JP2013511628A - 耐火性と増強された可逆的熱特性の組合せを有する繊維および物品 - Google Patents

耐火性と増強された可逆的熱特性の組合せを有する繊維および物品 Download PDF

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Abstract

複数の繊維本体を含むファブリック、繊維または物品であって、前記複数の繊維本体が第1の繊維材料と第2の繊維材料を含み、前記第1の繊維材料がセルロース材料と、前記セルロース材料中に分散した相変化材料とを含み、前記相変化材料がセルロース材料中に分散した複数のドメインを形成し、前記相変化材料が1グラムあたり少なくとも5ジュールの潜熱と0℃〜100℃の範囲内の遷移温度を有し、前記相変化材料が遷移温度において潜熱の吸収および放出のうち少なくとも1つに基づいて熱調節を提供し、前記第2の繊維材料が耐火材料を含む、ファブリック、繊維または物品。

Description

優先権および関連出願の相互参照
本出願は、2009年11月17日出願の「耐火性と増強された可逆的熱特性の組合せを有する繊維および物品」という名称の米国仮特許出願第61/262,074号の優先権を主張するものである。この出願の詳細は、その全体が参照により本明細書に援用される。
本発明は、増強された耐火特性と組合された増強された可逆的熱特性を有する物品に関する。より詳細には、本発明は、耐火材料のさまざまな規制基準に従いこれに適合しながら、このような増強された可塑的熱特性と耐火特性とを示すことのできるコーティングされた物品または溶融、乾式または溶液紡糸繊維に関する。
ファブリック自体ならびに衣服または他の日常的製品に対して増強された可逆的熱特性を提供する目的で、ファブリックに対して、相変化材料を含むコーティングが塗布されてきた。カプセル化された相変化材料または未加工の非カプセル化相変化材料を、さまざまな材料と混合して繊維またはファブリックを形成することが公知である。相変化材料の使用をとり巻くさまざまな実施形態の詳細を、米国特許第6,207,738号、第6,503,976号、第6,514,362号、第6,660,667号、第5,677,048号、第5,851,338号、第5,955,188号、第6,230,444号、第6,077,597号、第6,217,993号、第6,099,894号、第6,171,647号、第6,855,422号、第7,241,497号、第7,160,612号、第6,689,466号、第6,793,856号、第7,563,398号、第7,135,424号、第5,366,801号、第4,756,958号、第7,244,497号、第7,579,078号、第6,099,894号、第6,171,647号、第6,270,836号、第6,197,415号、第6,696,145号、第6,892,478号および第6,179,879号を含めた、Boulder、ColoradoのOutlast Technologies社が所有するかまたは同社に譲渡されたさまざまな特許の中に見出すことができる。これらの開示の詳細は、参照により本出願に明示的に援用される。
Outlast(登録商標)ブランドの繊維は、最初のOutlastアクリル繊維が市販された時以来、さまざまな組合せで他の繊維と組合されてきた。同様に、Outlast繊維と選択された特殊繊維を均質配合ヤーン(すなわち2つ以上の繊維を特定の比率で有する単一ヤーンの束)の形に組合せることによって、温度調節に加えて一部の特性を達成できることも公知である。しかしながら、これらの繊維のいずれも、耐火特性と温度調節特性を組合せることができていない。この点に関して、耐火性(FR)と温度調節品質の両方を有するヤーンを製造するための努力がなされた。
一態様によると、ファブリック、ヤーン、繊維または物品は、第1の繊維材料と第2の繊維材料とを含む複数の繊維本体を含み、ここで第1の繊維材料はセルロース材料と、このセルロース材料中に分散した非カプセル化またはカプセル化相変化材料とを含む。相変化材料は、セルロース材料中に分散した複数のドメインを形成し、相変化材料は、1グラムあたり少なくとも5ジュールの潜熱と0℃〜100℃の範囲内の遷移温度を有し、非カプセル化相変化材料は、遷移温度において潜熱の吸収および放出のうち少なくとも1つに基づいて熱調節を提供する。第2の繊維材料は、耐火材料を含む。
本発明の他の態様および実施形態も同様に企図されている。以上の概要および以下の詳細な説明は、いずれか特定の実施形態に本発明を限定するよう意図されておらず、単に本発明の一部の実施形態を記述するように意図されている。
本発明の一部の実施形態の内容および目的をより良く理解するためには、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照すべきである。
本発明の一実施形態に係るセルロース/モダクリル繊維の三次元図を示す。 本発明の一実施形態に係る別の繊維の三次元図を示す。 本発明の一実施形態に係るさまざまな繊維の横断面図を示す。 本発明の一実施形態に係る追加の繊維の横断面図を示す。 本発明の一実施形態に係る、コア・シース構成を有する繊維の三次元図を示す。 本発明の一実施形態に係る、コア・シース構成を有する別の繊維の三次元図を示す。 本発明の一実施形態に係る、アイランド・イン・シー構成を有する繊維の三次元図を示す。 AおよびBは本発明の態様に関連して使用されたヤーン構造のさまざまな実施形態を示す。 本発明の態様にしたがって構築された物品、ファブリックおよび繊維の性能特性を示す試験結果である。 本発明の態様にしたがって構築された物品、ファブリックおよび繊維の性能特性を示す試験結果である。 本発明の態様にしたがって構築された物品、ファブリックおよび繊維の性能特性を示す試験結果である。 本発明の態様にしたがって構築された物品、ファブリックおよび繊維の性能特性を示す試験結果である。 本発明の態様にしたがって構築された物品、ファブリックおよび繊維の性能特性を示す試験結果である。 本発明の態様にしたがって構築された物品、ファブリックおよび繊維の性能特性を示す試験結果である。 本発明の態様にしたがって構築された物品、ファブリックおよび繊維の性能特性を示す試験結果である。
本明細書全体を通して、本発明の態様に係る1つ以上の材料、最終製品、繊維、ファブリックまたは組成物を形成するためにさまざまな組合せで使用してよいさまざまな材料、組合せ、化学調合物および他の態様の使用に対する参照が指示される。当業者ならびに米国特許庁および世界中の特許庁の審査部の両方には、材料リスト、実施例および他の実施形態の各々は、個別の特徴の特定のクレーム置換を必要とすることなく、それらをさまざまな変形実施形態の形に組合せてよいということを当業者に教示するために本明細書中に含まれているということがわかるはずである。本明細書中に提示されているクレーム、ならびに、これらのクレームに対するあらゆる潜在的な将来の補正には、本明細書に記されている本発明の精神および範囲から逸脱することなく、これらの材料、範囲および他の変形形態の1つ以上の組合せが含まれていてよい。詳細には、当業者であれば、それが単一の実施例または実施形態の形で記載されているか、あるいは明細書本文の異なる節中に記載されているかに関わらず、本明細書で開示されている特徴の任意の組合せについて認識し明細書本文中にその妥当な裏付けを見出すと考えられるということが企図される。これらのさまざまな実施例および選択肢の明細は、米国特許法の35U.S.C.§112、欧州特許法第123(2)条ならびに明細書本文の妥当性に関する他の類似の国内法と適合するように、具体的に作成される。
1つの態様によると、本明細書で提示された開示にしたがって構築されたさまざまなファブリック、ヤーン繊維および物品は、米国軍、警察・消防署、電気作業員ならびに熱傷が業務危険であるその他の作業員などによる使用を意図された「非溶融−非液垂れ」Tシャツおよび基層下着の形に編成されてよい。
一実施形態において、モダクリル繊維はOutlastビスコースと配合される。モダクリル繊維は、ファブリックまたは衣服の中に取込まれた場合、耐火品質を示す証明済み実績を有する。Outlastビスコース材料(一例においては「レーヨン」)は、それがセルロース系であるために選択される。Outlastビスコースが含まれていない場合でも、レーヨンは、優れた水分管理特性をもつ「コンフォートファイバー」として知られている。Outlastビスコースは、ビスコース快適性等式(viscose confort equation)に対し温度調節という技術的進歩をつけ加える。
一例において、出発点として70%のモダクリル繊維対30%のOutlastビスコース繊維の比が使用された。さまざまな機能的最終製品を達成するために、これらの材料の比は、必要に応じて変更される。他の要件としては、繊維が米軍の耐火性基準を満たすこと、そして測定可能な程度の温度調節を示さなくてはならないことが含まれる。
このヤーンから2種類のジャージーニットが製造された。その一方は、平方ヤード(osy)あたり4.0オンスで、モダクリル70%/Outlast Viscose30%であり、他方は、5.7osyで、モダクリル68%/Outlast Viscose29%/スパンデックス3%である。後続する試験において、両方のファブリック共、ASTMD6413−99「繊維製品の耐炎性(垂直方向)」に合格している。モダクリル70%/FRレーヨン30%で作られた4.0osyの対照のファブリックと比べた場合、ASTMの結果は事実上同一であり、両方の試料共ASTMの耐火性基準を満たしていた。しかしながら、Outlastの環境分析機関においてヒトの対象について試験したOutlastと対照のTシャツでの測定結果は、75°Fにおいてほぼ2°F低い皮膚温度および相関する主観的結果と34%低い発汗を示している。46°Fでは、皮膚の温度は、Outlastシャツについてほぼ2°F高いものであり、主観的結果も相関し、発汗は実質的により低いものであった。どのシャツを着用しているかを知らされずに、被験者は常にOutlastシャツを最も快適なものとして選択した。
したがって、耐火性および快適性の改善の両方を達成するという最終目標は達成された。生理学的試験において同じ重量の別ブランドの耐火性TシャツともOutlastシャツを比較し、被験対象は、Outlastシャツに対する広い選好性余裕(margin)を示した。
上述の配合物で達成される独特の特性には、以下のものが含まれる。
1. USMC規定要件によるも「非溶融−非液垂れ」
2. ASTMD6413−99試験による、無残炎。
3. ヒトを対象とした生理学試験によって測定される、実際の温度調節、
4. ヒトを対象とした試験における測定可能な形で削減された発汗。
5. 多数の方法を通して、40/1〜9/1の任意のサイズのヤーンに紡糸可能。
6. ヤーンを多くのさまざまなパターンおよび重量で編成でき、あるいはシャツ地またはボトムウェイトファブリックへと製織することができる。
7. 染色および仕上げ加工が容易。
8. 優れた染色堅牢度。
9. 優れた縮み制御。
10. 耐久性、安定性、耐摩耗性。
11. 抗菌性「防臭」加工が利用できる。
12. 肌着シャツの内側の相対湿度が低い。
13. 柔い手触り、肌擦れがない、着心地が非常に良い。
ファブリックまたは衣服内に配合可能(またはモダクリル繊維の代用としてまたはそれと共に使用可能)なさらなる耐火繊維としては、Dupont製のNomex(登録商標)およびKevlar(登録商標)、Teijin Aramid製のTwaron(登録商標)、Lenzing製のFR Rayon(登録商標)、PBI Performance Products製のPBI(登録商標)が含まれる。さらに、耐火性処理された綿材料を使用してもよい。さらなる材料としては、メラミン繊維(Basofil)、ガラス繊維(グラスファイバー)、Far Eastern製耐火性ポリエステルおよびNachly耐火性繊維、Kermel耐火性繊維が含まれる。
PBO(ポリフェニレンベンゾビスオザゾール)およびPI(ポリイミド)が、本発明の各態様と併せて使用してよい、反復的芳香族構造に基づく他の2つの高温耐火性繊維である。両方共、近年市場に追加されたものである。PBOは、非常に優れた引っ張り強度と高い弾性率を有し、これらは補強の利用分野において有用である。ポリイミドは耐温度性と不規則な横断面を有することから、高温ガス濾過の利用分野のための優れた候補となっている。Sulfar(PPS、ポリフェニレンスルフィド)は、中等度の熱安定性を示すが、化学物質耐性および耐火性は優れている。これは、さまざまな濾過および他の工業的利用分野で使用される。
耐火材料に加えて、相変化材料を、最終製品の繊維、ファブリックまたは衣服の中に、繊維内へまたはコーティングによって取込むことも可能である。図1〜8は、耐火性と温度調節特性の組合せに関係して本発明の態様を取込み得るさまざまなタイプの繊維、ファブリックおよび基本材料を示す。図の説明において言及されている繊維は、本明細書中に記載されるセルロース/ビスコースおよびモダクリル耐火材料の組合せのいずれを含んでいてもよいということを理解すべきである。
最初に、セルロース材料はさまざまな形態のいずれか、例えばセルロースシート、木材パルプ、綿くずおよびその他の実質的に精製済みのセルロース供給源の形で提供され得る。典型的には、セルロース材料は、紡糸口金のオリフィスを通過する前に溶剤中に溶解させられる。一部の場合において、セルロース材料は、溶剤中へのセルロース材料の溶解に先立ち、加工(例えば化学処理)され得る。例えば、セルロース材料は、塩基性溶液(例えば苛性ソーダ)中に浸漬され、ローラーを通して圧搾され、次に細かく刻まれて小片を形成することができる。これらの小片は次に二硫化炭素で処理されてキサントゲン酸セルロースを形成する。別の例として、セルロース材料を氷酢酸、無水酢酸および触媒の溶液と混合し、次に熟成させて酢酸セルロースを形成させることができ、この酢酸セルロースはフレークの形で溶液から沈殿可能である。別の実施形態においては、モルホリン酸化物溶剤、好ましくはnMMOまたはN−メチルモルホリン酸化物中にセルロースを溶解させることによって、リヨセル繊維が製造される。このドープは次に、紡糸されるかまたはオリフィスを通して水中に押出されて、リヨセル繊維を作り出す。以上の論述は、本発明の一部の実施形態の全体的概観を提供している。
ここで、セルロースまたはビスコース繊維1の三次元図を示す図1に目を向ける。図1に示されているように、繊維1は、単一の細長い部材2を含む単成分繊維である。細長い部材2は全体に円筒形で、セルロース材料3とこのセルロース材料3内に分散した温度調節材料4の配合物を含んでいる。示された実施形態において、温度調節材料4は、相変化材料を含むさまざまなマイクロカプセルを含むことができ、これらのマイクロカプセルは、細長い部材2全体を通して実質的に均一に分散可能である。細長い部材2の内部に均一に分散したマイクロカプセルを有することが望ましいものの、このような構成が全ての利用分野で必要なわけではない。セルロース系繊維1は、所望の熱調節特性、機械的特性(例えば延性、引張り強度、および硬度)、吸湿性および耐火特性を提供するために、セルロース材料3および温度調節材料4をさまざまな重量百分率で含むことができる。
