JP2014234331A - 炭化珪素単結晶インゴットの製造方法及び炭化珪素単結晶インゴット - Google Patents

炭化珪素単結晶インゴットの製造方法及び炭化珪素単結晶インゴット Download PDF

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Abstract

【課題】炭化珪素単結晶インゴットの製造時に炭化珪素原料部分の温度分布を変化させ、坩堝に装填した原料を効率良く昇華させながら、大口径かつ長尺の炭化珪素単結晶インゴットを製造する。
【解決手段】昇華再結晶法により種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させて炭化珪素単結晶インゴットを製造する方法であって、単結晶の成長中に、炭化珪素原料の底部に対して、高周波誘導加熱により発熱する発熱部材及び断熱部材のうちの1つ以上の部材を相対的に移動させ、炭化珪素原料の底部の周辺端部と中心部との間の温度差を低減させるように温度分布の制御を行う炭化珪素単結晶インゴットの製造方法である。
【選択図】図3

Description

この発明は、種結晶を用いた昇華再結晶法によって炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶インゴットの製造方法、及び炭化珪素単結晶インゴットに関する。
高熱伝導率を持ち、バンドギャップの大きい炭化珪素単結晶は、高温で用いられる電子材料や、高耐圧の求められる電子材料の基板として有用な材料である。
そして、このような炭化珪素単結晶の作製法の一つとして、昇華再結晶法(レーリー法)が知られている。この昇華再結晶法は、2000℃を超える高温において原料の炭化珪素粉末を昇華させ、生成したその昇華ガス(原料ガス)を低温部に再結晶化させることにより、炭化珪素単結晶を製造する方法である。また、このレーリー法において、炭化珪素単結晶からなる種結晶を用いて炭化珪素単結晶を製造する方法は、特に改良レーリー法と呼ばれ(非特許文献1)、バルク状の炭化珪素単結晶インゴットの製造に利用されている。
この改良レーリー法においては、種結晶を用いているために結晶の核形成過程を最適化することができ、また、不活性ガスによる雰囲気圧力を10Paから15kPa程度にすることにより、炭化珪素単結晶の成長速度等の再現性を良くすることができる。このため、一般に、原料と結晶との間で適切な温度差を設け、種結晶の上に炭化珪素単結晶を成長させることが行われている。また、得られた炭化珪素単結晶(炭化珪素単結晶インゴット)については、電子材料の基板としての規格の形状にするために、研削、切断、研磨といった加工が施されて利用されている。
ここで、図1を用いて、改良レーリー法の原理を説明する。原料3となる炭化珪素結晶粉末〔通常、アチソン(Acheson)法で作製された炭化珪素結晶粉末を洗浄・前処理したものが使用される。〕と種結晶2となる炭化珪素単結晶が、黒鉛製の坩堝1の中に配置、装填される。坩堝1内では、前記炭化珪素原料粉末の原料3は坩堝1内の下部の原料装填部に装填され、また、前記炭化珪素単結晶の種結晶2は坩堝1の蓋部に支持(装着)される。アルゴン等の不活性ガス雰囲気中(10Pa〜15kPa)で原料3を昇華させるために、原料3は2400℃以上に加熱される。この際、坩堝1内には、原料3側に比べて種結晶2側がやや低温になるように、温度勾配が設定される。原料2は、加熱されて昇華した後、濃度勾配(温度勾配により形成される)により種結晶2方向へ拡散し、輸送される。炭化珪素単結晶の成長は、種結晶2に到着した原料ガスがこの種結晶2上で再結晶化し、単結晶4となることにより実現される。
ところで、炭化珪素単結晶基板の口径は電子デバイスを作製するための基板として用いる際に大口径化が求められている。同時に、炭化珪素単結晶基板を製造する際に一つのインゴットから多数の基板を製造することができて切断や研削加工時の生産性をより高めることができるように、結晶成長により得られるインゴットの長尺化が求められている。しかしながら、前記のように結晶成長を行う際に、原料を黒鉛坩堝の中に装填して加熱する方法を用いているため、原料を結晶成長の途中で追加することが困難である。そこで、大口径かつ長尺の炭化珪素単結晶インゴットを作製するためには、小口径の結晶成長に比べて坩堝の原料装填部に原料粉末を多量に装填する必要がある。しかるに、原料の量を増大させるためには、原料装填部の深さを深くすること、又は、黒鉛坩堝1の径を大きくすることが必要になり、しかも、このように多量に装填した原料を結晶成長のために有効に利用するためには、原料装填部内の原料全体の温度を昇華温度まで効率良く加熱することが必要である。
