JP2014080673A - スプラッシュ飛散抑制方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融めっきのワイピング工程において、スプラッシュの飛散抑制策として有効に機能するスプラッシュ飛散抑制方法と同装置を提供する。
【解決手段】めっき浴に浸漬して引き上げためっき鋼板に、ワイピングノズルからワイピングガスを吹き付けて、めっき付着量を調整する際に発生する未凝固めっき金属のスプラッシュの飛散を抑制する方法において、(a)めっき鋼板の幅方向端面の外側で、かつ、ワイピングノズルより下流側に、サイドノズルを配置し、(b)上記サイドノズルから、ワイピングガスのガス−ガス衝突域のガス乱れに、気体を吹き付けることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、溶融めっきのワイピング工程において、未凝固めっき金属のスプラッシュの飛散を抑制する方法及び装置に関するものである。
通常、溶融めっきにおいては、めっき浴に浸漬して垂直に引き上げた鋼板の両面に、引き上げ直後、一対のワイピングノズルから気体(不活性ガス、空気等)を吹き付けて、未凝固のめっき金属を除去し、鋼板面におけるめっき付着量を調節する。
このとき、鋼板端部に付着している未凝固のめっき金属が、鋼板端部からスプラッシュとなって飛散し、ワイピングノズルや、周辺機器、さらに、鋼板のめっき面に付着する。
ワイピングノズルに付着すると、ノズル径が縮小する。さらに、付着が進行すると、ノズルが閉塞する。周辺機器に付着すると、付着部で腐食することがある。鋼板のめっき面に付着し、そのまま凝固すると、めっき面の寸法や外観が損なわれる。
それ故、これまで、スプラッシュの飛散及び/又は付着を防止又は抑制する方法や装置が、種々提案されている(例えば、特許文献1〜9、参照)。
特許文献1の方法は、めっき鋼板の外側に設けたノズルから気体を、鋼板端面に沿って下方に噴射して、鋼板端部から飛散するスプラッシュを下方に吹き飛ばし、鋼板めっき面及び周辺機器への付着を抑制するものである。しかし、特許文献1の方法は、飛散したスプラッシュに気体を吹き付けて、さらに、スプラッシュを飛散させることにもなるので、スプラッシュの付着防止策として、必ずしも有効に機能しない。
特許文献2〜7の方法は、ワイピングノズルから吹き出す気体の吹出し角度、方向、流速、圧力等を調整して、スプラッシュの飛散を抑制するものである。しかし、ワイピングノズルから、めっき付着量の調整のために吹き出す気体だけで、スプラッシュの飛散を抑制することは困難である。
近年、溶融めっきにおいては、めっき速度の高速化に伴い、めっき液の持ち上げ量が増大し、また、めっき付着量の低減を図るため、ワイピングガスの吹付け圧が高圧化する傾向にあり、スプラッシュ対策が重要な課題となっている。それ故、溶融めっきのワイピング工程において、スプラッシュの飛散及び/又は付着に対して有効に機能する抑制又は防止策が求められている。
特開平07−331404号公報 特開平10−306359号公報 特開2003−321756号公報 特開2003−321757号公報 特開2005−060807号公報 特開2006−328487号公報 特開2007−031805号公報 特開2008−095129号公報 特開2009−167455号公報
本発明は、上記要望に鑑み、溶融めっきのワイピング工程において、スプラッシュの飛散を抑制することを課題とし、該課題を解決するスプラッシュ飛散抑制方法と同装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、未凝固めっき金属のスプラッシュが、ワイピングノズルの位置より下(上流)側の鋼板端部の液膜膨らみ部から発生していることに着目し、スプラッシュの飛散現象を定量的に解析した。その結果、スプラッシュは、ワイピングガスのガス−ガス衝突域のガス乱れに起因していることを突き止め、ガス乱れに気体を吹き付けて整流化することで、スプラッシュの飛散を抑制できることを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)めっき浴に浸漬して引き上げためっき鋼板に、ワイピングノズルからワイピングガスを吹き付けて、めっき付着量を調整する際に発生する未凝固めっき金属のスプラッシュの飛散を抑制する方法において、
(a)めっき鋼板の幅方向端面の外側で、かつ、ワイピングノズルより下流側に、サイドノズルを配置し、
(b)上記サイドノズルから、ワイピングガスのガス−ガス衝突域のガス乱れに、気体を吹き付ける
