JP2014058707A - イオン交換膜、イオン交換膜の製造方法及び電解槽 - Google Patents

イオン交換膜、イオン交換膜の製造方法及び電解槽 Download PDF

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Abstract

【課題】電解液中の不純物による電解性能への影響が少なく、安定した電解性能を発揮するイオン交換膜を提供する。
【解決手段】イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体10と、該膜本体の少なくとも一方面上に設けられたコーティング層11a,11bとを有するイオン交換膜であって、前記コーティング層が、無機物粒子と結合剤とを含み、前記コーティング層の比表面積が、0.1〜10m/gである、イオン交換膜。
【選択図】図1

Description

本発明は、イオン交換膜、イオン交換膜の製造方法及びイオン交換膜を備える電解槽に関する。
含フッ素陽イオン交換膜は、耐熱性及び耐薬品性等が優れていることから、塩化アルカリ等の電気分解(電解)により塩素とアルカリを製造するための電解用陽イオン交換膜として用いられている。その他にも、オゾン発生用隔膜、燃料電池、水電解及び塩酸電解等の種々の電解用隔膜等として用いられている。
その中で、塩水等を電気分解して苛性ソーダと塩素と水素を製造する塩化アルカリの電解では、アニオン排除性の高いカルボン酸基をイオン交換基とするカルボン酸層と、低抵抗のスルホン酸基をイオン交換基とするスルホン酸層との少なくとも2層から構成されている陽イオン交換膜が一般的に用いられている。この陽イオン交換膜は、電解時に、80〜90℃の塩素や苛性ソーダ等と直接接触するため、耐薬品性が高い含フッ素系重合体が陽イオン交換膜の材料として用いられる。
しかし、かかる含フッ素系重合体のみでは、陽イオン交換膜として十分な機械的強度を有さないため、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる織布等を強化芯材として膜に埋め込んで補強すること等が行われている。
また、かかる含フッ素系重合体のみでは塩化アルカリ等の電解で発生した塩素や水素等の気体が、イオン交換膜の表面に付着して、電解電圧を著しく増大させるために、無機微粒子等からなるコーティングが塗布されている。
例えば、特許文献1では、一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.2μmである周期律表第IV属の酸化物、窒化物又は炭化物を含むコーティングを塗布したイオン交換膜が提案されている。
また、特許文献2ではチタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、ハフニウム、スズ、バナジウム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、クロム、ガリウム、セリウム、トリウム、セレン、鉄、イットリウム、希土類、インジウム、ニッケル、銀、コバルト、ベリリウムの酸化物、窒化物、炭化物およびそれらの混合物からなる陰極活性を有しない、気体及び液体透過性の多孔質層を設けたイオン交換膜が提案されている。
特開平3−137136号公報 特公昭59−40231号公報
一般に、塩化アルカリ水溶液中には、金属等の不純物が存在し、その不純物により、イオン交換膜の電解性能が低下することがある。
ここで、イオン交換膜を用いた電解における電解性能としては、生産性の観点から流した電流に対する生産効率が高いこと、経済性の観点から電解電圧が低いこと、製品の品質の観点からアルカリ(苛性ソーダ等)中の不純物(食塩等)濃度が低いこと等が挙げられる。特に、食塩電解においては、工業レベルでの電解を実施する場合、その電解電圧を僅かでも下げることができ、電流効率を僅かでも上げることができるならば、それにより大幅な省エネルギー化を達成することができる。
そして、イオン交換膜が、これらの高い電解性能を発揮し続けるためには、電解に用いる電解液中の不純物により電解性能が低下しないことが求められる。電解液中には、Ca、Mg、Ba、Sr、I、SiO、Al、Fe等の不純物が存在し、これらの不純物が、陽イオン交換膜の内部に蓄積すると、電解電圧の増加、電流効率の低下、アルカリ中の不純物濃度の増大を引き起こす。特に、Iは、CaやMgなどの陽イオンの不純物とは異なり、電解液を事前に処理しても、削減することが難しい不純物であるため、Iに対して影響を受けにくい陽イオン交換膜であることが求められている。
しかしながら、特許文献1及び2に記載のイオン交換膜は、この不純物に対する耐性が未だ十分ではなく、不純物に対するイオン交換膜の電解性能の安定性が依然十分ではない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、電解液中の不純物による電解性能への影響が少なく、安定した電解性能を発揮するイオン交換膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来では電解発生したガスのイオン交換膜表面への付着を防止する目的でイオン交換膜に塗布されるコーティングを特定の無機微粒子とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下のとおりである。
[1]イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体と、該膜本体の少なくとも一方面上に設けられたコーティング層とを有するイオン交換膜であって、
前記コーティング層が、無機物粒子と結合剤とを含み、
前記コーティング層の比表面積が、0.1〜10m/gである、イオン交換膜。
[2]前記無機物粒子の平均粒径が、0.90〜2μmである、[1]に記載のイオン交換膜。
[3]前記無機物粒子が、周期律表第IV族元素の酸化物、周期律表第IV族元素の窒化物及び周期律表第IV族元素の炭化物からなる群より選択される少なくとも一種の無機物を含む粒子である、[1]又は[2]に記載のイオン交換膜。
[4]前記無機物粒子が酸化ジルコニウムの粒子である、[1]〜[3]のいずれかに記載のイオン交換膜。
[5]前記結合剤が、含フッ素系重合体を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のイオン交換膜。
[6]前記コーティング層が、前記無機物粒子を40〜90質量%、前記結合剤を10〜60質量%含む、[1]〜[5]いずれかに記載のイオン交換膜。
[7]前記結合剤が、カルボキシル基又はスルホ基由来のイオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のイオン交換膜。
[8]前記無機物粒子の形状が、不規則形状である、[1]〜[7]のいずれかに記載のイオン交換膜。
[9]前記無機物粒子が、無機物を粉砕することにより製造される無機物粒子である、[1]〜[8]のいずれかに記載のイオン交換膜。
[10]前記無機物粒子が、無機物を、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、エッジミル、製粉ミル、ハンマーミル、ペレットミル、VSIミル、ウィリーミル、ローラーミル及びジェットミルからなる群より選択される少なくとも1つの方法で粉砕することにより製造される無機物粒子である、[9]に記載のイオン交換膜。
[11]無機物を粉砕して得られた無機物粒子と結合剤とを含有する塗布液を調製する工程と、
イオン交換膜の表面に前記塗布液を塗布する工程と、
前記イオン交換膜の表面に塗布された前記塗布液を乾燥させて、コーティング層を形成する工程と、
を備える、イオン交換膜の製造方法。
[12][1]〜[10]のいずれかに記載のイオン交換膜を備える、電解槽。
本発明によれば、電解液中の不純物による電解性能への影響が少なく、安定した電解性能を発揮するイオン交換膜を提供することができる。