そして、坩堝を加熱する方法としては、一般に、高周波誘導加熱を用いて黒鉛製の坩堝を発熱させ、この発熱した坩堝を介して坩堝内の炭化珪素原料を加熱し、坩堝内に前述の温度勾配を形成することが行われている。また、この高周波誘導加熱では、誘導される高周波電流が高周波の浸透深さに依存しているため、坩堝の形状によって規定された発熱分布を持ち、坩堝側面の表面近傍で強い発熱が生じ、この熱は熱伝導若しくは熱輻射により原料部分に伝達され、これによって原料部分が加熱される。
このようにして原料部分が加熱されると、原料内部の高温部から昇華ガスが発生し、結晶成長が生じるが、原料内部には不可避的に温度分布が生じ、原料内部の高温部で昇華した原料ガスの一部は原料内部の低温部で再結晶化を起こし、結晶成長に寄与しない場合がある。そして、この低温部の温度を高温化しその部分にある原料を昇華させるためには、誘導電流の電流値を大きくして黒鉛坩堝の側壁部分の温度をより高温にする必要があるが、一方で、坩堝の側壁部分の温度を高温にすると、坩堝全体が高温になり、種結晶と接している部分の坩堝の温度も高温になり、種結晶や成長中の単結晶の温度も高くなって、温度勾配に基づいた結晶成長の駆動力が小さくなり、結晶成長が途中で停止する結晶成長停止の問題が発生する。
そこで、従来においても、坩堝を加熱する方法について幾つかの提案がされており、例えば、原料内部の温度分布を変化させるために、結晶成長中に高周波誘導加熱コイルと坩堝の相対的な位置を制御し、これによって装填した原料が未昇華の状態で残らないようにした方法が開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1の方法は、コイルと坩堝の相対位置を変化させることで、原料装填部の深さ方向に関しての発熱分布を変化させ、原料を昇華させる方法である。しかしながら、上述したように、高周波誘導加熱では坩堝側面の表面近傍で強い発熱が生じるため、大口径の炭化珪素単結晶を作製するために坩堝の径を大きくすると、高周波誘導加熱により発熱している坩堝の側壁部分から坩堝の中心軸近傍の原料迄の距離は、小口径の炭化珪素単結晶を成長させる場合に比べて増大し、坩堝の中心軸近傍の原料を効率良く加熱することが難しくなる。このため、中心軸近傍の原料を昇華温度に加熱するためには、小口径の場合に比べて、黒鉛坩堝の側壁部分の温度をより高温にする必要があるが、このように坩堝の側壁部分の温度を高温にすると、上述した結晶成長停止の問題の発生がより顕著となり、大口径化のために口径を増大させた坩堝の中心軸近傍の原料を効率良く加熱する目的のためには採用し難いという問題がある。
また、坩堝内の細かな温度制御を目的として、坩堝を加熱するために各々共振型インバータを備えた複数の誘導加熱コイルを用い、これらの誘導加熱コイルを種基板領域、中間領域、及びSiC原料粉末領域に対応させて配置し、各誘導加熱コイルの周波数を同期させると共に各誘導加熱コイルへの投入電力を制御し、これによって前記種基板領域、中間領域、及びSiC原料粉末領域の温度を独立に制御できるようにしたSiC単結晶製造方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、この特許文献2の方法も、上記の特許文献1と同様に、原料装填部の深さ方向に関しての発熱分布を変化させ、原料を昇華させる方法であり、大口径化のために口径を増大させた坩堝の中心軸近傍の原料を効率良く加熱する目的のためには採用し難いという問題がある。
更に、成長している結晶部分の温度分布を変化させるために、高周波誘導加熱により発熱する発熱部材及び坩堝周囲に配置された断熱部材のうち1つ以上を種結晶の位置に対して移動させる方法が開示されている(特許文献3参照)。この特許文献3の方法は、結晶成長中に結晶が成長している面の中心部の温度が結晶の外周部よりも低くなるように成長面の温度分布を制御し、良質な結晶性を持つ結晶を成長させることを目的としており、外周部から加熱を行う誘導加熱の特性と整合している。しかし、装填した原料を有効に昇華させるためには、原料の中心部近傍の温度を高くすることが必要であり、特許文献3の方法は、中心部近傍の原料を効率的に加熱する方法及び装置ではない。
更にまた、原料を装填する坩堝の底部の電気伝導率を側部よりも高くし、底部の発熱を増大させて原料部分の底部分の温度を高くすることにより、原料部分の底部分まで加熱する方法が開示されている(特許文献4参照)。しかしながら、上述のように、誘導電流は坩堝の側面部を流れるために中心部に近い部分を加熱することはできず、また、坩堝の底部と原料との配置は結晶成長中に変化することがないため、原料部分の底部分の温度を上げるためには系全体の温度を上げる必要がある。系全体の温度を上げた場合には、成長している結晶部分の温度が高くなり、成長した結晶が高温となることで結晶自身が昇華する場合があり、その部分に欠陥が発生し、良質の結晶が得られない問題が有る。このため、この特許文献4の方法を用いても、中心部近傍の原料を有効に加熱することは難しく、多量の昇華ガスを必要とするインゴットの大口径化、長尺化には不向きである。
