JP2014053550A - 熱処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱処理装置において、被処理物を収容する収納容器の内部における、異物の付着を抑制できるようにする。
【解決手段】熱処理装置1は、チューブ2と、保護筒7と、を備える。チューブ2は、被処理物100を収容するために設けられる。チューブ2は、第2対向部97を有する。第2対向部97は、被処理物100を熱処理するためのガスに晒されることが可能に配置され、且つチューブ2の開口部11の内周面11bと対向している。保護筒7の熱伝導率HC7は、チューブ2の熱伝導率HC2よりも大きく設定されている(HC7>HC2)。
【選択図】 図3

Description

本発明は、加熱された雰囲気下で被処理物を処理するための、熱処理装置に関する。
基板等の材料に熱処理を行うための、熱処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。熱処理装置の一例として、特許文献1に記載のCVD装置は、石英製の反応管を有している。反応管は、材料としてのウェハを収容するように構成されている。また、反応管内には、ソースが供給される。反応管内では、熱反応によって、ソースガスが活性化される。これにより、ウェハの表面に、所望の被膜が形成される。
ウェハの表面への被膜形成工程においては、反応管の内面にも、被膜が生じてしまう。このため、反応管の内面の被膜を除去する清掃作業が必要である。この清掃作業に関連して、特許文献1に記載の構成では、石英管を二重構造にしている。即ち、特許文献1に記載の構成では、アウターチューブと、インナーチューブと、が設けられている。そして、インナーチューブは、アウターチューブに対して、挿入及び引き抜きを可能とされている。アウターチューブから引き抜かれた後のインナーチューブの内面が、清掃される。この清掃によって、当該内面の被膜が除去される。インナーチューブの清掃作業の間、アウターチューブには、別のインナーチューブが挿入される。これにより、ウェハへの被膜の形成作業を行うことができる。このような構成によると、インナーチューブの清掃に起因して、CVD装置を使用できない時間を短くできる。
特公平5−56647号公報
前述したように、反応管の内部のうち、材料以外の部分へ被膜が付着すると、当該被膜の清掃作業が必要となり、好ましくない。即ち、材料以外に付着した被膜は、異物として扱われる。しかしながら、特許文献1に記載の構成では、反応管の内部において、材料以外への被膜の形成を抑制する構成について、特に考慮されているわけではない。
本発明は、上記事情に鑑みることにより、熱処理装置において、被処理物を収容する収納容器の内部における、異物の付着を抑制できるようにすることを、目的とする。
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる熱処理装置は、収納容器と、保護部材と、を備える。前記収納容器は、被処理物を収容するために設けられる。前記保護部材は、対向部を有する。前記対向部は、前記被処理物を熱処理するためのガスに晒されることが可能に配置され且つ前記収納容器の内面と対向する。前記対向部の熱伝導率は、前記収納容器の熱伝導率よりも大きく設定されている。
この構成によると、保護部材の対向部は、ガスに晒されるように配置され、且つ、収納容器の内面と対向するように配置されている。これにより、収納容器のうち、保護部材の対向部と対向している部分は、ガスの気流を受け難くされている。したがって、収納容器のうち、保護部材の対向部と対向している部分は、ガスの反応に起因して生じる生成物(副生成物)を付着し難くされている。また、保護部材の熱伝導率は、収納容器の熱伝導率よりも大きく設定されている。このため、例えば、保護部材がガス及びヒータ等からの熱を受けることにより、当該保護部材は、迅速に昇温する。このため、保護部材に触れたガスの温度の低下を抑制でき、その結果、保護部材への副生成物の付着を、抑制できる。
従って、本発明によると、熱処理装置において、被処理物を収容する収納容器の内部における、異物の付着を抑制できる。
(2)好ましくは、前記熱処理装置は、前記ガスの気流を前記収納容器内で発生させるための、気流発生源を更に備えている。前記保護部材は、前記気流発生源からの前記気流と衝突するように配置されている。
この構成によると、気流発生源からの気流によって、収納容器内のガスの濃度分布を、より均等にできる。よって、被処理物の各部を、より均等に熱処理できる。また、気流発生源からの気流は、保護部材によって受けられることが可能である。これにより、収納容器のうち、保護部材と対向している部分は、気流の衝突を抑制されているので、副生成物が付着することを、より確実に抑制される。また、収納容器内に存在する異物が、気流に乗って収納容器内で飛散している場合でも、当該異物が収納容器の内面に衝突することを、保護部材によって抑制できる。これにより、収納容器の破損を、抑制できる。
(3)好ましくは、前記保護部材は、炭素材料を含む材料によって形成されている。
この構成によると、化学的な安定性の高い炭素材料を用いて、保護部材が形成されている。このため、保護部材が、ガスと化学反応して劣化することを、より確実に抑制できる。
(4)好ましくは、前記収納容器は、曲面部を有している。前記保護部材は、可撓性を有する板部材を用いて形成されている。前記板部材は、前記曲面部に沿って配置されている。
この構成によると、板部材の形状を、予め、曲面部の形状に合わせた形状に形成しておく必要がない。即ち、板部材を、簡易な形状としての平板状等に形成し、その後、板部材を変形させることで、板部材を、曲面部に沿って配置できる。したがって、保護部材を製造する手間を少なくできる。
(5)好ましくは、前記収納容器は、開口部を有している。前記収納容器には、前記開口部の周囲をシールするための、シール部材が嵌合されている。前記対向部は、前記収納容器のうち、前記シール部材に嵌合されている部分の内面と対向している。
この構成によると、収納容器のうち、シール部材と嵌合している部分は、保護部材と対向している。これにより、高温のガスからの熱は、保護部材で受けられ、シール部材へ伝わることを抑制される。したがって、シール部材の過熱を抑制でき、その結果、シール部材の劣化を抑制できる。
(6)好ましくは、前記熱処理装置は、前記シール部材を冷却するために、前記開口部が延びる方向に沿って前記開口部と隣接して配置された、冷却部材を更に備える。前記保護部材は、前記冷却部材の内面と対向する、冷却部材対向部を有する。前記冷却部材対向部は、前記冷却部材に固定される固定部を有する。前記開口部が延びる方向において、前記対向部の長さは、前記冷却部材対向部の長さよりも大きく設定されている。
この構成によると、冷却部材によって、シール部材の過熱を、より確実に抑制できる。また、保護部材を、冷却部材によって保持できる。また、ガスが冷却部材と接触することを、保護部材によって抑制できるので、冷却部材への副生成物の付着を、抑制できる。また、対向部の長さは、冷却部材対向部の長さよりも、大きく設定されている。これにより、保護部材が冷却部材によって冷却されることを、抑制できる。よって、保護部材に副生成物が付着することを、抑制できる。
本発明によると、熱処理装置において、被処理物を収容する収納容器の内部における、異物の付着を抑制できる。