イオン交換膜の一実施形態を示す断面模式図である。 イオン交換膜を構成する強化芯材の開口率を説明するための概略図である。 電解槽の一実施形態を示す断面模式図である。 イオン交換膜の連通孔を形成する方法を説明するための模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
〔イオン交換膜〕
本実施形態のイオン交換膜は、イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体と、該膜本体の少なくとも一方面上に設けられたコーティング層とを有する。また、本実施形態において、コーティング層は、無機物粒子と結合剤とを含み、コーティング層の比表面積は、0.1〜10m/gである。かかる構造のイオン交換膜は、電解中に発生する又は電解液中に含まれる不純物による電解性能への影響が少なく、安定した電解性能を発揮することができる。
図1は、イオン交換膜の一実施形態を示す断面模式図である。本実施形態のイオン交換膜1は、イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体10と、膜本体10の両面に形成されたコーティング層11a及び11bを有する。
イオン交換膜1において、膜本体10は、スルホ基由来のイオン交換基(−SO で表される基、以下「スルホン酸基」ともいう。)を有するスルホン酸層3と、カルボキシル基由来のイオン交換基(−CO で表される基、以下「カルボン酸基」ともいう。)を有するカルボン酸層2とを備え、強化芯材4により強度及び寸法安定性が強化されている。イオン交換膜1は、スルホン酸層3とカルボン酸層2とを備えるため、陽イオン交換膜として好適に用いられる。
なお、本実施形態のイオン交換膜は、スルホン酸層及びカルボン酸層のいずれか一方のみを有するものであってもよい。また、本実施形態のイオン交換膜は、必ずしも強化芯材により強化されている必要はなく、強化芯材の配置状態も図1の例に限定されるものではない。
(膜本体)
先ず、本実施形態のイオン交換膜1を構成する膜本体10について説明する。
膜本体10は、陽イオンを選択的に透過する機能を有し、イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含むものであればよく、その構成や材料は特に限定されず、適宜好適なものを選択することができる。
膜本体10におけるイオン交換基を有する含フッ素系重合体は、例えば、加水分解等によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体を有する含フッ素系重合体から得ることができる。具体的には、例えば、主鎖がフッ素化炭化水素からなり、加水分解等によりイオン交換基に変換可能な基(イオン交換基前駆体)をペンダント側鎖として有し、且つ溶融加工が可能な重合体(以下、場合により「含フッ素系重合体(a)」という。)を用いて膜本体10の前駆体を作製した後、イオン交換基前駆体をイオン交換基に変換することにより、膜本体10を得ることができる。
含フッ素系重合体(a)は、例えば、下記第1群より選ばれる少なくとも一種の単量体と、下記第2群及び/又は下記第3群より選ばれる少なくとも一種の単量体と、を共重合することにより製造することができる。また、下記第1群、下記第2群、及び下記第3群のいずれかより選ばれる1種の単量体の単独重合により製造することもできる。
第1群の単量体としては、例えば、フッ化ビニル化合物が挙げられる。フッ化ビニル化合物としては、例えば、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等が挙げられる。特に、本実施形態のイオン交換膜をアルカリ電解用膜として用いる場合、フッ化ビニル化合物は、パーフルオロ単量体であることが好ましく、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる群より選ばれるパーフルオロ単量体が好ましい。
第2群の単量体としては、例えば、カルボン酸型イオン交換基(カルボン酸基)に変換し得る官能基を有するビニル化合物が挙げられる。カルボン酸基に変換し得る官能基を有するビニル化合物としては、例えば、CF=CF(OCFCYF)−O(CZF)−COORで表される単量体等が挙げられる(ここで、sは0〜2の整数を表し、tは1〜12の整数を表し、Y及びZは、各々独立して、F又はCFを表し、Rは低級アルキル基を表す。低級アルキル基は、例えば炭素数1〜3のアルキル基である。)。
これらの中でも、CF=CF(OCFCYF)−O(CF−COORで表される化合物が好ましい。ここで、nは0〜2の整数を表し、mは1〜4の整数を表し、YはF又はCFを表し、RはCH、C、又はCを表す。
なお、本実施形態のイオン交換膜をアルカリ電解用陽イオン交換膜として用いる場合、単量体としてパーフルオロ化合物を少なくとも用いることが好ましいが、エステル基のアルキル基(上記R参照)は加水分解される時点で重合体から失われるため、アルキル基(R)は全ての水素原子がフッ素原子に置換されているパーフルオロアルキル基でなくてもよい。
第2群の単量体としては、上記の中でも下記に表す単量体がより好ましい。
CF=CFOCF−CF(CF)OCFCOOCH
CF=CFOCFCF(CF)O(CFCOOCH
CF=CF[OCF−CF(CF)]O(CFCOOCH
CF=CFOCFCF(CF)O(CFCOOCH
CF=CFO(CFCOOCH
CF=CFO(CFCOOCH
第3群の単量体としては、例えば、スルホン型イオン交換基(スルホン酸基)に変換し得る官能基を有するビニル化合物が挙げられる。スルホン酸基に変換し得る官能基を有するビニル化合物としては、例えば、CF=CFO−X−CF−SOFで表される単量体が好ましい(ここで、Xはパーフルオロアルキレン基を表す。)。これらの具体例としては、下記に表す単量体等が挙げられる。
CF=CFOCFCFSOF、
CF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOF、
CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCFSOF、
CF=CF(CFSOF、
CF=CFO〔CFCF(CF)O〕CFCFSOF、
CF=CFOCFCF(CFOCF)OCFCFSOF。
これらの中でも、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCFSOF、及びCF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOFがより好ましい。
これら単量体から得られる共重合体は、フッ化エチレンの単独重合及び共重合に対して開発された重合法、特にテトラフルオロエチレンに対して用いられる一般的な重合方法によって製造することができる。例えば、非水性法においては、パーフルオロ炭化水素、クロロフルオロカーボン等の不活性溶媒を用い、パーフルオロカーボンパーオキサイドやアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で、温度0〜200℃、圧力0.1〜20MPaの条件下で、重合反応を行うことができる。
上記共重合において、上記単量体の組み合わせの種類及びその割合は、特に限定されず、得られる含フッ素系重合体に付与したい官能基の種類及び量によって選択決定される。例えば、カルボン酸基のみを含有する含フッ素系重合体とする場合、上記第1群及び第2群から各々少なくとも1種の単量体を選択して共重合させればよい。また、スルホン酸基のみを含有する含フッ素系重合体とする場合、上記第1群及び第3群の単量体から各々少なくとも1種の単量体を選択して共重合させればよい。さらに、カルボン酸基及びスルホン酸基を有する含フッ素系重合体とする場合、上記第1群、第2群及び第3群の単量体から各々少なくとも1種の単量体を選択して共重合させればよい。この場合、上記第1群及び第2群よりなる共重合体と、上記第1群及び第3群よりなる共重合体とを、別々に重合し、後に混合することによっても目的の含フッ素系重合体を得ることができる。また、各単量体の混合割合は、特に限定されないが、単位重合体当たりの官能基の量を増やす場合、上記第2群及び第3群より選ばれる単量体の割合を増加させればよい。