図2は、本発明の一実施形態に係る別のセルロース系繊維5の三次元図を示す。セルロース系繊維1について論述した通り、セルロース系繊維5は、単一の細長い部材6を含む単成分繊維である。細長い部材6は全体に円筒形で、セルロース材料7とこのセルロース材料7内に分散した温度調節材料8を含んでいる。示された実施形態において、温度調節材料8は、未加工形態の(たとえば相変化材料は非カプセル化相変化材料がある。すなわち、マイクロカプセル化もマクロカプセル化もされていない)相変化材料を含むことができ、相変化材料は、細長い部材6全体を通して実質的に均一に分散可能である。細長い部材6の内部に均一に分散した相変化材料を有することが望ましいものの、このような構成が全ての利用分野で必要なわけではない。図2に示されている通り、相変化材料は細長い部材6の内部に分散したまったく異なるドメインを形成できる。セルロース系繊維5は、所望の熱調節特性、機械的特性および吸湿性を提供するため、セルロース材料7および温度調節材料8をさまざまな重量百分率で含むことができる。実施例において論述する通り、温度調節材料とセルロース材料のさまざまな配合物が企図される。
図3は、本発明の一実施形態に係るさまざまなセルロース系繊維90、93、96および99の横断面図を示す。図3に示されているように、各繊維は、多肢状または多裂片状の横断面を有する単成分繊維である。このような多肢形状は、結果として得られるファブリック内部により大きな「自由」容積を提供することができ、このファブリック自体、より高いレベルの吸湿性を提供することができる。このような多肢形状は、同様に、増強されより迅速な吸湿性のためのより大きな表面積と共に、皮膚からの水分の移動およびウィッキングのための流路を提供することができる。
図3に示されている通り、セルロース系繊維90は、全体としてX字形である横断面を有し、セルロース材料91とその内部に分散した温度調節材料92を含む。繊維93は、全体的にY字形の横断面を有し、セルロース材料94とその内部に分散した温度調節材料95を含む。図3に示されているように、繊維96は全体としてT字形の横断面を有し、セルロース材料97とその内部に分散した温度調節材料98を含む。そして、セルロース系繊維99は、全体的にH字形の横断面を有し、セルロース材料100をその内部に分散した温度調節材料101を含む。
所望される場合、繊維90、93、96、および99内に含まれた肢部の長さ対幅比は、機械的特性と吸湿性の間に所望の平衡を提供するように調整可能である。例えば、繊維90の場合、各肢部(例えば肢部102)のL対W比は、約1対約15、例えば約2対10、約2対7または約3対約5であり得る。
次に図4を見ると、本発明の一実施形態に係るさまざまな繊維12、13、14、21、22、23、24、26、27、28、29および34の横断面図が示されている。図4に示されているように、各々のセルロース系繊維は、さまざまな全く異なる横断面領域を含む多成分繊維である。これらの横断面領域は、各々のセルロース系繊維を形成するさまざまな細長い部材(例えば細長い部材39および40)に対応する。
示された実施形態において、各々のセルロース系繊維は、細長い部材の第1のセット(図4に斜線入りで示されている)と細長い部材の第2のセット(図4に斜線無しで示されている)を含む。ここで細長い部材の第1のセットは、内部に温度調節材料が分散しているセルロース材料で形成され得る。細長い部材の第2のセットは、同じ材料または幾分か異なる物性を有するセルロース材料で形成され得る。一般に、細長い部材の第1のセットのさまざまな細長い部材は、同じセルロース材料からまたは異なるセルロース材料から形成され得る。同様にして、細長い部材の第2のセットのさまざまな細長い部材は、同じ材料または異なる材料で形成され得る。1つ以上の細長い部材を様々な他のタイプのポリマー材料で形成可能であることが企図されている。
一部の利用分野のためには、温度調節材料を細長い部材の第2のセットの内部に分散させることができる。同じ細長い部材内または異なる細長い部材内に異なる温度調節材料を分散させることができる。例えば、細長い部材の第1のセット内に、第1の温度調節材料を分散させ、幾分か異なる特性を有する第2の温度調節材料を、細長い部材の第2のセット内に分散させることができる。1つのセルロース材料または他のポリマー材料内に分散させる必要のない1つ以上の細長い部材を温度調節材料から形成できるということも企図されている。例えば、温度調節材料は、増強された可逆的熱特性を提供し細長い部材の第1のセットを形成するのに使用できるポリマー相変化材料を含むことができる。この場合、細長い部材の第2のセットが、細長い部材の第1のセットを適切に取囲んで、温度調節材料の損失または漏洩を削減または防止することが望ましいかもしれないが、必須ではない。さまざまな細長い部材を同じポリマー相変化材料または異なる相変化材料から形成することができる。
各セルロース系繊維は、細長い部材の第2のセットとの関係においてさまざまな重量百分率で、温度調節材料を含む細長い部材の第1のセットを含むことができる。例えば、材料の熱調節特性が、制御上の1つの考慮事項である場合、より大きな割合のセルロース系繊維が、温度調節材料を含む細長い部材の第1のセットを含むことができる。一方、セルロース系繊維の機械的特性および吸湿性が制御上の1つの考慮事項である場合には、より大きな割合のセルロース系繊維が、温度調節材料を含む必要のない細長い部材の第2のセットを含むことができる。代替的には、熱調節特性とセルロース系繊維の他の特性を平衡化する場合、細長い部材の第2のセットが同じまたは異なる温度調節材料を含んでいることが所望され得る。
例えば、示された実施形態におけるセルロース系繊維は、約1〜約99重量パーセントの細長い部材の第1のセットを含むことができる。典型的には、セルロース系繊維は、約10〜約90重量パーセントの細長い部材の第1のセットを含む。一例として、セルロース系繊維は90重量パーセントの第1の細長い部材と10重量パーセントの第2の細長い部材を含み得る。この例については、第1の細長い部材は60重量パーセントの温度調節材料を含むことができ、こうして、セルロース系繊維は54重量パーセントの温度調節材料を含むことになる。別の例としては、セルロース系繊維は最高約50重量パーセントの第1の細長い部材を含むことができ、この細長い部材はそれ自体、最高約50重量パーセントの温度調節材料を含むことができる。このような重量百分率は最高約25重量パーセントの温度調節材料を伴うセルロース系繊維を提供し、セルロース系繊維のための有効な熱調節特性、機械的特性、吸湿性および耐火性を提供する。セルロース系繊維の総量との関係における細長い部材の重量百分率は、例えば、細長い部材の横断面積を調整することによってかまたは、セルロース系繊維の長さを通って細長い部材が延在する程度を調整することによって変動させることができる。
図4を参照すると、左欄10は、3つの繊維12、13および14を示している。繊維12は、分割されたパイの構成で配置されたさまざまな細長い部材を含む。示された実施形態において、細長い部材の第1のセット15、15’、15’’、15’’’および15’’’’と、細長い部材の第2のセット16、16’、16’’、16’’’および16’’’’は、交互に配置され、くさび形の横断面を有する。一般に、細長い部材は、同じまたは異なる横断面形状および面積を有し得る。繊維12は10個の細長い部材を伴って示されているが、一般に、2つ以上の細長い部材を分割パイの構成で配置することができ、細長い部材の少なくとも1つは典型的に温度調節を含む。
セルロース系繊維13は、アイランド・イン・シー構成で配置されたさまざまな細長い部材を含む。示された実施形態において、細長い部材の第1のセット(例えば細長い部材35、35’、35’’および35’’’)は、第2の細長い部材36内に位置づけされそれにより取囲まれて、「シー」中の「アイランド」を形成する。このような構成は、セルロース系繊維13内部の温度調節材料のより均等な分布を提供するのに役立ち得る。示された実施形態において、細長い部材の第1のセットは、台形の横断面を有する。一般に、細長い部材の第1のセットは、同じかまたは異なる横断面形状および面積を有し得る。セルロース系繊維13は、第2の細長い部材36内に位置づけされこれにより取囲まれた17の細長い部材を伴って示されているが、一般に、1つ以上の細長い部材が第2の細長い部材36内に位置づけされこれにより取囲まれ得るということが企図されている。
セルロース系繊維14は、縞模様構成で配置されたさまざまな細長い部材を含む。示された実施形態において、細長い部材の第1のセット37、37’、37’’、37’’’、および37’’’’および細長い部材の第2のセット38、38’、38’’および38’’’は、交互に配置され、セルロース系繊維14の長手方向薄片として形作られている。一般に、細長い部材は、同じまたは異なる横断面形状および面積を有し得る。セルロース系繊維14は、自己捲縮または自己組織化繊維であり得、ロフト、バルク、断熱、伸縮性または他の同様の特性を付与することができる。セルロース系繊維14は、9つの細長い部材を伴って示されているが、一般に、2つ以上の細長い部材を縞模様構成で配置でき、細長い部材のうち少なくとも1つが典型的に温度調節材料を含むことになるということが企図されている。
セルロース系繊維12および14については、細長い部材の第1のセットの1つ以上の細長い部材(例えば細長い部材15)が、1つ以上の隣接する細長い部材(例えば細長い部材16および16’’’’)によって部分的に取囲まれ得る。相変化材料を含む細長い部材が完全に取囲まれていない場合、細長い部材内部に分散した相変化材料を封じ込めるために、封じ込め構造(例えばマイクロカプセル)を使用することが所望されるかもしれないが、これは必須ではない。一部の例において、セルロース系繊維12、13および14をさらに加工して1つ以上のより小さいデニールの繊維を形成することができる。こうして、例えばセルロース系繊維12を形成する細長い部材を分割することができ、あるいは1つ以上の細長い部材(またはその1部分または複数部分)を溶解、溶融または他の形で除去することができる。結果として得られたより小さいデニールの繊維は、例えば、互いに連結された細長い部材15および16を含み得る。
図4の中央欄20は、4つのセルロース系繊維21、22、23および24を示している。詳細には、セルロース系繊維21、22、23および24は各々、コア・シース構成で配置されたさまざまな細長い部材を含む。
セルロース系繊維21は、第2の細長い部材40内に位置づけされこれにより取囲まれた第1の細長い部材39を含む。より詳細には、第1の細長い部材39は、温度調節材料を含むコア部材として形成されている。このコア部材は、シース部材として形成されている第2の細長い部材40内に同心的に位置づけされこれにより完全に取囲まれている。示されている実施形態において、繊維21は、約25重量パーセントのコア部材と約75重量パーセントのシース部材を含み得る。
繊維21について論述した通り、セルロース系繊維22は、第2の細長い部材42内に位置づけされこれにより取囲まれた第1の細長い部材41を含む。第1の細長い部材41は、温度調節材料を含むコア部材として形成されている。このコア部材は、シース部材として形成されている第2の細長い部材42内に同心的に位置づけされこれにより完全に取囲まれている。示されている実施形態において、繊維22は、約50重量パーセントのコア部材と約50重量パーセントのシース部材を含み得る。
セルロース系繊維23は、第2の細長い部材44内に位置づけされこれにより取囲まれた第1の細長い部材43を含む。ここで、第1の細長い部材43は、シース部材として形成されている第2の細長い部材44内に偏心的に位置づけされたコア部材として形成されている。セルロース系繊維23は、所望の熱調節特性、機械的特性、耐火性および吸湿性を提供するよう、さまざまな重量百分率のコア部材とシース部材を含み得る。
図4に示されているように、セルロース系繊維24は、第2の細長い部材46内に位置づけされこれにより取囲まれた第1の細長い部材45を含む。示された実施形態において、第1の細長い部材45は、三葉横断面形状を有するコア部材として形成されている。この部材は、シース部材として形成されている第2の細長い部材46内に同心的に位置づけされている。セルロース系繊維24は、所望の熱調節特性、機械特性、耐火性および吸湿性を提供するよう、さまざまな重量百分率のコア部材とシース部材を含み得る。
一般に、コア部材は、さまざまな規則的または不規則な横断面のいずれか、例えば円形、ギザギザ形状、花弁形状、多裂片状、八角形、楕円形、五角形、矩形、鋸歯状、正方形、台形、三角形、くさび形などを有し得ることが企図されている。セルロース系繊維21、22、23および24は各々、シース部材内に位置づけされそれにより取囲まれた1つのコア部材を伴って示されているが、2つ以上のコア部材がシース部材内に位置づけされそれにより取囲まれ得る(例えばセルロース系繊維13について示されたものに類似した要領で)ということが企図されている。これら2つ以上のコア部材は、同じかまたは異なる横断面形状および面積を有することができる。同様に、繊維はコア・シース構成で配置された3つ以上の細長い部材を含むことができ、こうして細長い部材はセルロース系繊維の同心的または偏心的長手方向薄片として形作られることになるということも企図されている。こうして、例えば、繊維は、シース部材内に位置づけされそれにより取囲まれたコア部材を含むことができ、このシース部材はそれ自体、別のシース部材内に位置づけされそれにより取囲まれている。
図4の右欄30は、5種類の繊維26、27、28、29および34を示す。詳細には、繊維26、27、28、29および34は各々、並列構成で配置されたさまざまな細長い部材を含んでいる。
繊維26は、第2の細長い部材48に隣接して位置づけされ部分的にそれにより取囲まれている第1の細長い部材47を含む。示された実施形態において、細長い部材47および48は、半円形横断面形状を有する。ここでは、セルロース系繊維26は、約50重量パーセントの第1の細長い部材47と約50重量パーセントの第2の細長い部材48を含み得る。細長い部材47および48は同様に、分割されたパイまたは縞模様の構成で配置されているものとして特徴づけすることもできる。
繊維26について論述されているように、繊維27は、第2の細長い部材50に隣接して位置づけされ部分的にそれにより取囲まれている第1の細長い部材49を含む。示された実施形態において、繊維27は、約20重量パーセントの第1の細長い部材49と約80重量パーセントの第2の細長い部材50を含み得る。細長い部材49および50は同様に、コア・シース構成で配置されているものとしても特徴づけされ得、こうして、第1の細長い部材49は第2の細長い部材50との関係において偏心的に位置づけされ、この細長い部材50により部分的に取囲まれることになる。
