JP2014087313A - セルロースを含む菓子 - Google Patents

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Abstract

【課題】穀粉を主原料とする、ビスケット、クッキー、プレッツェル、ウエハース、クラッカー、サブレ、ボーロ等の菓子において、密度が低く軽い食感を維持し、製造時や流通時の割れや欠けが低減され、サクサク感が向上し、製品の角(エッジ)立ちが良い菓子を提供すること。
【解決手段】穀粉を主原料とする菓子に、特定量のセルロースを配合することで、密度が低く軽い食感を維持したまま、製造時や流通時の割れや欠けが低減され、サクサク感が向上し、製品の角(エッジ)立ちが良い菓子を提供できる。
【選択図】なし。

Description

本発明は、穀粉を主原料とする、ビスケット、クッキー、プレッツェル、ウエハース、クラッカー、サブレ、ボーロ等の菓子において、密度が低く軽い食感であり、製造時や流通時の割れや欠けが低減された菓子に関する。更に、サクサク感が向上した菓子に関する。また、製品の角(エッジ)立ちが良い菓子に関する。特に、本発明は、低密度でふわっとした軽い食感で、サクサク感が要求されるクッキー、ビスケット、プレッツェル等に適している。
クッキー、ビスケット、プレッツェルは、穀粉を主原料とする菓子の一種であり、特に、ふわっとした軽い食感で、サクサクした食感のものが好まれている。しかし、軽い食感の菓子は、一般的に密度と硬度が低いため、製造時や流通時に割れや欠け等の製品ロスが生じ易いという問題点があった。一方、内部が密な構造の菓子は、硬いので、製品ロスが少ないという利点はあるが、ふわっとした軽い食感で、サクサク感のある菓子にならない。また、生地を成形後に加熱をすると、加熱による生地のダレが生じるため角(エッジ)が丸くなり、成形時の形状を維持できないという課題があった。
従来、穀粉を主原料とする菓子の品質改良については以下の検討がなされてきた。
特許文献1には、小麦粉、発泡成分、水を必須成分とするドウに、セルロース、水膨潤性及び水溶性のガム質を混合することで、ドウの粘着性を改善し、大量生産の際に、生地が均一な重量であり、食感が改良され、生地の老化が抑えられたベーカリー製品ないしその製造方法が開示されている。
特許文献2には、穀類、いも類、または豆類を主原料とする生地に粉末セルロースを配合した後に、エクストルーダーを用いた押出膨化により製造した、スティック状の膨化菓子が開示されている。
特許文献3には、グルテン形成能を有さない未糊化粉、冷水糊化粉、糖類及び油脂類を含む生地に、粉末セルロースを配合し、成形及び焼成した棒状の焼菓子が開示されている。
特開昭62−22537号公報 特開2003−18970号公報 特開2003−284501号公報
特許文献1のドウ組成物はパンの実施例しかなく、本発明のように低密度で軽い食感の菓子は開示されていない。例え、特該文献に開示されている組成で菓子を作ったとしても、小麦粉の配合量が多いので、モチモチとした食感となり、本発明のような低密度で軽い食感で、サクサクとした食感の菓子を作製することはできない。また、該文献では、成形工程での生地の纏りの向上を目的としており、軽い食感の菓子の製品ロスを減らすこという本発明の目的とは異なる。
特許文献2の方法によると、確かに、膨化菓子の如く低密度の菓子にセルロースを添加することで折れ難くなる。しかしながら、該文献の方法では、エクストルーダーという特殊な装置が必須であり、温度、圧力の条件が制限される。また、形態、食感を自由に決定できないという問題があった。
特許文献3の方法によると、グルテン形成能を有さない未糊化粉を使用することで棒状の焼菓子の硬度を大きくしつつ、カリカリとした食感の堅い菓子とすることで、菓子の割れや欠けが低減される。しかし、該文献のように、グルテン形成能を有さない未糊化粉を使用すると、本発明のように密度が低く、ふわっとした食感の菓子を製造することは出来ない。
本発明は、穀粉を主原料とする、ビスケット、クッキー、プレッツェル、ウエハース、クラッカー、サブレ、ボーロ等の菓子において、密度が低く軽い食感を維持しながらも、製造時や流通時の割れや欠けが低減され、サクサク感が向上し、製品の角(エッジ)立ちが良い菓子を提供することを課題とする。
本発明者らは、穀粉を主原料とする菓子に特定量のセルロースを配合することで、密度が低く軽い食感を維持したまま、製造時や流通時の割れや欠けが低減され、サクサク感が向上し、製品の角(エッジ)立ちが良い菓子を提供できることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、下記の通りである。
(1)86質量%以下の穀粉、糖類、油脂と、0.01質量%以上のセルロースを含み、密度が0.30〜1.00g/cmである菓子。
(2)最大荷重が0.3〜5kgfである(1)に記載の菓子。
(3)セルロースが結晶セルロースである、(1)又は(2)に記載の菓子。
(4)セルロースが結晶セルロース複合体である、(1)〜(3)のいずれかに記載の菓子。
本発明により、穀粉を主原料とする菓子であり、密度が低く軽い食感を維持したまま、製造時や流通時の割れや欠けが低減され、サクサク感が向上し、製品の角(エッジ)立ちが良い菓子を提供できる。
本発明について、以下具体的に説明する。
<菓子>
本発明において、菓子とはJAS法の品質表示基準に従い菓子類に分類されるものである。JAS法において菓子類は、ビスケット類、焼き菓子、米菓、油菓子、和生菓子、洋生菓子、半生菓子、和干菓子、キャンディー類、チョコレート類、チューインガム、砂糖漬菓子、スナック菓子、冷菓、その他の菓子類に分類されている。
<菓子の製法>
本発明の菓子とは、穀粉、糖類、油脂と、必要に応じ卵等を含む原料を混合して混合済み生地を得る工程、この混合済み生地を成形して、成形済み生地を得る工程、及び成形済み生地を焼成、油ちょう、減圧乾燥、凍結乾燥等に付す工程を経させることにより、水分量を5質量%以下としたもののことであり、それらは従来公知の方法により調製され得る。生地の混合には、縦型、横型等の形状を問わず、通常の菓子およびパンの製造過程で使用されるミキサーが使用できる。原料が実質的に均一に混合されるのであれば、どのような混合方法を用いても良い。本発明では大量生産可能な、オールインミックス法により調製するのが好ましい。上述の方法において、配合原材料の比率、添加される水分率、生地の混合・混練条件、焼成、油ちょう、減圧乾燥、凍結乾燥、及び最終的な形態に応じて、ビスケット類、焼き菓子、米菓、油菓子、和生菓子、洋生菓子、半生菓子、スナック菓子が製造可能である。本発明は、軽い食感で、サクサクした食感であるビスケット類、焼き菓子、スナック菓子類に好適である。特に、ビスケット類、焼き菓子に好適である。
<焼き菓子>
一般消費者にとって、上記ビスケット類と焼き菓子は同等の菓子として認識されているので、本発明において焼き菓子とは、JAS法における、ビスケット類と焼き菓子の両者を含むものとする。
本発明において焼き菓子とは、穀粉を主原料とする生地を、公知の任意の焼成条件、方法で焼成したものである。焼成には、固定オーブン、連続オーブン、ダイレクトオーブン、熱風循環オーブン等が使用可能である。焼成条件は、生地の大きさや、最終製品の目的水分量によって異なるが、一般的には、150〜300℃の範囲において3〜30分間の加熱である。
<菓子の形状>
本発明の菓子の形状としては、任意の形状を選択することが出来る。例えば、立方体、直方体、棒状、円形、球状、円錐状、三角錐状、星形、ある特定の動物や、食物や、乗り物等、通常の菓子の製造で使用できる成形機で製造可能なものであれば、どのような形状でもよい。
<水分量>
本発明において水分量とは、菓子に含まれる水分の、菓子全体の重量に対する割合のことである。水分量は公知の測定方法で測定することが出来る。例えば、赤外水分計を用いて、まず菓子の重量を測定し、次いで菓子を重量変化がなくなるまで105℃で維持する。重量変化がなくなったときの重量を測定し、加熱前と比較して、加熱後に減少した重量から水分量を決定することが出来る。本発明の菓子の水分量は好ましくは5質量%以下である。水分量が5質量%以下であると、サクサクとした食感の菓子となる。食感の点から、より好ましくは、4質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、最も好ましくは2質量%以下である。下限は、0%であってもよい。
