JP6530233B2 - 陽イオン交換膜用強化芯材、並び該強化芯材を用いて製造された陽イオン交換膜及び電解槽 - Google Patents

陽イオン交換膜用強化芯材、並び該強化芯材を用いて製造された陽イオン交換膜及び電解槽 Download PDF

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Description

本発明は、陽イオン交換膜用強化芯材、並びに強化芯材を用いて製造された陽イオン交換膜及び電解槽に関する。より詳しくは、本発明は、折り曲げ等に対する機械的強度に優れ、長期に安定した電解性能を発揮でき、かつ、ダミー糸を用いずに製織され得る陽イオン交換膜用強化芯材に関する。
含フッ素イオン交換膜は耐熱性及び耐薬品性等が優れていることから、塩化アルカリの電解で塩素とアルカリを製造するための電解用陽イオン交換膜をはじめとして、オゾン発生用隔膜、燃料電池、水電解及び塩酸電解等の種々の電解用隔膜等として用いられている。例えば、図1に示すように、塩化アルカリ(イオン交換膜法食塩)電解プロセスでは、生産性の観点から電流効率が高いこと、経済性の観点から電解電圧が低いこと、製品の品質の観点から苛性ソーダ中の食塩濃度が低いこと等が要望されている。
これらの要望のうち、高い電流効率を発現するために、図2に示すように、アニオン排除性の高いカルボン酸基をイオン交換基とするカルボン酸層と、低抵抗のスルホン酸基をイオン交換基とするスルホン酸層との少なくとも2層から構成されイオン交換膜が一般的に用いられている。かかるイオン交換膜は、電解運転時に、80〜90℃の塩素及び苛性ソーダと直接接触するため、化学的耐久性が非常に高い含フッ素系ポリマーがイオン交換膜の材料として用いられる。しかしながら、かかる含フッ素系ポリマーのみでは、イオン交換膜として十分な機械的強度を有していないため、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる織布を強化芯材として膜に埋め込んで補強することが行われている。
例えば、以下の特許文献1には、大きな機械的強度と、優れた電気化学的性質を有し、また、高電流密度による電解及び電流密度をお大きく変えたシフト運転が可能な電解用含フッ素陽イオン交換膜を提供することを目的として、織布により補強された陽イオン交換基を有する含フッ素系重合体フィルムの第1の層と、その陰極側のカルボン酸基を有する含フッ素系重合体の第2の層とからなる電解用含フッ素陽イオン交換膜であって、織布は、その厚みの1/2以上が第1の層から陽極側に突出するように挿入されており、織布の突出部は、陽イオン交換基を有する含フッ素系重合体の被覆層により第1の層と一体となるように被覆されており、膜の陽極側面は織布の表面形状に応じた凹凸を形成するようにした電解用含フッ素陽イオン交換膜が提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示された陽イオン交換膜は、強化芯材が陽イオン交換膜から突出しているため、電解槽内の振動等により陽イオン交換膜が電極等と擦れたりする場合、強化芯材を被覆していた樹脂が削れ、そこから強化芯材が突き出してしまい、膜本体の補強部材としての機能を果たさなくなるという問題がある。
陽イオン交換膜を電解槽に装着して電解を行う場合、電解に必要とされる電圧(電解電圧)を低減すること、これを実現するために低抵抗の陽イオン交換膜であること、長期に安定した電解性能を発揮できる陽イオン交換膜であることが望まれているが、強化芯材としての織布は、アルカリイオン等の陽イオンが陽極側から陰極側へ膜内を流れる際に遮蔽物となってしまい、陽イオンが陽極側から陰極側へ膜内を円滑に流れることを妨げてしまうという問題がある。そこで、陽イオンや電解液等の流路を確保するための孔(以下、「溶出孔」という。)を陽イオン交換膜内に形成し、電解液の流路を確保することで、陽イオン交換膜の電気抵抗を低下させることが行われている。
しかしながら、かかる溶出孔が、陽イオン交換膜の膜強度をも低下させてしまう問題がある。例えば、陽イオン交換膜を電解槽に装着するときや、陽イオン交換膜を持ち運ぶとき等に、陽イオン交換膜が折れ曲がり、図3に示すように、溶出孔が折れ曲がりやピンホールの起点となりやすいという問題がある。
そこで、以下の特許文献2には、かかる問題を解決するために、折り曲げ等に対する機械的強度に優れ、長期に安定した電解性能を発揮できる陽イオン交換膜、それを用いた電解槽及び陽イオン交換膜の製造方法が提案されている。
特許文献2に開示された陽イオン交換膜は、イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体と、前記膜本体の内部に略平行に配置された2以上の強化芯材と、を少なくとも備えた陽イオン交換膜であって、前記膜本体には、隣接する前記強化芯材同士の間に2以上の溶出孔が形成され、かつ、隣接する前記強化芯材同士の距離をa、隣接する前記強化芯材と前記溶出孔との距離をb、隣接する前記溶出孔同士の距離をc、隣接する前記強化芯材同士の間に形成された前記溶出孔の数をnとしたとき、特定の関係式を満たすa、b、c、及びnが存在する陽イオン交換膜としたものである。例えば、n=2、b>(a/3)の関係を満たす第一の強化芯材間と、n=2、c>(a/3)の関係の関係を満たす第二の強化芯材間とが、交互に存在するような陽イオン交換膜、すなわち、2つのPTEF間に存在する2つの(溶出孔を形成するための)ポリエチレンテフタレート(PET)糸の間隔を広げたものと狭めたものと交互に存在させたものである。すなわち、特許文献2には、糸配列を変則化することにより、折れ曲がり起点を溶出孔部からずらすことで、ピンホールの発生を防止するための技術が開示されている。
特許文献2では、糸配列が変則化された強化芯材を製造するために、2以上の強化芯材(PTFE)と、酸又はアルカリに溶解する性質を有する犠牲糸(PET)と、前記強化芯材及び前記犠牲糸が溶解しない所定溶媒に対して溶解する性質を有するポリビニルアルコール(PVA)ダミー糸と、を織り込むことにより、隣接する前記強化芯材同士の間に、前記犠牲糸と前記ダミー糸が配置された補強材を得る工程と、前記補強材を前記所定溶媒に浸漬することで、前記ダミー糸を前記補強材から除去する工程と、前記ダミー糸が除去された補強材と、イオン交換基又は加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体と有する含フッ素系重合体とを積層させることで、前記補強材を有する膜本体を形成させる工程と、前記犠牲糸を酸又はアルカリに浸漬させて、前記犠牲糸を前記膜本体から除去することで、前記膜本体に溶出孔を形成させる工程と、を有する方法が使用されている。すなわち、特許文献2では、強化芯材(PTFE)とダミー糸(PVA)と犠牲糸(PET)を用いて、変則でない組織の織物を製造し、得られた織物から、犠牲糸(PET)に先立ってダミー糸(PVA)を除去することによって、変則化された織物を製造し、かかる変則化された織物が強化芯材として含フッ素系重合体膜に埋め込まれ、その後、犠牲糸(PET)が除去されて溶出孔が形成されている。
尚、本明細書中、「強化芯材」とは、広義には、含フッ素系重合体膜に埋め込まれるべき、PTFEと(溶出孔を形成するための犠牲糸としての)PET糸とから製織された変則織物を指すが、狭義には、最終的に膜の強化芯材となるPTFEのみを指す。
しかしながら、特許文献2では、図4に示すように、一旦、変則でない組織の織物の製造する際、ダミー糸(PVA)を緯糸として打ち込む必要があり、これを打ち込まない場合に比較して、製織速度が低下し、PVA打ち込み分のコストアップが避けられないという問題がある。
特開平4−308096号公報 国際公開第2011/05238号
特許文献2における前記問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、折り曲げ等に対する機械的強度に優れ、長期に安定した電解性能を発揮でき、かつ、ダミー糸を用いずに製織され得る陽イオン交換膜用強化芯材を提供することである。
