JP2015158017A - 陽イオン交換膜及びこれを用いた電解槽 - Google Patents

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雄司 関口
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Abstract

【課題】電解時に電解液が電解槽の外部に漏出(リーク)することを抑制できる陽イオン交換膜を提供すること。【解決手段】イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体2を有する陽イオン交換膜1であり、前記膜本体2の内部に流路3が形成され、前記膜本体2の周縁部に位置する前記流路3の内部の少なくとも一部には、酸又はアルカリに溶解する犠牲芯材4が存在する、陽イオン交換膜1。【選択図】図1

Description

本発明は、陽イオン交換膜及びこれを用いた電解槽に関する。
含フッ素陽イオン交換膜は、耐熱性及び耐薬品性等が優れていることから、塩化アルカリ等の電気分解(以下、電解という。)において、塩素とアルカリを製造するための電解用陽イオン交換膜として用いられている。その他にも、オゾン発生用隔膜、燃料電池、水電解及び塩酸電解等の種々の電解用隔膜等として用いられている。その中で、塩水等を電気分解して苛性ソーダと塩素と水素を製造する塩化アルカリの電解では、アニオン排除性の高いカルボン酸基をイオン交換基とするカルボン酸層と、低抵抗のスルホン酸基をイオン交換基とするスルホン酸層との少なくとも2層から構成されている陽イオン交換膜が一般的に用いられている。
この陽イオン交換膜を用いた電解における電解性能としては、(1)生産性の観点から、流した電流に対する生産効率(電流効率)が高いこと、(2)経済性の観点から、電解電圧が低いこと、製品の品質の観点からアルカリ(苛性ソーダ等)中の不純物(食塩等)濃度が低いこと等が要望されている。
また、電解時には、陽イオン交換膜は80〜90℃の塩素及び苛性ソーダと直接接触するため、化学的耐久性が高い含フッ素系重合体が陽イオン交換膜の材料として用いられる。
しかし、含フッ素系重合体のみでは、陽イオン交換膜として十分な機械的強度を有さない。そのため、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等からなる織布等を、強化芯材として膜に埋め込んで補強すること等が行われている。
さらに、電解電圧を下げるため、犠牲芯材を強化芯材に織り込んだ織布を採用することが行われている。犠牲芯材は、加水分解されることで溶出し、それによって空洞(流路)を形成する。流路が陽イオン交換膜の内部に形成されることで、陽イオン交換膜の内部まで電解液が浸透する。その結果、陽イオン交換膜の抵抗が電解液の抵抗に近づき、さらに、実質的に膜の厚みが薄くなることで、電解電圧が低下すると考えられる。
特許文献1では、補強部材を陽イオン交換膜の内部に有する陽イオン交換膜であって、補強材で囲まれたウィンドウ域からブラインド域に通じる膜内の管路(channels)を有する陽イオン交換膜により、電解電圧の低下を達成できることが記載されている。特許文献2では、イオン交換基の加水分解処理により溶解する犠牲芯材を含む補強材を第三の層と第四の層に少なくとも配置することにより、陽イオン交換膜の電気抵抗を低下させることが記載されている。
特開平01−308435号公報 特開昭63−113029号公報
しかしながら、流路を有する従来の陽イオン交換膜は、電解槽に装着して電解に用いられる際に、電解槽内の電解液が流路を経由して電解槽外へ漏出(リーク)してしまうという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、電解時に電解液が電解槽の外部に漏出(リーク)することを抑制できる陽イオン交換膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体を有する陽イオン交換膜であり、膜本体の内部に流路が形成され、膜本体の周縁部に位置する流路の内部の少なくとも一部には、酸又はアルカリに溶解する犠牲芯材が存在する、陽イオン交換膜とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕
イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体を有する陽イオン交換膜であり、
前記膜本体の内部に流路が形成され、前記膜本体の周縁部に位置する前記流路の内部の少なくとも一部には、酸又はアルカリに溶解する犠牲芯材が存在する、陽イオン交換膜。
〔2〕
前記流路の断面積に対する、前記犠牲芯材の断面積の割合(犠牲芯材残存率)が、20〜99%である、〔1〕に記載の陽イオン交換膜。
〔3〕
前記流路が、膜本体の内部全体にわたって形成されている、〔1〕又は〔2〕に記載の陽イオン交換膜。
〔4〕
前記流路の全ての内部に、前記犠牲芯材が存在する、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜。
〔5〕
前記陽イオン交換膜を上面視したときの、前記流路の投影面積の総和に対する、前記犠牲芯材の投影面積の総和の割合(犠牲芯材面積率)が、10〜99%である、〔4〕に記載の陽イオン交換膜。
〔6〕
前記流路が管状である、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜。
〔7〕
前記犠牲芯材は、ポリビニルアルコール(PVA)、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロース、及びポリアミドからなる群より選ばれるいずれか1種を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜。
〔8〕
陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に配置された、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜と、
を備える、電解槽。
〔9〕
さらに、前記陽イオン交換膜のいずれか一方の表面と当接されたガスケットを備える、〔8〕に記載の電解槽。
〔10〕
陽極と、
陰極と、
前記陽極の側に配置された、第一の開口部を有する陽極側ガスケットと、
前記陰極の側に配置された、第二の開口部を有する陰極側ガスケットと、
前記陽極側ガスケットと前記陰極側ガスケットにより挟持された、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜と、
を備え、かつ、
前記陽イオン交換膜の前記膜本体において前記流路の内部に前記犠牲芯材が存在している箇所の少なくとも一部が、前記陽極側ガスケットによって押圧されているように、前記陽イオン交換膜と、前記陽極側ガスケットと、が配置されている、電解槽。
本発明によれば、電解時に電解液が電解槽の外部に漏出(リーク)することを抑制できる陽イオン交換膜を提供することができる。
本実施形態の陽イオン交換膜を上面視した概念図である。 図1のA−A'線に沿う側断面図である。 本実施形態の陽イオン交換膜の別の一実施形態について上面視した概念図である。 本実施形態の陽イオン交換膜の開口率を説明するための概念図である。 本実施形態の陽イオン交換膜のさらに別の一実施形態の部分断面図である。 本実施形態における陽イオン交換膜の連通孔を形成し、その内部に犠牲芯材を形成する方法の一例を説明するための模式図である。 本実施形態に係る電解槽の一実施形態の模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書において、「略」を付した用語は、当業者の技術常識の範囲内でその「略」を除いた用語の意味を示すものであり、「略」を除いた意味自体をも含むものとする。
図1は、本実施形態の陽イオン交換膜を上面概念図であり、図2は、同実施形態の陽イオン交換膜の側面断面図である。本実施形態の陽イオン交換膜1は、イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体2を有する陽イオン交換膜であり、膜本体2の内部には流路3が形成され、膜本体2の周縁部に位置する流路3の内部の少なくとも一部には、酸又はアルカリに溶解する犠牲芯材4が存在する、陽イオン交換膜である。このような構造を有する陽イオン交換膜1を用いることにより、電解時に電解液が電解槽の外部にリークすることがなく、電解を行うことができる。
