」「プリアミン1074」「プリアミン1075」や、コグニスジャパン株式会社製の「バーサミン551」などが挙げられる。
続いて、本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミドエステル(A−2)を得るための必須成分である、ポリオール化合物について説明する。
[ポリオール化合物]
本発明で用いるポリオール化合物としては、2個以上の水酸基を有した化合物であればよく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、3−ブチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール,トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、ダイマージオール、水素添加ビスフェノールA、スピログリコール等の脂肪族あるいは脂環族ジオール類
1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,およびp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、1,2−インダンジオール、1,3−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,7−ナフタレンジオール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等の芳香族ジオール類等を挙げることができる。その他、リン原子含有ジオール、硫黄原子含有ジオール、臭素原子含有ジオールなどが挙げられる。
また、その構造中に重合度2以上の繰り返し単位を有するものも使用することができ、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、およびポリシロキサンポリオール類などが挙げられる。
続いて、本発明で上記化合物以外で、任意に用いることができる、その他の多塩基酸化合物およびポリアミン化合物について説明する。
<その他の多塩基酸化合物またはポリアミン化合物>
[その他の多塩基酸化合物]
フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物および炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する多塩基酸化合物以外の多塩基酸化合物としては、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、キシリレンジカルボン酸、ベンゼンジプロピオン酸、ビフェニル多塩基酸、オキシジ安息香酸、チオジ安息香酸、ジチオジ安息香酸、ジチオビス(ニトロ安息香酸)、カルボニルジ安息香酸、スルホニルジ安息香酸、ナフタレンジカルボン酸、メチレンジ安息香酸、イソプロピリデンジ安息香酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジ安息香酸、ピリジン多塩基酸などの芳香族多塩基酸、
シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、マレイン酸、フマル酸、りんご酸、酒石酸、(メタ)アクリロイルオキシコハク酸、ジ(メタ)アクリロイルオキシコハク酸、(メタ)アクリロイルオキシりんご酸、(メタ)アクリルアミドコハク酸、(メタ)アクリルアミドりんご酸、チオりんご酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ジグリコール酸などの脂肪族多塩基酸、
1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族多塩基酸
などが挙げられる。
これらの多塩基酸化合物は単独で使用してもよいし、複数を併用して用いてもよい。なかでも、キシリレンジカルボン酸や1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は屈曲性を保持したまま、より耐熱性に優れる強靭なポリアミドが得られるという点から好適に用いることができる。
[その他のアミン化合物]
次に、フェノール性水酸基を有するポリアミン化合物および炭素数20〜48のポリアミン化合物以外のポリアミン化合物としては、
ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジアミノジメチルベンゼン、ジアミノメシチレン、ジアミノクロロベンゼン、ジアミノニトロベンゼン、ジアミノアゾベンゼン、ジアミノナフタレン、ジアミノビフェニル、ジアミノジメトキシビフェニル、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジメチルジフェニルエーテル、メチレンジアニリン、メチレンビス(メチルアニリン)、メチレンビス(ジメチルアニリン)、メチレンビス(メトキシアニリン)、メチレンビス(ジメトキシアニリン)、メチレンビス(エチルアニリン)、メチレンビス(ジエチルアニリン)、メチレンビス(エトキシアニリン)、メチレンビス(ジエトキシアニリン)、メチレンビス(ジブロモアニリン)、イソプロピリデンジアニリン、ヘキサフルオロイソプロピリデンジアニリン、、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジメチルベンゾフェノン、ジアミノアントラキノン、ジアミノジフェニルチオエーテル、ジアミノジメチルジフェニルチオエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルスルホキシドや、ジアミノフルオレンなどの芳香族ポリアミン、
エチレンポリアミン、プロパンポリアミン、ヒドロキシプロパンポリアミン、ブタンポリアミン、ヘプタンポリアミン、ヘキサンポリアミン、ジアミノジエチルアミン、ジアミノジプロピルアミン、アザペンタンポリアミンや、トリアザウンデカンポリアミン、ノナメチレンポリアミン、ウンデカメチレンポリアミン、ドデカメチレンポリアミン、メチルペンタメチレンポリアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンポリアミン
などの脂肪族ポリアミン
ビス−(4,4′−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンポリアミン、パラキシリレンポリアミン、イソホロンポリアミン、ノルボルナンポリアミン、シクロペンタンポリアミン、シクロヘキサンポリアミン、ピペラジン、ホモピペラジンなどの脂環族ポリアミン
などが挙げられる。
これらのポリアミン化合物は単独で使用してもよいし、複数を併用して用いてもよい。なかでも、イソホロンポリアミンやノルボルナンポリアミンは可撓性を保持したまま、より耐熱性に優れる強靭なポリアミドが得られるという点から好適に用いることができる。
さらに、3官能以上の多塩基酸化合物としては、トリメリット酸、水添トリメリット酸、ピロメリット酸、水添ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、などが挙げられる。また、3官能以上のポリアミン化合物としては、トリアミノベンゼン、トリアミノビフェニル、トリアミノジフェニルエーテル、などが挙げられる。