セルロース系繊維28および29は、混合粘性の繊維の例である。繊維28および29は各々、内部に温度調節材料が分散し、第2の細長い部材52または54に隣接して位置づけされ部分的にそれにより取囲まれている第1の細長い部材51または53を含んでいる。
混合粘性繊維は、自己捲縮繊維または自己組織化繊維とみなすことができ、こうして繊維の捲縮または組織化はロフト、バルク、断熱、伸縮性または他の同様の特性を付与することができるようになっている。典型的には、混合粘性繊維は、異なるポリマー材料から形成されたさまざまな細長い部材を含む。混合粘性繊維を形成するために使用される異なるポリマー材料としては、異なる粘性、化学的構造または分子量をもつポリマーが含まれ得る。混合粘性繊維が延伸される場合には、さまざまな細長い部材の間に不均等な応力が作り出される可能性があり、混合粘性繊維は捲縮または屈曲し得る。一部の場合において、混合粘性繊維を形成するために使用される異なるポリマー材料は、異なる結晶化度を有するポリマーを含み得る。例えば、第1の細長い部材を形成するために使用される第1のポリマー材料は第2の細長い部材を形成するために使用される第2のポリマー材料よりも低い結晶化度を有することができる。混合粘性繊維が延伸された場合、第1および第2のポリマー材料は異なる結晶化度を受けて混合粘性繊維内に配向および強度を「ロック」することができる。後続する加工(例えば熱処理)の間混合粘性繊維の再配向を防ぐまたは削減するのに充分な結晶化度が所望され得る。
例えば、セルロース系繊維28については、第1の細長い部材51を第1のセルロース材料から形成でき、第2の細長い部材52は、幾分か異なる特性をもつ第2のセルロース材料から形成され得る。第1の細長い部材51と第2の細長い部材52を同じセルロース材料から形成でき、温度調節材料を第1の細長い部材51の内部に分散させてセルロース系繊維28に対し自己捲縮または自己組織化特性を付与することができる、ということが企図されている。同様に、第1の細長い部材51をポリマー相変化材料から形成することができ、第2の細長い部材52を幾分か異なる特性を有する材料から形成することができる、ということも企図されている。繊維28および29は、所望の熱調節特性、機械的特性、吸湿性、耐火性および自己捲縮または自己組織化特性を提供するために、第1の細長い部材51および53と第2の細長い部材52および54をさまざまな重量百分率で含むことができる。
セルロース系繊維34は、ABA繊維の一例である。図4に示した通り、繊維34は、細長い部材56および56’の第2のセットの間に位置づけされ部分的にそれにより取囲まれている第1の細長い部材55を含む。示された実施形態において、第1の細長い部材55は、内部に温度調節材料が分散されている材料から形成されている。ここでは、細長い部材56および56’の第2のセットは同じ材料からかまたは幾分か異なる特性を有する別の材料から形成可能である。一般には、細長い部材55、56および56’は、同じまたは異なる横断面形状および面積を有することができる。細長い部材55、56および56’は同様に、縞模様構成で配置されているものとして特徴づけすることもできる。
次に、本発明の一実施形態に係るコア・シース構成を有するセルロース系繊維59の三次元図を示す図5に目を向けて見る。繊維59は、細長く環状のシース部品内に位置づけされそれにより取囲まれている細長く、全体として円筒形のコア部材57を含む。示された実施形態において、コア部材57はセルロース系繊維59の長さを通って実質的に延在し、セルロース系繊維59の外部を形成するシース部材58により完全に取囲まれているかまたは閉じ込められている。一般に、コア部材57は、シース部材58の内部に同心的または偏心的に位置づけ可能である。
図5に示されているように、コア部材57は、中に分散した温度調節材料61を含む。示された実施形態において、温度調節材料61は、相変化材料を封じ込めるさまざまなマイクロカプセルを含むことができ、マイクロカプセルは、コア部材57全体にわたって実質的に均一に分散可能である。コア部材57の内部に均一に分散したマイクロカプセルを有することが所望されるかもしれないが、このような構成が全ての利用分野において必要であるわけではない。コア部材57とシース部材58は、同じ材料または異なるセルロース材料から形成され得る。コア部材57およびシース部材58のいずれかまたは両方が、さまざまな他のタイプのポリマー材料から形成可能であることが企図されている。セルロース系繊維59は、所望の熱調節特性、機械的特性、耐火性および吸湿性を提供するために、コア部材57およびシース部材58をさまざまな重量百分率で含むことができる。
図6は、本発明の一実施形態に係るコア・シース構成を有する別のセルロース系繊維60の三次元図を示す。繊維59について論述した通り、繊維60は、実質的に繊維60の長さを通って延在している細長く、全体として円筒形のコア部材63を含む。コア部材63は、繊維60の外部を形成する細長く環状のシース部材64により完全に取囲まれているかまたは閉じ込められている。一般に、コア部材63は、シース部材64の内部に同心的または偏心的に位置づけ可能である。
図6に示されているように、コア部材63は中に分散した温度調節材料62を含む。ここでは、温度調節材料62は、未加工形態で相変化材料を含むことができ、相変化材料は、コア部材63全体を通して実質的に均一に分散可能である。コア部材63の内部に均一に分散した相変化材料を有することが所望されるかもしれないが、このような構成が全ての利用分野において必要であるわけではない。示された実施形態において、相変化材料は、コア部材63の内部に分散した全く異なるドメインを形成し得る。コア部材63をとり囲むことによって、シース部材64は、コア部材63の内部に相変化材料を囲み込むのに役立つことができる。したがって、シース部材64は、繊維形成中または最終用途の間の相変化材料の損失または漏洩を削減または防止することができる。コア部材63とシース部材64は、同じ材料または異なる材料から形成され得る。コア部材63およびシース部材64のいずれかまたは両方が、さまざまな他のタイプのポリマー材料から形成可能であることが企図されている。したがって例えば、コア部材63を、セルロース材料中に分散している必要のないポリマー相変化材料から形成させることができるということが企図されている。繊維60は、所望の熱調節特性、機械的特性、耐火性および吸湿性を提供するために、コア部材63およびシース部材64をさまざまな重量百分率で含むことができる。
図7を参照すると、本発明に係るアイランド・イン・シー構成を有するセルロース系繊維70の三次元図が示されている。図70は、細長いシー(海)部材内に位置づけされそれにより取囲まれた一組の細長く全体に円筒形のアイランド(島)部材72、73、74および75を含む。示された実施形態において、アイランド部材72、73、74および75は、セルロース系繊維70の長さを通って実質的に延在し、繊維70の外部を形成するシー部材71によって完全に取囲まれるかまたは閉じ込められている。4つのアイランド部材が示されているが、繊維70は、その特定の利用分野に応じてより多くのまたはより少ないアイランド部材を含むことができる。
1つ以上の温度調節材料をアイランド部材72、73、74および75の内部に分散させることができる。図7に示されているように、繊維70は、2つの異なる温度調節材料80および81を含む。アイランド部材72および75は、温度調節材料80を含み、一方アイランド部材73および74は、温度調節材料81を含む。示された実施形態において、温度調節材料80および81は、未加工形態の異なる相変化材料を含むことができ、相変化材料は、それぞれのアイランド部材内に分散した全く異なるドメインを形成できる。アイランド部材72、73、74および75をとり囲むことにより、シー部材71は、アイランド部材72、73、74および75の内部に相変化材料を囲み込むのに役立つことができる。
示された実施形態において、シー部材71は、シーセルロース/モダクリル材料82で形成され、アイランド部材72、73、74および75は、アイランドセルロース/モダクリル材料76、77、78および79でそれぞれ形成される。シー材料82およびアイランド材料76、77、78および79は同じであり得、または何らかの形で互いに異なったものであり得る。シー部材71とアイランド部材72、73、74および75の1つ以上がさまざまな他のタイプのポリマー材料から形成可能であることが企図されている。こうして、例えば、セルロース/モダクリル材料中に分散される必要のないポリマー相変化材料から、アイランド部材72、73、74および75の1つ以上を形成できることが企図される。繊維70は、所望の熱調節特性、機械特性、耐火性および吸湿性を提供するように、シー部材71およびアイランド部材72、73、74および75をさまざまな重量百分率で含むことができる。
図8Aおよび8Bは、ヤーン繊維の1つ以上が、本明細書中に記載されているセルロース材料から形成され、ヤーン繊維の1つ以上が本明細書中に記載されている耐火性材料から形成されている、本発明の態様を実施し得る複数のヤーン構造を示す。一般にヤーンは、繊維製品および他のファブリックおよび物品の生産において使用するのに適した、長く連続した一定長の絡み合った繊維である。一つの例として、スパンヤーンは、ステープル繊維を撚るかまたはその他の形で接着させて凝集した糸を作ることによって作製される。スパンヤーンは、単一タイプの繊維を含んでいてもよいし、またはさまざまなタイプの配合物であってもよい。本発明の態様は、難燃性品質を有する合成繊維と、熱調節特性を有するセルロース系繊維とを組合せることに関係する。ヤーンは同様に数多くのプライで構成されていてもよく、各プライは単一のスパンヤーンである。これらの単一のヤーンプライは、より厚みのあるヤーンを作るために反対方向に一緒に撚られる(諸撚りされる)。図8A(リングヤーン)と8B(コンパクトヤーン)は、本発明の態様と併せて使用してよいこれらのヤーン構造の複数の例を示す。リングヤーン100は、第1の複数の温度調節セルロース系繊維102と第2の複数の耐火性繊維104を含んでいてよい。同様にして、コンパクトヤーン110は、第1の複数の温度調節セルロース系繊維112と第2の複数の耐火性繊維114を含んでいてよい。
上述の例の各々は、本明細書中に記載されているモダナクリル繊維などの耐火性繊維とセルロース系繊維の配合物を含む繊維、ヤーンまたはファブリックを実施するように企図されている。上述の例は、本発明の耐火性と温度調節特徴の組合せを説明するための構造的実施形態としてのみ使用される。
セルロース材料
再生繊維の1つの重要な部類としては、セルロースから形成された繊維が含まれる。セルロースは、例えば葉、木材、樹皮および綿などの植物の重要な構成成分である。従来、セルロースから繊維を形成するためには、溶液紡糸プロセスが使用されている。レーヨン繊維およびリヨセル繊維を形成するためには、従来、湿式溶液紡糸プロセスが使用され、一方アセテート繊維を形成するためには、従来、乾式溶液紡糸プロセスが使用されている。レーヨン繊維およびリヨセル繊維は、多くの場合、天然セルロースと同じかまたは類似する構造を有するセルロースを含む。しかしながら、これらの繊維中に含まれるセルロースは、多くの場合、天然セルロースに比べて短い分子鎖長を有する。例えば、レーヨン繊維は、多くの場合、セルロース中のヒドロキシ基の水素の約15パーセント以下しか置換基によって置換されていないセルロースを含む。レーヨン繊維の例としてはビスコースレーヨン繊維および銅アンモニアレーヨン繊維が含まれる。アセテート繊維は多くの場合、さまざまなヒドロキシル基がアセチル基により置換されている、化学的に修飾された形態のセルロースを含んでいる。
セルロースから形成された繊維には、多くの利用分野がある。例えばこれらの繊維は、衣料または履物などの製品に取込まれ得る編成または製織されたファブリックを形成するために使用可能である。これらの繊維から形成されたファブリックは一般に、水分を吸収する能力および低い体熱保温性のため、コンフォートファブリックとして認識されている。これらの特性のため、ファブリックは、暖かい気候では着用者がより涼しく感じることができるようにすることで望ましいものになっている。しかしながら、これらの同じ特性は、寒い気候において、これらのファブリックを望ましくないものにする可能性がある。寒く湿気のある気候では、これらのファブリックは、それが濡れた場合に体熱を急速に奪うことから、特に望ましくないものとなり得る。別の実施形態として、セルロースから形成された繊維を用いて、ノンウォーブンファブリックを形成することができ、これを、個人的衛生用品または医療用品などの製品中に取込むことができる。これらの繊維から形成されたノンウォーブンファブリックは、一般に水分を吸収するその能力のために望ましいものとして認識されている。しかしながら、以上で論述したものと同様の理由から、ノンウォーブンファブリックは一般に、特に変化する環境条件の下では所望されるレベルの快適性を提供することができない。
本発明のさまざまな実施形態に係るセルロース系繊維は、例えば衣料、履物、個人的衛生用品、および医療用品などの製品中に取込まれた場合に、改善されたレベルの快適性を提供することができる。詳細には、セルロース系繊維は、異なる環境条件下でこのような改善されたレベルの快適性を提供することができる。相変化材料を使用することで、セルロース系繊維は「静的」保温ではなくむしろ「動的」保温を示すことができる。保温とは典型的には、1つの材料が熱(例えば体熱)を保持する能力を意味する。暖かい気候では、多くの場合低レベルの保温が所望され、一方寒い気候では多くの場合高レベルの保熱が所望される。セルロースから形成された従来の繊維とは異なり、本発明のさまざまな実施形態に係るセルロース系繊維は、変化する環境条件下で異なるレベルの保温を示すことができる。例えば、セルロース系繊維は、暖かい気候では低い保温レベルをそして寒い気候では高い保温レベルを示すことができ、こうして、変化する気候条件の下で所望の快適性レベルを維持することができる。
