JP2014120494A - ウエーハの加工方法 - Google Patents

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栄 松崎
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Abstract

【課題】個々のデバイスの裏面に樹脂フィルムをデバイスの品質を低下させることなく装着することができるウエーハの加工方法を提供する。
【解決手段】デバイス22が形成されたウエーハ2を個々のデバイス22に分割するとともに、各デバイス22の裏面に樹脂フィルムを装着するウエーハ2の加工方法であって、デバイス22の仕上がり厚さに相当する深さの分割溝210を形成する工程と、表面に保護部材を貼着する工程と、裏面を研削して分割溝210を表出させ、個々のデバイス22に分割する工程と、ウエーハ2の裏面に樹脂フィルム6を装着するとともに樹脂フィルム6側を環状のフレームに装着されたダイシングテープTによって支持せしめる工程と、保護部材を剥離する工程と、樹脂フィルム6をエッチングするエッチングガスをプラズマ化してウエーハ2の表面側から分割溝210に侵入させ、樹脂フィルム6をエッチング除去するエッチング工程とを含む。
【選択図】図8

Description

本発明は、表面に格子状に形成されたストリートによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハをストリートに沿って個々のデバイスに分割するとともに、各デバイスの裏面にダイボンディング用の接着フィルム(DAF)等の樹脂フィルムを装着するウエーハの加工方法に関する。
例えば、半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に形成された分割予定ライン(ストリート)によって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイスを形成し、該デバイスが形成された各領域をストリートに沿って分割することにより個々の半導体デバイスを製造している。半導体ウエーハを分割する分割装置としては一般に切削装置が用いられており、この切削装置は厚さが20μm程度の切削ブレードによって半導体ウエーハをストリートに沿って切削する。このようにして分割された半導体デバイスは、パッケージングされて携帯電話やパソコン等の電気機器に広く利用されている。
個々に分割された半導体デバイスは、その裏面にポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等で形成された厚さ10〜30μmのダイアタッチフィルム(DAF)と呼ばれるダイボンディング用の接着フィルムが装着され、この接着フィルムを介して半導体デバイスを支持するダイボンディングフレームに加熱することによりボンディングされる。また、シリコン基板からなる半導体ウエーハ内に存在する微量の金属不純物の移動を抑制するために、半導体ウエーハの裏面にダイバックサイドフィルム(DSF)と呼ばれる樹脂フィルムを装着する場合がある。半導体デバイスの裏面にダイアタッチフィルム(DAF)やダイバックサイドフィルム(DSF)と呼ばれる樹脂フィルムを装着する方法としては、半導体ウエーハの裏面に樹脂フィルムを貼着し、この樹脂フィルムを介して半導体ウエーハをダイシングテープに貼着した後、半導体ウエーハの表面に形成されたストリートに沿って切削ブレードにより接着フィルムと共に切断することにより、裏面に樹脂フィルムが装着された半導体デバイスを形成している。
しかるに、上述した樹脂フィルムを装着する方法によると、切削ブレードにより半導体ウエーハとともに樹脂フィルムを切断して個々の半導体デバイスに分割する際に、半導体デバイスの裏面に欠けが生じたり、樹脂フィルムに髭状のバリが発生してワイヤボンディングの際に断線の原因になるという問題がある。
近年、携帯電話やパソコン等の電気機器はより軽量化、小型化が求められており、より薄い半導体デバイスが要求されている。より薄く半導体デバイスを分割する技術として所謂先ダイシング法と呼ばれる分割技術が実用化されている。この先ダイシング法は、半導体ウエーハの表面からストリートに沿って所定の深さ(半導体デバイスの仕上がり厚さに相当する深さ)の分割溝を形成し、その後、半導体ウエーハの表面に保護テープを貼着して半導体ウエーハの裏面を研削することにより裏面に分割溝を表出させ個々の半導体デバイスに分割する技術であり、半導体デバイスの厚さを50μm以下に加工することが可能である。