(膜本体)
膜本体2は、陽イオンを選択的に透過する機能を有し、イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含むものであればよく、その構成や材料は特に限定されず、適宜好適なものを選択することができる。ここでいうイオン交換基を有する含フッ素系重合体とは、イオン交換基、又は、加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体、を有する含フッ素系重合体をいう。例えば、フッ素化炭化水素の主鎖からなり、加水分解等によりイオン交換基に変換可能な官能基をペンダント側鎖として有し、かつ溶融加工が可能な重合体等が挙げられる。このような含フッ素系重合体について、以下に説明する。
含フッ素系重合体は、例えば、下記第1群より選ばれる少なくとも1種の単量体と、下記第2群及び/又は下記第3群より選ばれる少なくとも1種の単量体と、を共重合することにより製造することができる。また、下記第1群、下記第2群、及び下記第3群のいずれかより選ばれる1種の単量体の単独重合により製造することもできる。
第1群の単量体としては、例えば、フッ化ビニル化合物が挙げられる。フッ化ビニル化合物としては、例えば、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等が挙げられる。特に、本実施形態に係る陽イオン交換膜をアルカリ電解用陽イオン交換膜として用いる場合、フッ化ビニル化合物は、パーフルオロ単量体であることが好ましく、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる群より選ばれるパーフルオロ単量体が好ましい。
第2群の単量体としては、例えば、カルボン酸型イオン交換基(カルボン酸基)に変換し得る官能基を有するビニル化合物が挙げられる。カルボン酸型イオン交換基に変換し得る官能基を有するビニル化合物としては、例えば、CF2=CF(OCF2CYF)s−O(CZF)t−COORで表される単量体等が挙げられる(ここで、sは0〜2の整数を表し、tは1〜12の整数を表し、Y及びZは、各々独立して、F又はCF3を表し、Rは低級アルキル基を表す。)。
これらの中でも、CF2=CF(OCF2CYF)n−O(CF2m−COORで表される化合物が好ましい。ここで、nは0〜2の整数を表し、mは1〜4の整数を表し、YはF又はCF3を表し、RはCH3、C25、又はC37を表す。
特に、本実施形態に係る陽イオン交換膜をアルカリ電解用陽イオン交換膜として用いる場合、単量体としてパーフルオロ化合物を少なくとも用いることが好ましいが、エステル基のアルキル基(上記R参照)は加水分解される時点で重合体から失われるため、アルキル基(R)は全ての水素原子がフッ素原子に置換されているパーフルオロアルキル基でなくてもよい。これらの中でも、例えば、下記に表す単量体がより好ましい;

CF2=CFOCF2−CF(CF3)OCF2COOCH3
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF22COOCH3
CF2=CF[OCF2−CF(CF3)]2O(CF22COOCH3
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF23COOCH3
CF2=CFO(CF22COOCH3
CF2=CFO(CF23COOCH3
第3群の単量体としては、例えば、スルホン型イオン交換基に変換し得る官能基(スルホン酸基)を有するビニル化合物が挙げられる。スルホン型イオン交換基に変換し得る官能基(スルホン酸基)を有するビニル化合物としては、例えば、CF2=CFO−X−CF2−SO2Fで表される単量体が好ましい(ここで、Xはパーフルオロ基を表す。)。これらの具体例としては、下記に表す単量体等が挙げられる;

CF2=CFOCF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2SO2F、
CF2=CF(CF22SO2F、
CF2=CFO〔CF2CF(CF3)O〕2CF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF(CF2OCF3)OCF2CF2SO2F。

これらの中でも、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2SO2F、及びCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fがより好ましい。
これらの単量体から得られる共重合体は、フッ化エチレンの単独重合及び共重合に対して開発された重合法、特にテトラフルオロエチレンに対して用いられる一般的な重合方法によって製造することができる。例えば、非水性法においては、パーフルオロ炭化水素、クロロフルオロカーボン等の不活性溶媒を用い、パーフルオロカーボンパーオキサイドやアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で、温度0〜200℃、圧力0.1〜20MPaの条件下で、重合反応を行うことができる。
上記共重合において、単量体の組み合わせの種類及びその割合は、特に限定されず、得られる含フッ素系重合体に付与したい官能基の種類及び量によって選択決定される。例えば、カルボン酸エステル官能基のみを含有する含フッ素系重合体とする場合、上記第1群及び第2群から各々少なくとも1種の単量体を選択して共重合させればよい。また、スルホニルフルオライド官能基のみを含有する重合体とする場合、上記第1群及び第3群の単量体から各々少なくとも1種の単量体を選択して共重合させればよい。さらに、カルボン酸エステル官能基とスルホニルフルオライド官能基を有する含フッ素系重合体とする場合、上記第1群、第2群及び第3群の単量体から各々少なくとも1種の単量体を選択して共重合させればよい。この場合、上記第1群及び第2群よりなる共重合体と、上記第1群及び第3群よりなる共重合体とを、別々に重合し、後に混合することによっても目的の含フッ素系重合体を得ることができる。また、各単量体の混合割合は、特に限定されないが、単位重合体当たりの官能基の量を増やす場合、上記第2群及び第3群より選ばれる単量体の割合を増加させればよい。
含フッ素系共重合体の総イオン交換容量は、特に限定されないが、0.5〜2.0mg当量/gであることが好ましく、0.6〜1.5mg当量/gであることがより好ましい。ここで、総イオン交換容量とは、乾燥樹脂の単位重量あたりの交換基の当量のことをいい、中和滴定等によって測定することができる。
本実施形態の陽イオン交換膜1を構成する膜本体2は、図2に示されるように、スルホン酸基をイオン交換基として有するスルホン酸層5と、当該スルホン酸層5に積層された、カルボン酸基をイオン交換基として有するカルボン酸層6と、を備えることが好ましい。
通常、陽イオン交換膜1は、スルホン酸層5が電解槽の陽極側に、カルボン酸層6が電解槽の陰極側に位置するように配置される。スルホン酸層5は、電気抵抗が低い材料から構成され、膜強度の観点から膜厚が厚いことが好ましい。カルボン酸層6は、膜厚が薄くても高いアニオン排除性を有するものが好ましい。ここでいうアニオン排除性とは、陽イオン交換膜1へのアニオンの浸入や透過を妨げようとする性質をいう。かかる層構造の膜本体2を用いることで、ナトリウムイオン等の陽イオンの選択的透過性を一層向上させることができる。
スルホン酸層5に用いる重合体としては、例えば、上記した含フッ素系重合体のうち、スルホン酸基を有する含フッ素系重合体が挙げられる。特に、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fが好ましい。
カルボン酸層6に用いる重合体としては、例えば、上記した含フッ素系重合体のうち、カルボン酸基を有する含フッ素系重合体が挙げられる。特に、CF2=CFOCF2CF(CF2)O(CF22COOCH3が好ましい。
なお、図示はしないが、陽イオン交換膜1のいずれか一方の表面には、流路3と繋がった開孔部が形成されていてもよい。例えば、膜本体2の内部に配置された流路3の一部が陽イオン交換膜1の表面に開通して開孔部を形成していてもよい。