本発明の実施形態に係る熱処理装置の一部を切断した状態を示す断面図であり、熱処理装置を側方から見た状態を示している。 熱処理装置の一部を切断した状態を示す断面図であり、熱処理装置を斜めから見た状態を示している。 図1の閉塞装置の周辺の拡大図である。 冷却部材の周辺の拡大図である。 図4のIV−IV線に沿う断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、被処理物を熱処理するための熱処理装置として広く適用することができる。
[熱処理装置の概略構成]
図1は、本発明の実施形態に係る熱処理装置1の一部を切断した状態を示す断面図であり、熱処理装置1を側方から見た状態を示している。図2は、熱処理装置1の一部を切断した状態を示す断面図であり、熱処理装置を斜めから見た状態を示している。図2では、熱処理装置1の一部を省略して示している。
図1及び図2を参照して、熱処理装置1は、被処理物100の表面に熱処理を施すことが可能に構成されている。この熱処理として、CVD(Chemical Vapor Deposition)処理、拡散処理、アニール処理、太陽電池の製造処理、半導体デバイスの製造処理等を例示することができる。本実施形態では、被処理物100は、ガラス基板である。被処理物100は、例えば、矩形状に形成されている。熱処理装置1は、被処理物100を、反応性ガスの雰囲気下で熱処理することにより、被処理物100の表面に、薄膜を形成する。また、熱処理装置1は、横型熱処理装置である。被処理物100は、熱処理装置1に対して出し入れされる際に、水平方向に変位される。
熱処理装置1は、チューブ(収納容器)2と、ヒータ3と、閉塞装置4と、遮熱部5と、ファン装置6と、保護筒(保護部材)7と、を備えている。
チューブ2は、被処理物100を収納するために設けられている。また、チューブ2は、チューブ2内に収納された被処理物100を、加熱された雰囲気下で熱処理するために設けられている。本実施形態では、チューブ2は、石英を用いて形成されている。チューブ2は、中空に形成されている。チューブ2の厚みは、数十mm程度に設定されている。
チューブ2は、チューブ本体8と、閉塞部9と、を有している。
チューブ本体8は、円筒状に形成されており、細長く延びている。チューブ本体8の長手方向L1を、以下、「長手方向L1」という場合がある。チューブ本体8の下部は、支持台(図示せず)によって、支持されている。チューブ本体8の一端部は、開口部11を有している。開口部11は、被処理物100を通過させることが可能な大きさに形成されている。被処理物100は、開口部11を通して、チューブ2に出し入れされる。チューブ本体8の下部上に、被処理物100が配置される。被処理物100は、例えば、支持台12に乗せられた状態で、チューブ本体8の外側から、開口部11を通して、チューブ本体8内に挿入される。支持台12において、被処理物100は、垂直方向に延びた状態で、複数配置されている。チューブ本体8の他端は、閉塞部9と連続している。閉塞部9は、長手方向L1に沿ってチューブ本体8から遠ざかる方向に向けて、膨らんだ形状に形成されている。閉塞部9は、チューブ本体8の他端を塞いでいる。上記の構成を有するチューブ2は、ヒータ3によって加熱される。
ヒータ3は、チューブ2内の雰囲気を加熱するために設けられている。ヒータ3は、例えば、電熱ヒータである。ヒータ3は、全体として、中空の箱形形状に形成されており、チューブ2の大部分を収納している。ヒータ3は、支持台(図示せず)によって支持されている。ヒータ3は、チューブ2内の雰囲気を、数百度程度に加熱することが可能である。
ヒータ3は、上部ヒータ13と、下部ヒータ14と、端部ヒータ15と、側部ヒータ16と、を有している。
上部ヒータ13は、チューブ本体8の上方に配置されており、水平に延びている。平面視において、上部ヒータ13は、矩形に形成されている。平面視において、上部ヒータ13は、チューブ2のうち、開口部11の周辺部分以外の部分を、覆っている。上部ヒータ13の下方に、下部ヒータ14が配置されている。
下部ヒータ14は、チューブ本体8の下方に配置されており、水平に延びている。底面視において、下部ヒータ14は、矩形に形成されている。底面視において、下部ヒータ14は、チューブ2のうち、開口部11の周辺部分以外の部分を、覆っている。下部ヒータ14に隣接するように、端部ヒータ15が配置されている。
端部ヒータ15は、チューブ2の閉塞部9と長手方向L1に並んで配置されており、垂直に延びている。端部ヒータ15は、略矩形に形成されている。端部ヒータ15は、チューブ2の閉塞部9を、チューブ2の後方から覆っている。端部ヒータ15に隣接するように、側部ヒータ16が配置されている。
側部ヒータ16は、チューブ2のチューブ本体8及び閉塞部9に隣接して配置されており、垂直に延びている。側部ヒータ16は、略矩形に形成されており、長手方向L1と平行な方向に延びている。図示していないけれども、側部ヒータ16と同様の側部ヒータが、チューブ2に隣接して配置されている。これら一対の側部ヒータの間に、チューブ2が配置されている。前述したように、上記の構成を有するヒータ3によって、チューブ2内の雰囲気が、加熱される。チューブ2内の雰囲気が加熱されている間、チューブ2の開口部11は、閉塞装置4によって閉塞されている。
図3は、図1の閉塞装置4の周辺の拡大図である。図3を参照して、閉塞装置4は、冷却部材19と、ドア装置20と、第1シール部材21と、第2シール部材22を有するシール装置23と、を含んでいる。
図4は、冷却部材19の周辺の拡大図である。図4を参照して、冷却部材19は、第1シール部材21、及び第2シール部材22を冷却するために設けられている。冷却部材19が設けられていることにより、第1シール部材21、及び第2シール部材22は、ヒータ3からの熱による過熱を抑制される。その結果、第1シール部材21、及び第2シール部材22の劣化を抑制できる。冷却部材19は、チューブ2の開口部11に隣接して配置されている。冷却部材19は、長手方向L1において、チューブ2と、ドア装置20との間に配置されている。冷却部材19は、2つの円筒部材を組み合わせた形状を有しており、チューブ2とは、略同軸に配置されている。冷却部材19は、金属材料を用いて形成されている。この金属材料は、例えば、ステンレス材である。
冷却部材19は、内筒24と、外筒25と、第1フランジ26と、第2フランジ27と、冷却水路28と、を有している。
内筒24は、円筒状に形成されている。本実施形態では、内筒24の内径、即ち、内筒24の内周面の直径は、チューブ本体8の内径よりも小さく設定されている。内筒24を取り囲むようにして、外筒25が配置されている。
外筒25は、円筒状に形成されており、内筒24と、同軸に配置されている。長手方向L1において、外筒25の位置と、内筒24の位置とは、揃えられている。外筒25は、支持部材29(図1参照)に固定されている。これにより、冷却部材19は、支持部材29によって、支持されている。外筒25の一端部25a、及び内筒24の一端部24aは、第1フランジ26に固定されている。