特開2010-275,190号公報 特開2004-224,666号公報 特開2011-219,287号公報 特開2012-171,832号公報
Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, 52 (1981) pp.146
そこで、本発明者らは、高周波誘導加熱を用いて坩堝内の温度分布を変化させ、大口径かつ長尺の炭化珪素単結晶インゴットを製造する場合であっても坩堝内に装填した原料を効率良く昇華させることができる方法について鋭意検討した結果、結晶成長装置において高周波誘導加熱により発熱する坩堝及びこの坩堝に付設されて高周波誘導加熱により発熱する坩堝構成部材からなる発熱部材や、黒鉛坩堝を始めとする発熱部材を保温するための断熱部材を用い、坩堝内に装填された炭化珪素原料の底部における周辺端部と中央部との間の温度差を適切に制御する加熱部制御により、坩堝内に装填した原料を効率良く昇華させることができると共に、大口径かつ長尺の炭化珪素単結晶インゴットを得ることができることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、炭化珪素単結晶の成長中に坩堝内に装填した原料を効率良く昇華させ、大口径かつ長尺の炭化珪素単結晶インゴットを得ることができる炭化珪素単結晶インゴットの製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
〔1〕 坩堝内に装填した炭化珪素原料を加熱して発生させた昇華ガスを、坩堝内で前記炭化珪素原料に対向させて配置した炭化珪素種結晶上に再結晶させる昇華再結晶法により、前記炭化珪素種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させて炭化珪素単結晶インゴットを製造する炭化珪素単結晶インゴットの製造方法であって、
前記炭化珪素単結晶の成長中に、前記炭化珪素原料の底部に対して、高周波誘導加熱により発熱する発熱部材及びこの発熱部材の周囲に配置された断熱部材からなる加熱部のうちの1つ以上の部材を相対的に移動させ、前記炭化珪素原料底部の周辺端部と中心部との間の温度差を低減させるように加熱部制御を行うことを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
〔2〕 前記加熱部の制御により、炭化珪素種結晶又は成長中の炭化珪素単結晶の結晶成長面における中心部の温度TCと前記結晶成長面に対向する炭化珪素原料の表面の温度Tsとの温度差ΔTs-c(=Ts−Tc)をΔTs-c>0℃に維持しながら、前記炭化珪素原料底部の周辺端部の温度Tbeと炭化珪素原料底部の中心部の温度Tbcの温度差ΔTbe-bcを40℃以下にすることを特徴とする前記〔1〕に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
〔3〕 前記加熱部の制御において、炭化珪素単結晶の成長中における前記温度差ΔTbe-bcを、40℃≧ΔTbe-bc>0℃の範囲内で、かつ、成長時間に伴って順次小さくなるようにすることを特徴とする前記〔2〕に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
〔4〕 前記加熱部の制御は、前記温度差ΔTbe-bcが目標とする温度差になるまで、前記移動させる部材を連続的に又は間欠的に移動させて行うことを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
〔5〕 前記加熱部の制御の際に前記移動させる部材の移動量が、坩堝内に装填された炭化珪素原料の装填時当初の表面から底面までの距離(原料装填高さ)の0.3〜2倍の範囲内であることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
〔6〕 前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法で製造され、炭化珪素単結晶の成長高さが40mm以上200mm以下であることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴット。
黒鉛製の坩堝を用いた高周波による誘導加熱では、発熱部材である坩堝の側壁は加熱され易いが、この坩堝内に装填された炭化珪素原料の中心部は加熱され難く、特に原料の底部は坩堝の底部と接している部分であって、坩堝の側壁から原料内に投入された熱が流出する部分であり、側壁に対して温度が低く、また、側壁から遠い原料底部の中心部近傍を効果的に加熱することは難しい。