本願発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意検討し実験を重ねた結果、経糸に張力をかけることにより、2つのPTFE緯糸間の2つのPET緯糸の間隔を広げる又は狭めることにより、PVAダミー糸を緯糸として打ち込まなくても、変則組織の織物を1段階で製造することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]経糸として、コース方向に強化芯材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)マルチフィラメント、PETマルチフィラメントが順番に繰り返し配置され、かつ、緯糸として、ウエール方向に強化芯材としてのPTFE繊維、PETマルチフィラメント、PETマルチフィラメントが順番に繰り返し配置された組織をもつ織物からなる陽イオン交換膜用強化芯材であって、
緯糸としての直近の2つのPTFE繊維間に存在する緯糸としての2つのPETマルチフィラメント同士が、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも広がって配置された緯糸PET広がり領域と、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも狭まって配置された緯糸PET狭まり領域との少なくともいずれかが、ウエール方向に含まれ、
前記緯糸PET広がり領域では、経糸としての直近の2つのPTFE繊維間に存在する経糸としての2つのPETマルチフィラメントと、緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらの間に配置された緯糸としての2つのPETマルチフィラメントと、から成る同口数定義組織において、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側になく、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、該同口数定義組織内の全ての緯糸と、交互に交差する平−平組織の同口数を0とし、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が対角線上に片面で2箇所ある同口−同口組織の同口数を1とし、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口−平組織の同口数を0.5とするとき、以下の式:
同口率(%)=総同口数/該領域内の同口数定義組織数×100
で表される同口率が37%以上であり、
前記緯糸PET狭まり領域では、前記式中の同口数定義組織数内に、前記同口数定義組織における前記経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口PET組織があり、前記式中の同口数定義組織内に同口PET組織が50%以上含まれ、残りの組織が全て平−平組織である、
ことを特徴する前記陽イオン交換膜用強化芯材。
[2]前記緯糸PET広がり領域と、前記緯糸PET狭まり領域とが、ウエール方向に含まれ、交互に繰り返される、前記[1]に記載の陽イオン交換膜用強化芯材。
[3]前記経糸及び緯糸としての強化芯材としてのPTFE繊維はモノフィラメントである、前記[1]又は[2]に記載の陽イオン交換膜用強化芯材。
[4]以下の工程:
前記[1]〜[3]のいずれかに記載の陽イオン交換膜用強化芯材と、イオン交換基又は加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体を有する含フッ素系重合体とを積層して、該強化芯材有するその内部又は表面に含む膜本体を形成する工程、及び
前記膜本体を酸又はアルカリに浸漬させて、該強化芯材中のPETマルチフィラメントを該本体から除去して、該膜本体に溶出孔を形成する工程、
を含む、陽イオン交換膜の製造方法。
[5]コース方向に強化芯材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維、溶出孔、溶出孔が順番に繰り返し配置され、かつ、ウエール方向に強化芯材としてのPTFE繊維、溶出孔、溶出孔が順番に繰り返し配置された組織をもつ陽イオン交換膜であって、
ウエール方向の直近の2つのPTFE繊維間に存在する2つのウエール方向の溶出孔同士が、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも広がって配置されたウエール方向の溶出孔広がり領域と、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも狭まって配置されたウエール方向の溶出孔狭まり領域との少なくともいずれかが、ウエール方向に含まれ、
前記ウエール方向の溶出孔広がり領域では、コース方向の直近の2つのPTFE繊維間に存在する2つのコース方向の溶出孔、ウエール方向の直近の2つのPTFE繊維とそれらの間に配置された2つのウエール方向の溶出孔と、から成る同口数定義組織において、該コース方向の2つの溶出孔が、それぞれ、該ウエール方向の直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する該2つのウエール方向の溶出孔に対して同じ側になく、該2つのコース方向の溶出孔が、該同口数定義組織内の全てのウエール方向の溶出孔と、交互に交差する平−平組織の同口数を0とし、該2つのコース方向の溶出孔が、それぞれ、該ウエール方向の直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する2つのウエール方向の溶出孔に対して同じ側にある箇所が対角線上に片面で2箇所ある同口−同口組織の同口数を1とし、該2つのコース方向の溶出孔が、それぞれ、該ウエール方向の直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する2つのウエール方向の溶出孔に対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口−平組織の同口数を0.5とするとき、以下の式:
同口率(%)=総同口数/該領域内の同口数定義組織数×100
で表される同口率が37%以上であり、
前記ウエール方向の溶出孔狭まり領域では、前記式中の同口数定義組織数内に、前記同口数定義組織における前記2つのコース方向の溶出孔が、2つのウエール方向の溶出孔に対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口PET組織があり、前記式中の同口数定義組織内に同口溶出孔組織が50%以上含まれ、残りの組織が全て平−平組織である、
ことを特徴する前記陽イオン交換膜。
[6]陽極、陰極、及びそれらの間に前記[5]に記載の陽イオン交換膜が配置された電解槽。
[7]前記緯糸PET広がり領域では、経糸としての直近の2つのPTFE繊維間に存在する経糸としての2つのPETマルチフィラメントと、緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらの間に配置された緯糸としての2つのPETマルチフィラメントと、から成る同口数定義組織において、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側になく、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、該同口数定義組織内の全ての緯糸と、交互に交差する平−平組織の同口数を0とし、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が対角線上に片面で2箇所ある同口−同口組織の同口数を1とし、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口−平組織の同口数を0.5とするとき、以下の式:
同口率(%)=総同口数/該領域内の同口数定義組織数×100
で表される同口率が37%以上であり、
前記緯糸PET狭まり領域では、前記式中の同口数定義組織数内に、前記同口数定義組織における前記経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口PET組織があり、前記式中の同口数定義組織内に同口PET組織が50%以上含まれ、残りの組織が全て平−平組織である、
ように組織して、製織する工程を含む、前記[1]に記載の陽イオン交換膜用強化芯材の製造方法。
[8]製織時の経糸としてのPTFE繊維及びPET繊維の経糸張力を5〜20g/本とする、前記[7]に記載の方法。
本発明に係る強化芯材は、ダミー糸を用いずに製織され得る変則組織織物である陽イオン交換膜用強化芯材であるため、かかる織物の製造する際、ダミー糸(PVA)を緯糸として打ち込む必要はなく、これを打ち込む場合に比較して、製織速度が向上し、PVA打ち込み分のコストダウンにつながる。また、本発明に係る強化芯材を用いて製造された陽イオン交換膜は、折り曲げ等に対する機械的強度に優れ、長期に安定した電解性能を発揮できる。