流路3は、少なくとも膜本体2の周縁部に形成されていればよい。そして、周縁部に形成された流路3の内部には、後述する犠牲芯材4が配置されていればよい。膜本体2の周縁部は、後述するガスケットによって挟持される領域である。通常、電解槽に装着される際には、少なくとも膜本体2の周縁部はガスケットにより押圧される。これにより当該流路3の空間は押し潰されて小さくなるが、当該流路3の内部には犠牲芯材4が配置されているため、押し潰された当該流路3の内部空間は犠牲芯材4によって効率よく閉塞することができる。その結果、電解液のリークを効果的に防止できる。
通常、陽イオン交換膜は矩形であるが、その場合、陽イオン交換膜の周縁部に配置される流路は、端辺から、1辺の長さの0〜5%の領域内に配置されていることが好ましい。例えば、陽イオン交換膜1は長方形状であるが、陽イオン交換膜1の長手方向においては、夫々の短辺から、長辺の長さの0〜5%の領域内に配置されていることが好ましく、2〜5%の領域内に配置されていることがより好ましい。幅方向においては、夫々の長辺から、短辺の長さの0〜5%の領域内に配置されていることが好ましく、2〜5%の領域内に配置されていることがより好ましい。
流路3は、断面視した状態で、波打つように内部に配置されていてもよい(図2参照(α)側と(β)側を交互に波打つ形状)。これは、縦糸と緯糸(横糸)を平織りすること等によって、形成される(図2においては緯糸を図示していない)。また、図示はしないが、流路3は、断面視した状態で、略直線状に配置されていてもよい。
流路3の形状は、管状であることが好ましい。流路3が管状である場合、流路3を断面視した状態において、流路3の中央に犠牲芯材4が配置されていることが好ましい。犠牲芯材4については後述するが、このような形状及び配置をとることで、電解液のリークをより効果的に防止することができる。
(犠牲芯材)
流路3のうち、少なくとも、膜本体2の周縁部に位置する流路3の内部には、酸又はアルカリに溶解する犠牲芯材4が存在する。これにより、電解時における電解セル外への電解液のリークを防止することができる。
通常、電解時には、陽イオン交換膜は電解セル間にセットされて使用されるが、その際、陽イオン交換膜の端部は電解セルの枠体部分からはみ出た状態でセットされる(例えば、図7参照)。すなわち、陽イオン交換膜においては、端部が電解セルの外側にはみ出ており、周縁部がガスケットによって押圧されており、中央部(周縁部よりも内側の領域)が電極室の空間を仕切っており、電解液と接触した状態となる。そのため、電解運転時には、電極室に充填された電解液が、陽イオン交換膜の中央部に設けられた流路を介して、陽イオン交換膜の周縁部に到達し、周縁部に設けられた流路を介して、陽イオン交換膜の端部に更に到達し、そこから電解セル外へ漏出することが起こりうる。しかしながら、本実施形態の陽イオン交換膜1の周縁部に設けられた流路3の内部には、犠牲芯材4が存在しているため、ガスケットにより周縁部の流路3が押圧されることで、流路3の空間を閉塞することができる。これにより、陽イオン交換膜1の周縁部で電解液の流れをせき止めることができ、電解液のリークを防止できる。
犠牲芯材4の材料としては、酸又はアルカリに溶解するものであればよく、好適な具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロース、及びポリアミド等が挙げられる。電解液に対する溶解性が高い観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。酸又はアルカリに溶解する材料であることによって、製造時においては、犠牲芯材から流路を形成しやすいという利点がある。また、使用時においては、膜本体の周縁部では流路内に犠牲芯材が残った状態を維持しつつ、膜本体の中央部(膜本体の周縁部の内側の領域)では電解液との接触により犠牲芯材を効率よく溶解することができ、流路の空間を形成することができる。その結果、電解電圧を低減しつつ、電解液のリークも防ぐことができる。なお、使用時において、膜本体の周縁部では流路内に犠牲芯材を残った状態を維持しやすい理由としては、上述したように、周縁部はガスケット等で押圧されている状態であるため、電解液と余り接触せず、犠牲芯材が溶解しないからだと考えられる(但し、作用はこれに限定されない)。
陽イオン交換膜1では、流路3の断面積に対する、犠牲芯材4の断面積の割合(犠牲芯材残存率)は、20〜99%であることが好ましく、30〜80%であることがより好ましく、30〜60%であることが更に好ましい。犠牲芯材残存率が、20%以上であれば、電解液のリークをより効果的に防止することができる。なお、犠牲芯材残存率が99%である場合とは、流路3の内部が犠牲芯材4でほぼ埋め尽くされている状態である。電解液のリークの防止及び膜の強度の観点から、犠牲芯材残存率は、30%以上であることがより好ましい。
また、電解が進むにつれて、流路3の内部に存在している犠牲芯材4が徐々に溶出すると、電解液中の不純物が増加してしまう。不純物の増加を防止する観点から、犠牲芯材残存率は、80%以下であることがより好ましい。犠牲芯材残存率は、後述する画像解析によって、連通孔の断面積に対する、犠牲芯材の断面積の割合を算出することによって、求めることができる。なお、犠牲芯材残存率は、測定対象とする流路3や犠牲芯材4の配置方向に対して略垂直に断面視して、その断面積から算出する。したがって、例えば、図2の陽イオン交換膜1の犠牲芯材残存率を求める場合、流路3及び犠牲芯材4は紙面の上下方向に沿って配置されているため、紙面に対して略垂直に断面視した状態の流路3及び犠牲芯材4の断面積をそれぞれ求め、この断面積に基づいて犠牲芯材残存率を算出する。流路3及び犠牲芯材4が多方向に沿って配置されている場合には、まず、いずれか一方向に沿って配置された流路3及び犠牲芯材4に対して、略垂直に断面視した際の断面積を求め、他の方向に沿って配置された流路3及び犠牲芯材4の断面積は、別断面において別途測定する。なお、流路3及び犠牲芯材4が多方向に沿って配置されている場合の犠牲芯材残存率の詳細については、図5において後述する。
陽イオン交換膜1を上面視したときの、流路3の投影面積の総和に対する、犠牲芯材4の投影面積の総和の割合(犠牲芯材面積率)は、10〜99%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましい。犠牲芯材面積率は、顕微鏡を用いて、陽イオン交換膜を上面視し、連通孔の投影面積中における犠牲芯材が占める投影面積を求めることにより算出できる。具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
図3は、本実施形態の陽イオン交換膜の別の一実施形態について上面視した概念図である。陽イオン交換膜7は、膜本体2の周縁部に形成された流路3a及び犠牲芯材4aを有するだけでなく、膜本体2の中心部にも流路3b及び犠牲芯材4bが配置されている。そして、芯材として、犠牲芯材4a、5bだけでなく、強化芯材8を更に有する。ここで、強化芯材8とは、酸及びアルカリのいずれにも溶解しない芯材をいう。陽イオン交換膜7が、膜本体2の内部に、強化芯材8を有することで、陽イオン交換膜7の機械的強度や寸法安定性を一層向上させることができる。ここで、寸法安定性とは、イオン交換膜の伸び縮みを所望の範囲に抑制できる性質をいう。寸法安定性に優れた陽イオン交換膜7は、加水分解や電気分解等によって、必要以上に伸縮せず、長期にわたり優れた寸法安定性を維持することができる。
図3に示すように、流路3は、膜本体2の内部全体にわたって形成されていることが好ましい。ここで、膜本体2の内部全体にわたって形成されているとは、流路3が、少なくとも膜本体2の周縁部及び中心部において、縦方向と横方向との両方向に沿って形成されていることをいう。なお、流路3の配置間隔は、特に限定するものではなく、陽イオン交換膜の形状や大きさ、さらには所望する物性等を考慮して、適宜調整することができる。膜本体2の内部全体にわたって流路3が形成されていることにより、膜全体に陽イオンや電解液の流路を形成することができるため、電解性能がより向上する。流路3は、陽イオン交換膜1の幅方向と長手方向(例えば、図1において縦方向と横方向)にわたって網目状に形成されていることが好ましい。
陽イオン交換膜7において、流路3a、3bの全ての内部に、犠牲芯材4a、4bが存在することが好ましい。すなわち、膜本体2の周縁部に形成された流路3aの内部に犠牲芯材4aが配置されているだけでなく、膜本体2の中央部に形成された流路3bの内部にも犠牲芯材4bが配置されていることが好ましい。これによって、電解時における電解液のリークを一層効果的に防止でき、かつ、陽イオン交換膜7の機械的強度及び寸法安定性が一層向上する。特に、陽イオン交換膜7を電解セルにセットする際に起こり得る、陽イオン交換膜7の折れ曲がり等の破損も十分に抑制することができる。
