JP2014049310A - 活物質材料、全固体電池、および活物質材料の製造方法 - Google Patents

活物質材料、全固体電池、および活物質材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、活物質の劣化を抑制できる活物質材料等を提供することを主目的とする。
【解決手段】Liと、Ni、Co、およびMnの少なくとも1つと、Oとを含有し、さらにMgを含有する活物質、ならびに上記活物質の表面上に形成され、イオン伝導性酸化物から構成されるコート層を有する活物質材料を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、活物質の劣化を抑制できる活物質材料に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として優れた電池(例えばリチウム電池)の開発が重要視されている。また、情報関連機器や通信関連機器以外の分野では、例えば自動車産業界において、電気自動車やハイブリッド自動車に用いられるリチウム電池等の開発が進められている。
ここで、従来市販されているリチウム電池には、可燃性の有機溶媒を用いた有機電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。これに対して、液体電解質を固体電解質に変更した全固体電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。また、全固体電池においては、出力特性を高めるために、イオン伝導性の高い固体電解質材料として、従来から硫化物固体電解質材料が用いられている。
このようなリチウム電池の分野において、活物質および電解質材料の界面に着目し、電池の性能向上を図る試みがある。例えば、特許文献1には、Al、Ga、Si、Mg、Ti、Ba、ZrおよびYの群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する層状リチウム複合酸化物からなるコア粒子と、上記の少なくとも1種の金属元素を含有する金属化合物から構成される被覆層とを有する正極活物質を用いた全固体電池が開示されている。
また、特許文献2には、リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物にMg、Al、Ti、Cu、およびZrから選ばれる1種または2種以上の金属を含有させたリチウム二次電池用正極活物質が開示されている。
特開2012−028231号公報 特開2011−113792号公報
例えば、リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物等の酸化物活物質と硫化物固体電解質材料との界面抵抗の増加は、両者が反応し、界面に高抵抗層が発生することによって生じる。これを抑制するために、酸化物活物質の表面上にLiNbO等のイオン伝導性酸化物から構成されるコート層を形成する技術が従来から提案されている。しかしながら、上記コート層を形成するに際しては、通常、コート層用原料を含有するコート層形成用溶液を酸化物活物質の表面上に塗布して前駆体層を形成し、上記前駆体層が形成された酸化物活物質を熱処理する工程が行われるが、上記熱処理により、酸化物活物質表面のOが抜けてしまい、その結果、酸化物活物質にダメージが生じるという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、活物質の劣化を抑制できる活物質材料、これを用いた全固体電池、および上記活物質材料を製造する活物質材料の製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、Liと、Ni、Co、およびMnの少なくとも1つと、Oとを含有し、さらにMgを含有する活物質、ならびに上記活物質の表面上に形成され、イオン伝導性酸化物から構成されるコート層を有する活物質材料を提供する。
本発明によれば、活物質がMgを含有することにより、活物質の劣化を抑制できる活物質材料とすることができる。
上記発明においては、上記活物質が岩塩層状構造の活物質であることが好ましい。
上記発明においては、前記イオン伝導性酸化物がLiNbOであることが好ましい。
本発明においては、正極活物質材料を含有する正極活物質層と、負極活物質材料を含有する負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された固体電解質層とを有し、上記正極活物質材料が、上述の活物質材料であり、上記活物質材料が、硫化物固体電解質材料と接していることを特徴とする全固体電池を提供する。
本発明によれば、正極活物質材料が上述の活物質材料であることにより、硫化物固体電解質材料との接触による高抵抗層の形成を抑制することができ、また活物質の劣化を抑制できることから、良好な電池特性を示す全固体電池とすることができる。
本発明においては、上述の活物質材料の製造方法であって、Ni源、Co源、およびMn源の少なくとも1つを酸に溶解させて酸性水溶液を作製する溶解工程、上記酸性水溶液にアルカリ水溶液を添加することにより、Ni、Co、およびMnの少なくとも1つを含有する水酸化物を沈殿させる添加工程、ならびに上記水酸化物をLi源とともに焼成することにより、活物質を形成する焼成工程を備え、上記溶解工程および上記焼成工程の少なくとも一方で、Mg源を用いる活物質形成工程と、コート層形成用溶液を用いて、上記活物質の表面上に前駆体層を形成する前駆体層形成工程、および上記前駆体層に熱処理を行い、イオン伝導性酸化物から構成されるコート層を形成する熱処理工程を備えるコート層形成工程と、を有することを特徴とする活物質材料の製造方法を提供する。
本発明によれば、活物質形成工程でMgをさらに含有する活物質を形成することにより、コート層形成工程における熱処理工程において、活物質の劣化を抑制してコート層を形成することができる。
本発明の活物質材料は、活物質の劣化を抑制することができるといった作用効果を奏する。
本発明の活物質材料の一例を示す概略断面図である。 本発明の全固体電池の一例を示す概略断面図である。 本発明の活物質材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。 実施例1−1〜実施例1−3および比較例1の活物質材料のMgの含有量(mol%)と、抵抗増加率(%)との関係を示すグラフである。 充電状態保存後の実施例1−3および比較例1の活物質材料のO濃度を示す図である。 実施例2−1〜実施例2−3、および比較例2の電池特性測定セルの耐久後の出力維持率を示すグラフである。
以下、本発明の活物質材料、全固体電池、および活物質材料の製造方法について説明する。
A.活物質材料
まず、本発明の活物質材料について説明する。
本発明の活物質材料は、Liと、Ni、Co、およびMnの少なくとも1つと、Oとを含有し、さらにMgを含有する活物質、ならびに上記活物質の表面上に形成され、イオン伝導性酸化物から構成されるコート層を有することを特徴とするものである。
図1は、本発明の活物質材料の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、本発明の活物質材料1は、Liと、Ni、Co、およびMnの少なくとも1つと、Oとを含有し、さらにMgを含有する活物質1a、ならびに活物質1a表面上に形成され、イオン伝導性酸化物から構成されるコート層1bを有することを特徴とする。
本発明によれば、活物質がMgを含有することにより、活物質の劣化を抑制できる活物質材料とすることができる。
本発明における活物質が、Mgを含有することにより活物質の劣化を抑制することができる理由については、明らかではないが、以下のように推量される。
