JP2014040103A - シート搬送装置、シート搬送装置を備えた記録装置、及びシート搬送方法 - Google Patents

シート搬送装置、シート搬送装置を備えた記録装置、及びシート搬送方法 Download PDF

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Abstract

【課題】搬送ローラーの各位相におけるシートの搬送量の変動が小さくとも、制御負荷を低減すると共に補正タイミングのずれを抑制してシートの搬送量を補正する。
【解決手段】第1の駆動ローラー40により用紙Sを搬送方向の上流側から下流側へ搬送する紙送りローラー37及び排紙ローラーと、紙送りローラー37及び排紙ローラーを駆動するPFモーター25と、PFモーター25の駆動に伴って回転する第1の駆動ローラー40の位相原点(0度)及び回転位相を検出するロータリーエンコーダー49と、第1の駆動ローラー40の回転に伴って搬送される用紙Sの搬送量を補正する補正位相を記憶し、第1の駆動ローラー40の回転動作において1パルスの補正制御を選択的に実行可能であって、当該回転動作の際の回転位相に基づいて補正制御の実行の有無を制御する制御部とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、シートを搬送方向の上流側から下流側に搬送するシート搬送装置、シート搬送装置を備えた記録装置、及びシート搬送方法に関する。
従来から、シート搬送装置(以下、単に「搬送装置」という。)により搬送されるシートに対して記録処理を施す記録装置として、インクジェット式プリンター(以下、「プリンター」という。)が広く知られている。そして、このプリンターにおける搬送装置は、シートを副走査方向(搬送方向)へ搬送するために回転する搬送ローラーと同軸上に設けられたロータリーエンコーダーの検出結果に基づいて搬送ローラーの回転量を制御することにより、シートを所定搬送量ずつ間欠搬送していた。
ところで、ロータリーエンコーダーは、目盛が振られた円板状のエンコーダースケールが搬送ローラーと共に回転し、センサーを通過した目盛の数に応じて搬送ローラーの位相を取得可能になっている。そのため、エンコーダースケールの回転中心と円板の中心である円心とがずれて偏芯している場合には、実際に搬送されるシートの搬送量が周期的、且つ連続的に変動することになる。
そこで、特許文献1のプリンターでは、エンコーダースケールの1周を複数区間に区分けすると共に、区間毎に予め設定された補正量(パルス数)を記憶していた。そして、各区間においてエンコーダースケールの目盛のカウント数が所定のカウント数となった場合に、その補正量に対応したパルス数を与えて搬送ローラーの回転量を変化させてシートの搬送量を補正していた。
特開平11−49399号公報
ところで、組み付け精度の向上等に伴ってシートの搬送量の変動が低減された近時のプリンターの場合には、エンコーダーの1カウントあたりのずれ量が微小となり補正量の最小単位である1パルスを与えるための所定のカウント数が大きくなると共に高精度な演算が必要となる。そのため、エンコーダースケールの目盛をカウントするカウント数が大きくかつ精度が高いためにメモリー領域が圧迫されると共に、カウント数が大きいので演算速度が低下し、さらには精度の高い演算をしなければ補正タイミングがずれてしまう虞があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送ローラーの各位相におけるシートの搬送量の変動が小さくとも、制御負荷を低減すると共に補正タイミングのずれを抑制してシートの搬送量を補正することのできるシート搬送装置、シート搬送装置を備えた記録装置、及びシート搬送方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のシート搬送装置は、搬送ローラーによりシートを搬送方向の上流側から下流側へ搬送する搬送手段と、該搬送手段を駆動する駆動手段と、該駆動手段の駆動に伴って回転する前記搬送ローラーの位相原点及び該位相原点からの回転量を表す回転位相を検出する位相検出手段と、前記搬送ローラーの回転に伴って搬送される前記シートの搬送量を補正する補正位相を記憶する記憶手段と、前記位相検出手段により検出される前記回転位相が前記補正位相である場合に、前記シートの搬送量を、前記位相検出手段が検出可能な最小単位である単位補正量分増加または減少させる補正を実行する補正手段とを備える。