「動的」保温を示すことと併せて、本発明のさまざまな実施形態に係るセルロース系繊維は、高レベルの吸湿性を示すことができる。吸湿性とは、典型的に、材料が水分を吸収するまたは取込む能力を意味する。一部の場合において、材料の吸湿性は、特定の環境条件(例えば21℃および相対湿度65パーセント)での材料の無水分重量との関係における水分吸収の結果としての重量百分率増加として表わすことができる。本発明のさまざまな実施形態に係るセルロース系繊維は、少なくとも5パーセント、例えば約6パーセント〜約15パーセント、約6パーセント〜約13パーセントまたは約11パーセント〜約13パーセントの吸湿性を示し得る。高レベルの吸湿性は、例えば汗による皮膚水分量を削減するのに役立つことができる。個人用衛生用品の場合、この高レベルの吸湿性は、皮膚から水分を引き出し水分を捕捉して、皮膚の炎症や発疹を低減または防止することもできる。さらに、セルロース系繊維により吸収された水分は、セルロース系繊維の熱伝導性を増強させることができる。こうして、例えば、衣料または履物内に取込まれた場合、セルロース系繊維は皮膚水分量を減少させると共に皮膚の温度を低下させて、暖かい気候においてより高レベルの快適性を提供するのに役立つことができる。セルロース系繊維内の相変化材料の使用は、熱エネルギーを吸収または放出して快適な皮膚温度を維持することにより、快適性レベルをさらに増強させる。
さらに、本発明のさまざまな実施形態に係るセルロース系繊維は、他の所望の特性を示すことができる。例えば、ノンウォーブンファブリック内に取込まれた場合、セルロース系繊維は以下の特性のうちの1つ以上を有することができる:(1)約2秒〜約60秒、例えば約3秒〜約20秒または約4秒〜約10秒のシンク時間;(2)約13cN/tex〜約40cN/tex、例えば約16cN/tex〜約30cN/texまたは約18cN/tex〜約25cN/texである引張り強度;(3)約10パーセント〜約40パーセント、例えば約14パーセント〜約30パーセントまたは約17パーセント〜約22パーセントである破壊点伸び;および(4)約0パーセント〜約6パーセント、例えば約0パーセント〜約4パーセントまたは約0パーセント〜約3パーセントである沸とう水中収縮率。
本発明の一部の実施形態に係るセルロース系繊維は、1セットの細長い部材を含み得る。本明細書中で使用する「セット」という用語は、1つ以上の物体の集合物を意味する。一部の例において、セルロース系繊維は、細長い部材のセットで形成された繊維本体を含むことができる。繊維本体は、典型的に細長くなっており、その直径の数倍(例えば100倍以上)大きい長さを有し得る。一部の場合において、繊維本体のステープル長は、約0.3mm〜約100mm、例えば約4mm〜約75mmまたは約20mm〜約50mmであり得る。繊維本体は、さまざまな規則的または不規則な横断面形状のいずれか、例えば円形、C字形、ギザギザ形、花弁形、多肢状または多裂片状、八角形、楕円形、五角形、矩形、輪状、鋸歯状、正方形、星形、台形、三角形、くさび形などの形状を有することができる。細長い部材セットのさまざまな細長い部材は、互いに連結(例えば接着、組合せ、接合または一体化)されて、単一の繊維本体を形成することができる。
ウィッキング特性は、特定の合成ウィッキング繊維形状(例えばCoolmax)、製造時点で合成繊維内に取込まれる永続的ウィッキング添加剤(例えばCocona(登録商標)炭素粒子)、PCMマイクロカプセル(これらがアクリル繊維またはビスコース繊維に添加されると、繊維構造の多孔性が増大し、これによりウィッキングが増大することになる)、綿、羊毛、ビスコースなどのウィッキングする天然繊維の添加または配合、ウィッキングを助ける特定的ヤーン構造(dri−release(登録商標))、および/または、別個にかまたはPCMコーティングプロセスの一部として添加され得る追加の局所的処理、のいずれかによって取込むことができる。
以上の例の各々は、本明細書中に記載されているモダクリル繊維などのセルロース系繊維および耐火性繊維の配合物を含むヤーンまたはファブリックを実施するように企図されている。以上の例は、本発明のさまざまな実施形態内に取込まれるセルロース材料の例としてのみ使用される。
さらに、上述の繊維例の各々は、ファブリック、ヤーン、衣服、物品、コーティングまたは建築材料などの最終製品中に取込まれてよい、ということが企図されている。
相変化材料
一般に、本明細書中に記述されている実施例の各々に関連して使用される相変化材料は、温度安定化範囲においてまたはこの範囲内で熱流量を低減または除去するように熱エネルギーを吸収または放出する能力を有するあらゆる物質(または物質の混合物)を含んでいてよい。特定の相変化材料の温度安定化範囲は、本明細書中に記載されている通りの特定の遷移温度または遷移温度範囲を含んでいてよい。本発明のさまざまな実施形態と併せて使用される相変化材料は、相変化材料が熱を吸収または放出している時間中、典型的には相変化材料が2つの状態(例えば液体状態と固体状態、液体状態と気体状態、固体状態と気体状態または2つの固体状態)の間を遷移するのにつれて、熱エネルギーの流れを阻害する能力を有する。この作用は、典型的には過渡的であり、例えば、加熱または冷却プロセス中に相変化材料の潜熱が吸収されるかまたは放出されるまでの間に発生する。熱エネルギーは、貯蔵されるかまたは相変化材料から除去されてよく、相変化材料は、典型的には熱源または低温源により有効に再充填され得る。適切な相変化材料を選択することにより、数多くの製品のいずれか1つにおいて使用するように、コーティング済みの物品または繊維を設計してよい。
本明細書中で使用される「潜熱」という用語は、2つの状態の間を遷移するにつれて材料が吸収または放出する熱の量を意味する。こうして例えば、潜熱とは、材料が液体状態と結晶性固体状態、液体状態と気体状態、結晶性固体状態と気体状態、2つの結晶性固体状態または結晶性状態と非晶質状態の間を遷移するにつれて吸収または放出される熱の量を意味することができる。
本明細書で使用されている通り、「遷移温度」という用語は、材料が2つの状態間で遷移するおおよその温度を意味する。したがって、例えば遷移温度とは、液体状態と結晶性固体状態の間、液体状態と気体状態の間、結晶性固体状態と気体状態の間、2つの結晶性固体状態の間または結晶性状態と非晶質状態の間などを材料が遷移する温度を意味し得る。非晶質材料がガラス状態とゴム状態の間を遷移する温度も同様に、その材料の「ガラス転移温度」と呼んでもよい。
本明細書中に記載されている例の各々に関して使用される相変化材料は、固体/固体相変化材料であってよい。固体/固体相変化材料は、典型的に2つの固体状態間を遷移(例えば結晶またはメゾ結晶相変態)し、したがって典型的に使用中に液体とならないタイプの相変化材料である。
本明細書中に記載されている物品および繊維内に取込まれ得る相変化材料は、さまざまな有機および無機物質を含む。例示的な相変化材料としては、限定的な意味のない一例として炭化水素(例えば、直鎖アルカンまたはパラフィン系炭化水素、分岐鎖アルカン、不飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素および脂環式炭化水素)、水和塩(例えば、塩化カルシウム六水和物、臭化カルシウム六水和物、窒化マグネシウム六水和物、窒化リチウム三水和物、フッ化カリウム四水和物、アンモニウムミョウバン、塩化マグネシウム六水和物、炭酸ナトリウム十水和物、リン酸二ナトリウム十二水和物、硫酸ナトリウム十水和物および酢酸ナトリウム三水和物)、ワックス、油、水、脂肪酸、脂肪酸エステル、二塩基酸、二塩基エステル、1−ハロゲン化物、第一級アルコール、芳香族化合物、包接物、準包接物、気体包接物、無水物(例えば、ステアリン酸無水物)、エチレンカーボネート、多価アルコール(例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ペンタグリセリン、テトラメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、テトラメチロールプロパン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、モノアミノペンタエリスリトール、ジアミノペンタエリスリトールおよびトリス(ヒドロキシメチル)酢酸)、ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリマロン酸プロピレン、ポリセバシン酸ネオペンチルグリコール、ポリグルタル酸ペンタン、ポリミリスチン酸ビニル、ポリセバシン酸ビニル、ポリラウリン酸ビニル、ポリメタクリル酸ヘキサデシル、ポリメタクリル酸オクタデシル、グリコール(またはその誘導体)と二酸(またはその誘導体)のポリ縮合により生成されたポリエステル、およびコポリマー、例えばアルキル炭化水素側鎖またはポリエチレングリコール側鎖を伴うポリアクリレートまたはポリ(メト)アクリレート、およびポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレン、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールを含むコポリマー)、金属およびそれらの混合物が含まれる。
特に有用な相変化材料としては、10〜44個の炭素原子を有するパラフィン系炭化水素(例えばC10−C44パラフィン系炭化水素)が含まれる。表1は、本明細書中に記載されているコーティングされた物品の中で相変化材料として使用してよい例示的C13−C28パラフィン系炭化水素のリストを提供している。パラフィン系炭化水素の炭素原子の数は、典型的にその融点と相関関係を有する。例えば分子1個あたり28個の直鎖炭素原子を含むn−オクタコサンは、61.4℃の融点を有する。比較すると、分子1個あたり13個の直鎖炭素原子を含むn−トリデカンは、5.5℃の融点を有する。
Figure 2013511628
他の有用な相変化材料としては、コーティングされた物品の所望の利用分野に適した遷移温度(例えば衣類の利用分野については約22℃〜約40℃)を有するポリマー相変化材料が含まれる。例えば約0℃〜約40℃などの他の遷移温度範囲も同様に想定されている。
ポリマー相変化材料は、1つ以上のタイプのモノマー単位を含むさまざまな鎖構造を有するポリマー(またはポリマー混合物)を含んでいてよい。詳細には、ポリマー相変化材料は、線状ポリマー、分岐ポリマー(例えば星形分岐ポリマー、櫛形分岐ポリマー、または樹枝状分岐ポリマー)またはその混合物を含んでいてよい。ポリマー相変化材料は、ホモポリマー、コポリマー(例えばターポリマー、統計コポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー、周期コポリマー、ブロックコポリマー、ラジアルコポリマーまたはグラフトコポリマー)またはその混合物を含んでいてよい。当業者であれば理解するように、ポリマーの反応性および機能性は、例えばアミン、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、エステル、エーテル、エポキシド、無水物、イソシアネート、シラン、ケトン、アルデヒドまたは不飽和基などの官能基を添加することによって改変されてよい。同様に、ポリマー相変化材料を含むポリマーは、その靱性または熱、水分または化学物質に対するその耐性を増大させるために、架橋、絡み合いまたは水素結合することができてよい。
本発明の一部の実施形態によると、非ポリマー相変化材料(例えばパラフィン系炭化水素)と比べてより分子量が高いか、分子サイズが大きいかまたは粘性が高いことの結果として、ポリマー相変化材料が所望されるかもしれない。このより大きい分子サイズまたはより高い粘性の結果として、ポリマー相変化材料は、加工中または最終的使用中にコーティングから漏洩する傾向が少ないかもしれない。熱調節特性を提供することに加えて、ポリマー相変化材料は、コーティング内に取込まれた場合に、改善された機械的特性(例えば、延性、引張り強度および硬度)を提供するかもしれない。本発明の一部の実施形態によると、ポリマー相変化材料は、ポリマー材料を必要とすることなくコーティングを形成するために使用されてよく、こうして、ポリマー相変化材料の負荷レベルをより高くして熱調節特性を改善することが可能となる。ポリマー材料が必要とされないことから、ポリマー相変化材料を使用することで、コーティングされた物品についてより薄いコーティングおよび改善された可撓性、柔軟性、透気度、または水蒸気輸送特性が可能となるかもしれない。
例えば、本発明の一部の実施形態においては、相変化材料としてポリエチレングリコールを使用してよい。ポリエチレングリコールの数平均分子量は典型的にその融点と相関関係を有する。例えば、570〜630の数平均分子量範囲を有するポリエチレングリコール(例えばCarbowax 600)は、20°〜25℃の融点を有し、そのため衣類の利用分野に望ましいものとなっている。他の温度安定化範囲で有用であるかもしれない他のポリエチレングリコールとしては、Carbowax 400(融点4°〜8℃)、Carbowax 1500(融点44°〜48℃)、およびCarbowax 6000(融点56°〜63℃)が含まれる。60°〜65℃の範囲内の融点を有するポリ酸化エチレンも同様に、本発明の一部の実施形態において相変化材料として使用されてよい。所望されるさらなる相変化材料としては、例えば二酸(またはその誘導体)とグリコール(またはその誘導体)の重縮合によって形成されてよい0°〜40℃の範囲内の融点を有するポリエステルが含まれる。表2は、グリコールと二酸のさまざまな組合せを用いて形成されてよい例示的ポリエステルの融点を示している。
Figure 2013511628
所望の遷移温度を有するポリマー相変化材料を、相変化材料(例えば以上で論述した例示的相変化材料)とポリマー(またはポリマーの混合物)との反応によって形成してもよい。こうして、例えば、n−オクタデシル酸(すなわちステアリン酸)をポリビニルアルコールと反応させるかまたはエステル化させてポリステアリン酸ビニルを生成するかまたは、ドデカ酸(すなわちラウリン酸)をポリビニルアルコールと反応させるかまたはエステル化させてポリラウリン酸ビニルを生成してよい。以上で記述され内含された表中にある異なる相変化材料(例えば、アミン、カルボキシル、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、硫酸などの1つ以上の官能基を伴う相変化材料)とポリマーのさまざまな組合せを反応させて、所望の遷移温度を有するポリマー相変化材料を生成してよい。
相変化材料の選択は同様に、相変化材料の潜熱によっても左右され得る。相変化材料の潜熱は典型的に、熱伝達を調節するその能力と相関関係を有する。一部の場合において、相変化材料は、1グラムあたり少なくとも1ジュール、1グラムあたり少なくとも約5ジュール(J/g)、少なくとも約10J/g、少なくとも約20J/g、少なくとも約30J/g、少なくとも約40J/g、少なくとも約50J/g、少なくとも約60J/g、少なくとも約70J/g、少なくとも約80J/g、少なくとも約90J/g、または少なくとも約100J/gである潜熱を有することができる。したがって、例えば相変化材料は、約5J/g〜約400J/g、10J/g〜約100J/g、20J/g〜約100J/g、約60J/g〜約400J/g、約80J/g〜約400J/g、または約100J/g〜約400J/gの潜熱を有する可能性がある。
