JP2596240B2 - 連続溶融金属めっき装置 - Google Patents

連続溶融金属めっき装置

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JP2596240B2
JP2596240B2 JP3047838A JP4783891A JP2596240B2 JP 2596240 B2 JP2596240 B2 JP 2596240B2 JP 3047838 A JP3047838 A JP 3047838A JP 4783891 A JP4783891 A JP 4783891A JP 2596240 B2 JP2596240 B2 JP 2596240B2
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健郎 青木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属めっき鋼板等の製
造において、めっき目付量分布を均一化し、かつシール
ボックス内への外気侵入の防止等を図り、良質のめっき
鋼板の製造を安定かつ廉価に製造可能とする連続溶融金
属めっき装置に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、連続溶融亜鉛めっき設備によ
り、鋼帯(ストリップ)を亜鉛めっきするには、図10
に示されるように、前処理を終えたストリップ1をめっ
き浴8中に導入し、浴内のシンクロール16により進行
方向を上向きに変えて、上方に引き上げるとともに、こ
の引上げ過程において、ストリップ1の表面に付着した
過剰亜鉛を、このストリップを間に挟んで対向配置され
た一対のワイピングノズル2、2のスリット口よりガス
ジェットをストリップ1の表裏面に吹き付けて絞り落と
している。なお、亜鉛目付量の制御は、吹付けるジェッ
トガスの圧力の調整、あるいはワイピングノズル2、2
とストリップ1との間隙を調整することにより行ってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のガス・ワイピン
グ法においては、特にストリップの両端部でワイピング
力の低下を生ずるため、亜鉛目付量の幅方向分布の不均
一となり、ストリップエッジ部に過剰の亜鉛が付着す
る、いわゆるエッジ・オーバーコート(E・O・C)現
象が生ずる。これは、コイル状に巻き取った際に、ビル
トアップ(コイル両端部が鼓状に盛り上がる)現象を招
き、操業上の問題を引き起こしている。この問題を解決
するための方法としては、特開昭50−91535号公
報にストリップに近接して邪魔板を設ける方法の開示が
あり、また、その邪魔板の支持方法の改良に関しては特
開平2−107752号公報にその開示がある。しかし
ながら、この方法によって完全に前記問題が解決される
には至っていない。
【0004】また、ワイピングノズルのスリット口の幅
は、通常、製造されるストリップの最大幅よりも大きく
しており、ストリップの位置はワイピングノズルのセン
ターに来るように位置決めされる。したがって、ワイピ
ングガス・ジェットは、中央部ではストリップでマスキ
ングされるが、ストリップの両端部はマスキングされ
ず、相対するワイピングガス・ジェットが衝突すること
になるためガス流の乱れが生ずる。このため、ストリッ
プ・エッジ部から亜鉛のスプラッシュが発生し、これが
ドロス生成の原因になっている。また、このスプラッシ
ュの一部は攪乱された流れに乗ってワイピングノズル側
へ運ばれノズル先端に付着してノズルスリットの一部を
塞ぎ、その部分だけワイピング力が弱まり、いわゆる線
状オーバーコートという表面疵の原因となっている。
【0005】さらに、亜鉛浴中のシンクロールから高さ
約30mの位置に配設されるベンディングロールまで
は、引き上げられるストリップを支えるものはなにも無
いのでストリップは振れやすい状態となっており、これ
も幅方向および長手方向の亜鉛目付量分布を変動させる
原因になっている。なお、薄目付けや高速操業をするた
めにはワイピングノズルをストリップに近接させる方法