しかるに、先ダイシング法によって半導体ウエーハを個々の半導体デバイスに分割する場合には、半導体ウエーハの表面からストリートに沿って所定の深さの分割溝を形成した後に半導体ウエーハの表面に保護テープを貼着して裏面を研削して該裏面に分割溝を表出させるので、ダイアタッチフィルム(DAF)やダイバックサイドフィルム(DSF)等の樹脂フィルムを前もって半導体ウエーハの裏面に装着することができない。従って、先ダイシング法によって半導体デバイスを支持するダイボンディングフレームにボンディングする際には、半導体デバイスとダイボンディングフレームとの間にボンド剤を挿入しながら行わなければならず、ボンディング作業を円滑に実施することができないという問題がある。
このような問題を解消するために、先ダイシング法によって個々の半導体デバイスに分割されたウエーハの裏面にダイアタッチフィルム(DAF)やダイバックサイドフィルム(DSF)等の樹脂フィルムを装着し、この樹脂フィルムを介して半導体デバイスをダイシングテープに貼着した後、各半導体デバイス間の間隙に露出された該樹脂フィルムの部分に、半導体デバイスの表面側から上記間隙を通してレーザー光線を照射し、樹脂フィルムの上記間隙に露出された部分を溶断するようにした半導体デバイスの製造方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
特開2002−118081号公報
しかるに、レーザー光線を照射することによって溶断されたダイアタッチフィルム(DAF)やダイバックサイドフィルム(DSF)等の樹脂フィルムはデバイスの外周からはみ出し、このデバイスの外周からはみ出し部分がデバイスの表面に形成されたボンディングパッドを汚染する等によってデバイスの品質を低下させるという問題がある。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、個々のデバイスの裏面にダイアタッチフィルム(DAF)やダイバックサイドフィルム(DSF)等の樹脂フィルムをデバイスの品質を低下させることなく装着することができるウエーハの加工方法を提供することにある。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、表面に格子状に形成された複数のストリートによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハをストリートに沿って個々のデバイスに分割するとともに、各デバイスの裏面に樹脂フィルムを装着するウエーハの加工方法であって、
ウエーハの表面側からストリートに沿ってデバイスの仕上がり厚さに相当する深さの分割溝を形成する分割溝形成工程と、
該分割溝形成工程が実施されたウエーハの表面に保護部材を貼着する保護部材貼着工程と、
該保護部材貼着工程が実施されたウエーハの裏面を研削して裏面に該分割溝を表出させ、ウエーハを個々のデバイスに分割するウエーハ分割工程と、
該ウエーハ分割工程が実施されたウエーハの裏面に樹脂フィルムを装着するとともに樹脂フィルム側を環状のフレームに装着されたダイシングテープによって支持せしめるウエーハ支持工程と、
該ウエーハ支持工程が実施されたウエーハの表面に貼着されている保護部材を剥離する保護部材剥離工程と、
該保護部材剥離工程が実施されたウエーハの裏面に装着された樹脂フィルムをエッチングするエッチングガスをプラズマ化してウエーハの表面側から該分割溝に侵入させ、該分割溝内に露出している樹脂フィルムをエッチング除去するエッチング工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの加工方法が提供される。
上記エッチング工程において使用するエッチングガスは、酸素または炭酸ガスである。
本発明によるウエーハの加工方法は、ウエーハの表面側からストリートに沿ってデバイスの仕上がり厚さに相当する深さの分割溝を形成する分割溝形成工程と、ウエーハの表面に保護部材を貼着する保護部材貼着工程と、ウエーハの裏面を研削して裏面に分割溝を表出させ、ウエーハを個々のデバイスに分割するウエーハ分割工程と、ウエーハ分割工程が実施されたウエーハの裏面に樹脂フィルムを装着するとともに樹脂フィルム側を環状のフレームに装着されたダイシングテープによって支持せしめるウエーハ支持工程と、ウエーハの表面に貼着されている保護部材を剥離する保護部材剥離工程と、ウエーハの裏面に装着された樹脂フィルムをエッチングするエッチングガスをプラズマ化してウエーハの表面側から分割溝に侵入させ、分割溝内に露出している樹脂フィルムをエッチング除去するエッチング工程とを含んでいるので、分割溝内に露出している樹脂フィルムがエッチング除去されるため、樹脂フィルムがデバイスの外周からはみ出すことはない。従って、樹脂フィルムがデバイスの外周からはみ出し、このはみ出し部分がデバイスの表面に形成されたボンディングパッドを汚染する等によってデバイスの品質を低下させるという問題が解消される。