この構成によれば、搬送ローラーの回転量を補正する補正位相を該搬送ローラーの回転位相と関係付けて記憶することにより、適切なタイミングで搬送ローラーの回転量を補正することができる。さらに、補正を行うタイミングを搬送ローラーの位相として予め記憶しておくことにより、制御負荷を低減させることができる。したがって、搬送ローラーの各位相におけるシート搬送量の変動が小さくとも、制御負荷を低減すると共に補正タイミングのずれを抑制してシートの搬送量を補正することができる。
また、この構成によれば、位相検出手段が検出可能な最小単位で補正を行うため、シートの搬送量の変動をさらに小さくして、シートをより精度良く搬送することができる。
本発明のシート搬送装置において、前記補正位相は、前記シートの搬送量の変動量が前記シートの単位搬送量の整数倍に相当する位相である。
この構成によれば、補正位相ごとに行う補正の補正量を一定とするため、搬送ローラーが1回転する間に実際に搬送されるシートの搬送量から補正位相を容易に設定することができる。すなわち、搬送ローラーの偏芯等に伴って搬送量は連続的に変動するため、実際に搬送されたシートの搬送量と検出された回転位相から算出された搬送量とのずれ量の累積が単位搬送量の整数倍となる位相を補正位相として設定することができる。したがって、搬送ローラーの各補正位置での補正量を個別に記憶しておく必要がなく、記憶領域を有効に活用することができる。
本発明の記録装置は、上記構成のシート搬送装置と、該シート搬送装置により搬送される前記シートに対して記録材を付着させる記録手段とを備えた。
この構成によれば、搬送ローラーの1回転を1周期として連続的に生じる搬送量の変動が低減された状態のシートに記録を施すことができる。そのため、搬送量の変動に伴う濃淡が記録物上に表れるのを抑制して記録品質を向上させることができる。
本発明のシート搬送方法は、搬送ローラーを回転させてシートを搬送方向の上流側から下流側へ搬送する搬送ステップと、該搬送ステップにおいて前記搬送ローラーの位相原点及び該位相原点からの回転量を表す回転位相を検出する検出ステップと、該検出ステップにおいて検出された前記回転位相が前記シートの搬送量を補正する補正位相である場合に、前記シートの搬送量を前記検出ステップにおいて検出可能な最小単位である単位補正量分増加または減少させる補正ステップとを備える。
この構成によれば、上記シート搬送装置に係る発明と同様の作用効果を奏し得る。
実施形態のプリンターの概略斜視図。 記録ヘッド及び搬送機構を示す模式側面図。 図2における3−3矢視断面図。 図3における4−4矢視断面図。 制御構成のブロック図。 補正用パターンの形成過程の説明図。 搬送量の変動を表すグラフ。
以下、本発明をインクジェット式記録装置に適用した一実施形態を、図1〜図7に従って説明する。図1は、外装ケースを取り外した状態のインクジェット式記録装置の斜視図を示す。図1に示すように、記録装置としてのインクジェット式記録装置(以下、プリンター11と称す)は、上側が開口する略四角箱状の本体ケース12を備え、この本体ケース12内に架設されたガイド軸13にはキャリッジ14が主走査方向(図1におけるX方向)に案内されて往復動可能な状態で設けられている。キャリッジ14が背面側で固定された無端状のタイミングベルト15は、本体ケース12の背板内面上に配設された一対のプーリー16,17に巻き掛けられ、一方のプーリー16と駆動軸が連結されたキャリッジモーター(以下、「CRモーター18」という)が正逆転駆動されることにより、キャリッジ14は主走査方向Xに往復動する構成となっている。
キャリッジ14の下部には、記録材としてのインクを噴射する記録ヘッド19(記録手段)が設けられ、さらに本体ケース12内において記録ヘッド19と対向する下方位置には、記録ヘッド19とシートとしての用紙Sとの間隔を規定するプラテン20がX方向に延びる状態で配置されている。また、キャリッジ14の上部には、ブラック用およびカラー用の各インクカートリッジ21,22が着脱可能に装填されている。記録ヘッド19は、各インクカートリッジ21,22から供給された各色のインクを、色ごとのノズルから噴射(吐出)する。
プリンター11の背面側には、給紙トレイ23と、給紙トレイ23上に積重された多数枚の用紙Sのうち最上位の1枚のみを分離して副走査方向Y(搬送方向の上流側から下流側)に供給する自動給紙装置(Auto Sheet Feeder)24とが設けられている。
