以下、本発明の実施形態を図1〜図19を用いて説明する。本説明では、画像読取装置1を含む複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げて実施形態を説明する。但し、各実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(複合機100の構成の概要)
まず、図1を用い、実施形態に係る画像読取装置1を含む複合機100の概略を説明する。図1は複合機100の模型的断面図である。
図1に示すように、本実施形態の複合機100は上部に原稿カバー11を含む画像読取装置1が配される(詳細は後述)。又、画像読取装置1の前面に操作パネル2(破線で図示、出力設定部に相当)が設けられる。又、複合機100本体内には給紙部3、搬送部4、画像形成部5、定着部6等が設けられる。
図1に示すように、操作パネル2は複合機100の正面上方に設けられる。そして、操作パネル2は複合機100の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部21を備える。液晶表示部21は機能の選択、設定や文字入力等を行うためのキーを1又は複数表示できる。又、液晶表示部21の上面にタッチパネル部22(例えば、抵抗膜方式)が設けられる。タッチパネル部22は液晶表示部21で押された部分の位置、座標を抽出するためのものである。又、操作パネル2には、コピー等の各種機能の実行開始を指示するためのスタートキー23等、各種のハードキーも設けられる。そして、操作パネル2の液晶表示部21に表示された設定用の画面に対して操作を行うことにより、コピーに用いる用紙のサイズや、読み取りで得られた画像データの出力サイズを設定することができる。
給紙部3は複数の用紙(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ搬送部4に送り込む。搬送部4は給紙部3から排出トレイ41まで用紙を搬送する通路である。そして、搬送部4には、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラー対42、43や、搬送されてくる用紙を画像形成部5の手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせて用紙を送り出すレジストローラー対44等が設けられる。
画像形成部5は画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。そのため、画像形成部5は図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム51、及び、感光体ドラム51の周囲に配設された帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラー55、清掃装置56等を備える。
トナー像形成及び転写プロセスを説明する。感光体ドラム51は画像形成部5の略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する。帯電装置52は所定電位に感光体ドラム51を帯電させる。図1において、露光装置53は画像データに基づき、レーザ光を出力し、感光体ドラム51表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。尚、画像データは画像読取装置1で得られた画像データや、ネットワーク等により接続される外部のコンピューター200や相手方のFAX装置300(図5参照)から送信された画像データ等が用いられる。
そして、現像装置54は感光体ドラム51に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。転写ローラー55は感光体ドラム51に圧接し、ニップが形成される。そして、トナー像にあわせタイミングを図られつつ、用紙はニップに進入する。用紙進入時、転写ローラー55には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム51上のトナー像が転写される。清掃装置56は転写後に感光体ドラム51に残留するトナーを除去する。
定着部6は用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部6は主として発熱体を内蔵する加熱ローラー61と加圧ローラー62で構成される。加熱ローラー61と加圧ローラー62は圧接しニップを形成する。そして、用紙がこのニップを通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙(印刷済用紙)は排出トレイ41に排出される。このようにして、コピー機能、プリンタ機能の使用時、画像形成(印刷)が行われる。
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、実施形態に係る複合機100のハードウェア構成を説明する。図2は複合機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係る複合機100は、内部に主制御部7を有する。主制御部7は複合機100全体の制御を司る。例えば、主制御部7はCPU71、記憶部72等を含む。
CPU71は中央演算処理装置であって、記憶部72に格納され、展開される制御プログラムに基づき複合機100の各部の制御や演算を行う。記憶部72はROM、RAM、HDD、フラッシュROM等の記憶装置で構成される。記憶部72は複合機100の制御用プログラム、制御用データ、設定データ、画像読取装置1で原稿を読み取ることにより得られた画像データ等を記憶する。
そして、主制御部7は画像読取装置1、及び、複合機100内の給紙部3、搬送部4、画像形成部5、定着部6、操作パネル2等と接続され、記憶部72の制御プログラムやデータに基づき、適切に画像形成が行われるように各部の動作を制御する。
更に、主制御部7は各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップ等を備えたI/F部73と接続される。I/F部73はネットワークやケーブルや公衆回線等によりコンピューター200(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)や、相手方のFAX装置300と複合機100とを通信可能に接続する。例えば、設定データ等を含む画像データを外部のコンピューター200や相手方FAX装置300(インターネットFAXでもよい)と送受信に送信することができる(スキャナ機能、FAX機能)。又、外部のコンピューター200や相手方FAX装置300からの画像データを記憶部72に蓄積したり、印刷したりすることもできる(プリンタ機能、FAX機能)。
(画像読取装置1の概要)
次に、図3〜図6に基づき、実施形態に係る画像読取装置1を説明する。図3は画像読取装置1の一例を示す模型的断面図である。図4は移動機構15部分を拡大した拡大断面図である。図5は読取部13と原稿センサー14の移動させる部分の一例を上面から見た図である。図6は原稿センサー14のガイド部材158の一例を示す斜視図である。
本実施形態の画像読取装置1は複合機100に含まれる。そのため、図3は複合機100中の原稿カバー11と画像読取装置1のみを抽出し拡大した図である。そして、原稿カバー11は図3の紙面垂直方向の奥側に設けられた支点部11b(図9参照)により、画像読取装置1(複合機100)の前面側を振るようにして開閉可能である。原稿カバー11の下面には、原稿カバー11を閉じたときコンタクトガラス12部分を覆うように押さえる白色の原稿押さえ板11aが設けられる。そして、使用者は原稿カバー11を開けて、原稿をコンタクトガラス12に載せる。その後、使用者は原稿カバー11を閉じ、原稿を原稿カバー11(原稿押さえ板11a)で押さえる。
画像読取装置1は上面に透明板状のコンタクトガラス12を含む。画像読取装置1はコンタクトガラス12に載置された原稿に光を照射し、その反射光に基づき原稿を読み取って画像データを生成する。
そして、原稿の読み取りを行うため、画像読取装置1はCIS(Contact Image Sensor)方式のイメージセンサー13aを含む読取部13を備える。読取部13はコンタクトガラス12の下方に設けられる。読取部13は断面略U字状の筐体を有する。そして、筐体には上面の開口を閉じるように板状のガラスが取り付けられる。読取部13内には、紙面垂直方向(主走査方向)にのびるイメージセンサー13aが設けられる。イメージセンサー13aは複数の光電変換素子13c(受光素子)を主走査方向に沿って配列したラインセンサーである(図19参照)。本実施形態の読取部13では、A3サイズの用紙を読み取れるように、イメージセンサー13aはA3サイズの用紙の主走査方向に平行な辺よりも長い。尚、イメージセンサー13aは白黒の読み取りとカラーでの読み取りにも対応している。(複数本のラインセンサーを含む)。
