JP6478740B2 - 電動機制御装置および電気機器 - Google Patents

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Description

本発明は、電動機制御装置および電気機器に関する。
本技術分野の背景技術として、下記特許文献1の要約書には、「交流同期電動機の回転駆動対象となる負荷装置が周期的な外乱を発生する場合に、この周期的な外乱を抑制しつつ、入力電力の低減を図った電動機制御装置を提供する」、「負荷装置が発生するトルクの脈動成分を抽出21し、それを補償するトルク制御22において、脈動成分を補正する電流成分を制限するリミッタ227を設けることで達成できる」と記載されている。
特開2006−180605号公報
しかし、特許文献1には、脈動成分を補正する電流成分を制限するリミット処理について、状況に応じてリミット処理の強さを変更する点については、特に開示されていない。電動機の状態に関わらず同一のリミット処理を行うと、電動機の始動時や速度急変時等、トルク外乱が発生しやすい場合において、本来必要な補正が与えられずトルク外乱を抑制できなくなる可能性が生じる。また、強いリミット処理をかけても差支えない状況において、リミット処理が弱いままであれば、過剰に補正電流を流すことになり消費電力が増大するという問題が生じる。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、電動機の状態に応じてトルクの脈動成分を適切に補償できる電動機制御装置および電気機器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の電動機制御装置にあっては、
インバータによって回転駆動される電動機について、想定された回転角と実際の回転角との差である軸誤差を推定する軸誤差推定部と、
前記軸誤差を抑制するために、トルク指令値を増減させるトルク指令補正値を出力するトルク制御器と、
増減された前記トルク指令値に基づいて、前記インバータに対して駆動信号を出力する駆動信号発生部と
を有し、前記トルク制御器は、
前記トルク指令補正値の変動範囲を、指定された制限範囲に収まるよう制限する補正値制限部と、
前記電動機の状態に基づいて、前記制限範囲を増減する制限範囲設定部と
を有し、
前記電動機は、周期的に負荷トルクが変動する負荷を駆動するものであり、
前記制限範囲設定部は、前記負荷トルクの現在値が所定のトルク見直し周期だけ過去の値と比較して大きい場合は、前記制限範囲を大きくする
ことを特徴とする。
本発明の電動機制御装置および電気機器によれば、電動機の状態に応じてトルクの脈動成分を適切に補償できる。
本発明の第1実施形態による電動機制御システムのブロック図である。 第1実施形態における制御軸を説明するベクトル図である。 第1実施形態におけるΔθ推定器の内部ブロック図である。 第1実施形態における軸誤差発生までの原理を説明するブロック図である。 第1実施形態における各部の波形図である。 第1実施形態における脈動トルク成分の推定原理を説明するブロック図である。 第1実施形態におけるΔTm推定器のブロック図である。 第1実施形態の加速時における各部の波形図である。 第1実施形態の減速時における各部の波形図である。 第2実施形態の加速時における各部の波形図である。 第2実施形態の減速時における各部の波形図である。 第3実施形態の加速時における各部の波形図である。 第3実施形態の減速時における各部の波形図である。 第4実施形態の加減速時における各部の波形図である。
[第1実施形態]
<第1実施形態の全体構成>
次に、図1に示すブロック図を参照し、本発明の第1実施形態による電動機制御システムの構成を説明する。
回転速度指令発生器1は、PMモータ(永久磁石型同期電動機)5の回転速度(機械角周波数)の目標値である回転速度指令ωr *を出力する。直流電源4は、商用電源である交流電源41から供給された交流電圧を整流するダイオード・ブリッジ42と、ダイオード・ブリッジ42の出力電圧に含まれる脈動成分を抑制する平滑コンデンサ43とを有している。平滑コンデンサ43が出力する直流電圧をV0とする。
インバータ3は、供給されたPWM(pulse width modulation,パルス幅変調)信号に基づいて、直流電源4から供給された直流電圧をパルス幅変調し、PMモータ5に印加する。PMモータ5は、負荷である圧縮機構6を駆動する。電流検出器7は、直流電源4からインバータ3に供給される電流I0を検出し、制御器(電動機制御装置)2に供給する。制御器2は、PMモータ5の回転速度が回転速度指令ωr *に徐々に一致してゆくように、PMモータ5に印加すべき電圧を演算し、その演算結果に基づいたPWM信号をインバータ3に供給する。誘起電圧検出部24は、PMモータ5の誘起電圧を検出する。具体的には、PMモータ5の何れかの相において、直流電圧V0が印加されていないタイミングで、その相の端子電圧を測定することによって誘起電圧を測定する。
PMモータ5の極数をPとすると、極対数はP/2になる。制御器2の内部において、比例器19は、回転速度指令ωr *に極対数P/2を乗算することにより、電気角周波数指令ω1 *を出力する。また、電流再現器8は、電流I0の検出結果に基づいて、PMモータ5に供給される三相交流電流Iu,Iv,Iwを演算により再現する。この再現方法は、例えば特開平8−19263号広報に記載された手法を用いることができる。再現された結果を再現三相交流電流Iuc,Ivc,Iwcと呼ぶ。座標変換器9は、三相軸上の三相交流電流Iuc,Ivc,Iwcを、制御軸上の電流Idc,Iqcに座標変換する。
ここで、図2に示すベクトル図を参照し、制御軸について説明する。本実施形態において制御軸とは、電気角周波数で回転する回転座標上の軸であり、PMモータ5内の実際の永久磁石の磁束の向きをd軸とし、これに直交する軸をq軸とする。また、制御器2内で想定しているd軸,q軸をdc軸,qc軸と呼ぶ。図2に示すように、d軸,q軸とdc軸,qc軸との間には、軸誤差Δθが存在する。上述した電流Idc,Iqcは、dc軸,qc軸上の電流である。なお、実際にq軸方向に発生するq軸電流Iqは、PMモータ5のトルクを制御する電流であるため、「トルク電流」と呼ばれることもある。
図1に戻り、Iq0 *発生器10は、電流Iqcに対して若干の遅れ要素を付与し、その結果をq軸電流指令ベース値Iq0 *として出力する。加算器16では、このq軸電流指令ベース値Iq0 *と、後述するq軸電流指令補正値IqSIN *とが加算され、加算結果がq軸電流指令値Iq *として出力される。Id *発生器11は、d軸電流指令値Id *を発生する。なお、PMモータの回転子が非突極型であれば、d軸電流指令値Id *は通常は零値になる。
電圧指令演算器12は、d軸,q軸電流指令値Id *,Iq *と、電気角周波数指令ω1 *とに基づいて、d軸,q軸電圧指令値Vd *,Vq *を出力する。dq逆変換器13は、d軸,q軸電圧指令値Vd *,Vq *を座標変換し、三相交流電圧指令Vu *,Vv *,Vw *に変換する。PWMパルス発生器14は、これら三相交流電圧指令Vu *,Vv *,Vw *に基づいて、インバータ3をスイッチ動作させるためのPWM信号を出力する。
