JP2014093928A - 電動コンプレッサの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
電動コンプレッサの制御装置は、コンプレッサを駆動するモータの目標回転速度と推定回転速度との回転速度差が入力され、コンプレッサの1周期前の回転速度差を用いて繰り返し動作を行って回転速度差を減少させていく繰り返し制御部5と、コンプレッサの圧力検出部1と、コンプレッサの圧力値を元にコンプレッサの負荷変動の所定部分の数をカウントしてコンプレッサの1回転のタイミングを算出して、このタイミングに応じて繰り返し制御部5へリセット信号を出力するリセット信号生成部4とを備える。
【選択図】図1
Description
すなわち、ピーク・フィルタの伝達関数は、
ピーク・フィルタ(s)=kω/(s2+ω2)
ここで、ωはピーク周波数(rad/s)で、負荷変動周波数として決定される。sはラプラス演算子、またkはゲインである。
すなわち、上記従来の制御装置にあっては、ピーク・フィルタを用いて回転速度の変動を減らすようにしてコンプレッサの振動を低下させるようにしている。
しかしながら、ピーク・フィルタは、対応可能な周波数の範囲が狭いため、この範囲からずれた周波数が入ってくると、推定誤差が生じてしまい、回転速度の推定精度が悪化してしまうといった問題がある。
とりわけ、実際の負荷変動は複数の周波数成分を有しているため、ピーク・フィルタを用いる場合、対応周波数が異なるピーク・フィルタを並列接続して使用することが必要になるが、その場合、チューニングが複雑で難しいといった問題がある。
コンプレッサを駆動するモータの目標回転速度を設定する目標回転速度設定部と、
モータの推定回転速度を算出する推定回転速度算出部と、
目標回転速度と推定回転速度との回転速度差をなくすように電動モータの駆動指令信号を生成する駆動指令信号生成部と、
回転速度差が入力され、コンプレッサの1周期前の回転速度差を用いて繰り返し動作を行って回転速度差を減少させていく繰り返し制御部と、
コンプレッサの圧力値を検知する圧力検出部と、
コンプレッサの圧力値が入力され、この圧力値を元にコンプレッサの負荷変動の所定部分の数をカウントしてコンプレッサの1回転のタイミングを算出して、このタイミングに応じて繰り返し制御部へリセット信号を出力するリセット信号生成部と、
を備えた、
ことを特徴とする。
リセット信号生成部が、コンプレッサの吸入圧の部分または吐出圧の部分を検出してコンプレッサの負荷変動の数をカウントするようにした、
ことを特徴とする。
ただし、本実施例の繰り返し制御では、回転速度差の外乱分を抑制するにあたって、繰り返し動作の周期を切り替えるためのリセット信号を、従来通常の方法とは異ならせてある。すなわち、本発明、したがって実施例1にあっては、コンプレッサの圧力信号を用いてリセット信号を生成するようにしている。
図1に示すように、実施例1の電動コンプレッサの制御装置は、コンプレッサ圧力検出部1と、目標回転数設定部2と、減算器3と、リセット信号生成部4と、繰り返し制御部5と、ローパス・フィルタ(LPF: Low-Pass Filter)6と、推定回転速度算出部7と、を備えている。
すなわち、車両の空調装置の図外のエバポレータを通過した後の空気温度が所望の値となるように、検出した実際の空気温度と目標空気温度とを比較して、比例積分(PI)制御にてモータの目標回転速度ωrefを設定する。この目標回転速度ωrefは、減算器3に入力する。
なお、このリセット信号の生成の詳細については、後で説明する。
すなわち、繰り返し制御を動作させる最低回転数をWref_min、またサンプリング周期をTsとすると、繰り返し制御器3は、図2に示すように、2π/(Wref_min×Ts)で決まるN個の遅延器5a(同図中のzはz変換)と、加算器5bと、係数器5cとを有する。
加算器5bは、減算器3で算出した回転速度差と信号V0の値を加算して最前にある遅延器5aへ出力する。
係数器5cは、信号Vαが入力されて係数βをかけた値を繰り返し制御部5の出力uとしてLPF6へ出力する。なお、信号Vαは図2に示してあるように、最後尾の遅延器5aから上流側へ数えたα番目とα+1番目の遅延器5a間の位置の信号である。
まず、ステップS1では、サンプリング周期Tsごとに偏差e(実施例1では回転数差)を観測する。
次いで、ステップS2へ進む。
次いで、ステップS3へ進む。