読取部13の内部には、原稿に光を照射するランプ13b(例えば、LEDランプや冷陰極管等、図7参照)や、原稿からの反射光をイメージセンサー13aに導くレンズ(例えば、ロッドレンズアレイ)が設けられる。尚、本実施形態の画像読取装置1では、読取部13にCIS方式のイメージセンサー13aを含む例を説明するが、内部にランプやレンズやミラーやCCDイメージセンサーを含めてユニット化した縮小光学系の読取部を用いてもよい。
イメージセンサー13aの主走査方向での各光電変換素子13c(受光素子)は1ラインの読み取りに応じ、電圧(電流)を出力し、光電変換素子13c(受光素子)に基づき1ライン分の画像データが生成される。そして、読み取りを副走査方向に1ラインずつ行うことで、1ページ分の原稿の読み取りが行われる。
又、イメージセンサー13aの下方には原稿センサー14が設けられる。原稿センサー14は原稿センサー14の上方に原稿が存在するときと、存在しないときで出力が変化するセンサーである。例えば、原稿センサー14には、反射型の光センサーが用いられる。
図5に示すように読取部13(イメージセンサー13a)は副走査方向に移動される。本実施形態の画像読取装置1では、図5に示すように、原稿の読み取りのとき、読取部13はコンタクトガラス12の左から右側に向けて移動する。又、原稿センサー14は主走査方向と副走査方向に対し、斜め方向に移動される。具体的に、原稿センサー14は画像読取装置1(複合機100)の左正面側から右背面側方向に移動される。
そして、読取部13と原稿センサー14を移動させるために、画像読取装置1内には移動機構15が設けられる。そこで、図4と図5を用いて、移動機構15のうち、読取部13(イメージセンサー13a)を移動させる読取部移動機構151を説明する。
図4に示すように、イメージセンサー13aを移動させるための駆動源としてモーター153が設けられる。モーター153は正逆回転可能である。又、例えば、モーター153にはステッピングモーターが用いられる。そして、モーター153の回転軸には駆動伝達ギア154が接続される。駆動伝達ギア154に対して、第1電磁クラッチ155(第1クラッチに相当)が接続される。第1電磁クラッチ155のON/OFFにより、モーター153からの駆動力の伝達と遮断を切り換えることができる。これにより、モーター153を回転させた状態で、読取部13(イメージセンサー13a)を移動させることもできるし、読取部13を移動させないようにすることもできる。
第1電磁クラッチ155には第1ローラー155aが接続される。第1ローラー155aは主走査方向を軸線方向とし、コンタクトガラス12の左端位置よりも左側(外側)の位置に設けられる。又、第1ローラー155aと軸線方向が平行であり、コンタクトガラス12の右端よりも右側に第2ローラー155bが設けられる。そして、第1ローラー155aと第2ローラー155bには2本のベルト155cが張られる。2本のベルト155c上に読取部13(イメージセンサー13a)が取り付けられる。
モーター153を回転させ、第1電磁クラッチ155を連結状態とすることにより、第1ローラー155aが回転する。この第1ローラー155aの回転にあわせ、各ベルト155cが周回し、第2ローラー155bが従動する。これにより、読取部13(イメージセンサー13a)をコンタクトガラス12の左端と右端間で、副走査方向に移動させることができる。又、モーター153の回転方向を変えることにより、読取部13を右側から左側に向けて移動させることもできるし、左側から右側に向けて移動させることもできる。
次に、図4と図5を用いて、移動機構15のうち、原稿センサー14を移動させる原稿センサー移動機構152を説明する。
まず、図4に示すように、イメージセンサー13aだけで無く、原稿センサー14を移動させるための駆動源としてもモーター153が用いられる。言い換えると、イメージセンサー13aの移動と原稿センサー14の移動のために、用いられる駆動原はモーター153の1つのみである。そして、原稿センサー移動機構152には、第2電磁クラッチ156(第2クラッチに相当)、第2ギア群157、プーリー157a、第2ベルト157b、ガイド部材158等が含まれる。
モーター153の回転軸に接続される駆動伝達ギア154には、第2電磁クラッチ156が接続される。第2電磁クラッチ156のON/OFFにより、モーター153の駆動力の伝達と遮断を切り換えることができる。これにより、モーター153を回転させた状態で、原稿センサー14を移動させることもできるし、原稿センサー14が移動しないようにすることもできる。
第2電磁クラッチ156には第2ギア群157が接続される。例えば、第2ギア群157はカサ歯ギアの組み合わせであり、原稿センサー14の移動方向に沿って、回転の軸方向を主走査方向と平行な方向から斜め方向に変えるためのギア群である。そして、ギア群から一方のプーリー157aに駆動力が伝達される。そして、2つのプーリー157aには第2ベルト157bが張られる。この第2ベルト157bに原稿センサー14が後述の原稿センサー載置板14aを介して連結される。
図4、図6に示すように、画像読取装置1の内部の下方(読取部13の下方)には、原稿センサー14の移動をガイドするガイド部材158が設けられる。本実施形態の画像読取装置1では、原稿センサー14は板状の原稿センサー載置板14aの上方に設けられる。図5に示すように、ガイド部材158は主走査方向及び副走査方向に対し斜めに配置される。又、図6に示すように、ガイド部材158は開口部分を下方に向けた断面が略逆U字状の載置台158aと、開口部分を上方に向けた断面が略C字状のガイドレール158bとを組み合わせた部材である。さらに詳しくは、載置台158aは、水平に配置された板状の上壁158cと、該上壁158cの水平方向両端から下方に向かって延びる2つの板状の側壁158dとを有する。また、ガイドレール158bは、水平に配置された板状の下壁158eと、該下壁158eの水平方向両端から上方に向かって延びる2つの板状の側壁158fと、該両側壁158fのそれぞれの上端から水平方向内方に向かって延びる2つの上壁158gとを有する。そして、図6に示すように、ガイドレール158bに原稿センサー載置板14aがはめ込まれる。又、ガイドレール158b及び載置台158aの下方にベルト157bが通される。
モーター153を回転させ、第2電磁クラッチ156を連結状態とすることにより、各プーリー157aが回転する。この各プーリー157aの回転にあわせ、第2ベルト157bが周回する。これにより、原稿センサー14をコンタクトガラス12の左端と右端間(ガイド部材158の一方の端部から他方の端部までの間)で移動させることができる。言い換えると、原稿センサー14を主走査方向、副走査方向に対し、斜め方向で移動させることができる。又、モーター153の回転方向を変えることにより、原稿センサー14を斜め左下側から斜め右上側に向けて移動させることもできるし、斜め右上側から斜め左下側に向けて移動させることもできる。
尚、本実施形態では、画像読取装置1の奥側を上、正面側を下としたとき、ガイド部材158を斜め左下から斜め右上にかけて設け、原稿センサー14を斜め左下と斜め右上間で移動させる例を説明する。しかし、画像読取装置1の奥側を上、正面側を下としたとき、原稿センサー14を斜め左上と斜め右下間で移動させるため、ガイド部材158を斜め左上から斜め右下にかけて設けるようにして、ガイド部材158を主走査方向及び副走査方向に対し斜めに配置してもよい。
(画像読取装置1のハードウェア構成と画像データの生成)
次に、図7に基づき、実施形態に係る画像読取装置1のハードウェア構成と画像データの流れを説明する。図7は画像読取装置1の一例を示すブロック図である。尚、図7では、画像データの流れを白抜矢印で図示している。
画像読取装置1には読取制御部10(認識部に相当)が設けられる。読取制御部10はCPU10a、チップ等の各種電子部品が実装された基板である。例えば、読取制御部10内に、記憶部10bが設けられる。例えば、記憶部10bは画像読取装置1の制御のためのプログラムやデータを記憶する。そして、読取制御部10は複合機100本体の主制御部7と通信可能に接続される。操作パネル2のスタートキー23が押された場合など原稿の読み取りを行う場合、主制御部7は読取制御部10に原稿読み取りの指示を与える。読取制御部10は主制御部7の指示を受け画像読取装置1の制御を行う。
例えば、原稿サイズ検知(詳細は後述)や原稿の読み取りを行うとき、読取制御部10はモーター153を所定の速度で回転させる。そして、読取制御部10は原稿の読み取り開始前に第2電磁クラッチ156を連結状態とし、原稿サイズ検知のため原稿センサー14を移動させる。又、読取制御部10は原稿サイズ検知の後、第1電磁クラッチ155を連結状態とし、読取部13を移動させ、原稿の読み取りを読取部13に行わせる。