Δθ推定器15は、図2に示した軸誤差Δθの推定値である推定軸誤差Δθcを出力する。なお、その詳細については後述する。零発生器17は、推定軸誤差Δθcの指令値(零値)を出力する。減算器31は、指令値(零値)から推定軸誤差Δθcを減算することにより、偏差(−Δθc)を出力する。比例補償器18は、この偏差(−Δθc)に対して所定のゲインKPLLを乗算することにより、電気角周波数修正値Δω1として出力する。加算器32は、電気角周波数指令ω1 *と、電気角周波数修正値Δω1とを加算し、その結果を推定電気角周波数ω1cとして出力する。積分器20は、推定電気角周波数ω1cを積分することにより、d軸角度θdの推定値であるd軸角度推定値θdcを演算し、座標変換器9およびdq逆変換器13に供給する。
このように、加算器32にて電気角周波数指令ω1 *と電気角周波数修正値Δω1とが加算されることにより、推定軸誤差Δθcが零値に近づくようなフィードバック制御が実現する。図2に示したように、軸誤差Δθが正値である場合、dc軸,qc軸がd軸,q軸よりも進んでいることになるため、推定電気角周波数ω1cを電気角周波数指令ω1 *よりも下げることにより、d軸角度推定値θdcの増加が緩やかになり、軸誤差Δθを減少させることができる。逆に、軸誤差Δθが負値である場合には、電気角周波数指令ω1 *を上昇させることにより、d軸角度推定値θdcの増加が速くなり、軸誤差Δθを減少させることができる。
本実施形態においては、Δθ推定器15から出力される推定軸誤差Δθcが正値であれば、減算器31から出力される偏差(−Δθc)および比例補償器18から出力される電気角周波数修正値Δω1は負値になる。逆に、推定軸誤差Δθcが負値であれば、電気角周波数修正値Δω1は正値になるため、軸誤差Δθを減少させるような制御が可能である。これにより、本実施形態においては、PMモータ5の磁極位置を検出する位置センサを用いることなく、制御器内部のd軸角度推定値θdcを、実際のPMモータ内の磁極位置すなわちd軸角度θdに近接させることができ、位置センサレス制御を実現できる。
ΔTm推定器21は、推定軸誤差Δθcに基づいて、トルク脈動成分ΔTmの推定値である推定トルク脈動成分ΔTmcを算出する。ここで、トルク脈動成分ΔTmとは、圧縮機構6によって生じる負荷トルクTLと、PMモータ5によって生じるモータトルクTmとの差である。トルク制御器22は、推定トルク脈動成分ΔTmcに基づいて、q軸電流指令補正値IqSIN *を出力する。なお、ΔTm推定器21およびトルク制御器22の詳細については後述する。
<各部の詳細構成>
(Δθ推定器15)
次に、図3に示すブロック図を参照し、Δθ推定器15の詳細を説明する。
Δθ推定器15の内部において減算器152は、q軸電流指令値Iq *から電流Iqcを減算する。比例器151は、この減算結果に対して、所定の定数K0を乗算することにより、推定軸誤差Δθcを求める。電流Iqcは、負荷トルクが変動し、実際のd軸角度θdとd軸角度推定値θdcの間にずれが生じることによって変動する。従って、電流Iqcの動きに基づいて、逆に軸誤差Δθを推定することができる。図3の構成は、これをシミュレートしたものである。なお、さらに高精度な推定軸誤差Δθcを求める必要がある場合は、例えば、特開2002−272194号公報における数式(3)等に従って推定軸誤差Δθcを演算してもよい。
(ΔTm推定器21)
次にΔTm推定器の詳細について説明するが、まず軸誤差Δθが発生する原理を図4を参照し説明する。なお、図4は、q軸電圧Vqによって軸誤差Δθが発生するまでの伝達関数のブロック図である。
図4の減算器36においては、q軸電圧Vqから電圧外乱VDが減算され、PMモータ5に印加される電圧が求まる。PMモータ5の巻線の抵抗値をR、インダクタンスをLとすると、この電圧からq軸電流Iqを導く伝達関数は、(1/(R+sL))になる。なお、sはラプラス変換に用いる微分演算子を表す。また、q軸電流IqからモータトルクTmを導く伝達関数は、(P/2)・(3Ke/2)=3P・Ke/4になる。ここで、PはPMモータ5の極数であり、Keは発電定数である。
減算器37では、モータトルクTmから負荷トルクTLが減算されることにより、トルク脈動成分ΔTmが得られる。積分器51は、トルク脈動成分ΔTmを回転子のイナーシャJで除算し、積分することによってPMモータ5の回転速度ωrを出力する。比例器52は、回転速度ωrに極対数P/2を乗算することにより、電気角周波数ω1を出力する。積分器53は、電気角周波数ω1を積分することにより、d軸角度θdを出力する。減算器38は、d軸角度推定値θdcからd軸角度θdを減算することにより、軸誤差Δθを出力する。
ここで、電圧外乱VDの例を説明する。例えば、PMモータ5の磁石磁束が均一でなく、着磁ばらつきがある場合、あるいは巻線の相間ばらつきがある場合、これらは等価的に周期的な電圧外乱VDとして影響してくる。また、インバータ3におけるアーム短絡防止期間(デッド・タイム)の影響による外乱等も、インバータの駆動周波数の6倍周波数の電圧外乱VDとして発生する。また、圧縮機構6としては、例えばレシプロ圧縮機構、シングルロータリー圧縮機構、ツインロータリー圧縮機構、2段圧縮ロータリー圧縮機構等が考えられる。レシプロ圧縮機構、ロータリー圧縮機構等においては、電動機の一回転を一周期として、負荷トルクTLが大きく変動する。
ここで、図4における各部の波形図を図5(a)〜(d)に示す。これらの図は、負荷トルクTLが、角周波数ωdにて正弦波状に振動する成分を含んだ場合における波形図である。角周波数ωdは、圧縮機構6の構造によって決まるが、一般的には、PMモータ5の機械角周波数ωと同一か、その整数倍になることが多い。図5(a)において、モータトルクTmの平均値と負荷トルクTLの平均値は、長期的には一致する。従って、図5(b)に示すように、両者の差分であるトルク脈動成分ΔTmは、振動成分のみになる。図5(c)に、回転速度ωrに含まれる振動成分Δωrを示す。
振動成分Δωrは、トルク脈動成分ΔTmを積分したものであり、ΔTmに比べて、位相が90度遅れた波形になる。振動成分Δωrの振動の大きさ自体は、イナーシャJに依存して変化するが、位相はほぼ90度遅れるものと考えてよい。軸誤差Δθは、振動成分Δωrをさらに積分し、符号を反転したもの(図2に示した定義の関係で符号を反転する)となるため、位相は90度進められることになる(積分で90度遅れた上で、符号が反転するので、90度進むことになる)。軸誤差Δθを図5(d)に示す。図5(b),(d)を比較すると、トルク脈動成分ΔTmと、Δθとは、同位相の振動波形となって観測されることが解る。
次に、図6に示すブロック図を参照し、図5に示した関係に基づいて、軸誤差Δθからトルク脈動成分ΔTmを求める原理を説明する。図6(a)は、図4に示した積分器51、比例器52、積分器53、減算器38の部分において、トルク脈動成分ΔTmから軸誤差Δθに至る伝達関数を示す。図6(a)のブロック図を、逆変換することで、軸誤差Δθからトルク脈動成分ΔTmまでの伝達関数を求めることができる。その結果を図6(b)に示す。また、図6(b)の内容をまとめると、図6(c)に示すようになる。
