JP2022067431A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Katsunobu Mochizuki
拓也 岩嵜
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Abstract

【課題】加水分解による劣化が起こりにくく、優れた機械物性を発現する硬化物を形成し得る硬化性組成物を提供する。【解決手段】下記式(1)で示される単量体(a)及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b)からなる第一の重合体(A)と、架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B1)(但し、単量体(a)を含むものを除く)及び/又は架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体(B2)からなる第二の重合体(B)とを含み、第一の重合体(A)/第二の重合体(B)の質量比が、5/95~95/5である硬化性組成物。TIFF2022067431000010.tif20128(式(1)中、R1は、炭素数1~10のアルキル基を表し、R2は、直接結合またはメチレン基を表し、R3は、水素またはメチル基を表し、Xは、水酸基または炭素数1~4のアルコキシ基を表し、nは、0、1または2の整数を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物に関するものであり、より詳しくは、大気中などの水分により室温硬化して、優れた機械物性を発現する硬化物を形成し得る硬化性組成物、及び当該硬化性組成物のシーリング材組成物及び接着剤組成物としての利用に関するものである。
室温硬化型の反応性基を有する重合体を含む硬化性組成物としては、変性シリコーン系、ウレタン系、ポリサルファイド系及びアクリル系等の各種重合体を含む組成物が挙げられ、建築用途、電気・電子分野関連用途、自動車関連用途等における接着剤、シーリング材、塗料等として幅広く用いられている。例えば、変性シリコーン系重合体は、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体をベースとする硬化性組成物であるが、作業性が良好で、破断伸びや破断強度などの機械的物性のバランスが良い材料であることから、接着剤やシーリング材のベースポリマーとして広く利用されている。
しかし、変性シリコーン系重合体をベースポリマーとする硬化性組成物は、得られる硬化物の耐候性が不十分であるという課題を有することが知られている。このため、アクリル系重合体を含む硬化性組成物が提案されている。
特開2004-18748号公報 国際公開第2008/059872号 特開2014-118502号公報
従来技術における架橋性シリル基を有するアクリル系重合体においては、架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いていたため、生成される(メタ)アクリル酸エステル重合体の主鎖と架橋性シリル基の間にエステル結合を有していた。そのため、硬化物の耐候性試験中に、主鎖と架橋性シリル基の間のエステル結合が、加水分解により切断を起こし、硬化物のクラック発生を早めるという問題があった。
本発明は、加水分解による劣化が起こりにくく、優れた機械物性を発現する硬化物を形成し得る硬化性組成物を提供するものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を備えた架橋性シリル基化合物を用いることにより、上記課題を解決でき、機械物性と耐久性に優れた硬化物を形成し得る硬化性組成物を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、その一局面によれば、下記式(1)で示される架橋性シリル基含有単量体(a)に由来する構成単位および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b)に由来する構成単位を含む第一の重合体(A)と、
架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B1)(ただし、下記式(1)で示される架橋性シリル基含有単量体(a)に由来する構成単位を含む共重合体は除く)、および、架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体(B2)からなる群より選ばれた少なくとも1種である第二の重合体(B)とを含み、
第一の重合体(A)の第二の重合体(B)に対する質量比((A)/(B))が、5/95~95/5であることを特徴とする硬化性組成物を提供する。
Figure 2022067431000001

(式(1)中、Rは、炭素数1~10のアルキル基を表し、Rは、直接結合またはメチレン基を表し、Rは、水素またはメチル基を表し、Xは、水酸基または炭素数1~4のアルコキシ基を表し、nは、0、1または2の整数を表す。)
本発明の好ましい実施形態によれば、第一の重合体(A)は、さらに、上記単量体(a)および/または上記単量体(b)と共重合可能なビニル単量体(c)に由来する構成単位を含む。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、第一の重合体(A)の重量平均分子量は、1000以上、50,000以下である。
本発明の更に別の好ましい実施形態によれば、第一の重合体(A)の25℃における粘度は、500以上、300,000mPa・s以下である。
本発明の更に別の好ましい実施形態によれば、架橋性シリル基含有単量体(a)は、n=1である式(1)で示されるものである。
本発明は、他の局面によれば、上記本発明の硬化性組成物からなるシーリング材組成物を提供する。
本発明は、更に他の局面によれば、上記本発明の硬化性組成物からなる接着剤組成物を提供する。
本発明によれば、上記式(1)で示される架橋性シリル基含有単量体に由来する構成単位を備える第一の重合体(A)を、架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B1)および架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体(B2)からなる群より選ばれた少なくとも1種である第二の重合体(B)と併用することとしたので、従来技術と比較して、加水分解による劣化が起こりにくく、耐候性、耐熱性に優れる硬化物が得られる硬化性組成物が提供され、かくして、柔軟性を要するシーリング材、接着剤などの用途に好適な硬化性組成物が提供される。
以下、本発明を詳しく説明する。
尚、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの何れか一方又は両方を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの何れか一方又は両方を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルの何れか一方又は両方を意味する。
1.第一の重合体(A)