<密度>
本発明の菓子は密度が0.30〜1.00g/cmである。密度が当該範囲に入ることで、食べ応えがあり、ふわっとした軽い食感の菓子となる。
本発明において密度(単位:g/cm)とは、喫食時における菓子1つの単位体積あたりの質量のことである。菓子が、短径0.5mm以上の具材を含む場合、その具材を全て除いた菓子の密度のことを指す。
本発明において、菓子の密度は0.30〜1.00g/cmが必須である。密度が0.30g/cm未満であると、軽すぎる食感で食べ応えがない菓子となる。他方、密度が1.00g/cmを超えると、内部が密に詰まった構造の菓子となり、ふわっとした軽い食感の菓子ではなくなってしまう。食感の観点から、より好ましくは、0.40〜0.85g/cmであり、更に好ましくは0.50〜0.80g/cmであり、最も好ましくは、0.60〜0.70g/cmである。
<最大荷重>
本発明の菓子は最大荷重が0.3〜5kgfである。最大荷重が当該範囲に入ることで、噛む力が弱い子供や、お年寄りでも充分に喫食可能な菓子となる。
本発明において荷重は、縦:25±5mm、横:25±5mm、厚み:10±1mmのテストピースを用いて測定する。テストピースは、消費者が喫食可能な状態であれば、どのような状態でもよい。菓子が焼き菓子であれば、生地を焼成後の状態が好ましい。最大荷重は、テクスチャー・アナライザー(英弘精機株式会社製、TA.XT plus型、測定治具:HDP/3PB型、温度:25.0℃、Mode:Mesure Force in Compression、Option:Return to Start,Pre−Test Speed:1.0mm/s,Test−Speed:1.5mm/s,Post−Test Speed:10mm/s,Distance:5mm,Triger Type:Auto 50g)により測定する。本発明における最大荷重は、上述の測定で得られた時間−応力曲線上の、応力が最大の値のことである。この最大荷重の値が大きいほど、菓子が硬い食感であることを表している。
本発明において、菓子の最大荷重は0.3〜5kgfが必要である。最大荷重が0.30kgf未満であると、脆く食べ応えがない菓子となる。他方、最大荷重が5kgfを超えると、ガリガリとした硬い食感となり、ふわっとした軽い食感の菓子ではなくなってしまう。一般的には最大荷重が5kgfを超える菓子は、充分に硬いため割れや欠けが問題になるとはないが食感が悪い。最大荷重は食感の観点から、より好ましくは、0.5〜3.5kgfであり、更に好ましくは1.0〜3.0kgfであり、最も好ましくは、1.5〜2.5kgfである。
<穀粉>
典型的な本発明の菓子には穀粉が配合される。穀粉を含むことで、充分な栄養価を持つ菓子になるからである。
本発明において、穀粉とは、イネ科穀物(小麦、大麦、ライ麦、米、とうもろこし、テフ、ひえ)、豆類(大豆、ヒヨコマメ、エンドウマメ)、擬穀類(蕎麦、アマランサス)、イモ類・根菜(片栗、馬鈴薯、葛、タピオカ)、木の実(栗、どんぐり)等を挽いて作られた粉末のことである。原料として、これらのうち1種の穀粉を使用しても、2種以上を混合したものを使用してもよい。これらの中でも、本発明の菓子には、小麦粉又は米粉が好ましい。
<小麦粉>
小麦粉とは、小麦を挽いて作られた粉末のことである。小麦粉は、そこに含まれるタンパク質の割合と形成されるグルテンの性質によって薄力粉、中力粉、強力粉、浮き粉、全粒粉、グラハム粉、セモリナ粉等に分類されるが、いずれも本発明でいう小麦粉に該当する。本発明の菓子に配合する小麦粉の量としては、好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上であり、特に好ましくは45質量%以上である。小麦粉は多いほど、栄養価に優れるため好ましい。上限は、食感(小麦粉が多すぎるとモチモチとしたパンのような食感となる)の観点で、86質量%以下が好ましく、80質量%以下が好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
小麦粉の中でも、本発明の菓子には、強力粉、中力粉、薄力粉が好ましい。強力粉は、タンパク質の割合が12%以上のもので、中力粉は、タンパク質の割合が11.9〜8.6%のもので、薄力粉は、タンパク質の割合が8.5%以下のものである。特に、本発明で使用される穀粉としては、薄力粉を30質量%以上含むものを用いることが、加工特性、食感の点で好ましい。より好ましくは、40質量%以上であり、特に好ましくは、45質量%以上である。
<米粉>
ここで、米粉とは、米を挽いて作られた粉末のことである。原料となる米として、うるち米、もち米のどちらを用いても良い。市販で入手可能な米粉としては、上新粉、上用粉、だんご粉、パン用米粉、お菓子用米粉、乳児粉、みじん粉、もち粉、白玉粉、求肥粉、道明寺粉、寒梅粉、落雁粉等がある。これらのうち1種の米粉を使用しても、2種以上を混合したものを使用してもよい。これらの中でも、本発明の菓子には、平均粒子径が150μm以下で、一般的な小麦粉と同等の大きさの米粉を用いるのが好ましい。特に、本発明で使用される穀粉としては、米粉を30質量%含むものを用いることが、加工特性、食感の点で好ましい。より好ましくは、40質量%以上であり、特に好ましくは、45質量%以上である。
<糖類>
典型的な本発明の菓子には糖類が配合される。糖類を含むことで、甘味が付与でき、老若男女が好む味の菓子となる。
本発明で用いる糖類とは、例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖(グルコース)、果糖、転化糖、水飴、粉末水飴、還元麦芽水飴、蜂蜜、トレハロース、トレハルロース、ネオトレハロース、パラチノース、D−キシロース、澱粉加水分解物、デキストリン等の糖類、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類をあげることができる。これらの糖類は、2種類以上組み合わせてもよい。上述の中でも、澱粉加水分解物、デキストリン類、ショ糖、グルコ−ス、糖アルコールが味の点で好ましい。これらの中でも、ショ糖が好ましい。本発明の菓子に配合する糖類の量としては、好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上であり、特に好ましくは20質量%以上である。糖類は多いほど、甘味に優れるため好ましい。上限は、甘味と小麦粉との味のバランスの観点で、50質量%以下が好ましく、40量%以下が特に好ましい。
<油脂>
典型的な本発明の菓子には油脂が配合される。油脂を含むことで、コクがある菓子となる。本発明で用いる油脂としては、植物性油脂、動物性油脂およびそれらの加工品が例示できる。また、そのような油脂類としては、市販の任意の油脂類が使用できる。当該油脂類の例としては、ショートニング、マーガリン、バター、ラード、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、サフラワー油、パーム油、パーム核油及びヤシ油バター、生クリーム、硬化油脂、エステル交換油脂等が挙げられる。この中から1種又は2種以上を併用することができる。これらの中でも、ショートニング、バター、生クリーム等が風味の点で、好ましい。
本発明の菓子に配合する油脂の量としては、好ましくは3質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは12質量%以上である。油脂は多いほど、風味と栄養価が優れるため好ましい。上限は、生産性(生地のまとまり)の観点で、35質量%以下が好ましく、30量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。
<セルロース>
本発明の菓子は、セルロースを0.01質量%以上含有する。0.01質量%以上のセルロースを含むことで、割れ欠けが低減され、サクサクとした食感の菓子となる。