これらの3官能以上の多塩基酸化合物やポリアミン化合物は本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)を高分子量化するときに好適に使用することができ、これらは単独で使用してもよいし、複数を併用して用いてもよい。なかでも、トリメリット酸や水添トリメリット酸は、樹脂層の凝集力が増大し加工性と耐熱性が向上するという点から好適に用いることができる。
上記で記載した、多塩基酸化合物は、遊離多塩基酸であってもエステル誘導体、例えば多塩基酸メチルエステルであってもよい。ポリアミド合成の際に、遊離多塩基酸の場合は脱水反応、エステル誘導体の場合は対応する脱アルコール反応となるという違いが生じるだけである。
<フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のスペック>
続いて、本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のスペック(フェノール性水酸基価、重量平均分子量、ガラス転移温度)について説明する。
本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)は、ポリアミドの側鎖にフェノール性水酸基を含んでいれば、末端がカルボキシル基であってもアミノ基であってもよい。ポリアミドの側鎖に含まれるフェノール性水酸基の量は、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応しうる化合物(B)の種類及び量によって適宜調整することができる。
[フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のフェノール性水酸基価]
具体的には、本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のフェノール性水酸基価は、1〜80mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは5〜60mgKOH/gである。フェノール性水酸基価が1mgKOH/g未満では硬化性基として機能するフェノール性水酸基が少なく、硬化後の塗膜に充分な耐性を付与することができない場合がある。また、フェノール性水酸基価が80mgKOH/gを超えると塗膜の硬度が高くなり、充分な接着性や屈曲性が得られない場合がある。また、フェノール性水酸基価が1〜80mgKOH/gの範囲内において、1mgKOH/gに近い範囲で設計する場合、得られる塗膜の接着性や屈曲性が向上し、一方、80mgKOH/gに近い範囲で設計する場合、架橋点が多くなることから、最終的に得られる塗膜の耐熱性が向上する。このように、本発明においてフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のフェノール性水酸基価は、1〜80mgKOH/gの範囲内で目的に応じて調整することが可能である。
上記フェノール性水酸基価は、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物またはフェノール性水酸基を有するポリアミン化合物の配合量によって調整可能である。例えば、多塩基酸化合物として、5−ヒドロキシイソフタル酸を用い、ポリアミン化合物としてダイマージアミンを用いて反応させれば、最終的に得られるフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のフェノール性水酸基価を80mgKOH/gに近くすることができ、硬化塗膜の耐熱性をより一層向上することができる。
[フェノール性水酸基有ポリアミド(A)のガラス転移温温度]
本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のガラス転移温度は、−40℃〜80℃であることが好ましく、より好ましくは、−30℃〜60℃である。フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のガラス転移温度を−40℃〜80℃の範囲に調整することで、熱プレス時のはみ出しを抑制することができ、さらには基材に対する良好な埋め込み性が可能となり、接着性をより一層向上することができる。
ガラス転移温度の調整は、炭素数20〜48の多塩基酸化合物またはポリアミン化合物の比率を適宜設定することによって可能となる。例えば、炭素数20〜48の多塩基酸化合物またはポリアミン化合物の配合比率を高くすることにより、吸水率の高いアミド結合の濃度を低くすることや二量化脂肪酸特有の柔軟屈曲性を付与することができるため、ガラス転移温度は−40℃に近い範囲で調整することができる。
[フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)の有機溶剤可溶性]
本発明において有機溶剤に可溶であるとは、芳香族炭化水素系、アルコール系およびケトン系等の汎用の混合溶剤に対して、25℃において、溶解度5重量%以上であることをいう。本発明で使用できる有機溶剤としては、特に限定されないが、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、シクロロメタンなどが挙げられる。これらは、1種または2種以上を併用して用いることができる。
中でも、例えば、接着シートや接着テープなどの塗加工製品を最終用途とする場合、ドライフィルム作成工程において、溶剤をすばやく乾燥させる必要があるため、低沸点の溶剤を用いることが好ましい。一方又、液状のインキを最終用途とする場合、インキ作成工程において、フィラーや顔料等をロールで混錬する過程や、インキとしての保存安定性を考慮すると、極力溶剤の揮発を抑制する必要があるため、高沸点の溶剤を用いることが好ましい。この場合の高沸点溶剤としては、カルビトールアセテート、メトキシプロピルアセテート、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
本発明において、これらの溶剤は、必要に応じて一種のみを単独で用いても良いし、複数を併用しても良く、又、反応過程で脱溶剤を行ったり、脱溶剤後、新たに別の溶剤を添加したりしても良い。フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)を取り扱う際の濃度は、通常5〜80重量%、好ましくは生産効率性の観点から10〜50重量%である。
続いて、本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)の合成方法について説明する。
<フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)の合成>
