JP2012046698A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化物の破断伸びが高く、耐熱性及び耐候性に優れた実用性の高い硬化性組成物を提供する。
【解決手段】加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と、二級水酸基を有し、かつ、水酸基価が40〜110mgKOH/gである(メタ)アクリル系共重合体(B)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。当該硬化性組成物は、更に加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(C)及びアルコール性水酸基を有する化合物(D)を含有することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、室温硬化可能な硬化性組成物に関し、さらに詳しくは、破断伸びが高く、耐熱性及び耐候性に優れた硬化性組成物に関するものである。
室温硬化型の反応性基を有する有機重合体を含有する硬化性組成物は、建築物のシーリング材や接着剤として利用されている。たとえば、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体をベースとする硬化性組成物は、作業性が良好で、破断伸びや破断強度などの機械的物性のバランスが良い建築用シーリング材として広く利用されている。建築用シーリング材は、サイディング材や金属カーテンウォールなどの経時的に伸縮する部材の隙間に充填して利用されるため、高い破断伸びが求められる。また、長期にわたり性能を維持する耐熱性及び耐候性も重要であり、これまでにもさまざまな検討がなされている。例えば、特許文献1には、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体と加水分解性シリル基を有するビニル系重合体を併用する方法が開示されている。また、特許文献2には、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体と、加水分解性シリル基を有するビニル系重合体と、水酸基を有する特定の(メタ)アクリル系共重合体を含有する硬化性組成物が記載されており、破断伸びが高く、優れた耐候性を発現することが開示されている。
特開昭59−122541号公報 国際公開WO2009/145245号公報
しかしながら、特許文献1のような加水分解性シリル基を有するビニル系重合体を含有する硬化性組成物は耐候性に優れるものの、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体のみからなる硬化性組成物と比較して破断伸びが低くなるという問題がある。また、特許文献2の硬化性組成物では、耐候性は改善されるものの、加熱後の破断伸びが低下し、耐熱性に問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、硬化物の破断伸びが高く、耐熱性及び耐候性に優れた実用性の高い硬化性組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、二級水酸基を有する特定の(メタ)アクリル系共重合体を、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体に配合すると、高い破断伸びを発現し、かつ、優れた耐熱性と耐候性を示す硬化性組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。また、前記硬化性組成物に更に、アルコール性水酸基を有する化合物を所定量配合した場合は、加熱後の破断伸びの低下が抑えられ、耐熱性がより優れることを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と、二級水酸基を有し、かつ、水酸基価が40〜110mgKOH/gである(メタ)アクリル系共重合体(B)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
2.上記(メタ)アクリル系共重合体(B)の粘度が、1000〜70000であることを特徴とする上記1に記載の硬化性組成物。
3.上記(メタ)アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量が、1000〜8000であることを特徴とする上記1又は2に記載の硬化性組成物。
4.上記(メタ)アクリル系共重合体(B)が、150〜350℃の高温連続重合により得られたものであることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
5.更に、加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(C)を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
6.上記ビニル系重合体(C)の含有量が、上記オキシアルキレン系重合体(A)と上記ビニル系重合体(C)の合計100質量部に対して、5〜80質量部であることを特徴とする上記5に記載の硬化性組成物。
7.更に、アルコール性水酸基を有する化合物(D)を含有する硬化性組成物であって、前記アルコールの含有量が、上記オキシアルキレン系重合体(A)、上記(メタ)アクリル系共重合体(B)及び上記ビニル系重合体(C)の合計100質量部に対して、3〜40質量部であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
8.上記アルコール性水酸基を有する化合物(D)は、一分子中に1個の水酸基を有するものであることを特徴とする上記7に記載の硬化性組成物。
9.上記アルコール性水酸基を有する化合物(D)の炭素数が、6〜12であることを特徴とする上記7又は8に記載の硬化性組成物。