第1フランジ26は、ドア装置20の後述するドア36と接触する部分として設けられている。第1フランジ26は、環状に形成されており、内筒24及び外筒25と同軸に配置されている。第1フランジ26は、溶接等によって、内筒24及び外筒25に固定されている。これにより、第1フランジ26は、内筒24の一端部24aと、外筒25の一端部25aとの間の空間を、長手方向L1の一方側から塞いでいる。第1フランジ26のうち、ドア装置20に対向する部分には、環状の溝26aが形成されている。この溝26aは、第1フランジ26の外周面に開放されている。この溝26aには、環状のプレート30が収容されている。プレート30は、固定部材としてのねじ部材31を用いて、第1フランジ26に固定されている。プレート30に隣接して、第1シール部材21が配置されている。
第1シール部材21は、ドア装置20のドア36と、冷却部材19との間を、気密的にシールするために設けられている。本実施形態では、第1シール部材21は、合成ゴム等を用いて形成されたOリングであり、弾性及び可撓性を有している。第1シール部材21は、環状に形成されている。第1シール部材21は、第1フランジ26の溝26aに嵌められており、当該第1フランジ26と、プレート30との間に位置している。これにより、第1シール部材21は、第1フランジ26に保持されている。第1フランジ26と長手方向L1に離隔した位置に、第2フランジ27が配置されている。
第2フランジ27は、チューブ2に隣接する部分として設けられている。第2フランジ27は、環状に形成されており、内筒24及び外筒25と同軸に配置されている。第2フランジ27は、一端面27aと、他端面27bと、溝部27cと、を有している。
一端面27aは、溶接等によって、内筒24及び外筒25に固定されている。これにより、第2フランジ27は、内筒24の他端部24bと、外筒25の他端部25bとの間の空間を、長手方向L1の他方側から塞いでいる。第2フランジ27の一部は、チューブ2に対して、冷却部材19の径方向の外方に突出するように配置されている。即ち、第2フランジ27の外径は、チューブ本体8の外径よりも大きい。第2フランジ27のうち、チューブ2に対向する他端面27bには、環状の溝27cが形成されている。この溝27cは、第2フランジ27の内周部に形成されている。この溝27cには、受け部材32が配置されている。
図5は、図4のV−V線に沿う断面図である。図4及び図5を参照して、受け部材32は、第2フランジ27と、チューブ2との間に介在する部材として設けられている。これにより、第2フランジ27と、チューブ2とが直接接触することを防止している。受け部材32は、複数設けられている。複数の受け部材32は、第2フランジ27の周方向に等間隔に配置されている。隣り合う受け部材32,32間には、隙間CL1が形成されている。各受け部材32の表面は、摩擦抵抗を低減するための材料によって形成されている。このような材料として、PTFE(PolyTetraFluoroEthylene)等のフッ素樹脂材料を例示することができる。
各受け部材32は、厚みが数mm程度の板部材を用いて形成された、円弧状の部材である。尚、図5では、複数の受け部材32のうちの、一部の受け部材32を図示している。各受け部材32は、固定部材としてのねじ部材33を用いて、溝27cに固定されている。各受け部材32は、第2フランジ27からチューブ2に向かって突出しており、チューブ本体8の一端面8aに接触している。図4を参照して、第2フランジ27、第1フランジ26、内筒24及び外筒25によって、冷却水路28が形成されている。
冷却水路28は、円筒状の水路として設けられている。冷却水路28は、図示しない熱交換器と接続されている。冷却水路28は、この熱交換機で冷却された冷却水が通過するように構成されている。これにより、冷却水路28に隣接して配置された第1シール部材21、及び第2シール部材22が、冷却される。
第2シール部材22を有するシール装置23は、チューブ2と、冷却部材19との間をシールするために設けられている。シール装置23は、チューブ2の開口部11を取り囲むように配置されている。シール装置23は、第2シール部材22と、シール保持部材35と、を有している。
第2シール部材22は、冷却部材19と、チューブ2との間を、気密的にシールするために設けられている。本実施形態では、第2シール部材22は、第1シール部材21と同様の構成を有している。即ち、第2シール部材22は、合成ゴム等を用いて形成されたOリングであり、弾性及び可撓性を有している。第2シール部材22は、環状に形成されている。第2シール部材22は、チューブ本体8の開口部11の外周面に嵌められている。第2シール部材22は、チューブ本体8の一端面8aに隣接して配置されている。また、第2シール部材22は、第2フランジ27の他端面27bに接触している。これにより、第2シール部材22は、チューブ本体8の開口部11と、第2フランジ27との間の空間を、チューブ本体8の外側から塞いでいる。第2シール部材22は、シール保持部材35によって、保持されている。
シール保持部材35は、円環状に形成されており、第2フランジ27に固定されている。シール保持部材35の内周部は、第2シール部材22を、チューブ本体8側へ加圧している。上記の構成を有するシール装置23とは長手方向L1に離隔した位置に、ドア装置20が配置されている。
図1及び図3を参照して、ドア装置20は、ドア36と、ドア支持装置37と、を有している。
ドア36は、冷却部材19の第1フランジ26の内側空間を長手方向L1の一方側から塞ぐために設けられている。換言すれば、ドア36は、チューブ2の開口部11を、長手方向L1の一方側から塞ぐために設けられている。ドア36は、例えば、金属板を用いて形成されている。本実施形態では、ドア36は、円板状に形成されている。ドア36の外周部36aは、冷却部材19の第1フランジ26に接触可能に構成されている。ドア36の外周部36aが第1フランジ26に接触した場合、ドア36と、第1フランジ26との間は、第1シール部材21によって、気密的にシールされる。このドア36は、ドア支持装置37によって支持されている。ドア支持装置37は、ドア36を変位可能に支持するために設けられている。
ドア支持装置37は、支柱38と、駆動装置39と、を有している。
支柱38は、上下方向Z1(鉛直方向)に延びる部材として設けられている。支柱38は、ドア36に固定されている。支柱38は、駆動装置39に接続されている。
駆動装置39は、支柱38及びドア36を変位させるために設けられている。駆動装置39は、支柱38を、長手方向L1に変位可能に構成されている。また、駆動装置39は、支柱38を、長手方向L1と直交する方向に変位可能に構成されている。これにより、駆動装置39は、第1フランジ26で囲まれた空間を開放するように、ドア36を変位させることができる。即ち、駆動装置39は、ドア36を、開閉することができる。ドア36が開いた状態で、被処理物100を、チューブ2に対して出し入れすることができる。ドア36は、遮熱部5を保持している。
遮熱部5は、ヒータ3からの熱が、第2シール部材22、冷却部材19、第1シール部材21、及びドア36等に伝わることを抑制するために設けられている。遮熱部5は、チューブ2の開口部11の周辺に配置されている。
図3を参照して、遮熱部5は、ステー41,42と、遮熱部材43と、を有している。
ステー41,42は、遮熱部材43を支持するために設けられている。各ステー41,42は、ドア36に固定されており、ドア36から、長手方向L1に沿って、チューブ2側に延びている。各ステー41,42は、長手方向L1に並ぶ複数の凹部44を有している。凹部44は、上方に向けて開放されており、遮熱部材43を嵌めることが可能である。
