JP2014034504A - 昇華性単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】SiCなどの昇華性単結晶の表面の昇華と熱応力による割れを抑制することが可能な昇華性単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】容器10’内に昇華性単結晶を構成する成分を含むガスを発生可能なガス発生源12を配置し、かつ、前記ガス発生源12に対向する位置に前記昇華性単結晶18’を配置する。次いで、前記ガス発生源12の方が高温になるように、温度勾配ΔTを付与しながら前記昇華性単結晶18’をアニールする。アニール終了後、成長面の上に、さらに結晶を成長させても良い。
【選択図】図2

Description

本発明は、昇華性単結晶の製造方法に関し、さらに詳しくは、SiCなどの昇華性単結晶の表面の昇華と熱応力による割れを抑制することが可能な昇華性単結晶の製造方法に関する。
従来より、SiC単結晶ウェハを効率的かつ低コストに得るために、より長尺な単結晶を成長可能な方法が望まれている。ところが、SiC単結晶の成長において、長尺な単結晶を得ることは容易ではない。これは、SiC単結晶の成長法が気相成長であることに起因していると考えられる。具体的な現象として、SiC種結晶上にSiCの堆積を続けると、(1)成長速度の低下、(2)結晶品質の低下、(3)結晶口径の縮小、の少なくとも1つが起きる。そのため、従来の方法では、長尺、高品質、口径維持の3条件を満たした結晶を得ることが難しい。
当業界においても、一般的に、長尺かつ高品質な単結晶を得ることは、極めて難しいとされている。これは、例えば特許文献1に詳細に説明されているように、高品質な結晶を成長させるための成長面の適度な凸形状を成長の初期から後期に渡り、一定の範囲内に維持するのが難しいからである。
図1(a)に、公知文献に記載された口径と成長高さの関係を示す。また、図1(b)に、公知文献に記載された口径とアスペクト比(成長高さ/口径)の関係を示す。図1からわかるように、結晶口径よりも成長高さの高いSiC単結晶は報告されていない。つまり、最大でも成長高さをH、結晶の口径をDとした時、従来のSiC単結晶は、H/D<1の範囲内にある。我々が数多くの実験を重ねた結果、成長面の一定の凸形状を維持(つまり、結晶品質を低下させずに成長)できる成長高さは、せいぜい結晶の口径の寸法程度であることがわかった。
この問題を解決するために、特許文献2には、
(1)SiC原料が供給される本体部と、その上部に配置される上蓋とを有する成長容器であって、上蓋に成長容器の外側に向けて凹んだ種収容部を形成したものを用い、
(2)成長方向に20mm以上の厚さを有するSiC種結晶を、その成長面とSiC原料とが対向するように種収容部に埋め込み、
(3)成長面と反対側の裏面を上蓋の内表面からSiC原料と離れる方向に後退させて配置し、
(4)SiC種結晶の成長面上にバルク状のSiC単結晶を成長させ、
(5)成長したSiC単結晶を種結晶に用いて、成長面上にSiC単結晶をさらに成長させる
SiC単結晶の製造方法が開示されている。
特許文献2に記載の方法を用いると、口径を縮小させることなく、長尺の単結晶を製造することができる。同文献に記載の方法では、単結晶の長さが長くなっても、坩堝の上蓋から単結晶を突出させて、単結晶の成長面側に成長方向に凸形状の等温面を形成することができる。また、これによって、高品質な成長を維持するとともに口径縮小を抑制することができる。さらに、裏面側近傍に成長方向に凹面形状の等温面を形成することによって、単結晶側面部からの放熱を促進して成長速度を維持することができる。これにより、長尺、高品質、口径維持の3条件を満たした結晶を得ることができる。
しかしながら、前述のような特殊な温度分布を単結晶に生じさせるため、成長結晶の成長面側の側面部に強い引張応力が生じ、室温に冷却した際や、その後の機械加工時に、結晶割れを引き起こすことがあった。成長結晶側面部での引張応力の発生は、成長面近傍での成長方向に凸形状の等温面に起因すると考えられている。
すなわち、高品質な結晶を成長させるためには結晶の表面を凸形状に維持する必要があり、そのためには単結晶の成長面近傍の成長方向に垂直な断面において、中心部の温度を外周部に比べて相対的に低く維持しなければならない。しかしながら、成長終了後に均一温度場である室温に結晶が冷却されると、外周部の温度降下量が中心部の温度降下量に比べて大きくなり、外周部が相対的に大きく収縮しようとする。その結果、外周部に引張、中心部に圧縮の内部応力が発生する(特許文献3参照)。材料は、とりわけ引張応力に弱いことから、外周部の引張応力が原因で結晶割れが起きやすくなる。
単結晶の内部応力を低減する方法として、いくつかの方法が提案されている。
例えば、特許文献3には、SiC単結晶成長終了後の降温速度を一定の範囲にする方法が開示されている。同文献には、このような方法により、外周部分の周方向への残留応力が−3.5MPa以上35MPa以下の圧縮応力であるSiC単結晶が得られる点が記載されている。
しかしながら、同文献に記載されているような坩堝構造では、成長高さの低い単結晶しか得られず、長尺な単結晶の製造は難しいと考えられる。