ただし、後で説明するように、i+α>Nの場合には、u=βdi+α−Nとしてこの出力値を係数器3cへ出力する。ここで、di+α−Nとは、1周期前のデータの後の周期で得られた値di+αである。これについては、後で説明する。
次いで、ステップS4へ進む。
次いで、ステップS5へ進む。
これらのステップは、モータの制御が行われている間、繰り返し実行される。
ここではα=2、N=100の場合を例にとって説明する。
したがって、図4に示すように、値dは順にd1からd100までの前回の1周期分の値が記憶されていることになる。
ここでi=1すなわちd1のときには、i+α=i+2=3であるから、d3の位置の値を取り出し、この値に係数βを掛けた値が出力uになる。
以下同様に、i=5、6、7、・・・では、d7、d8、d9、・・・の値を取り出すことになる。
しかしながら、i=99のとき(すなわち、i+α>Nの上記条件が満たされるとき)には、d101は存在しない。この場合、実際の値dの格納動作にあっては、図5に示すように、前の1周期の値d100の後に順次、次の値dがd1、d2、・・・としてつながっていくため、d101はこの次のd1の値を取り出すことになる。
i=0(すなわちd0)のときは、図6のようになる。すなわち、各信号V0〜V3はブロック線上では不変の信号としてそれらの位置が固定されており、これらの信号V0〜V3に各値dが対応する。すなわち、V2=d2、V1=d1、V0=d0であり、V3は、加算器3bでV0のd0と減算器3から入力された偏差e(回転数差)とが加算されて新たに得られた値d0となる。
これらの値dは、サンプルの都度、順次、下流側(同図中、右側)へシフトしていく。これにより、各信号V0〜V3の値dも順次入れ替わっていくことになる。
この周期の切り替えは、上述したように、リセット信号生成部4から出力されるリセット信号が繰り返し制御器5に入力されたときに行う。
このリセット信号は、本発明、したがって実施例1では、コンプレッサの圧力波形を利用して生成する。
同図(a)は、コンプレッサ圧力検出部1で検出した圧力波形である。このように、コンプレッサの圧力は、吸い込み工程、圧縮工程、吐き出し工程と周期的に変動する圧力波形となる。
次いで、上記のようにして得た圧力信号のうちDC成分を、同図(b)で示すように、ハイパス・フィルタにて図中の点線部分より下の部分をカットする。
ハイパス・フィルタを通過した圧力信号は、同図(c)に示すように、その値が0を超えるタイミングでカウントアップしていく。カウントが9から10になったタイミングで、カウントアップをリセットする。
そのため、同図(d)に示すように、上記リセット時(図中、時刻ta、tbで示す)ごとにリセット信号生成部4がリセット信号を生成して繰り返し制御部4へ出力し、ここでの周期を切り替えるようにする。
この回転に関する誤差として、本実施例では角度誤差を用いる。
このような狙いのもとに、推定回転速度算出部7は、磁束オブザーバ7aと角度誤差演算部7bと、速度演算部7cと、で構成する。
角度誤差演算部7bは、磁束オブザーバ7aから入力されたモータ電流磁束推定誤差Δλγ、Δλδを基に、角度推定誤差演算を行って角度推定誤差θ_estを算出する。
速度演算部7cは、角度誤差演算部7bから入力された角度推定誤差θ_estを基にPI制御することで推定回転速度値ω_estを得て、これを減算器3に入力する。
速度比例積分制御器9は、加算器8の出力値に比例ゲインと積分ゲイン定数とを用いてPI制御することで、駆動指令信号(トルク指令値信号と同じ)である指令モータ電流ieを算出し、この値を減算器10へ出力する。
電流比例積分制御器11は、減算器10から出力された補正指令モータ電流に基づき、d軸の指令電流およびq軸の指令電流と分けて比例ゲインと積分ゲイン定数とを用いてPI制御し、軸電圧指令値veを推定回転速度算出部7と減算器12とインバータ20へ出力する。
なお、電流比例積分制御器11と速度比例積分制御器9は、本発明の駆動指令信号生成部に相当する。
モータ・モデル13は、モータのコイルのインダクタンスLと巻線抵抗Rからモータの特性を表すため用いられ、減算器12の出力Ve'とL、Rから実モータ電流ie'(モータトルクと同じ)を算出し加算器14へ出力する。なお、Kはトルク定数である。
負荷モデル15は、モータ軸の全慣性モーメントJと粘性摩擦係数Dから電動コンプレッサの負荷特性を表すため用いられ、出力値TとJ、Dから、モータの運動方程式に基づき推定回転速度ωoutを得る。
この推定回転速度ωoutは、フィードバック・ゲイン部16と、積分器17とへそれぞれ出力される。