遮熱部材43は、熱バリアを形成するために設けられている。遮熱部材43は、1又は複数設けられている。本実施形態では、遮熱部材43は、7つ設けられている。各遮熱部材43は、円板状に形成されている。複数の遮熱部材43が、長手方向L1に離隔して配置されている。各遮熱部材43には、複数の貫通孔が形成されている。これらの貫通孔に、対応するステー41,42が挿入されている。また、これらの貫通孔の周縁部は、凹部44に嵌められている。これにより、各遮熱部材43は、長手方向L1に位置決めされている。各遮熱部材43は、凹部44に取り外し可能に嵌合されている。これにより、長手方向L1における各遮熱部材43の位置を、容易に変更できる。また、ステー41,42に取り付けられる遮熱部材43の数を、容易に変更することができる。その結果、遮熱部5が熱を遮断する度合いを、容易に調整できる。遮熱部5には、サブヒータ45が配置されている。サブヒータ45は、発熱体を有しており、チューブ2内の雰囲気を加熱可能に構成されている。
サブヒータ45は、一対の第1部分45a,45aと、第2部分45bと、を有している。
各第1部分45a,45aは、長手方向L1に沿って延びる部分として設けられている。各第1部分45a,45aは、ドア36に形成された貫通孔を貫通し、且つ、各遮熱部材43に形成された貫通孔を貫通している。各第1部分45a,45aの先端部に、第2部分45bが接続されている。第2部分45bは、上下方向Z1に延びている。第2部分45bは、各遮熱部材43に対して、チューブ2の奥側(長手方向L1の一方側)に配置されている。第2部分45bは、発熱体を有している。第2部分45bの発熱体は、例えば、ファン装置6の周辺の温度が所定値未満である場合に、発熱するように構成されている。上記の構成を有するサブヒータ45、及び遮熱部5に隣接した位置に、ファン装置6が配置されている。
ファン装置6は、ドア36に支持されており、ドア36とともに変位可能である。ファン装置6は、チューブ2内に気流A1を生じさせるために設けられている。
ファン装置6は、電動モータ(動力源)46と、伝動装置47と、シャフトユニット48と、ファン49と、軸受ユニット50と、を有している。
電動モータ46は、例えば、支柱38に支持されている。電動モータ46の出力は、伝動装置47を介して、シャフトユニット48に伝達される。
伝動装置47は、例えば、プーリ機構である。伝動装置47は、第1プーリ51と、第2プーリ52と、ベルト53と、を有している。第1プーリ51は、電動モータ46の出力軸に一体回転可能に連結されている。第2プーリ52は、シャフトユニット48に一体回転可能に連結されている。ベルト53は、第1プーリ51と、第2プーリ52と、に巻き掛けられている。
シャフトユニット48は、ファン49の回転軸として設けられており、回転軸線S1を有している。回転軸線S1は、シャフトユニット48の中心軸線でもある。シャフトユニット48は、ファン49に連結されており、電動モータ46からの出力を、ファン49に伝達する。シャフトユニット48は、ドア36に形成された貫通孔36bを貫通しており、ドア36の外側から、チューブ2内に向けて延びている。シャフトユニット48の一端部48aに、第2プーリ52が固定されている。シャフトユニット48は、各遮熱部材43に形成された貫通孔43aを貫通している。シャフトユニット48の他端部48bには、ファン49が同軸に連結されている。
ファン49は、気流A1を発生することにより、チューブ2内のガスを撹拌するように構成されている。これにより、チューブ2内の各種ガスの濃度分布が、より均等になり、且つ、チューブ2内の温度が、より均等になる。ファン49は、チューブ2内に配置されており、回転軸線S1を中心として、回転可能である。ファン49とドア36との間に各遮熱部材43が配置されるように、ファン49は配置されている。
ファン49は、ボス部54と、複数の羽根55と、を有している。
ボス部54は、筒状に形成されており、シャフトユニット48の他端部48bに嵌合している。複数の羽根55は、ボス部54の外周部に固定されており、ボス部54から放射状に延びている。上記の構成により、ファン49が回転すると、当該ファン49から当該ファン49の径方向外方に向かう気流A1が、発生する。ファン49を回転させるためのシャフトユニット48は、軸受ユニット50によって、回転可能に支持されている。軸受ユニット50は、ドア36の外側に配置されている。即ち、軸受ユニット50は、ドア36の一端面36c側に配置されている。
軸受ユニット50は、ケーシング56と、フランジ部57と、を有している。
ケーシング56は、円筒状に形成されている。ケーシング56は、シャフトユニット48によって貫通されている。ケーシング56内には、軸受(図示せず)が配置されている。この軸受は、シャフトユニット48を回転可能に支持している。ケーシング56の一端部には、フランジ部57が固定されている。
フランジ部57は、固定部材としてのねじ部材58によって、座部59に固定されている。座部59は、ドア36の一端面36cに固定された、筒状の部材である。座部59は、シャフトユニット48によって、貫通されている。
図3及び図4を参照して、上記の構成を有するファン装置6において、ファン49は、ファン49の径方向外方に向かう気流A1を発生する。この気流A1における気体は、ヒータ3によって加熱されており、高温である。このため、気流A1からの熱は、第2シール部材22にできるだけ伝わらないことが好ましい。また、気流A1における気体中には、チューブ2内での化学反応等で生じた微粉末が存在している。この微粉末が、気流A1に乗って、チューブ2に強い勢いで衝突することは、抑制されていることが好ましい。そこで、熱処理装置1には、保護筒7が設置されている。
保護筒7は、ファン49で生じた気流A1からの熱が、第2シール部材22に伝わることを抑制するために設けられている。また、保護筒7は、気流A1が、チューブ2に勢いよく当てられることを抑制するために設けられている。
保護筒7は、全体として、円筒状に形成されている。保護筒7は、数mmの厚みを有する、薄板部材である。保護筒7は、チューブ2の開口部11の周辺に配置されており、チューブ2の長手方向L1と平行に延びている。保護筒7の一端部7aは、冷却部材19の第1フランジ26の内周部に、固定部材としてのねじ部材63を用いて固定されている。保護筒7の中間部7bは、冷却部材19の第2フランジ27の内周部に、固定部材としてのねじ部材64を用いて固定されている。保護筒7の他端部7cは、チューブ2内に配置されており、且つ、チューブ本体8とは離隔して配置されている。
保護筒7は、ガス供給口61と、排気口62と、を有している。ガス供給口61は、ガス供給管(図示せず)に接続されており、被処理物100の熱処理に用いられるガスをチューブ2内へ供給することが可能である。ガス供給管は、冷却部材19を貫通するように延びている。排気口62は、排気管(図示せず)に接続されており、チューブ2内の気体を吸引するように構成されている。尚、排気管は、冷却部材19を貫通するように延びており、真空ポンプ等の吸引装置に接続されている。
保護筒7は、遮熱部5と、サブヒータ45と、を取り囲んでいる。また、保護筒7は、シャフトユニット48の一部と、ファン49と、を取り囲んでいる。また、保護筒7は、第2シール部材22とは、保護筒7の径方向に並んで配置されている。上記の構成により、ファン49からの気流A1は、保護筒7に当たった後、チューブ2の長手方向L1と平行な方向に向きを変え、チューブ2の奥側(閉塞部9側)へ進む。