前述の特許文献2に記載の方法では、等温面の湾曲方向を結晶内で反転させ、成長面側で成長方向に、より凸形状になり易くするための特殊な坩堝構造(上蓋による単結晶周囲の上下方向断熱)を用いている。そのため、特許文献3に記載の坩堝構造で実現できたような、降温中における等温面の凸面形状から凹面形状への反転は実現できず、結晶割れを抑制することができない。
一方、成長後に均一温度場で結晶をアニール処理することで、結晶中の内部応力を低減できることが報告されている。但し、SiCをアニール処理する際には、結晶の割れを引き起こすような内部応力分布を除去するだけでなく、結晶表面の昇華による表面炭化が起きないように注意しなければならない。特に、長尺の結晶を昇華法により作製しようとする場合、長尺化による坩堝内の温度分布の変化や、原料の枯渇が起きるため、一度単結晶を成長させた後に、坩堝を再構成したり、枯渇した原料を新品の原料に交換して再成長を行うことになる。この時、前回の最終成長表面が炭化していると、新たに成長した結晶層で多結晶化がおきるなど、結晶品質が大幅に低下する。表面が炭化しても、炭化層を除去して再成長させれば、品質低下のない単結晶層が得られる。しかしながら、成長面の再加工はコストを上昇させ、プロセスタイムを増加させる。
特許文献4には、処理温度の上限を2000℃とすることで、表面炭化を防ぐ方法が記載されている。しかしながら、処理温度が低くなると、内部応力を低減する十分な効果が得られない。また、2000℃においても、表面炭化が起きる可能性が高い。
特許文献5には、炭素及び水素からなる非腐食性ガスのもとで熱処理することにより、表面炭化を防ぐ方法が記載されている。しかしながら、このような条件下でも表面炭化が起きることがある。
また、特許文献6には、熱処理容器と単結晶の間に充填材(SiCを含んでいても良い)を入れて熱処理する方法が記載されている。しかしながら、この場合、結晶表面に充填材が固着してしまう可能性が高く、また同様に、表面炭化が起きることがある。
さらに、上述の問題点は、SiCだけでなく、昇華性の結晶に対しても起こり得る。
特開2011−219287号公報 特開2005−179155号公報 特開2007−290880号公報 特開2004−131328号公報 特開2006−290705号公報 特開2010−064919号公報
本発明が解決しようとする課題は、SiCなどの昇華性単結晶の表面の昇華と熱応力による割れを抑制することが可能な昇華性単結晶の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る昇華性単結晶の製造方法は、
容器内に昇華性単結晶を構成する成分を含むガスを発生可能なガス発生源を配置し、かつ、前記ガス発生源に対向する位置に前記昇華性単結晶を配置し、前記ガス発生源の方が高温になるように、温度勾配ΔTを付与しながら前記昇華性単結晶をアニールするアニール工程
を備えていることを要旨とする。
アニール処理において、処理温度を低くしたり、あるいは、雰囲気中に昇華ガス又はこれに準ずるガスで満たすだけでは、表面の昇華を十分に抑制することはできない。これは、アニール温度(SiCの場合は、約2000℃)において、処理する結晶及び処理容器を完全に均一な温度に維持することは極めて難しく、処理容器や結晶の内部や表面に多少の温度勾配が発生し、結晶表面の昇華の原因となるからである。
これに対し、昇華ガス又はこれに準ずるガスの存在下において、結晶表面の昇華を防ぎたい部分に意図的に、結晶よりも周囲の温度が高くなるような温度勾配ΔTを付与すると、表面部分の昇華を抑制しつつアニール処理を行うことができる。
図1(a)は、公知文献に記載された口径と成長高さの関係を示す図である。図1(b)は、公知文献に記載された口径とアスペクト比(成長高さ/口径)の関係を示す図である。 本発明に係る昇華性単結晶の製造方法(具体例1)の工程図である。 本発明に係る昇華性単結晶の製造方法(具体例2)の工程図である。 本発明に係る昇華性単結晶の製造方法(具体例3)の工程図である。 本発明に係る昇華性単結晶の製造方法(具体例4)の工程図である。
昇華性単結晶の製造方法(比較例1)の工程図である。 昇華性単結晶の製造方法(比較例2)の工程図である。 昇華性単結晶の製造方法(比較例3)の工程図である。 昇華性単結晶の製造方法(比較例4)の工程図である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 昇華性単結晶の製造方法]
本発明に係る昇華性単結晶の製造方法は、アニール工程を備えている。本発明に係る昇華性単結晶の製造方法は、再成長工程をさらに備えていても良い。
[1.1. アニール工程]
アニール工程は、容器内に昇華性単結晶を構成する成分を含むガスを発生可能なガス発生源を配置し、かつ、前記ガス発生源に対向する位置に前記昇華性単結晶を配置し、前記ガス発生源の方が高温になるように、温度勾配ΔTを付与しながら前記昇華性単結晶をアニールする工程である。
[1.1.1. 昇華性単結晶]
本発明は、昇華性を有する材料の単結晶製造に用いることができる。昇華性を有する材料としては、例えば、SiC、GaN、AlNなどがある。特に、SiCは、本発明の適用対象として好適である。