図6(c)に従えば、理論的には、推定軸誤差Δθcを二階微分することによって推定トルク脈動成分ΔTmcを求めることができる。しかし、推定軸誤差Δθcを二階微分することは、現実的には困難である。推定軸誤差Δθcは元々推定値であり、検出値のノイズ等も多く含まれているため、微分を用いることは推定誤差が増えるという問題が生じる。また、二階微分を行うことは、演算周期による限界もある。そこで、「トルク脈動成分ΔTmおよびその他の外乱成分は周期関数である」という点に着目し、s=jωdを図6(c)の伝達関数に代入することができる。
すると、図6(d)に示すように、軸誤差Δθを定数(2Jωd 2/P)倍したものを、トルク脈動成分ΔTmとして推定できることになる。この結果は、図5(b),(d)の波形の関係と一致する。図6(d)を具現化する構成が、図7のブロック図に示すΔTm推定器21である。ΔTm推定器21の内部において、比例器211は、推定軸誤差Δθcに定数「2J/P」を乗算する。乗算器212は、角周波数ωdの推定値である推定角周波数ωdcを二乗する。
ここで、角周波数ωdがPMモータ5の機械角周波数ωと同一であれば、推定角周波数ωdcは、推定電気角周波数ω1cに極対数の逆数(2/P)を乗算した値(2ω1c/P)として求めることができる。なお、PMモータ5と圧縮機構6との間に減速機を挿入している場合には、この乗算結果(2ω1c/P)にさらに減速比を乗算した結果を推定角周波数ωdcにするとよい。乗算器213は、比例器211および乗算器212の出力信号を乗算し、その結果を推定トルク脈動成分ΔTmcとして出力する。
(トルク制御器22)
図1に戻り、トルク制御器22の構成を説明する。
トルク制御器22の内部において、単相―dq座標変換器223は、推定トルク脈動成分ΔTmcを、下式(1)に従って、正弦成分ΔTqsと、余弦成分ΔTdsとに分解する。

ΔTds= ΔTmc・cos ωdct
ΔTqs=−ΔTmc・sin ωdct …(1)
式(1)によれば、推定トルク脈動成分ΔTmcに推定角周波数ωdcの周波数成分が含まれれば、その量に応じて、余弦成分ΔTdsおよび正弦成分ΔTqsの平均値は「0」でない値になる。但し、余弦成分ΔTdsおよび正弦成分ΔTqsには、推定角周波数ωdcの2倍の周波数成分が多く含まれるため、この周波数成分を除去することが望ましい。そこで、一次遅れフィルタ224d,224qは、推定角周波数ωdcの2倍以上の周波数成分を除去するように時定数TATRを設定し、余弦成分ΔTdsおよび正弦成分ΔTqsから、これらの周波数成分を除去する。
従って、一次遅れフィルタ224d,224qの出力信号は、推定トルク脈動成分ΔTmcに含まれる、推定角周波数ωdcの余弦成分および正弦成分に一致する。零発生器35は、余弦成分および正弦成分の目標値である零値を出力する。減算器33,34は、各々零値から、一次遅れフィルタ224d,224qの出力信号を減算する。積分器225d,225qは、各々減算器33,34の出力信号に所定の定数KiATRを乗算するとともに積分する。
リミッタ部227は、積分器225d,225qの出力信号に対して制限をかけ、その結果を電流指令補正値Ids,Iqsとして出力する。リミット値設定部228は、リミッタ部227に対してリミット値を設定する。dq−単相逆変換器226は、電流指令補正値Ids,Iqsを下式(2)に従って、単相信号に逆変換し、その結果をq軸電流指令補正値IqSIN *として出力する。

qSIN *=Ids・cos ωdct−Iqs・sin ωdct …(2)
上述したように、このq軸電流指令補正値IqSIN *は、加算器16においてq軸電流指令ベース値Iq0 *に加算され、これによってq軸電流指令値Iq *が増減する。これにより、軸誤差Δθおよび推定軸誤差Δθcが零値に近づくように制御される。推定軸誤差Δθcが零値に近づくと、これに比例する推定トルク脈動成分ΔTmcも零値に近づく。脈動成分ΔTmcは、式(1)にて座標変換された後は、直流量になるため、積分器225d,225qにて、偏差をなくすことができる。すなわち、このトルク制御器22は、外部から見ると、角周波数ωdにおいてゲインが無限大となる補償要素と等価になる。
リミット値設定部228においては、電流指令補正値Ids,Iqsを制限するために、負荷トルクTLが求められる。そこで、リミット値設定部228における負荷トルクTLの求め方を説明する。負荷トルクTLは、下式(3)に示す理論式によって算出することができる。

L=(3/2)Pn{Keqfb+(Ld−Lq)Idfbq} …(3)
式(3)においてPnは極対数(=P/2)、Keは発電定数、Ld,Lqはd軸,q軸インダクタンス、Idfb,Iqfbはd軸,q軸電流観測値を表す。ここで、d軸,q軸インダクタンスLd,Lqが等しく、q軸電流観測値Iqfbが座標変換器9から出力される電流Iqcに等しいと仮定して式(3)を簡略化すると、次式(4)のようになる。

L≒(3P・Ke/4)Iqc …(4)

そこで、リミット値設定部228は、式(3)または(4)によって、負荷トルクTLを逐次算出する。
<第1実施形態の動作>
(加速時の動作)
次に、本実施形態の動作、特にリミッタ部227およびリミット値設定部228によって電流指令補正値Ids,Iqsを制限する動作の詳細を説明する。
図8(a)〜(d)は、本実施形態の電動機制御システムの加速時における各部の波形の例を示す波形図であり、図8(a)には、回転速度指令ωr *および回転速度ωrの波形例を示す。なお、回転速度ωrは、加算器32(図1参照)から出力される推定電気角周波数ω1cに極対数の逆数「2/P」を乗算することによって得られる。PMモータ5が安定して定速度で駆動されている状態を「定常状態」という。
図8(a)に示す定常状態速度判定値Δωrthは、PMモータ5が定常状態に達したか否かを判断するための値であり、回転速度ωrが、ωr *±Δωrthの範囲内であれば、他の条件を充足することによって、リミット値設定部228は、PMモータ5が定常状態に達したと判定する。図8(a)の例では、時刻t0において、回転速度ωrは回転速度指令ωr *よりも低くなっているため、時刻t0以降、回転速度ωrが増加してゆく。そして、回転速度ωrは、時刻t3においてωr *±Δωrthの範囲内に達しており、その後の時刻t5において回転速度指令ωr *にほぼ等しくなっている。
また、図8(b)には、リミット値設定部228において演算される負荷トルクTLおよび計算用負荷トルクTLCの波形例を示す。負荷トルクTLは、上述したように式(3)または(4)によって得られるものであり、これは種々の要因によって逐次変動するものである。一方、計算用負荷トルクTLCは、計算用に用いられる値であり、図8(b)に示すトルク見直し周期T1の開始時に負荷トルクTLに等しい値に設定されるとともに、その後は当該トルク見直し周期T1が終了するまで一定に保たれる。
また、図8(c)には、推定軸誤差Δθcの波形例と、定常状態軸誤差判定値±Δθthとを示す。定常状態軸誤差判定値±Δθthは、上述した「定常状態」を判定する一つの指標であり、推定軸誤差Δθcの変動範囲が定常状態軸誤差判定値±Δθthの範囲に収まれば、他の条件を充足することによって、リミット値設定部228はPMモータ5が定常状態に達したと判定する。
また、図8(d)には、q軸電流指令補正値IqSIN *と、補償量リミット値±Ithとを示す。上述したように、リミット値設定部228は、dq座標上の値である電流指令補正値Ids,Iqsに対してそれぞれリミット値を設定するが、これらのリミット値を単相座標上の値に変換したものが、図8(d)に示す補償量リミット値±Ithである。