(強化芯材)
陽イオン交換膜7においては、複数の強化芯材8を有することが好ましい。図示はしないが、強化芯材8は、膜本体2の内部で、互いに交差するように配置されていることが好ましい。強化芯材8の配置については、後述する。
強化芯材8の材質や構成は、特に限定されず、例えば、強化糸と呼ばれる糸を紡糸したものであってもよい。ここでいう強化糸とは、強化芯材8を構成する部材であって、陽イオン交換膜7に所望の寸法安定性及び機械的強度を付与できるものであり、かつ、陽イオン交換膜7中で安定に存在できる糸のことをいう。かかる強化糸を紡糸した強化芯8を用いることにより、一層優れた寸法安定性及び機械的強度を陽イオン交換膜7に付与することができる。
強化芯材8及びこれに用いる強化糸の材料は、特に限定されないが、長期にわたる耐熱性及び耐薬品性の観点から、含フッ素系重合体を含むものがより好ましい。含フッ素系重合体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、トリフルオロクロルエチレン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン重合体(PVDF)等が挙げられる。これらの中でも、長期にわたる耐熱性及び耐薬品性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
強化芯材8の形態としては、強化糸を用いた織布、編布を用いることができる。これらの中でも、製造の容易性の観点から、織布であることが好ましい。織布の織り方としては、平織りが好ましい。織布の厚みは、特に限定されないが、30〜250μmであることが好ましく、30〜150μmであることがより好ましい。
また、強化糸の織り密度(単位長さあたりの打ち込み本数)は、5〜50本/インチが好ましい。50本/インチ以下であれば、膜の見かけ厚みを高くすることができる。5本/インチ以上であれば、膜の機械的強度を高く維持できる。より好ましくは、15〜30本/インチである。
強化芯材8に用いられる強化糸の糸径は、20〜300デニールであることが好ましく、50〜250デニールであることがより好ましい。強化糸は、モノフィラメントでもよいし、マルチフィラメントでもよい。また、これらのヤーン、スリットヤーン等も使用できる。
膜本体2における強化芯材8の織り方及び配置は、特に限定されず、陽イオン交換膜7の大きさや形状、陽イオン交換膜7に所望する物性及び使用環境等を考慮して、適宜好適な配置とすることができる。例えば、寸法安定性の観点から、所定の第一の方向に沿って強化芯材8を配置し、かつ、第一の方向に対して略垂直である第二の方向に沿って、別の強化芯材8を配置することが好ましい。膜本体2の内部において、略直行するように複数の強化芯材8を配置することで、多方向において一層優れた機械的強度及び寸法安定性を付与することができる。例えば、膜本体2の表面において縦方向に沿って配置された強化芯材8(縦糸)と横方向に沿って配置された強化芯材8(緯糸))を織り込む配置が好ましい。縦糸と緯糸を交互に浮き沈みさせて打ち込んで織った平織りや、2本の経糸を捩りながら緯糸と織り込んだ絡み織り、2本又は数本ずつ引き揃えて配置した縦糸に同数の緯糸を打ち込んで織った斜子織り(ななこおり)等とすることが、寸法安定性、機械的強度及び製造容易性の観点からより好ましい。
特に、陽イオン交換膜7のMD方向(Machine Direction方向)及びTD方向(Transverse Direction方向)の両方向に沿って強化芯材8が配置されていることが好ましい。具体的には、強化芯材8は、MD方向とTD方向に平織りされていることが好ましい。ここで、MD方向とは、後述する陽イオン交換膜の製造工程において、膜本体2や各種芯材(例えば、強化芯材8、強化糸、犠牲芯材4、犠牲糸等)が搬送される方向(流れ方向)をいい、TD方向とは、MD方向と略垂直の方向をいう。そして、MD方向に沿って織られた糸をMD糸といい、TD方向に沿って織られた糸をTD糸という。通常、電解に用いる陽イオン交換膜1は、矩形状であり、長手方向がMD方向となり、幅方向がTD方向となることが多い。MD糸である強化芯材8とTD糸である強化芯材8を織り込むことで、多方向において一層優れた寸法安定性及び機械的強度を付与することができる。
強化芯材8の開口率は、特に限定されず、好ましくは30%以上であり、より好ましくは50〜90%であり、更に好ましくは60〜90%であり、より更に好ましくは65〜90%である。強化芯材8の開口率が30%以上であれば、陽イオン交換膜7の電気化学的性質をより優れたものにできる。さらに、強化芯材8の開口率が50%以上であれば、膜本体2の形成に用いる樹脂量が少なくとも陽イオン交換膜7の厚さをより厚くすることができる。また、強化芯材8の開口率が90%以下であれば、陽イオン交換膜の機械的強度をより優れたものにできる。
ここで、開口率とは、膜本体2のいずれか一方の表面の面積(A)におけるイオン等の物質(電解液及びそれに含有される陽イオン(例えば、ナトリウムイオン))が通過できる表面の総面積(B)の割合(B/A)をいう。イオン等の物質が通過できる表面の総面積(B)とは、陽イオン交換膜7において、陽イオンや電解液等が、陽イオン交換膜1に含まれる強化芯材や強化糸等によって遮断されない領域の総面積である。
図4は、本実施形態の陽イオン交換膜1の開口率を説明するための概念図である。図4は、陽イオン交換膜7の一部を拡大し、その領域内の強化芯材8の配置のみを図示しているものであり、他の部材については図示を省略している。ここで、縦方向に沿って配置された強化芯材8と横方向に沿って配置された強化芯材8によって囲まれた領域において、強化芯材8の面積を含む領域の面積(A)から、強化芯材8の総面積(C)を減じることで、上記した領域の面積(A)におけるイオン等の物質が通過できる領域の総面積(B)を求めることができる。すなわち、開口率は、下記式(I)により求めることができる。

開口率=(B)/(A)=((A)−(C))/(A) ・・・(I)
強化芯材8として、特に好ましい形態は、耐薬品性及び耐熱性の観点から、PTFEを含む強化芯材であり、強度の観点から、テープヤーン糸又は高配向モノフィラメントである。具体的には、PTFEからなる高強度多孔質シートをテープ状にスリットしたテープヤーン、又はPTFEからなる高度に配向したモノフィラメントの50〜300デニールを使用し、かつ、織り密度が10〜50本/インチである平織りであり、その厚みが50〜100μmの範囲である強化芯材であることがより好ましい。かかる強化芯材を含む陽イオン交換膜の開口率は、60%以上であることが更に好ましい。
開口率の具体的な測定方法を説明する。陽イオン交換膜(コーティング等を塗る前の陽イオン交換膜)の表面画像を撮影し、強化芯材が存在しない部分の面積から、上記(B)が求められる。そして、陽イオン交換膜の表面画像の面積から上記(A)を求め、上記(B)を上記(A)で除することによって、開口率が求められる。
図5は、本実施形態の陽イオン交換膜のさらに別の一実施形態の部分断面図である。陽イオン交換膜9は、膜本体2の表面に、それぞれコーティング層10、11を有している。スルホン酸層5の表面にはコーティング層10が設けられており、カルボン酸層6の表面にはコーティング層11が設けられている。スルホン酸層5には、流路3、犠牲芯材4、及び強化芯材8が配置されている。
(コーティング層)
コーティング層10、11を有することで、電解時に陰極側表面(図5の矢印α参照)及び陽極側表面(図5の矢印β参照)へのガスの付着を防止することができる。
コーティング層10、11を構成する材料としては、特に限定されないが、ガスの付着防止の観点から、無機物を含むことが好ましい。無機物としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン等が挙げられる。コーティング層を膜本体に形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、無機酸化物の微細粒子をバインダーポリマー溶液に分散した液を、スプレー等により塗布する方法が挙げられる。
