JP3174733U - 複合繊維シートおよび衣料 - Google Patents

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志郎 野木
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Abstract

【課題】弾力性、ソフト性、伸縮性、通気性、吸水性に優れた複合繊維シートおよび該複合繊維シートを用いてなる衣料を提供する。
【解決手段】固有粘度において互いに異なる2種のポリエステルからなり、潜在捲縮が発現してなるミクロクリンプを有する非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で90/10〜10/90となるように混綿され、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および/または該熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなる繊維構造体に、接着層を介して綿繊維を含む編物を貼りあわせる。
【選択図】図4

Description

本考案は、弾力性、ソフト性、伸縮性、通気性、吸水性に優れた複合繊維シートおよび該複合繊維シートを用いてなる衣料に関する。
ブラジャー、ロングラインブラジャー、ボデイスーツ、スリーインワン、ブラテデイ、ブラキャミソール、ブラスリップ、ビスチェ等の下着類や、レオタード、水着、イブニングドレス、ビスチェタイプ等のアウターウエアー類の、乳房を覆うためのカップ(乳房用カップ)を有する女性用衣類は、女性用の被服として広く普及している。また、乳房カップの素材としては、発泡ポリウレタンシートに布帛を貼りあわせたものや非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とで構成される繊維構造体に布帛を貼りあわせたものなどが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、発泡ポリウレタンシートでは、保形性、柔軟性に優れるものの、通気性が低いため蒸れやすく、黄変するなどの欠点があった。また、非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とで構成される繊維構造体に布帛を貼りあわせたものでは、弾力性やソフト性には優れるものの、伸縮性、通気性、および吸水性の点でまだ十分とはいえなかった。
特開2006−103128号公報 特開2005−307408号公報
本考案は、上記の背景に鑑みなされたものであり、弾力性、ソフト性、伸縮性、通気性、吸水性に優れた複合繊維シートおよび該複合繊維シートを用いてなる衣料を提供することにある。
本考案者らは、上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、潜在捲縮が発現してなるミクロクリンプを有する非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とで構成される繊維構造体に、接着層を介して綿繊維を含む編物を貼りあわせると、弾力性、ソフト性、伸縮性、通気性、吸水性に優れた複合繊維シートが得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「固有粘度において互いに異なる2種のポリエステルからなり、潜在捲縮が発現してなるミクロクリンプを有する非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で90/10〜10/90となるように混綿され、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および/または該熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなる繊維構造体に、接着層を介して綿繊維を含む編物が貼りあわされてなることを特徴とする複合繊維シート。」が提供される。
その際、前記非弾性捲縮短繊維と前記熱接着性複合短繊維とが繊維構造体の厚さ方向に配列していることが好ましい。また、前記繊維構造体において、接着層と接する面が切断面であることが好ましい。また、前記編物が経編物であることが好ましい。また、前記編物に、弾性繊維にポリエステル系繊維をカバリングしたカバリング糸が含まれることが好ましい。
また、本考案によれば、前記の複合繊維シートを含む衣料が提供される。その際、かかる衣料に、前記の複合繊維シートを用いてなる乳房用カップが含まれることが好ましい。
本考案によれば、弾力性、ソフト性、伸縮性、通気性、吸水性に優れた複合繊維シートおよび該複合繊維シートを用いてなる衣料が得られる。