本実施形態においては、補償量リミット値Ithを算出するために、誘起電圧変化率Kvおよびq軸電流指令平均値Iqave *という値を用いるため、これらについて説明する。図8(a)の時刻t0〜t5の期間において回転速度ωrが増加しているが、回転速度ωrが増加すると、誘起電圧検出部24によって検出される誘起電圧も回転速度ωrに比例して増加する。回転速度変化開始時(図8(a)の例においては時刻t0)に測定された誘起電圧と、回転速度指令到達時(図8(a)の例においては時刻t5)に測定されるであろう誘起電圧を計算により求めた予測誘起電圧との比を、「誘起電圧変化率Kv」と呼ぶ。
また、q軸電流指令平均値Iqave *とは、トルク電流すなわちq軸電流指令値Iq *から脈動成分を除去した平均値を指す。なお、q軸電流指令平均値Iqave *として、実際にはIq0 *発生器10から出力されるq軸電流指令ベース値Iq0 *を用いてもよい。この点は、後述する減速時の動作、および他の実施形態においても同様である。PMモータ5が加速を開始した時点(図8(a)の例においては時刻t0)では、リミット値設定部228は、誘起電圧変化率Kvと、q軸電流指令平均値Iqave *とを取得し、両者の積「Kv・Iqave *」を、暫定的な補償量リミット値Ith(すなわち補償量リミット値Ithの初期値)に設定する。
上述したように、加速時においては、リミット値設定部228にてトルク見直し周期T1毎に計算用負荷トルクTLCが更新される(その時点の負荷トルクTLに等しい値にされる)。その際、計算用負荷トルクTLCが更新される直前に、リミット値設定部228では負荷トルクTLと計算用負荷トルクTLCとが比較される。その比較結果が「TLC<TL」である場合は、トルク電流すなわちq軸電流指令値Iq *を現在よりも増加させることが望ましいため、補償量リミット値Ithを現在よりも大きくすることが望ましい。
そこで、リミット値設定部228は、比較結果が「TLC<TL」である場合は、現在の補償量リミット値Ithに対して、偏差(TL−TLC)に応じたプラス補正を行い、その結果を新たな補償量リミット値Ithとする。例えば、比例定数をKiとしたとき、従前の補償量リミット値Ithに対してKi(TL−TLC)を加算した値を、新たな補償量リミット値Ithにするとよい。一方、比較結果が「TLC≧TL」である場合は、従前の補償量リミット値Ithがそのまま保持される。
再び図8(b)を参照すると、時刻t3,t4において、更新前の計算用負荷トルクTLCは、負荷トルクTLと比較して小さくなっている。従って、図8(d)の時刻t3,t4においては、補償量リミット値Ithがステップ状に上昇している。また、時刻t4〜t7においては、「TLC≧TL」の関係が保たれているため、同期間において補償量リミット値Ithは一定値に保たれている。リミット値設定部228においては、PMモータ5の定常状態が検出されるまでは、以上のようにして補償量リミット値Ithが定められる。
ここで、上述した「定常状態」について、さらに詳細を説明する。リミット値設定部228は、
(1)速度条件:回転速度ωrがωr *±Δωrthの範囲内である、
(2)軸誤差条件:推定軸誤差Δθcが、定常状態軸誤差判定値±Δθthの範囲内である、
(3)時間条件:上記速度条件、軸誤差条件を充足する期間が所定の定常状態判定時間Tjだけ継続した、
という3つの条件が揃ったとき、PMモータ5の状態を「定常状態」であると判定する。
図8(a)によれば、時刻t3以降は、速度条件が満たされている。また、図8(c)によれば、時刻t6に軸誤差条件が満たされている。そして、時刻t6から定常状態判定時間Tjが経過した時刻t7において速度条件、軸誤差条件、時間条件の全てが充足されたため、時刻t7において、リミット値設定部228では、「PMモータ5は定常状態に至った」と判定される。
定常状態においては、それまでの補償量リミット値Ithでは過補償になると考えられるため、リミット値設定部228においては、補償量リミット値Ithは、q軸電流指令平均値Iqave *に変更される。図8(d)の例においては、時刻t7にて定常状態が成立したため、補償量リミット値Ithは、q軸電流指令平均値Iqave *に設定され、それ以前の値よりも低くなっている。図8(d)の例においては、説明しやすくするためリミット値は一定としているが、実際にはq軸電流指令平均値Iqave *は変化するため、この変化に応じて定常状態における補償量リミット値Ithも変化する。この点は、後述する減速時の動作、および他の実施形態においても同様である。
定常状態が成立した後、速度条件または軸誤差条件が不成立になると、再び定常状態は不成立になる。ここで、定常状態が不成立になる態様は、
(態様1:加速)回転速度指令ωr *が回転速度ωrよりも所定値以上高くなった場合、
(態様2:減速)回転速度指令ωr *が回転速度ωrよりも所定値以上低くなった場合、
(態様3:軸誤差大)推定軸誤差Δθcが定常状態軸誤差判定値±Δθthを超えた場合、
という3態様が考えられる。
まず、「態様1:加速」については、上述した時刻t0以降の動作と同様の動作が繰り返される。また、「態様2:減速」については、「減速時の動作」として詳細は後述する。ここでは、「態様3:軸誤差大」について説明する。推定軸誤差Δθcが大きくなる原因の一つとして、非周期的な種々の外乱によって負荷トルクTLが変動することが挙げられる。
図8(c)の時刻t8においては、推定軸誤差Δθcが定常状態軸誤差判定値±Δθthを超えて変動し始めたため、定常状態が不成立になっている。この場合、リミット値設定部228は、定常状態が成立する直前(図8(d)の例では時刻t7の直前)の値に、補償量リミット値Ithを戻す。これにより、軸誤差Δθに対して、再び強い補償がかけられるようになる。その後、上述したように、速度条件、軸誤差条件、時間条件の3条件が揃った際に、リミット値設定部228においては、再び定常状態としての動作が繰り返される。
(減速時の動作)
次に、図9(a)〜(d)を参照し、本実施形態における減速時の動作例を説明する。なお、図9(a)〜(d)は、本実施形態の電動機制御システムの減速時における各部の波形の例を示す波形図である。図9(a)の例では、時刻t10において、回転速度ωrは回転速度指令ωr *よりも高くなっているため、時刻t10以降、回転速度ωrが減少してゆく。そして、回転速度ωrは、やがてωr *±Δωrthの範囲内に達し、その後の時刻t11には、回転速度指令ωr *にほぼ等しくなっている。
図9(d)において、減速が開始された時刻t10では、その時点におけるq軸電流指令平均値Iqave *が、補償量リミット値Ithに設定される。その後、補償量リミット値Ithを徐々に減少させることも考えられるが、本実施形態のリミット値設定部228においては、負荷トルクTLの予期せぬ変動に備えて、定常状態が成立するまで、補償量リミット値Ithは一定に保たれる。
