JP2007063016A - 被記録材搬送量制御方法、被記録材搬送装置、および記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 被記録材の種類毎に第1の補正を実行して搬送ローラ132および排出ローラ152の送り量を補正すると共に、前記搬送ローラ対131に挟持された前記被記録材の搬送開始後における前記搬送ローラ対131より搬送方向上流側の長さ(P1〜P3)が、所定寸法(搬送ローラ対131から後端部P2’)である状態から、さらに搬送されて搬送ローラ対131による挟持より解放されるまでの間の前記搬送ローラ132および前記排出ローラ152の送り量に対し、被記録材の種類に応じた第2の補正をさらに実行することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
また、搬送ローラと排出ローラとは材質等の構成が異なるのが一般的であり、従って、搬送ローラによって被記録材を搬送する際の搬送誤差と、排出ローラによって被記録材を搬送する際の搬送誤差とは異なることになる。これを考慮したのが、特許文献3に記載された記録装置である。この記録装置は、複数のローラ対を有し且つ被記録材を搬送するローラ対の組み合わせが変化する構成において、適切に被記録材の搬送量の補正を行うように構成されている。
ここで、「給送部を通過」とは、給送部の給送ローラと搬送路とによって挟持される領域を通過することをいう。
例えば、被記録材の後端部が搬送路と擦れることによって発生するバックテンションの大きさが、小さく変わったときから、前記後端部が搬送ローラ対による挟持より解放されるまでの間の前記搬送ローラおよび排出ローラの送り量に対し、被記録材の種類に応じた第2の補正を実行することができる。前記バックテンションが変動して小さくなる領域での、被記録材の送り量は、前記バックテンションが変動する前の領域での送り量と比較して大きくなる。この大きくなる分を第2の補正の実行によって補正するので、前記搬送ローラ対に挟持された前記被記録材の搬送開始後における前記搬送ローラ対より搬送方向上流側の長さが、「所定寸法」である状態から、さらに搬送されて前記搬送ローラ対による挟持より解放されるまでの間において、被記録材の送り量を安定させることができる。その結果、「バンディング現象」を防止することができる。
本発明の第3の態様によれば、第1の態様と同様の作用効果を得ることができる。
本発明の第4の態様によれば、記録装置は、上記第3の態様に記載された前記被記録材搬送装置を備えているので、記録装置において、上記第1の態様に記載された作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
本発明の第5の態様によれば、第4の態様と同様の作用効果を得ることができ、特に、前記給送部から前記搬送ローラ対までの被記録材を搬送する搬送路は、前記搬送ローラ対および排出ローラ対に挟持された被記録材を変形させるように形成されている場合に有効である。
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本願発明に係る記録装置内部の概略を示す側面図である。
図1に示す如く、記録装置100は、用紙P1〜P3を搬送する用紙搬送装置110を備え、用紙搬送装置110は、積層された用紙(図示せず)を搬送路161へ給送する給送部120と、給送部120から給送された用紙P1〜P3を記録部140へ搬送する搬送部130と、搬送部130から搬送された用紙P1〜P3に記録する記録部140と、記録部140で記録された用紙P1〜P3を記録装置100から排出する排出部150とから構成されている。
尚、用紙P1〜P3およびその後端部P1’〜P3’は、用紙が搬送されていく様子を示したものである。
図2および図3において、グラフの縦軸は、用紙P1〜P3が送られる「送り量」の理論値と実際の送り量との差である。プラス側は、理論値より多く送られることを意味し、反対にマイナス側は、スリップやバックテンション等によって理論値より少なく送られることを意味する。一方、横軸は、用紙先端からの送り回数(Pass数)である。グラフの実線は、用紙の80桁側の送り量を示し、一方の鎖線は、1桁側を示す。