本明細書中に記述されている実施形態に関連して使用されるポリマー相変化材料は、同様に、詳細が参照により本明細書に援用されている米国特許公開第2010/0016513号、2010/0012883号および2010/0264353号中に記載されているものなどの機能的反応性を有する態様も含んでいてよい。例えば、反応性官能基は、さまざまな化学的性質のものであり得る。例えば、綿、木材、毛皮、皮革、ポリエステルおよびこのような材料で作られた繊維製品ならびに他の基本材料などのさまざまな基材の反応性官能基と反応しかつこれらとイオン結合または共有結合を形成することのできる反応性官能基である。例えば、天然、再生または合成ポリマー/繊維/材料から作られた材料が、共有結合またはイオン結合を形成するかもしれない。このような基材のさらなる例としては、アルパカ、アンゴラ、ラクダの毛、カシミア、キャットガット(catgut)、シアンゴラ(chiengora)、ラマ(llama)、モヘア、絹、腱(sinew)、クモの糸(spider silk)、ウールおよびタンパク質ベースの材料などの動物性製品;竹、コイア、綿、亜麻、大麻、黄麻、ケナフ麻、マニラ麻、パイナップル布(pina)、ラフィアヤシ(raffia)、苧麻(ramie)、サイザル麻(sisal)およびセルロースベースの材料などのさまざまなタイプの植物性製品;アスベスト、玄武岩、雲母または他の天然無機繊維などのさまざまな鉱物性製品を含めたさまざまなタイプの天然の産物が含まれる。ここで使用される「反応性官能基」という用語は、別の化学基と反応して共有結合またはイオン結合を形成することのできる化学基(または部分)を意味する。
相変化材料は、2つ以上の物質(例えば以上で論述した例示的相変化材料のうち2つ以上のもの)の混合物を含むことができる。2つ以上の異なる物質(例えば2つの異なるパラフィン系炭化水素または1つの炭化水素と1つのグリコール)を選択しそれらの混合物を形成することにより、コーティングされた物品の任意の特定の利用分野について広範囲にわたり温度安定化範囲を調整することができる。本発明の一部の実施形態によると、2つ以上の異なる物質の混合物は2つ以上の全く異なる遷移温度または単一の変更された遷移温度を示してよい。
PCM封じ込め構造
本明細書中に記載されている温度調節材料は、相変化材料をカプセル化するか、封じ込めるか、取囲むか、吸収するか、その粘性/レオロジーに影響を及ぼすか、あるいはその他の形で相変化材料と反応する封じ込め構造を含んでいてよい。この封じ込め構造は、繊維、ファブリック、ヤーンまたはそれらから製造される最終製品の製造中に相変化材料に対し一定程度の保護を提供する一方で相変化材料の取扱いを容易にするかもしれない。その上、封じ込め構造は、最終的使用の間に繊維、ファブリック、ヤーンまたは最終製品からの相変化材料の漏洩を削減または防止するために役立つかもしれない。
本発明の一部の実施形態によると、封じ込め構造の使用は、内部に相変化材料が分散された細長い部材が別の細長い部材によって完全に取囲まれていない場合に、望ましいものであり得るが、必須ではない。その上、相変化材料と共に封じ込め構造を使用することで、以下のような他のさまざまな利点が得られることが発見された:(1)標準的セルロース系繊維と比べてそれに匹敵するかまたはそれ以上の特性(例えば吸湿性に関して)を提供する;(2)より低密度のセルロース系繊維を可能にし、その結果としてより少ない全体的重量の製品を提供する;そして(3)標準的な艶調整剤(例えばTiO2)の代りにまたは艶調整剤と併せて使用できるより廉価な艶調整剤として役立つ。特定の理論により束縛されることを望まないものの、これらの利点のうちのいくつかは、一部の封じ込め構造の比較的低い密度ならびに結果として得られるセルロース系繊維の内部の空隙の形成の結果であると考えられている。
例えば、温度調節材料は、相変化材料を封じ込めるさまざまなマイクロカプセルを含むことができ、このマイクロカプセルは、セルロース系繊維を形成する1つ以上の細長い部材の中に均一にまた不均一に分散され得る。マイクロカプセルは、相変化材料を囲み込むシェルとして形成され得、さまざまな規則的または不規則な形状(例えば球体、回転楕円体、楕円体など)およびサイズで形成された個別のマイクロカプセルを含み得る。マイクロカプセルは同じ形状または異なる形状を有することができ、同じサイズまたは異なるサイズを有することができる。本明細書中で使用される「サイズ」という用語は、1つの物体の最大の寸法を意味する。こうして、例えば、回転楕円体のサイズとは、その回転楕円体の主軸を基準とし、一方球体のサイズは球体の直径を基準とすることができる。一部の場合において、マイクロカプセルは、実質的に回転楕円体または球体であり得、約0.01〜約4000ミクロン、例えば約0.1〜約1000ミクロン、約0.1〜約500ミクロン、約0.1〜約100ミクロン、約0.1〜約20ミクロン、約0.3〜約5ミクロンまたは約0.5〜約3ミクロンの範囲内のサイズを有することができる。一部の実施のためには、マイクロカプセルの実質的割合、例えば少なくとも約50パーセント、少なくとも約60パーセント、少なくとも約70パーセント、少なくとも約80パーセント、または最高約100パーセントが、規定された範囲内、例えば約12ミクロン未満、約0.1〜約12ミクロンまたは約0.1〜約10ミクロンの範囲内のサイズを有することが所望され得る。同様にマイクロカプセルが、その形状およびサイズのいずれかまたは両方に関して単分散であることが所望され得る。本明細書で使用される「単分散」という用語は、一組の特性に関して実質的に均一であることを意味する。したがって、例えば、単分散であるマイクロカプセルセットとは、例えばサイズ分布の平均などの、1つのサイズ分布モードのまわりに狭いサイズ分布を有するようなマイクロカプセルを意味し得る。一部の場合において、単分散であるマイクロカプセルセットは、サイズ平均との関係において20パーセント未満、例えば10パーセント未満または5パーセント未満の標準偏差を示すサイズを有することができる。マイクロカプセルを形成する技術の例は、以下の参考文献中に見られる:「カプセル化方法およびそれにより生産されたマイクロカプセル」という名称のTsueiらによる米国特許第5,589,194号;「マイクロカプセルおよびその製造方法」という名称のTsueiらによる米国特許第5,433,953号;「相変化材料のカプセル化」という名称のHatfieldによる米国特許第4,708,812号;および「カプセル化相変化材料の調製方法」という名称のChenらによる米国特許第4,505,953号。なおこれらの文献の開示は参照により本明細書に援用される。
封じ込め構造の他の例としては、シリカ粒子(例えば沈降シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子およびその混合物)、ゼオライト粒子、炭素粒子(例えば黒鉛粒子、活性炭粒子およびその混合物)および吸収性材料(例えば、吸収性ポリマー材料、例えば一部のセルロース材料、高吸収性材料、ポリ(メト)アクリレート材料、ポリ(メト)アクリレート材料の金属塩およびその混合物)が含まれる。例えば温度調節材料としては、相変化材料が含浸されたシリカ粒子、ゼオライト粒子、炭素粒子または吸収性材料が含まれ得る。本発明の他の実施形態によると、温度調節材料は、未加工形態の相変化材料を含んでいてよい(例えば、相変化材料は非カプセル化相変化材料、すなわちマイクロまたはマクロカプセル化されていない相変化材料である)。物品の製造中、未加工形態の相変化材料は、さまざまな形態(例えばバルク形態、粉末、ペレット、顆粒、フレークなど)の固体としてか、あるいはさまざまな形態(例えば溶融形態、溶剤中に溶解した形態など)の液体として提供されてよい。相変化材料の漏出を低減させるかまたは防止するためには、未加工形態で使用される相変化材料が固体/固体またはポリマー相変化材料であることが所望されるかもしれないが、これは必須ではない。
ポリマー材料
一般に、本明細書中で使用されるポリマー材料は、コーティングの形に形成され得るあらゆるポリマー(またはポリマーの混合物)を含んでいてよい。本発明の一部の実施形態によると、ポリマー材料は内部に温度調節材料が分散させられてよくかつ基材に対して温度調節材料を結合させるのに役立つかもしれないマトリクスを提供し得る。ポリマー材料は、コーティングされた物品またはそれから製造された製品の製造中または最終的使用中に温度調節材料に対して一定程度の保護を提供するかもしれない。本発明の一部の実施形態によると、ポリマー材料は、熱可塑性ポリマー(または熱可塑性ポリマーの混合物)または熱硬化性ポリマー(または熱硬化性ポリマーの混合物)を含んでいてよい。
ポリマー材料は、1つ以上のタイプのモノマー単位を含むさまざまな鎖構造を有するポリマー(またはポリマー混合物)を含んでいてよい。詳細には、ポリマー材料は、線状ポリマー、分岐ポリマー(例えば星形分岐ポリマー、櫛形分岐ポリマー、または樹枝状分岐ポリマー)またはその混合物を含んでいてよい。ポリマー材料は、ホモポリマー、コポリマー(例えばターポリマー、統計コポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー、周期コポリマー、ブロックコポリマー、ラジアルコポリマーまたはグラフトコポリマー)またはその混合物を含んでいてよい。前述の通り、ポリマーの反応性および機能性は、例えばアミン、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、エステル、エーテル、エポキシド、無水物、イソシアネート、シラン、ケトン、アルデヒドまたは不飽和基などの官能基を添加することによって改変されてよい。同様に、ポリマー材料を含むポリマーは、その靱性または熱、水分または化学物質に対するその耐性を増大させるために、架橋、絡み合いまたは水素結合することができてよい。
コーティングを形成するために使用してよい例示的ポリマー材料としては、限定的な意味のない一例として、ポリアミド、ポリアミン、ポリイミド、ポリアクリル樹脂(例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、メタクリル酸およびアクリル酸のエステルなど)、ポリカーボネート(例えば、ポリビスフェノールAカーボネート、ポリプロピレンカーボネートなど)、ポリジエン(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリノルボルネンなど)、ポリエポキシド、ポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン、ポリアジピン酸エチレン、ポリアジピン酸ブチレン、ポリコハク酸プロピレン、テレフタル酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなど)、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール(ポリエチレンオキシド)、ポリブチレングリコール、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシメチレン(パラホルムアルデヒド)、ポリテトラメチレンエーテル(ポリテトラヒドロフラン)、ポリエピクロロヒドリンなど)、ポリフルオロカーボン、ホルムアルデヒドポリマー(例えば、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒドなど)、天然ポリマー(例えば、セルロース樹脂、キトサン、リグニン、ワックスなど)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン、ポリオクテンなど)、ポリフェニレン、ケイ素含有ポリマー(例えばポリジメチルシロキサン、ポリカルボメチルシランなど)、ポリウレタン、ポリビニル(例えばポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールのエステルおよびエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリビニルメチルケトンなど)、ポリアセタール、ポリアリレート、アルキド系ポリマー(例えば、グリセリド油系ポリマー)およびコポリマー(例えば、ポリエチレン−コ−ビニルアセテート、ポリエチレン−コ−アクリル酸など)が含まれる。
コーティングされた物品の一部の利用分野のためには、ポリマー材料は、コーティング内への温度調節材料の分散または取込みを容易にするポリマー(またはポリマーの混合物)を含んでいてよい。例えば、ポリマー材料は、温度調節材料と相容性または混和性を有するかまたは温度調節材料に対する親和性を有するポリマー(またはポリマーの混合物)を含んでいてよい。本発明の一部の実施形態においては、この親和性は、例えば(ただし非限定的に)ポリマー材料および温度調節材料の溶解度パラメータ、極性、疎水性特性又は親水性特性の類似性によって左右されるかもしれない。このような親和性はコーティング内に温度調節材料をより均一またはより高い負荷レベルで取込むことを容易にするかもしれない。さらに、温度調節材料を所望の負荷レベルで取込むために必要なポリマー材料の量はより少なくなり、こうしてより薄いコーティングそして、コーティングされた物品の可撓性、柔軟性、透気性または水蒸気輸送特性の改善が可能になる。温度調節材料が相変化材料を封じ込める封じ込め構造を含んでいる実施形態においては、ポリマー材料は、相変化材料に対するその親和性と併せてまたはその代替として封じ込め構造に対するその親和性のために選択されたポリマー(またはポリマーの混合物)を含んでいてよい。例えば温度調節材料が相変化材料を封じ込める複数のマイクロカプセルを含む場合、マイクロカプセル(例えばマイクロカプセルを形成する1つまたは複数の材料)に対する親和力を有するポリマー(またはポリマーの混合物)が選択されるかもしれない。例えば本発明の一部の実施形態は、マイクロカプセルを含むポリマーと同じかまたは類似のポリマーを含むようにポリマー材料を選択してよい。本発明の一部の現在好まれている実施形態においては、ポリマー材料は、所望の温度安定化範囲が維持されるような形で温度調節材料との間に充分な非反応性を有するように選択されてよい。
一部の場合において、担体ポリマー材料は、温度調節材料と部分親和性を有するポリマー(またはポリマー混合物)を含むことができる。例えば担体ポリマー材料は、温度調節材料と半混和性を有するポリマー(またはポリマー混合物)を含むことができる。このような部分親和性は、より高い温度およびせん断条件での担体ポリマー材料中の温度調節材料の分散を容易にするために適切であり得る。より低い温度およびせん断条件で、このような部分親和性により温度調節材料を分離させることが可能となる。未加工形態の相変化材料が使用される場合、このような部分親和性は、相変化材料の不溶化および担体ポリマー材料中および結果としてのセルロース系繊維内の相変化材料ドメイン形成の増加を導く可能性がある。ドメイン形成は、相変化材料の2つの状態間での遷移を容易にすることにより熱調節特性の改善を導くことができる。さらに、ドメイン形成は、繊維形成中または最終的使用中のセルロース系繊維からの相変化材料の損失または漏出を削減または防止するのに役立つことができる。