本発明において、「セルロース」とは、セルロースを含有する天然由来の水不溶性繊維質物質の粉末である。原料としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等が挙げられる。原料として、これらのうち1種の天然セルロース系物質を使用してもよいし、また2種以上を混合したものを使用することも可能である。
セルロースとしては、上記の原料を酸加水分解、酵素分解、アルカリ加水分解、或いは爆砕処理等により特定の重合度に加水分解し、必要に応じ、摩砕、粉砕等の機械的処理を経て、粉末化したものを用いることが好ましい。使用できるセルロースとしては、セルロースフロック(粉末セルロース)、結晶セルロースが挙げられる。上述の中でも、生地等との混合性において、結晶セルロースを使用することが好ましい。
また、結晶セルロースの中でも、多孔質な結晶セルロースを用いると生地のまとまりがよくなるため好ましい。さらに、結晶セルロースの中でも、結晶セルロースと水溶性ガムが複合化された結晶セルロース複合体を用いると、生地中のセルロースの分散性、製造時や流通時の製品ロス低減、サクサク感の向上、良好な角(エッジ)立ちが達成できるため好ましい。さらにまた、結晶セルロース複合体でも、結晶セルロースと水溶性ガムに加えて、特定量の親水性物質が配合された易分散性結晶セルロース複合体を用いると、上述のセルロースの分散性、製造時や流通時の製品ロス低減、サクサク感の向上、良好な角(エッジ)立ちが、より向上するため好ましい。これらのセルロース複合体や易分散性結晶セルロース複合体については、後で詳細に説明する。
<セルロースの添加量>
本発明の菓子は、セルロースを0.01質量%以上含む必要がある。ここでいうセルロース配合量は、セルロース単独の素材の場合は、その素材自体の重量より算出され、セルロース複合体を用いた場合は、複合体の重量から算出される(複合体中のセルロース含量ではない)。また、セルロースを多量に配合するほど、製造時や流通時の製品ロス低減、サクサク感の向上、良好な角(エッジ)立ちが達成できるため好ましい。好ましくは、0.1質量%以上であり、より好ましくは、0.5質量%以上であり、特に好ましくは、1質量%以上である。一方で、セルロースを配合しすぎると、菓子に繊維的な、ぼそぼそとした食感が現れる場合があるため、上限は、5質量%以下が好ましい。
<セルロースの添加方法>
本発明で意図される菓子は、一般的には、穀粉や糖などの粉末原料をブレンド粉とする工程、水や卵等の水分を含む原料を上記ブレンド粉と混合し生地を作製する工程、上記の生地を成形する工程、成形後の生地を焼成、油ちょう、減圧乾燥、凍結乾燥等の処理をする工程を経て製造される。また、風味付けとして、更にチョコレート等の水系媒体でコーティングされることもある。上記の製造工程において、セルロースは、粉末原料と共にブレンドする、水分を含む原料と共に混合する、生地を成形後に粉まぶしをする、焼成、油ちょう、減圧乾燥、凍結乾燥後に粉まぶしをする、水系媒体に配合する、水系媒体でコーティング後に粉まぶしをするのうちの、いずれの方法で添加しても良い。特に、水が存在する段階で、他の原料とともに混合されると、セルロースの分散が促進されるため好ましい。また、水分を多量に含む原料(例えば卵)を添加する際に、予め、それらと混合し、分散された状態で添加してもよい。
<セルロースの平均重合度>
本発明に用いるセルロースの平均重合度は、500以下であることが好ましい。平均重合度は、「第14改正日本薬局方」(廣川書店発行)の結晶セルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定できる。平均重合度が500以下ならば、生地との混合工程において、セルロース系物質が攪拌、粉砕、摩砕等の物理処理を受けやすくなり、複合化が促進されやすくなるため好ましい。より好ましくは、平均重合度は300以下、さらに好ましくは、平均重合度は250以下である。平均重合度は、小さいほど複合化の制御が容易になるため、下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては10以上である。
<セルロースの加水分解>
上記のような範囲にセルロースの平均重合度を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース繊維質内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースやリグニン等の不純物も取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。それにより、混練工程等で、セルロースと陰イオン性多糖類に機械的せん断力を与える工程において、セルロースが機械処理を受けやすくなり、セルロースが微細化されやすくなる。その結果、セルロースの表面積が高くなり、陰イオン性多糖類との複合化の制御が容易になる。
加水分解の方法は特に制限されないが、酸加水分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン、マイクロ波分解等が挙げられる。これらの方法は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。酸加水分解の方法では、セルロース系物質を水系媒体に分散させた状態で、プロトン酸、カルボン酸、ルイス酸、ヘテロポリ酸等を適量加え、攪拌させながら加温することにより、容易に平均重合度を制御できる。この際の温度、圧力、時間等の反応条件は、セルロース種、セルロース濃度、酸種、酸濃度により異なるが、目的とする平均重合度が達成されるよう適宜調製されるものである。例えば、2質量%以下の鉱酸水溶液を使用し、100℃以上、加圧下で、10分以上セルロースを処理するという条件が挙げられる。この条件のとき、酸等の触媒成分がセルロース繊維内部まで浸透し、加水分解が促進され、使用する触媒成分量が少なくなり、その後の精製も容易になる。
<セルロースの粒子形状(L/D)>
本発明で用いるセルロース中のセルロースは、微細な粒子状の形状であることが好まし
い。セルロースの粒子形状は、本発明のセルロース複合体を、1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザー ED−7」、処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた水分散体を、0.1〜0.5質量%に純水で希釈し、マイカ上にキャストし、風乾されたものを、高分解能走査型顕微鏡(SEM)又は原子間力顕微鏡(AFM)で計測された際に得られる粒子像の長径(L)と短径(D)とした場合の比(L/D)で表され、100個〜150個の粒子の平均値として算出される。
L/Dは、具材の分散安定化の点で20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下が特に好ましく、4以下が最も好ましい。下限は、具材との絡み合いによる分散安定化の点で、ある程度、大きいほど好ましい。1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が特に好ましい。
<セルロースの平均粒子径>
本発明で用いるセルロース(粉末セルロース、結晶セルロース、結晶セルロース複合体)は、それに含まれる粒子のメジアン径が小さい特徴がある。この粒子の大きさは次の方法で測定できる。つまり、まず、セルロースを、0.5質量%の濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザー ED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、遠心分離を経ずに、そのまま、レーザー回折/散乱法粒度分布計(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)で測定することにより得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径(体積平均粒子径)を、本発明のセルロースの平均粒子径として定義できる。このメジアン径が20μm以下であると、セルロース複合体の懸濁安定性がより容易に向上するため、好ましい。また、セルロースを含有する食品を食した際に、ザラツキのない、なめらかな舌触りのものを提供することができる。より好ましくは15μm以下であり、特に好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては0.1μm以上である。
