以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、被処理物を熱処理するための熱処理装置として広く適用することができる。
[熱処理装置の概略構成]
図1は、本発明の実施形態に係る熱処理装置1の一部を切断した状態を示す断面図であり、熱処理装置1を側方から見た状態を示している。図2は、熱処理装置1の一部を切断した状態を示す断面図であり、熱処理装置を斜めから見た状態を示している。図2では、熱処理装置1の一部を省略して示している。
図1及び図2を参照して、熱処理装置1は、被処理物100の表面に熱処理を施すことが可能に構成されている。この熱処理として、CVD(Chemical Vapor Deposition)処理、拡散処理、アニール処理、太陽電池の製造処理、半導体デバイスの製造処理等を例示することができる。本実施形態では、被処理物100は、ガラス基板である。被処理物100は、例えば、矩形状に形成されている。熱処理装置1は、被処理物100を、反応性ガスの雰囲気下で熱処理することにより、被処理物100の表面に、薄膜を形成する。また、熱処理装置1は、横型熱処理装置である。被処理物100は、熱処理装置1に対して出し入れされる際に、水平方向に変位される。
熱処理装置1は、チューブ(収納容器)2と、ヒータ3と、閉塞装置4と、遮熱部5と、ファン装置6と、保護筒(保護部材)7と、を備えている。
チューブ2は、被処理物100を収納するために設けられている。また、チューブ2は、チューブ2内に収納された被処理物100を、加熱された雰囲気下で熱処理するために設けられている。本実施形態では、チューブ2は、石英を用いて形成されている。チューブ2は、中空に形成されている。チューブ2の厚みは、数十mm程度に設定されている。
チューブ2は、チューブ本体8と、閉塞部9と、を有している。
チューブ本体8は、円筒状に形成されており、細長く延びている。チューブ本体8の長手方向L1を、以下、「長手方向L1」という場合がある。チューブ本体8の下部は、支持台(図示せず)によって、支持されている。チューブ本体8の一端部は、開口部11を有している。開口部11は、被処理物100を通過させることが可能な大きさに形成されている。被処理物100は、開口部11を通して、チューブ2に出し入れされる。チューブ本体8の下部上に、被処理物100が配置される。被処理物100は、例えば、支持台12に乗せられた状態で、チューブ本体8の外側から、開口部11を通して、チューブ本体8内に挿入される。支持台12において、被処理物100は、垂直方向に延びた状態で、複数配置されている。チューブ本体8の他端は、閉塞部9と連続している。閉塞部9は、長手方向L1に沿ってチューブ本体8から遠ざかる方向に向けて、膨らんだ形状に形成されている。閉塞部9は、チューブ本体8の他端を塞いでいる。上記の構成を有するチューブ2は、ヒータ3によって加熱される。
ヒータ3は、チューブ2内の雰囲気を加熱するために設けられている。ヒータ3は、例えば、電熱ヒータである。ヒータ3は、全体として、中空の箱形形状に形成されており、チューブ2の大部分を収納している。ヒータ3は、支持台(図示せず)によって支持されている。ヒータ3は、チューブ2内の雰囲気を、数百度程度に加熱することが可能である。
ヒータ3は、上部ヒータ13と、下部ヒータ14と、端部ヒータ15と、側部ヒータ16と、を有している。
上部ヒータ13は、チューブ本体8の上方に配置されており、水平に延びている。平面視において、上部ヒータ13は、矩形に形成されている。平面視において、上部ヒータ13は、チューブ2のうち、開口部11の周辺部分以外の部分を、覆っている。上部ヒータ13の下方に、下部ヒータ14が配置されている。
下部ヒータ14は、チューブ本体8の下方に配置されており、水平に延びている。底面視において、下部ヒータ14は、矩形に形成されている。底面視において、下部ヒータ14は、チューブ2のうち、開口部11の周辺部分以外の部分を、覆っている。下部ヒータ14に隣接するように、端部ヒータ15が配置されている。
端部ヒータ15は、チューブ2の閉塞部9と長手方向L1に並んで配置されており、垂直に延びている。端部ヒータ15は、略矩形に形成されている。端部ヒータ15は、チューブ2の閉塞部9を、チューブ2の後方から覆っている。端部ヒータ15に隣接するように、側部ヒータ16が配置されている。
側部ヒータ16は、チューブ2のチューブ本体8及び閉塞部9に隣接して配置されており、垂直に延びている。側部ヒータ16は、略矩形に形成されており、長手方向L1と平行な方向に延びている。図示していないけれども、側部ヒータ16と同様の側部ヒータが、チューブ2に隣接して配置されている。これら一対の側部ヒータの間に、チューブ2が配置されている。前述したように、上記の構成を有するヒータ3によって、チューブ2内の雰囲気が、加熱される。チューブ2内の雰囲気が加熱されている間、チューブ2の開口部11は、閉塞装置4によって閉塞されている。
図3は、図1の閉塞装置4の周辺の拡大図である。図3を参照して、閉塞装置4は、冷却部材19と、ドア装置20と、第1シール部材21と、第2シール部材22を有するシール装置23と、を含んでいる。
図4は、冷却部材19の周辺の拡大図である。図4を参照して、冷却部材19は、第1シール部材21、及び第2シール部材22を冷却するために設けられている。冷却部材19が設けられていることにより、第1シール部材21、及び第2シール部材22は、ヒータ3からの熱による過熱を抑制される。その結果、第1シール部材21、及び第2シール部材22の劣化を抑制できる。冷却部材19は、チューブ2の開口部11に隣接して配置されている。冷却部材19は、長手方向L1において、チューブ2と、ドア装置20との間に配置されている。冷却部材19は、2つの円筒部材を組み合わせた形状を有しており、チューブ2とは、略同軸に配置されている。冷却部材19は、金属材料を用いて形成されている。この金属材料は、例えば、ステンレス材である。