イオン交換膜法食塩電解プロセスの概略図である。 イオン交換膜の基本構造を説明する断面図である。 イオン交換膜の折り曲がりによる溶出孔における損傷発生を説明する概略図である。 ダミー糸(PVA)を打ち込んで製織した後、ダミー糸を除去して変則組織の織物を製造することを説明する概略図である。 平織り組織を説明する概略図である。 変則でない平織に対して、変則組織織物においては、経糸に張力をかけると経糸と緯糸の交点から離れようとする性質を利用して、2つのPTFE緯糸間の2つのPET緯糸の間隔を広げる又は狭めることができることを説明する概略図である。 変則組織における、緯糸の変位を許容する各種組織の定義を説明する概略図である。 緯糸PET広がり領域における同口率の計算例を説明する概略図である。 実施例1と2の強化芯材の組織図である。同口率83%と67%の具体例。 実施例3の強化芯材の組織図である。同口率38%の具体例。 実施例4と5の強化芯材の組織図である。同口率100%と50%の具体例。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
<陽イオン交換膜>
図2に、本実施形態に係る陽イオン交換膜の実施形態の側面断面図を示す。陽イオン交換膜は、スルホン酸基をイオン交換基として有するスルホン酸層と、カルボン酸基をイオン交換基として有するカルボン酸層と、を少なくとも備えており、以下に説明する強化芯材の補強材(PTFE)と、強化芯材の犠牲糸が除去された後の溶出孔が膜内に存在している。
膜本体は、図1に示すように、陽イオンを選択的に透過する機能を有し、含フッ素系重合体を含む。通常、スルホン酸層が電解槽の陽極側に、カルボン酸層が電解槽の陰極側となるように配置される。スルホン酸層は電気抵抗が低い材料から構成され、膜強度の観点から膜厚が厚いことが好ましい。カルボン酸層は、膜厚が薄くても高いアニオン排除性を有するものが好ましい。このようなカルボン酸層とすることにより、ナトリウムイオン等の陽イオンの選択的透過性を一層向上させることができる。膜本体は、陽イオンを選択的に透過する機能を有し、含フッ素系重合体を含むものであればよく、その構造は必ずしも上記構造に限定されない。ここで、アニオン排除性とは、陽イオン交換膜へのアニオンの浸入や透過を妨げようとする性質をいう。
膜本体に用いられる含フッ素系重合体とは、イオン交換基、又は加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体を有する含フッ素系重合体であり、例えば、フッ素化炭化水素の主鎖からなり、加水分解等によりイオン交換基に変換可能な官能基をペンダント側鎖として有し、かつ、溶融加工が可能な重合体が挙げられる。このような含フッ素系重合体の製造方法の一例を以下に説明する。
含フッ素系重合体は、例えば、下記第1群より選ばれる少なくとも1種の単量体と、下記第2群及び/又は下記第3群より選ばれる少なくとも1種の単量体とを共重合することにより製造することができる。また、下記第1群、下記第2群又は下記第3群のいずれか1種の単量体の単独重合によって製造することもできる。
第1群の単量体としては、例えば、フッ化ビニル化合物が挙げられる。フッ化ビニル化合物としては、例えば、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等が挙げられる。特に、本実施形態に係る陽イオン交換膜1をアルカリ電解用膜として用いる場合、フッ化ビニル化合物は、パーフルオロ単量体であることが好ましく、例えば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる群より選ばれるパーフルオロ単量体が好ましい。
第2群の単量体としては、例えば、カルボン酸基(カルボン酸型イオン交換基)に変換し得る官能基を有するビニル化合物が挙げられる。カルボン酸基(カルボン酸型イオン交換基)に変換し得る官能基を有するビニル化合物としては、例えば、CF2=CF(OCF2CYF)s−O(CZF)t−COORで表される単量体等が挙げられる(ここで、sは0〜2の整数を表し、tは1〜12の整数を表し、Y及びZは、各々独立して、F又はCF3を表し、Rは低級アルキル基を表す。)。これらの中でも、CF2=CF(OCF2CYF)n−O(CF2m−COORで表される化合物が好ましい。ここで、nは0〜2の整数を表し、mは1〜4の整数を表し、YはF又はCF3を表し、RはCH3、C25、又はC37を表す。特に、本実施形態に係る陽イオン交換膜をアルカリ電解用陽イオン交換膜として用いる場合、単量体としてパーフルオロ化合物を少なくとも用いることが好ましいが、エステル基のアルキル基(上記R参照)は加水分解される時点で重合体から失われるため、前記アルキル基(R)は全ての水素原子がフッ素原子に置換されているパーフルオロアルキル基でなくてもよい。これらの中でも、例えば、下記に表す単量体がより好ましい:CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2COOCH3、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF22COOCH3、CF2=CF[OCF2CF(CF3)]2O(CF22COOCH3、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF33COOCH3、CF2=CFO(CF22COOCH3、CF2=CFO(CF23COOCH3
第3群の単量体としては、例えば、スルホン酸基(スルホン型イオン交換基)に変換し得る官能基を有するビニル化合物が挙げられる。スルホン酸基(スルホン型イオン交換基)に変換し得る官能基を有するビニル化合物としては、例えば、CF2=CFO−X−CF2−SO2Fで表される単量体が好ましい(ここで、Xはパーフルオロ基を表す。)。これらの具体例としては、下記に表す単量体等が挙げられる:CF2=CFOCF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2SO2F、CF2=CF(CF22SO2F、CF2=CFO〔CF2CF(CF3)O〕2CF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF2OCF3)OCF2CF2SO2F。これらの中でも、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2SO2F、及びCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fがより好ましい。
これら単量体から得られる共重合体は、フッ化エチレンの単独重合及び共重合に対して開発された重合法、特に、テトラフルオロエチレンに対して用いられる一般的な重合方法によって製造することができる。例えば、非水性法においては、パーフルオロ炭化水素、クロロフルオロカーボン等の不活性溶媒を用い、パーフルオロカーボンパーオキサイドやアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で、温度0〜200℃、圧力0.1〜20MPaの条件下で、重合反応を行うことができる。
上記共重合において、上記単量体の組み合わせの種類及びその割合は、特に限定されず、得られる含フッ素系重合体に付与したい官能基の種類及び量によって選択決定される。例えば、カルボン酸エステル官能基のみを含有する含フッ素系重合体とする場合、上記第1群及び第2群から各々少なくとも1種の単量体を選択して共重合させればよい。また、スルホニルフルオライド官能基のみを含有する重合体とする場合、上記第1群及び第3群の単量体から各々少なくとも1種の単量体を選択して共重合させればよい。更に、カルボン酸エステル官能基とスルホニルフルオライド官能基を有する含フッ素系重合体とする場合、上記第1群、第2群及び第3群の単量体から各々少なくとも1種の単量体を選択して共重合させればよい。この場合、上記第1群及び第2群よりなる共重合体と、上記第1群及び第3群よりなる共重合体とを、別々に重合し、後に混合することによっても目的の含フッ素系重合体を得ることができる。また、各単量体の混合割合は、特に限定されないが、単位重合体当たりの官能基の量を増やす場合、上記第2群及び第3群より選ばれる単量体の割合を増加させればよい。