また、一般に、高周波誘導加熱により発熱する黒鉛製の坩堝や坩堝構成部材からなる発熱部材及び断熱部材からなる炭化珪素原料の加熱部や、前記発熱部材に誘導加熱電流を発生させるワークコイル等を備えた炭化珪素単結晶インゴットの製造装置において、これら設備の配置を変えずに、高周波誘導加熱電流を増大させた場合には、温度分布の等高線のパターンは大きく変化することなく、温度の絶対値が上昇することが分かっている。それ故、坩堝内部の温度分布の等高線の形状を変化させるためには、例えば、発熱部材、断熱部材の形状、構造を変化させるか、若しくは、発熱部材、断熱部材とワークコイルとの相対位置関係を変化させることが必要である。
そこで、結晶成長中に炭化珪素原料の底部近傍の発熱部材と断熱部材を移動させることにより、坩堝内部の温度分布がどのように変化するかについて、図2a及び図2bに示す炭化珪素単結晶インゴットの製造装置の有限要素モデルを用い、有限要素法による数値計算を行って調べた。この計算においては、必要な物性値として後述する実施例の場合と同じ値を用いた。これらの計算では、発熱部材、断熱部材の構造や坩堝とワークコイルの位置関係を調整し、ΔTs-cとなるような条件を検討して計算を行った。
この図2a及び図2bに示す製造装置の有限要素モデルにおいて、図示外の二重石英管の内部には、黒鉛製の坩堝1と、この坩堝1内の上部下面(蓋部内面)に固着された炭化珪素単結晶基板からなる種結晶2と、この種結晶2に対向して坩堝1内の下部に装填された炭化珪素原料3と、坩堝1の側面から上面の周辺部分を覆う固定断熱部材5と、坩堝1の底部外面側(底部下面側)を覆い、前記固定断熱部材5内において坩堝1の底部との間で所定の距離だけ移動可能な可動断熱部材5aが配設されており、また、前記坩堝1の底部にはその下面周辺部から側面部にかけて角部を覆うように形成され、前記可動断熱部材5aと共に所定の距離だけ移動可能な黒鉛製の可動発熱部材1aが配設されており、更に、前記二重石英管の外周には図示外のワークコイルが設置されている。
図2aの製造装置の有限要素モデルにおいて、発熱部材と断熱部材を固定し、誘導加熱を行うワークコイルの位置を30mm下方に移動させて加熱を行った場合には、ワークコイルの移動の方向と同じ方向に原料の最高温度の位置が移動するという結果が得られた。この時、ΔTbe-bcは35℃から60℃へと増大する傾向を示した。つまり、坩堝内に装填した炭化珪素原料の底部を加熱するために坩堝、発熱部材、及び断熱部材の相対位置を変化させずに、ワークコイルの位置を調整した場合には、炭化珪素原料底部の周辺端部に比べて温度が低い炭化珪素原料底部の中心部の原料が昇華しないという問題、更には、坩堝内に装填した炭化珪素原料の側壁近傍で昇華した原料ガスが、炭化珪素原料の底部で再結晶して結晶成長に利用されないという問題がある。
図2bは、図2aに比べて炭化珪素原料の底部近傍の発熱部材と断熱部材を坩堝に対して相対的に下方に移動させている。この時のシミュレーションの結果から、炭化珪素原料の底部において周辺端部から中心部に向かう半径方向の温度勾配が小さくなり、ΔTbe-bcが35℃から5℃まで減少することが分かった。同時に、炭化珪素原料の最高加熱温度を持つ位置が、図2aの配置の場合に比べて、炭化珪素原料の底部に近づく方向に移動するという結果が得られた。つまり、発熱部材と断熱部材の配置を坩堝に対して相対的に移動させることにより、温度分布の等高線の形状を変えることができ、更にはΔTbe-bcを減少させることができることが分かった。下部に移動させた発熱部材の熱を、輻射を用いて原料の底部、特にその中心部を効率的に加熱することができることが分かった。
上記の計算から、図2aから図2bへ変化させることによりΔTbe-bcを減少させることができることが判明した。本発明では、結晶成長中にΔTbe-bcを低減して、結晶成長後半でより原料中心部に存在する原料を有効に加熱することが必要である。端がある材料に対して誘導加熱を用いて加熱を行った場合、端の角部に誘導電流が集中するために端の角部の発熱量がそれ以外の部分に比べて大きくなる。例えば、図2bの場合には、発熱量は可動発熱部材1aの下部の外周部、若しくは坩堝1の上部の外周部において最大となる。そこで、図2bのように可動発熱部材1aを下方に移動させることで、発熱量が最大の位置を炭化珪素原料3の底部から遠ざけるように移動させることにより、Tbeの値をTbcに比べて低くすることができる。このように、ΔTbe-bcを小さくするために、炭化珪素原料3の底部近傍の発熱分布を小さくするように制御することが有効である。一方で、炭化珪素原料3の中心部の温度を高くすることで、ΔTbe-bcを小さくする方法として、例えば、5aの断熱材を結晶成長に伴い、原料底部分に近付け、原料中心部からの下方への熱の流出を抑制する方法も有効である。