冷却部材19は、内筒24と、外筒25と、第1フランジ26と、第2フランジ27と、冷却水路28と、を有している。
内筒24は、円筒状に形成されている。本実施形態では、内筒24の内径、即ち、内筒24の内周面の直径は、チューブ本体8の内径よりも小さく設定されている。内筒24を取り囲むようにして、外筒25が配置されている。
外筒25は、円筒状に形成されており、内筒24と、同軸に配置されている。長手方向L1において、外筒25の位置と、内筒24の位置とは、揃えられている。外筒25は、支持部材29(図1参照)に固定されている。これにより、冷却部材19は、支持部材29によって、支持されている。外筒25の一端部25a、及び内筒24の一端部24aは、第1フランジ26に固定されている。
第1フランジ26は、ドア装置20の後述するドア36と接触する部分として設けられている。第1フランジ26は、環状に形成されており、内筒24及び外筒25と同軸に配置されている。第1フランジ26は、溶接等によって、内筒24及び外筒25に固定されている。これにより、第1フランジ26は、内筒24の一端部24aと、外筒25の一端部25aとの間の空間を、長手方向L1の一方側から塞いでいる。第1フランジ26のうち、ドア装置20に対向する部分には、環状の溝26aが形成されている。この溝26aは、第1フランジ26の外周面に開放されている。この溝26aには、環状のプレート30が収容されている。プレート30は、固定部材としてのねじ部材31を用いて、第1フランジ26に固定されている。プレート30に隣接して、第1シール部材21が配置されている。
第1シール部材21は、ドア装置20のドア36と、冷却部材19との間を、気密的にシールするために設けられている。本実施形態では、第1シール部材21は、合成ゴム等を用いて形成されたOリングであり、弾性及び可撓性を有している。第1シール部材21は、環状に形成されている。第1シール部材21は、第1フランジ26の溝26aに嵌められており、当該第1フランジ26と、プレート30との間に位置している。これにより、第1シール部材21は、第1フランジ26に保持されている。第1フランジ26と長手方向L1に離隔した位置に、第2フランジ27が配置されている。
第2フランジ27は、チューブ2に隣接する部分として設けられている。第2フランジ27は、環状に形成されており、内筒24及び外筒25と同軸に配置されている。第2フランジ27は、一端面27aと、他端面27bと、溝部27cと、を有している。
一端面27aは、溶接等によって、内筒24及び外筒25に固定されている。これにより、第2フランジ27は、内筒24の他端部24bと、外筒25の他端部25bとの間の空間を、長手方向L1の他方側から塞いでいる。第2フランジ27の一部は、チューブ2に対して、冷却部材19の径方向の外方に突出するように配置されている。即ち、第2フランジ27の外径は、チューブ本体8の外径よりも大きい。第2フランジ27のうち、チューブ2に対向する他端面27bには、環状の溝27cが形成されている。この溝27cは、第2フランジ27の内周部に形成されている。この溝27cには、受け部材32が配置されている。
図5は、図4のV−V線に沿う断面図である。図4及び図5を参照して、受け部材32は、第2フランジ27と、チューブ2との間に介在する部材として設けられている。これにより、第2フランジ27と、チューブ2とが直接接触することを防止している。受け部材32は、複数設けられている。複数の受け部材32は、第2フランジ27の周方向に等間隔に配置されている。隣り合う受け部材32,32間には、隙間CL1が形成されている。各受け部材32の表面は、摩擦抵抗を低減するための材料によって形成されている。このような材料として、PTFE(PolyTetraFluoroEthylene)等のフッ素樹脂材料を例示することができる。
各受け部材32は、厚みが数mm程度の板部材を用いて形成された、円弧状の部材である。尚、図5では、複数の受け部材32のうちの、一部の受け部材32を図示している。各受け部材32は、固定部材としてのねじ部材33を用いて、溝27cに固定されている。各受け部材32は、第2フランジ27からチューブ2に向かって突出しており、チューブ本体8の一端面8aに接触している。図4を参照して、第2フランジ27、第1フランジ26、内筒24及び外筒25によって、冷却水路28が形成されている。
冷却水路28は、円筒状の水路として設けられている。冷却水路28は、図示しない熱交換器と接続されている。冷却水路28は、この熱交換機で冷却された冷却水が通過するように構成されている。これにより、冷却水路28に隣接して配置された第1シール部材21、及び第2シール部材22が、冷却される。
第2シール部材22を有するシール装置23は、チューブ2と、冷却部材19との間をシールするために設けられている。シール装置23は、チューブ2の開口部11を取り囲むように配置されている。シール装置23は、第2シール部材22と、シール保持部材35と、を有している。
第2シール部材22は、冷却部材19と、チューブ2との間を、気密的にシールするために設けられている。本実施形態では、第2シール部材22は、第1シール部材21と同様の構成を有している。即ち、第2シール部材22は、合成ゴム等を用いて形成されたOリングであり、弾性及び可撓性を有している。第2シール部材22は、環状に形成されている。第2シール部材22は、チューブ本体8の開口部11の外周面に嵌められている。第2シール部材22は、チューブ本体8の一端面8aに隣接して配置されている。また、第2シール部材22は、第2フランジ27の他端面27bに接触している。これにより、第2シール部材22は、チューブ本体8の開口部11と、第2フランジ27との間の空間を、チューブ本体8の外側から塞いでいる。第2シール部材22は、シール保持部材35によって、保持されている。
