JP2014118502A - シリル基含有ビニル重合体、及びこれを含む硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、特許文献3では、加水分解性シリル基を有するビニル系重合体において、1分子あたりの加水分解性シリル基の個数および分子量を特定の値にすることにより、耐候性および機械的物性に優れたものとなることが開示されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な耐候性を維持した上で、破断時の伸び等が従来よりも高い硬化物を得ることができるシリル基含有ビニル重合体、及びこれを含む硬化性組成物を提供することである。
〔1〕加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体、及びこれと共重合可能なビニル単量体を、下記一般式(1)の構造を有する重合開始剤存在下で、150〜350℃の温度で重合させて得られるビニル重合体。
(式中、R1、R2は、同一でも異なっていてもよい1価の有機基を表す。)
〔2〕1分子中の加水分解性シリル基の個数が、0.1〜2個であることを特徴とする〔1〕に記載のビニル重合体。
〔3〕〔1〕又は〔2〕のいずれかに記載のビニル重合体、及び加水分解性シリル基含有オキシアルキレン系重合体を含んでなる硬化性樹脂組成物。
〔4〕前記ビニル重合体と前記加水分解性シリル基含有オキシアルキレン系重合体の重量比が、20/80〜70/30であることを特徴とする〔3〕に記載の硬化性樹脂組成物。
本発明におけるシリル基含有ビニル重合体は、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、及び必要に応じてこれらと共重合可能な(メタ)アクリル酸以外のビニル単量体とを共重合することにより得られるものである。
本発明では、150〜350℃の温度で重合を行う必要がある。150℃以上とすることにより、少ない量の開始剤で、かつ連鎖移動剤を用いなくても、分子量の制御が容易となり、硬化物とした場合の耐候性が優れたものとなる。一方、350℃以下とすることにより、単量体から重合体への転化率を上げることができる。より好ましくは、170〜300℃、さらに好ましくは、180〜250℃である。反応プロセスとしては、バッチ式、セミバッチ式、連続重合のいずれでもよいが、シリル基が重合体中に均一に導入されるという点で、連続重合が好ましい。
アゾ系開始剤を用いると、過酸化物系重合開始剤を用いる場合より、水素引抜が抑制され、結果として、重合体の分岐構造が抑制され、直鎖構造になる。このことに起因して、硬化物の機械的物性、特に破断伸びが向上する。本発明の主旨に反しない範囲で、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド等の過酸化物を重合開始剤として併用することができる。
溶媒の使用量は、全ビニル単量体100重量部に対して、80重量部以下とすることが好ましい。80重量部以下とすることにより、短時間で高い転化率が得られる。より好ましくは、1〜50重量部である。
このように未反応単量体および溶剤をリサイクルする方法は経済性の面から好ましい方法である。リサイクルする場合には、反応器内で望ましい単量体比と望ましい溶剤量を維持するように新たに供給する単量体混合物の混合比を決定する必要がある。
尚、1分子中の加水分解性シリル基の個数は、全単量体を100重量部とした場合の加水分解性シリル基を有する単量体の重量部から、下記式(2)を用いて求めることができる。
本発明では、上記シリル基含有ビニル重合体の他に、末端に加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体を含む硬化性組成物とすることもできる。
加水分解性シリル基としては特に限定されないが、例えば、アルコキシシリル基が挙げられ、アルコキシシリル基としてトリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、メチルジメトキシエトキシシリル基が挙げられ、硬化速度と柔軟性のバランスからトリメトキシシリル基またはメチルジメトキシシリル基が好ましい。
−(CH2)n−O−(nは1〜10の整数)
−CH2CH(CH3)−O−
−CH2CH(C2H5)−O−
−CH2C(CH3)2−O−
−CH2CH(CH=CH2)−O−
ポリオキシアルキレン系重合体には上記の繰り返し単位を1種または2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、作業性に優れる点で、−CH2CH(CH3)−O−のポリオキシアルキレン単位を有する化合物が好ましい。
加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で2,000〜50,000であることが好ましい。重量平均分子量が2,000未満では、シーリング材の柔軟性が不足する場合があり、重量平均分子量が50,000を超えると組成物の粘度が高くなるため、シーリング材の塗工時に作業性が低下する場合がある。
本発明のシーリング材組成物には、可塑剤として機能する成分を混合することが好ましく、(メタ)アクリル系重合体を有する可塑剤が好ましい。(メタ)アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル系単量体を150〜300℃の温度で連続塊状重合させて得られたもので、重量平均分子量が800〜15000であり、ガラス転移温度が−70〜−10℃であり、アルコキシシリル基を有していないものが好ましい。例えば、特開平2001−207157号記載のアクリル酸エステルポリマーが好適に用いられる。
が例示される。また、紫外線吸収剤/光安定剤/熱安定剤の混合物「チヌビンB75」(チバスペシャリティー製の商品名)を使用しても良い。