<多孔質な結晶セルロース>
前記のとおり、本発明のセルロースは内部が多孔質化していることが好ましい。本発明で好適に用いられ得るそのような多孔質なセルロースは、粒子内細孔容積が0.265cm/g〜2.625cm/g であり、比表面積が1.3〜20m/gであり、安息角が25°以上44°未満のものである。当該細孔容積は、島津製作所(株)製、商品名、オートポア9520型を用い、水銀ポロシメトリーにより細孔分布を求めることで測定可能である。一般的に、測定に用いる各試料粉体は、室温で15時間減圧乾燥したものを使用する。初期圧20kPaの測定により、得られた細孔分布から、細孔径0.1〜10μmの範囲にある「明確なピーク部分」を粒子内細孔容積として計算する。比表面積は、マイクロメリティクス(株)製、商品名、TriSTARを用い、吸着ガスとして窒素を使用しBET法により測定可能である。一般的には、各試料粉体を約1gづつセルに仕込み測定する。測定に用いる各試料粉体は、110℃で3時間減圧乾燥したものを使用するのがよい。安息角は杉原式安息角測定器(スリットサイズ奥行10x幅50x高さ140mm、幅50mmの位置に分度器を設置)を使用し、定量フィーダーを使用してセルロース粉末を3g/分でスリットに投下した際の動的自流動性を測定することで決定できる。
<結晶セルロース複合体>
前記のとおり、本発明では結晶セルロース複合体を使用することが有利である。本発明で用いる結晶セルロース複合体は、結晶セルロースと水溶性ガムからなり、結晶セルロースの表面が、水素結合等の化学結合により、水溶性ガムで被覆されたものである。その組成としては、結晶セルロース20〜99質量%と水溶性ガム1〜80質量%から構成されるものであり得る。好ましい範囲としては、結晶セルロース30〜95質量%と水溶性ガム5〜70質量%から構成されるものであるが、但しこの割合は水溶性ガムの種類に応じて、適宜調整されるものである。通常、結晶セルロースは、その割合が99重量%以下であれば結晶セルロース表面の水溶性ガムの被覆が充分であり、ベーカリー製品の製造工程において生地の表面が荒れず、滑らかな生地が得られ、焼成後のベーカリー製品を食する際にもぼそぼそとせずに、食感が優れたものが得られる。他方、水溶性ガムが80質量%以下であれば、生地を混練する際にべたつきが出にくく、製造しやすい。
結晶セルロースと複合化させる水溶性ガムとしては、難消化性デキストリン、カラヤガム、ポリデキストロース、サイリウムシードガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、キトサン、アラビアガム、ガッティガム、トラガントガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、HMペクチン、LMペクチン、アゾトバクター・ビネランジーガム、キサンタンガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ジェランガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
上述の中でも、特に、カラヤガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、難消化性デキストリンは、結晶セルロースと複合化しやすいため好ましい。
さらに、カラヤガム、キサンタンガムは、結晶セルロース複合体として、菓子に添加すると、食感が優れるため、より好ましい。
なお、結晶セルロース複合体には、結晶セルロース及び水溶ガム以外に他の食品材料、例えばオリゴ糖類、糖アルコール、澱粉分解物、加工澱粉を含む澱粉類、油脂類、蛋白質類、食塩、各種リン酸塩等の塩類、乳化剤、増粘安定剤、色素等を所望に応じて配合することができる。これらの食品材料は複合体製造時に添加することもできるし、複合体製造後に添加することもできる。それらの詳細については後で説明する。
<カラヤガム>
前述の水溶性ガムとして好適なカラヤガムとは、アオギリ科カラヤの木の樹液を精製したもののことである。市販のグレードとしては、色調、樹皮、異物の割合から、Hand−picked−selected(HPS)、Superior No.1、Superior No.2、Superior No.3、Shiftingsがある(株式会社幸書房2001年発行、国崎、佐野著「食品多糖類」88ページ、表4−4参照)。本発明で用いるカラヤガムは食品で使用できるグレードであれば制限なく使用できる。この中でも、本発明に用いるには、HPS、Superior No.1が好ましく、HPSが複合体の懸濁安定性の点で好ましい。特に、中央および北インドのSterculia urens由来のものが、複合体の懸濁安定性の点で好適である。
ここで、セルロースとカラヤガムとの質量比は、99/1〜80/20であることが好ましい。より好ましくは、94/6〜84/16であり、さらに好ましくは92/8〜86/14である。
<キサンタンガム>
同じく本発明の水溶性ガムとして好適なキサンタンガムとは、トウモロコシなどの澱粉を細菌 Xanthomonas campestrisにより発酵させて作られるガムであり、 グルコース2分子、マンノース2分子、グルクロン酸の繰り返し単位からなるものである。本発明で用いるキサンタンガムにはカリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩も含まれる。上記の構造を有し、食品で使用できるグレードであれば粘度に制限なく使用できる。
本発明の菓子に用いる場合は、セルロースとキサンタンガムの質量比は、99/1〜80/20が好ましい。より好ましくは99/1〜90/10であり、さらに好ましくは96/4〜92/8である。
<カルボキシメチルセルロースナトリウム>
また、本発明の水溶性ガムとして好適なカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)とは、セルロースの水酸基がモノクロロ酢酸で置換されたもので、D−グルコースがβ−1,4結合した直鎖状の化学構造を持つものである。CMC−Naは、パルプ(セルロース)を水酸化ナトリウム溶液で溶かし、モノクロロ酸(或いはそのナトリウム塩)でエーテル化して得られる。
特に、置換度と粘度が特定範囲に調製されたCMC−Naを用いることが、複合化の観点から好ましい。置換度とは、セルロース中の水酸基にカルボキシメチル基がエーテル結合した度合いのことであり、0.6〜2.0が好ましい。置換度が前記の範囲であれば、CMC−Naの分散性が十分であること、及び製造が容易であることから好ましい。より好ましくは、置換度は0.6〜1.3である。またCMC−Naの粘度は、1質量%の純水溶液において、500mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がより好ましく、50mPa・s以下がさらに好ましい。特に好ましくは、20mPa・s以下である。CMC−Naの粘度が低いほど、セルロース、親水性ガムとの複合化が促進されやすい。下限は特に設定されるものではないが、好ましい範囲としては1mPa・s以上である。ここで、セルロースとCMC−Naとの質量比は、99/1〜80/20であることが好ましい。より好ましくは、94/6〜84/16であり、さらに好ましくは92/8〜86/14である。
<難消化性デキストリン>
また、本発明の水溶性ガムとして結晶セルロース複合体の製造に用いることのできる難消化性デキストリンは、澱粉を加熱、酵素等で処理して得られるもので、食物繊維の平均分子量が500から3000程度、グルコース残基がα−1,4、α−1,6、β−1,2、β−1,3、β−1,6−グルコシド結合し、還元末端の一部はレボグルコサン(1,6−アンヒドログルコース)である、分岐構造の発達したデキストリンである。市販品としては、食品添加物公定書第8版に記載の規格に合致するものが使用できる。
本発明の水溶性ガムとして難消化性デキストリンを用いる場合、その組成としては、結晶セルロース30〜70質量%、難消化性デキストリンが30〜70質量%となるようにするのが好ましい。
<結晶セルロース複合体に配合される親水性物質>
