JP6094362B2 - 溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置およびワイピング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属めっき鋼帯の製造方法に関連し、ガスワイピングの際に発生するスプラッシュを低減できる溶融金属めっき鋼帯の製造方法に関するものである。
溶融金属めっき鋼帯は、溶融金属中を通過後、ガスワイピング装置にて所定の目付量に制御される。ガスワイピング装置は、溶融金属中を通過した鋼帯に余剰に付着している溶融金属を吹き飛ばす。このガスワイピングによって表裏から掻き落とされた溶融金属の一部は、鋼帯から引きちぎれ、液滴的となり周囲に飛散する。この液滴をスプラッシュと呼ぶ。スプラッシュは、鋼帯に付着することにより疵を発生し、また、ワイピングノズルを詰まらせるなど操業に悪影響を与える。鋼帯に疵が発生するとめっき鋼帯の歩留まりが悪化し、ノズル詰まりは操業者によるノズル清掃といった作業負荷を増すという問題がある。
昨今、海外の安価な溶融金属めっき鋼帯と対抗するため、溶融金属めっき鋼帯の高速製造への取り組みが加速し、めっき鋼帯の競争力強化を目指した製造がおこなわれている。
一般的に通板速度を高速化すると、非特許文献1に記載されているが、鋼帯に持ち上げられる液膜量が増加する。高速化しても目付量を一定にするために、ワイピングノズルと鋼帯との距離の近接化、ワイピングガス供給量の増大により、鋼帯表面へのワイピングガス衝突圧を増やす必要がある。しかし、ノズル鋼帯間の距離を近接させた場合、鋼帯のパスラインの変動や鋼帯振動によりワイピングノズルと鋼帯が接触し、これによって鋼帯の表面に疵がつく可能性が高まる。また、ワイピングガス衝突圧の上昇はスプラッシュ発生量を増大させるという問題がある。そのため、ノズル鋼帯間距離、ガス供給量をいずれも安定操業が可能な範囲内に調整して操業しているのが現状である。
この課題を解決するには、溶融金属浴からの持ち上げ液膜量を減らしワイピング位置における溶融金属掻き取り量を低減することにより、スプラッシュ発生の抑制に取り組む必要がある。
特許文献1に開示された電磁ガス複合ワイピング方法は、ガスワイピング領域の直下にリニアモーターによる電磁力を付加することで持ち上げ液膜量を削減した後、ガスワイピングで液膜を掻き取る手法である。この方法では、電磁力によって鋼帯上に進行方向と反対向きに働く力を増やし、液膜を掻き落とすことで、ガスワイピング直前の持ち上げ液膜量が減る。
特許文献2に開示された電磁ガス複合ワイピング方法も、ガスワイピング領域の直下にリニアモーターによる電磁力を付加することで持ち上げ液膜量を削減した後、ガスワイピングで液膜を掻き取る手法である。この方法も、特許文献1と同様に、電磁力によってガスワイピング直前の持ち上げ液膜量を削減し、スプラッシュ発生抑制を狙う。
特許文献3には、持ち上げ液膜量を低減する取り組みとして、溶融金属浴直上でピンチロールによる接触掻き取りを行い、その後噴流ガスにより最終液膜量までワイピングする技術が開示されている。
特許文献4には、溶融金属浴から引き上げられる鋼帯に密接するように多数の浮遊体を配置することで、持ち上げ液膜量を削減する技術が開示されている。
特許文献5には、溶融金属浴中に、鋼帯通板方向に形成される随伴流を抑制する溶融金属絞り部材を設置することで、溶融金属の持ち上げ液膜量を抑制する技術が開示されている。
特許文献6には、ワイピングノズル下部のノズル(以下、プレノズルと呼ぶ)を全幅に設置し、プレノズルによるワイピングで予め液膜を掻き取り、その後ワイピングノズル(以下、主ノズルと呼ぶ)で掻き取る手法、いわゆるガス二段ワイピングが開示されている。
特開平05−331610号公報 特開2009−167473号公報 特開昭62−205256号公報 特開2010−216010号公報 特開2010−144189号公報 特開平6−346211号公報 特開2000−219951号公報 特開2007−260161号公報 特開2007−197781号公報
D. A. White and J. A. Tallmadge; Chem. Eng. Sci., 20 (1965) p33
しかしながら、既存の持ち上げ液膜量を抑制して高速化を実現する技術には、4つの課題がある。第一は設備費が高額となる問題である。例えば、特許文献1では、リニアモーターを各設備に設置するため、設備費が高額となる。
第二は接触式掻き取りの場合、鋼帯に疵を与える可能性がある。特許文献3に開示された技術は、浴中ロールを浴上に出して鋼帯に接触させ、溶融金属を掻き取る手法であるが、この影響により鋼帯に疵を与える可能性がある。特許文献4に開示された技術は、浴上に浮遊物体を置き、鋼帯に接触させて溶融金属を掻き取る手法である。この技術では、ワイピングノズルによる掻き取りで下降する液膜の一部が固化して浮遊物体に接着した場合、固化した金属が連続的に鋼帯に疵を与える可能性がある。