オイルジャケットを備えた容量1000mLの加圧式攪拌槽型反応器の温度を184℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、メタクリル酸3−トリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、商品名「SZ6030」)を2.5部、アクリル酸ブチル(以下、「BA」という。)を66.5部、アクリル酸2−エチルヘキシル(以下、「HA」という)を21部、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」という)を10部、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」という)3.2部、オルト酢酸トリメチル(以下、「MOA」という)4.2部、メチルエチルケトン(以下、「MEK」という)を7部、重合開始剤としてアゾビス(2−メチルブチロニトリル)(日本ファインケム社製、商品名「ABN−E」)を0.02部からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケットの温度を制御することにより、反応温度を183〜185℃に保持した。
単量体混合物の供給開始から温度が安定した時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して濃縮液を得た。
表1に示した条件に変更した以外は合成例1と同様に重合および処理を行い、重合体を合成した。得られた重合体をそれぞれ「重合体2〜7、並びに比較重合体1〜2」という。これらの分析結果を表1に示す。
SZ6030:メタクリル酸3−トリメトキシシリルプロピル
KBM−502:メタクリル酸3−メチルジメトキシシリルプロピル(信越化学社製)
BA:アクリル酸ブチル
HA:アクリル酸2−エチルヘキシル
MMA:メタクリル酸メチル
IPA:イソプロピルアルコール
MOA:オルト酢酸メチル
MEK:メチルエチルケトン
ABN−E:2,2‘−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
還流冷却器のついた2Lフラスコに、酢酸ブチル(750g、100部)を入れ、オイルバスで内温を90℃に保ち、攪拌を行った。滴下ロートにて、SZ6030(18.8g、2.5部)、BA(498.8g、66.5部)、HA(157.5g、21部)、MMA(75g、10部)、ABN−E(1.5g、0.2部)、n−ドデシルメルカプタン(30.3g、4部)の混合液を、4時間かけて滴下した。さらに90℃に保ちながら、2時間攪拌した。その後、反応液を、エバポレーターで、90℃、10mmHgの状態で、脱溶剤を行い、加水分解性シリル基を有する「比較重合体3」を得た。
溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、GPCという。)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、Mwという)は17,700、数平均分子量(以下、Mnという)は4,900であった。1分子中の加水分解性シリル基の数は、0.49個であった。
実施例および比較例の配合を表2に示す。加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体としては、ES−S2420(旭硝子社製)を用いた。さらに、硬化促進剤としてはネオスタンUH−220H(日東化成社製)、また密着性付与剤としてはZ−6020(東レ・ダウコーニング社製)を使用した。
これらの配合物につき以下の評価を実施した。各評価結果について表2に示す。
上記配合物について、25℃におけるE型粘度を測定し、以下の判定条件で判定した。
○:500Pa・s以下
△:500超〜1,000Pa・s以下
×:1,000Pa・sより大きい
上記配合物について厚さ2mmで塗布し、23℃、50%RHの条件下で1週間養生して硬化シートを作成した。得られた硬化物より引張り試験用ダンベル(JIS K 6251 3号型)を作成し、引張り試験機(製、テンシロン200)により破断伸びおよび50%モジュラスを測定した。
上記配合物について厚さ0.4mmで塗布し、23℃、50%RHの条件下で1週間養生して硬化シートを作製した。メタリングウェザーメーター(DAIPLA METAL WEATHER KU-R5NCI-A、ダイプラ・ウィンテス社製)で促進耐候性試験
を行い、外観にクラック、ブリード等の異常が生じ始めた時間を記録した。
これに対し、本発明の一般式(1)の構造を有さない重合開始剤を用いた実験例である比較例1及び比較例2では、得られた硬化物の破断時の伸びが不十分なものであった。また、シリル基含有ビニル重合体の重合を90℃で実施した比較重合体3を含む比較例3では、重合開始剤及び連鎖移動剤が多量に使用された結果、その硬化物は耐候性に劣るものであった。
Claims (4)
- 1分子中の加水分解性シリル基の個数が、0.1〜2個であることを特徴とする請求項1に記載のビニル重合体。
- 請求項1又は2のいずれかに記載のビニル重合体、及び加水分解性シリル基含有オキシアルキレン系重合体を含んでなる硬化性樹脂組成物。
- 前記ビニル重合体と前記加水分解性シリル基含有オキシアルキレン系重合体の重量比が、20/80〜70/30であることを特徴とする請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
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WO2016035718A1 (ja) * | 2014-09-01 | 2016-03-10 | 株式会社カネカ | 硬化性組成物 |
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