「送」るとは、搬送状態において、搬送動作を分解した1回の紙送り、所謂、1Passをいい、1回の紙送り量は約1.4mmである。
また、グラフ縦軸の「理論値と実際の送り量との差」は、18Pass累積した送り量(1から18まで、2から19まで、3から20まで、……)と理論送り量との差であり、縦軸の値0は理論送り量を意味する。尚、送り量を累積させた理由は、理論値との差が非常に小さな値であるため、差を確認することが非常に困難である。そこで、累積させることによって理論値との差を顕著に示すこととした。
そして、搬送ローラ対131から給送ローラ121のニップ点までの距離は、70mm程度である。また、搬送路161の斜面のうち、用紙の後端部が当接しない搬送ローラ対側の緩やかな斜面と、後端部が当接する給送ローラ側の急な斜面との境界は、搬送ローラ対から30mm程度上流側に設けられている。さらに、搬送ローラ対が成す搬送方向と、前記緩やかな斜面との角度差は−5度程度である。一方、搬送ローラ対が成す搬送方向と、前記急な斜面との角度差は8度程度である。
尚、搬送ローラ対から給送ローラのニップ点までの距離、搬送路の形状および角度等の構成は該実施例に限定されるものではない。
ここで、横軸1〜170Passは、用紙が図1に示す搬送ローラ対131および排出ローラ対151の両ローラ対によって挟持されながら搬送されている状態であり、この状態を搬送状態Aとする。一方、横軸171Pass以降は、用紙後端部(P1’〜P3’)が搬送ローラ対131を通過し、排出ローラ対151のみに挟持されながら搬送(排出)されている状態であり、この状態を搬送状態Bとする。また、横軸141Passは、用紙後端部(P1’〜P3’)が給送部120の給送ローラ121を通過したときであり、具体的には、図1に示すP2’の位置である。そして、横軸171Passは、用紙後端部(P1’〜P3’)が搬送ローラ対131を通過したときである。
尚、搬送状態Aより搬送状態Bの方が、理論値と実際の送り量との差の水準が高くなっているが、これは、用紙の材質、搬送駆動ローラ132の材質、および排出駆動ローラ152の材質に左右されるものであり、必ずしも水準が高くなるとは限らず、逆に水準が低くなることも考えられる。
続いて、用紙P3の位置まで搬送ローラ対131に送られる。このとき、後端部P3’は搬送路161と離間するので、バックテンションは生じない。即ち、用紙P2の位置近傍でバックテンションの大きさが著しく変動する。
詳しく説明すると、用紙P1の位置から用紙P2の位置まで搬送ローラ対131に送られる際、用紙と搬送駆動ローラ132との巻き付き角が変動する。このとき、搬送駆動ローラ132は下側に設けられているので、巻き付き角は徐々に大きくなる。
従って、横軸141〜170Passの水準は、横軸1〜140Passの水準より高くなる。即ち、厚紙の場合、横軸141〜170Passにおいて、普通紙では殆ど発生しなかった現象が発生する。従って、同じ搬送状態A内でも、縦軸の水準が大きく変化する。
また、図2に示す普通紙の1〜170Passの水準と、図3示す厚紙の1〜140Passの水準とが異なるのは、紙種によって材質が異なり、搬送駆動ローラ132および排出駆動ローラ152の材質との相性の差、例えば、摩擦係数の違いによるものである。
その結果、図3における横軸1〜140Passの水準を引き上げて、縦軸である理論値との差を0に近づけることができる。ところが、ただ単に、水準を引き上げただけでは、横軸141〜170Pass間が反対に縦軸の理論値より離れてしまう。
その結果、図3における横軸141〜170Passの水準を引き下げて、縦軸である理論値との差を0に近づけることができる。
その結果、用紙P1〜P3の搬送駆動ローラ132との巻き付き角が変動し始めてから、さらに搬送されて搬送ローラ対131による挟持より解放されるまでの間、搬送駆動ローラ132および排出駆動ローラ152が用紙P1〜P3を送るの送り量を安定させることができる。