本発明によるウエーハの加工方法によって加工されるウエーハとしての半導体ウエーハを示す斜視図。 本発明によるウエーハの加工方法における分割溝形成工程の説明図。 本発明によるウエーハの加工方法における保護部材貼着工程の説明図。 本発明によるウエーハの加工方法におけるウエーハ分割工程の説明図。 本発明によるウエーハの加工方法におけるウエーハ支持工程の説明図。 本発明によるウエーハの加工方法におけるウエーハ支持工程の他の実施形態を示す説明図。 本発明によるウエーハの加工方法におけるエッチング工程を実施するためのプラズマエッチング装置の要部断面図。 本発明によるウエーハの加工方法におけるエッチング工程が実施された半導体ウエーハの要部を拡大して示す断面図。
以下、本発明による半導体デバイスの製造方法の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1には、ウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図が示されている。図1に示す半導体ウエーハ2は、例えば厚さが750μmで直径が300mmのシリコンウエーハからなっており、表面2aには複数のストリート21が格子状に形成されている。そして、半導体ウエーハ2の表面2aには、格子状に形成された複数のストリート21によって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイス22が形成されている。この半導体ウエーハ2を先ダイシング法によって個々の半導体デバイスに分割する手順について説明する。
半導体ウエーハ2を先ダイシング法によって個々の半導体デバイスに分割するには、先ず半導体ウエーハ2の表面2aに形成されたストリート21に沿って所定深さ(各デバイスの仕上がり厚さに相当する深さ)の分割溝を形成する(分割溝形成工程)。この分割溝形成工程は、図示の実施形態においては図2の(a)に示す切削装置3を用いて実施する。図2の(a)に示す切削装置3は、被加工物を保持するチャックテーブル31と、該チャックテーブル31に保持された被加工物を切削する切削手段32と、該チャックテーブル31に保持された被加工物を撮像する撮像手段33を具備している。チャックテーブル31は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない切削送り機構によって図2の(a)において矢印Xで示す切削送り方向に移動せしめられるとともに、図示しない割り出し送り機構によって矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
上記切削手段32は、実質上水平に配置されたスピンドルハウジング321と、該スピンドルハウジング321に回転自在に支持された回転スピンドル322と、該回転スピンドル322の先端部に装着された切削ブレード323を含んでおり、回転スピンドル322がスピンドルハウジング321内に配設された図示しないサーボモータによって矢印322aで示す方向に回転せしめられるようになっている。なお、切削ブレード323の厚みは、図示の実施形態においては20μmに設定されている。上記撮像手段33は、スピンドルハウジング321の先端部に装着されており、被加工物を照明する照明手段と、該照明手段によって照明された領域を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた像を撮像する撮像素子(CCD)等を備え、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
上述した切削装置3を用いて分割溝形成工程を実施するには、図2の(a)に示すようにチャックテーブル31上に半導体ウエーハ2の裏面2b側を載置し、図示しない吸引手段を作動することにより半導体ウエーハ2をチャックテーブル31上に保持する。従って、チャックテーブル31に保持された半導体ウエーハ2は、表面2aが上側となる。このようにして、半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル31は、図示しない切削送り機構によって撮像手段33の直下に位置付けられる。