本発明に用いるフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)の重合条件は特に限定されるものではなく、溶融重合、界面重合、溶液重合、塊状重合、固相重合、およびこれらの方法を組み合わせた公知の条件を利用することができる。一般に工業的には、触媒存在下あるいは非存在下において150〜300℃で1〜24時間程度の反応を行う。脱水あるいは脱アルコール反応を促進し、高温による着色、分解反応を避けるために、180〜270℃で大気圧以下の減圧下で反応を行うのが好ましい。
フェノール性水酸基含有ポリアミド(A−1)を合成する場合には、例えば、窒素充填したフラスコに、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物、炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物、イオン交換水を所定量仕込み、20〜100℃で加熱・撹拌することで均一溶解した後、230度まで徐々に昇温する。その後、15mmHgまで減圧し1時間保持することでフェノール性水酸基含有ポリアミド(A−1)を得ることができる。
フェノール性水酸基含有ポリアミドエステル(A−2)を合成する場合には、例えば、多塩基酸化合物の総モル比をポリアミン化合物の総モル数より多い割合で反応させて得られる末端カルボン酸のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A−1)を合成した後、ポリオール化合物及びエステル化触媒を添加し、再び230℃まで徐々に昇温し、その後、1〜2mmHgまで減圧し3時間保持することでフェノール性水酸基含有ポリアミドエステル(A−2)を得ることができる。
フェノール性水酸基含有ポリアミド(A−1)およびフェノール性水酸基含有ポリアミドエステル(A−2)を得るにあたり、使用されうる触媒の具体例としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物や、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリ−o−トリル、亜リン酸ジ−o−トリル、亜リン酸トリ−m−トリル、亜リン酸ジ−m−トリル、亜リン酸トリ−p−トリル、亜リン酸ジ−p−トリルや、亜リン酸トリ−p−クロロフェニルなどの亜リン酸エステル。テトラブチルオルソチタネート、テトライソプロピルオルソチタネートなどのチタン系触媒、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、モノブチルヒドロキシスズオキシドなどのスズ系触媒、テトラブトキシジルコニウム、酢酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウムなどのジルコニウム系触媒などが挙げられる。
これらは2種類以上を混合して用いることもできる。また、これらの触媒がフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)中に含有されていても本発明を実施する上で差し支えない。
また、副生物は使用した触媒の分解物、分解物の酸化物又はそれらの変性物や、オリゴマー等のアミド化合物等の副生物等の無機塩類の触媒であるが、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)に含有されていても差し支えない。
<フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応しうる化合物(B)>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)と、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応しうる化合物(B)とを含むものである。ここで、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応しうる化合物(B)〔以下、単に「化合物(B)」とも表記する。〕について説明する。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上述したフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)の硬化剤として、化合物(B)を使用することを特徴とする。
[エポキシ基含有化合物]
本発明において(B)として用いるエポキシ基含有化合物としては、エポキシ基を分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではないが、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有するものを好ましく用いることができる。エポキシ基有化合物としては、例えば、グリジシルエーテル型エポキシ樹脂、グリジシルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、又は環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を用いることができる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、又はテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、又はテトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、又はジグリシジルテトラヒドロフタレート等が挙げられる。
環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシシクロヘキシルメチル−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、又はビス(エポキシシクロヘキシル)アジペートなどが挙げられる。
エポキシ基含有化合物としては、前記化合物の一種を単独で、若しくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有化合物としては、高接着性及び耐熱性の点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、又はテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンを用いることが好ましい。
[イソシアネート化合物]
本発明において(B)として用いるイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。1分子中にイソシアネート基を1個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、n−ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]エチルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