本発明の硬化性組成物で用いる第一の重合体(A)(本明細書では単に「成分(A)」ということもある)は、上記式(1)で示される架橋性シリル基含有単量体(a)(本明細書では単に「成分(a)」又は「単量体(a)」ということもある)に由来する構成単位および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b)(本明細書では単に「成分(b)」又は「単量体(b)」ということもある)に由来する構成単位を必須として含む重合体であり、必要に応じて、上記成分(a)および/または上記成分(b)と共重合可能な他のビニル単量体(c)(本明細書では単に「成分(c)」又は「単量体(c)」ということもある)に由来する構成単位を含んでもよい。第一の重合体(A)を構成する上記成分(a)、(b)及び(c)は何れも不飽和二重結合を有し、ラジカル重合可能な化合物である。したがって、第一の重合体(A)は、公知の方法により、上記架橋性シリル基含有単量体(a)と、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b)と、必要に応じて上記ビニル単量体(c)とを、公知の方法によりラジカル重合させることにより得ることができる。
第一の重合体(A)は、従来の硬化性組成物のベースポリマーとして使用されていた架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと比較して、主鎖近傍に架橋性シリル基があるため、硬化物において、養生後に未反応であった架橋性シリル基が、高温環境下で、反応して架橋が進行するという現象が抑制される。この結果、高温環境下で、硬化物の柔軟性が損なわれるという問題が軽減される。
1-1.上記式(1)で示される架橋性シリル基含有単量体(a)
上記式(1)で示される架橋性シリル基含有単量体(a)の具体例としては、下記式(1-1)及び(1-2)で示されるシリル基含有単量体が挙げられる。
Figure 2022067431000002

(式(1-1)中、R、R、X及びnは、式(1)と同様である。)
Figure 2022067431000003

(式(1-2)中、R、R、X及びnは、式(1)と同様である。)
上記式(1-1)で示される化合物の好ましい例としては、Rが炭素数1~4のアルキル基、Rが水素、Xが炭素数1~4のアルコキシ基、nが0または1の化合物が挙げられ、具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジイソプロポキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルイソプロポキシシランなどが挙げられる。これらの化合物の市販品としては、例えば、DOWSIL Z-6300(ダウ・東レ社製ビニルトリメトキシシランの商品名)、DOWSIL Z-2349(ダウ・東レ社製ビニルメチルジメトキシシランの商品名)、DOWSIL Z-6519(ダウ・東レ社製ビニルトリエトキシシランの商品名)が挙げられる。
上記式(1-2)で示される化合物の好ましい例としては、Rが炭素数1~4のアルキル基、Rが水素またはメチル基、Xが炭素数1~4のアルコキシ基、nが0、1または2の化合物が挙げられ、具体例としては、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリイソプロポキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルメチルジイソプロポキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、アリルジメチルイソプロポキシシラン、メタリルトリメトキシシラン、メタリルトリエトキシシラン、メタリルトリイソプロポキシシラン、メタリルメチルジメトキシシラン、メタリルメチルジエトキシシラン、メタリルメチルジイソプロポキシシラン、メタリルジメチルメトキシシラン、メタリルジメチルエトキシシラン、メタリルジメチルイソプロポキシシランなどが挙げられる。これらの化合物の市販品としては、例えば、DOWSIL Z-6825(ダウ・東レ社製アリルトリメトキシシランの商品名)が挙げられる。
上記式(1)で示される架橋性シリル基含有単量体(a)のうち、耐熱性及び耐候性の点から好ましい化合物としては、上記式(1)でnが1の化合物であり、具体例としては、下記式(1-3)及び(1-4)で示されるシリル基含有単量体が挙げられ、下記式(1-3)で示されるシリル基含有単量体がより好ましい。
Figure 2022067431000004

(式(1-3)中、R、R及びXは、式(1-1)と同様である。)
Figure 2022067431000005

(式(1-4)中、R、R及びXは、式(1-2)と同様である。)
上記式(1-3)で示される化合物の好ましい例としては、Rが炭素数1~4のアルキル基、Rが水素、Xが炭素数1~4のアルコキシ基の化合物が挙げられ、より好ましい例としては、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジイソプロポキシシランなどが挙げられる。
上記式(1-4)で示される化合物の好ましい例としては、Rが炭素数1~4のアルキル基、Rが水素またはメチル基、Xが炭素数1~4のアルコキシ基の化合物が挙げられ、より好ましい例としては、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルメチルジイソプロポキシシラン、メタリルメチルジメトキシシラン、メタリルメチルジエトキシシラン、メタリルメチルジイソプロポキシシランなどが挙げられる。
上記単量体(a)の含有量は、本発明の目的を達成するに十分な量の架橋性シリル基を第一の重合体(A)に付与する量であればよいが、第一の重合体(A)の全構成単量体に対し、好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは0.3~7質量%であり、さらに好ましくは0.5~5質量%である。
第一の重合体(A)1分子に含まれる架橋性シリル基の数の平均値は、硬化物の引張強度の観点から、好ましくは0.1個以上であり、より好ましくは0.2個以上であり、さらに好ましくは0.3個以上である。架橋性シリル基の数の平均値は、0.5個以上であってもよく、0.8個以上であってもよく、1.0個以上であってもよい。硬化物の伸びを確保する観点から、上限値は、好ましくは5.0個以下であり、より好ましくは4.0個以下であり、さらに好ましくは3.0個以下であり、一層好ましくは2.5個以下であり、より一層好ましくは2.2個以下である。架橋性シリル基の数の平均値の範囲は、上記の上限値及び下限値を組み合せて設定することができるが、例えば、0.1個以上5.0個以下であり、0.1個以上3.0個以下であってもよく、0.1個以上2.2個以下であってもよく、0.2個以上2.2個以下であってもよい。
架橋性シリル基の位置は、特に限定されるものではなく、重合体の側鎖及び/又は末端とすることができる。
1-2.(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b)