シール保持部材35は、円環状に形成されており、第2フランジ27に固定されている。シール保持部材35の内周部は、第2シール部材22を、チューブ本体8側へ加圧している。上記の構成を有するシール装置23とは長手方向L1に離隔した位置に、ドア装置20が配置されている。
図1及び図3を参照して、ドア装置20は、ドア36と、ドア支持装置37と、を有している。
ドア36は、冷却部材19の第1フランジ26の内側空間を長手方向L1の一方側から塞ぐために設けられている。換言すれば、ドア36は、チューブ2の開口部11を、長手方向L1の一方側から塞ぐために設けられている。ドア36は、例えば、金属板を用いて形成されている。本実施形態では、ドア36は、円板状に形成されている。ドア36の外周部36aは、冷却部材19の第1フランジ26に接触可能に構成されている。ドア36の外周部36aが第1フランジ26に接触した場合、ドア36と、第1フランジ26との間は、第1シール部材21によって、気密的にシールされる。このドア36は、ドア支持装置37によって支持されている。ドア支持装置37は、ドア36を変位可能に支持するために設けられている。
ドア支持装置37は、支柱38と、駆動装置39と、を有している。
支柱38は、上下方向Z1(鉛直方向)に延びる部材として設けられている。支柱38は、ドア36に固定されている。支柱38は、駆動装置39に接続されている。
駆動装置39は、支柱38及びドア36を変位させるために設けられている。駆動装置39は、支柱38を、長手方向L1に変位可能に構成されている。また、駆動装置39は、支柱38を、長手方向L1と直交する方向に変位可能に構成されている。これにより、駆動装置39は、第1フランジ26で囲まれた空間を開放するように、ドア36を変位させることができる。即ち、駆動装置39は、ドア36を、開閉することができる。ドア36が開いた状態で、被処理物100を、チューブ2に対して出し入れすることができる。ドア36は、遮熱部5を保持している。
遮熱部5は、ヒータ3からの熱が、第2シール部材22、冷却部材19、第1シール部材21、及びドア36等に伝わることを抑制するために設けられている。遮熱部5は、チューブ2の開口部11の周辺に配置されている。
図3を参照して、遮熱部5は、ステー41,42と、遮熱部材43と、を有している。
ステー41,42は、遮熱部材43を支持するために設けられている。各ステー41,42は、ドア36に固定されており、ドア36から、長手方向L1に沿って、チューブ2側に延びている。各ステー41,42は、長手方向L1に並ぶ複数の凹部44を有している。凹部44は、上方に向けて開放されており、遮熱部材43を嵌めることが可能である。
遮熱部材43は、熱バリアを形成するために設けられている。遮熱部材43は、1又は複数設けられている。本実施形態では、遮熱部材43は、7つ設けられている。各遮熱部材43は、円板状に形成されている。複数の遮熱部材43が、長手方向L1に離隔して配置されている。各遮熱部材43には、複数の貫通孔が形成されている。これらの貫通孔に、対応するステー41,42が挿入されている。また、これらの貫通孔の周縁部は、凹部44に嵌められている。これにより、各遮熱部材43は、長手方向L1に位置決めされている。各遮熱部材43は、凹部44に取り外し可能に嵌合されている。これにより、長手方向L1における各遮熱部材43の位置を、容易に変更できる。また、ステー41,42に取り付けられる遮熱部材43の数を、容易に変更することができる。その結果、遮熱部5が熱を遮断する度合いを、容易に調整できる。遮熱部5には、サブヒータ45が配置されている。サブヒータ45は、発熱体を有しており、チューブ2内の雰囲気を加熱可能に構成されている。
サブヒータ45は、一対の第1部分45a,45aと、第2部分45bと、を有している。
各第1部分45a,45aは、長手方向L1に沿って延びる部分として設けられている。各第1部分45a,45aは、ドア36に形成された貫通孔を貫通し、且つ、各遮熱部材43に形成された貫通孔を貫通している。各第1部分45a,45aの先端部に、第2部分45bが接続されている。第2部分45bは、上下方向Z1に延びている。第2部分45bは、各遮熱部材43に対して、チューブ2の奥側(長手方向L1の一方側)に配置されている。第2部分45bは、発熱体を有している。第2部分45bの発熱体は、例えば、ファン装置6の周辺の温度が所定値未満である場合に、発熱するように構成されている。上記の構成を有するサブヒータ45、及び遮熱部5に隣接した位置に、ファン装置6が配置されている。
ファン装置6は、ドア36に支持されており、ドア36とともに変位可能である。ファン装置6は、チューブ2内に気流A1を生じさせるために設けられている。
ファン装置6は、電動モータ(動力源)46と、伝動装置47と、シャフトユニット48と、ファン49と、軸受ユニット50と、を有している。
電動モータ46は、例えば、支柱38に支持されている。電動モータ46の出力は、伝動装置47を介して、シャフトユニット48に伝達される。
伝動装置47は、例えば、プーリ機構である。伝動装置47は、第1プーリ51と、第2プーリ52と、ベルト53と、を有している。第1プーリ51は、電動モータ46の出力軸に一体回転可能に連結されている。第2プーリ52は、シャフトユニット48に一体回転可能に連結されている。ベルト53は、第1プーリ51と、第2プーリ52と、に巻き掛けられている。
シャフトユニット48は、ファン49の回転軸として設けられており、回転軸線S1を有している。回転軸線S1は、シャフトユニット48の中心軸線でもある。シャフトユニット48は、ファン49に連結されており、電動モータ46からの出力を、ファン49に伝達する。シャフトユニット48は、ドア36に形成された貫通孔36bを貫通しており、ドア36の外側から、チューブ2内に向けて延びている。シャフトユニット48の一端部48aに、第2プーリ52が固定されている。シャフトユニット48は、各遮熱部材43に形成された貫通孔43aを貫通している。シャフトユニット48の他端部48bには、ファン49が同軸に連結されている。