本発明者らは、炭化珪素単結晶の成長中に炭化珪素原料の底部近傍の発熱部材と断熱部材を移動させることにより、ΔTbe-bcを小さくすることができ、その効果により原料底部の中心部で発生し易い原料ガスの再結晶化を抑制し、坩堝内の炭化珪素原料の底部まで、特に底部の中心部まで可及的に結晶成長の原料として有効に昇華させることができることを確認した。
本発明の、炭化珪素単結晶インゴットの製造方法によれば、大口径かつ長尺の炭化珪素単結晶インゴットを成長させる際に、坩堝内に装填された炭化珪素原料底部の中心部の温度と周辺端部の温度との間の温度差を小さくして加熱することが可能であり、装填した原料を有効に昇華させること、すなわち炭化珪素原料の結晶化率〔=(成長した炭化珪素単結晶インゴットの重量)/(装填した炭化珪素原料の重量)〕を高くすることができる。
また、昇華した原料ガスが、原料底部の中心部近傍で再結晶化して消費されることが少なくなり、結晶成長面に昇華ガスが効率的かつ安定的に供給されるようになり、結晶成長中に昇華ガスの供給が変動することに起因する欠陥の発生を抑制することができ、高品質の炭化珪素インゴットを製造することができる。また、このようにして得られた炭化珪素単結晶インゴットを用いて電子材料用の炭化珪素単結晶基板を製造すれば、炭化珪素原料に対して製造される基板の歩留まりが向上し、炭化珪素単結晶基板のコストの低減を図ることができる。
図1は、改良レーリー法の原理を説明するための説明図である。
図2aは、本発明の原理を説明するために用いた計算モデルの被加熱物の概略を示す説明図である。 図2bは、本発明の原理を説明するために用いた計算モデルの被加熱物の概略を示す説明図である。
図3は、本発明の実施例に係る炭化珪素単結晶インゴットの製造方法に用いる炭化珪素単結晶インゴットの製造装置の全体を示す説明図である。
図4aは、本発明を実施するための形態を説明するために行ったモデル図である。 図4bは、本発明を実施するための形態を説明するために行ったモデル図である。
図5aは、本発明を実施するための別の形態を説明するために行ったモデル図である。 図5bは、本発明を実施するための別の形態を説明するために行ったモデル図である。
以下、添付図面に示す炭化珪素単結晶インゴットの製造装置を用いて、本発明の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法の実施形態について説明する。
図3は、炭化珪素単結晶インゴットの製造装置の全体を説明するためのものであり、この製造装置において、二重石英管13内には黒鉛製の坩堝1とこの坩堝1を取り囲むように覆う固定断熱部材5とが配設されており、また、前記坩堝1には、その上部に黒鉛製の蓋部材1bが配設されている。また、前記坩堝1には、その下部に黒鉛製の可動発熱部材1aが配設されており、またこの可動発熱部材1aの下面側には可動断熱部材5aが配設され、更に、前記二重石英管13の外側には発熱部材として機能する前記坩堝1及び可動発熱部材1aを発熱させる高周波誘導加熱用のワークコイル17が設置されている。そして、発熱部材(黒鉛製の坩堝1及び可動発熱部材1a)及び断熱部材(固定断熱部材5及び可動断熱部材5a)、及び、ワークコイル17をそれぞれ個別に中心軸と平行な方向に移動させる機構があり、それぞれが別に支持され、二重石英管13の中に配置されている。
なお、黒鉛製の坩堝1内には、その下部に炭化珪素結晶粉末からなる炭化珪素原料3が装填されており、また、その内部上方〔蓋部材(黒鉛製の坩堝蓋)1b〕には、炭化珪素単結晶からなる種結晶2が取り付けられている。また、図3において、符号6は切欠き孔、符号10は坩堝支持体、符号11は可動断熱部材及び可動発熱部材の支持体、符号12は移動機構、符号14は真空排気装置、符号15はArガス配管、符号16はArガス用マスフローコントローラ、符号18はワークコイル移動機構をそれぞれ示し、前記ワークコイル17には高周波電流を流すための図示外の高周波電源が取り付けられている。
この製造装置において、二重石英管13内部は、真空排気装置14により高真空排気(10-3Pa以下)することができ、かつArガス配管15とArガス用マスフローコントローラ16を用いて、内部雰囲気をArガスにより圧力制御することができるようになっている。
そして、黒鉛製の坩堝1の温度の計測は、坩堝1の上下部を覆う黒鉛製の断熱部材5の中央部にそれぞれ光路を設け、坩堝1の上部(蓋部材1b)及び下部(底部)からの光を取り出し、これら取り出された光から二色温度計を用いて坩堝1下部(底部)の温度と坩堝1上部(蓋部材1b)の温度とを測定する。また、このようにして坩堝1下部の温度と坩堝1上部の温度を測定した後、これらの温度に対応する条件でモデル計算を行い、その温度分布を元に、炭化珪素種結晶又は成長中の炭化珪素単結晶の結晶成長面における中心部の温度TCと、結晶成長面に対向する炭化珪素原料の表面の温度Tsと、炭化珪素原料底部の周辺端部の温度Tbeと、炭化珪素原料底部の中心部の温度Tbcとを求める。