添加剤
コーティングされた物品の特定の利用分野に応じて、コーティングはさらに1つ以上の添加剤、例えば非限定的な例として、水、界面活性剤、分散剤、消泡剤(例えばシリコーン含有化合物およびフッ素含有化合物)、増粘剤(例えばポリアクリル酸、セルロースエステルおよびその誘導体、およびポリビニルアルコール、気泡安定剤(例えば脂肪酸の無機塩またはその硫酸部分エステルおよびアニオン界面活性剤)、酸化防止剤(例えばヒンダードフェノールおよびホスファイト)、熱安定剤(例えばホスファイト、有機リン化合物、有機カルボン酸の金属塩およびフェノール化合物)、光安定剤またはUV安定剤(例えば、ヒドロキシベンゾエート、ヒンダードヒドロキシベンゾエートおよびヒンダードアミン)、マイクロ波吸収添加剤(例えば多官能性第一級アルコール、グリセリンおよび炭素)、強化用繊維(例えば炭素繊維、アラミド繊維およびガラス繊維)、導電性繊維または粒子(例えば黒鉛または活性炭繊維または粒子)、潤滑剤、加工助剤(例えば脂肪酸の金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、脂肪酸アミド、スルホンアミド、ポリシロキサン、有機リン化合物、ケイ素含有化合物、フッ素含有化合物およびフェノールポリエーテル)、難燃剤(例えばハロゲン化化合物、リン化合物、有機リン酸塩、有機臭化物、アルミナ三水和物、メラミン誘導体、水酸化マグネシウム、アンチモン化合物、酸化アンチモンおよびホウ素化合物)、ブロッキング防止剤(例えばシリカ、タルク、ゼオライト、金属炭酸塩および有機ポリマー)、防曇剤(例えば非イオン性界面活性剤、グリセロールエステル、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステルおよびそのエトキシレート、ノニルフェニルエトキシレートおよびアルコールエチオキシレート))、帯電防止剤(例えば非イオン性物質、例えば脂肪酸エステル、エトキシル化アルキルアミン、ジエタノールアミドおよびエトキシル化アルコール;アニオン性物質、例えばアルキルスルホネートおよびアルキルホスフェート;カチオン性物質、例えば塩化物、メトスルフェートまたはニトレートの金属塩、および第四級アンモニウム化合物;および両性化合物、例えばアルキルベタイン)、抗菌剤(ヒ素化合物、硫黄、銅化合物、イソチアゾリンフタルアミド、カルバメート、銀系無機作用物質、銀亜鉛ゼオライト、銀銅ゼオライト、銀ゼオライト、金属酸化物およびケイ酸塩)、架橋剤または制御分解剤(例えば、過酸化物、アゾ化合物およびシラン)、着色剤、顔料、染料、蛍光増白剤または光学的光沢剤(例えば、ビス−ベンズオキサゾール、フェニルクマリンおよびビス−(スチリル)ビフェニル)、充填剤(例えば、天然無機物および金属、例えば酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩およびケイ酸塩;タルク;粘土;硅灰石;黒鉛;カーボンブラック;炭素繊維;ガラス繊維およびビーズ;セラミック繊維およびビーズ;金属繊維およびビーズ;小麦粉;および天然または合成由来の繊維、例えば木質繊維、デンプンまたはセルロース粉)、カップリング剤(例えば、シラン、チタネート、ジルコネート、脂肪酸塩、無水物、エポキシおよび不飽和ポリマー酸)、強化剤、結晶化または核形成剤(例えば結晶成長の速度/動態、成長した結晶数または成長した結晶のタイプを改善するなどを目的としたポリマー中の結晶化度を増強または改善するあらゆる材料)など)を含んでいてよい。1つ以上の添加剤はコーティングの内部に均一にまたは不均一に分散されてよい。典型的には、1つ以上の添加剤は、所望の温度安定化範囲が維持される形で温度調節材料との充分な非反応性を有するように選択される。
本発明の一部の実施形態によると、非限定的な例として耐汚染性、撥水性、より柔軟な感触および水分管理特性などの特性を付与するための一定の処理または追加のコーティングをコーティング済み物品に適用してもよい。例示的処理およびコーティングとしては、Nextec Applications Inc.製のEpic、Intera Technologies、Inc.製のIntera、DuPont Inc.、製のZonyl Fabric Protectors、3M Co.製のScotchgardなどが含まれる。
製造方法
本発明のさまざまな実施形態に係るセルロース系繊維は、例えば溶液紡糸プロセス(湿式または乾式)を含めたさまざまな方法を用いて形成可能である。溶液紡糸プロセスにおいては、1つ以上のセルロース材料および1つ以上の温度調節材料を紡糸口金のオリフィスに送出することができる。当業者であれば理解するように、紡糸口金とは典型的に、外部環境内への押出しのためオリフィスを通して溶融、液体または溶解材料を送出する繊維形成装置の一部分を意味する。紡糸口金は典型的に、その長さ1メートルあたり約1個〜約500,000個のオリフィスを含む。紡糸口金は、プレートを通して穿孔またはエッチングされた穴または所望の繊維を発出できる任意の他の構造を伴って実施可能である。
最初に、セルロース材料はさまざまな形態のいずれか、例えばセルロースシート、木材パルプ、綿くずおよびその他の実質的に精製済みのセルロース供給源の形で提供され得る。典型的には、セルロース材料は、紡糸口金のオリフィスを通過する前に溶剤中に溶解させられる。一部の場合において、セルロース材料は、溶剤中へのセルロース材料の溶解に先立ち、加工(例えば化学処理)され得る。例えば、セルロース材料は、塩基性溶液(例えば苛性ソーダ)中に浸漬され、ローラーを通して圧搾され、次に細かく刻まれて小片を形成することができる。これらの小片は次に二硫化炭素で処理されてキサントゲン酸セルロースを形成する。別の例として、セルロース材料を氷酢酸、無水酢酸および触媒の溶液と混合し、次に熟成させて酢酸セルロースを形成させることができ、この酢酸セルロースはフレークの形で溶液から沈殿可能である。
セルロース材料を溶解させるために使用される溶剤の組成は、結果として得られるセルロース系繊維の所望の利用分野に応じて変動し得る。例えば、上述の通りのキサントゲン酸セルロースの小片を、塩基性溶剤(例えば苛性ソーダまたは2.8パーセントの水酸化ナトリウム溶液)中に溶解させて粘性溶液を形成することができる。別の例としては、上述の通りの酢酸セルロースの沈殿したフレークをアセトン中に溶解させて、粘性溶液を形成することができる。他のさまざまなタイプの溶剤、例えば、酸化アミン溶液または銅アンモニア溶液などを使用することができる。一部の場合においては、結果として得られる粘性溶液を濾過して、溶解していないセルロース材料があればそれを除去することができる。
セルロース系繊維の形成中に、温度調節材料をセルロース材料と混合して配合物を形成することができる。混合の結果として、温度調節材料はセルロース材料中に分散され、少なくとも部分的にそのセルロース材料によって囲み込まれ得る。温度調節材料は繊維形成のさまざまな段階でセルロース材料と混合され得る。典型的には、温度調節材料は、紡糸口金のオリフィスを通過する前にセルロース材料と混合される。詳細には、溶剤中にセルロース材料を溶解させる前または後に温度調節材料をセルロース材料と混合することができる。例えば、温度調節材料は相変化材料を封じ込めるマイクロカプセルを含むことができ、マイクロカプセルは、溶解したセルロース材料の粘性溶液中に分散し得る。一部の場合において、紡糸口金のオリフィスを通過する直前に、温度調節材料を粘性溶液と混合すことができる。
本発明の一部の実施形態によると、担体ポリマー材料を用いてセルロース系繊維を形成することができる。例えば、セルロース系繊維は、内部に温度調節材料が分散させられた担体ポリマー材料から形成された粉末またはペレットを用いて形成可能である。一部の場合において、粉末またはペレットは、担体ポリマー材料と温度調節材料の固化された溶融混合物から形成され得る。粉末またはペレットを最初に担体ポリマー材料から形成でき、温度調節材料を含浸または吸収させることができるということが企図されている。同様に、担体ポリマー材料および温度調節材料の乾燥溶液から粉末またはペレットを形成できるということも企図されている。セルロース系繊維の形成中に、粉末またはペレットをセルロース材料と混合させて、繊維形成のさまざまな段階で配合物を形成することができる。典型的には、粉末またはペレットは、紡糸口金のオリフィスを通過させられる前にセルロース材料と混合される。
一部の利用分野のためには、セルロース系繊維は多成分繊維として形成可能である。詳細には、第1のセルロース材料を温度調節材料と混合して配合物を形成することができる。この配合物と第2のセルロース材料を組合わせ、特定の形態の紡糸口金のオリフィス内に導いて、セルロース系繊維のそれぞれの細長い部材を形成することができる。例えば、コア部材またはアイランド部材を形成するために配合物をオリフィスを通して導き、一方シース部材またはシー部材を形成するために第2のセルロース材料をオリフィスを通して導くことができる。オリフィスを通過させる前に、第1のセルロース材料と第2のセルロース材料を同じ溶剤または異なる溶剤中に溶解させることができる。第1のセルロース材料によって囲み込まれていない温度調節材料の一部分は、結果として得られるセルロース系繊維からの温度調節材料の損失または漏出を削減または防止するため、紡糸口金から出現した時点で第2のセルロース材料によって囲い込みされ得る。一部の利用分野については、第1のセルロース材料を使用する必要がないことが企図されている。例えば、温度調節材料は、所望の遷移温度を有しセルロース系繊維内に取込まれた時点で適切な機械的特性を提供するポリマー相変化材料を含むことができる。ポリマー相変化材料および第2のセルロース材料は、セルロース系繊維のそれぞれの細長い部材を形成するように組合わされ、特定の構成の紡糸口金のオリフィス内に導かれ得る。例えば、コア部材またはアイランド部材を形成するためにポリマー相変化材料をオリフィスを通して導くことができ、一方、シース部材またはシー部材を形成するために第2のセルロース材料をオリフィスを通して導くことができる。
紡糸口金から出現した時点で、1つ以上のセルロース材料は典型的に固化してセルロース系繊維を形成する。乾式溶液紡糸プロセスにおいては、紡糸口金を凝固浴または紡糸浴(例えば化学浴)中に沈めることができ、こうして紡糸口金から退出した時点で1つ以上のセルロース材料が沈殿し、固形セルロース系繊維を形成することができる。紡糸浴の組成は、結果として得られるセルロース系繊維の所望の利用分野に応じて変動し得る。例えば、紡糸浴は水、酸性溶液(例えば硫酸を含む弱酸溶液)、または酸化アミン溶液であり得る。乾式溶液紡糸プロセスにおいては、1つ以上のセルロース材料が暖気中に紡糸口金から出現し、溶剤(例えばアセトン)が暖気中で蒸発することによって固化し得る。
紡糸口金から出現した後、ゴデットまたは吸引装置を用いてセルロース系繊維を延伸または引伸しすることができる。例えば紡糸口金から出現するセルロース系繊維はボビン上に巻回されるか、またはステープル繊維に切断される前に変速ゴデットロールの間で延伸される下向きに移動するセルロース系繊維の垂直方向に配向された幕を形成することができる。紡糸口金から出現したセルロース系繊維は、同様に、紡糸浴内で水平方向に配向された幕を形成することもでき、変速ゴデットロールの間で延伸され得る。別の例においては、紡糸口金から出現したセルロース系繊維は少なくとも部分的に急冷されてから、紡糸口金の下に位置づけされた長いスロット形状の空気吸引装置の中に入ることができる。吸引装置は、1つ以上の空気吸引ジェットから圧縮空気により生成される高速で下向きに移動する空気流を導入することができる。空気流は、セルロース系繊維上に延伸力を作り出して、紡糸口金と空気ジェットの間でこれらのセルロース系繊維を延伸させ、セルロース系繊維を減衰させることができる。繊維形成のこの部分の間に、セルロース系繊維を形成する1つ以上のセルロース材料が固化することがある。セルロース系繊維の延伸または引伸しがセルロース系繊維の乾燥の前または後に発生し得ることが企図されている。
ひとたび形成された時点で、本発明のさまざまな実施形態に係るセルロース系繊維は、さまざまな製品の中で使用されるかまたは取込まれて、これらの製品に熱調節特性を提供することができる。例えば、セルロース系繊維は、繊維製品(例えばファブリック)、衣料(例えばアウトドア用衣類、ドライスーツおよび防護服)、履き物(例えばソックス、ブーツおよび靴の中敷)、医療用品(例えばサーマルブランケット、治療用パッド、トイレシーツ、およびホットパック/コールドパック)、個人用衛生用品(例えばオムツ、タンポンおよびボディケア用およびベビーケアー用の吸収性ふき取り繊維またはパッド)、清掃用品(例えば家庭清掃用、商業的清掃用および工業的清掃用の吸収性ふき取り繊維またはパッド)、コンテナおよび包装材料(例えば飲料/食品コンテナ、フードウォーマー、シートクッションおよび回路基板積層品)、建物(例えば壁または天井内の断熱材、壁紙、カーテンライニング、パイプ被覆、カーペットおよびタイル)、電気器具(家庭用電気器具内の絶縁)、工業製品(例えばフィルター材料)、および他の製品(例えば自動車用ライニング材料、家具、寝袋、および寝具類)の中で使用可能である。
一部の場合において、セルロース系繊維は例えば製織、不織、編成または織布プロセスに付されて、さまざまなタイプのプレーテッド、ブレイデッド、ツイステッド、フェルテッド、ニッテッド、ウォーブンまたはノンウォーブンファブリックを形成することができる。結果として得られたファブリックはセルロース系繊維から形成された単一層を含むことができ、あるいは多重層を含んでこれらの層の少なくとも1つがセルロース系繊維から形成されるようにすることもできる。例えば、セルロース系繊維をボビン上に巻回するかまたはヤーンの形に紡糸しその後、さまざまな従来の編成または織布プロセスにおいて使用することができる。別の例としては、セルロース系繊維を形成用表面(例えば長鋼ワイヤなどの移動するコンベヤースクリーンベルト)上に無作為に置いて、セルロース系繊維の連続したノンウォーブンウェブを形成することができる。一部の場合において、セルロース系繊維はウェブに形成する前に短いステープルファイバの形に切断され得る。ステープルファイバを利用することの1つの潜在的利点は、より長いまたは切断されていない繊維(例えばトウの形をした連続繊維)よりもウェブ内でさらに無作為に配向できるために、より等方性の不織ウェブを形成できる、ということにある。その後、任意の従来の接着プロセス(例えばスパンボンドプロセス)を用いてウェブを接着して、さまざまな繊維製品の製造で使用するための安定したノンウォーブンファブリックを形成することができる。接着プロセスの一例には、移動するコンベヤスクリーンベルトからウェブを持ち上げて2本の加熱されたカレンダーロール内にウェブを通すことが関与する。ロールのうち1本または両方をエンボス加工して、ウェブを多数の点で接着することができる。カーデッド(例えばエアーカーデッド)ウェブ、ニードルパンチウェブ、スパンレースドウェブ、エアーレイドウェブ、ウェットレイドウェブならびにスパンレイドウェブを、本発明の一部の実施形態に係るセルロース系繊維から形成することができる。