が採られているが、ストリップが振動するとワイピング
ノズルと接触する危険があるため、自ずと限界がある。
【0006】前述ストリップの揺動を防止するための方
法としては、特開昭63−111164号公報において
ストリップの支承のため冷却ロールを用いる方法が開示
されている。また特開昭55−62154号公報におい
て、非接触ガイドを用いる方法が開示されている。しか
しながら、前記冷却ロールを用いる方法はストリップ上
のめっき金属が完全に凝固していない時点で接触するた
め、どうしても表面の疵が避けられず、したがって合金
めっきの場合には問題無いが、めっきのままで製品にな
る品種には適用できない。
【0007】一方、めっき浴中の浮遊ドロスは、スプラ
ッシュメタルの酸化が大きな要因とされており、めっき
浴面を非酸化性ガスでシールすることにより、浮遊ドロ
スを減少させることができる。また、めっきの種類によ
っては、被めっきメタルの表面酸化を抑制することによ
り表面品質が改善される。このため、特開昭57−20
3764号公報においてワイピング装置を、図10のよ
うにシールボックス3で覆う方法が開示されている。ま
た、実開平2−66667号公報には、合わせ部にシー
ルガスを吹き出すことができ、かつエッジワイピングノ
ズル付バッフルプレートを備えた分割タイプのシールボ
ックスが提案されている。しかし、雰囲気めっき時のシ
ールボックス内への外気侵入の問題や、ワイピングガス
とは別途にシール用ガスを大量に使用するので、製造コ
ストの増加を招く問題がある。
【0008】そこで、本発明の主たる目的は、ワイピン
グガスの流れを整流化し、かつストリップの振動を抑止
することによって、目付量の分布を均一化するととも
に、シールボックス内への外気の侵入を防止し、品質の
優れためっき鋼板の安定製造と製造原価の低減を図り得
る連続溶融金属めっき装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題は、溶融金属め
っき浴から連続して引き上げられる鋼帯の表面に付着し
た過剰溶融金属を除去するために鋼帯を跨いで対向配置
されたワイピングノズルと、少なくとも前記ワイピング
ノズルとワイピング位置近傍の鋼帯とを覆うシールボッ
クスを備えた連続溶融金属めっき装置において、前記シ
ールボックスの鋼帯出側のスリット状開口部に、ワイ
ピングジェット流れに伴う水平誘引流を遮断する、前記
鋼帯の表裏面および両エッジを取り囲み、かつ内寸法が
前記ワイピングノズル幅以下のストリップ・シュラウド
を設けるとともに、鋼帯エッジの両側にこの鋼帯エッジ
との間に隙間を開けた状態で配設され、かつ少なくとも
ワイピングノズルの吹出し口端部よりも側方まで突出す
とともに前記シールボックスに内装される寸法形状の
サイドプレートを設けたことで解決できる。
【0010】さらに、前記ストリップ・シュラウドの上
部開口縁に連続して、鋼帯板厚方向の開口幅を順次狭め
シールボックスの内圧を制御するためのフラッパーを設
けるのは好ましい。また、溶融金属めっき浴から連続し
て引き上げられる鋼帯の表面に付着した過剰溶融金属を
除去するために鋼帯を跨いで対向配置されたワイピング
ノズルと、少なくとも前記ワイピングノズルとワイピン
グ位置近傍の鋼帯とを覆うシールボックスを備えた連続
溶融金属めっき装置において、前記シールボックスの
向きの壁の高さ方向中間における内外が連通する水平方
向に沿う隙間における、前記壁内面に沿うガス流れの下
流側の開口縁部から、シールボックスの内方に突出し
つその先端部が、前記ガス流れの方向と逆方向に向いた
板状のシール・スクレーパを設け、このシール・スクレ
ーパを案内体として前記ガス流れの一部を前記隙間を通
して外部に排出するように構成したことでも、シールボ
ックス内への外気の侵入を防止できる。
【0011】
【作用】本発明者等は、本発明に当たって、先ず最初に
従来法におけるワイピングノズル回りのガス流れを流体
実験によって調べ、以下の知見を得た。図12にストリ
ップ面方向縦断面図におけるガス流れを示す。なお、図
中の矢印はガス流れの方向を示している。 (1)ワイピングノズル2のスリット口から噴射したワ