第三は持ち上げ液膜掻き取り量の問題である。特許文献5に開示された技術では、非接触式の浴内構造物を使用するので、鋼帯へ疵を発生させるなどの影響はない。しかし、浴内構造物は非接触式のため持ち上げ液膜量の掻き取りが少なく、主ワイピング直前での持ち上げ液膜量を十分に削減できない。
第四は主ノズルとプレノズルとの間に生じる溶融金属溜まりである。特許文献6では主ノズル下部に予め液膜を削るプレノズルを設置して、主ノズルで掻き取る液膜量の低減に取り組んでいる。しかし、この技術では、プレノズルが鋼帯の全幅で液膜を掻き取るので、主ノズルによって掻き取られ、下降した液膜がプレノズルから噴射されるガスによってせき止められる。すなわち、主ノズルとプレノズルとの間に溶融金属溜まりが生じる。そして、プレノズルを通過した液膜は、この溶融金属溜まりによって一定の膜厚を持つ平衡膜厚まで成長し続けるため、プレノズルによる効果が徐々に低下する。よって、主ノズルでの掻き取り液膜量も増加するため、スプラッシュ発生の抑制には難がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、安価であり、疵の発生を抑制し、さらにスプラッシュ抑制に足る持ち上げ液膜掻き取り量を確保しつつ、また主ノズルとプレノズルとの間の溶融金属溜まりを低減することで、スプラッシュ発生を少なくとも主ワイピング領域に必要な程度抑制し、かつ目付均一性を得るワイピング装置及びワイピング方法の開発にある。
本発明者らは上記の課題認識のもと、持ち上げ液膜低減を実現し、かつ安価で疵を抑制できるワイピング装置の開発のため、実験および文献調査による検討を重ねた。その結果、持ち上げ液膜低減のためのプレワイピング装置には、非接触で安価、かつ操業障害が少なく制御性や安定性の良い現状ワイピングと同じ衝突噴流方式のワイピング装置を採用した。さらに、特許文献6のように全幅方向にガスワイピングを二段設置した場合、主ノズルとプレノズルとの間に溶融金属溜まりが現れるが、この課題は、鋼帯幅方向に堆積液膜を防止する逃げ道を作成することで解決できると考えた。さらに、幅方向に関しては、スプラッシュは鋼帯端部から発生するので、その鋼帯端部にプレワイピングを行い、持ち上げ液膜量を削減すればエッジスプラッシュを防止できると考えた。さらに、将来通板速度が更に高速化した場合、鋼帯センター部からもスプラッシュが発生する可能性がある。そのため、鋼帯幅方向にプレノズルを複数列にわたって配置し、かつ鋼帯幅方向に液膜が流れる逃げ道を設けることで、従来の電磁+ガス複合ワイピングと同等の効果を実現できることを検証でき、本発明の開発に至った。
本発明は以下の(1)〜(6)よりなる。
(1)溶融金属溜まりから引抜かれた鋼帯の両面に、ノズルからガスを吹き付けて付着金属の厚さを制御する溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置において、
ガスを鋼帯の全幅に噴射する主ノズルと、
前記主ノズルの上流側の鋼帯両面上にそれぞれ複数設置され、かつ、ガスを鋼帯の全幅の一部に噴射する複数のプレノズル噴射部分と、を備え
前記プレノズル噴射部分が鋼帯の幅方向に二列以上配置され、
前記プレノズル噴射部分が鋼帯の面上にV字型又は逆V字型に配置されていることを特徴とする、溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置。
(2)溶融金属溜まりから引抜かれた鋼帯の両面に、ノズルからガスを吹き付けて付着金属の厚さを制御する溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置において、
ガスを鋼帯の全幅に噴射する主ノズルと、
前記主ノズルの上流側の鋼帯両面上にそれぞれ複数設置され、かつ、ガスを鋼帯の全幅の一部に噴射する複数のプレノズル噴射部分と、を備え、
前記プレノズル噴射部分が鋼帯の幅方向に二列以上配置され、
前記プレノズル噴射部分が鋼帯の面上に千鳥配置されていることを特徴とする溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置。
(3)プレノズル噴射部分が鋼帯に関して面対称の位置に配置されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置。
(4)プレノズル噴射部分の位置が、鋼帯の一面と他面とで異なることを特徴とする(1)又は(2)に記載の溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置。
(5)鋼帯からプレノズル噴射部分までの距離が、鋼帯から主ノズルまでの距離よりも大きいことを特徴とする、(1)から(4)の何れか1項に記載の溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置。
(6)(1)〜(5)の何れか1項に記載のガスワイピング装置を用いて、溶融金属めっき鋼帯のガスワイピングを行うことを特徴とする溶融金属めっき鋼帯のワイピング方法。