含フッ素系共重合体の総イオン交換容量は特に限定されないが、0.5〜2.0mg当量/gであることが好ましく、0.6〜1.5mg当量/gであることがより好ましい。ここで、総イオン交換容量とは、乾燥樹脂の単位重量あたりの交換基の当量のことをいい、中和滴定等によって測定することができる。
イオン交換膜1の膜本体10においては、スルホン酸基を有する含フッ素系重合体を含むスルホン酸層3と、カルボン酸基を有する含フッ素系重合体を含むカルボン酸層2とが積層されている。このような層構造の膜本体10とすることで、ナトリウムイオン等の陽イオンの選択的透過性を一層向上させることができる。
イオン交換膜1を電解槽に配置する場合、通常、スルホン酸層3が電解槽の陽極側に、カルボン酸層2が電解槽の陰極側に、それぞれ位置するように配置する。
スルホン酸層3は、電気抵抗が低い材料から構成されていることが好ましく、膜強度の観点から、膜厚がカルボン酸層2より厚いことが好ましい。スルホン酸層3の膜厚は、好ましくはカルボン酸層2の2〜25倍であり、より好ましくは3〜15倍である。
カルボン酸層2は、膜厚が薄くても高いアニオン排除性を有するものであることが好ましい。ここでいうアニオン排除性とは、イオン交換膜1へのアニオンの侵入や透過を妨げようとする性質をいう。アニオン排除性を高くするためには、スルホン酸層に対し、イオン交換容量の小さいカルボン酸層を配すること等が有効である。
スルホン酸層3に用いる含フッ素系重合体としては、例えば、第3群の単量体としてCF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOFを用いて得られた重合体が好適である。
カルボン酸層2に用いる含フッ素系重合体としては、例えば、第2群の単量体としてCF=CFOCFCF(CF)O(CFCOOCHを用いて得られた重合体が好適である。
(コーティング層)
本実施形態のイオン交換膜は、膜本体の少なくとも一方面上にコーティング層を有する。また、図1に示すとおり、イオン交換膜1においては、膜本体10の両面上にそれぞれコーティング層11a及び11bが形成されている。
コーティング層は無機物粒子と結合剤とを含み、コーティング層の比表面積は0.1〜10m/gである。ここで、コーティング層の比表面積とは、下記の測定方法によって算出される指標Sの値を示す。この指標Sが低いことによって、電解液中の不純物による電解性能への影響が低減される。好ましくは、コーティング層の比表面積(指標S)は、0.1〜5m/gであり、より好ましくは0.1〜3m/gである。
具体的な比表面積の指標Sの測定方法は下記の通りである。
比表面積の指標Sは以下のようにして求めることができる。コーティング層を塗布したイオン交換膜(A)と、イオン交換膜(A)からコーティングをスポンジでこすることで除去したイオン交換膜(B)とを用意し、それぞれに対して小角X線散乱測定を行う。
イオン交換膜(A)とイオン交換膜(B)の小角X線散乱測定結果から、コーティング層に由来する散乱強度分布を求め、得られた散乱強度分布に対して絶対強度補正を行う。
この際、単位換算して、e/nmとする。絶対強度補正の際、試料厚みとしては、コーティング層の透過率から計算した厚みを用いる。こうして得られた散乱強度分布Iにおいて、Iがq−4に比例する領域に対し、I=2πΔρTq−4でフィッティングすることにより、Tの値を求める。ここで、Δρにはコーティング層中の無機物粒子と結合剤の電子密度差(1/nm)を用いる。小角X線散乱測定はIがq−4に比例する領域が得られるようにq範囲を設定する(qは散乱ベクトルの絶対値で単位はnm−1。)。比表面積の指標Sは、このTを用いて、次の式から求めることができる。
S=T/ρ×1000
ここで、ρは、無機物の密度(g/cm)である。なお、コーティング層に空隙がなく、無機物がすべて結合剤で覆われており、無機物表面がシャープな界面を持つ場合、Porod則により、指標Sは無機物粒子と結合剤の比界面積(m/g)となる。
無機物粒子の平均粒径は、0.90μm以上であることがより好ましい。無機物粒子の平均粒径が0.90μm以上であると、不純物への耐久性が極めて向上する。すなわち、本実施形態においては、無機物粒子の平均粒径を大きくしつつ、且つ上述の比表面積の値を満たすようにすることで、特に顕著な効果が得られるようになる。このような平均粒径と比表面積を満たすため、本実施形態では、不規則状の無機物粒子、好ましくは原石粉砕により得られる無機物粒子を好適に用いることができる。
また、無機物粒子の平均粒径は、2μm以下とすることができる。無機物粒子の平均粒径が2μm以下であれば、無機物粒子によって膜が損傷することを防止できる。無機物粒子の平均粒径は、より好ましくは、0.90〜1.2μmである。さらに好ましくは、1〜1.2μmである。
ここで、平均粒径は、粒度分布計(「SALD2200」島津製作所)によって測定することができる。
無機物粒子の形状は、不規則形状であることが好ましい。それによって、より比表面積の指標Sが小さくなり、不純物への耐性がより向上する。また、無機物粒子の粒度分布は、バラつきがあることが好ましく、ブロードであることが好ましい。
無機物粒子は、周期律表第IV族元素の酸化物、周期律表第IV族元素の窒化物、及び周期律表第IV族元素の炭化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の無機物を含むことが好ましい。より好ましくは、耐久性の観点から、酸化ジルコニウムの粒子である。
この無機物粒子は、無機物粒子の原石を粉砕されることにより製造された無機物粒子であることが好ましい。従来は、無機物粒子の原石を溶融して精製することによって、無機物粒子が製造されており、粒子の径が揃った球状の粒子を無機物粒子としてコーティング層に使用していた。これに対して、本実施形態においては、比表面積を上記範囲内とすることで不純物による電解性能への影響を低減できることを見出し、無機物粒子の表面積を高めて比表面積を小さくするために、原石粉砕により得られた無機物粒子をコーティング層に使用することができる。
粉砕方法としては、特に限定されないが、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、エッジミル、製粉ミル、ハンマーミル、ペレットミル、VSIミル、ウィリーミル、ローラーミル、ジェットミルなどが挙げられる。また、粉砕後、洗浄されることが好ましく、そのとき洗浄方法としては、酸処理されることが好ましい。それによって、無機物粒子の表面に付着した鉄等の不純物を削減することができる。
本実施形態において、コーティング層は結合剤を含む。結合剤は、無機物粒子をイオン交換膜の表面に保持して、コーティング層を成す成分である。結合剤は、電解液や電解による生成物への耐性の観点から、含フッ素系重合体を含むことが好ましい。
結合剤としては、電解液や電解による生成物への耐性、及び、イオン交換膜の表面への接着性の観点から、カルボン酸基又はスルホン酸基を有する含フッ素系重合体であることがより好ましい。スルホン酸基を有する含フッ素重合体を含む層(スルホン酸層)上にコーティング層を設ける場合、当該コーティング層の結合剤としては、スルホン酸基を有する含フッ素系重合体を用いることがさらに好ましい。また、カルボン酸基を有する含フッ素重合体を含む層(カルボン酸層)上にコーティング層を設ける場合、当該コーティング層の結合剤としては、カルボン酸基を有する含フッ素系重合体を用いることがさらに好ましい。
コーティング層中、無機物粒子の含有量は40〜90質量%であることが好ましく、50〜90質量%であることがより好ましい。また、結合剤の含有量は、10〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