含フッ素系共重合体の総イオン交換容量は特に限定されないが、0.5〜2.0mg当量/gである乾燥樹脂であることが好ましく、0.6〜1.5mg当量/gである乾燥樹脂がより好ましい。ここで、総イオン交換容量とは、乾燥樹脂の単位重量あたりの交換基の当量のことをいい、中和滴定等によって測定することができる。
本実施形態の陽イオン交換膜は、陰極側表面及び陽極側表面にガスが付着することを防止する観点から、必要に応じて、コーティング層を更に有することが好ましい。コーティング層を構成する材料としては、特に限定されないが、ガス付着防止の観点から、無機物を含むことが好ましい。無機物としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン等が挙げられる。コーティング層を形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、無機酸化物の微細粒子をバインダーポリマー溶液に分散した液を、スプレー等により塗布する方法が挙げられる。
<強化芯材>
陽イオン交換膜は、前記したように、強化芯材の補強材(PTFE)と、強化芯材の犠牲糸が除去された後の溶出孔が膜内に存在している。
本実施形態の強化芯材は、経糸として、コース方向に強化芯材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)マルチフィラメント、PETマルチフィラメントが順番に繰り返し配置され、かつ、緯糸として、ウエール方向に強化芯材としてのPTFE繊維、PETマルチフィラメント、PETマルチフィラメントが順番に繰り返し配置された組織をもつ織物からなる陽イオン交換膜用強化芯材であって、
緯糸としての直近の2つのPTFE繊維間に存在する緯糸としての2つのPETマルチフィラメント同士が、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも広がって配置された緯糸PET広がり領域と、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも狭まって配置された緯糸PET狭まり領域とが、ウエール方向に少なくともいずれか含まれ、
前記緯糸PET広がり領域では、経糸としての直近の2つのPTFE繊維間に存在する経糸としての2つのPETマルチフィラメントと、緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらの間に配置された緯糸としての2つのPETマルチフィラメントと、から成る同口数定義組織において、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側になく、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、該同口数定義組織内の全ての緯糸と、交互に交差する平−平組織の同口数を0とし、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が対角線上に片面で2箇所ある同口−同口組織の同口数を1とし、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口−平組織の同口数を0.5とするとき、以下の式:
同口率(%)=総同口数/該領域内の同口数定義組織数×100
で表される同口率が37%以上であり、
前記緯糸PET狭まり領域では、前記式中の同口数定義組織数内に、前記同口数定義組織における前記経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口PET組織があり、前記式中の同口数定義組織内に同口PET組織が50%以上含まれる、
ことを特徴する前記陽イオン交換膜用強化芯材である。
強化芯材とは、陽イオン交換膜の機械的強度や寸法安定性を強化する部材である。ここで、寸法安定性とは、陽イオン交換膜の伸び縮みを所望の範囲に抑制できる性質をいう。寸法安定性に優れた陽イオン交換膜は、加水分解や電気分解等によって、必要以上に伸縮せず、長期に亘り寸法が安定している。強化芯材は、少なくとも強化糸と、溶出孔を形成するための犠牲糸からなる。
強化糸とは、強化芯材を構成する部材であって、陽イオン交換膜に所望の機械的強度を付与することができ、かつ陽イオン交換膜中で安定に存在できる糸のことをいう。強化芯材を構成する強化糸の材料は、特に限定されないが、酸やアルカリ等に耐性を有する材料であることが好ましい。特に、長期にわたる耐熱性及び耐薬品性の観点から、含フッ素系重合体を含むものがより好ましい。ここでいう含フッ素系重合体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PTA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、トリフルオロクロルエチレン−エチレン共重合体及びフッ化ビニリデン重合体(PVDF)等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び耐薬品性の観点から、本実施形態においては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いる。
強化芯材に用い強化糸の糸径は、特に限定されないが、20〜300デニールであることが好ましく、50〜250デニールであることがより好ましい。強化糸は、モノフィラメントでもよいし、マルチフィラメントでもよく、また、これらのヤーン、スリットヤーン等でも構わない。強化芯材として、特に好ましい形態は、耐薬品性及び耐熱性の観点から、PTFEを含む強化芯材であり、強度の観点から、テープヤーン糸又は高配向モノフィラメントである。具体的には、犠牲糸を除去した後に陽イオン交換膜中に残存する織物の形態としては、PTFEからなる高強度多孔質シートをテープ状にスリットしたテープヤーン、又はPTFEからなる高度に配向した50〜300デニールのモノフィラメントを使用し、かつ、織り密度が10〜50本/インチであり、厚みが50〜100μmの範囲である織物であることが好ましい。また、犠牲糸を除去した後に陽イオン交換膜中に残存する織物の形態としての強化芯材の開口率は、特に限定されず、好ましくは30%以上90%以下である。開口率は、陽イオン交換膜の電気化学的性質の観点から、30%以上であることが好ましく、膜の機械的強度の観点から、90%以下であることが好ましく、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上である。
ここで、開口率とは、陽イオン交換膜の表面積の合計(A)に対する陽イオン交換膜においてイオン等の物質が通過できる面積の合計(B)の割合であり、(B)/(A)で表される。(B)は、陽イオン交換膜において、陽イオンや電解液等が、陽イオン交換膜に含まれる強化芯材や強化糸等によって遮断されない領域の面積の合計である。開口率の具体的な測定方法を説明する。陽イオン交換膜(コーティング等を塗る前の陽イオン交換膜)の表面画像を撮影し、強化芯材が存在しない部分の面積から、上記(B)が求められる。そして、陽イオン交換膜の表面画像の面積から上記(A)を求め、上記(B)を上記(A)で除することによって、開口率が求められる。
本実施形態の強化芯材の形態は、強化糸と犠牲糸からなる織物であり、織り方としては、以下に説明するように、平織り組織ではなく、変則組織の織物である。織布の厚みは、特に限定されないが、30〜250μmであることが好ましく、30〜150μmであることがより好ましい。また、強化糸の織り密度(単位長さあたりの打ち込み本数)は、特に限定されないが、5〜50本/インチが好ましい。
図5に、平織り組織を示す。平織り組織では、織物全体亘り、経糸の浮き沈みが交互に繰り返えされている。
前記したように、本実施形態の強化芯材は、緯糸としての直近の2つのPTFE繊維間に存在する緯糸としての2つのPETマルチフィラメント同士が、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも広がって配置された緯糸PET広がり領域と、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも狭まって配置された緯糸PET狭まり領域とが、ウエール方向に少なくともいずれか含まれることを特徴とする。これにより、陽イオン交換膜を取り扱う際に膜が折れ曲がったとしても、犠牲糸溶出孔の部位に負荷がかかりすぎてピンホールが発生するといった不具合を防止することができる。