また、本体ケース12の図1における右側下部に配設された駆動手段としての紙送りモーター(以下、「PFモーター25」という)が駆動されることにより、自動給紙装置24の給紙ローラー33(図2参照)及びシート搬送装置としての搬送装置36(図2参照)が駆動されて、用紙Sが副走査方向Yへ搬送される。そして、キャリッジ14を主走査方向Xに往復動させながら記録ヘッド19のノズルから用紙Sに向けてインクを噴射する印刷動作と、用紙Sを副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する紙送り動作とを略交互(但し、各動作タイミングは一部重複)に繰り返すことで、用紙Sに文字や画像等の印刷が施される。
また、プリンター11には、キャリッジ14の移動距離に比例する数のパルスを出力するリニアエンコーダー26がガイド軸13に沿って延びるように架設されており、リニアエンコーダー26の出力パルスを用いて求められるキャリッジ14の移動位置、移動方向及び移動速度に基づいて、キャリッジ14の速度制御及び位置制御は行われる。なお、プリンター11においてホームポジション(キャリッジ移動経路上の印刷領域外の一端部(図1における右端位置))に位置した際のキャリッジ14の直下には、記録ヘッド19のノズル目詰まり等を予防・解消するためのクリーニング等を行うメンテナンス装置28が配設されている。また、プラテン20の下側には、メンテナンス装置28が記録ヘッド19のノズルから吸引したインクが廃棄される廃液タンク29が設けられている。
図2に示すように、自動給紙装置24よりも搬送方向(副走査方向Y)下流側であって、用紙Sの搬送経路上には、紙検出センサー35が設けられている。紙検出センサー35は、例えば接触式センサー(スイッチ式センサー)からなり、給紙された用紙Sの先端が検知レバーに当たってこれを変位させることでオンし、用紙Sの後端が通過して検知レバーがバネ力で元の待機位置に復帰したときにオフする。なお、紙検出センサー35は、用紙Sの紙端を検知可能であればよく、光学式センサー等の非接触式センサーも採用できる。
図2に示すように、搬送装置36は、プラテン20よりも搬送方向(副走査方向Y)の上流側となる位置に紙送りローラー37を備えると共に、プラテン20を挟んだ搬送方向(副走査方向Y)の下流側となる位置に、排紙ローラー38を備えている。なお、本実施形態では、紙送りローラー37、排紙ローラー38により搬送手段が構成されている。
図2及び図3に示すように、紙送りローラー37は、PFモーター25から動力が伝達されて回転する第1の回転軸40aと、第1の回転軸40aの回転駆動に伴って回動される搬送ローラーとしての第1の駆動ローラー40とが設けられている。そして、第1の駆動ローラー40の上方には、第1の駆動ローラー40の回動に伴って第1の従動軸41aを中心に回動する第1の従動ローラー41が第1の駆動ローラー40と対をなすように設けられている。
一方、排紙ローラー38は、PFモーター25から動力が伝達されて回転する第2の回転軸43aと、第2の回転軸43aの回転駆動に伴って回動される第2の駆動ローラー43とが設けられている。そして、第2の駆動ローラー43の上方には、第2の駆動ローラー43の回動に伴って第2の従動軸44aを中心に回動する第2の従動ローラー44が第2の駆動ローラー43と対をなすように設けられている。
なお、第1,第2の回転軸40a,43a及び第1,第2の従動軸41a,44aは、図示しない軸受に軸支されている。
図3に示すように、PFモーター25の駆動軸45には、駆動プーリー46が一体回転可能に固定されている。また、第1の回転軸40aには、従動プーリー47が一体回転可能に固定されている。そして、駆動プーリー46及び従動プーリー47には、無端状の動力伝達ベルト48が巻き掛けられ、PFモーター25の駆動力を第1の駆動ローラー40に伝達するようになっている。
なお、駆動プーリー46、従動プーリー47、動力伝達ベルト48と同様の構成が排紙ローラー38側にも設けられている。そのため、PFモーター25が駆動されると、駆動プーリー46、従動プーリー47、及び動力伝達ベルト48を介して第1の駆動ローラー40が回転すると共に、第2の回転軸43aに一体回転するように設けられた従動プーリー(図示略)を介して第2の駆動ローラー43が回転するようになっている。