尚、画像読取装置1内には、読取部13(イメージセンサー13a)がホームポジションにあることを検知するためのホームポジション検知センサー10cが設けられる。コンタクトガラス12の左端から読み取りを行えるように、例えば、ホームポジションはコンタクトガラス12の下方であって、コンタクトガラス12の左端よりも左側に設けられる。そして、読取部13をコンタクトガラス12の右側方向に移動させて、原稿の読み取りを行った後、読取制御部10はモーター153を逆回転させ、読取部13をホームポジションに戻す。
ホームポジション検知センサー10cは読取部13の存在を検知しているか否かによって出力レベルが変化するセンサーである。例えば、ホームポジション検知センサー10cは反射型の光センサーである。そして、ホームポジション検知センサー10cの出力は読取制御部10に入力される。読取制御部10はホームポジション検知センサー10cの出力を確認して、読取部13がホームポジションに戻ってきたかを認識する。
又、原稿の読み取りのとき、読取制御部10は読取部13を制御する。原稿の読み取りのとき、読取制御部10は読取部13に含まれるランプ13bを点灯させる。又、読取制御部10は読取部13に含まれるイメージセンサー13aを駆動させる。イメージセンサー13aの各光電変換素子13c(受光素子)から出力されたアナログデータは画像処理部16に入力される。
画像読取装置1内に設けられる画像処理部16には、A/D変換部16a、補正部16b、画像メモリー16cなどを設けることができる。A/D変換部16aはイメージセンサー13aの各光電変換素子13cのアナログ出力(アナログ出力電圧)をディジタル値に変換する。補正部16bはシェーディング補正やγ補正など、各ランプ13bの光量分布のムラや、各光電変換素子13cの個体差など、各受光素子の位置に依存する歪みの補正等、各種の補正を画像データに対して施す。
そして、補正部16bが処理した画像データは画像メモリー16cに格納される。例えば、画像メモリー16cは原稿のページ単位又は原稿のページを複数に分割した短冊上のブロック単位(バンド単位)で本体側の記憶部72(例えば、RAM)に画像データを出力する。
記憶部72に格納された画像データは、本体の画像処理部8に入力される。本実施形態の画像処理部8は画像データに関する演算や作業領域としてのワークRAMや専用回路としてのASIC等を組み合わせて構成される回路である。尚、主制御部7のCPU71や記憶部72に画像処理プログラムを格納してソフトウェア的に画像処理部8を実現することもできる。
画像処理部8は、濃度変換処理や、拡大縮小処理、画像データのデータ形式(ファイル形式)変換処理等、各種画像処理を行うことができる。しかし、実行可能な画像処理は多岐にわたる。そのため、本説明では、画像処理部8は公知の画像処理を行えるものとして、画像処理部8が実行可能な画像処理の詳細な説明は割愛する。
そして、例えば、画像処理部8が画像処理を施した後の画像データは、画像形成部5の露光装置53に送られ、各感光体ドラム51の走査・露光に用いられる。これにより、原稿に基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。又、例えば、画像処理部8が画像処理を施した後の画像データを記憶部72に送り、記憶部72に記憶させておくこともできる(スキャナ機能)。あるいは、画像処理部8が画像処理を施した後の画像データをI/F部73を介し、外部のコンピューター200やFAX装置300に送信することもできる(送信機能)。
(原稿サイズ検知の概要)
次に、図8、図9を用いて、本実施形態の画像読取装置1での原稿サイズ検知処理の概要を説明する。図8は原稿サイズ検知に関する説明図である。尚、図8では原稿カバー11や読取部13などの図示を省略している。図9は画像読取装置1の原稿カバー11を開けた状態の一例を示す正面図である。
まず、図8に示すように、読取対象としての原稿が載置されるコンタクトガラス12が設けられる。上述のように、コンタクトガラス12の下方の読取部13(図3、図4等参照。図8では便宜上、図示を省略)がコンタクトガラス12に載置された原稿(例えば、矩形状)を読み取る。
本実施形態の画像読取装置1では、コンタクトガラス12に原稿を載置する基準点P0が設けられる。基準点P0はコンタクトガラス12の主走査方向での中央、かつ、副走査方向での左端の位置とされる(図8において、コンタクトガラス12の主走査方向での中央のラインを2点鎖線で図示)。図8に示すように、使用者は原稿の左端(副走査方向での左端縁)をコンタクトガラス12の左端位置にあわせるとともに、原稿の主走査方向での中央を基準点P0に合わせるようにして、原稿をコンタクトガラス12に載置する。尚、原稿の主走査方向の中央と基準点P0をあわせやすくするために、定型サイズの用紙の上下方向の位置を示す印を画像読取装置1に付してもよい(例えば、コンタクトガラス12の左側に付す)。あるいは、原稿を図8の上下方向(主走査方向)で挟み、基準点P0を中心として主走査方向でスライドして原稿を挟むことにより原稿の主走査方向の中央と基準点P0を合わせるガイド部材17を設けてもよい(図8に一例を図示)。本実施形態ではコンタクトガラス12の主走査方向の中心に基準点P0を設ける例を説明する。
しかし、基準点P0をコンタクトガラス12の左上隅としてもよい(この場合の原稿載置の一例を図8において、破線で図示)。この場合、使用者はコンタクトガラス12の左上隅と原稿の左上隅を合わせるようにして原稿をコンタクトガラス12に載置する。但し、原稿センサー14が原稿の副走査方向と平行な辺(図8中の原稿の長辺)及び主走査方向と平行な辺(図8中の原稿の短辺)をより確実に通過するようするため、基準点P0は、コンタクトガラス12の主走査方向の中心に設けることが好ましい。
更に、上述したように、読取部13の下方には、原稿の存在を検知しているときと検知していないときの出力レベルが異なる原稿センサー14と、原稿センサー14を主走査方向や副走査方向に対し、斜め方向に移動させる原稿センサー移動機構152が設けられる(図3、図4等参照。図8では便宜上、図示を省略)。
図8に示すように、原稿センサー移動機構152はコンタクトガラス12の左下隅と右上隅を結ぶラインに沿って原稿センサー14を移動させる。なお、原稿センサー14を移動させるうえでの主走査方向や副走査方向に対する角度、方向は上記の例に限られない。例えば、コンタクトガラス12の左上隅と右下隅を結ぶラインに沿って原稿センサー14を移動させてもよい。又、必ずしもコンタクトガラス12の隅と隅を結ぶラインに沿って原稿センサー14を移動させる必要はなく、例えば、左下隅から上方に任意の距離だけ離れた点と右上隅から下方に任意の距離だけ離れた点を結ぶラインに沿って原稿センサー14を移動させるようにしてもよい。言い換えると、原稿センサー移動機構152は原稿センサー14の検知域がコンタクトガラス12に載置された原稿の副走査方向と平行な辺(図8中の原稿の長辺)と主走査方向と平行な辺(図8中の原稿の短辺)とコンタクトガラス12との境界(境目)を通過するように、原稿センサー14を主走査方向と副走査方向に対して斜め方向に移動させるものであればよい。
そして、原稿センサー14の移動においては、2つの基準位置(第1基準位置P1と第2基準位置P2)が設けられる(図8において、黒点で基準位置を例示)。原稿サイズ検知を行うとき、原稿センサー14はいずれかの基準位置から移動を開始する。
例えば、第1基準位置P1は原稿センサー14の検知域がコンタクトガラス12の左端(左下隅)の位置となる位置とされる。尚、第1基準位置P1は、コンタクトガラス12の左端よりも更に左側(コンタクトガラス12に対して外側)としてもよい。
又、例えば、第2基準位置P2は原稿センサー14の検知域がコンタクトガラス12の右端(右上隅)の位置となる位置とされる。尚、第2基準位置P2は、コンタクトガラス12の右端よりも更に右側(コンタクトガラス12に対して外側)としてもよい。
ここで、原稿センサー14の移動範囲の端部には、終端部18が設けられる。終端部18は移動する原稿センサー14が読み取ると出力波形が特定パターンとなるように形成される。図8では、終端部18として、原稿センサー14の移動経路を横切るように3本の隙間(開口)を設けた例を示している。原稿センサー14が図8に示す終端部18を読み取ると、一定間隔で原稿センサー14の出力レベルが切り替わり、原稿センサー14の出力波形は特定のパターンとなる。
尚、終端部18は移動する原稿センサー14が読み取ると、特定パターンの出力波形となるもの(移動範囲の終端に到ったことを認識できるもの)であればよく、隙間でなくてもよい。例えば、終端部18は原稿センサー14が照射する光を乱反射させる部材を一定間隔で貼り付けたものでもよいし、線状の黒色のシールを一定間隔で貼り付けたものや、黒色塗料で描かれた線を一定間隔で設けたものなどでもよい。