単結晶の成長方法としては、
(1)比較的薄い種結晶を用い、裏面を支持部材に接着して、種結晶の表面に結晶を成長させる第1の方法と、
(2)比較的厚い種結晶を用い、裏面及び側面に保護部材を貼り付け、上蓋に固定し、種結晶の表面に結晶を成長させる第2の方法と
がある。
第2の方法を用いて結晶を成長させた後、昇華性単結晶のアニール処理を行う際には、成長結晶の側面及び裏面の保護部材を除去しても良く、あるいは、除去しなくても良い。成長結晶の側面及び裏面にある保護部材を除去することなくアニール処理を行うと、アニール処理時における成長結晶の側面及び裏面の昇華を抑制することができる。
[1.1.2. 容器]
アニールに用いる容器は、少なくとも、後述するガス発生源を配置可能なものである必要がある。アニールに用いる容器の形状は、ガス発生源を配置可能なものである限りにおいて、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な形状を選択することができる。アニールに用いる容器は、昇華性単結晶の成長に用いられた容器(成長用坩堝)とは別個の容器であっても良い。あるいは、アニール方法が許容する場合には、成長用坩堝をアニール用の容器としてそのまま用いても良い。
容器としては、具体的には、
(1)ガス発生源を配置することができ、かつ、アニール処理される昇華性単結晶の全体を収容可能であるもの、
(2)ガス発生源を配置することができ、かつ、アニール処理される昇華性単結晶の一部(例えば、後述する再成長工程において、成長面となる部分及びその近傍の部分。すなわち、昇華性単結晶の先端部分。)を収容可能であるもの
などがある。
特に、特許文献2に記載の成長用坩堝(継ぎ足し成長に用いられる成長容器)は、単結晶を成長させた後、単結晶の温度を室温まで降下させることなくアニールを行うことができるので、アニール用の容器として好適である。
[1.1.3. ガス発生源]
アニール用の容器には、昇華性単結晶を構成する成分を含むガスを発生可能なガス発生源が配置される。
ガス発生源としては、
(1)昇華性単結晶と同一組成を有する材料からなる粉末、
(2)昇華性単結晶の昇華ガスに準じた組成を持つガス(例えば、SiCの場合は、メタン+シランの混合ガス)を供給するためのノズル、
などがある。
昇華性単結晶は、ガス発生源と対向する位置に配置される。
例えば、ガス発生源が粉末である場合、粉末をアニール用の容器の底部に充填し、これと対向するように、アニールすべき昇華性単結晶を配置する。
また、例えば、ガス発生源がノズルである場合、アニール用の容器の底部又は上蓋部にノズルを配置し、これと対向するように、アニールすべき昇華性単結晶を配置する。
昇華性単結晶をアニール処理する場合、ガス発生源と対向する昇華性単結晶の面は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。
但し、アニール後の昇華性単結晶の成長面上に、さらに結晶を成長させる場合には、成長面がガス発生源に対向するように、昇華性単結晶を配置するのが好ましい。成長面とガス発生源とを対向させると、成長面の昇華が抑制されるので、再成長時における欠陥の発生を抑制することができる。また、機械加工等により成長面を清浄化する必要もない。
[1.1.4. アニール処理]
[A. アニールの定義]
アニールは、昇華性単結晶よりもガス発生源の方が高温になるように、温度勾配ΔTを付与しながら行う。
「アニール」とは、昇華性単結晶を実質的に成長させることなく、熱処理を行うことをいう。「実質的に成長しない」とは、成長速度が0.1mm/hr以下であることをいう。熱処理に伴って結晶の成長が進行すると、新たに成長した部分の結晶品質が低下したり、内部応力が増大し、割れの原因となることがある。割れの発生を抑制するためには、アニール時の成長速度は、遅いほどよい。アニール時の成長速度は、さらに好ましくは、0.05mm/hr以下である。
アニール処理時の成長速度は、容器の加熱温度、容器内の昇華性ガス又はこれに準ずるガスの濃度、温度勾配ΔTの大きさなどにより制御することができる。
[B. 温度勾配ΔT]
アニール時に温度勾配ΔTが反対(すなわち、ガス発生源に対して昇華性単結晶側が高温)になると、昇華性単結晶の表面の内、ガス発生源に対向する面において昇華が起こる。従って、温度勾配ΔTは、ΔT>0℃/cmである必要がある。温度勾配ΔTは、さらに好ましくは、ΔT>0.5℃/cm、さらに好ましくは、ΔT>1℃/cmである。
温度勾配ΔTが大きくなるほど、昇華性単結晶の表面における昇華が抑制される。しかしながら、温度勾配ΔTが大きくなりすぎると、十分なアニール効果が得られない。また、アニール時に結晶の成長が進行すると、成長面が凹面化しやすい。凹面化した成長面上に結晶を再成長させると、成長結晶中に欠陥が発生しやすくなる。
一般に、温度勾配ΔTが10℃/cm未満になると、昇華性単結晶の成長速度が著しく低下する。結晶の成長を実質的に停止させるためには、温度勾配ΔTは、ΔT<5℃/cmが好ましい。温度勾配ΔTは、さらに好ましくは、ΔT<4℃/cm、さらに好ましくは、ΔT<3℃/cmである。
[C. 等温面の形状]