ことを特徴とするスプラッシュ飛散抑制方法。
(2)前記鋼板の幅方向端面の外側に、鋼板と並行にガス遮蔽板を配置することを特徴とする前記(1)に記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
(3)前記サイドノズルの先端とワイピングノズルの吹出口の間隔hが5〜200mmであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
(4)前記サイドノズルのめっき鋼板端部に対する傾斜角βが0〜45°であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
(5)前記サイドノズル端部とめっき鋼板端部の間隔jが0〜50mmであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
(6)前記サイドノズルを、めっき鋼板の幅方向端面の外側それぞれに複数本配置することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
(7)前記気体が空気又は不活性ガスであることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
(8)前記鋼板の幅方向端面とガス遮蔽板の間隔eが0〜50mm、ワイピングノズルの吹出口からガス遮蔽板の下面への距離fが0.5〜300mm、ワイピングノズルの吹出口からガス遮蔽板の上面への距離gが0.5〜500mmであることを特徴とする前記(2)〜(7)のいずれかに記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
(9)前記ガス遮蔽板の厚みtが1.0〜50.0mmであることを特徴とする前記(2)〜(8)のいずれかに記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
(10)めっき浴に浸漬して引き上げためっき鋼板に、ワイピングノズルから気体を吹き付けて、めっき付着量を調整する溶融めっきのワイピングにおいてスプラッシュの飛散を抑制する装置であって、
めっき鋼板の幅方向端面の外側で、かつ、ワイピングノズルより下流側に、ワイピングガスのガス−ガス衝突域のガス乱れに、気体を吹き付けるサイドノズルを備える
ことを特徴とするスプラッシュ飛散抑制装置。
(11)前記鋼板の幅方向端面の外側に、鋼板と並行にガス遮蔽板を備えることを特徴とする前記(10)に記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
(12)前記サイドノズルの先端とワイピングノズルの吹出口の間隔hが5〜50mmであることを特徴とする前記(10)又は(11)に記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
(13)前記サイドノズルのめっき鋼板端部に対する傾斜角βが0〜45°であることを特徴とする前記(10)〜(12)のいずれかに記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
(14)前記サイドノズル端部とめっき鋼板端部の間隔jが0〜50mmであることを特徴とする前記(10)〜(13)のいずれかに記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
(15)前記サイドノズルが、めっき鋼板の幅方向端面の外側それぞれに複数本配置されていることを特徴とする前記(10)〜(14)のいずれかに記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
(16)前記鋼板の幅方向端面とガス遮蔽板の間隔eが0〜50mm、ワイピングノズルの吹出口からガス遮蔽板の下面への距離fが0.5〜300mm、ワイピングノズルの吹出口からガス遮蔽板の上面への距離gが0.5〜500mmであることを特徴とする前記(11)〜(15)のいずれかに記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
(17)前記ガス遮蔽板の厚みtが1.0〜50.0mmであることを特徴とする前記(11)〜(16)のいずれかに記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
