JP7062396B2 - イオン交換膜 - Google Patents

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Description

本発明は、イオン交換膜に関する。特に、塩化アルカリ食塩電気分解に用いるイオン交
換膜に関する。
含フッ素イオン交換膜は、耐熱性や耐薬品性などが優れており、塩化アルカリ電解用、
オゾン発生電解用、燃料電池用、水電解用、塩酸電解用などの電解用隔膜として、各種用
途に広く使用され、更に新しい用途に広がりつつある。
これらの中で、塩素と水酸化アルカリを製造する塩化アルカリの電解では、近年、イオ
ン交換膜法が主流となっている。塩化アルカリの電解に用いられるイオン交換膜には、様
々な性能が求められている。例えば、高い電流効率及び低い電解電圧で電解を行えること
、製造した水酸化アルカリ中に含まれる不純物(特に塩化アルカリ等)の濃度が低いこと
、又は、膜強度が高く、膜の取扱い時や電解時にカルボン酸層が損傷しない、などの性能
が要求されている。
上記の要求に対し、含フッ素陽イオン交換膜表面に凸形状をつけることで塩化アルカリ
水溶液の供給性を改善することが行われている。例えば、特許文献1~2などでは陽イオ
ン交換膜の陽極表面に凸部形状を形成することで塩化アルカリ水溶液の供給性を改善し、
生成する水酸化アルカリの不純物を低下させ、また陰極面の損傷を低減させることが行わ
れている。
特許第4573715号明細書 特許第4708133号明細書
特許文献1~2に記載の技術では、膜の表面に凸部形状が形成されていることで塩化ア
ルカリ水溶液の供給性には改善がみられるものの、電解性能や陰極面の損傷への耐性の観
点から、未だ更なる改善の余地がある。
本発明は、上記の従来技術が有する課題を鑑みてなされたものであり、電解性能とカル
ボン酸層の損傷への耐性に優れるイオン交換膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、イオン交換膜を所定
の構成とし、イオン交換容量を特定の範囲に調整することにより、電解性能及び、電解時
のカルボン酸層の損傷への耐性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を成すに至った
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]
スルホン酸基を有する含フッ素重合体を含む層Aと、
カルボン酸基を有する含フッ素重合体を含む層Bと、
を有し、
前記層Aは、少なくとも一方の表面に、断面視において、高さが20μm以上である凸
部を有し、
前記層Aの前記表面には複数の開孔部が形成され、
前記層Aの前記表面の面積に対する前記開孔部の総面積の割合(開孔面積率)が、0.
4~15%であり、
前記層Aのイオン交換容量が1.18~0.98ミリ当量/gであり、
前記層Bのイオン交換容量が0.98~0.87ミリ当量/gである、イオン交換膜。
[2]
前記層Aの前記表面における前記凸部の配置密度が20~1500個/cm2である、
[1]に記載のイオン交換膜。
[3]
前記層Aの厚さが50~180μmであり、
前記層Bの厚さが5~40μmである、[1]又は[2]に記載のイオン交換膜。
[4]
前記層AはCF2=CF-(OCF2YF)a-O(CF2b-SO2Fで表される化合物
の重合体を含み、
前記層BはCF2=CF-(OCF2CYF)c-O(CF2d-COORで表される化
合物の重合体を含み、
ここで、前記aは0~2の整数であり、前記cは0~2の整数であり、前記b,dは1
~4の整数であり、前記YはF又はCF3であり、前記RはCH3、C25又はC37であ
る、[1]~[3]のいずれかに記載のイオン交換膜。
[5]
前記凸部の合計面積が前記層Aの表面1cm2あたり0.01cm2~0.6cm2であ
る、[1]~[4]のいずれかに記載のイオン交換膜。
[6]
ODC電解用である、[1]~[5]のいずれかに記載のイオン交換膜。
本発明のイオン交換膜は、電解性能とカルボン酸層の損傷への耐性に優れる。
本実施形態に係るイオン交換膜の一態様を示す断面模式図である。 開孔部及び連通孔の配置を説明するために用いる、本実施形態に係るイオン交換膜の第1実施形態の一部を切り欠いた簡略斜視図である。 強化芯材の配置を説明するために用いる、本実施形態に係るイオン交換膜の第1実施形態の一部を切り欠いた簡略斜視図である。 図1の領域A1の部分拡大図である。 図1の領域A2の部分拡大図である。 図1の領域A3の部分拡大図である。 本実施形態に係るイオン交換膜の開口率を説明するための概念図である。 本実施形態に係るイオン交換膜の第2の実施形態の断面模式図である。 本実施形態に係るイオン交換膜の露出面積率を説明するための概念図である。 本実施形態に係るイオン交換膜の第3の実施形態の断面模式図である。 本実施形態に係るイオン交換膜の第4の実施形態の断面模式図である。 本実施形態におけるイオン交換膜の連通孔を形成する方法を説明するための模式図である。 本実施形態に係る電解槽の一実施形態の模式図である。 本実施形態に係る電解槽をODC(Oxygen Depolarized Cathode)電解に適用する場合の例を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に
説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範
囲内で種々変形して実施することができる。なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特
に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示
の比率に限られるものではない。
[イオン交換膜]
本実施形態に係るイオン交換膜は、スルホン酸基を有する含フッ素重合体を含む層Aと
、カルボン酸基を有する含フッ素重合体を含む層B(以下、単に「カルボン酸層」ともい
う。)と、を有し、前記層Aは、少なくとも一方の表面に、断面視において、高さが20
μm以上である凸部を有し、前記層Aの前記表面には複数の開孔部が形成され、前記層A
の前記表面の面積に対する前記開孔部の総面積の割合(開孔面積率)が、0.4~15%
であり、前記層Aのイオン交換容量が1.18~0.98ミリ当量/gであり、前記層B
のイオン交換容量が0.98~0.87ミリ当量/gである。このように構成されている
ため、本実施形態に係るイオン交換膜は、電解性能と、カルボン酸層の損傷(以下、単に
「通電面C損傷」ともいう。)への耐性とに優れる。すなわち、イオン交換膜の表面に凸
部があることと、イオン交換膜表面に供給孔たる開孔部(以下、単に「塩水供給孔」とも
いう。)があることで、イオン交換膜内への塩化アルカリ水溶液の供給量(以下、単に「
塩水供給量」ともいう。)が向上し、電解時の膜損傷耐性が向上し、電解性能が向上する
〔層A〕
本実施形態において、層Aはスルホン酸基を有する含フッ素重合体Aを含む。層Aを構
成する、スルホン酸基を有する含フッ素重合体Aは、以下に限定されないが、例えば、以
下の第1群の単量体、及び第2群の単量体を共重合する、又は第2群の単量体を単独重合
することによって、製造することができる。
第1群の単量体としては、以下に限定されないが、例えば、フッ化ビニル化合物が挙げ
られる。フッ化ビニル化合物としては、下記一般式(1)で表わされるものが好ましい。
CF2=CX12 ・・・(1)
(一般式(1)において、X1及びX2は、各々独立してF、Cl、H又はCF3を表す。
上記一般式(1)で表わされるフッ化ビニル化合物としては、以下に限定されないが、
例えば、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビ
ニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。
特に、本実施形態に係るイオン交換膜をアルカリ電解用膜として用いる場合、フッ化ビ
ニル化合物は、パーフルオロ単量体であることが好ましく、テトラフルオロエチレン、ヘ
キサフルオロプロピレンからなる群より選ばれるパーフルオロ単量体がより好ましい。さ
らに好ましくは、テトラフルオロエチレン(TFE)である。
第2群の単量体としては、以下に限定されないが、例えば、スルホン型イオン交換基に
変換し得る官能基を有するビニル化合物が挙げられる。スルホン型イオン交換基に変換し
得る官能基を有するビニル化合物としては、下記一般式(2)で表わされるものが好まし
い。
CF2=CFO-(CF2YFO)a-(CF2b-SO2F ・・・(2)
(一般式(2)において、aは0~2の整数、bは1~4の整数、YはF又はCF3、R
はCH3、C25又はC37を表す。)
これらの具体例としては、下記に表す単量体等が挙げられる;
CF2=CFOCF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2SO2F、
CF2=CF(CF22SO2F、
CF2=CFO〔CF2CF(CF3)O〕2CF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF(CF2OCF3)OCF2CF2SO2F。
これらの中でも、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2SO2F、及び
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fがより好ましい。
重合体Aを構成する単量体の組み合わせの種類、その比率及び重合度等は、特に限定さ
れない。また、層A中に含まれる重合体Aは、一種単独であっても二種以上の組み合わせ
であってもよい。また、スルホン酸基を有する含フッ素重合体Aのイオン交換容量は、上
記一般式(1)と(2)で表される単量体の比を変えることにより調整することができる
。より具体的には、例えば、上記一般式(1)で表わされる単量体と上記一般式(2)で
表わされる単量体を4:1~7:1で共重合すること等が挙げられる。
層Aは単層であってもよく、2層構造であってもよい。層Aが単層である場合、その厚
みは電解性能及び通電面C損傷への耐性を十分に確保する観点から、50~180μmが
好ましく、より好ましくは70~160μmである。層Aが2層構造の場合、陽極に接す
る側の層を層A-1、層A-1を形成する重合体を含フッ素重合体A-1、層Bと接する
側の層を層A-2、層A-2を形成する重合体を含フッ素重合体A-2と称する。層A-
1の厚みは電解性能及び通電面C損傷への耐性を十分に確保する観点から、10~60μ
mが好ましく、層A-2の厚みは電解性能及び通電面C損傷への耐性を十分に確保する観
点から、30~120μmが好ましく、より好ましくは40~100μmである。膜本体
の強度を一定以上に保つ観点から、層Aの厚みを上述のように調整することが好ましい。
層Aの厚みについては、例えば、後述する好ましい製造条件を採用することにより上記し
た範囲に制御することができる。
〔層B〕
本実施形態において、層Bはカルボン酸基を有する含フッ素重合体Bを含む。層Bを構
成するカルボン酸基を有する含フッ素系重合体は、以下に限定されないが、例えば、上記
の第1群の単量体、及び以下の第3群の単量体を共重合する、又は第3群の単量体を単独
重合することによって、製造することができる。
第3群の単量体としては、以下に限定されないが、例えば、カルボン酸型イオン交換基
に変換し得る官能基を有するビニル化合物が挙げられる。カルボン酸型イオン交換基に変
換し得る官能基を有するビニル化合物としては、下記一般式(3)で表されるものが好ま
しい。
CF2=CF(OCF2CYF)c-O(CF2d-COOR ・・・(3)
(一般式(3)中、cは0~2の整数、dは1~4の整数を表し、YはF又はCF3を表
し、RはCH3、C25又はC37を表す。)
上記一般式(3)において、YがCF3であり、RがCH3であることが好ましい。
特に、本実施形態に係るイオン交換膜をアルカリ電解用イオン交換膜として用いる場合
、第3群の単量体としてパーフルオロ単量体を少なくとも用いることが好ましいが、エス
テル基のアルキル基(上記R参照)は加水分解される時点で重合体から失われるため、ア
ルキル基(R)は全ての水素原子がフッ素原子に置換されているパーフルオロアルキル基
でなくてもよい。これらの中でも、例えば、下記に表す単量体がより好ましい。
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2COOCH3
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF22COOCH3