イオン交換膜におけるコーティング層の分布密度は、1cm当り0.05〜2mgであることが好ましい。また、イオン交換膜が表面に凹凸形状を有する場合には、コーティング層の分布密度は、1cm当り0.5〜2mgであることが好ましい。
コーティング層を形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、無機物粒子を結合剤を含む溶液に分散したコーティング液を、スプレー等により塗布する方法が挙げられる。
(強化芯材)
本実施形態のイオン交換膜は、膜本体の内部に配置された強化芯材を有することが好ましい。
強化芯材は、イオン交換膜の強度や寸法安定性を強化する部材である。強化芯材を膜本体の内部に配置させることで、特に、イオン交換膜の伸縮を所望の範囲に制御することができる。かかるイオン交換膜は、電解時等において、必要以上に伸縮せず、長期に優れた寸法安定性を維持することができる。
強化芯材の構成は、特に限定されず、例えば、強化糸と呼ばれる糸を紡糸して形成させてもよい。ここでいう強化糸とは、強化芯材を構成する部材であって、イオン交換膜に所望の寸法安定性及び機械的強度を付与できるものであり、かつ、イオン交換膜中で安定に存在できる糸のことをいう。かかる強化糸を紡糸した強化芯材を用いることにより、一層優れた寸法安定性及び機械的強度をイオン交換膜に付与することができる。
強化芯材及びこれに用いる強化糸の材料は、特に限定されないが、酸やアルカリ等に耐性を有する材料であることが好ましく、長期にわたる耐熱性、耐薬品性が必要であることから、含フッ素系重合体から成る繊維が好ましい。
強化芯材に用いられる含フッ素系重合体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、トリフルオロクロルエチレン−エチレン共重合体及びフッ化ビニリデン重合体(PVDF)等が挙げられる。これらのうち、特に耐熱性及び耐薬品性の観点からは、ポリテトラフルオロエチレンからなる繊維を用いることが好ましい。
強化芯材に用いられる強化糸の糸径は、特に限定されないが、好ましくは20〜300デニール、より好ましくは50〜250デニールである。織り密度(単位長さあたりの打ち込み本数)は、好ましくは5〜50本/インチである。強化芯材の形態としては、特に限定されず、例えば、織布、不織布、編布等が用いられるが、織布の形態であることが好ましい。また、織布の厚みは、好ましくは30〜250μm、より好ましくは30〜150μmのものが使用される。
織布又は編布は、モノフィラメント、マルチフィラメント又はこれらのヤーン、スリットヤーン等が使用でき、織り方は平織り、絡み織り、編織り、コード織り、シャーサッカ等の種々の織り方が使用できる。
膜本体における強化芯材の織り方及び配置は、特に限定されず、イオン交換膜の大きさや形状、イオン交換膜に所望する物性及び使用環境等を考慮して適宜好適な配置とすることができる。
例えば、膜本体の所定の一方向に沿って強化芯材を配置してもよいが、寸法安定性の観点から、所定の第一の方向に沿って強化芯材を配置し、かつ第一の方向に対して略垂直である第二の方向に沿って別の強化芯材を配置することが好ましい。膜本体の縦方向膜本体の内部において、略直行するように複数の強化芯材を配置することで、多方向において一層優れた寸法安定性及び機械的強度を付与することができる。例えば、膜本体の表面において縦方向に沿って配置された強化芯材(縦糸)と横方向に沿って配置された強化芯材(横糸)を織り込む配置が好ましい。縦糸と横糸を交互に浮き沈みさせて打ち込んで織った平織りや、2本の経糸を捩りながら横糸と織り込んだ絡み織り、2本又は数本ずつ引き揃えて配置した縦糸に同数の横糸を打ち込んで織った斜子織り(ななこおり)等とすることが、寸法安定性、機械的強度及び製造容易性の観点からより好ましい。
特に、イオン交換膜のMD方向(Machine Direction方向)及びTD方向(Transverse Direction方向)の両方向に沿って強化芯材が配置されていることが好ましい。すなわち、MD方向とTD方向に平織りされていることが好ましい。ここで、MD方向とは、後述するイオン交換膜の製造工程において、膜本体や各種芯材(例えば、強化芯材、強化糸、後述する犠牲糸等)が搬送される方向(流れ方向)をいい、TD方向とは、MD方向と略垂直の方向をいう。そして、MD方向に沿って織られた糸をMD糸といい、TD方向に沿って織られた糸をTD糸という。通常、電解に用いるイオン交換膜は、矩形状であり、長手方向がMD方向となり、幅方向がTD方向となることが多い。MD糸である強化芯材とTD糸である強化芯材を織り込むことで、多方向において一層優れた寸法安定性及び機械的強度を付与することができる。
強化芯材の配置間隔は、特に限定されず、陽イオン交換膜に所望する物性及び使用環境等を考慮して適宜好適な配置とすることができる。
強化芯材の開口率は、特に限定されず、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上90%以下である。開口率は、イオン交換膜の電気化学的性質の観点からは30%以上が好ましく、イオン交換膜の機械的強度の観点からは90%以下が好ましい。
強化芯材の開口率とは、膜本体のいずれか一方の表面の面積(A)におけるイオン等の物質(電解液及びそれに含有される陽イオン(例えば、ナトリウムイオン))が通過できる表面の総面積(B)の割合(B/A)をいう。イオン等の物質が通過できる表面の総面積(B)とは、イオン交換膜において、陽イオンや電解液等が、イオン交換膜に含まれる強化芯材等によって遮断されない領域の総面積ということができる。
図2は、イオン交換膜を構成する強化芯材の開口率を説明するための概略図である。図2はイオン交換膜の一部を拡大し、その領域内における強化芯材21及び22の配置のみを図示しているものであり、他の部材については図示を省略している。
縦方向に沿って配置された強化芯材21と横方向に配置された強化芯材22によって囲まれた領域であって、強化芯材の面積も含めた領域の面積(A)から強化芯材の総面積(C)を減じることにより、上述した領域の面積(A)におけるイオン等の物質が通過できる領域の総面積(B)を求めることができる。すなわち、開口率は、下記式(I)により求めることができる。
開口率=(B)/(A)=((A)−(C))/(A) …(I)
強化芯材の中でも、特に好ましい形態は、耐薬品性及び耐熱性の観点から、PTFEを含むテープヤーン又は高配向モノフィラメントである。具体的には、PTFEからなる高強度多孔質シートをテープ状にスリットしたテープヤーン、又はPTFEからなる高度に配向したモノフィラメントの50〜300デニールを使用し、かつ、織り密度が10〜50本/インチである平織りであり、その厚みが50〜100μmの範囲である強化芯材であることがより好ましい。かかる強化芯材を含むイオン交換膜の開口率は60%以上であることが更に好ましい。
強化糸の形状としては、丸糸、テープ状糸等が挙げられる。好ましくは、テープ状糸である。
(連通孔)
本実施形態のイオン交換膜は、膜本体の内部に連通孔を有することが好ましい。
連通孔とは、電解の際に発生する陽イオンや電解液の流路となり得る孔をいう。また、連通孔とは、膜本体内部に形成されている管状の孔であり、後述する犠牲芯材(又は犠牲糸)が溶出することで形成される。連通孔の形状や径等は、犠牲芯材(犠牲糸)の形状や径を選択することによって制御することができる。
イオン交換膜に連通孔を形成することで、電解の際に発生するアルカリイオンや電解液の移動性を確保できる。連通孔の形状は特に限定されないが、後述する製法によれば、連通孔の形成に用いられる犠牲芯材の形状とすることができる。
本実施形態において、連通孔は、強化芯材の陽極側(スルホン酸層側)と陰極側(カルボン酸層側)を交互に通過するように形成されることが好ましい。かかる構造とすることで、強化芯材の陰極側に連通孔が形成されている部分では、連通孔に満たされている電解液を通して輸送された陽イオン(例えば、ナトリウムイオン)が、強化芯材の陰極側にも流れることができる。その結果、陽イオンの流れが遮蔽されることがないため、イオン交換膜の電気抵抗を更に低くすることができる。