イピングジェットは、ストリップ1に衝突して上下方向
に分かれストリップ面に沿って流れる。そして、このス
トリップライン方向流れに引きずられて、図12中の矢
印A、Bに示すように、ストリップ方向に集束する水平
誘引流が生起する。 (2)ストリップエッジ部(斜線で示す部分)ではワイ
ピングジェット流と前記水平誘引流の干渉により、図1
1に示されるように、局部的な渦流が生じ、これがエッ
ジオーバーコートの主たる原因となっている。 (3)ワイピングジェットのストリップでマスキングさ
れない部分はジェット同士が衝突して攪乱流れが生起さ
れる。この攪乱流は水平誘引流に押されてストリップ側
に流される様子が観察された。この作用によりエッジス
プラッシュによる亜鉛ダストがストリップ側に巻き込ま
れてワイピングノズルの先端に付着し、これがきっかけ
となって線状オーバーコートを引き起こす原因となって
いる。 (4)シールボックス3天井部のストリップの出側開口
部から矢印Cで示すような外気の強い吸い込みがあり、
これが雰囲気の維持を妨げる最大の原因となっている。 (5)スピンドルボックス4のスピンドル挿入孔から
も矢印Dで示される外気の吸い込みがある。 (6)伸縮垂れ壁6を下げた状態では、壁6を上げた状
態に比較し、外気の吸い込みは少なくなるが、それでも
ストリップが広幅の場合、垂れ壁とベース7の隙間から
矢印Eで示される外気の吸い込みがある。
【0012】本発明者らは、これらの知見を基に、検討
した結果、各問題点の解決に際し、下記に示す方針の下
で、各種の対策を講じた。 (目付量の幅方向の不均一およびスプラッシュの防止に
関して)ワイピングガス・ジェットによる目付量制御は
2段階で行われる。先ず、第1段階ではワイピングノズ
ルから噴射されるワイピングジェットのストリップへの
衝突である。すなわち、持ち上げられた未凝固のメタル
はその衝突線上のワイピングジェットの動圧により押さ
えられ、余分のメタルはめっき浴側へ反転逆流する。目
付量はこの動圧の大きさに依存し、動圧が大きいほど目
付量は薄くなる。したがって、目付量のストリップ幅方
向分布を均一化するにはワイピングジェットの幅方向の
動圧分布の均一化が必要であり、ワイピングノズル自体
の改善が重要である。
【0013】第2段階は、ストリップの衝突線の上およ
び下の領域で行われる。衝突後のワイピングガス・ジェ
ット流はメタルの表面に沿って流れるが、その粘性力に
よりまだ凝固していないメタルを移動させる力を持って
いる。したがって、このガス流の偏りは目付け量の偏り
をもたらす。目付分布の偏りを無くすには、ストリップ
上のガス流の偏りを無くす必要があり、特にストリップ
エッジ部の渦流を無くすことが重要である。第1段階で
均一な幅方向分布であってもストリップ上の流れが偏っ
ていると、第2段階で目付量も偏った分布となる。
【0014】一方、下の領域では、特にストリップエッ
ジ部の流れはエッジスプラッシュの発生に対して大きく
影響している。該領域では持ち上げられるメタルと反転
逆流するメタルが合わさり厚い層をなしており、エッジ
部では図11に示したように渦流によりちぎられスプラ
ッシュとなって飛び散り、水平誘引流に押されてた攪拌
流に乗せられ、ストリップ側に運ばれるのである。した
がって、下の領域での渦流を無くし、攪乱状態を解消し
て偏流を無くせばスプラッシュの防止、ひいては線状オ
ーバーコートに対して有効であるとともに、目付量の均
一化にも有効である。
【0015】(雰囲気めっき時のシールボックス内への
外気の侵入に関して) シーリングの基本は、シールしたい物を覆い包み、また
は詰め物をして、その隙間を無くすことである。しか
し、実際の設備においては、どうしても避け難い隙間や
開口部があるため、所要のシール効果が得られないので
ある。このような隙間や開口部がある状態で外気の侵入
を防止するには、シールボックスの内圧を高め、問題と
なる隙間や開口部から内部のガスが吹出し勝手となるよ
うにすればよい。そのためには、ストリップ出側開口部
のストリップ両側部のような主要な吸い込み部を閉塞す
るとともに、ストリップの出口ではワイピングガスの殆