(18)前記気体が空気又は不活性ガスであることを特徴とする前記(10)〜(17)のいずれかに記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
本発明によれば、溶融めっきのワイピング工程において、未凝固めっき金属のスプラッシュの飛散を著しく抑制することができる。
めっき鋼板から1mm位置における鋼板最端部の動圧分布を示す図である。 ワイピングノズルとサイドノズルの配置を模式的に示す図である。(a)は、基本配置を示し、(b)は、基本配置にガス遮蔽板を加えた配置を示す。 ワイピングノズルとサイドノズルの配置の正面態様を示す図である。 ワイピングノズルとサイドノズルの配置の側面態様を示す図である。 図4に示す側面態様において、w=0の場合の側面態様を示す図である。 ワイピングノズル、サイドノズル、及び、ガス遮蔽板の配置の正面態様を示す図である。
本発明について、図面に基づいて説明する。
スプラッシュは、めっき鋼板端部付近で、ワイピンノズルから吹き出す気体(以下「ワイピング気体」ということがある。)が衝突することにより、めっき鋼板の外側に向かう気体流が発生し、該気体流が、めっき鋼板端部の未凝固めっき金属を吹き飛ばすことが一因で発生する。
そして、スプラッシュの飛散は、めっき速度の高速化によるめっき液の持ち上げ量の増大、また、めっき付着量の低減を図るための吹付け圧の高圧化に伴い激しくなる。
特許文献1の方法は、前述したように、めっき鋼板の外側に設けたノズルから、気体を鋼板端面に沿って下方に噴射して、めっき鋼板の外側に飛散するスプラッシュを下方に吹き飛ばし、鋼板めっき面及び周辺機器への付着を抑制しようとするものである。
しかし、本発明者らの検証実験によれば、下方への気体の噴射は、必ずしも有効に機能しないことが解った。
図1に、150mpmで引き上げるめっき鋼板に、ワイピング気体を噴きつけて、めっき鋼板から1mmの鋼板最端部における動圧分布を測定する検証実験の結果を示す。動圧分布は、ワイピングノズル1の吹出口2より10mm下で2000Pa程度であり、30mm下で500Pa程度である。ワイピングノズル1の吹出口2より50mm以上では、ほとんど零である。
そして、検証実験の結果より、図1に示すように、ワイピングノズル1の上流側には、吹出口2の直下から、めっき鋼板3の表面に沿って下降し、吹出口2より100mm近辺(動圧≒0)から上昇に転じる渦流(図中、矢印、参照。以下「ワイピング渦流」ということがある。)が形成されていることが判明した。このことが、本発明の基礎をなす知見である。
即ち、めっき鋼板の端部から飛散したスプラッシュは、上記渦流の上昇流に乗り、ワイピングノズル1及びワイピングノズルの底面(その位置を、図中、6で示す。)に達して凝固する。
図1に示す動圧分布においては、めっき鋼板3の表面に、めっき液持ち上げ現象で、液膜膨らみ部4が、吹出口2から70mm以上離れた上流側に形成されている。
スプラッシュの飛散は液膜膨らみ部4で発生していると考えられていたが、図1に示す動圧分布によれば、液膜膨らみ部4は、ワイピング渦流が上昇流に反転する位置の近傍に存在するので、液膜膨らみ部4の未凝固めっき金属がワイピング渦流の上昇流(反転流)に乗ってスプラッシュとなり、ワイピングノズル1及びワイピングノズル1の底面に達することは極めて少ないと考えられる。
液膜膨らみ部4の位置を、吹出口2から70mm以上離れた上流側に維持するためには、40〜50m/秒の風速(動圧で1000〜1600Pa)が必要である。この風速を、吹出口2から吹き出す気体(ワイピング気体)で担うことは現実的でない。
実際に、液膜膨らみ部は、吹出口より下30mm以内にあり、ワイピングノズルの底面(図1において、吹出口より下50mmのところ)より上側(下流側)に位置する。液膜膨らみ部から、スプラッシュが上側(下流側)に飛散することは考え難いが、水平方向に飛散することは当然に考えられる。
液膜膨らみ部から水平方向に飛散するスプラッシュが、ワイピング渦流の上昇流(反転流)に乗れば、ワイピングノズル及びワイピングノズルの底面に付着する。
本発明者らは、めっき鋼板の引上げ速度の高速化に伴い、液膜膨らみ部が、吹出口より下30mm以内(吹出口とワイピングズル底面の間)に存在することに着目し、スプラッシュの飛散抑制策を鋭意検討した。
その結果、めっき鋼板の幅方向端面の外側で、かつ、ワイピングノズルより下流側にサイドノズルを配置し、該サイドノズルから、ワイピングガスが衝突する域(以下「ガス−ガス衝突域」ということがある。)のガス乱れに、直接、気体を吹き付けると、スプラッシュの飛散を著しく抑制できることを見いだした。この点が、本発明の基礎をなす知見である。