ファン49は、気流A1を発生することにより、チューブ2内のガスを撹拌するように構成されている。これにより、チューブ2内の各種ガスの濃度分布が、より均等になり、且つ、チューブ2内の温度が、より均等になる。ファン49は、チューブ2内に配置されており、回転軸線S1を中心として、回転可能である。ファン49とドア36との間に各遮熱部材43が配置されるように、ファン49は配置されている。
ファン49は、ボス部54と、複数の羽根55と、を有している。
ボス部54は、筒状に形成されており、シャフトユニット48の他端部48bに嵌合している。複数の羽根55は、ボス部54の外周部に固定されており、ボス部54から放射状に延びている。上記の構成により、ファン49が回転すると、当該ファン49から当該ファン49の径方向外方に向かう気流A1が、発生する。ファン49を回転させるためのシャフトユニット48は、軸受ユニット50によって、回転可能に支持されている。軸受ユニット50は、ドア36の外側に配置されている。即ち、軸受ユニット50は、ドア36の一端面36c側に配置されている。
軸受ユニット50は、ケーシング56と、フランジ部57と、を有している。
ケーシング56は、円筒状に形成されている。ケーシング56は、シャフトユニット48によって貫通されている。ケーシング56内には、軸受(図示せず)が配置されている。この軸受は、シャフトユニット48を回転可能に支持している。ケーシング56の一端部には、フランジ部57が固定されている。
フランジ部57は、固定部材としてのねじ部材58によって、座部59に固定されている。座部59は、ドア36の一端面36cに固定された、筒状の部材である。座部59は、シャフトユニット48によって、貫通されている。
図3及び図4を参照して、上記の構成を有するファン装置6において、ファン49は、ファン49の径方向外方に向かう気流A1を発生する。この気流A1における気体は、ヒータ3によって加熱されており、高温である。このため、気流A1からの熱は、第2シール部材22にできるだけ伝わらないことが好ましい。また、気流A1における気体中には、チューブ2内での化学反応等で生じた微粉末が存在している。この微粉末が、気流A1に乗って、チューブ2に強い勢いで衝突することは、抑制されていることが好ましい。そこで、熱処理装置1には、保護筒7が設置されている。
保護筒7は、ファン49で生じた気流A1からの熱が、第2シール部材22に伝わることを抑制するために設けられている。また、保護筒7は、気流A1が、チューブ2に勢いよく当てられることを抑制するために設けられている。
保護筒7は、全体として、円筒状に形成されている。保護筒7は、数mmの厚みを有する、薄板部材である。保護筒7は、チューブ2の開口部11の周辺に配置されており、チューブ2の長手方向L1と平行に延びている。保護筒7の一端部7aは、冷却部材19の第1フランジ26の内周部に、固定部材としてのねじ部材63を用いて固定されている。保護筒7の中間部7bは、冷却部材19の第2フランジ27の内周部に、固定部材としてのねじ部材64を用いて固定されている。保護筒7の他端部7cは、チューブ2内に配置されており、且つ、チューブ本体8とは離隔して配置されている。
保護筒7は、ガス供給口61と、排気口62と、を有している。ガス供給口61は、ガス供給管(図示せず)に接続されており、被処理物100の熱処理に用いられるガスをチューブ2内へ供給することが可能である。ガス供給管は、冷却部材19を貫通するように延びている。排気口62は、排気管(図示せず)に接続されており、チューブ2内の気体を吸引するように構成されている。尚、排気管は、冷却部材19を貫通するように延びており、真空ポンプ等の吸引装置に接続されている。
保護筒7は、遮熱部5と、サブヒータ45と、を取り囲んでいる。また、保護筒7は、シャフトユニット48の一部と、ファン49と、を取り囲んでいる。また、保護筒7は、第2シール部材22とは、保護筒7の径方向に並んで配置されている。上記の構成により、ファン49からの気流A1は、保護筒7に当たった後、チューブ2の長手方向L1と平行な方向に向きを変え、チューブ2の奥側(閉塞部9側)へ進む。
[熱処理装置の主な動作]
図1を参照して、以上の構成により、熱処理装置1が、被処理物100を熱処理する際には、まず、駆動装置39の動作によって、ドア36が開かれる。この状態で、被処理物100は、チューブ2内に収納される。次に、駆動装置39の動作によって、ドア36が閉じられる。即ち、ドア36は、冷却部材19の開口を閉じることにより、チューブ2内の空間を、熱処理装置1の外部の空間から遮断する。
次に、チューブ2内の空気が、排気口62を通して吸引されることにより、チューブ2内の圧力は、負圧となる。また、反応性ガスが、ガス供給口61を通して、チューブ2内に供給される。この状態で、ヒータ3からの熱により、チューブ2内の雰囲気が、加熱される。そして、電動モータ46の出力によって、ファン49が回転する。これにより、チューブ2内に気流A1が生じ、チューブ2内の雰囲気は、撹拌される。この状態で、被処理物100の表面に、元素が付着し、拡散される。この際、冷却水路28には、冷却水が通過している。これにより、第1シール部材21、及び第2シール部材22(図4参照)の過熱が抑制される。また、ヒータ3からの熱は遮熱部5によって、各シール部材21,22、及びドア36等に伝わることを、抑制される。
被処理物100に薄膜が形成された後、ヒータ3による加熱が停止される。その後、駆動装置39の動作によって、ドア36が開かれる。この状態で、チューブ2内の被処理物100は、チューブ2内から取り出される。