リミット値設定部228においては、上述した加速時(図8(a)〜(d))と同様に、定常状態が成立したか否かを逐次判定している。図9(a)においては、時刻t11以前に回転速度ωrがωr *±Δωrthに達しているので、時刻t11以前に速度条件は成立している。また、図9(c)においては、時刻t14に推定軸誤差Δθcが定常状態軸誤差判定値±Δθthの範囲内に収まったため、時刻t14に軸誤差条件が成立している。そして、時刻t14から定常状態判定時間Tjが経過した時刻t16において、定常状態が成立している。
リミット値設定部228にて、定常状態が成立した旨が判定されると、上述した加速時の場合と同様に、補償量リミット値Ithは、q軸電流指令平均値Iqave *に変更される。従って、時刻t16において、補償量リミット値Ithは、それ以前の値よりも低くなっている。時刻t16において定常状態が成立した後、再び定常状態が不成立になる場合があり、その態様は、上述した「態様1:加速」、「態様2:減速」、「態様3:軸誤差大」のうち何れかであり、何れの場合も、リミット値設定部228において、既に説明した動作が実行される。
すなわち、「態様1:加速」については、図8(a)〜(d)の時刻t0以降の動作と同様の動作が繰り返される。また、「態様2:減速」については、図9(a)〜(d)の時刻t10以降の動作と同様の動作が繰り返される。また、「態様3:軸誤差大」についても、上述したように、定常状態が成立する直前(図9(d)の例では時刻t16の直前)の値に、補償量リミット値Ithが戻される。図9(a)〜(d)の時刻t18以降には、「態様3:軸誤差大」が発生した場合の波形の例を示す。
以上のように、本実施形態においては、PMモータ5が定常状態である場合は補償量リミット値Ithを低く設定するとともに、非定常状態(特に態様1:加速および態様3:軸誤差大)においては、補償量リミット値Ithを高く設定するので、非定常状態におけるq軸電流指令補正値IqSIN *の変動幅を定常状態のときよりも広くすることができる。これにより、非定常状態においては、負荷トルクTLの外乱等によって挙動が不安定になるような事態を有効に抑制することができる。また、PMモータ5が定常状態である場合には、補償量リミット値Ithを小さくすることにより、消費電力を低減することができ、これによって直流電源4が出力する直流電圧V0の脈動を抑制できるという効果も奏する。
[第2実施形態]
(加速時の動作)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の構成は、第1実施形態のもの(図1〜図7)と同様であるが、非定常状態における補償量リミット値Ithの設定内容が異なる。その内容を、図10(a)〜(d)を参照し説明する。なお、図10(a)〜(d)は、本実施形態の電動機制御システムの加速時における各部の波形の例を示す波形図である。
図10(a)の例では、時刻t20において加速が始まり、回転速度ωrは回転速度指令ωr *よりも低くなっているため、時刻t20以降、回転速度ωrが増加してゆく。また、図10(d)において、補償量リミット値Ithは、加速が開始された時刻t20において、所定の固定値に設定される。また、本実施形態において、定常状態の成立の可否の判定方法および定常状態における制御の内容は、第1実施形態と同様である。
すなわち、図10(a),(c)を参照すると、時刻t22には速度条件(回転速度ωrがωr *±Δωrthの範囲内にあること)、および軸誤差条件(推定軸誤差Δθcが定常状態軸誤差判定値±Δθthの範囲内に収まること)が満たされ、時刻t22から定常状態判定時間Tjが経過した時刻t24において定常状態が成立する。リミット値設定部228にて、定常状態が成立した旨が判定されると、補償量リミット値Ithは、q軸電流指令平均値Iqave *に変更される。
本実施形態においても、「態様1:加速」、「態様2:減速」、「態様3:軸誤差大」のうち何れかの態様によって、再び定常状態が不成立になる。但し、本実施形態においては、何れの態様においても、補償量リミット値Ithが上述の「所定の固定値」に戻されるという点で、同様の処理が行われる。図10(c),(d)においては、時刻t26に軸誤差条件が不成立になった(推定軸誤差Δθcが定常状態軸誤差判定値±Δθthの範囲を超えた)場合の波形例を示す。
(減速時の動作)
次に、図11(a)〜(d)を参照し、本実施形態における減速時の動作例を説明する。なお、図11(a)〜(d)は、本実施形態の電動機制御システムの減速時における各部の波形の例を示す波形図である。図11(a)の例では、時刻t30において、回転速度ωrは回転速度指令ωr *よりも高くなっているため、時刻t30以降、回転速度ωrが減少してゆく。
図11(d)において、減速が開始された時刻t30では、補償量リミット値Ithは、上述した所定の固定値に設定される。リミット値設定部228においては、上述した加速時(図10(a)〜(d))と同様に、定常状態が成立したか否かを逐次判定している。図11(a),(c)を参照すると、時刻t32には速度条件(回転速度ωrがωr *±Δωrthの範囲内にあること)、および軸誤差条件(推定軸誤差Δθcが定常状態軸誤差判定値±Δθthの範囲内に収まること)が満たされ、時刻t32から定常状態判定時間Tjが経過した時刻t34において定常状態が成立する。
リミット値設定部228にて、定常状態が成立した旨が判定されると、補償量リミット値Ithは、q軸電流指令平均値Iqave *に変更される。減速時においても、「態様1:加速」、「態様2:減速」、「態様3:軸誤差大」のうち何れかの態様によって、再び定常状態が不成立になる。但し、何れの態様においても、補償量リミット値Ithが上述の「所定の固定値」に戻されるという点で、同様の処理が行われる。図11(c),(d)においては、時刻t36に軸誤差条件が不成立になった(推定軸誤差Δθcが定常状態軸誤差判定値±Δθthの範囲を超えた)場合の波形例を示す。
以上のように、本実施形態においては、第1実施形態と同様に、PMモータ5が定常状態であるか否かに応じて補償量リミット値Ithを設定するので、非定常状態においてはPMモータ5の挙動が不安定になるような事態を有効に抑制することができ、定常状態においては消費電力を低減することができ、直流電圧V0の脈動を抑制できるという効果を奏する。さらに、本実施形態においては、非定常状態における補償量リミット値Ithを所定の固定値にしたため、補償量リミット値Ithを演算するためのリソースを削減できるという効果も奏する。
[第3実施形態]
(加速時の動作)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の構成は、第1実施形態のもの(図1〜図7)と同様であるが、補償量リミット値Ithの設定内容が異なる。その内容を、図12(a)〜(d)を参照し説明する。なお、図12(a)〜(d)は、本実施形態の電動機制御システムの加速時における各部の波形の例を示す波形図である。
図12(a)の例では、時刻t40において加速が始まり、回転速度ωrは回転速度指令ωr *よりも低くなっているため、時刻t40以降、回転速度ωrが増加してゆく。また、図12(d)の時刻t40においては、リミット値設定部228によって、その時点におけるq軸電流指令平均値Iqave *が、暫定的な補償量リミット値Ith(すなわち補償量リミット値Ithの初期値)として設定される。