図2に、ワイピングノズルとサイドノズルの配置を模式的に示す。図2(a)に、基本配置を示す。図2(b)に、ガス遮蔽板(エッジマスク)をめっき鋼板の端部側に配置した態様を示す。なお、図2(b)では、ガス遮蔽板(エッジマスク)を、めっき鋼板の一方の端部側に配置した配置態様を示したが、通常、めっき鋼板の端部の両側に配置する。詳細は後述する。
矢印方向に上昇するめっき鋼板3の幅方向端面の外側で、かつ、ワイピングノズル1より下流側にサイドノズル7を配置し、サイドノズル7の先端7aから、ガス−ガス衝突域のガス乱れに、直接、気体を吹き付けると、スプラッシュの飛散を著しく抑制することができる。
なお、図2では、サイドノズルを、めっき鋼板3の幅方向端面側に2個配置する態様を示したが、サイドノズルは、めっき鋼板3に平行に1個配置してもよいし、また、3個以上配置してもよい。
特許文献1の方法は、前述したように、めっき鋼板の外側に設けたノズルから、気体を鋼板端面に沿って下方に噴射して、めっき鋼板の外側に飛散するスプラッシュを下方に吹き飛ばし、鋼板めっき面及び周辺機器への付着を抑制しようとするものである。
これに対し、本発明は、サイドノズルを、めっき鋼板の幅方向端面側に配置する点で共通するが、図2(a)及び(b)に示すように、サイドノズル7から、ガス−ガス衝突域のガス乱れに、直接、気体を吹き付ける点で、特許文献1の方法とは、基本的に技術思想が相違する。以下、詳細に説明する。
図3に、ワイピングノズルとサイドノズルの配置の正面態様を示す。図3に示すように、サイドノズル7を、(a)先端7aが、めっき鋼板の端部と間隔jを保ち、ワイピングノズル1の吹出口2の上方hに位置するように、かつ、(b)めっき鋼板3の端部に対し傾斜角βをなすように配置し、サイドノズル7の先端7aから、ガス−ガス衝突域のガス乱れに、直接、気体を吹き付ける。
この気体吹付けにより、ガス−ガス衝突域のガス乱れを整流化し、スプラッシュの飛散を顕著に抑制することができる。
上記間隔jは0超〜50mmが好ましい。jが50mmを超えると、サイドノズルがめっき鋼板から離れすぎて、気体を、ガス−ガス衝突域のガス乱れに適確に吹き付けることができず、スプラッシュ飛散抑制効果が低下する。jは小さいほど好ましいので、0mm超とする。
上記上方hは5〜200mmが好ましい。hが5mm未満であると、ワイピングノズルの先端が吹出口と近接しすぎて、スプラッシュ飛散抑制効果が低下する。hが200mmを超えると、サイドノズルから吹き付けるガスの流速が、ガス−ガス衝突域に達する前に著しく低下し、整流化効果が得られず、スプラッシュ飛散抑制効果が発現しない。
サイドノズルのめっき鋼板端部に対する傾斜角βは0〜45°が好ましい。βが45°を超えると、ワイピングによるめっき付着量の調整を阻害する恐れがある。βは、サイドノズルから吹き付ける気体が、適確にガス−ガス衝突域に達する限り、0°(めっき鋼板端部に対し平行)でもよい。
図3には、めっき鋼板の幅方向端面の外側に、1本のサイドノズルを配置する態様を模式的に示したが、サイドノズルは、ワイピングによるめっき付着量の調整を阻害せず、スプラッシュ飛散抑制効果を高めることができる範囲で、めっき鋼板の幅方向端面の外側に、複数本配置してもよい。
複数本のサイドノズル全部がh及びβの好ましい範囲を満たすことが好ましいが、周辺機器との位置関係で難しい場合、少なくとも一本のサイドノズル(主サイドノズル)は、h及びβの好ましい範囲を満たす必要がある。
図4に、ワイピングノズルとサイドノズルの配置の側面態様を示す。サイドノズル7が、めっき鋼板の幅方向端面の外側に、2本配置されている。めっき鋼板3とサイドノズル7の間隔wは0〜50mmとする。好ましくは5〜50mmである。
サイドノズル7は、めっき鋼板の幅方向端面の外側に配置するので、スプラッシュ飛散抑制効果を高めるため、サイドノズル7を、めっき鋼板3の幅方向延長面に接近させて配置することができる。それ故、めっき鋼板3(の幅方向の延長面)とサイドノズル7の間隔wは0以上とする。
図5に、図4に示す側面態様において、w=0の場合の側面態様を示す。w=0の場合、ガス−ガス衝突域のガス乱れに、直上から気体を吹き付けることになるので、スプラッシュ飛散抑制効果が最大化する。
ただし、wが0超〜5mm未満であると、めっき鋼板3とサイドノズル7が接近しすぎて、サイドノズルの保守・点検が難しくなる。wが50mmを超えると、サイドノズルから吹き出す気体がガス−ガス衝突域に達するまでに流速が下がり、整流化効果が低下し、スプラッシュ飛散抑制効果が発現しない。