本発明に用いるセルロース複合体は、水への分散性を高める目的で、セルロースと水溶性ガム以外に、親水性物質を加えてもよい。親水性物質とは、冷水への溶解性が高く粘性を殆どもたらさない有機物質であり、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、セロオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラクチュロース、乳糖、マルトース、ショ糖、α−、β−、γ−シクロデキストリン等のオリゴ糖類、ブドウ糖、果糖、ソルボース等の単糖類、マルチトール、ソルビット、エリスリトール等の糖アルコール類等、ビタミン類、コラーゲン、アズレン、キトサンが適している。これらの親水性物質は、2種類以上組み合わせてもよい。上述の中でも、澱粉加水分解物、デキストリン類、ポリデキストロース等の親水性多糖類が分散性の点で好ましく、デキストリンが最も好ましい。
セルロース複合体における親水性物質の配合量には制限はないが、好ましい範囲としては、5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。
<結晶セルロース複合体に配合されるその他添加剤>
本発明に用いるセルロース複合体に、陰イオン性多糖類を用いる場合には、複合化を進める目的で、二価のイオン性物質を配合してもよい。二価のイオン性物質は、水に溶解した際に、カルシウム、マグネシウム等の二価のイオンを生じるものであり、具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が例示される。この物質は、セルロースと、陰イオン性多糖類を複合化する前に添加されることが好ましい。二価のイオン性物質の添加量としては、セルロース複合体において、好ましくは0.5質量%以上である。より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上である。この物質は、配合量が高すぎると、セルロース組成物を添加された飲食品の味に影響するため、上限としては10質量%以下が好ましい。
<易分散性結晶セルロース複合体>
本発明の菓子は、結晶セルロース複合体のなかでも、易分散性のものを使用することが好ましい。易分散性結晶セルロース複合体を使用することで、生地の混練工程で結晶セルロース複合体が微粒子状に分散しやすいため、粗大粒子が少なくなり、焼成後の菓子を食する際のざらつきが低減され、食感も優れる。
本発明の易分散性の結晶セルロース複合体とは、エクセルオートホモジナイザー等の高せん断力の機器を使用せず、プロペラ攪拌等の弱い攪拌で完全に分散する結晶セルロース複合体のことである。典型的な当該易分散性結晶セルロース複合体は、上述の結晶セルロースと水溶性ガムから得られる結晶セルロース複合体において、上述の親水性物質が20質量%以上配合されるものである。親水性物質が多くなることで、結晶セルロースの分散性が高くなるため、好ましい。より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上である。上限は95質量%以下である。
前記の易分散性結晶セルロース複合体は、上述の結晶セルロース、水溶性ガム及び親水性物質に加え、後で具体的に説明する崩壊剤を含んでもよい。崩壊剤は、生地を混練する際に、結晶セルロースの分散性を高める作用を有し、上述の効果(割れ欠け抑制、食感維持、サクサク感向上、角立ち)を促進するものである。特に、味付けの目的で、生地に、塩分及び/又は酸を添加する際には、崩壊剤の添加効果が大きい。崩壊剤の添加量としては、結晶セルロース複合体に対し、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。上限は、40質量%以下である。
<易分散の結晶セルロース複合体の平均粒子径>
本発明の易分散性結晶セルロース複合体の平均粒子径とは、結晶セルロース複合体を4質量%の濃度で純水懸濁液とし、プロペラ攪拌機(HEIDON製 商品名3−1モーター、攪拌翼カイ十字型プロペラ1段、条件:400rpm×20分間、25℃)で分散させ、遠心分離を経ずに、そのまま、レーザー回折/散乱法粒度分布計(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)で測定した際の体積頻度粒度分布における積算50%粒子径(体積平均粒子径)のことである。このメジアン径が25μm以下であるセルロース複合体が、本発明の易分散性結晶セルロース複合体として好ましい。
<易分散性結晶セルロース複合体に配合される崩壊剤>
本発明の易分散性結晶セルロース複合体に配合される崩壊剤は、水膨潤性のものを使用することが好ましい。例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム等のガラクトマンナン粒子、加工デンプン、部分アルファー化澱粉から選ばれる1種以上を使用することができる。分散効果の点で、加工デンプンを用いることが好ましい。
<セルロース複合体に使用する加工澱粉>
本発明の易分散性結晶セルロース複合体においては、さらに加工澱粉を添加することが好ましい。用いられ得る加工澱粉としては、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシアルキル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシアルキル化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、澱粉グルコール酸ナトリウム、澱粉リン酸エステルナトリウムが好ましい。これらは、アルファー化加工したもの、部分的にアルファー化加工したもの、アルファー化加工をしていないもののうち、いずれの形態のものでも使用できる。また、酸処理された澱粉、又は生澱粉をアルファー化したアルファー化澱粉も使用できる。上述の加工澱粉は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
特に飲食品に用いる場合には、厚生労働省令第151号にて定められた11種の加工澱粉(アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉及びリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉)、並びに生澱粉をアルファー化したアルファー化澱粉が好ましい。
上述の中でも、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、リン酸架橋アルファー化澱粉、アルファー化澱粉がセルロース組成物の分散性の点でより好ましく、ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸架橋アルファー化澱粉がさらに好ましく、ヒドロキシプロピル化澱粉が最も好ましい。
<代表的なセルロース素材とその製法>
以下、本発明で使用可能なセルロースを非限定的に例示する。セルロースの製法には、特に制限はなく、本発明の菓子には、市販のセルロースを使用できる。例えば、(複合体ではない)結晶セルロースとしては、旭化成ケミカルズ(株)製の商品名「セオラスUF−F711(組成:結晶セルロース100質量%)」、商品名「セオラスUF−F702(組成:結晶セルロース100質量%)」、商品名「セオラスST−100(組成:結晶セルロース100質量%)」、商品名「セオラスST−02(組成:結晶セルロース100質量%)」、商品名「セオラスFD−101(組成:結晶セルロース100質量%)」、商品名「セオラスFD−301(組成:結晶セルロース100質量%)」、商品名「セオラスFD−F20(組成:結晶セルロース100質量%)」、FMC社製 商品名「アビセルPH−101、102(組成:結晶セルロース100質量%)」、商品名「アビセルPH−301、302(組成:結晶セルロース100質量%)」、商品名「アビセルPH−200(組成:結晶セルロース100質量%)」、明台化工製 商品名「コンプレセルM101、102、301、302、200(組成:結晶セルロース100質量%)」等が使用できる。