また、1,6−ジイソシアナトヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、ジイソシアン酸4,4’−ジフェニルメタン、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸トルエン、2,4−ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4−メチル−m−フェニレン、ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のジイソシアン酸エステル化合物と水酸基、カルボキシル基、アミド基含有ビニルモノマーとを等モルで反応せしめた化合物もイソシアン酸エステル化合物として使用することができる。
1分子中にイソシアネート基を2個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、
1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート
トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート
ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート
3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート[別名:イソホロンジイソシアネート]、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート
が挙げられる。
また、1分子中にイソシアネート基を3個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、芳香族ポリイソシアネート、リジントリイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられ、前記で説明したジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体が挙げられる。
[ブロック化イソシアネート化合物]
本発明において化合物(B)として用いるブロック化イソシアネート化合物しては、前記イソシアネート基含有化合物中のイソシアネート基がε−カプロラクタムやMEKオキシム等で保護されたブロック化イソシアネート基含有化合物であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、前記イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基を、ε−カプロラクタム、MEKオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、フェノール等でブロックしたものなどが挙げられる。特に、イソシアヌレート環を有し、MEKオキシムやピラゾールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート三量体は、本発明に使用した場合、保存安定性は勿論のこと、ポリイミドや銅に対する接着強度や半田耐熱性に優れるため、非常に好ましい。
[アジリジン化合物]
本発明におけるアジリジン化合物としては、分子内にアジリジン基を含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。
アジリジン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1、3、5−トリアジン、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)ブチレート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−(2−メチル)アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)−2−メチルプロピオネート]、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラ[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ジフェニルメタン−4,4−ビス−N,N’−エチレンウレア、1,6−ヘキサメチレンビス−N,N’−エチレンウレア、2,4,6−(トリエチレンイミノ)−Syn−トリアジン、ビス[1−(2−エチル)アジリジニル]ベンゼン−1,3−カルボン酸アミド等が挙げられる。
特に、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]は、本発明に使用した場合、熱プレス時のはみ出しを抑制でき、かつ硬化塗膜の柔軟性を保持したまま耐熱性を向上できるため、本発明において好ましく用いられる。
[カルボジイミド基含有化合物]
カルボジイミド基含有化合物としては、日清紡績株式会社のカルボジライトシリーズが挙げられる。その中でもカルボジライトV−01、03、05、07、09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
[ベンゾオキサジン化合物]
ベンゾオキサジン化合物としては、Macromolecules,36,6010(2003)記載の「P−a」、「P−alp」、「P−ala」、「B−ala」、Macromolecules,34,7257(2001)記載の「P−appe」、「B−appe」、四国化成株式会社製「B−a型ベンゾオキサジン」、「F−a型ベンゾオキサジン」、「B−m型ベンゾオキサジン」などが挙げられる。
[フェノール樹脂]
フェノール樹脂としては、フェノール、クレゾール類、およびビスフェノール類等の化合物とホルムアルデヒドとの付加化合物、またはその部分縮合物が挙げられる。具体的には、フェノール樹脂、クレゾール樹脂、t−ブチルフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンクレゾール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、テトラキスフェノール樹脂、ビスフェノールA樹脂、ポリ−p−ビニルフェノール樹脂のレゾール型樹脂やノボラック型樹脂が挙げられる。その他、ナフトール系化合物、トリスフェノール系化合物、フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。中でも、フェノール樹脂のレゾール型樹脂は、耐熱性および硬化性の面で非常に優れており、本発明において好適に用いることができる。
[マレイミド化合物]
マレイミド化合物としては、分子中にマレイミド基を少なくとも1個有しているもので、例えば、フェニルマレイミド、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−s−ブチル−3,4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス[1−(4−マレイミドフェノキシ)フェノキシ]−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどがあり、単独でも2種類以上を混合して使用しても良い。