サイドノズルのめっき鋼板に対する傾斜角αは0〜45°が好ましい。αが45°を超えると、ワイピングによるめっき付着量の調整を阻害する恐れがある。サイドノズルは、めっき鋼板に対し平行に配置してもよいので、傾斜角αは0°以上である。なお、w=0の場合、α=0°である。
サイドノズルから吹き出す気体は、ワイピングガスと合流するので、ワイピングガスと同一又は同種のものが好ましい。特に、空気や、不活性ガスが好ましい。
なお、サイドノズルの吹出口の形状は、所要のスプラッシュ飛散抑制効果を確保できる限り、どのような形状のものでもよく、特定の形状に限定されない。
図2(b)に、ガス遮蔽板(エッジマスク)をめっき鋼板の幅方向端面の外側に配置した態様を示したが、ガス遮蔽板をめっき鋼板の幅方向端面の外側に、サイドノズルとともに設置すると、ワイピングガスのガス−ガス衝突域のガス乱れが緩和されて、サイドノズルから吹き出す気体による整流化効果が向上し、スプラッシュ飛散抑制効果が向上する。
図6に、ワイピングノズル、サイドノズル、及び、ガス遮蔽板の配置の正面態様を示す。ガス遮蔽板8がめっき鋼板3の幅方向端面の外側に存在すると、物理的に、ワイピングガスのガス−ガス衝突を抑制するので、サイドノズルから吹き出す気体によって制御すべきガス乱れの範囲を小さくすることができる。これにより、サイドノズルから吹き出す気体による整流化効果が向上して、スプラッシュ飛散抑制効果がより向上する。
めっき鋼板とガス遮蔽板の距離eは0超〜50mmが好ましい。eが50mmを超えると、ガス−ガス衝突域のガス乱れが拡大して、整流化効果が得られず、スプラッシュ飛散抑制効果が発現しない。
ガス遮蔽板は、ワイピングノズル1の吹出口2から下(上流側)の高さfを、好ましくは0.5mm以上とし、同じく上(下流側)の高さgを、好ましくは0.5mm以上として設置する。
ガス遮蔽板の厚みtは、ガス遮蔽板の強度を確保するため、1〜50mmが好ましい。1mm未満では、ガス遮蔽板の強度を確保するのが難しい。50mm超では、ワイピングノズルとワイピングノズルの間隔を大きくせざるを得ず、その結果、スプラッシュの飛散抑制効果が低下する。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
通板速度150mpmで溶融亜鉛めっきを行う実機ラインで、サイドノズル1本(両側で2本)を配置し、ガス−ガス衝突域のガス乱れに、サイドノズルから、気体を、ワイピングガスのガス流速以上のガス流速で吹き付けた。スプラッシュの飛散状況を、目視とカメラで観察した。吹付け条件と観察結果を、表1中、実施例1〜6に示す。
通板速度150mpmで溶融亜鉛めっきを行う実機ラインで、サイドノズル1本(両側で2本)を配置し、さらに、ガス遮蔽板(エッジプレート)を設置し、ガス−ガス衝突域のガス乱れに、サイドノズルから、気体を、ワイピングガスのガス流速以上のガス流速で吹き付けた。スプラッシュの飛散状況を、目視とカメラで観察した。吹付け条件と観察結果を、表1中、実施例7〜14に示す。
Figure 2014080673
実施例1〜3、及び、5〜12では、スプラッシュ飛散抑制効果が顕著に発現している。実施例4では、j(=60mm)>50mmであるので、スプラッシュ抑制効果が小さい。実施例13では、e(=70mm)>50mmであるので、スプラッシュ飛散抑制効果が小さい。実施例14では、h(=250mm)>200mm、j(=70mm)>50mm、e(=70mm)>50mmであるので、スプラッシュ飛散抑制効果が小さい。
前述したように、本発明によれば、溶融めっきのワイピング工程において、スプラッシュの飛散を著しく抑制することができる。よって、本発明は、めっき産業において利用可能性が高いものである。
1 ワイピングノズル
2 吹出口
3 めっき鋼板
3a ステンレス鋼板
4 液膜膨らみ部
4a 液膜膨らみ部の先端域
5 風速40〜50m/秒の領域
6 ワイピングノズルの底面の位置
7 サイドノズル
7a サイドノズルの先端
8 ガス遮蔽板(エッジマスク)

Claims (18)

  1. めっき浴に浸漬して引き上げためっき鋼板に、ワイピングノズルからワイピングガスを吹き付けて、めっき付着量を調整する際に発生する未凝固めっき金属のスプラッシュの飛散を抑制する方法において、
    (a)めっき鋼板の幅方向端面の外側で、かつ、ワイピングノズルより下流側に、サイドノズルを配置し、