繊維構造体の中で、熱接着性複合短繊維またはマトリックス繊維の配列の方向を説明するための図である。 ウエブをヒダ折りし大部分の繊維を厚み方向に配列させた状態を模式的に示す図である。 本考案に係る複合繊維シートにおいて、繊維構造体の一方の面に編物を貼り合せた場合の厚み方向の断面を模式的に示した図である。 本考案に係る複合繊維シートにおいて、繊維構造体の両面に編物を貼り合せた場合の厚み方向の断面を模式的に示した図である。 本考案に係る衣料(ブラジャー)を模式的に示した図である。
以下、本考案の実施の形態について詳細に説明する。
本考案において、非弾性捲縮短繊維は、固有粘度において互いに異なる2種のポリエステルからなり、潜在捲縮が発現してなるミクロクリンプを有する。前記非弾性捲縮短繊維は、上記のミクロクリンプを有することが特に重要である。かかるミクロクリンプは、熱処理により発現したものであり、かかるミクロクリンプにより、あたかもバネのように伸縮性に富んだ構造を持つようになる。また、繊維同士が複雑に絡みあうため、繊維構造体は弾力性、ソフト性、伸縮性に特に優れたものとなる。
ここで、前記ミクロクリンプの個数としては、30〜60個/25mmの範囲内であることが好ましい。ミクロクリンプの個数が30個/25mmよりも少ないと、十分な伸縮性が得られないおそれがある。逆に、前記ミクロクリンプの個数が60個/25mmよりも多いと、繊維構造体を成型する際の熱収縮が大きいため、シワ入りや寸法変動などのトラブルが発生しやすく成型が困難となるおそれがある。
ここで、前記非弾性捲縮短繊維において、7〜15個/25mmの機械捲縮が付与されていることが好ましい。前記捲縮数が7個/25mm未満の場合には、短繊維間の絡合が不足してカード通過性が悪くなり、品位の高い繊維構造体が得られないおそれがある。一方、捲縮数が15個/25mmを超える場合には、短繊維の絡合が大きすぎてカードで十分な梳綿をなすことができず、品位の高い繊維構造体が得られないおそれがある。なお、かかる機械捲縮を付与する方法としては、異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与する方法、通常の押し込みクリンパー方式により捲縮を付与する方法などが好ましく例示される。
前記非弾性捲縮短繊維を形成する、固有粘度において互いに異なる2種のポリエステルとしては、前記のミクロクリンプが得られるものであれば特に限定されないが、固有粘度の差としては、0.1〜0.4の範囲が好ましい。前記固有粘度差が0.1よりも小さいとミクロクリンプが十分に発現せず、ミクロクリンプの個数が前記範囲よりも小さくなるおそれがある。逆に、前記固有粘度差が0.4よりも大きいとミクロクリンプの個数が前記範囲よりも大きくなるおそれがある。
かかる固有粘度において互いに異なる2種のポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート系ポリエステル、ポリトリメチレン系ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ステレオコンプレックスポリ乳酸などが好適に例示される。ここで、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルとは、ポリエステルの全繰り返し単位を基準として、エチレンテレフタレート繰り返し単位が90モル%以上(好ましくは95モル%以上)、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルとは、ポリエステルの全繰り返し単位を基準として、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位が90モル%以上(好ましくは95モル%以上)、ポリブチレンテレフタレート系ポリエステルとは、ポリエステルの全繰り返し単位を基準として、ブチレンテレフタレート繰り返し単位が90モル%以上(好ましくは95モル%以上)を占めるポリエステルをいう。
固有粘度において互いに異なる2種のポリエステルを選択するには、同種ポリエステルにおいては重合度の異なるもの、異種ポリエステルにおいては、その酸成分およびジオール成分の少なくとも1方において異なるものから選択すればよい。