すなわち、Mgの電気陰性度は、活物質に含有される遷移元素の電気陰性度に比べて小さいため、MgおよびOの電気陰性度の差は、遷移元素およびOの電気陰性度の差よりも大きくなる。よって、活物質中におけるMgおよびOの結合(イオン結合)は、比較的強いことが推量される。そのため、上述の熱処理により、活物質に含有される各原子の運動が活発になった場合も、活物質表面においてMgとOとの結合が切れにくく、Oが活物質から抜けてしまうことを抑制することができると推量される。
また、本発明によれば、上記活物質がMgを含有していることにより、本発明の活物質材料および硫化物固体電解質材料を全固体電池に用いた場合に、上記全固体電池を充電状態で保存しても電池抵抗の増加を抑制することができる。
この理由については以下のように推量される。すなわち、上述した従来の酸化物活物質においては、充電状態とした場合に、Oが酸化物活物質から放出される。これは充電状態においては、正極電位が上がることにより、Liが抜けて酸化物活物質に含有される遷移元素とOとの結合より弱まって切れやすくなることによると推量される。また、放出されたOが硫化物固体電解質材料を酸化して変質させることから、電池抵抗が増加することが推量される。
また、充電状態とした場合は、酸化物活物質に含有される遷移元素とOとの結合がさらに弱まることにより、硫化物固体電解質材料のSがOのサイトに入り込み、酸化物活物質の結晶構造におけるOがSに置換されて、酸化物活物質を変質(活物質を硫化)させることから、電池抵抗が増加することが推量される。
これに対し、本発明においては、上述したように、活物質中でMgとOとが比較的強く結合していることから、上述したOの放出による硫化物固体電解質材料の変質や、活物質の結晶構造中におけるOがSに置換されることによる酸化物活物質の硫化を抑制することができるため、電池抵抗の増加を抑制することができると推量される。
また、上述の全固体電池を高いSOCまで(理論容量の7割以上)利用した場合も、電池抵抗の増加を抑制することができる。この理由については以下のように推量される。
すなわち、全固体電池が高いSOC状態になると、正極電位がより上がることにより、硫化物固体電解質材料の酸化や酸化物活物質の硫化がより顕著になると推量される。本発明においては、活物質がMgを含有することにより硫化物固体電解質材料の酸化や活物質の硫化を抑制することができるため、全固体電池が高いSOC状態になった場合も電池抵抗の増加を抑制することができると推量される。
なお、SOC(state of charge)とは、電池の充電状態を示す指標であり、満充電状態に対する充電残量を比率で表わした値である。
また、本発明によれば、活物質がMgを含有することにより、本発明における活物質材料を用いた全固体電池をOの放出が生じやすい環境で用いた場合も、活物質表面からOが抜けることを抑制することができる。
ここで、Oの放出が生じやすい環境としては、酸素濃度が低く(例えば1%未満)、高温(例えば50℃以上)の環境が挙げられる。
以下、本発明の活物質材料の詳細について説明する。
1.活物質
まず、本発明における活物質について説明する。本発明における活物質は、Liと、Ni、Co、およびMnの少なくとも1つと、Oとを含有し、さらにMgを含有するものである。
ここで、「活物質がさらにMgを含有する」とは、活物質の結晶構造の内部にMgを含有することをいう。また、活物質粒子の表面をMg単体、またはMg化合物の粒子が覆うといった構成を指すものではない。
このような活物質としては、具体的には岩塩層状構造の活物質およびスピネル構造の活物質が挙げられる。
岩塩層状構造の活物質としては、Liと、Ni、Co、およびMnの少なくとも1つと、OとMgとを含有するものであれば特に限定されないが、Mgが結晶構造に組み込まれていることが好ましい。
具体的に、上記岩塩層状構造の活物質としては、下記の一般式1で示される結晶相を有するものが挙げられる。
LiNiw−aCox−bMny−cMg(一般式1)
(上記一般式1においてw、x、yはそれぞれ独立に0以上であり、w+x+y=1を満たし、a、b、cはそれぞれ独立に0以上であり、a+b+c=d、d>0を満たす)。
また、本発明においては、上述した一般式1で示される活物質のなかでも、LiNiw−aCoMnMg(上記一般式1においてw、x、yはそれぞれ独立に0以上であり、w+x+y=1を満たし、a=d、0.004≦a≦0.034を満たす。)であることが好ましい。上記活物質においては、その遷移元素のなかでもNiとOとの結合が比較的弱いため、上記活物質におけるNiを一部Mgで置換することにより、活物質表面からのOの放出をより好適に抑制することが可能となる。
上記岩塩層状構造の活物質としては、より具体的には、LiCo1−dMg(d>0)、LiNi1−dMg(d>0)、LiMn1−dMg(d>0)、LiNi4/5−aCo1/5−bMg(a≧0、b≧0、a+b=d、d>0)、LiNi1/2−aMn1/2−cMg(a≧0、c≧0、a+c=d、d>0)、LiNi1/3−aCo1/3−bMn1/3−cMg(a≧0、b≧0、c≧0、a+b+c=d、d>0)等が挙げられる。なかでも、LiNi1/3−aCo1/3−bMn1/3−cMgが好ましい。
LiNi1/3−aCo1/3−bMn1/3−cMgの一例としては、LiNi0.330Co0.333Mn0.333Mg0.004、LiNi0.317Co0.333Mn0.333Mg0.017、LiNi0.300Co0.333Mn0.333Mg0.034等が挙げられる。
一方、スピネル構造の活物質としては、Liと、Ni、Co、およびMnの少なくとも1つと、Oと、Mgとを含有するものであれば特に限定されないが、Mgが結晶構造に組み込まれていることが好ましい。
具体的に、スピネル構造の活物質としては、下記一般式2で示される結晶相を有するものが挙げられる。
LiM2−dMg(一般式2)
(上記一般式2において、MはNi、Co、およびMnの少なくとも1種であり、d>0を満たす)。
上記スピネル構造の活物質としては、より具体的には、LiMn2−dMg(d>0)、LiCo1−aMn1−bMg(a≧0、b≧0、a+b=d、d>0)、LiNi0.5−aMn1.5−bMg(a≧0、b≧0、a+b=d、d>0)等を挙げることができる。
本発明の活物質に含有されるMgの含有量としては、岩塩層状構造を有する活物質を構成することができる程度であれば特に限定されないが、活物質に含有されるMgおよび遷移元素に対して、0.01mol%以上、なかでも0.1mol%以上、特に0.3mol%以上であることが好ましく、20mol%以下、なかでも10mol%以下、特に5mol%以下であることが好ましい。
上記Mgの含有量が上記範囲に満たない場合は、活物質がMgを含有する場合も、固体電解質材料との反応を抑制して高抵抗層が生じることを抑制することが困難となる場合があるからであり、上記Mgの含有量が上記範囲を超える場合は、活物質自体を得ることが困難となる可能性があるからである。
なお、遷移元素とは、例えば、活物質がNiを含有する場合はNiをいい、また例えば、活物質がCoを含有する場合はCoをいい、また例えば、活物質がMnを含有する場合はMnをいい、また例えば、活物質材料がNi、およびCoを含有する場合はNi、およびCoをいい、また例えば、活物質材料がNi、Mnを含有する場合はNi、およびMnをいい、また例えば、活物質がNi、Co、およびMnを含有する場合はNi、Co、およびMnをいう。
本発明の活物質が、Mgが結晶構造中に組み込まれているものである場合は、上述したMgを含有量は、上記一般式におけるd(置換量)に該当するものとして扱うことができる。