本発明では、主ノズル上流に設置された複数のプレノズル噴射部分による液膜掻き取りにより、鋼帯幅が変わっても、プレノズル噴射部分の配置、個数等を調整することで、主ノズルで掻き落とされる余剰の持ち上げ液膜が低減された状態は維持される。そのため、スプラッシュの発生を鋼帯全幅にわたって大幅に抑制することができる。すなわち、本発明のプレノズルは、衝突噴流方式のワイピング装置であるので、スプラッシュ抑制に足る持ち上げ液膜掻き取り量を確保することができる。さらに、プレノズル噴射部分は、ガスを全幅の一部に噴射するので、主ノズルによって掻き取られ、下降した液膜は、プレノズルから噴射されたガスの間を通る。したがって、主ノズルとプレノズルとの間の溶融金属溜まりが低減される。したがって、本発明は、スプラッシュの発生を鋼帯全幅にわたって大幅に抑制することができる。さらに、プレノズルは安価である。さらに、プレノズルは非接触式なので、接触式掻き取りに起因する疵は発生しない。また、本発明によって、通板速度を上昇させてもスプラッシュ発生を大幅に抑制でき、かつめっき厚みは均一に保持されているので、表面欠陥のなく、まためっき厚みが整った溶融金属めっき鋼帯を高い生産性を維持して製造することが可能となる。
本発明の溶融金属めっき鋼帯の製造装置の一実施形態を示す図である。 本発明例の主ノズル噴射角度を鋼帯端部(側面)から見た図である。 本発明例の主ノズル、プレノズルの配置を鋼帯正面(鋼帯の面上)から見た図である。 本発明例の主ノズル、プレノズルの配置を鋼帯正面から見た図である。 本発明例の主ノズル、プレノズルの配置を鋼帯正面から見た図である。 本発明例の主ノズル、プレノズルの配置を鋼帯正面から見た図である。 本発明には属しない主ノズル、プレノズルの配置を鋼帯正面から見た図である。 本発明例の主ノズル、プレノズルの配置を鋼帯側面から見た図である。 本発明例の主ノズル、プレノズルの配置を鋼帯正面から見た図である。
以下に本発明のガスワイピング装置について詳細に説明する。本発明のガスワイピング装置は、溶融金属めっき鋼帯の製造ラインに設置されるものである。溶融金属の種類は、Feの融点より充分低い温度で溶融状態にあれば、特に制限は無いが、実用的には、例えば、Zn,Al,Sn,Pbの単体またはこれらの合金が例示される。あるいはこれらに、例えばSi,P等の非金属元素、Ca,Mg,Sr等の典型金属元素、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu等の遷移金属元素を含有するものも含まれる。
溶融金属めっき鋼帯の製造ラインの方式にも制約は無い。例えば、鋼帯を溶融金属ポットに浸漬したのち鉛直方向に引き上げる方式、電磁力により浮遊させた溶融金属中を鋼帯が通過する方式、さらには、鋼帯を水平方向に通板しながらその上下から溶融金属を供給する方式等があげられる。いずれにおいても、鋼帯が溶融金属と接触する部分では、溶融金属がある程度溜まった状態にある。本発明ではこれらをすべて「溶融金属溜まり」と呼ぶことにする。
本発明のガスワイピング装置に用いられる主ノズルは、ガスを鋼帯の全幅に噴射して、主に付着金属の厚さを制御するものである。主ノズルは、鋼帯の片面あたりただひとつだけ必要である。主ノズルの形状については既存技術のものでよく、例えば特許文献7や特許文献8等が例示される。高速通板時のスプラッシュ抑制や薄目付化を達成するには、一般に、図2に示すように、水平面とガス噴射方向とのなす角度θが40°以下であることが好適である。より好ましくは30°以下である。なお、図1〜9中、符号1、2、3、4、5は、鋼帯、主ノズル、プレノズル、鋼帯の通板方向、及び溶融金属溜まりを示す。
本発明のガスワイピング装置に用いられるプレノズルは、溶融金属溜まりから鋼帯に随伴された余剰な溶融金属をあらかじめ掻き落とすために、主ノズルの上流側に設置され、かつ、ガスを鋼帯の全幅ではなく、その一部に噴射するものである。プレノズルは、鋼帯の片面あたり2個以上必要である。ただし、一つの全幅ノズルの所々がマスキングされてガス噴射部分が複数に分かれているような場合には、分かれた噴射部分の数だけプレノズルがあると数えることにする。すなわち、本実施形態では、プレノズルのガス噴射部分(すなわちプレノズル噴射部分)が主ノズルの上流側の鋼帯両面上にそれぞれ複数設けられていればよい。また主ノズルの上流側とは、主ノズルから通板方向とは逆方向に戻った位置(主ノズルよりも溶融金属溜まりに近い位置)のことである。プレノズルの形状については、主ノズル同様に既存技術のものでよい。また、主ノズルと同じ形状であっても異なっていても良い。すべてのプレノズルが同じ形状であっても良いし、異なっていても良い。主ノズルが溶融金属めっきの最終膜厚を決定するものであるのに対して、プレノズルは余剰な溶融金属の掻き落しが目的であることから、主ノズルよりも掻き落し力は小さくても良い。