尚、本発明において、第1の補正は、搬送ローラ対および排出ローラ対によって用紙が搬送されている搬送状態Aのときに実行するように構成されていたが、搬送ローラ対、あるいは、排出ローラ対のいずれか一方のみに搬送されている状態のときにも実行してもよいのは勿論である。
図4に示すのは、実施形態2における補正前の搬送誤差を示すグラフである。縦軸は理論値と実際の送り量との差の17pass累積値を表し、横軸は送り回数を表す。また、図5〜図8に示すのは、補正前の搬送誤差のデータを示す図である。このうち、図5は1pass目〜50pass目まで、図6は51pass目〜100pass目まで、図7は101pass目〜150pass目まで、図8は151pass目〜192pass目までのデータに分割して示したものである。
[手順]
1.補正無し状態において、用紙送り量であるピッチデータ(生データ)(単位μm)を取る(図5〜図8の左から2列目および3列目(A)参照)。
2.送り理論値からの差に変換する(図5〜図8の左から4列目および5列目(B)参照)。
3.1インチ当りの補正量を求めるため17pass累積する(図5〜図8の左から6列目および7列目(C)参照)。
4.後端補正が必要な領域はデータの変曲点(図4より122pass目)より決定する。
5.1〜121pass、122〜166passそれぞれの17pass累積の平均を計算し、その差を求める。
6.1/5760”単位に換算する(送り分解能)。
尚、前述した実施形態1では、送り量の累積を18pass累積、送り分解能を1/4320”、1step=5.9μm、基準送り量を41/720=約1.4mm、後端補正領域を141〜170passとしたが、実施形態2では、送り量の累積を17pass累積、送り分解能を1/5760” 、1step=4.4μm、基準送り量を43/720=1516.9μm(約1.5mm)、後端補正領域を122〜166passとして計算する。該違いは、用紙搬送装置110の機種の違いによるものである。
手順1に従って、図5〜図8の左から2列目および3列目(A)に示す如く、ピッチデータである生データを取る。
次に手順2に従って、図5〜図8の左から4列目および5列目(B)に示す如く、手順1の生データ(A)と基準送り量1516.9μmとの差を求める。
続いて手順3に従って、図5〜図8の左から6列目および7列目(C)に示す如く、17pass累積を求める。例えば、一行目の1pass目の累積値は、1〜17passにおける生データと送り理論値との差を合計した値である。
さらに、手順5に従って計算すると、1〜121passにおける17pass累積の平均は3.1(μm)、122〜166passにおける17pass累積の平均は26.0(μm)と求めることができる。このとき、1〜121passにおける17pass累積の平均と、122〜166passにおける17pass累積の平均との差は、
3.1(μm) − 26.0(μm) = −22.9(μm)
と求めることができる。
−22.9 / 25.4 × 5760 / 1000 = −5.2
と求めることができる。
その結果、122〜161までの間に、1インチ当り−5/5760”の補正をかけることにする。実際の補正は、1インチ送り≒17pass中に5回、「−1」の補正を散りばめて入れる。具体的には、17/5=3.4であるから、その倍数を近似した整数、4、7、11、14、17pass目に補正を入れる。
尚、17pass累積値の求め方は、前述した通りである。
また、図9〜図13に示すデータを採取した用紙搬送装置110は、図4〜図8のデータを採取した用紙搬送装置110と同一であり、後端補正の有無のみ異なるものである。
130 搬送部、131 搬送ローラ対、132 搬送駆動ローラ、
133 搬送従動ローラ、140 記録部、141 記録ヘッド、
142 ノズル開口列、143 プラテン、150 排出部、151 排出ローラ対、