本発明に係る硬化性組成物は、以上のように、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と、二級水酸基を有し、かつ、特定の水酸基価である(メタ)アクリル系共重合体(B)とを含有する。そのため、大気中の水分などにより室温硬化して、高い破断伸びを発現し、かつ、優れた耐熱性及び耐候性を有するという効果を奏する。耐熱性試験では、劣化を促進することにもなることから、優れた耐熱性とは、優れた耐久性も意味する。また、本発明の硬化性組成物は、適度な粘度であることから、作業性にも優れる。
また、本発明の硬化性組成物が、更に加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(C)を含有する場合は、より耐候性に優れた硬化性組成物とすることができる。
更に、本発明の硬化性組成物が、アルコール性水酸基を有する化合物(D)を含有する場合は、より耐熱性に優れた硬化性組成物とすることができる。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明に係る硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と、二級水酸基を有し、かつ、水酸基価が40〜110mgKOH/gである(メタ)アクリル系共重合体(B)とを含有するものである。加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体(A)[以下、「成分(A)」ともいう]は、大気中などの水分によりシロキサン結合を形成し、架橋して硬化物となる分子内にシリル基を1個以上含有する有機重合体であって、硬化性組成物のベース樹脂となるものである。
成分(A)のオキシアルキレン単位としては、以下のものが挙げられる。
−(CH2n−O−(nは1〜10の整数)
−CH2CH(CH3)−O−
−CH2CH(C25)−O−
−CH2C(CH32−O−
−CH2CH(CH=CH2)−O−
オキシアルキレン重合体中に上記の繰り返し単位を1種又は2種以上が含まれていてもよい。作業性に優れる点で、−CH2CH(CH3)−O−なるオキシアルキレン単位を有する化合物は好ましいものである。
成分(A)のオキシアルキレン重合体の重合方法としては、特に限定されるものではないが、KOHのようなアルカリ触媒による重合法、遷移金属化合物−ポルフィリン錯体触媒による重合法、複合金属シアン化物錯体触媒による重合法、フォスファゼンを用いた重合法等が挙げられる。複合金属シアン化物錯体触媒による重合法(米国特許第3278457号、米国特許第3278458号等参照)は、高分子量で分子量分布が狭いポリマーを得るのに適しており、硬化性組成物の粘度と硬化物の破断伸びのバランスが優れるため好ましい。
成分(A)の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)によるポリスチレン換算分子量で2000〜50000であることが好ましい。重量平均分子量が2000未満では、硬化性組成物の柔軟性が不足する場合があり、重量平均分子量が50000を超えると組成物の粘度が高くなるため、硬化性組成物の塗工時に作業性が低下する場合がある。
成分(A)に含有される加水分解性シリル基は、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、硬化触媒による反応によってシロキサン結合を形成することにより架橋し得る基である。加水分解性シリル基としては、特に限定されないが、架橋し易く製造し易い点で下記一般式(1)のものが好ましい。
Figure 2012046698
(式中、Rは炭化水素基を示し、好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。Xはハロゲン原子、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニルオキシ基及びアミノオキシ基より選ばれる反応性基であり、Xが複数存在する場合には、Xは同じ基であるか、あるいは相異なる基であってもよい。Xはアルコキシ基が好ましい。nは0、1又は2の整数である。)
成分(A)のアルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、メチルジメトキシエトキシシリル基を有するものが好ましい。硬化速度と柔軟性のバランスからトリメトキシシリル基又はメチルジメトキシシリル基が特に好ましい。
また、1分子中のアルコキシシリル基の数は1〜4個が好ましく、より好ましくは1.5〜3個である。1個未満では硬化不十分になり、4個を超えると硬化物が硬くなるからである。
成分(A)の具体例としては、カネカ社製の商品名「MSポリマーS202」、「MSポリマーS303」、「サイリルSAT200」、「サイリルSAT30」、旭硝子社製の商品名「エクセスターES−2410」、「エクセスターES−S2420]、「エクセスターES−3430]等が挙げられる。
本発明に係る(メタ)アクリル系共重合体(B)[以下、「成分(B)」ともいう]は、二級水酸基を有し、かつ、水酸基価が40〜110mgKOH/gである有機重合体である。成分(B)は、硬化性組成物において可塑剤として機能するものであり、加水分解性シリル基を有さない。成分(B)は、組成物の硬化前は粘度を調整し、作業性を向上させるという作用を有する。また、組成物の硬化後は、硬化物の機械的物性を調整し、耐熱性や耐候性などの耐久性を高める作用を有する。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
成分(B)は、二級水酸基含有(メタ)アクリル系単量体と、その他の(メタ)アクリル系単量体との共重合体であって、(メタ)アクリル系単量体の1種又は2種以上を重合させる際に少量の二級水酸基含有(メタ)アクリル系単量体を共重合体成分としたものである。成分(B)の製造に使用する全単量体に対する水酸基含有(メタ)アクリル系単量体の割合は、成分(B)の水酸基価が40〜110mgKOH/gに入るように調整する。
二級水酸基含有(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチルなどが挙げられる。この中でも、耐熱性が向上することから、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルが好ましい。これは、短い側鎖の先にある水酸基の方が、長い側鎖の先にある水酸基より、反応性が低いためと考えられる。