本発明の要点は、主ノズル、プレノズルの配置にある。まず、本発明の範囲を明確にするため、本発明には属しない主ノズル、プレノズルの配置について、図7を用いて説明する。鋼帯1は溶融金属溜まり5から引き抜かれたあと、矢印4の方向に通板されている。Xの例はプレノズル3が配置されていない例である。Y−1〜Y−3の例はいずれも、主ノズル2及びプレノズル3がいずれも全幅ノズルとなっている。すなわち、全幅ノズルが2つ以上ある(=ガス2段ワイピング)。このようなノズル配置にすると、上流側の全幅ノズルで掻き落とされた溶融金属が通板逆方向に流れ去ることを、下流側の全幅ノズルから噴射されたガスが妨げる。この結果、掻き落とされた溶融金属は、下流側全幅ノズルの両端から板道外へ激しく飛散するため好ましくない。また、溶融金属溜まりの問題も生じる。
一方、Z−1〜Z−3の例はいずれも、主ノズル2が全幅ノズルでは無いため、最終膜厚が幅方向に均一にならない懸念がある。もちろんZ−1のような場合には、下流側ノズル(主ノズル2)のガス噴射圧力を下げて、上流側にある全幅ノズル(プレノズル3)のガス噴射圧力を高くすれば、均一に膜厚制御できるが、この場合、下流側ノズルが何の効果も持たない。すなわち、本発明のノズル配置は、ガスを鋼帯の全幅に噴射する1つの主ノズルと、主ノズルの上流側に設置され、ガスを鋼帯の全幅ではなく、その一部に噴射する複数のプレノズルからなることを特徴とする。
図3に本発明例を示す。A−1〜A−3、A−7、A−8は、主ノズルの上流側に、プレノズルを2個、同一直線上に、かつ鋼帯端部にガス噴射されるように配置したものである。すなわち、これらの例では、プレノズルは鋼帯の幅方向に2列配置される。図3〜図6中の符号6、7、8、9は、狭幅材の通板位置、広幅材の一方の端部(ワークサイド、WS)、広幅材の他方の端部(ドライブサイド、DS)、広幅材のセンター部(C)を示す。以下、広幅材の一方の端部を広幅端部WSとも称し、広幅材の他方の端部を広幅端部DSとも称する。このような配置はエッジスプラッシュの抑制に対して有効である。さらなる高速化によるセンタースプラッシュ抑制を意図した場合、A−1よりもA−2、A−3、A−7、A−8が有利と思われるが、一方で、プレノズルの間隔が狭いほど通板逆方向に溶融金属が流れ去ることが妨げられるため、最大板幅や通板速度に応じた最適設計が必要である。また、狭幅材の通板時にはプレノズルの位置を板エッジに追随して移動させることが必要となる場合がある。エッジスプラッシュ抑制のためには、鋼帯端部からプレノズルを50〜150mm差し込むことが好ましい。図9にプレノズル差し込み幅の説明を記載した。図中7、8は、各々狭幅材の一方の端部(ワークサイド、WS)、狭幅材の他方の端部(ドライブサイド、DS)を示す。以下、狭幅材の一方の端部を狭幅端部WSとも称し、狭幅材の他方の端部を狭幅端部DSとも称する。図中12、13は各々広幅端部WS、DSの差し込み幅、図中14、15は各々狭幅端部WS、DSの差し込み幅について示した。すなわち、各端部の差し込み幅は、プレノズル(より具体的にはプレノズル噴射部分)と各端部とが重なる部分の幅を意味する。
A−4とA−5、A−6、A−7、A−9、A−10は、主ノズルの上流側に、プレノズルを同一直線上に複数個、配置したものである。このように配置すれば、板幅が変わってもプレノズルの位置を変更する必要がない。ただし、プレノズルの間隔が狭いと、通板逆方向に溶融金属が流れ去ることが妨げられるため、最大板幅や通板速度に応じた最適設計が必要である。同一直線状のプレノズルの幅方向の間隔は10mm以上が好ましく、50mm以上がさらに好ましい。図9にプレノズル幅方向の間隔の説明を記載した。図中11にプレノズル幅方向の間隔を示した。
図4は、主ノズルの上流側に、プレノズルを鋼帯の長手方向に2列またはそれ以上配置したものであり、本発明の好適例である。B−1は同一直線上の鋼帯端部にプレノズルを2個配置し、鋼帯中央部にプレノズルを1個配置し、ガスを噴射させるものである。鋼帯中央部にプレノズルを配置することにより、高速化した際のセンタースプラッシュ対策への効果を発揮すると予想されるが、狭幅材が通板した際、狭幅部のエッジ掻き取りが難しくエッジスプラッシュが発生すると予想されるため、板幅変更時の対応が難しい恐れがある。B−3は端部のプレノズルと中央部のプレノズルの高さをB−1とは逆に設置したものである。狭幅鋼帯の通板時には端部ワイピングが難しくなる恐れがある。しかし、これらの配置であっても、従来の二段ガスワイピング装置(図9中のY−1〜Y−3)よりもスプラッシュを抑制することができる。
一方、B−2は同一直線上の鋼帯端部にプレノズルを2個配置し、より鋼帯中央部に同一直線上にあるプレノズルを2個配置したものである。B−1と比較して、狭幅材通板時にも鋼帯端部からのスプラッシュ発生を抑制できる可能性がある。しかし高速化すると余剰溶融金属量が増加するため、鋼帯中央部よりスプラッシュが発生する懸念がある。したがって、鋼帯中央部に配置したプレノズル間の間隔を広げる等の調整が必要な場合がある。