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸ヘキサコシル、(メタ)アクリル酸オクタコシル、(メタ)アクリル酸トリアコンチル、(メタ)アクリル酸ドトリアコンチル、(メタ)アクリル酸テトラトリアコンチル、(メタ)アクリル酸ヘキサトリアコンチル、(メタ)アクリル酸オクタトリアコンチル、(メタ)アクリル酸テトラコンチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソウンデシル、(メタ)アクリル酸イソラウリル、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸イソペンタデシル、(メタ)アクリル酸イソヘキサデシル、(メタ)アクリル酸イソヘプタデシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸イソノナデシル、(メタ)アクリル酸イソエイコシル、(メタ)アクリル酸イソヘンイコシル、(メタ)アクリル酸イソベヘニル、(メタ)アクリル酸イソテトラコシル、(メタ)アクリル酸イソヘキサコシル、(メタ)アクリル酸イソオクタコシル、(メタ)アクリル酸イソトリアコンチル、(メタ)アクリル酸イソドトリアコンチル、(メタ)アクリル酸イソテトラトリアコンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキサトリアコンチル、(メタ)アクリル酸イソオクタトリアコンチル、(メタ)アクリル酸イソテトラコンチル等の直鎖状若しくは分岐状脂肪族アルキル基又は脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が例示される。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中、硬化物の機械物性の観点からは、炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、第一の重合体(A)と第二の重合体(B)との相溶性、特に第一の重合体(A)と第二の重合体(B2)との相溶性を高め、硬化物の機械物性及び耐候性を向上させる観点からは、炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、用途に応じて両者を適当な比率で併用することがより好ましい。硬化物の機械物性と耐候性との観点から、炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、第一の重合体(A)の全構成単量体に対し、好ましくは30~99質量%であり、より好ましくは50~97質量%であり、さらに好ましくは60~95質量%であり、特に好ましくは60~90質量%であり、炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、第一の重合体(A)の全構成単量体に対し、好ましくは1~70質量%であり、より好ましくは3~50質量%であり、さらに好ましくは5~40質量%、特に好ましくは10~40質量%である。なお、炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、好ましくは2~6であり、炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、好ましくは10~20であり、より好ましくは12~20である。
1-3.単量体(a)および/または(b)と共重合可能なビニル単量体(c)
第一の重合体(A)は、上記の単量体(a)および(b)以外に、これらと共重合可能な他のビニル単量体(c)と共重合したものであってもよい。
上記ビニル単量体(c)としては、上記単量体(a)および上記単量体(b)の少なくとも一方と共重合するものであれば、特に限定されず、例えば、
(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物等の官能基含有単量体;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸芳香族エステル類;
(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2-トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキサデシルエチル等のフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類;
パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有オレフィン類;
スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等の芳香族単量体;
無水マレイン酸;マレイン酸及びフマル酸等の不飽和ジカルボン酸、並びに、これらのモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;
マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;
アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;
エチレン、プロピレン等のアルケン類;
ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール;
(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシヘキシル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ブトキシメチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシブチル及び(メタ)アクリル酸ブトキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
上記ビニル単量体(c)の使用量は、第一の重合体(A)の全構成単量体に対し、好ましくは0~20質量%であり、より好ましくは0~10質量%であり、さらに好ましくは0~5質量%である。
1-4.第一の重合体(A)の製造方法
第一の重合体(A)は、通常のラジカル重合によって製造することができる。溶液重合、塊状重合、分散重合いずれの方法を採用してもよく、また、リビングラジカル重合法を利用してもよい。反応プロセスは、バッチ式、セミバッチ式、連続重合のいずれの方法でもよい。これらの中でも、100~350℃の高温連続重合方法が好ましい。
一般に、重合体中に均一に架橋性官能基が導入された場合、該重合体を含む硬化性組成物の硬化性、及び得られる硬化物の耐候性等の物性が良好となる。この点、反応器に撹拌槽型反応器を用いた場合、組成分布(架橋性官能基の分布)や分子量分布の比較的狭い(メタ)アクリル系重合体を得ることができるため好ましい。また、連続撹拌槽型反応器を用いるプロセスが組成分布、分子量分布を狭くする点でより好ましい。
高温連続重合法としては、特公表昭57-502171号公報、特開昭59-6207号公報、特開昭60-215007号公報等に開示された公知の方法に従えば良い。例えば、加圧可能な反応機を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、各単量体、及び必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法が挙げられる。また、単量体混合物には、必要に応じて重合開始剤を配合することもできる。その配合する場合の配合量としては、単量体混合物100質量部に対して0.001~2質量部であることが好ましい。圧力は、反応温度と使用する単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影響を及ぼさないが、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。単量体混合物の滞留時間は、1~60分であることが好ましい。滞留時間が1分に満たない場合は単量体が十分に反応しない恐れがあり、未反応単量体が60分を越える場合は、生産性が悪くなってしまうことがある。好ましい滞留時間は2~40分である。
第一の重合体(A)の製造法として高温連続重合法を用いた場合、分子量制御に多量のラジカル重合開始剤ならびにメルカプタン類、次亜リン酸塩等のリン化合物類、および金属錯体化合物類で例示される連鎖移動剤等の単量体以外の不純物を用いることなく容易に第一の重合体(A)を得ることができるため、第一の重合体(A)の耐候性、耐熱性の低下を防ぐことができる。第一の重合体(A)の耐候性、耐熱性は、硬化性組成物の耐候性、耐熱性に大きな影響を与えるため重要である。