図7に示すように、原稿センサー14の出力は読取制御部10に入力される。これにより、読取制御部10は原稿センサー14の出力レベルを認識する。そして、読取制御部10は移動させている原稿センサー14から特定パターンが出力されたことを認識し、原稿センサー14の移動範囲の終端に到ったことを認識する。そして、モーター153を停止させるか、第2電磁クラッチ156を解放状態とすることにより、読取制御部10は移動機構15による原稿センサー14の移動範囲の端部方向への移動を停止させる。
そして、終端部18よりも予め定められた長さだけ内側に基準位置が定められる。具体的に、第1基準位置P1は原稿センサー14の移動範囲の左側の端部から予め定められた長さだけ内側に設定される。第2基準位置P2は原稿センサー14の移動範囲の右側の端部から予め定められた長さだけ内側に設定される。
そのため、読取制御部10は原稿センサー14から特定パターンが出力されたことを認識すると、移動機構15に原稿センサー14の移動方向を逆転させ、原稿センサー14を最も近い基準位置(第1基準位置P1又は第2基準位置P2)で停止させる。
次に、本実施形態での原稿サイズ検知の処理について説明する。まず、本実施形態の原稿センサー14は原稿(用紙)の存在を検知しているときと、検知していないときとで、出力レベルが変化する。例えば、本実施形態の原稿センサー14は原稿の存在を検知しているとき(原稿センサー14の上方に原稿があるとき)、Highレベルを出力する。一方、本実施形態の原稿センサー14は原稿の存在を検知していないとき(原稿センサー14の上方に原稿がないとき)、Lowレベルを出力する。尚、HighとLowの論理は逆でもよい。
そして、本実施形態の原稿センサー14は移動する。そして、図8に示すように、原稿センサー14の出力レベルが切り替わる位置は原稿の辺(端縁、エッジ)の位置となる。従って、読取制御部10は原稿センサー14の出力レベルが変化したときの基準位置からの原稿センサー14の移動量に基づき、コンタクトガラス12に載置された原稿の主走査方向と副走査方向の長さの両方を認識することができる。このように、原稿センサー14は移動範囲を往復させる必要はなく、片道分移動させれば、原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さを正確に検知することができる。
具体的に、原稿センサー14の移動範囲の両端部に、原稿センサー14の出力波形が特定パターンとなるように終端部18が設けられ、それぞれの終端部18よりも予め定められた長さだけ内側に基準位置として、第1基準位置P1と第2基準位置P2が設けられる。そして、第1基準位置P1に原稿センサー14がある状態から原稿サイズ検知を行うとき、移動機構15は原稿センサー14を第2基準位置P2方向に移動させ、読取制御部10は原稿センサー14の出力レベルが変化したときの第1基準位置P1からの原稿センサー14の移動量に基づき原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さの両方を認識し、その後、原稿センサー14を第2基準位置P2で停止させる。又、第2基準位置P2に原稿センサー14がある状態から原稿サイズ検知を行うとき、移動機構15は原稿センサー14を第1基準位置P1方向に移動させる。そして、読取制御部10は原稿センサー14の出力レベルが変化したときの第2基準位置P2からの原稿センサー14の移動量に基づき原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さの両方を認識し、その後、原稿センサー14を第1基準位置P1で停止させる。
ここで、上述のように、原稿センサー14を移動させて、原稿センサー14の出力レベルの変化に基づき、原稿サイズ検知が行われる。しかし、原稿センサー14は反射型光センサーであり、原稿押さえ板11aは白色なので、原稿カバー11を倒した状態で原稿センサー14を移動させたとき、原稿の辺(端縁、エッジ)の位置で原稿センサー14の出力レベルが明確に切り替わらない場合がある。
そこで、図9に示すように、原稿押さえ板11aには、原稿押さえ板11aが原稿を押さえた状態としたときに原稿センサー14の検知域の移動の軌跡に応じた位置に、原稿センサー14への光の反射を抑える反射抑制部11cが設けられる。具体的には、本実施形態の反射抑制部11cは溝である。言い換えると、本実施形態の原稿押さえ板11aには溝が設けられている。尚、反射抑制部11cは溝とは限らず、白色以外(例えば、黒色)のシールや塗料でもよく、原稿の端縁を検知したこと(読み取ったこと)が、原稿センサー14の出力レベルの変化として現れるものであればよい。
(第1基準位置P1から第2基準位置P2に向けて原稿センサー14を移動させるときの原稿サイズ検知)
次に、図10〜図12を用いて、第1基準位置P1から第2基準位置P2に向けて原稿センサー14を移動させるときの原稿サイズ検知の処理を説明する。図10はコンタクトガラス12にLedgerサイズの原稿を載置した状態の一例を示す。図11はコンタクトガラス12にStatementサイズの原稿を載置した状態の一例を示す。図12はモーター153に入力したクロック数と原稿の各走査方向の長さとの対応の一例を示す説明図である。
本実施形態の原稿センサー14は用紙の存在を検知しているときHighレベルとなり、用紙の存在を検知していないときLowレベルとなる。そのため、図10、図11に示すように、第1基準位置P1から第2基準位置P2に向けて原稿センサー14を移動させると、原稿センサー14の出力レベルはLow→High(原稿の下側の辺の検知)→Low(原稿の右側の辺の検知)と変化する。
そして、図10、図11に示すように、Ledgerサイズ(17inch×11inch)の原稿に対し、Statementサイズ(5.5inch×8.5inch)の原稿は小さいので、移動開始からHighレベルとなるまでの時間が長くなる。又、HighレベルとなってからLowレベルに立ち下がるまでの時間は早くなる。このように、原稿のサイズによって、原稿センサー14の出力レベルが変化する時点が変わる。
ここで、本実施形態のモーター153はステッピングモーターである。そして、読取制御部10はクロック信号をモーター153に入力することにより、モーター153を回転させる。そして、1クロック信号あたりのモーター153の回転角度(回転量)は仕様上決まっている。そのため、1クロックあたりの原稿センサー14の主走査方向での移動量も、副走査方向での移動量も決まっている。
従って、原稿センサー14の第1基準位置P1からの移動開始から原稿センサー14の出力レベルが変化したときまでのモーター153に入力したクロック数に基づき、読取制御部10は第1基準位置P1に対する原稿の辺(端縁、エッジ)の位置を求めることができる。そして、原稿の辺(端縁、エッジ)の位置を求めることにより、読取制御部10は原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さを求めることができる。言い換えると、移動開始から原稿センサー14の出力レベル変化までのクロック数のカウント値(累積値)は第1基準位置P1からの原稿センサー14の移動量を示す値である。
1クロックあたりの原稿センサー14の主走査方向での移動距離をA[mm]とする。又、1クロックあたりの原稿センサー14の副走査方向での移動距離をB[mm]とする。又、原稿センサー14のコンタクトガラス12の左側の端縁での検知位置から基準点P0までの距離をC[mm]とする。又、第1基準位置P1からコンタクトガラス12の左側の端までの主走査方向での距離をD1[mm]とし、副走査方向での距離をD2[mm]する(本実施形態のように、コンタクトガラス12の左隅と原稿センサー14の検知域が一致するように第1基準位置P1を定めた場合、D1=D2=0)。又、第1基準位置P1からの移動開始から原稿の副走査方向に平行な辺を検知したとき(LowからHighに変化した時点)までにモーター153に入力したクロック数をEとする。又、第1基準位置P1からの移動開始から原稿の主走査方向と平行な辺(右側)を検知したとき(High→Lowに変化した時点)までにモーター153に入力したクロック数をFとする。
そうすると、原稿の主走査方向での長さは以下のように求めることができる。
主走査方向の長さ=2×(C−((A×E)−D1))。
ここで、上記の式での変数はEのみであるから、主走査方向の長さは1次の関数として求められ、基準位置からの原稿センサー14の移動開始から、LowからHighに変化した時点までのクロック数に応じ、線形に変化する。
又、同様に、原稿の副走査方向での長さは以下のように求めることができる。
