JP2014080720A - 保温材および繊維製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有するポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で90/10〜10/90となるように混綿されたウエブを積層して得られた、前記熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および/または前記熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在し、かつ前記非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とがその厚さ方向に配列してなり、かつJIS L1097 5.2により測定した比容積が90〜300cm3/gの範囲内である繊維構造体を用いて保温材を得る。
【選択図】図1
Description
なかでも羽毛は、風合いに富み、軽量で、保温性に優れ、体に沿いやすく、嵩高性に優れ、そして回復率の高いことが知られている。しかしながら、羽毛を得るためには、水鳥を多く飼育しなければならず、その結果、水鳥の排泄物による水質汚染、または感染症の発生とその拡散という問題が生じているだけでなく、動物愛護の点からも、羽毛の使用を控える動きもある。また、羽毛製品は家庭で洗濯するのは困難である。
また、本発明によれば、前記の保温材を用いてなる、衣料、寝装寝具、インテリア製品からなる群より選択される繊維製品が提供される。
本発明において非弾性捲縮短繊維としては、特に限定はないが、綿、ウール等の天然繊維、カーボン繊維等の無機繊維、アクリル系繊維、セルロース系繊維、アラミド系(パラ型またはメタ型)、ポリオレフィン系、ナイロン系、ポリエステル系の合成繊維等、さらには雑綿または反毛とよばれるリサイクル繊維等が例示される。なかでも、取扱い性、廃棄性およびリサイクル性の点で合成繊維が好ましい。
前記非弾性捲縮短繊維において、単繊維の断面形状は通常の丸、扁平、四つ山扁平などのくびれ付き扁平、三角や四角の多角形、丸中空や三角中空等の中空などいずれでもよい。
また、非弾性捲縮短繊維の繊維長としては、繊維長が10〜100mmに裁断されていることが好ましい。
かかる熱可塑性エラストマーとしては、耐熱性があり、高温熱成型可能なポリエステル系エラストマーが特に好ましい。ポリエステル系エラストマーとしては熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)クリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
なお、上述のポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていてもよい。
また、熱接着性複合短繊維の繊維長としては、繊維長が10〜100mmに裁断されていることが好ましい。
また、前記繊維構造体において、JIS L1097 5.3により測定した回復率が90%以上であることが好ましい。該回復率が90%よりも小さいと、柔らかな風合いと優れた保温性が得られないおそれがある。
かかる繊維構造体には、撥水加工、防炎加工、難燃加工、マイナスイオン発生加工、金属蒸着など公知の機能加工が付加されていてもさしつかえない。
また、かかる繊維構造体には、片面または両面が前記熱接着性複合短繊維の融点より20℃低い温度から50℃高い温度で熱処理されていることが好ましい。ただし、熱処理による繊維構造体の厚み減少率は30%以下であることが好ましい。30%を超えると繊維構造体が有していた風合いおよび保温性を損なうおそれがある。
例えば、前記繊維構造体において、片面または両面に目付3〜30g/m2の不織布シートを積層していてもよい。低目付の不織布シートを積層することで、前記繊維構造体の風合い、保温性を維持したまま洗濯耐久性を向上させることができる。不織布シートを積層する方法としては熱によるラミネーションが好ましい。その場合、シートそのものが80〜140℃の融点を有する接着シートや、片面ホットメルト接着剤が付着した不織布シートを用いる方法、不織布シートの間に低融点樹脂パウダーを挟んで接着させる方法などが好ましい。ただし、ラミネーションによる繊維構造体の厚み減少率は30%以下であることが好ましい。30%を超えると繊維構造体が有していた風合いおよび保温性を損なうおそれがある。
厚み保持率(%)=100×(アイロンかけ後の厚み)/(アイロンかけ前の厚み)
ここで、中入れ綿単独の保温性の指標として、下記のクロー値が1.3以上(好ましくは1.3〜2.0)であることが好ましい。