その他の(メタ)アクリル系単量体としては、特に限定されないが、硬化物の機械的物性の観点から、炭素数1〜8のアルキル基をエステル鎖に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
炭素数1〜8のアルキル基をエステル鎖に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸脂肪族アルキル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸クロロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル及び(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等のヘテロ原子含有(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられるが、これらに限らない。また、これらのうちの1種類又は2種類以上を重合してもよい。
成分(B)は、通常のラジカル重合によって得ることができ、溶液重合、塊状重合、分散重合いずれの方法でもよく、また、近年開発されたリビングラジカル重合法でもよい。反応プロセスは、バッチ式、セミバッチ式、連続重合のいずれの方法でも良い。しかし、もっとも好ましくは150〜350℃の高温連続重合方法により得られるものがよい。重合温度が150℃に満たない場合は、分岐反応が起こり分子量分布を広くし、分子量を下げるのに多量の開始剤や連鎖移動剤を必要とするため耐熱性、耐候性などの耐久性に悪影響を与える。また、除熱などの生産上の問題がおこることもある。他方350℃より高すぎると、分解反応が発生して重合液が着色したり、分子量が低下したりする。前記の温度範囲で重合することにより、分子量が適当で粘度が低く、無着色で夾雑物の少ない共重合体を効率よく製造することができる。すなわち、当該重合方法によれば、極微量の重合開始剤を使用すればよく、メルカプタンのような連鎖移動剤や、重合溶剤を使用する必要がなく、純度の高い共重合体が得られる。一般的に重合体中に均一に架橋性官能基が導入されることが、硬化性や耐侯性等の物性を保つ上で重要である。反応器に攪拌槽型反応器を用いれば組成分布(架橋性官能基の分布)や分子量分布の比較的狭い(メタ)アクリル酸エステル共重合体を得ることができるため好ましい。また、管状型反応器よりも連続攪拌槽型反応器を用いるプロセスが組成分布、分子量分布を狭くするのでより好ましい。
高温連続重合法としては、特開昭57−502171号、特開昭59−6207号、特開昭60−215007号等に開示された公知の方法に従えば良い。例えば、加圧可能な反応機を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、各単量体、及び必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応機へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法が挙げられる。また、単量体混合物には、必要に応じて重合開始剤を配合することもできる。その配合する場合の配合量としては、単量体混合物100質量部に対して0.001〜2質量部であることが好ましい。圧力は、反応温度と使用する単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影響を及ぼさないが、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。単量体混合物の滞留時間は、1〜60分であることが好ましい。滞留時間が1分に満たない場合は単量体が充分に反応しない恐れがあり、未反応単量体が60分を越える場合は、生産性が悪くなってしまうことがある。好ましい滞留時間は2〜40分である。
成分(B)の製造に使用するラジカル重合開始剤としては、所定の反応温度でラジカルを発生する開始剤であれば何でもよい。具体的にはジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びラウロイルパーオキサイド等の過酸化物、又は2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム及び過硫酸カリウム等の無機過酸化物、リビング重合に用いられる金属錯体等があげられる。またスチレン等から発生する熱開始ラジカルでもよい。
特に好ましくは、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ジターシャリーヘキシルパーオキサイド、ジターシャリーアミルパーオキサイド、アゾ系開始剤は、安価で開始剤ラジカルが水素引抜きを起こしにくいのでよい。水素引き抜き反応を頻度高く起こすと分子量分布が広くなり、架橋性官能基の導入されていない低分子量成分が出来やすく、耐侯性が悪化する場合がある。
本発明では、有機溶媒中で行う溶液重合と、無溶剤で行う塊状重合を用いることができる。この中では、塊状重合が好ましいが、有機溶媒を用いる場合は、有機炭化水素系化合物が適当でありテトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。(メタ)アクリル酸エステル共重合体をよく溶解しない溶剤では、反応器の壁にスケールが成長しやすく洗浄工程等で生産上の問題がおきやすい。溶媒の使用量は、80部以下とすることが好ましい。
成分(B)の水酸基価は、40〜110mgKOH/gである必要があり、好ましくは60〜110mgKOH/gであり、より好ましくは70〜100mgKOH/gである。水酸基価が40mgKOH/g未満では破断伸びが不十分である。一方、110mgKOH/gを超えると成分(A)との相溶性が低下したり、粘度が高くなったりする。その結果、可塑剤としての効果が低下し、硬化性組成物の作業性が低下する。なお、本願発明における水酸基価は、JIS K 0070によって求めた値である。