連通孔は、本実施形態のイオン交換膜を構成する膜本体の所定の一方向のみに沿って形成されていてもよいが、より安定した電解性能を発揮するという観点から、膜本体の縦方向と横方向との両方向に形成されていることが好ましい。
〔製造方法〕
本実施形態に係るイオン交換膜の好適な製造方法としては、以下の(1)工程〜(6)工程を有する方法が挙げられる。
(1)工程:イオン交換基、又は、加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体を有する含フッ素系重合体を製造する工程。
(2)工程:必要に応じて、複数の強化芯材と、酸又はアルカリに溶解する性質を有し、連通孔を形成する犠牲糸と、を少なくとも織り込むことにより、隣接する強化芯材同士の間に犠牲糸が配置された補強材を得る工程。
(3)工程:イオン交換基、又は、加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体を有する前記含フッ素系重合体をフィルム化する工程。
(4)工程:前記フィルムに必要に応じて前記補強材を埋め込んで、前記補強材が内部に配置された膜本体を得る工程。
(5)工程:(4)工程で得られた膜本体を加水分解する工程(加水分解工程)。
(6)工程:(5)工程で得られた膜本体に、コーティング層を設ける工程(コーティング工程)。
本実施形態のイオン交換膜の製造方法は、(6)コーティング工程において、特定の無機物粒子を使用することを主な特徴とする。以下、各工程について詳述する。
(1)工程:含フッ素系重合体を製造する工程
(1)工程では、上記第1群〜第3群に記載した原料の単量体を用いて含フッ素系重合体を製造する。含フッ素系重合体のイオン交換容量を制御するためには、各層を形成する含フッ素系重合体の製造において、原料の単量体の混合比を調整すればよい。
(2)工程:補強材の製造工程
補強材とは、強化糸を織った織布等である。補強材が膜内に埋め込まれることで、強化芯材を形成する。連通孔を有するイオン交換膜とするときには、犠牲糸も一緒に補強材へ織り込む。この場合の犠牲糸の混織量は、好ましくは補強材全体の10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。犠牲糸を織り込むことにより、強化芯材の目ズレを防止することもできる。
犠牲糸は、膜の製造工程もしくは電解環境下において溶解性を有するものであり、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロース及びポリアミド等が用いられる。また、20〜50デニールの太さを有し、モノフィラメント又はマルチフィラメントからなるポリビニルアルコール等も好ましい。
なお、(2)工程において、強化芯材や犠牲糸の配置を調整することにより、開口率や連通孔の配置等を制御することができる。
(3)工程:フィルム化工程
(3)工程では、前記(1)工程で得られた含フッ素系重合体を、押出し機を用いてフィルム化する。フィルムは単層構造でもよいし、上述したように、スルホン酸層とカルボン酸層との2層構造でもよいし、3層以上の多層構造であってもよい。
フィルム化する方法としては例えば、以下のものが挙げられる。
カルボン酸基を有する含フッ素重合体、スルホン酸基を有する含フッ素重合体をそれぞれ別々にフィルム化する方法。
カルボン酸基を有する含フッ素重合体と、スルホン酸基を有する含フッ素重合体とを共押出しにより、複合フィルムとする方法。
なお、フィルムはそれぞれ複数枚であってもよい。また、異種のフィルムを共押出しすることは、界面の接着強度を高めることに寄与するため、好ましい。
(4)工程:膜本体を得る工程
(4)工程では、(2)工程で得た補強材を、(3)工程で得たフィルムの内部に埋め込むことで、補強材が内在する膜本体を得る。
膜本体の好ましい形成方法としては、(i)陰極側に位置するカルボン酸基前駆体(例えば、カルボン酸エステル官能基)を有する含フッ素系重合体(以下、これからなる層を第一層という)と、スルホン酸基前駆体(例えば、スルホニルフルオライド官能基)を有する含フッ素系重合体(以下、これからなる層を第二層という)を共押出し法によってフィルム化し、必要に応じて加熱源及び真空源を用いて、表面上に多数の細孔を有する平板またはドラム上に、透気性を有する耐熱性の離型紙を介して、補強材、第二層/第一層複合フィルムの順に積層して、各重合体が溶融する温度下で減圧により各層間の空気を除去しながら一体化する方法;(ii)第二層/第一層複合フィルムとは別に、スルホン酸基前駆体を有する含フッ素系重合体(第三層)を予め単独でフィルム化し、必要に応じて加熱源及び真空源を用いて、表面上に多数の細孔を有する平板又はドラム上に透気性を有する耐熱性の離型紙を介して、第三層フィルム、強化芯材、第二層/第一層からなる複合フィルムの順に積層して、各重合体が溶融する温度下で減圧により各層間の空気を除去しながら一体化する方法が挙げられる。
ここで、第一層と第二層とを共押出しすることは、界面の接着強度を高めることに寄与している。
また、減圧下で一体化する方法は、加圧プレス法に比べて、補強材上の第三層の厚みが大きくなる特徴を有している。更に、補強材が膜本体の内面に固定されているため、イオン交換膜の機械的強度が十分に保持できる性能を有している。
なお、ここで説明した積層のバリエーションは一例であり、所望する膜本体の層構成や物性等を考慮して、適宜好適な積層パターン(例えば、各層の組合せ等)を選択した上で、共押出しすることができる。
なお、イオン交換膜の電気的性能をさらに高める目的で、第一層と第二層との間に、カルボン酸基前駆体とスルホン酸基前駆体の両方を有する含フッ素系重合体からなる第四層をさらに介在させることや、第二層の代わりにカルボン酸基前駆体とスルホン酸基前駆体の両方を有する含フッ素系重合体からなる第四層を用いることも可能である。
第四層の形成方法は、カルボン酸基前駆体を有する含フッ素系重合体と、スルホン酸基前駆体を有する含フッ素系重合体と、を別々に製造した後に混合する方法でもよく、カルボン酸基前駆体を有する単量体とスルホン酸基前駆体を有する単量体とを共重合したものを使用する方法でもよい。
第四層をイオン交換膜の構成とする場合には、第一層と第四層との共押出しフィルムを成形し、第三層と第二層はこれとは別に単独でフィルム化し、前述の方法で積層してもよいし、第一層/第四層/第二層の3層を一度に共押し出しでフィルム化してもよい。
この場合、押出しされたフィルムが流れていく方向が、MD方向である。このようにして、イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体を、補強材上に形成することができる。
また、本実施形態に係るイオン交換膜は、スルホン酸層からなる表面側に、スルホン酸基を有する含フッ素重合体からなる突出した部分、すなわち凸部を有することが好ましい。このような凸部を形成する方法としては、特に限定されず、樹脂表面に凸部を形成する公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば、膜本体の表面にエンボス加工を施す方法が挙げられる。例えば、前記した複合フィルムと補強材等とを一体化する際に、予めエンボス加工された離型紙を用いることによって、上記の凸部を形成させることができる。エンボス加工により凸部を形成する場合、凸部の高さや配置密度の制御は、転写するエンボス形状(離型紙の形状)を制御することで行うことができる。
(5)加水分解工程
(5)工程では、(4)工程で得られた膜本体を加水分解して、イオン交換基前駆体をイオン交換基に変換する工程(加水分解工程)を行う。
また、(5)工程では、膜本体に含まれている犠牲糸を酸又はアルカリで溶解除去することで、膜本体に溶出孔を形成させることができる。なお、犠牲糸は、完全に溶解除去されずに、連通孔に残っていてもよい。また、連通孔に残っていた犠牲糸は、イオン交換膜が電解に供された際、電解液により溶解除去されてもよい。