チャックテーブル31が撮像手段33の直下に位置付けられると、撮像手段33および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2のストリート21に沿って分割溝を形成すべき切削領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段33および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されているストリート21と、切削ブレード323との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、切削領域のアライメントを遂行する(アライメント工程)。また、半導体ウエーハ2に形成されている上記所定方向に対して直交する方向に延びるストリート21に対しても、同様に切削領域のアライメントが遂行される。
以上のようにしてチャックテーブル31上に保持されている半導体ウエーハ2の切削領域を検出するアライメントが行われたならば、半導体ウエーハ2を保持したチャックテーブル31を切削領域の切削開始位置に移動する。そして、切削ブレード323を図2の(a)において矢印322aで示す方向に回転しつつ下方に移動して切り込み送りを実施する。この切り込み送り位置は、切削ブレード323の外周縁が半導体ウエーハ2の表面からデバイスの仕上がり厚さに相当する深さ位置(例えば、50μm)に設定されている。このようにして、切削ブレード323の切り込み送りを実施したならば、切削ブレード323を回転しつつチャックテーブル31を図2の(a)において矢印Xで示す方向に切削送りすることによって、図2の(b)に示すようにストリート21に沿って幅が20μmでデバイスの仕上がり厚さに相当する深さ(例えば、50μm)の分割溝210が形成される(分割溝形成工程)。
上述した分割溝形成工程を実施することにより半導体ウエーハ2の表面2aにストリート21に沿って所定深さの分割溝210を形成したら、半導体ウエーハ2の表面2aにデバイス22を保護するための保護部材を貼着する保護部材貼着工程を実施する。即ち、図3の(a)および(b)に示すように半導体ウエーハ2の表面2a(デバイス22が形成されている面)に、保護部材としての保護テープ4を貼着する。
次に、保護テープ4が貼着された半導体ウエーハ2の裏面2bを研削し、分割溝210を裏面2bに表出させて半導体ウエーハ2を個々のデバイス22に分割するウエーハ分割工程を実施する。このウエーハ分割工程は、図4の(a)に示す研削装置5を用いて実施する。図4の(a)に示す研削装置5は、被加工物を保持するチャックテーブル51と、該チャックテーブル51に保持された被加工物を研削するための研削砥石52を備えた研削手段53を具備している。この研削装置5を用いて上記ウエーハ分割工程を実施するには、チャックテーブル51上に半導体ウエーハ2の保護テープ4側を載置し、図示しない吸引手段を作動することにより半導体ウエーハ2をチャックテーブル51上に保持する。従って、チャックテーブル51に保持された半導体ウエーハ2は、裏面2bが上側となる。このようにして、チャックテーブル51上に半導体ウエーハ2を保持したならば、チャックテーブル51を矢印51aで示す方向に例えば300rpmで回転しつつ、研削手段53の研削砥石52を矢印52aで示す方向に例えば6000rpmで回転しつつ半導体ウエーハ2の裏面2bに接触せしめて研削し、図4の(b)に示すように分割溝210が裏面2bに表出するまで研削する。このように分割溝210が表出するまで研削することによって、図4の(c)に示すように半導体ウエーハ2は個々のデバイス22に分割される。なお、分割された複数のデバイス22は、その表面に保護テープ4が貼着されているので、バラバラにはならず半導体ウエーハ2の形態が維持されている。
上述したウエーハ分割工程を実施したならば、個々のデバイス22に分割された半導体ウエーハ2の裏面2bにダイアタッチフィルム(DAF)やダイバックサイドフィルム(DSF)等の樹脂フィルムを装着するとともに該樹脂フィルム側を環状のフレームに装着されたダイシングテープによって支持せしめるウエーハ支持工程を実施する。即ち、図5の(a)および(b)に示すように個々のデバイス22に分割された半導体ウエーハ2の裏面2bに樹脂フィルム6を装着する。このとき、80〜200°Cの温度で加熱しつつ樹脂フィルム6を半導体ウエーハ2の裏面2bに押圧して装着する。なお、樹脂フィルム6は、エポキシ系樹脂で形成されており、厚さが20μmのフィルム材からなっている。このようにして半導体ウエーハ2の裏面2bに樹脂フィルム6を装着したならば、図5の(c)に示すように樹脂フィルム6が装着された半導体ウエーハ2の樹脂フィルム6側を環状のフレームFに装着されたダイシングテープTに貼着する。従って、半導体ウエーハ2の表面2aに貼着された保護テープ4は上側となる。このようにして、半導体ウエーハ2の裏面2bに装着された樹脂フィルム6側を環状のフレームFに装着されたダイシングテープTに貼着したならば、半導体ウエーハ2の表面2aに貼着されている保護部材としての保護テープ4を剥離する(保護部材剥離工程)。