    (b)上記サイドノズルから、ワイピングガスのガス−ガス衝突域のガス乱れに、気体を吹き付ける
    ことを特徴とするスプラッシュ飛散抑制方法。
  2. 前記鋼板の幅方向端面の外側に、鋼板と並行にガス遮蔽板を配置することを特徴とする請求項1に記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
  3. 前記サイドノズルの先端とワイピングノズルの吹出口の間隔hが5〜200mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
  4. 前記サイドノズルのめっき鋼板端部に対する傾斜角βが0〜45°であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
  5. 前記サイドノズル端部とめっき鋼板端部の間隔jが0〜50mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
  6. 前記サイドノズルを、めっき鋼板の幅方向端面の外側それぞれに複数本配置することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
  7. 前記気体が空気又は不活性ガスであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
  8. 前記鋼板の幅方向端面とガス遮蔽板の間隔eが0〜50mm、ワイピングノズルの吹出口からガス遮蔽板の下面への距離fが0.5〜300mm、ワイピングノズルの吹出口からガス遮蔽板の上面への距離gが0.5〜500mmであることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
  9. 前記ガス遮蔽板の厚みtが1.0〜50.0mmであることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載のスプラッシュ飛散抑制方法。
  10. めっき浴に浸漬して引き上げためっき鋼板に、ワイピングノズルから気体を吹き付けて、めっき付着量を調整する溶融めっきのワイピングにおいてスプラッシュの飛散を抑制する装置であって、
    めっき鋼板の幅方向端面の外側で、かつ、ワイピングノズルより下流側に、ワイピングガスのガス−ガス衝突域のガス乱れに、気体を吹き付けるサイドノズルを備える
    ことを特徴とするスプラッシュ飛散抑制装置。
  11. 前記鋼板の幅方向端面の外側に、鋼板と並行にガス遮蔽板を備えることを特徴とする請求項10に記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
  12. 前記サイドノズルの先端とワイピングノズルの吹出口の間隔hが5〜200mmであることを特徴とする請求項10又は11に記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
  13. 前記サイドノズルのめっき鋼板端部に対する傾斜角βが0〜45°であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
  14. 前記サイドノズル端部とめっき鋼板端部の間隔jが0〜50mmであることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
  15. 前記サイドノズルが、めっき鋼板の幅方向端面の外側それぞれに複数本配置されていることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
  16. 前記鋼板の幅方向端面とガス遮蔽板の間隔eが0〜50mm、ワイピングノズルの吹出口からガス遮蔽板の下面への距離fが0.5〜300mm、ワイピングノズルの吹出口からガス遮蔽板の上面への距離gが0.5〜500mmであることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
  17. 前記ガス遮蔽板の厚みtが1.0〜50.0mmであることを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
  18. 前記気体が空気又は不活性ガスであることを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載のスプラッシュ飛散抑制装置。
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