前記ポリエステルには、必要に応じて、そのテレフタル酸成分やエチレングリコール成分に、5モル%以下の範囲で第3成分を共重合していてもよく、例えば、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、5−スルホキシイソフタル酸金属塩、5−スルホキシイソフタル酸ホスホニウム塩等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジクロヘキサンジメチレンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、o−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ジフェニルスルホン等の芳香族グリコール、ヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシン、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルスルホン等のジフェノール類等があげられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、前記ポリエステル中には、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等を含んでいてもよく、特に艶消剤として酸化チタンなどは好ましく添加される。
前記非弾性捲縮短繊維は、サイドバイサイド複合形態または偏心芯鞘型複合形態を有していることが必要である。なかでも、サイドバイサイド複合形態が特に好ましく用いられ、固有粘度において互いに異なる2種のポリエステルを適宜選択して接合させることにより潜在捲縮を有することとなり、かかる複合短繊維に熱処理を施すと、潜在捲縮が発現してミクロクリンプが得られる。
ここで、2種のポリエステルの重量比としては、20:80〜80:20(より好ましくは40:60〜60:40)である。
前記非弾性捲縮短繊維の単糸繊度としては、1〜15dtex(より好ましくは1〜13dtex、特に好ましくは3〜7dtex)であることが好ましい。前記単糸繊度が1dtexよりも小さいと、緻密構造となりすぎて低密度の繊維構造体が得られないおそれがある。逆に、前記単糸繊度が15dtexよりも大きいと、風合いが粗雑となり、良好な感触の繊維構造体を得ることができないおそれがある。かかる非弾性捲縮短繊維は、繊維長が3〜100mmに裁断されていることが好ましい。
前記非弾性捲縮短繊維の単繊維横断面形状は、通常の丸断面でもよいし、三角、四角、扁平、中空などの異型断面であってもよい。
次に、熱接着性複合短繊維の熱融着(熱接着性)成分は、上記の非弾性捲縮短繊維を構成するポリマー成分より、40℃以上低い融点を有することが肝要である。この温度が40℃未満では接着が不十分となる上、腰のない取り扱いにくい繊維構造体となるおそれがある。また、熱処理温度の細かな制御が必要となり、生産性に劣るものとなる。
ここで、熱融着成分として配されるポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、非弾性ポリエステル系ポリマー及びその共重合物、ポリオレフィン系ポリマー及びその共重合物、ポリビニルアルコール系ポリマー等を挙げることができる。
これらのポリマーのうちで、特に好ましいのは、ポリウレタン系エラストマー、またはポリエステル系エラストマーである。
このうち、ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6,000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p’−ジフェニールメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート水素化ジフェニールメタンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコールアミノアルコールあるいはトリオールとの反応により得られるポリマーである。
また、ポリエステル系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)クリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
特に、接着性や温度特性、強度の面からすればポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていても良く、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分はブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
共重合ポリエステル系ポリマーとしては、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類および/またはヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸類と、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、パラキシレングリコールなどの脂肪族や脂環式ジオール類とを所定数含有し、所望に応じてパラヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類を添加した共重合エステル等を挙げることができ、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとにおいてイソフタル酸および1,6−ヘキサンジオールを添加共重合させたポリエステル等が使用できる。