[β−ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物]
β−ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラキス(ヒドロキシエチル)アジパミド(エムスケミー社製Primid XL-552)をはじめとする種々の化合物を挙げることができる。
[金属キレート]
金属キレートとしては、金属アルコキシドとβ-ジケトンやケトエステル(アセト酢酸エチル等)等のキレート化剤と反応したキレート化合物を挙げることができ、アルミニウムキレート、ジルコニウムキレート、チタンキレート等を挙げることができる。
本発明において、化合物(B)は、一種のみを単独で用いてもよいし、複数を併用しても良い。化合物(B)の使用量は、本発明の硬化性樹脂組成物の用途等を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)100重量部に対して、0.5重量部〜100重量部の割合で加えることが好ましく、1重量部〜80重量部の割合で加えることがより好ましい。化合物(B)を使用することにより、本発明の硬化性樹脂組成物の架橋密度を適度な値に調節することができるので、硬化後の塗膜の各種物性をより一層向上させることができる。化合物(B)の使用量が0.5重量部に近いと、加熱硬化後の塗膜の架橋密度が高くなりすぎることを抑えることができ、所望の屈曲性や接着性を発揮することができる。また、該使用量が100重量部に近いと、加熱硬化後の架橋密度を一層高くすることができ、その結果、塗膜の耐熱性、電気絶縁性、耐フラックスなどの塗膜耐性を向上することができる。
<その他添加剤>
この他、本発明の熱硬化性樹脂組成物には目的を損なわない範囲で任意成分とて更に、染料、顔料、難燃剤、酸化防止剤、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、イオン捕集剤、保湿剤、粘度調整剤、防腐剤、抗菌剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、電磁波シールド剤、フィラー等を添加することができる。特に電子材料用途で回路に直接接するような絶縁部材(例えば回路保護膜、カバーレイ層、層間絶縁材料など)や、回路周辺の高熱となりうる部材(プリント配線板接着剤、支持基板など)に使用する場合は、難燃剤を併用するのが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)、化合物(B)及び必要により上記任意成分を混合することにより得られる。
<硬化物>
本発明の硬化物は、剥離基材の少なくとも片面に、従来公知の方法、例えば、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ロールコート、カーテンコート、バーコート、グラビア印刷、フレキソ印刷、ディップコート、スプレーコート、スピンコート等で熱硬化性樹脂組成物を塗布後、通常40〜150℃で乾燥することにより製造される。また、接着剤層の乾燥膜厚は、十分な接着性、ハンダ耐熱性を発揮させる為、また取り扱い易さの点から、5μm〜500μmであることが好ましく、更に好ましくは10μm〜100μmである。
<プリント配線板>
また、次に熱硬化性樹脂組成物を用いたプリント配線板の製造方法について説明する。ポリエステルやポリイミド等の可とう性、絶縁性のあるプラスチックフィルム上に、導体パターンをプリント技術によって形成したフレキシブルプリント配線板の導体パターンを覆うように本発明の熱硬化性樹脂組成物を重ね、加熱・加圧することによって、熱硬化性樹脂組成物を硬化させ、保護層を設けたフレキシブルプリント配線板を得ることができる。
導電性回路を設ける方法としては、例えば、接着剤層を介して又は介さずにベースフィルム上に銅箔を設けてなるフレキシブル銅張板の銅箔上に感光性エッチングレジスト層を形成し、回路パターンを持つマスクフィルムを通して露光させて、露光部のみを硬化させ、次いで未露光部の銅箔をエッチングにより除去した後、残っているレジスト層を剥離するなどして、銅箔から導電性回路を形成することができる。あるいは、ベースフィルム上にスパッタリングやメッキ等の手段で必要な回路のみを設けたものであってもよい。
また、複数のフレキシブルプリント配線の間に、本発明の熱硬化性樹脂組成物から剥離性基材を剥がしてなる硬化性接着剤層を挟み、加熱・加圧することによって、熱硬化性樹脂組成物を硬化させ、多層フレキシブルプリント配線板を得ることもできる。本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて、銅箔と耐熱性絶縁性フレキシブル基材とを積層することもできる。
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて、本発明の補強板付きフレキシブルプリント配線板を得ることもできる。補強板付きフレキシブルプリント配線板は、フレキシブルプリント配線板とガラスエポキシ、金属、ポリイミド等の補強板との間に、本発明の熱硬化性樹脂組成物から剥離性基材を剥がしてなる硬化性接着剤層を挟み、加熱・加圧することによって、熱硬化性樹脂組成物を硬化させ、フレキシブルプリント配線板に補強板を付けたものである。
本発明により、加工性、接着性、耐熱性、屈曲性、電気絶縁性、耐湿熱性、耐フラックス性に優れ、とりわけ接着性と耐熱性の両立、屈曲性と電気絶縁性の両立という点で非常に優れたフェノール性水酸基含有ポリアミドおよび熱硬化性樹脂組成物が得られた。これらは、プリント配線板をはじめとする電子材料周辺に用いられる接着剤および接着シート、コーティング剤、回路被覆用ソルダーレジスト、カバーレイフィルム、電磁波シールド用接着剤、メッキレジスト、プリント配線板用層間電気絶縁材料、光導波路等に好適に用いることができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、特に、接着剤組成物に好適に用いられる。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表し、Mwは重量平均分子量、Tgはガラス転移温度を意味する。
<フェノール性水酸基価の測定方法>
フェノール性水酸基価は、フェノール性水酸基含有ポリアミド1g中に含まれるフェノール性水酸基の量を、フェノール性水酸基をアセチル化させたときにフェノール性水酸基と結合した酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)で表したものである。フェノール性水酸基価は、JIS K0070に準じて測定した。本発明において、末端カルボン酸のフェノール性水酸基含有ポリアミドのフェノール性水酸基価を算出する場合には、下記式に示す通り、酸価を考慮して計算する。

<フェノール性水酸基価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.05}/S]+D
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)