本発明の活物質の形状としては、特に限定されず、例えば粒子状(粉末状)であってもよく、薄膜状であってもよいが、粒子状であることが好ましい。薄膜のように剥離やクラック等が生じす、耐久性に優れているからである。
活物質中のMg濃度の分布としては、特に限定されず、例えば粒子状の活物質である場合、活物質全体で均一であってもよく、また例えば、活物質表面においてMg濃度が高く活物質の中心部においてMg濃度が低くなるように偏っていてもよい。
上述したように、酸化物活物質においては、その表面からOが抜けやすいことから、活物質表面におけるMg濃度が最も高いことにより、活物質表面におけるO抜けをより好適に抑制することが可能となる。
またここで、本発明の活物質においてMgは、活物質および硫化物固体電解質材料との酸化反応に寄与しないものである。また、Mgは、電池反応にも寄与しないものである。
本発明における活物質が粒子状である場合、その活物質表面のMg濃度(Mgの元素割合(atomic%)/(Mgおよび遷移元素の元素割合(atomic%)の総和)×100(%))としては、特に限定されないが、0.01%以上、なかでも0.1%以上、特に0.3%以上であることが好ましい。
また、上記活物質表面のMg濃度としては、20%以下、なかでも10%以下、特に5%以下であることが好ましい。
なお、本発明における活物質表面とは、粒子状の活物質の最表面から10nmまでの距離をいう。
上記Mg濃度が上記範囲に満たない場合は、活物質がMgを含有する場合も、全固体電池とした場合に、高抵抗層の形成を抑制することが困難となる場合があるからであり、上記Mg濃度が上記範囲を超える場合は、活物質自体を形成することが困難となる可能性があるからである。
また、本発明における活物質の中心部のMg濃度としては、特に限定されないが、20%以下、なかでも10%以下、特に5%以下であることが好ましい。
なお、本発明における活物質の中心部とは、測定対象の活物質の一端から他端への長さが最長となる部分において、上記最長長さの半分の長さとなる部分をいう。
上記Mg濃度が上記範囲を超える場合は、活物質の性能が低下する可能性があるからである。
これらのMg濃度は、例えば、活物質断面をTEM−EDX分析を用いて測定することにより求めることができる。また、TEM−EDX分析に用いられる装置としては、特に限定されず、一般的なTEM−EDX装置(例えば、日本電子社製の商品名「JEM−2010FES」等)を用いることができる。
粒子状の活物質の平均粒径は、例えば、100nm以上、なかでも、2μm以上、特に4μm以上であることが好ましい。一方、上記平均粒径は、例えば100μm以下、なかでも20μm以下であることが好ましい。なお、平均粒径は、レーザー回折式の粒度分布計により算出することができる。
また、上記活物質の比表面積は、例えば0.1m/g以上、なかでも、0.5m/g以上であることが好ましい。一方、上記比表面積は、例えば300m/g以下、なかでも100m/g以下であることが好ましい。なお、比表面積は、BET法(気体吸着法)により算出することができる。
2.コート層
次に、本発明におけるコート層について説明する。
本発明におけるコート層は、上記活物質の表面上に形成され、イオン伝導性酸化物から構成される。
イオン伝導性酸化物の組成は、特に限定されないが、例えば、第1族または第2族の元素と、第3族〜第6族、第13族〜第15族の元素とを含有する酸化物が好ましい。中でも、第1族の元素としてリチウムを含有するLi含有酸化物がより好ましい。また、イオン伝導性酸化物は、第3族〜第6族、第13族〜第15族の元素として、B、Si、Ti、Zr、V、P、Al、Nb、Ta、Cr、Mo、およびWの少なくとも一種の元素を含有することが好ましい。具体的には、LiNbO、LiBO、LiBO、LiCO、LiAlO、LiSiO、LiSiO、LiPO、LiSO、LiTiO、LiTi12、LiTi、LiZrO、LiMoOおよびLiWO等を挙げることができ、中でもLiNbOがより好ましい。
さらに、イオン伝導性酸化物は、Li含有酸化物の複合化合物であっても良い。このような複合化合物としては、上述したLi含有酸化物の任意の組み合わせを採用することができ、例えば、LiPO−LiSiO、LiBO−LiSiO、LiPO−LiGeO等を挙げることができる。また、イオン伝導性酸化物の他の例としては、LiO−B−P、LiO−SiO、LiO−B、LiO−B−ZnO等の非晶質酸化物、LiI−Al、LiLaTa12、LiLaZr12、LiBaLaTa12等の結晶質酸化物等を挙げることができる。
イオン伝導性酸化物のイオン伝導度(25℃)は、例えば10−9S/cm〜10−3S/cmであることが好ましい。また、イオン伝導性酸化物の電子伝導度(25℃)は、例えば10−8S/cm〜10−1S/cmであることが好ましい。
上記コート層の平均厚みとしては、上記活物質材料を全固体電池に用いた際に、活物質と、硫化物固体電解質材料との反応を抑制することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、例えば、1nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、2nm〜100nmの範囲内であることがより好ましい。コート層が厚すぎる場合、イオン伝導性および電子伝導性が低下する可能性があるからであり、また一方、コート層が薄すぎる場合、活物質と硫化物固体電解質材料とが反応する可能性があるからである。なお、コート層の平均厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察等により測定することができる。
コート層の形態としては、活物質の表面に形成されるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、活物質の表面を被覆するものであることが好ましい。活物質の表面におけるコート層の被覆率としては、界面抵抗の増加を抑制する目的から高いことが好ましく、具体的には、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。また、コート層は、活物質の表面を全て被覆していても良い。なお、コート層の被覆率は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線光電子分光法(XPS)等を用いて測定することができる。
3.活物質材料
本発明の活物質材料は、上述した活物質およびコート層を有する。このような活物質材料の製造方法としては、特に限定されず、例えば後述する「C.活物質材料の製造方法」の項で説明する製造方法を好適に用いることができる。
本発明の活物質材料は、硫化物固体電解質材料を用いた全固体電池における正極活物質材料として好適に用いることができる。
B.全固体電池
次に、本発明の全固体電池について説明する。
本発明の全固体電池は、正極活物質材料を含有する正極活物質層と、負極活物質材料を含有する負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された固体電解質層とを有し、上記正極活物質材料が、上述の活物質材料であり、上記活物質材料が、硫化物固体電解質材料と接していることを特徴とするものである。
図2は、本発明の全固体電池の一例を示す概略断面図である。図2に例示するように、本発明の全固体電池10は、正極活物質材料を含有する正極活物質層11と、負極活物質材料を含有する負極活物質層12と、正極活物質層11および負極活物質層12の間に形成された固体電解質層13とを有するものである。また、正極活物質材料が、上述した活物質材料1であり、かつ、活物質材料1が、硫化物固体電解質材料2と接していることを特徴とする。