温度勾配ΔTを付与しながらアニールを行う場合、等温面の形状は、温度勾配ΔTを付与する方法に応じて異なる。
等温面の形状としては、具体的には、
(a)昇華性単結晶内の等温面の全部が高温側に凸面形状となる場合、
(b)昇華性単結晶内の等温面の内、高温側の等温面が高温側に凸面形状となり、低温側の等温面が高温側に凹面形状となる場合、又は、
(c)昇華性単結晶内の等温面の全部が高温側に凹面形状となる場合
がある。
特に、昇華性単結晶内の等温面の全部又は一部(特に、等温面の全部)が高温側に凹面形状となるように、温度勾配ΔTを付与すると、室温に冷却した際の割れの確率を一層抑制することができる。これは、等温面を高温側に凹面形状とすることによって、冷却後の単結晶の外周部に圧縮応力が発生しやすくなるためである。
[D. 温度勾配ΔTの付与方法]
アニール用の容器に所定の温度勾配ΔTを付与する方法としては、
(1)アニール用の容器の周囲に1個のヒータを配置し、かつ、ヒータの均熱帯から外れた位置にアニール用の容器を配置する方法、
(2)アニール用の容器の周囲であって、温度勾配ΔTを付与する方向に2個又は3個以上のヒータを配置し、複数個のヒータを個別に制御する方法、
などがある。
アニールは、昇華性単結晶を成長させた後、成長用坩堝をアニール用の容器に用いて、温度を室温まで降下させることなく行っても良い。成長用坩堝は、一般に、意図的に温度勾配を作り出す形状であることが多いため、アニールに適した温度勾配ΔTを作り出すのが難しい。従って、このような場合には、複数個のヒーターを配置して独立に温度制御するのが好ましい。
また、アニールは、昇華性単結晶を成長させた後、結晶を取り出し、アニール用の容器に再配置して行っても良い。この場合、温度勾配ΔTを小さくし、また結晶内部の等温面を平坦化するのは比較的容易である。これにより、十分なアニール効果が得られる。しかしながら、降温と再加熱が必要なため、プロセスタイムが長くなる。
[E. 等温面形状の制御方法]
昇華性単結晶内の等温面の形状を制御する方法としては、
(1)アニール用容器の上蓋を断熱材として用い、昇華性単結晶の先端部分のみをアニール用の容器の内部に挿入する第1の方法、
(2)アニール用の容器の内側に、固定式又は可動式の断熱材を配置する第2の方法、
(3)アニール用の容器の外側に、固定式又は可動式の断熱材を配置する第3の方法
などがある。
この場合、等温面の形状は、上蓋(断熱材)を境に「高温側に凸面形状」から「高温側に凹面形状」に逆転させることが可能になる。
従って、第1の方法を用いると、昇華性単結晶内の等温面の内、高温側の等温面が高温側に凸面形状となり、低温側の等温面が高温側に凹面形状となる。この点は、第2又は第3の方法を用いる場合において、断熱材を配置するときも同様である。
一方、第2又は第3の方法を用いる場合において、断熱材を配置するときには、その上下方向の位置により昇華性単結晶内の等温面の形状を制御できる。
また、アニール用の容器の内側又は外側に断熱材を配置する場合、断熱材は、温度勾配ΔTの方向に沿って、容器に対して相対移動可能なものが好ましい。成長とアニールとを同一の容器で行う場合において、成長時とアニール時の坩堝に対する断熱材の相対的位置を変化させることで、容易に昇華性単結晶内の等温面の形状を制御することができる。
[1.1.5. アニール処理条件]
[A. アニール温度]
一般に、アニール温度が低すぎると、十分なアニール効果が得られない。一方、アニール温度が高すぎると、坩堝や炉体の消耗が激しくなる。
最適なアニール温度は、昇華性単結晶の組成により異なる。例えば、SiCの場合、アニール温度は、1800℃以上が好ましい。アニール温度は、さらに好ましくは、2000〜2500℃である。
[B. 雰囲気圧力]
一般に、雰囲気圧力が高くなるほど、単結晶の表面への成長を抑制することができる。一方、雰囲気圧力が高すぎると、特に、1気圧に近づく、又は、それ以上になると、炉体外へのガスのリークが発生する。
最適な雰囲気圧力は、昇華性単結晶の組成により異なる。例えば、SiCの場合、雰囲気圧力は、100Torr(1.33×104Pa)以上が好ましい。雰囲気圧力は、さらに好ましくは、300〜600Torr(4.0×104〜8.0×104Pa)である。
[C. 保持時間]
一般に、定常条件での保持時間が長くなるほど、高いアニール効果が得られる。一方、保持時間が長くなりすぎると、坩堝や炉体の消耗が激しくなり、プロセスコストもかかる。
最適な保持時間は、昇華性単結晶の組成、アニール温度、雰囲気圧力などにより異なる。例えば、SiCの場合、保持時間は、1h以上が好ましい。保持時間は、さらに好ましくは、2〜24hである。
[D. 処理後の冷却速度]
アニール処理後の冷却速度は、昇華性単結晶内の内部応力に影響を与える。一般に、冷却速度が遅くなるほど、割れの発生を抑制することができる。一方、必要以上の徐冷は、効果に差が無く、実益がない。
最適な冷却速度は、昇華性単結晶の組成、アニール温度などにより異なる。例えば、SiCの場合、冷却速度は、500℃/h以下が好ましい。冷却速度は、さらに好ましくは、50〜300℃/hである。
[1.2. 再成長工程]