成分(B)の25℃における粘度は、1000〜70000mPa・sであることが好ましく、1000〜30000であることがより好ましく、1000〜10000mPa・sであることが特に好ましい。粘度が1000mPa・s未満では施工時にタレが生じる場合があり、70000mPa・sを超えると硬化性組成物の作業性が悪くなる。
成分(B)の重量平均分子量は、GPCによるポリスチレン換算分子量で1000〜8000であることが好ましく、1500〜6000であることがより好ましく、2000〜4000であることが特に好ましい。重量平均分子量が1000未満では耐候性が不十分になる場合があり、8000を超えると高粘度になるため、可塑剤としての効果が低下し、硬化性組成物の作業性が低下する。
成分(B)のガラス転移温度は、−10℃以下が好ましく、−20℃以下であることがより好ましい。ガラス転移温度が−10℃以下であれば、冬季でもゴム弾性が得られるからである。
本発明に係る硬化性組成物における成分(B)の含有量は、前記成分(A)と加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(C)[以下、「成分(C)」ともいう]の合計100質量部に対して、20〜120質量部であることが好ましく、40〜70質量部であることがより好ましい。成分(B)の含有量が20質量部未満では、作業性の悪化や、破断伸びが不足する場合があり、70質量部を超えると、耐候性が不足する場合がある。
本発明に係る硬化性組成物は、前記成分(A)及び(B)に加えて、更に成分(C)を含有させることができる。成分(C)は、成分(A)と同様に分子内に加水分解性シリル基を有する有機重合体であり、硬化性組成物のもう一つのベース樹脂となるものである。
成分(C)の製造に使用するビニル系単量体としては特に限定されないが、硬化性組成物にしたときの機械的物性、耐侯性の点から、(メタ)アクリル酸系共重合体であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基をエステル鎖に有するアクリル酸アルキルエステル、アルコキシシリル基を有するビニル系単量体及びその他のビニル系単量体を使用することが好ましい。各単量体の好ましい割合は、炭素数1〜8のアルキル基をエステル鎖に有するアクリル酸アルキルエステル:40〜99.5質量部、架橋性官能基としてアルコキシシリル基を有するビニル単量体:0.5〜20質量部、その他のビニル単量体:0〜59.5質量部使用することが好ましい。各単量体のより好ましい割合は、それぞれ60〜99質量部、0.5〜7質量部及び0〜39質量部(ビニル重合体の製造に使用する全単量体100質量部を基準とした割合)である。
炭素数1〜8のアルキル基をエステル鎖に有するアクリル酸アルキルエステルが40質量部未満ではガラス転移温度が高くなり、ゴム弾性が低下する場合があり、99.5質量部を超えると柔らかくなり、硬化物の強度が低下する場合がある。アルコキシシリル基を有するビニル単量体が0.5質量部未満では架橋密度が低く強度が低下する場合があり、20質量部を超えると架橋密度が高くなり硬化物の伸びが出ない場合がある。
炭素数1〜8のアルキル基をエステル鎖に有するアクリル酸アルキルエステルとしては、具体的にはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸脂肪族アルキル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸クロロエチル、アクリル酸トリフルオロエチル及びアクリル酸テトラヒドロフルフリル等のヘテロ原子含有アクリル酸エステル類が挙げられるが、これらに限らない。また、これらのうちの1種類又は2種類以上を重合してもよい。
アルコキシシリル基を有するビニル系単量体としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランン等のビニルシラン類、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリエトキシシリルプロピル及びアクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル等のシリル基含有アクリル酸エステル類、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル及びメタクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、メタクリル酸ジメチルメトキシシリルプロピル等のシリル基含有メタクリル酸エステル類、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル等のシリル基含有ビニルエーテル類、トリメトキシシリルウンデカン酸ビニル等のシリル基含有ビニルエステル類等が挙げられる。好ましい単量体は、アクリル酸エステルとの共重合性や、共重合体の柔軟性より、メトキシシリル基またはエトキシシリル基を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルであり、より好ましくは、メタクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸メチルジエトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリエトキシシリルプロピルである。
その他のビニル系単量体は、成分(C)及びその配合物の物性を損なわない範囲で使用することができる。係る単量体としては、炭素数12以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル類、具体的には、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、及びアクリル酸ステアリルなどが例示される。更に、メタクリル酸エステル類、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸トリシクロデシニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどが例示される。これらの中でもメタクリル酸エステルが好ましい。エステルのアルコール残基の炭素数が4以上のものは、重合体の粘度が低く、硬化性組成物の耐侯性などの耐久性が優れるため好ましい。エステルのアルコール残基の炭素数が10以上のものは、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体との相溶性を向上させるという効果もある。更に、紫外線吸収能を有する単量体、光安定性を有する単量体、各種の官能基を有する単量体を用いることも可能である。紫外線吸収能を有する単量体としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、メタクリロキシヒドロキシプロピル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート及び2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン等が挙げられる。また、光安定性を有する単量体としては、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート及び2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート等が挙げられる。
官能基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル及びビニルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体、アクリル酸及びメタクリル酸類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド及びN,N−ジメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
更に、エチレン、プロピレン、1−ブテン及びイソブチレンなどのα−オレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのクロロエチレン類、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデンなどのフルオロエチレン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル及びシクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ベオバ9、ベオバ10(シェル化学製、炭素数が9及び10の脂肪酸ビニル)及びラウリン酸ビニル等のビニルエステル類、エチルアリルエーテル及びブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類が挙げられる。
成分(C)の製造は、前記成分(B)と同様に通常のラジカル重合によって得ることができ、溶液重合、塊状重合、分散重合いずれの方法でもよく、また、近年開発されたリビングラジカル重合法でもよい。反応プロセスは、バッチ式、セミバッチ式、連続重合のいずれの方法でも良い。しかし、もっとも好ましくは150〜350℃の温度で連続塊状重合により得られるものがよい。耐熱性及び耐候性に優れた硬化性組成物が得られるからである。また、連鎖移動剤は耐候性の低下につながるため、使用しないことが好ましい。
成分(C)の重量平均分子量はGPCによるポリスチレン換算分子量で5000〜100000が好ましく、10000〜50000であることがより好ましい。重量平均分子量が5000以上であれば硬化性組成物の機械的強度が十分であり、100000以下であれば粘度が適性で作業性がよいからである。
また、成分(C)のガラス転移温度は、−70〜30℃が好ましく、−70〜10℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が30℃以下であれば、冬季でも十分なゴム弾性を有するからである。更に、成分(C)の一分子中のアルコキシシリル基の数は0.1〜4個が好ましく、0.3〜3個であることがより好ましい。アルコキシシリル基の数が0.1個以上であれば硬化性もよく、4個以下であれば硬化物が硬くならないからである。
硬化性組成物における成分(C)の含有量は、上記オキシアルキレン系重合体(A)とビニル系重合体(C)の合計100質量部に対して、5〜80質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましく、30〜70質量部であることが特に好ましい。成分(C)の含有量が、増加する程、耐候性が良くなる反面、破断伸びが低下する。成分(C)の含有量が5質量部未満では、耐候性が不足する場合があり、80質量部を超えると、破断伸びが不足する場合がある。
本発明に係る硬化性組成物は、更にアルコール性水酸基を有する化合物(D)[以下、「成分(D)」ともいう]を含むことができる。アルコール性水酸基を有する化合物を所定量配合することにより、加熱後の破断伸びの低下を抑制することができる。成分(B)は組成分布により2個以上の水酸基を有する分子が存在するため、加熱時に成分(A)及び成分(C)が有する加水分解性シリル基と、成分(B)の水酸基が反応し架橋することで、破断伸びが低下すると推測される。そこで、アルコール性水酸基を有する化合物(D)を配合することにより、成分(B)の水酸基が反応するより先に、成分(D)のアルコール性水酸基が反応し、破断伸びの低下を抑制することができると考えられる。