本発明によれば、正極活物質材料が上述の活物質材料であることにより、硫化物固体電解質材料との接触による高抵抗層の形成を抑制することができ、また活物質の劣化を抑制できることから、良好な電池特性を示す全固体電池とすることができる。
以下、本発明の全固体電池の詳細について説明する。
1.正極活物質層
本発明に用いられる正極活物質層は、上述した「A.活物質材料」の項に記載の活物質材料を含有する。
上記正極活物質層に含有される活物質材料については、上述した「A.活物質材料」の項に記載したため、ここでの記載は省略する。上記正極活物質層における活物質材料の含有量としては、例えば、10重量%〜99重量%の範囲内であることが好ましく、20重量%〜90重量%であることがより好ましい。
また、本発明においては、上記正極活物質層が固体電解質材料を含有していることが好ましい。正極活物質層のイオン伝導性を向上させることができるからである。本発明においては、固体電解質材料のなかでも、硫化物固体電解質材料であることが好ましい。硫化物固体電解質材料は、反応性が高いため、LiNiO等の酸化物活物質と反応しやすく、酸化物活物質との間に高抵抗層を形成しやすい。これに対して、本発明における活物質材料は、コート層を有していることにより、高抵抗層の形成を防止できるため、活物質および硫化物固体電解質材料の界面抵抗の増加を効果的に抑制することができる。
硫化物固体電解質材料としては、例えば、LiS−P、LiS−P−LiI、LiS−P−LiO、LiS−P−LiO−LiI、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiBr、LiS−SiS−LiCl、LiS−SiS−B−LiI、LiS−SiS−P−LiI、LiS−B、LiS−P−Z(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、LiS−GeS、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiMO(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)等を挙げることができる。なお、上記「LiS−P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質材料を意味し、他の記載についても同様である。
また、硫化物固体電解質材料が、LiSおよびPを含有する原料組成物を用いてなるものである場合、LiSおよびPの合計に対するLiSの割合は、例えば70mol%〜80mol%の範囲内であることが好ましく、72mol%〜78mol%の範囲内であることがより好ましく、74mol%〜76mol%の範囲内であることがさらに好ましい。オルト組成またはその近傍の組成を有する硫化物固体電解質材料とすることができ、化学的安定性の高い硫化物固体電解質材料とすることができるからである。ここで、オルトとは、一般的に、同じ酸化物を水和して得られるオキソ酸の中で、最も水和度の高いものをいう。本発明においては、硫化物で最もLiSが付加している結晶組成をオルト組成という。LiS−P系ではLiPSがオルト組成に該当する。LiS−P系の硫化物固体電解質材料の場合、オルト組成を得るLiSおよびPの割合は、モル基準で、LiS:P=75:25である。なお、上記原料組成物におけるPの代わりに、AlまたはBを用いる場合も、好ましい範囲は同様である。LiS−Al系ではLiAlSがオルト組成に該当し、LiS−B系ではLiBSがオルト組成に該当する。
また、硫化物固体電解質材料が、LiSおよびSiSを含有する原料組成物を用いてなるものである場合、LiSおよびSiSの合計に対するLiSの割合は、例えば60mol%〜72mol%の範囲内であることが好ましく、62mol%〜70mol%の範囲内であることがより好ましく、64mol%〜68mol%の範囲内であることがさらに好ましい。オルト組成またはその近傍の組成を有する硫化物固体電解質材料とすることができ、化学的安定性の高い硫化物固体電解質材料とすることができるからである。LiS−SiS系ではLiSiSがオルト組成に該当する。LiS−SiS系の硫化物固体電解質材料の場合、オルト組成を得るLiSおよびSiSの割合は、モル基準で、LiS:SiS=66.7:33.3である。なお、上記原料組成物におけるSiSの代わりに、GeSを用いる場合も、好ましい範囲は同様である。LiS−GeS系ではLiGeSがオルト組成に該当する。
また、硫化物固体電解質材料が、LiX(X=Cl、Br、I)を含有する原料組成物を用いてなるものである場合、LiXの割合は、例えば1mol%〜60mol%の範囲内であることが好ましく、5mol%〜50mol%の範囲内であることがより好ましく、10mol%〜40mol%の範囲内であることがさらに好ましい。また、硫化物固体電解質材料が、LiOを含有する原料組成物を用いてなるものである場合、LiOの割合は、例えば、1mol%〜25mol%の範囲内であることが好ましく、3mol%〜15mol%の範囲内であることがより好ましい。
また、硫化物固体電解質材料は、硫化物ガラスであっても良く、結晶化硫化物ガラスであっても良く、固相法により得られる結晶質材料であっても良い。なお、硫化物ガラスは、例えば原料組成物に対してメカニカルミリング(ボールミル等)を行うことにより得ることができる。また、結晶化硫化物ガラスは、例えば硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で熱処理を行うことにより得ることができる。また、硫化物固体電解質材料の常温におけるLiイオン伝導度は、例えば、1×10−5S/cm以上であることが好ましく、1×10−4S/cm以上であることがより好ましい。
本発明における硫化物固体電解質材料の形状としては、例えば真球状、楕円球状等の粒子形状、薄膜形状等を挙げることができる。硫化物固体電解質材料が上記粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、特に限定されるものではないが、40μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。正極活物質層内の充填率向上を図りやすくなるからである。一方、上記平均粒径は、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。なお、上記平均粒径は、例えば、粒度分布計により決定できる。
本発明に用いられる正極活物質層における硫化物固体電解質材料の含有量は、例えば、1重量%〜90重量%の範囲内であることが好ましく、10重量%〜80重量%の範囲内であることがより好ましい。
本発明における正極活物質層は、上述した活物質材料および硫化物固体電解質材料の他に、導電化材および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。導電化材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。結着材としては、例えば、PTFE、PVDF等のフッ素含有結着材を挙げることができる。上記正極活物質層の厚さは、目的とする全固体電池の構成によって異なるものであるが、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
2.負極活物質層