<酸価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。酸価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<重量平均分子量(Mw)の測定方法>
Mwの測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「LF−604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で行い、重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
<ガラス転移温度の測定方法>
溶剤を乾燥除去したポリアミド(A)で、メトラー・トレド(株)製「DSC−1」を使用し、−80〜150℃まで2℃/分で昇温して測定した。
<ポリアミドの合成>
[合成例1]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、多塩基酸化合物としてプリポール1009を156.2g、5−ヒドロキシイソフタル酸を5.5g、ポリアミン化合物としてプリアミン1074を146.4g、イオン交換水を100g仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分後とに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。、温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で、1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、重量平均分子量24000、酸価13.2KOHmg/g、フェノール性水酸基価5.5KOHmg/g、ガラス転移温度―32℃のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)を得た。
[合成例2〜20]
合成例1と同様の方法で、表1の組成および仕込み重量部に従って合成を行い、炭化水素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)を得た。その特性値を表1に示す。
<ポリアミドエステルの合成>
[合成例21]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、多塩基酸化合物としてプリポール1009を136.71g、5−ヒドロキシイソフタル酸を10.93g、ポリアミン化合物としてIPDAを40.86g、イオン交換水を100g仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分後とに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。、温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で、1時間保持し、温度を低下させた。
内温が150℃まで低下したところに、さらにPTMG650を31.51g、テトラブチルオルソチタネートを0.19g添加し、再度230℃まで昇温し、約2kPaの真空下で、1時間保持し、さらに約1kPaの真空下で、2〜3時間反応させ、最後に、酸化防止剤を添加し、重量平均分子量79000、酸価1.4KOHmg/g、フェノール性水酸基価8.9KOHmg/g、ガラス転移温度−4℃のフェノール性水酸基含有ポリアミドエステル(A)を得た。
[合成例22〜25]
合成例21と同様の方法で、表1の組成および仕込み重量部に従って合成を行い、炭化水素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する、フェノール性水酸基含有ポリアミドエステル(A−2)を得た。その特性値を表1に示す。
[比較合成例1〜5]
合成例1と同様の方法で、表1の組成および仕込み重量部に従って合成を行った。比較合成例1〜3はフェノール性水酸基を有さないポリアミドであり、比較合成例4と5は、炭化水素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有さない、フェノール性水酸基含有ポリアミドである。その特性値を表1に示す。
Figure 2014122326
プリポール1009:クローダジャパン株式会社製、ダイマー酸
5−HIPA:5―ヒドロキシイソフタル酸
プリアミン1074:クローダジャパン株式会社製、ダイマージアミン
HAB:4,4’−ジアミノー3,3’―ジヒドロキシビフェニル
D230:三井化学ファイン株式会社製、ポリオキシアルキレンジアミン
NBDA:ノルボルナンジアミン
ASD:4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド
IPDA:イソホロンジアミン
PTMG650:保土ヶ谷化学製、ポリテトラメチレングリコール
プリポール2033:クローダジャパン株式会社製、ダイマージオール
C590:クラレ株式会社製、ポリカーボネートポリオール

[実施例1]
合成例1で得られたフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)をトルエン/IPA=50/50(重量比)の混合溶剤で固形分30%になるように溶解した。この溶液を樹脂分換算で(以下樹脂分換算で示す)100部、化合物(B)として、テトラキスフェノール型エポキシ化合物「1031s」(三菱化学社製)20部、を配合し、トルエン/IPA=50/50の混合溶剤で固形分濃度が25%になるように混合溶解して熱硬化性樹脂組成物を調整した。この熱硬化性樹脂組成物を剥離処理されたポリエステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が30μmとなるように均一に塗工して乾燥させ、接着剤層を設けた。次に、剥離処理された別のポリエステルフィルムを接着剤層側にラミネートし、両面保護フィルム付きの接着シートを得た。
[実施例2〜50]
実施例1と同様の方法で、表2に示した組成で熱硬化性樹脂組成物を得た以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
[比較例1〜10]
実施例1のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)溶液を、比較合成例1〜5で得られた樹脂溶液にそれぞれ代えた以外は、実施例1と同様にして、表2に示した組成で両面保護フィルムつきの接着シートを作成した。
Figure 2014122326


1031s:三菱化学株式会社製、テトラキスフェノール型エポキシ化合物
T1890:エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製、IPDI系ポリイソシアヌレート型変性ポリイソシアネート
BL3175:住化バイエルウレタン株式会社製、イソシアヌレート型ブロックイソシアネート
ケミタイトPZ:株式会社日本触媒製、多官能アジリジン化合物
V−07:日清紡株式会社製、ポリカルボジイミド化合物