また、図3及び図4に示すように、第1の回転軸40aには、第1の駆動ローラー40が回転した位相の大きさに比例する数のパルスを出力する位相検出手段としてのロータリーエンコーダー49が設けられている。ロータリーエンコーダー49は、多数の目盛50と1本の原点目盛51とが周縁に沿うように振られた透明円板状のエンコーダースケール52が、第1の回転軸40aと一体回転するように設けられている。そして、エンコーダースケール52の下方位置には、エンコーダースケール52の周縁と対向するように位相センサー53が設けられ、エンコーダースケール52の回転に伴う目盛50及び原点目盛51の通過を検出し、それぞれに対応するパルスを出力するようになっている。
すなわち、ロータリーエンコーダー49は、原点目盛51が図4において下方位置に位置するようにエンコーダースケール52が回転し、位相センサー53によって原点目盛51が検出される位相を第1の駆動ローラー40の位相原点(0度)として検出する。さらに、原点を通過してからの出力パルス数に基づいて、位相原点(0度)からの回転位相を検出可能になっている。
すなわち、図4に示すように、第1の回転軸40aが回転することにより、エンコーダースケール52が回転して原点目盛51が位相センサー53から最も離れた上方に位置する状態の回転位相は180度となる。
なお、図4に示すエンコーダースケール52では、目盛50を簡略して図示しているが、用紙Sの搬送量を1マイクロメートル(μm)単位程度で検出可能な目盛50が周縁に沿って等間隔に振られたエンコーダースケール52を用いることが好ましい。
図5に示すように、プリンター11は、プリンター11の稼動状態を制御する記憶手段、及び補正手段としての制御部54を備えている。制御部54は、リニアエンコーダー26、紙検出センサー35、ロータリーエンコーダー49から出力された検出結果や、ユーザーによる操作部55の操作に基づいて、CRモーター18、記録ヘッド19、PFモーター25を制御して印刷などの処理を行うようになっている。
次に、エンコーダースケール52の偏芯等に起因して生じる、用紙Sの搬送量の変動を測定するための測定用パターンPの形成方法を、図6に基づいて説明する。
まず、操作者が操作部55を操作して変動量の測定を開始すると、変動量測定開始信号が制御部54に送られる。すると、制御部54は、図示しないROMに記憶された測定プログラムに基づいて複数の測定用パターンPを用紙上に印刷させる。なお、本実施形態の測定用パターンPの形成方法では、第1の駆動ローラー40が1回転する間に測定用パターンPをそれぞれ等しい位相間隔(60度)を有して7つ形成する場合を例に、以下説明する。
具体的には、制御部54は、PFモーター25を駆動させることにより、給紙ローラー33、第1の駆動ローラー40、第2の駆動ローラー43を回転させる。すると、給紙トレイ23上にセットされた用紙Sは、給紙ローラー33により搬送装置36へと給紙され、紙送りローラー37によりプラテン20上に搬送される。
その後、制御部54は、用紙Sの先端(搬送方向の下流側端)が記録ヘッド19に形成されたノズルと対向する印刷領域を通過した後において、エンコーダースケール52が原点目盛51を検出するタイミングでPFモーター25の駆動を停止する。すなわち、第1の駆動ローラー40は回転位相が0度の状態で停止する。
その後、制御部54は、CRモーター18を正転駆動させ、ホームポジションに位置するキャリッジ14を、図6において左側方向に移動させる。そして、この左側への移動に伴い、制御部54は、記録ヘッド19に対してブラックインクに対応した一部のノズルからブラックインクを噴射させる噴射信号を連続的に出力する。すると、用紙Sには、図6に示すように主走査方向Xに沿って帯状に延びる第1の測定用パターンP1が形成される。
第1の測定用パターンP1の印刷が終了すると、制御部54はPFモーター25を駆動させると共に、ロータリーエンコーダー49の検出結果に基づいて回転位相が60度の状態で第1の駆動ローラー40が停止するようにPFモーター25の駆動を停止させる。すると、用紙Sは、距離D1だけ白抜き矢印に示す搬送方向(副走査方向Y)の下流側に向かって搬送され停止する。
そして、制御部54は、CRモーター18を逆転駆動することにより、左側へ移動して停止したキャリッジ14を、ホームポジション側となる右側方向に移動させる。このとき、制御部54は、記録ヘッド19に形成されたノズルのうち、第1の測定用パターンP1を形成したノズルと同じノズルに対して、ブラックインクを噴射させる噴射信号を連続的に出力する。すると、用紙Sには、第1の測定用パターンP1の形成位置から距離D1だけ離れた位置に主走査方向Xに沿って帯状に延びる第2の測定用パターンP2が形成される。