本発明における負極活物質層は、少なくとも負極活物質材料を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一つを含有していても良い。負極活物質材料としては、例えば金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。なお、負極活物質層に用いられる導電化材および結着材については、上述した正極活物質層における場合と同様である。また、負極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
3.固体電解質層
次に、本発明における固体電解質層について説明する。本発明における固体電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に形成される層であり、少なくとも固体電解質材料を含有する層である。上述したように、正極活物質層が硫化物固体電解質材料を含有する場合、固体電解質層に含まれる固体電解質材料は、イオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではなく、硫化物固体電解質材料であっても良く、それ以外の固体電解質材料であっても良い。一方、正極活物質層が、硫化物固体電解質材料を含有しない場合、固体電解質層は硫化物固体電解質材料を含有する。特に、本発明においては、正極活物質層および固体電解質層の両方が、硫化物固体電解質材料を含有することが好ましい。本発明の効果を十分に発揮することができるからである。また、固体電解質層に用いられる固体電解質材料は、硫化物固体電解質材料のみであることが好ましい。
なお、硫化物固体電解質材料については、上記「1.正極活物質層」の項に記載した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、硫化物固体電解質材料以外の固体電解質材料については、一般的な全固体電池に用いられる固体電解質材料と同様の材料を用いることができる。
固体電解質層における固体電解質材料の含有量は、例えば、10重量%〜100重量%の範囲内であることが好ましく、50重量%〜100重量%の範囲内であることがより好ましい。また、固体電解質層は、PTFE、PVDF等のフッ素含有結着剤等を含有していても良い。固体電解質層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、0.1μm〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
4.その他の構成
本発明の全固体電池は、上述した正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を少なくとも有するものである。さらに通常は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および負極活物質層の集電を行う負極集電体を有する。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン、およびカーボン等を挙げることができる。一方、負極集電体の材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケル、およびカーボン等を挙げることができる。また、正極集電体および負極集電体の厚さや形状等については、全固体電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。また、本発明に用いられる電池ケースには、一般的な全固体電池に使用される電池ケースを用いることができ、例えば、SUS製電池ケース等を挙げることができる。また、本発明の全固体電池は、発電要素を絶縁リングの内部に形成したものであっても良い。
また、本発明においては、全固体電池が、高いSOCまで充電を行う充電制御部、具体的には正極活物質層に含有される活物質材料の活物質がLi1−z(Niw−aCox−bMny−cMg)O(z≧0.7であり、a〜c、およびw〜yは上述した一般式1と同様である。)となるまで充電を行う充電制御部を備えていてもよい。
上述した「A.活物質材料」の項で説明したように、本発明においては、高いSOCまで充電を行った場合、すなわち上述した充電制御部を備える場合も、電池抵抗の増加を抑制して、出力特性の低下を抑制し、高エネルギー密度で長寿命な全固体電池とすることが可能となる。
本発明における充電制御部としては、一般的な全固体電池の充電制御部と同様とすることができる。上記充電制御部としては、例えば、全固体電池の電圧を測定する電圧測定部と、上記電圧測定部が、上記xの値が上述した関係を満たすような電圧を検知した場合に、充電を終了させるスイッチ部とを有する構成を挙げられる。
5.全固体電池
本発明においては、上述した活物質材料を用いることにより、活物質と硫化物固体電解質材料との界面抵抗の増加を抑制することができる。本発明の全固体電池としては、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば、車載用電池等として有用だからである。本発明の全固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型、および角型等を挙げることができる。
本発明の全固体電池の製造方法は、上述した全固体電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な全固体電池の製造方法と同様の方法を用いることができる。全固体電池の製造方法の一例としては、上述した正極活物質層を構成する材料、固体電解質層を形成する材料、および負極活物質層を形成する材料を順次プレスすることにより、発電要素を作製し、この発電要素を電池ケースの内部に収納し、電池ケースをかしめる方法等を挙げることができる。
C.活物質材料の製造方法
本発明の活物質材料の製造方法は、上述の「A.活物質材料」の項で説明した活物質材料の製造方法であって、Ni源、Co源、およびMn源の少なくとも1つを酸に溶解させて酸性水溶液を作製する溶解工程、上記酸性水溶液にアルカリ水溶液を添加することにより、Ni、Co、およびMnの少なくとも1つを含有する水酸化物を沈殿させる添加工程、ならびに上記水酸化物をLi源とともに焼成することにより、活物質を形成する焼成工程を備え、上記溶解工程および上記焼成工程の少なくとも一方で、Mg源を用いる活物質形成工程と、コート層形成用溶液を用いて、上記活物質の表面上に前駆体層を形成する前駆体層形成工程、および上記前駆体層に熱処理を行い、イオン伝導性酸化物から構成されるコート層を形成する熱処理工程を備えるコート層形成工程と、を有することを特徴とする製造方法である。
本発明によれば、活物質形成工程でMgをさらに含有する活物質を形成することにより、コート層形成工程における熱処理工程において、活物質の劣化を抑制してコート層を形成することができる。
図3は、本発明の活物質材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。図3に例示するように、本発明における活物質形成工程においては、まず、Ni源、Co源、Mn源、およびMg源を硫酸等に溶かして硫酸塩水溶液を作製する(溶解工程)。次に、反応場としてpHを調整した浴を準備し、上記硫酸塩水溶液およびアルカリ水溶液を滴下してNi、Co、Mn、およびMgを含有する水酸化物を沈殿させる(添加工程)。続いて、浴からNi、Co、Mn、およびMgを含有する水酸化物を取り出し、上記水酸化物をLiCO等のLi源とともに所定の温度で所定の時間焼成することにより、活物質を形成する(焼成工程)。上記記載においては、溶解工程においてMg源を用いる例について示したが、これに限定されず、本発明においては焼成工程においてMg源を用いてもよく、また、溶解工程および焼成工程の両方の工程においてMg源を用いてもよい。