CF2=CF[OCF2CF(CF3)]2O(CF22COOCH3
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF23COOCH3
CF2=CFO(CF22COOCH3
CF2=CFO(CF23COOCH2
第3群の単量体は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
重合体Bを構成する単量体の組み合わせの種類、その比率及び重合度等は、特に限定さ
れない。また、層B中に含まれる重合体Bは、一種単独であっても二種以上の組み合わせ
であってもよい。また、カルボン酸基を有する含フッ素重合体Bのイオン交換容量は、上
記一般式(1)と(3)で表される単量体の比を変えることにより調整することができる
。より具体的には、例えば、上記一般式(1)で表わされる単量体と上記一般式(3)で
表わされる単量体を6:1~9:1で共重合すること等が挙げられる。
層Bの厚みとしては、電解性能及び通電面C損傷への耐性を十分に確保する観点から、
5~40μmが好ましく、より好ましくは15~40μmであり、さらに好ましくは15
~30μmである。層Bの厚みについては、例えば、後述する好ましい製造条件を採用す
ることにより上記した範囲に制御することができる。
上述した観点から、本実施形態においては、層AはCF2=CF-(OCF2YF)a
O(CF2b-SO2Fで表される化合物の重合体を含み、層BはCF2=CF-(OCF
2CYF)c-O(CF2d-COORで表される化合物の重合体を含み、ここで、前記a
は0~2の整数であり、前記cは0~2の整数であり、前記b,dは1~4の整数であり
、前記YはF又はCF3であり、前記RはCH3、C25又はC37であることが好ましい
。また、層Aの厚さが50~180μmであり、かつ、フッ素重合体層Bの厚さが5~4
0μmであることがとりわけ好ましい。
図1に例示するように、膜本体10は、スルホン酸基をイオン交換基として有する第1
の層(スルホン酸層:上記層Aに対応)10aと、第1の層10aに積層された、カルボ
ン酸基をイオン交換基として有する第2の層(カルボン酸層:上記層Bに対応)10bと
、を少なくとも備える。通常、イオン交換膜1は、スルホン酸層である第1の層10aが
電解槽の陽極側(矢印α参照)に、カルボン酸層である第2の層10bが電解槽の陰極側
(矢印β参照)に位置するように配置される。第1の層10aは電気抵抗が低い材料から
構成されることが好ましい。第2の層10bは、膜厚が薄くても高いアニオン排除性を有
するものが好ましい。ここでいうアニオン排除性とは、イオン交換膜1へのアニオンの浸
入や透過を妨げようとする性質をいう。なお、第2の層10bは、電流効率の低下、得ら
れる水酸化アルカリの品質低下を低減し、さらに陰極面の損傷への耐性をとりわけ良好な
ものとする観点から、上述したように膜厚を調整することが好ましい。かかる層構造の膜
本体10とすることで、ナトリウムイオン等の陽イオンの選択的透過性が一層向上する傾
向にある。本実施形態においては、膜本体が、スルホン酸基を有する含フッ素系重合体を
含む第1の層と、第1の層に積層された、カルボン酸基を有する含フッ素系重合体を含む
第2の層とを有し、かつ、第1の層の表面に、開孔部が形成されている。
(凸部)
図1に示すように、膜本体10の表面には複数の凸部11が形成されている。本実施形
態における凸部は、膜本体の少なくとも一方の表面に形成され、断面視において、高さが
20μm以上であり、その膜本体の表面における配置密度が、20~1500個/cm2
であることが好ましい。ここでいう凸部とは、イオン交換膜1の表面において高さが一番
低い点を基準点とし、その基準点から20μm以上の高さを有する部分をいう。イオン交
換膜1の表面1cm2あたりの凸部の配置密度は、電解液を膜に十分に供給する観点から
、20~1500個/cm2であることが好ましく、50~1200個/cm2であること
がより好ましい。また、塩水供給量を増大させ、通電面C損傷を低減させる観点から、凸
部の合計面積が前記層Aの表面1cm2あたり0.01cm2~0.6cm2であることが
好ましい。凸部の高さ及び配置密度については、例えば、後述する好ましい製造条件を採
用することにより上記した範囲に制御することができる。また、上記の制御に際して、特
許第4573715号明細書(特許文献1)及び特許第4708133号明細書(特許文
献2)に記載された製造条件を採用することもできる。
上記した凸部の高さ、形状及び配置密度は、以下の方法によりそれぞれ測定・確認する
ことができる。まず、イオン交換膜の1000μm四方の範囲の膜表面において、高さが
一番低い点を基準とする。そして、その基準点から高さが20μm以上である部分を凸部
とする。高さの測定方法としては、KEYENCE社製「カラー3Dレーザー顕微鏡(V
K-9710)」を用いて行う。具体的には、乾燥状態のイオン交換膜から、任意に10
cm×10cmの箇所を切り出し、平滑な板とイオン交換膜の陰極側を両面テープで固定
し、イオン交換膜の陽極側を測定レンズに向けるよう測定ステージにセットする。各10
cm×10cmの膜において、1000μm四方の測定範囲で、イオン交換膜表面におけ
る形状を観測し、高さが一番低い点を基準とし、そこからの高さを測定することで凸部を
観測することができる。
また、凸部の配置密度については、イオン交換膜から、任意に10cm×10cmの膜
を3箇所切り出して、その各10cm×10cmの膜において、1000μm四方の測定
範囲で9箇所測定した値を平均した値である。
凸部の形状は特に限定されないが、凸部は、円錐状、多角錐状、円錐台状、多角錐台状
、及び半球状からなる群から選ばれる少なくとも1種の形状を有することが好ましい。な
お、ここでいう半球状とは、ドーム状等と呼ばれる形状も包含される。
(開孔部と連通孔)
膜本体10の表面には複数の開孔部102が形成されており、膜本体10の内部には開
孔部102同士を連通する連通孔104が形成されている(図2参照)。連通孔104は
、電解の際に発生する陽イオンや電解液の流路となり得る孔をいう。連通孔104を膜本
体10の内部に形成することで、電解の際に発生する陽イオンや電解液の移動性を確保で
きる。連通孔104の形状は、特に限定されず、適宜好適な形状とすることができる。
膜表面に開孔部が形成され、膜内で開孔部同士を連通する連通孔が形成されることによ
り、電解の際、イオン交換膜の内部まで電解液が供給される。それにより、膜内部におけ
る不純物の濃度が変化するため、膜内での不純物の蓄積量を軽減することができる。また
、陰極が溶出することにより発生した金属イオンや、膜の陰極側に供給される電解液に含
まれる不純物が膜内部に侵入したときに、開孔部が膜表面に形成されていることにより、
膜内部から排出され易くなり、不純物の蓄積量を軽減することができる。つまり、本実施
形態のイオン交換膜は、膜の陽極側の電解液中に存在する不純物に加えて、さらに、膜の
陰極側で発生する不純物に対しても、耐性が高い膜である。
塩化アルカリ水溶液が十分に供給されない場合、膜の陰極寄りの層に特徴的な損傷が発
生することが知られている。本実施形態における開孔部は塩化アルカリ水溶液の供給性を
改善し、膜本体陰極面に発生する損傷を低減させることができる。
膜本体10の表面に形成された開孔部102は、連通孔104の一部が膜本体10の一
方の表面で開孔しているものである。ここでいう、開孔しているとは、連通孔が、膜本体
10の表面から外部に開放していることをいう。例えば、後述するコーティング層により
膜本体10の表面が被覆されている場合、コーティング層を取り除いた後の膜本体10の
表面において、連通孔104が外部に開放されている開孔領域を開孔部という。
開孔部102は、膜本体10の少なくとも一方の表面に形成されていればよいが、膜本
体10の両面に形成されていてもよい。本実施形態における開孔面積率を満たす限り、膜
本体10の表面における開孔部102の配置間隔や形状は、特に限定されず、膜本体10
の形状及び性能並びに電解時の運転条件等を考慮して、適宜に好適な条件を選択すること
ができる。特に、第1の層10aと第2の層10bとを併せ持つ膜本体10である場合、
第1の層10aの表面に開孔部102が形成されていることが好ましい。不純物は、電解
する際の陽極側に供給する電解液に含まれていることが多いため、陽極側に配置されるこ
ととなる第1の層10aの表面に、開孔部102が形成されていることが好ましい。それ
により、不純物のイオン交換膜への影響がより低減される傾向にある。
連通孔104は、強化芯材12の第1の層10a側(図1における(α)側)と、第2
の層10b側(図1における(β)側)を交互に通過するように形成されることが好まし
い。かかる構造とすることで、連通孔104の空間を流れる電解液及びそれに含有される
陽イオン(例えば、ナトリウムイオン)が、膜本体10の陽極側と陰極側の間を移送する
ことができる。その結果、電解の際にイオン交換膜1における陽イオンの流れが遮蔽され
ることが少なくなるため、イオン交換膜1の電気抵抗を更に低くできる傾向にある。
具体的には、図1に示すように、断面視において、図1で上下方向に形成された連通孔
104は、より安定した電解性能及び強度を発揮するという観点から、断面が図示されて
いる強化芯材12に対して、第1の層10a側(図1における(α)側)と、第2の層1
0b側(図1における(β)側)の交互に配置されることが好ましい。具体的には、領域
A1において連通孔104は強化芯材12の第1の層10a側に配置され、領域A4にお
いて連通孔104は強化芯材12の第2の層10b側に配置されていることが好ましい。
連通孔104は、図2において、紙面の上下方向及び左右方向に沿って夫々形成されて
いる。すなわち、図2の上下方向に沿って形成された連通孔104は、膜本体10の表面
に形成された複数の開孔部102を上下方向に連通させている。図2の左右方向に沿って
形成された連通孔104は、膜本体10の表面に形成された複数の開孔部102を左右方
向に連通させている。このように、本実施形態では膜本体10の所定の一方向のみに沿っ
て連通孔104を形成してもよいが、より安定した電解性能を発揮するという観点から、
膜本体10の縦方向と横方向に両方向に連通孔104が配置されていることが好ましい。
連通孔104は少なくとも2以上の開孔部102を連通するものであればよく、開孔部
102と連通孔104との位置関係等は限定されない。ここで、開孔部102と連通孔1
04の一例を、図4、図5及び図6を用いて説明する。図4は、図1の領域A1の部分拡
大図であり、図5は、図1の領域A2の部分拡大図であり、図6は、図1の領域A3の部
分拡大図である。図4~6において図示されている領域A1~A3は、いずれもイオン交
換膜1において開孔部102が設けられている領域である。
図4の領域A1では、図1の上下方向に沿って形成されている連通孔104の一部が、
膜本体10の表面で開孔しており、これにより開孔部102が形成されている。そして、
連通孔104の背後には強化芯材12が配置されている。開孔部102が設けられている
箇所が、補強芯材12で裏打ちされていることで、膜を折り曲げた際に、開孔部が起点と
なって膜に亀裂が発生することを抑制することができ、イオン交換膜1の機械的強度が一
層向上する傾向にある。
図5の領域A2では、図1の紙面に対して垂直方向(すなわち、図2における左右方向
に相当する方向)に沿って形成されている連通孔104の一部が、膜本体10の表面に露
出しており、これにより開孔部102が形成される。さらに、図1の紙面に対して垂直方
向に沿って形成されている連通孔104は、図1の上下方向に沿って形成されている連通
孔104と交差している。このように、2方向(例えば、図2における上下方向と左右方
向等)に沿って連通孔104が形成されている場合、これらの交差する点で開孔部102
が形成されていることが好ましい。これにより、上下方向及び左右方向の両方の連通孔に
、電解液が供給されるため、イオン交換膜全体の内部まで電解液が供給され易くなる。そ
れにより、膜内部における不純物の濃度が変化し、膜内での不純物の蓄積量がより軽減さ
れる傾向にある。また、陰極が溶出することにより発生した金属イオンや、膜の陰極側に
供給される電解液に含まれる不純物が膜内部に侵入したときに、上下方向に沿って形成さ
れた連通孔104内を搬送される不純物と、左右方向に沿って形成された連通孔104内
を搬送される不純物の両方を、開孔部102から外部へ排出でき、このような観点からも
不純物の蓄積量がより軽減される傾向にある。
図6の領域A3では、図1の上下方向に沿って形成されている連通孔104の一部が膜
本体10の表面に露出しており、これにより開孔部102が形成される。さらに、図1の