アルコール性水酸基を有する化合物(D)としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アリルアルコール、n−アミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、sec−ヘキシルアルコール、ジアセトンアルコール、ピナコリルアルコール、n−ヘプチルアルコール、2−ヘプチルアルコール、3−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール(1−オクタノール)、sec−オクチルアルコール、tert−オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、n−ノニルアルコール(1−ノナノール)、デシルアルコール、イソデシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール(1−ドデカノール)、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール(1−オクタデカノール)、オレイルアルコール等の脂肪族アルコール類;ベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2,4−ジメトキシベンジルアルコール、シンナミルアルコール、p−クマリルアルコール、2−フェニル−2−プロパノール、4−イソプロピルベンジルアルコール、o−クミルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、フェノキシエタノール、フルフリルアルコール等の芳香族アルコール;シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール等の環式アルコールが挙げられ、2種以上併用してもよい。
また、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、3,4−ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール;グリセリン、トリエチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール及び1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の脂肪族多価アルコールも使用することができる。
また、アミノアルコール類を使用することもできる。アミノアルコールとしては、例えば、エタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
これら成分(D)の中で、分子中にアルコール性水酸基を1個有する化合物を使用することが好ましい。多価アルコール類は、架橋剤として機能するため、硬化物の機械的物性が低下する場合がある。
また、成分(D)は、炭素数6〜12の化合物であることが好ましく、炭素数8〜12であることがより好ましい。炭素数が6未満であると、硬化性組成物から成分(D)が揮発しやすく、十分な耐熱性が得られない場合がある。一方、炭素数が12を越えると硬化性組成物の粘度が高くなりすぎ、作業性に劣る場合がある。
硬化性組成物における成分(D)の含有量は、上記成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して、3〜40質量部であることが好ましく、3〜15質量部であることがより好ましい。成分(D)の含有量が3質量部に満たないと耐熱性が不十分になる場合がある。一方、当該含有量が40質量部を超えると、破断強度が不足する場合がある。また、硬化性組成物の粘度が低くなり、施工時にタレが生じる場合がある。
本発明に係る硬化性組成物は、前記成分(A)〜(D)以外の成分を含むことができる。係る成分としては、充填材、チクソ性付与剤、老化防止剤、硬化促進剤、密着増強剤及び脱水剤等が含まれる。
充填材としては、平均粒径0.02〜2.0μm程度の軽質炭酸カルシウム、平均粒径1.0〜5.0μm程度の重質炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、合成ケイ酸、タルク、ゼオライト、マイカ、シリカ、焼成クレー、カオリン、ベントナイト、水酸化アルミニウム及び硫酸バリウム、ガラスバルーン、シリカバルーン、ポリメタクリル酸メチルバルーンが例示される。これら充填材により、硬化物の機械的な性質が改善され、強度や伸度を向上することができる。
これらの中でも、物性改善の効果が高い、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム及び酸化チタンが好ましく、軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムとの混合物がより好ましい。充填材の添加量は、成分(A)と成分(C)の合計100質量部を基準として、20〜300質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがより好ましい。前記のように軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムの混合物とする場合には、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム=90/10〜50/50であることが好ましい。充填材の量は、少なすぎても多すぎてもの機械的性質が損なわれることがある。
更に、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物及び蓚酸アニリド系化合物などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物などの光安定剤、ヒンダードフェノール系などの酸化防止剤、又はこれらの混合物である老化防止剤、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセトアセトナート等の錫系硬化促進剤、アマイドワックス系、シリカ系のチクソ性付与剤、アミノシラン、エポキシシラン等の密着性付与剤、ビニルシラン、メチルシラン類やオルト蟻酸メチル及びオルト酢酸メチルなどの脱水剤、更には成分(D)以外の有機溶剤を配合しても良い。
上記紫外線吸収剤としては、チバスペシャリティケミカルズ社製商品名「チヌビン571」、「チヌビン1130」、「チヌビン327」が例示される。光安定剤としては、同社製商品名「チヌビン292」、「チヌビン144」、「チヌビン123」、三共社製商品名「サノール770」が例示される。熱安定剤としては、チバスペシャリティケミカルズ社製商品名「イルガノックス1135」、「イルガノックス1520」、「イルガノックス1330」が例示される。紫外線吸収剤/光安定剤/熱安定剤の混合物;チバスペシャリティケミカルズ社製商品名「チヌビンB75」を使用しても良い。