犠牲糸は、イオン交換膜の製造工程や電解環境下において、酸又はアルカリに対して溶解性を有するものであり、犠牲糸が溶出することで当該部位に連通孔が形成される。
(5)工程は、酸又はアルカリを含む加水分解溶液に(4)工程で得られた膜本体を浸漬して行うことができる。該加水分解溶液としては、例えば、KOHとDMSO(Dimethyl sulfoxide)とを含む混合溶液を用いることができる。
該混合溶液は、KOHを2.5〜4.0N含み、DMSOを25〜35質量%含むことが好ましい。
加水分解の温度としては、70〜100℃であることが好ましい。温度が高いほど、見かけ厚みをより厚くすることができる。より好ましくは、85〜100℃である。
加水分解の時間としては、10〜120分であることが好ましい。時間が長いほど、見かけ厚みをより厚くすることができる。より好ましくは、20〜120分である。
ここで、犠牲糸を溶出させることで連通孔形成する工程についてより詳細に説明する。図4(a)、(b)は、本実施形態におけるイオン交換膜の連通孔を形成する方法を説明するための模式図である。
図4(a)、(b)では、強化糸52と犠牲糸504aと犠牲糸504aにより形成される連通孔504のみを図示しており、膜本体等の他の部材については、図示を省略している。
まず、イオン交換膜中で強化芯材を構成することとなる強化糸52と、イオン交換膜中で連通孔504を形成するための犠牲糸504aとを、編み込み補強材とする。そして、(5)工程において犠牲糸504aが溶出することで連通孔504が形成される。
上記方法によれば、陽イオン交換膜の膜本体内において強化芯材、連通孔を如何なる配置とするのかに応じて、強化糸52と犠牲糸504aの編み込み方を調整すればよいため簡便である。
図4(a)では、紙面において縦方向と横方向の両方向に沿って強化糸52と犠牲糸504aを織り込んだ平織りの補強材を例示しているが、必要に応じて補強材における強化糸52と犠牲糸504aの配置を変更することができる。
(6)コーティング工程
(6)工程では、原石粉砕により得られた無機物粒子と、結合剤とを含むコーティング液を調整し、コーティング液を(5)工程で得られたイオン交換膜の表面に塗布及び乾燥させることで、コーティング層を形成することができる。
結合剤としては、イオン交換基前駆体を有する含フッ素系重合体を、ジメチルスルホキシド(DMSO)及び水酸化カリウム(KOH)を含む水溶液で加水分解した後、塩酸に浸漬してイオン交換基の対イオンをHに置換した結合剤(例えば、カルボキシル基又はスルホ基を有する含フッ素系重合体)が好ましい。それによって、後述する水やエタノールに溶解しやすくなるため、好ましい。
この結合剤を、水とエタノールを混合した溶液に溶解する。なお、水とエタノールの好ましい体積比10:1〜1:10であり、より好ましくは、5:1〜1:5であり、さらに好ましくは、2:1〜1:2である。このようにして得た溶解液中に、無機物粒子をボールミルで分散させてコーティング液を得る。このとき、分散する際の、時間、回転速度を調整することで、粒子の平均粒径等を調整することもできる。なお、無機物粒子と結合剤の好ましい配合量は、前述の通りである。
コーティング液中の無機物粒子及び結合剤の濃度については、特に限定されないが、薄いコーティング液とする方が好ましい。それによって、イオン交換膜の表面に均一に塗布することが可能となる。
また、無機物粒子を分散させる際に、界面活性剤を分散液に添加してもよい。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤界面活性剤が好ましく、例えば、日油株式会社性HS−210、NS−210、P−210、E−212等が挙げられる。
得られたコーティング液を、スプレー塗布やロール塗工でイオン交換膜表面に塗布することでイオン交換膜が得られる。
〔電解槽〕
本実施形態のイオン交換膜は、これを用いて電解槽として使用することができる。図3は、本実施形態に係る電解槽の一実施形態の模式図である。
本実施形態の電解槽100は、陽極200と、陰極300と、陽極200と陰極300との間に配置された、本実施形態の陽イオン交換膜1と、を少なくとも備える。ここでは、上記した陽イオン交換膜1を備えた電解槽100を一例として説明しているが、これに限定されるものではなく、本実施形態の効果の範囲内で種々構成を変形して実施することができる。
かかる電解槽100は、種々の電解に使用できるが、以下、代表例として、塩化アルカリ水溶液の電解に使用する場合について説明する。
電解条件は、特に限定されず、公知の条件で行うことができる。例えば、陽極室に2.5〜5.5規定(N)の塩化アルカリ水溶液を供給し、陰極室は水又は希釈した水酸化アルカリ水溶液を供給し、直流電流にて電解を実施する。
本実施形態に係る電解槽の構成は、特に限定されず、例えば、単極式でも複極式でもよい。電解槽100を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、陽極室の材料としては、塩化アルカリ及び塩素に耐性があるチタン等が好ましく、陰極室の材料としては、水酸化アルカリ及び水素に耐性があるニッケル等が好ましい。電極の配置は、陽イオン交換膜1と陽極200との間に適当な間隔を設けて配置してもよいが、陽極200と陽イオン交換膜1が接触して配置されていても、何ら問題なく使用できる。また、陰極は一般的には陽イオン交換膜と適当な間隔を設けて配置されているが、この間隔がない接触型の電解槽(ゼロギャップ式電解槽)であっても、何ら問題なく使用できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の単位は、特に断りがない限り、質量基準に基づくものとする。
〔不純物耐性試験〕
得られたイオン交換膜を用いて電解する際に、電解液として供給される5N(規定度)の塩水中に、不純物を添加し、陽イオン交換膜としての性能の変化を測定した。電解に用いる電解槽としては、陽極と陰極との間にイオン交換膜を配置した構造であり、電解液を強制的に循環させる型(強制循環型)の電解セルを4個直列に並べたものを用いた。
ファイナイトギャップ電解評価においては電解セルにおける陽極と陰極との間の距離は、1.5mmとした。陰極として、ニッケルのエキスパンドメタルに、触媒として酸化ニッケルが塗布された電極を用いた。陽極としては、チタンのエキスパンドメタルに、触媒としてルテニウム、イリジウム及びチタンが塗布された電極を用いた。
ゼロギャップ電解評価においては陰極と陽極はともにイオン交換膜に接しており、陰極として、ニッケルのメッシュに、触媒としてRuとCeが塗布された電極を用いた。陽極としては、チタンのエキスパンドメタルに、触媒としてルテニウム、イリジウム及びチタンが塗布された電極を用いた。
陽極側には、205g/Lの濃度を維持するように塩水を供給し、陰極側には、苛性ソーダ濃度を32質量%に保ちつつ水を供給した。そして、不純物としてIを10ppm含有しBaを0.03ppm含有する塩水を用いて、塩水の温度を90℃に設定して、6kA/mの電流密度で、電解セルの陰極側の液圧が陽極側の液圧よりも5.3kPa高い条件で電解を9日間行った。その後、電解1日目の電流効率の値から、電解後9日目の電流効率の値の増減を測定し、1日単位での変化率として求めた。なお、電流効率とは、流した電流に対する、生成された苛性ソーダの量の割合であり、流した電流により、ナトリウムイオンではなく、不純物イオンや水酸化物イオンが陽イオン交換膜を移動すると、電流効率が低下する。
電流効率は、一定時間に生成された苛性ソーダのモル数を、その間に流れた電流の電子のモル数で除することで求めることができる。苛性ソーダのモル数は、電解により生成した苛性ソーダをポリタンクに回収して、その質量を測定することにより、求めることができる。
[実施例1]