時刻t40以降においては、回転速度ωrの増加率に比例するように、補償量リミット値Ithの増加率が設定される。図12(a)によれば、時刻t40〜t41の期間に回転速度ωrは直線的に増加しているため、図12(d)に示すように、補償量リミット値Ithも直線的に増加している。そして、時刻t41において回転速度ωrと回転速度指令ωr *とがほぼ等しくなると、補償量リミット値Ithもほぼ一定値になる。
本実施形態において、定常状態の成立の可否の判定方法は、第1実施形態と同様である。すなわち、図12(a),(c)において、時刻t42には速度条件(回転速度ωrがωr *±Δωrthの範囲内にあること)、および軸誤差条件(推定軸誤差Δθcが定常状態軸誤差判定値±Δθthの範囲内に収まること)が満たされ、時刻t42から定常状態判定時間Tjが経過した時刻t44において定常状態が成立する。
但し、定常状態における制御の内容も、第1実施形態のものとは若干異なる。すなわち、本実施形態においては、定常状態が成立した時点(t44)の補償量リミット値Ithを開始値、q軸電流指令平均値Iqave *の値を終了値として、リミット値設定部228は、所定のレートで徐々に減少するような補償量リミット値Ithを設定する。図12(d)の例では、時刻t45において、補償量リミット値Ithは終了値であるq軸電流指令平均値Iqave *に達している。
本実施形態においても、「態様1:加速」、「態様2:減速」、「態様3:軸誤差大」のうち何れかの態様によって、再び定常状態が不成立になる。この場合、本実施形態において補償量リミット値Ithは、第1実施形態において設定される値と同一の値を終了値とするように、リミット値設定部228によって変更される。但し、第1実施形態においては、補償量リミット値Ithがステップ状に変更されたのに対して、本実施形態では、現在値から終了値に向かって所定のレートで徐々に変化する点が異なる。図12(c),(d)においては、時刻t46に軸誤差条件が不成立になった(推定軸誤差Δθcが定常状態軸誤差判定値±Δθthの範囲を超えた)場合の波形例を示す。
図12(d)によれば、補償量リミット値Ithは、第1実施形態と同様に、定常状態が成立する直前(図12(d)の例では時刻t44の直前)の値に、補償量リミット値Ithが戻される。但し、それはステップ状に戻されるのではなく、時刻t46〜t47の期間内に、補償量リミット値Ithが所定のレートで徐々に増加される点が第1実施形態とは異なる。
(減速時の動作)
次に、図13(a)〜(d)を参照し、本実施形態における減速時の動作例を説明する。なお、図13(a)〜(d)は、本実施形態の電動機制御システムの減速時における各部の波形の例を示す波形図である。図13(a)の例では、時刻t50において、回転速度ωrは回転速度指令ωr *よりも高くなっているため、時刻t50以降、回転速度ωrが減少してゆく。
図13(d)において、減速が開始された時刻t50では、補償量リミット値Ithは、第1実施形態の場合と同様に、その時刻t50におけるq軸電流指令平均値Iqave *が、補償量リミット値Ithに設定される。本実施形態においても、負荷トルクTLの予期せぬ変動に備えて、定常状態が成立するまで、補償量リミット値Ithは一定に保たれる。
減速時における定常状態の成立の可否の判定方法は、加速時と同様である。すなわち、図13(a),(c)において、時刻t52には速度条件(回転速度ωrがωr *±Δωrthの範囲内にあること)、および軸誤差条件(推定軸誤差Δθcが定常状態軸誤差判定値±Δθthの範囲内に収まること)が満たされ、時刻t52から定常状態判定時間Tjが経過した時刻t54において定常状態が成立する。
また、定常状態における制御の内容も、加速時のものと同様である。すなわち、定常状態が成立した時点(t54)の補償量リミット値Ithを開始値、q軸電流指令平均値Iqave *の値を終了値として、リミット値設定部228は、所定のレートで徐々に減少するような補償量リミット値Ithを設定する。図13(d)の例では、時刻t55において、補償量リミット値Ithはq軸電流指令平均値Iqave *に達している。
減速時においても、「態様1:加速」、「態様2:減速」、「態様3:軸誤差大」のうち何れかの態様によって、再び定常状態が不成立になる。この場合、本実施形態において補償量リミット値Ithは、第1実施形態において設定される値と同一の値を終了値とするように、リミット値設定部228によって変更される。但し、第1実施形態においては、補償量リミット値Ithがステップ状に変更されたのに対して、本実施形態では、現在値から終了値に向かって所定のレートで徐々に変化する点が異なる。図13(c),(d)においては、時刻t56に軸誤差条件が不成立になった(推定軸誤差Δθcが定常状態軸誤差判定値±Δθthの範囲を超えた)場合の波形例を示す。
図13(d)によれば、補償量リミット値Ithは、第1実施形態と同様に、定常状態が成立する直前(図13(d)の例では時刻t54の直前)の値に、補償量リミット値Ithが戻される。但し、それはステップ状に戻されるのではなく、時刻t56〜t57の期間内に、補償量リミット値Ithが所定のレートで徐々に増加される点が第1実施形態とは異なる。
以上のように、本実施形態においては、第1実施形態と同様に、PMモータ5が定常状態であるか否かに応じて補償量リミット値Ithを設定するので、非定常状態においてはPMモータ5の挙動が不安定になるような事態を有効に抑制することができ、定常状態においては消費電力を低減することができ、直流電圧V0の脈動を抑制できるという効果を奏する。さらに、本実施形態においては、定常状態/非定常状態の遷移時に補償量リミット値Ithを所定のレートで徐々に変化させるため、制御状態が急激に変動することを防止でき、制御を一層安定させられるという効果も奏する。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
第4実施形態の構成は、第1実施形態のもの(図1〜図7)と同様であるが、補償量リミット値Ithの設定内容が異なる。その内容を、図14(a)〜(d)を参照し説明する。なお、図14(a)〜(d)は、本実施形態の電動機制御システムの加速時および減速時における各部の波形の例を示す波形図である。
図14(a)の例では、時刻t60において加速が始まり、その時点で回転速度ωrは回転速度指令ωr *よりも低くなっているため、時刻t60以降、回転速度ωrが増加してゆく。時刻t64において減速が始まり、その時点で回転速度ωrは回転速度指令ωr *よりも高くなっているため、時刻t64以降、回転速度ωrが減少してゆく。また、図14(d)の時刻t60,t64においては、リミット値設定部228によって、第1実施形態と同様にして暫定的な補償量リミット値Ith(すなわち補償量リミット値Ithの初期値)が設定される。すなわち、誘起電圧変化率Kvと、q軸電流指令平均値Iqave *との積「Kv・Iqave *」が暫定的な補償量リミット値Ithに設定される。
さらに、時刻t60,t64においては、図14(b)に示す計算用負荷トルクTLCが、その時点の負荷トルクTLに等しい値に設定される。時刻t60からt62、時刻t64からt66においては、回転速度ωrが増加または減少している場合(加速または減速する場合)には、リミット値設定部228にてトルク見直し周期T1毎に、計算用負荷トルクTLCが、その時点の負荷トルクTLに等しい値に更新される。その際、計算用負荷トルクTLCが更新される直前に、リミット値設定部228では負荷トルクTLと計算用負荷トルクTLCとが比較される。その比較結果が「TLC<TL」である場合は、トルク電流すなわちq軸電流指令値Iq *を現在よりも増加させることが望ましいため、補償量リミット値Ithを現在よりも大きくすることが望ましい。