このような製造装置において、発熱部材である黒鉛製の坩堝1及び可動発熱部材1aを高周波誘導加熱により加熱し、炭化珪素原料3及び種結晶2を所望の温度にまで加熱し、原料3を昇華させ、種結晶2として用いた炭化珪素単結晶上で昇華ガスを再結晶化させることにより結晶成長が行われる。そして、この際に、発熱部材(黒鉛製の坩堝1及び可動発熱部材1a)及び断熱部材(固定断熱部材5及び可動断熱部材5a)からなる炭化珪素原料3の加熱部のうちの一つ以上の部材を炭化珪素原料3の底部に対して相対的に移動させ、坩堝1内部の温度分布を変化させて炭化珪素原料底部の周辺端部と中心部との間の温度差を低減させるように、好ましくは温度差が所定の範囲内になるように加熱部の制御を行い、原料を有効に昇華させ、原料を多量に昇華させることが必要な大口径及び長尺の結晶成長が可能になる。
ここで、結晶成長を行う際の加熱部の制御においては、上記の発熱部材及び断熱部材のうちの1つ以上の部材を炭化珪素原料の底部に対して移動させ、種結晶又は成長中の炭化珪素単結晶の結晶成長面における中心部の温度Tcと前記結晶成長面に対向する炭化珪素原料の表面の温度Tsとの温度差ΔTs-c(=Ts−Tc)がΔTs-c>0℃となり、かつ、結晶成長中の炭化珪素原料の底部の周辺端部の温度Tbeと炭化珪素原料の底部の中心部の温度Tbcとの温度差ΔTbe-bc(=Tbe−Tbc)が40℃以下、好ましくは40℃≧ΔTbe-bc>0℃の範囲内になるように行う。ここで、温度差ΔTs-cがΔTs-c≦0℃の場合には種結晶表面で再結晶が起きず、結晶成長が得られず、また、温度差ΔTbe-bcが40℃より大きいと、原料底部の中心部に存在する原料を昇華させることが難しくなり、また、側壁周辺部で発生した原料ガスがこの原料底部の中心部で再結晶化して消費され、坩堝内に装填した原料を有効に利用することができなくなり、結晶化率が低下して生産性が悪化する。
本発明においては、上記の加熱部の制御により、上記の温度差ΔTbe-bcが、結晶成長中に40℃≧ΔTbe-bc>0℃の範囲内で、成長時間に伴って順次小さくなるようにすることにより、結晶成長の初期には比較的加熱し易い外周部の原料を昇華させ、結晶成長が進むに従って、誘導加熱では加熱し難い中心部近傍の原料を昇華させることが可能になり、これによって結晶成長中の結晶成長速度の変化を小さくすることができ、高品質の炭化珪素単結晶インゴットを作製する上で好ましい。結晶成長速度に大きな変動があると、結晶成長速度が速い場合には欠陥が発生し易いという問題があり、反対に、成長速度が遅い場合には長尺の単結晶インゴットを成長させるための時間が長くなって生産性に問題がある。
また、前記加熱部の制御は、前記温度差ΔTbe-bcが目標とする温度差になるまで、前記発熱部材及び断熱部材のうちの移動させる部材を連続的に又は間欠的に行うことが望ましく、移動に伴う坩堝内部の温度分布の変化をより小さくするために、移動させる部材を連続的に移動させることがより好ましい。
なお、本発明方法において、炭化珪素原料の加熱部、すなわち発熱部材及び断熱部材の形状については、図2a及び図2bに示す炭化珪素単結晶インゴットの製造装置の有限要素モデルに示すような形状以外に、図3や図4a及び図4bに示すような単純な円板の発熱部材の形状であっても、また、図5a及び図5bに示すような比較的複雑な形状の発熱部材としてもよい。また、加熱部を構成する発熱部材の材質については全体を坩堝と同じ黒鉛製としてもよいほか、例えば可動発熱部材として坩堝とは異なる材質の発熱部材を用いてもよく、また、可動部分を発熱部材のみ、若しくは断熱部材のみとしてもよい。更に、図3を用いた上記の説明においては、坩堝1の底部側に可動発熱部材1aを設けているが、坩堝1の蓋部材1b側に可動発熱部材を設けてもよく、この場合においても図3の場合と同様の考え方で加熱部の制御を行うことができる。
更に、本発明において、発熱部材及び断熱部材のうちの1つの以上の移動は坩堝内に装填された炭化珪素原料の温度分布を変化させることが目的であり、その移動量については、坩堝内に装填された炭化珪素原料の装填時当初の表面から底面までの距離の0.3倍以上2倍以下、好ましくは0.5倍以上1.5倍以下の範囲内であるのがよく、この移動量が0.3倍より小さいと結晶成長の原料内部の温度分布の変化が小さく、原料の一部のみが加熱されやすくなり、有効に装填した原料全体を昇華できないという問題が生じる虞がある。反対に、2倍より大きくなると原料内部での温度変化が大きくなり安定した昇華ガスの供給ができないという問題が生じる虞がある。