[シール装置の詳細な構成]
次に、シール装置23における、より詳細な構成を説明する。図6は、シール装置23の主要部を示す斜視図であり、シール装置23の一部の図示は省略している。図4及び図6に示すように、シール装置23は、第2シール部材22と、シール保持装置71と、エアブロー装置72と、を有している。
第2シール部材22の構成については、前述した通りである。この第2シール部材22は、シール保持装置71によって、保持されている。これにより、第2シール部材22は、チューブ2の開口部11の外周面11aとは、チューブ2の周方向C1の全域に亘って密着している。また、第2シール部材22は、第2フランジ27の他端面27bとは、チューブ2の周方向C1の全域に亘って密着している。
シール保持装置71は、開口部11の外周面11aと、第2フランジ27の他端面27bとの間の領域を、第2シール部材22によって、確実に気密的にシールさせるために設けられている。これにより、チューブ2内の気体は、隙間CL1(図5参照)を通ってチューブ2の外部の空間に漏れることを抑制されている。開口部11の外周面11aの真円度が低い場合でも、シール保持装置71は、チューブ2の周方向C1の全域に亘って、第2シール部材22を、開口部11の外周面11aに接触させるように構成されている。
尚、以下では、チューブ2の周方向C1を、単に「周方向C1」という場合がある。また、チューブ2の径方向R1を、単に「径方向R1」という場合がある。また、長手方向L1は、チューブ2の軸方向、及び当該軸方向と平行な方向を含んでいる。
シール保持装置71は、前述したシール保持部材35と、受け部材保持機構73と、を有している。
シール保持部材35は、第2シール部材22を受けることにより、当該第2シール部材22を保持するために設けられている。シール保持部材35は、全体として、円環状に形成されており、第2シール部材22を取り囲んだ状態で、第2フランジ27に固定されている。
シール保持部材35は、複数の受け部材74を有しており、これら複数の受け部材74によって、円環形状のシール保持部材35が形成されている。
各受け部材74は、円弧状に形成されている。各受け部材74の曲率中心は、例えば、チューブ2の中心軸線S2上に配置されている。本実施形態では、中心軸線S2は、開口部11の内周面の中心軸線でもある。各受け部材74は、周方向C1における角度範囲が、数十度程度に設定されている。これらの受け部材74は、周方向C1に配列されており、長手方向L1における位置が、揃えられている。尚、図6は、1つの受け部材74が、開口部11から取り外された状態を示している。周方向C1において、隣り合う受け部材74同士は、互いに接触しない程度に、隣接して配置されている。各受け部材74の構成は、同様である。
図7は、図6の一部を拡大して示す斜視図である。図8は、図4のVIII−VIII線に沿う断面図である。図4、図7及び図8を参照して、受け部材74は、ステンレス等の金属材料を用いて形成されている。受け部材74は、周方向C1における、第2シール部材22の一部を受けるために設けられている。
受け部材74は、受け部材本体75と、溝部76と、鍔部77と、を有している。
受け部材本体75は、第2フランジ27とは長手方向L1に隣接して配置されている。受け部材74は、円弧状の薄板によって形成されている。受け部材本体75の外周部の位置は、第2フランジ27の外周部の位置よりも、径方向R1の外方である。受け部材本体75には、ねじ孔78が形成されている。
ねじ孔78は、受け部材保持機構73の後述する固定用ねじ部材83と結合するために設けられている。ねじ孔78は、受け部材本体75の一端面75aに形成されており、長手方向L1に延びている。ねじ孔78は、周方向C1に離隔して、複数(本実施形態では、1つの受け部材74に対向している箇所に3つ)形成されている。複数のねじ孔78は、周方向C1に等間隔に形成されている。受け部材本体75の一端面75aは、上下方向Z1と平行に延びている。この一端面75aは、第2フランジ27の他端面27bと長手方向L1に対向しており、当該他端面27bと面接触している。上記の構成を有する受け部材本体75の内周部に、溝部76が形成されている。
溝部76は、第2シール部材22が配置される部分として設けられている。溝部76は、周方向C1における受け部材74の全域に亘って形成された円弧状の部分である。溝部76は、径方向R1の内方に開放されており、チューブ2の開口部11の外周面11aと向かい合っている。また、溝部76は、長手方向L1の一方に開放されており、第2フランジ27の他端面27bと向かい合っている。
溝部76は、第1加圧部81と、第2加圧部82とを有している。
第1加圧部81は、溝部76の底面として形成されている。第1加圧部81は、円筒面の一部によって形成されている。第1加圧部81は、径方向R1の内方を向いており、チューブ2の開口部11の外周面11aと向かい合っている。第1加圧部81は、第2シール部材22と接触し、第2シール部材22を受けており、当該第2シール部材22を、開口部11の外周面11aに向けて加圧している。即ち、第1加圧部81は、長手方向L1における第2シール部材22の一部を、径方向R1の内方に向けて加圧している。長手方向L1において、第1加圧部81は、受け部材本体75の一端面75aと、第2加圧部82との間に位置している。第1加圧部81は、受け部材本体75の一端面75aと連続しており、且つ、第2加圧部82と連続している。
第2加圧部82は、溝部76の内側面として形成されている。第2加圧部82は、長手方向L1の一方を向く円弧状の面である。第2加圧部82は、第2フランジ27の他端面27bと、長手方向L1に向かい合っている。第2加圧部82は、第2シール部材22と接触しており、当該第2シール部材22を、第2フランジ27の他端面27bに向けて加圧している。即ち、第2加圧部82は、第2シール部材22を、長手方向L1の一方に向けて加圧している。長手方向L1における溝部76の長さは、自由状態における第2シール部材22の厚みT1よりも小さく設定されている。これにより、第2加圧部82は、第2シール部材22を、他端面27bに向けて加圧することが可能である。尚、自由状態とは、外力が作用していない状態をいう。