152 排出駆動ローラ、153 排出従動ローラ、154 補助ローラ、
161 搬送路、162 制御部、P1〜P3 用紙、P1’〜P3’ 後端部、
PG ペーパーギャップまたはプラテンギャップ
Claims (6)
- 被記録材が積層された給送部から記録ヘッド側へ被記録材を搬送する搬送ローラ対と、
記録ヘッドによって記録された被記録材を排出する排出ローラ対との両ローラ対に、被記録材を挟持させて搬送する被記録材搬送量制御方法であって、
被記録材の種類毎に第1の補正を実行して前記搬送ローラおよび前記排出ローラの送り量を補正すると共に、
前記搬送ローラ対に挟持された前記被記録材の搬送開始後における前記搬送ローラ対より搬送方向上流側の長さが、所定寸法である状態から、さらに搬送されて前記搬送ローラ対による挟持より解放されるまでの間の前記搬送ローラおよび前記排出ローラの送り量に対し、被記録材の種類に応じた第2の補正をさらに実行することを特徴とする被記録材搬送量制御方法。 - 被記録材が積層された給送部から記録ヘッド側へ被記録材を搬送する搬送ローラ対と、
記録ヘッドによって記録された被記録材を排出する排出ローラ対との両ローラ対に、被記録材を挟持させて搬送する被記録材搬送量制御方法であって、
被記録材の種類毎に第1の補正を実行して前記搬送ローラおよび前記排出ローラの送り量を補正すると共に、
前記搬送ローラ対に挟持された被記録材の前記搬送ローラ対より搬送方向上流側が、該搬送ローラ対によって搬送される際に、該被記録材の搬送ローラとの巻き付き角が変動し始めてから、さらに搬送されて前記搬送ローラ対による挟持より解放されるまでの間の前記搬送ローラおよび前記排出ローラの送り量に対し、被記録材の種類に応じた第2の補正をさらに実行することを特徴とする被記録材搬送量制御方法。 - 被記録材が積層された給送部から記録ヘッド側へ被記録材を搬送する搬送ローラ対と、
記録ヘッドによって記録された被記録材を排出する排出ローラ対との両ローラ対に、被記録材を挟持させて搬送する被記録材搬送装置であって、
被記録材の種類毎に第1の補正を実行して前記搬送ローラおよび前記排出ローラの送り量を補正すると共に、
前記搬送ローラ対に挟持された前記被記録材の搬送開始後における前記搬送ローラ対より搬送方向上流側の長さが、所定寸法である状態から、さらに搬送されて前記搬送ローラ対による挟持より解放されるまでの間の前記搬送ローラおよび前記排出ローラの送り量に対し、被記録材の種類に応じた第2の補正をさらに実行することを特徴とする被記録材搬送装置。 - 被記録材が積層される給送部と、
該給送部から記録部へ被記録材を搬送する搬送部と、
記録ヘッドにより被記録材に記録を実行する記録部と、
記録された被記録材を排出する排出部とを備えた記録装置であって、
請求項3に記載された前記被記録材搬送装置を備えていることを特徴とする記録装置。 - 請求項4に記載された記録装置において、前記給送部から前記搬送ローラ対までの被記録材を搬送する搬送路は、前記搬送ローラ対および排出ローラ対に挟持された被記録材を変形させるように形成されていることを特徴とする記録装置。
- 被噴射媒体が積層された給送部から液体噴射ヘッド側へ被噴射媒体を搬送する搬送ローラ対と、
液体噴射ヘッドによって記録された被噴射媒体を排出する排出ローラ対との両ローラ対に、被噴射媒体を挟持させて搬送する被噴射媒体搬送装置を備え、液体噴射ヘッドに設けられたインク吐出孔から液体を被噴射媒体に噴射を行う液体噴射装置であって、
被噴射媒体の種類毎に第1の補正を実行して前記搬送ローラおよび前記排出ローラの送り量を補正すると共に、
前記搬送ローラ対に挟持された前記被噴射媒体の搬送開始後における前記搬送ローラ対より搬送方向上流側の長さが、所定寸法である状態から、さらに搬送されて前記搬送ローラ対による挟持より解放されるまでの間の前記搬送ローラおよび前記排出ローラの送り量に対し、被噴射媒体の種類に応じた第2の補正をさらに実行することを特徴とする液体噴射装置。
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