また、ポリオレフィンポリマーとしては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、さらにはそれらを変性したもの等を挙げることができる。
なお、上述のポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色材その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていても良い。
熱接着性複合短繊維において、熱融着成分の相手側成分としては前記のような非弾性のポリエステルが好ましく例示される。その際、熱融着成分が、少なくとも1/2の表面積を占めるものが好ましい。重量割合は、熱融着成分と相手側成分が、重量比で10/90〜90/10の範囲にあるのが適当である。熱接着性複合短繊維の形態としては、特に限定されないが、熱融着成分と相手側成分とが、サイドバイサイド、芯鞘型であるのが好ましく、より好ましくは芯鞘型である。この芯鞘型の熱接着性複合短繊維では、熱融着成分が鞘部となり、相手側成分が芯部となるが、この芯部は同心円状、または偏心状にあってもよい。
かかる熱接着性複合短繊維において、単糸繊度としては、1〜15dtex(より好ましくは1〜13dtex、特に好ましくは3〜7dtex)であることが好ましい。前記単糸繊度が1dtexよりも小さいと、緻密構造となりすぎて低密度の繊維構造体が得られないおそれがある。逆に、前記単糸繊度が15dtexよりも大きいと風合いが粗雑となり、良好な感触の繊維構造体を得ることができないおそれがある。かかる熱接着性複合短繊維には、繊維長が3〜100mmに裁断されていることが好ましい。
本考案においては、前記非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維を混綿させ、加熱処理することにより、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および/または該熱接着性複合短繊維と該非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなる繊維構造体が形成される。前記非弾性捲縮短繊維は前述のようにミクロクリンプを有しているので、あたかもバネのような伸縮性が得られる。
この際、非弾性捲縮短繊維と熱接着複合短繊維との重量比率は90/10〜10/90である必要がある。好ましくは、20/80〜20/80である。熱接着複合短繊維の比率がこの範囲より少ない場合は、固着点が極端に少なくなり、十分な伸縮性が得られないおそれがある。逆に、熱接着複合短繊維の比率がこの範囲より多い場合は、固着点が多くなり過ぎ、繊維構造体が硬くなるおそれがある。
また、本考案において、前記非弾性捲縮短繊維と熱接着複合短繊維とが繊維構造体の厚さ方向に配列していると、優れた通気性および弾力性が得られ好ましい。
ここで、「厚さ方向に配列している」とは、繊維構造体を厚さ方向に切断し、その断面において、厚さ方向に対して平行に配列されている、非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維(図1において0°≦θ≦60°)の総本数を(T)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維(図1において60°<θ≦90°)の総本数をWとしてT/Wを算出して、T/Wが1.5以上であることである。なお、図1中、符号1は熱接着性複合短繊維またはマトリックス繊維(非弾性捲縮短繊維)、符号2は繊維構造体の厚さ方向、符号3は熱接着性複合短繊維またはマトリックス繊維(非弾性捲縮短繊維)の配列方向である。
前記の繊維構造体を製造する方法には特に限定はない。例えば、前記非弾性捲縮短繊維および熱接着複合短繊維を所定の比率にて混合し、通常のカード工程を経てクロスレアーにて必要な目付け量に積層しシート状のウエブとする。その際、構造体の層間剥離を回避するため必要に応じてニードルパンチおよび/またはウオーターニードリング等の方法によってシートに機械的交絡を加えてもよい。かかるウエブの繊維密度としては0.003〜0.03g/cmの範囲であることが好ましい。続いて、熱処理機によって、熱接着性複合短繊維の熱融着成分の融点以上の温度(好ましくは熱融着成分の融点以上、かつ熱接着複合短繊維を形成する2種のポリエステルのいずれの融点よりも30℃以上低い温度)で不織布シートを融着して熱接着複合短繊維のミクロクリンプを発現させると同時に、繊維間の交絡点を熱固着させ、繊維構造体を得た後、巻取機にて巻き取る。かかるミクロクリンプにより、伸縮性・弾力性に富んだバネのような構造となる。同時に、繊維間同士が複雑に絡み合うため、従来のような、ミクロクリンプを有さないマトリックスを用いた繊維構造体に比べて、熱固着点の数が増加する。かかる熱固着点によって優れた弾力性、ソフト性、伸縮性が得られる。