[熱処理装置の主な動作]
図1を参照して、以上の構成により、熱処理装置1が、被処理物100を熱処理する際には、まず、駆動装置39の動作によって、ドア36が開かれる。この状態で、被処理物100は、チューブ2内に収納される。次に、駆動装置39の動作によって、ドア36が閉じられる。即ち、ドア36は、冷却部材19の開口を閉じることにより、チューブ2内の空間を、熱処理装置1の外部の空間から遮断する。
次に、チューブ2内の空気が、排気口62を通して吸引されることにより、チューブ2内の圧力は、負圧となる。また、反応性ガスが、ガス供給口61を通して、チューブ2内に供給される。この状態で、ヒータ3からの熱により、チューブ2内の雰囲気が、加熱される。そして、電動モータ46の出力によって、ファン49が回転する。これにより、チューブ2内に気流A1が生じ、チューブ2内の雰囲気は、撹拌される。この状態で、被処理物100の表面に、元素が付着し、拡散される。この際、冷却水路28には、冷却水が通過している。これにより、第1シール部材21、及び第2シール部材22(図4参照)の過熱が抑制される。また、ヒータ3からの熱は遮熱部5によって、各シール部材21,22、及びドア36等に伝わることを、抑制される。
被処理物100に薄膜が形成された後、ヒータ3による加熱が停止される。その後、駆動装置39の動作によって、ドア36が開かれる。この状態で、チューブ2内の被処理物100は、チューブ2内から取り出される。
[シール装置の詳細な構成]
次に、シール装置23における、より詳細な構成を説明する。図3及び図4に示すように、シール装置23は、第2シール部材22と、シール保持部材35を有するシール保持装置71と、エアブロー装置72と、を有している。
第2シール部材22の構成については、前述した通りであり、開口部11の周囲をシールするように構成されている。この第2シール部材22は、シール保持装置71によって、保持されている。これにより、第2シール部材22は、チューブ2の開口部11の外周面11aとは、チューブ2の周方向C1の全域に亘って密着している。尚、外周面11aは、チューブ2の内周面2cの一部である。また、第2シール部材22は、第2フランジ27の他端面27bとは、チューブ2の周方向C1の全域に亘って密着している。
シール保持装置71は、開口部11の外周面11aと、第2フランジ27の他端面27bとの間の領域を、第2シール部材22によって、確実に気密的にシールさせるために設けられている。これにより、チューブ2内の気体は、隙間CL1(図5参照)を通ってチューブ2の外部の空間に漏れることを抑制されている。
尚、以下では、チューブ2の周方向C1を、単に「周方向C1」という場合がある。また、チューブ2の径方向R1を、単に「径方向R1」という場合がある。また、長手方向L1は、チューブ2の軸方向、及び当該軸方向と平行な方向を含んでいる。また、長手方向L1は、開口部11が延びる方向でもある。
シール保持装置71は、シール保持部材35と、受け部材保持機構73と、を有している。
シール保持部材35は、円環状に形成されており、第2シール部材22を取り囲んだ状態で、第2フランジ27に固定されている。シール保持部材35の曲率中心は、チューブ2の中心軸線S2上に配置されている。シール保持部材35は、ステンレス等の金属材料を用いて形成されている。
シール保持部材35は、本体75と、溝部76と、鍔部77と、を有している。
本体75は、第2フランジ27とは長手方向L1に隣接して配置されている。本体75は、環状の薄板によって形成されている。本体75と、開口部11の外周面11aとの間には、隙間CL2が形成されている。本体75の内周部に、溝部76が形成されている。
溝部76は、第2シール部材22が配置される部分として設けられている。溝部76は、周方向C1における本体75の全域に亘って形成された、円環状の部分である。溝部76は、径方向R1の内方に開放されており、チューブ2の開口部11の外周面11aと向かい合っている。また、溝部76は、長手方向L1の一方に開放されており、第2フランジ27の他端面27bと向かい合っている。
溝部76は、第1加圧部81と、第2加圧部82とを有している。
第1加圧部81は、溝部76の底面として形成されている。第1加圧部81は、円筒面によって形成されている。第1加圧部81は、第2シール部材22を、径方向R1の内方に向けて加圧している。これにより、第2シール部材22は、周方向C1の全域に亘って、開口部11の外周面11aと、密着している。
第2加圧部82は、溝部76の内側面として形成されている。第2加圧部82は、長手方向L1の一方を向く円環状の面である。第2加圧部82は、第2シール部材22を、長手方向L1の一方に向けて加圧している。これにより、第2シール部材22は、周方向C1の全域に亘って、第2フランジ27の他端面27bと、密着している。上記の構成により、第2シール部材22は、第2フランジ27の他端面27bと、チューブ本体8の一端面8aとの間を、気密的にシールしている。上記の構成を有する溝部76に対して長手方向L1の一方側の位置に、鍔部77が配置されている。
鍔部77は、本体75の外周部から、長手方向L1の一方に向けて延びる、円環状の部分である。鍔部77は、第2フランジ27に対して、径方向R1の外方に配置されている。上記の構成を有するシール保持部材35は、受け部材保持機構73によって、保持されている。
受け部材保持機構73は、第2フランジ27と、固定用ねじ部材83と、を有している。
第2フランジ27は、前述した冷却部材19の一部を構成しているとともに、受け部材保持機構73の一部を構成している。第2フランジ27は、長手方向L1において、本体75と隣接している。また、第2フランジ27は、長手方向L1において、開口部11と隣接している。第2フランジ27には、固定用ねじ部材83が取り付けられている。
固定用ねじ部材83は、シール保持部材35を第2フランジ27に締結するために設けられている。固定用ねじ部材83は、複数備えられており、周方向C1に等間隔に配置されている。尚、図3及び図4では、複数の固定用ねじ部材83のうちの一部の固定用ねじ部材83を図示している。各固定用ねじ部材83のねじ軸は、第2フランジ27に形成された長孔86を貫通している。また、各固定用ねじ部材83のねじ軸は、シール保持部材35に形成されたねじ孔78に、ねじ結合されている。これにより、シール保持部材35は、第2フランジ27に固定されている。上記の構成を有するシール保持装置71には、エアブロー装置72が取り付けられている。
エアブロー装置72は、チューブ2の外部から、第2シール部材22の周囲の領域に向けて、空気を吹き出すために設けられている。エアブロー装置72は、エア用管89と、ステー90と、を有している。
エア用管89は、例えば、円環状に形成されており、チューブ2の外周面11の外周面11aを取り囲むようにして配置されている。エア用管89は、シール保持部材35に隣接して配置されている。エア用管89には、吹出し口89aが形成されている。吹出し口89aは、エア用管89内の空気を、チューブ2の開口部11の外周面11aに向けて吹き出すために設けられている。