強化芯材として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製であり、100デニールのテープヤーンに900回/mの撚りを掛けて糸状にしたものを用いた(以下、PTFE糸という。)。経糸の犠牲糸として、35デニール、8フィラメントのポリエチレンテレフタレート(PET)を200回/mの撚りを掛けた糸を用いた(以下、PET糸という。)。また緯糸の犠牲糸として、35デニール、8フィラメントのポリエチレンテレフタレート(PET)を200回/mの撚りを掛けた糸を用いた。まず、PTFE糸が24本/インチ、犠牲糸が隣接するPTFE糸間に2本配置するように平織りして、厚さ100μmの織布を得た。
次に、CF=CFとCF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOCHとの共重合体でイオン交換容量が0.84mg当量/gである乾燥樹脂のポリマー(A1)、CF=CFとCF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOFとの共重合体でイオン交換容量が0.98mg当量/gである乾燥樹脂のポリマー(B1)を準備した。これらのポリマー(A1)及び(B1)を使用し、共押出しTダイ法にて、ポリマー(A1)層の厚みが18μm、ポリマー(B1)層の厚みが74μmである、2層フィルムXを得た。なお、各ポリマーのイオン交換容量は、各ポリマーのイオン交換基前駆体を加水分解してイオン交換基に変換した際のイオン交換容量を示す。
また別途、CF=CFとCF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOFとの共重合体でイオン交換容量が1.05mg当量/gである乾燥樹脂のポリマー(B2)を準備した。このポリマーを単層押出して20μmのフィルムYを得た。
続いて、内部に加熱源及び真空源を有し、その表面に微細孔を有するドラム上に、予めエンボス加工した離型紙、フィルムY、補強材及びフィルムXの順に積層し、ドラム温度225℃、減圧度0.067MPaの条件で2分間加熱減圧した後、離型紙を取り除くことで凹凸形状を有する複合膜を得た。得られた複合膜を、90℃のジメチルスルホキシド(DMSO)30質量%、水酸化カリウム(KOH)15質量%を含む水溶液に1時間浸漬することでケン化した後に、90℃の0.5NのNaOHに1時間浸漬して、イオン交換基についたイオンをNaに置換し、続いて水洗した。さらに60℃で乾燥した。
また、CF=CFとCF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOFとの共重合体でイオン交換容量が1.05mg当量/gである乾燥樹脂のポリマー(B3)を加水分解した後、塩酸で酸型にした。この酸型のポリマー(B3)を、水及びエタノールの50/50(質量比)混合液に5質量%の割合で溶解させた溶液に、一次粒子径が1.15μmの酸化ジルコニウム粒子を、ポリマー(B3)と酸化ジルコニウム粒子との質量比が20/80となるように加えた。その後、ボールミルで酸化ジルコニウム粒子の懸濁液中での平均粒径が0.94μmになるまで分散させて懸濁液を得た。なお酸化ジルコニウム粒子としては、原石粉砕したものを用いた。
この懸濁液をスプレー法でイオン交換膜の両表面に塗布し、乾燥することにより、ポリマー(B3)と酸化ジルコニウム粒子を含むコーティング層を有するイオン交換膜を得た。
乾燥後のコーティング層を蛍光X線測定で測定したところ塗布密度は1cm当り0.5mgであった。また、SAXS測定の散乱から求めたコーティング層の比表面積は2.2m/gであった。
乾燥したコーティング層を有するイオン交換膜を2質量%重曹で湿潤させたのち、このイオン交換膜を用いてファイナイトギャップ電解での不純物耐性測定を行った結果、電流効率の低下は0.23%/日と高い不純物耐久性を示した。この結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、ボールミルでの分散を調整して、酸化ジルコニウム粒子の懸濁液中での平均粒径が1.12μmになるまで分散させて懸濁液を得たこと以外は実施例1と同様にイオン交換膜を作製した。
イオン交換膜の乾燥後のコーティング層を蛍光X線測定で測定したところ塗布密度は1cm当り0.5mgであった。またSAXS測定の散乱から求めたコーティング層の比表面積は2.2m/gであった。
乾燥したコーティング層を有するイオン交換膜を2重量%重曹で湿潤させたのち、このイオン交換膜を用いてファイナイトギャップ電解での不純物耐性測定を行った結果、電流効率の低下は0.27%/日と高い不純物耐久性を示した。この結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、酸化ジルコニウム粒子を一次粒子径が2.50μmのものに変更し、ボールミルでの分散を調整して、酸化ジルコニウム粒子の懸濁液中での平均粒径が1.80μmになるまで分散させて懸濁液を得たこと以外は実施例1と同様にイオン交換膜を作製した。
イオン交換膜の乾燥後のコーティング層を蛍光X線測定で測定したところ塗布密度は1cm当り0.5mgであった。またSAXS測定の散乱から求めたコーティング層の比表面積は1.8m/gであった。
乾燥したコーティング層を有するイオン交換膜を2重量%重曹で湿潤させたのち、このイオン交換膜を用いてファイナイトギャップ電解での不純物耐性測定を行った結果、電流効率の低下は0.24%/日と高い不純物耐久性を示した。この結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、ボールミルでの分散を調整して、酸化ジルコニウム粒子の懸濁液中での平均粒径が0.89μmになるまで分散させて懸濁液を得たこと以外は実施例1と同様にイオン交換膜を作製した。
イオン交換膜の乾燥後のコーティング層を蛍光X線測定で測定したところ塗布密度は1cm当り0.5mgであった。またSAXS測定の散乱から求めたコーティング層の比表面積は2.3m/gであった。
乾燥したコーティング層を有するイオン交換膜を2重量%重曹で湿潤させたのち、このイオン交換膜を用いてファイナイトギャップ電解での不純物耐性測定を行った結果、電流効率の低下は0.50%/日と高い不純物耐久性を示した。この結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、酸化ジルコニウム粒子を一次粒子径が0.04μmのものに変更し、ボールミルでの分散を調整して、酸化ジルコニウムの懸濁液中での平均粒径が1.64μmになるまで分散させて懸濁液を得たこと以外は実施例1と同様にイオン交換膜を作製した。なお、比較例1で用いた酸化ジルコニウム粒子は溶融により製造された粒子である。また、平均粒径は、酸化ジルコニウム粒子の二次粒子径と考えられる。
イオン交換膜の乾燥後のコーティング層を蛍光X線測定で測定したところ塗布密度は1cm当り0.5mgであった。またSAXS測定の散乱から求めたコーティング層の比表面積は13.3m/gであった。なお、電子顕微鏡で観察により、配合時の一次粒子径が0.04μmであった酸化ジルコニウム粒子は、コーティング層でも一次粒径は約0.04μmであった。
乾燥したコーティング層を有するイオン交換膜を2重量%重曹で湿潤させたのち、この陽イオン交換膜を用いてファイナイトギャップ電解での不純物耐性測定を行った結果、電流効率の低下は0.83%/日と不純物の影響を強く受けた。この結果を表1に示す。
Figure 2014058707
比較例1は、溶融により得られた無機物粒子のため、比表面積の指標Sが高い。比較例1と同程度の平均粒径である実施例3は、比較例1に比べて、比表面積の指標Sが低く、不純物耐性が高い結果となっている。以上の結果から、比表面積の指標Sが本発明の数値範囲内であることによって、高い不純物耐性を達成することができることがわかる。
なお、実施例1〜3と、実施例4を比較すると、実施例1〜3では無機物粒子の平均粒径が0.90μm以上であるのに対して、実施例4では無機物粒子の平均粒径が0.90μm未満である。そのため、実施例4に対して、実施例1〜3は不純物耐性がより高い結果となっている。
[実施例5]