上記錫系触媒としては、日東化成社製商品名「U28」、「U100」、「U200」、「U220」、「U303」、「SCAT−7」、「SCAT−46A」及び三共有機合成社製商品名「No918」が例示される。チクソ性付与剤としては、楠本化成社製商品名「ディスパロン3600N」、「ディスパロン3800」、「ディスパロン305」、「ディスパロン6500」が例示される。
タック防止剤としては、アクリル系オリゴマーである東亞合成社製商品名「アロニックスM8030」、「M8060」、「M8100」、「M309」、又は光重合開始剤との混合物、桐油、亜麻仁油などの不飽和脂肪酸油、出光石油社製商品名「R15HT」、日本曹達社製商品名「PBB3000」、日本合成化学社製商品名「ゴーセラック500B」などが例示される。
アミノシランとしては、信越シリコーン社製商品名「KBM602」、「KBM603」、「KBE602」、「KBE603」、「KBM903」、「KBE903」などが例示される。
本発明に係る硬化性組成物は、以上のような成分を含有するが、その製造方法は、特に限定されるものではない。具体的には、攪拌装置、遊星式攪拌装置等を用いて、混合することにより製造することができる。
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、塗布後空気中の湿分を吸収することにより硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調整することもできる。取り扱いが容易で、塗布時のミスも少ない1成分型がより好ましい。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
1.評価方法
(1)水酸基価
水酸基価は、JIS K 0070の中和滴定法により測定した。
(2)粘度
粘度は、25℃、5rpmの条件下にE型粘度計にて測定した。
(3)分子量
装置: HLC−8120(東ソー社製)
カラム: TSKgel SuperMultiporeHZ−M 4本(東ソー社製)
カラム温度: 40℃
溶離液: テトラヒドロフラン 0.35ml/min
検出器: RI
GPCにより測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した。
(4)作業性
硬化性組成物を塗布する際の作業性(塗布しやすさ)を次の判定基準で評価した。
[重合体1〜8を使用した際の作業性]
○:良好、△:粘度が高すぎるため塗布しにくい
[実施例と比較例における作業性]
○:良好、△:粘度が低いため流れやすい、×:粘度が高すぎるため塗布できない
(5)引張り試験
各硬化性組成物を厚さ2mmでテフロン(登録商標)のシートに塗布し、23℃、50%RHの条件下で1週間養生して硬化シートを作成した。得られた硬化物より引張り試験用ダンベル(JIS K 6251 2号型)を作成し、引張り試験機(SHIMADZU製、AGS−J)により、破断強度及び破断伸びを測定した。
引張速度:50mm/分
(6)耐熱性試験
上記(5)で得られた硬化物を、90℃で2週間加熱した。得られた硬化物より引張り試験用ダンベル(2号型)を作成し、引張り試験機(SHIMADZU製、AGS−J)により、破断強度及び破断伸びを測定した。
また、初期の破断伸びと、加熱試験後の破断伸びの値から、維持率を求めた。
(7)耐候性試験
上記(5)で得られた硬化物を、メタリングウェザーメーター(ダイプラ・ウィンテス社製「DAIPLA METAL WEATHER KU−R5NCI−A」)に入れ、促進耐候性試験を行った。外観にクラック、ブリード等の異常が生じ始めた時間を記録した。
2.成分(B)の製造
(1)合成例1
オイルジャケットを備えた容量1000mlの加圧式攪拌槽型反応器の温度を200℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、アクリル酸2−エチルヘキシル(以下、「HA」ともいう)を86部、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル(以下、「HPA」ともいう)14部、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」ともいう)10部、重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイドを1.5部からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応温度を249〜251℃に保持した。
単量体混合物の供給開始から温度が安定した時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して濃縮液を得た。溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(以下、「Mn」ともいう)は1220、重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)は2080であった。また、水酸基価は48mgKOH/gであった。この反応により得た共重合体を「重合体1」という。
成分(B)の共重合組成及び評価結果を表1に示す。
(2)合成例2、3、6
表1に示した条件に変更した以外は合成例1と同様に重合及び処理を行い、成分(B)を合成した。得られた成分(B)を「重合体2、3、6」という。
(3)合成例4
単量体混合物を、HAを72部、HPAを28部、溶剤としてメチルエチルケトン(以下、「MEK」という)を10部、重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイドを1.0部に変更し、反応温度を216〜218℃に変更する以外は合成例1と同様に重合及び処理を行い、成分(B)を合成した。Mnは2070、Mwは4290であった。反応により得た成分(B)を「重合体4」という。
(4)合成例5
単量体混合物を、HAを72部、HPAを28部、溶剤としてMEKを10部、重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイドを1.0部に変更し、反応温度を189〜191℃に変更する以外は合成例1と同様に重合及び処理を行い、成分(B)を合成した。Mnは2860、Mwは7240であった。反応により得た成分(B)を「重合体5」という。