また、前記熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とを繊維構造体の厚さ方向に配列させる場合には、例えば非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とを混綿し、ローラーカードにより均一なウエブとして紡出した後、特開2007−025044号公報の図1に示すような熱処理機を用いて、ウエブをアコーディオン状に折りたたみながら加熱処理し、熱融着による固着点を形成させる方法などが好ましく例示される。例えば、特表2002−516932号公報に示された装置(市販のものでは、例えばStruto社製Struto設備など)などを使用するとよい。
かくして得られた繊維構造体において、密度が0.005〜0.035g/cm(より好ましくは0.005〜0.03g/cm)の範囲内であることが好ましい。前記密度がこの範囲よりも小さいと、十分な伸張回復率が得られないおそれがある。逆に、前記密度がこの範囲よりも大きいと、繊維構造体が重くなり軽量性が損なわれるおそれがある。
また、前記繊維構造体の目付けは、20〜500g/mの範囲内であることが好ましい。前記目付けがこの範囲よりも小さいと弾力性が損なわれるおそれがある。逆に、前記目付けがこの範囲よりも大きいと繊維構造体が重くなり軽量性が損なわれるおそれがある。繊維構造体の目付けは、スライスにより容易に調整することができる。
また、前記繊維構造体において、その厚さとしては、制限はないが、3〜50mmであることが好ましい。前記厚さが3mmよりも小さいと、弾力性が損われるおそれがある。逆に、前記厚さが50mmよりも大きいと、均一性が損われるおそれがある。繊維構造体の厚さは、スライスにより容易に調整することができる。
かかる繊維構造体には、前述のようにマトリックスとして用いられる非弾性捲縮短繊維は、潜在捲縮が加熱処理により発現してなるミクロクリンプを有しているため、あたかもバネのような構造を持つようになる。また、繊維同士が複雑に絡みあうため、ミクロクリンプを有さないマトリックス繊維を用いた従来の繊維構造体に比較して熱固着点の数が増加する。その結果、かかる繊維構造体は、弾力性、ソフト性、伸縮性、通気性に優れたものになる。
かかる繊維構造体には、撥水加工、防炎加工、難燃加工、マイナスイオン発生加工、金属蒸着など公知の機能加工が付加されていてもさしつかえない。
本考案の複合シートは、かかる繊維構造体に接着層を介して綿繊維を含む編物を貼りあわせたものである。その際、繊維構造体を、厚み方向に対してほぼ垂直(例えば図2の切断面6でスライス)、または、必要に応じてやや斜めにスライサー設備等によりスライスし、スライスされた切断面に接着層を介して綿繊維を含む編物を貼りあわせることが好ましい。(なお、図2において、符号5はウエブの山である。)その際、繊維構造体の厚さは、繊維構造体の用途によって適宜選定する。
また、図3に示すように、繊維構造体10の一方の面にだけに切断面9を形成し、接着層8を介して編物7を接着してもよいし、図4に示すように、繊維構造体14の表裏面に切断面13,15を形成し、接着層12,16を介して、編物11,17を接着してもよい。
このように、繊維構造体の切断面に編物を貼り合せることにより、繊維構造体の切断面が平坦なので、貼り合わせ後の編物表面も平坦になる。さらに、繊維が厚み方向に配列している場合は、繊維構造体に含まれる繊維と接着層、編物との摩擦も増加し貼り合わせが容易となる。
本考案において、接着層は、粉体又はシート状、ネット状等で、熱により初めて溶融接着されるホットメルトタイプの樹脂バインダーからなることが好ましい。樹脂バインダーの組成としては、ウレタン系、アクリル系等の樹脂でもよいが、リサイクル性の点より繊維構造体と同じ、ポリエステル系の接着剤または接着シートが好ましい。
貼り合せる編物は、樹脂バインダーより高い融点を有する繊維からなる編物が好ましいが、特に限定されない。