再成長工程は、成長面がガス発生源に対向するように昇華性単結晶を容器内に配置し、昇華性単結晶のアニール処理を行った後、前記成長面の上に、さらに結晶を成長させる工程である。
成長面がガス発生源に対向する状態で昇華性単結晶のアニール処理を行うと、成長面の昇華を抑制することができる。そのため、アニール処理後の成長面にさらに結晶を成長させても、成長結晶内に欠陥が導入される可能性は低い。
結晶の再成長方法は、特に限定されるものではなく、昇華性単結晶の組成、ガス発生源の種類等に応じて最適な方法を選択することができる。
例えば、ガス発生源として、昇華性単結晶と同一組成を有する材料からなる粉末を用いる場合、一般に、成長用坩堝に新たに粉末を充填し、成長面が粉末に対向するようにアニール処理後の昇華性単結晶を配置する。この状態で成長用坩堝を加熱すると、成長面上に新たに結晶を成長させることができる。
また、例えば、ガス発生源として昇華性ガスに準ずるガスを供給するためのノズルを用いる場合、成長面がノズルに対向するようにアニール処理後の昇華性単結晶を配置する。この状態で成長用坩堝を加熱しながらノズルを介してガスを供給すると、成長面上に新たに結晶を成長させることができる。
[2. 作用]
アニール処理において、処理温度を低くしたり、あるいは、雰囲気中に昇華ガス又はこれに準ずるガスで満たすだけでは、表面の昇華を十分に抑制することはできない。これは、アニール温度(SiCの場合は、約2000℃)において、処理する結晶及び処理容器を完全に均一な温度に維持することは極めて難しく、処理容器や結晶の内部や表面に多少の温度勾配が発生し、結晶表面の昇華の原因となるからである。
これに対し、昇華ガス又はこれに準ずるガスの存在下において、結晶表面の昇華を防ぎたい部分に意図的に、結晶よりも周囲の温度が高くなるような温度勾配ΔTを付与すると、表面部分の昇華を抑制しつつアニール処理を行うことができる。
例えば、SiCの場合、結晶表面の温度勾配の向きは、表面においてSiCの析出が起きるか、あるいは熱分解が起きるかの反応の方向を決めている。また、処理温度や雰囲気ガス濃度は、反応の速度を決めている。つまり、処理温度が低く、雰囲気ガスに炭素及び水素からなる非腐食性ガスが含まれていたとしても、結晶表面に対してわずかでも周辺温度が低くなると、ゆっくりであっても熱分解反応が起き、表面が炭化する。2000℃以上の高温において、処理する結晶及び坩堝を完全に均一な温度に維持することは極めて難しいため、意図的に温度勾配を発生させた方が、表面炭化の発生有無の制御性は高くなる。
特に、継ぎ足し成長を行う結晶表面(成長面)のみの炭化を抑制するのであれば、その成長面全部に熱が流入するような温度勾配をわずかに発生させればよい。この時、結晶の反対側の面では、表面が保護されていない場合、表面炭化が起きる可能性は高い。しかしながら、反対側の面に継ぎ足し成長を行うのでなければ問題にならない。
また、一般的にアニール処理は均一温度下で行うものであるが、温度勾配ΔTが過度に大きくなければ、アニール効果が得られる。また、SiC単結晶の成長用坩堝は、坩堝内の単結晶の周辺部分に意図的に温度勾配が形成されるように設計されていることが多い。これにより結晶に内部応力が発生するのであるが、これらの温度勾配を形成するための部材を取り除き、単結晶部分を別容器に入れてアニール処理をすれば、それが温度勾配下の処理であっても割れの原因となる結晶の内部応力を十分に低減することができる。
さらに、加熱ヒータを上下に分割し(上(単結晶側)が低温、下(ガス発生源側)が高温)、アニール用の容器の外側であって、上下に分割された加熱ヒータ間に断熱材を配置し、これと単結晶の相対的位置を調節してアニール処理すると、単結晶の外周部の引張応力を効果的に抑制することができる。
[3. 具体例及び比較例]
[3.1. 具体例1]
[3.1.1. 試験方法]
図2に、本発明に係る昇華性単結晶の製造方法(具体例1)の工程図を示す。
まず、図2(a)に示すように、成長用坩堝10の底部にSiC原料粉末12を充填した。成長用坩堝10の上蓋10aの中央には、成長用坩堝10の外側に向けて凹んだ種収容部16が取り付けられている。所定の厚さを有するSiC種結晶18は、その成長面とSiC原料粉末12とが対向するように種収容部16に埋め込まれている。SiC種結晶18の成長面と反対側の裏面は、上蓋10aの内表面からSiC原料粉末12と離れる方向に後退させて配置されている。
この状態で、成長面側が高温となり、裏面側が低温となり、かつ相対的に大きな温度勾配ΔT(>10℃/cm)が発生するように成長用坩堝10を所定の温度(本例では、坩堝の平均温度で2200℃)で加熱した。この時、成長用坩堝10内の等温面(図2(a)中、1点鎖線で表示)は、下に凸の曲面となる。この等温面に倣うように、SiC種結晶18の表面に結晶が成長し、アスペクト比が1以上のSiC単結晶18’となる。
次に、図2(b)に示すように、成長用坩堝10をそのままアニール用の容器10’として用い、SiC単結晶18’を室温まで冷却することなく、所定の温度で、かつ、微少な温度勾配ΔTの存在下でアニールを行った。本例では、アニール温度は、容器10’の平均温度で2200℃とし、温度勾配ΔTは、1℃/cmとした。また、保持時間は、10時間とした。温度勾配ΔTの調節は、アニール用の容器10’を加熱している上下ヒータ(図示せず)の温度を独立に制御することにより行った。