どがここから出ていくので、この出口を絞ることにより
容易にシールボックスの内圧を高めることができる。ま
た、シールボックスの側壁部の伸縮垂れ壁とベースの当
接部は熱変形のためどうしても隙間が避け難い所である
が、この部分は側壁内面に沿うガス流れの下流側の開口
縁部から、シールボックスの内方に突出しかつその先端
部が、前記ガス流れの方向と逆方向に向いた変流板(シ
ール・スクレーパ)を取付け、このシール・スクレーパ
を案内体として、ボックス内の壁面に沿うガス流れの勢
いを利用して当該ガス流れの一部をその隙間から外部に
吹出し勝手になるよう構成したことにより、より低い内
圧でシールが維持できるようになる。
【0016】(ストリップの振動に抑制に関して)従来
の方法は、いずれも別途のガス源あるいは動力源を必要
とするものであるが、未凝固のメタルで被覆されたスト
リップを支持するため、ワイピングジェットによる流体
力を利用すれば、別途のガス源または動力源を必要とし
ない。
【0017】以上の基本方針の下で、本発明において
は、先ず、シールボックスの鋼帯通過のための天井側開
口部分にワイピングジェットによるガス流に伴う水平誘
引流を遮断するためのストリップ・シュラウドを設け
た。このストリップ・シュラウドによって、水平誘引流
(矢印A、B)の影響を無くすことができ、ストリップ
エッジ部における局部的な渦流を生じさせることがなく
なり、もってエッジ・オーバーコートを無くすことがで
きる。また、前述(4)で述べたシールボックスのスト
リップ出側開口からの外気の吸い込み(矢印C)を防止
することができる。なお、ストリップ・シュラウドの内
部の流れを幅方向均一な整流状態に維持するために、図
2に示されるように、ストリップ・シュラウドの幅(内
寸)Wsはワイピングノズルの幅Wn以下とした。ま
た、図1に示されるストリップ・シュラウドの内寸Ts
については、ワイピングノズル2とシールボックス3の
天井との間隔Hnとの関係が重要で、Ts<2Hnの関
係であることが望ましい。なお、Tsの下限について
は、ストリップのセッティングの作業性や走行中の振れ
など操業の制約により適宜決定される。ストリップ・シ
ュラウドの高さについては、被めっきメタルの凝固との
関係が重要で、ストリップシュラウドの上端の位置のM
ax値は完全凝固高さの位置までがストリップシュラウ
ドの有効範囲とされる。しかし、実施に当たっては、そ
の高さは他の設備、たとえばゼロスパングル設備や合金
設備などワイピング設備の上に配置された設備との関係
を考慮して決められる。
【0018】サイドプレートは図8に示されるように、
ストリップの両サイドに置かれたサイドプレートの大き
さは、ある隙間Gをもって中央に置かれたストリップ1
と協同してワイピングノズル出口をマスキングするに十
分な大きさが必要である。ワイピングノズルの中心線L
を基準として、サイドプレート10の外側端部の位置X
spは、ワイピングノズル2の左右端部の位置Xnとの
間にXsp≧Xnの関係、すなわちサイドプレート10
の側縁位置の方がより側方に突出するように設けること
によって、ストリップエッジ部における攪乱流をより効
果的に防止することができる。また、高さ方向について
は、衝突したワイピングジェットが上下に分かれたほぼ
ストリップ1の進行方向と平行となるに十分な寸法を必
要とする。この大きさはワイピングノズル2のスリット
ギャップおよびノズル2とサイドプレート10の間隔に
依存するため、これに応じて適宜決定される。さらに、
サイドプレート10のサイズは、サイドプレート10が
シールボックス内に収まる範囲で決定される。 なお、サ
イドプレート10とストリップ・シュラウドの間に空間
部には、サイドプレート10の支持のため必要最小限の
部材を除き、流れの妨げになるものを極力設けないこと
も流れの整流化の観点から重要である。
【0019】また、ストリップ・シュラウドの上部開口
縁に連続して、鋼帯板厚方向の開口幅を順次狭めるフラ
ッパーを設けることによって、ワイピングジェットの上
昇流による圧力がストリップを押させ、ストリップの振
動を防止することができる。これにより、エッジ・オー