2つ以上の温度調節材料を含むセルロース系繊維からファブリックを形成できるということが企図されている。本発明の一部の実施形態によると、温度調節材料のこのような組合せは、2つ以上の全く異なる遷移温度を示すことができる。例えば、手袋において使用するためのファブリックを、各々相変化材料AおよびBを含むセルロース系繊維から形成することができる。相変化材料Aは約5℃の融点を有することができ、相変化材料Bは約75℃の融点を有することができる。セルロース系繊維内の相変化材料のこの組合せは、手袋に、寒冷環境(例えば冬季条件中の屋外使用)ならびに温暖環境(例えばオーブントレーなどの加熱された物体を取扱う場合)における改善された熱調節特性を提供することができる。さらに、ファブリックは、何らかの形で異なる2つ以上のタイプの繊維(例えば異なる構成または横断面形状を有するかまたは異なる温度調節材料を含むように形成された2つ以上のタイプのセルロース系繊維)から形成され得る。例えば、ファブリックは、相変化材料Aを含む一定百分率のセルロース系繊維と相変化材料Bを含む残りの百分率のセルロース系繊維とで形成され得る。セルロース系繊維のこの組合せは、ファブリックに、異なる環境(例えば寒冷および温暖環境)における改善された熱調節特性を提供することができる。別の例としては、ファブリックは、相変化材料を含む一定百分率のセルロース系繊維と相変化材料が欠如している残りの百分率のセルロース系繊維とで形成され得る。この例では、相変化材料を含むセルロース系繊維の百分率は、約10重量パーセント〜約99重量パーセント、例えば約30〜約80重量パーセントまたは約40〜約70重量パーセントの範囲内であり得る。さらなる例としては、ファブリックは、相変化材料を含む一定百分率のセルロース系繊維と、相変化材料を含むかまたはそれが欠如している残りの百分率の他の繊維(例えば他のポリマーから形成された合成繊維)とで形成され得る。この例において、セルロース系繊維の百分率は同様に、約10重量パーセント〜約99重量パーセント、例えば約30〜約80重量パーセントまたは約40〜約70重量パーセントの範囲内でもあり得る。
本発明の一部の実施形態に係る結果として得られたファブリックは、少なくとも約1J/g、例えば少なくとも約2J/g、少なくとも約5J/g、少なくとも約8J/g、少なくとも約11J/g、または少なくとも約14J/gである潜熱を有することができる。例えば、本発明の一実施形態に係るファブリックは、約1J/g〜約100J/g、例えば約5J/g〜約60J/g、約10J/g〜約30J/g、約2J/g〜約20J/g、約5J/g〜約20J/g、約8J/g〜約20J/g、約11J/g〜約20J/gまたは約14J/g〜約20J/gの範囲内の潜熱を有することができる。
さらに、本発明の一部の実施形態に係る結果として得られたファブリックは、他の所望される特性を示し得る。例えば、本発明の一実施形態に係るファブリック(例えばノンウォーブンファブリック)は、以下の特性のうちの1つ以上を有することができる:すなわち(1)少なくとも10グラム/グラム、例えば約12グラム/グラム〜約35グラム/グラム、約15グラム/グラム〜約30グラム/グラムまたは約18グラム/グラム〜約25グラム/グラムである吸水率(特定の環境条件下でのファブリックの絶対乾燥重量に対する吸収された水分の重量の比として表わされたもの);(2)約2秒〜約60秒、例えば約3秒〜約20秒、または約4秒〜約10秒であるシンク時間;(3)約13cN/tex〜約40cN/tex例えば約16cN/tex〜約30cN/texまたは約18cN/tex〜約25cN/texである引張り強度;(4)約10パーセント〜約40パーセント、例えば約14パーセント〜約30パーセントまたは約17パーセント〜約22パーセントである破断点伸び;(5)約0パーセント〜約6パーセント、例えば約0パーセント〜約4パーセントまたは約0パーセント〜約3パーセントである沸とう水中収縮率;および(6)約10g/m2〜約500g/m2、例えば約15g/m2〜約400g/m2または約40g/m2〜約150g/m2である比重。
以下の実施例は、本発明の態様を例示するものであるが、米国特許法の35U.S.C§112、欧州特許法第123条(2)または明細書本文の妥当性に関する全ての対応する国内特許法に基づき限定的であることを意図したものではない。これらの実施例を示すことにより試験結果および対応する実施の範囲およびクレームの範囲内での変形形態が当業者に対して明瞭かつ明白に開示されるものと考えられる。
実施例1
70%のモダクリル繊維と30%のOutlast Viscose繊維で構成された1つのファブリック試料を、ASTMD6413−99「繊維製品の難燃性に関する標準試験方法(垂直試験)」にしたがって試験した。結果は、以下の通りであった。試験されたいずれの供試体についても残光は全く存在しなかった。Outlast Viscose材料は、1つの実施形態において、レーヨン材料または別のセルロース系材料である。
Figure 2013511628
実施例2
68.2%のモダクリル繊維と29.2%のOutlast Viscose繊維および2.5%のSpandexで構成された1つのファブリック試料を、ASTMD6413−99「繊維製品の難燃性に関する標準試験方法(垂直試験)」にしたがって試験した。結果は、以下の通りであった。試験されたいずれの供試体についても残光は全く存在しなかった。
Figure 2013511628
抗菌および抗真菌試験−実施例1および2からの両方のファブリックを、抗臭および抗菌閾値について、AATCC TM100抗菌試験に付した。Microban(登録商標)9200−200(Microban International Ltd.により供給されるもの)を用いてファブリックの重量に基づき2%で、ファブリックを処理し、その後25回洗浄した。有機体Klebsiella pneumonia、Staphylococcus aureusを用いて試験を行なった。これらの試験の結果は、以下の通りである:
Figure 2013511628
実施例3
この試験では、難燃性(FR)モダクリルおよびOutlastレーヨン繊維を含むシルクウエイトの半袖TシャツとFRモダクリルおよびFRレーヨンを含むTシャツの、温暖環境内でのヒトの被験者に対する生理学的効果が比較される。75°F(23.9℃)の周囲温度で試験を行なった。試験は環境チャンバ内で実施した。
モダクリル/FRレーヨン半袖Tシャツは、この実施例において「対照」シャツとして言及されている。この実施例に言及されている「Outlast」試料は、モダクリルおよびOutlastレーヨン温度調節繊維である。この生理学的試験に付された「対照」および「Outlast」の衣服は両方共、ASTMD6413−99「繊維製品の難燃性に関する標準試験方法(垂直試験)」に合格済であった。以下で記述する通りに実施された環境シミュレーション試験に基づき、OutlastシルクウエイトTシャツは、対照のTシャツと比べて、温暖環境内での皮膚温度の調節に対し著しく有益な効果と、温度および水分管理の両方に関して有意にプラスの効果を有していることがわかった。試験の詳細は、以下と添付図面9−12に示されている。
試験対象の構成
OUTLAST(登録商標)Tシャツの構造は以下の通りであった:
・ 識別情報:スタイル#131のモダクリルOUTLASTレーヨンシルクウエイト半袖Tシャツ
・ サイズ:メンズL
・ 構造:ジャージーニットの形のモダクリルOUTLASTレーヨン均質配合ヤーン
・ 重量:5.7オンス
対照Tシャツは、以下の構成のものであった:
・ 識別情報:ヤーンのOUTLASTレーヨン構成要素がFRレーヨンにより置換され、他の点ではOutlastスタイル#131Tシャツと全く同じように構成された、シルクウエイトの半袖Tシャツ。
・ サイズ:メンズL
・ 構造:ジャージーニットの形のモダクリルFRレーヨン、均質配合ヤーン
・ 重量:5.7オンス
試験環境
試験用エリアは、平均周囲温度が75.0°F±1.5°F(23.9℃±0.83℃)の制御された環境チャンバであった。試験結果の一貫性ある比較を可能にするため、全ての試験を同じ制御された環境条件下で実施し、同じ試験手順を順守させた。被験者は20才と21才の二名の健康な男性であった。各々の試験について、被験者は長袖BOU作業用シャツ(ボタンは全てかけておく)の下の被験Tシャツ、木綿の下着、綿パン、木綿のソックスそして浅いウォーキングシューズを着用していた。各試験について、各々の被験者間で変更された品目は唯一Tシャツだけであった。所与の試験の間、被験者には、対照またはOUTLASTのいずれのTシャツを着用中であるかは告げられなかった。75.0°F±1.5°F(23.9±0.83℃)の平均周囲温度および50%±5%の相対湿度の制御された環境チャンバ内で試験を実施した。歩行速度を制御するためには、トレッドミルを使用した。
試験
1. 皮膚温度を記録するため、各試験中に胴部の皮膚に以下のように6個のプローブを設置した:
・ 胸中央、胸筋より下の胸骨上;
・ へそより1’’上の左腹部、
・ 体左側で、左鎖骨の直下、
・ 背中上部中央、肩甲骨の最内側部、
・ 背中下部中央、ベルトラインより4’’上、
・ 腋窩と臀部の間の中央横腹。
2. ファブリックと微気候温度を記録するため各試験中、プローブがファブリックに面している状態でTシャツと皮膚の間に1個のプローブを以下のように設置した:
・ 右腹部、へそより1’’上。
3. 基部層Tシャツと皮膚の間の胸骨部域上に1個の微気候湿度自動記録装置を設置した。
4. 自動記録装置に加えて、各試験の前および後に、被験Tシャツを計量して、発汗量を決定した。
5. 被験者は同様に、5分毎に主観的な温度感覚と発汗知覚も記録した。
6. 各試験周期は合計55分であった。各部位における皮膚温度を、20秒毎に、試験1回につき合計165回記録した。
7. 各試験は、以下の通りの6回の逐次的期間で構成されていた:
a)00〜05分:被験者が、75°±1.5°F(23.9°±0.83℃)の平均周囲温度の環境チャンバ内に入り、環境に慣れるように椅子に座った。
b)05〜20分:被験者は、3.0mphの速度でトレッドミル上を歩いた。
c)20〜25分:被験者は、トレッドミルを停止させ、椅子に座って休憩した。
d)25〜40分:被験者は環境チャンバ内で3.0mphでトレッドミル上を歩いた。
e)40〜45分:被験者は、トレッドミルを停止し、椅子に座って休憩した。
f)45〜55分:被験者は環境チャンバ内で3.0mphでトレッドミル上を歩いた。
データ解析
ACR Info Logger Software(ACR System Inc.)、HOBOware Pro Logger Software(Onset Computer Corporation)およびMicrosoft Excel for Office Spreadsheet(Microsoft)を用いてデータ解析を行なった。ファブリックの断熱能力が時間依存性を有することから、時間依存型温度プロファイルを用いて比較を行なった。各Tシャツを、両方の被験者が着用した。全ての環境試験について、対照とOUTLASTに関して両方の被験者からの結果を合わせて平均した。このデータは添付のグラフ上に図式化されている。
試験結果
図8および9に示したグラフ「MAC/FRおよびOUTLASTレーヨンのTシャツの熱試験」と「発汗の34.8%減少」は、実施された試験の結果を図式化している。温度グラフ上で、青線は、OUTLAST Tシャツを着用中の胴部上の全てのプローブの平均皮膚温度を表わす。赤線は、対照Tシャツを着用中の胴部上の全てのプローブの平均皮膚温度を表わす。以下の3つのグラフでは、青色欄はOUTLASTデータを表わし、赤色欄は対照データを表わす。以下は、発見された主要データを強調した表である。
Figure 2013511628
熱試験グラフは、OUTLASTおよび対照Tシャツの着用者間の皮膚温度の測定可能な差を示す。皮膚温度に加えて、被験者には、その体感温度および発汗知覚の快適性レベルを主観的に評価することが依頼され、これによりOUTLAST Tシャツが両方の面でより快適性に優れていることが示された。被験者が感知した快適性評定は、ASHRAE Handbook、1997、「Thermal Confort、DISC Ratings」中に見出される標準化された主観的評定システムから取上げられたものであり、この評定の0は「快適」、1は「不快なほどに暖かい」、2は「不快なほどに暑い」、そして3は「極度に暑い」である。添付のグラフ「MAC/FRおよびOUTLASTレーヨンのTシャツのDISC温度評定」および「平均的主観的湿度評定」は、温度および発汗知覚の両方においてOUTLAST Tシャツをより快適なものとして同定する差異を示している。
さらに、Tシャツ内部の発汗由来の水分蓄積量を測定した。結果は、OUTLAST Tシャツを着用した場合に1時間未満の時間的期間内で34.8%の発汗減少が見られたことを示している(「発汗減少」図表を参照のこと)。
結論
Tシャツについて行なわれた生理学的試験は、OUTLASTと対照のTシャツの間の胴部の皮膚温度に対する明白かつ有意な効果を示した。皮膚表面温度は、OUTLASTシャツを着用した場合、1.1°F低いところから開始した。さらにOUTLASTレーヨン温度調節技術は、シミュレートされた温暖環境シナリオ全体を通して、皮膚温度をより低く保った。とりわけ、プロトコル中の第1の歩行シリーズの後にある25分の時点において、皮膚温度平均は、OUTLAST Tシャツを着用している間2.3°F低いものであった。同様にして、皮膚温度平均は、第2の歩行シリーズの55分の時点において2.0°F低くとどまっていた。2.0°F超の皮膚表面温度差は、ASHRAE Handbook(American Society of Heating,Refrigerating and Air−Conditioning Engineers,Inc.)中に列挙された標準値として、体全体について有意であるとみなされる。OUTLASTシルクウエイトTシャツは、OUTLAST温度調節技術の使用が、より低温かつより安定した皮膚温度を維持する上で有意な形で助けとなることを実証した。
同様に、OUTLAST Tシャツを着用した場合、汗の生成に対してもプラスの効果があった。OUTLAST Tシャツは、34.8%の発汗減少を結果としてもたらした。したがって、OUTLAST温度調節技術は、発汗を減少させると同時に、シルクウエイトTシャツにおける皮膚温度の上昇を最小限におさえる。