一方、B−4、B−5、B−6、B−7では、狭幅材通板時に片側の端部のプレワイピングが行えないため、片側のエッジスプラッシュを抑制できない。しかし、この配置であっても、従来の二段ガスワイピング装置(図9中のY−1〜Y−3)よりもスプラッシュを抑制することができる。B−8は主ノズル上流側からプレノズルを鋼帯端部から他端部に向かうに従ってプレノズルを一定間隔で下流側に配置し、階段状に配置した。この配置の端部では、プレノズルと主ノズルとの距離が遠く、主ノズルで掻き取られた液膜が厚くなりやすいので、端部におけるプレノズルと主ノズルとの距離を縮める等の調整が必要な場合がある。
そのため、プレノズルを図5に示すように配列することがさらに好適である。図5は、プレノズルを鋼帯の面上にV字型又は逆V字型に配置した例である。C−1、C−3、C−4がV字型配列の例であり、C−2、C−5、C−6が逆V字型配列の例である。すなわち、V字の頂点が上流側に向く配列がV字型であり、V字の頂点が下流側に向く配列が逆V字型である。図5のC−1で示すように同一直線上の鋼帯端部にプレノズルを2個配置し、主ノズルよりさらに上流側の鋼帯中央部に同一直線上にあるプレノズルを2個配置、さらに上流側の鋼帯中央部にプレノズルを1個配置したものであり、プレノズルによって鋼帯全幅の余剰溶融金属を予め削り取る。このことで、高速通板時もスプラッシュが抑制されると予想されるが、主ノズルと鋼帯中央部のプレノズルとの距離が長くなると、主ノズルで掻き取られて通板方向と逆方向に流れる液膜が厚くなるため、プレノズルでの掻き取り効果が低減して、主ノズルでの掻き取り量が増加し、スプラッシュ発生を促進する可能性がある。したがって、鋼帯中央部におけるプレノズルと主ノズルとの距離を縮める等の調整が必要な場合がある。
一方、C−2は主ノズルから最も上流側に鋼帯端部をカバーし同一直線上にあるプレノズルを2個配置、さらにこれらのプレノズルの下流側に狭幅鋼帯通板時に対応するためにプレノズルを2個配置し、さらに下流側に鋼帯中央部を掻き取るプレノズルを1個配置したものである。このことで、高速通板時もスプラッシュが抑制されると予想されるが、主ノズルと鋼帯端部のプレノズルとの距離が長くなると、主ノズルで掻き取られて流れおちる液膜が厚くなるため、プレノズルでの掻き取り効果が低減して、主ノズルでの掻き取り量が増加し、鋼帯端部よりスプラッシュ発生を促進する可能性がある。したがって、鋼帯端部におけるプレノズルと主ノズルとの距離を縮める等の調整が必要な場合がある。
C−3、C−4は鋼帯中央部に設置されたプレノズルと主ノズル間の距離が遠いため、板中央部のスプラッシュが抑制できない可能性がある。したがって、鋼帯中央部におけるプレノズルと主ノズルとの距離を縮める等の調整が必要な場合がある。一方、C−5、C−6は端部に設置されたプレノズルと主ノズルとの距離が遠く、エッジスプラッシュを抑制できない可能性がある。したがって、特に鋼帯端部におけるプレノズルと主ノズルとの距離を縮める等の調整が必要な場合がある。
図6は、主ノズルの上流側に、プレノズルを2列、千鳥配置したものであり、本発明のさらなる好適例である。プレノズルは2列以上であっても良い。例えばD−1は主ノズル上流側に狭幅両端部の液膜を掻き取るプレノズルを設置し、一定間隔で同一直線上にプレノズルを配置する。また、主ノズル下流には上流側での掻き取りをカバーしきれなかった領域を埋めるようにプレノズルを配置する。D−3は主ノズル上流側に狭幅中央部の液膜を掻き取るプレノズルを設置し、一定間隔で同一直線上にプレノズルを配置する。また、主ノズル下流には上流側での掻き取りをカバーしきれなかった領域(例えば狭幅端部及び広幅端部)を埋めるようにプレノズルを配置する。また、D−2、D−4は各々D−1、D−3とプレノズル上流側と下流側の配置を逆にしたものである。本配置では、各プレノズルと主ノズルとの距離が図5のC−1、C−2と比較して端部及び中央部とも近く、主ノズル−プレノズル間液膜は薄いため、エッジおよびセンタースプラッシュとも発生せず、本発明の好適例である。主ノズルからの掻き取られた液膜逃げ道確保のため、プレノズルの幅方向の間隔は10mm以上遠ざけることが好ましく、50mm以上遠ざけることがさらに好ましい。さらに2列以上にプレノズルを並べる場合、流れ方向の間隔は10mm以上遠ざけることが好ましく、50mm以上遠ざけることがさらに好ましい。図9にプレノズル流れ方向の間隔についての説明を記載した。図中10はプレノズル流れ方向間隔を示す。
図8は、鋼帯側面から見た本発明のノズル配置の例である。Pは主ノズルとプレノズルは通板方向に対して左右対称である(すなわち、鋼帯に関して面対称の位置に配置されている)。さらに、Pでは、プレノズル鋼帯間ギャップは主ノズルの鋼帯間ギャップと同じである。Pの適用例を実施例4に示すが、鋼帯のコイル換えの際の溶接点通過時では、鋼帯表面に凹凸があり、ワイピングガス流動が乱れるため、センター及びエッジスプラッシュが発生する。そのためプレノズル外壁にスプラッシュが付着する。そこで、Qはプレノズル鋼帯間ギャップを主ノズルより広くし、主ノズル上流ほどより広くしたものである。Qではプレノズルに堆積するスプラッシュ量がPと比較して少なくなった。下流側(主ノズルに近い側)ではプレノズル鋼帯ギャップは主ノズル鋼帯ギャップより+1mm以上が好ましく、+2mm以上がさらに好ましい。上流側(主ノズルから遠い側)ではプレノズル鋼帯ギャップは主ノズル鋼帯ギャップより+3mm以上が好ましく、+4mm以上がさらに好ましい。なお、Pの例であっても、後述する実施例1〜3に示されるように、従来よりもワイピング装置全体としてスプラッシュの発生を抑制することができる。