ここで、前記編物としては、緯編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が例示され、経編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフ編、ハーフベース編、サテン編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等などが例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。なかでも経編物が好ましい。なお、これら編物は常法により製造することができる。
また、前記編物には綿繊維(木綿)が含まれることが肝要である。編物に綿繊維が含まれない場合は、十分な吸水性が得られないおそれがあり好ましくない。
また、前記編物に綿繊維以外に他の繊維を含ませてもよい。
かかる他の繊維としては、複合繊維シートの伸縮性をさらに高める上で、ポリトリメチレンテレフタレート糸、仮撚捲縮加工糸、サイドバイサイド型複合繊維の潜在捲縮を発現させた捲縮繊維、特開平8−170254号公報や実用新案登録公報第2579024号に記載されたような、弾性繊維にポリエステル系繊維をカバリングしたカバリング糸などが好ましく例示される。
その際、前記弾性繊維としては、ポリウレタン弾性繊維、ポリエーテルエステル弾性繊維、ポリアミド弾性繊維などが例示される。
一方、ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどからなるポリエステル繊維が好ましい。なお、かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、バイオマスすなわち生物由来の物質を原材料として得られたモノマー成分を使用してなるポリエチレンテレフタレートであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。
ポリエステル繊維を形成するポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、艶消し剤、抗菌剤、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。例えば、ポリマー中に艶消し剤を含ませ、セミダルポリエステルまたはフルダルポリエステルとすると、織物に防透性や赤外線・紫外線遮蔽性を付加することができ好ましい。また、抗菌剤としては、天然系抗菌剤や無機系抗菌剤だけでなく、国際公開第2011/048888号パンフレットに記載されたような、エステル形成性スルホン酸金属塩化合物またはエステル形成性スルホン酸ホスホニウム塩化合物を共重合させたポリエステルに酸性処理を施したものでもよい。
前記ポリエステル繊維の形態としては、短繊維でもよいし長繊維(マルチフィラメント)でもよいが、ソフトな風合いを得る上で長繊維(マルチフィラメント)が好ましい。特に、前記繊維が、単糸繊度が1.5dtex以下(より好ましくは0.0001〜1.2dtex、特に好ましくは0.001〜0.9dtex)であると、ソフトな風合いが得られ好ましい。特に、フィラメント数が30本以上(より好ましくは70〜200本)、総繊度が30〜200dtex(より好ましくは30〜150dtex)のマルチフィラメントであると、さらに優れたソフトな風合いが得られ好ましい。単糸繊維径が1μm以下の、ナノファイバーと称される超極細繊維であってもよい。
前記ポリエステル繊維の単繊維横断面形状は特に限定されず、丸だけでなく、三角、扁平、国際公開第2008/001920号パンフレットに記載されたようなくびれ付き扁平、中空など異型断面形状などでもよい。
前記編物を製造する方法としては、常法による方法でもよいが、特許第4570684号公報に記載された伸縮性布帛の製造方法を用いることも好ましい。すなわち、この伸縮性布帛の製造方法は、「経編により形成され、経方向が緯方向より伸縮性が高い布帛に対して、前記緯方向が縮まないようにテンションをかけて所定温度範囲の加熱処理を施すことにより幅出しする幅出工程と、前記幅出工程において幅出しされた前記布帛に対して、前記幅出工程における加熱処理の温度より低い温度に加熱された液体に浸漬して、前記経方向に収縮させる浸漬工程と、前記浸漬工程における浸漬した前記布帛を、当該布帛に含まれる水分率が所定値以上となる状態を保ちながら、前記緯方向にテンションをかけて拡布する拡布工程と、前記拡布工程において拡布された前記布帛を、前記緯方向にテンションをかけずに、前記経方向に搬送して、前記幅出工程における加熱処理の温度より低い温度で加熱処理を施すことにより乾燥させる乾燥工程と前記乾燥工程により乾燥させた前記布帛を、複数枚重ねるとともに、前記各布帛の緯方向の端部が揃えられた状態で裁断する裁断工程とを備えることを特徴とする伸縮性布帛の製造方法」である。
かかる編物(布帛)において、引張り強さは、経方向150〜180N、緯方向135〜165N、伸び率は、経方向145〜165%、緯方向60〜80%であることが好ましい。