メルカプタン類等に由来する耐候性、耐熱性の低下の原因となる第一の重合体(A)中の硫黄原子含有量は、0ppm以上1000ppm未満であることが好ましく、0ppm以上100ppm未満の範囲であることがより好ましく、0ppm以上10ppm未満の範囲であることがさらに好ましく、0ppm以上1ppm未満の範囲であることがなお一層好ましい。ここでいう硫黄原子含有量とは、第一の重合体(A)の質量中の総硫黄量であり、ICP発光分光分析法により定量することができる。
リン化合物等に由来する耐候性、耐熱性の低下の原因となる第一の重合体(A)中のリン原子含有量は、0ppm以上1000ppm未満であることが好ましく、0ppm以上100ppm未満の範囲であることがより好ましく、0ppm以上10ppm未満の範囲であることがさらに好ましく、0ppm以上1ppm未満の範囲であることがなお一層好ましい。ここでいう硫黄原子含有量とは、第一の重合体(A)の質量中の総リン量であり、ICP発光分光分析法により定量することができる。
金属錯体化合物類等に由来する耐候性、耐熱性の低下の原因となる第一の重合体(A)中の金属原子含有量は、0ppm以上1000ppm未満であることが好ましく、0ppm以上100ppm未満の範囲であることがより好ましく、0ppm以上10ppm未満の範囲であることがさらに好ましく、0ppm以上1ppm未満の範囲であることがなお一層好ましい。ここでいう金属原子含有量とは、第一の重合体(A)の質量中の総金属量であり、ICP発光分光分析法により定量することができる。なお、金属錯体化合物類等には、連鎖移動剤として用いられる金属錯体化合物類のみならず、第1の重合体(A)の製造に用いられる原料(溶媒、重合開始剤、単量体類)中に存在する金属類や製造時に外部から混入する金属類が含まれる。一般的な市販の溶媒、重合開始剤および単量体類に含まれる金属原子含有量は、蒸留法および再結晶法等により精製されているためそれらの金属原子含有量は2ppm未満であるが、精製されていない原料を用いると原料中の金属原子含有量が高くなるため好ましくない。
第一の重合体(A)を得るために用いる重合開始剤の例としては、所定の反応温度でラジカルを発生する開始剤であれば何でもよい。具体的には、ジ-t-ブチルパーオキシド、ジ-t-ヘキシルパーオキシド、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、クメンハイドロパーオキシド、t-ブチルハイドロパーオキシド等の有機過酸化物、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリックアシッド)などのアゾ系化合物が挙げられる。重合開始剤はこれらの内の1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤として水素引き抜き能が高いものを使用した場合、得られる重合体の二重結合濃度が高くなる傾向がある。例えば、アゾ系化合物よりも有機過酸化物を使用した方が、二重結合濃度の高い重合体が得られる傾向がある。
重合開始剤の使用量は、重合開始剤及び単量体の種類、所望する分子量、重合条件等により適宜調整することができるが、一般的には、使用する単量体100質量部に対して0.001~10質量部である。同じ分子量の重合体を得る場合、重合開始剤の使用量が少ないほど、得られる重合体中の二重結合濃度は高くなる傾向がある。
第一の重合体(A)に含まれる二重結合の量は、耐候性及び耐熱性への効果を発現する観点から0.01meq/g以上有することを要する。二重結合の量は0.05meq/g以上であってもよく、0.10meq/g以上であってもよく、0.20meq/g以上であってもよく、0.30meq/g以上であってもよい。一方、二重結合の量が多過ぎると、暴露中に硬化物の架橋度が高くなりすぎて柔軟性が不足する結果、クラックが発生し易くなる傾向がある。このため、二重結合の量は、1.0meq/g以下であり、好ましくは0.50meq/g以下であり、より好ましくは0.30meq/g以下である。二重結合の量の範囲は、上記の上限値及び下限値を組み合せて設定することができるが、例えば、0.01meq/g以上1.0meq/g以下であり、0.05meq/g以上1.0meq/g以下であってもよく、0.10meq/g以上0.50meq/g以下であってもよい。
第一の重合体(A)に含まれる二重結合の量は、H-NMRの測定により下記数式(1)により定量することができる。
二重結合量(meq/g)=(P)×Σ(Q)/100/(R)×1000 …(1)
上記数式(1)中、
(P)は、5.2~5.7ppmに観測される重合体由来の水素原子のH-NMRの積分値、
(Q)は、各単量体における下記数式(2)で得られた値を表す。
(Q)=(S)×(T)/(U) …(2)
上記数式(2)中、
(S)は、全単量体質量部を100とした時の当該単量体の質量部、
(T)は、当該単量体において、3.0~4.5ppmに検出されるプロトンの数、
(U)は、当該単量体の分子量
をそれぞれ表す。
Σ(Q)は、ポリマー中のすべての単量体について、(Q)を合算したことを表す。
(R)は、3.0~4.5ppmに観測されるH-NMRの積分値を表す。
なお、(T)は、主として、酸素に隣接した炭素に結合したプロトンの数を表し、例えば、
MMAの場合、メチルエステルなので、3、
アクリル酸n-ブチルの場合は、エステル横がメチレンなので、2、
3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの場合、エステル横のメチレンで、2、トリメトキシは、メチルが3個あるので、3×3=9で、合計11となる。
第一の重合体(A)に含まれる二重結合の量は、後処理として国際公開第2014/167999号に記載されているような水素添加を行うことによっても制御することができる。水素添加は、従来公知の方法を採用することができる。水素添加時に用いられる金属触媒としては、均一触媒と不均一触媒があるが、不均一触媒の方が、ろ過等により容易に触媒が除去できるため、第一の重合体(A)中の金属原子含有量を低減できる観点からより好ましい。不均一触媒として使用する触媒量は、1000~10000ppm程度であるが、ろ過後の第一の重合体(A)中に残存する触媒量を減らすには、使用する触媒量は10000ppm未満であることがより好ましい。
さらに、第一の重合体(A)に含まれる二重結合の量は、後処理として国際公開第2019/151509に記載されているような重合開始剤を二重結合に付加反応させることによっても制御することができる。重合開始剤を用いた場合、第一の重合体(A)を製造する過程で金属類が混入することが実質的に避けられるため、第一の重合体(A)中の金属原子含有量の低減の観点からより好ましい。
第一の重合体(A)の製造に有機溶媒を用いる場合、有機炭化水素系化合物が適当であり、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が例示され、これらの1種または2種以上を用いることができる。(メタ)アクリル酸エステル共重合体をよく溶解しない溶剤では、反応器の壁にスケールが成長しやすく洗浄工程等で生産上の問題がおきやすい。また、例えばイソプロパノール等の連鎖移動能の高い有機溶媒を使用した場合、得られる重合体中の二重結合濃度は低くなる傾向がある。