紙面に対して上下方向に沿って形成されている連通孔104は、図1の紙面に対して垂直
方向(すなわち、図2における左右方向に相当する方向)に沿って形成されている連通孔
104と交差している。領域A3も領域A2と同様に、上下方向及び左右方向の両方の連
通孔に、電解液が供給されるため、イオン交換膜全体の内部まで電解液が供給され易くな
る。それにより、膜内部における不純物の濃度が変化し、膜内での不純物の蓄積量がより
軽減される傾向にある。また、陰極が溶出することにより発生した金属イオンや、膜の陰
極側に供給される電解液に含まれる不純物が膜内部に侵入したときに、上下方向に沿って
形成された連通孔104内を搬送される不純物と、左右方向に沿って形成された連通孔1
04内を搬送される不純物の両方を、当該開孔部102から外部へ排出でき、このような
観点からも不純物の蓄積量がより軽減される傾向にある。
(強化芯材)
本実施形態に係るイオン交換膜1は、膜本体10の内部に配置された強化芯材12を有
することが好ましい。強化芯材12は、イオン交換膜1の強度や寸法安定性を強化する部
材である。強化芯材12を膜本体10の内部に配置させることで、特に、イオン交換膜1
の伸縮を所望の範囲に制御することができる。かかるイオン交換膜1は、電解時等におい
て、必要以上に伸縮せず、長期に優れた寸法安定性を維持することができる。
本実施形態の強化芯材12の構成は、特に限定されず、例えば、強化糸と呼ばれる糸を
紡糸して形成させてもよい。ここでいう強化糸とは、強化芯材12を構成する部材であっ
て、イオン交換膜1に所望の寸法安定性及び機械的強度を付与できるものであり、かつ、
イオン交換膜1中で安定に存在できる糸のことをいう。かかる強化糸を紡糸した強化芯材
12を用いることにより、一層優れた寸法安定性及び機械的強度をイオン交換膜1に付与
することができる。
強化芯材12及びこれに用いる強化糸の材料は、特に限定されないが、酸やアルカリ等
に耐性を有する材料であることが好ましく、長期の耐熱性及び耐薬品性を付与する観点か
ら、含フッ素系重合体を含むものがより好ましい。含フッ素系重合体としては、以下に限
定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチ
レン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレ
ン-エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体、トリフルオロクロルエチレン-エチレン共重合体及びフッ化ビニリデン重合
体(PVDF)等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び耐薬品性の観点から、ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
強化芯材12に用いられる強化糸の糸径は、特に限定されないが、20~300デニー
ルであることが好ましく、50~250デニールであることがより好ましい。強化糸の織
り密度(単位長さあたりの打ち込み本数)は、特に限定されないが、5~50本/インチ
が好ましい。強化芯材の形態としては、特に限定されず、例えば、織布、不織布、編布等
が用いられる。これらの中でも、織布であることが好ましい。織布の厚みは、特に限定さ
れないが、30~250μmであることが好ましく、30~150μmであることがより
好ましい。
本実施形態において、強化芯材12は、モノフィラメントでもよいし、マルチフィラメ
ントでもよい。また、これらのヤーン、スリットヤーン等が使用されることが好ましい。
膜本体10における強化芯材12の織り方及び配置は、特に限定されず、イオン交換膜
1の大きさや形状、イオン交換膜1に所望する物性及び使用環境等を考慮して適宜好適な
配置とすることができる。例えば、膜本体10の所定の一方向に沿って強化芯材12を配
置してもよいが、寸法安定性の観点から、所定の第1の方向に沿って強化芯材12を配置
し、かつ第1の方向に対して略垂直である第2の方向に沿って別の強化芯材12を配置す
ることが好ましい(図3参照)。膜本体の縦方向膜本体10の内部において、略直行する
ように複数の強化芯材を配置することで、多方向において一層優れた寸法安定性及び機械
的強度が付与される傾向にある。例えば、膜本体10の表面において縦方向に沿って配置
された強化芯材12(縦糸)と横方向に沿って配置された強化芯材12(横糸)を織り込
む配置が好ましい。縦糸と横糸を交互に浮き沈みさせて打ち込んで織った平織りや、2本
の経糸を捩りながら横糸と織り込んだ絡み織り、2本又は数本ずつ引き揃えて配置した縦
糸に同数の横糸を打ち込んで織った斜子織り(ななこおり)等とすることが、寸法安定性
、機械的強度及び製造容易性の観点からより好ましい。
特に、イオン交換膜1のMD方向(Machine Direction方向)及びT
D方向(Transverse Direction方向)の両方向に沿って強化芯材1
2が配置されていることが好ましい。すなわち、MD方向とTD方向に平織りされている
ことが好ましい。ここで、MD方向とは、後述するイオン交換膜の製造工程において、膜
本体10や各種芯材(例えば、強化芯材12、強化糸、後述する犠牲糸等)が搬送される
方向(流れ方向)をいい、TD方向とは、MD方向と略垂直の方向をいう。そして、MD
方向に沿って織られた糸をMD糸といい、TD方向に沿って織られた糸をTD糸という。
通常、電解に用いるイオン交換膜1は、矩形状であり、長手方向がMD方向となり、幅方
向がTD方向となることが多い。MD糸である強化芯材12とTD糸である強化芯材12
を織り込むことで、多方向において一層優れた寸法安定性及び機械的強度が付与される傾
向にある。
強化芯材12の配置間隔は、特に限定されず、イオン交換膜1に所望する物性及び使用
環境等を考慮して適宜好適な配置とすることができる。
(開口率)
強化芯材12の開口率は、特に限定されず、好ましくは30%以上、より好ましくは5
0%以上90%以下である。開口率は、イオン交換膜1の電気化学的性質の観点から、3
0%以上が好ましく、イオン交換膜1の機械的強度の観点から、90%以下が好ましい。
ここでいう開口率とは、膜本体10のいずれか一方の表面の投影面積(A)におけるイ
オン等の物質(電解液及びそれに含有される陽イオン(例えば、ナトリウムイオン))が
通過できる表面の総面積(B)の割合(B/A)をいう。イオン等の物質が通過できる表
面の総面積(B)とは、イオン交換膜1において、陽イオンや電解液等が、イオン交換膜
1に含まれる強化芯材12等によって遮断されない領域の投影面積の総計ということがで
きる。
図7は、本実施形態に係るイオン交換膜の開口率を説明するための概念図である。図7
は、イオン交換膜1の一部を拡大し、その領域内の強化芯材12の配置のみを図示してい
るものであり、他の部材については図示を省略している。ここで、縦方向に沿って配置さ
れた強化芯材12と横方向に配置された強化芯材12を含むイオン交換膜の投影面積(A
)から、強化芯材12の投影面積の合計(C)を減じることで、上記した領域の面積(A
)におけるイオン等の物質が通過できる領域の総面積(B)を求めることができる。すな
わち、開口率は、下記式(I)にて求めることができる。
開口率=(B)/(A)=((A)-(C))/(A) (I)
これら強化芯材12の中でも、特に好ましい形態は、耐薬品性及び耐熱性の観点から、
PTFEを含むテープヤーン又は高配向モノフィラメントであることが好ましい。具体的
には、PTFEからなる高強度多孔質シートをテープ状にスリットしたテープヤーン、又
はPTFEからなる高度に配向したモノフィラメントの50~300デニールを使用し、
かつ、織り密度が10~50本/インチである平織りであり、その厚みが50~100μ
mの範囲である強化芯材であることがより好ましい。かかる強化芯材を含むイオン交換膜
の開口率は、60%以上であることが更に好ましい。
強化糸の形状としては、特に限定されず、丸糸、テープ状糸等が挙げられる。これらの
形状は特に限定されない。
(開孔面積率)
本実施形態のイオン交換膜1は、開孔部102が形成されている膜本体10の表面の面
積に対する開孔部102の総面積の割合(開孔面積率)が、0.4~15%である。開孔
面積率をかかる範囲に制御することで、電解液中の不純物による電解性能への影響が少な
く、安定した電解性能を発揮することができる。開孔面積率が0.4%未満である場合、
電解液に含まれる不純物がイオン交換膜1に侵入して膜本体10の内部に蓄積されると、
電解電圧の上昇や電流効率の低下、得られる生成物の純度の低下を生じてしまう。本実施
形態の開孔面積率が15%を超えると、膜の強度が低下したり、強化芯材の露出が増えた
りしてしまう。本実施形態のイオン交換膜1は、開孔面積率が高いため、不純物が膜本体
10の内部に蓄積されても、連通孔104から開孔部102を経て膜外へ排出するという
流れを促進することができる。そのため、不純物による電解性能への影響が低く、長期に
安定した電解性能を発揮することができる。
特に、塩化アルカリ電解においては、陽極液として用いられる塩化アルカリや陰極液と
して用いられる水酸化アルカリ中には、金属化合物、金属イオン及び有機物質等の不純物
が含まれるため、塩化アルカリ電解においてかかる不純物が電解電圧や電流効率に与える
影響は大きい。しかし、本実施形態のイオン交換膜1を用いることで、電解の際、イオン
交換膜の内部まで電解液が供給される。それにより、膜内部における不純物の濃度が変化
するため、膜内での不純物の蓄積量を軽減することができる。また、陰極が溶出すること
により発生した金属イオンや、膜の陰極側に供給される電解液に含まれる不純物が膜内部
に侵入したときに、上記した不純物を開孔部102や連通孔104を経て膜本体10の外
部へ、支障なく透過させることができる。そのため、塩化アルカリ電解の際に発生する不
純物による電解性能への影響を低減することができ、長期に安定した電解性能を維持する
ことができる。さらに、生成物である水酸化アルカリ中の不純物(塩化アルカリ等)濃度
の上昇も抑制することができる。本実施形態のイオン交換膜1において、不純物による電
解性能への影響を低減し、かつ、膜の強度を一定に保つ観点から、開孔部102の開孔面
積率は、0.5~10%であることが好ましく、より好ましくは0.5~5%である。上
記開孔面積率は、実施例に記載の方法により確認することができ、例えば、後述する好ま
しい製造条件を採用することにより上記した範囲に制御することができる。
なお、本実施形態において、開孔部の開孔面積率とは、イオン交換膜の表面において、
イオン交換膜を上面視したときの投影面積に対する開孔部の面積の割合である。
(開孔密度)
本実施形態のイオン交換膜1において、膜本体10の表面における開孔部102の開孔
密度は、特に限定されないが、10~1000個/cm2であることが好ましく、20~
800個/cm2であることがより好ましい。ここでいう開孔密度とは、開孔部102が
形成されている膜本体10の表面1cm2において形成される開孔部102の個数をいう
。なお、膜本体10の表面1cm2とは、膜本体10を上面視したときの投影面積のこと
である。開孔部102の開孔密度が10個/cm2以上であれば、開孔部102の1個当
たりの平均面積を適度に小さくすることができるため、イオン交換膜1の強度低下の一因
であるクラックが発生し得る孔(ピンホール)の大きさよりも十分に小さくすることがで
きる。開孔部102の開孔密度が1000個/cm2以下であれば、開孔部102の1個
当たりの平均面積が電解液に含まれる金属イオンや陽イオンが連通孔104へ侵入できる
程度の十分な大きさとなるため、イオン交換膜1は金属イオンや陽イオンをより効率良く
供給あるいは透過できる傾向にある。上記開孔密度は、例えば、後述する好ましい製造条
件を採用することにより上記した範囲に制御することができる。
(露出面積率)
図8は、本実施形態に係るイオン交換膜の第2の実施形態の断面模式図である。本実施
形態においては、図8のイオン交換膜2に示されているように、凸部21や開孔部202
が形成されている膜本体20の表面に、強化芯材22の一部が露出した露出部A5が形成
されていてもよい。本実施形態において、当該露出部は少ない方が好ましい。すなわち、
後述する露出面積率が、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ま
しく、1%以下であることが更に好ましく、露出面積率が0%である、すなわち、露出部
が形成されていないことが最も好ましい。ここで、露出部A5とは、強化芯材22が、膜
本体20の表面から外側に露出している部位をいう。例えば、後述するコーティング層に