犠牲糸とは、酸又はアルカリに溶解する性質を有し、陽イオン交換膜において溶出孔を形成する糸である。犠牲糸としては、ポリビニルアルコール(PVA)、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロース、ポリアミド等が挙げられるが、これらの中でも、製織時の安定性や、酸又はアルカリへの溶解性の観点からPETが好ましい。
犠牲糸の混織量は、好ましくは強化芯材全体の10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。犠牲糸は、20〜50デニールの太さを有し、モノフィラメント又はマルチフィラメントのいずれでも構わない。
本実施形態の強化芯材は、犠牲糸よりも穏やかな条件で除去されることを予定されるダミー糸は、犠牲糸同士の間や、強化糸と犠牲糸の間に織り込まれていない。
溶出孔は、電解の際に発生する陽イオンや電解液の流路となり得る孔をいう。溶出孔を形成することで、電解の際に発生するアルカリイオンや電解液の移動性を確保できる。溶出孔の形状は特に限定されない。後述する製法に従って陽イオン交換膜を製造する場合、酸又はアルカリに溶解する犠牲糸が、膜本体の溶出孔を形成するため、溶出孔の形状は犠牲糸の形状となる。図2に示すように、陽イオン交換膜は、紙面に対して垂直方向に形成された溶出孔と、紙面の上下方向に形成された溶出孔とを備えている。即ち、紙面の上下方向に形成された溶出孔は、強化糸(補強材)に対して略垂直方向に沿って形成されている。溶出孔は、強化芯材の陽極側(スルホン酸層側)と陰極側(カルボン酸層側)を交互に通過するように形成されることが好ましい。かかる構造とすることで、溶出孔に満たされている電解液を通して輸送された陽イオン(例えば、ナトリウムイオン)が、補強材の陰極側にも流れることができる結果、陽イオンの流れが遮蔽されることがないため、陽イオン交換膜の電気抵抗を更に低くすることができる。
以下、本実施形態の強化芯材において、緯糸としての直近の2つのPTFE繊維間に存在する緯糸としての2つのPETマルチフィラメント同士が、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも広がって配置された緯糸PET広がり領域と、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも狭まって配置された緯糸PET狭まり領域との少なくともいずれかが、ウエール方向に含まれる組織を形成するための原理(以下、変則化原理ともいう。)を説明する。
図6に、平織り組織における経糸の浮き沈みを4箇所で変更した変則織り組織を示す。かかる変則織り組織においては、右から2番目の経糸の断面図に示すように、経糸に張力をかけると経糸と緯糸の交点から離れるように緯糸が変位する。このような緯糸の変位を許容するような織組織を織物全体に所望の割合で配置することよって、緯糸PET広がり領域と緯糸PET狭まり領域がウエール方向に含まれる組織を形成することができる。
図7に、緯糸の変位を許容する組織を定義する。
まず、経糸としての直近の2つのPTFE繊維間に存在する経糸としての2つのPETマルチフィラメントと、緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらの間に配置された緯糸としての2つのPETマルチフィラメントと、から成る領域を同口数定義組織とする。尚、図5と同様、×印は、経糸が緯糸の裏側にあることを示す。
前記同口数定義組織内において、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側になく、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、該同口数定義組織内の全ての緯糸と、交互に交差する平−平組織の同口数を0と定義する(図7の左上の組織)。
前記同口数定義組織内において、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が対角線上に片面で2箇所ある同口−同口組織の同口数を1と定義する(図7の右上の組織)。かかる同口−同口組織では、先に説明した変則化原理により、両側(対角線にある2つの××印の箇所)でPTFE糸とPET糸が互いに寄せられる。
前記同口数定義組織内において、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口−平組織の同口数を0.5と定義する(図7の左下の組織)。かかる同口−平組織では、先に説明した変則化原理により、片側(1つの××印の箇所)でPTFE糸とPET糸が互いに寄せられる。
また、前記同口数定義組織内において、経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある組織を同口PET組織と定義する(図7の右下の組織)。かかる同口PET組織では、係PET繊維同士が寄せられる。
前記緯糸PET広がり領域においては、以下の式:
同口率(%)=総同口数/該領域内の同口数定義組織数×100
で表される同口率を定義する。
図8に、同口数定義組織数が6である場合に、同口−同口組織の数が1つ、同口−平組織の数が4つ、そして平−平組織の数が1つである場合の同口率を計算した例を示す。この場合、緯糸PET広がり領域内の総同口数は3であり、同口数定義組織数が6であるので、同口率は50%と計算される。
本実施形態の強化芯材の前記緯糸PET広がり領域の同口率は、以下の実施例に説明するように、37%以上であり、また、前記緯糸PET狭まり領域内の単位同口数定義組織数内には、同口PET組織があり、前記式中の同口数定義組織内に同口PET組織が50%以上含まれ、残りの組織が全て前記平−平組織である。PET広がり領域の同口率が37%未満であると、隣接する2つの緯糸PETの間隔を十分に広げることができず、膜が折れ曲がった際に、犠牲糸溶出孔の部位に負荷がかかりすぎるため、ピンホールの発生を予防できない。。また、同口PET組織が50%未満であると、隣接する2つの緯糸PETの間隔を十分に狭めることができず、膜が折れ曲がった際に、犠牲糸溶出孔の部位に負荷がかかりすぎるため、ピンホールの発生を予防できない。
こうして、本実施形態の強化芯材においては、緯糸としての直近の2つのPTFE繊維間に存在する緯糸としての2つのPETマルチフィラメント同士が、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも広がって配置された緯糸PET広がり領域と、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも狭まって配置された緯糸PET狭まり領域との少なくともいずれかが、ウエール方向に含まれる組織が形成される結果、これを用いて陽イオン交換膜を製造した場合、折り曲がり起点を犠牲糸溶出孔部からずらすことによりクラック発生を有効に防止することができる。
図4〜10中、MD方向(machine direction)とは、後述する陽イオン交換膜の製造において、膜本体や各種強化芯材(例えば、強化糸、犠牲糸等を用いて補強材を織る場合、得られる芯材)が搬送される方向(「流れ方向」)をいう。そして、MD糸とは、MD方向に沿って織られた(編みこまれた)糸のことをいい、TD方向(traverse direction)とは、MD方向と略垂直の方向をいい、TD糸とは、TD方向に沿って織られた(編みこまれた)糸のことをいう。本実施形態の織物の強化芯材では、MD方向は経糸方法であり、TD方向は緯糸方向である。
通常、陽イオン交換膜は矩形状であり、その長手方向がMD方向となり、幅方向がTD方向となることが多い。このような陽イオン交換膜は、その出荷時や電解槽への装着時までの間、塩化ビニル管のような筒体に巻きつけて搬送される。筒体に巻きつける際には、筒体の長さを短くするために、陽イオン交換膜のTD方向が折れ線となり、陽イオン交換膜が折り曲がることがある。かかる場合であっても、上記構成の陽イオン交換膜であれば、TD方向における負荷の集中を効率よく回避できるため、ピンホール等の発生を効果的に防止することができる。
<製造方法>
本実施形態に係る陽イオン交換膜の製造方法は、以下の工程:
請求項1又は2に記載の陽イオン交換膜用強化芯材と、イオン交換基又は加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体を有する含フッ素系重合体とを積層して、該強化芯材有するその内部又は表面に含む膜本体を形成する工程、及び