バーコートおよびスプラッシュ防止を図り得るととも
に、外気侵入を防止することができる。
【0020】シールスクレーパーは、壁面に沿うガス
れの一部を掬い、隙間を通してシールボックスの外に導
くことによって、ガスが前記隙間から吹出し勝手とな
り、より低い内圧でシールが維持される。
【0021】これらの4つの構成要素は、必ずしも同時
に併用するものではなく、表1に示すように、目的に応
じ、単独もしくは組み合わせて実施されるべきである。
また、ストリップ・シュラウドとサイドプレートは単独
でも用いるよりも、併用することによって最良の効果が
得られる。同じく、シール・スクレーパーも単独使用で
なくストリップ・シュラウドおよびフラッパーとの併用
が有効である。
【0022】
【表1】
【0023】
【実施例】以下、本発明を具体例に基づき詳説する。図
1において、ストリップ1は、スナウト4により大気と
接触することなく亜鉛浴8に浸漬し、浴8中のシンクロ
ール16により上方に方向転換され、上方に引き上げら
れる。なお、浴中の17、18はサポートロールであ
る。亜鉛浴8から引き上げられたストリップ1は、表裏
面側に対向配置されたワイピングノズル2、2によりス
トリップ1の表裏面に付着した過剰亜鉛を払拭するため
ガスジェットを噴射する。また、前記ワイピングノズル
2、2を覆い、当該部分を外気から閉塞するためのシー
ルボックス3が設けられている。前記シールボックス3
は、ストリップ1を挟んで対向的に配設された部材5
A、5Bによってストリップ1の通過部分にスリット状
の開口が形成され、かつ床に敷設されたベース基材7と
の間を前記部材5A、5Bから下方に垂れ下がる伸縮垂
れ壁6によって封鎖されている。
【0024】本具体例において、前記部材5A、5Bに
よって形成されたスリット状の開口に対して、ストリッ
プ・シュラウド9が設けられている。前記ストリップ・
シュラウド9は、図3に示されるように、ストリップ1
が挿通する筒体部9aと前記部材5A、5Bのスリット
開口方向に突出し、このスリット開口の所定範囲を塞ぐ
水平遮蔽板部9bとからなり図1および図2に示される
ように前記スリット部に対して配設される。
【0025】前記ストリップ・シュラウド9の上方縁開
口には、好ましくは図4に示されるフラッパー13が設
けられる。このフラッパー13は、ストリップ・シュラ
ウド9のストリップ板厚方向の開口幅を順次狭めるため
のもので、前記ストリップ・シュラウド9の上方縁開口
の長辺側に沿って、その全幅に渡り、向き合ってハ字状
に取付けられた可動板14、14が、シリンダー軸1
5、15の伸縮操作によって傾動自在となっている。な
お、出口の開口幅の調整は、ストリップ1の速度、シー
ルボックス3内の内圧上昇度に応じて適宜調整される。
【0026】さらに、前記伸縮垂れ壁6の下縁が当接す
る前記ベース基材7との間には、熱変形のためにどうし
ても隙間が生じ、外気の侵入を招くため、当該隙間部分
にシール・スクレーパ11を設けている。前記シール・
スクレーパ11は、図5または図6に示されるように、
内壁に沿って流れるガス流れの下流側の開口縁部、具体
的には、図5にように部材下方に流れる場合にはベース
基材7側、図6のように部材上方に向かって流れる場合
には伸縮垂れ壁6側に取付けられ、シールボックス3内
方に向かって突出し、かつその先端部が、ガス流れの方
向と逆方向に向いており、このガス流れの一部を掬い、
隙間部分に導流し、外部に排出する。なお、前記シール
・スクレーパ11は、当該隙間発生部分、もしくは発生
する可能性が有る部分の全長に渡って設けるのが望まし
い。また、シールボックス3内で各壁面によってガス流
の流れが異なる場合には、図7に示されるように、各辺
毎にシール・スクレーパ11の取付け側を任意に選択す
ればよい。
【0027】また、ワイピングノズル2部を通過するス
トリップ1の両側には、図2および図8に示されるよう
に、エッジ間に僅かの隙間Gを開けた状態で、サイドプ
レート10は配設されており、前記サイドプレート10
の側方縁位置は、少なくともワイピングノズル2の吹出
し口の端部位置より、さらに側方に位置する寸法のもの
としている。