次に、図2(c)に示すように、SiC単結晶18’を室温まで冷却し、種収容部16を取り外した。得られたSiC単結晶18’に対して機械加工を施し、形状を整えた。
次に、図2(d)に示すように、成長用坩堝10の底部に新たにSiC原料粉末12を充填した。次いで、形状が整えられたSiC単結晶18’を新たな種収容部16’に埋め込み、これを成長用坩堝10の上蓋10aに取り付けた。この状態で、成長用坩堝10を加熱し、SiC単結晶18’を種結晶に用いて、さらに結晶18"を成長させた。
[3.1.2. 結果]
アニール後のSiC単結晶18’において、成長面以外の面(側面の一部18'a)に表面炭化が生じたものの、SiC原料粉末12に対向する成長面18'b側には表面炭化が認められなかった。また、アニール後のSiC単結晶18’において、亀裂の発生も認められなかった。その成長面18’bにさらにSiCを成長させたところ、成長結晶18"の結晶品質の低下は起きなかった。
また、上記と同様の実験を、アニール時の温度勾配ΔTを3℃/cm、又は、5℃/cmにして行った結果、同様に表面炭化と亀裂を防止できた。アニール時の雰囲気圧は、Ar=500Torr(6.67×104Pa)に上昇させることで、アニール中の結晶成長をより抑制することができた。また、アニール平均温度を2000℃とした場合も、同様の結果が得られた。
[3.2. 具体例2]
[3.2.1. 試験方法]
図3に、本発明に係る昇華性単結晶の製造方法(具体例2)の工程図を示す。
まず、図3(a)に示すように、成長用坩堝10の底部にSiC原料粉末12を充填した。成長用坩堝10の上蓋10aの中央には、成長用坩堝10の外側に向けて凹んだ種収容部16が取り付けられている。所定の厚さを有するSiC種結晶18は、その成長面とSiC原料粉末12とが対向するように種収容部16に埋め込まれている。SiC種結晶18の成長面と反対側の裏面は、上蓋10aの内表面からSiC原料粉末12と離れる方向に後退させて配置されている。
本例において、成長用坩堝10の外側には、断熱材(図示せず)が配置されている。断熱材の上下には、それぞれ、ヒータ(図示せず)が設けられている。ヒータは、それぞれ独立に温度を制御できるようになっている。また、上部ヒータ−断熱材−下部ヒータは、成長用坩堝10に対して縦方向(温度勾配が生ずる方法)に相対移動可能になっている。
この状態で、成長面側が高温となり、裏面側が低温となり、かつ相対的に大きな温度勾配ΔT(>10℃/cm)が発生するように成長用坩堝10を所定の温度(本例では、坩堝の平均温度で2200℃)で加熱した。この時、成長用坩堝10内の等温面(図3(a)中、1点鎖線で表示)は、下に凸の曲面となる。この等温面に倣うように、SiC種結晶18の表面に結晶が成長し、アスペクト比が1以上のSiC単結晶18’となる。
次に、図3(b)に示すように、成長用坩堝10をそのままアニール用の容器10’として用い、SiC単結晶18’を室温まで冷却することなく、所定の温度で、かつ、微少な温度勾配ΔTの存在下でアニールを行った。本例では、アニール温度は、容器10’の平均温度で2200℃とし、温度勾配ΔTは、1℃/cmとした。また、保持時間は、10時間とした。温度勾配ΔTの調節は、ヒータの温度を独立に制御すると同時に、成長用坩堝10をヒータと断熱材に対して相対移動(上方に移動)させることにより行った。
アニール処理終了後、図3(c)に示すように、SiC単結晶18’を室温まで冷却し、種収容部16を取り外した。
さらに、図示はしないが、具体例1と同様にして、得られたSiC単結晶18’の成長面18'bに、さらに結晶を成長させた。
[3.2.2. 結果]
アニール後のSiC単結晶18’において、成長面以外の面(側面の一部18'a)に表面炭化が生じたものの、SiC原料粉末12に対向する成長面18'b側には表面炭化が認められなかった。単結晶の成長面側の外周部において、外周に沿った方向の応力を測定した結果、具体例1と比べて、引張応力がより小さくなる傾向が認められた。また、アニール後のSiC単結晶18’において、亀裂の発生も認められなかった。その成長面18'bにさらにSiCを成長させたところ、結晶品質の低下は起きなかった。
上記と同様の実験を、アニール時の時の温度勾配ΔTを3℃/cm、又は、5℃/cmにして行った結果、同様に表面炭化と亀裂を防止できた。また、外周部の引張応力は、ΔTが大きいほど、小さくなる傾向があった。
[3.3. 具体例3]
[3.3.1. 試験方法]
図4に、本発明に係る昇華性単結晶の製造方法(具体例3)の工程図を示す。
まず、図4(a)に示すように、成長用坩堝10の底部にSiC原料粉末12を充填した。成長用坩堝10の上蓋10aの中央には、成長用坩堝10の外側に向けて凹んだ種収容部16が取り付けられている。所定の厚さを有するSiC種結晶18は、その成長面とSiC原料粉末12とが対向するように種収容部16に埋め込まれている。SiC種結晶18の成長面と反対側の裏面は、上蓋10aの内表面からSiC原料粉末12と離れる方向に後退させて配置されている。