より膜本体20の表面が被覆されている場合、コーティング層を取り除いた後の膜本体2
0の表面において、強化芯材22が外部に露出されている領域をいう。露出面積率を5%
以下とする場合、電解電圧の上昇を抑制し、得られる水酸化アルカリ中の塩化物イオンの
濃度の増大がより抑制される傾向にある。上記露出面積率は、以下の式で算出されるもの
であり、例えば、後述する好ましい製造条件を採用することにより上記した範囲に制御す
ることができる。
露出面積率(%)=(前記膜本体の前記表面を上面視したときの、前記強化芯材の一
部が露出した露出部の投影面積の総和)/(前記膜本体の前記表面の投影面積)×100
本実施形態において、強化芯材22は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のよ
うな含フッ素系重合体を含むことが好ましい。含フッ素系重合体から構成されている強化
芯材22が、膜本体20の表面に露出すると、露出部A5の表面は疎水性を示す場合があ
る。溶存状態にある電解発生ガスや陽イオンが疎水性である露出部に吸着すると、陽イオ
ンの膜透過が阻害されうる。そのような場合、電解電圧が上昇してしまい、また得られる
水酸化アルカリ中の塩化物イオンの濃度が増大しうる。本実施形態において、露出面積率
を5%以下とすることで、疎水性である露出部の存在割合を適度な範囲にすることができ
、上記した電解電圧の上昇および水酸化アルカリ中の塩化物イオンの増大が効果的に抑制
される傾向にある。
さらに、溶存状態にある電解発生ガスや、金属イオンなどの電解液の不純物は、露出部
に付着し、膜本体20の内部へ侵入及び透過して、苛性ソーダ中における不純物となりう
る。本実施形態において、露出面積率を3%以下とすることにより、不純物の吸着や侵入
及び透過をより効果的に抑制できる傾向にあるため、より高純度の苛性ソーダを製造でき
る傾向にある。
特に、本実施形態のイオン交換膜2において、上記した開孔面積率が0.4~15%で
あり、かつ上記した露出面積率が5%以下であることにより、不純物による電流効率の低
下を一層抑制することができ、また、アルカリ電解の場合、生成物である苛性ソーダ中の
不純物濃度がより低く維持される傾向にある。さらに、電解電圧が上昇することも抑制さ
れることから、より安定した電解性能を発揮できる傾向にある。
本実施形態において、露出部の露出面積率とは、上面視したときの、強化芯材の投影面
積の総和に対する強化芯材に形成された露出部の投影面積の総和であり、イオン交換膜に
含まれる強化芯材がどの程度露出しているかを示す指標となる。したがって、露出部の露
出面積率は、強化芯材の投影面積と露出部の投影面積を求めることで直接算出することも
できるが、上記した開口率を用いて下記式(II)により算出することもできる。ここで
、図面を参照しつつ、より具体的に説明する。図9は、本実施形態に係るイオン交換膜2
の露出面積率を説明するための概念図である。図9は、イオン交換膜2を上面視した状態
で、その一部を拡大し、強化芯材22の配置のみを図示したものであり、他の部材につい
ては図示を省略している。図9では、縦方向に沿って配置された強化芯材22及び横方向
に沿って配置された強化芯材22の表面に、露出部A5が複数形成されている。ここで、
上面視した状態での露出部A5の投影面積の総和をS1とし、強化芯材22の投影面積の
総和をS2とする。そうすると、露出面積率は、S1/S2で表されるが、下記に示すよ
うに、式(I)を用いることで式(II)を導出することができる。
露出面積率=S1/S2 である。
ここで、上記式(I)を踏まえると、
S2=C=A-B=A(1-B/A)=A(1-開口率) となるので、
露出面積率=S1/(A(1-開口率)) (II)
となる。
S1:露出部A5の投影面積の総和
S2:強化芯材22の投影面積の総和
A:縦方向に沿って配置された強化芯材22と横方向に配置された強化芯材12(2
2)を含むイオン交換膜の投影面積(図7参照)
B:イオン等の物質が通過できる領域の総面積(B)(図7参照)
C:強化芯材22の総面積
図8に示すように、本実施形態のイオン交換膜2は、開孔部202が形成されている膜
本体20の表面に、断面視において、高さが20μm以上である凸部21が形成されてい
る。本実施形態においては、膜本体20の表面に対する垂直方向を高さ方向としたときに
(例えば、図8の矢印α及び矢印β参照)、開孔部202を有する表面において凸部21
を有することが好ましい。特に、第1の層(スルホン酸層)20aが、開孔部202及び
凸部21を有することによって、電解の際に電解液が十分に膜本体20に供給されること
から、不純物による影響をより低減することができる。また、開孔部202、露出部及び
凸部21が、スルホン酸基を有する含フッ素系重合体を含む層の表面に形成されているこ
とがより好ましい。通常、電解電圧を下げる目的でイオン交換膜は陽極と密着した状態で
使用される。しかし、イオン交換膜と陽極が密着すると、電解液(塩水等の陽極液)が供
給されづらくなる傾向にある。そこで、イオン交換膜の表面に凸部が形成されていること
で、イオン交換膜と陽極との密着を抑制することができるため、電解液の供給をスムーズ
に行うことができる。その結果、イオン交換膜中に金属イオンやその他の不純物等が蓄積
されることを防止でき、得られる水酸化アルカリ中の塩化物イオンの濃度を低減させ、膜
の陰極面損傷を抑制できる。
(コーティング層)
本実施形態のイオン交換膜は、電解時に陰極側表面及び陽極側表面にガスが付着するこ
とを防止する観点から、膜本体の少なくとも一方の表面の少なくとも一部を被覆するコー
ティング層を更に有することが好ましい。図10は、本実施形態のイオン交換膜の第3実
施形態の断面模式図である。イオン交換膜3は、スルホン酸層である第1の層30aと、
第1の層30aに積層されたカルボン酸層である第2の層30bとを有する膜本体30と
、膜本体30の内部に配置された強化芯材32とを有し、膜本体30の第1の層側(矢印
α参照)の表面には複数の凸部31が形成され、かつ、複数の開孔部302が形成され、
かつ、少なくとも2つの開孔部302同士を連通する連通孔304が膜本体30の内部に
形成されている。さらに、膜本体30の第1の層側(矢印α参照)の表面がコーティング
層34aにより被覆され、膜本体30の第2の層側(矢印β参照)の表面がコーティング
層34bにより被覆されている。すなわち、イオン交換膜3は、図1に示すイオン交換膜
1の膜本体表面をコーティング層で被覆したものである。かかるコーティング層34a、
34bにより膜本体30の表面を被覆することで、電解の際に発生するガスが膜表面に付
着することを防止できる。これにより、陽イオンの膜透過性を一層向上させることができ
るので、電解電圧が一層低減される傾向にある。
コーティング層34aは、凸部31及び開孔部302を完全に被覆していてもよいし、
凸部31及び開孔部302を完全に被覆していなくてもよい。すなわち、コーティング層
34aの表面から凸部31開孔部302が視認できる状態であってもよい。
コーティング層34a、34bを構成する材料としては、特に限定されないが、ガス付
着防止の観点から、無機物を含むことが好ましい。無機物としては、以下に限定されない
が、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン等が挙げられる。コーティング層34a、3
4bを膜本体30の表面に形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いる
ことができる。例えば、無機酸化物の微細粒子をバインダーポリマー溶液に分散させた液
を、スプレー等により塗布する方法(スプレー法)が挙げられる。バインダーポリマーと
しては、以下に限定されないが、例えば、スルホン型イオン交換基に変換し得る官能基を
有するビニル化合物等が挙げられる。塗布条件については、特に限定されず、例えば、6
0℃でスプレーを用いることとすることができる。スプレー法以外の方法としては、以下
に限定されないが、例えば、ロールコート等が挙げられる。
コーティング層34aは、スルホン酸基を有する含フッ素系重合体を含む層(スルホン
酸層)である第1の層30aの表面に積層されているが、本実施形態において、開孔部3
02は膜本体30の表面において開孔していればよく、必ずしも第1の層30aの表面に
おいて開孔している必要はない。
また、コーティング層34a、34bは、膜本体30の少なくとも一方の表面を被覆す
るものであればよい。したがって、例えば、第1の層30aの表面のみにコーティング層
34aを設けていてもよいし、第2の層30bの表面のみにコーティング層34bを設け
ていてもよい。本実施形態では、ガス付着防止の観点から、膜本体30の両表面がコーテ
ィング層34a、34bにより被覆されていることが好ましい。
コーティング層34a、34bは、膜本体30の表面の少なくとも一部を被覆するもの
であればよく、必ずしも当該表面の全てを被覆していなくてもよいが、ガス付着防止の観
点から、膜本体30の表面全てがコーティング層34a、34bにより被覆されているこ
とが好ましい。
コーティング層34a、34bの平均厚みは、ガス付着防止と厚みによる電気抵抗増加
の観点から、1~10μmであることが好ましい。
イオン交換膜3は、図1に示すイオン交換膜1の表面をコーティング層34a、34b
で被覆したものであり、コーティング層34a、34b以外の部材及び構成については、
イオン交換膜1として既に説明した部材及び構成を同様に採用することができる。
図11は、本実施形態のイオン交換膜の第4実施形態の断面模式図である。イオン交換
膜4は、スルホン酸層である第1の層40aと、第1の層40aに積層されたカルボン酸
層である第2の層40bとを有する膜本体40と、膜本体40の内部に配置された強化芯
材42とを有し、膜本体40の第1の層側(矢印α参照)の表面には複数の凸部41が形
成され、かつ、複数の開孔部402が形成され、かつ、少なくとも2つの開孔部402同
士を連通する連通孔404が膜本体40の内部に形成されており、開孔部402が形成さ
れている膜本体40の表面に強化芯材42の一部が露出した露出部A5が形成されている
。さらに、膜本体40の第1の層側(矢印α参照)の表面がコーティング層44aにより
被覆され、膜本体40の第2の層側(矢印β参照)の表面がコーティング層44bにより
被覆されている。すなわち、イオン交換膜4は、図8に示すイオン交換膜2の膜本体表面
をコーティング層で被覆したものである。かかるコーティング層44a、44bにより膜
本体40の表面を被覆することで、電解の際に発生するガスが膜表面に付着することを防
止できる。これにより、陽イオンの膜透過性を一層向上させることができるので、電解電
圧が一層低減される傾向にある。
露出部A5は、少なくとも膜本体40の表面に強化芯材42が露出していればよく、コ
ーティング層44aの表面上にまで露出している必要はない。
イオン交換膜4は、図8に示すイオン交換膜2の表面をコーティング層44a、44b
で被覆したものであり、コーティング層44a、44b以外の部材及び構成については、
イオン交換膜2として既に説明した部材及び構成を同様に採用することができる。そして
、コーティング層44a、44bについては、図10に示すイオン交換膜3で用いたコー
ティング層34a、34bとして説明した部材及び構成を同様に採用することができる。
〔イオン交換容量〕
含フッ素重合体のイオン交換容量は、乾燥樹脂1g当りの交換基の当量のことをいい、
中和滴定や赤外分光分析法によって測定することができ、赤外分光分析法で測定する場合
は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。なお、本実施形態におい
ては、使用する含フッ素重合体(加水分解処理前)を赤外分光分析法で測定して得られた
値をイオン交換容量としてもよいし、また、加水分解後に中和滴定法により測定して得ら
れた値をイオン交換容量としてもよい。層Aのイオン交換容量は、1.18~0.98ミ
リ当量/gであることが好ましく、より好ましくは1.10~0.90ミリ当量/gであ
る。層Bのイオン交換容量は、0.98ミリ当量/g~0.87ミリ当量/gであり、0
.95~0.87ミリ当量/gであることが好ましく、0.91~0.87ミリ当量/g
であることがより好ましい。なお、本実施形態において、層A及び/又は層Bが複数の層
で構成される場合は、各層が上述のイオン交換容量を満たすものとする。
なお、イオン交換容量は、通電面C損傷を制御する因子の一つであるため、イオン交換
容量が上記の範囲を外れると、電解において電解性能の低下または通電面C損傷を招くこ
ととなり、好ましくない。なお、層Bのイオン交換容量は、0.87ミリ当量/g~0.