図8のRは、表裏プレノズルの流れ方向の位置を変化した図である。プレノズルにおいても鋼帯のコイル換えの際の溶接点通過時では、ワイピングガス流動が乱れるため、センター及びエッジスプラッシュが発生する。そのため、プレノズルに付着するスプラッシュが存在した。Rは、プレノズルの鋼帯表裏の設置高さにオフセットを設けたものである。結果、Qと比較してスプラッシュ堆積の減少が確認できた。表裏プレノズルのオフセットは0.5mm以上が好ましく、1mm以上がさらに好ましい。
なお、本発明において、主ノズル、プレノズルが通板方向に対してなす角度については、本発明の効果に大きく影響しないため任意で良いが、特段の理由が無ければ通板方向に対して垂直で良い。従って、図3〜図8はすべて、プレノズルが通板方向に対して垂直な例を示した。ただし、実験条件によってスプラッシュ飛散が問題となる場合は、主ノズルおよびプレノズルが通板方向に対して斜めに傾けて設置する場合も含むこととする。
また、主ノズル、プレノズルのガス噴射方向が鋼帯となす角度についても、本発明においては本質では無く、一般には垂直で良い。ただし、スプラッシュ抑制のためには、ワイピングノズルを鋼帯に対して垂直より傾けてガス噴射方向を変更することでスプラッシュ飛散範囲を狭めるなどにより、さらなる高速通板時の対策をとる。
主ノズル、プレノズル以外に、特許文献9に記載される特開2007−197781号公報に例示されるようなバッフルプレートを設置してもかまわない。
つぎに、本実施形態の実施例を説明する。まず、実施例及び比較例の製造条件を説明する。プレノズル幅(噴射部分の幅)50〜1800mm、目付量45g/m、主ワイプ圧1kgf、プレノズル圧0.6kgf、通板速度150、250mpm、板幅800、1600mmで試験を実施した。主ノズル設置高さは浴面から450mm。一方、プレノズル設置高さは浴面から300mm。プレノズルが鋼帯長手方向に複数列にわたる時は、最下流設置側を300mmとし、上流に向かうにつれて50mmずつ下げて設置した。
実施例及び比較例では、連続溶融亜鉛めっきラインに図1に示したワイピング装置を設置し、溶融金属めっき鋼帯の製造を行った。このワイピング装置は、溶融金属の目付量が所定の目付量になるようにガスワイピングを行い、図3〜図8に示すように、鋼帯の幅方向にわたって配置されたプレノズルを有する。
また、実施例及び比較例では、特に言及がない限り、水平面と主ノズルガス噴射方向とのなす角度θ(図2参照)を0°とした。すなわち、主ノズルは鋼帯に垂直な方向にガスを噴射することとした。プレノズルも同様に鋼帯に垂直な方向にガスを噴射することとした。また、実施例1〜3では、鋼帯表裏面上でのプレノズルの配置は図8に示すPとし、主ノズル及びプレノズルと鋼帯とのギャップを5mmとした。
(実施例1)プレノズル差し込み幅の影響確認
プレノズル配置を検討した際、鋼帯端部からプレノズルによるプレワイピング効果を得るためには、プレノズルを鋼帯端部から差し込む必要がある。プレノズル差し込み幅とエッジスプラッシュ抑制との関係を調査した。結果を表1に示す。LS(通板速度)は150mpm、鋼帯幅は1600mmを使用し、プレノズルは幅400mmのスリットノズルを使用した。スプラッシュ疵はWSおよびDSのスプラッシュ疵を検出し評価した。
Figure 0006094362
表1のNo.1〜6はノズル配置を図3のA−1とし、プレノズル差し込み幅を10〜200mmまで変化させた結果である。No.7はプレノズル無しの比較例である。プレノズル差し込み幅10、30mmではスプラッシュは比較例より抑制することができ。一方、プレノズル差し込み幅50〜150mmではスプラッシュ疵は大幅に抑制できた。一方、差し込み幅200mmになると、スプラッシュ抑制効果が低減した。その理由として、プレノズルで掻き取られた液膜と主ノズルで掻き取られて下降する液膜との境界域に液膜乱れが発生し、スプラッシュ疵発生が見られたためである。
(実施例2)プレノズル間隙間と液膜流路の関係調査
プレノズル配置を検討する上で、プレノズル間の安定した液膜逃げ道を確保しガス2段ワイピングを行う必要がある。結果を表2に示す。LSは150mpm、鋼帯幅は1600mmを使用した。液膜逃げ道流路は鋼帯WS、DSおよび鋼帯C部を各々評価した。
Figure 0006094362
表2のNo.1〜4は図3のA−2のノズル配置とし、プレノズル幅800mmを使用した。プレノズル幅方向の間隔を10〜100mmと変化させたところ、50mm以上で特に安定した流路が形成できた。一方、表2のNo.5〜8は図4のB−2のノズル配置とし、プレノズル幅400mmとした。プレノズル幅方向間隔は50mmに固定し、プレノズル端部とプレノズル中央部の流れ方向の間隔を10〜100mmと変化させた。流れ方向の間隔50mm以上遠ざけることで特に安定した流路が形成できた。