次に、結晶セルロース複合体としては、旭化成ケミカルズ(株)製の商品名「セオラスファイバーDF−17(組成:結晶セルロース/難消化性デキストリン/ジェランガム=65/34.2/0.8質量%)」、商品名「セオラスRC−N81(組成:結晶セルロース/カラヤガム/デキストリン=80/10/10質量%)」、商品名「セオラスRC−N30(組成:結晶セルロース/キサンタンガム/デキストリン=75/5/20質量%)」、商品名「セオラスSC−900(組成:結晶セルロース/キサンタンガム/カルボキシメチルセルロースナトリウム/デキストリン/食用油脂=73/2.8/5/19/0.2質量%)」、商品名「セオラスRC−591S(組成:結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウム=89/11質量%)」、商品名「セオラスCL−611S(組成:結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウム=85/15質量%)」が挙げられる。FMC社製「アビセルRC−591(組成:結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウム=89/11質量%)」、「アビセルBV−1518(組成:結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウム/塩化カルシウム/サッカロース=60/12/3/25質量%)」、明台化工製「セオセルNEO−C01、C11、C81、C91(組成:結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウム=80〜90/10〜20質量%)」等も好適に使用できる。
さらに、易分散性結晶セルロース複合体としては、旭化成ケミカルズ(株)製 商品名「セオラスDX−2(組成:結晶セルロース/カラヤガム/デキストリン=36/4.5/59.5質量%)」が使用できる。
粉末セルロースとしては、日本製紙製「KCフロック(組成:セルロース=100質量%)」、JRS(レッテンマイヤー)製「VITACEL(ビタセル」(組成:セルロース=100質量%)」が好適に使用できる。
また、以下の文献に開示されるものも、使用できる。例えば、特公昭40−12174、特公昭47−15734、特開昭54−54169、特開昭54−55054、特開昭54−55763、特開昭54−138153、特開昭54−157875、特開平5−255538、特開平6−65417、特開平6−335365、特開平7−102113、特開平7−173332、特開平7−268129、特開平8−151481、特開平9−3243、特開平11−46722、特開平11−46723、特開平11−253114、特開平11−253115、特開平11−302448、特開2000−41627、特開2000−178377、特開2002−345410、特開2003−135030、特開2008−113572、特開2010−104324、特開2010−136645、特開2011−152087、特開2011−162700、特開2011−193880、特許国際公開パンフレットWO00/018502、WO04/11501、WO03/096976、WO05/096832、WO07/047895、WO07/041395、などが挙げられる。
上記のうち、本発明の菓子には、粉末セルロースである日本製紙ケミカル(株)製の商品名「KCフロック400G」、結晶セルロースである旭化成ケミカルズ(株)製の商品名「セオラスUF−F702」、結晶セルロース複合体である旭化成ケミカルズ(株)製の商品名「セオラスRC−N81」、商品名「セオラスRC−N30」、FMC社製の商品名「アビセルBV−1518」等を使用することが好ましく、より好ましくは、易分散性結晶セルロース複合体である旭化成ケミカルズ(株)製の商品名「セオラスDX−2」を用いることが、製品の割れ欠け低減効果の点で好ましい。
<その他原材料>
本発明の菓子は、前記以外は、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、通常の食品と同様の構成をとることができる。例えば、卵、発泡剤、水、オリゴ糖、タンパク質、増粘剤、具材、風味原料、調味料、香料、色素、乳化剤等より選択された添加材料を、所定の割合で混合してよい。
<卵>
本発明で用いる卵としては、食用卵として流通しているものを用いることができ、鳥卵を用いることが好ましい。鳥卵としては、鶏卵、ウズラ卵、アヒル卵、ダチョウ卵、ハト卵が挙げられ、これらを組合せて使用することもできる。特に、本発明では、加工性、味の点で鶏卵を用いることが好ましい。卵は、生卵をそのまま用いることも、乾燥された加工卵を用いることもできるが、加工性の点で生卵を用いることが好ましい。
本発明の菓子に配合する卵の量としては、好ましくは3質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは10質量%以上である。卵は多いほど、風味と栄養価が優れるため好ましい。上限は、生産性(生地のまとまり)の観点で、35質量%以下が好ましく、30量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。
<発泡剤(膨張剤)>
本発明の菓子には、低密度で軽い食感にする目的で、発泡剤(膨張剤)を配合することが好ましい。発泡剤(膨張剤)としては、市販の任意の発泡剤が使用可能であり、ベーキングパウダー、重曹、重炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸マグネシウム、ミョウバンの中から1種又は2種以上を併用することができる。味の観点から好ましくは、ベーキングパウダー、重曹、重炭酸アンモニウムであり、ベーキングパウダーが最も好ましい。
本発明の菓子に配合する発泡剤の量としては、好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、特に好ましくは0.3質量%以上である。膨張剤が多いほど、軽い食感となるため好ましい。但し、必要以上に膨化をさせると中身がすかすかで食べ応えのない菓子となるので、上限は食べ応えの観点で、10質量%以下が好ましく、5量%以下がより好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
<オリゴ糖及びタンパク質>
オリゴ糖としては、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、セロオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラクチュロース、α−、β、γ−シクロデキストリン等が挙げられる。これらの中でも、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖は、味質改善効果が高いため好ましい。
タンパク質としては、通常、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳或いは生クリームなどの乳由来のタンパク質、大豆タンパク質などを使用することができる。
<増粘剤>
増粘剤は、本発明の効果に悪影響を及ぼさない限度で添加することができる。例えば、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、タマリンドシードガム、タラガム、カードラン、ラムザンガム、ガティガム、グルコマンナン、カラヤガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、アラビアガム、マクロホモプシスガム、カラギナン、寒天、ゼラチン、ペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、各種化工・加工澱粉、CMC、MC、HPC、HPMC、微結晶セルロース、発酵セルロース、微小繊維状セルロース、乾燥こんにゃく加工品等を、利用可能なものとして挙げることができる。
<乳化剤>
本発明に使用できる乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、クエン酸あるいは乳酸等の有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、サポニン、ポリソルベート、ステアロイル乳酸塩(ナトリウム、カルシウム)等を挙げることができるが、これに限定されない。