主観的評定も同様に、対照Tシャツに比べてOUTLAST Tシャツを着用した場合の有意なメリットを実証した。OUTLAST Tシャツは、温暖環境内で温度調節および発汗知覚に関してより快適であるものとして評定された。
要約すると、Tシャツについて行なわれた生理学的試験は、シルクウエイトTシャツにおいて使用されたOUTLAST温度調節技術が、対照のMAC/FR半袖Tシャツに比べて性能および快適性の利点を有することを実証している。
実施例4
この試験は、46°Fの周囲温度で実施された難燃性(FR)Tシャツの生理学的性能比較を決定した。この試験は、環境チャンバ内で実施されたヒト被験者試験であった。報告書は、試験の条件下で、対照Tシャツと比較した場合に、OutlastTシャツが最高で2°F高い皮膚温度、より低いTシャツ内湿度、そして被験者により主観的に確認された75%低い発汗を提供したということを示している。図13〜15はこれらの試験の結果を示す。
導入
この試験は、寒冷環境内でヒト被験者について、モダクリル&FRレーヨンを含むTシャツに対してモダクリル&Outlastレーヨンを含むシルクウエイトの半袖Tシャツの生理学的効果を比較するために実施された。この報告書全体を通して、モダクリルFRレーヨン半袖Tシャツを「対照」と呼び、モダクリルOUTLASTレーヨン半袖Tシャツを「OUTLAST」Tシャツと呼ぶ。この研究に関与する両方の被験衣服すなわち「対照」および「OUTLAST」共、ASTMD6413−99「繊維製品の難燃性に関する標準試験方法(垂直試験)」に合格している。以下で記述する通りに実施した環境シミュレーション試験に基づくと、OUTLAST Tシャツが寒冷環境内での皮膚温度の調節に対し統計的に有益な効果を有し、かつ対照Tシャツに比べて主観的快適性、温度および水分管理に関してプラスの効果を有することがわかった。
目的
寒冷環境において、モダクリルOUTLAST半袖Tシャツに対するモダクリルFRレーヨン半袖Tシャツの熱的効果、主観的熱快適性および発汗管理を試験し比較すること。
試験対象の構成
OUTLAST Tシャツの構造は以下の通りであった:
・ 識別情報:スタイル#131のモダクリルOUTLASTレーヨンシルクウエイト半袖Tシャツ
・ サイズ:メンズL
・ 構造:ジャージーニットの形のモダクリルOUTLAST(登録商標)レーヨン均質配合ヤーン
・ 重量:5.7オンス
対照Tシャツは、以下の構成のものであった:
・ 識別情報:ヤーンの「OUTLASTレーヨン」構成要素が「FRレーヨン」により置換され、他の点ではスタイル#131Tシャツと全く同じように構成された、シルクウエイトの半袖Tシャツ。
・ サイズ:メンズL
・ 構造:ジャージーニットの形のモダクリルFRレーヨン、均質配合ヤーン
・ 重量:5.7オンス
試験環境
試験用エリアは、平均周囲温度が46°F±3°F(7.8℃±1.7℃)で周囲の相対湿度が45%±2.5%の制御された環境チャンバであった。試験結果の一貫性ある比較を可能にするため、全ての試験を同じ制御された環境条件下で実施し、同じ試験手順を順守させた。
・ 被験者は20才と21才の二名の健康な男性であった。
・ それぞれの試験各々について、被験者は次のものを着用していた:
・ 2つの被験Tシャツのうちの一方、*
・ 袖を伸ばして全てのボタンがかけられた状態の、長袖標準軍用戦闘服(BDU)作業用シャツ、
・ ブリーフ、綿パン、木綿のソックスおよび浅いウォーキングシューズ,
* 各試験について、各々の被験者間で変更された品目は、唯一Tシャツだけであった。
所与の試験の間、被験者には、対照またはOUTLASTのいずれのTシャツを着用中であるかは告げられなかった。歩行速度を毎時3.0マイル(MPH)に制御するためにトレッドミルを使用した。
試験プロトコル
1. 被験者の皮膚温度を記録するため、各試験中に皮膚の表面の以下の場所に6個の温度プローブを設置した:
i. 胸中央の胸骨上;
ii. へそより約1’’上およびへそより左1’’の左腹部、
iii. 左胸、胸筋部域上、
iv. 背中上部中央で、Tシャツのネックラインよりおよそ2’’下、
v. 背中下部中央、ベルトラインよりおよそ4’’上、
vi. 腋窩と臀部の間の左中央横腹。
2. 胴体図上に青色正方形により示されているように、Tシャツと皮膚の間の胸骨部域上に1つの微気候相対湿度自動記録装置を設置した。
3. 一回の試験につき合計1155のデータポイントについて20秒毎に、各部位での皮膚温度および微気候相対湿度を記録した。
4. 各試験セッションの直前および直後に、Tシャツを計量して、発汗量を決定した。
5. 被験者は各試験の間7回の特定の時間的間隔で主観的な温度快適性と発汗知覚を記録した。
6. 各試験は合計55分間であり、以下の通りの6回の逐次的試験で構成されていた:
・ 00:00〜05:00分:被験者が環境チャンバ内に入り、環境に慣れるように椅子に背筋を伸ばして座った。
・ 05:00〜20:00分:被験者は、3.0mphの速度でトレッドミル上を歩いた。
・ 20:00〜25:00分:被験者は椅子に座って休憩した。
・ 25:00〜40:00分:被験者は3.0mphの速度でトレッドミル上を歩いた。
・ 40:00〜45:00分:被験者は椅子に座って休憩した。
・ 45:00〜55:00分:被験者は3.0mphの速度でトレッドミル上を歩いた。
データ解析
ACR Info Logger Software(ACR System Inc.)、HOBOware Pro Logger Software(Onset Computer Corporation)およびMicrosoft Excel for Office Spreadsheet(Microsoft)を用いてデータの捕捉および解析を行なった。全ての試験について、それぞれ対照とOUTLAST Tシャツに関して両方の被験者からの結果、すなわち皮膚表面温度および微気候相対湿度を合わせて平均した。このデータは、図13〜15に示した添付のグラフ中に図式化されている。
試験結果
添付の「皮膚温度」は、実施された試験の結果を図式化している(図13)。1本のラインは、OUTLAST Tシャツを着用している間の胴部の上の全プローブの平均皮膚温度を表わしている。もう一方のラインは、対照Tシャツを着用している間の胴部上の全プローブの平均皮膚温度を表わす。グラフは、OUTLAST Tシャツを着用している場合と対照Tシャツを着用している場合の被験者の皮膚温度の間に測定可能な差を示している。測定された皮膚温度の差は、さらに、「主観的温度評定」(図13参照)を通して有意であることが示され、Outlastシャツは一般により快適性が高いものと感じられた。発汗に由来する水分の蓄積は、各試験の始まる前に清潔で乾燥したTシャツを計量し、各試験の完了後に再び計量することによって測定された。測定された重量差が、汗の生成量である。結果は、寒冷環境内でさえ、対照のTシャツに比べてOUTLAST Tシャツを着用した場合に発汗の非常に有意な減少が見られたことを示している(図15)「Outlastを着用した場合の75%の発汗減少」。感知された快適性評定は、ASHRAE Handbook,1997,Thermal Comfort,DISC Ratingsに類似する標準化された主観的評定システムに従っていた。ゼロ(0)は「快適」、−1は「わずかに寒い」、−2は「寒い」そして−3は「非常に寒い」として格付けされた。
結論
2つのTシャツを比較する生理学的試験は、OUTLASTと対照のTシャツの間の胴部の皮膚温度に対する明白かつ有意な効果を示した。OUTLASTレーヨン温度調節技術は、シミュレートされた寒冷環境シナリオ全体を通して、皮膚温度をより暖かくそして快適に保った。2.0°F超の皮膚表面温度差は、ASHRAE Handbook(American Society of Heating,Refrigerating and Air−Conditioning Engineers,Inc.)中に列挙された標準値として、体全体について有意であるとみなされる。OUTLASTシルクウエイトTシャツは、OUTLAST温度調節技術の使用が、より安定した皮膚温度を維持する上で有意な形で助けとなることを実証した。同様に、OUTLAST シャツを着用している間、汗の生成量の減少として示される被験者の微気候に対するプラスの効果も存在していた。より寒冷な環境において、発汗は、体の冷却の加速、さらには低体温症そして潜在的には死を導く可能性がある。この試験では、被験者の両方共が、休憩期間中に対照シャツで発汗スパイクを経験したが、OUTLAST Tシャツを着用している間は極端な発汗を経験せず、この場合、測定された発汗は75%少なかった。したがって、OUTLAST温度調節技術は、発汗も減少させ、より暖かい皮膚温度を持続あせた。この生理学的試験において測定された皮膚温度の差は、被験者の主観的評定によって裏づけされた。盲検比較では、OUTLAST Tシャツは、対照に比べて温度調節および発汗知覚に関してより快適であるものと評定された。要約すると、Tシャツについて実施された生理学的試験の結果はシルクウエイトTシャツにおいて使用されたOUTLAST温度調節技術が、寒冷環境において、対照のモダクリルFRレーヨン半袖Tシャツに比べて性能および快適性面の利点を有することを実証している。
本明細書中に記載または言及されている特許出願、特許、公報および他の公開文書の各々は、これらの特許出願、特許、公報および他の公開文書が特定的かつ個別に参照により援用するように指示された場合と同じレベルで、その全体が参照により本明細書に援用される。
本発明は、その特定の実施形態を基準にして記述されてきたが、当業者であれば、添付クレームにより定義されている本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を加え、等価物を置換してよいということが理解できるはずである。さらに、本発明の目的、精神および範囲に対し特定の状況、材料、物質組成、方法、1つまたは複数のプロセスステップを適応させるために多くの修正を加えてもよい。このような修正は全て、本明細書に添付されているクレームの範囲内に入るように意図されている。詳細には、本明細書中に開示されている方法は、特定の順序で実施される特定のステップを基準にして記述されてきたが、これらのステップを組合せるか、細分するかまたは再度順序づけして、本発明の教示から逸脱することなく同等の方法を形成してよいということが理解される。したがって、本明細書中に具体的に指示されているのでないかぎり、ステップの順序および組合せは、本発明の限定条件ではない。

Claims (20)

  1. 複数の繊維本体を含むファブリックであって、前記複数の繊維本体の20〜50%が第1の繊維材料を含み、前記複数の繊維本体の50〜80%が第2の繊維材料を含み、
    前記第1の繊維材料がセルロース材料と、前記セルロース材料中に分散した非カプセル化相変化材料とを含み、前記非カプセル化相変化材料がセルロース材料中に分散した複数のドメインを形成し、前記非カプセル化相変化材料が1グラムあたり少なくとも5ジュールの潜熱と0℃〜100℃の範囲内の遷移温度を有し、前記非カプセル化相変化材料が遷移温度において潜熱の吸収および放出のうち少なくとも1つに基づいて熱調節を提供し、
    前記第2の繊維材料が耐火材料を含む、ファブリック。
  2. 前記非カプセル化相変化材料がポリマー相変化材料である、請求項1に記載のファブリック。
  3. 前記非カプセル化相変化材料が機能性ポリマー相変化材料である、請求項1に記載のファブリック。
  4. 前記セルロース材料がビスコースである、請求項1に記載のファブリック。
  5. 前記セルロース材料が、葉、木材、樹皮および綿からなる群から選択される、請求項1に記載のファブリック。
  6. 前記耐火材料が、モダクリル、ノーメックス、ケブラー、トワロン、レーヨン、PBI、処理済み綿、メラミン繊維およびガラス繊維からなる群から選択される、請求項1に記載のファブリック。
  7. 30〜35%のモダクリル材料を含む、請求項1に記載のファブリック。
  8. 25〜40%のモダクリル材料を含む、請求項1に記載のファブリック。
  9. 前記第1の繊維材料を55〜65%含む、請求項1に記載のファブリック。
  10. 前記第1の繊維材料を65〜75%含む、請求項1に記載のファブリック。
  11. 複数の繊維本体を含むファブリックまたはヤーンであって、前記複数の繊維本体の20〜50%が第1の繊維材料を含み、前記複数の繊維本体の50〜80%が第2の繊維材料を含み、
    前記第1の繊維材料がセルロースポリマー材料と、前記セルロースポリマー材料中に分散した非カプセル化相変化材料とを含み、前記非カプセル化相変化材料がセルロースポリマー材料中に分散した複数のドメインを形成し、前記非カプセル化相変化材料が1グラムあたり少なくとも5ジュールの潜熱と0℃〜100℃の範囲内の遷移温度を有し、前記非カプセル化相変化材料が遷移温度において潜熱の吸収および放出のうち少なくとも1つに基づいて熱調節を提供し、
    前記第2の繊維材料が耐火材料を含む、ファブリックまたはヤーン。
  12. 前記非カプセル化相変化材料がポリマー相変化材料である、請求項11に記載のファブリック。
  13. 前記非カプセル化相変化材料が機能性ポリマー相変化材料である、請求項11に記載のファブリック。
  14. 前記セルロース材料がビスコースである、請求項11に記載のファブリック。
  15. 前記セルロース材料が、葉、木材、樹皮および綿からなる群から選択される、請求項11に記載のファブリック。
  16. 前記耐火材料が、モダクリル、ノーメックス、ケブラー、トワロン、レーヨン、PBI、処理済み綿、メラミン繊維およびガラス繊維からなる群から選択される、請求項11に記載のファブリック。
  17. 30〜35%のモダクリル材料を含む、請求項11に記載のファブリック。
  18. 25〜40%のモダクリル材料を含む、請求項11に記載のファブリック。
  19. 前記第1の繊維材料を55〜65%含む、請求項11に記載のファブリック。
  20. 複数の繊維本体を含むファブリック、繊維またはヤーンであって、前記複数の繊維本体の20〜50%が第1の繊維材料を含み、前記複数の繊維本体の50〜80%が第2の繊維材料を含み、
    前記第1の繊維材料がセルロースポリマー材料と、前記セルロースポリマー材料中に分散したマイクロカプセル化相変化材料とを含み、前記マイクロカプセル化相変化材料が1グラムあたり少なくとも5ジュールの潜熱と0℃〜100℃の範囲内の遷移温度を有し、前記マイクロカプセル化相変化材料が遷移温度において潜熱の吸収および放出のうち少なくとも1つに基づいて熱調節を提供し、
    前記第2の繊維材料が耐火材料を含む、ファブリック、繊維またはヤーン。
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