クロー値=(温度差/熱流量)×2.3×104
Du Pont社製熱示差分析計990型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークをもとめた。融解温度が明確に観測されない場合には、微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)を融点とする。なお、n数5でその平均値を求めた。
繊維構造体を厚さ方向に切断し、その断面において、厚さ方向に対して平行に配列されている、非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維(図2において0°≦θ≦45°)の総本数を(T)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維(図2において45°<θ≦90°)の総本数をWとしてT/Wを算出した。なお、本数の測定は、任意の10ヶ所について各々30本の繊維を透過型光学顕微鏡で観察し、その数を数えた。
JIS L 1015に記載の方法により測定した。なお、n数5でその平均値を求めた。
JIS K−6401に記載の方法により測定した。
JIS L1097 5.2により比容積を測定した。
JIS L1097 5.3により回復率を測定した。
(株)東洋精機製作所製ASTM型を用いて測定し、下記の式でクロー値を測定した。
クロー値=(温度差/熱流量)×2.3×104
140℃に設定したアイロン(商品名:松下電器産業(株)社製の型式NI−U2R)をサンプルの上に静かに載せ、20秒間保持するその前後の厚みを測定し、厚み保持率を次式で算出した。
厚み保持率(%)=100×(アイロンかけ後の厚み)/(アイロンかけ前の厚み)
繊維構造体(保温材)を30cm角に切り出し、50gになるように調整したゼムクリップで中央部をはさみ、伸びた長さを計測する。タテ・ヨコ、双方測定した。
洗濯JISL0217、103号を3回行った前後の繊維構造体厚みを測定し、厚み保持率を次式で算出した。
厚み保持率(%)=100×(洗濯後の厚み)/(洗濯前の厚み)
また、上記洗濯は吊り干しで乾燥させ、乾燥時間を測定した。
石油系ドライクリーニングを3回行った前後の繊維構造体厚みを測定し、厚み保持率を次式で算出した。
厚み保持率(%)=100×(洗濯後の厚み)/(洗濯前の厚み)
テレフタル酸とイソフタル酸とを80/20(モル%)で混合した酸成分とブチレングリコールとを重合し、得られたポリブチレン系テレフタレート38重量%を更にポリテトラメチレングリコール(分子量2000)62重量%と加熱反応させ、ブロック共重合ポリエーテルポリエステルエラストマーを得た。この熱可塑性エラストマーの融点は155℃であった。この熱可塑性エラストマーを鞘(シース)に、ポリエチレンテレフタレート(融点256℃)を芯(コア)に紡糸して偏心シース・コア型複合繊維を得た。得られた複合繊維を2.0倍に延伸したのち、80℃で乾燥し捲縮を発現させたのち、油剤を付与し、51mmに切断することにより、熱接着性短繊維を得た。該熱接着性短繊維において、単糸繊度は2.2dtex、捲縮数は13個/2.54cm、捲縮率は12%であった。
次いで、該織物2枚で面積1m2の前記繊維構造体(保温材)を挟み、縫い目間がタテ20cm、ヨコ15cmになるように格子状にキルティングを施した。
得られたキルティングシートのクロー値を測定した結果を表1に示す。また、キルティングシートの最も厚い部分の厚みを測定し、ウォッシャブル性、ドライクリーニング性、寸法安定性(耐アイロン性)試験を行い、厚み保持率を求めた。結果を表1に示す。
また、かかるキルティングシートをかけ布団として使用したところ、高い保温性、柔らかな風合い、および優れた寸法安定性を有するものであった。また、ウォッシャブル性、ドライクリーニング性にも優れていた。
実施例1と同様の熱接着性短繊維50重量%と、非弾性捲縮短繊維としてポリエチレンテレフタレート短繊維(単糸繊度3.3dtex、繊維長51mm、捲縮数14個/2.54cm、捲縮率15%、断面形状は丸中空、融点256℃)30重量%と、吸湿発熱繊維(東邦テキスタイル製サンバーナー(商品名)、単糸繊度2.3dtex、繊維長38mm、捲縮数15個/2.54cm、捲縮率14%)20重量%とを混綿すること以外は実施例1と同様にした。比容積、回復率、ストレッチ性、クロー値、厚み保持率の結果を表1に示す。
実施例1と同様の熱接着性短繊維50重量%と、非弾性捲縮短繊維としてポリトリメチレンテレフタレート短繊維(帝人(株)製ソロテックス(商品名)、単糸繊度3.3dtex、繊維長51mm、捲縮数15個/2.54cm、捲縮率15%、断面形状は丸中空)30重量%と、吸湿発熱繊維(東邦テキスタイル製サンバーナー(商品名)、単糸繊度2.3dtex、繊維長38mm、捲縮数15個/2.54cm、捲縮率14%)20重量%とを混綿すること以外は実施例1と同様にした。比容積、回復率、ストレッチ性、クロー値、厚み保持率の結果を表1に示す。