一方、積分器17は、推定回転速度ωoutを積分し、回転位置(回転角度)へ変換して係数倍器18へ出力する。
sin関数生成器19では、係数倍器18で得られた回転角度に応じたsin関数を生成し、電動コンプレッサの負荷変動成分として加算器14へ出力する。
外乱信号ndとして1rad/sのノイズ信号を、遅れ時間生成15で得た推定回転速度ωoutに付与して回転誤差を有する推定回転速度とした。
回転変動の次数nを10次、Wref、Wref_minを2π×10rad/s、サンプリング周期Tsを1.0×10-4sとした。また、遅延器5aの段数Nは1,000とし、従来の繰り返す制御部では、このリセット信号は、iが1,000になったとき出力されるものとして比較した。
なお、抵抗係数Rは0.85Ω、インダクタンスLは1.2mH、粘性摩擦係数Dは8.34×10-5、慣性モーメントJは0.7×10-4、トルク係数Kは0.076Nm/Aとした。
図11は、従来通常の繰り返し制御によるもので、20秒後から繰り返し制御を開始し、30秒でnd=1rad/secの速度推定誤差を付与した結果である。30秒以降、600rpmを中心に約+65rpmから-65rpmの範囲で推測回転数ωoutが変動しているが分かる。
なお、比較を見やすくするため、図13に従来通常のものと実施例1のものとのシミュレーション結果を重ね合わせて示す。薄い部分が従来通常のものの結果、濃い部分が実施例1の結果である。
同図において、横軸は経過時間、縦軸は回転速度、横細線は指令回転速度、実線は推定回転速度(実回転速度として扱う)、破線は補正後の指令回転速度である。
前回の1回転での指令回転底度と推測回転速度の偏差をもとに、次の1回転での指令速度を破線のように補正する。指令回転底度に対して推測回転速度が小さい場合には指令回転速度の値を増加側に、またこの逆の場合には減少側に指令回転速度を補正すれば、次第に推定回転速度の値が指令回転速度に一致してきて、補正量が変化しなくなる。
実施例1では、周期的な負荷変動が生じるコンプレッサにあって、この圧力波形から正確に1回転を決定することができるので、繰り返し制御の適用がうまく行くことになる。
すなわち、実施例1の電動コンプレッサの制御装置にあっては、繰り返し制御部5で1周期前の目標回転速度ωrefと推定回転速度ωoutとの回転速度差を利用して回転速度差が減少するように繰り返し動作を行って外乱分を抑制するが、その場合、繰り返し制御部5での周期の切り替えのタイミングを、リセット信号生成部4でコンプレッサの圧力変動に応じて決定するようにしたので、センサレス方式のモータ制御であっても、複雑な周波数成分を有する負荷変動に対して、コンプレッサの駆動モータを良好に制御することが可能となる。
2 目標回転速度設定部
3 減算器
4 リセット信号生成部
5 繰り返し制御部
5a 遅延器
5b 加算器
5c 係数倍器
6 ローパス・フィルタ
7 推定回転速度算出部
7a 磁束オブザーバ
7b 角度誤差演算部
7c 速度演算部
8 加算器
9 速度比例積分制御器
10 減算器
11 電流比例積分制御器
12 減算器
13 モータ・モデル
14 加算器
15 負荷モデル
16 フィードバック・ゲイン器
17 積分器
18 係数倍器
19 sin関数生成器
20 インバータ
Claims (2)
- コンプレッサを駆動するモータの目標回転速度を設定する目標回転速度設定部と、
前記モータの推定回転速度を算出する推定回転速度算出部と、
前記目標回転速度と前記推定回転速度との回転速度差をなくすように電動モータの駆動指令信号を生成する駆動指令信号生成部と、
前記回転速度差が入力され、前記コンプレッサの1周期前の回転速度差を用いて繰り返し動作を行って、前記回転速度差を減少させていく繰り返し制御部と、
前記コンプレッサの圧力値を検知する圧力検出部と、
前記コンプレッサの圧力値が入力され、該圧力値を元に前記コンプレッサの負荷変動の所定部分の数をカウントして前記コンプレッサの1回転のタイミングを算出して、該タイミングに応じて前記繰り返し制御部へリセット信号を出力するリセット信号生成部と、
を備えた、
ことを特徴とする電動コンプレッサの制御装置。 - 請求項1に記載の電動コンプレッサの制御装置において、
前記リセット信号生成部は、前記コンプレッサの吸入圧の部分または吐出圧の部分を検出して前記コンプレッサの負荷変動の数をカウントする、
ことを特徴とする電動コンプレッサの制御装置。
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