吹出し口89aは、径方向R1の内方を向いており、外周面11aと径方向R1に向かい合っている。吹出し口89aは、周方向C1に等間隔に複数形成されている。尚、図4では、複数の吹出し口89aのうちの1つの吹出し口89aを、図示している。吹出し口89aは、シール保持部材35と長手方向L1に隣接する位置に、形成されている。エア用管89は、ポンプ等の気流発生源(図示せず)と接続されており、エア用管89内を、空気等の気流が通過するように構成されている。エア用管89内の気体は、気流A2として、各吹出し口89aから、チューブ2の開口部11の外周面11aに向けて吹き出される。これにより、各吹出し口89aからの気流A2は、チューブ2の開口部11の外周面11aに吹き付けられる。また、気流A2は、外周面11aと、シール保持部材35との間の隙間CL2に到達し、第2シール部材22を冷却する。エア用管89は、ステー90を介して、シール保持部材35に支持されている。
ステー90は、複数設けられている。各ステー90は、L字状に形成されており、径方向R1に沿って細長く延びている。径方向R1におけるステー90の一端部に、エア用管89が固定されている。径方向R1におけるステー90の他端部は、ステー用ねじ部材91を用いて、シール保持部材35の外周部に固定されている。上記の構成を有するステー90に対して径方向R1の内方に、保護筒7が配置されている。
[保護筒の詳細な構成]
前述したように、保護筒7は、気流発生源としてのファン49からの気流A1が、チューブ2に勢いよく直接当てられることを抑制するために設けられている。また、保護筒7は、気流A1からの熱が、チューブ2、第2シール部材22、冷却部材19、及び第1シール部材21等に伝わることを抑制するために、設けられている。保護筒7は、開口部(曲面部)11に沿って配置されている。
本実施形態では、保護筒7は、複数(3つ)の板部材93(93a,93b,93c)を有している。尚、以下では、複数の板部材93a,93b,93cを総称していう場合は、単に「板部材93」という。保護筒7は、複数の板部材93a,93b,93cを組み合わせることで、全体として、円筒状に形成されている。
板部材93a,93b,93cは、周方向C1に沿って配列されている。本実施形態では、各板部材93は、中心軸線S2を中心として略120度の角度範囲に配置されている。周方向C1における、板部材93間の間隔は、数mm未満(ゼロmmを含む)程度に設定されており、複数の板部材93は、周方向C1に連続するように配置されている。本実施形態では、各板部材93は、ガス供給口61及び排気口62の有無を除いて、同様の構成を有している。
各板部材93は、炭素材料を含む材料によって形成されており、可撓性を有している。各板部材93は、自由状態において、略水平に延びる平板状に形成されている。尚、自由状態とは、外力が作用していない状態をいう。各板部材93は、曲面状となるように変形された状態で、チューブ2内に配置されている。具体的には、各板部材93は、炭素によって形成された母材(マトリックス)に、炭素繊維が強化繊維として組み込まれた構成を有している。即ち、各板部材93は、表面及び内部が、炭素によって形成されている。これにより、各板部材93、即ち、保護筒7は、反応性ガスと化学反応を生じない部材として用いられている。また、各板部材93の表面は、滑らかな面とされていることにより、異物の付着を抑制されている。
各板部材93の熱伝導率、即ち、保護筒7の熱伝導率HC7は、チューブ2の熱伝導率HC2よりも大きく設定されている(HC7>HC2)。本実施形態では、保護筒7は、炭素材料で形成されており、且つ、チューブ2は、石英材料で形成されている。これにより、上記した熱伝導率の関係が成立している。
更に、板部材93の厚み、即ち、保護筒7の厚みT7は、チューブ2の厚みT2よりも、小さく設定されている(T7<T2)。また、長手方向L1において、保護筒7の全長は、チューブ2の全長よりも、小さく設定されている。その結果、保護筒7の質量は、チューブ2の質量よりも小さい。このような構成により、保護筒7の熱容量は、チューブ2の熱容量よりも小さく設定されている。
本実施形態では、板部材93は、撓まされることにより、円弧状の曲面を構成しており、このように撓まされた状態で、冷却部材19の内周面19a、及びチューブ2の開口部11の内周面11bと対向している。各板部材93は、開口部11に沿うように円弧状に配置されている。
前述したように、保護筒7の一端部7aは、冷却部材19の第1フランジ26の内周部に、固定部材としてのねじ部材63を用いて、固定されている。より具体的には、長手方向L1における各板部材93の一端部は、第1固定部94を有している。第1固定部94には、ねじ部材63が貫通されている。ねじ部材63は、雄ねじ部材である。各板部材93において、ねじ部材63は、複数設けられており、周方向C1に等間隔に配置されている。即ち、各板部材93は、複数の第1固定部94を有している。各ねじ部材63は、第1フランジ26のねじ孔26bに、ねじ結合されている。ねじ孔26bは、ねじ部材63の数と同じ数だけ形成されており、対応するねじ部材63のねじ軸とねじ結合している。尚、図3及び図4では、複数のねじ孔26bのうちの一部を図示している。上記の構成により、各第1固定部94は、冷却部材19に固定されている。
また、前述したように、保護筒7の中間部7bは、冷却部材19の第2フランジ27の内周部に、固定部材としてのねじ部材64を用いて固定されている。より具体的には、長手方向L1における板部材93の中間部は、第2固定部95を有している。第2固定部95には、ねじ部材64が貫通されている。ねじ部材64は、雄ねじ部材である。各板部材93において、ねじ部材64は、複数設けられており、周方向C1に等間隔に配置されている。即ち、各板部材93は、複数の第2固定部95を有している。各ねじ部材64は、第2フランジ27のねじ孔27dに、ねじ結合されている。ねじ孔27dは、ねじ部材64の数と同じ数だけ形成されており、対応するねじ部材64のねじ軸とねじ結合している。尚、図3及び図4では、複数のねじ孔27dのうちの一部を図示している。上記の構成により、各第2固定部95は、冷却部材19に固定されている。
また、保護筒7のガス供給口61、及び排気口62は、複数の板部材93a,93b,93cのうちの1つの板部材93bに形成されている。
保護筒7は、第1対向部(冷却部材対向部)96と、第2対向部(対向部)97と、を有している。
第1対向部96は、冷却部材19の内周面19aと径方向R1に対向する部分として設けられている。第1対向部96は、冷却部材19の内周面19aと接触しており、当該内周面19aによって、安定した姿勢で保持されている。冷却部材19の内周面19aは、第1フランジ26の内周面と、内筒24の内周面と、第2フランジ27の内周面と、によって形成された、円筒面である。第1対向部96は、前述した第1固定部94及び第2固定部95を有している。第1対向部96は、複数の遮熱部材43の一部と、シャフトユニット48の一部と、を取り囲んでいる。第1対向部96と長手方向L1に並ぶようにして、第2対向部97が配置されている。
第2対向部97は、ファン49から径方向R1の外方へ向かう気流A1と直接衝突する部分として、設けられている。即ち、第2対向部97は、気流発生源としてのファン49によって生じた、被処理物100を熱処理するための気流A1に晒されるように配置されている。気流A1には、反応性ガスの気流が含まれている。また、第2対向部97は、チューブ2の内周面2cと径方向R1に対向する部分として、設けられている。また、第2対向部97は、ファン49からの気流A1を、被処理物100側へ向けて案内する導風部材として、設けられている。