本発明の方法で製造された炭化珪素単結晶インゴットについては、その口径が50mm以上、好ましくは75mm以上200mm以下程度であるのがよく、また、その成長高さが40mm以上200mm以下、好ましくは50mm以上150mm以下であるのがよい。このような大口径及び長尺のインゴットを成長させる際においても、装填した原料を有効に利用することができ、また、結晶成長中の結晶成長速度の変動を小さくすることができ、高品質の炭化珪素単結晶インゴットを製造することができる。
〔実施例1〕
実施例1においては、図3に示す装置構成を有する炭化珪素単結晶インゴットの製造装置として、図2a及び図2bに示す発熱部材(坩堝及び可動発熱部材)及び断熱部材(固定断熱部材及び可動断熱部材)を有する炭化珪素原料の加熱部を備えた製造装置を用い、また、黒鉛製の坩堝内の下部にアチソン法により作製された炭化珪素結晶粉末からなる炭化珪素原料2.6kgを装填した。この原料装填時の原料の高さ(原料上面と原料下面の距離)は80mmであった。また、坩堝の蓋部の内面には、種結晶として、口径105mmの(0001)面を有する4Hポリタイプの炭化珪素単結晶ウェハを配置し、製造装置を準備した。
このようにして準備された製造装置を用い、前記図2a及び図2bで示した手順に従って炭化珪素単結晶の結晶成長を行った。黒鉛坩堝下部(底部)の温度を目標温度である2400℃まで上昇させた後に、二重石英管内のArの圧力を成長圧力1.3kPaまで30分かけて減圧し、成長を開始した。
このような製造装置を有限要素モデルとして有限要素法による数値計算を行ったところ、可動発熱部材が原料に最も近い位置にある図2aの場合のΔTbe-bcが36℃であり、また、この可動発熱部材が原料から最も遠い位置の50mm下方に移動した場合のΔT
be-bcが5℃であった。そこで、この実施例においては、結晶成長開始後の20時間後、40時間後、60時間後、80時間後、及び100時間後に、可動断熱部材と可動発熱部材とを原料から離れる方向で坩堝中心軸に沿って下方向にそれぞれ10mmづつ移動させて、120時間加熱を行った。
その結果、成長速度は約0.5mm/時であって、得られた炭化珪素単結晶インゴットはその口径が105mmであり、また、その高さが60mmであった。坩堝内の原料の残渣を観察したところ、中心部近傍においても原料が効率良く昇華したことが認められ、高周波誘導加熱の際に原料に対する加熱温度を効果的に変化させることができ、結果として中心部近傍の原料も効率良く加熱することができた。また、得られたインゴットの重量は1.7kgであり、結晶化率は65%であった。
更に、得られた炭化珪素単結晶インゴットについて、X線回折及びラマン散乱により分析したところ、4Hの単一ポリタイプからなるインゴットであり、また、マイクロパイプ等の結晶欠陥が少ない極めて高品質であることが確認された。
このインゴットから切り出された炭化珪素単結晶基板は、電子デバイスを作製するための基板として有用である。
〔実施例2〕
実施例2においては、実施例1の場合と同様に、発熱部材(坩堝及び可動発熱部材)及び断熱部材(固定断熱部材及び可動断熱部材)を有する炭化珪素原料の加熱部を備えた製造装置を用い、また、7.3kgの原料を装填し、口径155mmの種結晶を用い、装填時の原料の高さ(原料上面と原料下面の距離)が100mmであったこと以外は、実施例1の場合と同様に製造装置の準備をした。
このようにして準備された製造装置を用い、前記図2a及び図2bで示した手順に従って炭化珪素単結晶の結晶成長を行った。黒鉛坩堝下部(底部)の温度を目標温度である2400℃まで上昇させた後に、二重石英管内のArの圧力を成長圧力1.3kPaまで30分かけて減圧し、成長を開始した。
このような製造装置を有限要素モデルとして有限要素法による数値計算を行ったところ、可動発熱部材が原料に最も近い位置にある図2aの場合のΔTbe-bcが38℃であり、また、この可動発熱部材が原料から最も遠い位置の60mm下方に移動した場合のΔT
be-bcが5℃であった。そして、この実施例においては、結晶成長開始後から、可動断熱部材と可動発熱部材とを、原料から離れる方向で坩堝中心軸に沿って下方向に向けて、0.33mm/時の速度で連続的に移動させて、180時間加熱を行った。
その結果、成長速度は約0.5mm/時であって、得られた炭化珪素単結晶インゴットはその口径が155mmであり、また、その高さが90mmであった。坩堝内の原料の残渣を観察したところ、中心部近傍においても原料が効率良く昇華したことが認められ、高周波誘導加熱の際に原料に対する加熱温度を効果的に変化させることができ、結果として中心部近傍の原料も効率良く加熱することができた。また、得られたインゴットの重量は5.5kgであり、結晶化率は75%であった。
更に、得られた炭化珪素単結晶インゴットについて、X線回折及びラマン散乱により分析したところ、4Hの単一ポリタイプからなるインゴットであり、また、マイクロパイプ等の結晶欠陥が少ない極めて高品質であることが確認された。