<具材>
本発明の菓子は、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、具材を含んでもよい。具材としては、植物性、動物性のいずれのものでもよい。植物性の具材としては、果実、野菜、ナッツ、穀物等を生でカットしたもの、及び/又はそれらを乾燥、浸漬等の加工処理したものを使用することができる。動物性の具材としては、牛肉、豚肉、鶏肉、または、それらを干し肉、ハム、ソーセージ等に加工されたもの、魚肉、または、それらを魚節、カマボコ、ソーセージ等に加工されたもの、チーズ等の乳を発酵したものを用いることもできる。
<風味原料>
本発明の菓子は、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、風味原料を含んでもよい。風味原料の例としては、種子類(ピーナッツ、アーモンド、マカデミアナッツ、カシューナッツ、栗等)、豆類(小豆、エンドウマメ、大豆等)、魚介類(えび、かに、鮭、ホタテ、たらこ等)、乳類(牛乳、生クリーム、練乳、全粉乳、脱脂粉乳、チーズ、ヨーグルト等)、野菜類(にんじん、トマト、たまねぎ、ピーマン、ケール等)、果実類(イチゴ、オレンジ、レーズン、りんご、キウイ、パイナップル、梅、バナナ、イチジク、モモ、なし等)、嗜好飲料類(コーヒー、紅茶、ココア、ビール、ワイン、ウイスキー、焼酎等)、調味料(食塩、みそ、醤油、ソース、食酢等)、香辛料類(こしょう、カレー粉、シナモン等)が挙げられる。これらの原料の形態は、生、乾燥品、粉末、ペースト、ピューレ、液体等の任意の形態であってよい。菓子に目的とする風味を付与するために、1種又は2種以上を併用することができる。
<高甘味度甘味料>
本発明の菓子には、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料等も添加してもよい。
<栄養剤>
本発明の菓子には、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、ビタミン、カルシウム、鉄、DHA、EPA、セサミン、ヒアルロン酸、プラセンタエキス、マカ、ウコン、コラーゲン、オルニチン、スクワラン、コエンザイムQ10、ローヤルゼリーの栄養剤を強化することも可能である。
本発明を下記の実施例により説明する。ただし、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
まず、クッキーの試作方法、各種物性の評価方法を説明する。
<セルロース以外の原材料 (セルロースは、実施例の項に記載。)>
1)薄力粉:日清製 商品名「日清フラワー薄力小麦粉」
2)砂糖:日新製糖製 商品名「粉糖NZ−1」
3)全卵:市販の鶏卵
4)ショートニング:日清製 商品名「とっても便利なショートニング」
5)ベーキングパウダー:日清製 商品名「ベーキングパウダー」
<クッキーの試作方法>
使用機器:KANTO MIXER HPi−20M、バタービーターフック
1)まず、ショートニングと砂糖を合わせて、混合した。(248rpm×1分、451rpm×1分)
2)次に、全卵を2回に分けて入れ、混合した (451rpm×40秒)。
3)薄力粉とベーキングパウダーとセルロースを入れ、混合した(136rpm×1分×3回)。
4)生地を密封し、冷蔵保管した(12〜24時間)。
5)生地を4mm厚にのばし、25mm×25mmにカットした。
6)生地をオーブンで焼成した(170℃:5分→天板の前後入れ替え→170℃:4分)。
7)室温で祖熱を取り、評価に用いた。
<密度>
無作為に10枚のクッキーを選択し、各々の密度を算出した。10枚の平均値を密度とした。
<最大荷重>
無作為に10枚のクッキーを選択し、各々の最大荷重を測定した。具体的には、テクスチャー・アナライザー(英弘精機株式会社製、TA.XT plus型、測定治具:HDP/3PB型、温度:25.0℃、Mode:Mesure Force in Compression、Option:Return to Start,Pre−Test Speed:1.0mm/s,Test−Speed:1.5mm/s,Post−Test Speed:10mm/s,Distance:5mm,Triger Type:Auto 50g)により測定した。10枚の平均値を最大荷重とした。
<割れ欠け発生枚数>
無作為に10枚のクッキーを選択し、クッキーを木製の机に30cmの高さから5回自由落下させた。1枚のクッキーが、クッキーの全質量に対して、いずれかが5質量%以上を有する2つ以上の物体に分割した場合を割れ欠けが発生したと定義した。
◎(優):0〜1枚で割れ欠けが発生
○(良):2〜3枚で割れ欠けが発生
△(可):4〜5枚で割れ欠けが発生
×(不可):6枚以上で割れ欠けが発生
<食感評価>
22歳から、48歳の男女12名のパネラーにより、上記のクッキーを実際に食してもらい、以下
の評価基準で官能評価を実施した。以下の各食感について、0〜4点(1点刻み)で点数
をつけ、平均点を求めた。
1)食感:セルロース無添加品(比較例1)と比較した、歯で全体を噛んだ際に、感じる食感。
平均3点以上 : ◎ 比較例1と同じ食感
平均2点以上、3点未満: ○ 比較例1と食感が僅かに異なる
平均1点以上、2点未満: △ 比較例1と食感が少し異なる
平均1点未満 : × 比較例1と食感が明確に異なる
2)サクサク感:歯で、全体を噛む際のサクサクした食感
平均3点以上 : ◎ 非常に優れる
平均2点以上、3点未満: ○ 優れる
平均1点以上、2点未満: △ 劣る
平均1点未満 : × ほとんどなし
<クッキーの角(エッジ)立ちの評価:外観観察>
焼成後のクッキーの四隅の角立ちを、目視で評価した。
◎(優):全て焼成前の形態をそのまま保持
○(良):1つの角の先端が丸く変形
△(可):2〜3つの角の先端が丸く変形
×(不可):全体が丸くなり、角がなくなった状態
[実施例1]
<易分散性結晶セルロース複合体の調製>
1)セルロースとキサンタンガムの複合体の製造
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーク状のセルロースを作製した(平均重合度は220であった)。
次に、ウェットケーク状のセルロースと、市販キサンタンガム(三栄源FFI製 商品名ビストップD−712)、市販デキストリン(三和澱粉製サンデック♯30)を用意し、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)に、セルロース/キサンタンガム/デキストリンの質量比が75/5/20(質量比)となるように投入し、固形分52質量%となるように加水した。その後、混錬、ペレット化、乾燥、粉砕、篩い分けを行いセルロース複合体を得た。
2)易分散性結晶セルロース複合体の製造
デキストリン(三和澱粉製 商品名サンデック#100)180g、ワキシーコーンスターチ由来のヒドロキシプロピル化澱粉(日澱化学製 商品名デリカWH)95g、上述のセルロースとキサンタンガムの複合体225gを湿潤状態で分散後、乾燥、粉砕、篩い分けを行い、易分散性結晶セルロース複合体A(セルロースの平均重合度190、セルロースの粒子L/D1.8)を得た。
易分散性結晶セルロース複合体Aを4質量%の濃度で純水懸濁液とし、プロペラ攪拌機(HEIDON製 商品名3−1モーター、攪拌翼カイ十字型プロペラ1段、条件:400rpm×20分間、25℃)で分散させ、遠心分離を経ずに、そのまま、レーザー回折/散乱法粒度分布計(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)で測定した際の体積頻度粒度分布における積算50%粒子径(体積平均粒子径)は、9.6μmであった。
上記のクッキーの試作方法において、薄力粉を1386g、ショートニングを400g、全卵を400g、ベーキングパウダーを14g、砂糖を599g、セルロース複合体Aを全仕込み量2800gに対し0.05質量%配合し、クッキーを試作した。得られたクッキーについて、上記の評価を行った。得られた結果を、表1に示す。なお、表1では、ここで用いたセルロース複合体を複合体Aと略記した。