【0028】かかる装置の下で、ストリップシュラウド
9とサイドプレート10の併用によるガス流の流れの改
善効果を図2の縦断面図に記入した。これは、実機の相
似模型による流体実験の結果であり、ストリップを含む
断面の流れを示す。図12に示される従来装置における
ガス流れとの比較の下で、明らかとなるように、本発明
装置の場合には、ストリップ1上のワイピングガスの流
れは、ワイピングノズル2、2の上部、下部方向ともに
ストリップ方向に沿った平行流となり、また図12中矢
印Cで示される外気侵入が無くなった。さらに、図11
に示したようなストリップエッジ部における流れの干渉
による渦流が無くなり、偏流の問題は完全に解消した。
【0029】(実施例)以下、本発明の効果をさらに実
施例により明らかにする。前述したストリップシュラウ
ド9、サイドプレート10、シールスクレーパ11、1
2およびフラッパー13を設備した連続溶融金属めっき
装置および比較のために従来装置による場合との2ケー
スについて溶融亜鉛めっき鋼板の製造を行い、めっき目
付量分布、浮遊ドロスの発生量、シールボックス内の到
達酸素濃度について比較を行った。
【0030】なお、めっき条件は、ストリップ幅;90
0mm、ストリップ走行速度;120m/min、目付量;4
5g/m2、ストリップシュラウド内法寸法;1400mm×60mm
×470 mm、サイドプレート寸法の上下幅;225mm・長
さ;490mm、サイドプレートとストリップのギャップ
G;1〜50mm、シールスクレーパ幅寸法;115mm、
フラッパー幅寸法;90mm、ワイピングノズルのスリッ
ト形状は平行、ワイピングノズルのガス供給圧;0.3
kg/cm2とした。
【0031】前記試験の結果、以下の結果が得られた。 (1)本発明のストリップシュラウド9とサイドプレー
ト10によりストリップ1上のワイピングガス流の流れ
が改善されることにより、ストリップ1の表面の亜鉛目
付量の分布は、図9に示されるように、従来例に比較し
て、エッジ・オーバーコートが無くなるとともに、幅方
向分布が格段に均一化した。また、ストリップ1の長手
方向についても、フラッパー13によりストリップ1の
走行が安定したことにより、目付量分布が安定化し、良
質なめっき鋼板の製造が可能となった。
【0032】(2)サイドプレート10によりストリッ
プ1のエッジスプラッシュの発生が抑制された結果、浮
遊ドロスの発生量は従来法の場合には0.7 kg/Hrであ
ったのに対し、本発明法では0.03 kg/Hrに減少でき
た。
【0033】(3)従来のたとえば特開平2−1077
52号公報にあるダミープレートの場合にはダミープレ
ートとストリップとの隙間はほとんど0(実際には1mm
以下)でなければ効果が無いのが実情であり、実際に
は、走行中に常時ダミープレートをストリップの振れに
追随させる必要があった。しかし、本発明法の場合に
は、フラッパー13によりストリップ1の振動が抑えら
れた結果、ストリップ1とサイドプレート10の隙間G
は35mmまで許容でき、ストリップの走行による前後左
右の振れに対し、追随させる必要がなくなった。
【0034】(4)シール性についてもシールボックス
内の到達酸素濃度を比較すると、従来法では6.3%あ
ったのに対し、本発明法では最低7ppm まで低下でき
た。また、従来法のごとく、シール用のガスを別途必要
としないため、その分だけ製造コストが低減できた。
【0035】
【発明の効果】以上詳説のとおり、本発明によれば、ス
トリップ面上のワイピングガス流れが改善されて整流化
され、またストリップの振動が抑制されて走行性が安定
化したため、ストリップの幅方向および長手方向の目付
量分布を均一することができ、もってビルトアップ等の
問題が解消される。また、ストリップからのエッジスプ
ラッシュの発生が抑制されるため、浮遊ドロスが減少さ
せることができる。さらに、別途のシール用ガスを要せ
ずして、シールボックス内への外気の侵入が防止され、
安定した非酸化性雰囲気での溶融めっきが可能となり、
高品質のめっき鋼板の安定製造と製造原価の低減が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の縦断面図である。