(実施例3)鋼帯全幅にわたってスプラッシュ疵を抑制可能なプレノズル配置
鋼帯全幅にわたってスプラッシュを抑制可能なプレノズル配置を検討する。結果を表3に示す。LSは150、250mpm、鋼帯幅は800、1600mmを使用した。スプラッシュ疵は鋼帯WS、DSおよび鋼帯C部を鋼板幅別に評価した。プレノズルの最も下流に設置されたプレノズルを1段目とし、上流に行くに従って2段目、3段目と表記した。
Figure 0006094362
プレノズルを設置しないNo.17の比較例は、鋼帯端部よりスプラッシュが発生した。一方、全幅にわたってプレノズルを設置したNo.19の比較例は鋼帯全幅よりスプラッシュが発生した。一方、N0.18は通板速度250mpmまで行ったが、鋼帯C部よりスプラッシュ疵発生が見られた。
No.1は鋼帯中央部を軸に鋼帯端部にプレノズルを設置した。WSは幅200mmのプレノズル、DSは幅600mmのプレノズルを使用した。鋼帯幅1600mm通板時にはエッジスプラッシュは抑制できた。一方、鋼帯幅800mmでは、WSにプレワイピングが及ばない領域が存在し、WSに比較例よりは少ないものの、若干のスプラッシュ疵が見られた。
No.2、3は、鋼帯端部に鋼帯正面から見て左右対称にプレノズルを配置した。No.2はWS、DSとも幅200mmのプレノズル、No.3はWS、DSとも幅500mmのプレノズルを使用した。No.2は鋼帯幅800mmの際は、プレワイピング領域が及ばず、WS及びDSに比較例よりは少ないものの、若干のスプラッシュ疵が見られた。一方、No.3は鋼帯幅800mmの場合は、スプラッシュ疵は抑制できた。しかし、広幅の際は、WS、DSとも差し込み幅が広く、比較例よりは少ないものの、若干のスプラッシュ疵が見られた。
No.4は、鋼帯端部および中央部よりにプレノズルを設置し、かつプレノズルを複数列にわたって設置した。プレノズルは幅200mmのノズルを3個使用した。鋼帯幅が800mmに変更になった際、DSに比較例よりは少ないものの、若干のスプラッシュ抑制が見られた。
No.5は、鋼帯端部および中央部よりに鋼帯正面から見て左右対称にプレノズルを設置した。プレノズルは幅200mmのノズルを使用し、広幅の鋼帯端部WS、DSに各1個、鋼帯中央部に1個設置した。鋼帯幅800mmの際には、鋼帯端部にプレワイピングが及ばず端部に比較例よりは少ないものの、若干のスプラッシュ疵が見られた。一方、No.6は、No.5と比べて鋼帯中央部に幅200mmのプレノズルを2個鋼帯正面から左右対称に設置した。鋼帯中央部のプレノズル幅方向間隔は50mmとした。鋼帯幅が狭い場合でもスプラッシュは抑制できた。
No.7は、プレノズルをV字配置した。幅200、600mmのプレノズルを表3の条件を満たすように設置した。鋼帯WSに幅200mmのプレノズル、鋼帯中央部に幅200mmのプレノズル、鋼帯DSに幅600mmのプレノズルを設置した。鋼帯中央部のプレノズルは鋼帯正面から見て左右対称となるように設置した。狭幅の際は、WS、DSともスプラッシュ疵が抑制できたが、広幅の際、鋼帯DSの差し込み幅が広く、比較例よりは少ないものの、若干のスプラッシュ疵が見られた。一方、No.8は、No.7と比較してプレノズルを逆V字に設置したものであるが、幅200、600mmのプレノズルを表3の条件を満たすように設置した。鋼帯幅1600mmの際、鋼帯端部DSとプレノズルの距離が遠く、比較例よりは少ないものの、若干のスプラッシュ疵が見られた。また広幅WSはプレノズル差し込み幅が広く、比較例よりは少ないものの、若干のスプラッシュ疵が見られた。
No.9は、鋼帯正面から見て左右対称にプレノズルをV字に配置した。幅200mmのプレノズルを5個使用し、鋼帯正面に設置したプレノズルは鋼帯正面から見て左右対称である。鋼帯幅にかかわらずスプラッシュを抑制できた。一方、No.10は鋼帯正面から見て左右対称にプレノズルを逆V字に配置した。幅200mmのプレノズルを5個使用し、鋼帯正面に設置したプレノズルは鋼帯正面から見て左右対称である。鋼帯幅1600mmの際、鋼帯端部とプレノズル間の距離が遠く、液膜が厚くなるため、比較例よりは少ないものの、若干のスプラッシュ疵が見られた。
No.11は鋼帯幅方向にプレノズルを千鳥配置した。プレノズルは幅200mmを使用し表3の条件満たすよう設置した。板幅変更した後もスプラッシュは安定的に抑制できた。一方、No.12は鋼帯中央部を軸に左右対称にプレノズルを設置し、かつプレノズルを2列に分けて千鳥配列した。プレノズルは幅200mmを使用した。板幅変更した後もスプラッシュは安定的に抑制できた。
No.13〜16はそれぞれNo.6、9、11、12の配置で高速化(250mpm)に取り組んだ例である。No.14、15は鋼帯中央部へのプレワイピング掻き取り効果が小さく、鋼帯中央部に比較例よりは少ないものの、若干のスプラッシュ疵が見られた。一方、No.13、16は鋼帯中央部および鋼帯端部のスプラッシュ発生が抑制できたため、本発明の好適例である。