98ミリ当量/gの範囲で値が大きくなるほど通電面C損傷への耐性が向上する傾向にあ
る。層Aのイオン交換容量及び層Bのイオン交換容量は、例えば、後述する好ましい製造
条件を採用することにより上述した範囲に制御することができる。具体的には、各層のイ
オン交換容量は、例えば、当該層に含まれる含フッ素重合体を構成する単量体の選択及び
当該単量体の含有率によっても制御できる。具体的には、例えば、前述した一般式(1)
~(3)の仕込み比によって制御でき、より具体的には、イオン交換基を含む一般式(2
),(3)で表される単量体の含有率が大きくなるほど、イオン交換容量は大きくなる傾
向にある。
〔電解槽〕
本実施形態のイオン交換膜は、種々の電解槽に用いることができる。電解槽13は、陽
極11と、陰極12と、陽極と陰極との間に配置された、本実施形態のイオン交換膜と、
を少なくとも備える。電解槽は、種々の電解に使用できるが、以下、代表例として、塩化
アルカリ水溶液の電解に使用する場合について説明する。
電解条件は、特に限定されず、公知の条件で行うことができる。例えば、陽極室に2.
5~5.5規定(N)の塩化アルカリ水溶液を供給し、陰極室は水又は希釈した水酸化ア
ルカリ水溶液を供給し、電解温度が50~120℃、電流密度が5~100A/dm2
条件で電解することができる。
本実施形態に係る電解槽の構成は、特に限定されず、例えば、単極式でも複極式でもよ
い。電解槽を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、陽極室の材料として
は、塩化アルカリ及び塩素に耐性があるチタン等が好ましく、陰極室の材料としては、水
酸化アルカリ及び水素に耐性があるニッケル等が好ましい。電極の配置は、イオン交換膜
と陽極との間に適当な間隔を設けて配置してもよいが、陽極とイオン交換膜が接触して配
置されていても、何ら問題なく使用できる。また、陰極は一般的にはイオン交換膜と適当
な間隔を設けて配置されているが、この間隔がない接触型の電解槽(ゼロギャップ式電解
槽)であっても、何ら問題なく使用できる。
さらに、本実施形態に係る電解槽は、陰極面(カルボン酸層)の損傷への耐性がとりわ
け高いイオン交換膜を備えるため、ODC(ODC: Oxygen Depolari
zed Cathode)電解にも好適に適用できる。
〔イオン交換膜の製造方法〕
本実施形態に係るイオン交換膜の好適な製造方法としては、以下の(1)~(6)の工
程を有する方法が挙げられる;
(1)イオン交換基、又は、加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体
を有する含フッ素系重合体を製造する工程、
(2)複数の強化芯材と、酸又はアルカリに溶解する性質を有し、連通孔を形成する犠牲
糸と、を少なくとも織り込むことにより、隣接する強化芯材同士の間に犠牲糸が配置され
た補強材を得る工程、
(3)イオン交換基、又は、加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体
を有する前記含フッ素系重合体をフィルム化してフィルムを得る工程、
(4)前記フィルムに前記補強材を埋め込んで、前記補強材が内部に配置された膜本体を
得る工程、
(5)酸又はアルカリでフッ素重合体のイオン交換基前駆体を加水分解することでイオン
交換基を得るとともに、前記犠牲糸を溶解させることで、連通孔を前記膜本体の内部に形
成させる工程(加水分解工程)、
(6)膜表面を研磨することで前記膜本体の膜表面に前記開孔部を形成する工程。
上記方法によれば、(4)工程の埋め込みの際に、埋め込み時の温度、圧力、時間等の
処理条件を制御することにより、所望の凸部を形成された膜本体を得ることができる。そ
して、(5)工程において、膜本体の内部に配置された犠牲糸を溶出させることで、膜本
体の内部に連通孔を形成させることができ、(6)工程において膜表面に開孔部を形成さ
せることができ、これによりイオン交換膜を得ることができる。以下、各工程についてよ
り詳細に説明する。
(1)工程:含フッ素系重合体の製造
本実施形態において、イオン交換基、又は、加水分解によりイオン交換基となり得るイ
オン交換基前駆体を有する含フッ素系重合体は、前述のとおり、前述の単量体を適宜重合
することによって得られる。なお、含フッ素系重合体のイオン交換容量を制御するために
は、上述のとおり、その製造工程において原料の単量体の混合比等を調整すればよい。
(2)工程:補強材を得る工程
本実施形態において、補強材とは、強化芯材及び犠牲糸から構成されるものであり、以
下に限定されないが、例えば、強化糸及び犠牲糸を織った織布等である。補強材が膜内に
埋め込まれることで、強化糸は強化芯材を形成し、犠牲糸が後述の(5)工程において溶
出することにより連通孔を形成する。犠牲糸の混織量は、好ましくは補強材全体の10~
80質量%であり、より好ましくは30~70質量%である。あるいは、20~50デニ
ールの太さを有し、モノフィラメント又はマルチフィラメントからなるポリビニルアルコ
ール等も好ましい。
なお、(2)工程において、強化芯材や犠牲糸等の形状や配置を調整することで、開孔
面積率や露出面積率、開孔密度、連通孔の配置等を制御することができる。例えば、犠牲
糸の太さを太くすると、後述の(4)工程において、犠牲糸が膜本体の表面近傍に位置し
やすくなり、後述の(5)工程で犠牲糸が溶出し(6)工程で表面を研磨することにより
、開孔部が形成されやすくなる。
また、犠牲糸の本数を制御することにより、開孔密度を制御することもできる。同様に
、強化糸の太さを太くすると、後述の(6)工程において、強化糸が膜本体の表面から外
側へ出易くなり、露出部が形成されやすくなる。
さらに、上述した強化芯材の開口率については、例えば、強化芯材の太さとメッシュを
調整することで制御できる。すなわち、強化芯材を太くすると開口率は下がり、細くする
と開口率は上がる傾向にある。また、メッシュを多くすると開口率は下がり、少なくする
と開口率は上がる傾向にある。より電解性能を高める観点からは、上記のようにして開口
率を上げることが好ましく、強度を確保する観点からは、開口率を下げることが好ましい
(3)工程:フィルム化工程
(3)工程では、(1)工程で得られた含フッ素系重合体を、押出し機を用いてフィル
ム化する。フィルムは、上記したようにスルホン酸層とカルボン酸層の2層構造でもよい
し、3層以上の多層構造であってもよい。フィルム化する方法としては特に限定されない
が、例えば、以下のものが挙げられる。
・各層を構成する含フッ素系重合体をそれぞれ別々にフィルム化する方法。
・カルボン酸層とスルホン酸層の2層を構成する含フッ素系重合体を共押出しにより、複
合フィルムとし、もう一層のスルホン酸層を構成する含フッ素系重合体は別々にフィルム
化する方法。
なお、共押出しすることは、界面の接着強度を高めることに寄与するため、好ましい。
(4)工程:膜本体を得る工程
(4)工程では、(2)工程で得た補強材を、(3)工程で得たフィルムの内部に埋め
込むことで、補強材が内在する膜本体を得る。
埋め込む方法としては、以下に限定されないが、例えば、加熱源及び/又は真空源を内
部に有し、表面上に多数の細孔を有する平板又はドラム上に、透気性を有する耐熱性の離
型紙を介して、補強材、フィルムの順に積層して、フィルムの含フッ素系重合体が溶融す
る温度下で減圧により各層間の空気を除去しながら一体化する方法が挙げられる。
スルホン酸層2層とカルボン酸層の3層構造の場合における埋め込む方法としては、以
下に限定されないが、例えば、ドラム上に、離型紙、スルホン酸層を構成するフィルム、
補強材、スルホン酸層を構成するフィルム、カルボン酸層を構成するフィルム、の順に積
層して一体化する方法、または、離型紙、スルホン酸層を構成するフィルム、補強材、ス
ルホン酸層を補強材側に向けた複合フィルム、の順に積層して一体化する方法が挙げられ
る。
3層以上の多層構造である複合膜とする場合における埋め込む方法としては、以下に限
定されないが、例えば、ドラム上に、離型紙、各層を構成する複数枚のフィルム、補強材
、各層を構成する複数枚のフィルム、の順に積層して一体化する方法等が挙げられる。3
層以上の多層構造とする場合は、カルボン酸層を構成するフィルムは、ドラムから一番離
れた位置に積層し、スルホン酸層を構成するフィルムは、ドラムに近い位置に積層するよ
うに調整することが好ましい。
減圧下で一体化する方法は、加圧プレス法に比べて、補強材上の第3の層の厚みが大き
くなる傾向にある。なお、ここで説明した積層のバリエーションは一例であり、所望する
膜本体の層構成や物性等を考慮して、適宜好適な積層パターン(例えば、各層の組合せ等
)を選択した上で、共押出しすることができる。
本実施形態に係るイオン交換膜の電気的性能を更に高める目的で、上記したスルホン酸
層とカルボン酸層との間に、カルボン酸エステル官能基とスルホニルフルオライド官能基
の両方を含有する層を更に介在させることや、カルボン酸エステル官能基とスルホニルフ
ルオライド官能基の両方を含有する層を用いることも可能である。
この層を形成する含フッ素系重合体の製造方法としては、カルボン酸エステル官能基を含
有する重合体と、スルホニルフルオライド官能基を含有する重合体と、を別々に製造した
後に混合する方法でもよいし、カルボン酸エステル官能基を含有する単量体とスルホニル
フルオライド官能基を含有する単量体の両者を共重合したものを使用する方法でもよい。
(5)工程:加水分解する工程
(5)工程では、膜本体に含まれている犠牲糸を酸又はアルカリで溶解除去することで
、膜本体に連通孔を形成させる。犠牲糸は、イオン交換膜の製造工程や電解環境下におい
て、酸又はアルカリに対して溶解性を有するものであるため、酸又はアルカリにより犠牲
糸が膜本体から溶出することで当該部位に連通孔が形成される。このようにして、膜本体
に連通孔が形成されたイオン交換膜を得ることができる。なお、犠牲糸は、完全に溶解除
去されずに、連通孔に残っていてもよい。また、電解を行った際に、連通孔に残っていた
犠牲糸は、電解液により溶解除去されてもよい。
(5)工程で用いる酸又はアルカリは、犠牲糸を溶解させるものであればよく、その種
類は特に限定されない。酸としては、以下に限定されないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸
、酢酸、含フッ素酢酸が挙げられる。アルカリとしては、以下に限定されないが、例えば
、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが挙げられる。
ここで、犠牲糸を溶出させることで連通孔を形成する工程についてより詳細に説明する
。図12は、本実施形態におけるイオン交換膜の連通孔を形成する方法を説明するための
模式図である。図12では、強化芯材52と犠牲糸504a(これにより形成される連通
孔504)のみを図示しており、膜本体等の他の部材については図示を省略している。ま
ず、強化芯材52と犠牲糸504aを織り込み補強材5とする。そして、(5)工程にお
いて犠牲糸504aが溶出することで連通孔504が形成される。
上記方法によれば、イオン交換膜の膜本体内部において強化芯材52、連通孔504及
び開孔部(図示せず)を如何なる配置とするのかに応じて、強化芯材52と犠牲糸504
aの編み込み方を調整すればよいため、簡便である。図12では、紙面において縦方向と
横方向の両方向に沿って強化芯材52と犠牲糸504aを編りこんだ平織りの補強材5を
例示しているが、必要に応じて補強材5における強化芯材52と犠牲糸504aの配置を
変更することができる。
また、(5)工程では、上述した(4)工程で得られた膜本体を加水分解して、イオン
交換基前駆体にイオン交換基を導入することもできる。
(6)工程において研磨により犠牲芯材を及び強化芯材をイオン交換膜の表面に露出させ
る方法では、耐摩耗性が劣る連通孔上のポリマーのみが選択的に除去され、強化芯材の露
出面積率を大きく上昇させることなく効率的に開孔部を形成できる。本実施形態に係るイ
オン交換膜の製造方法によれば、開孔部の開孔面積率を高く、かつ、露出部の露出面積率
を低くすることができる。研磨の方法としては、以下に限定されないが、例えば、走行す
る膜に研磨ローラーを接触させ、膜の走行速度よりも速い速度、もしくは膜の走行方向と
逆方向で研磨ローラーを回転させる方法が挙げられる。この際、研磨ローラーと膜の相対
速度が大きいほど、研磨ローラーの抱き角が大きいほど、また走行張力が大きいほど開孔
部の開孔面積率が高くなるが、露出部の露出面積率も高くなるため、研磨ローラーと膜の
相対速度は50m/h~1000m/hが好ましい。
また、本実施形態に係るイオン交換膜において、膜本体の表面に凸部を形成する方法と
しては、特に限定されず、樹脂表面に凸部を形成する公知の方法を採用することもできる
。本実施形態において膜本体の表面に凸部を形成する方法としては、具体的には、膜本体
の表面にエンボス加工を施す方法が挙げられる。例えば、前記したフィルムと補強材等と
を一体化する際に、予めエンボス加工した離型紙を用いることによって、上記の凸部を形
成させることができる。
本実施形態に係るイオン交換膜の製造方法によれば、開孔部と露出部は、加水分解後の
湿潤状態で研磨することにより形成されるため、膜本体のポリマーに十分な柔軟性がある
ため、凸部形状が脱落しない。エンボス加工により凸部を形成する場合、凸部の高さや配
置密度の制御は、転写するエンボス形状(離型紙の形状)を制御することで行うことがで
きる。
上述した(1)工程~(6)工程を経た後、得られたイオン交換膜の表面に、前述した
コーティング層を形成してもよい。
以下、実施例により本実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は以下の実施例に
限定されるものではない。
[通電面C損傷の評価法・測定法]
実施例及び比較例における電解は、エキスバンドメタル陰極/多孔板陽極(4mmΦ×