径方向R1における溝部76の長さ(溝部76の深さ)は、自由状態における第2シール部材22の厚みT1よりも小さく設定されている。これにより、受け部材74の第1加圧部81は、第2シール部材22を径方向R1の内方へ向けて加圧しつつ、開口部11の外周面11aと直接接触することを、抑制されている。溝部76に対して長手方向L1の一方側の位置に、鍔部77が配置されている。
鍔部77は、受け部材保持機構73の後述する位置決め用ねじ部材84と結合する部分として、設けられている。鍔部77は、受け部材本体75の外周部から、長手方向L1の一方に向けて延びる、円弧状の部分である。鍔部77は、第2フランジ27に対して、径方向R1の外方に配置されている。鍔部77は、第2フランジ27とは直接接触しないように、第2フランジ27から離隔して配置されている。鍔部77には、貫通孔77aが形成されている。
貫通孔77aは、位置決め用ねじ部材84が挿入される孔部として形成されている。貫通孔77aは、鍔部77を、径方向R1に貫通している。貫通孔77aは、受け部材74毎に複数(本実施形態では、2つ)形成されている。複数の貫通孔77aは、周方向C1に離隔して配置されている。上記の構成を有する受け部材74は、受け部材保持機構73によって、径方向R1の位置を調整可能な態様で、保持されている。即ち、受け部材74は、外周面11aのうち当該受け部材74と対向している部分に対して、近づく方向及び遠ざかる方向に位置調整とされている。このように、径方向R1は、受け部材74にとって、外周面11aに近づく方向、及び外周面11aから遠ざかる方向である。
受け部材保持機構73は、第2フランジ(隣接部材)27と、固定用ねじ部材(締結部材)83と、位置決め用ねじ部材(位置決め部材)84と、を有している。
第2フランジ27は、前述した冷却部材19の一部を構成しているとともに、受け部材保持機構73の一部を構成している。第2フランジ27は、長手方向L1において、各受け部材74と隣接している。また、第2フランジ27は、長手方向L1において、開口部11と隣接している。第2フランジ27には、長孔86と、ねじ孔87と、が形成されている。
長孔86は、固定用ねじ部材83が挿入されるように構成されている。長孔86は、径方向R1に細長く延びる形状に形成されており、第2フランジ27を、長手方向L1に貫通している。長孔86は、各受け部材74に対応して、複数(本実施形態では、3つ)形成されている。即ち、1つの鍔部77において、3つの長孔86が、当該鍔部77と長手方向L1に対向している。複数の長孔86は、周方向C1に等間隔に形成されている。各長孔86には、固定用ねじ部材83のねじ軸が挿入されている。径方向R1における各長孔86の長さは、固定用ねじ部材83のねじ軸の直径よりも大きい。長孔86とは周方向C1の位置が異なるようにして、第2フランジ27のねじ孔87が形成されている。
このねじ孔87は、位置決め用ねじ部材84とねじ結合するために設けられている。ねじ孔87は、第2フランジ27の外周面に形成されており、径方向R1に延びている。ねじ孔87は、各受け部材74に対応して、複数(本実施形態では、2つ)形成されている。即ち、ねじ孔87は、1つの受け部材74毎に複数設けられている。複数のねじ孔87は、周方向C1に等間隔に形成されている。各ねじ孔87には、位置決め用ねじ部材84のねじ軸が、挿入されている。
位置決め用ねじ部材84は、雄ねじ部材であり、径方向R1における受け部材74の位置を規定するために設けられている。位置決め用ねじ部材84が設けられていることにより、径方向R1における受け部材74の位置を、調整することができる。位置決め用ねじ部材84は、複数備えられている。各位置決め用ねじ部材84のねじ軸は、受け部材74の対応する貫通孔77aを貫通しており、且つ、第2フランジ27の対応するねじ孔87にねじ結合されている。各位置決め用ねじ部材84の頭部は、対応する受け部材74の外周面を、径方向R1の外側から受けており、当該受け部材74を、第2シール部材22へ向けて加圧している。
受け部材74は、第2シール部材22からの弾性反発力を受けており、チューブ2の外周面11aには接触しない。各位置決め用ねじ部材84は、対応するねじ孔87に対して回転されることにより、当該ねじ孔87にねじ込まれる量(深さ)を調整される。これにより、径方向R1における受け部材74の位置が調整される。上記の位置決め用ねじ部材84によって、径方向R1の位置を規定された受け部材74は、固定用ねじ部材83によって、第2フランジ27に固定される。
固定用ねじ部材83は、受け部材74を第2フランジ27に締結するために設けられている。固定用ねじ部材83は、複数備えられており、各受け部材74に取り付けられている。各固定用ねじ部材83のねじ軸は、第2フランジ27の対応する長孔86を貫通しており、且つ、受け部材74の対応するねじ孔78にねじ結合されている。各固定用ねじ部材83による、第2フランジ27と対応する受け部材74との締結が解除された状態において、各固定用ねじ部材83は、長孔86内を、径方向R1に移動可能である。即ち、受け部材74は、第2フランジ27に対して、径方向R1に相対変位可能であり、各受け部材74は、第2フランジ27、及び第2シール部材22に対する径方向R1の位置を、変更可能である。
上記の構成により、第2シール部材22は、複数の受け部材74によって、チューブ2の外周面11aに加圧され、且つ、第2フランジ27の他端面27bに加圧されている。これにより、第2シール部材22は、周方向C1の全域に亘って、チューブ2の開口部11の外周面11aに接触し、且つ第2フランジ27の他端面27bに接触している。上記の構成を有するシール保持装置71には、エアブロー装置72が取り付けられている。