溶媒の使用量は、全ビニル単量体100質量部に対して、80質量部以下とすることが好ましい。80質量部以下とすることにより、短時間で高い転化率が得られる。より好ましくは、1~50質量部である。また、オルト酢酸トリメチル、オルト蟻酸トリメチル等の脱水剤を添加することもできる。
第一の重合体(A)の製造には、公知の連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤を使用した場合、得られる重合体中の二重結合濃度は低くなる傾向がある。また、一般に、連鎖移動剤の使用量を増加することにより二重結合濃度は低下する。
反応器から抜き出された反応液は、そのまま次の工程に進むか、あるいは蒸留等により未反応単量体、溶剤、および低分子量オリゴマー等の揮発性成分を留去することによって重合体を単離することができる。反応液から留去した未反応単量体、溶剤、および低分子量オリゴマーなどの揮発性成分の一部を原料タンクに戻すかまたは直接反応器に戻し、再度重合反応に利用することもできる。
このように未反応単量体および溶剤をリサイクルする方法は経済性の面から好ましい方法である。リサイクルする場合には、反応器内で望ましい単量体比と望ましい溶剤量を維持するように新たに供給する単量体混合物の混合比を決定する必要がある。
1-5.第一の重合体(A)の物性
第一の重合体(A)の重量平均分子量は、好ましくは1000~50000、より好ましくは2500~40000、さらに好ましくは5000~30000である。分子量が上記範囲にある第一の重合体(A)を用いると、耐候性が良くなり、また、硬化性組成物の粘度が低くなるので作業性が良くなる。なお、本明細書において、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。)によるポリスチレン換算分子量である。また、重量平均分子量が1000~10000程度、より好ましくは、1000~4000の低分子量の第一の重合体(A)は、第二の重合体(B)の可塑剤として機能するとともに、本発明の硬化性組成物の耐熱性及び耐候性を向上させる効果がある。
硬化性組成物の作業性、すなわち、塗り易さ及びたれ防止の観点から、第一の重合体(A)の粘度は、好ましくは、500mPa・s以上300000mPa・s以下であり、より好ましくは1000mPa・s以上50000mPa・s以下である。
第一の重合体(A)1分子あたりのケイ素原子の数、すなわち、架橋性シリル基の数は、好ましくは、0.1~2.5、より好ましくは、0.5~2.0、さらに好ましくは、0.7~1.5である。第一の重合体(A)1分子あたりのケイ素原子の数がこの範囲にある場合、耐候性と伸び率のバランスに優れた硬化物が得られる。
2.第二の重合体(B)
第二の重合体(B)(本明細書では単に「成分(B)」ということもある)は、架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B1)(本明細書では単に「成分(B1)」ということもある)、または、架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体(B2)(本明細書では単に「成分(B2)」ということもある)からなる。これらの成分(B1)及び成分(B2)は1種単独で用いても、2種を併用してもよい。
2-1.架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B1)
架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B1)としては、第一の重合体以外のものであれば、特に限定されず、その具体例としては、(メタ)アクリル系単量体と、シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、シリル基含有ビニルエーテル類及びシリル基含有ビニルエステル類からなる群より選ばれた少なくとも1つのビニル単量体との共重合体が挙げられる。
シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルメトキシシリルプロピル及び(メタ)アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル等が挙げられる。シリル基含有ビニルエーテル類としては、例えば、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル等が挙げられる。シリル基含有ビニルエステル類としては、例えば、トリメトキシシリルウンデカン酸ビニル等が挙げられる。
2-2.架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体(B2)
架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体(B2)は下記式(2)で表される繰り返し単位を含むものであれば、特に限定されない。
-O-R- (2)
(式中、Rは、2価の炭化水素基である。)
上記一般式(2)におけるRとしては、以下のものが例示される。
(CH2 (nは1~10の整数)
CH(CH3)CH2
CH(C25)CH2
C(CH32CH2
ポリオキシアルキレン重合体(B2)は、上記繰り返し単位を1種又は2種以上を組み合わせて含んでもよい。これらの中でも、作業性に優れる点で、CH(CH3)CH2が好ましい。
ポリオキシアルキレン重合体(B2)に含まれる架橋性シリル基は特に限定されず、アルコキシシリル基、ハロゲノシリル基、シラノール基等が挙げられるが、架橋性を制御し易い点からアルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基の具体例としては、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン重合体(B2)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば対応するエポキシ化合物又はジオールを原料として、KOHのようなアルカリ触媒による重合法、遷移金属化合物-ポルフィリン錯体触媒による重合法、複合金属シアン化物錯体触媒による重合法、フォスファゼンを用いた重合法等が挙げられる。
また、ポリオキシアルキレン重合体(B2)は、直鎖状重合体又は分岐状重合体のいずれでもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
ポリオキシアルキレン重合体(B2)1分子に含まれる架橋性シリル基の数の平均値は、硬化物の接着性及び引張特性等の性能の観点から、好ましくは1~4個の範囲であり、より好ましくは1.5~3個の範囲である。
ポリオキシアルキレン重合体(B2)に含まれる架橋性シリル基の位置は、特に限定されるものではなく、重合体の側鎖及び/又は末端とすることができる。
また、ポリオキシアルキレン重合体(B2)は、直鎖状重合体及び分岐状重合体のいずれでもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体(B2)の数平均分子量(Mn)は、機械物性の観点から好ましくは5,000以上であり、より好ましくは10,000以上であり、さらに好ましくは15,000以上である。Mnは、18,000以上であってもよく、22,000以上であってもよく、25,000以上であってもよい。Mnの上限値は硬化性組成物の塗工時の作業性(粘度)の観点から好ましくは60,000以下であり、より好ましくは50,000以下であり、さらに好ましくは40,000以下である。Mnの範囲は、上記の上限値及び下限値を組み合せて設定することができるが、例えば、5,000以上60,000以下であり、15,000以上60,000以下であってもよく、18,000以上50,000以下であってもよく、22,000以上50,000以下であってもよい。