6ピッチ、開孔率40%)の1dm2自己循環型電解セルにて、陽極側に不純物を殆ど含
まない塩化ナトリウム水溶液205g/リットルに調整しつつ供給し、陰極側の苛性ソー
ダ濃度を32質量%に保ちつつ、60A/dm2の電流密度で、温度を90℃に設定し、
電解槽の陰極側の液圧と陽極側の液圧との差圧を陰極側の液圧が8.8kpaだけ高い条
件にて7日間行った。なお、上記の陰極はニッケル基材に触媒として酸化ニッケルを塗布
したものであり、陽極はチタン基材に触媒としてルテニウム酸化物、イリジウム酸化物及
びチタン酸化物を塗布したものとした。
上記電解後、コーティング層を除去したイオン交換膜の通電面(カルボン酸層)を市販
カメラで撮影し、画像を取得した。この画像において、通電面の損傷部をマーキングし、
解析ソフトとして¥USB Digital Scale 1.1J(スカラ社製)を用
いて、損傷部面積/未損傷部面積×100で損傷面積率(%)を算出した。
また、イオン交換膜のODC電解への適用を想定し、以下の評価を行った。評価法は、
ODC陰極/多孔板陽極(4mmΦ×6ピッチ、開孔率40%)の1dm2自己循環型電
解セルにて、陽極側に塩化ナトリウム水溶液195g/リットルに調整しつつ供給し、陰
極側の苛性ソーダ濃度を35質量%に保ちつつ、30A/dm2の電流密度で、温度を8
8℃に設定し7日間行った。
上記電解後、コーティング層を除去したイオン交換膜の通電面(カルボン酸層)の損傷
部をマーキングし、解析ソフトとして¥USB Digital Scale 1.1J
(スカラ社製)を用いて、損傷部面積/未損傷部面積×100で損傷面積率(%)を算出
した。
[塩水供給孔測定法]
イオン交換膜の表面の顕微鏡画像を画像解析することによって、塩水供給孔の面積率を
測定した。まず、加水分解後のイオン交換膜の膜本体表面を縦2mm横3mmの大きさで
切り出して試料とした。切り出した試料を、染料であるクリスタルバイオレット0.1g
を水100mLとしエタノール500mLの混合溶媒に溶解させた液に浸漬し、試料の染
色を行った。顕微鏡(OLYMPUS社製)を用いて、20倍の拡大率で染色後の試料の
表面状態を確認した。なお、1個のイオン交換膜の表面から9個の資料を切り出し、その
平均値で評価した(N=9)。
染料に染まっていない白い領域が、塩水供給孔又は強化芯材の露出部に該当する。塩水
供給孔か露出部のどちらかに該当するかは、イオン交換膜内の強化芯材と連通孔の位置関
係により判断した。また、塩水供給孔か露出部のどちらに該当するか不明な場合は、上記
顕微鏡で観測した範囲を対象として走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、その際のSE
M写真により、判断した。すなわち、SEM写真により、染料に染まっていない白い領域
が、膜本体の表面から凹んでいる場合は塩水供給孔であり、膜本体の表面から出ている場
合は露出部と判断した。
塩水供給孔や露出部において、連通孔が横切っている場合、その箇所が染料で染まる事
があり、染料に染まっていない白い箇所が、分断された状態で観測されることがある。そ
の場合、塩水供給孔及び露出部は、連通孔等により分断されず、連続しているものとして
、染料に染まっていない白い領域を特定した。なお、イオン交換膜が、コーティング層を
有する場合、水とエタノールの混合溶液を用いて、柔らかいブラシを用いて、コーティン
グのみを落としてから測定を行った。
塩水供給孔の面積率については、まず、上記試料の塩水供給孔に該当する白い部分の総
面積(塩水供給孔面積B)を求め、試料の表面積(2mm×3mm=6mm2)で除する
ことにより求めた。なお、塩水供給孔の面積率は、イオン交換膜の9か所で観測した結果
の平均値とした(N=9)。
〔凸部の高さ及び配置密度の測定方法〕
凸部の高さ及び配置密度を、以下の方法により確認した。まず、イオン交換膜の100
0μm四方の範囲の膜表面において、高さが一番低い点を基準とした。その基準点から高
さが20μm以上である部分を凸部とした。その際、高さの測定方法としては、KEYE
NCE社製「カラー3Dレーザー顕微鏡(VK-9710)」を用いて行った。具体的に
は、乾燥状態のイオン交換膜から、任意に10cm×10cmの箇所を切り出し、平滑な
板とイオン交換膜の陰極側を両面テープで固定し、イオン交換膜の陽極側を測定レンズに
向けるよう測定ステージにセットした。各10cm×10cmの膜において、1000μ
m四方の測定範囲で、イオン交換膜表面における形状を観測し、高さが一番低い点を基準
とし、そこからの高さを測定することで凸部を確認した。上記のようにして、高さが20
μm以上である凸部が確認できたものについては、凸部構造「有」とし、確認できなかっ
たものについては、凸部構造「無」として、表1に記載した。また、凸部の配置密度につ
いては、イオン交換膜から、任意に10cm×10cmの膜を3箇所切り出して、その各
10cm×10cmの膜において、1000μm四方の測定範囲で9箇所測定した値を平
均して求めた。
なお、凸部の面積については、次のように確認した。すなわち、埋め込み工程で得られ
た膜の表面観察(OLYMPUS SZX10)を行い、画像を取得した。この画像にお
いて、凸部をマーキングし、解析ソフトとして¥USB Digital Scale1
.1J(スカラ社製)を用いて、凸部面積/凸部以外の面積を算出した。
[各層の厚みの測定方法]
加水分解工程後のイオン交換膜の、層A-1側、又は層B側から断面方向へ幅約100
μmで切り落とし、含水した状態で断面を上部に向けて光学顕微鏡を用いて厚みを実測し
た。その際、切り落とす部分は隣り合う強化芯材の中間部分(谷部)であり、得られた断
面図において測定する箇所は、図1で示すと、隣り合う強化芯材12の中間部分であり、
(α)から(β)へ向かう方向を厚み方向として、層Aと層Bの厚みを測定した。
[苛性ソーダ中食塩濃度測定]
電解に用いる電解槽としては、陽極と陰極との間に陽イオン交換膜を配置した構造であ
り、電解液を強制的に循環させる型(強制循環型)の電解セルを4個直列に並べたものを
用いた。電解セルにおける陽極と陰極との間の距離は、1.5mmとした。陰極として、
ニッケルのエキスパンドメタルに、触媒として酸化ニッケルが塗布された電極を用いた。
陽極としては、チタンのエキスパンドメタルに、触媒としてルテニウム酸化物、イリジウ
ム酸化物及びチタン酸化物が塗布された電極を用いた。上記電解槽を用いて、生成された
苛性ソーダ中に含まれる食塩の濃度を測定した。すなわち、陽極側に205g/Lの濃度
となるように調整しつつ塩水を供給し、陰極側の苛性ソーダ濃度を32質量%に保ちつつ
水を供給した。塩水の温度を90℃に設定して、4kA/m2の電流密度で、電解槽の陰
極側の液圧が陽極側の液圧よりも5.3kPa高い条件で電解を行った。電解を7日間行
って得られた苛性ソーダに含まれる食塩の濃度を、JIS K 1200-3-1の方法
に準拠して測定した。すなわち、電解により生成した苛性ソーダに硝酸を加えて中和して
中和溶液とし、中和溶液に、硫酸鉄(III)アンモニウム溶液及びチオシアン酸水銀(
II)を加え、溶液を呈色させた。なお、電解運転中に生成した苛性ソーダはセルの排出
管からオーバーフローしてセルの外部へと流れ出すので、これを回収した。その溶液をU
V計により吸光光度分析することによって苛性ソーダ中の食塩濃度を1日おきに測定し、
7日間の平均値を苛性ソーダ中食塩濃度として求めた。
[電流効率測定]
上記電解槽を用いて、同様の条件で運転を行った。すなわち、陽極側に205g/Lの
濃度になるように調整しつつ塩水を供給し、陰極側の苛性ソーダ濃度を32質量%に保ち
つつ水を供給した。塩水の温度を90℃に設定して、4kA/m2の電流密度で、電解槽の
陰極側の液圧が陽極側の液圧よりも5.3kPa高い条件で電解を行った。また、電流効
率の測定は、生成された苛性ソーダの質量、濃度を測定し、一定時間に生成された苛性ソ
ーダのモル数を、その間に流れた電流のモル数で除することで求めた。
[電解電圧測定]
上記電解槽を用いて、同様の条件で運転を行った。すなわち、陽極側に205g/Lの
濃度になるように調整しつつ塩水を供給し、陰極側の苛性ソーダ濃度を32質量%に保ち
つつ水を供給した。塩水の温度を90℃に設定して、4kA/m2の電流密度で、電解槽の
陰極側の液圧が陽極側の液圧よりも5.3kPa高い条件で電解を行った。また、電解槽
の陽陰極間の対間電圧を、KEYENCE社製電圧計TR-V1000で毎日測定し、7
日間の平均値を電解電圧として求めた。
[イオン交換容量の測定]
イオン交換基を有する含フッ素重合体として、後述する各例の含フッ素重合体A-1、
含フッ素重合体A-2及び含フッ素重合体Bを、それぞれ約1g用い、各重合体の疑似融
点値より約30℃高い温度にてプレス成型して各重合体に対応するフィルムを得た。得ら
れたフィルムを透過型赤外分光分析装置(日本分光社製 FTIR-4200)にて測定
を行った。得られた赤外線ピークのCF2、CF、CH3、OH、SO2Fの各赤外線ピー
クの高さから、カルボン酸官能基、スルホン酸官能基に変換できる基を有する構造単位の
割合を算出した。これらを含フッ素重合体を加水分解し得られた重合体のカルボン酸官能
基、スルホン酸官能基を有する構造単位の割合とし、滴定法で算出されたイオン交換容量
が既知のサンプルを検量線としてイオン交換容量を求めた。
[実施例1]
含フッ素重合体A-1として、下記一般式(1)で表わされる単量体と下記一般式(2
)で表わされる単量体を5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリ
マーを得た。
CF2=CX12 ・・・(1)
(一般式(1)において、X1及びX2は、各々独立してF、Cl、H又はCF3を表す。

CF2=CFO-(CF2YFO)a-(CF2b-SO2F ・・・(2)
(一般式(2)において、aは0~2の整数、bは1~4の整数、YはF又はCF3、R
はCH3、C25又はC37を表す。)
含フッ素重合体A-2として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリ
マーを得た。
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体と下記
一般式(3)で表わされる単量体を7.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.89m
当量/gのポリマーを得た。
CF2=CF(OCF2CYF)c-O(CF2d-COOR ・・・(3)
(一般式(3)中、cは0~2の整数、dは1~4の整数を表し、YはF又はCF3を表
し、RはCH3、C25又はC37を表す。)
フッ素重合体A-2とフッ素重合体Bを準備し、2台の押し出し機、2層用の共押し出
し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み104μmの2層
フィルム(a)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A-2の厚み
が79μm、層Bの厚みが25μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A
-1の単層フィルム(b)を得た。
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、エンボス加
工を施した通気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b)、強化芯材、2層フィルム(a
)を順番に積層し、230℃の温度及び-650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排
除しながら一体化し、複合膜を得た。また、得られた膜を表面観察した結果、陽極面側の
フィルム(b)には、高さの平均値が60μmの半球状のイオン交換基を有するポリマー
のみからなる突出した部分が250個/cm2、該凸部分の合計面積が1cm2あたり0.
2cm2で形成されていることを確認した。
この複合膜をDMSO30質量%、3.2規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃
の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶
液を用いて1時間塩交換処理を行った。その後、走行張力を20kg/cmとし、研磨ロ
ールと複合膜の相対速度を100m/分とし、研磨ロールのプレス量を2mmとして、複
合膜表面を研磨し、開孔部を形成した。複合膜の塩水供給孔率は2.5%であった。
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/g
のCF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF23SO2Fの共重合体を加
水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20wt%溶解させた。その溶液
に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40wt%加えボールミルにて均一に分散させた
懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗
布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
上記のようにして得られたイオン交換膜について、上述のとおり電解を行い、各物性を
評価した結果を表1に示す。なお、陰極液濃度が32質量%において電流効率=97.1
%、電解電圧=2.91Vと良好であった。また、損傷面積率は10%と良好であった。
さらに、イオン交換膜のODC電解への適用を想定した評価においても、カルボン酸層の
損傷は殆どみられず、良好であった。
[実施例2]
含フッ素重合体A-1として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリ
マーを得た。
含フッ素重合体A-2として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5.4:1で共重合し、イオン交換容量が0.98m当量/gの
ポリマーを得た。
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記
一般式(3)で表わされる単量体を7.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.89m
当量/gのポリマーを得た。
フッ素重合体A-2とフッ素重合体Bを準備し、2台の押し出し機、2層用の共押し出
し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み104μmの2層
フィルム(a)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A-2の厚み
が74μm、層Bの厚みが30μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A
-1の単層フィルム(b)を得た。
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、エンボス加
工を施した通気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b)、強化芯材、2層フィルム(a
)を順番に積層し、230℃の温度及び-650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排
除しながら一体化し、複合膜を得た。また、得られた膜を表面観察した結果、陽極面側の
フィルム(b)には、高さの平均値が60μmの半球状のイオン交換基を有するポリマー
のみからなる突出した部分が250個/cm2、該凸部分の合計面積が1cm2あたり0.
2cm2で形成されていることを確認した。
この複合膜をDMSO30質量%、3.2規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃
の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶
液を用いて1時間塩交換処理を行った。その後、走行張力を20kg/cmとし、研磨ロ
ールと複合膜の相対速度を100m/分とし、研磨ロールのプレス量を2mmとして、複
合膜表面を研磨し、開孔部を形成した。複合膜の塩水供給孔率は2.3%であった。
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/g
のCF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF23SO2Fの共重合体を加
水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20wt%溶解させた。その溶液
に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40wt%加えボールミルにて均一に分散させた
懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗
布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
上記のようにして得られたイオン交換膜について、上述のとおり電解を行い、各物性を
評価した結果を表1に示す。なお、陰極液濃度が32質量%において電流効率=97.2
%、電解電圧=2.95Vと良好であった。また、損傷面積率=12%と良好であった。
さらに、イオン交換膜のODC電解への適用を想定した評価においても、カルボン酸層の
損傷は殆どみられず、良好であった。
[実施例3]
含フッ素重合体A-1として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリ
マーを得た。
含フッ素重合体A-2として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5.4:1で共重合し、イオン交換容量が0.98m当量/gの
ポリマーを得た。
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記
一般式(3)で表わされる単量体を7.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.89m
当量/gのポリマーを得た。
フッ素重合体A-2とフッ素重合体Bを準備し、2台の押し出し機、2層用の共押し出
し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み89μmの2層フ
ィルム(a)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A-2の厚みが
74μm、層Bの厚みが15μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A-
1の単層フィルム(b)を得た。
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、エンボス加
工を施した通気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b)、強化芯材、2層フィルム(a
)を順番に積層し、230℃の温度及び-650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排
除しながら一体化し、複合膜を得た。また、得られた膜を表面観察した結果、陽極面側の
フィルム(b)には、高さの平均値が60μmの半球状のイオン交換基を有するポリマー
のみからなる突出した部分が250個/cm2、該凸部分の合計面積が1cm2あたり0.
2cm2で形成されていることを確認した。
この複合膜をDMSO30質量%、3.2規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃
の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶
液を用いて1時間塩交換処理を行った。その後、走行張力を20kg/cmとし、研磨ロ
ールと複合膜の相対速度を100m/分とし、研磨ロールのプレス量を2mmとして、複
合膜表面を研磨し、開孔部を形成した。複合膜の塩水供給孔率は2.3%であった。
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/g
のCF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF23SO2Fの共重合体を加
水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20wt%溶解させた。その溶液
に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40wt%加えボールミルにて均一に分散させた
懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗
布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
上記のようにして得られたイオン交換膜について、上述のとおり電解を行い、各物性を
評価した結果を表1に示す。なお、陰極液濃度が32質量%において電流効率=96.9
%、電解電圧=2.86Vと良好であった。また、損傷面積率=13%と良好であった。
さらに、イオン交換膜のODC電解への適用を想定した評価においても、カルボン酸層の
損傷は殆どみられず、良好であった。
[実施例4]
含フッ素重合体A-1として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリ
マーを得た。
含フッ素重合体A-2として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5.4:1で共重合し、イオン交換容量が0.98m当量/gの
ポリマーを得た。
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記
一般式(3)で表わされる単量体を6.8:1で共重合し、イオン交換容量が0.98m
当量/gのポリマーを得た。
フッ素重合体A-2とフッ素重合体Bを準備し、2台の押し出し機、2層用の共押し出
し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み99μmの2層フ
ィルム(a)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A-2の厚みが
74μm、層Bの厚みが25μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A-
1の単層フィルム(b)を得た。
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、エンボス加
工を施した通気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b)、強化芯材、2層フィルム(a
)を順番に積層し、230℃の温度及び-650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排
除しながら一体化し、複合膜を得た。また、得られた膜を表面観察した結果、陽極面側の
フィルム(b)には、高さの平均値が60μmの半球状のイオン交換基を有するポリマー
のみからなる突出した部分が250個/cm2、該凸部分の合計面積が1cm2あたり0.
2cm2で形成されていることを確認した。
この複合膜をDMSO30質量%、3.2規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃
の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶
液を用いて1時間塩交換処理を行った。その後、走行張力を20kg/cmとし、研磨ロ
ールと複合膜の相対速度を100m/分とし、研磨ロールのプレス量を2mmとして、複
合膜表面を研磨し、開孔部を形成した。複合膜の塩水供給孔率は2.2%であった。
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/g
のCF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF23SO2Fの共重合体を加
水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20wt%溶解させた。その溶液
に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40wt%加えボールミルにて均一に分散させた
懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗
布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
上記のようにして得られたイオン交換膜について、上述のとおり電解を行い、各物性を
評価した結果を表1に示す。なお、陰極液濃度が32質量%において電流効率=96.4
%、電解電圧=2.86Vと良好であった。また、損傷面積率=7%と良好であった。さ
らに、イオン交換膜のODC電解への適用を想定した評価においても、カルボン酸層の損
傷は殆どみられず、良好であった。
[実施例5]
含フッ素重合体A-1として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を4.6:1で共重合し、イオン交換容量が1.14m当量/gの
ポリマーを得た。
含フッ素重合体A-2として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5.4:1で共重合し、イオン交換容量が0.98m当量/gの
ポリマーを得た。
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記
一般式(3)で表わされる単量体を7.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.89m
当量/gのポリマーを得た。
フッ素重合体A-2とフッ素重合体Bを準備し、2台の押し出し機、2層用の共押し出
し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み99μmの2層フ
ィルム(a)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A-2の厚みが
74μm、層Bの厚みが25μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A-
1の単層フィルム(b)を得た。
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、エンボス加
工を施した通気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b)、強化芯材、2層フィルム(a
)を順番に積層し、230℃の温度及び-650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排
除しながら一体化し、複合膜を得た。また、得られた膜を表面観察した結果、陽極面側の
フィルム(b)には、高さの平均値が60μmの半球状のイオン交換基を有するポリマー
のみからなる突出した部分が250個/cm2、該凸部分の合計面積が1cm2あたり0.