繊維構造体に編物を貼り合せる方法としては、下記の方法が例示される。例えば、繊維構造体の片面または両面に、編物を接着させるためのホットメルトタイプの樹脂バインダーを、繊維構造体と編物の間に挟む。そして、樹脂バインダーが挟まれたものを加熱して、樹脂バインダーを溶かし、繊維構造体と編物を接着して複合繊維シートを得る。その際、繊維構造体と編物との接着をシート状で接着する、いわゆるラミネート方式でも良いし、3次元成型物を作製する際に、重ね合せ接合しても良い。
かかる複合繊維シートには、通常の染色加工や起毛加工が施されていてもよい。さらには、撥水加工、防炎加工、難燃加工、マイナスイオン発生加工など公知の機能加工が付加されていてもさしつかえない。
かくして得られた複合繊維シートは、弾力性、ソフト性、伸縮性、通気性、吸水性(吸汗性)に優れる。
次に、本考案の衣料は、前記の複合繊維シートを含む衣料である。かかる衣料には、ブラジャー、ロングラインブラジャー、ボデイスーツ、スリーインワン、ブラテデイ、ブラキャミソール、ブラスリップ、ビスチェ等の下着類や、レオタード、水着、イブニングドレス、ビスチェタイプ等のアウターウエアー類の、乳房を覆うためのカップ(乳房用カップ)を有する女性用衣類が含まれる。かかる衣料において、前記の複合繊維シートを用いて乳房用カップを構成すると、弾力性、ソフト性、伸縮性、通気性、吸水性に優れ好ましい。
次に、本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)融点
DuPont社製
熱示差分析計990型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークをもとめた。融解温度が明確に観測されない場合には、微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)を融点とする。なお、n数5でその平均値を求めた。
(2)固有粘度
オルトクロルフェノールを溶媒として35℃で測定した。なお、n数5でその平均値を求めた。
(3)ミクロクリンプ、捲縮数
JIS L 1015 7.12に記載の方法により測定した。なお、n数5でその平均値を求めた。
(4)T/W
繊維構造体を厚さ方向に切断し、その断面において、厚さ方向に対して平行に配列されている、熱接着性複合短繊維Aおよびマトリックス繊維(非弾性捲縮短繊維)B(図1において0°≦θ≦45°)の総本数を(T)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている熱接着性複合短繊維Aおよびマトリックス繊維B(図1において45°<θ≦90°)の総本数をWとしてT/Wを算出した。なお、本数の測定は、任意の10ヶ所について各々30本の繊維を透過型光学顕微鏡で観察し、その数を数えた。
(5)密度、硬さ
JIS K−6401により測定した。なお、n数5でその平均値を求めた。
[実施例1]
融点154℃の熱可塑性ポリエーテルエステル型エラストマーを鞘成分に用い、融点230℃ポリブチレンテレフタレートを芯成分に用いた単糸繊度6.6dtex、繊維長51mmの芯/鞘型熱接着性複合短繊維(芯/鞘比=60/40:重量比)を得た。
また、マトリックス繊維として、高粘度側ポリエステルとして固有粘度が0.65のポリエチレンテレフタレート(融点256℃)、低粘度側ポリエステルとして固有粘度が0.45のポリエチレンテレフタレート(融点256℃)を用いて(固有粘度差0.20)、重量比50/50となるように、常法によりサイドバイサイド型複合繊維糸を紡糸した。このサイドバイサイド型複合繊維糸を約2倍に延伸し表面処理剤(油剤)を付与したのち、通常のクリンパー装置を用いて機械捲縮を10個/25mm付与し、さらに51mmに切断し、マトリックス繊維Bとして、単糸繊度5.0dtexの潜在捲縮性能を有する非弾性捲縮短繊維を得た。
次いで、前記熱接着性複合短繊維50%(重量)と、前記マトリックス繊維50%(重量)とを混綿し、ローラーカード、クロスレイ、ローラーカードの順に通し、次にStruto社製Struto設備を使用し、図2のようにウエブをヒダ折りし大部分の繊維を厚み方向に配列(T/W=4.7)させた後、温度200℃の熱処理炉にて繊維間を熱接着処理することで繊維構造体(T/W=3.9、目付450g/m、厚み30mm、密度0.015g/cm
)を得た。次に、表面側及び裏面側を厚み3mmスライスし、次いで中央をスライスし厚み5mmのシート状物を作製した。スライス後のこのシート状物の目付は75g/mであった。