副走査方向の長さ=(B×F)−D2
ここで、上記の式での変数はFのみであるから、副走査方向の長さはクロック数に対する1次の関数として求められ、基準位置からの原稿センサー14の移動開始から、原稿センサー14がHighからLowに変化した時点までのクロック数に応じ、線形に変化する。
従って、第1基準位置P1から原稿センサー14を第2基準位置P2に向けて移動させたとき、第1基準位置P1からの原稿センサー14の移動開始から原稿センサー14の出力レベル変化までのモーター153に入力したクロック数のカウント値と、原稿の主走査方向での長さと副走査方向での長さは一対一で対応する関係となる。そこで、図12に示すように、第1基準位置P1から第2基準位置P2に向けて、原稿センサー14の移動開始から出力レベルが変化するまでのクロック数に対する原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さの対応関係を示すテーブルを予め定めておき、テーブルを用いて、読取制御部10は簡易、迅速に原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さを求めることもできる。例えば、上記のテーブルは記憶部10bに記憶させておけばよい。
(第2基準位置P2から第1基準位置P1に向けて原稿センサー14を移動させるときの原稿サイズ検知)
次に、図13〜図15を用いて、第2基準位置P2から第1基準位置P1に向けて原稿センサー14を移動させるときの原稿サイズ検知の処理を説明する。図13はコンタクトガラス12にLedgerサイズの原稿を載置した状態の一例を示す。図14はコンタクトガラス12にStatementサイズの原稿を載置した状態の一例を示す。図15はモーター153に入力したクロック数と原稿の各走査方向の長さとの対応の一例を示す説明図である。
図13、図14に示すように、第2基準位置P2から第1基準位置P1に向けて原稿センサー14を移動させると、原稿センサー14の出力レベルはLow→High(原稿の右側の辺の検知)→Low(原稿の下側の辺の検知)と変化する。
そして、図13、図14に示すように、Ledgerサイズ(17inch×11inch)の原稿に対し、Statementサイズ(5.5inch×8.5inch)の原稿は小さいので、移動開始からHighレベルとなるまでの時間が長くなる。又、HighレベルとなってからLowレベルに立ち下がるまでの時間は早くなる。このように、原稿センサー14を第2基準位置P2から第1基準位置P1に向けて移動させたときも、原稿のサイズによって、原稿センサー14の出力レベルが変化する時点が変わる。
ここで、上述のように、本実施形態のモーター153はステッピングモーターであり、1クロック信号あたりのモーター153の回転角度(回転量)は仕様上決まっている。そのため、1クロックあたりの原稿センサー14の主走査方向での移動量も、副走査方向での移動量も決まっている。
従って、原稿センサー14の第2基準位置P2からの移動開始から原稿センサー14の出力レベルが変化したときまでのモーター153に入力したクロック数に基づき、読取制御部10は第2基準位置P2に対する原稿の辺(端縁、エッジ)の位置(距離)を求めることができる。そして、読取制御部10は原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さを求めることができる。言い換えると、移動開始から原稿センサー14の出力レベル変化までのクロック数のカウント値(累積値)は第2基準位置P2からの原稿センサー14の移動量を示す値である。
1クロックあたりの原稿センサー14の主走査方向での移動距離をA[mm]とする。又、1クロックあたりの原稿センサー14の副走査方向での移動距離をB[mm]とする。又、コンタクトガラス12の主走査方向での長さをG[mm]とする。又、コンタクトガラス12の副走査方向での長さをH[mm]とする。又、第2基準位置P2からコンタクトガラス12の右側の端までの主走査方向での距離をJ1[mm]とし、副走査方向での距離をJ2[mm]する(本実施形態のように、コンタクトガラス12の右隅と原稿センサー14の検知域が一致するように第2基準位置P2を定めた場合、J1=J2=0)。又、第2基準位置P2からの移動開始から原稿の副走査方向に平行な辺を検知したとき(High→Lowに変化した時点)までにモーター153に入力したクロック数をKとする。又、第2基準位置P2からの移動開始から原稿の主走査方向と平行な辺(右側)を検知したとき(LowからHighに変化した時点)までにモーター153に入力したクロック数をLとする。又、原稿の下側の辺(端縁、エッジ)からコンタクトガラス12の下側の端までの長さをM[mm]とする。
そうすると、原稿の主走査方向の長さは以下のように求めることができる。
M=G−((A×K)−J1))。
原稿の主走査方向の長さ=G−2M
ここで、上記の式での変数はKのみであるから、主走査方向の長さはクロック数に対する1次の関数として求められ、第2基準位置P2からの原稿センサー14の移動開始から、HighからLowに変化した時点までのクロック数に応じ、線形に変化する。
又、同様に、原稿の副走査方向での長さは以下のように求めることができる。
副走査方向の長さ=H−((B×L)−J2)
ここで、上記の式での変数はLのみであるから、副走査方向の長さはクロック数に対する1次の関数として求められ、基準位置からの原稿センサー14の移動開始から、原稿センサー14がHighからLowに変化した時点までのクロック数に応じ、線形に変化する。
従って、第2基準位置P2から原稿センサー14を第1基準位置P1に向けて移動させたときでも、第2基準位置P2の移動開始からモーター153に入力したクロック数のカウント値と、原稿の主走査方向での長さと副走査方向での長さは一対一で対応する関係となる。そこで、図15に示すように、第2基準位置P2から第1基準位置P1に向けて、原稿センサー14の移動開始から出力レベルが変化するまでのクロック数(カウント数)に対する原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さの対応関係を示すテーブルを予め定めておき、テーブルを用いて、読取制御部10は簡易、迅速に原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さを求めることもできる。例えば、上記のテーブルは記憶部10bに記憶させておけばよい。
(主電源投入時の制御)
次に、図2、図16を用いて、主電源投入時の画像読取装置1での原稿センサー14の位置制御の一例を説明する。図16は主電源投入時の画像読取装置1での原稿センサー14の位置制御の一例を示すフローチャートである。
まず、図2に示すように、本実施形態の複合機100、画像読取装置1には電源装置9が設けられる。電源装置9は商用電源から電力の供給を受ける。そして、電源装置9は整流回路や昇圧回路や降圧回路や平滑回路などを含み、電力変換を行う。電源装置9は複合機100や画像読取装置1を動作させるのに必要な電圧を生成する。例えば、複合機100や画像読取装置1に設けられる電動機(モーター153等)を回転させるのに必要なDC24Vや、複合機100や画像読取装置1内の基板や素子や回路を動作させるために必要なDC5V、3.3V、2.5V、1.8V等の電圧を生成する。画像読取装置1や複合機100は電源装置9から電力の供給を受け、動作する。
そして、図2示すように、複合機100(画像読取装置1)には主電源の投入と遮断を行うためのメインスイッチ9sが設けられる。例えば、メインスイッチ9sは機械式のスイッチであり、操作することにより、使用者は主電源のON/OFFを行える。例えば、メインスイッチ9sは複合機100の側面などに設けられる。例えば、メインスイッチ9sをON状態とすれば、電源装置9に電力が供給され、OFF状態とすれば電源装置9への電力供給が遮断される。
ここで、上述のように、原稿サイズ検知が終了すると、次の原稿サイズ検知に備えて、本実施形態の画像読取装置1では、原稿センサー14は第1基準位置P1又は第2基準位置P2で待機する。しかし、原稿サイズ検知中に(原稿センサー14の移動中に)、停電や、電源コードの引き抜き等によって、複合機100や画像読取装置1への電力供給が遮断されることもある。従って、主電源投入時、原稿センサー14が第1基準位置P1にない場合がある。
そこで、本実施形態の画像読取装置1では、主電源の投入があると、読取制御部10は原稿センサー14を第1基準位置P1にセットするための処理を行う。具体的には、メインスイッチ9sにより画像読取装置1の主電源が投入されたとき、移動機構15は原稿センサー14を第1基準位置P1側の終端部18方向に移動させ、読取制御部10は原稿センサー14から特定パターンが出力されたことを認識すると、原稿センサー14の移動方向を逆転させ、原稿センサー14を第1基準位置P1で停止させる。図16を用いて、この主電源投入時の原稿センサー14の位置制御の一例を説明する。