次に、本発明におけるコート層形成工程においては、コート層形成用溶液を用いて、活物質の表面上に前駆体層を形成する(前駆体層形成工程)。次に、前駆体層に熱処理を行い、イオン伝導性酸化物から構成されるコート層を形成する(熱処理工程)。
以上の工程を行うことにより、上述の「A.活物質材料」の項で記載した活物質材料を形成することができる。
以下、本発明の活物質の製造方法について、工程ごとに説明する。
1.活物質形成工程
本発明における活物質形成工程は、溶解工程と、添加工程と、焼成工程とを備える工程であり、溶解工程または焼成工程の少なくとも一方でMg源を用いることを特徴とする。
(1)溶解工程
まず、本発明における溶解工程について説明する。本発明における溶解工程は、Ni源、Co源、およびMn源の少なくとも1つを酸に溶解させて酸性水溶液を作製する工程である。本工程においては、Mg源を用いてもよい。この場合、Mg源についても上述した酸に溶解させる。
本工程に用いられるNi源としては、特に限定されず、Ni単体であってもよく、Ni化合物であってもよい。Ni化合物としては、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル等が挙げられる。
また、Co源としては、特に限定されず、Co単体であってもよく、Co化合物であってもよい。Co化合物としては、硝酸コバルト、水酸化コバルト、炭酸コバルト等が挙げられる。
また、Mn源としては、特に限定されず、Mn単体であってもよく、Mn化合物であってもよい。Mn化合物としては、硝酸マンガン、水酸化マンガン、炭酸マンガン等が挙げられる。
本工程において、Ni源、Co源、Mn源の選択、また、これらの割合については、本発明により製造される活物質の結晶相により適宜選択される。活物質の結晶相については、上述した「A.活物質材料」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
本工程において、Mg源を用いる場合、Mg源としては、特に限定されず、Mg単体であってもよく、Mg化合物であってもよい。Mg化合物としては、硝酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
また、本工程において添加されるMg源の添加量については、上述した「A.活物質材料」の項で説明したMgの含有量と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程に用いられる酸としては、特に限定されず、例えば硫酸、硝酸、それらの混合物等が挙げられる。
本工程に用いられる酸の濃度としては、添加される上述のNi源、Co源、Mn源を溶解させることが可能な程度であれば特に限定されない。
本工程により得られる酸性水溶液の濃度(mol%)としては、特に限定されない。
(2)添加工程
次に、本発明における添加工程について説明する。本発明における添加工程は、上記酸性水溶液にアルカリ水溶液を添加することにより、Ni、Co、およびMnの少なくとも1つを含有する水酸化物を沈殿させる工程である。
本工程における酸性水溶液にアルカリ水溶液を添加する方法としては、特に限定されないが、反応場としてpHを調整した浴を準備し、上記酸性水溶液およびアルカリ水溶液を上記浴中へ滴下することにより添加する方法が好ましい。水酸化物を良好に沈殿させることが可能となる。上記浴については、公知のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程に用いられるアルカリ水溶液としては、酸性水溶液と反応して水酸化物を生じさせることが可能なものであれば特に限定されず、例えば水酸化リチウム水溶液、炭酸リチウム水溶液等が挙げられる。
また、上記アルカリ水溶液の濃度(mol%)としては、特に限定されない。例えば、上述した酸性水溶液の濃度(mol%)と同様とすることができる。
(3)焼成工程
次に、本発明における焼成工程について説明する。本発明における焼成工程は、上記水酸化物をLi源とともに焼成することにより、活物質を形成する工程である。
上述した溶解工程においてMg源を用いた場合は、本工程においては、Mg源を用いてもよく、用いなくてもよい。一方、上述した溶解工程においてMg源を用いていない場合は、本工程においてMg源が用いられる。この場合、Mg源はLi源、および水酸化物とともに焼成される。
Mg源、およびその添加量については、上述した溶解工程で説明したため、ここでの説明は省略する。また、上記溶解工程および焼成工程においてMg源が用いられる場合は、各工程におけるMg源の添加量が、上述した「A.活物質材料」の項で説明したMgの含有量と同様となるように調整される。
Li源としては、特に限定されず、Li単体であってもよく、Li化合物であってもよい。また、Li化合物としては、例えばLiCO、LiOH等が挙げられる。
本工程おける上記水酸化物、およびLi源の割合としては、本発明により製造される活物質の結晶相により適宜決定される。
また、本工程における焼成温度としては、特に限定されないが、800℃以上、なかでも900℃以上、特に1000℃以上であることが好ましい。また、上記焼成温度は、1200℃以下、なかでも1100℃以下であることが好ましい。
上記値に満たない場合は、上記Li源、および水酸化物を焼成することにより、Li金属含有金属酸化物である上述した岩塩層状構造を有する活物質を得ることが困難となる可能性があるからである。
また、上記焼成温度の上限としては、例えば、1200℃程度である。
本工程における焼成時間としては、特に限定されないが、2時間以上、なかでも3時間以上、特に4時間以上であることが好ましい。焼成時間が上記範囲に満たない場合は、上述したLi源、および水酸化物が十分に反応しない可能性があるからである。
2.コート層形成工程
本工程におけるコート層形成工程は、前駆体層形成工程と、熱処理工程とを備える工程である。
(1)前駆体層形成工程
本発明における前駆体層形成工程は、コート層形成用溶液を用い、上記活物質の表面上に前駆体層を形成する工程である。
コート層形成用溶液は、コート層形成用原料と、溶媒とを含有するものである。コート層形成用原料は、上述したコート層(イオン伝導性酸化物)を得ることができるものであれば特に限定されない。中でも、コート層形成用原料は、少なくともアルコキシド化合物を含有することが好ましい。ゾルゲル反応を利用することで、所望のコート層を容易に得ることができるからである。
イオン伝導性酸化物が一般式LiAOで表される場合、コート層形成用原料は、Li含有化合物およびA含有化合物を含有する。Li含有化合物としては、例えば、エトキシリチウム、メトキシリチウム等のLiアルコキシド、酢酸リチウム、水酸化リチウム等を挙げることができる。A含有化合物としては、例えば、Aを含有するアルコキシド、Aを含有する酢酸塩、Aを含有する水酸化物等を挙げることができる。Aの具体例としてニオブ(Nb)を挙げた場合、Nb含有化合物としては、例えば、ペンタエトキシニオブ、ペンタメトキシニオブ、ペンタ−i−プロポキシニオブ、ペンタ−n−プロポキシニオブ、ペンタ−i−ブトキシニオブ、ペンタ−n−ブトキシニオブ、ペンタ−sec−ブトキシニオブ等のNbアルコキシド、酢酸ニオブ、水酸化ニオブ等を挙げることができる。
コート層形成用溶液に用いられる溶媒としては、例えば、水酸基等の極性官能基を有する極性溶媒を挙げることができ、具体的には、アルコールが好ましい。さらに、アルコールとしては、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール等を挙げることができる。上記溶媒に含まれる水分量は、例えば0.005重量%以下であることが好ましく、0.0025重量%以下となることがより好ましく、0.00025重量%以下となることがより好ましい。