第2の測定用パターンP2の印刷が終了すると、制御部54は、PFモーター25を駆動させて第1の駆動ローラー40を回転させると共に、ロータリーエンコーダー49の検出結果に基づいてさらに60度回転させ、回転位相が120度の状態で停止させる。すると、用紙Sは、距離D2だけ白抜き矢印に示す搬送方向(副走査方向Y)の下流側に向かって搬送され停止する。
そして、制御部54は、上記の第1の測定用パターンP1の印刷方法と同じ条件で第3の測定用パターンP3を印刷する。したがって、第3の測定用パターンP3は、第2の測定用パターンP2から距離D2だけ離れた位置に形成されると共に、第1の測定用パターンP1からは距離T2(T2=D1+D2)だけ離れた位置に形成されることとなる。
さらに、制御部54は、その後も同様に第1の駆動ローラー40を60度ずつ回転させ、停止状態の用紙Sに対して同じノズルからブラックインクを噴射して測定用パターンPを形成する。
すなわち、回転位相が180度の状態では、第4の測定用パターンP4が形成される。したがって、第4の測定用パターンP4は、第3の測定用パターンP3から距離D3だけ離れた位置に形成されると共に、第1の測定用パターンP1から距離T3(T3=T2+D3)だけ離れた位置に形成されることとなる。
回転位相が240度の状態では、第5の測定用パターンP5が形成される。したがって、第5の測定用パターンP5は、第4の測定用パターンP4から距離D4だけ離れた位置に形成されると共に、第1の測定用パターンP1から距離T4(T4=T3+D4)だけ離れた位置に形成されることとなる。
回転位相が300度の状態では、第6の測定用パターンP6が印刷される。したがって、第6の測定用パターンP6は、第5の測定用パターンP5から距離D5だけ離れた位置に形成されると共に、第1の測定用パターンP1から距離T5(T5=T4+D5)だけ離れた位置に形成されることとなる。
なお、このように用紙Sを間欠搬送すると共にキャリッジ14の右側方向への移動、及び左側方向への移動に伴って行われる測定用パターンPの形成は、紙検出センサー35が用紙Sの後端(搬送方向の上流側端)を検出するまで続けられる。
すると用紙Sには、副走査方向Yに亘って複数の第1〜第mの測定用パターンP1〜Pm(mは整数)が、それぞれ距離Dn(nは整数)ずつ互いに離間するように、第1の測定用パターンP1からそれぞれ距離Tnだけ離れた位置に形成される(図6ではm=6,n=5まで図示する)。
なお、距離D1〜Dnは、同じ回転位相(本実施形態では60度)ずつ回転されたときの用紙Sの副走査方向Yの各搬送量である。そのため、エンコーダースケール52や第1の駆動ローラー40の偏芯などがない場合には一定となるものの、偏芯している場合には連続的且つ周期的に変動する。
次に、用紙Sに印刷された測定用パターンPから搬送量の変動を算出する方法を説明する。搬送量の変動は、ロータリーエンコーダー49の検出結果に基づいて算出される基準距離Diと各距離Dnとの差分の累積(変動量d)に応じて算出することができる。
なお、基準距離Diとは、第1の駆動ローラー40が1回転(360度)することで用紙Sが搬送される距離を、測定用パターンP同士の位相間隔(60度)に基づいて平均した距離である。したがって、本実施形態では、基準距離Diの6倍の距離が、第1の駆動ローラー40が1回転する間に搬送される用紙Sの距離に相当する。
具体的には、用紙Sに形成された第1の測定用パターンP1を基準として、第1の測定用パターンP1と各測定用パターンPとの距離D1及び距離T2〜Tnをそれぞれ計測する。さらに、計測した距離に基づいて測定用パターンPにおいて、第mの測定用パターンPmの基準距離n×Diとの距離の差分を計測する。なお、算出された変動量dの変化は、カーブ状に現れるため、変動量が最大になる位相を選出することで図7に実線で示すグラフが推定される。すなわち、エンコーダースケール52や第1の駆動ローラー40の偏芯によって生じる搬送量の変動は、連続的且つ周期的にサイン(コサイン)カーブ状に生じ、360度を1周期として変動する。
具体的には、図6,図7に示すように、各測定用パターンPにおいて、基準距離n×Di(nDi)との変動量dを算出すると、第2の測定用パターンP2では、第1の変動量d1(d1=D1−Di)となる。