[実施例2]
実施例1の試作方法において、セルロース複合体Aの配合量を0.1質量%、砂糖597gにした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例3]
実施例1の試作方法において、セルロース複合体Aの配合量を0.5質量%、砂糖586gにした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例4]
実施例1の試作方法において、セルロース複合体Aの配合量を1.0質量%、砂糖572gにした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例5]
実施例1の試作方法において、セルロース複合体Aの配合量を2.5質量%、砂糖530gにした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例6]
実施例4の試作方法において、セルロースを日本製紙ケミカル(株)製の商品名「KCフロック400G」にした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例7]
実施例4の試作方法において、セルロースを旭化成ケミカルズ(株)製の商品名「セオラスUF−F702」にした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例8]
実施例4の試作方法において、セルロースをFMC社製の商品名「アビセルBV−1518」にした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例9]
実施例4の試作方法において、セルロースを旭化成ケミカルズ(株)製の商品名「セオラスRC−N30」にした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例10]
実施例4の試作方法において、セルロースを旭化成ケミカルズ(株)製の商品名「セオラスDX−2」にした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例11]
実施例4の試作方法において、薄力粉を1428g、ベーキングパウダーを無添加にした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例12]
実施例11の試作方法において、薄力粉を1176g、砂糖を801gにした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例13]
実施例11の試作方法において、薄力粉を1008g、砂糖を980gにした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例14]
実施例4の試作方法において、薄力粉を1372g、ベーキングパウダー28gにした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
[実施例15]
実施例4の試作方法において、薄力粉を1344g、ベーキングパウダー56gにした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表1に示す。
Figure 2014087313
[比較例1]
実施例4の試作方法において、砂糖を600g、セルロースを無添加にした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表2に示す。
[比較例2]
比較例1の試作方法において、薄力粉を1372g、砂糖を571g、ベーキングパウダーを56gにした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表2に示す。
[比較例3]
比較例1の試作方法において、薄力粉を1008g、砂糖を1008g、ベーキングパウダーを無添加にした以外は、同様にクッキーを試作し、同様に評価を行った。得られた結果を、表2に示す。
[比較例4]
米粉1372g、えんどう豆1372g、「KCフロック400G」56gを混合した。この原料を2軸エクストルーダーに供給し、同時に混合物の水分含量を18重量%になるように加水量を調整し、バレル温度90℃、ダイ温度150℃、フィード量270kg/hr、圧力30〜50kg/cmで加圧加熱処理を行い膨化物を得た。この膨化物を押し出し速度の1.2倍の速度でけん引し、得られたスティック状膨化物の直径に対して20倍になるような長さになるように切断した。その後乾燥機を用いて水分値を1.5%以下にし、作製したスティック状膨化物を同様に評価した。得られた結果を、表2に示す。
[比較例5]
タピオカ澱粉由来のアセチル澱粉744gおよび馬鈴薯澱粉696gを用いた。冷水糊化粉としてα架橋ワキシーコーンスターチ(冷水膨潤度28ml/g)178g、トレハロース324g、粉末チーズ534g、「KCフロック400G」を162gを実施例1と同様の装置で1分間粉体混合し均一化した、次に、ショートニング113g、レシチン3gを混合したものを加え、さらに炭酸アンモニウム16gを溶解した水521g加えながら縦型のケーキミキサーで1分間粉体混合し生地を作製した。以下、実施例1の試作方法で同様に成形後、オーブンを用いて220℃で12分間加熱により作製したクッキーを同様に評価した。得られた結果を、表2に示す。
Figure 2014087313
比較例1は、食感が優れるものの、割れ欠けの発生枚数が多く、サクサク感がほとんどなかった。比較例2は、比較例1に対して低密度であるため、サクサク感は向上したが、割れ欠け低減効果はなく、食感も異なる菓子となった。比較例3は、比較例1に対して高密度で硬いため、割れ欠けは向上したが、食感が大きく異なる菓子となった。比較例4は、比較例1に対して割れ欠けは向上したが、過剰に低密度になるために、比較例1に対して食感が大きく異なり、サクサク感も付与できていない。比較例5は、比較例1に対して割れ欠けは向上したが、菓子が硬くなることで、比較例1に対して食感が大きく異なる菓子となった。
実施例1〜5は、易分散性結晶セルロース複合体Aの添加量を振って得られた結果である。表1の結果から、易分散性結晶セルロース複合体Aの添加量が増えると、割れ欠けが抑制され、サクサク感が向上した。また、易分散性結晶セルロース複合体Aは、0.05質量%の添加でも、比較例1(セルロース、加工デンプン無添加)に対し、割れ欠けが抑制された。食感については、実施例レベルに割れ欠けが抑制された比較例2、3と比較しても、実施例では食感が良好なものが得られた。
実施例6〜10は、セルロースの種類を振って得られた結果である。セルロースの添加量と、その他の原材料は実施例4と同様である。その結果、これらに対して結晶セルロース複合体Aを使用したほうが角立ちが良好であるが、割れ欠けの低減、サクサク感は遜色ない結果であった。
実施例11〜13は、菓子の最大荷重を振った結果である。その結果、ベーキングパウダーを配合した実施例1〜5が良好な食感であるが、広範囲の最大荷重において割れ欠けの低減は遜色ない結果であった。
実施例14、15は、菓子の密度を振った結果である。その結果、実施例1〜5が良好な食感であるが、広範囲の密度において割れ欠けの低減は遜色ない結果であった。
本発明により、ビスケット、クッキー、プレッツェル、ウエハース、クラッカー、サブレ、ボーロ等の菓子において、密度が低く軽い食感を維持し、製造時や流通時の割れや欠けが低減され、サクサク感が向上し、製品の角(エッジ)立ちが良い菓子を提供することができるため、食品関連産業などにおいて有用である。

Claims (4)

  1. 86質量%以下の穀粉、糖類、油脂と、0.01質量%以上のセルロースを含み、密度が0.30〜1.00g/cmである菓子。
  2. 最大荷重が0.3〜5kgfである請求項1に記載の菓子。
  3. セルロースが結晶セルロースである、請求項1又は2に記載の菓子。
  4. セルロースが結晶セルロース複合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の菓子。
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