強化芯材として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製であり、90デニールのモノフィラメントを用いた(以下、PTFE糸という。)。犠牲糸として、40デニール、6フィラメントのポリエチレンテレフタレート(PET)を200回/mの撚りを掛けた糸を用いた(以下、PET糸という。)。まず、PTFE糸が24本/インチ、犠牲糸が隣接するPTFE糸間に2本配置するように平織りして、厚さ100μmの織布を得た。
次に、CF=CFとCF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOCHとの共重合体でイオン交換容量が0.87mg当量/gである乾燥樹脂のポリマー(A2)、CF=CFとCF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOFとの共重合体でイオン交換容量が1.03mg当量/gである乾燥樹脂のポリマー(B4)を準備した。これらのポリマー(A2)及び(B4)を使用し、共押出しTダイ法にて、ポリマー(A2)層の厚みが18μm、ポリマー(B4)層の厚みが74μmである、2層フィルムXを得た。
続いて、内部に加熱源及び真空源を有し、その表面に微細孔を有するドラム上に、予めエンボス加工した離型紙、補強材及びフィルムXの順に積層し、ドラム温度240℃、減圧度0.067MPaの条件で2分間加熱減圧した後、離型紙を取り除くことで凹凸形状を有する複合膜を得た。得られた複合膜を、90℃のジメチルスルホキシド(DMSO)30wt%、水酸化カリウム(KOH)15wt%を含む水溶液に1時間浸漬することでケン化した後に、90℃の0.5NのNaOHに1時間浸漬して、イオン交換基のついイオンをNaに置換し、続いて水洗した。さらに60℃で乾燥した。
CF=CFとCF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOFとの共重合体でイオン交換容量が1.05mg当量/gである乾燥樹脂のポリマー(B5)を加水分解した後、塩酸で酸型にした。この酸型のポリマー(B5)を水及びエタノールの50/50(質量比)混合液に5質量%溶解させた溶液に、一次粒子径が1.25μmの酸化ジルコニウム粒子を、ポリマー(B5)と酸化ジルコニウム粒子の重量比が50/50になるように加えた。そして、ボールミルで酸化ジルコニウム粒子の懸濁液中での平均粒径が1.07μmになるまで分散させて懸濁液を得た。
この懸濁液をスプレー法でイオン交換膜の両表面に塗布し、乾燥することにより、ポリマー(B5)と酸化ジルコニウム粒子を含むコーティング層を有するイオン交換膜を得た。
乾燥後のコーティング層を蛍光X線測定で測定したところ塗布密度は1cm当り0.5mgであった。またSAXS測定の散乱から求めたコーティング層の比表面積は0.6m/gであった。
乾燥したコーティング層を有するイオン交換膜を2質量%重曹で湿潤させたのち、このイオン交換膜を用いてゼロギャップ電解での不純物耐性測定を行った結果、電流効率の低下は0.23%/日と高い不純物耐久性を示した。この結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例5において、ポリマー(B5)と酸化ジルコニウム粒子の質量比を40/60に変更し、ボールミルで酸化ジルコニウム粒子の懸濁液中での平均粒径が1.11μmになるまで分散させて懸濁液を得たこと以外は実施例5と同様にイオン交換膜を作製した。
イオン交換膜の乾燥後のコーティング層を蛍光X線測定で測定したところ塗布密度は1cm当り0.5mgであった。またSAXS測定の散乱から求めたコーティング層の比表面積は1.5m/gであった。
乾燥したコーティング層を有するイオン交換膜を2質量%重曹で湿潤させたのち、このイオン交換膜を用いてゼロギャップ電解での不純物耐性測定を行った結果、電流効率の低下は0.14%/日と高い不純物耐久性を示した。この結果を表2に示す。
[実施例7]
実施例5において、ポリマー(B5)と酸化ジルコニウム粒子の質量比を30/70に変更し、ボールミルで酸化ジルコニウム粒子の懸濁液中での平均粒径が1.10μmになるまで分散させて懸濁液を得たこと以外は実施例5と同様にイオン交換膜を作製した。
イオン交換膜の乾燥後のコーティング層を蛍光X線測定で測定したところ塗布密度は1cm当り0.5mgであった。またSAXS測定の散乱から求めたコーティング層の比表面積は1.3m/gであった。
乾燥したコーティング層を有するイオン交換膜を2重量%重曹で湿潤させたのち、このイオン交換膜を用いてゼロギャップ電解での不純物耐性測定を行った結果、電流効率の低下は0.34%/日と高い不純物耐久性を示した。この結果を表2に示す。
Figure 2014058707
本発明のイオン交換膜は、塩化アルカリ電解等に使用される陽イオン交換膜として好適に用いることができる。
1…イオン交換膜、2…カルボン酸層、3…スルホン酸層、4…強化芯材、10…膜本体、11a,11b…コーティング層、21,22…強化芯材、100…電解槽、200…陽極、300…陰極、52…強化糸、504a…犠牲糸、504…連通孔504。

Claims (12)

  1. イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体と、該膜本体の少なくとも一方面上に設けられたコーティング層とを有するイオン交換膜であって、
    前記コーティング層が、無機物粒子と結合剤とを含み、
    前記コーティング層の比表面積が、0.1〜10m/gである、イオン交換膜。
  2. 前記無機物粒子の平均粒径が、0.90〜2μmである、請求項1に記載のイオン交換膜。
  3. 前記無機物粒子が、周期律表第IV族元素の酸化物、周期律表第IV族元素の窒化物及び周期律表第IV族元素の炭化物からなる群より選択される少なくとも一種の無機物を含む粒子である、請求項1又は2に記載のイオン交換膜。
  4. 前記無機物粒子が酸化ジルコニウムの粒子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン交換膜。
  5. 前記結合剤が、含フッ素系重合体を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のイオン交換膜。
  6. 前記コーティング層が、前記無機物粒子を40〜90質量%、前記結合剤を10〜60質量%含む、請求項1〜5いずれか一項に記載のイオン交換膜。
  7. 前記結合剤が、カルボキシル基又はスルホ基由来のイオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のイオン交換膜。
  8. 前記無機物粒子の形状が、不規則形状である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のイオン交換膜。
  9. 前記無機物粒子が、無機物を粉砕することにより製造される無機物粒子である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のイオン交換膜。
  10. 前記無機物粒子が、無機物を、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、エッジミル、製粉ミル、ハンマーミル、ペレットミル、VSIミル、ウィリーミル、ローラーミル及びジェットミルからなる群より選択される少なくとも1つの方法で粉砕することにより製造される無機物粒子である、請求項9に記載のイオン交換膜。
  11. 無機物を粉砕して得られた無機物粒子と結合剤とを含有する塗布液を調製する工程と、
    イオン交換膜の表面に前記塗布液を塗布する工程と、
    前記イオン交換膜の表面に塗布された前記塗布液を乾燥させて、コーティング層を形成する工程と、
    を備える、イオン交換膜の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のイオン交換膜を備える、電解槽。
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