前記膜本体を酸又はアルカリに浸漬させて、該強化芯材中のPETマルチフィラメントを該本体から除去して、該膜本体に溶出孔を形成する工程、
を含む。
本実施形態の強化芯材の製造方法では、直近の強化糸間に形成される溶出孔の間隔を等間隔にしないことを特徴の一つとするが、かかる構造を実現するために、犠牲糸よりも穏やかな条件で除去することができるダミー糸(例えば、PVA糸)を用いない。
図示はしないが、MD糸においては、織機の筬の1つの筬目に、強化糸、犠牲糸等の中から2本以上の糸を束にして通す方法や、強化糸、犠牲糸等を通す筬目の間に、糸を通さない筬目を設ける方法等によっても、強化芯材中の犠牲糸等を任意の間隔で配置することができる。例えば、MD方向において、織機の筬の1つの筬目に通す糸(強化糸、犠牲糸等)の種類の組み合わせを変えることにより調節できる。例えば、1番目の筬目に強化糸−犠牲糸の束を通し、2番目の筬目に犠牲糸−強化糸の束を通し、3番目の筬目に犠牲糸−犠牲糸を通した場合、強化糸−犠牲糸−犠牲糸−強化糸−犠牲糸−犠牲糸の順を繰り返すように配置することができる。これにより、補強材中の犠牲糸の配置間隔を制御することができる。
しかしながら、本実施形態の強化芯材の製造方法においては、一般的な平織り組織の製織条件下であっても、平織り組織を、先に説明した変則組織に所定割合変更することにより、経糸張力による変則化原理によって緯糸が変位し、所望の変則組織の織物を製造することができる。これにより、ダミー糸を用いずに製織され得る変則組織織物である陽イオン交換膜用強化芯材である織物の製造する際、ダミー糸(PVA)を緯糸として打ち込む必要はなく、これを打ち込む場合に比較して、製織速度が向上し、PVA打ち込み分のコストダウンにつながるという、従来技術の発明に比較しての有利な効果が奏される。
このように製造された補強材は、ダミー糸を除去する必要性を伴わずに、イオン交換基を有する含フッ素系重合体に積層させることで、強化芯材を有する膜本体を形成させることができる。膜本体の好ましい形成方法としては、以下の(1)工程及び(2)工程を行う方法等が挙げられる。
(1)陰極側に位置するカルボン酸エステル官能基を含有する含フッ素系重合体の層(以下、「第1層」という。)と、スルホニルフルオライド官能基を有する含フッ素系重合体の層(以下、「第2層」という。)とを共押出し法によってフィルム化する。そして、加熱源及び真空源を有し、その表面に細孔を有する平板またはドラム上に、透気性を有する耐熱性の離型紙を介して、補強材、第2層/第1層複合フィルムの順に積層する。各ポリマーが溶融する温度下において、減圧して各層間の空気を除去しながら、一体化する。
(2)第2層/第1層複合フィルムとは別に、スルホニルフルオライド官能基を有する含フッ素系重合体の層(以下、「第3層」という。)を予め単独でフィルム化する。そして、加熱源及び真空源を有し、その表面に細孔を有する平板又はドラム上に、透気性を有する耐熱性の離型紙を介して、第3層フィルム、補強材、第2層/第1層複合フィルムの順に積層する。各ポリマーが溶融する温度下で、減圧して各層間の空気を除去しながら一体化する。なお、この場合、押出しされたフィルムが流れていく方向が、MD方向である。
ここで、第1層と第2層とを共押出しすることは、界面の接着強度を高めることに寄与している。また、減圧下で一体化する方法は、加圧プレス法に比べて補強材上の第3層の厚みが大きくなる特徴を有している。更に、強化芯材が陽イオン交換膜の内部に固定されているため、陽イオン交換膜の機械的強度が十分に保持できる性能を有している。
また、陽イオン交換膜の耐久性を更に高める目的で、第1層と第2層との間に、カルボン酸エステル官能基とスルホニルフルオライド官能基の両方を含有する層(以下、「第4層」という。)を更に介在させることや、第2層としてカルボン酸エステル官能基とスルホニルフルオライド官能基の両方を含有する層を用いることも可能である。この場合、カルボン酸エステル官能基を含有する重合体と、スルホニルフルオライド官能基を含有する重合体とを別々に製造した後に混合する方法でもよいし、カルボン酸エステル官能基を含有する単量体とスルホニルフルオライド官能基を含有する単量体の両者を共重合したものを使用する方法でもよい。
第4層を陽イオン交換膜の構成とする場合には、第1層と第4層との共押出しフィルムを成形し、第2層と第3層はこれとは別に単独でフィルム化し、前述の方法で積層してもよい。また、第1層/第4層/第2層の3層を一度に共押し出しでフィルム化してもよい。このようにして、イオン交換基を有する含フッ素系重合体を含む膜本体を、強化芯材上に形成することができる。
さらに、膜本体に含まれている犠牲糸を酸又はアルカリで溶解除去することで、膜本体に溶出孔を形成させる。犠牲糸は、陽イオン交換膜の製造工程や電解環境下において、酸又はアルカリに対して溶解性を有するものであり、犠牲糸が溶出することで当該部位に溶出孔が形成される。このようにして、膜本体に溶出孔が形成された陽イオン交換膜を得ることができる。
また、本実施形態に係る陽イオン交換膜は、そのスルホン酸層側(陽極面側、図2参照)にイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分を持つことが好ましい。当該突出部分は、樹脂のみからなることが好ましい。当該突出部分は、前記した第2層/第1層の複合フィルムと、補強材等とを一体化する際に用いることができる前記離型紙を、予めエンボス加工しておくことで、形成することも可能である。
本実施形態に係る陽イオン交換膜は、種々の電解槽に用いることができる(図1参照)。電解槽は、陽極と、陰極と、該陽極と陰極との間に配置された本実施形態に係る陽イオン交換膜とを少なくとも備える。電解槽は、種々の電解に使用できるが、以下、代表例として、塩化アルカリ水溶液の電解に使用する場合について説明する。
電解条件は、特に限定されず、公知の条件で行うことができる。例えば、陽極室に2.5〜5.5規定(N)の塩化アルカリ水溶液を供給し、陰極室は水又は希釈した水酸化アルカリ水溶液を供給し、電解温度が50〜120℃、電流密度が5〜100A/dm2の条件で電解することができる。
本実施形態に係る電解槽の構成は、特に限定されず、例えば、単極式でも複極式でもよい。電解槽を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、陽極室の材料としては、塩化アルカリ及び塩素に耐性があるチタン等が好ましく、陰極室の材料としては、水酸化アルカリ及び水素に耐性があるニッケル等が好ましい。電極の配置は、陽イオン交換膜と陽極との間に適当な間隔を設けて配置してもよいが、陽極とイオン交換膜が接触して配置されていても、何ら問題なく使用できる。また、陰極は一般的には陽イオン交換膜と適当な間隔を設けて配置されているが、この間隔がない接触型の電解槽(ゼロギャップ式電解槽)であっても、何ら問題なく使用できる。
本実施形態の陽イオン交換膜は、特に、陽イオン等の各種物質の通り道となる溶出孔が等間隔に配置された従来の陽イオン交換膜に比べて、溶出孔を不等間隔に配置されることにより、陽イオンの抵抗が減少する。その結果、電解電圧が低減される。また、陽イオンの遮蔽となる強化糸の近くに溶出孔が配置されるため、陽イオンの通る遮蔽領域が減少し、陽イオンの抵抗がより減少する結果、電解電圧は更に低減されることになる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[折り曲げ耐性の測定]
陽イオン交換膜の折れ曲げによる強度低下の度合い(折り曲げ耐性)は、以下の方法により評価した。尚、折り曲げ耐性は、折り曲げる前の陽イオン交換膜の引張伸度に対する折り曲げた後の陽イオン交換膜の引張伸度の割合(引張伸度割合)のことである。
引張伸度は、次の方法で測定した。陽イオン交換膜に埋め込まれた強化糸に対して45度となる方向にそって幅1cmのサンプルを切り出した。そして、チャック間距離50mm、引張速度100mm/分の条件で、JIS K6732に準じて、サンプルの引張伸度を測定した。