図4を参照して、エアブロー装置72は、チューブ2の外部から、第2シール部材22の周囲の領域に向けて、空気を吹き出すために設けられている。エアブロー装置72は、エア用管89と、ステー90と、を有している。
エア用管89は、例えば、円環状に形成されており、チューブ2の外周面11の外周面11aを取り囲むようにして配置されている。エア用管89は、受け部材74に隣接して配置されている。エア用管89には、吹出し口89aが形成されている。吹出し口89aは、エア用管89内の空気を、チューブ2の開口部11の外周面11aに向けて吹き出すために設けられている。
吹出し口89aは、径方向R1の内方を向いており、外周面11aと径方向R1に向かい合っている。吹出し口89aは、周方向C1に等間隔に複数形成されている。尚、図4では、複数の吹出し口89aのうちの1つの吹出し口89aを、図示している。吹出し口89aは、受け部材74と長手方向L1に隣接する位置に、形成されている。エア用管89は、ポンプ等の気流発生源(図示せず)と接続されており、エア用管89内を、空気等の気流が通過するように構成されている。エア用管89内の気体は、気流A2として、各吹出し口89aから、チューブ2の開口部11の外周面11aに向けて吹き出される。これにより、各吹出し口89aからの気流A2は、チューブ2の開口部11の外周面11aに吹き付けられる。また、気流A2は、外周面11aと、各受け部材74の内周面74aとの間の隙間CL2に到達し、第2シール部材22を冷却する。エア用管89は、ステー90を介して、受け部材74に支持されている。
ステー90は、複数設けられており、例えば、各受け部材74に取り付けられている。ステー90は、L字状に形成されており、径方向R1に沿って細長く延びている。径方向R1におけるステー90の一端部に、エア用管89が固定されている。径方向R1におけるステー90の他端部は、ステー用ねじ部材91を用いて、対応する受け部材74の外周部に固定されている。エア用管89は、例えば、可撓性を有するホースによって形成されている。これにより、エア用管89は、径方向R1における受け部材74の位置の変更に伴って、撓むことが可能である。
[受け部材の位置調整動作]
図9は、受け部材74の位置調整について説明するための、主要部の断面図である。図9に示すように、本実施形態において、チューブ2の開口部11の外周面11aの真円度は、比較的低い。このため、中心軸線S2から外周面11aまでの距離は、外周面11aの場所によって異なる。本実施形態では、チューブ2の上端部2aにおける、チューブ2の厚みは、比較的小さい。即ち、開口部11の外周面11aの上端部と、中心軸線S2との間の距離D1は、比較的小さな値となっている。一方、チューブ2の下端部2bにおける、チューブ2の厚みは、比較的大きい。即ち、開口部11の外周面11aの下端部と、中心軸線S2との間の距離D2は、比較的大きな値となっている。即ち、距離D1<距離D2である。
チューブ2の上端部2aに隣接している受け部材74(741)は、当該受け部材741の鍔部77と、第2フランジ27との径方向R1における距離が、所定の値D3となるように、対応する位置決め用ねじ部材84によって、位置を設定されている。これにより、受け部材741は、第2シール部材22のうち、当該受け部材741と向かい合っている部分を、径方向R1の内方、及び長手方向L1の一方に向けて加圧している。
一方、チューブ2の下端部2bに隣接している受け部材74(742)は、当該受け部材742の鍔部77と、第2フランジ27との径方向R1における距離が、所定の値D4となるように、対応する位置決め用ねじ部材84によって、位置を設定されている。この場合、距離D3<距離D4である。受け部材742は、第2シール部材22のうち、当該受け部材742と向かい合っている部分を、径方向R1の内方、及び長手方向L1の一方に向けて加圧している。
以上説明したように、熱処理装置1によると、各受け部材74は、互いに独立して、径方向R1の位置を調整可能に構成されている。このため、各受け部材74は、第2シール部材22のうち径方向R1に対向している部分を、確実に、開口部11の外周面11aに押さえつけることができる。したがって、チューブ2のチューブ本体8の真円度、特に外周面11aの真円度が低い場合であっても、第2シール部材22を、周方向C1の全域に亘って、当該開口部11の外周面11aに確実に密着することができる。しかも、開口部11の真円度に応じた形状の受け部材を用意するという、手間のかかる作業が必要ない。
従って、熱処理装置1において、被処理物100を収容するチューブ2の寸法公差が大きい場合でも、チューブ2をシールするための第2シール部材22を、確実に、且つ、少ない手間でチューブ2に沿わせることができる。
また、熱処理装置1によると、各受け部材74は、固定用ねじ部材83を用いて、第2フランジ27に締結される。このような簡易な構成で、各受け部材74を固定することができる。また、固定用ねじ部材83による締結が解除されている状態において、各受け部材74を、第2フランジ27に対して径方向R1に変位させることができる。これにより、径方向R1における各受け部材74の位置を、容易に調整できる。
また、熱処理装置1によると、第2フランジ27は、周方向C1の全域に亘って、第2シール部材22と接触している。これにより、第2シール部材22及び第2フランジ27は、協働して、チューブ2の開口部11の周囲を、周方向C1の全域に亘ってシールできる。
また、熱処理装置1によると、各受け部材74は、第2シール部材22を、第2フランジ27に加圧するための第2加圧部82を有している。これにより、第2シール部材22を、より確実に第2フランジ27に接触させることができる。したがって、第2シール部材22及び第2フランジ27は、チューブ2の開口部11の周囲を、より確実にシールできる。