例えば、無機酸化物の微細粒子をバインダーポリマー溶液に分散させた液を、スプレー等により塗布する方法(スプレー法)が挙げられる。バインダーポリマーとしては、例えば、スルホン型イオン交換基に変換し得る官能基を有するビニル化合物等が挙げられる。塗布条件については、特に限定されず、例えば、30〜90℃でスプレーを用いることとすることができる。スプレー法以外の方法としては、例えば、ロールコート等が挙げられる。
コーティング層の平均厚みは、ガス付着防止と厚みによる電気抵抗増加の観点から、1〜10μmであることが好ましい。
流路3と強化芯材8の配置に関して、陽イオン交換膜9を断面視して、流路3は、強化芯材8の陽極側(スルホン酸層5側)と陰極側(カルボン酸層6側)を交互に通過するように形成されることが好ましい。このような構造とすることで、流路3の内部空間を流れる電解液及びそれに含有される陽イオン(例えば、ナトリウムイオン)を、膜本体2の陽極側と陰極側との間で効率よく移送させることができる。その結果、陽イオンの流れが遮蔽されず、陽イオン交換膜9の電気抵抗を更に低くすることができる。
(凸部)
図示はしないが、陽イオン交換膜9は、断面視した状態で、膜本体2の表面に、高さが20μm以上である凸部が形成されていることが好ましい。特に、スルホン酸層5の表面に、凸部が形成されていることによって、電解の際に電解液が十分に膜本体2に供給され、不純物の影響をより低減することができる。
通常、電解電圧を下げる目的で、陽イオン交換膜は陽極と密着した状態で使用される。陽イオン交換膜と陽極とが密着すると、電解液(塩水等)の供給がされづらくなる傾向にある。そこで、陽イオン交換膜の表面に凸部を形成することにより、陽イオン交換膜と陽極との密着を抑制することができるため、電解液の供給をスムーズに行うことができる。その結果、陽イオン交換膜中に金属イオンやその他の不純物等が蓄積されることを防止できる。なお、凸部は、樹脂からなることが好ましい。
凸部の配置密度は、特に限定されないが、電解液を膜に十分に供給する観点から、20〜1500個/cm2であることが好ましく、50〜1200個/cm2であることがより好ましい。
凸部の形状は、特に限定されないが、円錐状、多角錐状、円錐台状、多角錐台状、及び半球状からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。なお、ここでいう半球状とは、ドーム状等とよばれる形状も包含する。
上述した凸部の高さ、形状及び配置密度は、以下の方法により、それぞれ測定・確認することができる。まず、陽イオン交換膜の1000μm四方の範囲の膜表面において、高さが一番低い点を基準とする。そして、その基準点からの高さが、20μm以上である部分を凸部とする。
高さは、KEYENCE社製、「カラー3Dレーザー顕微鏡(VK−9710)」を用いて測定する。具体的には、乾燥状態の陽イオン交換膜から、任意に10cm×10cmの箇所を切り出し、平滑な板と陽イオン交換膜の陽極側を両面テープで固定し、陽イオン交換膜の陰極側を測定レンズに向けるよう測定ステージにセットする。各10cm×10cmの膜において、1000μm四方の測定範囲で、陽イオン交換膜表面における形状を観測し、高さが一番低い点を基準とし、そこからの高さを測定することで凸部を観測することができる。
凸部の配置密度は、陽イオン交換膜の任意の箇所10cm×10cmを3箇所切り出して試料とし、試料において、上記のレーザー顕微鏡によって1000μm四方の測定範囲を9箇所測定し、それぞれの測定箇所における凸部の配置密度を求め、その算術平均をとった値である。
陽イオン交換膜9の犠牲芯材面積率については、いずれか一方向(例えば、長手方向と幅方向のいずれか一方向)において配置された流路3及び犠牲芯材4の犠牲芯材面積率が、10〜99%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましい。
加えて、陽イオン交換膜9の両方向(例えば、長手方向及び幅方向のいずれも)において、流路3及び犠牲芯材4の犠牲芯材残存率が、10〜99%であることが更に好ましく、20〜80%であることが更に好ましい。
ここで、多方向(例えば、長手方向と幅方向)における犠牲芯材残存率を測定する場合を説明する。まず、陽イオン交換膜9において、いずれか一方向(例えば、長手方向と幅方向のいずれか一方向)に沿って配置された流路3及び犠牲芯材4の断面積のみを測定する。そして、他の方向に沿って配置された流路3及び犠牲芯材4の断面積は、別断面(これらに対して略垂直に断面視した状態の断面)にて別途測定する。
例えば、図5のように断面視した場合、まず、紙面に向けて断面視された流路3及び犠牲芯材4(図5において、3つの流路3が連接されている流路3)の断面積を測定し、当該流路3の断面積に対する当該犠牲芯材4の断面積の割合(当該方向の各犠牲芯材残存率)を求める。
そして、紙面の上下方向に沿って配置された流路3及び犠牲芯材4の断面積は、紙面に対して略垂直に断面視した状態で別途測定し、流路3の断面積に対する犠牲芯材4の断面積の割合(当該方向の各犠牲芯材残存率)を求める。
このようにして求めた各犠牲芯材残存率の算術平均をとることで、陽イオン交換膜9の多方向における犠牲芯材残存率を求める。
〔陽イオン交換膜の製造方法〕
本実施形態に係る陽イオン交換膜の好適な製造方法としては、以下の(1)〜(5)の工程を有する方法が挙げられる。
(1)イオン交換基(カルボン酸基及び/又はスルホン酸基)、又は、加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体を有する含フッ素重合体を製造する工程、
(2)酸又はアルカリに溶解する性質を有する犠牲芯材と、必要に応じて、複数の強化芯材と、を少なくとも織り込むことにより、犠牲芯材が配置された補強材を得る工程、
(3)イオン交換基、又は、加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体を有する含フッ素重合体をフィルム化してフィルムを製造する工程、
(4)フィルムに補強材を埋め込み、補強材が内部に配置された膜本体を得る工程、
(5)酸又はアルカリで犠牲芯材の一部を溶解させることで、膜本体の内部に流路が形成され、膜本体の周縁部に位置する流路の内部の少なくとも一部には、犠牲芯材が存在する、陽イオン交換膜を得る工程(加水分解工程)。
上記方法によれば、(2)工程で犠牲芯材(犠牲糸)を含む補強材を織り、(5)工程で行う加水分解条件を制御することにより、膜本体に開孔部や連通孔を形成でき、かつ、連通孔の内部に犠牲芯材の一部を残存させることができる。
以下、各工程についてより詳細に説明する。
(1)工程:含フッ素系重合体を製造する工程
上記第1群〜第3群に記載した原料の単量体を用いて含フッ素系重合体を製造する。含フッ素系重合体のイオン交換容量を制御するためには、各層を形成する含フッ素系重合体の製造において、原料の単量体の混合比を調整すればよい。
(2)工程:補強材を得る工程
補強材とは、犠牲芯材を織ったものであり、上記した織布等である。(3)工程において補強材を膜本体に埋め込み、(5)工程において犠牲芯材の一部を溶解させることで、膜本体内部に開孔部及び連通孔を形成させ、かつ、連通孔の内部に犠牲芯材の一部を残存させることができる。強化芯材も含む補強材とする場合、犠牲芯材の混織量は、好ましくは補強材全体の10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。犠牲芯材の太さ等については、20〜50デニールの太さであり、モノフィラメント又はマルチフィラメントからなるポリビニルアルコール等が好ましい。ここで、犠牲芯材の太さを太くすると、酸やアルカリに対する犠牲芯材糸の溶解速度は遅くなり、連通孔内に犠牲芯材が残りやすい傾向になる。そのため、犠牲芯材の太さを太くすると、連通孔の断面積に対する犠牲芯材の断面積の割合(犠牲芯材面積率)を大きくすることができる。
逆に、犠牲芯材の太さを細くすると、酸やアルカリに対する犠牲芯材の溶解速度は速くなる。そのため、犠牲芯材の太さを細くすると、連通孔の内部に犠牲芯材が残りにくくなり、犠牲芯材面積率を小さくすることができる。
なお、(2)工程において、強化芯材等の本数や配置間隔を調整することで、流路、及びその内部に存在する犠牲芯材の配置を制御することができる。
(3)工程:フィルムを製造する工程(フィルム化工程)