架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体(B2)として市販品を使用してもよい。具体例としては、株式会社カネカ製「MSポリマーS203」、「MSポリマーS303」、「MSポリマーS810」、「サイリルSAT200」、「サイリルSAT350」、「サイリルEST280」及び「サイリルSAT30」、並びに、旭硝子株式会社製「エクセスターS2410」、「エクセスターS2420」及び「エクセスターS3430」(いずれも商品名)が例示される。
3.硬化性組成物の組成
上記の通り、本発明の硬化性組成物は、第一の重合体(A)及び第二の重合体(B)を必須成分とするものである。ここで、得られる硬化物の耐候性及び機械物性が良好となる点で、第一の重合体(A)の第二の重合体(B)に対する割合((A)/(B))は、質量比で5/95~95/5であり、好ましくは、25/75~85/15、さらに好ましくは、40/60~70/30である。(A)/(B)が上記の範囲にあると、耐候性と引張物性のバランスに優れた硬化物が得られる。
4.その他の成分
本発明の硬化性組成物は、本発明により奏される効果を妨げない限りにおいて、第一の重合体(A)及び第二の重合体(B)以外の成分を含むことができる。かかる成分には、充填材、可塑剤、老化防止剤、硬化促進剤、タック防止剤、密着付与剤等が含まれる。
充填材としては平均粒径0.02~2.0μm程度の軽質炭酸カルシウム、平均粒径1.0~5.0μm程度の重質炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、合成ケイ酸、タルク、ゼオライト、マイカ、シリカ、焼成クレー、カオリン、ベントナイト、水酸化アルミニウム及び硫酸バリウム、ガラスバルーン、シリカバルーン、ポリメタクリル酸メチルバルーンが例示される。これら充填材により、硬化物の機械的な性質が改善され、強度や伸度を向上させることができる。
これらの中でも、物性改善の効果が高い、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム及び酸化チタンが好ましく、軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムとの混合物がより好ましい。充填剤の添加量は、第一の重合体(A)及び第二の重合体(B)の総量を100質量部とした場合、20~300質量部が好ましく、より好ましくは、50~200質量部である。上記のように軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムの混合物とする場合には、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウムの質量割合が90/10~50/50の範囲であることが好ましい。
炭酸カルシウムを使用する場合、炭酸カルシウムの表面が脂肪酸や脂肪酸塩等で処理されている表面処理炭酸カルシウムがより好ましい。表面処理を行うことにより炭酸カルシウムが硬化性組成物中で凝集することなく均一に分散するため、無処理の炭酸カルシウムよりも表面処理炭酸カルシウムの方が硬化性組成物のモジュラスを大きくすることができるだけでなく、耐候性、耐熱性を向上させることができる。
可塑剤としては、液状ポリウレタン樹脂、ジカルボン酸とジオールとから得られたポリエステル系可塑剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのエーテル化物あるいはエステル化物;スクロース等の糖類多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合した後、エーテル化又はエステル化して得られた糖類系ポリエーテル等のポリエーテル系可塑剤;ポリ-α-メチルスチレン等のポリスチレン系可塑剤;架橋性官能基を有さないポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの内、架橋性官能基を有さないポリ(メタ)アクリレートが硬化物の耐候性等の耐久性の点で好ましい。中でも、Mwが1,000~7,000の範囲であり、且つ、ガラス転移温度が-30℃以下のものがより好ましい。
硬化性組成物における可塑剤の使用量は、第一の重合体(A)及び第二の重合体(B)を含めた総量を100質量部とした場合、好ましくは0~100質量部の範囲であり、0~80質量部の範囲であってもよく、0~50質量部の範囲であってもよい。
老化防止剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物及びシュウ酸アニリド系化合物などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物などの光安定剤、ヒンダードフェノール系などの酸化防止剤、熱安定剤、またはこれらの混合物である老化防止剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、BASF社製の商品名「チヌビン571」、「チヌビン1130」、「チヌビン327」が例示される。光安定剤としては同社製の商品名「チヌビン292」、「チヌビン144」、「チヌビン123」、三共社製の商品名「サノール770」が例示される。熱安定剤としては、BASF社製の商品名「イルガノックス1135」、「イルガノックス1520」、「イルガノックス1330」が例示される。紫外線吸収剤/光安定剤/熱安定剤の混合物であるBASF社製の商品名「チヌビンB75」を使用してもよい。
硬化促進剤としては、錫系触媒、チタン系触媒及び3級アミン類等の公知の化合物を使用することができる。
錫系触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセトナート、ジオクチル錫ジラウレート等が挙げられる。具体的には、日東化成社製の商品名「ネオスタンU-28」、「ネオスタンU-100」、「ネオスタンU-200」、「ネオスタンU-220H」、「ネオスタンU-303」、「SCAT-24」等が例示される。
チタン系触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラn-ブチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセチルアセトナート、ジブトキシチタンジアセチルアセトナート、ジイソプロポキシチタンジアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート等が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8-ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン-7(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン等が挙げられる。
硬化促進剤の使用量は、第一の重合体(A)及び第二の重合体(B)の合計100質量に対し、好ましくは0.1~5質量部であり、より好ましくは0.5~2質量部である。
タック防止剤としては、アクリル系オリゴマーである東亞合成社製の商品名「アロニックスM8030」、「M8100」,「M309」、または光重合開始剤との混合物、桐油、亜麻仁油などの飽和脂肪酸油、出光石油社製の商品名「R15HT」、日本曹達社製の商品名「PBB3000」、日本合成化学者製の商品名「ゴーセラック500B」などが例示される。