上述したウエーハ支持工程の他の実施形態について、図6を参照して説明する。
図6に示す実施形態は、ダイシングテープTの表面に予め樹脂フィルム6が貼着された樹脂フィルム付きのダイシングテープを使用する。即ち、図6の(a)、(b)に示すように環状のフレームFの内側開口部を覆うように外周部が装着されたダイシングテープTの表面に貼着された樹脂フィルム6に、個々のデバイス22に分割された半導体ウエーハ2の裏面2bを装着する。このとき、80〜200°Cの温度で加熱しつつ樹脂フィルム6を半導体ウエーハ2の裏面2bに押圧して装着する。なお、上記ダイシングテープTは、図示の実施形態においては厚さが95μmのポリオレフィンシートかならっている。このように接着フィルム付きのダイシングテープを使用する場合には、ダイシングテープTの表面に貼着された樹脂フィルム6に半導体ウエーハ2の裏面2bを装着することにより、接着フィルム6が装着された半導体ウエーハ2が環状のフレームFに装着されたダイシングテープTによって支持される。そして、図6の(b)に示すように半導体ウエーハ2の表面2aに貼着されている保護テープ4を剥離する(保護部材剥離工程)。
上述した保護部材剥離工程を実施したならば、半導体ウエーハ2の裏面2bに装着された樹脂フィルム6をエッチングするエッチングガスをプラズマ化して半導体ウエーハ2の表面2a側から分割溝210に侵入させ、該分割溝210内に露出している樹脂フィルム6をエッチング除去するエッチング工程を実施する。このエッチング工程は、図7に示すプラズマエッチング装置を用いて実施する。図7に示すプラズマエッチング装置7は、密閉空間71aを形成するハウジング71を具備している。このハウジング71は、底壁711と上壁712と左右側壁713、714と後側が側壁715および前側側壁(図示せず)とからなっており、右側側壁714には被加工物搬出入用の開口714aが設けられている。開口714aの外側には、開口714aを開閉するためのゲート72が上下方向に移動可能に配設されている。このゲート72は、ゲート作動手段73によって作動せしめられる。ゲート作動手段73は、エアシリンダ731と該エアシリンダ731内に配設された図示しないピストンに連結されたピストンロッド732とからなっており、エアシリンダ731がブラケット733を介して上記ハウジング71の底壁711に取り付けられており、ピストンロッド732の先端(図において上端)が上記ゲート72に連結されている。このゲート作動手段73によってゲート72が開けられることにより、被加工物としての上述した保護部材剥離工程が実施された半導体ウエーハ2を開口714aを通して搬出入することができる。また、ハウジング71を構成する底壁711には排気口711aが設けられており、この排気口711aがガス排出手段74に接続されている。
上記ハウジング71によって形成される密閉空間71aには、下部電極75と上部電極76が対向して配設されている。下部電極75は、導電性の材料によって形成されており、円盤状の被加工物保持部751と、該被加工物保持部751の下面中央部から突出して形成された円柱状の支持部752とからなっている。このように被加工物保持部751と円柱状の支持部752とから構成された下部電極75は、支持部752がハウジング71の底壁711に形成された穴711bを挿通して配設され、絶縁体77を介して底壁711にシールされた状態で支持されている。このようにハウジング71の底壁711に支持された下部電極75は、支持部752を介して高周波電源78に電気的に接続されている。
下部電極75を構成する被加工物保持部751の上部には、上方が開放された円形状の嵌合凹部751aが設けられており、該嵌合凹部751aにポーラスセラミック材によって形成された円盤状の吸着保持部材753が嵌合される。嵌合凹部751aにおける吸着保持部材753の下側に形成される室751bは、被加工物保持部751および支持部752に形成された連通路752aによって吸引手段79に連通されている。従って、吸着保持部材753上に被加工物を載置して吸引手段79を作動して連通路752aを負圧源に連通することにより室751bに負圧が作用し、吸着保持部材753上に載置された被加工物が吸引保持される。また、吸引手段79を作動して連通路752aを大気に開放することにより、吸着保持部材753上に吸引保持された被加工物の吸引保持が解除される。