第2対向部97は、チューブ2の開口部11、及び第2シール部材22と、径方向R1に並んでいる。即ち、チューブ2のうち第2シール部材22に嵌合されている開口部11の内周面11bと、第2対向部97とは、径方向R1に対向している。第2対向部97は、開口部11の内周面11bとは、径方向R1に離隔して配置されている。本実施形態では、第2対向部97とチューブ本体8(開口部11)との間の距離は、数mm程度の小さな値に設定されている。
第2対向部97と、チューブ本体8との間には、空間SP1が形成されている。この空間SP1は、第2対向部97と、チューブ本体8と、第2フランジ27と、第2シール部材22と、によって形成されている。空間SP1のうち、長手方向L1の一方の端部領域SP1aは、第2シール部材22によって塞がれている。このため、空間SP1内では、気流が生じ難くされており、長手方向L1の他方の端部領域SP1bから空間SP1内への、気体の侵入が抑制される。これにより、ファン49の駆動によってチューブ2内を循環する高温の気体が、空間SP1内に侵入することは、抑制されている。
第2対向部97は、複数の遮熱部材43のうちの一部と、シャフトユニット48の一部と、サブヒータ45の一部と、ファン49と、を取り囲んでいる。長手方向L1において、第2対向部97の長さD97は、第1対向部96の長さD96よりも大きく設定されている(D97>D96)。
第2対向部97の一部は、ヒータ3と径方向R1に向かい合っている。これにより、保護筒7は、ヒータ3からの熱を受けて、迅速に昇温される。一方、保護筒7は、熱処理中の被処理物100の周囲は、取り囲まないように配置されている。また、保護筒7の第2対向部97に対して径方向R1の外方の位置に、エア用管89が配置されている。エア用管89の吹出し口89aから吹き出された空気は、保護筒7によって昇温を抑制された開口部11に衝突し、その後、第2シール部材22と接触する。これにより、エア用管89から吹き出された空気は、開口部11との接触に起因する昇温を抑制されており、より低い温度で、第2シール部材22と接触できる。
[熱処理装置の動作時における、保護筒の作用]
次に、保護筒7の作用の一例について、説明する。前述したように、被処理物100を熱処理する際には、チューブ2内に被処理物100が収容された後に、ドア36が閉じられる。次いで、チューブ2内の圧力は、負圧にされ、更に、チューブ2内に、被処理物100を熱処理するための反応性ガスが供給される。この状態で、ヒータ3からの熱により、チューブ2内のガスが、加熱される。
ヒータ3からの熱は、保護筒7にも伝わる。保護筒7の熱容量は小さく設定されているので、保護筒7は、熱に対する応答性が高い。このため、単位時間当たりの保護筒7の温度上昇量は、単位時間当たりのチューブ2の温度上昇量よりも、大きい。即ち、保護筒7は、迅速に昇温する。これにより、反応性ガスに起因する副生成物は、保護筒7に付着し難くされている。
また、電動モータ46の出力によって、ファン49が回転する。これにより、チューブ2内に気流A1が生じる。この気流A1は、ファン49から、径方向R1の外方を向いており、保護筒7の第2対向部97と衝突する。これにより、気流A1は、向きを変え、被処理物100へ向かう。このように、気流A1は、チューブ2の開口部11には直接衝突することなく、保護筒7によって、向きを変更される。気流A1は、チューブ2と直接接触する頃には、長手方向L1と概ね平行な方向を向いており、チューブ2の内周面2cと衝突するように接触することを抑制されている。したがって、チューブ2の内周面2cへの、上記副生成物の付着が抑制されている。
また、空間SP1の端部領域SP1aは、第2シール部材22によって塞がれている。よって、空間SP1内において、気体の流れは生じにくくされており、空間SP1への反応性ガスの侵入は、抑制されている。
尚、被処理物100の熱処理が完了した後は、ヒータ3の加熱が停止される。その後、ドア36が開かれることにより、当該被処理物100は、チューブ2から取り出される。次いで、チューブ2には、熱処理が未だの被処理物100が、再度挿入される。その後、前述したのと同様に、被処理物100に熱処理が施される。この際も、保護筒7は、ヒータ3によって、迅速に昇温される。よって、保護筒7への副生成物の付着は、抑制される。
以上説明したように、熱処理装置1によると、保護筒7の第2対向部97は、チューブ2内のガスに晒されるように配置され、且つ、チューブ2の開口部11の内周面11bと対向するように配置されている。これにより、チューブ2のうち、保護筒7の第2対向部97と対向している内周面11bは、ガスの気流を受け難くされている。したがって、当該内周面11bは、ガスの反応に起因して生じる生成物(副生成物)を付着し難くされている。また、保護筒7の熱伝導率HC7は、チューブ2の熱伝導率HC2よりも大きく設定されている(HC7>HC2)。このため、保護筒7がガス及びヒータ3等からの熱を受けることにより、当該保護筒7は、迅速に昇温する。このため、保護筒7に触れたガスの温度の低下を抑制でき、その結果、保護筒7への副生成物の付着を、抑制できる。特に、反応性ガスとして、金属原料含有ガス(例えば、セレン化水素等)が用いられる場合、異物の析出を生じ易いけれども、保護筒7により、チューブ2を保護することができる。また、保護筒7が炭素材料を含む材料によって形成される場合、金属原料含有ガスと化学反応して劣化することを、より確実に防止できる。
従って、熱処理装置1において、チューブ2の内部における、異物の付着を抑制できる。
また、熱処理装置1によると、ファン49からの気流A1によって、チューブ2内のガスの濃度分布を、より均等にできる。よって、被処理物100の各部を、より均等に熱処理できる。また、ファン49からの気流A1は、保護筒7の第2対向部97によって受けられる。これにより、チューブ2の開口部11の内周面11bは、気流A1の衝突を抑制されているので、副生成物が付着することを、より確実に抑制される。また、チューブ2内に存在する異物が、気流A1に乗ってチューブ2内で飛散している場合でも、当該異物がチューブ2の内周面2cに衝突することを、保護筒7によって抑制できる。これにより、チューブ2の破損を、抑制できる。
また、熱処理装置1によると、化学的な安定性の高い炭素材料を含む材料によって、保護筒7が形成されている。このため、保護筒7が、チューブ2内の反応性ガスと化学反応して劣化することを、より確実に抑制できる。
また、熱処理装置1によると、保護筒7の各板部材93は、変形されることにより、チューブ2の開口部11に沿うように配置されている。この構成であれば、各板部材93の形状を、予め、開口部11の形状に合わせた形状に形成しておく必要がない。即ち、各板部材93を、簡易な形状としての平板状に形成し、その後、各板部材93を変形させることで、各板部材93を、開口部11に沿って配置できる。したがって、保護筒7を製造する手間を少なくできる。
また、熱処理装置1によると、チューブ2のうち、第2シール部材22と嵌合している開口部11は、保護筒7と対向している。これにより、高温のガスからの熱は、保護筒7で受けられ、第2シール部材22へ伝わることを抑制される。したがって、第2シール部材22の過熱を抑制でき、その結果、第2シール部材22の劣化を抑制できる。