同様に、第3の測定用パターンP3が第2の変動量d2(d2=T2−2Di)、第4の測定用パターンP4が第3の変動量d3(d3=T3−3Di)、第5の測定用パターンP5が第4の変動量d4(d4=T4−4Di)、第6の測定用パターンP6が第5の変動量d5(d5=T5−5Di)となる。
以下、本実施形態では、各変動量が、第1の変動量d1≦第2の変動量d2≦第3の変動量d3=第5の変動量d5≦第4の変動量d4となると共に、最も大きな回転位相240度での第4の変動量d4が単位搬送量Du(本実施形態では例えば1μm)の4.5倍であった場合を例に挙げて、補正位相の算出方法を説明する。なお、単位搬送量Duとは、ロータリーエンコーダー49が出力する1パルスあたりに搬送される用紙Sの搬送量である。
図7に示すように、変動量dがゼロとなる回転位相60度を基準位相a0とする。そして、変動量dがロータリーエンコーダー49が検出可能な最小単位である1パルスに対応する単位搬送量Duの倍数に相当する位相を補正位相として算出する。すなわち、例えば、単位搬送量Duを1μmとすると、変動量dが1μm、2μm、3μm、4μmとなる位相を算出する。
そして、基準位相a0から半周期(180度)回転する間に設定される4つの補正位相a1〜a4、さらに半周期(180度)回転して1回転する間に設定される4つの補正位相a5〜a8が、制御部54の図示しない不揮発性メモリー(EEPROM)に記憶される。
すなわち、本実施形態では、検出可能な最小単位がロータリーエンコーダー49から出力された1パルスであるため、該1パルスを補正量の単位である単位補正量とする。また、補正位相の数は、最大となる変動量dと単位搬送量Duとの割合に応じて変化し、最大となる変動量d(例えば4.5μm)を単位搬送量Du(例えば1μm)で割った商(4)が半周期における補正位相の数と等しくなる。
そして、用紙Sを搬送する場合には、変動量が増加する位相範囲において設定された補正位相a1〜a4を通過するたびにパルス数を1つ分減少させた位置で回転を停止させる。一方、変動量が減少する位相範囲において設定された補正位相a5〜a8を通過するたびにパルス数を1つ分増加させた位置で回転を停止させる。
したがって、例えば、基準位相a0である回転位相60度から30度ずつ回転させた場合には、回転位相60度から回転位相90度の間では補正位相を通過しないため回転位相90度で停止させる。
さらに、回転位相120度まで回転させる場合には、補正位相a1を通過するため回転位相120度よりも1パルス分減少させた位相で停止させる。そして、さらに30度回転させて回転位相150度まで回転させる場合には、補正位相a2を通過するため、120度までの回転で減少させた1パルスに、今回の回転に伴う補正量1パルス分を合わせた分を減少させ、回転位相150度よりも2パルス分減少させた位相で停止させる。
同様に、さらに180度まで回転せる場合には、補正位相a3を通過するため、180度よりも3パルス分減少させた位相で停止させると共に、210度まで回転させる場合には、さらに補正位相a4を通過するため、210度よりも4パルス分減少させた位相で停止させる。
また、さらに30度ずつ回転させて240度及び270度まで回転させる場合には、補正位相を通過しないため、増減させるパルス数が維持され、240度及び270度よりもそれぞれ4パルス分減少させた位相で停止させる。
回転位相300度まで回転させる場合には、補正位相a5を通過するため、前回までの回転から持ち越されている減少分の4パルスと増加させる1パルスとを相殺して330度よりも3パルス減少させた位相で停止させる。
同様に、さらに30度ずつ回転させて330度及び360度まで回転させる場合には、それぞれの回転において補正位相a6,a7を通過するため、330度よりも2パルス分減少させた位相及び360度よりも1パルス分減少させた位相で停止させる。
なお、回転位相360度になると、位相センサー53が原点目盛51を検出するため、回転位相がリセットされて0度とされる。一方、増減パルス数は、原点を通過後も維持され、さらに30度回転されて補正位相a8を通過することにより、前回までの回転から持ち越されている増加分の1パルスを、減少分の1パルスで相殺して0とする。したがって、回転位相30度は、パルス数の増減なしで停止させる。また、検出誤差等の影響により基準位相a0(60度)を通過した時点でパルスの増減分が0でないときには、増減パルス数が0にリセットされる。