また、コート層形成用溶液を活物質の表面に塗布する方法としては、特に限定されず、流動層コーティング法、コート層形成用溶液中に活物質を浸漬させた後、溶媒を乾燥させる方法、およびスプレードライヤーを用いる方法等を挙げることができる。本工程においてはなかでも、流動層コーティング法を用いることが好ましい。ここで、流動層コーティング法は、流動層造粒・コーティング装置を用いたフィルムコーティングの手法であり、粒子に液体の噴霧・乾燥を繰り返すことで均一なコーティングを施すことができる。このような装置としては、パウレックス製マルチプレックス、フロイント産業製フローコータ等を挙げることできる。また、流動層造粒・コーティング装置における噴霧・乾燥においては、活物質を流動状態にするため、通常、流動層容器内に気流を生じさせ、さらに必要に応じてロータ等を回転させるが、これら気流の条件やロータの回転条件等は、適宜設定すればよく、特に限定されない。通常、流動層容器内の気流によって、コート層形成用溶液の乾燥が行われるため、コート層形成用溶液を効率的に乾燥させる観点から、容器内の気流温度(ガス流温度)は、40℃〜100℃の範囲であることが好ましい。
また、コート層形成用溶液の噴霧(塗布)の条件も特に限定されず、噴霧速度等、適宜設定することができる。
前駆体層の平均厚みおよび被覆率としては、目的とするコート層の平均厚みおよびコート層の被覆率に応じて適宜設定されるものである。なかでも、最終的に得られる活物質料のコート層の平均厚みおよびコート層の被覆率が、上述した「A.活物質材料」の項に記載される値となるように設定されることが好ましい。
(2)熱処理工程
本発明における熱処理工程は、上記前駆体層に熱処理を行い、イオン伝導性酸化物から構成されるコート層を形成する工程である。
本工程における熱処理温度としては、目的とするコート層を形成することが可能であれば特に限定されるものではない。例えば、300℃〜500℃の範囲内であることが好ましく、350℃〜450℃の範囲内であることがより好ましく、350℃〜400℃の範囲内であることが特に好ましい。上記熱処理温度が上記範囲に満たない場合、十分な熱処理を行うことができず、目的とするコート層が得られない可能性があり、また一方、上記熱処理温度が上記範囲を超える場合、活物質等の劣化を生じる可能性があるからである。
熱処理を行う際の雰囲気としては、イオン伝導性酸化物を得ることができるよう、酸素を含有する雰囲気であれば特に限定されない。例えば、大気下等を挙げることができる。
本工程における熱処理時間としては、目的とするコート層を形成できるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、0.5時間以上とすることが好ましく、中でも0.5時間〜48時間の範囲内であることがより好ましく、さらに1時間〜20時間の範囲内であることが特に好ましい。
本工程における熱処理方法としては、上記雰囲気下で熱処理を行うことができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば焼成炉を用いた方法等を挙げることができる。焼成炉としては、目的とする雰囲気下で熱処理を行うことができるものであれば特に限定されるものではないが、例えばマッフル炉を好適に用いることができる。
3.その他の工程
本発明の活物質材料の製造方法は、上述した活物質形成工程と、コート層形成工程とを有するものであれば特に限定されず、必要に応じて他の工程を適宜選択して行うことができる。
4.活物質材料
本発明の活物質材料の製造方法により得られる活物質材料については、上述した「A.活物質材料」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1−1]
(活物質材料の作製)
まず、以下の手順により、LiNi1/3Co1/3Mn1/3の遷移元素の一部をMgで置換した岩塩層状構造を有する活物質を合成した。この際、Mgの置換量(含有量)を、Mgおよび遷移元素(Ni、Co、Mn)に対して、0.4mol%とした。
まず、Ni源、Co源、Mn源およびMg源を硫酸等に溶かして硫酸塩水溶液を作製した。次に、反応場としてpHを調整した浴を準備し、上記硫酸塩水溶液およびアルカリ水溶液を滴下してNi、Co、MnおよびMgを含有する水酸化物を沈殿させた。次に浴からNi、Co、MnおよびMgを含有する水酸化物を取り出し、上記水酸化物をLiCO等のLi源とともに所定の温度で所定の時間焼成することにより、上述の活物質を得ることができた。
次に、以下の手順により上述の活物質の表面上にLiNbOから構成されるコート層を形成した。
エタノール溶媒に、等モルのLiOC及びNb(OCを溶解させて作製したコート層用組成物を、上述の活物質の表面上に、転動流動コーティング装置(SFP−01、株式会社パウレック製)を用いてスプレーコートした。その後、コーティングされた活物質を、350℃、大気圧下で1時間に亘って熱処理することにより、活物質の表面にLiNbOから構成されるコート層を形成した。
以上の手順を行うことにより活物質材料を得た。
上述の活物質材料を400mgと、VGCF(昭和電工)12mgと、LiIを含むLiS−P系ガラスセラミック(固体電解質)134mgと、脱水ヘプタン(関東化学)1gを秤量し、十分に混合した。
上述した混合材料を100℃で加熱してヘプタンを揮発させ、正極合材を得た。
(負極合材の作製)
グラファイト(三菱化学)900mgと、固体電解質964mgを秤量し混合したものを負極合材とした。
(電池特性測定用セルの作製)
1cmの金型に固体電解質を65mg秤量し、100MPaでプレスして固体電解質層を作製し、その片側に正極合材20.5mgを入れ、100MPaでプレスして正極を作製した。
その逆側に負極合材21mgを入れ、400MPaでプレスすることで、負極を作製した。
以上の手順により電池特性測定用セルを得た。
[実施例1−2]
実施例1−1と同様と手順で、LiNi1/3Co1/3Mn1/3の遷移元素の一部をMgで置換した岩塩層状構造を有する活物質を合成した。この際、Mgの置換量(含有量)を、Mgおよび遷移元素(Ni、Co、Mn)に対して、0.8mol%とした。上記以外は、実施例1−1と同様に活物質材料を作製し、また、電池特性測定用セルを作製した。
[実施例1−3]
実施例1−1と同様と手順で、LiNi1/3Co1/3Mn1/3の遷移元素の一部をMgで置換した岩塩層状構造を有する活物質を合成した。この際、Mgの置換量(含有量)を、Mgおよび遷移元素(Ni、Co、Mn)に対して、1.7mol%とした。上記以外は、実施例1−1と同様に活物質材料を作製し、また、電池特性測定用セルを作製した。
[比較例1]
活物質としてMgが添加されていないLiNi1/3Co1/3Mn1/3を用いたこと以外は実施例1−1と同様に活物質材料を作製し、また、電池特性測定用セルを作製した。
[評価]
(活物質のO濃度)
実施例1−3の活物質材料と、比較例1の活物質材料について、以下の方法で分析を行い、O濃度を算出した。
酸素の定量は、不活性ガス中インパルス加熱・融解−NDIR検出方式で行なった。
また、Ni、Co、Mnの定量は、融解ICP−AES法で行なった。
実施例1−3の活物質材料のO濃度は67%、比較例1の活物質のO濃度は62%であった。
(コンディショニング)
25℃で以下の電池特性測定セルのコンディショニングを行った。
実施例1−1〜実施例1−3および比較例1の電池特性測定用セルを0.27mAで定電流充電(上限4.3V)後、15分間休止したのち、0.27mAで定電流放電(下限3.0V)し、その後15分間休止することにより、電池特性測定セルのコンディショニングを行った。