また、熱処理装置1によると、受け部材保持機構73の位置決め用ねじ部材84は、各受け部材74の位置を、径方向R1において規定するように構成されている。これにより、位置決め用ねじ部材84は、第2シール部材22を開口部11の外周面11aに密着させるのに適した位置に、各受け部材74を配置できる。これにより、第2シール部材22を、より確実に、チューブ2の開口部11の外周面11aに密着させることができる。
また、各位置決め用ねじ部材84は、第2フランジ27の対応するねじ孔87に結合されており、且つ、対応する受け部材74を、第2シール部材22へ加圧している。このような構成であれば、位置決め用ねじ部材84をねじ孔87にねじ込む深さを調整することで、受け部材74の位置を、容易に微調整できる。その結果、第2シール部材22を、開口部11の外周面11aに、適切な強さで加圧できる。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態に限られるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
(1)上述の実施形態では、チューブ2は、円筒状である形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、チューブは、多角形の筒状であってもよい。この場合、第2シール部材(第2シール部材22に相当)及びシール保持部材(シール保持部材35に相当)は、チューブの外周面の形状に沿った形状に形成される。
(2)上述の実施形態では、第2シール部材22は、チュ−ブ2の外周面11aに嵌合される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、第2シール部材22は、チューブ2の内周面に嵌合されてもよい。この場合、各受け部材74の外周面は、径方向R1におけるチューブ2の開口部11の内方に配置される。各受け部材74は、第2シール部材22を、開口部11の内周面へ向けて加圧する。
(3)上述の実施形態では、受け部材保持機構73は、固定用ねじ部材83、及び位置決め用ねじ部材84を用いて、受け部材74を、第2シール部材22へ固定する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、受け部材保持機構73は、径方向R1に延びるレール等、ねじ部材以外の部材を用いて構成されていてもよい。
(4)上記実施形態では、固定用ねじ部材83は、受け部材74と、径方向R1に一体的に移動可能である形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、図10に示すように、固定用ねじ部材83を、受け部材74Aに対して、径方向R1に相対移動可能に構成してもよい。尚、以下では、図1〜図9に示す実施形態と異なる点について説明し、上記実施形態と同様の構成については、図に同様の符号を付して、説明を省略する。受け部材74Aには、長孔86Aが形成されている。一方、第2フランジ27Aには、ねじ孔78Aが形成されている。固定用ねじ部材83は、長孔86Aに挿入され、且つ、ねじ孔78Aにねじ結合される。この場合、ステー90は、固定用ねじ部材83と接触しないように配置される。
(5)尚、図11に示すように、固定用ねじ部材83は、受け部材74A、及び第2フランジ27の双方に対して、径方向R1に相対移動可能に構成されていてもよい。この場合、固定用ねじ部材83は、第2フランジ27の長孔86、及び、受け部材74Aの長孔86Aに挿入される。これにより、固定用ねじ部材83は、第2フランジ27及び受け部材74Aを貫通している。固定用ねじ部材83は、ナット部材92とねじ結合することにより、第2フランジ27と、受け部材74Aとを締結している。この場合、径方向R1において、受け部材74Aの位置調整が可能な範囲を、より大きくできる。
(6)また、上記実施形態では、受け部材74を第2フランジ27に締結する締結部材として、固定用ねじ部材83を用いる形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、受け部材74及び第2フランジ27を挟むクリップ状の締結部材等、他の締結部材を用いてもよい。
(7)また、上記実施形態では、チューブ2に隣接する隣接部材として、冷却部材19を用いる形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、チューブ2に隣接する部材として、チューブ2の開口部11を塞ぐドアを用いてもよい。
(8)上述の実施形態では、受け部材74が、第1加圧部81及び第2加圧部82を有する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、第1加圧部81及び第2加圧部82の少なくとも一方は、省略されてもよい。
(9)上述の実施形態では、径方向R1における受け部材74の位置を、位置決め用ねじ部材84によって調整する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、位置決め用ねじ部材84は、省略されてもよい。
(10)上述の実施形態では、第2シール部材22を、Oリングによって形成する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、第2シール部材を、弾性及び可撓性を有する、Oリング以外のシール部材で形成してもよい。
(11)上記実施形態では、第1シール部材21は、Oリングである形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。第1シール部材21は、Oリング以外の、固体状のシール部材等であってもよい。