すると、補正後の変動量d’は、図7に一点鎖線で示すように、単位補正量に相当する単位搬送量Duのよりも小さな値で変動する。
次に、以上のように構成されたプリンター11における用紙Sに対する印刷について、特に用紙Sの搬送量の補正における作用に着目して以下説明する。
さて、ユーザーが操作部55を操作して印刷を実行すると、制御部54はPFモーター25を駆動させる。すると、給紙ローラー33が回転されて給紙トレイ23上にセットされた用紙Sを給紙すると共に、第1の駆動ローラー40及び第2の駆動ローラー43が回転制御されて用紙Sの印刷領域をプラテン20上に位置させるように停止する。なお、停止した第1の駆動ローラー40の回転位相は、例えば90度とする。
このとき、第1の駆動ローラー40は、少なくとも1回転以上回転してから停止する。すなわち、第1の駆動ローラー40と共に回転するエンコーダースケール52は、原点目盛51が少なくとも1回、位相センサー53を通過する。そのため、制御部54は、位相センサー53からの原点目盛51を検出した出力結果に基づいて回転位相を初期化すると共に、目盛50の検出結果に対応する出力パルスを検出して把握される回転位相を図示しないRAMに記憶している。
さらに、制御部54は、CRモーター18を駆動してキャリッジ14を主走査方向に沿って移動させると共に、記録ヘッド19からインクを噴射して印刷動作を行う。
印刷が終了すると、制御部54はPFモーター25を駆動させ、用紙Sを主走査方向への移動に伴って印刷が施された領域の副走査方向Yにおける幅に相当する距離だけ用紙Sを搬送する(搬送ステップ)。
なお、本実施形態では、第1の駆動ローラー40が例えば240度ずつの回転と停止とを繰り返し行うことにより用紙Sを間欠搬送する。したがって、制御部54は、ロータリーエンコーダー49から出力されるパルス数に基づいて回転位相を検出し(検出ステップ)、第1の駆動ローラー40を330度まで回転させて停止させる。なお、この回転において、パルスを1つ減少させる4つの補正位相a1〜a4と、パルスを1つ増加させる2つの補正位相a5,a6を通過する。したがって、制御部54は、増減させるパルスを相殺し、330度よりも2パルス分減少させた位置で第1の駆動ローラー40を停止させる(補正ステップ)。
そして、制御部54は、CRモーター18及び記録ヘッド19を駆動制御して、停止した用紙Sの印刷を施した領域と副走査方向Yに連続する印刷領域において主走査方向Xへ移動しながら印刷動作を行う。
その後、制御部54は、PFモーター25を駆動して第1の駆動ローラー40をさらに240度回転させ、用紙Sを搬送方向の下流側へ搬送する(搬送ステップ)。すなわち、回転位相が330度で停止している第1の駆動ローラー40は、ロータリーエンコーダー49からの出力結果に基づいて回転位相が検出され(検出ステップ)、基準位相a0を通過して回転位相210度の状態で停止する。なお、この回転において、基準位相a0を通過するまでの間にパルスを1つ増加させる2つの位相を通過するが、330度よりも2パルス分減少させた位相で停止していたため、基準位相a0を通過する際に補正するパルス数がリセットされる。したがって、この回転では、パルスを1つ減少させる4つの補正位相a1〜a4を通過するため、220度よりも4パルス分減少させた位置で第1の駆動ローラー40を停止させる(補正ステップ)。
以下、同様に印刷動作と搬送動作とを繰り返し、印刷が終了した用紙Sは排紙ローラー38によって排紙される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1の駆動ローラー40の回転量を補正する補正位相a1〜a8を、第1の駆動ローラー40の回転位相と関係付けて記憶することにより、適切なタイミングで第1の駆動ローラー40の回転量を補正することができる。さらに、補正を行うタイミングを第1の駆動ローラー40の位相として予め記憶しておくことにより、制御負荷を低減させることができる。したがって、第1の駆動ローラー40の各位相における用紙Sの搬送量の変動が小さくとも、制御負荷を低減すると共に補正タイミングのずれを抑制して用紙Sの搬送量を補正することができる。