密着性付与剤としては、信越シリコーン社製の商品名「KBM602」、「KBM603」、「KBE602」、「KBE603」、「KBM902」、「KBM903」などのアミノシラン類が例示される。
その他にも、オルト蟻酸メチル、オルト酢酸メチル、及びビニルシラン等の脱水剤、有機溶剤等を配合してもよい。
5.硬化性組成物の製造方法
本発明の硬化性組成物は、全ての配合成分を予め配合密封保存し、塗布後空気中の湿分を吸収することにより硬化する1成分型として調製することが可能である。また、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合組成物を使用前に混合する2成分型として調製することもできる。このうち、取扱いが容易で、塗布時の調合混合の間違いも少ない1成分型がより好ましい。
6.硬化性組成物の使用方法
本発明の硬化性組成物は、常温で硬化し、耐候性及び機械的物性に優れた硬化物が得られる。このため、高い耐久性が求められるシーリング材組成物又は接着剤組成物として好適に利用することができる。本発明のシーリング材組成物及び接着剤組成物は、前記硬化性組成物を含有するものであり、必要によりその他の成分が常法に従って配合される。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り質量部及び質量%を意味する。
製造例、実施例及び比較例で得られた重合体の分析方法、並びに硬化性組成物から得られた硬化物の評価方法について以下に記載する。
<分子量測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置(型式名「HLC-8320」、東ソー社製)を用いて、下記の条件よりポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を得た。また、得られた値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
○測定条件
カラム:東ソー製TSKgel SuperMultiporeHZ-M×4本
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI
<粘度測定>
TVE-20H型粘度計(塩水/平板方式、東機産業社製)を用いて、下記の条件下でE型粘度を測定した。
○測定条件
コーン形状:角度1°34′、半径24mm(10000mPa・s未満)
角度3°、半径7.7mm(10000mPa・s以上)
温度:25℃±0.5℃
<第一の重合体(A)に含まれる架橋性シリル基の平均数>
架橋性シリル基であるアルコキシシリル基の数(平均数)f(Si)はポリマー組成全体を100質量部とした場合の架橋性シリル基を有する単量体の質量部から、下記数式(3)を用いて算出した。
f(Si)=Σ{(各シリル基単量体の質量部)/(各シリル基単量体の分子量)}/100×Mn (3)
(上記数式(3)中、Mnは生成した重合体の数平均分子量であり、Σは複数種のシリル単量体を用いた場合に各シリル単量体に由来する値の合計であることを意味する。)
<耐候性試験>
各硬化性組成物を厚さ2mmでテフロン(登録商標)のシートに塗布し、23℃、50%RHの条件下で1週間養生して硬化シートを作成した。得られた硬化物をメタリングウェザーメーター(ダイプラ・ウィンテス社製「DAIPLA METAL WEATHER KU-R5NCI-A」(商品名))に入れ、促進耐候試験を行った。条件は照射63℃、70%RH、照度80mW/cmとし、2時間に1回2分間のシャワーで試験を実施した。外観にクラック等の異常が生じ始めた時間を記録した。
<引張試験>
各硬化性組成物を厚さ2mmでテフロン(登録商標)のシートに塗布し、23℃、50%RHの条件下で1週間養生して硬化シートを作成した。得られた硬化物より引張試験用ダンベル(JIS K 6251 3号型)を作成し、引張試験機(オートグラフAGS-J、島津製作所社製)を用いて、引張速度200mm/分の条件下での破断伸び及び破断強度を測定した。
<耐熱性試験>
各硬化性組成物を厚さ2mmでテフロン(登録商標)のシートに塗布し、23℃、50%RHの条件下で1週間養生して硬化シートを作成した。得られた硬化物より引張試験用ダンベル(JIS K 6251 3号型)を作成し、100℃に加熱した通風乾燥機に、2週間静置した。そして、通風乾燥機から引張試験用ダンベルを取り出し、1日さらに静置した後、上述と同様の引張試験を実施した。加熱試験前後の破断伸びの比から、保持率を算出した。
<第一の重合体(A)及び第二の重合体(B)の製造>
(合成例1) 共重合体A-1の製造
オイルジャケットを備えた容量1000mLの加圧式攪拌槽型反応器の温度を193℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、アクリル酸n-ブチル(以下、「BA」という)を85.2部、アクリル酸テトラデシル(以下、「TDA」という。)を10部、ビニルトリメトキシシラン(ダウ・東レ社製、商品名「Z6300」、以下「VTMS」という。)を4.8部、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」という)を3部、オルソ酢酸トリメチル(日宝化学社製、商品名「MOA」、以下、「MOA」という。)を4部、メチルエチルケトン(以下、「MEK」という)を3部、重合開始剤としてジ-t-ヘキシルパーオキサイド(日油製、商品名「パーヘキシルD」、以下、「DTHP」という)を0.2部からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケットの温度を制御することにより、反応温度を192~194℃に保持した。
単量体混合物の供給開始から温度が安定した時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、ビニル共重合体A-1を得た。
<ポリマー組成の算出>
上記の揮発成分のガスクロマトグラフを測定し、各成分の含有量を算出した。各成分の供給量から揮発成分の量を差し引くことにより、ポリマー組成を決定した。
(ガスクロマトグラフ測定条件)
ガスクロマトグラフ装置:GC390(ジーエルサイエンス社製)
カラム:CP-WAX52CB(アジレント・テクノロジー社製)
キャリアガス:窒素ガス(1.9mL/分)
インジェクション温度:220℃
ディテクター温度:230℃
オーブン温度:40℃×5分保持、7℃/分で昇温、230℃×5分保持。
・検量線の作成
測定成分(標品)およびアクリル酸イソブチル(内部標準)を、各0.1g精秤し、テトラヒドロフラン(5mL)に溶解させる。この混合液をガスクロマトグラフ測定し、各成分の内部標準に対する検出感度を求める。
・測定
揮発成分1gおよびアクリル酸イソブチル0.1gを精秤し、テトラヒドロフラン(10mL)に溶解させる。この混合液をガスクロマトグラフ測定し、揮発成分の組成を求めた。単位時間当たりの供給液組成から留出液の組成を差し引くことにより、ポリマー組成を算出した。
<残揮発成分量の測定>
(ガスクロマトグラフ測定条件)
上記のクロマトグラフ測定条件に同じ。
・検量線の作成
測定成分(標品)およびアクリル酸イソブチル(内部標準)を、各0.02g精秤し、テトラヒドロフラン(5mL)に溶解させる。この混合液をガスクロマトグラフ測定し、各成分の内部標準に対する検出感度を求める。
・測定
重合体成分1gおよびアクリル酸イソブチル0.02gを精秤し、テトラヒドロフラン(10mL)に溶解させる。この混合液をガスクロマトグラフ測定し、重合体中に含まれる残揮発成分量を算出した。表1中の残揮発成分量は、重合体に含まれる単量体、溶媒、開始剤等に由来するすべての揮発成分の含有量を表し、残単量体量は、そのうち、単量体の含有量を表す。