そこで、リミット値設定部228は、比較結果が「TLC<TL」である場合は、現在の補償量リミット値Ithに対して、偏差(TL−TLC)に応じたプラス補正を行い、その結果を新たな補償量リミット値Ithとする。例えば、第1実施形態の場合と同様に、比例定数をKiとしたとき、従前の補償量リミット値Ithに対してKi(TL−TLC)を加算した値を、新たな補償量リミット値Ithにするとよい。
一方、比較結果が「TLC≧TL」である場合、本実施形態においては、偏差に応じて補償量リミット値Ithを下げる点が第1実施形態とは異なる。例えば、従前の補償量リミット値Ithに対してKi(TLC−TL)を減算した値を、新たな補償量リミット値Ithにするとよい。また、本実施形態においては、定常状態/非定常状態の区別は特に行っていない点も、第1実施形態とは異なる。
図14(a)において、時刻t60〜t62の期間は回転速度指令ωr *が増加し、時刻t64〜t66の期間は回転速度指令ωr *が減少している。従って、これらの期間においては、トルク見直し周期T1毎に補償量リミット値Ithが更新される。一方、時刻t62〜t64の期間は、回転速度指令ωr *が一定である。従って、この期間中は、図14(b)に示すように、負荷トルクTLが変動しているにもかかわらず計算用負荷トルクTLCが一定値に保たれるとともに、図14(c)に示すように、補償量リミット値Ithも一定値に保たれている。
以上のように、本実施形態によれば、リミット値設定部228は、回転速度指令ωr *が変化した場合にトルク見直し周期T1毎に補償量リミット値Ithを変更するので、特に加速時には、負荷トルクTLの変動に対応し易くなる。また、減速時には、過剰なq軸電流指令補正値IqSIN *を出力するような過補償状態を抑制することができ、消費電力を低減させることができる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
(1)上記各実施形態においては、電動機として永久磁石型同期電動機を用いた例を説明したが、本発明は、他の同期電動機(例えば、巻線型同期電動機、リラクタンスモータなど)に対しても、同様に適用できる。
(2)上記各実施形態による電動機制御システムは、空気調和機、冷凍機等の電気機器に組み込んでもよい。これにより、これら電気機器の制御安定性と消費電力の削減とを実現することができる。
(3)また、上記各実施形態においては、電流検出器7を流れる電流I0に基づいて再現三相交流電流Iuc,Ivc,Iwcを得たが、これに代えて、ホール素子やシャント抵抗等を用いて、三相交流電流Iu,Iv,Iwを直接的に測定してもよい。
(4)第1実施形態の加速時(図8(d))および第4実施形態の加減速時(図14(d))において、補償量リミット値Ithを変更する場合、従前の補償量リミット値Ithに対して補正値(Ki(TL−TLC))を加減算した。しかし、加減算することに代えて、従前の補償量リミット値Ithに増加率または減少率を「乗算する」という形で補償量リミット値Ithを変更してもよい。
(5)上記各実施形態においては、誘起電圧検出部24を介して誘起電圧を検出したが、発電定数Keに回転速度ωrを乗算することによって誘起電圧を算出してもよい。
(6)上記各実施形態における制御器2のハードウエアは一般的なコンピュータによって実現できるため、図1、図3、図7に示したブロック図を実現するプログラム等を記憶媒体に格納し、または伝送路を介して頒布してもよい。また、図1、図3、図7に示した処理は、その一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)、あるいはFPGA(field-programmable gate array)等を用いたハードウエア的な処理によって実現してもよい。
[構成・効果の総括]
以上のように、第1〜第4実施形態の電動機制御装置(2)にあっては、インバータ(3)によって回転駆動される電動機(5)について、想定された回転角(θdc)と実際の回転角(θd)との差である軸誤差(Δθc)を推定する軸誤差推定部(15)と、前記軸誤差(Δθc)を抑制するために、トルク指令値(Iq *)を増減させるトルク指令補正値(IqSIN *)を出力するトルク制御器(22)と、増減された前記トルク指令値(Iq *)に基づいて、前記インバータ(3)に対して駆動信号(PWM信号)を出力する駆動信号発生部(14)とを有し、前記トルク制御器(22)は、前記トルク指令補正値(IqSIN *)の変動範囲を、指定された制限範囲(±Ith)に収まるよう制限する補正値制限部(227)と、前記電動機(5)の状態に基づいて、前記制限範囲(±Ith)を増減する制限範囲設定部(228)とを有することを特徴とする。
このように、電動機制御装置(2)は電動機(5)の状態に応じて制限範囲(±Ith)を設定するので、電動機(5)の状態に応じてトルク指令補正値(IqSIN *)を設定することができる。従って、電動機(5)の状態が変動する場合は、トルク指令補正値(IqSIN *)の振幅を大きくすることによって、制御を安定させることができるとともに、電動機(5)の状態が安定している場合にはトルク指令補正値(IqSIN *)の変動範囲を制限することによって消費電力を低減することができる。
さらに、第1〜第4実施形態において、前記電動機(5)は、周期的に負荷トルク(TL)が変動する負荷(6)を駆動するものであり、前記インバータ(3)は、前記電動機(5)にパルス幅変調された電圧を印加するものであり、前記制限範囲設定部(228)は、前記負荷トルク(TL)の状態に応じて、前記制限範囲(±Ith)を増減するものであることを特徴とする。これにより、負荷トルク(TL)の状態に応じてトルク指令補正値(IqSIN *)を設定することができる。
さらに、第1〜第4実施形態の電動機制御装置(2)は、前記軸誤差(Δθc)に基づいて、トルク脈動成分(ΔTmc)を求めるトルク脈動成分出力部(21)をさらに有し、前記トルク制御器(22)は、前記トルク脈動成分(ΔTmc)の周期的成分(ΔTds,ΔTqs)を求める周期的成分出力部(223,224d,224q)と、前記周期的成分(ΔTds,ΔTqs)を打ち消す補償信号(225d,225qの出力信号)を前記補正値制限部(227)に供給する補償器(33,34,225d,225q)とをさらに有することを特徴とする。これにより、トルク脈動成分(ΔTmc)の周期的成分(ΔTds,ΔTqs)によってトルク指令補正値(IqSIN *)を設定するとともに、その変動範囲を制限範囲(±Ith)を設定することができる。
さらに、第1〜第4実施形態の電動機制御装置(2)においては、前記負荷(6)は、冷媒を圧縮する圧縮機構であり、前記電動機(5)は回転子に永久磁石を有する永久磁石型同期電動機であり、前記回転角(θd,θdc)は、前記回転子の磁極位置を示すものであり、前記軸誤差推定部(15)は、前記インバータ(3)から前記電動機(5)に供給される電流または前記インバータ(3)内に流れる電流に基づいて前記軸誤差(Δθc)を推定するものであることを特徴とする。これにより、電動機(5)に流れる電流を測定することなく、軸誤差(Δθc)を推定することができる。