(2)補正位相ごとに行う補正の補正量を一定とするため、第1の駆動ローラー40が1回転する間に実際に搬送される用紙Sの搬送量から補正位相を容易に設定することができる。すなわち、第1の駆動ローラー40の偏芯等に伴って搬送量は連続的に変動するため、実際に搬送された用紙Sの搬送量と検出された回転位相から算出された平均の搬送量とのずれ量の累積である変動量dが単位搬送量Duとなる位相を補正位相として設定することができる。さらに、第1の駆動ローラー40の各補正位相a1〜a8での補正量を個別に記憶しておく必要がなく、記憶領域を有効に活用することができる。
(3)ロータリーエンコーダー49が検出可能な最小単位(1パルス)で補正を行うため、用紙Sの搬送量の変動をさらに小さくして、用紙Sをより精度良く搬送することができる。
(4)第1の駆動ローラー40の1回転を1周期として連続的に生じる搬送量の変動が低減された状態の用紙Sに記録を施すことができる。そのため、搬送量の変動に伴う濃淡が印刷物上に表れるのを抑制して印刷品質を向上させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、用紙Sに対して印刷が施される記録装置としてのプリンター11で用紙Sを搬送する搬送装置36に具体化したが、本発明はそれ以外の装置で使用される用紙Sを搬送する搬送装置にも適用することができる。
・上記実施形態において、用紙Sの搬送に伴う補正量を、ロータリーエンコーダー49が検出可能な最小単位である1パルスとしたが、数パルスを単位補正量としてもよい。
・上記実施形態において、用紙Sの変動量dを複数の測定用パターンPを印刷して実測することにより求めたが、変動量dとロータリーエンコーダー49の回転位相とを取得可能ならば上記パターン形成方法に限らない。
・上記実施形態において、搬送装置36は、プラテン20を挟んで上流側と下流側にそれぞれ紙送りローラー37及び排紙ローラー38を設けたが、どちらか一方のみを設ける構成としてもよい。また、第1の駆動ローラー40及び第2の駆動ローラー43に主走査方向における幅が用紙Sの幅よりも大きな無端状の搬送ベルトを巻きかけ、該搬送ベルト上に用紙Sを載置して搬送するようにしてもよい。
・上記実施形態では、シート搬送装置を備えた記録装置をインクジェット式プリンター11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
11…プリンター(記録装置)、19…記録ヘッド(記録手段)、25…PFモーター(駆動手段)、37…紙送りローラー(搬送手段)、38…排紙ローラー(搬送手段)、40…第1の駆動ローラー(搬送ローラー)、49…ロータリーエンコーダー(位相検出手段)、54…制御部(記憶手段,補正手段)、36…搬送装置(シート搬送装置)、a1〜a8…補正位相、S…用紙(シート)。

Claims (4)

  1. 搬送ローラーによりシートを搬送方向の上流側から下流側へ搬送する搬送手段と、
    該搬送手段を駆動する駆動手段と、
    該駆動手段の駆動に伴って回転する前記搬送ローラーの位相原点及び該位相原点からの回転量を表す回転位相を検出する位相検出手段と、
    前記搬送ローラーの回転に伴って搬送される前記シートの搬送量を補正する補正位相を記憶する記憶手段と、
    前記位相検出手段により検出される前記回転位相が前記補正位相である場合に、前記シートの搬送量を、前記位相検出手段が検出可能な最小単位である単位補正量分増加または減少させる補正を実行する補正手段と
    を備えるシート搬送装置。
  2. 前記補正位相は、前記シートの搬送量の変動量が前記シートの単位搬送量の整数倍に相当する位相であることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のシート搬送装置と、
    該シート搬送装置により搬送される前記シートに対して記録材を付着させる記録手段と を備えたことを特徴とする記録装置。
  4. 搬送ローラーを回転させてシートを搬送方向の上流側から下流側へ搬送する搬送ステップと、
    該搬送ステップにおいて前記搬送ローラーの位相原点及び該位相原点からの回転量を表す回転位相を検出する検出ステップと、
    該検出ステップにおいて検出された前記回転位相が前記シートの搬送量を補正する補正位相である場合に、前記シートの搬送量を前記検出ステップにおいて検出可能な最小単位である単位補正量分増加または減少させる補正ステップと
    を備えるシート搬送方法。
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