この状態で、成長面側が高温となり、裏面側が低温となり、かつ相対的に大きな温度勾配ΔT(>10℃/cm)が発生するように成長用坩堝10を所定の温度(本例では、坩堝の平均温度で2200℃)で加熱した。この時、成長用坩堝10内の等温面(図4(a)中、1点鎖線で表示)は、下に凸の曲面となる。この等温面に倣うように、SiC種結晶18の表面に結晶が成長し、アスペクト比が1以上のSiC単結晶18’となる。成長終了後、SiC単結晶18’を室温まで冷却した。
次に、図4(b)に示すように、SiC単結晶18’の全体を収容することが可能なアニール用の容器26を用意し、容器26の底部にSiC原料粉末12を充填した。次いで、SiC単結晶18’の成長面18'bがSiC原料粉末12に対向するように、SiC単結晶18’を容器26内に保持した。この容器26を炉(図示せず)内に設置し、炉内を真空引きした後、炉内にArを導入し、500Torr(6.67×104Pa)まで昇圧した。
この状態で、所定の温度で、かつ、微少な温度勾配ΔTの存在下でアニールを行った。本例では、アニール温度は、容器26の平均温度で2200℃とし、温度勾配ΔTは、2℃/cmとした。また、保持時間は、10時間とした。温度勾配ΔTの調節は、容器26をヒータ(図示せず)に対して縦方向(温度勾配が生ずる方向)に相対移動させることにより行った。
次に、図4(c)に示すように、SiC単結晶18’を室温まで冷却し、種収容部16を取り外した。得られたSiC単結晶18’に対して機械加工を施し、形状を整えた。
次に、図4(d)に示すように、成長用坩堝10の底部に新たにSiC原料粉末12を充填した。次いで、形状が整えられたSiC単結晶18’を新たな種収容部16’に埋め込み、これを成長用坩堝10の上蓋10aに取り付けた。この状態で、成長用坩堝10を加熱し、SiC単結晶18’を種結晶に用いて、さらに結晶18"を成長させた。
[3.3.2. 結果]
アニール後のSiC単結晶18’において、成長面以外の面(側面の一部18'a)に表面炭化が生じたものの、SiC原料粉末12に対向する成長面18'b側には表面炭化が認められなかった。また、アニール後のSiC単結晶18’を機械加工した際、亀裂の発生も認められなかった。その成長面にさらにSiCを成長させたところ、成長結晶18"の結晶品質の低下は起きなかった。
[3.4. 具体例4]
[3.4.1. 試験方法]
図5に、本発明に係る昇華性単結晶の製造方法(具体例4)の工程図を示す。
まず、図5(a)に示すように、成長用坩堝10の底部にSiC原料粉末12を充填した。成長用坩堝10の上蓋10aの中央には、成長用坩堝10の外側に向けて凹んだ種収容部16が取り付けられている。所定の厚さを有するSiC種結晶18は、その成長面とSiC原料粉末12とが対向するように種収容部16に埋め込まれている。SiC種結晶18の成長面と反対側の裏面は、上蓋10aの内表面からSiC原料粉末12と離れる方向に後退させて配置されている。
この状態で、成長面側が高温となり、裏面側が低温となり、かつ相対的に大きな温度勾配ΔT(>10℃/cm)が発生するように成長用坩堝10を所定の温度(本例では、坩堝の平均温度で2200℃)で加熱した。この時、成長用坩堝10内の等温面(図5(a)中、1点鎖線で表示)は、下に凸の曲面となる。この等温面に倣うように、SiC種結晶18の表面に結晶が成長し、アスペクト比が1以上のSiC単結晶18’となる。成長終了後、SiC単結晶18’を室温まで冷却した。
次に、図5(b)に示すように、SiC単結晶18’の全体を収容することが可能なアニール用の容器26を用意し、容器26の底部にSiC原料粉末12を充填した。次いで、SiC単結晶18’の成長面がSiC原料粉末12に対向するように、SiC単結晶18’を容器26内に保持した。さらに、容器26の内部であって、SiC原料粉末12とSiC単結晶18’の成長面の間に、有孔の断熱材28を配置した。
この容器26を炉(図示せず)内に設置し、炉内を真空引きした後、炉内にArを導入し、500Torr(6.65×104Pa)まで昇圧した。
この状態で、所定の温度で、かつ、微少な温度勾配ΔTの存在下でアニールを行った。本例では、アニール温度は、容器26の平均温度で2200℃とし、温度勾配ΔTは、2℃/cmとした。また、保持時間は、10時間とした。温度勾配ΔTの調節は、容器26をヒータ(図示せず)に対して縦方向(温度勾配が生ずる方向)に相対移動させることにより行った。
次に、図5(c)に示すように、SiC単結晶18’を室温まで冷却し、種収容部16を取り外した。得られたSiC単結晶18’に対して機械加工を施し、形状を整えた。
次に、図5(d)に示すように、成長用坩堝10の底部に新たにSiC原料粉末12を充填した。次いで、形状が整えられたSiC単結晶18’を新たな種収容部16’に埋め込み、これを成長用坩堝10の上蓋10aに取り付けた。この状態で、成長用坩堝10を加熱し、SiC単結晶18’を種結晶に用いて、さらに結晶18"を成長させた。
[3.4.2. 結果]
アニール後のSiC単結晶18’において、成長面以外の面(側面の一部18'a)に表面炭化が生じたものの、SiC原料粉末12に対向する成長面18'b側には表面炭化が認められなかった。単結晶の成長面18’b側の外周部において、外周に沿った方向の応力を測定した結果、亀裂抑制に対してより効果がある圧縮応力が測定された。また、アニール後のSiC単結晶18’を機械加工した際、亀裂の発生も認められなかった。