陽イオン交換膜の折り曲げは、次の方法で行った。陽イオン交換膜のカルボン酸層(図1のカルボン酸層144、及び後述する「ポリマーA層」参照)側の表面を内側にして、400g/cmの加重を掛けて折り曲げた。MD折では、陽イオン交換膜のMD糸に対して垂直方向に折り線が入るように、陽イオン交換膜を折り曲げて評価した(MD折り曲げ)。TD折では、陽イオン交換膜のTD糸に対して垂直方向に折り線が入るように、陽イオン交換膜を折り曲げて評価した(TD折り曲げ)。したがって、MD折り曲げは、TD方向に沿って配置された強化芯材及び溶出孔の間隔を制御したことによる、折り曲げ耐性への寄与を測定でき、TD折り曲げは、MD方向に沿って配置された強化芯材及び溶出孔の間隔を制御したことによる、折り曲げ耐性への寄与を測定できる。
MD折り曲げ又はTD折り曲げを夫々行った後の陽イオン交換膜の引張伸度を測定し、折り曲げ前の引張伸度に対する割合を求め、折り曲げ耐性とした。
〔実施例1〕
強化芯材として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製であり、90デニールのモノフィラメントを用いた(以下、「PTFE糸」という。)。犠牲糸として、40デニール、6フィラメントのポリエチレンテレフタレート(PET)を200回/mの撚りを掛けた糸を用いた(以下、「PET糸」という。)。
まず、24本/インチで略等間隔に並ぶようにPTFE糸を配置した。そして、経糸については、連続する3羽の筬を用いて、PTFE糸とPET糸の2本の糸の束を1番目の筬に通し、PET糸とPTFE糸の2本の糸の束を2番目の筬に通し、PET糸とPET糸の2本の糸の束を3番目の筬に通した。そして、この組み合わせで順に繰り返すように筬に糸の束を順次通した。
また、隣接する経糸のPTFE糸はそれぞれ2枚の綜絖枠を交互に用い、経糸のPET糸には12枚の異なる綜絖枠を用い、PTFE経糸には2つの自由度を、PET経糸には12の自由度を与えた。
緯糸については、図9のサンプル1に示す通りPTFE糸、PET糸、PET糸の順を繰り返し織り込んだ。図9のサンプル1において×印は経糸を上に持ち上げ、無印は経糸を下に下げていることを意味し、前述した前記緯糸PET広がり領域においては、同口率83%となり、緯糸PET狭まり領域内においては、同口PET組織が67%である、織布(補強材)を得た。
製織時の経糸張力はPTFE糸、PET糸共に5〜20 g/本とした。
続いて、得られた補強材を、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させ、125℃に加熱されたロールで圧着した。
次に、テトラフロエチレン(CF=CF)とCF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOCHとの共重合体であり、総イオン交換容量が0.85mg当量/gである、乾燥樹脂のポリマーA、及びCF=CFとCF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOFとの共重合体であり、総イオン交換容量が1.05mg当量/gである、乾燥樹脂のポリマーBを準備した。ポリマーA及びBを使用し、共押出しTダイ法にて、厚さ13μmのポリマーA層、及び厚さ84μmのポリマーB層からなる2層フィルムXを得た。また、単層Tダイ法にて、ポリマーBからなる厚さ20μmのフィルムYを得た。
次に、加熱源及び真空源を内部に有し、その表面に微細孔を有するドラムの上に、離型紙、フィルムY、補強材、フィルムXの順に積層し、加熱減圧した。このときの加工温度は219℃、減圧度は0.022MPaであった。その後、離型紙を取り除き、複合膜を得た。得られた複合膜を、ジメチルスルホキシド(DMSO)を30質量%、水酸化カリウム(KOH)を15質量%含む水溶液に、90℃で1時間浸漬することにより加水分解させた後、水洗し、乾燥させた。これにより犠牲糸(PET糸)が溶解して、溶出孔が形成された膜本体を得た。
更に、ポリマーBの酸型ポリマーの5質量%エタノール溶液に、1次粒径1μmの酸化ジルコニウムを20質量%の割合となるように加えて分散させ、懸濁液を調合した。この懸濁液をスプレー法で上記の複合膜の両面に噴霧し、乾燥させることにより、0.5mg/cmのコーティング層を複合膜の表面に形成させて、図2に示す陽イオン交換膜を得た。図2の陽イオン交換膜は、膜本体(図示せず)と、その内部に強化芯材を備えたものであり、膜本体には、隣接する強化芯材同士の間に2本の溶出孔が形成された構造を有している。
得られた陽イオン交換膜の物性を以下の表1に示す。以下の表1では、実施例1の陽イオン交換膜のTD方向において、交互に隣接して配置された強化芯材間を、夫々、強化芯材間T1と強化芯材間T2として記載した。また、MD方向においては、繰り返しの構成単位を、強化芯材間M1と強化芯材間M2として記載した。以下の実施例及び比較例についても、同様にして各表に記載した。以下の表1に示す通り、MD折り曲げ及びTD折り曲げのいずれにおいても、高い引張伸度保持率を有することが確認された。
〔実施例2〕
補強芯材の製織組織を図9のサンプル2とした以外は、実施例1と同様の材料を用いて陽イオン交換膜を作製した。得られた補強芯材のPET広がり領域における同口率は67%であり、PET狭まり領域においては、同口PET組織67%である、織布(補強材)を得た。作製した陽イオン交換膜は、以下の表1に示す通り、MD折り曲げ及びTD折り曲げのいずれにおいても、高い引張伸度保持率を有することが確認された。
〔実施例3〕
経糸PETに用いる綜絖枠数を8枚とし、補強芯材の製織組織を図10のサンプル3とした以外は、実施例1と同様の材料を用いて陽イオン交換膜を作製した。得られた補強芯材のPET広がり領域における同口率は38%であり、PET狭まり領域においては、同口PET組織が75%である、織布(補強材)を得た。作製した陽イオン交換膜は、以下の表1に示す通り、MD折り曲げ及びTD折り曲げのいずれにおいても、高い引張伸度保持率を有することが確認された。
〔実施例4〕
経糸PETに用いる綜絖枠数を4枚とし、補強芯材の製織組織を図11のサンプル4とした以外は、実施例1と同様の材料を用いて陽イオン交換膜を作製した。得られた補強芯材のPET広がり領域における同口率は100%であり、PET狭まり領域においては、同口PET組織が100%である、織布(補強材)を得た。作製した陽イオン交換膜は、以下の表1に示す通り、MD折り曲げ及びTD折り曲げのいずれにおいても、高い引張伸度保持率を有することが確認された。
〔実施例5〕
経糸PETに用いる綜絖枠数を4枚とし、補強芯材の製織組織を図11のサンプル5とした以外は、実施例1と同様の材料を用いて陽イオン交換膜を作製した。得られた補強芯材のPET広がり領域における同口率は50%であり、PET狭まり領域においては、同口PET組織が100%である、織布(補強材)を得た。作製した陽イオン交換膜は、以下の表1に示す通り、MD折り曲げ及びTD折り曲げのいずれにおいても、高い引張伸度保持率を有することが確認された。
〔実施例6〕
経糸PTFEを撚糸数1120T/mで撚糸したテープヤーンとした以外は、実施例3と同様に陽イオン交換膜を作製した。得られた補強芯材のPET広がり領域における同口率は38%であり、PET狭まり領域においては、同口PET組織が75%である、織布(補強材)を得た。作製した陽イオン交換膜は、以下の表1に示す通り、MD折り曲げ及びTD折り曲げのいずれにおいても、高い引張伸度保持率を有することが確認された。
〔比較例1〕
補強芯材の製織組織を平織りした以外は、実施例1と同様の材料を用いて陽イオン交換膜を作製した。得られた補強芯材にはPET広がり領域とPET狭まり領域の区別はなく、同口率は0%であり、同口PET組織が存在しない、織布(補強材)を得た。作製した陽イオン交換膜は、表1に示す通り、MD折り曲げ及びTD折り曲げのいずれにおいても、引張伸度保持率は低い値となった。
Figure 0006530233
本発明に係る強化芯材は、ダミー糸を用いずに製織され得る変則組織織物である陽イオン交換膜用強化芯材であるため、かかる織物の製造する際、ダミー糸(PVA)を緯糸として打ち込む必要はなく、これを打ち込む場合に比較して、製織速度が向上し、PVA打ち込み分のコストダウンにつながる。また、本発明に係る強化芯材を用いて製造された陽イオン交換膜は、折り曲げ等に対する機械的強度に優れ、長期に安定した電解性能を発揮できる。よって、本発明に係る強化芯材は、陽イオン交換膜用強化芯材として好適に利用可能である。

Claims (8)

  1. 経糸として、コース方向に強化芯材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)マルチフィラメント、PETマルチフィラメントが順番に繰り返し配置され、かつ、緯糸として、ウエール方向に強化芯材としてのPTFE繊維、PETマルチフィラメント、PETマルチフィラメントが順番に繰り返し配置された組織をもつ織物からなる陽イオン交換膜用強化芯材であって、