このインゴットから切り出された炭化珪素単結晶基板は、電子デバイスを作製するための基板として有用である。
〔比較例1〕
実施例1と比較するために、減圧を開始して結晶成長を開始してから、結晶成長が終了する120時間後まで、原料に対して加熱部の可動断熱部材及び可動発熱部材を固定したこと以外は、前記実施例1と同様にして、炭化珪素単結晶インゴットの製造を行った。
この比較例1においては、原料ガスを連続的に供給するために結晶成長に伴って原料の温度を次第に高くし、未昇華の原料が残らない温度まで、当初の原料底部の周辺端部の加熱温度より40℃だけ上昇させていくことが必要であり、加熱電流を調整して温度を上昇させる製造装置を有限要素モデルとして有限要素法による数値計算を行った。この時、可動発熱部材が原料に最も近い位置にある図2aの場合のΔTbe-bcは実施例1の場合と同じく36℃であり、また、原料の底部の周辺端部の温度を40℃高くした場合のΔTbe-bcは50℃であった。
その結果、得られた炭化珪素単結晶インゴットはその口径が105mmであり、また、その高さが20mmであった。坩堝内の原料の残渣を観察したところ、中心部近傍で原料の再結晶化が観察された。中心部近傍の原料が有効に加熱されなかったため、原料底部の周辺端部で昇華した原料ガスが結晶成長に利用されずに、原料の中心部近傍で再結晶化したものと考えられる。この原料の中心部近傍での昇華ガスの再結晶化のため、結晶成長の途中で原料ガスの供給が途絶え、成長した結晶の成長面が昇華し、成長面が炭化した。そのため、インゴットの結晶化率は17%と低い値であった。
得られた炭化珪素単結晶インゴットはインゴット高さが低く、電子デバイスを作製するための基板を切り出す際の歩留まりがよくなかった。また、装填した原料に対してインゴットの重量が小さく、原料を有効に利用できなかった。
1…坩堝、1a…可動発熱部材、1b…坩堝蓋、2…種結晶、3…原料粉末、4…インゴット、5…断熱部材、5a…可動断熱部材、10…坩堝支持体、11…部材支持体、12…部材移動機構、13…二重石英管、14…真空排気装置、15…Arガス配管、16…Arガス用マスフローコントローラ、17…ワークコイル、18…ワークコイル移動機構

Claims (6)

  1. 坩堝内に装填した炭化珪素原料を加熱して発生させた昇華ガスを、坩堝内で前記炭化珪素原料に対向させて配置した炭化珪素種結晶上に再結晶させる昇華再結晶法により、前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させて炭化珪素単結晶インゴットを製造する炭化珪素単結晶インゴットの製造方法であって、
    前記炭化珪素単結晶の成長中に、前記炭化珪素原料の底部に対して、高周波誘導加熱により発熱する発熱部材及びこの発熱部材の周囲に配置された断熱部材からなる加熱部のうちの1つ以上の部材を相対的に移動させ、前記炭化珪素原料底部の周辺端部と中心部との間の温度差を低減させるように制御することを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  2. 前記加熱部の制御により、炭化珪素種結晶又は成長中の炭化珪素単結晶の結晶成長面における中心部の温度Tcと前記結晶成長面に対向する炭化珪素原料の表面の温度Tsとの温度差ΔTs-c(=Ts−Tc)をΔTs-c>0℃に維持しながら、前記炭化珪素原料底部の周辺端部の温度Tbeと炭化珪素原料底部の中心部の温度Tbcの温度差ΔTbe-bcを40℃以下にすることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  3. 前記加熱部の制御において、炭化珪素単結晶の成長中における前記温度差ΔTbe-bcを、40℃≧ΔTbe-bc>0℃の範囲内で、かつ、成長時間に伴って順次小さくなるようにすることを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  4. 前記加熱部の制御は、前記温度差ΔTbe-bcが目標とする温度差になるまで、前記移動させる部材を連続的に又は間欠的に移動させて行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  5. 前記加熱部の制御の際に前記移動させる部材の移動量が、坩堝内に装填された炭化珪素原料の装填時当初の表面から底面までの距離(原料装填高さ)の0.3〜2倍の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法で製造され、炭化珪素単結晶の成長高さが40mm以上200mm以下であることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴット。
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