まず、図16のスタートは、メインスイッチ9sにより、複合機100(画像読取装置1)の主電源が投入され、読取制御部10に電力供給が開始され、読取制御部10のCPU10aや記憶部10b等の起動が完了した時点である。
そして、読取制御部10は原稿センサー14を駆動させる(ステップ♯11)。そして、読取制御部10はモーター153を回転させ、第2電磁クラッチ156を連結状態とし、原稿センサー移動機構152により、原稿センサー14を第1基準位置P1の端部方向に移動させる(ステップ♯12)。そして、読取制御部10は原稿センサー14の出力に基づき、原稿センサー14が終端部18に到達したか否か(原稿センサー14から特定パターンが出力されたか否か)を確認する(ステップ♯13)。もし、原稿センサー14が終端部18に到達していなければ(ステップ♯13のNo)、フローはステップ♯12に戻る。
一方、原稿センサー14が終端部18に到達したのであれば(ステップ♯13のYes)、読取制御部10はモーター153を逆回転させ、予め定められた距離だけ第2基準位置P2方向に移動させ、原稿センサー14を第1基準位置P1に停止させる(ステップ♯14)。
そして、読取制御部10は移動開始からクロック信号をカウントし、第1基準位置P1から第2基準位置P2方向に向けて、原稿センサー14を移動させる(ステップ♯15)。又、読取制御部10は移動開始から原稿センサー14の出力レベル変化時までにモーター153に入力したクロック数を認識する(ステップ♯16)。次に、読取制御部10は原稿センサー14の出力に基づき、原稿センサー14が第2基準位置P2側の終端部18に到達したか否か(原稿センサー14から特定パターンが出力されたか否か)を確認する(ステップ♯17)。第2基準位置P2側の終端部18に到達していなければ(ステップ♯17のNo)、フローはステップ♯15に戻る。
一方、第2基準位置P2側の終端部18に到達していれば(ステップ♯17のYes)、読取制御部10は原稿センサー14及びモーター153を停止させる(ステップ♯18)。そして、読取制御部10は原稿センサー14の出力レベルの変化のあったときの原稿センサー14の移動開始からのクロック数に基づき、コンタクトガラス12での原稿の有無と、原稿がある場合、原稿サイズを認識する(ステップ♯19)。例えば、原稿を置いたままにしている場合や、原稿をコンタクトガラス12に置いてからメインスイッチ9sにより複合機100の主電源を投入する場合もあるためである。尚、原稿センサー14の移動開始から原稿センサー14の出力レベルに大きな変化がなく、第2基準位置P2側の終端部18に到達したとき、読取制御部10はコンタクトガラス12に原稿がないと認識する。
そして、原稿がある場合、操作パネル2の表示部に原稿がある旨や原稿サイズを表示する(ステップ♯110)。尚、原稿がない場合など、必要が無ければ、(ステップ♯110)はスキップしてよい。
続いて、読取制御部10はモーター153を逆回転させ、終端部18から予め定められた距離だけ第1基準位置P1方向に移動させ、原稿センサー14を第2基準位置P2に停止させる(ステップ♯111)。そして、主電源投入時の原稿センサー14の位置制御は終了する(エンド)。
(原稿サイズ検知の処理の流れ)
次に、図17を用いて、原稿サイズ検知の処理の流れの一例を説明する。図17は原稿サイズ検知の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、図17のスタートは複合機100や画像読取装置1が待機状態で原稿サイズ検知を行うトリガ信号の発生により、原稿サイズ検知の処理を開始する時点である。例えば、原稿カバー11を開けた後、原稿カバー11が閉じられたことをトリガとして、原稿サイズ検知の処理が開始される。
尚、図7〜図11に示すように、本実施形態の画像読取装置1には、原稿カバー11の開閉を検知する開閉検知センサー10dが設けられる。例えば、開閉検知センサー10dは透過式の光センサーであり、原稿カバー11が閉じられているか否かによって出力が変化するセンサー(スイッチ)である。例えば、図7に示すように、開閉検知センサー10dはバネ等により付勢されていることにより、原稿カバー11が開けられると突出し、原稿カバー11が閉じられると原稿カバー11の下面と接することにより押し込まれる可動ピンを有する。そして、例えば、可動ピンが押し込まれると、開閉検知センサー10dの発光部と受光部の光路を可動ピンが遮り、可動ピンが突出すると、可動ピンにより発光部と受光部の光路が遮られない状態となる。尚、開閉検知センサー10dは透過式の光センサーに限らず、インターロックスイッチなどでもよく、原稿カバー11の開閉に応じて出力が変化するものであればよい。
そして、図7に示すように、開閉検知センサー10dの出力は読取制御部10に入力される。これにより、読取制御部10は原稿カバー11が開かれている状態か、閉じられている状態であるかを認識することができる。そして、読取制御部10は開閉検知センサー10dの出力変化により、原稿カバー11が閉じられた旨の信号を、原稿サイズ検知を行うトリガ信号と認識する。あるいは、読取制御部10は操作パネル2に原稿サイズ検知の実行を指示する操作(例えば、特定のキーののタッチ)を、原稿サイズ検知を行うトリガ信号と認識してもよい。
そして、読取制御部10は原稿センサー14を駆動させる(発光素子を発光させ、受光素子に電圧を印加する、ステップ♯21)。そして、読取制御部10は現在、原稿センサー14が第1基準位置P1にあるか(待機しているか)否かを認識する(ステップ♯22)。もし、第1基準位置P1にあるとき(ステップ♯22のYes)、読取制御部10は原稿センサー14が第1基準位置P1から第2基準位置P2方向(往路)に移動するようにモーター153を回転させ、回転開始(移動開始)からのクロック数をカウントしつつ、第2電磁クラッチ156を連結状態とし、プーリー157aを回転させる等により、移動機構15により、原稿センサー14を第1基準位置P1から第2基準位置P2方向に移動させる(第2基準位置P2側の端部方向に原稿センサー14を移動。ステップ♯23)。
そして、読取制御部10は原稿センサー14の出力に基づき、出力レベルが変化したか否かを認識し、移動開始から原稿センサー14の出力レベル変化時までにモーター153に入力したクロック数(カウント値)を認識する(ステップ♯24)
次に、読取制御部10は原稿センサー14の出力に基づき、原稿センサー14が第2基準位置P2側の終端部18に到達したか否か(原稿センサー14から特定パターンが出力されたか否か)を確認する(ステップ♯25)。第2基準位置P2側の終端部18に到達していなければ(ステップ♯25のNo)、フローはステップ♯23に戻る。
一方、第2基準位置P2側の終端部18に到達していれば(ステップ♯25のYes)、読取制御部10は原稿センサー14及びモーター153を停止させる(ステップ♯26)。そして、読取制御部10は原稿センサー14の出力レベルの変化のあったときの原稿センサー14の移動開始からのクロック数に基づき、原稿サイズを認識する(ステップ♯27)。続いて、読取制御部10はモーター153を逆回転させ、予め定められた距離だけ第1基準位置P1方向に移動させ(戻し)、原稿センサー14を第2基準位置P2に停止させる(ステップ♯28)。
一方、原稿センサー14が第2基準位置P2にあるとき(ステップ♯22のNo)、読取制御部10は原稿センサー14が第2基準位置P2から第1基準位置P1方向(復路)に移動するようにモーター153を回転させ、回転開始(移動開始)からのクロック数をカウントしつつ、第2電磁クラッチ156を連結状態とし、プーリー157aを回転させる等により、移動機構15により、原稿センサー14を第2基準位置P2から第1基準位置P1方向に移動させる(第1基準位置P1側の端部方向に原稿センサー14を移動。ステップ♯29)。
そして、読取制御部10は原稿センサー14の出力に基づき、出力レベルが変化したか否かを認識し、移動開始から原稿センサー14の出力レベル変化時までにモーター153に入力したクロック数を認識する(ステップ♯210)
次に、読取制御部10は原稿センサー14の出力に基づき、原稿センサー14が第1基準位置P1側の終端部18に到達したか否か(原稿センサー14から特定パターンが出力されたか否か)を確認する(ステップ♯211)。第1基準位置P1側の終端部18に到達していなければ(ステップ♯211のNo)、フローはステップ♯29に戻る。