(5)合成例7
滴下ロート、窒素導入管、温度計及び攪拌機の付いた3リットルフラスコに、溶剤としてMEK500部を仕込み、窒素置換しながら80℃まで昇温した。温度が一定になったことを確認後、HA800部、HPA200部、ドデシルメルカプタンを181部、MEK200部、及びアゾビスイソブチロニトリル30部の混合物を4時間かけて滴下した。更に1時間攪拌後重合を停止して、MEKを留去後に液状の成分(B)を1070部得た。Mnは1200、Mwは2200であった。反応により得た成分(B)を「重合体7」という。
3.一級水酸基を有するアクリル系共重合体の製造
(1)合成例8
単量体混合物を、HAを75部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」ともいう)を25部、溶剤としてIPAを10部、重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイドを1.5部に変更し、反応温度を246〜248℃に変更する以外は合成例1と同様に重合及び処理を行い、共重合体を合成した。Mnは1280、Mwは2310であった。反応により得た共重合体を「重合体8」という。
Figure 2012046698
4.成分(C)の製造
メタクリル酸ブチルを5部、メタクリル酸メチルを5部、アクリル酸ブチルを44部、HAを42.5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.5部、IPAを6部、オルト酢酸メチルを4部、MEKを8部、重合開始剤としてジターシャリーヘキシルパーオキサイドを0.1部からなる単量体混合物を、反応温度を197〜199℃に変更する以外は合成例1と同様に重合及び処理を行い、成分(C)を合成した。Mnは3600、Mwは11000であった。また、重合体1分子あたりの加水分解性シリル基の数は0.5個であった。反応により得た成分(C)を「アクリルシリコン」という。
<実施例1〜17、比較例1〜3>
実施例及び比較例の組成を表2、3に示す。
加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体(A)としては、旭硝子社製の商品名「ES−S2420」を用いた。「ES−S2420」は、ポリプロピレングリコール骨格のオキシアルキレン系重合体である。
表2、3のその他の成分は次のものを使用した。
合成炭酸カルシウム:白石カルシウム社製 商品名「白艶華CCR」
重質炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製 商品名「スーパーSS」
酸化チタン:石原産業社製 商品名「R−820」
脱水剤:ビニルシラン
密着性付与剤:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
硬化促進剤:ジブチル錫ジアセチルアセトナート
老化防止剤:チバスペシャリティケミカルズ社製 商品名「チヌビンB75」
Figure 2012046698
Figure 2012046698
以上のように、本発明の硬化性組成物は加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体及び二級水酸基を有する特定の(メタ)アクリル系共重合体を含有するため、大気中の水分などによって室温で硬化し、得られた硬化物は高い破断伸びと優れた耐熱性、耐候性を発現する。そのため、本発明の硬化性組成物は、シーリング材、接着剤、塗料などとして使用可能であり、建築分野、電気・電子分野、自動車分野などで広く応用することができる。

Claims (9)

  1. 加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と、二級水酸基を有し、かつ、水酸基価が40〜110mgKOH/gである(メタ)アクリル系共重合体(B)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. 上記(メタ)アクリル系共重合体(B)の粘度が、1000〜70000であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 上記(メタ)アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量が、1000〜8000であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 上記(メタ)アクリル系共重合体(B)が、150〜350℃の高温連続重合により得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 更に、加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(C)を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 上記ビニル系重合体(C)の含有量が、上記オキシアルキレン系重合体(A)と上記ビニル系重合体(C)の合計100質量部に対して、5〜80質量部であることを特徴とする請求項5に記載の硬化性組成物。
  7. 更に、アルコール性水酸基を有する化合物(D)を含有する硬化性組成物であって、当該化合物(D)の含有量が、上記オキシアルキレン系重合体(A)、上記(メタ)アクリル系共重合体(B)及び上記ビニル系重合体(C)の合計100質量部に対して、3〜40質量部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. 上記アルコール性水酸基を有する化合物(D)は、一分子中に1個の水酸基を有するものであることを特徴とする請求項7に記載の硬化性組成物。
  9. 上記アルコール性水酸基を有する化合物(D)の炭素数が、6〜12であることを特徴とする請求項7又は8に記載の硬化性組成物。
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