テレフタル酸とイソフタル酸とを80/20(モル%)で混合した酸成分とブチレングリコールとを重合し、得られたポリブチレン系テレフタレート38重量%を更にポリテトラメチレングリコール(分子量2000)62重量%と加熱反応させ、ブロック共重合ポリエーテルポリエステルエラストマーを得た。この熱可塑性エラストマーの融点は155℃であった。この熱可塑性エラストマーを鞘(シース)に、ポリエチレンテレフタレート(融点256℃)を芯(コア)に紡糸して偏心シース・コア型複合繊維を得た。得られた複合繊維を2.0倍に延伸したのち、80℃で乾燥し捲縮を発現させたのち、油剤を付与し、64mmに切断することにより、熱接着性短繊維を得た。該熱接着性短繊維において、単糸繊度は6.6dtex、捲縮数は13個/2.54cm、捲縮率は12%であった。
2:繊維構造体の厚さ方向
3:熱接着性複合短繊維または非弾性捲縮短繊維の配列方向
4:繊維構造体
Claims (15)
- 非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有するポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で90/10〜10/90となるように混綿されたウエブを積層して得られた、前記熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および/または前記熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在し、かつ前記非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とがその厚さ方向に配列してなる繊維構造体を含む保温材であって、
前記繊維構造体において、JIS L1097 5.2により測定した比容積が90〜300cm3/gの範囲内であることを特徴とする保温材。 - 前記繊維構造体において、JIS L1097 5.3により測定した回復率が90%以上である、請求項1に記載の保温材。
- 前記非弾性捲縮短繊維が、ポリシロキサンを含む油剤が繊維重量対比0.1〜3重量%の範囲で付着しているポリエステル系繊維を含む、請求項1または請求項2に記載の保温材。
- 前記非弾性捲縮短繊維がアクリル系吸放湿繊維を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の保温材。
- 前記非弾性捲縮短繊維がポリトリメチレンテレフタレート繊維を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の保温材。
- 前記熱接着性複合短繊維の熱融着成分が熱可塑性エラストマーからなる、請求項1〜5のいずれかに記載の保温材。
- 前記非弾性捲縮短繊維において、単繊維繊度が0.1〜5.0dtexの範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載の保温材。
- 前記繊維構造体の片面または両面に目付3〜30g/m2の不織布シートを積層している、請求項1〜7のいずれかに記載の保温材。
- 前記繊維構造体の片面または両面が前記熱接着性複合短繊維の融点より20℃低い温度から50℃高い温度で熱処理されている、請求項1〜8のいずれかに記載の保温材。
- 経方向および緯方向のうち少なくとも一方が50g/mm応力に対して5%以上の伸度を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の保温材。
- 石油系ドライクリーニングを3回行った後の厚み保持率が50%以上である、請求項1〜10のいずれかに記載の保温材。
- 洗濯JISL0217 103号を3回行った後の厚み保持率が50%以上である、請求項1〜11のいずれかに記載の保温材。
- 洗濯JISL0217 103号の洗濯を行う際の吊り干し乾燥時間が、30cm角で6時間以内である、請求項1〜12のいずれかに記載の保温材。
- 140℃のアイロンで20秒間プレスした前後の厚み保持率が50%以上である、請求項1〜13のいずれかに記載の保温材。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の保温材を用いてなる、衣料、寝装寝具、インテリア製品からなる群より選択される繊維製品。
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