一方、第1基準位置P1側の終端部18に到達していれば(ステップ♯211のYes)、読取制御部10は原稿センサー14及びモーター153を停止させる(ステップ♯212)。そして、読取制御部10は原稿センサー14の出力レベルの変化のあったときの原稿センサー14の移動開始からのクロック数(クロックのカウント値)に基づき、原稿サイズを認識する(ステップ♯213)。続いて、読取制御部10はモーター153を逆回転させ、予め定められた距離だけ第2基準位置P2方向に移動させ、原稿センサー14を第1基準位置P1に停止させる(ステップ♯214)。そして、ステップ♯28とステップ♯214により、本フローは終了する(エンド)。
(検知した原稿サイズに基づく原稿の読み取り)
次に、図18、図19を用いて、検知した原稿サイズに基づく原稿の読み取りの流れの一例を説明する。図18は検知した原稿サイズに基づく原稿の読み取りの流れの一例を示すフローチャートである。図19はイメージセンサー13aの構成の一例を示す説明図である。尚、以下の説明では、設定された出力物と原稿のサイズにあわせて、原稿の読み取りにより得られた画像データを自動的に拡大、縮小する処理(ズーム処理)を行う例を説明する。
まず、図18のスタートは操作パネル2などへの入力により、原稿の読み取りを伴うジョブ(例えば、コピーやスキャンやFAX等の送信ジョブ)の実行指示がなされた時点である。このとき、画像読取装置1では原稿サイズ検知の処理が既に行われている。
まず、読取制御部10は読取部13(イメージセンサー13a)を用いて得られた画像データに基づくジョブでの出力物の大きさの設定を認識する(ステップ♯31)。ここで、出力物はコピージョブであれば、印刷物(用紙)のサイズであり、スキャンのジョブであれば、出力する画像データのサイズであり、FAX等の送信ジョブであれば、送信する画像データのサイズである。例えば、出力物の大きさとして、レターサイズやA4など各種の定形サイズを選択する入力を操作パネル2が受け付けてもよいし、不定形サイズの大きさ(任意の大きさ)を設定する入力を操作パネル2が受け付けてもよい。
続いて、読取制御部10は読取部13(イメージセンサー13a)による原稿の読み取りを開始させる(ステップ♯32)。具体的には、読取制御部10はモーター153を駆動し、第1電磁クラッチ155を連結状態とし、ホームポジションから読取部13を副走査方向に(画像読取装置1の右側方向に)移動させる。
そして、原稿を読み取るとき、読取制御部10はイメージセンサー13aの主走査方向に沿って並べられた複数の光電変換素子13cのうち、原稿を読み取るために駆動させる必要がある光電変換素子13c以外の光電変換素子13cは駆動させないようにして、原稿をイメージセンサー13aに読み取らせる(ステップ♯33)。
図19に示すように、本実施形態の画像読取装置1のイメージセンサー13aは並べられた複数の光電変換素子13c(受光素子)を含む。そして、複数の光電変換素子13cからなるブロック単位で駆動のON/OFFを行うための制御回路10eが画像読取装置1に設けられる。読取制御部10は制御回路10eに指示を与え、制御回路10eに光電変換素子13cの駆動のON/OFFを指示する。これにより、ブロック単位で各光電変換素子13cの駆動のON/OFFを切り換えることができる。
そして、原稿を読み取るとき、読取制御部10は原稿の読み取るために駆動させる必要がある光電変換素子13c以外の光電変換素子13cは駆動させない。具体的に、読取制御部10は原稿サイズ検知により検知された主走査方向での原稿サイズに基づき、原稿を読み取るのに必要なブロック(上方に原稿があるブロック)のみ駆動させ、不必要なブロック(上方に原稿がないブロック)の光電変換素子13cは駆動させない。
尚、ブロック単位ではなく、光電変換素子13cの1つ1つについて、駆動のON/OFFを制御回路10eで行うようにし、読取制御部10は検知した原稿の主走査方向の長さに応じて、原稿を読み取るのに必要な光電変換素子13c(上方に原稿がある光電変換素子13c)のみ駆動させ、不必要な光電変換素子13c(上方に原稿がない光電変換素子13c)を駆動させないようにしてもよい。言い換えると、ブロック単位ではなく、光電変換素子13c単位で駆動のON/OFFを制御してもよい。
そして、読取制御部10は副走査方向において、読取開始位置から認識した(検知した)原稿の副走査方向での長さだけ離れた位置である読取完了位置までの間でのみ原稿の読み取りを読取部13(イメージセンサー13a)に行わせる(ステップ♯34)。ここで、読取開始位置はコンタクトガラス12の左の端縁の部分であり、読取完了位置は原稿の右側の辺(端縁、エッジ)である。
そして、読取開始位置から読取完了位置までの間でのみの原稿の読み取りを完了すると、読取制御部10は読取部13をホームポジションに戻す(ステップ♯35)。具体的には、読取制御部10はモーター153を逆回転させ、ホームポジション検知センサー10cを用いてホームポジションに読取部13がある状態になったことを検知できるまで、読取部13を原稿読み取り時とは逆方向に移動させる。本実施形態の画像読取装置1では、正確に原稿の副走査方向の長さを認識できるので、このように、副走査方向の読取部13の移動量を最小限とし、読取速度を高めることができる。
そして、画像処理部8又は画像処理部16は出力物の辺の長さと、読取制御部10が認識した(検知した)原稿の辺の長さに基づき、出力物の領域からはみ出ない最大倍率で原稿を読み取って得られた画像データに対してズーム処理(自動変倍処理)を行う(ステップ♯36)。尚、自動のズーム処理(自動変倍処理)は画像読取装置1に設けられた画像処理部16で行われてもよいし、本体内の画像処理部8で行われてもよい。画像処理部8で自動のズーム処理(自動変倍処理)を行う場合、画像処理部8は画像読取装置1の画像処理部としても機能する。尚、図7では、画像処理部8又は画像処理部16の両方にズーム処理を行う回路であるズーム処理部8a、16dを設ける例を示している。
ここで、従来、自動のズーム処理(自動変倍処理)では、ある定形サイズから他の定形サイズ(例えば、レターサイズ→ステートメントサイズ、A4→A3等)に変更するうえで適切ないずれかの倍率に基づき、画像データの拡大又は縮小の処理がなされていた。しかし、原稿のサイズは定形とは限らず、不定形サイズの場合もある。そのため、不定形サイズの原稿を読み取って自動のズーム処理を行うとき、ある定形サイズから他の定形サイズへの拡大又は縮小に適した倍率が適用され、不定形サイズの原稿に基づき出力物をえるうえで、最適な倍率が適用されていなかった。
しかし、本実施形態の複合機100、画像読取装置1では、原稿が定形サイズであるか、不定形サイズであるかを問わず、原稿の主走査方向の長さと原稿の副走査方向の長さが正確に認識される(原稿サイズ検知)。そのため、出力物で不要な余白が生じたり、出力物から原稿の一部がはみ出たりすることのない最適な倍率で、自動のズーム処理を行える。
具体的に、例えば、画像処理部8又は画像処理部16は原稿の辺のうち検知された主走査方向に平行な辺の長さと出力物の主走査方向に平行な辺の長さの比を求める。又、画像処理部8又は画像処理部16は原稿の辺のうち検知された副走査方向に平行な辺の長さと出力物の副走査方向に平行な辺の長さの比を求める。そして、求めた比のうち、小さい方の比率は出力物の領域からはみ出ない最大倍率となる。
尚、定形サイズの各種用紙の副走査方向に平行な辺と主走査方向に平行な辺の長さを示すデータを記憶部10bに記憶しておき、画像処理部8又は画像処理部16は記憶部10bのデータを参照して、操作パネル2で指定されたサイズの出力物の各辺の長さを認識してもよい。あるいは、操作パネル2で指定された出力物のサイズに基づき、画像処理部8又は画像処理部16は出力物の各辺の長さを認識してもよい。又、読取制御部10が主走査方向に平行な辺同士の比率や副走査方向に平行な辺同士の比率を求め、最大倍率を求める演算を行ってもよい。
そして、ズーム処理がなされた画像データに基づき、ジョブが実行される(ステップ♯37)。そして、本フローチャートは終了する(エンド)。
このようにして、本実施形態の画像読取装置1は、読取対象としての原稿が載置されるコンタクトガラス12と、イメージセンサー13aを含み、コンタクトガラス12に載置された原稿を読み取るための読取部13と、原稿の存在を検知しているときと検知していないときの出力レベルが異なる原稿センサー14と、原稿センサー14の検知域がコンタクトガラス12に載置された原稿の副走査方向に平行な辺(例えば、画像読取装置1の奥側を上方向としたときの原稿の下側の辺)と主走査方向に平行な辺(例えば、原稿載置の基準となる点P0から遠い方の辺。画像読取装置1の奥側を上方向としたときの原稿の右側の辺)を通過するように、予め定められた基準位置(第1基準位置P1や第2基準位置P2)から原稿センサー14を主走査方向と副走査方向に対して斜め方向に移動させる移動機構15と、原稿サイズ検知を行うとき、原稿センサー14の出力レベルが変化したときの基準位置からの原稿センサー14の移動量に基づきコンタクトガラス12に載置された原稿の主走査方向と副走査方向の長さの両方を認識する認識部(読取制御部10)と、を含む。これにより、原稿センサー14の移動量(主走査方向への移動量と副走査方向への移動量)に基づき、原稿が定形サイズか不定形サイズかを問わず、原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さを迅速、正確に検知することができる。又、従来のように、原稿の主走査方向や副走査方向の長さを求めるために複数のセンサーを設けずにすむので、製造コストや配線を減らすことができる。