単体量の検出下限:0.05%
(合成例2~13)
表1のように変更した以外は、合成例1と同様の方法により合成した。
(合成例14)(共重合体B-3の製造)
オイルジャケットを備えた容量1000mLの加圧式攪拌槽型反応器に、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体(0.05g)、ポリプロピレングリコール(Mn:2000、50g)、プロピレングリコール(500g)を入れ、120℃に加熱し、圧力変化がなくなるまで反応させた。次いで、120℃で1時間真空加熱し、揮発成分を留去させた。その後、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液(10.1g)を加え、100℃で1時間減圧し、メタノールを留去した。次いで、塩化アリル(4.2g)を加え、100℃で2時間加熱を行った。その後、反応液を、水(300ml)で2回洗浄し、塩を除去した。100℃で2時間真空加熱による脱水を行った後、塩化白金酸6水和物(0.02g)、メチルジメトキシシラン(5.6g)を加え、4時間反応させ、ポリプロピレングリコールの両端シリル化物を得た。GPC測定の結果、Mn:25800、Mw:29000であった。
<硬化性組成物の調製及び評価>
実施例1~15、比較例1~4
上記合成例で得られた共重合体及び市販の原料を表2又は表3に示す割合で配合し、プラネタリーミキサーを用いて、温度60℃、10Torrの条件で1時間混合することにより硬化性組成物を得た。各組成物から得られた硬化物について引張試験、耐候性試験および耐熱性試験を行い、結果を表2及び表3に示した。
Figure 2022067431000006
表1に示された略号の詳細は以下の通り。
BA:アクリル酸n-ブチル
TDA:アクリル酸テトラデシル
VTMS:ビニルトリメトキシシラン(商品名「Z-6300」、ダウ・東レ社製)
VDMS:ビニルメチルジメトキシシラン(商品名「Z-2349」、ダウ・東レ社製)
TMS:3-メトクリロキシプロピルトリメトキシシラン
DMS:3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン
IPA:イソプロピルアルコール
MOA:オルソ酢酸トリメチル
MEK:メチルエチルケトン
DTBP:ジ-t-ブチルパーオキシド
DTHP:ジ-t-ヘキシルパーオキシド
Figure 2022067431000007
Figure 2022067431000008
表2及び表3に示された略号の詳細は以下の通り。
B-4:商品名「エクセスター ES-S3430」(架橋性シリル基を有する分岐型ポリオキシアルキレン重合体、Mn:20000、AGC社製)
UP-1110:商品名「ARUFON UP-1110」(無官能型アクリル重合体、Mw:2500、東亞合成社製)
CCR:商品名「白艶華CCR」(軽質炭酸カルシウム、白石カルシウム社製)
スーパーSS:商品名「スーパーSS」(重質炭酸カルシウム、丸尾カルシウム社製)
R-820:商品名「タイペークR-820」(酸化チタン、石原産業社製)
チヌビンB75:商品名「チヌビンB75」(ヒンダードフェノール、UV吸収剤、ヒンダードアミンの混合物、BASF社製)
U-220H:商品名「ネオスタンU-220H」(ジブチルスズジアセチルアセトナート、日東化成社製)
SH6020:商品名「SH 6020」(3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ダウ・東レ社製)(密着付与剤)
Z6300:商品名「DOWSIL Z-6300」(ビニルトリメトキシシラン、ダウ・東レ社製)(脱水剤)
表2において、比較例1及び2と実施例1~4との対比から、架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いた共重合体に代えて第一の重合体(A)を使用することにより、耐候性及び耐熱性が改善されることが分かる。また、実施例1~4から、用いる第一の重合体(A)の分子量が高いほど、耐候性に優れることが分かる。また、実施例5~7から、第二の重合体(B)に対する第一の重合体(A)の量が多くなるほど、耐候性に優れることが分かる。また、実施例6、9及び10から、第一の重合体(A)の1分子中のシリル基の数が多い方が耐候性が良くなることが分かる。また、実施例3と6との比較で、単量体(a)としてビニルトリメトキシシランを使用した場合より、ビニルメチルジメトキシシランを使用した場合のほうが耐熱性に優れることが分かる。また、実施例1~4と実施例8との対比から、第二の重合体(B)として成分(B2)よりも成分(B1)を使用した方が耐候性及び耐熱性に優れることが分かる。
表3から、低分子量(低粘度)の第一の重合体(A)は、可塑剤の効果を示すとともに、耐熱性、耐候性、伸び率の改善効果もあることが分かる。
本発明の硬化性組成物は、大気中の水分等により常温で硬化し、優れた耐候性と機械物性を有する硬化物を提供する。また、適度な粘度を有することから、作業性にも優れる。よって、シーリング材、外装タイル用接着剤等に向けた硬化性組成物として好適である。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で示される架橋性シリル基含有単量体(a)に由来する構成単位および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b)に由来する構成単位を含む第一の重合体(A)と、
    架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B1)(ただし、下記式(1)で示される架橋性シリル基含有単量体(a)に由来する構成単位を含む共重合体は除く)、および、架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体(B2)からなる群より選ばれた少なくとも1種である第二の重合体(B)とを含み、
    第一の重合体(A)の第二の重合体(B)に対する質量比((A)/(B))が、5/95~95/5であることを特徴とする硬化性組成物。
    Figure 2022067431000009

    (式(1)中、Rは、炭素数1~10のアルキル基を表し、Rは、直接結合またはメチレン基を表し、Rは、水素またはメチル基を表し、Xは、水酸基または炭素数1~4のアルコキシ基を表し、nは、0、1または2の整数を表す。)
  2. 第一の重合体(A)は、さらに、上記単量体(a)および/または上記単量体(b)と共重合可能なビニル単量体(c)に由来する構成単位を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 第一の重合体(A)の重量平均分子量が、1000以上、50,000以下である請求項1または2記載の硬化性組成物。
  4. 第一の重合体(A)の25℃における粘度が、500以上、300,000mPa・s以下である請求項1~3の何れか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 架橋性シリル基含有単量体(a)が、n=1である式(1)で示されるものである請求項1~4の何れか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1~5の何れか1項に記載の硬化性組成物からなるシーリング材組成物。
  7. 請求項1~5の何れか1項に記載の硬化性組成物からなる接着剤組成物。
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