(充電状態保存による電池直流抵抗の抵抗増加率)
まず、充電状態保存前の電池特性測定セルについて25℃で電池直流抵抗測定を行った。
実施例1−1〜実施例1−3および比較例1の電池特性測定用セルについて0.27mAで定電流−定電圧充電を行った。充電条件としては、電圧の上限を3.6V、カット電流0.027mAとした。充電後1分間休止したのち、8.1mAで定電流放電を5秒間行った。放電前後の電圧差(ΔV)と流した電流値(I)から電池直流抵抗(R=ΔV/I)を計算した。
次に、60℃で以下の電池特性測定セルの充電状態保存を行った。
実施例1−1〜実施例1−3および比較例1の電池特性測定用セルを0.27mAで200時間、定電流−定電圧充電(上限4.3V)した。次に、15分間休止したのち、0.27mAで定電流放電(下限3.0V)した。
続いて、充電状態保存の終了後の電池特性測定セルを25℃の恒温槽に移して、上述の充電状態保存前と同様の手順で電池直流抵抗測定を行った。
上記集電状態保存の前後の電池直流抵抗の値から抵抗増加率を得た。結果を表1および図4に示す。図4は、実施例1−1〜実施例1−3および比較例1の活物質材料のMgの含有量(mol%)と、抵抗増加率(%)との関係を示すグラフである。
Figure 2014049310
(充電状態保存後の断面TEM−EDX分析)
実施例1−3および比較例1の活物質材料について、充電状態保存後の断面TEM−EDX分析を行なった。
FIB加工およびTEM−EDX分析は、すべて不活性雰囲気下で行なった。結果を図5に示す。図5は、充電状態保存後の実施例1−3および比較例1の活物質材料のO濃度を示す図である。なお、O濃度は、TEM−EDXで定量したO、Ni、Co、Mnの各原子のatomic%を基に、「O濃度=O/(O+Ni+Co+Mn)」として計算した。
実施例1−3では、活物質表面付近のO濃度が0.64〜0.73だったのに対し、比較例1では0.56〜0.62と低かった。充電状態保存中に酸素が放出されたと考えられる。
[実施例2−1]
(固体電解質の合成)
LiS(日本化学工業)とP(アルドリッチ)を出発原料として、LiSを0.8g、Pを1.2g秤量し、メノウ乳鉢で5分混合し、その後ヘプタンを4g入れ、遊星ボールミルを用い、40時間メカニカルミリングすることで固体電解質を得た。
(活物質材料の作製)
以下の手順により、活物質としてLiNi0.330Co0.333Mn0.333Mg0.004を合成した。
まず、Ni源、Co源、Mn源と、Mg源とを硫酸等に溶かして硫酸塩水溶液を作製した。次に、反応場としてpHを調整した浴を準備し、上記硫酸塩水溶液およびアルカリ水溶液を滴下してNi、Co、MnおよびMgを含有する水酸化物を沈殿させた。次に浴からNi、Co、MnおよびMgを含有する水酸化物を取り出し、上記水酸化物をLiCO等のLi源とともに所定の温度で所定の時間焼成することにより、上述の活物質を得ることができた。
次に、実施例1−1と同様の手順により、活物質の表面上にコート層を形成して、活物質材料を得た。
(電池特性測定セルの作製)
上述の活物質12.0mgと、VGVF(昭和電工)を0.5mg、固体電解質を5.0mg秤量し、混合したものを正極合材とした。
負極活物質にグラファイト(三菱化学)9.0mgと固体電解質8.2mgを秤量し混合したものを負極合材とした。
1cmの金型に固体電解質を18mg秤量し、1ton/cmでプレスし固体電解質層を作製し、その片側に正極合材17.57mgを入れ、1ton/cmでプレスして正極を作製した。その逆側に負極合材17.3mgを入れ4ton/cmでプレスすることで負極を作製した。また、正極集電体にSUS304を、負極集電体にSUS304を用いた。
[実施例2−2]
実施例2−1と同様の手順により、活物質としてLiNi0.317Co0.333Mn0.333Mg0.017を合成したこと以外は、実施例2−1と同様に活物質材料を作製し、また、電池特性測定セルを作製した。
[実施例2−3]
実施例2−1と同様の手順により、活物質としてLiNi0.300Co0.333Mn0.333Mg0.034を合成したこと以外は、実施例2−1と同様に活物質材料を作製し、また、電池特性測定セルを作製した。
[比較例2]
活物質としてMgを含有しないLiNi0.333Co0.333Mn0.333を合成したこと以外は、実施例2−1と同様に活物質材料を作製し、また、電池特性測定セルを作製した。
[評価]
(60℃保存による劣化試験)
実施例2−1〜実施例2−3および比較例2の電池特性測定セルを0.3mAで4.6Vまで定電流−定電圧充電した後、充電状態のままで60℃で10日間保存した。10日間保存した後、電池を完放電して、3.6Vまで再び充電を行い、出力測定(定電力放電)を実施した。
結果を図6に示す。図6は、実施例2−1〜実施例2−3、および比較例2の電池特性測定セルの耐久後の出力維持率を示すグラフである。
比較例2が10日間の耐久評価で維持率が38%と極めて低いのに対し、実施例2−1〜実施例2−3は維持率が63%〜48%で改善されている。
特に実施例2−1、および実施例2−2は活物質におけるMgによる置換の効果が大きい。
(活物質材料のMg濃度)
実施例2−3の活物質断面のTEM−EDX分析を行ったところ、活物質にMgが存在していることを確認することができた。用いた活物質の平均粒子径(D50)は4.3μmであった。
1 … 活物質材料
1a … 活物質
1b … コート層
2 … 硫化物固体電解質材料
10 … 全固体電池
11 … 正極活物質層
12 … 負極活物質層
13 … 固体電解質層

Claims (5)

  1. Liと、Ni、Co、およびMnの少なくとも1つと、Oとを含有し、さらにMgを含有する活物質、ならびに
    前記活物質の表面上に形成され、イオン伝導性酸化物から構成されるコート層
    を有する活物質材料。
  2. 前記活物質が岩塩層状構造の活物質であることを特徴とする請求項1に記載の活物質材料。
  3. 前記イオン伝導性酸化物がLiNbOであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の活物質材料。
  4. 正極活物質材料を含有する正極活物質層と、負極活物質材料を含有する負極活物質層と、前記正極活物質層および前記負極活物質層の間に形成された固体電解質層とを有し、
    前記正極活物質材料が、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の活物質材料であり、
    前記活物質材料が、硫化物固体電解質材料と接していることを特徴とする全固体電池。
  5. 請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の活物質材料の製造方法であって、
    Ni源、Co源、およびMn源の少なくとも1つを酸に溶解させて酸性水溶液を作製する溶解工程、前記酸性水溶液にアルカリ水溶液を添加することにより、Ni、Co、およびMnの少なくとも1つを含有する水酸化物を沈殿させる添加工程、ならびに前記水酸化物をLi源とともに焼成することにより、活物質を形成する焼成工程を備え、前記溶解工程および前記焼成工程の少なくとも一方で、Mg源を用いる活物質形成工程と、
    コート層形成用溶液を用いて、前記活物質の表面上に前駆体層を形成する前駆体層形成工程、および前記前駆体層に熱処理を行い、イオン伝導性酸化物から構成されるコート層を形成する熱処理工程を備えるコート層形成工程と、
    を有することを特徴とする活物質材料の製造方法。
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