    緯糸としての直近の2つのPTFE繊維間に存在する緯糸としての2つのPETマルチフィラメント同士が、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも広がって配置された緯糸PET広がり領域と、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも狭まって配置された緯糸PET狭まり領域との少なくともいずれかが、ウエール方向に含まれ、
    前記緯糸PET広がり領域では、経糸としての直近の2つのPTFE繊維間に存在する経糸としての2つのPETマルチフィラメントと、緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらの間に配置された緯糸としての2つのPETマルチフィラメントと、から成る同口数定義組織において、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側になく、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、該同口数定義組織内の全ての緯糸と、交互に交差する平−平組織の同口数を0とし、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が対角線上に片面で2箇所ある同口−同口組織の同口数を1とし、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口−平組織の同口数を0.5とするとき、以下の式:
    同口率(%)=総同口数/該領域内の同口数定義組織数×100
    で表される同口率が37%以上であり、
    前記緯糸PET狭まり領域では、前記式中の同口数定義組織数内に、前記同口数定義組織における前記経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口PET組織があり、前記式中の同口数定義組織内に同口PET組織が50%以上含まれ、残りの組織が全て平−平組織である、
    ことを特徴する前記陽イオン交換膜用強化芯材。
  2. 前記緯糸PET広がり領域と、前記緯糸PET狭まり領域とが、ウエール方向に含まれ、交互に繰り返される、請求項1に記載の陽イオン交換膜用強化芯材。
  3. 前記経糸及び緯糸としての強化芯材としてのPTFE繊維はモノフィラメントである、請求項1又は2に記載の陽イオン交換膜用強化芯材。
  4. 以下の工程:
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の陽イオン交換膜用強化芯材と、イオン交換基又は加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体を有する含フッ素系重合体とを積層して、該強化芯材有するその内部又は表面に含む膜本体を形成する工程、及び
    前記膜本体を酸又はアルカリに浸漬させて、該強化芯材中のPETマルチフィラメントを該本体から除去して、該膜本体に溶出孔を形成する工程、
    を含む、陽イオン交換膜の製造方法。
  5. コース方向に強化芯材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維、溶出孔、溶出孔が順番に繰り返し配置され、かつ、ウエール方向に強化芯材としてのPTFE繊維、溶出孔、溶出孔が順番に繰り返し配置された組織をもつ陽イオン交換膜であって、
    ウエール方向の直近の2つのPTFE繊維間に存在する2つのウエール方向の溶出孔同士が、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも広がって配置されたウエール方向の溶出孔広がり領域と、ウエール方向における該2つのPTFE繊維間の距離の1/3よりも狭まって配置されたウエール方向の溶出孔狭まり領域との少なくともいずれかが、ウエール方向に含まれ、
    前記ウエール方向の溶出孔広がり領域では、コース方向の直近の2つのPTFE繊維間に存在する2つのコース方向の溶出孔、ウエール方向の直近の2つのPTFE繊維とそれらの間に配置された2つのウエール方向の溶出孔と、から成る同口数定義組織において、該コース方向の2つの溶出孔が、それぞれ、該ウエール方向の直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する該2つのウエール方向の溶出孔に対して同じ側になく、該2つのコース方向の溶出孔が、該同口数定義組織内の全てのウエール方向の溶出孔と、交互に交差する平−平組織の同口数を0とし、該2つのコース方向の溶出孔が、それぞれ、該ウエール方向の直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する2つのウエール方向の溶出孔に対して同じ側にある箇所が対角線上に片面で2箇所ある同口−同口組織の同口数を1とし、該2つのコース方向の溶出孔が、それぞれ、該ウエール方向の直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する2つのウエール方向の溶出孔に対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口−平組織の同口数を0.5とするとき、以下の式:
    同口率(%)=総同口数/該領域内の同口数定義組織数×100
    で表される同口率が37%以上であり、
    前記ウエール方向の溶出孔狭まり領域では、前記式中の同口数定義組織数内に、前記同口数定義組織における前記2つのコース方向の溶出孔が、2つのウエール方向の溶出孔に対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口PET組織があり、前記式中の同口数定義組織内に同口溶出孔組織が50%以上含まれ、残りの組織が全て平−平組織である、
    ことを特徴する前記陽イオン交換膜。
  6. 陽極、陰極、及びそれらの間に請求項5に記載の陽イオン交換膜が配置された電解槽。
  7. 前記緯糸PET広がり領域では、経糸としての直近の2つのPTFE繊維間に存在する経糸としての2つのPETマルチフィラメントと、緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらの間に配置された緯糸としての2つのPETマルチフィラメントと、から成る同口数定義組織において、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側になく、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、該同口数定義組織内の全ての緯糸と、交互に交差する平−平組織の同口数を0とし、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が対角線上に片面で2箇所ある同口−同口組織の同口数を1とし、該経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、それぞれ、該緯糸としての直近の2つのPTFE繊維とそれらにそれぞれ隣接する緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口−平組織の同口数を0.5とするとき、以下の式:
    同口率(%)=総同口数/該領域内の同口数定義組織数×100
    で表される同口率が37%以上であり、
    前記緯糸PET狭まり領域では、前記式中の同口数定義組織数内に、前記同口数定義組織における前記経糸としての2つのPETマルチフィラメントが、緯糸としての2つのPETマルチフィラメントに対して同じ側にある箇所が片面で1箇所ある同口PET組織があり、前記式中の同口数定義組織内に同口PET組織が50%以上含まれ、残りの組織が全て平−平組織である、
    ように組織して、製織する工程を含む、請求項1に記載の陽イオン交換膜用強化芯材の製造方法。
  8. 製織時の経糸としてのPTFE繊維及びPET繊維の経糸張力を5〜20g/本とする、請求項7に記載の方法。
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