(3)工程では、(1)工程で得られた含フッ素重合体を、押出し機を用いてフィルム化する。このフィルムは、陽イオン交換膜の膜本体となる。したがって、単層のフィルムの場合は、単層の膜本体となり、2層以上の多層フィルムの場合は、それに対応する多層の膜本体となる。例えば、図2等で図示したようなスルホン酸層とカルボン酸層の2層構造とする場合、この(3)工程でスルホン酸層とカルボン酸層からなる2層構造のフィルムを準備すればよい。
フィルム化する方法としては、例えば、以下のものが挙げられる。
第一層を形成するカルボン酸基を有する含フッ素重合体、第二層を形成するスルホン酸基を有する含フッ素重合体をそれぞれ別々にフィルム化する方法。
第一層を形成するカルボン酸基を有する含フッ素重合体と、第二層を形成するスルホン酸基を有する含フッ素重合体とを共押出しにより、複合フィルムとする方法。
第一層を形成するカルボン酸基を有する含フッ素重合体、第二層のA層を形成するスルホン酸基を有する含フッ素重合体、第二層のB層を形成するスルホン酸基を有する含フッ素重合体をそれぞれ別々にフィルム化する方法。
第一層を形成するカルボン酸基を有する含フッ素重合体と、第二層のA層を形成するスルホン酸基を有する含フッ素重合体とを共押出しにより、複合フィルムとし、第二層のB層を形成するスルホン酸基を有する含フッ素重合体を単独でフィルム化する方法。
また、2つの層を共押出して複合フィルムとすることは、界面の接着強度を高めることに寄与している。
フィルム化する際の加熱温度、加熱時間、圧力等を、適宜調整することによって、各フィルムの厚みを制御することができる。
(4)工程:膜本体を得る工程
(4)工程では、(2)工程で得た補強材と、(3)工程で得られたフィルムとを積層して、補強材が内在する膜本体、すなわち複合膜を得る。具体的には以下の方法が挙げられる。
(i)加熱源及び真空源を有し、その表面に多数の細孔を有する平板又はドラム上に透気性を有する耐熱性の離型紙を介して、補強材、第二層フィルム、第一層フィルムの順に積層して、各樹脂が溶融する温度下で、減圧により各層間の空気を除去しながら一体化する方法。
(ii)加熱源及び真空源を有し、その表面に多数の細孔を有する平板又はドラム上に透気性を有する耐熱性の離型紙を介して、補強材、第二層/第一層複合フィルムの順に積層して、各樹脂が溶融する温度下で、減圧により各層間の空気を除去しながら一体化する方法。
(iii)加熱源及び真空源を有し、その表面に多数の細孔を有する平板又はドラム上に透気性を有する耐熱性の離型紙を介して、第二層のB層フィルム、補強材、第二層のA層フィルム、第一層フィルムの順に積層して、各樹脂が溶融する温度下で減圧により、各層間の空気を除去しながら一体化する方法。
(iv)加熱源及び真空源を有し、その表面に多数の細孔を有する平板又はドラム上に透気性を有する耐熱性の離型紙を介して、第二層のB層フィルム、補強材、第二層のA層/第一層複合フィルムの順に積層して、各樹脂が溶融する温度下で減圧により、各層間の空気を除去しながら一体化する方法。
複数層を共押出しすることは、界面の接着強度を高める効果が得られる。
減圧下で一体化する方法は、加圧プレス法に比べて、補強材上の第二層のB層の厚みが大きくなる特徴を有している。さらに、補強材が膜の内面に固定されているため、膜の機械的強度が十分に保持できる。
なお、ここで説明した積層のバリエーションは一例であり、所望する膜本体の層構成や物性等を考慮して、適宜好適な積層パターン(例えば、各層の組合せ等)を選択した上で、共押出しすることができる。例えば、陽イオン交換膜の電気化学的性能をさらに高める目的で、第一層と第二層との間に、カルボン酸エステル官能基とスルホニルフルオライド官能基の両方を含有する第三層をさらに介在させることや、第二層の代わりにカルボン酸エステル官能基とスルホニルフルオライド官能基の両方を含有する層を用いることも可能である。この場合、カルボン酸エステル官能基とスルホニルフルオライド官能基の両方を含有する層を形成する方法としては、カルボン酸エステル官能基を含有する重合体と、スルホニルフルオライド官能基を含有する重合体と、を別々に製造した後に混合する方法でもよいし、カルボン酸エステル官能基を含有する単量体とスルホニルフルオライド官能基を含有する単量体の両者を共重合したものを使用する方法でもよい。
第三層をイオン交換膜の構成とする場合には、第一層と第三層との共押出し複合フィルムを成形し、第二層はこれとは別に単独でフィルム化し、前述の方法で積層してもよいし、第一層/第三層/第二層の3層を一度に共押し出しで複合フィルム化してもよい。
また、本実施形態に係る陽イオン交換膜において、膜本体の表面に凸部を形成する方法としては、特に限定されず、樹脂表面に凸部を形成する公知の方法を採用することができる。本実施形態において膜本体の表面に凸部形成する方法としては、具体的には、膜本体の表面にエンボス加工を施す方法が挙げられる。例えば、前記した各種複合フィルムと補強材等とを一体化する際に、予めエンボス加工した離型紙を用いることによって、上記の凸部を形成させることができる。
フィルムのどこに補強材を埋め込むかといった、フィルムと補強材の配置関係を調整することで、膜本体注の流路及び犠牲芯材の配置を制御することができる。例えば、膜本体の周縁部に流路を形成する場合、膜本体を形成するフィルムの周縁部に、補強材の犠牲芯材が位置するように、補強材をフィルムに埋め込むことがよい。膜本体の内部に流路及び/又は犠牲芯材を形成する場合、膜本体を形成するフィルムの中心部(フィルムの周縁部の内側領域)に、補強材の犠牲芯材が位置するように、補強材をフィルムに埋め込むことがよい。
(5)工程:加水分解工程
(5)工程では、上述した(4)工程で得られた複合膜を加水分解して、酸又はアルカリで前記犠牲芯材(犠牲糸)の一部を溶解させることで、膜本体の内部に流路を形成させる。また、このときに、イオン交換基前駆体にイオン交換基を導入してもよい。
加水分解の条件を調整することによって、残存する犠牲芯材の量を制御することができる。その結果、流路の断面積に対する犠牲芯材の断面積の割合(犠牲芯材残存率)や流路の投影面積の総和に対する犠牲芯材の投影面積の総和の割合(犠牲芯材面積率)を制御することができる。例えば、加水分解温度を高くすると、犠牲芯材(犠牲糸)の溶解速度は早くなり、流路内に犠牲芯材が残りにくくなるため、流路の断面積に対する犠牲芯材の断面積の割合を、小さくすることができる。逆に、加水分解温度を低くすると、犠牲芯材(犠牲糸)の溶解速度は遅くなり、流路内に犠牲芯材が残りやすくなるため、犠牲芯材残存率及び犠牲芯材面積率を、大きくすることができる。
また、加水分解時間を長くすると、犠牲芯材(犠牲糸)の溶解率は上昇し、流路内に犠牲芯材が残りにくくなるため、犠牲芯材残存率及び犠牲芯材面積率を、小さくすることができる。逆に、加水分解時間を短くすると、犠牲糸の溶解率は低下し、流路内に犠牲芯材が残りやすくなるため、犠牲芯材残存率及び犠牲芯材面積率を、大きくすることができる。
具体的には、加水分解温度としては、40〜100℃の範囲が好ましく、70〜80℃の範囲がより好ましい。加水分解時間としては、5〜60分が好ましく、5〜40分がより好ましい。
具体的な加水分解の方法としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)や水酸化カリウム(KOH)を含む水溶液で加水分解した後、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で処理して,対イオンがNaイオンである陽イオン交換膜を得る方法が挙げられる。
(5)工程で用いる酸又はアルカリは、犠牲芯材を溶解できるものであればよく、その種類は特に限定されない。酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸が挙げられる。アルカリとしては、例えば、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムが挙げられる。
また、(5)工程では、上述した(4)工程で得られた複合膜を加水分解して、イオン交換基前駆体にイオン交換基を導入することもできる。
ここで、犠牲芯材(犠牲糸)の一部を溶出させることで、流路を形成するとともに、その内部に、未溶解の犠牲芯材を残存させる工程について、図面を参照しつつ、より詳細に説明する。図6は、本実施形態における陽イオン交換膜の流路を形成し、その内部に犠牲芯材を形成する方法の一例を説明するための模式図である。