下部電極75を構成する被加工物保持部751の下部には、冷却通路751cが形成されている。この冷却通路751cの一端は支持部752に形成された冷媒導入通路752bに連通され、冷却通路751cの他端は支持部752に形成された冷媒排出通路752cに連通されている。冷媒導入通路752bおよび冷媒排出通路752cは、冷媒供給手段80に連通されている。従って、冷媒供給手段80が作動すると、冷媒が冷媒導入通路752b、冷却通路751cおよび冷媒排出通路752cを通して循環せしめられる。この結果、後述するプラズマ処理時に発生する熱は下部電極75から冷媒に伝達されるので、下部電極75の異常昇温が防止される。
上記上部電極76は、導電性の材料によって形成されており、円盤状のガス噴出部761と、該ガス噴出部761の上面中央部から突出して形成された円柱状の支持部762とからなっている。このようにガス噴出部761と円柱状の支持部762とからなる上部電極76は、ガス噴出部761が下部電極75を構成する被加工物保持部751と対向して配設され、支持部762がハウジング71の上壁712に形成された穴712aを挿通し、該穴712aに装着されたシール部材81によって上下方向に移動可能に支持されている。支持部762の上端部には作動部材763が取り付けられており、この作動部材763が昇降駆動手段82に連結されている。なお、上部電極76は、支持部762を介して接地されている。
上部電極76を構成する円盤状のガス噴出部761には、下面に開口する複数の噴出口761aが設けられている。この複数の噴出口761aは、ガス噴出部761に形成された連通路761bおよび支持部762に形成された連通路762aを介して上記樹脂フィルム6をエッチングするエッチンガス供給手段83に連通されている。なお、エッチンガス供給手段83は、酸素または炭酸ガスを供給する。
図示の実施形態におけるプラズマエッチング装置7は、上記ゲート作動手段73、ガス排出手段74、高周波電源78、吸引手段79、冷媒供給手段80、昇降駆動手段82、エッチングガス供給手段83等を制御する制御手段84を具備している。この制御手段84にはガス排出手段74からハウジング71によって形成される密閉空間71a内の圧力に関するデータが、冷媒供給手段80から冷媒温度(即ち電極温度)に関するデータが、エッチングガス供給手段83からガス流量に関するデータが入力され、これらのデータ等に基づいて制御手段84は上記各手段に制御信号を出力する。
図示の実施形態におけるプラズマエッチング装置7は以上のように構成されており、以下上述したように保護部材剥離工程が実施された半導体ウエーハ2の裏面2bに装着された樹脂フィルム6をエッチングするエッチングガスをプラズマ化して半導体ウエーハ2の表面2a側から分割溝210に侵入させ、該分割溝210内に露出している樹脂フィルム6をエッチング除去するエッチング工程について説明する。
先ずゲート作動手段73を作動してゲート72を図7において下方に移動せしめ、ハウジング71の右側側壁714に設けられた開口714aを開ける。次に、図示しない搬出入手段によって上述した保護部材剥離工程が実施された半導体ウエーハ2を開口714aからハウジング71によって形成される密閉空間71aに搬送し、下部電極75を構成する被加工物保持部751の吸着保持部材753上に上述したように保護部材剥離工程が実施された半導体ウエーハ2の裏面2bが貼着されている環状のフレームFに装着されたダイシングテープT側を載置する。このとき、昇降駆動手段82を作動して上部電極76を上昇せしめておく。そして、吸引手段79を作動して上述したように室751bに負圧を作用することにより、吸着保持部材753上に載置された半導体ウエーハ2はダイシングテープTを介して吸引保持される。従って、吸着保持部材753上にダイシングテープTを介して半導体ウエーハ2は、表面2aが上側となる。
このように半導体ウエーハ2がダイシングテープTを介して吸着保持部材753上に吸引保持されたならば、ゲート作動手段73を作動してゲート72を図7において上方に移動せしめ、ハウジング71の右側側壁714に設けられた開口714aを閉じる。そして、昇降駆動手段82を作動して上部電極76を下降させ、上部電極76を構成するガス噴射部761の下面と下部電極75を構成する被加工物保持部751に保持された半導体ウエーハ2の表面2a(上面)との間の距離をプラズマエッチング処理に適した所定の電極間距離(例えば10mm)に位置付ける。