(実施例4)プレノズル鋼板間ギャップとプレノズルオフセットの影響評価
プレノズル鋼板間ギャップとプレノズルオフセットを変化させた時の、騒音影響およびプレノズル亜鉛堆積量について評価した。実施例は、高速通板時(250mpm)でも鋼帯全幅にわたってスプラッシュ疵抑制が可能な図6のD−1とした。結果を表4に示す。
Figure 0006094362
No.1は、表3で示したLS150mpmのノズル配置D−1の結果である。騒音は100−110dBであり、プレノズルへの亜鉛堆積は一段目および2段目とも存在した。騒音についてはNo.2はプレノズルを設置しない条件で測定した結果であるが、騒音は90−100dBであったため、プレノズルを設置することで約10dBの騒音が増したことが分かる。
No.3、4はプレノズル鋼板間ギャップを広げた。6mmまで広げると、1段目のプレノズル亜鉛堆積量が改善し、プレノズル鋼板ギャップ7mmに広げると、1段目のプレノズル亜鉛堆積は無くなった。一方、2段目のプレノズルへの亜鉛堆積は改善されず、No.5、6では1段目プレノズル鋼板ギャップは7mmに固定し、2段目プレノズル鋼板ギャップを広げた。8mmまで広げると2段目プレノズルの亜鉛堆積量が改善し、9mmまで広げると亜鉛堆積がなくなった。
No.7、8は、表裏プレノズル設置高さにオフセットを設けた。表裏オフセットを0.5mmつけると、騒音が約2dB程度、オフセットを1mmつけると騒音を約5dB程度抑制できた。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。例えば、上述した実施例では、複数のプレノズルを主ノズルの上流側に配置したが、1つのプレノズルを主ノズルの上流側に配置し、このプレノズルの一部を適宜マスキングするようにしてもよい。
本発明により、品質の安定した合金化溶融亜鉛めっき鋼帯を安価にかつ安定的に供給することができ、防錆性に優れた自動車の普及がますます促進される。これは自動車の寿命や安全性向上につながり、また省資源の観点から地球環境の改善にも寄与する。したがって産業上の利用価値は極めて大きい。
1 鋼帯
2 主ノズル
3 プレノズル
4 通板方向
5 溶融金属溜まり
6 狭幅材の通板位置
7 WS(ワークサイド)
8 DS(ドライブサイド)
9 C(センター部)
10 プレノズル流れ方向間隔
11 プレノズル幅方向間隔
12 広幅端部WS差し込み幅
13 広幅端部DS差し込み幅
14 狭幅端部WS差し込み幅
15 狭幅端部DS差し込み幅

Claims (6)

  1. 溶融金属溜まりから引抜かれた鋼帯の両面に、ノズルからガスを吹き付けて付着金属の厚さを制御する溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置において、
    ガスを鋼帯の全幅に噴射する主ノズルと、
    前記主ノズルの上流側の鋼帯両面上にそれぞれ複数設置され、かつ、ガスを鋼帯の全幅の一部に噴射する複数のプレノズル噴射部分と、を備え
    前記プレノズル噴射部分が鋼帯の幅方向に二列以上配置され、
    前記プレノズル噴射部分が鋼帯の面上にV字型又は逆V字型に配置されていることを特徴とする、溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置。
  2. 溶融金属溜まりから引抜かれた鋼帯の両面に、ノズルからガスを吹き付けて付着金属の厚さを制御する溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置において、
    ガスを鋼帯の全幅に噴射する主ノズルと、
    前記主ノズルの上流側の鋼帯両面上にそれぞれ複数設置され、かつ、ガスを鋼帯の全幅の一部に噴射する複数のプレノズル噴射部分と、を備え、
    前記プレノズル噴射部分が鋼帯の幅方向に二列以上配置され、
    前記プレノズル噴射部分が鋼帯の面上に千鳥配置されていることを特徴とする溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置。
  3. 前記プレノズル噴射部分が鋼帯に関して面対称の位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置。
  4. 前記プレノズル噴射部分の位置が、鋼帯の一面と他面とで異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置。
  5. 鋼帯から前記プレノズル噴射部分までの距離が、鋼帯から前記主ノズルまでの距離よりも大きいことを特徴とする、請求項1からの何れか1項に記載の溶融金属めっき鋼帯のガスワイピング装置。
  6. 請求項1〜の何れか1項に記載のガスワイピング装置を用いて、溶融金属めっき鋼帯のガスワイピングを行うことを特徴とする溶融金属めっき鋼帯のワイピング方法。
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