一方、ポリウレタン系繊維にポリエステル系繊維をカバリングしたカバリング糸と、綿繊維とを用いて、特許第4570684号公報に記載されたように、経編物(包帯生地)を得た。すなわち、経編により形成され、経方向が緯方向より伸縮性が高い布帛に対して、前記緯方向が縮まないようにテンションをかけて所定温度範囲の加熱処理を施すことにより幅出しする幅出工程と、前記幅出工程において幅出しされた前記布帛に対して、前記幅出工程における加熱処理の温度より低い温度に加熱された液体に浸漬して、前記経方向に収縮させる浸漬工程と、前記浸漬工程における浸漬した前記布帛を、当該布帛に含まれる水分率が所定値以上となる状態を保ちながら、前記緯方向にテンションをかけて拡布する拡布工程と、前記拡布工程において拡布された前記布帛を、前記緯方向にテンションをかけずに、前記経方向に搬送して、前記幅出工程における加熱処理の温度より低い温度で加熱処理を施すことにより乾燥させる乾燥工程と前記乾燥工程により乾燥させた前記布帛を、複数枚重ねるとともに、前記各布帛の緯方向の端部が揃えられた状態で裁断する裁断工程とを備えた製造方法である。
かかる経編物において、引張り強さは経方向165.4N、緯方向150N、伸び率は経方向156.3%、緯方向69.3%であった。
前記経編物を表地および裏地として使い、それぞれをポリエステル系のネット状熱接着溶融シート[東洋紡績社製、ダイナックシート G―4000(商標名)]とともに積層させ、温度160℃にてラミネート接着をし、表裏地が接着された複合繊維シートを得た。そして、前記複合繊維シートを、熱成型カップ金型に投入し、200℃にて30秒間、熱成型を施し、湾曲した乳房用カップ形状を有するカップ材を作製した。
前記カップ材(複合繊維シート)は、弾力性、ソフト性、伸縮性、通気性、吸水性に優れたものであった。次いで、前記カップ材を用いて図5に示すようなブラジャー(衣料)を得て、試験者が着用したところ、弾力性、ソフト性、伸縮性、通気性、吸水性に優れ、着用快適性に優れていた。また、洗濯耐久性にも優れていた。なお、図5において、符号18はカップ材、符号19は伸縮性布帛を用いた背部である。
[比較例1]
実施例1において、マトリックス繊維として、異方冷却により立体捲縮を有する単糸繊度13.3dtex、繊維長64mmの中空ポリエチレンテレフタレート繊維を用いること以外は実施例1と同様にした。(なお、この場合の5mmにスライスされた繊維構造体の目付は75g/mであった。)
得られたカップ材(複合繊維シート)は、弾力性、ソフト性、伸縮性の点で、実施例1で得られたものより劣るものであった。
本考案によれば、弾力性、ソフト性、伸縮性、通気性、吸水性に優れた複合繊維シートおよび該複合繊維シートを用いてなる衣料が得られ、その工業的価値は極めて大である。
1 :熱接着性複合短繊維またはマトリックス繊維(非弾性捲縮短繊維)
2 :繊維構造体の厚さ方向
3 :熱接着性複合短繊維またはマトリックス繊維(非弾性捲縮短繊維)の配列方向
4 :繊維構造体
5 :ウエブの山
6 :スライスされる面
7 :編物
8 :接着層
9 :切断面
10:繊維構造体
11:編物
12:接着層
13:切断面
14:繊維構造体
15:切断面
16:接着層
17:編物
18:カップ材
19:伸縮性布帛を用いた背部

Claims (7)

  1. 固有粘度において互いに異なる2種のポリエステルからなり、潜在捲縮が発現してなるミクロクリンプを有する非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で90/10〜10/90となるように混綿され、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および/または該熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなる繊維構造体に、
    接着層を介して綿繊維を含む編物が貼りあわされてなることを特徴とする複合繊維シート。
  2. 前記非弾性捲縮短繊維と前記熱接着性複合短繊維とが繊維構造体の厚さ方向に配列している、請求項1に記載の複合繊維シート。
  3. 前記繊維構造体において、接着層と接する面が切断面である、請求項1または請求項2に記載の複合繊維シート。
  4. 前記編物が経編物である、請求項1〜3のいずれかに記載の複合繊維シート。
  5. 前記編物に、弾性繊維にポリエステル系繊維をカバリングしたカバリング糸が含まれる、請求項1〜4のいずれかに記載の複合繊維シート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合繊維シートを含む衣料。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合繊維シートを用いてなる乳房用カップを含む、請求項6に記載の衣料。
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