次に、ガス排出手段74を作動してハウジング71によって形成される密閉空間71a内を真空排気する。密閉空間71a内を真空排気したならば、エッチングガス供給手段83を作動し半導体ウエーハはエッチングしないが樹脂フィルムをエッチングするプラズマ発生用の酸素または炭酸ガスを上部電極76に供給する。エッチングガス供給手段83から供給された酸素または炭酸ガスは、支持部762に形成された連通路762aおよびガス噴出部761に形成された連通路761bを通して複数の噴出口761aから下部電極75の吸着保持部材753上にダイシングテープTを介して保持された半導体ウエーハ2の表面2a(上面)に向けて噴出される。そして、密閉空間71a内を所定のガス圧力(例えば20Pa)に維持する。このように、プラズマ発生用の酸素または炭酸ガスを供給した状態で、高周波電源78から下部電極75に例えば100Wの高周波電力を印加するとともに上部電極76に例えば2000Wの高周波電力を印加する。これにより、下部電極75と上部電極76との間の空間に酸素または炭酸ガスからなる異方性を有するプラズマが発生し、このプラズマ化した活性物質が上記分割溝形成工程を実施することによりストリート21に沿って形成された分割溝210に侵入し、図8に示すように分割溝210内に露出している樹脂フィルム6をエッチング除去する。このように、エッチング工程を実施することにより、分割溝210内に露出している樹脂フィルム6がエッチング除去されるので、樹脂フィルム6がデバイス22の外周からはみ出すことはない。従って、樹脂フィルム6がデバイス22の外周からはみ出し、このはみ出し部分がデバイスの表面に形成されたボンディングパッドを汚染する等によってデバイスの品質を低下させるという問題が解消される。
なお、上記エッチング工程は、例えば以下の条件で行われる。
密閉空間61a内の圧力 :20Pa
高周波電力 :下部電極:100W、上部電極:2000W
酸素または炭酸ガス供給量:1.5リットル/分
エッチング処理時間 :10分
以上のようにしてエッチング工程が実施され、裏面に樹脂フィルム6が装着された複数のデバイス22は、環状のフレームFに装着された粘着テープTに貼着された状態で次工程であるピックアップ工程に搬送される。
2:半導体ウエーハ
21:ストリート
210:分割溝
3:切削装置
31:切削装置のチャックテーブル
32:切削手段
323:切削ブレード
4:保護テープ
5:研削装置
51:研削装置のチャックテーブル
53:研削手段
6:樹脂フィルム
7:プラズマエッチング装置
75:下部電極
76:上部電極
83:エッチングガス供給手段
F:環状のフレーム
T:ダイシングテープ

Claims (2)

  1. 表面に格子状に形成された複数のストリートによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハをストリートに沿って個々のデバイスに分割するとともに、各デバイスの裏面に樹脂フィルムを装着するウエーハの加工方法であって、
    ウエーハの表面側からストリートに沿ってデバイスの仕上がり厚さに相当する深さの分割溝を形成する分割溝形成工程と、
    該分割溝形成工程が実施されたウエーハの表面に保護部材を貼着する保護部材貼着工程と、
    該保護部材貼着工程が実施されたウエーハの裏面を研削して裏面に該分割溝を表出させ、ウエーハを個々のデバイスに分割するウエーハ分割工程と、
    該ウエーハ分割工程が実施されたウエーハの裏面に樹脂フィルムを装着するとともに樹脂フィルム側を環状のフレームに装着されたダイシングテープによって支持せしめるウエーハ支持工程と、
    該ウエーハ支持工程が実施されたウエーハの表面に貼着されている保護部材を剥離する保護部材剥離工程と、
    該保護部材剥離工程が実施されたウエーハの裏面に装着された樹脂フィルムをエッチングするエッチングガスをプラズマ化してウエーハの表面側から該分割溝に侵入させ、該分割溝内に露出している樹脂フィルムをエッチング除去するエッチング工程と、を含む、
    ことを特徴とするウエーハの加工方法。
  2. 該エッチング工程において使用するエッチングガスは、酸素または炭酸ガスである、請求項1記載のウエーハの加工方法。
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