さらに、第3実施形態においては、前記制限範囲設定部(228)は、前記制限範囲(±Ith)を、所定のレートで徐々に変化させることを特徴とする。これにより、制御状態が急激に変動することを防止でき、制御を一層安定させられるという効果を奏する。
さらに、第1実施形態の加速時および第4実施形態の加減速時においては、前記制限範囲設定部(228)は、前記電動機(5)の回転速度(ωr)が変化している場合に前記制限範囲(±Ith)を補正し、前記回転速度(ωr)が一定である場合には前記制限範囲(±Ith)を補正しないことを特徴とする。これにより、電動機(5)が加減速している場合に、負荷トルク(TL)等の変動に対応し易くなる。
さらに、第1〜第3実施形態の電動機制御装置(2)においては、前記制限範囲設定部(228)は、前記軸誤差(Δθc)が所定時間(Tj)以上、所定の軸誤差範囲(±Δθth)内であることを条件として、前記電動機(5)が第1の状態(定常状態)であると判断する一方、前記軸誤差(Δθc)が前記軸誤差範囲(±Δθth)から外れると、前記電動機(5)が第2の状態(非定常状態)であると判断し、前記電動機(5)が第1の状態(定常状態)である場合よりも前記制限範囲(±Ith)を広くすることを特徴とする。
これにより、第2の状態(非定常状態)においては、電動機(5)に対して強い制御を施すことができ、電動機(5)が不安定になるような事態を未然に防止できる。また、電動機(5)が第1の状態(定常状態)である場合には、トルク指令補正値(IqSIN *)の変動幅を狭くすることができるので、消費電力を低減することができる。
さらに、第1〜第3実施形態の電動機制御装置(2)においては、前記制限範囲設定部(228)は、さらに、前記電動機(5)の回転速度(ωr)が、前記所定時間(Tj)以上、所定の回転速度範囲(ωr *±Δωrth)内であることを条件として、前記電動機(5)が前記第1の状態(定常状態)であると判断し、前記回転速度(ωr)が前記回転速度範囲(ωr *±Δωrth)から外れた場合においても、前記電動機(5)が前記第2の状態(非定常状態)であると判断することを特徴とする。これにより、第1および第2の状態(定常状態,非定常状態)を軸誤差(Δθc)および回転速度(ωr)の双方に基づいて判定することができ、一層正確な制御が可能になる。
また、変形例(2)の電気機器にあっては、請求項1に記載の電動機制御装置(2)と、前記電動機(5)とを備えることを特徴とする。これによって、電気機器の状態が変動する場合には、制御を安定させることができ、電気機器の状態が安定している場合には消費電力を低減することができる。
1 回転速度指令発生器
2 制御器(電動機制御装置)
3 インバータ
4 直流電源
5 PMモータ(電動機)
6 圧縮機構(負荷)
7 電流検出器
8 電流再現器
10 Iq0 *発生器
11 Id *発生器
14 PWMパルス発生器(駆動信号発生部)
15 Δθ推定器(軸誤差推定部)
21 ΔTm推定器(トルク脈動成分出力部)
22 トルク制御器
24 誘起電圧検出部
223 単相―dq座標変換器(周期的成分出力部)
224d,224q 一次遅れフィルタ(周期的成分出力部)
225d,225q 積分器
226 dq−単相逆変換器
227 リミッタ部(補正値制限部)
228 リミット値設定部(制限範囲設定部)

Claims (9)

  1. インバータによって回転駆動される電動機について、想定された回転角と実際の回転角との差である軸誤差を推定する軸誤差推定部と、
    前記軸誤差を抑制するために、トルク指令値を増減させるトルク指令補正値を出力するトルク制御器と、
    増減された前記トルク指令値に基づいて、前記インバータに対して駆動信号を出力する駆動信号発生部と
    を有し、前記トルク制御器は、
    前記トルク指令補正値の変動範囲を、指定された制限範囲に収まるよう制限する補正値制限部と、
    前記電動機の状態に基づいて、前記制限範囲を増減する制限範囲設定部と
    を有し、
    前記電動機は、周期的に負荷トルクが変動する負荷を駆動するものであり、
    前記制限範囲設定部は、前記負荷トルクの現在値が所定のトルク見直し周期だけ過去の値と比較して大きい場合は、前記制限範囲を大きくする
    ことを特徴とする電動機制御装置。
  2. 前記インバータは、前記電動機にパルス幅変調された電圧を印加するものであ
    ことを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  3. 前記軸誤差に基づいて、トルク脈動成分を求めるトルク脈動成分出力部をさらに有し、
    前記トルク制御器は、
    前記トルク脈動成分の周期的成分を求める周期的成分出力部と、
    前記周期的成分を打ち消す補償信号を前記補正値制限部に供給する補償器と
    をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の電動機制御装置。
  4. 前記負荷は、冷媒を圧縮する圧縮機構であり、
    前記電動機は回転子に永久磁石を有する永久磁石型同期電動機であり、
    前記回転角は、前記回転子の磁極位置を示すものであり、
    前記軸誤差推定部は、前記インバータから前記電動機に供給される電流または前記インバータ内に流れる電流に基づいて前記軸誤差を推定するものである
    ことを特徴とする請求項3に記載の電動機制御装置。
  5. 前記制限範囲設定部は、前記制限範囲を、所定のレートで徐々に変化させることを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  6. 前記電動機の状態は、前記電動機の回転速度であり、
    前記制限範囲設定部は、前記回転速度が変化している場合に前記制限範囲を補正し、前記回転速度が一定である場合には前記制限範囲を補正しない
    ことを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  7. 前記制限範囲設定部は、前記軸誤差が所定時間以上、所定の軸誤差範囲内であることを条件として、前記電動機が第1の状態であると判断する一方、前記軸誤差が前記軸誤差範囲から外れると、前記電動機が第2の状態であると判断し、前記電動機が前記第1の状態である場合よりも前記制限範囲を広くする
    ことを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  8. 前記制限範囲設定部は、さらに、前記電動機の回転速度が、前記所定時間以上、所定の回転速度範囲内であることを条件として、前記電動機が前記第1の状態であると判断し、前記回転速度が前記回転速度範囲から外れた場合においても、前記電動機が前記第2の状態であると判断する
    ことを特徴とする請求項7に記載の電動機制御装置。
  9. 請求項1に記載の電動機制御装置と、
    前記電動機と
    を備えることを特徴とする電気機器。
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