2cm2で形成されていることを確認した。
この複合膜をDMSO30質量%、3.2規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃
の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶
液を用いて1時間塩交換処理を行った。その後、走行張力を20kg/cmとし、研磨ロ
ールと複合膜の相対速度を100m/分とし、研磨ロールのプレス量を2mmとして、複
合膜表面を研磨し、開孔部を形成した。複合膜の塩水供給孔率は3.3%であった。
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/g
のCF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF23SO2Fの共重合体を加
水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20wt%溶解させた。その溶液
に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40wt%加えボールミルにて均一に分散させた
懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗
布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
上記のようにして得られたイオン交換膜について、上述のとおり電解を行い、各物性を
評価した結果を表1に示す。なお、陰極液濃度が32質量%において電流効率=97.5
%、電解電圧=2.96Vと良好であった。また、損傷面積率=12%と良好であった。
さらに、イオン交換膜のODC電解への適用を想定した評価においても、カルボン酸層の
損傷は殆どみられず、良好であった。
[比較例1]
含フッ素重合体A-1として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5.4:1で共重合し、イオン交換容量が0.98m当量/gの
ポリマーを得た。
含フッ素重合体A-2として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を6:1で共重合し、イオン交換容量が0.95m当量/gのポリ
マーを得た。
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記
一般式(3)で表わされる単量体を7.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.89m
当量/gのポリマーを得た。
フッ素重合体A-2とフッ素重合体Bを準備し、2台の押し出し機、2層用の共押し出
し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み99μmの2層フ
ィルム(a)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A-2の厚みが
74μm、層Bの厚みが25μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A-
1の単層フィルム(b)を得た。
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、エンボス加
工を施した通気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b)、強化芯材、2層フィルム(a
)を順番に積層し、230℃の温度及び-650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排
除しながら一体化し、複合膜を得た。また、得られた膜を表面観察した結果、陽極面側の
フィルム(b)には、高さの平均値が60μmの半球状のイオン交換基を有するポリマー
のみからなる突出した部分が250個/cm2、該凸部分の合計面積が1cm2あたり0.
2cm2で形成されていることを確認した。なお、本例では、加水分解後の研磨処理を行
わなかったため、塩水供給孔が形成されなかった。
この複合膜をDMSO30質量%、3.2規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃
の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶
液を用いて1時間塩交換処理を行った。複合膜の塩水供給孔率は0%であった。
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/g
のCF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF23SO2Fの共重合体を加
水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20wt%溶解させた。その溶液
に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40wt%加えボールミルにて均一に分散させた
懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗
布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
上記のようにして得られたイオン交換膜について、上述のとおり電解を行い、各物性を
評価した結果を表1に示す。なお、陰極液濃度が32質量%において電流効率=97.0
%、電解電圧=2.94Vと良好であった。一方、損傷面積率=24%と実施例の値に対
し劣る値となった。さらに、イオン交換膜のODC電解への適用を想定した評価において
も、カルボン酸層の損傷が激しく、実施例に対して劣る結果となった。
[比較例2]
含フッ素重合体A-1として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5.4:1で共重合し、イオン交換容量が0.98m当量/gの
ポリマーを得た。
含フッ素重合体A-2として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を6:1で共重合し、イオン交換容量が0.95m当量/gのポリ
マーを得た。
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記
一般式(3)で表わされる単量体を7.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.89m
当量/gのポリマーを得た。
フッ素重合体A-2とフッ素重合体Bを準備し、2台の押し出し機、2層用の共押し出
し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み99μmの2層フ
ィルム(a)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A-2の厚みが
74μm、層Bの厚みが25μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A-
1の単層フィルム(b)を得た。
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のあ
る耐熱離型紙、単層フィルム(b)、強化芯材、2層フィルム(a)を順番に積層し、2
30℃の温度及び-650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排除しながら一体化し、
複合膜を得た。凸部構造は形成されなかった。
この複合膜をDMSO30質量%、3.2規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃
の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶
液を用いて1時間塩交換処理を行った。その後、走行張力を20kg/cmとし、研磨ロ
ールと複合膜の相対速度を100m/分とし、研磨ロールのプレス量を2mmとして、複
合膜表面を研磨し、開孔部を形成した。複合膜の塩水供給孔率は3.6%であった。
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/g
のCF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF23SO2Fの共重合体を加
水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20wt%溶解させた。その溶液
に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40wt%加えボールミルにて均一に分散させた
懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗
布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
上記のようにして得られたイオン交換膜について、上述のとおり電解を行い、各物性を
評価した結果を表1に示す。なお、陰極液濃度が32質量%において電流効率=96.9
%、電解電圧=2.93Vと良好であった。一方、損傷面積率=35%と実施例の値に対
し劣る値となった。さらに、イオン交換膜のODC電解への適用を想定した評価において
も、カルボン酸層の損傷が激しく、実施例に対して劣る結果となった。
[比較例3]
含フッ素重合体A-1として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリ
マーを得た。
含フッ素重合体A-2として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリ
マーを得た。
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記
一般式(3)で表わされる単量体を7.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.89m
当量/gのポリマーを得た。
フッ素重合体A-2とフッ素重合体Bを準備し、2台の押し出し機、2層用の共押し出
し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み104μmの2層
フィルム(a)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A-2の厚み
が79μm、層Bの厚みが25μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A
-1の単層フィルム(b)を得た。
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のあ
る耐熱離型紙、単層フィルム(b)、強化芯材、2層フィルム(a)を順番に積層し、2
30℃の温度及び-650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排除しながら一体化し、
複合膜を得た。凸部構造は形成されなかった。
この複合膜をDMSO30質量%、3.2規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃
の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶
液を用いて1時間塩交換処理を行った。その後、走行張力を20kg/cmとし、研磨ロ
ールと複合膜の相対速度を100m/分とし、研磨ロールのプレス量を2mmとして、複
合膜表面を研磨し、開孔部を形成した。複合膜の塩水供給孔率は2.2%であった。
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/g
のCF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF23SO2Fの共重合体を加
水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20wt%溶解させた。その溶液
に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40wt%加えボールミルにて均一に分散させた
懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗
布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
上記のようにして得られたイオン交換膜について、上述のとおり電解を行各物性を評価
した結果を表1に示す。なお、陰極液濃度が32質量%において電流効率=97.1%、
電解電圧=2.92Vと良好であった。一方、損傷面積率=27%と実施例の値に対し劣
る値となった。さらに、イオン交換膜のODC電解への適用を想定した評価においても、
カルボン酸層の損傷が激しく、実施例に対して劣る結果となった。
[比較例4]
含フッ素重合体A-1として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリ
マーを得た。
含フッ素重合体A-2として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2
)で表わされる単量体を5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリ
マーを得た。
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記
一般式(3)で表わされる単量体を8.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.82m
当量/gのポリマーを得た。
フッ素重合体A-2とフッ素重合体Bを準備し、2台の押し出し機、2層用の共押し出
し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み104μmの2層
フィルム(a)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A-2の厚み
が79μm、層Bの厚みが25μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A
-1の単層フィルム(b)を得た。
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、エンボス加
工を施した通気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b)、強化芯材、2層フィルム(a
)を順番に積層し、230℃の温度及び-650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排
除しながら一体化し、複合膜を得た。
この複合膜をDMSO30質量%、3.2規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃
の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶
液を用いて1時間塩交換処理を行った。その後、走行張力を20kg/cmとし、研磨ロ
ールと複合膜の相対速度を100m/分とし、研磨ロールのプレス量を2mmとして、複
合膜表面を研磨し、開孔部を形成した。複合膜の塩水供給孔率は2.3%であった。
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/g
のCF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF23SO2Fの共重合体を加
水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20wt%溶解させた。その溶液
に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40wt%加えボールミルにて均一に分散させた
懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗
布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
上記のようにして得られたイオン交換膜について、上述のとおり電解を行い、各物性を
評価した結果を表1に示す。なお、陰極液濃度が32質量%において電流効率=97.6
%、電解電圧=2.98Vと良好であった。一方、損傷面積率=17%と実施例の値に対
し劣る値となった。さらに、イオン交換膜のODC電解への適用を想定した評価において
も、カルボン酸層の損傷が激しく、実施例に対して劣る結果となった。
Figure 0007062396000001
1,2,3,4…陽イオン交換膜、
5…補強材、
10,20,30,40…膜本体、
11,21,31,41…凸部
12,22,32,42,52…強化芯材、
10a,20a,30a,40a…第1の層(スルホン酸層)、
10b,20b,30b,40b…第2の層(カルボン酸層)、
34a,34b,44a,44b…コーティング層、
100…電解槽、
102,202,302,402…開孔部、
104,204,304,404,504…連通孔、
106…孔、
200…陽極、
300…陰極、
504a…犠牲糸、
A1,A2,A3,A4…領域、
A5…露出部

Claims (6)

  1. スルホン酸基を有する含フッ素重合体を含む層Aと、
    カルボン酸基を有する含フッ素重合体を含む層Bと、
    を有し、
    前記層Aは、少なくとも一方の表面に、断面視において、高さが20μm以上である凸部を有し、
    前記層Aの前記表面には複数の開孔部が形成され、
    前記層Aの内部には前記開孔部同士を連通する連通孔が形成され、
    前記層Aの前記表面の面積に対する前記開孔部の総面積の割合(開孔面積率)が、0.4~15%であり、
    前記層Aのイオン交換容量が1.18~0.98ミリ当量/gであり、
    前記層Bのイオン交換容量が0.98~0.87ミリ当量/gであり、
    前記層Aの前記表面における前記凸部の配置密度が20~1500個/cm 2 である、イオン交換膜。
  2. 前記層Aの厚さが50~180μmであり、
    前記層Bの厚さが5~40μmである、請求項に記載のイオン交換膜。
  3. 前記層AはCF2=CF-(OCF2YF)a-O(CF2b-SO2Fで表される化合物の重合体を含み、
    前記層BはCF2=CF-(OCF2CYF)c-O(CF2d-COORで表される化合物の重合体を含み、
    ここで、前記aは0~2の整数であり、前記cは0~2の整数であり、前記b,dは1~4の整数であり、前記YはF又はCF3であり、前記RはCH3、C25又はC37である、請求項1又は2に記載のイオン交換膜。
  4. 前記凸部の合計面積が前記層Aの表面1cm2あたり0.01cm2~0.6cm2である、請求項1~のいずれか1項に記載のイオン交換膜。
  5. ODC電解用である、請求項1~のいずれか1項に記載のイオン交換膜。
  6. 前記層Aの前記表面の面積が、300cm2以上である、請求項1~のいずれか1項に記載のイオン交換膜。
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