図6では、強化芯材8と犠牲芯材4c(これにより形成される流路3dと残存する犠牲芯材4d)のみを図示しており、膜本体等の他の部材については、図示を省略している。まず、強化芯材8と犠牲芯材4cを編み込み補強材とする。そして、(5)工程において犠牲芯材4cの一部が溶出することで流路3dと、流路3dの内部に残存する犠牲芯材4dが形成される(図6の(ii)参照)。
上記方法によれば、陽イオン交換膜の膜本体内部において強化芯材8、流路3を如何なる配置とするのかに応じて、強化芯材8と犠牲芯材4cの編み込み方を調整すればよいため、簡便である。
図6の(a)では、紙面において縦方向と横方向の両方向に沿って強化芯材8と犠牲芯材4cを織り込んだ平織りの補強材を例示しているが、必要に応じて、補強材における強化芯材8と犠牲芯材4dの配置を変更することができる。
上述した(1)工程〜(5)工程を経た後、得られた陽イオン交換膜の表面に、コーティング層を形成してもよい。コーティング層は、特に限定されず、公知の方法により形成できる。例えば、無機酸化物の微細粒子をバインダー樹脂溶液に分散させた液を、スプレー等により塗布する方法(スプレー法)が挙げられる。無機酸化物としては酸化ジルコニウムが挙げられ、バインダー樹脂としては、例えば、スルホン型イオン交換基に変換し得る官能基を有するビニル化合物等が挙げられる。塗布条件については、特に限定されず、例えば、60℃でスプレーを用いることとすることができる。スプレー法以外の方法としては、例えば、ロールコート等が挙げられる。
また、コーティングした後に電解を行うことで、犠牲芯材の一部を更に溶解させる工程を行なってもよい。電解槽を用いて得られた膜を電解処理することにより、膜本体の中央に配置されている流路の内部の犠牲芯材を溶出させ、膜本体の周縁に配置されている流路の内部の犠牲芯材を未溶解のまま残存させることができる。
電解処理前(使用前)の陽イオン交換膜は、膜本体の全体にわたって形成された流路内部に犠牲芯材がある陽イオン交換膜であり、電解処理後の陽イオン交換膜は、周縁部に位置する流路の内部に犠牲芯材が残っている膜となる。電解処理前の陽イオン交換膜は、膜全体に犠牲芯材があるため機械的強度が高く、陽イオン交換膜を電解槽に設置する際に、折り曲げに対する強度が高い。一方、電解処理後(使用後)の陽イオン交換膜は、電解に時において、電解液と接する膜の中央部に犠牲芯材がないため、電解液に犠牲芯材が溶出することがなく、電解初期から電圧がより安定するという利点を有する。
〔電解槽〕
本実施形態の陽イオン交換膜は、これを用いて電解槽として使用することができる。例えば、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に配置された本実施形態の陽イオン交換膜と、を備える電解槽として使用することができる。この電解槽は、さらに、陽イオン交換のいずれか一方の表面と当接されたガスケットを備えることができる。
図7は、本実施形態に係る電解槽の一実施形態の模式図である。電解槽12は、陽極室を構成する陽極側枠体13と、陰極室を構成する陰極側枠体14と、陽極側に配置された、第一の開口部を有する陽極側ガスケット15と、陰極側に配置された、第二の開口部を有する陰極側ガスケット16と、を備える。そして、陽イオン交換膜1の膜本体において流路の内部に犠牲芯材が存在している箇所の少なくとも一部が、陽極側ガスケットによって押圧されているように、陽イオン交換膜1と陽極側ガスケット15とが配置されている。の間に配置された陽イオン交換膜1以下、上記した陽イオン交換膜1を備えた電解槽12を一例として説明するが、本実施形態の電解槽はこれに限定されるものではなく、本実施形態の効果の範囲内で種々構成を変形して実施することができる。
陽イオン交換膜1には、膜本体2の周縁部に位置する流路3の内部の少なくとも一部には、犠牲芯材4が配置されている(図1参照)。電解槽12では、この周縁部が、陽極側ガスケット15によって押圧されているように配置される。流路3の内部空間は、陽極側ガスケット15によって押圧されることにより、押し潰されて小さくなるが、流路3の内部には犠牲芯材4が配置されているため、押し潰された流路3の内部空間は犠牲芯材4によって効率よく閉塞することができる。その結果、電解液のリークを効果的に防止できる。
かかる電解槽12は、種々の電解に使用できるが、以下、代表例として、塩化アルカリ水溶液の電解に使用する場合について説明する。
電解条件は、特に限定されず、公知の条件で行うことができる。例えば、陽極室に2.5〜5.5規定(N)の塩化アルカリ水溶液を供給し、陰極室は水又は希釈した水酸化アルカリ水溶液を供給し、電解温度が50〜120℃、電流密度が5〜100A/dm2の条件で電解することができる。
電解槽12の構成は、特に限定されず、例えば、単極式でもよいし、複極式でもよい。電解槽12を構成する材料としては、特に限定されない。陽極側枠体13の材料としては、塩化アルカリ及び塩素に耐性がある材料が好ましく、具体的にはチタン等が挙げられる。陰極側枠体14の材料としては、水酸化アルカリ及び水素に耐性がある材料が好ましく、具体例としてはニッケル等が挙げられる。
陽極の配置は、陽イオン交換膜1と陽極との間に適当な間隔を設けて配置してもよいが、陽極と陽イオン交換膜1が接触して配置されていても、何ら問題なく使用できる。
また、陰極は一般的には陽イオン交換膜1と適当な間隔を設けて配置されているが、この間隔がない接触型の電解槽(ゼロギャップ式電解槽)であっても、何ら問題なく使用できる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の単位において、特に断りがない限り、質量基準に基づくものとする。
〔陽イオン交換膜の構造確認〕
陽イオン交換膜において、膜本体表面における開孔部の形成の有無、膜本体内部における流路の形成の有無、流路の内部における犠牲芯材の有無等については、顕微鏡によって、確認した。具体的には、陽イオン交換膜の流路内部に犠牲芯材が存在する場合、その断面を顕微鏡で観察すると、流路の断面の中に犠牲芯材の断面が確認でき、流路と犠牲芯材の境目も確認することができる。なお、断面の観測方法は後述する。
〔犠牲芯材残存率の測定方法〕
陽イオン交換膜の断面について顕微鏡画像で画像解析することによって、陽イオン交換膜の流路の断面積に対する、犠牲芯材の断面積の割合(犠牲芯材残存率)を測定した。
測定箇所として、膜の中央部4か所(陽イオン交換膜の長手方向にそって2点、幅方向に沿って2点)と、周縁部4か所(陽イオン交換膜の長手方向にそって2点、幅方向に沿って2点)を選び、各測定箇所の断面積を夫々測定した。
まず、陽イオン交換膜の断面を観察するため、測定箇所である流路及び犠牲芯材に対して垂直に陽イオン交換膜の各測定箇所を切断して、1000mm×0.05mmの試料を夫々準備した。そして、顕微鏡(OLYMPUS製、「BH−2」)を用いて、20倍の拡大率で各試料の断面状態を観測した。
陽イオン交換膜の犠牲芯材残存率は、まず、切断面に垂直な流路の断面積と残存する犠牲芯材の断面積を夫々測定し、当該流路の断面積に対する、犠牲芯材の断面積の割合(犠牲芯材残存率)を算出した。なお、測定箇所は中央部4箇所、周縁部4箇所の合計8箇所であるが、これらの8箇所の夫々について、流路の断面積に対する犠牲芯材の断面積の割合を測定し、それらの算術平均をとることで、陽イオン交換膜の犠牲芯材残存率とした。
具体的には以下の方法により算出した。「3CCD DIGITAL CAMERA」(OLYMPUS社製、「F380」)で、20倍の拡大倍率で観測した画像をパソコンに取り込んだ。そして、画像解析ソフト「USB SHOT」(スカラ社製)を用いて、流路の断面積と、流路に残存している犠牲芯材の断面積を測定し、犠牲芯材の断面積に対する残存している犠牲芯材の断面積の割合(犠牲芯材残存率)を算出した。
〔電解液のリーク試験〕
実施例及び比較例で作製した陽イオン交換膜を電解槽に装着し、陽極室に食塩水3.5N、陰極室に苛性ソーダを32%供給し、4kA/m2で電解を7日行い、電解槽外への電解液のリークの有無を目視により確認した。電解槽としては、陽極、陰極を有し、陽極セルと陰極セルにガスケットを備えた電解セルを用いた。陽極としては、チタン基材上に酸化ルテニウム、酸化イリジウムおよび酸化チタンが形成された、いわゆるDSAを用いた。陰極としては、ニッケルのエキスパンドメタルに、触媒として酸化ニッケルが塗布された電極を用いた。EPDM(エチレンプロピレンジエン)製のゴムガスケットによって陽イオン交換膜を挟んで陽極セルと陰極セルとを隔てた状態で電気分解を行った。
[実施例1]