又、移動機構15は、1つのモーター153と、読取部13を副走査方向で移動させるための駆動力を伝達し、読取部13を移動させるとき、モーター153からの駆動を伝達して読取部13を移動させ、モーター153からの駆動の伝達と遮断を行う第1クラッチ(第1電磁クラッチ155。例えば、読取部13の移動完了に伴い駆動伝達を遮断)を含む読取部移動機構151と、原稿センサー14を移動させるための駆動力を伝達し、原稿センサー14を移動させるときモーター153からの駆動力を伝達して原稿センサー14を移動させ、モーター153からの駆動の伝達と遮断を行う第2クラッチ(第2電磁クラッチ156。例えば、原稿センサー14の移動完了に伴い駆動伝達を遮断。)を含む原稿センサー移動機構152と、を含む。この構成によると、原稿センサー14を移動させるときには、第1電磁クラッチ155によるモーター153から読取部13への駆動力を遮断し、読取部13を移動させるときには第2電磁クラッチ156によるモーター153から読取部13への駆動力を遮断する。これにより、複数のモーター153を設けず1つのモーター153で原稿センサー14と読取部13を個別に移動させることができる。従って、装置の製造コストを押さえ、部材(モーター153)を有効活用することができる。
又、画像読取装置1は、読取部13を用いて得られた画像データに基づく出力物の大きさを設定するための出力設定部(操作パネル2)と、出力物の辺の長さと、認識部(読取制御部10)が認識した原稿の辺の長さとの比率に基づき、出力物の領域からはみ出ない最大倍率で、読取部13を用いて得られた画像データの拡大、縮小を行う画像処理部(画像処理部8や画像処理部16)を含む。これにより、原稿が不定形サイズでも、印刷物などの出力物で、読取内容が所望の大きさより小さい、又は、出力物から読取内容がはみ出ることなく、ズーム処理での倍率を自動的に適切な倍率に設定することができる。従って、原稿が不定形サイズでも、手作業で適切な倍率を探し当てる必要がなくなり、画像読取装置1の使い勝手を良くすることができる。
又、画像読取装置1には、原稿センサー14の移動範囲の端部に、移動する原稿センサー14が読み取ると出力波形が特定パターンとなる終端部18が設けられ、原稿センサー14から特定パターンが出力されたことを認識部(読取制御部10)が認識すると、移動機構15は原稿センサー14の移動範囲の端部方向への移動を停止する。これにより、移動範囲の端まで来た状態なのに原稿センサー14を移動させ続けることが無く、適切に原稿センサー14を停止させることができ、モーター153でのロックを防ぐことができる。
又、終端部18よりも予め定められた長さだけ内側に基準位置(第1基準位置P1や第2基準位置P2)が定められ、移動機構15は原稿センサー14から特定パターンが出力されたことを認識部(読取制御部10)が認識すると、原稿センサー14の移動方向を逆転し、原稿センサー14を基準位置で停止させる。これにより、原稿サイズ検知のために原稿センサー14を移動範囲の一端から他端に向けて移動させ、原稿サイズが認識された後、終端部18を検知すると、原稿センサー14は基準位置で停止させられる。従って、原稿サイズ検知と原稿サイズ検知の間、原稿センサー14は基準位置で待機させられ、原稿サイズ検知を行うとき、原稿センサー14を基準位置から直ちに移動させることができ、原稿サイズ検知に要する時間の最短化を図ることができる。
又、原稿サイズ検知中(原稿センサー14移動中)での停電やコンセントの抜けなど、原稿センサー14が基準位置(第1基準位置P1や第2基準位置P2)にあるときに画像読取装置1の主電源が切られるとは限らない。そこで、画像読取装置1は画像読取装置1の主電源の投入と遮断を行うためのメインスイッチ9sを含み、メインスイッチ9sにより画像読取装置1の主電源が投入されたとき、移動機構15は原稿センサー14を終端部18方向に移動させ、原稿センサー14から特定パターンが出力されたことを認識部(読取制御部10)が認識すると、原稿センサー14の移動方向を逆転し、原稿センサー14を基準位置で停止させる。これにより、主電源投入後、原稿センサー14は直ちに基準位置で待機させられる。従って、先の画像読取装置1の主電源が切られたときの原稿センサー14の位置を問わず、主電源投入とともに原稿センサー14を基準位置にあわせ、速やかに、原稿サイズ検知を行える状態とすることができる。
又、原稿センサー14の移動範囲の両端部に、原稿センサー14の出力波形が特定パターンとなるように終端部18が設けられ、それぞれの終端部18よりも予め定められた長さだけ内側に基準位置として、第1基準位置P1と第2基準位置P2が設けられ、第1基準位置P1に原稿センサー14がある状態から原稿サイズ検知を行うとき、移動機構15は原稿センサー14を第2基準位置P2方向に移動させ、認識部(読取制御部10)は原稿センサー14の出力レベルが変化したときの第1基準位置P1からの原稿センサー14の移動量に基づき原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さの両方を認識し、その後、原稿センサー14を第2基準位置P2で停止させ、第2基準位置P2に原稿センサー14がある状態から原稿サイズ検知を行うとき、移動機構15は原稿センサー14を第1基準位置P1方向に移動させ、認識部は原稿センサー14の出力レベルが変化したときの第2基準位置P2からの原稿センサー14の移動量に基づき原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さの両方を認識し、その後、原稿センサー14を第1基準位置P1で停止させる。これにより、原稿サイズ検知をおこなうとき、原稿センサー14の移動範囲の一端から他端に向けて片道分移動させるだけで、速やかに原稿のサイズを認識することができる。
又、読取部13は読取開始位置から認識部(読取制御部10)が認識した原稿の副走査方向での長さだけ離れた位置である読取完了位置までの間でのみ原稿の読み取りを行い、移動機構15は読取部13をホームポジションから読取完了位置まで移動させると読取部13の位置をホームポジションに戻す。これにより、正確に認識された原稿の副走査方向での長さに基づき、読取部13による原稿の読み取りを必要な範囲のみで行うことができる。従って、従来の原稿サイズ検知でのおおまかな原稿の副走査方向での長さの検知では、余裕を持って無駄な領域まで読取部13で読み取りを行っていたが、このような無駄な領域の読み取りを無くすことができる。又、無駄な読み取りを行わないので、原稿での読み取りに要する電力や時間が減るので、迅速に原稿の読み取りがなされ電力消費を抑えることができる。
又、読取部13は主走査方向に沿って並べられた複数の光電変換素子13cを含み、原稿を読み取るとき、原稿の読み取るために駆動させる必要がある光電変換素子13c以外の光電変換素子13cは駆動させない。これにより、読取部13内での必要な光電変換素子13cのみを駆動させることができる。従って、原稿での読み取りに要する電力を抑えることができる。
又、画像読取装置1はコンタクトガラス12に載置された原稿を押さえる原稿押さえ板11aを含み、原稿センサー14は反射型光センサーであり、原稿押さえ板11aには、原稿押さえ板11aが原稿を押さえた状態としたときに原稿センサー14の検知域の移動の軌跡に応じた位置に、原稿センサー14への光の反射を抑える反射抑制部11cが設けられる。これにより、原稿押さえ板11aが閉じられた状態でも、原稿の副走査方向に平行な辺や主走査方向に平行な辺を通過するとき、原稿センサー14の出力レベルを確実に変化させることができる。従って、原稿サイズ検知での正確性を高めることができる。
又、画像形成装置(複合機100)は、画像読取装置1を含む。これにより、原稿の主走査方向の長さと副走査方向の長さを正確に検知できる画像読取装置1を含む。従って、正確な原稿サイズの検知結果を用いることができる画像形成装置(複合機100)を提供することができる。また、製造コストが抑えられた画像読取装置1を含むので、価格が抑えられた画像形成装置(複合機100)を提供することができる。
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。