B−a:四国化成株式会社製、ベンゾオキサジン化合物
TD−2131:DIC株式会社製、フェノールノボラック樹脂
BMI−2300:大和化成工業株式会社製、ポリフェニルメタンマレイミド化合物
XL-552:エムスケミー・ジャパン株式会社製、βーヒドロキシアルキルアミド化合物
ALCH:川研ファインケミカル株式会社製、Alキレート化合物
実施例および比較例で得られた接着シートについて、加工性、接着性、耐熱性、耐湿熱性、電気絶縁性、屈曲性を以下の方法で評価した。
<評価>
(1)加工性
保護フィルムを除去した、65mm×65mmの大きさの接着シートを、厚さが75μmのポリイミドフィルム[東レ・デュポン(株)製「カプトン300H」]の間に挟み、80℃でラミネートし、続いて160℃、1.0MPaの条件で30分圧着処理を行った。さらに、この試験片を160℃で2時間熱硬化させ、評価用試験片を作成した。この試験片について、圧着処理前と熱硬化後との接着剤層の面積の差を測定し、これをはみ出し面積として加工性を評価した。この加工性は、圧着処理時に接着層が熱によって軟化し、回路基板の位置ズレや配線間の接触を引き起こす度合いを評価するものであり、結果を次の基準で判断した。
◎・・・「はみ出し面積 ≦ 100mm
○・・・「100mm < はみ出し面積 ≦ 250mm
△・・・「250mm < はみ出し面積 ≦ 500mm
×・・・「500mm < はみ出し面積」
(2)接着性
加工性の評価で作成した試験片を幅10mm、長さ65mmに切り出し、23℃相対湿度50%の雰囲気下で、引っ張り速度300mm/minでTピール剥離試験を行い、接着強度(N/cm)を測定した。この試験は、常温使用時における接着層の接着強度を評価するものであり、結果を次の基準で判断した。
◎・・・「12(N/cm) < 接着強度」
○・・・「8(N/cm) < 接着強度 ≦ 12(N/cm)」
△・・・「5(N/cm) < 接着強度 ≦ 8(N/cm)」
×・・・「接着強度 ≦ 8(N/cm)」
(3) 耐熱性
上記(2)と同様に、幅10mm、長さ65mmに切り出した試験片を、250℃の溶融半田に、ポリイミドフィルム面を接触させて1分間浮かべた。その後、試験片の外観を目視で観察し、接着剤層の発泡、浮き、剥がれ等の接着異常の有無を評価した。この試験は、半田接触時における接着層の熱安定性を、外観で評価するものであり、耐熱性の良好なものは、半田処理の前後で外観が変化しないのに対して、耐熱性の悪いものは、半田処理後に発泡や剥がれが発生する。これらの評価結果を次の基準で判断した。
◎・・・「外観変化無し」
○・・・「小さな発泡がわずかに観察される」
△・・・「発泡が観察される」
×・・・「激しい発泡や剥がれが観察される」
(4) 耐湿熱性
上記(2)と同様に、幅10mm、長さ65mmに切り出した試験片を、40℃、相対湿度90%の雰囲気で72時間放置して加湿させた後、250℃の溶融半田に、ポリイミドフィルム面を接触させて1分間浮かべた。その後、試験片の外観を目視で観察し、接着剤層の発泡、浮き、剥がれ等の接着異常の有無を評価した。この試験は、加湿させた状態での半田接触時における接着層の熱安定性を、外観で評価するものであり、耐湿熱性の良好なものは、外観が変化しないのに対して、耐湿熱性の悪いものは、半田処理後に発泡や剥がれが発生する。これらの評価結果を次の基準で判断した。
◎・・・「外観変化全く無し」
○・・・「外観変化ほとんど無し」
△・・・「発泡が観察される」
×・・・「激しい発泡や剥がれが観察される」
(5)電気絶縁性
保護フィルムを除去した、65mm×65mmの大きさの接着シートを、厚さが25μmのポリイミドフィルム[東レ・デュポン(株)製「カプトン100H」]とポリイミド上に銅回路が形成された櫛型パターン(導体パターン幅/スペース幅=50μm/50μm)印刷回路基板との間に挟み、80℃でラミネートし、続いて160℃、1.0MPaの条件で30分圧着処理を行った。さらに、この試験片を160℃で2時間熱硬化させ、評価用試験片を作成した。この試験片の導体回路に、温度130℃、相対湿度85%の雰囲気下で直流電圧50Vを連続的に100時間加え、100時間後の導体間の絶縁抵抗値を測定した。評価基準は以下の通りである。
◎・・・絶縁抵抗値10Ω以上
○・・・絶縁抵抗値10以上10Ω未満
△・・・絶縁抵抗値10以上10Ω未満
×・・・絶縁抵抗値10Ω未満
(6)屈曲性
熱硬化性樹脂組成物を、厚さが75μmのポリイミドフィルム[東レ・デュポン(株)製「カプトン300H」]上に、乾燥後の膜厚が30μmになるように均一に塗工して乾燥させ、さらに、この試験片を160℃で2時間熱硬化させ、評価用試験片を作成した。評価用試験片を、硬化塗膜面を外側にして180度折り曲げ、その時の塗膜の状態を、次の基準で評価した。
○・・・膜面にクラック(ひび割れ)が見られない
△・・・膜面にわずかにクラックが見られる
×・・・膜が割れ、膜面にはっきりとクラックが見られる
評価の結果を下記表3に示す。
Figure 2014122326

表3について、実施例と比較例をみてわかるとおり、比較例1〜3,6〜8に用いたポリアミドは、ポリアミド中にフェノール性水酸基を有していないため、加工性、電気絶縁性が著しく悪化した。また、比較例4,5,9,10に用いたポリアミドは、炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基で表される構造を有していないため、接着性、屈曲性が著しく悪化した。
一方、実施例に用いたポリアミドは、フェノール性水酸基と炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基で表される構造を有しているため、全ての物性においてバランスよく良好な結果が得られ、特に比較例で二律背反の関係にあった電気絶縁性と接着性を両立することができた。これは、本発明の特徴である、ポリアミドの側鎖に架橋点となるフェノール性水酸基を導入したため、熱硬化した後の架橋密度が上がり、熱プレス時の加工性と半田リフロー時の耐熱性を付与できるからである。また、ポリアミドの原料として炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する多塩基酸化合物またはポリアミン化合物を用いたことで、吸水率の高いアミド結合の濃度を低くすることや炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基特有の柔軟屈曲性を付与することができたことが大きく影響していると考えられる。







Claims (13)

  1. フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)と、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応しうる化合物(B)とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物であって、
    フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)が、下記一般式(1)の構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリアミド(A−1)であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
    一般式(1)
    Figure 2014122326
    [一般式(1)中、
    は、多塩基酸化合物残基である2価の連結基であり、
    は、ポリアミン化合物残基である2価の連結基であり、
    、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、フェノール性水酸基を有し、且つ、
    、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、炭化水素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する。
    また、mは1以上の整数を表す。]
  2. フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)と、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応しうる化合物(B)とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物であって、
    フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)が下記一般式(2)の構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリアミドエステル(A−2)であることを特徴とする熱硬化性組成物。
    一般式(2)
    Figure 2014122326

    [一般式(2)中、
    、及びRは、多塩基酸化合物残基である2価の連結基であり、
    は、ポリアミン化合物残基である2価の連結基であり、
    、R、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、フェノール性水酸基を有し、且つ、
    、R、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、炭化水素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する。
    また、Rは、ポリオール化合物残基である2価の連結基であり、
    m、nはそれぞれ1以上の整数を表す。]
  3. フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応しうる化合物(B)が、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、ブロックイソシアネート基含有化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド基含有化合物、ベンゾオキサジン化合物、フェノール樹脂、マレイミド化合物、β―ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物、及び金属キレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のフェノール性水酸基価が、1〜80mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のガラス転移温度が、−40〜80℃である請求項1〜4いずれか記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)が有機溶剤に可溶である請求項1〜5いずれか記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 下記一般式(1)の構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリアミド(A−1)。
    一般式(1)
    Figure 2014122326


    [一般式(1)中、
    は、多塩基酸化合物残基である2価の連結基であり、
    は、ポリアミン化合物残基である2価の連結基であり、
    、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、フェノール性水酸基を有し、且つ、
    、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、炭化水素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する。
    また、mは1以上の整数を表す。]
  8. 下記一般式(2)の構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリアミドエステル(A−2)。

    一般式(2)
    Figure 2014122326

    [一般式(2)中、
    、及びRは、多塩基酸化合物残基である2価の連結基であり、
    は、ポリアミン化合物残基である2価の連結基であり、
    、R、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、フェノール性水酸基を有し、且つ、
    、R、及びRの少なくとも1つのうち一部の共重合成分が、炭化水素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する。
    また、Rは、ポリオール化合物残基である2価の連結基であり、
    m、nはそれぞれ1以上の整数を表す。]
  9. フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のフェノール性水酸基価が、1〜80mgKOH/gであることを特徴とする請求項7または8記載のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)。
  10. フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のガラス転移温度が、−40〜80℃である請求項7〜9いずれか記載のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)。
  11. フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)が有機溶剤に可溶である請求項7〜10いずれか記載のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)。
  12. 請求項1〜6いずれか記載の熱硬化性樹脂組成物を加熱により硬化させて得られる硬化物。
  13. 基材上に、請求項12記載の硬化物からなる層を有することを特徴とするプリント配線板。





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