強化芯材として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製であり、90デニールのモノフィラメントを用いた(以下、PTFE糸という。)。犠牲糸として、35デニール、6フィラメントのポリエチレンテレフタレート(PET)を200回/mの撚りを掛けた糸を用いた(以下、PET糸という。)。まず、TD及びMDの両方向のそれぞれにおいて、PTFE糸が24本/インチ、犠牲糸が隣接するPTFE糸間に2本配置するように平織りして、織布を得た。得られた織布を、ロールで圧着し、厚さ70μmの織布を得た。
次に、CF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOCH3との共重合体でイオン交換容量が0.87mg当量/gである乾燥樹脂の樹脂A、CF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fとの共重合体でイオン交換容量が1.01mg当量/gである乾燥樹脂の樹脂Bを準備した。
これらの樹脂A及びBを使用し、共押出しTダイ法にて樹脂A層の厚みが18μm、樹脂B層の厚みが102μmである、2層フィルムXを得た。
続いて、内部に加熱源及び真空源を有し、その表面に微細孔を有するドラム上に、離型紙(高さ50μmの円錐形状のエンボス加工)、補強材及びフィルムXの順に積層し、ドラム温度223℃、減圧度0.067MPaの条件で2分間加熱減圧した後、離型紙を取り除くことで複合膜を得た。
得られた複合膜を、ジメチルスルホキシド(DMSO)30質量%、水酸化カリウム(KOH)15質量%を含む80℃の水溶液に20分浸漬することでケン化した。その後、水酸化ナトリウム(NaOH)0.5N含む50℃の水溶液に1時間浸漬して、イオン交換基の対イオンをNaに置換し、続いて水洗した。さらに60℃で乾燥した。
さらに、樹脂Bの酸型樹脂の5質量%エタノール溶液に、1次粒径1μmの酸化ジルコニウムを20質量%加え、分散させた懸濁液を調合し、懸濁液スプレー法で、上記の複合膜の両面に噴霧し、0.5mg/cm2の酸化ジルコニウムのコーティングを複合膜の表面に形成させ、陽イオン交換膜を得た。
上記のように得られた陽イオン交換膜について、膜の周縁部及び中央部における流路の内部に犠牲芯材が存在していることを顕微鏡で確認した。そして、流路は管状の形状であり、管状の流路の中心付近に犠牲芯材が存在していることも確認した。また、流路の断面積に対する犠牲芯材の断面積の割合(犠牲芯材残存率)は40%であった。この陽イオン交換膜を使用して電解を行ったところ、電解槽外への電解液のリークは発生しなかった。
電解後の陽イオン交換膜の周縁部において、膜の断面を確認したところ、流路の内部に犠牲芯材を有していることを確認した。なお、膜の中央部では、流路の内部にあった犠牲芯材が電解液により溶出していたことも確認した。
実施例1において、電解前の陽イオン交換膜と、電解後の陽イオン交換膜とを比べると、膜全体に形成された流路内に犠牲芯材を有する電解前の陽イオン交換膜の方が、周縁部に位置する流路には犠牲芯材を有し、中央部では犠牲芯材を有していない電解後の陽イオン交換膜に比べて、ハンドリング性がよく、扱いやすかった。これは、電解前の陽イオン交換膜は、膜全体に犠牲芯材が流路に残っていることにより、より高い機械的強度を有しているからだと考えられる。
[実施例2]
ケン化温度を90℃、ケン化時間を5分とした点以外は、実施例1と同様にして、陽イオン交換膜を作製した。得られた陽イオン交換膜については、流路の内部に犠牲芯材を有していることを顕微鏡で確認した。また、流路の断面積に対する犠牲芯材の断面積の割合は、85%であった。この陽イオン交換膜を使用して電解したところ、電解槽外への電解液のリークは発生しなかった。
また、電解後の陽イオン交換膜の周縁部において、膜の断面を確認したところ、流路の内部に犠牲芯材を有していることを確認した。なお、膜の中央部においては、電解によって、流路の内部には犠牲芯材がないことも確認した。
[実施例3]
ケン化温度を60℃、ケン化時間を60分とした点以外は、実施例1と同様にして、陽イオン交換膜を作製した。得られた陽イオン交換膜は、流路の内部に犠牲芯材を有していることを顕微鏡で確認した。また、流路の断面積に対する犠牲芯材の断面積は85%であった。この陽イオン交換膜を使用して電解を行ったところ、電解槽外への電解液のリークは発生しなかった。
また、電解後の陽イオン交換膜の周縁部において、膜の断面を確認したところ、流路の内部に犠牲芯材を有していることを確認した。なお、膜の中央部においては、電解によって、流路の内部には犠牲芯材がないことも確認した。
[比較例1]
ケン化温度を90℃、ケン化時間を20分とした点以外は、実施例1と同様にして、陽イオン交換膜を作製した。得られた陽イオン交換膜は、膜の中央部においても周縁部においても流路の内部に犠牲芯材を有していないことを顕微鏡で確認した。また、流路の断面積に対する犠牲芯材の断面積は0%であった。この陽イオン交換膜を使用して電解を行ったところ、電解槽外への電解液のリークが確認された。
以上より、実施例1〜3の陽イオン交換膜を用いることで、電解槽外への電解液の漏出(リーク)が抑制できることが確認された。
本発明の陽イオン交換膜は、塩化アルカリ電解等の陽イオン交換膜として好適に用いることができる。
1、7、9…陽イオン交換膜、2…膜本体、3,3a,3b…流路、4,4a,4b…犠牲芯材、5…スルホン酸層、6…カルボン酸層、8…強化芯材、10、11…コーティング層、12…電解槽、13…陽極側枠体、14…陰極側枠体、15…陽極側ガスケット、16…陰極側ガスケット

Claims (10)

  1. イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体を有する陽イオン交換膜であり、
    前記膜本体の内部に流路が形成され、前記膜本体の周縁部に位置する前記流路の内部の少なくとも一部には、酸又はアルカリに溶解する犠牲芯材が存在する、陽イオン交換膜。
  2. 前記流路の断面積に対する、前記犠牲芯材の断面積の割合(犠牲芯材残存率)が、20〜99%である、請求項1に記載の陽イオン交換膜。
  3. 前記流路が、膜本体の内部全体にわたって形成されている、請求項1又は2に記載の陽イオン交換膜。
  4. 前記流路の全ての内部に、前記犠牲芯材が存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜。
  5. 前記陽イオン交換膜を上面視したときの、前記流路の投影面積の総和に対する、前記犠牲芯材の投影面積の総和の割合(犠牲芯材面積率)が、10〜99%である、請求項4に記載の陽イオン交換膜。
  6. 前記流路が管状である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜。
  7. 前記犠牲芯材は、ポリビニルアルコール(PVA)、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロース、及びポリアミドからなる群より選ばれるいずれか1種を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜。
  8. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極と前記陰極との間に配置された、請求項1〜7のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜と、
    を備える、電解槽。
  9. さらに、前記陽イオン交換膜のいずれか一方の表面と当接されたガスケットを備える、請求項8に記載の電解槽。
  10. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極の側に配置された、第一の開口部を有する陽極側ガスケットと、
    前記陰極の側に配置された、第二の開口部を有する陰極側ガスケットと、
    前記陽極側ガスケットと前記陰極側ガスケットにより挟持された、請求項1〜7のいずれか一項に記載の陽イオン交換膜と、
    を備え、かつ
    前記陽イオン交換膜の前記膜本体において前記流路の内部に前記犠牲芯材が存在している箇所の少なくとも一部が、前記陽極側ガスケットによって押圧されているように、前記陽イオン交換膜と、前記陽極側ガスケットと、が配置されている、電解槽。
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