その成長面18’bにさらにSiCを成長させたところ、成長結晶18"の結晶品質の低下は起きなかった。さらに、単結晶の成長面外周部において、外周に沿った方向の応力を測定した結果、断熱材28が無い場合に比べ、亀裂抑制に対してより効果がある圧縮応力が測定された。
[3.5. 比較例1]
[3.5.1. 試験方法]
図6に、昇華性単結晶の製造方法(比較例1)の工程図を示す。
図6に示すように、アニール処理及び再成長を行わなかった以外は、具体例1と同様にして、SiC単結晶の成長を行った。
[3.5.2. 結果]
成長後のSiC単結晶18’の側面部を機械加工したところ、図6(b)のa部(間隔の狭いハッチング領域)において亀裂が発生した。
[3.6. 比較例2]
[3.6.1. 試験方法]
図7に、昇華性単結晶の製造方法(比較例2)の工程図を示す。
図7(b)に示すように、アニール時において、温度勾配を付与せず、かつ、アニール用の容器26にSiC原料粉末を充填しなかった以外は、具体例3と同様にして、単結晶の成長、アニール処理、及び、再成長を行った。
[3.6.2. 結果]
アニール処理後において、SiC単結晶18’を機械加工した際、亀裂は発生しなかった。しかしながら、SiC単結晶18’の露出表面(側面の一部18'a、及び、成長面18'b)すべてが激しく炭化した。その成長面18'bにさらにSiCを成長させたところ、成長結晶18"の先端部分に多結晶のSiC30が成長した。
[3.7. 比較例3]
[3.7.1. 試験方法]
図8に、昇華性単結晶の製造方法(比較例3)の工程図を示す。
図8(b)に示すように、アニール時において、温度勾配ΔTを付与しなかった以外は、具体例3と同様にして、単結晶の成長、アニール処理、及び、再成長を行った。
[3.7.2. 結果]
アニール処理後において、SiC単結晶18’に亀裂は発生しなかった。しかしながら、SiC単結晶18’の露出表面(側面の一部18'a、及び、成長面18'b)すべてがわずかに炭化した。その成長面18'bにさらにSiCを成長させたところ、成長結晶18"中に欠陥32の発生が認められた。
[3.8. 比較例4]
[3.8.1. 試験方法]
図9に、昇華性単結晶の製造方法(比較例4)の工程図を示す。
図9(b)に示すように、アニール時において、アニール用の容器26にSiC原料粉末を充填しなかった以外は、具体例3と同様にして、単結晶の成長、アニール処理、及び、再成長を行った。
[2. 結果]
アニール処理後において、SiC単結晶18’に亀裂は発生しなかった。しかしながら、SiC単結晶18’の裏面側の方が表面炭化の程度が弱く、成長面18'bもわずかに表面炭化が生じた。その成長面18'bにさらにSiCを成長させたところ、成長結晶18"中に欠陥32の発生が認められた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る昇華性単結晶の製造方法は、超低電力損失パワーデバイスの半導体材料として使用することが可能なSiC単結晶の製造方法として用いることができる。
10’ 容器
12 SiC原料粉末(ガス発生源)
18’ SiC単結晶(昇華性単結晶)

Claims (8)

  1. 容器内に昇華性単結晶を構成する成分を含むガスを発生可能なガス発生源を配置し、かつ、前記ガス発生源に対向する位置に前記昇華性単結晶を配置し、前記ガス発生源の方が高温になるように、温度勾配ΔTを付与しながら前記昇華性単結晶をアニールするアニール工程
    を備えた昇華性単結晶の製造方法。
  2. 前記温度勾配ΔTは、0℃/cm<ΔT<5℃/cmである請求項1に記載の昇華性単結晶の製造方法。
  3. 前記昇華性単結晶は、その上にさらに結晶を成長させるための成長面を備え、
    前記アニール工程は、前記成長面が前記ガス発生源に対向するように、前記昇華性単結晶を前記容器内に配置するものである
    請求項1又は2に記載の昇華性単結晶の製造方法。
  4. 前記成長面の上に、さらに結晶を成長させる再成長工程をさらに備えた請求項3に記載の昇華性単結晶の製造方法。
  5. 前記アニール工程は、前記昇華性単結晶を成長させた後、成長用坩堝を前記容器に用いて、温度を室温まで降下させることなく前記アニールを行うものである請求項1から4までのいずれか1項に記載の昇華性単結晶の製造方法。
  6. 前記アニール工程は、前記昇華性単結晶内の等温面の全部又は一部が高温側に凹面形状となるように、前記昇華性単結晶に前記温度勾配ΔTを付与するものである請求項1から5までのいずれか1項に記載の昇華性単結晶の製造方法。
  7. 前記アニール工程は、前記容器の外側又は内側であって、前記昇華性単結晶と前記発生源との間に断熱材を介在させながら、前記昇華性単結晶に前記温度勾配ΔTを付与するものである請求項6に記載の昇華性単結晶の製造方法。
  8. 前記昇華性単結晶は、SiCである請求項1から7までのいずれか1項に記載の昇華性単結晶の製造方法。
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