【図2】図1におけるA−A線縦断面図である。
【図3】本発明に係るストリップ・シュラウドの矢視図
である。
【図4】本発明に係るフラッパー部の縦断面図である。
【図5】本発明に係るシール・スクレーパの取付け例図
である。
【図6】本発明に係るシール・スクレーパの取付け例図
である。
【図7】本発明に係るシール・スクレーパの組合せ取付
け例図である。
【図8】本発明に係るサイドプレートの取付け部の矢視
図である。
【図9】実施例におけるストリップ幅方向の目付量分布
の結果を示す図である。
【図10】従来の連続溶融金属めっき装置の縦断面図で
ある。
【図11】ストリップエッジにおける攪乱流発生状況図
である。
【図12】従来のめっき装置におけるワイピングガス流
を示す図である。
【符号の説明】
1…ストリップ、2…ワイピングノズル、3…シールボ
ックス、5A・5B…部材、6…伸縮垂れ壁、7…ベー
ス基材、8…亜鉛浴、9…ストリップ・シュラウド、1
0…サイドプレート、11…シール・スクレーパ、13
…フラッパー、14…可動板

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融金属めっき浴から連続して引き上げら
    れる鋼帯の表面に付着した過剰溶融金属を除去するため
    に鋼帯を跨いで対向配置されたワイピングノズルと、少
    なくとも前記ワイピングノズルとワイピング位置近傍の
    鋼帯とを覆うシールボックスを備えた連続溶融金属めっ
    き装置において、 前記シールボックスの鋼帯出側のスリット状開口部
    に、ワイピングジェット流れに伴う水平誘引流を遮断す
    、前記鋼帯の表裏面および両エッジを取り囲み、かつ
    内寸法が前記ワイピングノズル幅以下のストリップ・シ
    ュラウドを設けるとともに、 鋼帯エッジの両側にこの鋼帯エッジとの間に隙間を開け
    た状態で配設され、かつ少なくともワイピングノズルの
    吹出し口端部よりも側方まで突出するとともに前記シー
    ルボックスに内装される寸法形状のサイドプレートを設
    けたことを特徴とする連続溶融金属めっき装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載のストリップ・シュラウド
    と、さらに前記ストリップ・シュラウドの上部開口縁に
    連続して、鋼帯板厚方向の開口幅を順次狭めシールボッ
    クスの内圧を制御するためのフラッパーを設けたことを
    特徴とする連続溶融金属めっき装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載のストリップ・シュラウドお
    よびサイドプレートを備え、さらに請求項2記載のフラ
    ッパーを備えたことを特徴とする連続溶融金属めっき装
    置。
  4. 【請求項4】溶融金属めっき浴から連続して引き上げら
    れる鋼帯の表面に付着した過剰溶融金属を除去するため
    に鋼帯を跨いで対向配置されたワイピングノズルと、少
    なくとも前記ワイピングノズルとワイピング位置近傍の
    鋼帯とを覆うシールボックスを備えた連続溶融金属めっ
    き装置において、 前記シールボックスの竪向きの壁の高さ方向中間におけ
    る内外が連通する水平方向に沿う隙間における、前記壁
    内面に沿うガス流れの下流側の開口縁部から、シールボ
    ックスの内方に突出しかつその先端部が、前記ガス流れ
    の方向と逆方向に向いた板状のシール・スクレーパを設
    け、このシール・スクレーパを案内体として前記ガス流
    れの一部を前記隙間を通して外部に排出するように構成
    したことを特徴とする連続溶融金属めっき装置。
  5. 【請求項5】請求項4記載のシール・スクレーパを備え
    る請求項1、請求項2または請求項3記載の連続溶融金
    属めっき装置。
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