また、熱処理装置1によると、保護筒7の第1対向部96は、冷却部材19に固定されている。また、長手方向L1において、第2対向部97の長さは、第1対向部96の長さよりも大きく設定されている。この構成であれば、冷却部材19によって、第2シール部材22の過熱を、より確実に抑制できる。また、保護筒7を、冷却部材19によって保持できる。また、ガスが冷却部材19と接触することを、保護筒7によって抑制できるので、冷却部材19への副生成物の付着を、抑制できる。また、長手方向L1において、第2対向部97の長さD97は、第1対向部96の長さD96よりも、大きく設定されている(D97>D96)。これにより、保護筒7が冷却部材19によって冷却されることを、抑制できる。よって、保護筒7に副生成物が付着することを、抑制できる。
以上の次第で、チューブ2内の清掃の手間を、より少なくできる。また、チューブ2内を所定期間毎に定期的に清掃する際の、当該所定期間(メンテナンスの間隔)を、より長くできる。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態に限られるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
(1)上述の実施形態では、保護部材としての保護筒7は、全体として円筒状である形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、保護部材は、多角形の筒状でもよい。また、保護部材は、周方向C1のうちの一部にのみ配置されていてもよい。保護部材は、被処理物100を熱処理するためのガスに晒されることが可能に配置され、且つ、チューブ2の内周面2cと対向していればよく、形状は、特に限定されない。
(2)上述の実施形態では、保護筒7の全体を、炭素材料で形成する形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、保護筒7において、第1対向部96の材料と、と第2対向部97の材料と、を異ならせてもよい。
(3)上述の実施形態では、ファン49を設ける形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、ファン49は、省略されていてもよい。
(4)上述の実施形態では、保護筒7は、炭素のマトリックス及び炭素繊維を有する、炭素繊維強化材料を用いて形成される形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、保護筒7は、炭素繊維強化樹脂を用いて形成されていてもよい。保護筒7は、少なくとも外面が、炭素材料によって形成されていることが好ましく、保護筒7の内部の材料は、炭素材料でなくてもよい。また、保護筒7は、炭素材料以外の材料で形成されていてもよい。
(5)上述の実施形態では、保護筒7は、平板状の板部材93を撓ませることにより形成する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、保護筒7は、円筒状の単一材料によって形成されていてもよい。
(6)上述の実施形態では、第2シール部材22を、Oリングによって形成する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、第2シール部材を、弾性及び可撓性を有する、Oリング以外のシール部材で形成してもよい。
(7)上述の実施形態では、保護筒7の第2対向部97の長さD97が、第1対向部96の長さD96よりも大きい(D97>D96)形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、D97≦D96であってもよい。また、保護筒7は、冷却部材19以外の部材に固定されていてもよい。
(8)上記実施形態では、第1シール部材21は、Oリングである形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。第1シール部材21は、Oリング以外の、固体状のシール部材等であってもよい。
本発明は、加熱された雰囲気下で被処理物を処理するための熱処理装置として、広く適用することができる。
1 熱処理装置
2 チューブ(収納容器)
2c 内周面(収納容器の内面)
7 保護筒(保護部材)
11 開口部(曲面部)
19 冷却部材
19a 冷却部材の内周面(冷却部材の内面)
22 第2シール部材(開口部の周囲をシールするためのシール部材)
49 ファン(気流発生源)
93 板部材
94 第1固定部(冷却部材に固定される固定部)
95 第2固定部(冷却部材に固定される固定部)
96 第1対向部(冷却部材対向部)
97 第2対向部(収納容器の内面と対向する対向部)
100 被処理物
A1 気流
D96 第1対向部の長さ(冷却部材対向部の長さ)
D97 第2対向部の長さ(対向部の長さ)
HC2 チューブの熱伝導率(収納容器の熱伝導率)
HC7 保護筒の熱伝導率(対向部の熱伝導率)
L1 長手方向(開口部が延びる方向)

Claims (6)

  1. 被処理物を収容するための、収納容器と、
    前記被処理物を熱処理するためのガスに晒されることが可能に配置され且つ前記収納容器の内面と対向する対向部を有する、保護部材と、を備え、
    前記対向部の熱伝導率は、前記収納容器の熱伝導率よりも大きく設定されていることを特徴とする、熱処理装置。
  2. 請求項1に記載の熱処理装置であって、
    前記ガスの気流を前記収納容器内で発生させるための、気流発生源を更に備え、
    前記保護部材は、前記気流発生源からの前記気流と衝突するように配置されていることを特徴とする、熱処理装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の熱処理装置であって、
    前記保護部材は、炭素材料を含む材料によって形成されていることを特徴とする、熱処理装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の熱処理装置であって、
    前記収納容器は、曲面部を有しており、
    前記保護部材は、可撓性を有する板部材を用いて形成されており、
    前記板部材は、前記曲面部に沿って配置されていることを特徴とする、熱処理装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の熱処理装置であって、
    前記収納容器は、開口部を有しており、
    前記収納容器には、前記開口部の周囲をシールするための、シール部材が嵌合されており、
    前記対向部は、前記収納容器のうち、前記シール部材に嵌合されている部分の内面と対向していることを特徴とする、熱処理装置。
  6. 請求項5に記載の熱処理装置であって、
    前記シール部材を冷却するために、前記開口部が延びる方向に沿って前記開口部と隣接して配置された、冷却部材を更に備え、
    前記保護部材は、前記冷却部材の内面と対向する、冷却部材対向部を有し、
    前記冷却部材対向部は、前記冷却部材に固定される固定部を有し、
    前記開口部が延びる方向において、前記対向部の長さは、前記冷却部材対向部の長さよりも大きく設定されていることを特徴とする、熱処理装置。
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